(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】自己エネルギー取込式電力監視装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573034
(86)(22)【出願日】2023-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-26
(86)【国際出願番号】 CN2023115848
(87)【国際公開番号】W WO2024103903
(87)【国際公開日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】202211422765.5
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522299159
【氏名又は名称】雲南電網有限責任公司電力科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】譚向宇
(72)【発明者】
【氏名】李文雲
(72)【発明者】
【氏名】敖剛
(72)【発明者】
【氏名】徐肖偉
(72)【発明者】
【氏名】盧勇
(72)【発明者】
【氏名】唐立軍
(72)【発明者】
【氏名】張文斌
(72)【発明者】
【氏名】代維菊
(72)【発明者】
【氏名】焦宗寒
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA28
2G036BB20
(57)【要約】
本発明の実施例は、自己エネルギー取込式電力監視装置を開示し、電力システム送電線の
技術分野に属する。自己エネルギー取込式電力監視装置は、エネルギー取込コイル、電流
感知モジュールおよびプロセッサを備え、前記エネルギー取込コイルは前記電流感知モジ
ュールに接続され、前記電流感知モジュールは前記プロセッサに接続され、前記電流感知
モジュールは磁界感知モジュールを含み、前記磁界感知モジュールは、電力システム送電
線周囲の磁界環境、運転電流および故障電流を測定するために使用され、前記プロセッサ
は、前記電流感知モジュールによって収集された磁界および電流データを処理するために
使用される。本発明は、エネルギー取込コイルにより自己発電を実現し、その後電流感知
モジュールにより送電線周囲の磁界データおよび電流データを取得し、最後にプロセッサ
は前記磁界データおよび電流データに基づいて送電線周囲の電磁環境特性および故障電流
状況を生成する。これにより、人件費を効果的に削減し、運転保守員の作業量を軽減する
ことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー取込コイル、電流感知モジュールおよびプロセッサを備え、前記エネルギー取
込コイルは前記電流感知モジュールに接続され、前記電流感知モジュールは前記プロセッ
サに接続され、前記電流感知モジュールは磁界感知モジュールを含み、
前記磁界感知モジュールは、電力システム送電線周囲の磁界環境、運転電流および故障電
流を測定するために使用され、
前記プロセッサは、前記電流感知モジュールによって収集された磁界および電流データを
処理するために使用される、自己エネルギー取込式電力監視装置。
【請求項2】
前記電流感知モジュールは磁界センサアレイを含み、前記磁界センサアレイは複数のセン
サによって直交配置され、アレイプローブを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載
の自己エネルギー取込式電力監視装置。
【請求項3】
前記磁界センサアレイのアレイプローブが球面上の同じ円周上にあり、異なるセンサが送
電線から同じ距離にあることを保証する、ことを特徴とする請求項2に記載の自己エネル
ギー取込式電力監視装置。
【請求項4】
前記磁界感知モジュールは巨大磁気抵抗センサである、ことを特徴とする請求項1に記載
の自己エネルギー取込式電力監視装置。
【請求項5】
前記巨大磁気抵抗センサは感知測定チップを含み、送電線から0.5m、1m、2mおよ
び3mの距離で磁界強度を測定するために使用される、ことを特徴とする請求項4に記載
の自己エネルギー取込式電力監視装置。
【請求項6】
