(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】気相流体を圧縮するための装置及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
F04C 29/12 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
F04C29/12 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578673
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 KR2022016331
(87)【国際公開番号】W WO2023120930
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021134500.6
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022126765.2
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アヤール,アイハン
(72)【発明者】
【氏名】フォンダーレン,ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】リュブスキー,アレックス
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA02
3H129AA15
3H129AB03
3H129BB49
3H129CC12
3H129CC53
3H129CC54
(57)【要約】
【課題】気相流体を圧縮する装置及び前記装置が最大の安全性をもって作動することで、前記装置の電気駆動動作が停止したときに、電気電圧が装置内部で発生することと、前記装置からモーター車両の電気システムに印加されることを防止することを目的とする。
【解決手段】本発明は、気相流体、特に冷媒回路、特に自動車の空調システムの冷媒を圧縮するための装置(1)に関し、装置(1)は、ハウジング(2)と、気相流体を圧縮するための圧縮機構(3)と、圧縮機構(3)を駆動するための電動モーター(4)とを備える。ハウジング(2)は、吸入圧チャンバー(11)と高圧チャンバー(12)を含む。
【選択図】
図1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相流体、特に冷媒を圧縮するための装置(1)は、前記気相流体を圧縮するための圧縮機構(3)と、前記圧縮機構(3)を駆動するための電動モーター(4)を含み、ハウジング(2)は、吸入圧チャンバー(11)と高圧チャンバー(12)を含んで形成され、バイパス流路(13)を貫通する前記流体の管流制御装置(14-1)が形成される、迂回流路(13)は、前記吸入圧チャンバー(11)と前記高圧チャンバー(12)を互いに流動接続させるように設計され、前記装置(14-1)は、前記吸入圧チャンバー(11)と前記高圧チャンバー(12)内の前記流体の対応する圧力レベルに応じて、前記流体が前記吸入圧チャンバー(11)から前記高圧チャンバー(12)への流動方向のみに流れるように前記迂回流路(13)を開放するように設計されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記管流制御装置(14-1)は、ラメラ(lamellar)バルブで設計されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記圧縮機構(3)は、固定スクロール(3a)と旋回スパイラル(3b)とを有し、前記固定スクロール(3a)と前記旋回スパイラル(3b)は、それぞれベースプレート(3a-2、3b-2)、前記ベースプレート(3a-2、3b-2)から延びる螺旋壁(3a-1、3b-1)を含んで形成され、前記螺旋壁(3a-1、3b-1)は互いに嵌合するように配置されて加工チャンバー(10)を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記バイパス流路(13)は、前記固定スクロール(3a)の内部または前記ハウジングの壁の内部、または前記ハウジングの外部に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記バイパス流路(13)は、前記固定スクロール(3a)の前記ベースプレート(3a-2)を貫通する貫通開口として設計されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ラメラバルブ型の前記管流制御装置(14-1)は、前記固定スクロール(3a)の前記ベースプレート(3a-2)の表面を支持するように、前記高圧チャンバー(12)に対向するように、そして、閉じた状態で前記バイパス流路(13)を閉鎖するように配置されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のうち何れかの一項に記載の装置。
【請求項7】
