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特表2024-544079複数の発電機コイルを有するフライホイールシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-27
(54)【発明の名称】複数の発電機コイルを有するフライホイールシステム
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/24 20060101AFI20241120BHJP
   H02K 7/02 20060101ALI20241120BHJP
   H02K 16/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H02K21/24 G
H02K7/02
H02K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534383
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 US2022081062
(87)【国際公開番号】W WO2023107982
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,761
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522086777
【氏名又は名称】マター ホールディングス,インク.
【氏名又は名称原語表記】MATTUR HOLDINGS,INC.
【住所又は居所原語表記】7801 E Gray Rd,Ste.170 Scottsdale,AZ 85251 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー,クリス
【テーマコード(参考)】
5H607
5H621
【Fターム(参考)】
5H607AA12
5H607BB02
5H607BB07
5H607BB15
5H607BB25
5H607CC01
5H607DD02
5H607EE42
5H621BB01
5H621BB02
5H621GA04
5H621HH01
5H621JK13
(57)【要約】
複数の発電機コイルを有するフライホイールシステムが、回転軸周りに回転するように構成されるロータディスクと、ロータディスク内に配置される複数の磁石であって、複数の磁石が、回転軸周りに角度を付けて分散され、複数の磁石の各磁石のそれぞれのN極が同一の方向を向くように複数の磁石が磁気的に位置合わせされる、複数の磁石と、ロータディスクに隣接して配置されるコイルであって、コイルが、ロータディスクから軸方向に離れて延在し、コイルが、回転軸周りのロータディスクの回転に応答して複数の磁石の各磁石に順次重なるように配置される、コイルと、を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(202)の周りに回転するように構成されるロータディスク(220)と、
該ロータディスクに配置され、前記回転軸の周りに角度を付けて分散された、複数の磁石(910)であって、該複数の磁石のうちの各磁石のそれぞれのN極が同一の方向を向くように、磁気的に位置合わせされる、複数の磁石(910)と、
前記ロータディスクに隣接して配置されるコイル(930)であって、前記ロータディスクから軸方向に離れて延在し、前記回転軸周りの前記ロータディスクの回転に応答して前記複数の磁石のうちの各磁石に順次重なるように配置される、コイル(930)と、
を具備する、デバイス。
【請求項2】
前記コイルの内側に配置される磁気コア(510)と、該コイルの外側に該コイルに隣接して配置される壁(520)と、を更に具備し、
該壁が、磁性材料から形成され、
該壁及び前記磁気コアが同一の透磁率を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
ステータ磁石(540)であって、前記コイルに隣接して配置され、前記ロータディスクに面する近位端部から、前記ステータ磁石の該近位端部の反対側の前記ステータ磁石の遠位端部まで延在する、ステータ磁石(540)、
を更に具備し、
該ステータ磁石の第1の磁極が、前記ロータディスクに面する該ステータ磁石の前記近位端部にある、請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の磁極が、前記回転軸周りの前記ロータディスクの回転中に、前記コイルに面する前記複数の磁石のそれぞれの磁極と同一の極性を有するように、
前記ステータ磁石が位置合わせされる、請求項1から請求項3のいずれかに記載のデバイス。
【請求項5】
前記ロータディスクに隣接して配置されるステータ(500)であって、
前記コイルを受け入れて支持するように成形され、
前記ロータディスクが前記回転軸の周りに回転している間に、前記コイルと前記ロータディスクとの間に磁気ギャップ距離(950)を定めるするように配置される、ステータ(500)、
を更に具備する、請求項1から請求項4のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
前記ステータが、前記回転軸の周りの前記ロータディスクの回転中の前記コイルの動きに応答して、前記磁気ギャップ距離を変化させるために、前記ロータディスクに対して前記コイルを柔軟に載せる、請求項1から請求項5のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記コイルが、複数のコイルの一部材であり、
該複数のコイルが前記ロータディスクに隣接して配置され、
前記複数のコイルの各それぞれのコイルが、前記ロータディスクに面する前記それぞれのコイルのそれぞれの近位端部から、前記それぞれの近位端部の反対側の前記それぞれのコイルのそれぞれの遠位端部まで、前記ロータディスクから離れて軸方向に延在し、
前記複数のコイルの各コイルが、前記回転軸の周りの前記ロータディスクの回転に応答して、前記複数の磁石の各磁石に順次重なるように配置される、請求項1から請求項6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
前記コイルが、前記複数のコイルのうちの第1のコイルであり、
該第1のコイルが、前記ロータディスクの第1の側面に隣接して配置され、
前記複数のコイルのうちの第2のコイルが、前記第1の側面の反対側の前記ロータディスクの第2の側面に隣接して配置される、請求項1から請求項7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
回転軸(202)の周りに回転するように構成される1又はそれ以上のロータディスク(220)であって、該1又はそれ以上のロータディスクの各々が、前記回転軸の周りに角度を付けて分散されたそれぞれの複数の磁石(910)を含む、1又はそれ以上のロータディスク(220)と、
複数のコイル(930)であって、
該複数のコイルの各それぞれのコイルが、前記複数の磁石のうちの1つの磁石を前記1又はそれ以上のロータディスクのそれぞれのロータディスク上に、前記1つの磁石の磁気ギャップ閾値内に重ねるときに、配置され、
前記それぞれのコイルが、前記それぞれのディスクに面する前記それぞれのコイルの近位端部から前記近位端部とは反対側の前記それぞれのコイルの遠位端部まで軸方向に延在する、複数のコイル(930)と、
電力を伝送するように構成される負荷バス(870)と、
複数のスイッチ(852)であって、該複数のスイッチの各スイッチが、前記負荷バスに電気的に接続されるそれぞれのスイッチ出力を有する、複数のスイッチ(852)と、
該複数のスイッチに結合され、該複数のスイッチを動作させることによって前記複数のコイルのうちの少なくとも1つを前記負荷バスに選択的に接続するように構成される、コントローラ(860)と、
を具備する、システム。
【請求項10】
前記コントローラが、
前記負荷バスにおける負荷レベルの測定値、
前記負荷バスに接続された負荷(872)の予想される特性、
前記複数のコイルの所定の特性、及び、
時刻、
のうちの1又はそれ以上に基づいて、前記複数のコイルのうちの前記少なくとも1つを選択する、ように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のコイルのうちの少なくとも1つから出力された交流(AC)電流を前記負荷バスに入力される直流(DC)電流に変換するために、該負荷バスと前記複数のスイッチのうちの少なくとも1つとの間に配置されたコンバータ(882)、
を更に具備する、請求項9又は請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
回転軸(202)に対して角度を付けて分散された第1の複数の磁石(910)を含む第1のロータディスク(220)と、該回転軸に対して角度を付けて分散された第2の複数の磁石を含む第2のロータディスク(222)と、を含む複数のロータディスクと、
前記第1の複数の磁石のうちの各磁石の磁気ギャップ距離(950)内に配置される第1のコイル(930a)と、前記第2の複数の磁石のうちの各磁石の前記磁気ギャップ距離内に配置される第2のコイル(930b)と、を含む複数のコイルと、
を具備し、
前記第1のロータディスク及び前記第2のロータディスクを前記回転軸の周りに共有した回転速度で回転させつつ、前記第1のコイルを前記第1の複数の磁石に重ね、前記第2のコイルを前記第2の複数の磁石に順次重ねるように、前記第1のロータディスク及び前記第1のコイルが、前記第2のロータディスク及び前記第2のコイルに対して配置される、システム。
【請求項13】
前記第1の複数の磁石のうちの各磁石が、前記第2の複数の磁石からの対応する磁石に対して非ゼロ角度オフセットで配置され、
前記第1のコイルが前記第2のコイルと完全に重なる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の複数の磁石のうちの各磁石が、前記第2の複数の磁石からの対応する磁石と完全に重なるように配置され、
前記第1のコイルが前記第2のコイルに対して非ゼロ角度オフセットで配置される、請求項12又は請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のコイルと完全に重なり、前記第2の複数の磁石のうちの各磁石の前記磁気ギャップ距離内に配置される、第3のコイル(930a)、
を更に具備し、
前記第1のコイルが、前記第2のコイルに直列に配線され、第1のスイッチ(852)を介して負荷バス(870)に接続され、
該第1のスイッチが、前記第3のコイルを該負荷バスに接続する第2のスイッチ(884)とは異なる、請求項12から請求項14のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照:本開示は、2021年12月7日に出願された「FLYWHEEL SYSTEMS WITH MULTIPLE GENERATOR COILS」という名称の米国仮特許出願第63/286,761号の優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。本件出願に開示された技術は、複数の発電機コイルを有するフライホイールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電機は、動力(すなわち、機械的エネルギー)を電力に変換することによって電気を生成するために使用され得る。いくつかの発電機は、ステータに対してロータを回転させてステータに変動磁場を与えることによって電気を生成する場合がある。次いで、変動磁場は、ステータに(例えば、コイルなどを介して)電流を誘導するために使用される場合がある。
【0003】