前記エネルギー取込コイルは、鉄心および鉄心に巻回された線材からなり、鉄心に巻回さ
れた線材の巻数および線径は3次元有限要素モデルによって決定される、ことを特徴とす
る請求項1に記載の自己エネルギー取込式電力監視装置。
【請求項7】
システム全体の電圧が高くなりすぎるのを防止するためのフロントエンド衝撃保護モジュ
ールをさらに備え、前記フロントエンド衝撃保護モジュールは前記エネルギー取込コイル
に接続され、前記フロントエンド衝撃保護モジュールは過渡電流抑制ダイオードを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の自己エネルギー取込式電力監視装置。
【請求項8】
直流電圧を出力するための整流フィルタモジュールをさらに備え、前記整流フィルタモジ
ュールは前記フロントエンド衝撃保護モジュールに接続され、前記整流フィルタモジュー
ルはチャージポンプ回路を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の自己エネルギー取込
式電力監視装置。
【請求項9】
通常運転時の電圧監視と電圧が高すぎる場合の過電圧保護のための過電圧保護・エネルギ
ー放出モジュールをさらに備え、前記過電圧保護・エネルギー放出モジュールは前記整流
フィルタモジュールに接続され、前記過電圧保護・エネルギー放出モジュールはサイリス
タ過電圧保護回路を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の自己エネルギー取込式電力
監視装置。
【請求項10】
電力を貯蔵し、エネルギー取込コイルが電力を供給できないとき、装置に電力を供給する
ためのエネルギー貯蔵モジュールをさらに備え、前記エネルギー貯蔵モジュールは、前記
過電圧保護・エネルギー放出モジュール、前記電流感知モジュール、前記整流フィルタモ
ジュールに接続され、前記エネルギー貯蔵モジュールはスーパーキャパシタを含む、こと
を特徴とする請求項9に記載の自己エネルギー取込式電力監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力システム送電線の技術分野に属し、特に、自己エネルギー取込式電力監視
装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線は電力システムの重要な部分であり、送電線の安全で安定した運転は電力システム
にとって非常に重要である。長い間、電力システムは安定した送電を確保するために、専
門の運転保守要員が送電線を検査することに頼ってきた。しかし、この方法では多くの人
手と物的資源を消費してしまう。自己エネルギー取込式技術を利用したオンライン検査シ
ステムを導入すれば、中断することなく電力システム送電線の運転状態を取得でき、運転
保守コストを節約し、電力システムの信頼性を向上させることができる。既存の自己エネ
ルギー取込式オンライン監視装置は、運転作業周波数電流の測定に注目し、故障電流およ
び電磁環境の測定にはあまり注意を払っていない。
【発明の概要】
【0003】
上記のような問題を鑑み、本発明は自己エネルギー取込式電力監視装置を提供し、送電線
に流れる運転電流、故障電流および磁界環境の多角的に監視することにより、電力システ
ムの運転状態を把握し、電力システムの各ノードのインテリジェントな感知を実現するこ
とができる。
本発明の技術的解決策は自己エネルギー取込式電力監視装置であり、エネルギー取込コイ
ル、電流感知モジュールおよびプロセッサを備え、前記エネルギー取込コイルは電流感知
モジュールに接続され、前記電流感知モジュールは前記プロセッサに接続され、前記電流
感知モジュールは磁界感知モジュールを含み、
前記磁界感知モジュールは、電力システム送電線周囲の磁界環境、運転電流および故障電
流を測定するために使用され、
前記プロセッサは、前記電流感知モジュールによって収集された磁界および電流データを
処理するために使用される。
好ましくは、前記電流感知モジュールは磁界センサアレイであり、前記磁界センサアレイ
は複数のセンサによって直交配置され、アレイプローブを形成する。
好ましくは、前記磁界センサアレイのアレイプローブが球面上の同じ円周上にあり、異な
るセンサが送電線から同じ距離にあることを保証する。
