(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ヘアコンディショニング組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20241120BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20241120BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20241120BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241120BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20241120BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20241120BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A61K8/41
A61Q5/12
A61K8/36
A61K8/37
A61K8/33
A61K8/46
A61K8/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535358
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 US2022081152
(87)【国際公開番号】W WO2023114680
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シカール グプタ
(72)【発明者】
【氏名】上原(松岡) 伸晃
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC171
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC521
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC741
4C083AC742
4C083AC781
4C083AD191
4C083AD202
4C083BB11
4C083CC33
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
ヘアコンディショナー組成物であって、第1の材料及び第2の材料を含み、当該第1の材料が、少なくとも2つのアミン基を含み、pH6で約-2未満のAlogPを有し、pH6で少なくとも約160Å2(オングストローム)2の疎水性表面積を有し、当該第2の材料が、少なくとも1つのC12~C22炭素鎖を含み、pH6で少なくとも約3.2のAlogPを有する、ヘアコンディショナー組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアコンディショナー組成物であって、
第1の材料及び第2の材料を含み、
前記第1の材料が、少なくとも2つのアミン基を含み、pH6で-2未満のAlogPを有し、pH6で少なくとも160Å
2(オングストローム)
2の疎水性表面積を有し、
前記第2の材料が、少なくとも1つのC12~C22炭素鎖を含み、pH6で少なくとも3.2のAlogPを有する、ヘアコンディショナー組成物。
【請求項2】
前記第2の材料が、脂肪酸、糖エステル、少なくとも1つの二重結合を有するグリセロールエステル及びエーテル、並びにサルフェートからなる群から選択される、請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項3】
前記組成物が、脂肪族アルコール及び水性キャリアを更に含み、前記組成物が、ゲル構造を有する、請求項1又は2に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項4】
前記組成物が、5~11のpHを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項5】
前記組成物が、8~38の範囲のHLBを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項6】
前記第2の材料が、ジステアリン酸スクロース、ジパルミチン酸スクロース、ジラウリン酸スクロース、パルミトレイン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、及びリノレン酸グリセリルからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項7】
前記第1の材料が、カナバニン、リジン、オルニチン、アルギニン、シトルリン、メチルアルギニン、ラミニン、エタンイミドイルオルニチン、n-ジメチルアルギニン、ノルロイシン、アルギニンアミド、DMAPA、プロピルアルギニン、ヒスチジン、及び4-アミノフェニルアラニンからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項8】
前記第1の材料が、カナバニン又はオルニチンである、請求項1~7のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項9】
前記組成物が、コンディショニング油を更に含む、請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項10】
前記第1の材料がアルギニンであり、前記第2の材料がジステアリン酸スクロース又はモノオレイン酸グリセリルである、請求項1~7又は9のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項11】
前記第1の材料がカナバニンであり、前記第2の材料がラウリン酸である、請求項1~9のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項12】
前記第1の材料がヒスチジンであり、前記第2の材料が、モノオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸スクロース、及びジラウリン酸スクロースからなる群から選択される、請求項1~7又は9のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項13】
前記第1の材料がリジンであり、前記第2の材料がモノオレイン酸グリセリル又はジステアリン酸スクロースである、請求項1~7又は9のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項14】
前記第1の材料がDMAPAであり、前記第2の材料がラウリン酸である、請求項1~7又は9のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項15】
