(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】同軸伝動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
F16H1/32 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525134
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2022080148
(87)【国際公開番号】W WO2023088656
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/081890
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521567815
【氏名又は名称】クラーケン・イノベーションズ・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KRAKEN INNOVATIONS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】フュルハプター、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ディートリヒ、ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】アイゼレ、フィリップ
【テーマコード(参考)】
3J027
【Fターム(参考)】
3J027GA10
3J027GC01
3J027GC24
3J027GD04
3J027GD07
3J027GD13
(57)【要約】
同軸伝動装置(1)において、-少なくとも1つのクランクピン(4)を有する、回転軸(2)を中心として回転可能なクランクシャフト(3)と、-回転軸から離れるほうを向く端面(10)にそれぞれ少なくとも1つの歯を有する噛合部(11)を有する複数のピストン(5a-i)を有する少なくとも1つのクランクセットと、内歯(8)を有する中空シャフト(7)とを含み、回転軸に対して法線方向にある平面で見てピストンは中空シャフトの内部に配置され、-案内ユニット(9)を含み、ピストンはそれぞれ案内ユニットの中で直線状に案内されて、回転軸に対して法線方向にある径方向(12)と平行に往復運動可能であり、それによりピストンの第1の端面の噛合部を内歯と順次係合させることができ、および内歯から解放された状態にすることができる。本発明によると、それぞれのピストンセットのピストンを少なくとも1つのクランクピンと結合するために、星形に構成された共通のコンロッド(6)がそれぞれ設けられ、該コンロッドとそれぞれのピストンセットのピストンが連結されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸伝動装置(1)であって、少なくとも1つのクランクピン(4)を有する、回転軸(2)を中心として回転可能なクランクシャフト(3)を含み、前記同軸伝動装置(1)は、前記回転軸(2)から離れるほうを向く第1の端面(10)にそれぞれ少なくとも1つの歯を有する噛合部(11)を有する複数の、好ましくは少なくとも3つの、ピストン(5a-i)を有する少なくとも1つのピストンセットをさらに含み、前記同軸伝動装置(1)は内歯(8)を有する中空シャフト(7)をさらに含み、前記回転軸(2)に対して法線方向にある平面で見て前記ピストン(5a-i)は前記中空シャフト(7)の内部に配置され、
前記同軸伝動装置(1)は案内ユニット(9)をさらに含み、前記ピストン(5a-i)はそれぞれ前記案内ユニット(9)の中で直線状に案内されて、前記回転軸(2)に対して法線方向にある径方向(12)と平行に往復運動可能であり、それにより前記ピストン(5a-i)の前記第1の端面(10)の前記噛合部(11)を前記内歯(8)と順次係合させることができ、および前記内歯(8)から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの前記噛合部(11)と前記内歯(8)との間の面状の接触のもとで、前記中空シャフト(7)または前記案内ユニット(9)を前記回転軸(2)を中心としてさらに回転させる、同軸伝動装置において、それぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)を少なくとも1つの前記クランクピン(4)と結合するために、星形に構成された共通のコンロッド(6)がそれぞれ設けられ、該コンロッドとそれぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)が連結されることを特徴とする、同軸伝動装置(1)。
【請求項2】
複数のピストンセットが設けられ、各々の前記ピストンセットについて星形に構成された共通のコンロッド(6)がそれぞれ設けられ、該コンロッドとそれぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)が連結されることを特徴とする、請求項1に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項3】
