(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】周波数選択性迷彩材料のための製品および方法
(51)【国際特許分類】
F41H 3/00 20060101AFI20241121BHJP
H01Q 17/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F41H3/00
H01Q17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515617
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 SE2022050924
(87)【国際公開番号】W WO2023068984
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508167634
【氏名又は名称】サーブ エービー
【氏名又は名称原語表記】SAAB AB
【住所又は居所原語表記】581 88 Linkoping Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】イェルスブラッド, ヨハン
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020EA04
5J020EA05
5J020EA09
(57)【要約】
本開示は、バッキング(110)および導電性材料(120)を含む周波数選択性迷彩材料(100)に関する。導電性材料(120)は、前記バッキング(110)上にパターニングされて導電性材料(120)の複数の領域を形成し、導電性材料(120)の各領域は、パターニングされた導電性材料(120)の他の領域から電気的に絶縁される。パターニングされた導電性材料(120)の各領域は、5mm~300mmの範囲の直径を有する。前記迷彩材料(100)は、200MHz未満の周波数を有する電磁放射に対して少なくとも60%の透過率を有し、8~20GHzの範囲の周波数を有する電磁放射に対して最大40%の透過率を有する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッキング(110)および導電性材料(120)を含む周波数選択性迷彩材料(100)であって、
前記導電性材料(120)が、前記バッキング(110)上にパターニングされて導電性材料(120)の複数の領域を形成し、導電性材料(120)の各領域が、パターニングされた導電性材料(120)の他の領域から電気的に絶縁されていることと、
パターニングされた導電性材料(120)の各領域が、5mm~300mmの範囲の直径を有することと、
前記迷彩材料(100)が、200MHz未満の周波数を有する電磁放射に対して少なくとも60%の透過率を有し、および8~20GHzの範囲の周波数を有する電磁放射に対して最大40%の透過率を有することと
により特徴付けられている、迷彩材料(100)。
【請求項2】
前記領域が、20mm~300mmの範囲の直径を有する、請求項1に記載の迷彩材料(100)。
【請求項3】
前記導電性材料(120)が、繰り返しパターンでパターニングされ、前記繰り返しパターンが、前記バッキング(110)の片側の表面の少なくとも80%に適用されている、請求項1または2に記載の迷彩材料(100)。
【請求項4】
前記導電性材料(120)が、カーボンブラック、金属および/またはグラフェンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の迷彩材料(100)。
【請求項5】
パターニングされた導電性材料(120)の領域が、三角形、長方形、六角形、および/または十字形である、請求項1~4のいずれか一項に記載の迷彩材料(100)。
【請求項6】
パターニングされた導電性材料(120)の前記領域が、絶縁材料(250)および/または自由空間によって分離された、パターニングされた導電性材料の重複領域(120、120’)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の迷彩材料(100)。
【請求項7】
導電性材料(120)でパターニングされた前記バッキング(110)上に配置された着色表面層(230)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の迷彩材料(100)。
【請求項8】
ガーニッシュ層(240)を含み、前記ガーニッシュ層(240)が、前記バッキング(110)から少なくとも部分的に延出するように構造化されており且つ配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の迷彩材料(100)。
【請求項9】
400MHz未満の電磁周波数に対して少なくとも80%の透過率を有し、および/または6~40GHzの範囲の電磁周波数に対して最大30%の透過率を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の迷彩材料(100)。
【請求項10】
周波数選択性迷彩材料(100)を製造するための方法(300)であって、
バッキング(110)を得るステップ(310)と、
