(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-27
(54)【発明の名称】三重陰性乳がんの予防または治療用薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/40 20060101AFI20241120BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241120BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241120BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20241120BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A61K31/40
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/704
A61K31/337
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535743
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 KR2022021693
(87)【国際公開番号】W WO2023128686
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192406
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508131716
【氏名又は名称】デウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DAEWOONG PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】35-14,Jeyakgongdan 4-gil,Hyangnam-eup,Hwaseong-si,Gyeonggi-do Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】クォン,アルム
(72)【発明者】
【氏名】イム,クォンジョ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジドク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジュンソク
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BC05
4C086EA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は本明細書の化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および化学療法剤を含む薬学的組成物を提供するもので、前記薬学的組成物は三重陰性乳がんの予防または治療に有用に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および
化学療法剤を含む、
三重陰性乳がんの予防または治療用薬学的組成物。
[化学式1]
【請求項2】
前記化学療法剤は、ドキソルビシンまたはドセタキセルである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および前記化学療法剤のモル比が5:1以上である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記化学療法剤はドキソルビシンであり、
前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、およびドキソルビシンのモル比が9.5:1以上11:1以下である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記化学療法剤はドセタキセルであり、
前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、およびドセタキセルのモル比が1000:1以上である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記三重陰性乳がんはV-ATPase過発現によることである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三重陰性乳がんの予防または治療に有用に使用することができる薬学的組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌は生活様式および環境的変化、高齢化などによって毎年発生が増加する疾病であって、国内では死亡原因1位に該当する。癌を征服するために1世代化学抗がん剤、2世代標的抗がん剤、そして3世代免疫抗がん剤に進化して治療剤選択の幅は広くなったが、絶えず抗がん剤耐性による治療効能阻害の問題が提起された。特に、ドキソルビシンなどの化学抗がん剤を活用した治療法はまだ臨床癌治療(乳房、膀胱、卵巣、肺、胃癌など)において優先視される接近方式として知られているが、癌細胞の内因性あるいは後天性多剤耐性の発生による抗がん剤効能低下が発生する。
【0003】
三重陰性乳がん(triple-negative breast cancer)はエストロゲン受容体(Estrogen Receptor、ER)、プロゲステロン受容体(Progesterone Receptor、PR)、表皮成長因子受容体(Human Epidermal growth factor Receptor 2、HER2)が全て陰性である乳がんで、既存の抗がん化学療法以外に治療剤が制限的である。そして、三重陰性乳がん患者は再発率が高くて新たな治療法が必要な状況である。また、抗がん剤耐性による治療効能阻害の問題が絶えず提起されている。乳がん治療のためのホルモン治療を適用することができない三重陰性乳がん患者に、臨床的状態と生物学的特性を考慮して細胞毒性抗がん剤単一療法を適用するか、または他の細胞毒性抗がん剤との併用療法、または標的治療剤との併用療法を適用している。ドキソルビシン(Doxorubicin)をはじめとするアントラサイクリン(anthracyclines)と、ドセタキセル(docetaxel)、パクリタキセル(paclitaxel)などのタキサン(taxanes)が単一薬剤でまたは他の薬剤と併用して現在まで最も効果的な細胞毒性抗がん剤として広く使用されてきた代表的薬剤と見ることができ、現在三重陰性乳がんの初期治療薬剤となっている。
