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特表2024-544112車両用フロントコンパートメント構造及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】車両用フロントコンパートメント構造及び車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20241121BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20241121BHJP
   B60R 19/34 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B62D25/20 C
B62D25/08 C ZHV
B60R19/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517424
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 CN2022142834
(87)【国際公開番号】W WO2023125664
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111676082.8
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【弁理士】
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼宝光
(72)【発明者】
【氏名】田洪生
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲騰▼涌
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼▲艶▼兵
(72)【発明者】
【氏名】全毅
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA31
3D203BB16
3D203BB17
3D203BB35
3D203BB43
3D203BB44
3D203BB54
3D203BC14
3D203CA04
3D203CA24
3D203CA40
3D203CA53
3D203CB03
(57)【要約】
車両用フロントコンパートメント構造及び車両を開示し、車両用フロントコンパートメント構造は、フロントインパクトビーム(10)、フロントサイドメンバ(20)、ルーフサイドレール(30)、及びクラッシュボックス(40)を含み、クラッシュボックスの一側は、フロントインパクトビームに接続され、フロントサイドメンバとルーフサイドレールは、それぞれクラッシュボックスの他側に接続され、フロントインパクトビーム、クラッシュボックス及びルーフサイドレールは、第1の力伝達構造を構成し、フロントインパクトビーム、クラッシュボックス及びフロントサイドメンバは、第2の力伝達構造を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントインパクトビーム(10)と、フロントサイドメンバ(20)と、ルーフサイドレール(30)と、クラッシュボックス(40)と、を含み、
前記クラッシュボックス(40)の一側は、前記フロントインパクトビーム(10)に接続され、前記フロントサイドメンバ(20)と前記ルーフサイドレール(30)は、それぞれ前記クラッシュボックス(40)の他側に接続され、前記フロントインパクトビーム(10)、前記クラッシュボックス(40)及び前記ルーフサイドレール(30)は、第1の力伝達構造を構成し、前記フロントインパクトビーム(10)、前記クラッシュボックス(40)及び前記フロントサイドメンバ(20)は、第2の力伝達構造を構成する、車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項2】
第1の方向において、前記クラッシュボックス(40)の幅は、前記フロントサイドメンバ(20)の幅と前記ルーフサイドレール(30)の幅との和に等しい、請求項1に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項3】
前記ルーフサイドレール(30)の前記フロントインパクトビーム(10)に向かう一端の底面は、前記クラッシュボックス(40)の底面と面一である、請求項1又は2に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項4】
前記ルーフサイドレール(30)は、Aピラー(72)に向かって延在し、かつAピラー(72)に接続されることにより、前記第1の力伝達構造を介して前記Aピラー(72)に衝撃力を伝達する、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項5】
前記ルーフサイドレール(30)は、支持板(51)を含み、
前記支持板(51)は、前記ルーフサイドレール(30)に衝撃力を伝達するように、前記フロントサイドメンバ(20)の前記ルーフサイドレール(30)に向かう側に設けられ、かつ前記クラッシュボックス(40)と前記ルーフサイドレール(30)との間に設けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項6】
前記ルーフサイドレール(30)は、第1のレール本体(31)、及び第2のレール本体(32)を含み、
前記第1のレール本体(31)は、前記第2のレール本体(32)の上方に設けられ、かつ前記第1のレール本体(31)と前記第2のレール本体(32)とは、係合してエネルギー吸収キャビティを画定し、前記第2のレール本体(32)は、前記支持板(51)を介して前記クラッシュボックス(40)に接続される、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項7】
ホイールハウス(60)をさらに含み、