前記バッキング(110)上の導電性材料(120)の複数の領域をパターニングするステップ(320)と
を含み、導電性材料(120)の各領域が、パターニングされた導電性材料(120)の他の領域から電気的に絶縁され、
パターニングされた導電性材料(120)の各領域が、5mm~300mmの範囲の直径を有し、かつ
前記迷彩材料(100)が、200MHz未満の周波数を有する電磁放射に対して少なくとも60%の透過率を有し、および8~20GHzの範囲の周波数を有する電磁放射に対して最大40%の透過率を有する、方法(300)。
【請求項11】
前記バッキング(110)の前記複数の領域を導電性材料(120)でパターニングするステップ(320)が、繰り返しパターンをパターニングする工程を含み、かつ前記繰り返しパターンが、前記バッキング(110)の片側の表面積の少なくとも80%を覆う、請求項10に記載の方法(300)。
【請求項12】
前記バッキング(110)の複数の領域を導電性材料(120)でパターニングするステップ(320)が、スクリーン印刷を利用する工程を含む、請求項10または11に記載の方法(300)。
【請求項13】
導電性材料(120)でパターニングされた前記バッキング(110)を表面処理するステップ(330)を含み、表面処理するステップ(330)が、パターニングされた導電性材料(120)の前記領域の間の少なくとも一部において、前記バッキング(110)の領域を着色する工程を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項14】
導電性材料(120)でパターニングされた前記バッキング(110)をガーニッシュするステップ(340)を含み、ガーニッシュするステップ(340)が、構造化ガーニッシュ層(240)を追加する工程および/または前記バッキング(110)を切開する工程を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項15】
前記バッキング(110)上の導電性材料(120)の複数の領域をパターニングするステップ(320)が、
パターニングされた導電性材料(120)の重複領域をパターニングする工程と、
絶縁材料(250)および/または自由空間を利用して重複領域を分離する工程と、
を含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、迷彩材料に関する。
【背景】
【0002】
迷彩システムは、典型的には、センサシステムまたは肉眼による検出を回避するために車両および機器に適用される。電磁放射と相互作用するように配置構成された迷彩システムで通信機器を覆う場合、電磁信号を送信および受信する能力が前記迷彩システムによって妨害される場合があるため、問題が生じる場合がある。この状況はまた、通信機器の近くで迷彩システムが使用されるときに不注意にも起こる場合がある。通信の妨害を回避するために、アンテナなどの通信機器のいくつかの部品は、多くの場合、迷彩カバーの下から突出するように配置されるか、または少なくとも部分的に別の場所に移動される。
【0003】
国際公開第2019045625号には、レーダ吸収層を備える移動式迷彩システムが記載されている。
【0004】
国際公開第2009017520号には、レーダ迷彩布地が記載されている。
【概要】
【0005】
本発明の1つの目的は、覆われた通信機器が効果的に機能することを可能にしながら効果的なレーダ迷彩を提供する迷彩システムを提供することであり、これは、ローパスフィルタとして機能するように配置された、パターニングされた一体化導電性材料を有する迷彩材料を提供することによって達成される。
【0006】
これは、本開示によれば、バッキングおよび導電性材料を含む周波数選択性迷彩材料によって達成されている。導電性材料は、前記バッキング上にパターニングされて、導電性材料の複数の領域を形成する。導電性材料の各領域は、パターニングされた導電性材料の他の領域から電気的に絶縁されている。前記迷彩材料は、200MHz未満の周波数を有する電磁放射に対して少なくとも60%の透過率を有し、8~20GHzの範囲の周波数を有する電磁放射に対して最大40%の透過率を有する。
【0007】
これは、迷彩材料に周波数選択特性を提供し、低周波数(通信周波数)での高い透過率および高周波数(レーダ監視周波数)での低い透過率を可能にするという利点を有する。典型的には、合成開口レーダなどの軍事システムで使用される偵察レーダは、8~18GHzの範囲の周波数で動作するが、通信機器システムは、典型的には、600MHz未満の周波数を使用する。
【0008】
バッキングという用語は、ポリマーシートまたはキャンバスなどの可撓性層に関する。典型的には、バッキングは、実質的に平坦であり、迷彩材料の構造的完全性を提供し、迷彩材料の外向きの側面から最も遠くに配置された層である。
【0009】
迷彩材料のいくつかの例では、前記領域は、20mm~300mmの範囲の直径を有する。
【0010】
これは、20mmの波長を有する電磁放射が約15GHzに対応し、300mmの波長が約1GHzに対応するので、典型的なパターン導電性材料の領域が典型的なレーダ信号と比較的強く相互作用し、典型的な通信信号と比較的弱く相互作用することを可能にするという利点を有する。