【0004】
抗がん剤耐性を克服し遺伝子異質性の高い腫瘍を効果的に治療するために多様な併用療法が提示されている。このような接近方式を使用して急性リンパ性白血病およびホジキン(Hodgkin)リンパ腫のように致命率が高い癌の治療法を構想することができる。最近、三重陰性乳がん患者の化学抗がん治療法のうち、proton pump inhibitor(PPI)系薬物であるオメプラゾール(omeprazole)またはエソメプラゾール(esomeprazole)をAC-T(アドリアマイシン、シクロホスファミド、タキサン)治療前服用時、病理学的完全奏効率(pathologic complete response、pCR)の明確な改善効果があると報告された。このように既存の安定性が保障された薬物を活用した併用療法が持続的に研究されている。
【0005】
一方、フェクスプラザンは韓国特許登録番号第10-1613245号のプロトンポンプ抑制活性を有する4-メトキシピロール誘導体として開示されており、プロトンポンプ抑制活性を基盤にして胃損傷抑制活性および防御因子増強効果、優れたヘリコバクターピロリ(H.pylori)除菌活性などの効果があるのが知られている。
【0006】
よって、本発明者らは鋭意研究した結果、フェクスプラザンが特定化学療法剤と併用時、三重陰性乳がんの予防または治療に優れた効果を示すのを確認して本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、三重陰性乳がんの予防または治療に有用に使用することができる薬学的組成物を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、i)下記化学式1で表記される化合物 、またはその薬学的に許容可能な塩、およびii)化学療法剤を含む、三重陰性乳がんの予防または治療用薬学的組成物を提供する。
[化学式1]
前記化学式1で表される化合物は‘フェクスプラザン(Fexuprazan)’と命名された化合物であって、そのIUPAC名は1-(5-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-((3-フルオロフェニル)スルホニル)-4-メトキシ-1H-ピロール-3-イル)-N-メチルメタンアミンであり、韓国特許登録番号第10-1613245号に記載された物質である。
【0009】
前記化合物は本発明による薬学的組成物の薬理効果を示す活性成分であって、優れた抗-潰瘍活性(即ち、プロトンポンプ抑制活性など)およびヘリコバクターピロリ(H.pylori)除菌活性およびGPCR抑制作用を有することによって、胃腸管潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、またはヘリコバクターピロリによる胃腸管損傷の予防および治療に有用な物質である。また、前記化合物はもちろん、前記化合物の薬学的に許容可能な塩も本発明で使用することができる。
【0010】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物以外にもその薬学的に許容可能な塩を使用することができる。塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩のように、当業界で通常使用される塩を制限なく使用することができる。本発明の用語“薬学的に許容可能な塩”とは、患者に比較的に非毒性であり無害な有効作用を有する濃度としてこの塩に起因した副作用が化学式1で表される化合物の有益な効能を低下させない前記化合物の任意の全ての有機または無機付加塩を意味する。
【0011】
無機酸または有機酸を使用して通常の方法で薬学的に許容可能な塩を得ることができる。例えば、前記化学式1で表される化合物を水混和性有機溶媒、例えばアセトン、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルに溶解させ、有機酸または無機酸を加えて沈殿した結晶をろ過して製造、乾燥させて薬学的に許容可能な塩を得ることができる。または酸が付加された反応混合物から溶媒や過量の酸を減圧して、残渣を乾燥させて製造するか、または他の有機溶媒を加えて析出された塩をろ過して製造することができる。この時、好ましい塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、グリコール酸、ラクト酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはトルエンスルホン酸などから誘導された塩が挙げられる。
【0012】
本発明で化学療法剤は、前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩と共に使用されて三重陰性乳がんの予防または治療に使用されるもので、具体的に癌の治療のための化学物質として細胞毒性(cytotoxicity)を有している物質を意味する。本発明で使用することができる化学療法剤の一例として、ドキソルビシン(Doxorubicin)をはじめとするアントラサイクリン(anthracyclines)とドセタキセル(docetaxel)、パクリタキセル(paclitaxel)などのタキサン(taxanes)が存在する。
【0013】
本発明で予防または治療しようとする疾患は三重陰性乳がん(triple-negative breast cancer)であって、これはエストロゲン受容体(Estrogen Receptor、ER)、プロゲステロン受容体(Progesterone Receptor、PR)、表皮成長因子受容体(Human Epidermal growth factor Receptor 2、HER2)が全て陰性である乳がんを意味する。よって、既存の抗がん化学療法以外に治療剤が制限的であるが、本発明のように前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および化学療法剤を共に使用することによって、三重陰性乳がんの予防または治療が可能である。また、前記三重陰性乳がんはV-ATPase過発現によることであり得る。