前記ヘアコンディショナー組成物が、前記ヘアコンディショナー組成物の0.01重量%~15重量%の前記第1の材料を含み、前記ヘアコンディショナー組成物が、前記ヘアコンディショナー組成物の0.01重量%~15重量%の前記第2の材料を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のヘアコンディショナー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の材料及び第2の材料を含むヘアコンディショニング組成物であって、これらの材料の全てが製剤中でゲル構造を形成する、ヘアコンディショニング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪のコンディショニングのために、様々な手法が開発されてきた。コンディショニング効果を提供する一般的な方法は、カチオン性界面活性剤及びポリマー、高融点脂肪族化合物、低融点油、シリコーン化合物、並びにこれらの混合物などのコンディショニング剤の使用によるものである。これらのコンディショニング剤のほとんどは、様々なコンディショニング効果を提供することが知られている。例えば、いくつかの高融点脂肪化合物及び水性キャリアと共に使用される場合、いくつかのカチオン性界面活性剤はゲル構造を提供すると考えられており、これは、濡れた髪への塗布中の滑るような感触、乾いた髪における柔らかさ及び潤いのある感触などの様々なコンディショニング効果を提供するのに好適である。
【0003】
しかし、一部の消費者は、カチオン性界面活性剤分子を有さない製品を好むであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、製剤中にゲル構造を依然として形成することができる代替界面活性剤、特にグリーンケミストリ界面活性剤を見出し、消費者が望む効果を送達することが継続的に必要とされている。
【0005】
既存の技術のいずれも、性能、コスト、安全性、持続可能な供給源、及び環境への配慮を含む、本発明の利点及び効果の全ては提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ヘアコンディショナー組成物であって、
第1の材料及び第2の材料を含み、
当該第1の材料が、少なくとも2つのアミン基を含み、pH6で約-2未満のAlogPを有し、pH6で少なくとも約160Å2(オングストローム)2の疎水性表面積を有し、
当該第2の材料が、少なくとも1つのC12~C22炭素鎖を含み、pH6で少なくとも約3.2のAlogPを有する、ヘアコンディショナー組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する「特許請求の範囲」で締めくくられているが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0008】
本明細書で、「含む(comprising)」とは、最終結果に影響しない他のステップ及び他の成分も加えられる場合があることを意味する。この用語は、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を包含する。
【0009】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。列記された成分に関連するこのような重量は全て、活性レベルに基づいており、したがって市販の材料に含まれ得る担体又は副生成物を含まない。
【0010】
本明細書で、「混合物」は、材料の単純な組み合わせと、このような組み合わせから得られることのある任意の化合物と、を含むことを意味する。
【0011】
本明細書におけるQ.S.は、最大100%を意味する。
【0012】
組成物
本発明のヘアコンディショニング組成物は、
a)第1の材料及び第2の材料であって、
当該第1の材料が、少なくとも2つのアミン基を含み、pH6で約-2未満のAlogPを有し、pH6で少なくとも約160Å2(オングストローム)2の疎水性表面積を有し、
当該第2の材料が、少なくとも1つのC12~C22炭素鎖を含み、pH6で少なくとも約3.2のAlogPを有する、第1の材料及び第2の材料と、
b)高融点脂肪族アルコールと、
c)水性キャリアと、を含み、
a)~c)はゲル構造を形成する。
【0013】
本発明の目的は、ゲル構造を含有し、かつ濃厚であるが溶けるような塗布感触、清潔なすすぎ、及び乾燥した外観及びコンディショニング効果を有する安定なコンディショナー組成物を提供することである。第1の材料及び第2の材料を含む材料であって、当該第1の材料が、少なくとも2つのアミン基を含み、約-2未満のAlogPを有し、pH6で少なくとも約160Å2(オングストローム)2の疎水性表面積を有し、一方、当該第2の材料が、少なくとも1つのC12~C22炭素鎖を含み、pH6で少なくとも約3.2のAlogPを有する、第1の材料及び第2の材料が、脂肪族アルコール及び水性キャリアと共に存在すると、安定であり、許容可能なレオロジーを有し、また毛髪の扱いやすさ、縮れの制御、及びボリュームなどの消費者が期待するコンディショニング効果も提供するコンディショナー組成物が得られる。
【0014】
典型的なヘアコンディショナー組成物は、構造化剤、例えば、脂肪族アルコール、感触/レオロジー調整剤ポリマー、コンディショニング油及び薬剤、保存成分、香料/着色剤、更にカチオン性界面活性剤を含む。消費者は、天然及び穏やかな成分のみを含む製品により関心があるため、これらのヘアコンディショナー構成要素の各々は、消費者が知覚する天然及び穏やかな成分がどのように組成物を構成することができ、その一方で、消費者が期待する性能及び効果を依然として提供するかについて調査される。修飾され得る1つの領域は、界面活性剤である。カチオン性界面活性剤分子を使用するのではなく、本発明者らは、ヘアコンディショナー組成物であって、第1の材料及び第2の材料を含む材料を含み、当該第1の材料が、少なくとも2つのアミン基を有し、約-2未満のAlogPを有し、pH6で少なくとも約160Å2(オングストローム)2の疎水性表面積を有し、当該第2の材料が、少なくとも1つのC12~C22炭素鎖を含み、pH6で少なくとも約3.2のAlogPを有する、ヘアコンディショナー組成物を処方した。コンディショナーはまた、高融点脂肪族アルコール及び水性キャリアも含んでいてよい。様々な材料に上記の第1及び第2の材料を組み込むことにより、依然として性能、コスト、安全性、持続可能な供給源、及び環境への配慮の基準を満たしつつ、分子設計及びサプライチェーンにおける柔軟性が、全て天然及び穏やかな成分を用いて可能である。
【0015】
ゲル構造
本発明の組成物は、ゲル構造又はゲルネットワーク、場合によってはLβ相を有するラメラゲルネットワークマトリックスを含む。ゲル構造は、濡れた毛髪に適用している際のツルツルとした感触、乾いた毛髪における柔らかさ及びしっとりとした感触などの様々なコンディショニング効果をもたらすのに好適である。
【0016】