フライホイールが、フライホイールのロータを回転させることによって回転運動エネルギーの形態でエネルギーを蓄積するために使用され得る。いくつかのフライホイールでは、フライホイールに蓄積された回転エネルギーの量が、ロータの慣性モーメント及びロータの回転速度に関連する場合がある。例えば、フライホイールのロータの回転速度を増加させることによって、フライホイール内に蓄積されたエネルギー量を増加させる場合がある。その後、例えば、発電機のロータを、又は、フライホイールの回転ロータからの動力を使用若しくは変換し得る他の何らかのシステムを、駆動するために、蓄積されたエネルギーを後でロータから抽出することができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、発電及びエネルギー蓄積を改善するために、新規で革新的なシステム、デバイス及び方法を提供する。
【0005】
一例では、本開示は、回転軸周りを回転するように構成されるロータディスクと、ロータディスク内に配置される複数の磁石であって、複数の磁石が、回転軸周りに角度を付けて分散され、複数の磁石の各磁石のそれぞれのN極が同一の方向を向くように複数の磁石が磁気的に位置合わせされる、複数の磁石と、ロータディスクに隣接して配置されるコイルであって、コイルが、ロータディスクから軸方向に離れて延在し、コイルが、回転軸周りのロータディスクの回転に応答して、複数の磁石の各磁石に順次重なるように配置されるコイルと、を具備する、デバイスを提供する。
【0006】
一例では、本開示は、回転軸周りを回転するように構成される1つ又は複数のロータディスクであって、1つ又は複数のロータディスクの各々が、回転軸周りに角度を付けて分散されたそれぞれの複数の磁石を含む、1つ又は複数のロータディスクと、複数のコイルであって、複数のコイルの各それぞれのコイルが、複数の磁石のうちの1つの磁石を1つ又は複数のロータディスクのそれぞれのロータディスク上に、1つの磁石の磁気ギャップ閾値内に重ねるときに配置され、それぞれのコイルが、それぞれのディスクに面するそれぞれのコイルの近位端部から、近位端部とは反対側のそれぞれのコイルの遠位端部まで軸方向に延在する、複数のコイルと、電力を伝送するように構成される負荷バスと、複数のスイッチであって、複数のスイッチの各々が、負荷バスに電気的に接続されるそれぞれのスイッチ出力を有する、複数のスイッチと、複数のスイッチに結合され、複数のスイッチを動作させることによって複数のコイルのうちの少なくとも1つを負荷バスに選択的に接続するように構成される、コントローラと、を具備する、システムを提供する。
【0007】
一例では、本開示は、回転軸に対して角度を付けて分散された第1の複数の磁石を含む第1のロータディスクと、回転軸に対して角度を付けて分散された第2の複数の磁石を含む第2のロータディスクと、を含む複数のロータディスクと、第1の複数の磁石の各磁石の磁気ギャップ距離内にあるように配置される第1のコイルと、第2の複数の磁石の各磁石の磁気ギャップ距離内にあるように配置される第2のコイルと、を含む複数のコイルと、を具備し、第1のロータディスク及び第2のロータディスクを回転軸周りに共有した回転速度で回転させつつ、第1のコイルを第1の複数の磁石に重ね、第2のコイルを第2の複数の磁石に順次重ねるように、第1のロータディスク及び第1のコイルが、第2のロータディスク及び第2のコイルに対して配置される、システム、を提供する。
【0008】
上記の例、特徴及び利点は、すべてを含むものではなく、特に、多くの追加の例、配置、特徴及び利点は、本開示の図面及び説明を考慮すると当業者には明らかであろう。更に、本明細書で使用する用語は、読みやすさ及び説明目的のために主に選択されており、開示した主題の範囲を限定しないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、例示的な実施形態による、エネルギー蓄積及び発電のための例示的なシステムの図である。
図1B図1Bは、例示的な実施形態による、エネルギー蓄積及び発電のための例示的なシステムの図である。
図1C図1Cは、例示的な実施形態による、エネルギー蓄積及び発電のための例示的なシステムの図である。
図2A図2Aは、例示的な実施形態による、多層ロータ/ステータアセンブリを含む例示的なデバイスの図である。
図2B図2Bは、例示的な実施形態による、多層ロータ/ステータアセンブリを含む例示的なデバイスの図である。
図2C図2Cは、例示的な実施形態による、多層ロータ/ステータアセンブリを含む例示的なデバイスの図である。
図3A図3Aは、例示的な実施形態による、例示的なロータディスクの図である。
図3B図3Bは、例示的な実施形態による、例示的なロータディスクの図である。
図3C図3Cは、例示的な実施形態による、例示的なロータディスクの図である。
図4A図4Aは、例示的な実施形態による、ディスク構成の例示的なステータの図である。
図4B図4Bは、例示的な実施形態による、ディスク構成の例示的なステータの図である。
図4C図4Cは、例示的な実施形態による、ディスク構成の例示的なステータの図である。
図5A図5Aは、例示的な実施形態による、ロータディスクの磁石の近くで1つ又は複数のコイルを支持するように構成される追加のステータの図である。
図5B図5Bは、例示的な実施形態による、ロータディスクの磁石の近くで1つ又は複数のコイルを支持するように構成される追加のステータの図である。
図5C図5Cは、例示的な実施形態による、ロータディスクの磁石の近くで1つ又は複数のコイルを支持するように構成される追加のステータの図である。
図6A図6Aは、例示的な実施形態による、ステータディスクの2つの側面に面するコイルを支持するように構成される別の例示的なステータの図である。
図6B図6Bは、例示的な実施形態による、ステータディスクの2つの側面に面するコイルを支持するように構成される別の例示的なステータの図である。
図6C図6Cは、例示的な実施形態による、ステータディスクの2つの側面に面するコイルを支持するように構成される別の例示的なステータの図である。
図7図7は、例示的な実施形態による、ステータディスクの2つの側面に重なって面するように配置されるコイルを含む例示的なロータ/ステータアセンブリの図である。
図8A図8Aは、例示的な実施形態による、多層電気機械の1つ又は複数の発電機コイルを負荷バスに選択的に接続するための例示的なシステムのブロック図である。
図8B図8Bは、例示的な実施形態による、多層電気機械の1つ又は複数の発電機コイルを負荷バスに選択的に接続するための例示的なシステムのブロック図である。
図9A図9Aは、例示的な実施形態による、本明細書に記載のシステムの要素間の相互作用の概念図である。
図9B図9Bは、例示的な実施形態による、本明細書に記載のシステムの要素間の相互作用の概念図である。
図9C図9Cは、例示的な実施形態による、本明細書に記載のシステムの要素間の相互作用の概念図である。
図9D図9Dは、例示的な実施形態による、本明細書に記載のシステムの要素間の相互作用の概念図である。
図9E図9Eは、例示的な実施形態による、本明細書に記載のシステムの要素間の相互作用の概念図である。
図9F図9Fは、例示的な実施形態による、本明細書に記載のシステムの要素間の相互作用の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかの従来のフライホイール設計は、モータ発電機を使用して、モータ発電機をモータとして動作させることによってエネルギーを蓄積し、更にモータ発電機を発電機として動作させることによってエネルギーを抽出し得る。しかしながら、いくつかのシナリオでは、特定の磁気回路構成(例えば、コイル巻数、磁気回路の幾何学的形状、コイルの組合せ、ロータの回転速度など)は、発電機よりもモータが適している場合があり、逆もまた同様である。
【0011】
例えば、高負荷レベル期間中よりも低負荷レベル期間中に発電するとき、コイルの小さいサイズ又は数を使用することが効率的である場合がある。例えば、いくつかのシナリオでは、フライホイールからの電力出力が現在の要件に厳密に整合する場合、比較的大きな不整合がある場合よりも、(例えば、レギュレータなどのパワーエレクトロニクスによって)散逸される電力が少なくなる可能性がある。別の例として、特定の磁気回路構成(例えば、コイルサイズ、エアギャップ、磁束密度、磁気強度など)は、単一の磁気回路構成(例えば、モータ発電機)よりも、或いは、単一又は限られた数の出力及び/又は構成しか提供し得ない他のシステムよりも、(例えば、コイル内の磁束の適切な密度を捕捉することなどによって)最適又は効率的である可能性がある。
【0012】
その目的のために、効率的で、柔軟で、選択的で、カスタマイズ可能で、インテリジェントで及び/又は他の方法で改善された、フライホイール及び発電機のシステム及び動作を有利に可能にする例示的なシステム及びデバイスを、本明細書に開示する。
【0013】
図1A図1Cは、本開示の例示的な実施形態による、発電のためのシステム100を示している。図1Aは、システム100の斜視図を示し、図1Bは、システム100の側面図を示している。一例では、システム100は発電機を含む。一例では、システム100は、エネルギーを蓄積し、及び/又は、システム100によって出力される電力を生成するために、回転するフライホイール102を含む。生成した電力は、システム100の電気負荷(図示せず)に供給される。特定の実装形態では、フライホイール102は、図示のようにシステム100内で垂直に方向付けされる。他の実装形態では、フライホイール102は、システム100内で水平に方向付けされてもよい。システム100の他の向きも可能である。フライホイール102の回転は、原動機114によって少なくとも部分的に駆動される。したがって、様々な例で、フライホイール102の垂直方向に関連する相対的な位置の条件を与えているが、当業者であれば、システム100の水平方向又は他の方向(例えば、完全な垂直と完全な水平との間)に基づいて例の位置の条件を再度方向付けすることが可能である。
【0014】
図示の例では、原動機114はモータである。いくつかの例では、原動機114は、代替的に、動的な回転運動をフライホイール102に伝達するように構成された任意のタイプのデバイスとして実装されてもよい。一例では、原動機114は、風車のブレードの回転運動を(例えば、歯車を介して)伝達してフライホイール102を回転させる風力エネルギーシステムとして実装されてもよい。追加的又は代替的に、一例では、原動機114は、水車を通る水の流れに基づいて回転運動を生成する水車に結合された歯車システムを含んでもよい。他のタイプの原動機114も同様に可能である。しかしながら、例示のために、図1の例における原動機114はモータ(例えば、電気モータ、燃焼機関など)であり、本明細書に示す例では交換可能に原動機又はモータ114と呼ぶことがある。
【0015】
モータ114は、フライホイール102の一端付近に配置されてもよい。例えば、図示のように、モータ114は、システム100の下端部に配置されてもよい。一例では、モータ114は、フライホイール102の回転を初期化するために使用される。追加又は代替の実装形態では、モータ114は、初期化後にフライホイール102の回転に動力供給し続けてもよい。様々な実施形態では、原動機又はモータ114は、化石燃料、太陽光発電、風力又は任意の他のエネルギー源など、代替エネルギー源から動力供給されてもよく、システム100は、電力蓄積ソルーションとして機能することに加えて、又は、その代わりに、発電機として動作することができる。
【0016】