【0014】
本発明の用語“予防”は本発明の組成物の投与で前記疾患の発生、拡散、および再発を抑制させるかまたは遅延させる全ての行為を意味し、“治療”は本発明の組成物の投与で前記疾患の症状が好転するかまたは有利に変更される全ての行為を意味する。
【0015】
好ましくは、前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および前記化学療法剤のモル比が5:1以上である。また、好ましくは、前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および前記化学療法剤のモル比が30:1以下である。
【0016】
より好ましくは、前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩(a)、および前記化学療法剤(b)のモル比(a:b)が6:1以上、7:1以上、8:1以上、9:1以上、または9.5:1以上であり、25:1以下、24:1以下、23:1以下、22:1以下、21:1以下、20:1以下、19:1以下、18:1以下、17:1以下、16:1以下、15:1以下、14:1以下、13:1以下、12:1以下、または11:1以下である。
【0017】
また、前記化学療法剤がドキソルビシンである場合、前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩(a)、およびドキソルビシン(b’)のモル比(a:b’)が9.5:1以上11:1以下であることが好ましい。
【0018】
また、前記化学療法剤がドセタキセルである場合、前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩(a)、およびドセタキセル(b”)のモル比(a:b”)が1000:1以上であることが好ましい。また、前記化学式1で表記される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、およびドセタキセルのモル比(a:b”)が100000:1以下であることが好ましい。
【0019】
本発明の薬学的組成物は、標準薬学的実施によって経口または非経口投与形態に剤形化することができる。これら剤形は、有効成分以外に薬学的に許容可能な担体、補助剤、または希釈液などの添加物を含有することができる。
【0020】
適当な担体としては例えば、生理食塩水、ポリエチレングリコール、エタノール、植物性オイル、およびイソプロピルミリステートなどがあり、希釈液としては例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、および/またはグリシンなどがあるが、これらに限定されるのではない。また、本発明の化合物は、注射溶液の製造に通常使用されるオイル、プロピレングリコール、または他の溶媒に溶解させることができる。また、局所作用のために本発明の化合物を軟膏やクリームとして剤形化することができる。
【0021】
本発明の組成物に含まれている有効成分(前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および化学療法剤)の好ましい投与量は患者の状態および体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路および期間によって異なるが、当業者によって適切に選択できる。しかし、好ましい効果のために、本発明の組成物に含まれている有効成分それぞれを1日0.0001~100mg/kg(体重)、好ましくは0.001~100mg/kg(体重)で投与することがよい。投与は1日1回または分割して経口または非経口的経路を通じて投与することができる。
【0022】
投与方法によって、前記薬学的組成物は前記有効成分を有効成分の総合計を基準にして0.001~99重量%、好ましくは0.01~60重量%含有することができる。
【0023】
本発明による薬学的組成物は、ネズミ、ハツカネズミ、家畜、および人間などをはじめとする哺乳動物に多様な経路で投与することができる。投与の全ての方式は予想することができ、例えば、経口、直腸、または静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜、または脳血管(intracerbroventricular)注射によって投与することができる。
【発明の効果】
【0024】
前述の本発明による薬学的組成物は、三重陰性乳がんの予防または治療に有用に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実験例1の結果を示したもので、ドキソルビシン併用投与を通じた抗腫瘍効能評価結果をグラフとして示したものである。
【
図2】本発明の実験例2の結果を示したもので、ドキソルビシンとの併用モル比による評価結果をグラフとして示したものである。
【
図3】本発明の実験例2の結果を示したもので、エソメプラゾールとの併用モル比による評価結果をグラフとして示したものである。
【
図4】本発明の実験例3の結果を示したもので、ドセタキセル併用投与による抗腫瘍効能評価をグラフとして示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。
【実施例】
【0027】
製造例
韓国特許出願番号第10-2016-0013588号の実施例8と同一の方法で、本発明の化学式1で表される化合物を製造し、以下“フェクスプラザン(Fexuprazan)”と命名した。
【0028】
分子量 446.87
1H-NMR(500MHz、MeOD):7.69(s、1H)、7.58-7.53(m、1H)、7.45(t、1H)、7.30(d、1H)、7.20-7.15(m、2H)、7.02-6.94(m、2H)、4.07(d、2H)、3.46(s、3H)、2.71(s、3H)
【0029】
一方、前記化合物と共に使用するための化学療法剤としては、ドキソルビシン、およびドセタキセルの商用製品を使用した。
【0030】
実験例1:ドキソルビシン併用投与を通じた抗腫瘍効能評価