好ましくは、前記磁界感知モジュールは巨大磁気抵抗センサである。
好ましくは、前記巨大磁気抵抗センサは感知測定チップを含み、送電線から0.5m、1
m、2mおよび3mの距離で磁界強度を測定するために使用される。
好ましくは、前記エネルギー取込コイルは鉄心および鉄心に巻回された線材からなり、鉄
心に巻回された線材の巻数および線径は3次元有限要素モデルによって決定される。
好ましくは、前記自己エネルギー取込式電力監視装置は、システム全体の電圧が高すぎる
のを防止するためのフロントエンド衝撃保護モジュールをさらに備え、前記フロントエン
ド衝撃保護モジュールは前記エネルギー取込コイルに接続され、前記フロントエンド衝撃
保護モジュールは過渡電流抑制ダイオードを含む。
好ましくは、前記自己エネルギー取込式電力監視装置は、直流電圧を出力するための整流
フィルタモジュールをさらに備え、前記整流フィルタモジュールは前記フロントエンド衝
撃保護モジュールに接続され、前記整流フィルタモジュールはチャージポンプ回路を含む
。
好ましくは、前記自己エネルギー取込式電力監視装置は、通常運転時電圧を監視し、高す
ぎる電圧がセンサを破壊するのを防止し、電圧が高すぎる時過電圧保護を行うための過電
圧保護・エネルギー放出モジュールをさらに備え、前記過電圧保護・エネルギー放出モジ
ュールは前記整流フィルタモジュールに接続され、前記過電圧保護・エネルギー放出モジ
ュールはサイリスタ過電圧保護回路を含む。
好ましくは、前記自己エネルギー取込式電力監視装置は、電力を貯蔵し、エネルギー取込
コイルが電力を供給できないとき、装置に電力を供給するためのエネルギー貯蔵モジュー
ルをさらに備え、前記エネルギー貯蔵モジュールは前記過電圧保護・エネルギー放出モジ
ュール、前記電流感知モジュールに接続され、前記エネルギー貯蔵モジュールはスーパー
キャパシタを含む。
【発明の効果】
【0004】
本発明の実施例によれば、以下の有益な効果を有する。
本発明は、エネルギー取込コイルによって自己発電を実現し、その後電流感知モジュール
により送電線周囲の磁界データおよび電流データを取得し、最後に、プロセッサは前記磁
界データおよび電流データに基づいて送電線周囲の電磁環境特性および故障電流状況を生
成する。これによって、人件費を効果的に削減し、運転保守員の作業量を軽減することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明の実施例または先行技術における技術的解決策をより明確に説明するために、以下
、実施例または先行技術の説明において使用される必要のある添付図面を簡単に説明する
が、明らかに、以下で説明される添付図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者
であれば、創造的な労働をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることが
できる。
【
図1】一実施例における自己エネルギー取込式電力監視装置の構造概略図である。
【
図2】一実施例における自己エネルギー取込式電力監視装置の雷電流の典型的な曲線を示す概略図である。
【
図3】
図3aは、一実施例における自己エネルギー取込式電力監視装置のエネルギー取込コイルのシミュレーションを示す概略図である。
図3bは、一実施例における自己エネルギー取込式電力監視装置のエネルギー取込コイルを示す概略図である。
【
図4】
図4aは、一実施例におけるプッシュレスホイートストーンブリッジを使用する自己エネルギー取込式電力監視装置の電流感知モジュールの構造概略図である。
図4bは、一実施例における円形アレイ電流感知モジュールを使用する自己エネルギー取込式電力監視装置の電流感知モジュールの構造概略図である。
【
図5】一実施例におけるフロントエンド衝撃保護モジュールを含む自己エネルギー取込式電力監視装置の構造概略図である。
【
図6】一実施例におけるフロントエンド衝撃保護モジュールの回路概略図である。
【
図7】一実施例におけるフロントエンド衝撃保護モジュールおよび整流フィルタモジュールを含む自己エネルギー取込式電力監視装置の構造概略図である。
【
図8】一実施例における整流フィルタモジュールの回路概略図である。