前記ホイールハウス(60)は、前記フロントサイドメンバ(20)と前記ルーフサイドレール(30)にそれぞれ接続され、かつ前記フロントサイドメンバ(20)と前記ルーフサイドレール(30)との間に位置し、前記フロントインパクトビーム(10)、前記クラッシュボックス(40)、前記ルーフサイドレール(30)及び前記ホイールハウス(60)は、第1の力伝達構造を構成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項8】
前記ホイールハウス(60)のそれぞれには、前記フロントサイドメンバ(20)に接続された第1のフランジ(61)と、前記第2のレール本体(32)に接続された第2のフランジ(62)とが設けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項9】
2つの前記フロントサイドメンバ(20)は、前記フロントインパクトビーム(10)に向かう延伸方向において、2つの前記フロントサイドメンバ(20)の間の幅方向距離が徐々に増加して「八」字型構造になる、請求項1~8のいずれか一項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項10】
第1の連結ロッド(52)及び第2の連結ロッド(53)をさらに含み、
前記第1の連結ロッド(52)は、2つの前記フロントサイドメンバ(20)の間に設けられ、
前記第2の連結ロッド(53)は、2つの前記ホイールハウス(60)の間に設けられ、前記第1の連結ロッド(52)は、前記第2の連結ロッド(53)に対して前記フロントインパクトビーム(10)に近接し、前記第1の連結ロッド(52)、2つの前記フロントサイドメンバ(20)及び前記第2の連結ロッド(53)は、取り囲んで第1の閉ループを形成し、前記第2の連結ロッド(53)、2つの前記フロントサイドメンバ(20)及びダッシュパネル(71)は、取り囲んで第2の閉ループを形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項11】
第3の連結ロッド(54)をさらに含み、
前記第3の連結ロッド(54)は、前記フロントサイドメンバ(20)と前記ダッシュパネル(71)にそれぞれ接続され、前記第2の連結ロッド(53)、2つの前記ホイールハウス(60)及び前記第3の連結ロッド(54)は、取り囲んで前記第2の閉ループを形成する、請求項1~10のいずれか一項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)を含む車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2021年12月31日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202111676082.8で、出願名称が「車両用フロントコンパートメント構造及び車両」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、車両用フロントコンパートメント構造及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、純電気自動車は、従来の自動車のフロントコンパートメント構造に比べて、安全性の面で2つの問題が顕著である。第1に、電気自動車は、衝突後に乗員だけでなく電池モジュールを保護する必要があるため、例えば25%のナローオフセット衝突のような小さな角度での衝突に耐えられない。従来の自動車のフロントコンパートメントのサイドメンバは、一般的にX方向に沿って延在する2本の平行なメンバ構造であって、両者のスパンが大きいように構成される。そして、純電気自動車は、造形の傾向により、扁平タイヤを使用することが多いため、サイドメンバの根部領域のスパンが狭くなる。これは、サイドメンバ(自動車のドアシル及びAピラー)の後方への力伝達に大きな影響を及ぼす。また、クラッシュボックスの後端は、フロントサイドメンバに直接接続され、フロントサイドメンバの外側は、空いており、追加の力伝達構造部材がなく、ルーフサイドレールは、フロントサイドメンバの前端の空き領域の後方に重ね継ぎされる。
【0004】
第2に、純電気自動車のフロントコンパートメント構造には天然の物理的防御が欠けている。従来の燃料車両は、フロントエンジン・フロントドライブ設計を用いることが多いため、前面からの荷重を受けると、フロントコンパートメントの内部に配置されたエンジン、ラジエータ、パワートレインマウント構造などによって抵抗し、緊急時に衝突エネルギーの一部を吸収することができる。そして、従来の純電気自動車は、リアドライブ設計を用いることが多く、フロントコンパートメントの内部空間のスペアが大きく、フロントストレージコンパートメントの設計を用いる傾向があり、この構造は、従来の自動車よりも天然の物理的防御を失っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施例は、車両用フロントコンパートメント構造及び車両の新しい技術手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る車両用フロントコンパートメント構造は、フロントインパクトビームと、フロントサイドメンバと、ルーフサイドレールと、クラッシュボックスとを含み、前記クラッシュボックスの一側は、前記フロントインパクトビームに接続され、前記フロントサイドメンバと前記ルーフサイドレールは、それぞれ前記クラッシュボックスの他側に接続され、前記フロントインパクトビーム、前記クラッシュボックス及び前記ルーフサイドレールは、第1の力伝達構造を構成し、前記フロントインパクトビーム、前記クラッシュボックス及び前記フロントサイドメンバは、第2の力伝達構造を構成する。
【0007】
好ましくは、前記フロントサイドメンバ及び前記ルーフサイドレールの前記フロントインパクトビームに向かう一端の第1の方向における断面幅は、前記クラッシュボックスの第1の方向における断面幅以下である。
【0008】
好ましくは、第1の方向において、前記クラッシュボックスの幅は、前記フロントサイドメンバの幅と前記ルーフサイドレールの幅との和に等しい。
【0009】