【0011】
パターニングされた導電性材料の領域の直径という用語は、パターニングされた導電性材料の領域の2つの部分間の最大距離である。例えば、正方形は、その辺の長さの√2倍の直径を有する。
【0012】
「Xmm~Ymmの範囲の直径を有する領域」という表現は、パターニングされた導電性材料の前記複数の領域の各領域の直径に関することを理解されたい。
【0013】
迷彩材料のいくつかの例では、導電性材料は、繰り返しパターンでパターニングされ、前記繰り返しパターンは、前記バッキングの片側の表面の少なくとも80%に適用されている。
【0014】
迷彩材料のいくつかの例では、パターニングされた導電性材料の領域は、三角形、正方形、長方形、六角形、および/または十字形である。
【0015】
これは、電気絶縁に必要な間隔を除いてパターン内に隙間がないように、バッキング上に同じ領域形状をモザイク状に敷きつめる処理(tessellation、テッセレーション)を行うことを可能にするという利点を有する。
【0016】
迷彩材料のいくつかの例では、パターニングされた導電性材料の前記領域は、絶縁材料および/または自由空間によって分離されたパターニングされた導電性材料の重複領域を含む。
【0017】
これは、パターニングされた導電性材料の追加の層を追加することによって透過率を低下させることを可能にするという利点を有する。これは、各層内の領域間の間隔に起因する透過率の不均一性を緩和するという利点をさらに有する。
【0018】
迷彩材料のいくつかの例では、導電性材料でパターニングされたバッキング上に配置された着色表面層を含む。
【0019】
これは、迷彩材料が同じ視覚的および赤外線的外観を有することを可能にするという利点を有する。これは、パターニングされた導電性材料を保護するという利点をさらに有する。
【0020】
迷彩材料のいくつかの例では、装飾(garnish、ガーニッシュ)層を含み、ガーニッシュ層は、バッキングから少なくとも部分的に延出するように構造化されており且つ配置されている。
【0021】
これは、視覚的および赤外線検出の回避をガーニッシュ層によって処理することを可能にし、レーダ検出の回避をパターニングされた導電性材料によって処理することを可能にするという利点を有する。これは、迷彩材料が構造化された葉(leaf、リーフ)状の表面を有することを可能にするという利点をさらに有する。
【0022】
本開示はさらに、周波数選択性迷彩材料を製造するための方法に関する。本方法は、バッキングを得るステップと、前記バッキング上に導電性材料の複数の領域をパターニングするステップとを含む。導電性材料の各領域は、パターニングされた導電性材料の他の領域から電気的に絶縁される。前記迷彩材料は、200MHz未満の周波数を有する電磁放射に対して少なくとも60%の透過率を有し、8~20GHzの範囲の周波数を有する電磁放射に対して最大40%の透過率を有する。
【0023】
これは、低周波数(通信周波数)での高い透過率および高周波数(レーダ周波数)での低い透過率のために構成された周波数選択性迷彩材料を製造することを可能にするという利点を有する。
【0024】
方法のいくつかの例では、導電性材料で前記バッキングの複数の領域をパターニングするステップは、スクリーン印刷を利用する工程を含む。
【0025】
これは、領域ごとに大量の導電性材料を印刷することを可能にするという利点を有する。これは、テッセレーションされた領域の大規模な印刷を実行することを可能にするという利点をさらに有する。
【0026】
方法のいくつかの例では、導電性材料でパターニングされた前記バッキングを表面処理するステップを含み、表面処理するステップは、パターニングされた導電性材料の前記領域の間の少なくとも一部において、前記バッキングの領域を着色する工程を含む。
【0027】
これは、物理的保護を提供する表面層および難燃剤の添加を可能にするという利点を有する。
【0028】
方法のいくつかの例では、導電性材料でパターニングされた前記バッキングを装飾(garnish、ガーニッシュ)するステップを含み、ガーニッシュするステップは、構造化ガーニッシュ層を追加する工程、および/またはバッキングを切開する工程を含む。
【0029】
これは、迷彩材料の構造化されたリーフ状の表面を提供するという利点を有する。
【0030】
方法のいくつかの例では、前記バッキング上の導電性材料の複数の領域をパターニングするステップは、パターニングされた導電性材料の重複領域をパターニングする工程と、絶縁材料および/または自由空間を利用して重複領域を分離する工程とを含む。
【0031】
これは、パターニングされた導電性材料の追加の層を追加することによって透過率を低下させることを可能にするという利点を有する。これは、各層内の領域間の間隔に起因する透過率の不均一性を緩和するという利点をさらに有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1a】
図1aは、周波数選択性迷彩材料を概略的に示す図である。
【
図1b】
図1bは、周波数選択性迷彩材料を概略的に示す図である。
【
図2a】
図2aは、周波数選択性迷彩材料を概略的に示す図である。
【
図2b】