一実施形態では、フライホイール102は、1つ又は複数のフライホイールセクション104a~b(全体的又は集合的に、フライホイールセクション104、そのサブセットのみが図1Aに番号付けしている)から形成される。フライホイールセクション104は、1つ又は複数のロータディスク106a~c(全体的又は集合的に、ロータディスク106、そのサブセットのみが図1Aに番号付けしている)から形成される。様々な例では、フライホイール102は、任意の数のディスク(及び/又はステータ/ロータレベル)を含んでもよい。例えば、フライホイールセクション104は、モジュール式に構成されてもよく、それにより、追加の又は少ないフライホイールセクション104を、フライホイール102の動力容量を増減するために、互いに容易に載せることができる。ディスクの外縁部の近くに配置されるか、又は、ロータディスク106の回転軸若しくはロータ軸周りに角度を付けて分散された、磁石を、ロータディスク106は含む。様々な実施形態において、磁石は、ディスクの外縁部に隣接して配置されるが、外縁部内に完全に配置される。いくつかの実施形態では、磁石は、各磁石の少なくとも一部が外縁部を越えて延在するように、ディスクの外縁部に張り出すように配置される。
【0017】
本明細書で使用する場合、「隣接する」(及びその変形)という用語は、2つの構成要素間の関係を指し、第1の構成要素が第2の構成要素から最大1本体長(one body length)離れて物理的に接触(例えば、ゼロ距離)し得るように、2つの構成要素が、互いの範囲内に配置されることを示す。構成要素の本体長は、構成要素が互いに隣接していると判断される平面内で、構成要素の2つの値のうちの大きい方として理解されるべきである。例えば、1センチメートル(cm)の直径(例えば、本体長)の第1の円形磁石は、第1の円形磁石と第2の円形磁石とが互いに0~2cm以内に配置されるとき、2cmの直径を有する同一のXY平面内の第2の円形磁石に隣接すると考えられる。別の例では、直径1cm及び高さ0.25cmの第1の磁石は、第1の磁石910aが第3の磁石から0~0.25cmの間に位置決めされるとき、直径1cm及び高さ0.125cmを有する異なるXY平面内で第3の磁石に隣接すると考えられる。
【0018】
いくつかの例では、ワイヤのコイルを含むステータディスクは、ロータディスク106間に配置される。フライホイール102が回転すると、ロータディスク106がステータディスク間で回転し、その上に配置された磁石がステータディスクのコイルに電流を誘導し、その電流は、システム100によって出力される。いくつかの例では、ロータディスク106は、設計が実質的に中空であり、フライホイール102の全体的な重量を低減する。いくつかの例では、ロータディスク106は、ロータディスク106の回転中に、フライホイール102の慣性モーメントを増加させ得るために十分な質量を有する材料から形成される。
【0019】
一例では、フライホイールセクション104a~bは、フライホイール102を形成するために、互いに接合される。このようにして、フライホイールセクション104a~bにより、フライホイール102のモジュール式構成が可能になる。そのようなモジュール式構成により、特定の電力出力用に構成される発電機のカスタマイズ可能な設計及び/又はアセンブリが可能になる。例えば、大きい電力出力のためにフライホイールを再設計することなしに、追加のフライホイールセクション104a~nを組み合わせて、大きい電力を出力し得る長く/高く、大きいフライホイールを作成することによって、大きいフライホイールを構築することができる。
【0020】
特定の場合には、システム100によって出力される電流は、電力コンバータ(図示せず)によって処理される。例えば、電力コンバータは、システム100によって出力された電流を受電し、その電流を1つ又は複数の所望の特性(例えば、所望の電圧、所望の交流(AC)周波数、所望の位相など)を有する電力に変換する。一例では、電力コンバータは、システム100によって生成された電力を、100ボルト(V)~120Vの電圧及び60ヘルツ(Hz)の周波数を有する信号に変換する。別の例では、電力コンバータは、システム100からの出力電力を、240Vの電圧及び50Hzの周波数を有する電力信号に変換する。
【0021】
システム100はまた、トッププレート120と、サイドプレート118と、を含む。一例では、トッププレート120は、システム100内の動作中にフライホイール102を支持してもよい。これを容易にするために、図示の例では、トッププレート120は、軸受取付け点122を含み、そこからフライホイール102を動作中に懸架されてもよい。取付け点122は、磁気軸受又は任意の他のタイプの軸受を含んでもよい。トッププレート120はまた、システム100を、並びに、フライホイール102及びロータディスク106などの関連する内部構成要素を、保護するように構成されてもよい。サイドプレート118は、追加的又は代替的に、サイドプレート118によって囲まれたシステム100の内部構成要素を保護するように配置されてもよい。例えば、完全に組み立てられると、システム100は、システム100の四辺(例えば、左側、右側、前側及び後側)すべてにサイドパネルを含んでもよい。図示のように、システム100は、フライホイール102など、内部構成要素の視認性を可能にするために、サイドプレート118のうちの一方を省略してもよい。
【0022】
図1Bは、本開示の例示的な実施形態による、システム100の側面図を示している。側面図から分かるように、フライホイール102は、5つのフライホイールセクション104a~e(全体的又は集合的にセクション104)を含む。各フライホイールセクション104は、4つのロータディスク106a~d(全体的又は集合的に、ロータディスク106)及び5つのステータディスク108a~e(全体的又は集合的に、ステータディスク108)から構成される。ロータディスク106の各々は、それぞれのディスク106の外縁部の近くに位置決めされた永久磁石を含む。ステータディスク108は各々、フライホイール102が回転するときにロータディスク106からの磁石によって電流が誘導されるワイヤのコイルを含む。ステータディスク108は、システム100のハウジングに固定され、フライホイール102が回転するときでも静止したままである。
【0023】
フライホイールセクション104は、複数のロータディスク106を接合することによって組み立てられる。特定の場合には、ステータディスク108は、組み立て中にロータディスク106間に配置される。例えば、特定の実装形態では、ロータディスク106が回転している間、ロータディスク106内の磁石と、近傍のステータディスク108内のワイヤのコイルと、の間の距離が、所定の磁気ギャップ距離内で構成されるように、ロータディスク106の各々は、それぞれのステータディスク108から離隔している。所定の磁気ギャップ距離は、磁石のサイズ及び強度、コイルのサイズ、コイルに誘導する所望の電流量(アンペア)などに基づいて変化してもよい。様々な例では、磁気ギャップ距離は、0.5インチ以下、0.25インチ以下、0.1インチ以下及び/又は0.05インチ以下である。
【0024】
本明細書で使用する場合、「近傍」という用語及びその変形は、複数の部材のうちのいくつかの部材に適用されるとき、部材が物理的に接触しているか否かにかかわらず、参照される部材の直前又は直後にあると考えられる部材を指す。例えば、垂直の順序で考えると、ロータディスク106bは、ロータディスク106a及びロータディスク106cの近傍であるが、ロータディスク106bがロータディスク106aとロータディスク106cとの間に位置決めされるため、ロータディスク106aは、ロータディスク106cの近傍にはない(逆もまた同様である)。
【0025】
組み立てられたフライホイールセクション104は、システム100内で使用するための完全なフライホイール102を形成するために、互いに接合される。特定の実装形態では、各フライホイールセクション104は、フライホイール102に独立して追加又は除去され得る個別のアセンブリとして実装されてもよい。例えば、ロータディスク106は、他のフライホイールセクション104から分離されたときに組み立てられたままであり得るアセンブリを形成するために、互いに接合される。追加又は代替の実装形態では、すべてのフライホイールセクション104が、組み立てられ、単一のフライホイール102として接合される前に共に積み重ねられる。一例では、フライホイール102の個々のロータディスク106を、(例えば、3D印刷を介して)別々に製造し、次いでロータディスク106のツリーを形成するように取り付けることができる。別の例では、多層ロータアセンブリ(例えば、フライホイールセクション104内の、又は、フライホイール102内の、すべてのロータディスク106を含む)は、単一の構造として(例えば、3D印刷を介して)製造されてもよい。
【0026】
図1Cは、本開示の実施形態による、例示的なシステム100の断面図を示している。図示のように、原動機114に取り付けられた駆動シャフト124は、複数の磁石130を組み込んだ複数のロータディスクに接続される。原動機114が、Z軸周りに駆動シャフト124を回転させると、接続されたロータディスク及び磁石もZ軸周りに回転する。複数のステータディスクに及びステータディスクに組み込まれた複数のコイル140a~j(全体的又は集合的に、コイル140)に対して、ロータディスクは、移動して、コイル140の各々に電流を誘導する。様々な実施形態では、コイル140は、図8A及び図8Bに関して更に詳細に説明するように、様々な配置で共に配線され、様々なスイッチによって、電気負荷に選択的に接続し、切断するように制御されてもよい。
【0027】
図1Cに示すように、各ステータディスクが、図示の断面において2つのコイル140を呈するように、ステータは、システム100内に配置される。対照的に、ロータディスクの回転の差に基づいて、様々なロータディスクが磁石130(又は異なる磁石130)の異なる部分を提示するように、様々なロータディスクは、互いに対して様々な角度オフセットで配置される。図9A図9Fに関して更に詳細に説明するように、角度オフセットは、フライホイールが回転するときに磁石130のコイル140への順次の重なりをもたらし、それにより、アセンブリの異なるレベルで画定されたコイル140は、ロータディスクのスタック及び関連する磁石130に付与された同一の回転を介して、異なる時間にその中に誘導される電流を有する。様々な実施形態では、磁石130は、ロータ、ステータのサイズに、設計された回転速度に及びコイル140を誘導するための設計された電流に、応じて異なる組成を有する様々なサイズ及び形状であってもよい。同様に、コイル140は、ロータ、ステータのサイズに、設計された回転速度に及びコイル140を誘導するための設計された電流に、応じて、(例えば、ターン数に基づいた)異なる直径、長手方向長さを有し、ワイヤゲージなどで作製されてもよい。これらの特性は、所望の特性の電流/電圧をもたらすようにファラデーの法則に従って調整され得る。例えば、磁石130は、コイル140に電流を誘導するために1キロガウス(kG)~4kGの磁気強度を有し、これは、指定された電圧又は電流の電力を生成するために、ロータの回転速度、コイル140のループ数、磁石130の磁場に面するコイル140の面積などに基づいて調整されてもよい。
【0028】
図1A図1Cに示すフライホイール102は単なる例示であり、追加又は代替のフライホイール設計、形状又は配置を、他の実装形態で使用し得ることを理解されたい。例えば、特定の発電機は、図示のフライホイールセクション104a~eを5つより多く、又は、少ない数含むフライホイール102を使用してもよい。例えば、多くの電力を出力するように設計された発電機は、多くのフライホイールセクション(例えば、6つ以上のフライホイールセクション)を含んでもよい。別の例として、少ない電力を出力するように設計された発電機は、少ないフライホイールセクション(例えば、4つ以下のフライホイールセクション)を含んでもよい。更に別の実装形態では、各フライホイールセクション104に含まれるロータディスク106の数は異なっていてもよい。
【0029】