コンディショナー組成物中のゲル構造は、組成物の相分離がないことによって実証される。負のAlogPを有する第1の材料(a-1)をより正のAlogPを有する第2の材料(a-2)と組み合わせた場合、その組み合わせは、(b)高融点脂肪族アルコール及び(c)水と共にゲル構造に結合し、を形成する。組み合わせのバランスがとれていない場合、コンディショナー組成物は相分離を示す可能性があり、これは消費者にとって望ましくない。
【0017】
いくつかの実施形態では、第2の材料は、脂肪酸、糖エステル、少なくとも1つの二重結合を有するグリセロールエステル及びエーテル、並びにサルフェートであってよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第2の材料は、ジステアリン酸スクロース(SDE)、ベヘン酸、ステアリン酸、オレイン酸、フマル酸ステアリル、モノステアリン酸グリセリル、リノール酸、パルミチン酸、乳酸ステアロイル、モノオレイン酸グリセリル(GMO)、ジラウリン酸スクロース(SDL)、リシノール酸、硫酸ステアリル、ラウリン酸、ジパルミチン酸スクロース、パルミトレイン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、及びリノレン酸グリセリルであってよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第2の材料は、pH6で少なくとも約3.2のAlogPを有する表4に列挙する材料から選択してよい。表4はまた、比較例に示されるように、pH6で少なくとも3.2のAlogPを有さず、ヘアコンディショナー組成物に配合されたときに相分離を示す可能性のある材料も含む。
【0018】
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の材料は、カナバニン、リジン、オルニチン、アルギニン、シトルリン、メチルアルギニン、ラミニン、エタンイミドイルオルニチン、n-ジメチルアルギニン、ノルロイシン、アルギニンアミド、DMAPA、プロピルアルギニン、ヒスチジン、及び4-アミノフェニルアラニンであってよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の材料は、カナバニン又はオルニチンであってよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の材料は、pH6で-2未満のAlogPを有する表5に列挙する材料から選択してよい。表はまた、比較例に示されるように、-2未満のAlogPを有さず、ヘアコンディショナー組成物に配合されたときに相分離を示す可能性のある材料も含む。
【0020】
ヘアコンディショナー組成物は、組成物の約0.01重量%~約15重量%、好ましくはヘアコンディショナー組成物の約0.05重量%~約10重量%、より好ましくは約0.1重量%~約5重量%の第1の材料を含み得る。ヘアコンディショナー組成物は、組成物の約0.01重量%~約15重量%、好ましくはヘアコンディショナー組成物の約0.05重量%~約10重量%、より好ましくは約0.1重量%~約5重量%の第2の材料を含み得る。
【0021】
以下の表5は、可能な第1の材料を、pH6における各AlogP及びpH6におけるオングストローム2単位の疎水性表面積と共に列挙する。
【0022】
【0023】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、カチオン性界面活性剤を更に含んでいてもよい。好適なカチオン性界面活性剤としては、例えば、ベヘントリモニウムメトサルフェート(BTMS)、ベヘントリモニウムクロリド(BTMAC)、ステアラミドプロピルジメチルアミン(SAPDMA)、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン(BAPDMA)、ブラシシルバリンエシレート、及びこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0024】
ヘアコンディショナー組成物は、当該ヘアコンディショナー組成物の少なくとも約60重量%、及びいくつかの実施形態では少なくとも約80重量%の水性キャリアを含み得る。
【0025】
一般に、本明細書に記載の材料の混合物は、水性キャリアと共に、少なくとも約4.5のpHを有し得る。第1の材料の第2の材料に対する比は、約1:40~約40:1、好ましくは約1:15~約30:1、又はより好ましくは約1:10~約20:1であり得る。
【0026】
本発明の組成物は、セラミドを実質的に含まなくてもよい。本発明の組成物は、コレステロールを実質的に含まなくてもよい。また、本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤のみで作製されたゲルネットワークを実質的に含まなくてもよい。
【0027】
高融点脂肪族アルコール
高融点脂肪族アルコールは、本発明の効果をもたらすという観点から、組成物の約2重量%~、好ましくは約4重量%~、より好ましくは約5重量%~、更により好ましくは約5.5重量%~約15重量%、好ましくは~約10重量%のレベルで組成物に含めることができる。
【0028】
本明細書で有用な高融点脂肪族アルコールは、Lβを有するラメラゲルネットワークマトリックスの安定性の観点から、25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更により好ましくは50℃以上の融点を有する。好ましくは、このような融点は、より容易な製造及びより容易な乳化の観点から、約90℃以下、より好ましくは約80℃以下、更により好ましくは約70℃以下、一層より好ましくは約65℃以下である。本発明では、高融点脂肪族アルコールは、単一アルコールとして、又は少なくとも2つの高融点脂肪族アルコールのブレンド若しくは混合物として、使用することができる。このようなブレンド又は混合物として使用される場合、上記の融点は、ブレンド又は混合物の融点を意味する。
【0029】
本明細書で有用な高融点脂肪族アルコールは、脂肪族アルコール、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本明細書のこのセクションに開示されているアルコールが、場合によっては2つ以上の分類に属し得る(例えば、いくつかの脂肪族アルコール誘導体は、脂肪酸誘導体としても分類され得る)ということが当業者によって理解される。しかし、所与の分類は、その特定のアルコールを限定することを意図するものではなく、分類及び命名法の便宜上そのようになされている。更に、当業者は、二重結合の数及び位置、並びに分枝の長さ及び位置に応じて、特定の必須炭素原子を有する特定のアルコールが、上記の本発明において好ましい融点未満の融点を有する場合があることを理解している。低融点のこのようなアルコールは、このセクションに含まれることが意図されない。高融点アルコールの非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に見出される。