軌道運動を保証するために、およびこれを超える、星形に構成されたそれぞれの前記コンロッド(6)の前記案内ユニット(9)に対して相対的な回転に対処するために、少なくとも2つの案内ボルト(16)が設けられ、これらの案内ボルトは星形に構成されたそれぞれの前記コンロッド(6)と固定的に結合されるとともに、前記案内ユニット(9)に対して不動に配置された少なくとも1つの案内区域(19)の対応する少なくとも1つの切欠き(17)と係合することを特徴とする、請求項1または2に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの対応する前記切欠き(17)の中で前記案内ボルト(16)が運動するときに少なくとも1つの前記案内区域(19)に沿った転動を容易にするために、前記案内ボルト(16)にローラが設けられることを特徴とする、請求項3に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項5】
それぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)を、星形に構成された付属の前記コンロッド(6)と連結するために、それぞれの径方向(12)に対して横向きに延びる長孔(13)が前記ピストン(5a-i)に設けられ、星形に構成された前記コンロッド(6)に、前記長孔(13)と係合する連結ボルト(14)が取り付けられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記連結ボルト(14)は少なくとも1つの前記案内ボルト(16)も構成することを特徴とする、請求項3または4を引用する請求項5に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項7】
それぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)を、星形に構成された付属の前記コンロッド(6)と連結するために、実質的に固定的に製作された中間部材(15)が設けられ、各々の前記中間部材(15)は、一方では付属の前記ピストン(5a-i)と枢着結合され、他方では星形に構成された前記コンロッド(6)と枢着結合されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項8】
それぞれの前記中間部材(15)と、星形に構成された付属の前記コンロッド(6)との間の枢着結合のために結合ボルト(18)が設けられ、前記結合ボルト(18)のうちの少なくとも1つは前記案内ボルト(16)も構成することを特徴とする、請求項3または4を引用する請求項7に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項9】
前記第1の端面(10)の前記噛合部(11)はそれぞれ複数の、好ましくは3つの、歯を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項10】
前記クランクシャフト(3)は中空に製作されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項11】
前記ピストン(5a-i)は前記第1の端面(10)に向かい合う第2の端面に少なくとも1つの歯を有する噛合部をそれぞれ有し、前記回転軸(2)を中心として回転可能に支承された、外歯を有する内輪が設けられ、前記案内ユニット(9)は少なくとも区域的に前記内輪と前記中空シャフト(7)との間に配置され、前記ピストン(5a-i)の前記第2の端面の前記噛合部を前記外歯と順次係合させることができ、および前記外歯から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの前記噛合部と前記外歯との間の面状の接触のもとで、前記内輪または前記案内ユニット(9)を前記回転軸(2)を中心としてさらに回転させることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項12】
前記案内ユニット(9)は前記回転軸(2)に対して不動に配置されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項13】
前記回転軸(2)を中心とする回転運動に関して前記中空シャフト(7)がロックまたは制動され、
別のクランクピン(21)が設けられ、
前記回転軸(2)から離れるほうを向く第1の端面(10)に少なくとも1つの歯を有する噛合部(11)をそれぞれ有する複数のピストン(23a-t)を有する別のピストンセットが設けられ、
前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)を前記別のクランクピン(21)と結合するために、星形に構成された別のコンロッド(22)が設けられ、該コンロッドと前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)が連結され、