好ましくは、前記ルーフサイドレールの前記フロントインパクトビームに向かう一端の底面は、前記クラッシュボックスの底面と面一である。
【0010】
前記ルーフサイドレールは、Aピラーに向かって延在し、かつAピラーに接続されることにより、前記第1の力伝達構造を介して前記Aピラーに衝撃力を伝達する。
【0011】
好ましくは、前記ルーフサイドレールは、支持板を含み、前記支持板は、前記ルーフサイドレールに衝撃力を伝達するように、前記フロントサイドメンバの前記ルーフサイドレールに向かう側に設けられ、かつ前記クラッシュボックスと前記ルーフサイドレールとの間に設けられる。
【0012】
好ましくは、前記ルーフサイドレールは、第1のレール本体及び第2のレール本体をさらに含み、前記第1のレール本体は、前記第2のレール本体の上方に設けられ、かつ前記第1のレール本体と前記第2のレール本体とは、係合してエネルギー吸収キャビティを画定し、前記第2のレール本体は、前記支持板を介して前記クラッシュボックスに接続される。
【0013】
好ましくは、車両用フロントコンパートメント構造は、ホイールハウスをさらに含み、ホイールハウスは、前記フロントサイドメンバと前記ルーフサイドレールにそれぞれ接続され、かつ前記フロントサイドメンバと前記ルーフサイドレールとの間に位置し、前記フロントインパクトビーム、前記クラッシュボックス、前記ルーフサイドレール及び前記ホイールハウスは、衝撃力をAピラーに伝達する第1の力伝達構造を構成する。
【0014】
好ましくは、前記ホイールハウスのそれぞれには、前記フロントサイドメンバに接続された第1のフランジと、前記第2のレール本体に接続された第2のフランジとが設けられる。
【0015】
好ましくは、前記第1のフランジと前記フロントサイドメンバは、衝撃吸収キャビティを画定し、前記第2のフランジと前記ルーフサイドレールは、衝撃吸収キャビティを画定する。
【0016】
好ましくは、2つの前記フロントサイドメンバは、前記フロントインパクトビームに向かう延伸方向において、2つの前記フロントサイドメンバの間の幅方向距離が徐々に増加して「八」字型構造になる。
【0017】
好ましくは、車両用フロントコンパートメント構造は、第1の連結ロッド及び第2の連結ロッドをさらに含み、前記第1の連結ロッドは、2つの前記フロントサイドメンバの間に設けられ、前記第2の連結ロッドは、2つの前記ホイールハウスの間に設けられ、前記第1の連結ロッドは、前記第2の連結ロッドに対して前記フロントインパクトビームに近接し、前記第1の連結ロッド、2つの前記フロントサイドメンバ及び前記第2の連結ロッドは、取り囲んで第1の閉ループを形成し、前記第2の連結ロッド、2つの前記フロントサイドメンバ及びダッシュパネルは、取り囲んで第2の閉ループを形成する。
【0018】
好ましくは、車両用フロントコンパートメント構造は、第3の連結ロッドをさらに含み、前記第3の連結ロッドは、前記フロントサイドメンバと前記ダッシュパネルにそれぞれ接続され、前記第2の連結ロッド、2つの前記ホイールハウス及び前記第3の連結ロッドは、取り囲んで前記第2の閉ループを形成する。
【0019】
本開示の第2の態様に係る車両は、上記実施例に記載の車両用フロントコンパートメント構造を含む。
【発明の効果】
【0020】
本開示の実施例の技術的効果は、以下のとおりである。
【0021】
本開示の実施例は、車両用フロントコンパートメント構造を提供し、クラッシュボックスの幅を増加させてルーフサイドレールとフロントサイドメンバをいずれもクラッシュボックスに接続することにより、フロントインパクトビームにおけるクラッシュボックスと衝突バリアとの重複領域を増加させ、クラッシュボックスによる衝突エネルギーの吸収を向上させるとともに、頂部の力伝達経路を有する第1の力伝達構造と底部の力伝達経路を有する第2の力伝達構造とを形成することにより、衝突力の伝達を分散し、車両の前面衝突、ナローオフセット衝突などの衝突ニーズを満たし、車両の衝突に対する耐性を向上させ、車両の安全性を向上させる。
【0022】
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な実施例を詳細に説明することにより、本開示の他の特徴及びその利点は、明らかになる。
【0023】
明細書に組み込まれ、明細書の一部となる図面は、本開示の実施例を示し、かつその説明と共に本開示の原理を解釈する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造の平面図である。
図2図1のA-A線に沿った断面図である。
図3】本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造の他の平面図である。
図4】本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造のルーフサイドレールの構造分解図である。
図5】本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造のフロントサイドメンバの偏向図である。
図6】本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造のホイールハウスの構成図である。
図7】本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造のホイールハウスの平面図である。
図8】本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造の1つの衝突力伝達図である。
図9】本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造の別の衝突力伝達図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本開示の様々な例示的な実施例を詳細に説明する。なお、特に具体的に説明しない限り、これらの実施例において記載された部品及びステップの相対的配置、数式及び数値は、本開示の範囲を限定するものではない。
【0026】