【0030】
本明細書で有用な高融点脂肪族アルコールは、約14~約30個の炭素原子、好ましくは約16~約22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは飽和しており、直鎖又は分枝鎖アルコールであってもよい。
【0031】
例えば、好ましい脂肪族アルコールとしては、セチルアルコール(約56℃の融点を有する)、ステアリルアルコール(約58~59℃の融点を有する)、ベヘニルアルコール(約71℃の融点を有する)、及びこれらの混合物が挙げられる。これらのアルコールは、上記の融点を有することが知られている。しかし、これらは多くの場合、供給されるときにより低い融点を有しており、その理由はこのような供給される製品は多くの場合、主なアルキル鎖がセチル、ステアリル又はベヘニル基であるアルキル鎖長分布を有する脂肪族アルコールの混合物であるからである。本発明において、より好ましい脂肪族アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びこれらの混合物である。
【0032】
本明細書で有用な市販の高融点脂肪族アルコールとしては、Shin Nihon Rika(Osaka,Japan)から入手可能な商品名KONOLシリーズ及びNOF(Tokyo,Japan)から入手可能なNAAシリーズのセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール;WAKO(Osaka,Japan)から入手可能な商品名1-ドコサノールの純粋なベヘニルアルコールが挙げられる。
【0033】
高融点脂肪族アルコールと共に、組成物は、低融点脂肪族アルコール、例えばオレイルアルコールを更に含むことができる。
【0034】
水性キャリア
本発明のコンディショニング組成物は水性キャリアを含む。キャリアの濃度及び種類は、他の成分との相溶性及び製品の他の所望の特性に従って選択される。
【0035】
本発明で有用なキャリアとしては、水、並びに低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコールであり、より好ましくは、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0036】
好ましくは、水性キャリアは、実質的に水である。好ましくは、脱イオン水が使用される。製品の所望の特性に応じて、ミネラルカチオンを含む天然源からの水も使用することができる。一般的に、本発明の組成物は、約20%~約99%、好ましくは約30%~約95%、より好ましくは約70%~約90%の水を含む。
【0037】
シリコーン化合物
本発明の組成物は、シリコーン化合物を含有しても、しなくてもよい。シリコーン化合物は、乾燥した毛髪に滑らかさ及び柔らかさを与えることができると考えられる。本明細書のシリコーン化合物は、好ましくは組成物の約0.1重量%~約20重量%、より好ましくは約0.5重量%~約10重量%、更により好ましくは約1重量%~約8重量%のレベルで使用することができる。
【0038】
好ましくは、シリコーン化合物は、組成物中、約1マイクロメートル~約50マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0039】
本明細書で有用なシリコーン化合物は、単一化合物として、少なくとも2つのシリコーン化合物のブレンド若しくは混合物として、又は少なくとも1つのシリコーン化合物及び少なくとも1つの溶媒のブレンド若しくは混合物として、25℃において、好ましくは約1,000~約2,000,000mPa・sの粘度を有する。
【0040】
粘度は、Dow Corning Corporateの試験法CTM0004(1970年7月20日)に記載されているガラスキャピラリー粘度計により測定することができる。好適なシリコーン流体としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、アミノ置換シリコーン、四級化シリコーン、及びこれらの混合物が挙げられる。コンディショニング特性を有する他の不揮発性シリコーン化合物も使用することができる。
【0041】
好ましいポリアルキルシロキサンとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、及びポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。ジメチコーンとしても知られるポリジメチルシロキサンが、特に好ましい。これらのシリコーン化合物は、例えば、General Electric CompanyからそれらのViscasil(登録商標)及びTSF451シリーズで、及びDow CorningからそれらのDow Corning SH200シリーズで入手可能である。
【0042】
上記のポリアルキルシロキサンは、例えば、より低い粘度を有するシリコーン化合物との混合物として利用可能である。このような混合物は、好ましくは約1,000mPa・s~約100,000mPa・s、より好ましくは約5,000mPa・s~約50,000mPa・sの粘度を有する。このような混合物は、好ましくは、(i)25℃において約100,000mPa・s~約30,000,000mPa・s、好ましくは約100,000mPa・s~約20,000,000mPa・sの粘度を有する第1のシリコーンと、(ii)25℃において約5mPa・s~約10,000mPa・s、好ましくは約5mPa・s~約5,000mPa・sの粘度を有する第2のシリコーンと、を含む。本明細書で有用なこのような混合物としては、例えば、GE Toshibaから入手可能な18,000,000mPa・sの粘度を有するジメチコーンと、200mPa・sの粘度を有するジメチコーンとのブレンド、及びGE Toshibaから入手可能な18,000,000mPa・sの粘度を有するジメチコーンと、シクロペンタシロキサンとのブレンドが挙げられる。
【0043】
本明細書で有用なシリコーン化合物としてはまた、シリコーンゴムが挙げられる。「シリコーンゴム」という用語は、本明細書で使用するとき、25℃で1,000,000センチストーク以上の粘度を有するポリオルガノシロキサン物質を意味する。本明細書に記載されるシリコーンガムが、上に開示されたシリコーン化合物といくらか重複する場合もあり得ることが認識される。この重複は、これらの材料のいずれかを限定することを意図したものではない。「シリコーンゴム」は、典型的には、約200,000超、一般に約200,000~約1,000,000の質量分子量を有する。具体的な例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサンメチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサンジフェニルシロキサンメチルビニルシロキサン)コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。シリコーンゴムは、例えば、より低い粘度を有するシリコーン化合物との混合物として入手可能である。本明細書で有用なこのような混合物としては、例えば、Shin-Etsuから入手可能なゴム/シクロメチコーンブレンドが挙げられる。