内歯(25)を有する別の中空シャフト(24)が設けられ、前記回転軸(2)に対して法線方向にある平面で見て少なくとも前記別の中空シャフト(24)の内歯が、好ましくは前記別の中空シャフト全体が、前記中空シャフト(7)の断面の内部に配置され、
前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)はそれぞれ前記案内ユニット(9)の中で直線状に案内されて、径方向(12)と平行に往復運動可能であり、それにより、前記回転軸(2)を中心として前記案内ユニット(9)が回転したとき、前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)の前記第1の端面(10)の前記噛合部(11)を前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)と順次係合させることができ、および前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの前記噛合部(11)と前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)との間の面状の接触のもとで、前記別の中空シャフト(24)を前記回転軸(2)を中心としてさらに回転させることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項14】
前記中空シャフト(7)の前記内歯(8)と前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)とはそれぞれ異なる数の歯を有することを特徴とする、請求項13に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの前記クランクピン(4)と前記別のクランクピン(21)とは等しい偏心度を有することを特徴とする、請求項13または14に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの前記クランクピン(4)と前記別のクランクピン(21)とは前記回転軸(2)に関して好ましくは360°/hだけ互いに回転して配置され、ここでhはすべてのクランクピンの総数であることを特徴とする、請求項13から15のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は同軸伝動装置に関し、少なくとも1つのクランクピンを有する、回転軸を中心として回転可能なクランクシャフトを含み、同軸伝動装置は、回転軸から離れるほうを向く第1の端面にそれぞれ少なくとも1つの歯を有する噛合部を有する複数の、好ましくは少なくとも3つの、ピストンを有する少なくとも1つのピストンセットをさらに含み、同軸伝動装置は内歯を有する中空シャフトをさらに含み、回転軸に対して法線方向にある平面で見てピストンは中空シャフトの内部に配置され、同軸伝動装置は案内ユニットをさらに含み、ピストンはそれぞれ案内ユニットの中で直線状に案内されて、回転軸に対して法線方向にある径方向と平行に往復運動可能であり、それによりピストンの第1の端面の噛合部を内歯と順次係合させることができ、および内歯から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの噛合部と内歯との間の面状の接触のもとで、中空シャフトまたは案内ユニットを回転軸を中心としてさらに回転させる。
【背景技術】
【0002】
オーストリア特許明細書第521617号明細書より、少なくとも1つのコンロッドベアリングないしクランクピンを有する、回転軸を中心として回転可能なクランクシャフトを含み、それぞれコンロッドによって少なくとも1つのクランクピンと連結され、回転軸から離れるほうを向く第1の端面に少なくとも1つの歯を有する噛合部をそれぞれ有する複数の、たとえば3つの、ピストンをさらに含み、同軸伝動装置は内歯を有する中空シャフトをさらに含み、回転軸に対して法線方向にある平面で見てピストンは中空シャフトの内部に配置され、同軸伝動装置は案内ユニットをさらに含み、ピストンはそれぞれ案内ユニットの中で直線状に案内されて、回転軸に対して法線方向にある径方向と平行に往復運動可能であり、それによりピストンの第1の端面の噛合部を内歯と順次係合させることができ、および内歯から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中にそれぞれの噛合部と内歯との間の面状の接触のもとで中空シャフトまたは案内ユニットを回転軸を中心としてさらに回転させる、クランクシャフト伝動装置ないし同軸伝動装置が公知である。このような同軸伝動装置によって、高いトルクを小さい設計サイズのもとで伝達することができ、高い変速比、ならびに高い精度ないしゼロバックラッシュを実現することができる。力導入をできる限り均一に形成するには、いっそう多い数のピストンを設けることになるが、このことは、回転軸と平行に測定したときの同軸伝動装置の設計長さの相応の増大を伴い、そのような長さは、利用ケースによっては不都合となり得ることが判明している。それに加えて、コンポーネントの数が増えることでシステムの複雑性も相応に高くなり、このことは、製造公差による誤差という観点から同じく不都合であるとみなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】オーストリア特許明細書第521617号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の課題は、上に挙げた欠点を克服する、改良された同軸伝動装置ないしクランクシャフト伝動装置を提供することにある。