以下、少なくとも1つの例示的な実施例についての説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、決して本開示及びその適用又は使用を限定するものではない。
【0027】
当業者が公知の技術、方法及び装置を詳細に説明しない場合があるが、適切な場合、上記技術、方法及び装置は、適宜、明細書の一部とみなされるべきである。
【0028】
ここで示され検討された全ての例では、いかなる具体的な値は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと解釈されるべきである。したがって、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有してもよい。
【0029】
なお、類似した符号及びアルファベットが以下の図面において類似したものを表すため、あるものが1つの図面において定義されれば、後の図面においてさらに検討する必要がない。
【0030】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造100を具体的に説明する。
【0031】
図1図9に示すように、本開示の実施形態に係る車両用フロントコンパートメント構造100は、フロントインパクトビーム10、フロントサイドメンバ20、ルーフサイドレール30、及びクラッシュボックス40を含む。
【0032】
具体的には、クラッシュボックス40の一側は、フロントインパクトビーム10に接続され、フロントサイドメンバ20とルーフサイドレール30は、それぞれクラッシュボックス40の他側に接続される。フロントインパクトビーム10、クラッシュボックス40及びルーフサイドレール30は、第1の力伝達構造を構成する。フロントインパクトビーム10、クラッシュボックス40及びフロントサイドメンバ20は、第2の力伝達構造を構成する。
【0033】
言い換えれば、図1図4を参照すると、本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造100は、主に電気自動車に適用され、車両用フロントコンパートメント構造100は、主にフロントインパクトビーム10、フロントサイドメンバ20、ルーフサイドレール30及びクラッシュボックス40からなる。このうち、2つのフロントサイドメンバ20は、フロントインパクトビーム10の内側に間隔をおいて設けられる。各ルーフサイドレール30は、一端がフロントインパクトビーム10に接続され、他端がAピラー72に向かって延在することにより、ルーフサイドレール30とAピラー72との間には力伝達通路が形成される。クラッシュボックス40は、一側がフロントインパクトビーム10に接続され、他側が各フロントサイドメンバ20と各ルーフサイドレール30に接続される。本開示は、従来技術に比べて、フロントインパクトビーム10及びクラッシュボックス40のY方向における幅を増加させ、クラッシュボックス40と衝突バリア80との重複領域の面積を増大させ、フロントサイドメンバ20及びルーフサイドレール30をいずれもクラッシュボックス40に接続して、フロントサイドメンバ20の外側の空きを回避する。
【0034】
図8及び図9に示すように、フロントインパクトビーム10、クラッシュボックス40及びルーフサイドレール30は、第1の力伝達構造を形成し、車両が衝突すると、衝突力の一部は、第1の力伝達構造を介して車両の頂部の力伝達経路に沿ってAピラー72に伝達される。フロントインパクトビーム10、クラッシュボックス40及びフロントサイドメンバ20は、第2の力伝達構造を形成し、衝突力の他の一部は、第2の力伝達構造を介して車両の底部の力伝達経路に沿って車両のシャーシに伝達される。クラッシュボックス40の幅を増加させてルーフサイドレール30とフロントサイドメンバ20をいずれもクラッシュボックス40に接続することにより、フロントインパクトビーム10におけるクラッシュボックス40と衝突バリアとの重複領域を増加させ、クラッシュボックス40による衝突エネルギーの吸収を向上させるとともに、頂部の力伝達経路を有する第1の力伝達構造と底部の力伝達経路を有する第2の力伝達構造とを形成することにより(力伝達経路は、図8及び図9における矢印方向に示される)、衝突力の伝達を分散し、車両の前面衝突、ナローオフセット衝突などの衝突ニーズを満たし、車両の衝突に対する耐性を向上させ、車両の安全性を向上させる。
【0035】
本開示の下記実施例において、Y方向は、車両の幅方向又は第1の連結ロッド52の長手方向として理解することができ、X方向は、フロントサイドメンバ20の長手方向又は車両の長手方向として理解することができ、Z方向は、車両の高さ方向として理解することができる。本開示の第1の力伝達経路は、ナローオフセット衝突に効果的に対処し、衝突時の衝突力の伝達を確保することができる。第2の力伝達経路は、主な力伝達経路とすることができ、車両の前面衝突及びナローオフセット衝突の衝突力伝達を受けることができる。
【0036】
これにより、本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造100によれば、クラッシュボックス40の幅を増加させてルーフサイドレール30とフロントサイドメンバ20をいずれもクラッシュボックス40に接続することにより、フロントインパクトビーム10におけるクラッシュボックス40と衝突バリアとの重複領域を増加させ、クラッシュボックス40による衝突エネルギーの吸収を向上させるとともに、頂部の力伝達経路を有する第1の力伝達構造と底部の力伝達経路を有する第2の力伝達構造とを形成することにより、衝突力の伝達を分散し、車両の前面衝突、ナローオフセット衝突などの衝突ニーズを満たし、車両の衝突に対する耐性を向上させ、車両の安全性を向上させる。
【0037】
本開示の一つの実施例において、フロントサイドメンバ20及びルーフサイドレール30のフロントインパクトビーム10に向かう一端の第1の方向における断面幅は、クラッシュボックス40の第1の方向における断面幅以下であり、かつルーフサイドレール30のフロントインパクトビーム10に向かう一端の底面は、クラッシュボックス40の底面と面一である。