図2bは、周波数選択性迷彩材料を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、周波数選択性迷彩材料を製造するための方法を概略的に示す図である。
【詳細な説明】
【0033】
図面を通して、同じ参照番号は、同じ部分、概念、および/または要素を指す。したがって、1つの図の参照番号に関して述べられることは、特に明記されない限り、他の図の同じ参照番号にも同様に良好に適用される。
【0034】
図1a~
図1bは、例示的な周波数選択性迷彩材料100を概略的に示す。
図1aは、複数の領域にパターニングされた導電性材料120を含む前記迷彩材料100の片側を示す。
図1bは、前記パターニングされた導電性材料120を通って移動する電磁放射130、140の表現を有する前記迷彩材料100の側面図を示す。
図1a~
図1bは、迷彩材料100、および電磁放射との相互作用を説明することを目的としていることに留意されたい。図示された厚さ、パターン形状、および領域と可視化された電磁放射の波長との間のサイズ関係は、縮尺通りではない場合がある。
【0035】
図1aは、バッキング110およびパターニングされた導電性材料(CM)120を含む迷彩材料100を示す。パターニングされた導電性材料120は、バッキング110上の複数の領域上にパターニングされ、パターニングされた導電性材料120の前記複数の領域はそれぞれ互いに電気的に絶縁される。典型的には、バッキング110は構造化および/または多孔質であり、それによってパターニングされた導電性材料120は前記バッキング110(図示せず)に浸透する場合がある。
【0036】
バッキングという用語は、ポリマーシートまたはキャンバスなどの可撓性層に関する。典型的には、バッキングは、実質的に平坦であり、迷彩材料100の構造的完全性を提供し、迷彩材料100の外向きの側面から最も遠くに配置された層である。
【0037】
いくつかの例では、バッキング110は、可撓性ポリマー層、ベース迷彩織物、布地および/またはネットである。いくつかの例では、バッキング110は織物を含む。これらの例のいくつかでは、バッキング110はポリエステル布地を含む。
【0038】
いくつかの例では、バッキング110は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、および/またはアラミドを含む。
【0039】
いくつかの例では、バッキング110は電気絶縁体である。いくつかの例では、バッキング110は電気絶縁材料を含む。いくつかの例では、バッキング110は、少なくとも前記パターニングされた領域間を電気的に絶縁している。いくつかの例では、バッキング110は、少なくともバッキング110とパターニングされた導電性材料120の前記領域との間の交差部において電気絶縁性である。
【0040】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の領域は、0~1000Ohm/sqのシート抵抗を有する。これらの例のいくつかでは、パターニングされた導電性材料120の領域は、100~500Ohm/sqのシート抵抗を有する。これらの例のいくつかでは、パターニングされた導電性材料120の領域は、150~300Ohm/sqのシート抵抗を有する。いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の領域は、10~50Ohm/sqのシート抵抗を有する。いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の領域は、400~2000Ohm/sqのシート抵抗を有する。
【0041】
「パターニングされた導電性材料120の領域は、X~YOhm/sqのシート抵抗を有する」という表現は、パターニングされた導電性材料の前記複数の領域の各領域のシート抵抗に関することを理解されたい。
【0042】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120は導電性粒子を含む。これらの例のいくつかでは、導電性粒子は、フォームまたは布地材料、例えば、ポリオレフィン、ポリエステルまたはポリウレタンのフォームまたは布地に含まれる。いくつかの例では、前記導電性材料120は、カーボンブラック、金属および/またはグラフェンを含む。
【0043】
「パターニングされた導電性材料の領域」という用語は、導電性材料の実質的に平坦な層を有する領域に関する。典型的には、パターニングされた導電性材料120の領域は、領域間にいくらかの分離を有する正方形または六角形のテッセレーションされたパターンなどの領域の繰り返しパターンを含む。典型的には、パターニングされた導電性材料120の領域は、2GHzのカットオフ周波数を有するローパスフィルタなどの所望の周波数応答をもたらすように選択される。
【0044】
電気的に絶縁されたという用語は、電気絶縁体および/または自由空間によって囲まれていると理解されるべきである。パターニングされた導電性材料120の電気的に絶縁された領域は、パターニングされた導電性材料120の各領域内の電気抵抗に関し、典型的には、パターニングされた導電性材料120の領域間の抵抗よりも数桁小さい。