【0005】
上記の課題を解決するために、同軸伝動装置において、少なくとも1つのクランクピンを有する、回転軸を中心として回転可能なクランクシャフトを含み、同軸伝動装置は、回転軸から離れるほうを向く第1の端面にそれぞれ少なくとも1つの歯を有する噛合部を有する複数の、好ましくは少なくとも3つの、ピストンを有する少なくとも1つのピストンセットをさらに含み、同軸伝動装置は内歯を有する中空シャフトをさらに含み、回転軸に対して法線方向にある平面で見てピストンは中空シャフトの内部に配置され、同軸伝動装置は案内ユニットをさらに含み、ピストンはそれぞれ案内ユニットの中で直線状に案内されて、回転軸に対して法線方向にある径方向と平行に往復運動可能であり、それによりピストンの第1の端面の噛合部を内歯と順次係合させることができ、および内歯から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの噛合部と内歯との間の面状の接触のもとで、中空シャフトまたは案内ユニットを回転軸を中心としてさらに回転させ、本発明によると、それぞれのピストンセットのピストンを少なくとも1つのクランクピンと結合するために、星形に構成された共通のコンロッドがそれぞれ設けられ、該コンロッドとそれぞれのピストンセットのピストンが連結され、そのようにして、回転軸に沿って互いに相対的なそれぞれのピストンセットのピストンのオフセットを回避できることが意図される。
【0006】
すなわち1つのピストンセットごとに、以下において「星形コンロッド」とも呼ぶ星形に構成されたコンロッドが利用される。星形に構成されたコンロッドのさらに別の考えられる呼称は「星形結合器」であろう。それに応じて「ピストンセット」には、共通ないし同一の星形コンロッドと結合されたピストンが包含される。
【0007】
さらに各々の星形コンロッドについて、独自のクランクピンが設けられていてよい;あるいは理論的には、1つのクランクピンごとに複数の星形コンロッドも可能であり、それにより、均一性、トルク容量、および力伝達をいっそう向上ないし改善するために、同軸伝動装置のコンパクトな寸法設定のもとで、全体としていっそう多くのピストンを設けることができる。それぞれのクランクピンは、クランクシャフトジャーナルとも呼ぶことができる。
【0008】
クランクピンは偏心器である。したがって本発明の枠内では、偏心軸のクランクピンないし偏心器も意味され得る。したがって本発明の枠内では「クランクシャフト」とは、原理的に「偏心軸」であるとも理解され、その逆も成り立つ。偏心軸が通常は片持ち式に支承され、それに対してクランクシャフトは通常は両側で支承されるという事実は、ここでは問わない。
【0009】
回転軸に沿って見たときに相前後してそれぞれ異なるクランクピンに複数の星形コンロッドが配置されることによって、さらに別の、ないしはさらに低い、変速比を、簡易な方式で実現することができる。
【0010】
星形コンロッドは、しばしば「スラストロッド」とも呼ばれる通常のコンロッドと同じく、クランクシャフトの回転をピストンの直線運動に変換する役目を果たし、星形コンロッドは、偏心器を構成するクランクピンとは異なり、回転軸に対して法線方向にある平面で相応にそれ自体として案内ユニットに対して相対的に(回転軸を中心として)回転するのではなく、当該平面で軌道運動を行う。回転軸に対して法線方向にある上述した軌道運動は偏心性に由来し、案内ユニットに対して相対的な平行なスライドであるとみなすことができ、これがある程度まで一種の揺動運動によって重ね合わされる。
【0011】
このとき星形コンロッドは、「プレストローク」すなわち中空シャフトの内歯の方向へのピストンの運動を伝えるだけでなく、いわゆる「リターンストローク」すなわち中空シャフトの内歯から離れていくピストンの運動も伝える。ピストンが星形コンロッドによって再び引き戻されることは(リターンストローク)、コンロッドなしでの解決法と比べたとき、主要な利点であるとみなすことができる。このことは、特に、同軸伝動装置の事実上任意の取付位置を可能にする。ちょうど内歯と係合していないピストンが重力に起因して落下復帰し、そのために内歯とあらためて予定外に係合するという危険がないからである。
【0012】
カムディスクを用いる解決法でも、同じく落下復帰を防止することはできるものの、そのためには、カムディスクの複数の偏心性を具体化しなければならず、そのため、円形とは相違するカムディスクの断面が生じる(カムディスクの多角形性)。その場合の欠点は、可能な変速比が減ることにある(変速比i=歯数/多角形性;それに応じて、多角形性2のときには変速比の半減が生じ、多角形性3のときには3分の1に低減され、以下同様)。すなわち星形コンロッドは、変速比の減少という欠点も取り除く。
【0013】