【
図9】一実施例におけるフロントエンド衝撃保護モジュール、整流フィルタモジュールおよび過電圧保護・エネルギー放出モジュールを含む自己エネルギー取込式電力監視装置の構造概略図である。
【
図10】一実施例における過電圧保護・エネルギー放出モジュールの回路概略図である。
【
図11】一実施例におけるフロントエンド衝撃保護モジュール、整流フィルタモジュール、過電圧保護・エネルギー放出モジュールおよびエネルギー貯蔵モジュールを含む自己エネルギー取込式電力監視装置の構造概略図である。
【
図12】一実施例におけるスーパーキャパシタのモデル概略図である。以下、添付図面および実施例に関連して本発明をさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明の実施例における添付図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決
策を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に
過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者は創造的な労働を
することなく得られた他の実施例は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
図1は、一実施例における自己エネルギー取込式電力監視装置の構造概略図である。
図1
を参照すると、自己エネルギー取込式電力監視装置はエネルギー取込コイル、電流感知モ
ジュールおよびプロセッサを備え、エネルギー取込コイルは電流感知モジュールに接続さ
れ、電流感知モジュールはプロセッサに接続され、電流感知モジュールは磁界感知モジュ
ールを含む。
プロセッサは、電流感知モジュールによって収集された磁界および電流データを処理する
ために使用される。電流感知モジュールのデータに基づいて送電線周囲の電磁環境特性を
生成する。
いくつかの実施例では、エネルギー取込コイルは自己発電を実現するために使用される。
磁界感知モジュールは磁界センサからなり、電力システム送電線周囲の磁界環境を測定す
るために使用される。電力システム送電線周囲の電磁環境データを収集し、磁界センサの
内部チップによって、電力システム送電線周囲の磁界環境を取得する。
電流感知モジュールは磁界センサアレイからなり、電力システム送電線中の運転電流およ
び故障電流を測定するために使用される。磁界センサによって生成された電流データから
算出して運転電流および故障電流の大きさを測定する。
いくつかの実施例では、故障電流は雷電流を含む。雷電流の典型的な波形は
図2に示すよ
うに、雷電流周波数は0Hzから数百kHzの範囲に対応し、本実施例で採用する磁界セ
ンサは、0Hzから数MHzの電流によって発生する磁界を検出することができ、雷電流
の測定要件を満たす。本発明の自己エネルギー取込式電力監視装置を同一線路上の複数個
所に設置することにより、落雷事故の発生位置および発生確率を効果的に監視することが
でき、その後の電力網の計画や建設に参照を提供することができる。
いくつかの実施例では、故障電流は短絡電流をさらに含む。短絡電流は、送電線の短絡故
障に対応する大きな値の電流であり、本実施例で採用した電流感知モジュールは、内部の
磁界感知モジュールを通じて、0Hzから数MHzの電流によって発生する磁界を検出す
ることができ、短絡電流の測定要件を満たすことができる。本発明の自己エネルギー取込
式電力監視装置を同一線路の複数個所に設置することにより、故障発生するとき、現在位
置の電流状況を記録し、運転保守員が故障発生位置を特定するのを支援し、運転保守員の
作業效率を向上させ、運転保守コストを削減し、電力システムの信頼性を向上させること
ができる。
いくつかの実施例では、エネルギー取込コイルは、閉じた鉄心と鉄心に巻かれた線材から
なる。鉄心に巻かれた線材の巻数および線径はエネルギー伝達効果に影響を及ぼし、3次
元有限要素モデルを確立して最適な巻数および線径を決定し、その原理は
図3bに示され
る。
図3bにおいて、3次元有限要素モデルは図中のエネルギー取込効果に対する磁気コ
アの影響を得ることができ、磁気コアはエネルギー取込コイル内の磁束を1桁増加させる