【0045】
バッキング110、導電性材料120、およびパターニングされた導電性材料120の領域の幾何学的形状は、例に限定されない。
【0046】
図1bは前記迷彩材料100の側面図を示し、前記バッキング110およびパターニングされた導電性材料120の断面を示している。
図1bは、前記パターニングされた導電性材料120を通って移動する例示的な電磁放射130、140をさらに視覚化しており、前記視覚化された例示的な電磁放射は、第1の波長のもの130および第2の波長のもの140である。
【0047】
対象物を通って移動する放射線に対する前記対象物の透過率は、対象物を出射する放射線のパワーを対象物に入射する放射線のパワーで割った比として定義される。
図1bは、第1の波長の電磁放射130について、入射パワーP
1inおよび出射パワーP
1exitを示す。
図1bは、第2の波長の電磁放射130について、入射パワーP
2inおよび出射パワーP
2exitを示す。この例では、第1の波長はパターニングされた導電性材料120の領域に対応する直径よりも短く、第2の波長は前記領域直径よりも著しく長い。
【0048】
パターニングされた導電性材料120の領域の直径という用語は、パターニングされた導電性材料120の領域の2つの部分間の最大距離である。例えば、正方形は、その辺の長さの√2倍の直径を有する。典型的には、パターニングされた導電性材料120の領域の厚さは、その長さおよび幅よりも著しく小さいため、パターニングされた導電性材料120の領域の直径は、パターンの領域に対応する2D形状、例えば、正方形または六角形の直径とほぼ同じである。
【0049】
いくつかの例では、迷彩材料100は、200MHz未満の周波数を有する電磁放射に対して少なくとも60%の透過率を有し、8~20GHzの範囲の周波数を有する電磁放射に対して最大40%の透過率を有する。
【0050】
いくつかの例では、迷彩材料100は、200MHz未満の電磁周波数に対して少なくとも80%の透過率を有し、6~20GHzの範囲の電磁周波数に対して最大25%の透過率を有する。
【0051】
いくつかの例では、迷彩材料100は、200MHz未満の電磁周波数に対して少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%の透過率を有する。これらの例のいくつかにおいて、迷彩材料100は、300MHz未満の電磁周波数に対して、または400MHz未満の電磁周波数に対して、または500MHz未満の電磁周波数に対して、少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%の透過率を有する。
【0052】
いくつかの例では、迷彩材料100は、8~20GHzの範囲、または6~20GHzの範囲、または6~40GHzの範囲、または4~30GHzの範囲の電磁周波数に対して、最大40%、または最大35%、または最大25%、または最大15%の透過率を有する。これらの例のいくつかでは、迷彩材料100は、前記周波数範囲を含む電磁スペクトルの一部におけるバンドパスフィルタである。
【0053】
いくつかの例では、迷彩材料100は、GPS周波数帯域L1およびL2などの1210MHz~1590MHzの電磁周波数に対して少なくとも50%の透過率をさらに有する。これらの例のいくつかでは、迷彩材料100は、1150MHz~1590MHzの電磁周波数に対して少なくとも50%の透過率を有する。
【0054】
透過率という用語は、サンプルを透過する入射電磁力の割合に関する。「パターニングされた導電性材料の透過率」という表現は、前記パターニングされた導電性材料120を通る平均透過率に関する。
【0055】
「迷彩材料の透過率」という表現は、バッキング110およびパターニングされた導電性材料120の領域の1つ以上の層を通る透過率に関することを理解されたい。いくつかの例では、迷彩材料の透過率は、少なくともいくつかの周波数範囲についてパターニングされた導電性材料の領域の透過率と実質的に同じである。典型的には、パターニングされた導電性材料の複数の領域は、上記の周波数範囲の透過率に最も大きな影響を与える迷彩材料の構成要素である。
【0056】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の領域の1つ以上の層は、200MHz未満の周波数を有する電磁放射に対して少なくとも60%の透過率を有し、8~20GHzの範囲の周波数を有する電磁放射に対して最大40%の透過率を有する。
【0057】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の領域の1つ以上の層は、200MHz未満の電磁周波数に対して少なくとも80%の透過率を有し、6~20GHzの範囲の電磁周波数に対して最大25%の透過率を有する。
【0058】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の領域の1つ以上の層は、200MHz未満の電磁周波数に対して少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%の透過率を有する。これらの例のいくつかにおいて、パターニングされた導電性材料120の領域の1つ以上の層は、300MHz未満の電磁周波数に対して、または400MHz未満の電磁周波数に対して、または500MHz未満の電磁周波数に対して、少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%の透過率を有する。