ロータディスク106の特定の構成は、フライホイールが回転するときに磁石推進力をもたらすように配置された磁石を含む。そのような場合、ロータディスク106の数は、システム100内のワイヤの磁石及びコイルの数のバランスを取りつつ、磁気推進力を増加又は最大化するように選択されてもよい。例えば、特定の実装形態は、いくつかのフライホイールセクション104内に5つのロータディスク106を、及び/又は、他のフライホイールセクション104内に3つのロータディスク106を、若しくは他の数のロータディスクを、含んでもよい。更に、ロータディスク106の数は、特定のフライホイールセクション104について異なってもよい。例えば、第1のフライホイールセクション104aは、3つのロータディスク106a~cを含んでもよく、第2のフライホイールセクション104bは、4つのロータディスク106a~dを含んでもよく、第3のフライホイールセクション104cは、5つのロータディスク106a~eなどを含んでもよい。
【0030】
フライホイールセクション104内のステータディスクの数はまた、様々な実装形態において異なってもよい。一例では、第1のロータディスク106は、第1のロータディスク106に対して磁気ギャップ閾値距離内に配置された単一のステータディスク108に磁気的に結合されてもよい。一例では、第2のロータディスク106は、第2のロータディスク106の2つの反対側の磁気ギャップ閾値距離内に配置された2つのステータディスク108に磁気的に結合されてもよい。特定の実装形態は、図示の構成とは異なってもよい。例えば、特定のフライホイール102は、同一の数のロータディスク106及びステータディスク108を含んでもよい。別の例として、特定のフライホイールは、ロータディスク106よりも少ない(例えば、1つ少ない)ステータディスク108、はステータディスク108よりも少ない(例えば、1つ少ない)ロータディスク106を含んでもよい。
【0031】
摩擦を低減するために、いくつかの例では、フライホイール102は、システム100の頂部及び/又は底部の単一の点から懸架されてもよい。図示の例では、フライホイール102は、トッププレート120上に位置決めされる軸受取付け点122(例えば、磁気軸受)から懸架されている。いくつかの例では、このようにフライホイール102を支持することにより、回転中にフライホイール102に付与される全体的な摩擦を低減し、それによって、システム100の電力出力及び効率を高めてもよい。追加又は代替の例では、フライホイール102は、複数の点で支持され(例えば、複数の軸受によって支持され)てもよい。
【0032】
図2A図2Cは、例示的な実施形態による、多層ロータ/ステータアセンブリを含む例示的なデバイス200を示している。例えば、デバイス200を、発電機、フライホイール(例えば、フライホイール102)、フライホイールセクション(104)及び/又は別のタイプの電気機械若しくは電力システム(例えば、システム100)で使用することができ、又は、それらとして実装することができる。デバイス200の構成要素のいくつか(例えば、支持体234、238、磁石など)は、説明の便宜上、図2A及び/又は図2Bの図示から省略されていることに留意されたい。
【0033】
デバイス200は、軸202(例えば、回転軸、ロータ軸、対称軸、中心軸など)周りに配置される複数のステータディスク210、212、214、216、218を含む。図示の配置でステータディスク210~218を保持又は支持するように構成された支持部材又はディスク取付けブラケット(支持体234によって例示される)を取り付けるために使用される、ディスク取付け点又は穴(取付け点230、232によって例示される)を、各ステータディスク210~218は含む。例えば、支持体234は、取付け点230でステータディスク210に接続され、取付け点232でステータディスク212に接続されてもよい。
【0034】
デバイス200はまた、共通軸(例えば、回転又は対称軸202)周りに配置された複数のロータディスク220、222、224、226、228を含んでもよい。一例では、複数のロータディスク220~228は、多層ロータとして同時に軸202周りを回転するように同時に(例えば、システム100のモータ114によって)作動される。これを容易にするために、一例では、ロータディスクは、(回転軸202に沿って、デバイス200の中央領域に配置された)近傍のロータディスク間の1つ又は複数の支持体又はディスク取付けブラケットを使用して、互いに対して載せられる。例えば、支持体238は、ロータディスク228を(例えば、取付け点236を介して支持体及びロータディスクにボルトを締結することによって)ロータディスク226に取り付け、以下同様である。
【0035】
一実施形態では、ロータディスク220~228は、溝又は窪み240、242、244、246、248によって例示される溝を含み、その一部は、図2Bの側面図に示すように、ロータディスク220~228の周囲まで延在してもよい。溝240~248などは、ロータディスク220~228内に磁石(図示せず)が配置される位置を表す。一例では、溝248の位置でロータディスク228内に配置された磁石(図示せず)は、ステータディスク218の近位側に面するように、上向きにN極を有するように軸方向に位置合わせされる。一例では、ステータディスク218に面するロータディスク228の側面は、近傍のステータディスク218の近位側218aから、0.50インチ、0.25~0.50インチ、0.10~0.25インチ、0.05~0.10インチなどの磁気ギャップ(磁気ギャップ閾値距離などとも呼ぶ)だけ分離される。
【0036】
図3A図3Bは、例示的な実施形態による、ロータディスク220の例示的な実装形態を示している。ロータディスク220の1つ又は複数の構成要素(例えば、磁石320~328)は、説明の便宜上、図3Aの図から省略されていることに留意されたい。図3Aは、ロータディスク220の斜視図であり、図3Bは、上面図である。特に、図3Bに示す上面図は、図2A図2Bに示すデバイス200の配置において、ステータディスク210に面するロータディスク220の側面に対応する。
【0037】
図2Cは、本開示の実施形態による、例示的なステータディスク250の等角図を示している。ステータディスク250は、外周を有し、いくつかのコイルホルダ260a~j(全体的又は集合的に、コイルホルダ260)を、(様々なロータディスクに接続された原動機114からの駆動シャフトが通り得る)中央開口部まで内側に突出させる。各コイルホルダ260a~jは、システム100の所与のレベルの他のコイルに対して、及び、システム100の他のレベルの他のコイルに対して、定位置で、関連するコイル(図2Cに示していないが、コイルの更に詳細な説明については図5A図7を参照されたい)を保持する。例えば、第1のコイルホルダ260aは、関連する第1のコイルを第1の位置で保持し、第2のコイルホルダ260bは、関連する第2のコイルを第2の位置で保持するなどである。図示のように、N個のコイルについて、各コイルが、その近傍から360/N度の角度オフセットで位置決めされるように、コイルホルダ260(及び関連するコイル)は、ステータディスク250の内周周りで角度を付けて分散するように均等に配置される。10個のコイルホルダ260a~jを有する図2Cに示しているが、様々な実施形態では、少ないコイルホルダ260a~j及び関連するコイルを、各ステータディスク250に含めてもよい。
【0038】
垂直スタックを、水平列を及びシステム100の位置合わせに基づく他の方向を、含み得る層に、ステータディスク250は配置される。ステータディスク250は、システム100内の他のステータディスク250に又はシステム100のケーシングに、接続する様々な取付けハードウェアを含み、これは、外周254に垂直な第1の縁部252a又は第2の縁部252bに含まれてもよい。原動機114がロータディスクを回転させる間、これらの取付けハードウェアは、コイルホルダ260をレベル内のほぼ定位置で維持するように、ステータディスク250を所定の位置に保持するが(例えば、回転しない)、回転軸にほぼ平行な方向へのコイルの移動を可能にする。例えば、ステータディスク250の垂直に方向付けられたスタックでは、コイルは、上/下に移動する、又は下方向/上方向に傾斜してもよいが、左/右又は反時計回り/時計回りに(例えば、同一のレベルの他のコイルに近く/更に後に移動することはできない)。
【0039】
様々な実施形態において、各コイルホルダ260が、近傍の層上のステータディスク250上のコイルホルダ260に完全に重なって配置されるように、ステータディスク250の層は配置される。いくつかの実施形態では、各コイルホルダ260が、近傍の層上のステータディスク250上のコイルホルダ260と部分的に重なって又は重ならないように、角度オフセットを伴って配置されるように、ステータディスク250の層は配置される。例えば、第1のステータディスク250が、ゼロ度の回転オフセットで位置決めされる10個のコイルホルダ260a~jのうちの第1のコイルホルダ260aを有するように配置される場合、第2のコイルホルダ260bは、36度の回転オフセットで位置決めされ、第3のコイルホルダ260cは、72度の回転オフセットで位置決めされる、などになる。完全に重なる実施形態では、(第1のステータディスク250及び第3のステータディスク250に近傍の)第2のステータディスク250、及び、(第2のステータディスク250に近傍の)第3のステータディスク250の第1のコイルホルダ260aは、ゼロ度の角度オフセット、第2のコイルホルダ260bは、36度の角度オフセット、第3のコイルホルダ260cは、72度の角度オフセットを有する、などになる。連続的に重なる例(レベル間で部分的に重なる又は重ならない場合も含む)で、4度の角度オフセットが後続のレベル間に適用される場合、第2のステータディスク250において、第1のコイルホルダ260aは、4度の回転オフセットで位置決めされ、第2のコイルホルダ260bは、40度の回転オフセットで位置決めされ、第3のコイルホルダ260cは、76度の回転オフセットで位置決めされる、などになる一方で、第3のステータディスク250では、第1のコイルホルダ260aは、8度の回転オフセットで位置決めされ、第2のコイルホルダ260bは、44度の回転オフセットで位置決めされ、第3のコイルホルダ260cは、80度の回転オフセットで位置決めされる、などになる。様々な角度オフセットを適用して、順次重なる配置を達成してもよく、図9A図9Fに関して更に詳細に説明するように、ロータディスク内の磁石の相対位置を変更してもよい。
【0040】
図3A図3Bに示すように、ロータディスク220は、穴又は取付け点302、304によって例示される複数のシャフト取付け点を含み、そのシャフト取付け点は、ロータディスク220を、ロータディスク220~228を作動させるモータ又は他の原動機(例えば、モータ114)に(例えば、ボルトなどを介して)結合するために使用され得る。ロータディスク220はまた、取付け点306、308によって例示される、1つ又は複数のディスクブラケット取付け点を含み、1つ又は複数のディスクブラケット取付け点は、ディスク取付けブラケット又は支持部材を介してロータディスク220を近傍のロータディスク(例えば、ロータディスク222)に(例えば、ボルト、ねじなどを介して)取り付けるように構成され、ディスク取付けブラケット又は支持部材は、ディスク取付け点236(図2Aに示す)を介してロータディスク228をロータディスク226に取り付ける支持体238(図2Bに示す)と同様であってもよい。
【0041】
ロータディスク220はまた、窪み310、312、314、316、318によって例示される複数の磁石搭載溝又は窪みを含む。一実施形態では、磁石搭載溝又は窪み310、312、314、316、318などは、回転軸202周りに角度を付けて分散している。ロータディスク220はまた、複数の窪み310、312、314、316、318などに配置された(又はそこに載せられた)磁石320、322、324、326、328によって例示される複数の磁石を含んでもよい。例えば、図示するように、磁石320、322、324、326、328は、それぞれ窪み310、312、314、316及び318に載せられ(又は配置され)てもよい。