ラメラバルブ型の前記管流制御装置(14-1)は、ネック型接続領域(14-1c)を介して互いに接続された締結領域(14-1a)と閉鎖領域(14-1b)を有することを特徴とする請求項3乃至請求項5のうち何れかの一項に記載の装置。
【請求項8】
ラメラバルブ型の前記管流制御装置(14-1)とラメラバルブ型の少なくとも1つの出口バルブは、一体型ユニットを形成するために、前記締結領域(14-1a)を形成する第1の端部で互いに接続され、前記管流制御装置(14-1)と前記少なくとも1つの出口バルブは、共通の平面に向けて配向されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ラメラバルブ型の前記管流制御装置(14-1)は、第1端部において、前記締結領域(14-1a)を介して前記固定スクロール(3a)の前記ベースプレート(3a-2)に固定され、前記第1端部から末端に形成され、閉鎖領域(14-1b)を有する自由な第2端部を利用して前記バイパス流路(13)を閉鎖できるように配置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記接続領域(14-1c)は、実質的に円形の前記閉鎖領域(14-1c)の直径(D1)よりも小さい、一定の幅(B)を有する長さに渡って形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のうち何れかの一項に記載の装置。
【請求項11】
前記接続領域(14-1c)は、前記接続領域(14-1c)が円環状の断面で設計されるように一定の外径(R)を有することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記接続領域(14-1c)の前記外径(R)は、前記高圧チャンバー(12)に面する、前記固定スクロール(3a)の前記ベースプレート(3a-2)の表面から突出した円形のリング状上昇部(3a-3)の内径から、前記固定スクロール(3a)に対する前記管流制御装置(14-1)の相対運動のための間隔を差し引いた値に一致することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記管流制御装置(14-1)は、縦方向延長部(A)を有し、前記接続領域(14-1c)の前記幅(B)の前記縦方向延長部(A)に対する比率が0.1であることを特徴とする請求項10乃至請求項12のうち何れかの一項に記載の装置。
【請求項14】
前記管流制御装置(14-1)は、縦方向延長部(A)を有し、前記接続領域(14-1c)の半径(R)に対する前記縦方向延長部(A)の比率は、0.1乃至10の範囲に属する値であることを特徴とする請求項11乃至請求項13のうち何れかの一項に記載の装置。
【請求項15】
吸入圧チャンバー(11)と高圧チャンバー(12)を有するハウジング(2)と、前記吸入圧チャンバー(11)と前記高圧チャンバー(12)を互いに流路接続するバイパス流路(13)と、前記バイパス流路(13)を貫通する貫通流路制御装置(14-1)とを有する請求項1乃至請求項14のうち何れかの一項に記載の気相流体を圧縮するための装置(1)の操作方法であって、圧縮機モードで前記装置(1)の操作中に前記バイパス流路(13)を閉鎖するステップ、前記バイパス流路(13)を開放して、前記吸入圧チャンバー(11)から前記高圧チャンバー(12)内部への流体の流れ方向(15)に流体が貫通流動するようにするステップと、を含み、前記流体の前記流れ方向は、前記吸入圧チャンバー(11)及び前記高圧チャンバー(12)内部の前記流体の圧力レベルによって設定されることを特徴とする方法。
【請求項16】
車両の空調システムの冷媒回路における請求項1乃至請求項14のうち何れかの一項に記載の気相流体を圧縮するための装置(1)の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相流体を圧縮するための装置及びその操作方法に係り、より詳しくは、車両の空調システムで使用するための、気相流体、特に冷媒回路の冷媒を圧縮するための気相流体を圧縮するための装置及びその操作方法装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている車両用、特に車両の空調システム用として、冷媒回路を通じて冷媒を供給するための圧縮機は、冷媒圧縮機とも呼ばれ、冷媒に関係なく可変ストローク容積を有するピストン圧縮機、またはスクロール圧縮機として形成されることが多い。圧縮機はプーリーまたは電気的に駆動される。
【0003】
従来の電気駆動スクロール圧縮機は、ハウジング内に配置された電気モーター、電気モーターに機械的に接続された圧縮機構を含むように設計されている。
【0004】
スクロール圧縮機の圧縮機構は、ディスク状のベースプレート、ベースプレートから延びる螺旋壁を有する固定スクロール、ディスク状のベースプレートとベースプレートから延びる螺旋壁を有する旋回スクロールを有する。固定スクロールと旋回スクロールまたは旋回スパイラルと呼ばれる旋回スクロールは相互作用する。ベースプレートは、スパイラル壁が互いに一致するように互いに配置されている。スパイラル壁は、連続した閉じた加工チャンバーを形成する。
【0005】