【0059】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の領域の1つ以上の層は、8~20GHzの範囲、または6~20GHzの範囲、または6~40GHzの範囲、または4~30GHzの範囲の電磁周波数に対して、最大40%、または最大35%、または最大25%、または最大15%の透過率を有する。これらの例のいくつかでは、パターニングされた導電性材料120の領域の1つ以上の層は、前記周波数範囲を含む電磁スペクトルの一部におけるバンドパスフィルタである。
【0060】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の領域の1つ以上の層は、GPS周波数帯域L1およびL2などの1210MHz~1590MHzの電磁周波数に対して少なくとも50%の透過率をさらに有する。これらの例のいくつかでは、パターニングされた導電性材料120の領域の1つ以上の層は、1150MHz~1590MHzの電磁周波数に対して少なくとも50%の透過率を有する。この例では、前記第1の波長は、第1の波長の前記電磁放射130とパターニングされた導電性材料120との間の相互作用のある確率をもたらす領域の直径に類似しており、この確率は導電性材料120の大きな連続層に対する相互作用の対応する確率に匹敵する。対照的に、領域の直径と前記第2の波長との間の不一致は、第2の波長の前記電磁放射140とパターニングされた導電性材料120との間の相互作用の確率を、導電性材料120の連続層との相互作用の確率よりも著しく低くする。したがって、パターニングされた導電性材料120の前記領域の直径を調整することによって、透過する所望の波長の電磁放射の透過率を増加させてもよく、調整することは典型的には、前記直径を、透過される前記所望の波長よりも著しく小さくすることを含む。
【0061】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120は、下にあるバッキング110に浸透する。これらの例のいくつかでは、バッキング110は、パターニングされた導電性材料120がバッキング110の両側にある、および/またはパターニングされた導電性材料120が前記バッキング110に一体化された領域を含む。これらの例のいくつかでは、パターニングされた導電性材料120は、前記領域内でバッキング110の両側を接続する。いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120は、バッキング110を通って延びる導電性ワイヤである。
【0062】
いくつかの例では、導電性材料120は、繰り返しパターンでパターニングされ、前記繰り返しパターンは、前記バッキング110の少なくとも片側の実質的にすべてに適用される。
【0063】
いくつかの例では、導電性材料120は、繰り返しパターンでパターニングされ、前記繰り返しパターンは、好ましくは前記バッキング110の片側の表面積の少なくとも60%、より好ましくは前記表面積の80%、または最も好ましくは前記表面積の90%を覆う。
【0064】
「繰り返しパターンがバッキングの少なくともX%を覆う」という表現は、導電性材料によって覆われているバッキング110の面積に関することを理解されたい。前記表現は、バッキング110上のパターニングされた導電性材料120の複数の領域の最大スパース性(sparsness)を記述する場合がある。
【0065】
いくつかの例では、導電性材料120は、前記バッキング110の両側に繰り返しパターンでパターニングされ、前記繰り返しパターンは、好ましくは前記バッキング110の両側の表面積の少なくとも60%、より好ましくは前記表面積の80%、または最も好ましくは前記表面積の90%を覆う。
【0066】
いくつかの例では、前記領域は、三角形、正方形、長方形、六角形、および/または十字形である。いくつかの例では、前記領域はそれぞれ、三角形、長方形、または六角形の幾何学的形状など、幅がその長さの少なくとも半分の領域である。
【0067】
いくつかの例では、前記各領域は、導電性材料120のブリッジ(図示せず)によって接続された3つ以上の分離された部分を含む。これらの例のいくつかでは、各領域は、正方形として配置され、隣接する正方形の辺の各対において導電性材料120の4つのブリッジによって接続されている4つの正方形部分であるか、または各領域は、互いに隣接して配置され、導電性材料120の3つのブリッジによって接続されている3つの六角形部分である。代替的に、各領域は、六角形として配置され、導電性材料120の12個のブリッジによって接続されている7つの六角形部分である。