【0038】
すなわち、図1及び図4に示すように、フロントサイドメンバ20及びルーフサイドレール30のフロントインパクトビーム10に向かう一端(フロントサイドメンバ20及びルーフサイドレール30の前部)の第1の方向における断面幅は、クラッシュボックス40の第1の方向における断面幅以下である。第1の方向は、車両の幅方向(Y方向)として理解することができ、クラッシュボックス40のフロントインパクトビーム10に向かう側の形状は、フロントインパクトビーム10の湾曲形状に対応し、ルーフサイドレール30のフロントインパクトビーム10に向かう一端の底面は、クラッシュボックス40の底面と面一である。好ましくは、第1の方向において、クラッシュボックス40の幅は、フロントサイドメンバ20の幅とルーフサイドレール30の幅との和に等しく、すなわち、フロントサイドメンバ20及びルーフサイドレール30のフロントインパクトビーム10に向かう一端の断面寸法は、クラッシュボックス40の断面寸法にほぼ相当することができ、車両衝突時に発生した衝突力がクラッシュボックス40によって潰れて吸収された後、残りの衝突力がフロントサイドメンバ20とルーフサイドレール30の2つの力伝達経路に分散され、衝突力の伝達効果を確保することができる。
【0039】
本開示では、ルーフサイドレール30がAピラーに向かって延在し、かつAピラーに接続されることにより、ルーフサイドレール30とAピラー72との間に力伝達通路が形成され、第1の力伝達構造により衝撃力をAピラー72に伝達し、車両の衝突に対する耐性を向上させ、車両の安全性を向上させる。
【0040】
本開示の1つの実施例において、ルーフサイドレール30は、支持板51を含み、支持板51は、ルーフサイドレール30に衝撃力を伝達するように、フロントサイドメンバ20のルーフサイドレール30に向かう側に設けられ、かつクラッシュボックス40とルーフサイドレール30との間に設けられる。
【0041】
言い換えれば、図1及び図3に示すように、ルーフサイドレール30には支持板51がさらに設けられ、支持板51は、フロントサイドメンバ20のルーフサイドレール30に向かう側に設けられ、すなわち、支持板51は、フロントサイドメンバ20の車両に向かう外側に設けられ、クラッシュボックス40とルーフサイドレール30との間に位置する。支持板51によってフロントサイドメンバ20及びルーフサイドレール30のフロントインパクトビーム10に向かう空き領域が充填され、車両の衝突時に、支持板51は、斜め方向から衝撃力をルーフサイドレール30に伝達し、Aピラー72の連結板73によってAピラー72に分散し、頂部の力伝達経路を形成することにより、フロントインパクトビーム10の衝突に対する耐性を向上させ、運転の安全性を向上させることができる。
【0042】
本開示の1つの実施例において、ルーフサイドレール30は、第1のレール本体31及び第2のレール本体32をさらに含み、第1のレール本体31は、第2のレール本体32の上方に設けられ、かつ第1のレール本体31と第2のレール本体32とは、係合してエネルギー吸収キャビティを画定し、第2のレール本体32は、支持板51を介してクラッシュボックス40に接続される。
【0043】
すなわち、図1図4に示すように、各ルーフサイドレール30は、主に第1のレール本体31と第2のレール本体32とからなり、第1のレール本体31は、第2のレール本体32の上方に設けられ(図2及び図4を参照)、かつ第1のレール本体31と第2のレール本体32とは、係合してエネルギー吸収キャビティを画定し、支持板51は、第2のレール本体32に重ね継ぎされ、クラッシュボックス40に接続され、第1のレール本体31は、支持板51と第2のレール本体32を覆うことができる。第1のレール本体31と第2のレール本体32とは、上下に係合して中空の構造体を形成することにより、エネルギー吸収キャビティを画定し、ルーフサイドレール30のエネルギー吸収効果を効果的に向上させる。ルーフサイドレール30のエネルギー吸収キャビティ及びフロントサイドメンバ20のエネルギー吸収キャビティの幅は、拡幅されたクラッシュボックス40のエネルギー吸収キャビティの寸法に相当し、衝突力の伝達効果をさらに確保する。
【0044】
本開示のいくつかの具体的な実施形態では、車両用フロントコンパートメント構造100は、ホイールハウス60をさらに含み、ホイールハウス60は、フロントサイドメンバ20とルーフサイドレール30にそれぞれ接続され、かつフロントサイドメンバ20とルーフサイドレール30との間に位置し、フロントインパクトビーム10、クラッシュボックス40、ルーフサイドレール30及びホイールハウス60は、衝撃力をAピラー72に伝達する第1の力伝達構造を構成する。ホイールハウス60のそれぞれには、フロントサイドメンバ20に接続される第1のフランジ61と、第2のレール本体32に接続される第2のフランジ62とが設けられる。第1のフランジ61とフロントサイドメンバ20は、衝撃吸収キャビティ63を画定し、第2のフランジ62とルーフサイドレール30は、衝撃吸収キャビティ63を画定する。
【0045】
言い換えれば、図1図6及び図7に示すように、車両用フロントコンパートメント構造100は、ホイールハウス60をさらに含み、左右2つのホイールハウス60は、フロントサイドメンバ20のフロントインパクトビーム10から離れた側に対向して設けられ、ホイールハウス60の下方に車輪が設けられ、各ホイールハウス60は、ルーフサイドレール30に接続され、かつフロントサイドメンバ20とルーフサイドレール30との間に位置し、クラッシュボックス40の外側でクラッシュボックス40の幅を増加させる。本開示に記載の外側、後方などの方位は、いずれも車両の方位を参考とする。クラッシュボックス40の後方にフロントサイドメンバ20が接続されて組み立てられ、フロントサイドメンバ20の外側に支持板51が溶接され、支持板51の後方にルーフサイドレール30における第2のレール本体32が重ね継ぎされ、第2のレール本体32の左側にアルミダイキャスト製のホイールハウス60が重ね継ぎされ、ホイールハウス60は、フロントサイドメンバ20と第2のレール本体32との間に螺着され、ルーフサイドレール30は、Aピラー72の連結板73を介してAピラー72に接続される。Z方向における高さ面aは、フロントインパクトビーム10の上部先端面であり、ルーフサイドレール30の下部(第2のレール本体32)は、前端がフロントインパクトビーム10の上部先端面に重ね継ぎされ、前端からZ方向に徐々に立ち上がり、アルミダイキャスト製のホイールハウス60に重ね継ぎされる。