【0044】
本明細書で有用なシリコーン化合物としてはまた、アミノ置換材料が挙げられる。好ましいアミノシリコーンとしては、例えば、一般式(I):
(R1)aG3-a-Si-(-OSiG2)n-(-OSiGb(R1)2-b)m-O-SiG3-a(R1)a
に適合するものが挙げられ、式中、Gは、水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC1~C8アルキル、好ましくはメチルであり、aは、0、又は1~3の値を有する整数、好ましくは1であり、bは、0、1、又は2、好ましくは1であり、nは、0~1,999の数であり、mは、0~1,999の整数であり、nとmとの合計は、1~2,000の数であり、aとmはいずれも0ではなく、R1は、一般式CqH2qLに適合する一価のラジカルであり、式中、qは、2~8の値を有する整数であり、Lは、-N(R2)CH2-CH2-N(R2)2、-N(R2)2、-N(R2)3A-、-N(R2)CH2-CH2-NR2H2A-、の基から選択され、R2は、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカル、好ましくは約C1~約C20のアルキルラジカルであり、A-は、ハロゲン化物イオンである。
【0045】
非常に好ましいアミノシリコーンは、式(I)(式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは、好ましくは約1500~約1700、より好ましくは約1600であり、Lは、-N(CH3)2又は-NH2、より好ましくは-NH2である)に対応するものである。別の非常に好ましいアミノシリコーンは、式(I)(式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは、好ましくは約400~約600、より好ましくは約500であり、Lは、-N(CH3)2又は-NH2、より好ましくは-NH2である)に対応するものである。シリコーン鎖の一端又は両端が窒素含有基によって終端されているため、このような非常に好ましいアミノシリコーンを末端アミノシリコーンと呼ぶことができる。
【0046】
上述のアミノシリコーンを組成物中に組み込む場合、より低い粘度を有する溶媒と混合することができる。このような溶媒としては、例えば、極性又は非極性の揮発性又は不揮発性油が挙げられる。このような油としては、例えば、シリコーン油、炭化水素、及びエステルが挙げられる。このような各種溶媒のうち、好ましいものは、非極性揮発性炭化水素、揮発性環状シリコーン、不揮発性直鎖シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである。本明細書で有用な不揮発性直鎖シリコーンは、25℃において、約1~約20,000センチストークス、好ましくは約20~約10,000センチストークスの粘度を有するものである。好ましい溶媒のうち、非常に好ましいものは、アミノシリコーンの粘度を低下させること、及び乾いた毛髪上における摩擦が低減するなどの改善されたヘアコンディショニング効果を提供することという観点から、非極性揮発性炭化水素、特に非極性で揮発性のイソパラフィンである。このような混合物は、好ましくは約1,000mPa・s~約100,000mPa・s、より好ましくは約5,000mPa・s~約50,000mPa・sの粘度を有する。
【0047】
他の好適なアルキルアミノ置換シリコーン化合物としては、シリコーン主鎖のペンダント基としてアルキルアミノ置換を有するものが挙げられる。非常に好ましいものは、「アモジメチコーン」として知られているものである。本明細書で有用な市販のアモジメチコーンとしては、例えば、Dow Corningから入手可能なBY16-872が挙げられる。いくつかの実施形態は、シリコーンクオタニウム-26を含み得る。
【0048】
シリコーン化合物は、エマルジョンの形態で本発明の組成物中に更に組みこむことができ、ここで、エマルジョンは、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される界面活性剤を用いて又は用いずに、機械的混合によって、又は乳化重合による合成段階で作られる。
【0049】
追加の成分
本発明の組成物は、他の追加成分を含んでもよく、これらは最終製品の所望の特性に応じて当業者が選択することができ、また組成物をより美容上若しくは審美上受け入れられるようにするために、又は組成物に更なる使用上の利点を与えるために好適である。このような他の追加成分は、概して、組成物の約0.001重量%~約10重量%、好ましくは最大約5重量%の濃度で個々に用いられる。
【0050】
多種多様な他の追加成分を本発明の組成物に配合することができる。これには、他のコンディショニング剤(例えば、Hormelから入手可能な商品名「Peptein 2000」の加水分解コラーゲン、Eisaiから入手可能な商品名「Emix-d」のビタミンE、Rocheから入手可能なパンテノール、Rocheから入手可能なパントテニルエチルエーテル、加水分解ケラチン、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素);防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びイミダゾリジニル尿素);pH調節剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム);着色剤(例えば、FD&C又はD&C染料のいずれか);香料、及び封鎖剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム);紫外線・赤外線遮断吸収剤(例えばベンゾフェノンなど)、及び抗ふけ剤(例えばジンクピリチオンなど)が挙げられる。
【0051】
低融点油