【0068】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の各領域は、第2の形状によって画定される第1の形状の一部を除いて前記第1の形状あり、例えば、正方形と、パターニングされた導電性材料120のない内側のより小さい正方形とによって画定される領域である。これらの例のいくつかでは、前記第2の形状の一部は第3の形状によって画定され、第3の形状によって画定される部分はパターニングされた導電性材料120を含む。これらの例のいくつかでは、各領域のパターニングされた導電性材料120が接続される。
【0069】
迷彩材料100のいくつかの例では、前記領域は、20mm~300mmの範囲の直径を有する。いくつかの例では、前記領域は、50mm~150mmの範囲の直径を有する。いくつかの例では、前記領域は、5mm~500mmの範囲の直径を有する。いくつかの例では、前記領域は、2mm~2mの範囲の直径を有する。いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120のパターンの各領域は、実質的に同じ形状およびサイズを有する。
【0070】
波長20mmの電磁放射は約15GHzであり、波長300mmの電磁放射は約1GHzである。一例として、直径20mmの領域を有するパターニングされた導電性材料120は、7.5GHz以上のいくつかの電磁放射周波数に対して比較的低い透過率を有すると仮定されてもよい。一方、直径300mmの領域を有するパターニングされた導電性材料は、500MHz以上のいくつかの電磁放射周波数に対して比較的低い透過率を有すると仮定されてもよい。
【0071】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の領域は、パターニングされた導電性材料120の他の領域と重複するパターニングされた導電性材料120の領域を含み、重複領域は、絶縁材料および/または空気などの自由空間によって分離される。本明細書におけるパターニングされた導電性材料120の重複領域という用語は、迷彩材料100に関する平面に実質的に垂直な方向に重複する領域に関する。
【0072】
図1bは、例示的な迷彩材料100に接近する第1の波長の電磁放射130および第2の波長の電磁放射140を示す。アクティブな監視機器からの第1の波長の入射電磁放射130から保護するために、第2の波長の電磁放射140を透過するように配置構成された通信機器を覆う迷彩材料100を用いた使用例では、第1の波長の電磁放射130と第2の波長の電磁放射140とは、典型的には、反対側から迷彩材料100に接近する。
【0073】
図2a~
図2cは、3つの例示的な周波数選択性迷彩材料を概略的に示す。
図2a~
図2cは、前記迷彩材料の側面図を示す。
【0074】
図2aは、バッキング110およびパターニングされた導電性材料120を含む例示的な迷彩材料200を概略的に示す。バッキング110およびパターニングされた導電性材料120は、
図1a~
図1bに記載のバッキング110およびパターニングされた導電性材料120であってもよい。パターニングされた導電性材料120は、バッキング110の複数の領域上にパターニングされ、パターニングされた導電性材料120の前記複数の領域はそれぞれ互いに電気的に絶縁される。例示的な迷彩材料200は、表面層230をさらに含み、表面層230は着色されている。
【0075】
表面層230は、バッキング110および/またはパターニングされた導電性材料120の領域に色および/または物理的保護を提供してもよい。
【0076】
いくつかの例では、表面層230は塗料のコーティングを含む。
【0077】
いくつかの例では、表面層230は、前記迷彩材料200に迷彩パターンを提供する。
【0078】
いくつかの例では、表面層230は難燃剤を含む。
【0079】
いくつかの例では、表面層230は電気絶縁体である。
【0080】
いくつかの例では、表面層230は少なくとも、パターニングされた導電性材料120の領域間のバッキング110を覆う。これらの例のいくつかでは、表面層230は少なくとも、パターニングされた導電性材料120の領域とパターニングされた導電性材料120の領域との間のバッキング110を覆う。
【0081】
図2bは、バッキング110、パターニングされた導電性材料120、および表面層230を含む例示的な迷彩材料201を概略的に示す。表面層230は、
図2aに記載の表面層230であってもよい。パターニングされた導電性材料120は、バッキング110の複数の領域上にパターニングされ、パターニングされた導電性材料120の前記複数の領域はそれぞれ互いに電気的に絶縁される。例示的な迷彩材料201は、ガーニッシュ層240をさらに含み、ガーニッシュ層240は、リーフを模倣する構造化表面など、表面層230から少なくとも部分的に延出するように配置される。
【0082】
「表面層230から少なくとも部分的に延出するように配置されたガーニッシュ層240」という表現は、前記ガーニッシュ層240が、平面層とは異なり、表面層230から著しく延出するおよび/または絡み合った糸などの不均一な形状を提供する部分を含むと理解されたい。
【0083】
いくつかの例では、ガーニッシュ層240は切開または「リーフカット」され、それによって三次元リーフ効果(threedimensional leafy effect)を提供してもよい。
【0084】
ガーニッシュ層240は、