固定スクロールの固定されたスパイラル壁の周りを旋回スクロールが旋回するように、旋回スクロールは駆動軸に接続された偏心を介して円形の経路で移動する。加工チャンバーは小さく形成され、流体は2つの重なり合ったスパイラル壁の対向運動によって圧縮される。圧縮されるべき気相流体は圧縮機構に吸い込まれ、圧縮機構内で圧縮され、排出口から排出される。
【0006】
電気モーターは、実質的に円筒形のステータコア、ステータコアに巻かれたコイル、ステータ内部に配置された回転子を有するステータを有する。回転子は、ステータ内部で回転軸に対して回転可能に同軸に配置され、ステータのコイルに電気エネルギーが印加されたとき、回転するように設定される。一方の側面に圧縮機構の旋回スクロールに接続され、水蒸気流体を圧縮するために旋回スクロールを駆動する駆動軸は、回転子と一体に形成されるか、または他方の側面に形成される電気モーターの分離された部材として設計される。
【0007】
電気モーターによって駆動される圧縮機構を用いて、動作の駆動終了後の特定の状況下で、例えば、意図したスイッチオフまたは特にイベントなどによる電気モーターへの電気エネルギー供給の意図しない中断により、電気モーターに望ましくない電気電圧が誘導されることが可能である。すると、電気モーターは一時的に発電機として動作する。
【0008】
電気モーターのスイッチがオフのとき、圧縮機モード動作から逸脱した動作の考えられる原因は、圧縮機構を運動させる、圧縮機構を貫通する流体によって引き起こされる。したがって、圧縮機構は電気モーターではなく、貫通する流体によって駆動される。圧縮機の圧縮機モードでの通常の運転中、特に車両の空調システムの流体、特に冷媒回路の冷媒は、圧縮機構を通過する間に、低圧レベルから高圧レベルに圧縮される。
【0009】
電気モーターのスイッチオフ時の圧縮機モード動作から逸脱した圧縮機の動作中に発生する冷媒の質量流量は、圧縮機を構成要素として含む冷媒回路から脱落した冷媒によって引き起こされる可能性がある。圧縮機を貫通する冷媒の質量流量は、圧縮機構、特に駆動軸に接続された旋回スクロールの動き、したがって、電気モーターのステータに対する磁気回転子の動きを引き起こす可能性がある。その結果、電気モーターのステータのコイル内部に電気電圧が誘導される可能性がある。このように設定された閾値を超える電圧誘導を防ぐために、空調システム全体、特に圧縮機を含む冷媒回路を保護する必要がある。
【0010】
電気駆動の側面に基づく解決策は、従来技術から知られており、電気モーターのスイッチオフ後の圧縮機構の動きによって引き起こされる電気モーターのコイル内電圧の誘導を防止または少なくとも制限し、圧縮機の動作安全性を高めることができる。しかしながら、このようなアクティブまたはパッシブ放電のための電気回路は、製造とメンテナンスに費用がかかり、検証と文書化のために多くの努力が必要である。
【0011】
特許文献1は、高圧冷媒を利用して作動するスクロールタイプの膨張装置を有する流動装置を開示している。冷媒は、車両エンジンの廃熱を利用して加熱される。流動装置はまた、電気エネルギーを生成するためのモータジェネレータを有する。モーター発電機は、膨張装置を利用して提供される回転力を利用して駆動され、モーター発電機の回転軸は、膨張装置の旋回スクロールに結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0254309号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、気相流体を圧縮する装置及び前記装置が最大の安全性をもって作動することにある。特に、前記装置の電気駆動動作が停止したときに、電気電圧が装置内部で発生することと、前記装置からモーター車両の電気システムに印加されることを防止することである。前記装置は、最小のスペース要件、コンポーネントの最小数を満たすシンプルな設計を有するように意図される。また、生産、維持、組立、操作のコストは最小限でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的は、独立項の特徴を持つ主題によって達成される。改善例は従属項に明示される。
【0015】
前記目的は、気相流体、特に冷媒回路の、特にモーター車両の空調システムの冷媒回路の冷媒を圧縮するための本発明による装置によって達成される。装置は、ハウジング、気相流体を圧縮するための圧縮機構、および圧縮機構を駆動するための電気モーターを有する。ハウジングは、吸入圧チャンバーと高圧チャンバーを含んで形成される。
【0016】
本発明の設計によれば、気相流体を圧縮するための装置は、バイパス流路と、バイパス流路を貫通する流体の貫通制御装置を有する。前記バイパス流路は、特に、吸入圧チャンバーと高圧チャンバーを互いに流体的に接続するためにのみ設計されている。流体の管流制御装置は、吸入圧チャンバモーターと高圧チャンバモーターの流体のそれぞれの圧力レベルに応じて、吸入圧チャンバモーターから高圧チャンバモーターへの流れ方向に流体が流れるように、迂回流路を開放するためだけに設計されている。流体迂回制御装置は、好ましくは、異なる圧力レベルと圧力レベル間の圧力差によってのみ機械的に作動する。
【0017】