組成物は、1つ以上のコンディショニング油を含み得る。本明細書で有用な低融点油は、25℃未満の融点を有するものである。本明細書で有用な低融点油は、10~約40個の炭素原子を有する炭化水素;オレイルアルコールなどの約10~約30個の炭素原子を有する不飽和脂肪族アルコール;約10~約30個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸;脂肪酸誘導体;脂肪族アルコール誘導体;ペンタエリスリトールテトライソステアレートを含むペンタエリスリトールエステル油、トリメチロールエステル油、クエン酸エステル油、及びグリセリルエステル油などのエステル油;ポリデセンなどのポリα-オレフィン油;並びにこれらの混合物からなる群から選択される。追加の油としては、ポリエステル油、又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなどのトリグリセリドを含むモノ、ジ、トリエーテル若しくはエステル、又はヤシ油、大豆油、菜種油、ココアバター、オリーブ油、パーム油、米ぬか油などの植物油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、コンディショニング油は、約10未満の親水-親油バランス(HLB)を有し得る。いくつかの実施形態では、油は、モノマー単位がC2~C16、好ましくはC4~C10、又はより好ましくはC6~C8の炭素鎖を有する、モノ、ジ、又はトリエステル又はエーテルであり得る。いくつかの実施形態では、油は、C16よりも短い、好ましくはC12よりも短い炭素鎖を有する疎水性モノマー単位(直鎖又は分枝鎖)を有するポリエステルであり得る。市販の油の例としては、BASFからのMyritol318(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、BASFからのPlantasil Micro(エマルジョン形態のジカプリリルエーテル(ジカプリリルエーテル(及び)デシルグルコシド(及び)グリセリルオレアート));又はP2 scienceからのCitropol 1A(ポリシトロネロールアセテート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
製品形態
本発明のコンディショニング組成物は、リンスオフ(rinse-off)製品又はリーブオン(leave-on)製品の形態とすることができ、ペースト、クリーム、ゲル、エマルション、ムース、及びスプレーが挙げられるが、これらに限定されない、多種多様な製品形態で配合することができる。本発明のコンディショニング組成物は、リンスオフヘアコンディショナー又はノーリンスヘアコンディショナーに特に適している。
【0054】
使用方法
本発明のコンディショニング組成物は、毛髪をコンディショニングする方法に使用されることが好ましく、方法は以下の工程、
(i)毛髪をシャンプーした後、毛髪をコンディショニングするために有効量のコンディショニング組成物を毛髪に塗布する工程と、
(ii)必要に応じて、次いで毛髪をすすぐ工程と、
を含む。
【0055】
本明細書での有効量は、例えば、毛髪10gあたり約0.1mL~約2mL、好ましくは、毛髪10gあたり約0.2mL~約1.5mLである。
【0056】
本発明のコンディショニング組成物は、すすぎ前の湿潤コンディショニング効果を維持しながら、改善されたコンディショニング効果、特にすすぎ後の改善された湿潤コンディショニング効果及び改善された乾燥コンディショニングを提供する。本発明のコンディショニング組成物はまた、改善された製品の外観を消費者に提供し得る。したがって、本発明のコンディショニング組成物の低減された使用量は、従来のコンディショナー組成物の全使用量のものと同じレベルのコンディショニング効果を提供し得る。本明細書におけるそのような低減された使用量は、例えば、10gの毛髪あたり約0.3mL~約0.7mLである。
【0057】
製造方法
本発明はまた、以下のとおりであるヘアコンディショニング組成物の製造方法に関する。
【0058】
ヘアコンディショナー組成物を製造する方法であって、
第1の材料及び第2の材料を含む材料であって、
当該第1の材料が、少なくとも2つのアミン基を有し、pH6で約-2未満のAlogPを有し、pH6で少なくとも約160Å2(オングストローム)2の疎水性表面積を有し、
当該第2の材料が、少なくとも1つのC12~C22炭素鎖を含み、pH6で少なくとも約3.2のAlogPを有する、材料と、b.高融点脂肪族アルコールと、
c.水性キャリアと、を含み、
当該方法は、以下の工程、
a)当該第2の材料、当該脂肪族アルコール、及びこれらの混合物の融点の温度よりも高い温度(約80℃~90℃)である水を添加する工程と、
b)脂肪族アルコール及び当該第2の材料を添加する前に、当該第1の材料を熱水(約80℃~90℃)に添加する工程と、
c)当該第2の材料及び脂肪族アルコールを、それらの個々の融点のいずれよりも高い温度で組み合わせることによって均質なプレミックスを調製し、それを熱水(約80℃~90℃)に添加する工程と、
d)当該混合物を相転移温度未満に冷却して、ゲル構造を形成する工程と、を含む、方法。
【0059】
調製方法
水を約80℃~約90℃で調製する。調製した熱水に第1の材料を添加する。次いで、脂肪族アルコール及び第2の材料を調製した熱溶液中に添加し、分散した均質な混合物を約85℃で調製する。その後、撹拌しながら、混合物を40℃未満に冷却する。ゲル構造(相分離なし)が形成される。含まれている場合、組成物を室温まで冷却した後に撹拌しながら、シリコーン化合物、香料、防腐剤をゲル構造に添加する。
【0060】
本発明はまた、以下のようにヘアコンディショニング組成物を製造する第2の方法に関し、以下のとおりである。
a)第2の材料、脂肪族アルコール、及びこれらの混合物の融点の温度よりも高い温度である水を添加する。
b)脂肪族アルコールを添加し、均質に溶解及び分散するまで待機する。
c)当該第2の材料を添加し、均質に溶解及び分散するまで待機する。
d)第1の材料を添加し、均質に溶解及び分散するまで待機する。
e)混合物を相転移温度未満に冷却して、ゲルネットワークマトリックスを形成する。
f)少なくとも約4.5のpHを維持しながら、ゲルネットワークマトリックス形成の前又は後のいずれかで残りの成分を添加する。
【0061】
代替法は、第2の材料及び脂肪族アルコールを、それらの個々の融点のいずれよりも高い温度で組み合わせることによって均質なプレミックスを調製し、工程b)及びc)の代わりにそれを熱水(約80~90℃)に添加することであり得る。別の代替法は、脂肪族アルコール及び第2の材料を添加する前に、熱水(約80~90℃)中に第1の材料及び第2の材料を添加することであり得る。
【0062】
ヘアコンディショナー組成物を作製する更なる代替的な方法は、以下の工程、
a)第1の材料、脂肪族アルコール、及び第2の材料を組み合わせることによって固体形状材料を作製する工程と、b)次いで、a)を水性シャーシで組み合わせる工程と、を含み得る。
【0063】
方法は、含まれている場合、シリコーン若しくは油化合物、香料、防腐剤、審美剤などの追加成分をゲル構造に添加する工程を更に含み得る。本発明のコンディショニング組成物は、当技術分野で周知の任意の従来の方法によって調製することができる。
【0064】
冷却工程後の製造プロセス中の最終製品及び組成物のpHは、少なくとも4.5であり得る。
【実施例】
【0065】
以下の実施例では、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これらの実施例は、例示目的でのみ提供され、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。適用可能な場合には、成分を、化学名又はCTFA名で特定し、そうでない場合は、以下で定義する。