図2bに示すような繰り返し形状に限定されないことを理解されたい。典型的には、ガーニッシュ層240は、非常に不規則な色、表面および/または幾何学的形状を有するように配置される。
【0085】
いくつかの例では、ガーニッシュ層240の表面は複数の色である。
【0086】
いくつかの例では、ガーニッシュ層240は、つや消し(すなわち、非光沢)表面を含む。
【0087】
いくつかの例では、ガーニッシュ層240は難燃剤を含む。
【0088】
いくつかの例では、ガーニッシュ層240は、著しく異なる熱放射率を有する領域を含み、それによって熱探知を妨げる。
【0089】
いくつかの例では、ガーニッシュ層240は、織物および/またはネットを含む。
【0090】
図2bの例では、例示的な迷彩材料201の光学特性は、パターニングされた導電性材料120、表面層230およびガーニッシュ層240に基づき、レーダ特性はパターニングされた導電性材料120に基づき、視覚特性および赤外線特性は表面層230およびガーニッシュ層240に基づく。
【0091】
図2cは、バッキング110およびパターニングされた導電性材料120を含む例示的な迷彩材料202を概略的に示す。パターニングされた導電性材料120は、バッキング110上の複数の領域上にパターニングされる。バッキング110およびパターニングされた導電性材料120は、
図1a~
図1bに記載のバッキング110およびパターニングされた導電性材料120であってもよい。迷彩材料202は、バッキング110上にパターニングされた導電性材料120の前記領域と重複する、パターニングされた導電性材料120’の追加の領域をさらに含む。迷彩材料202は、パターニングされた導電性材料120、120’の前記重複領域を電気的に分離するための手段をさらに含む。パターニングされた導電性材料120、120’の複数の領域は、それぞれ互いに電気的に絶縁されている。
図2cの例示的な迷彩材料202において、パターニングされた導電性材料120、120’の重複領域は、絶縁材料250の層によって分離され、絶縁材料250の層は可撓性ポリマーである。
【0092】
いくつかの例では、迷彩材料202は、パターニングされた導電性材料120、120’の少なくとも3つの重複領域からなる複数のセットを含む。これらの例のいくつかでは、複数のセットは、パターニングされた導電性材料120、120’の少なくとも4つの重複領域を含む。これらの例のいくつかでは、複数のセットは、パターニングされた導電性材料120、120’の少なくとも5つの重複領域を含む。パターニングされた導電性材料の重複領域という用語は、迷彩材料202に関する平面に実質的に垂直な方向において重複する領域として理解されたい。
【0093】
いくつかの例では、パターニングされた導電性材料120の重複領域は、絶縁材料250および/または空気などの自由空間によって電気的に分離される。
【0094】
表面層230、ガーニッシュ層240、および/またはパターニングされた導電性材料120、120’の重複領域を分離する絶縁材料250の層を含む、
図2a~
図2cの迷彩材料200、201、202の例は組み合わせられてもよい。
【0095】
図3は、周波数選択性迷彩材料を製造するための方法を概略的に示し、方法300は、
バッキングを得るステップ310と、
前記バッキング上の導電性材料の複数の領域をパターニングするステップ320と
を含み、導電性材料の各領域は、パターニングされた導電性材料の他の領域から電気的に絶縁されており、かつ
前記迷彩材料は、200MHz未満の周波数を有する電磁放射に対して少なくとも60%の透過率を有し、8~20GHzの範囲の周波数を有する電磁放射に対して最大40%の透過率を有する。
【0096】
いくつかの例では、前記バッキングは、可撓性ポリマー層、ベース迷彩織物、布地および/またはネットを含む。
【0097】
いくつかの例では、前記バッキングは電気絶縁性である。
【0098】
いくつかの例では、前記バッキングの複数の領域を導電性材料でパターニングするステップ320は、前記バッキングの少なくとも片側の実質的にすべてをパターニングする工程を含む。
【0099】
いくつかの例では、前記バッキングの複数の領域を導電性材料でパターニングするステップ320は、スクリーン印刷を利用する工程を含む。
【0100】
いくつかの例では、方法300は、導電性材料でパターニングされた前記バッキングを表面処理するステップ330をさらに含み、表面処理するステップ330は、パターニングされた導電性材料の前記領域の間の少なくとも一部において、前記バッキングの領域を着色する工程を含む。
【0101】
いくつかの例では、方法300は、導電性材料でパターニングされた前記バッキングをガーニッシュするステップ340をさらに含み、ガーニッシュするステップ340は、構造化ガーニッシュ層を追加する工程、および/またはバッキングを切開もしくは「リーフカット」する工程を含む。これらの例のいくつかでは、ガーニッシュするステップ340は、三次元リーフ効果を提供してもよい。
【0102】
いくつかの例では、前記バッキング上の導電性材料の複数の領域をパターニングするステップ320は、導電性材料の重複領域をパターニングする工程と、絶縁材料および/または自由空間を利用して重複領域を分離する工程とを含む。
【国際調査報告】