したがって、気相流体を圧縮するための装置は、圧力依存的に元の吸引側から圧力側へのバイパス流路を開閉する。バイパス流路は、吸入圧チャンバー内の流体が高圧チャンバー内の圧力よりも高い圧力がある場合にのみ開放される。吸引チャンバー内の流体圧力が高圧チャンバー内の流体圧力と同じかそれ以下の場合、バイパス流路は閉じたままである。
【0018】
迂回流路を通る流体の管流制御装置は、バルブ、特に必要なときに吸入圧チャンバーから高圧チャンバーへの流体の流れ方向に迂回流路を開き、高圧チャンバーから吸入圧チャンバーへの流れ方向に迂回流路を常に閉じたまま維持される逆流防止バルブとして有利に設計される。
【0019】
気相流体圧縮装置は、好ましくは電気駆動冷媒圧縮機として設計される。
【0020】
本発明の変形例によれば、気相流体圧縮装置の圧縮機構は、スクロール圧縮機の構成要素として固定ねじと旋回スパイラルを含む。固定または移動不可能なネジと旋回スパイラルは、それぞれベースプレートとベースプレートから延びるネジ付き壁で設計されている。壁は互いに咬合して配置され、加工チャンバーを形成する。
【0021】
圧縮機構を通る流体の流動方向は、備えられた構成要素を利用して特定の方向、特に吸引側から圧力側に流動させることは制限される。圧力側の圧力が吸引側の圧力より高いとき、圧縮機構を通じて流体の管流を反対方向に流動させることは防止される。
【0022】
本発明によれば、電気モーターは、固定子と回転子を有し、回転子は固定子内に配置される。ステータは、電磁場を生成するためにコイルを含むように設計されており、回転子を駆動する役割を果たし、特に、ステータ内部で同軸方向に、回転軸に対して回転可能に配置されている。
【0023】
回転子は駆動軸を有するか、または駆動軸に接続することができ、駆動軸は回転軸に対して回転可能に配置される。また、駆動軸は、好ましくはスクロール圧縮機の圧縮機構の旋回スパイラルに機械的に接続される。
【0024】
バイパス流路は、気相流体圧縮装置の内部または外部の適切な場所、装置の高圧領域と低圧領域の両側に近い場所に形成することができる。
【0025】
本発明によれば、バイパス流路は、固定スクロール内部、ハウジングの壁の内部、またはハウジングの外側に形成される。バイパス流路がスクロール圧縮機の圧縮機構の固定スクロール内に配置される場合、バイパス流路は、特に固定スクロールのベースプレートを貫通する貫通開口として設計される。
【0026】
迂回流路を貫通する流体の管流制御装置は、バルブやラメラなどの圧力依存的な開放機構のうち任意のタイプで設計することができる。
【0027】
本発明によれば、バイパス流路を貫通する流体の貫流を制御する装置は、ラメラバルブで設計されている。
【0028】
閉じた状態では、ラメラバルブは、高圧チャンバーに面した固定スクロールのベースプレートの表面を支え、バイパス流路を閉じることができる。
【0029】
流体の管流制御のためのラメラバルブ型装置は、好ましくは、ネック型接続領域を介して互いに接続された締結領域と閉鎖領域を有する。ラメラバルブ型装置と同様に、ラメラバルブ型の少なくとも1つの出口バルブは、一体型ユニットを形成するために締結領域を形成する第1の端部で互いに接続することができる。ラメラバルブ型装置と少なくとも1つの出口バルブは、好ましくは、共通の平面に向けて配向されている。
【0030】
本発明によれば、管流制御のためのラメラバルブ型装置は、締結領域が第1端部で固定ネジのベースプレートで固定される。管流制御装置は、第1端部から末端に形成され、閉鎖領域を有する自由な第2端部を利用して迂回流路を閉鎖できるように配置される。
【0031】
管流制御装置の接続領域は実質的に円形の閉鎖領域の直径よりも小さい一定の幅を有する長さに渡って形成されるのが有利である。接続領域は、接続領域が円形リング型の断面で設計されるように、一定の外径を有することができる。
【0032】
接続領域の外径は、好ましくは、高圧チャンバーに面する、固定スクロールのベースプレートの表面から突出する円環状上昇部の内径から、固定スクロールに対して相対運動をするための間隔を差し引いた値に一致する。
【0033】
管流制御装置の長手方向延長部に対する接続領域の幅の比率は、0.1が有利である。管流制御装置の接続領域の半径に対する縦方向延長部の比率は、特に0.1から10の範囲内の値を有する。
【0034】
別の実施形態によれば、流体の管流制御装置は、閉鎖部材とばね部材を有する。ばね部材は、閉塞部材にばね力を印加してバイパス流を閉塞するように配向されている。閉鎖部材は、半球形または円形の切頭円錐形形状を有することができる。スプリング部材は、円筒形スパイラルスプリングまたはスプリングプレートで設計することができる。
【0035】
また、本発明の目的は、本発明に係る吸入圧チャンバーと高圧チャンバーを含むハウジング、吸入圧チャンバーと高圧チャンバーを相互に流動接続するバイパス流路と、バイパス流路を貫通する流体の管流制御装置を含む気相流体圧縮装置の操作方法によって達成される。前記方法は、以下のステップを有する
【0036】
-圧縮機モードで前記気相流体圧縮装置の運転中にバイパス流路を閉鎖するステップ、および
【0037】
- 吸入圧チャンバーから高圧チャンバー内部への流動方向に流体が貫通流動するように迂回流路を開放する段階