【0046】
フロントインパクトビーム10、クラッシュボックス40、ルーフサイドレール30及びホイールハウス60は、第1の力伝達構造を構成し、ルーフサイドレール30の上部(第1のレール本体31)は、Z方向(車両の高さ方向)において支持板51とルーフサイドレール30の下部(第2のレール本体32)を覆い、かつフロントインパクトビーム10から伝達された衝突力をAピラー72に伝達するように支持板51、第2のレール本体32及びホイールハウス60とともにキャビティをナローオフセット衝突の力伝達経路として構成する。
【0047】
好ましくは、図6に示すように、ホイールハウス60のそれぞれには、フロントサイドメンバ20に接続される第1のフランジ61と、第2のレール本体32に接続される第2のフランジ62とが設けられる。第1のフランジ61とフロントサイドメンバ20は、衝撃吸収キャビティ63を画定し、第2のフランジ62とルーフサイドレール30は、同様に衝撃吸収キャビティ63を画定する。アルミダイキャスト製のホイールハウス60は、フロントサイドメンバ20にリベット接合されてもよく、ホイールハウス60は、第1のフランジ61及び第2のフランジ62と一体構造であり、ホイールハウス60の前端(フロントインパクトビーム10に向かう一端)には、対向して配置された2つの衝撃吸収キャビティ63がある。ホイールハウス60の後端には、対向して配置された2つの衝撃吸収キャビティ63があり、ホイールハウス60の第1のフランジ61は、フロントサイドメンバ20に架け渡され、フロントサイドメンバ20の立面内側に位置し、ホイールハウス60の第2のフランジ62は、ルーフサイドレール30に重ね継ぎされてもよい。ホイールハウス60の前後の2組の衝撃吸収キャビティ63は、ショックアブソーバーの組み立てを容易にし、ショックアブソーバーの動剛性を向上させ、車両の操作を改善するとともに、衝突用力伝達経路として機能することができる。
【0048】
本開示のいくつかの具体的な実施形態では、2つのフロントサイドメンバ20は、フロントインパクトビーム10に向かう延伸方向において、2つのフロントサイドメンバ20の間の幅方向距離が徐々に増加して「八」字型構造になる。車両用フロントコンパートメント構造100は、第1の連結ロッド52及び第2の連結ロッド53をさらに含み、第1の連結ロッド52は、2つのフロントサイドメンバ20の間に設けられ、第2の連結ロッド53は、2つのホイールハウス60の間に設けられ、第1の連結ロッド52は、第2の連結ロッド53に対してフロントインパクトビーム10に近接し、第1の連結ロッド52、2つのフロントサイドメンバ20及び第2の連結ロッド53は、取り囲んで第1の閉ループを形成し、第2の連結ロッド53、2つのフロントサイドメンバ20及びダッシュパネル71は、取り囲んで第2の閉ループを形成する。車両用フロントコンパートメント構造100は、第3の連結ロッド54をさらに含み、第3の連結ロッド54は、フロントサイドメンバ20とダッシュパネル71にそれぞれ接続され、第2の連結ロッド53、2つのホイールハウス60及び第3の連結ロッド54は、取り囲んで第2の閉ループを形成する。
【0049】
すなわち、図5を参照すると、2つのフロントサイドメンバ20は、対称的に配置されるとともに、フロントインパクトビーム10に向かう延伸方向において、2つのフロントサイドメンバ20の間の距離が徐々に増加して「八」字型構造になる。フロントサイドメンバ20の尾部(フロントインパクトビーム10から離れた一端)は、タイヤ74を避ける必要があるため、「八」字型のフロントサイドメンバ20を設けることにより、車両の旋回時にタイヤ74の空間位置を確保しやすくすることができる。フロントサイドメンバ20の中部の上方にエンジン又はモータアセンブリを配置することができ、フロントサイドメンバ20の前端がフロントインパクトビーム10に接続される。フロントサイドメンバ20の前部は、レイアウト機能を果たすとともに、主な力伝達経路として、車両の前面衝突及びナローオフセット衝突の衝突力伝達を受ける。
【0050】
従来の構造において、2つのフロントサイドメンバ20の前部は、平行に配置され、従来技術におけるフロントサイドメンバ20の配置方式において、フロントサイドメンバ20の前部に接続されたフロントインパクトビーム10は、ナローオフセットの衝突バリアの境界線にエネルギーを吸収し、クラッシュボックス40は、バリアの角丸に正対する。本開示の新しい構造において、2つのフロントサイドメンバ20の尾部は、タイヤ74を避ける必要があり、各フロントサイドメンバ20の前端は、尾部に対して3°~5°の外向きの八字型構造になる(図5に破線で示す)。このような新しい配置において、新しい配置は、従来の配置に対して角度θで傾斜し、フロントインパクトビーム10の後方のクラッシュボックス40は、衝突バリア80の直線線分の部分に正対し、衝突バリア80との重複領域を増加させて、衝突時の衝突力の伝達を確保する。
【0051】
図7及び図8に示すように、車両用フロントコンパートメント構造100は、第1の連結ロッド52及び第2の連結ロッド53をさらに含み、第1の連結ロッド52は、フロントコンパートメントのクロスメンバとして、2つのフロントサイドメンバ20の間に設けられ、第2の連結ロッド53は、2つのフロントサイドメンバ20の間に設けられ、第1の連結ロッド52は、第2の連結ロッド53に対してフロントインパクトビーム10に近接し、第2の連結ロッド53は、2つのホイールハウス60の間に設けられ、第1の連結ロッド52、2つのフロントサイドメンバ20及び第2の連結ロッド53は、取り囲んで第1の閉ループを形成し、第2の連結ロッド53、2つのフロントサイドメンバ20及びダッシュパネル71は、取り囲んで第2の閉ループを形成する(図8に破線で示す)。アルミダイキャスト製のホイールハウス60がフロントサイドメンバ20と2つの閉ループに架け渡される設計は、フロントショックアブソーバーの取付点の動剛性及び車体の動剛性を向上させ、車両の操縦を改善することに有利である。