フェクスプラザンとドキソルビシン(Doxorubicin)併用投与時、抗がん効能を確認するために、Hs578T(ヒト三重陰性乳がん細胞株)に対してCellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability(Promega、Catalog #G7571)方法で細胞増殖を測定した。前記評価法は、生きている細胞から流出するATPによってluciferase酵素が活性化されれば、luciferin基質と反応し、この時の酵素活性を測定してcell viabilityを確認する方法である。
【0031】
具体的には、細胞培養培地(RPMI medium、10% FBS、1% P/S、4.5g/L D-Glucose、2.383g/L HEPES Buffer、L-Glutamine、1.5g/L Sodium Bicarbonate、110mg/L Sodium pyruvate)100uLに各癌細胞株をwhite clear-bottom 96 well microplateに準備した。フェクスプラザン10uM、およびドキソルビシン1uMを、それぞれ単独および併用投与し、比較群としてボノプラザン(Vonoprazan)10uMを単独およびドキソルビシンと併用投与した。この時、各組成物の溶媒としては0.1% DMSOを使用した。また、vehicle controlは0.1% DMSOとした。各実験群は2回繰り返された。各濃度の化合物を処理したplateを37℃、5% CO2 incubatorに48時間培養し、luciferinを含有する基質水溶液100uL/wellをwhite clear-bottom 96 well microplateに添加して、酵素的反応を開始した。10分間暗い常温で反応させFlexstation3 multi-mode microplate readerを用いてluminescenceを測定した。CellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability説明書によって化学発光法によってATP量を代弁するluciferase酵素活性を測定し、阻害活性を計算した。各化合物の結果分析はマイクロソフトアクセルを使用し、グラフパッドプリズム(Graphpad Prism)ソフトウェアで化合物濃度をログ値に変換してグラフ上表記した。
【0032】
【0033】
上記表1および
図1から確認することができるように、フェクスプラザンは化学療法剤であるドキソルビシンと併用投与する時、単独投与に比べて優れた抗腫瘍効果があるのを確認することができる。
【0034】
また、ボノプラザンはドキソルビシンとシナジー効果が全くなく、これから一般的な胃酸分泌抑制剤またはP-CABであるとしても、ドキソルビシンと共に使用した時、シナジー効果が発生するかどうかを予測することができないということを確認することができる。
【0035】
実験例2:ドキソルビシンと最適併用モル比確認
ドキソルビシンに対するフェクスプラザンの最適併用比率を確認するために、実験例1と同様にCellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability(Promega、Catalog #G7571)方法で細胞増殖を測定した。Hs578T細胞株にドキソルビシン1uM単独投与群以外に、ドキソルビシン1μMとフェクスプラザンを0.1、0.5、1、5、10、15、20uMそれぞれを併用処理した実験群を比較し、Vehicle controlは0.1% DMSOとした。追加的に、エソメプラゾール(Esomeprazole)を同一な条件で処理してフェクスプラザンとの併用効果有無を比較した。37℃、5% CO2 incubatorに48時間培養し、CellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability説明書によって化学発光法によってATP量を代弁するluciferase酵素活性を測定し、本目的による化合物の阻害活性を計算した。各化合物の結果分析はマイクロソフトアクセルを使用し、グラフパッドプリズム(Graphpad Prism)ソフトウェアでunpaired t test検定を通じて有意性確認した。
【0036】
【0037】
上記表2および
図2および3から確認することができるように、エスオメプラゾールと化学療法剤の併用効果と比較して、ドキソルビシンとフェクスプラザンのモル比が1:5以上である時、シナジー効果があり、特に1:10以上で優れているのを確認することができた。
【0038】
実験例3:ドセタキセル併用投与および抗腫瘍効能評価
ドセタキセル(Docetaxel)とフェクスプラザンの併用可能性を確認するために、実験例1と同様にCellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability(Promega、Catalog #G7571)方法で単独および併用投与時細胞増殖程度を測定した。Hs578T(ヒト三重陰性乳がん細胞株)を96well clear bottom plateに培養した後、24時間安定化させた。以前実験結果を基にして導出したフェクスプラザンの併用最適濃度である10uMを使用し、これと共にドセタキセルの濃度をcell viability上細胞毒性有効容量である1nMおよび10nMになるようにそれぞれ細胞に処理した。比較のための実験群としてエソメプラゾールをフェクスプラザンと同一な10uMで処理し、vehicle controlは0.1% DMSOとした。37℃、5% CO2 incubatorに48時間培養した後、CellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability説明書によって化学発光法によってATP量を代弁するluciferase酵素活性を測定し、阻害活性を計算した。各結果分析はマイクロソフトアクセルを使用し、グラフパッドプリズム(Graphpad Prism)ソフトウェアでunpaired t test検定を通じて有意性確認した。
【0039】
【0040】
上記表3および
図4から確認することができるように、化学療法剤ドセタキセルについてもエソメプラゾールに比べて抗腫瘍効果に対するシナジーがあるのを確認することができる。
【国際調査報告】