【0038】
流体の流れ方向は、常に吸入圧チャンバーと高圧チャンバー内の流体の圧力レベルによって設定される。
【0039】
この方法は、作動的に停止した圧縮機構が意図せず動いたり、圧縮機構を貫通する流体によって作動したりしないことを保証する。流体は、圧縮機構の代わりに少なくとも部分的にバイパス流路を通って流れるので、圧縮機構、特に旋回スパイラルは回転するように設定されておらず、回転するように設定されている場合、駆動軸を介して電気モーターの回転子に伝達され、ステータのコイルに望ましくない高電圧を誘導する可能性がある。移動するように設計された回転子を介して電気モータモーターのステータのコイルに望ましくない高電圧が誘導されないように、少なくとも少量の流体の質量流が圧縮機構を貫通して流れる。
【0040】
特に、最小スペース要件のコンポーネントの最小数に関して、本発明の有利な実施形態は、モーター車両の空調システムの冷媒回路内の気相流体圧縮装置の使用を可能にする。
【0041】
気相流体圧縮装置は、R134a、R1234yf、R1234ze、R744、R600a、R290、R152a、R32などのさまざまな冷媒に有利に使用できる。
【0042】
要約すると、本発明による気相流体圧縮装置は、製造、組み立て、操作に最小限のコストを要するシンプルな設計で構成するのが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明の実施形態の詳細、特徴および利点は、次の好ましい実施形態の説明に記載されている。図面は以下の通りである。
【0044】
【
図1a】吸入圧チャンバーと高圧チャンバーの間にバイパス流路を有する圧縮機構を駆動するための装置としての電気モータモーターを有する電気駆動圧縮機の断面を示す。
【
図1b】
図1aの圧縮機の圧縮機構の詳細断面である。
【
図2a】第1の代替実施形態による管流制御装置を有する吸入圧チャンバーと高圧チャンバーの間に形成された圧縮機構の固定スクロールのベースプレート内に形成されたバイパス流路の断面図である。
【
図2b】
図2aに係る第1の代替実施形態の管流制御装置の上部から見た様子を示す図である。
【
図2c】
図2aに係る第1の代替実施形態の管流制御装置の上部から見た様子を示す図である。
【
図2d】
図2cによる実施例による管流制御装置を有する吸入圧チャンバーと高圧チャンバーの間に形成された迂回流路の断面図である。
【
図3a】管流制御装置を有する圧縮機構の固定ねじのベースプレート内部に形成された迂回流路の上部から見た詳細図である。
【
図3b】
図2aによる管流制御装置を有する圧縮機構の固定スクロールのベースプレート内部に形成された迂回流路の開閉状態を示す詳細断面図である。
【
図3c】
図2aによる管流制御装置を有する圧縮機構の固定スクロールのベースプレート内部に形成された迂回流路の開閉状態を示す詳細断面図である。
【
図4】第2の代替実施形態による管流制御装置を貫通した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1aは、気相流体である冷媒を吸引、圧縮、排出するための圧縮機構(3)を駆動するための装置として、ハウジング(2)に配置された電動モータ(4)を含む、気相流体を圧縮するための電気駆動装置(1)の断面を示しており、前記装置は、以下、圧縮機(1)と命名する。電気モーター(4)は、電気エネルギーを供給する。
図1bは、
図1aの圧縮機1の圧縮機構(3)の詳細断面を示す図である。
【0046】
電気モーター(4)は、実質的に中空円筒形のステータコアと、ステータコアに巻かれたコイルと、ステータ(4b)の内部に配置された回転子(4a)を有するステータ(4b)を有する。回転子(4a)は、固定子(4b)のコイルに電気エネルギーが供給されると回転するように設定される。回転子(4a)は、固定子(4b)内部に同軸で、回転軸(5)に対して回転可能に配置される。駆動軸(6)は、回転子(4a)と一体的に形成されるか、または別部材として形成することができる。
【0047】
電動モーター(4)、および固定スクロール(3a)、旋回スパイラル(3b)を含む形成された圧縮機構は、ハウジング(2)によって囲まれた体積内に配置される。ハウジング(2)は、圧縮機構(3)を収容するための第1のハウジング部材(2a)と、好ましくは金属、特にアルミニウムで形成された、電動モーター(4)を収容するための第2のハウジング部材(2b)とを含む。
【0048】
蒸気流体、特に冷媒が圧縮される圧縮機構(3)の旋回スパイラル(3b)は、電動モーター(4)の回転子(4a)に接続された駆動軸(6)を介して駆動される。
【0049】
固定スクロール(3a)と旋回スパイラル(3b)は、それぞれベースプレート(3a-2、3b-2)、ベースプレート(3a-2、3b-2)から延びる螺旋壁(3a-1、3b-1)を有する。ベースプレート(3a-2、3b-2)は、螺旋壁(3a-1、3b-1)が互いに一致するように、互いに相対的に配置される。固定スクロール(3a)は、ハウジング(2)内に形成されているか、ハウジングの一部として形成されている。旋回スパイラル(3b)は、偏心部(7)を介して回転軸に対して回転する駆動軸(6)に結合され、円形経路上に案内される。駆動軸(6)は、ラジアルベアリング(8a、8b)を用いてハウジング(2)に支持されている。旋回スパイラル(3b)は、駆動軸(6)、特に偏心部(7)の上部にあるラジアルベアリング(9)を介して保持されている。