【0052】
車両用フロントコンパートメント構造100は、第3の連結ロッド54をさらに含み、第3の連結ロッド54は、フロントサイドメンバ20のフロントインパクトビーム10から離れた一端に設けられ、ダッシュパネル71に接続され、形状がダッシュパネル71の湾曲形状に対応する。第3の連結ロッド54の両端は、それぞれ2つのホイールハウス60に重ね継ぎされ、第3の連結ロッド54の中間部は、ダッシュパネル71に重ね継ぎされる。第2の連結ロッド53、2つのホイールハウス60及び第3の連結ロッド54は、取り囲んで第2の閉ループを形成する。アルミダイキャスト製のホイールハウス60がフロントサイドメンバ20と2つの閉ループに架け渡される設計は、フロントショックアブソーバーの取付点の動剛性及び車体の動剛性を向上させ、車両の操縦を改善することに有利である。
【0053】
本開示の車両衝突力伝達過程において、図8及び図9に示すように、第1の力伝達構造及び第2の力伝達構造によって形成された頂部及び底部の2つの経路について、100%の正面オーバーラップ及びナローオフセット衝突において、フロントインパクトビーム10は、衝突バリア80に衝突し、拡幅されたクラッシュボックス40は、潰れてエネルギーを吸収し、クラッシュボックス40の後端の支持板51は、斜め方向から衝撃力をルーフサイドレール30及び連結板73に伝達し、さらにAピラー72に伝達して分散し、それにより頂部の力伝達経路を形成する(図8及び図9の矢印方向を参照)。クラッシュボックス40とフロントサイドメンバ20は、底部の力伝達経路を構成し、かつ一部の衝撃力を、第1の連結ロッド52、第2の連結ロッド53及び第3の連結ロッド54を介して右ホイールハウス60に分散する。
【0054】
本開示は、車両のフロントコンパートメントの力伝達経路を再設計し、純電気自動車のオフセット衝突に特化した力伝達経路を追加し、かつ経路上の要部構成を詳細に設計して最適化する。同時に、フロントサイドメンバ20の延在向き及びスパンを再設定し、フロントインパクトビーム10上のクラッシュボックス40とルーフサイドレール30との関連構造及び接続関係を最適化する。これに基づいて、ルーフサイドレール30、ホイールハウス60、第1の連結ロッド52、第2の連結ロッド53及び第3の連結ロッド54などの関連構造を最適化して設計し、フロントインパクトビーム10の衝突に対する耐性を向上させる。また、ルーフサイドレール30、フロントサイドメンバ20などの構造を組み合わせて閉断面キャビティを形成し、2つの閉ループ及び2つの力伝達経路を形成することにより、衝撃力の伝達に対する分解力及び耐性を向上させるとともに、ショックアブソーバーの取付構造の剛性を向上させ、車両の走行品質を向上させ、衝突時にY方向へ横にスライドするように車両を積極的に誘導し、車両及び乗員の安全を確保する。
【0055】
本開示では、車両用フロントコンパートメント構造100におけるフロントサイドメンバ20、ルーフサイドレール30、第1の連結ロッド52、第2の連結ロッド53、第3の連結ロッド54及びホイールハウス60などの構造に用いられる材料、断面形状、接続方式などを具体的に限定せず、本開示の衝突ニーズを満たす設計であれば、いずれも本開示の保護範囲に含まれるべきである。
【0056】
当然のことながら、当業者であれば、車両用フロントコンパートメント構造100における他の構造及び作動原理は、理解可能かつ実現可能であり、本開示では詳細な説明を省略する。
【0057】
要するに、本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造100によれば、クラッシュボックス40の幅を増加させてルーフサイドレール30とフロントサイドメンバ20をいずれもクラッシュボックス40に接続することにより、フロントインパクトビーム10におけるクラッシュボックス40と衝突バリアとの重複領域を増加させ、クラッシュボックス40による衝突エネルギーの吸収を向上させるとともに、頂部の力伝達経路を有する第1の力伝達構造と底部の力伝達経路を有する第2の力伝達構造とを形成することにより、衝突力の伝達を分散し、車両の前面衝突、ナローオフセット衝突などの衝突ニーズを満たし、車両の衝突に対する耐性を向上させ、車両の安全性を向上させる。
【0058】
本開示の実施例に係る車両は、上記実施例における車両用フロントコンパートメント構造100を含む。本開示の車両は、電気自動車、ガソリン車又は他のタイプのハイブリッド自動車であってもよい。本開示の実施例に係る車両用フロントコンパートメント構造100は、上記技術的効果を有するため、本開示の実施例に係る車両も、対応する技術的効果を有するべきであり、すなわち、本開示の車両は、当該車両用フロントコンパートメント構造100を用いることにより、フロントインパクトビーム10におけるクラッシュボックス40と衝突バリアとの重複領域を増加させ、クラッシュボックス40による衝突エネルギーの吸収を向上させるとともに、頂部の力伝達経路を有する第1の力伝達構造と底部の力伝達経路を有する第2の力伝達構造とを形成することにより、衝突力の伝達を分散し、車両の前面衝突、ナローオフセット衝突などの衝突ニーズを満たし、車両の衝突に対する耐性を向上させ、車両の安全性を向上させることができる。
【0059】
例を挙げて本開示のいくつかの特定の実施例を詳細に説明したが、当業者であれば、以上の例が説明するためのものに過ぎず、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。当業者であれば、本開示の範囲及び趣旨から逸脱しない場合、以上の実施例を修正できることを理解すべきである。本開示の範囲は、添付した特許請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0060】
100 車両用フロントコンパートメント構造