【0066】
表1は、非塩基性アミノ酸の第1の材料とC12脂肪酸の第2の材料とのゲル形成(実施例1、2)及び塩基性アミノ酸の第1の材料と非脂肪酸C18糖エステルの第2の材料とのゲル形成(実施例3)の結果を示す。例えば、グアニンとC12~18脂肪酸(比較例1及び2)及びヒドロキシエチル尿素とC18脂肪酸(比較例3)は相分離を示し、これはゲル構造/マトリックスが形成できないことを示す。
【0067】
【表3】
*約50/50の活性物質/水レベル分布を有する。
【0068】
表2:塩基性アミノ酸の第1の材料と非脂肪酸C18及びC12糖エステル並びにC18グリセリルエステルとのゲル形成の結果を示す(実施例4~7)。対照的に、ヒドロキシエチル尿素とC18グリセリルエステル(比較例4)及びグアニンとC12糖エステル(比較例5)は相分離を示し、これはゲル構造/マトリックスが形成できないことを示す。
【0069】
【表4】
*約50/50の活性物質/水レベル分布を有する。
【0070】
表3:第2の材料としての非脂肪酸C18糖エステル及びC18グリセリルエステルと第1の材料としての塩基性アミノ酸(リジン)(実施例8及び9)とのゲル形成の結果を示す。対照的に、第2の材料としてのドデシルグルコシドと非塩基性アミノ酸及び塩基性アミノ酸の第1の材料とは、相分離を示し(比較例6及び7)、第1の材料としてのヒドロキシエチル尿素とC18糖エステル尾部(比較例8)及びドデシルグルコシド尾部を有するグアニン頭部(比較例9)とは相分離を示し、これはゲル構造/マトリックスが形成できないことを示す。
【0071】
【表5】
*約50/50の活性物質/水レベル分布を有する。
【0072】
試験方法
1.製品安定性の視覚的評価
安定性は、製品が特定の期間にわたって一貫して安定であることを確実にするための視覚的評価である。製品の組成物を3つの異なる条件-5℃、25℃及び40℃に入れた。評価は、異なる間隔で行う。
1)製造時安定
2)1週間後安定
【0073】
製品安定性の記述試験:製品の視覚的評価が異なる間隔で安定している場合、それは安定であると述べられる。製品の視覚的評価が間隔のいずれかで相分離を示す場合、相分離として述べられる。
【0074】
2.一般的なコンディショニング官能法
これは、専門官能パネル試験法であり、3名の高度専門官能パネルを使用して、乾燥段階の毛髪処理中に特定の属性を評価する。毛髪処理のための処理プロトコルは以下のとおりである。
a.20gのヘアスイッチを水ですすぎ、水を上から下に1度絞り出す。
b.1mlのコンディショナーを前面に塗布し、1mlのコンディショナーを背面に塗布する。
c.ヘアスイッチ上に製品を30秒間、30ストロークたっぷり塗る。
d.15秒間前面及び15秒間背面をすすぎ、水を上から下に1度絞り出す。
【0075】
a.一晩放置して乾燥させる
この方法中に評価された官能属性は、実施例の表における「コンディショニング」として記載されている。パネリストは、湿潤時の広がり及び滑りに対する湿潤段階を評価し、乾燥段階中の乾燥滑らかさを評価し、「許容可能」又は「許容不可」のいずれか(コンディショニング感触として)を評価するように求められた。
【0076】
3.レオロジー法
・レオロジーを使用して、製品サンプルを評価し、特徴付ける。流動曲線を介した950s-1での剪断応力:これは、コーンプレート形状を使用して1分で剪断速度を0.1から1000s-1に対数的に上昇させ、剪断速度950s-1で剪断応力値σ(Pa)を読み取る方法である。
【0077】
剪断応力の許容可能なレオロジー範囲は、5Pa~1500Paである。
【0078】
4.ALogP:
分子の親水性又は疎水性について言及するのはオクタノール/水分配係数である。本明細書で使用するとき、AlogP」とは、活性物質のオクタノール-水分配係数の指標である。Ghose及びCrippenは、この原子ベースの方法を用いて、オクタノール-水分配係数(logP)、及び流入分子のモル屈折率(MR)を計算した。LogPが分子の疎水性の尺度を与えるのに対して、MRは分子体積及び分極率に関する情報を含んでいる。本明細書では、Pipeline Pilotソフトウェア(Biovia(商標))ver 9.2を使用してAlogPを計算する。
【0079】
5.疎水性表面積(HSA):
HSAは、分子における非極性原子の表面積を表し、これは分子の疎水性部分を理解するのに役立つ。
【0080】
計算手順:市販のPipeline Pilot Software(Dassault System製)を使用して、Marvin Sketchソフトウェアを使用したHLB値を除く全ての特性を計算した。
【0081】
実施例/組み合わせ
A.ヘアコンディショナー組成物であって、
第1の材料及び第2の材料を含み、
当該第1の材料が、少なくとも2つのアミン基を含み、pH6で約-2未満のAlogPを有し、pH6で少なくとも約160Å2(オングストローム)2の疎水性表面積を有し、
当該第2の材料が、少なくとも1つのC12~C22炭素鎖を含み、pH6で少なくとも約3.2のAlogPを有する、ヘアコンディショナー組成物に関する。
B.当該第2の材料が、脂肪酸、糖エステル、少なくとも1つの二重結合を有するグリセロールエステル及びエーテル、並びにサルフェートからなる群から選択される、段落Aに記載の組成物。
C.当該組成物が、脂肪族アルコールを更に含む、段落A又はBのいずれか1つに記載の組成物。
D.当該組成物が、水性キャリアを更に含む、段落A~Cのいずれか1つに記載の組成物。
E.当該組成物が、ゲル構造を有する、段落A~Dのいずれか1つに記載の組成物。F.当該組成物が、約6~約11のpHを有する、段落A~Eのいずれか1つに記載の組成物。
G.当該組成物が、8~38の範囲のHLBを有する、段落A~Fのいずれか1つに記載の組成物。
H.当該第2の材料が、ジステアリン酸スクロース、ジパルミチン酸スクロース、ジラウリン酸スクロース、パルミトレイン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、及びリノレン酸グリセリルからなる群から選択される、段落A~Gのいずれか1つに記載の組成物。
I.当該第1の材料が、カナバニン、リジン、オルニチン、アルギニン、シトルリン、メチルアルギニン、ラミニン、エタンイミドイルオルニチン、n-ジメチルアルギニン、ノルロイシン、アルギニンアミド、DMAPA、プロピルアルギニン、ヒスチジン、及び4-アミノフェニルアラニンからなる群から選択される、段落A~Hのいずれか1つに記載の組成物。
J.当該第1の材料が、カナバニン又はオルニチンである、段落A~Iのいずれか1つに記載の組成物。
K.当該組成物が、コンディショニング油を更に含む、段落A~Jのいずれか1つに記載の組成物。
L.当該コンディショニング油が、非シリコーンである、段落Kに記載の組成物。