【0050】
旋回スパイラル(3b)が固定スクロール(3a)に対して相対運動するとき、固定スクロール(3a)、旋回スパイラル(3b)の螺旋壁(3a-1、3b-1)は、複数の点で互いに接触し、螺旋壁(3a-1、3b-1)内に連続した閉じた加工チャンバー(10)を形成し、隣接して配置された加工チャンバー(10)は、それぞれ異なるサイズの体積の範囲を定める。固定スクロール(3a)に対して旋回スパイラル(3b)が相対運動をした結果、加工チャンバー(10)の体積と位置は変化する。加工チャンバー(10)の体積は、螺旋壁(3a-1、3b-1)の中心部に向かって徐々に小さくなる。
【0051】
圧縮されるべき気相流体、特に気体状の冷媒は、吸入圧チャンバー(11)とも呼ばれる吸引チャンバーを通過し、冷媒の圧力により加工空間(10)に吸引され、固定スクロール(3a)に対する相対運動により圧縮され、冷媒の圧力により高圧チャンバー(12)とも呼ばれる排出チャンバー内に放出される。冷媒回路の高圧レベルでは、高圧チャンバー(12)に存在する冷媒は圧縮機(1)の外部に送られ、冷媒回路の内部に送られる。
バイパス流路(13)は固定スクロール(3a)の内部に設けられている。バイパス流路(13)は、貫通開口部として設計されており、圧縮機(1)の吸気チャンバー(11)を高圧チャンバー(12)に接続するために、固定スクロール(3a)のベースプレート(3a-2)を貫通して延びている。圧縮機モードでの圧縮機(1)の運転、およびそれによる圧縮機(1)の通常の運転中、
図1aおよび
図1bに示すように、バイパス流路(13)は、バイパス流制御装置(14-1)によって閉鎖される。
【0052】
管流制御装置(14-1)は、バルブ、特に吸入圧チャンバー(11)から高圧チャンバー(12)への1つの流体流動方向にのみ流体がバイパス流路(13)を貫通流動させるようにし、高圧チャンバー(12)から吸入圧チャンバー(11)内部への逆流方向への流体流動を防止する逆流防止バルブとして設計された。吸入圧チャンバー(11)から高圧チャンバー(12)へのバイパス流路(13)を貫通する流れの間、装置(14-1)は開放されている。特に、圧縮機モードで圧縮機(1)が作動している間、吸入圧チャンバー(11)から高圧チャンバー(12)へのバイパス流路(13)を貫通する流れは不可能である。
【0053】
図2aは、第1の代替実施形態に係る管流制御装置(14-1)を有する、吸入圧チャンバー(11)と高圧チャンバー(12)との間に形成された圧縮機構(3)の固定スクロール(3a)のベースプレート(3a-2)の内部に形成された迂回流路(13)の断面を示す。
図2b及び
図2cは、それぞれ
図2aに係る第1の代替実施形態の管流制御装置(14-1)を上方から見た様子を示している。
図2dは、さらに、
図2cによる実施例の管流制御装置(14-1)を有する、吸入圧チャンバー(11)と高圧チャンバー(12)との間に形成された迂回流路(13)の断面を示す。
【0054】
ラメラバルブタイプの装置(14-1)は、高圧チャンバー(12)に面した固定スクロール(3a)のベースプレート(3a-2)の表面上部に配置され、バイパス流路(13)を閉じる。圧縮機モードで圧縮機(1)が作動している間、逆流防止バルブとして機能するラメラバルブは、高圧(HP)レベルで加工チャンバー(10)から排出され、高圧チャンバー(12)に向かう圧縮された流体が吸入圧チャンバー(11)内に逆流するのを防ぐ。高圧チャンバ(12)に面する端部領域では、バイパス流路(13)は軸方向、特に回転軸(5)の方向に配向した閉じた開口部(13-1)に設計されている。
【0055】
穴あきプレート型に設計された装置(14-1)は、指のような形状を有し、締結領域(14-1a)とも呼ばれる第1端部の領域内で、固定スクロール(3a)、特に圧縮機構(3)の固定スクロール(3a)のベースプレート(3a-2)に固定される。プレートは、表面が高圧チャンバー(12)に面した状態でベースプレート(3a-2)を支持し、締結領域(14-1a)内でベースプレート(3a-2)に固定される。第1の端部から末端に形成された第2の端部において、装置(14-1)は、貫通開口の形で、バイパス流路(13)の端部を閉鎖するための閉鎖領域(14-1b)を有する。装置(14-1)の端部は、ネック型接続領域(14-1c)を介して互いに接続されている。接続領域(14-1c)は、実質的に円形の閉鎖領域(14-1b)よりも小さい幅で設計されているため、装置(14-1)は上部から見るとスプーン型の形状を有する。
【0056】
接続領域(14-1c)は、長さ方向に一定の幅(B)と一定の半径(R)で設計されており、したがって、装置(14-1)の接続装置(14-1c)は、円形のリングの断面で設計されている。接続領域(14-1c)の外径(R)は、固定スクロール(3a)の円形のリング状の上昇部(3a-3)の内径と実質的に一致する。上昇部(3a-3)は、高圧チャンバ(12)に面するベースプレート(3a-2)の表面から突出し、内側に面する側面の直径(D4)を有する壁として設計されている。装置(14-1)を動かすための間隔は、接続領域(14-1c)の外径(R)と上昇部(3a-3)の内径または内径(D4)の間に設けられる。