10 フロントインパクトビーム
20 フロントサイドメンバ
30 ルーフサイドレール
31 第1のレール本体
32 第2のレール本体
40 クラッシュボックス
51 支持板
52 第1の連結ロッド
53 第2の連結ロッド
54 第3の連結ロッド
60 ホイールハウス
61 第1のフランジ
62 第2のフランジ
63 衝撃吸収キャビティ
71 ダッシュパネル
72 Aピラー
73 連結板
74 タイヤ
80 衝突バリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントインパクトビーム(10)と、フロントサイドメンバ(20)と、ルーフサイドレール(30)と、クラッシュボックス(40)と、を含み、
前記クラッシュボックス(40)の一側は、前記フロントインパクトビーム(10)に接続され、前記フロントサイドメンバ(20)と前記ルーフサイドレール(30)は、それぞれ前記クラッシュボックス(40)の他側に接続され、前記フロントインパクトビーム(10)、前記クラッシュボックス(40)及び前記ルーフサイドレール(30)は、第1の力伝達構造を構成し、前記フロントインパクトビーム(10)、前記クラッシュボックス(40)及び前記フロントサイドメンバ(20)は、第2の力伝達構造を構成する、車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項2】
第1の方向において、前記クラッシュボックス(40)の幅は、前記フロントサイドメンバ(20)の幅と前記ルーフサイドレール(30)の幅との和に等しい、請求項1に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項3】
前記ルーフサイドレール(30)の前記フロントインパクトビーム(10)に向かう一端の底面は、前記クラッシュボックス(40)の底面と面一である、請求項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項4】
前記ルーフサイドレール(30)は、Aピラー(72)に向かって延在し、かつ前記Aピラー(72)に接続されることにより、前記第1の力伝達構造を介して前記Aピラー(72)に衝撃力を伝達する、請求項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項5】
前記ルーフサイドレール(30)は、支持板(51)を含み、
前記支持板(51)は、前記ルーフサイドレール(30)に衝撃力を伝達するように、前記フロントサイドメンバ(20)の前記ルーフサイドレール(30)に向かう側に設けられ、かつ前記クラッシュボックス(40)と前記ルーフサイドレール(30)との間に設けられる、請求項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項6】
前記ルーフサイドレール(30)は、第1のレール本体(31)、及び第2のレール本体(32)を含み、
前記第1のレール本体(31)は、前記第2のレール本体(32)の上方に設けられ、かつ前記第1のレール本体(31)と前記第2のレール本体(32)とは、係合してエネルギー吸収キャビティを画定し、前記第2のレール本体(32)は、前記支持板(51)を介して前記クラッシュボックス(40)に接続される、請求項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項7】
ホイールハウス(60)をさらに含み、
前記ホイールハウス(60)は、前記フロントサイドメンバ(20)と前記ルーフサイドレール(30)にそれぞれ接続され、かつ前記フロントサイドメンバ(20)と前記ルーフサイドレール(30)との間に位置し、前記フロントインパクトビーム(10)、前記クラッシュボックス(40)、前記ルーフサイドレール(30)及び前記ホイールハウス(60)は、前記第1の力伝達構造を構成する、請求項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項8】
前記ホイールハウス(60)のそれぞれには、前記フロントサイドメンバ(20)に接続された第1のフランジ(61)と、前記第2のレール本体(32)に接続された第2のフランジ(62)とが設けられる、請求項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項9】
2つの前記フロントサイドメンバ(20)は、前記フロントインパクトビーム(10)に向かう延伸方向において、2つの前記フロントサイドメンバ(20)の間の幅方向距離が徐々に増加して「八」字型構造になる、請求項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項10】
第1の連結ロッド(52)及び第2の連結ロッド(53)をさらに含み、
前記第1の連結ロッド(52)は、2つの前記フロントサイドメンバ(20)の間に設けられ、
前記第2の連結ロッド(53)は、2つの前記ホイールハウス(60)の間に設けられ、前記第1の連結ロッド(52)は、前記第2の連結ロッド(53)に対して前記フロントインパクトビーム(10)に近接し、前記第1の連結ロッド(52)、2つの前記フロントサイドメンバ(20)及び前記第2の連結ロッド(53)は、取り囲んで第1の閉ループを形成し、前記第2の連結ロッド(53)、2つの前記フロントサイドメンバ(20)及びダッシュパネル(71)は、取り囲んで第2の閉ループを形成する、請求項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項11】
第3の連結ロッド(54)をさらに含み、
前記第3の連結ロッド(54)は、前記フロントサイドメンバ(20)と前記ダッシュパネル(71)にそれぞれ接続され、前記第2の連結ロッド(53)、2つの前記ホイールハウス(60)及び前記第3の連結ロッド(54)は、取り囲んで前記第2の閉ループを形成する、請求項10に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の車両用フロントコンパートメント構造(100)を含む車両。




【国際調査報告】