【0042】
一例では、各窪みは、窪みのそれぞれの角度位置及び径方向位置で磁石を受け入れるように成形される。例えば、図示のように、ロータディスク220に配置された複数の磁石(例えば、磁石320~328など)は、ロータディスクのそれぞれの溝又は窪み(例えば、窪み310~328)に嵌合するように成形された正方形の磁石であってもよい。例えば、磁石320の表面(例えば、ステータディスク210に面する表面)の形状は、正方形であってもよい。代替例では、ロータディスク(例えば、ロータディスク220~228のいずれか)上に配置された窪み(例えば、窪み310~318など)及び/又は磁石(例えば、磁石320~328など)の1つ又は複数は、円形、長方形又は任意の他の形状を有してもよい。
【0043】
いくつかの例では、ロータディスク220の窪み(例えば、310~318)及び/又はその中に配置された磁石(例えば、320~328など)は、特定の分散パターンに従って回転軸202周りに角度を付けて分散されている。例えば、特定の分散パターンは、軸202周りの磁石(例えば、320~328)の角度位置と径方向位置との特定の組合せに対応してもよい。一例では、近傍の磁石は、同一の角度分離(例えば、36度など)によって角度を付けて分離されてもよい。一例として、軸202周りの磁石320の基準角度位置が軸202周りのゼロ度の角度位置に対応するように選択された場合、磁石322は、36度の角度で配置されてもよく、磁石324は、72度の角度で配置されてもよく、以下同様である。別の例では、磁石320~328などの近傍の磁石は、必ずしも同一の角度分離オフセットによって分離されなくてもよいが、各近傍の磁石に対して異なる角度分離オフセットを有してもよい。したがって、複数の磁石は、近傍の磁石からの円弧上にX度である開始半径(例えば、0度として示される)から、異なる角度で配置されるように、回転軸202周りに角度を付けて分散されてもよい。図示の例では、磁石324は、回転軸202周りに角度を付けて分散された順序で評価されるとき、磁石326及び磁石322の近傍であるが、磁石328又は磁石320の近傍ではない磁石と考えることができる。
【0044】
図示の例では、磁石320~328などは、回転軸202に対して同一の径方向距離に配置されている。別の例では、1つ又は複数の磁石は、1つ又は複数の他の磁石とは異なる径方向位置(すなわち、軸202からの距離)を有するように配置されてもよい。
【0045】
ロータディスク222~228(図2A図2Bに示す)の1つ又は複数の特徴は、ロータディスク220の対応する特徴と同様であってもよいことに留意されたい。例えば、ロータディスク222~228のうちの1つ又は複数は、ロータディスク220のものと同様のディスク取付け点、磁石分散パターンなどを含んでもよい。
【0046】
代替的又は追加的に、いくつかの例では、ロータディスク222、224、226及び/又は228の1つ又は複数の特徴は、ロータディスク220と異なっていてもよい。例えば、図2Aに好適に示すように、ロータディスク228は、モータシャフト取付け点を含まなくてもよい(一方、ロータディスク220は、モータ取付け点302~304を含む)。別の例として、所与のロータディスク内の磁石搭載及び/又は磁石(例えば、320~328)の角度位置は、ロータディスク220の窪み(例えば、310~318など)及び/又は磁石(例えば、320~328など)の対応する角度位置からオフセットされてもよい。例えば、図2Bに示すように、窪み240~248に配置された磁石は、軸202周りで互いに対してオフセット又は(意図的に又は製造公差のために)ずれて位置合わせされてもよい。例として、軸202周りの窪み240(及びその中に配置された磁石)の角度位置が0度の基準角度位置に対応するシナリオを考える。このシナリオでは、デバイス200の各ロータディスクは、その下のロータディスクから5度の互い違いの角度オフセットで載せられる。したがって、このシナリオでは、窪み242、246、248(したがって、その中に配置された磁石)の角度位置は、それぞれ5度、10度及び15度に対応し得る。
【0047】
図3Cは、スタック330内の近傍のロータディスク340に含まれる磁石(図示せず)間に角度オフセットが適用された6つのロータディスク340a~f(全体的又は集合的に、ロータディスク340)のスタック330の一実施形態を示している。いくつかの実施形態では、磁石は、磁石の形状に従って成形されたロータディスク340の本体に形成された様々な空洞又は窪み(例えば、図3A及び図3Bの310、312、314、316、318)を介して定位置に保持される。いくつかの実施形態では、磁石形状の窪みの使用に追加して又は代替的に、磁石は、様々なアダプタ350a~n(全体的又は集合的に、アダプタ350)によって定位置に保持されてもよい。様々な実施形態では、アダプタ350は、磁石を内部に固定する窪みの開口部上に固定されるカバーを、並びに、窪みに挿入するための代替のサイズ/形状を提供するための磁石の樹脂封止を、含んでもよい。様々な実施形態では、磁石及び/又はアダプタ350は、接着剤(例えば、エポキシ)、はんだ、ろう付け、溶接、摩擦、インターロックタブなどを介して窪みに固定されてもよい。
【0048】
スタック330において、各ロータディスク340は、回転軸に対して角度分散を有するように関連する磁石を配置する。均等に分散しているとき、各磁石は、その近傍の磁石のそれぞれから360/N度で位置決めされ、ここで、Nは、所与のロータディスク340に含まれる磁石の数である。14個の磁石(対応する14個のアダプタ350a~nによって固定される)を有する図3Cに示す例では、各磁石は、その近傍の磁石から約25.7度で位置決めされる。
【0049】
更に、図示のスタック330は、動作中に磁石を(コイルに対して)順次オフセットするように配置するために、スタック330内の近傍のロータディスク340間の対応するアダプタ350(及び関連する磁石)について、適用された角度オフセットを示している。スタック内の順序が増加(又は減少)するにつれて、スタック330の次のものがスタック内の位置から1を引いたものに等しい角度オフセットを適用するように、順次オフセットは適用される。例えば、近傍の磁石(及び関連するアダプタ350)間に約25.7度の角度分散と、スタック330内の近傍のロータディスク340に適用される約5.14度の角度オフセットと、を有する6つのロータディスク340の図示されたスタック330を使用すると、第1のロータディスク340aは、0度の角度オフセット(例えば、[1-1]*5.14度)を適用し、第2のロータディスク340bは、5.14度の角度オフセット(例えば、[2-1]*5.14度)を適用し、第3のロータディスク340cは、10.28度の角度オフセット(例えば、[3-1]*5.14度)を適用し、順次第6のロータディスク340fは、25.7度の角度オフセット(例えば、[6-1]*5.14度)を適用する、などになり、それによって、第6のロータディスク340fの第2のアダプタ350bを、第1のロータディスク340aの第1のアダプタ350aと完全に重なるように位置合わせし(第6のロータディスク340fの第3のアダプタ350cを、第1のロータディスク340aの第2のアダプタ350bと完全に重なる、など)、パターンを再開する。
【0050】
様々な実施形態において、システムに含まれるロータディスクの数は、ステータの数と同様に変化してもよい。いくつかの実施形態では、ステータの数は、ロータディスクの数に等しくてもよく、ロータディスクの数よりも1つ多くてもよく、又は、ロータディスクの数よりも1つ少なくてもよい。更に、異なる実施形態では、ステータによって保持されるコイルの数は、磁石の数と同様に変化してもよく、様々な実施形態では、磁石に対するコイルの相対数は、等しくても、多くの磁石を有しても、又は、多くのコイルを有してもよい。例えば、図示の図に示す数及び関連するオフセットに加えて、システム100は、各スタック内の2~10個のステータディスクを含んでもよく、これは、近傍のステータ/ロータ間の0.01インチ~2インチの間隔で、0~15度のステータ又はロータ間の角度オフセットを含んでもよい。
【0051】
図4A図4Cは、本開示の例示的な実施形態による、ステータディスク(例えば、ステータディスク210)の例示的な実施形態のそれぞれ斜視図、上面図及び底面図を示している。例えば、図4Bの上面図は、紙面に沿ったステータディスク210の遠位側210bを示し、ステータディスク210の底面図は、紙面に沿ったステータディスク210の近位側210aを示している。説明の便宜上、軸202(ページを通って延在する)を、図4B図4Cの中心に実線で示している。
【0052】
ステータディスク210は、軸202周りの特定の配置で、ステータディスク210に載せられた、及び/又は、それによって支持された、コイル400~408によって例示される1つ又は複数のワイヤコイルを含んでもよい。例では、ステータディスク210に載せられたコイル(例えば、400~408)のうちの1つ又は複数は、軸202周りのロータディスクの回転に応答して、ロータディスクの複数の磁石(例えば、ロータディスク220の磁石320~328)に順次重なるように配置されてもよい。例えば、コイル400~408は、ロータディスク220の磁石320~328(図3Bに示す)と同一の又は同様の径方向距離で軸202に対して配置されてもよい。
【0053】
例では、ステータディスク210に載せられたコイルは、ロータディスク(例えば、220)から離れて軸方向に延在するように配置されてもよい。例えば、コイル400~408は、それぞれのコイル軸周りに巻回されてもよい(例えば、各コイル軸は、図4B図4Cの図のページに垂直な方向にそれぞれのコイルの中心を通って延在してもよい)。したがって、ステータディスク210のコイル400~408などは各々、ロータディスクに面する近位端部(図4Cに示す)と、近位端部の反対側の遠位端部と、を有してもよい。例えば、図4Bに示すコイル400の一端は、コイル400の遠位端部であり、図4Cに示すコイル400の他端は、コイル400の近位端部である。
【0054】
更に、ロータディスク(例えば、ロータディスク220)に面するコイル(図4Cに示す)のそれぞれの近位端部が、ロータディスクに対して所与の距離(例えば、磁気ギャップ)に配置される、及び/又は、閾値距離(例えば、磁気ギャップ閾値)内にあるように、ステータディスク210は、コイル(例えば、400~408など)を載せてもよい。
【0055】
いくつかの例では、ステータディスク210は、コイル(例えば、400~408)と、ロータディスク(例えば、220)との間に可変磁気ギャップを定めるように構成される。例えば、ステータディスク210は、柔軟に曲がり得る材料(例えば、プラスチックなど)から形成されてもよく、又は、コイルを柔軟に取り付けてもよく、又は、コイルとロータディスクとの間の距離変動を可能にするためにそれ自体(例えば、システム100のフレームなどに)を柔軟に取り付けてもよい。より一般的には、例えば、軸202周りのロータディスクの回転中に、(例えば、デバイス200又はシステム100の振動に起因して、及び/又は、コイルと1つ又は複数のロータディスクの磁石との間の磁気相互作用に起因するなどで)コイルが移動し得るように、ステータディスク210は、コイル(例えば、400~408)を柔軟に載せるように構成されてもよい。
【0056】
ステータディスク210はまた、400~408などの1つ又は複数のそれぞれのコイルに配置される1つ又は複数の磁気コア(例えば、強磁性コアなど)を含んでもよい。例えば、図示の例では、ステータディスク210は、コイル400に配置される磁気コア410、コイル402に配置される磁気コア412などを含んでもよい。
【0057】