これに加えて本発明による同軸伝動装置では、それぞれのピストンの、カムディスクのほうを向く摺動面でのカムディスクの摺動も行われない。このことも同じく好ましく、それは、摺動の最適化のために通常はピストンの摺動面を大幅に丸めることが必要だからであり、このことは、本発明による同軸伝動装置では必要のない制約であるとみなされる。
【0014】
星形に構成された単一のコンロッドが、ピストンセットの全部のピストンについて設けられることにより、同軸伝動装置ないしクランクシャフト伝動装置の、回転軸と平行に測定される設計長さを劇的に低減することができる。回転軸に沿った方向で見て、ピストンを実質的に相互にオフセットなしに配置することができるからである。当然ながら理論上は、たとえば製造公差に基づいて生じる、ある程度のオフセットが生じることも排除できない。これに加えて、同じく製造の理由に基づく僅少なオフセットが計画的に意図されていてもよい。
【0015】
いずれの場合にも、コンポーネントの数が相応に削減される。各々のピストンについて独自のコンロッドが設けられなくてすむからであり、このことはシステムの複雑性を引き下げ、そのようにして製造公差による誤差という観点から好ましく作用する。
【0016】
すなわち、多数のピストンを問題なく使用できることによって、一方では、特別に均一な力導入が可能となり、他方では、極端に高いトルクを伝達できるようになる。
【0017】
さらに、本発明による同軸伝動装置ないしクランクシャフト伝動装置については下記の事項も該当する:
クランクシャフトは駆動部材であり、ないしは駆動部材と呼ぶことができる。
【0018】
回転軸に対して法線方向にある平面で見て、クランクシャフトは少なくとも区域的に中空シャフトの内部に配置されるのが好ましい。
【0019】
中空シャフトは回転軸を中心として回転可能に支承され、従動部材として機能することができるのが好ましい。
【0020】
その代替として、固定された中空シャフトのもとで案内ユニットが従動部材として機能することができ、そのためには案内ユニットが回転可能に支承されていなくてはならない。
【0021】
中空シャフトまたは場合により案内ユニットを、特定の方向でさらに回転させることができるようにするために、少なくとも3つのピストンが設けられるのが好ましい。たとえば3のN倍の整数倍を、たとえば9(すなわちN=3について)を、選択することができ、ただし厳密な数は原則として制約を受けることはなく、それに応じて3の整数倍である必要はない。厳密な数はそのつどの適用ケースに合わせて、特に所望の効率の観点から、ならびに、同軸伝動装置の始動トルクにとって重要であるシステム予荷重の観点から、適合化することができる。
【0022】
さらなる回転は、少なくとも1つのピストンの第1の端面の噛合部が、中空シャフトの内歯に対して、特に面状に押圧されることによって惹起され、それに対して他のピストンは、内歯に対して押圧力を及ぼすことがほとんどなく、またはまったくない。
【0023】
どれだけ多くのピストンが、いつ、どの程度の強さで、内歯と係合するかという観点からのピストンの挙動を、非常に可変的に設計することができる。たとえば3N個のピストンの場合、N個のピストンが内歯と係合して、これを押圧することが意図されていてよい。残りの2N個のピストンは、その間に内歯に対してまったく押圧力を及ぼさず、または僅少な押圧力しか及ぼさない。このとき、残りの2N個のうちの少なくとも1N個は、ゼロバックラッシュを生成するために、内歯と部分的に係合するのが好ましい。このとき残りのピストンのうちの少なくとも1つは、内歯とまったく接触しないのが好ましい。
【0024】
付言しておくと、本発明による同軸伝動装置を相応に設計することで、ゼロバックラッシュを保証するために、内歯と係合する、ないしは部分的に係合する、ピストンの厳密な数を事実上任意に変えることができる。
【0025】
一般に、複数のピストンのもとで、少なくとも2つのピストンが同時に少なくとも部分的に内歯と係合することで、ゼロバックラッシュを保証することができ、上記の2つのピストンのうち一方はプレストロークであり、他方はリターンストロークであるのが好ましい。
【0026】
非常に高い変速比がこのような作用形態によってもたらされる。
【0027】
上述したとおり、それぞれの第1の端面の噛合部と中空シャフトの内歯との面状の接触が可能である。そのための前提条件は、ピストンの直線状の運動にある。これに加えて、押圧ないし面状の接触、およびこれに伴って高いトルクの伝達をいっそう向上させるために、噛合部と内歯を相応に幾何学的に設計ないし最適化することができる。それぞれの第1の端面と中空シャフトの内歯との噛合部の面状の押圧ないし面状の接触により、線形接触ないし線形の係合がなされる、従来技術から公知の解決法とは異なり、それに比べて非常に高いトルクをクランクシャフトから中空シャフトへ、または場合により案内ユニットへ、伝達することができる。さらに、面状の押圧ないし面状の接触によってヘルツの接触応力が緩和され、それによって耐用期間が長くなる。
【0028】
付言しておくと、噛合部ないし内歯のジオメトリーは本件の同軸伝動装置においても、ピストンの直線状の運動にもかかわらず線形接触が生じるように設計することができ、このことは、摩擦の低減(およびこれに伴って効率の向上)が望ましいときに好ましい場合がある。