。3次元有限要素モデルに基づくシミュレーション分析により、図中の線材の巻数および
断面接のエネルギー取込電力に対する影響を得ることができ、出力電力が2倍になるごと
に、線材重量が約50%増加する。
図3aはエネルギー取込コイルのシミュレーションを
示す概略図であり、図中のエネルギー取込コイル鉄心は図中の送電線周囲に取り付けられ
、図中の線材はエネルギー取込コイル鉄心に巻かれる。磁界誘導エネルギー取込により電
流感知モジュールおよびプロセッサに電力を供給する。
一実施例では、電流感知モジュールは磁界センサアレイを含み、磁界センサの統合により
電流感知モジュールの帯域が広く、作業周波数電流だけでなく、衝撃電流も測定すること
ができる。その原理は
図4aおよび
図4bに示される。
図4aはプッシュレスホイートス
トーンブリッジ構造を使用する電流感知モジュールであり、ブリッジ中の4つの抵抗R1
、R2、R3およびR4はいずれも同じ材料で作られ、温度構造特性が一致であり、温度
ドリフトおよびコモンモードの影響を抑制することができる。ブリッジ両端には安定した
電源電圧U0が入力され、ブリッジの出力端から磁界の大きさに比例する電圧信号が出力
される。
図4bの電流感知モジュールは円形アレイ電流感知モジュールであり、アレイ上
の磁界センサB1、B2、B3、B4……Bnを用いて電流によって発生する接線磁界成
分を測定することができる。各磁界センサの原器は同じ特性を持っており、送電線電流と
磁界センサの出力電圧間の関係は以下のとおりであり:
ここで、Iは送電線中の電流であり、Uは磁界センサから出力された総電圧であり、Kは
磁界センサの感度係数であり、Nはアレイ中の磁界センサの数であり、μ
0は真空透磁率
であり、rは磁界センサから送電線中心までの距離である。
一実施例では、磁界センサアレイは複数のセンサによって直交配置され、アレイプローブ
を形成する。磁界センサアレイは直交配置されて電流センサ広周波数測定を実現し、外部
電流による信号干渉を効果的に抑制することができる。
一実施例では、磁界センサアレイのアレイプローブが球面上の同じ円周上にあり、異なる
センサが送電線から同じ距離にあることを保証し、送電線中の電流および電磁環境の測定
における誤差を低減する。
一実施例では、磁界感知モジュールは巨大磁気抵抗センサである。巨大磁気抵抗センサの
性能パラメータは表1に示される。巨大磁気抵抗センサは、小型で感度が良く、磁界範囲
が広いという利点を有する。
表1 巨大磁気抵抗センサの性能パラメータ
一実施例では、巨大磁気抵抗センサは感知測定チップを含み、送電線から0.5m、1m
、2mおよび3mの距離で磁界強度を測定するために使用される。送電線の磁界環境を包
括的にカバーし、異なる位置のデータを取得することで、送電線の短絡故障に対応する大
きな値の故障電流監視を実現する。
図5は、一実施例におけるフロントエンド衝撃保護モジュールを含む自己エネルギー取込
式電力監視装置の構造概略図である。
図5を参照すると、自己エネルギー取込式電力監視
装置の構造はフロントエンド衝撃保護モジュールを含む。フロントエンド衝撃保護モジュ
ールはエネルギー取込コイルおよび電流感知モジュールに接続され、フロントエンド衝撃
保護モジュールは過渡電流抑制ダイオードを含む。
図6を参照すると、フロントエンド衝
撃保護モジュールの回路概略図である。過渡電流抑制ダイオードTVSは、エネルギー取
込コイルに誘導された高すぎる電圧を放出することができ、電圧サージに対する衝撃保護
を高め、システム全体が過電圧になることを防止することができる。
図7は、一実施例におけるフロントエンド衝撃保護モジュールおよび整流フィルタモジュ
ールを含む自己エネルギー取込式電力監視装置の構造概略図である。
図7を参照すると、
自己エネルギー取込式電力監視装置は、直流電圧を出力するための整流フィルタモジュー
ルをさらに備え、整流フィルタモジュールはフロントエンド衝撃保護モジュールに接続さ
れ、整流フィルタモジュールはチャージポンプ回路を含む。
図8を参照すると、整流フィ
ルタモジュールの回路概略図である。整流フィルタモジュールは整流ブリッジを含み、整
流ブリッジはエネルギー取込コイルに誘導された電流をフィルタリングし、リップルを低