ステータディスク210はまた、コイルに隣接して配置される1つ又は複数の壁を含んでもよい。例えば、図示のように、壁420及び422は、コイル406に隣接して配置される。壁420~422などは、強磁性材料又は他の磁性材料(例えば、1より大きい透磁率を有する材料)などの磁性材料から形成されてもよい。いくつかの例では、コイル406内の磁気コアは、壁420~422と同一の材料(及び/又は同一の透磁率を有する)から作製されてもよい。他の例では、コア及び壁は、異なる材料(及び/又は異なる透磁率値を有する)から形成される。一例では、壁420~422は、コイル406と接触して配置される。代替例では、壁420~422のうちの1つ又は複数は、所与の距離(例えば、小さい分離距離など)だけコイル406から分離されてもよい。
【0058】
いくつかの例では、ステータディスク210内の1つ又は複数のコイルは、1つ又は複数の他のコイルと異なっていてもよい。例えば、コイル400及び402は、他のコイル特性の中でも、異なる巻数、異なるコイル材料、異なるコイル長さ、異なるコイルサイズ、異なるワイヤ太さ、異なるコアサイズ及び/又は異なるコア材料を有してもよい。
【0059】
図5A図5Cは、例示的な実施形態による例示的なステータ500を示している。図5Aは、ステータ500の斜視側面図であり、図5Bは、ステータ500の底面図であり、図5Cは、ステータ500の透過図である。いくつかの例では、ステータディスク210~218のいずれかなど、ステータディスクの1つ又は複数の構成要素の代わりに又はそれに加えて、ステータ500(又はその1つ若しくは複数の構成要素)を使用してもよい。ステータ500は、近位側500aを有し、これは、ステータディスク210の近位側210aと同様に、ロータディスク(例えば、ロータディスク220~228)に隣接して配置されてもよい。この点に関して、図5Bに示すステータ500の上面図は、図4Bに示すステータディスク210の底面図と同様であってもよい。特に、図5Bは、ステータ500の近位側500aの図を示している。図示の例では、ステータ500は、コイル502と、磁気コア510と、壁520~522と、を含み、これらはそれぞれ、ステータディスク210の、コイル400~408のいずれか、コア410~412のいずれか、及び、壁420~422と同様であってもよい。ステータ500はまた、取付け点530によって例示される1つ又は複数の取付け点を含んでもよく、1つ又は複数の取付け点は、例えば、ステータディスク210について説明した取付け点430と同様に、ロータディスク(例えば、ロータディスク220~228)から所与の距離(例えば、磁気ギャップ内)にステータ500を載せる、又は、配置するために使用されてもよい。
【0060】
ステータ500はまた、壁520、522(並びにコイル502及びコア510)の近傍に(及び/又は隣接して)配置される2つのステータ磁石540、542(例えば、永久磁石)を含んでもよい。一例では、ロータディスク(例えば、ステータ500に結合されたロータディスク)に近接して面しているステータ磁石540、542の極性が、ロータディスクのステータ500に面する側において磁石のそれぞれの極性と同一になるように、ステータ磁石540、542を磁化してもよい。例えば、図3Bを再び参照すると、ステータ500が、ロータディスク220と共に(例えば、ステータディスク210の代わりに又はそれに加えて)使用され、更に、図3Bに示す磁石320~328の側面が、磁石320~328のN極に対応する場合、図5Bに示す磁石540~542の近位端部もまた、ロータディスク220のN極に面するN極を有する。この配置により、例えば、ロータディスク220が軸202周りに回転するときにロータディスク220からコイル502(及び/又はコア510)に受け取られる磁束の磁束密度を、(コイル502の隣の)ステータ500のステータ磁石540~542と、ロータディスク上の磁石320~328との間の磁気相互作用に起因して最適化(又は増加)することができる。
【0061】
図5Cは、1つ又は複数の他の(例えば、図2Cのような)コイルホルダ260を有するステータディスク250の内周周りに配置された1つのコイルホルダ260内で使用され得るような、ステータ500の構成要素を透過図で示している。取付けインターフェース550(コイルホルダ260をステータディスク250又は他の構造要素に接続する1つ又は複数の取付け点530を含む)は、コイル502を定位置に保持し、コイル502を1つ又は複数の他のコイル502(例えば、システム100の同一の又は異なるレベルにおいて)、及び、電気負荷(例えば、1つ又は複数のスイッチ又はバスを介して)と電気的に接続するための配線インターフェース560を提供する。様々な実施形態では、コイル502は、エアギャップ周りに巻回されてもよく、又は、コイル502内で長手方向に(長さに沿って完全に又は部分的に)延在する中実コアを含んでもよい。
【0062】
図6A図6Cは、例示的な実施形態による、別の例示的なステータ600のそれぞれ斜視図、上面図及び正面図を示している。いくつかの例では、ステータディスク210~218のいずれかなど、ステータディスクの1つ又は複数の構成要素の代わりに又はそれに加えて、ステータ600(又はその1つ若しくは複数の構成要素)を使用してもよい。図示の例では、ステータ600は、コイル400~408、及び/又は、502のいずれかと同様であり得る複数のコイル602、604、606を含む。コイル602~606は、(例えば、ロータディスク220~228と同様の)ロータディスクから離れて軸方向に延在するように配置される。その目的のために、コイル602~606は各々、ロータディスクに面する近位端部を有し、ステータ600によって画定される磁気ギャップ(例えば、0.5インチ、0.1インチなど)によってステータディスクから分離されてもよい。いくつかの例では、磁気ギャップは、可変磁気ギャップであってもよい。例えば、ロータディスクが軸(例えば、軸202)周りにスピン又は回転している間に、コイル602~606は、コイルがロータディスクまでの距離の閾値範囲(例えば、可変磁気ギャップ)内で振動又は移動し得るように、柔軟に載せられてもよい。この配置により、例えば、コイルに磁気的に結合されたロータディスクの回転時に、コイルの動きがコイル内部の磁束を更に変化させ得ることによって、発電効率の向上を実現することができる。
【0063】
更に、ステータ600は、ロータディスクの両側に配置される1つ又は複数のコイル(例えば、コイル602、604、606)を含んでもよく、そして、それは、コイルが面するロータディスクのいずれの側での交互配置を示してもよい。図示のように、コイル602は、ロータディスクの第1の側面に面し、コイル606は、ロータディスクの第2の側面(第1の側面とは反対側)に面し、コイル604は、ロータディスクの第1の側面に面する。コイル602及び604の各々は、コイル606に面するように(及びその逆に)配置される。したがって、この配置では、ステータ600を使用して、ロータディスクの両側からの磁場によって誘導される電流を生成することができる。
【0064】
図7は、例示的な実施形態による、例示的なロータステータアセンブリ700を示している。アセンブリ700は、例えば、システム100、デバイス200、電気機械、フライホイールシステム、発電機及び/又は任意の他のタイプの動力システムと同様であってもよく、並びに/或いは、それらと共に使用されてもよい。例示のために、アセンブリ700は、ロータディスク220によって回転される磁石(例えば320~328)の配置の磁場に基づいて電気を生成するために、ステータ600(例えば、ステータディスク210の代わりに又はそれに加えて)を使用するデバイス(例えば、フライホイール、発電機、電力システムなど)の一実施形態を示す。
【0065】
図7の例では、ロータディスク220の頂部側(例えば、図3Bに示す側面)が、ステータ600の1つ又は複数のコイル602~604に面する一方で、ロータディスクの底部側(反対側)が、ステータ600の1つ又は複数の他のコイル(例えば、コイル606)に面するように、ステータ600は配置される。
【0066】
いくつかの例では、ロータディスク220の磁石(例えば、320~328など)は、同一の方向(例えば、同一の方向を指すN極又は同一の方向を指すS極)に磁気的に位置合わせされてもよい。例として、図3Bに戻って参照すると、すべての磁石320~328などの磁極は、ページの外側を(及び垂直を)指すように位置合わせされてもよい。この例では、コイル602~604の近位端部(すなわち、図7の図においてロータディスクの頂部側に面するコイル602~604の端部)は、ロータディスク220が軸202周りに回転すると、磁石のN極に順次面して、重なってもよい。一方、この例では、コイル606の近位端部(すなわち、図7の図においてロータディスクの底部側に面するコイル606の端部)は、ロータディスク220の回転中に、代わりに、磁石のS極に(順次)面してもよい。
【0067】
図8A及び図8Bは、例示的な実施形態による、選択的に電力を供給するための例示的なシステム800a~b(全体的又は集合的に、システム800)を示している。図示のように、システム800は、コイル802~812と、スイッチモジュール850と、コントローラ860と、負荷バス870と、負荷872と、コンバータ882~886と、を含む。システム800は、追加的又は代替的に、図示している構成要素よりも多い又は少ない構成要素を含んでもよいことに留意されたい。より一般的には、図8A及び図8Bは、例えばシステム100、デバイス200及び/又はロータステータアセンブリ700など、フライホイール(及び/又は他のタイプの発電システム)の1つ又は複数のコイルに負荷872を選択的に接続することによって、負荷872に電力を供給するための回路又は他の電力システム800の概略図を表し得る。その目的のために、コイル802~812は、コイル402、404、406、408、502、602、604及び/又は606のいずれかと同様であってもよい(及び/又はそれらに対応してもよい)。
【0068】
いくつかの例では、システム800は、複合電力出力(例えば、電力線822)を提供するために電気的に直列に接続された2つ以上のコイル(例えば、802~806)を含んでもよい。一例では、コイル802~806は、図6A図6Cのコイル602~606と同様に配置されてもよく、それにより、コイル802~806の1つ又は複数は、(例えば、コイル602~604と同様に)ロータディスクの第1の側に面し、コイル802~806の1つ又は複数の他のコイルは、(例えば、コイル606と同様に)同一のロータディスクの第2の側(反対側)に面する。別の例では、コイル802~806のすべては、代わりに、単一のロータディスクの同一の側に面してもよい。別の例では、コイル802~806は、2つ以上の異なるロータディスクに面するコイルの組合せを含んでもよい。例えば、図2Bを再び参照すると、コイル802~806は、複合電力線822を提供するために、電気的に直列に接続されたステータディスク210~218のうちの2つ以上からのコイルを含んでもよい。図8A及び図8Bは、例としてのみ直列に接続された3つのコイル(例えば、802~806)の単一のセットを示していることに留意されたい。いくつかの例では、システム800は、代替的又は追加的に、直列に電気的に接続された少ない、若しくは多いコイルを含んでもよく、及び/又は、直列に電気的に接続された多い、若しくは少ないコイルのセットを含んでもよい。
【0069】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、システム800は、電力出力(例えば、電力線824)を提供するために、電気的に配線された単一のコイル(例えば、コイル808)又は複数のコイルを含んでもよい。追加的又は代替的に、いくつかの例では、システム800は、複合電力出力(例えば、電力線826)を提供するために、電気的に並列に接続された2つ以上のコイル(例えば、810~812)を含んでもよい。コイル802~806と同様に、コイル810~812は、様々な方法(例えば、1つのロータディスクの同一の側に面する、1つのロータディスクの2つの側に面する、異なるロータディスクに面するなど)で配置されたコイルを含んでもよく、代替的又は追加的に、電気的に並列に接続された3つ以上のコイルを含んでもよい。電気的に接続されたコイルのための他の組合せ及び/又は回路トポロジも可能である。