【0029】
ピストンの数を増やすことが容易に可能なことで、そのようなケースでもいっそうの増設可能性がもたらされ、このことは伝達可能なトルクの大きさに関連する。
【0030】
少なくとも3つのピストンによって、第1の端面の噛合部をもって内歯を特に面状に押圧する次のピストンが、中空シャフトまたは場合により案内ユニットを反対方向へ戻るように回転させることがなく、回転軸を中心とする中空シャフトまたは場合により案内ユニットの往復運動が生じるだけであることを保証することができる。それに対して2つのピストンの場合には、そのようなケースが該当することは原則として排除されるが、それでも2つのピストンの場合には、たとえばロック部やフリーホイーリングなどの種類の追加の部材が設けられていてよく、これが中空シャフトまたは場合により案内ユニットの回転を特定の方向へのみ許容し、それにより2つだけのピストンにおいても、中空シャフトまたは場合により案内ユニットのさらなる回転が可能となる。
【0031】
第1の端面の噛合部は、第1の端面に刻設された噛合部と呼ぶことができる。それぞれのピストンは、これに応じて「歯付き部材」と呼ぶこともできる。
【0032】
案内ユニットは一体的に、または複数の部材が組み合わされて、構成されていてよい。
【0033】
案内ユニットの中でピストンが直線状に案内されることに基づき、ピストンは相応にそれぞれの径方向に対して平行にのみ運動し、このときそれぞれのピストンに割り当てられる径方向は、案内ユニットによって定義される。
【0034】
直線状の案内部は、特に、ピストンが中に配置される、案内ユニットの中の中空シリンダによって構成されていてよい。このケースでは、それぞれのピストンに割り当てられる径方向は、それぞれのシリンダ軸によって定義される。このとき典型的には、ピストンは実質的に円形の横断面(それぞれの径方向に対して法線方向にある)を有する。しかしながら、原則としてピストンのこれ以外の断面形状、たとえば長方形や長孔状の断面も可能であり、それは特に、噛合部の「深さ」(すなわち回転軸と平行なその寸法設定)を、およびこれに伴って伝達可能な力を、大きくするためである。再度付言しておくと、案内ユニットが定置ではなく回転することができるケースも考えられる。その場合には、ピストンに割り当てられる径方向も案内ユニットの回転によって相応に変化し、ないしは、数学的に厳密に言えばその場合、案内ユニットが回転している時間帯にわたって見たとき、無限に多くの径方向が存在する。
【0035】
これに加えて、同軸伝動装置は高い変速比と歯接触時の摩擦により、原則として、駆動障害が起きた場合にセルフロック型でもある。特にこの同軸伝動装置は、ピストンのうちの1つが上死点にとどまることで、すなわちこのピストンがそのつどの径方向で回転軸から離れるように最大にスライドしたときに、ロックをすることができ、それによって制動の機能性を具体化することができる。コンロッドなしでの解決法は、そのようなロックを通常は可能にすることがない。
【0036】
同軸伝動装置のさらに別の利点は、高いダイナミクスが可能になることにある。クランクシャフトの少なくとも1つのクランクピンが回転軸を中心とする円形の運動を描き、好ましくはそれ自体で円形の断面を回転軸に対して垂直に有し、それにより、たとえばそれ自体として公知の方式で補償ウェイトによって、またはクランクシャフトのボアによって、質量補償を非常に容易に具体化することができるからである。
【0037】
本発明による同軸伝動装置の好ましい実施形態では、複数のピストンセットが設けられることが意図され、各々のピストンセットについて星形に構成された共通のコンロッドがそれぞれ設けられ、該コンロッドとそれぞれのピストンセットのピストンとが連結される。設計長さを過度に増やす必要なしに、力導入の均一性だけでなく、伝達可能なトルクの大きさもそれによっていっそう高めることができる。
【0038】
上で説明した軌道運動を超える、案内ユニットに対する星形コンロッドの回転(回動)を設計的に特別に簡易な方式で排除するために、本発明による同軸伝動装置の好ましい実施形態では、軌道運動を保全し、これを超える、星形に構成されたそれぞれのコンロッドの案内ユニットに対して相対的な回転を防止するために、少なくとも2つの案内ボルトが設けられることが意図され、該案内ボルトは、星形に構成されたそれぞれのコンロッドと固定的に結合され、案内ユニットに対して不動に配置された少なくとも1つの案内区域の少なくとも1つの対応する切欠きに係合する。
【0039】
各々の案内ボルトに、それぞれ1つの対応する切欠きが割り当てられるのが好ましい。
【0040】
少なくとも1つの案内区域は、案内ユニットとは基本的に別個の部品であってよい。その代替として、少なくとも1つの案内区域は案内ユニットの一部であってよく、および/または案内ユニットと一体的に構成されていてよい。
【0041】
このとき少なくとも2つの案内ボルトは、回転軸に対して法線方向にある平面で見て、案内ユニットの内部に配置されていてよく、このことは特別にコンパクトな配置をもたらす。
【0042】