M.当該コンディショニング油が、粒径が最大約500nmの予備形成されたエマルジョン形態である、段落Kに記載の組成物。
N.当該コンディショニング油が、約10未満のHLBを有する、段落Kに記載の組成物。
O.当該第1の材料がアルギニンであり、当該第2の材料がジステアリン酸スクロース又はモノオレイン酸グリセリルである、段落A~Nのいずれか1つに記載の組成物。
P.当該第1の材料がカナバニンであり、当該第2の材料がラウリン酸である、段落A~Oのいずれか1つに記載の組成物。
Q.当該第1の材料がヒスチジンであり、当該第2の材料が、モノオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸スクロース、及びジラウリン酸スクロースからなる群から選択される、段落A~Pのいずれか1つに記載の組成物。
R.当該第1の材料がリジンであり、当該第2の材料がモノオレイン酸グリセリル又はジステアリン酸スクロースである、段落A~Qのいずれか1つに記載の組成物。
S.当該第1の材料がDMAPAであり、当該第2の材料がラウリン酸である、段落A~Rのいずれか1つに記載の組成物。
T.当該ヘアコンディショナー組成物が、当該ヘアコンディショナー組成物の約0.01重量%~約15重量%の当該第1の材料を含み、当該ヘアコンディショナー組成物が、当該ヘアコンディショナー組成物の約0.01重量%~約15重量%の当該第2の材料を含む、段落A~Sのいずれか1つに記載の組成物。
【0082】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、別途指定のない限り、各このような寸法は、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0083】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるともみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせたときに、そのようないずれの発明も教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文献における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文献内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文献においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0084】
本発明の特定の実施形態を例解及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアコンディショナー組成物であって、
第1の材料及び第2の材料を含み、
前記第1の材料が、少なくとも2つのアミン基を含み、pH6で-2未満のAlogPを有し、pH6で少なくとも160Å
2(オングストローム)
2の疎水性表面積を有し、
前記第2の材料が、少なくとも1つのC12~C22炭素鎖を含み、pH6で少なくとも3.2のAlogPを有する、ヘアコンディショナー組成物。
【請求項2】
前記第2の材料が、脂肪酸、糖エステル、少なくとも1つの二重結合を有するグリセロールエステル及びエーテル、並びにサルフェートからなる群から選択される、請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項3】
前記組成物が、脂肪族アルコール及び水性キャリアを更に含み、前記組成物が、ゲル構造を有する、請求項1又は2に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項4】
前記組成物が、5~11のpHを有する、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項5】
前記組成物が、8~38の範囲のHLBを有する、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項6】
前記第2の材料が、ジステアリン酸スクロース、ジパルミチン酸スクロース、ジラウリン酸スクロース、パルミトレイン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、及びリノレン酸グリセリルからなる群から選択される、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項7】
前記第1の材料が、カナバニン、リジン、オルニチン、アルギニン、シトルリン、メチルアルギニン、ラミニン、エタンイミドイルオルニチン、n-ジメチルアルギニン、ノルロイシン、アルギニンアミド、DMAPA、プロピルアルギニン、ヒスチジン、及び4-アミノフェニルアラニンからなる群から選択される、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項8】
前記第1の材料が、カナバニン又はオルニチンである、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項9】
前記組成物が、コンディショニング油を更に含む、請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項10】
前記第1の材料がアルギニンであり、前記第2の材料がジステアリン酸スクロース又はモノオレイン酸グリセリルである、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項11】
前記第1の材料がカナバニンであり、前記第2の材料がラウリン酸である、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項12】
前記第1の材料がヒスチジンであり、前記第2の材料が、モノオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸スクロース、及びジラウリン酸スクロースからなる群から選択される、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項13】
前記第1の材料がリジンであり、前記第2の材料がモノオレイン酸グリセリル又はジステアリン酸スクロースである、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項14】
前記第1の材料がDMAPAであり、前記第2の材料がラウリン酸である、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【請求項15】
前記ヘアコンディショナー組成物が、前記ヘアコンディショナー組成物の0.01重量%~15重量%の前記第1の材料を含み、前記ヘアコンディショナー組成物が、前記ヘアコンディショナー組成物の0.01重量%~15重量%の前記第2の材料を含む、
請求項1に記載のヘアコンディショナー組成物。
【国際調査報告】