【0070】
スイッチモジュール850は、電力線822~826のうちの1つ又は複数を負荷バス870に選択的に接続することに適した任意のタイプの電気信号スイッチングデバイス(例えば、負荷コンタクタ、リレーなど)を含んでもよい。一例では、スイッチモジュール850は、入力で電力線822、824及び826にそれぞれ接続された複数のスイッチ852、854、856を含んでもよい。この例では、スイッチ852~856の各々は、その入力で受信されたそれぞれの電力線822~826を負荷バス870と選択的に接続するように別々に制御されてもよい。
【0071】
コントローラ860は、本明細書に記載のコントローラ860の機能を実施するように配線されたハードウェア及び/又はアナログ回路の任意の組合せを含んでもよい。代替的又は追加的に、コントローラ860は、1つ又は複数のプロセッサ862と、メモリ864と、を含んでもよい。プロセッサ862は、本明細書に記載の動作及び手順を実行又は実施し得る任意の処理ユニットを表し、中央処理装置(CPU)、グラフィカル処理装置(GPU)、単一のプロセッサ、複数のプロセッサ、複数のコアを有するプロセッサ、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、マイクロコントローラなどを含むことができる。メモリ864は、プロセッサ862によって実行されると、コントローラ860に本明細書に記載の機能及び動作を実施させるプログラム命令を記憶する揮発性、不揮発性及び/又は任意の他のタイプのメモリデバイス(例えば、RAM、ROM、ディスク記憶装置、他のデータ記憶デバイス)を含んでもよい。
【0072】
コントローラ860の実装形態にかかわらず、一般に、コントローラ860は、スイッチモジュール850を制御するための制御信号を提供するように構成される。特に、コントローラ860は、どの電力線822~826を負荷バス870に接続すべきかを選択し、それに応じてスイッチモジュール850が電力線822~826を負荷バス870に接続又は切断する制御信号を生成するように構成されてもよい。
【0073】
一例では、コントローラ860は、負荷バスにおける負荷レベルの測定値に基づいて、電力線822~826(及び/又はそれに接続されたコイル)のうちの1つ又は複数を選択するように構成される。例えば、負荷バスが一定量の電力及び/又は他の電力信号特性に関連する負荷872に接続されている場合、コントローラ860は、負荷872への最適な及び/又は効率的な電力供給に適していると決定した1つ又は複数の電力線822~826を選択してもよい。
【0074】
一例では、コントローラ860は、負荷バス870に接続された負荷872の予想される特性に基づいて、電力線822~826(及び/又はそれに接続されたコイル)のうちの1つ又は複数を選択するように構成される。例えば、コントローラ860は、機械学習アルゴリズム又は他のタイプの計算を採用して、負荷872の予想される特性を予測し、次いで、それに応じて1つ又は複数の電力線822~826の適切な組合せを選択してもよい。
【0075】
一例では、コントローラ860は、コイル802~812の所定の特性に基づいて、電力線822~826(及び/又はそれに接続されたコイル)のうちの1つ又は複数を選択するように構成される。例えば、各電力線822~826(例えば、直列/並列接続、コイル巻数、発電容量など)に接続されたコイルの特性に関する情報を、負荷バス870に接続された負荷(例えば、負荷872)に最適な、及び/又は、効率的な電力供給のために、電力線822~826の1つ又は複数のうちのどれを選択すべきかを決定するための基礎として、コントローラ860が使用することができる。
【0076】
一例では、コントローラ860は、時刻に基づいて、電力線822~826(及び/又はそれに接続されたコイル)のうちの1つ又は複数を選択するように構成される。例えば、コントローラ860は、ピーク電力需要が特定の時間帯(例えば、夜間、昼間など)に周期的に発生し、その逆も同様であると決定してもよい。次に、コントローラ860は、予想されるピーク電力需要期間中又はその前に、比較的高い発電機容量(例えば、多くの電力線852~856)を負荷バス870に接続するようにスイッチモジュール850を制御してもよい。代替的又は追加的に、コントローラ860は、低電力需要期間中又はその予測において、比較的小さい発電機容量を負荷バス870に接続する(及び/又は現在接続されている余剰容量を切断する)ように、スイッチモジュール850を制御してもよい。
【0077】
負荷バス870は、システム800によって生成された電力を負荷バス870に接続された1つ又は複数の負荷(例えば、負荷872)に伝送することに適した任意のタイプの電力伝送媒体(例えば、電力線、配電網など)を表してもよい。
【0078】
コンバータ882~886は、コイル802~812のAC電流出力を負荷バス870に入力される直流(DC)電流に変換するように構成される任意のタイプのAC/DCコンバータを含んでもよい。図示の例では、各電力線822~826は、電力線と負荷バス870との間に配置された別個のコンバータに接続される。例えば、図示のように、コンバータ882は、電力線822(例えば、コイル802~806の組合せ)から出力されたAC電流を、負荷バス870に入力されるDC電流に変換し、以下同様である。代替例では、異なる数のコンバータ882~886及び/又はコンバータの位置も可能である。一例では、単一のコンバータが、電力線822、824及び/又は826のいずれか又はすべてを変換するために、スイッチモジュール850と負荷バス870との間に配置され、コンバータ882~886の代わりに又はそれに加えて、スイッチモジュール850を介して負荷バス870に接続される。
【0079】
図9A図9Fは、本明細書に記載のシステム100の要素間の相互作用の概念図を提供している。図9A図9Dは、本開示の実施形態による、順次重なる配置における、コイルと1つ又は複数の磁石との間の相互作用を説明するために図面において、様々な要素を省略した例示的なシステム100のいくつかの図を示している。図9E及び図9Fは、本開示の実施形態による、磁石及びコイルが磁気ギャップ距離に関して互いに重なっていると考える場合を詳述する、経時的に(例えば、回転軸202周りのロータディスクの回転中に)、所与のコイルと磁石との間の相互作用のいくつかの図を示している。
【0080】
図9A及び図9Bは、本開示の実施形態による、Z軸に平行な共有回転軸202上に積層配置された3つのロータディスク220、222、224のZX平面図を示している。各ロータディスク220、222、224は、回転軸202周りに角度を付けて分散された4つの磁石910a~d(全体的又は集合的に、磁石910)で示されており、これは、図9C及び図9Dにも見ることができ、図9C及び図9Dは、ロータディスク220、222、224の各々を、Z軸上の異なる位置で取られた対応するXY平面図で示しており、Z軸内の各位置は、「レベル」又は「層」と呼ぶことがある。いくつかの図では、第3の磁石910cは隠れている場合がある。
【0081】
本明細書で使用する場合、「角度を付けて分散された」(及びその変形)という用語は、各個々の構成要素が、近傍の構成要素間の円弧角度が均一な基準点から所定の距離に配置されるような複数の構成要素の配置を指す。例えば、図9A図9Cに示すように、各ロータディスク220、222、224は、そのディスクの中心(例えば、その回転軸)に対してそれぞれのロータディスク220、222、224周りに角度を付けて分散される4つの磁石910a~dを含む。所与のロータディスク上にN個の磁石910を含む実施形態では、各磁石910は、その近傍の磁石間に360/N度の円弧を有するように角度を付けて分散される。本例には4つの磁石910が存在するので、各々は、近傍の磁石910から90度(例えば、360/4=90)の円弧のところに位置する。
【0082】
各ロータディスク220、222、224上の磁石910a~dは、複数の磁石910a~dの各磁石910を関連するコイル930a~cと順次重なるように、関連する各ステータ920、922、924及び関連するコイル930a~cに対して配置される。本例では、図示したコイル930a~cの各々は、互いに直列に電気的に接続され、それにより、第1のロータディスク220の回転を介して第1のコイル930aに誘導された電流は、第2のロータディスク222の回転を介して内部に誘導された追加の電流を有する第2のコイル903bに流れ、第3のロータディスク224の回転を介して内部に誘導された追加の電流を有する第3のコイル930cに流れる、などになる。他の実施形態では、同一のレベルにある2つ以上のコイル930は、互いに並列に接続されてもよく、レベルは、異なるレベルにわたって電気的に接続されたコイル930のセットに含まれるゼロ、1つ、2つ以上のコイルを含んでもよい。
【0083】
本明細書で使用する場合、「順次重なる」(及びその変形)という用語は、第1のレベル内における近傍の要素が、第2のレベル内において対応する近傍の要素に対して角度オフセットを有して配置されるように、ほぼ螺旋状のパターンでの要素の配置を説明する。図示の例では、ロータディスク220、222、224の各々において(レベルZ1、Z2及びZ3の各XY平面内の910a~dのうちの特定の1つである)対応する磁石910xは、システム100内の一連のコイル930a~cにおいて対応するコイル930と順次重なるように配置される。
【0084】
図9A及び図9Cに示すように、順次の重なりは、コイル930a~cをXY平面の異なるレベルの各々において静的XY位置に配置するが、ロータディスク220、222、224に互いに対して角度オフセットを提供することによって達成されてもよい。角度オフセットは、第1の磁石910a(及び対応する相手と対峙する他のすべての磁石910b~d)を、第2のロータディスク222内の第1の磁石910aと完全に重ならないように第1のロータディスク220内に配置し、第1の磁石910aを、第3のロータディスク224内の第1の磁石910aと完全に重ならないように第2のロータディスク222内に配置する。したがって、ロータディスク220、222、224が動作中に互いに同一の角速度で回転すると、ロータディスク220、222、224の各々の第1の磁石910aは、一連のコイル930の対応するコイル930a~cと順次重なる。
【0085】
図9B及び図9Dに示すように、異なるXY平面の各々において回転軸202に対して異なる角度オフセットでコイル930a~cを位置決めし、互いに対してロータディスク220、222、224にいかなる角度オフセットも提供しないことによって、順次の重なりが達成されてもよい。いくつかの実施形態では、コイル930a~cの角度オフセットは、XY平面内の様々なステータ920、922、924の物理的位置を変更することによって達成される。いくつかの実施形態では、コイル930a~cがレベル間で配線される方法は、別のコイル(複数の一部ではない)が異なるレベルで同一のXY座標を占有する場合でも、複数のコイル930間の角度オフセットに影響を及ぼす場合がある。例えば、図9Dは、コイル930a~cと直列に連結されていないが、異なるスイッチを介して接続された異なる一連のコイルの一部であり得る、非連結コイル940a~b(ステータ926、928によって保持される)を示している。非連結コイル940a~bは、連結コイル930a~c(例えば、XY平面Z3における第3のコイル930c)の部材を含む、Z1、Z2及びZ3平面内のコイルとXY座標を共有してもよい。同様に、コイル930a~cの各々は、異なるZ座標を有する異なるレベルでそれとXY座標を共有する対応する相手を有してもよい。しかしながら、これらのコイルはレベル間に電気的に接続されていないので、ロータディスク220、222、224が動作中に互いに同一の角速度で回転しているにもかかわらず、対応するレベルの各磁石910xによって誘導される電流はわずかに異なる時間に生成され、それにより、ロータディスク220、222、224の各々の第1の磁石910aは、一連のコイル930内の対応するコイル930a~cと順次重なる。