少なくとも1つの対応する切欠きの寸法設定は、当然ながら、クランクピンないしクランクの偏心度に合わせて適合化されていてよい。たとえば、各々の案内ボルトについてそれぞれ1つの対応する切欠きが設けられる場合、それぞれの対応する切欠きは、相応に適合化された直径を有するボアとして製作されていてよく、それは特に、ボア直径の大きさが、偏心度に案内ボルトの直径を足したものの2倍に等しく選択されることによる。その場合、相応にそれぞれの案内ボルトは、割り当てられた切欠きないし案内区域と常に接線上で接触する。
【0043】
案内ボルトと切欠きとの間の摩擦損失を最小化するために、本発明による同軸伝動装置の特別に好ましい実施形態では、少なくとも1つの対応する切欠きの中で案内ボルトが運動するときに少なくとも1つの案内区域に沿った転動を容易にするために、案内ボルトにローラが設けられることが意図される。すなわち、それぞれの案内ボルトは案内区域に沿って摺動するのではなく、1つまたは複数のローラによって少なくとも1つの案内区域の上で転動する。
【0044】
ピストンと星形コンロッドとの間の連結は、原則として、多種多様な方式で行うことができる。設計的に特別に簡易な連結を具体化するために、本発明による同軸伝動装置の好ましい実施形態では、それぞれのピストンセットのピストンを星形に構成された付属のコンロッドと連結するために、それぞれの径方向に対して横向きに延びる長孔がピストンに設けられることが意図され、星形に構成されたコンロッドに、長孔と係合する連結ボルトが取り付けられる。
【0045】
このような連結の方式は特別に省スペースであることが判明しており、それにより、クランクシャフトが相応に大きい直径を有することができ、このことは、機械的な安定性という観点から好ましいばかりでなく、クランクシャフトの中空の実施形態のもとで、ケーブル等の特にねじれのない挿通のための特別に広いスペースを可能にする。
【0046】
長孔はそれぞれのピストンの径方向に対して法線方向に延びるのが好ましい。あるいは、それぞれの長孔の延在が直線状ではなく湾曲を有することも考えられよう。
【0047】
連結ボルトないしその長軸は、回転軸と平行に延びるのが好ましい。
【0048】
連結ボルトはピストンの長孔の中に配置され、それによって係合が具体化される。したがってピストンの運動は、スライダクランクの原理に基づいて行われる。
【0049】
本発明による同軸伝動装置の特別に好ましい実施形態では、連結ボルトのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの案内ボルトとしても構成されることが意図される。それによって部品の数がいっそう減り、このことはスペース、重量、およびコストを削減する。連結ボルトのうちの少なくとも2つが、少なくとも2つの案内ボルトを形成するのが好ましい。全部の案内ボルトが連結ボルトによって構成されるのが特別に好ましい。
【0050】
設計的に簡易である、ピストンと星形コンロッドとの間の連結の代替的な方式を具体化するために、本発明による同軸伝動装置の好ましい実施形態では、それぞれのピストンセットのピストンを、星形に構成された付属のコンロッドと連結するために、実質的に固定的に製作された中間部材が設けられることが意図され、各々の中間部材は、一方では付属のピストンと枢着結合され、他方では星形に構成されたコンロッドと枢着結合される。それにより、星形コンロッドの運動を特別に少ない摩擦で具体化することができ、それにより出力損失が最小化される。
【0051】
それぞれの中間部材と付属のピストンとの間の枢着結合は、たとえばそれ自体として周知の方式で、回転継手または固体継手によって具体化されていてよい。それぞれの中間部材と、星形に構成された付属のコンロッドとの間の枢着結合のためにも、たとえばそれぞれ1つの回転継手または固体継手が設けられていてよい。
【0052】
本発明による同軸伝動装置の特別に好ましい実施形態では、それぞれの中間部材と、星形に構成された付属のコンロッドとの間の枢着結合のために、結合ボルトが設けられることが意図され、結合ボルトのうちの少なくとも1つは案内ボルトも構成する。それによって部品の数が減り、このことはスペース、重量、およびコストを削減する。結合ボルトのうち少なくとも2つが、少なくとも2つの案内ボルトを構成するのが好ましい。全部の案内ボルトが、結合ボルトによって構成されるのが特別に好ましい。
【0053】
伝達可能なトルクの大きさをいっそう高めるために、本発明による同軸伝動装置の好ましい実施形態では、第1の端面の噛合部はそれぞれ複数の、好ましくは3つの、歯を有することが意図される。第1の端面の噛合部の歯の数に伴って、それぞれのピストンが内歯に対して押圧することができる面積が広くなり、このことは、クランクシャフトと中空シャフトまたは場合により案内ユニットとの間での特別に大きいトルクの伝達を可能にする。
【0054】
本発明による同軸伝動装置の好ましい実施形態では、クランクシャフトへ好ましくは回転軸に沿ってねじれなしにケーブルを通せるようにするために、クランクシャフトが中空に製作されることが意図される。
【0055】