減し、整流後の直流電流の品質を向上させ、電流センサおよびプロセッサの損傷を防止す
ることができる。
図9は、一実施例におけるフロントエンド衝撃保護モジュール、整流フィルタモジュール
および過電圧保護・エネルギー放出モジュールを含む自己エネルギー取込式電力監視装置
の構造概略図である。
図9を参照すると、自己エネルギー取込式電力監視装置は、過電圧
保護・エネルギー放出モジュールをさらに備え、電流感知モジュール中の磁界センサを保
護し、通常運転時電圧を監視し、高すぎる電圧がセンサを破壊するのを防止し、過電圧保
護・エネルギー放出モジュールは整流フィルタモジュールに接続され、過電圧保護・エネ
ルギー放出モジュールはサイリスタ過電圧保護回路を含む。
図10を参照すると、サイリ
スタ過電圧保護の回路概略図である。サイリスタ過電圧保護回路は、サイリスタ、例えば
図10中のMOS管Q3を含み、電圧が高すぎるとき閉じ、電流感知モジュールおよびプ
ロセッサを短絡させ、デバイスが過電圧によって焼損するのを防止することができる。サ
イリスタ過電圧保護回路は、高感度制御、高速応答、低損失という利点を有する。
図11は、一実施例におけるフロントエンド衝撃保護モジュール、整流フィルタモジュー
ル、過電圧保護・エネルギー放出モジュールおよびエネルギー貯蔵モジュールを含む自己
エネルギー取込式電力監視装置の構造概略図である。
図11を参照すると、自己エネルギ
ー取込式電力監視装置は、電力を貯蔵し、装置に電力を供給するためのエネルギー貯蔵モ
ジュールをさらに備え、エネルギー貯蔵モジュールは過電圧保護・エネルギー放出モジュ
ール、電流感知モジュール、整流フィルタモジュールに接続され、エネルギー貯蔵モジュ
ールはスーパーキャパシタを含み、
図12を参照すると、スーパーキャパシタのモデル概
略図であり、主にスーパーキャパシタCを含む。エネルギー貯蔵モジュールは、整流フィ
ルタモジュールによって整流された直流電流を貯蔵し、過電圧保護・エネルギー放出モジ
ュールによって装置にリアルタイムで電力を供給する。したがって、本発明は、電流感知
モジュールにより電力システム送電線周囲の磁界環境、運転電流および故障電流を測定し
、磁界データおよび電流データに基づいて送電線周囲の電磁環境を生成し、自己エネルギ
ー取込式技術により感知モジュールに電力を供給することで、中断のない監視を実現し、
送電線の運転状態の診断に参考を提供する。
図11を参照すると、自己エネルギー取込式電力監視装置の作業プロセスは以下のとおり
であり:自己エネルギー取込コイルが電流を取得した後、フロントエンド衝撃保護モジュ
ールを通過し、故障電流に遭遇したときに発生する高電圧を防止し、バックエンド装置全
体を保護し、その後整流フィルタモジュールにより高周波成分をフィルタリングし、元の
交流電流を直流電流に変換し、使用可能な電流を生成し、整流フィルタモジュールによっ
て整流された直流電流の一部がエネルギー貯蔵モジュールを通じてスーパーキャパシタに
貯蔵され、他の部分が過電圧保護・エネルギー放出モジュールを通過し、その後、電流感
知モジュール中の磁界感知モジュールおよびプロセッサに電力を供給する。過電圧保護・
エネルギー放出モジュールは、電圧が高すぎるとき過電圧保護に使用され、デバイスが過
電圧によって焼損されるのを防止することができる。
自己エネルギー取込コイルが電力を供給することができない場合、エネルギー貯蔵モジュ
ールは過電圧保護・エネルギー放出モジュールを通じて電流感知モジュールおよびプロセ
ッサに電力を供給し、システム運転を維持する。
以上の実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせることができ、説明を簡略化するために
、上記実施例における各技術的特徴のすべての組み合わせを説明しないが、これらの技術
的特徴の組み合わせが矛盾しない限り、本明細書の範囲内であるとみなされるべきである
。
以上の実施例は本出願のいくつかの実施形態をより具体的かつ詳細に説明したが、本出願
の範囲を限定するものとして理解されない。なお、当業者であれば、本出願の思想から逸
脱することなく加えられた多くの変形および改良は、すべて本出願の保護範囲に含まれる
。したがって、本出願の保護範囲は添付の特許請求の範囲に従うものとする。
【国際調査報告】