【0057】
図2bの実施例による装置(14-1)は、単一部材として設計されており、
図2cの実施例による装置(14-1)は、締結領域(14-1a)で、例えば同様にラメラで設計された出口バルブなどの他のバルブに接続されている。バルブと装置(14-1)は、一体型コンポーネントまたは複合材料とも呼ばれる結合コンポーネントとして設計されている。
【0058】
図2cおよび
図2dは、一実施形態において、ベースプレート(3a-2)に形成されたバイパス流路(13)とバイパス流路(13)を閉鎖する装置(14-1)の寸法の比率を示している。他の実施形態によれば、前記比率は、0.1~10の範囲で、様々な要因によって変化する可能性がある。
【0059】
装置(14-1)の閉鎖領域(14-1b)の直径(D1)と軸方向に配向したバイパス流路(13)の閉鎖開口部(13-1)の直径(D2)との第1の比は、1.25~1.75の範囲に属し、装置(14-1)のシール機能を保証する。
【0060】
迂回流路(13)の流路径(D3)の迂回流路(13)の長さ(L)に対する第2の比率は0.25より大きい。したがって、流体が迂回流路(13)を貫通して流れることにより、圧縮機(1)の圧縮機構(3)を回転させることなく、圧縮機(1)の圧縮機構(3)を回転させることなく、吸入圧チャンバー(11)内の圧力を低下させることが可能である。
【0061】
バイパス流路(13)の閉鎖開口部(13-1)のバイパス流路(13)の流路直径(D3)に対する第3の比率は、1.05から2.1の範囲内である。閉鎖開口部(13-1)なしで軸方向に延びるバイパス流路(13)を有する代替実施形態では、装置(14-1)の閉鎖領域(14-1b)の直径(D1)とバイパス流路(13)の流路直径(D3)との比は、1.25から1.75の範囲内である。また、バイパス流路(13)の流路径(D3)のバイパス流路(13)の長さ(L)に対する第2の比率は、0.25より大きい。
【0062】
装置(14-1)の長手方向延長部(A)は、固定スクロール(3a)のベースプレート(3a-2)内のバイパス流路(13)の位置に依存する。接続領域(14-1c)の幅(B)は、長手方向延長部(A)に対して0.1の比率を有する。装置(14-1)は、直径(D4)に対して0.5の比率を有する半径(R)の曲率を有する。他の実施形態では、装置(14-1)の長手方向延長部(A)と半径(R)の比率は、0.1~10の範囲にある。特に、装置(14-1)が接続領域(14-1c)で直線に設計され、無限大の半径(R)を有する場合、直径(D4)に対する半径(R)の比率は、0.3~無限の範囲にある。
【0063】
装置(14-1)の代替的な直線設計において、接続領域(14-1c)の幅(B)の長手方向延長部(A)に対する比率は、好ましくは0.2である。
【0064】
高圧チャンバー(12)内の圧縮された冷媒は高圧(HP)レベルに該当し、吸入圧チャンバー(11)とバイパス流路(13)内の冷媒は吸入状態で低圧(LP)状態にあるので、ラメラ型装置(14-1)は圧力差によりベースプレート(3a-2)表面に加圧される。高圧(HP)レベルでの圧力は低圧(LP)レベルの圧力より大きい。
【0065】
図3aは、装置(14-1)を有する圧縮機構(3)の固定スクロール(3a)のベースプレート(3a-2)内部に形成された迂回流路(13)の上部から見た詳細図を示した。
図3b及び3cは、それぞれ
図2aによる管流制御装置(14-1)を有する圧縮機構(3)の固定スクロール(3a)のベースプレート(3a-2)内部に形成された迂回流路の開放及び閉鎖状態を示した詳細断面図である。
【0066】
図3bは、圧縮機モードでの圧縮機(1)の動作と
図2aの装置(14-1)の配置を示す概略図である。高圧(HP)レベルの高圧チャンバー(12)内で圧縮された冷媒は、ベースプレート(3a-2)の表面に対してラメラバルブ型装置(14-1)を加圧し、このようにしてバイパス流路(13)を閉鎖する。冷媒は、高圧チャンバー(12)からバイパス流路(13)を通して、内部冷媒が低圧(LP)レベルの吸入圧チャンバー(11)に逆流するのを防ぐ。
【0067】
図3cは、電動モータ(4)がオフであり、冷媒がバイパス流路(13)を貫通した流れ方向(15)に質量流動している状態で、圧縮機モードにある圧縮機(1)の動作から外れた動作を示している。バイパス流路(13)は開放されている。装置(14-1)は、固定スクロール(3a)のベースプレート(3a-2)の表面から離間している。固定スクロール(3a)のベースプレート(3a-2)の表面と装置(14-1)の間には、開放された隙間が形成される。
【0068】
圧縮機モードでの圧縮機(1)の動作とは対照的に、吸入圧力チャンバー(11)内の冷媒は高圧チャンバー(12)内の冷媒よりも高い圧力を持ち、そのため、冷媒はラメラバルブ装置(14-1)をベースプレート(3a-2)の表面から押し出し、このようにしてバイパス流路(13)を開く。それぞれの異なる圧力レベルにより、冷媒はバイパス流路(13)を通過し、吸入圧チャンバー(11)から高圧チャンバー(12)に流れ込む。