【0086】
3つのロータディスク220、222、224を有する図9A図9Dに示しているが、この順次の重なりは、周方向に継続し、適用された(別のレベルに対する所与のレベル上の磁石910の位置、別のレベルに対する所与のレベル上のコイル930の位置、又は、レベル間のコイル930の配線、のうちの1つ又は複数に適用された)角度オフセットにより、別のレベルの同様の構成要素と重なりが生じると、繰り返してもよい。
【0087】
図9E及び図9Fは、本開示の実施形態による、それぞれXY平面における等角図及び平面図における磁石910とコイル930との間の相互作用のタイミング図を示している。磁石910をコイル930に対して様々な位置に配置する経路においてZ軸周りに回転する磁石910を示している。時間t-3から時間t+3までの経路を示しており、時間tにおいて、磁石910は、コイル930と(Z軸に沿って)同心に位置合わせされる。本例では、コイル930の断面積が磁石910の断面積よりも大きいので、磁石910に、時刻tでコイル930が完全に重なっていると考えられるが、時刻t-2、時刻t-1、時刻t+1、時刻t+2では磁石910の少なくとも一部にコイル930が重なっている。時刻t-3及び時刻t+3において、コイル930は、磁石910と重ならない。
【0088】
本明細書で使用する場合、「重なる」(及びその変形)という用語は、第1の構成要素が、第2の構成要素の少なくとも一部も占有する平面座標(例えば、XY座標)のセットを占有するとき、異なる平面内にあるが、それらの2つの構成要素が重なると見なされるように、2つの構成要素間の関係が互いに異なる平面内に配置されることを指す。第1の構成要素のすべての部分が、第2の構成要素によっても占有される平面座標を占有するとき、第1の構成要素は、第2の構成要素によって完全に重なるように設定される。第1の構成要素の部分の全部ではなく一部が、第2の構成要素によっても占有される平面座標を占有するとき、第1の構成要素は、第2の構成要素によって部分的に重なるように設定される。例えば、図4Eの時間t0において、磁石910に、コイル930が完全に重なるが、コイル930は、磁石910によって部分的に重なっている。特に明記しない限り、様々な構成要素が互いに重なるか否かを評価するために使用される平面が、システム100の回転軸202にすべて垂直であるように、重なりは、システム100の回転の視点に従って決定される。
【0089】
コイル930及び磁石910は、それらが重なったときに磁気ギャップ距離950だけ離れるように配置される。本明細書で使用する場合、磁気ギャップ距離950(及びその変形例)は、コイル930がロータに対して軸方向に(例えば、図示の例ではZ軸上に)、及び、回転軸202に平行に、延在する方向に測定された、磁石910とコイル930との重なり部分間の距離を指す。様々な実施形態では、磁気ギャップ距離950のサイズは、使用される磁石910の磁気強度、使用される磁石910のサイズ、磁石910がコイル930内での誘導のために設計上必要な電流の所望の強度、回転軸202周りの回転速度、磁石910とコイル930との間の任意の介在材料の透磁率など、に基づいて変化してもよい。
【0090】
本明細書に記載の主題の態様は、単独で、或いは、本明細書に記載の1つ又は複数の他の態様と組み合わせて有用であり、以下の番号付きの条項を参照して理解され得る。
【0091】
条項1:回転軸周りを回転するように構成されるロータディスクと、ロータディスク内に配置される複数の磁石であって、複数の磁石が、回転軸周りに角度を付けて分散され、複数の磁石の各磁石のそれぞれのN極が同一の方向を向くように複数の磁石が磁気的に位置合わせされる、複数の磁石と、ロータディスクに隣接して配置されるコイルであって、コイルが、ロータディスクから軸方向に離れて延在し、コイルが、回転軸周りのロータディスクの回転に応答して複数の磁石の各磁石に順次重なるように配置される、コイルと、を具備する、デバイス。
【0092】
条項2:コイルの内側に配置される磁気コアを更に具備する、条項1及び条項3から13のいずれかに記載のデバイス。
【0093】
条項3:コイルの外側に隣接して配置される壁を更に具備し、壁が、磁性材料から形成され、壁及び磁気コアが、同一の透磁率を有する、条項1から2及び条項4から13のいずれかに記載のデバイス。
【0094】
条項4:ステータ磁石であって、ステータ磁石が、コイルに隣接して配置され、ロータディスクに面する近位端部からステータ磁石の近位端部の反対側のステータ磁石の遠位端部まで延在し、ステータ磁石の第1の磁極が、ロータディスクに面するステータ磁石の近位端部にある、ステータ磁石、を更に具備する、条項1から3及び条項5から13のいずれかに記載のデバイス。
【0095】
条項5:第1の磁極が、回転軸周りのロータディスクの回転中に、コイルに面する複数の磁石のそれぞれの磁極と同一の極性を有するように、ステータ磁石が位置合わせされる、条項1から4及び条項6から13のいずれかに記載のデバイス。
【0096】
条項6:ステータ磁石が、ロータディスクに面するステータ磁石の近位端部に丸い形状を有する、条項1から5及び条項7から13のいずれかに記載のデバイス。
【0097】
条項7:ロータディスクに隣接して配置されるステータであって、ステータが、コイルを受け入れて支持するように成形され、ロータディスクが回転軸周りに回転している間に、ステータが、コイルとロータディスクとの間に磁気ギャップ距離を定めるように配置される、ステータ、を更に具備する、条項1から6及び条項8から13のいずれかに記載のデバイス。
【0098】
条項8:ステータが、回転軸周りに延在するステータディスクである、条項1から7及び条項9から13のいずれかに記載のデバイス。
【0099】
条項9:ステータが、回転軸周りのロータディスクの回転中のコイルの動きに応答して、磁気ギャップ距離を変化させるために、ロータディスクに対してコイルを柔軟に載せる、条項1から8及び条項10から13のいずれかに記載のデバイス。
【0100】
条項10:複数のコイルであって、複数のコイルが、ロータディスクに隣接して配置され、複数のコイルの各それぞれのコイルが、ロータディスクに面するそれぞれのコイルのそれぞれの近位端部からそれぞれの近位端部の反対側のそれぞれのコイルのそれぞれの遠位端部までロータディスクから離れて軸方向に延在し、複数のコイルの各コイルが、回転軸周りのロータディスクの回転に応答して、複数の磁石の各磁石に順次重なるように配置される、複数のコイル、を更に具備する、条項1から9及び条項11から13のいずれかに記載のデバイス。
【0101】
第11項:コイルが、複数のコイルのうちの第1のコイルであり、第1のコイルが、ロータディスクの第1の側面に隣接して配置され、複数のコイルのうちの第2のコイルが、第1の側面の反対側のロータディスクの第2の側面に隣接して配置される、条項1から10及び条項12から13のいずれかに記載のデバイス。
【0102】
条項12:第1のコイルが、第2のコイルと直列に電気的に接続される、条項1から11及び条項13のいずれかに記載のデバイス。
【0103】
条項13:コイルが、複数のコイルのうちの別のコイルと電気的に並列に接続される、条項1から12のいずれかに記載のデバイス。
【0104】
条項14:回転軸周りを回転するように構成される1つ又は複数のロータディスクであって、1つ又は複数のロータディスクの各々が、回転軸周りに角度を付けて分散されたそれぞれの複数の磁石を含む、1つ又は複数のロータディスクと、複数のコイルであって、複数のコイルの各それぞれのコイルが、複数の磁石のうちの1つの磁石を1つ又は複数のロータディスクのそれぞれのロータディスク上に、1つの磁石の磁気ギャップ閾値内に重ねるときに配置され、それぞれのコイルが、それぞれのディスクに面するそれぞれのコイルの近位端部から、近位端部とは反対側のそれぞれのコイルの遠位端部まで軸方向に延在する、複数のコイルと、電力を伝送するように構成される負荷バスと、複数のスイッチであって、複数のスイッチの各々が、負荷バスに電気的に接続されるそれぞれのスイッチ出力を有する、複数のスイッチと、複数のスイッチに結合され、複数のスイッチを動作させることによって複数のコイルのうちの少なくとも1つを負荷バスに選択的に接続するように構成される、コントローラと、を具備する、システム。
【0105】
条項15:コントローラが、負荷バスにおける負荷レベルの測定値と、負荷バスに接続された負荷の予想される特性と、複数のコイルの所定の特性と、時刻と、のうちの1つ又は複数に基づいて、複数のコイルのうちの少なくとも1つを選択するように構成される、条項14及び16のいずれかに記載のシステム。
【0106】
条項16:複数のコイルのうちの少なくとも1つから出力された交流(AC)電流を負荷バスに入力される直流(DC)電流に変換するために、負荷バスと、複数のスイッチのうちの少なくとも1つとの間に配置されたコンバータを更に具備する、条項14から15のいずれかに記載のシステム。
【0107】
条項17:回転軸に対して角度を付けて分散された第1の複数の磁石を含む第1のロータディスクと、回転軸に対して角度を付けて分散された第2の複数の磁石を含む第2のロータディスクと、を含む複数のロータディスクと、第1の複数の磁石の各磁石の磁気ギャップ距離内にあるように配置される第1のコイルと、第2の複数の磁石の各磁石の磁気ギャップ距離内にあるように配置される第2のコイルと、を含む複数のコイルと、を具備し、第1のロータディスク及び第2のロータディスクを回転軸周りに共有した回転速度で回転させつつ、第1のコイルを第1の複数の磁石に重ね、第2のコイルを第2の複数の磁石に順次重ねるように、第1のロータディスク及び第1のコイルが、第2のロータディスク及び第2のコイルに対して配置される、システム。
【0108】
条項18:第1の複数の磁石の各磁石が、第2の複数の磁石からの対応する磁石に対して非ゼロ角度オフセットで配置され、第1のコイルが、第2のコイルと完全に重なる、条項17、条項19及び条項20のいずれかに記載のシステム。
【0109】
条項19:第1の複数の磁石の各磁石が、第2の複数の磁石からの対応する磁石と完全に重なるように配置され、第1のコイルが、第2のコイルに対して非ゼロ角度オフセットで配置される、条項17、条項18及び条項20のいずれかに記載のシステム。
【0110】
条項20:第1のコイルと完全に重なり、第2の複数の磁石の各磁石の磁気ギャップ距離内にあるように配置される、第3のコイルを更に具備し、第1のコイルが、第2のコイルと直列に配線され、第3のコイルを負荷バスに接続する第2のスイッチとは異なる第1のスイッチを介して負荷バスに接続される、条項17から19項のいずれかに記載のシステム。
【0111】
本明細書に記載した例に対する様々な変更及び修正が当業者には明らかであることを理解されたい。そのような変更及び修正は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その意図した利点を損なうことなく行うことができる。したがって、そのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることを意図している。
図1A
図1B
【図
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
【国際調査報告】