【0069】
このような圧縮機(1)内の圧力状況は、例えば意図的なスイッチのオフ、特に事故による意図しない電気モーター(4)への電気エネルギー供給の中断により、例えば電気モーター(4)の動作が停止した場合に発生する可能性がある。電気モータ(4)の回転子(4a)が駆動され、圧縮機構(3)によって固定子(4b)の内部で動かされるとき、そしてこれにより電気電圧が固定子(4b)のコイルに誘導され、モーター車両の電気システムに電圧が印加されるようになる、例えば圧縮機モードでの圧縮機(1)の動作時、そして、圧縮機構(3)の駆動過程において、圧縮機構(3)を完全に貫通する冷媒の流れを防止するために、冷媒の質量流の少なくとも一部が流れ方向(15)バイパス流路(13)を貫通した流れ方向(15)に、結果として圧縮機構(3)の周辺に方向転換される。これにより、電気モータ(4)の固定子(4b)のコイルに誘導される電圧が特定の閾値を超えることを防止する。
【0070】
バイパス流路(13)は、圧縮機(1)の内部または外部の適切な箇所に形成され、吸気チャンバー(11)を高圧チャンバー(12)に接続する。バイパス流路(13)は、開閉のために、バルブまたはラメラ型などの任意のタイプの圧力依存型開放機構を有することができる。
【0071】
図4は、圧縮機モードにある圧縮機(1)の運転過程中の第2の代替実施例による管流制御装置(14-2)の断面図である。逆流防止弁で設計された装置(14-2)は閉鎖される。高圧チャンバー(12)内の冷媒圧力は、吸気チャンバー(11)内の冷媒圧力よりも大きい。
【0072】
装置(14-2)は、ボール状の閉鎖部材(16)とばね部材(17)を有する。ばね部材(17)は、円筒形スパイラルばねで設計されている。バイパス流路(13)は、ボール状の閉鎖部材(16)を介して閉鎖される。ばね部材(17)のばね力は、閉塞部材(16)の上部に作用して、バイパス流路(13)を閉塞する。
【0073】
高圧チャンバー(12)内部の冷媒圧力レベルに対して相対的に吸入圧チャンバー(11)内部の冷媒の圧力レベルが上昇するとき、閉鎖部材(16)は、スプリング部材(17)によるばね力によって反対方向である高圧チャンバー(12)方向に加圧される。閉鎖部材(16)は、冷媒が高圧チャンバー(12)の方向に迂回流路(13)を貫通できるように、迂回流路(13)を塞がない。吸入圧チャンバー(11)内の冷媒の圧力レベルが高圧チャンバー(12)内の冷媒の圧力レベルに対して相対的に低すぎるとき、閉鎖部材(16)は、バイパス流路(13)を閉鎖するために、バイパス流路(13)に形成された突出部に対して吸入圧チャンバ(11)の方向にスプリング部材(17)によって加圧される。例えば、バイパス流路(13)は、ハウジング(2)の壁内、または固定スクロール(3a)のベースプレート(3a-2)など、吸入圧チャンバー(11)と高圧チャンバー(12)との間に配置された別の構成要素の内部に形成することができる。
【0074】
あるいは、閉鎖部材は、切頭円錐形の形状を有することもできる。切頭円錐形の閉鎖部材は、底面と上面を含む、特に、円錐形の断面を有し、底面と上面は互いに平行である。閉鎖状態で、閉鎖部材の傾斜した側面は、バイパス流路(13)に形成された突出部を支持する。ばね部材(17)が印加するばね力は、閉鎖状態で迂回流路(13)に形成された突出部に対して側面が対比された状態で閉鎖部材の底面上に作用する。
【0075】
また、スプリング部材は、円筒形スパイラルスプリングの代わりにスプリングプレートで設計することもできる。スプリングプレートは、ボール状の閉鎖部材(16)と切頭円錐形の閉鎖部材の両方と組み合わせることができる。
【0076】
バイパス流路(13)を貫通する管流制御装置は、逆流防止弁の任意の形態で設計することもできる。
【符号の説明】
【0077】
1 ギヤ、圧縮機
2 ハウジング
2a 第1ハウジング部材
2b 第2ハウジング部材
3圧縮機構3a固定スクロール
3a-1 固定スクロール(3a)の壁面
3a-2 固定スクロール(3a)のベースプレート
3a-3 固定スクロール(3a)の上昇部
3b旋回スパイラル
3b-1 旋回スパイラル(3b)の壁
3b-2 旋回スパイラル(3b)のベースプレート
4 電気モーター
4a 回転子
4b 固定子
5 回転軸
6 ドライブシャフト
7 偏心
8a, 8b ハウジング(2)上部の駆動軸(6)のラジアルベアリング
9 駆動軸(6)上部の旋回スクロール(3b)のラジアルベアリング
10 加工チャンバー
11 吸入圧チャンバー
12 高圧チャンバー
13 迂回道路
13-1 閉鎖開口
14-1, 14-2 管流制御装置
14-1a 締結領域
14-1b 閉鎖領域
14-1c 接続領域
15 流れ方向
16 閉鎖部材
17 バネ部材
HP 高圧
LP 低圧
A 縦方向延長部
B 接続領域(14-1c)の幅
D1 閉鎖領域(14-1b)の直径
D2 閉鎖開口(13-1)の直径
D3 迂回流路(13)の流路径
D4 上昇部(3a-3)の直径
L 迂回路(13)の長さ
R 半径
【国際調査報告】