本発明による同軸伝動装置の好ましい実施形態では、ピストンは第1の端面に向かい合う第2の端面に少なくとも1つの歯を有する噛合部をそれぞれ有し、回転軸を中心として回転可能に支承された、外歯を有する内輪が設けられることが意図され、案内ユニットは少なくとも区域的に内輪と中空シャフトとの間に配置され、ピストンの第2の端面の噛合部を外歯と順次係合させることができ、および外歯から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの噛合部と外歯との間の面状の接触のもとで、内輪または案内ユニットを回転軸を中心としてさらに回転させる。
【0056】
第2の端面の噛合部は、第2の端面に刻設された噛合部と呼ぶこともできる。
【0057】
内輪は回転軸を中心として回転可能に支承されるのが好ましく、それがロックされている限りにおいて、原理的にシャフトの機能を有し、したがって内側シャフトと呼ぶこともできる。その外歯は中空シャフトの内歯のほうを向く。
【0058】
原理的に、中空シャフトの内歯への第1の端面の噛合部の係合について述べたことが、内輪の外歯への第2の端面の噛合部の係合にも準用され、したがって、基本的には上で述べたことを援用する。特に、それぞれのピストンの第2の端面の噛合部と、内輪の外歯との間での面状の接触ないし面状の押圧のもとで、線形接触がなされる解決法とは異なり、クランクシャフトと内輪または場合により案内ユニットとの間で、特別に高いトルクを伝達することができる。
【0059】
さらに、クランクシャフトと内輪または場合により案内ユニットとの間で特別に高いトルクを伝達するために、それぞれ複数の、特に3つの、歯が第2の端面の噛合部に設けられていてよい。
【0060】
制動または固定された案内ユニットのもとで、1つないし各々のピストンが中空シャフトと内輪を交互に駆動する。内輪と中空軸はいずれも駆動部として機能することができる。中空シャフトまたは内輪だけが駆動部として機能することもでき、この場合、それぞれ他方の部材は制動またはロックされる。
【0061】
内輪は中空シャフトよりも小さい直径を有するので、内輪では等しい角速度のもとでいっそう低い接線方向速度を実現することができ、ないしは取り出すことができる。すなわち内輪と中空シャフトによって、それぞれ異なる速度のための2つのアウトプットを同時に提供することができ、それにより適用ケースに応じて、場合により第2の伝動装置を省くことができる。
【0062】
内輪は中空シャフトと相対回転不能に結合されていてよく、ただし、そうでなければならないわけではなく、結合がなされる場合、一方では同軸伝動装置のいっそう高い分解能を実現することができ、他方では、いっそう大きなトルクの伝達を実現することができる。
【0063】
さらに理論上、2つだけのピストンを有する実施態様も考えられ、その場合には内輪によって、全部で4つの(ピストン)係合に基づき、中空シャフトまたは場合により案内ユニットが1つの特定の方向へのみさらに運動することが保証される。
【0064】
最後に、内輪は中空シャフトの回転方向と比較して反対の方向へ回転することも可能である。
【0065】
本発明による同軸伝動装置の好ましい実施形態では、案内ユニットは回転軸に対して不動に配置されることが意図される。このケースでは中空シャフトがさらに運動して、従動部材として機能する。場合により、このような実施態様では内輪(存在する場合)もさらに運動することができ、これが同じく制動されていてよく、または従動部材として機能することができる。
【0066】
すでに上で述べたとおり、回転軸に沿って見たときにそれぞれ異なるクランクピンの上に複数の星形コンロッドが相前後して配置されることで、簡易な方式で他の変速比ないし非常に高い変速比を実現することができる。それに応じて、本発明による同軸伝動装置の好ましい実施形態では、回転軸を中心とする回転運動に関して中空シャフトがロックまたは制動され、別のクランクピンが設けられ、回転軸から離れるほうを向く第1の端面に少なくとも1つの歯を有する噛合部をそれぞれ有する複数のピストンを有する別のピストンセットが設けられ、別のピストンセットのピストンを別のクランクピンと結合するために、星形に構成された別のコンロッドが設けられ、これと別のピストンセットのピストンとが連結され、内歯を有する別の中空シャフトが設けられ、回転軸に対して法線方向にある平面で見て少なくとも別の中空シャフトの内歯が、好ましくは別の中空シャフト全体が、中空シャフトの断面の内部に配置され、別のピストンセットのピストンはそれぞれ案内ユニットの中で直線状に案内されて、径方向と平行に往復運動可能であり、それにより、回転軸を中心として案内ユニットが回転したとき、別のピストンセットのピストンの第1の端面の噛合部を別の中空シャフトの内歯と順次係合させることができ、および別の中空シャフトの内歯から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの噛合部と別の中空シャフトの内歯との間の面状の接触のもとで、別の中空シャフトを回転軸を中心としてさらに回転させることが意図される。
【0067】
この実施形態では、案内ユニットではなく中空シャフトが回転軸に対して不動に配置され、ないしはロックもしくは制動される。
【0068】
アウトプットは別の中空シャフトで行われる。
【0069】
このとき案内ユニットは少なくとも1つのピストンセットのピストンだけでなく、別のピストンセットのピストンも案内する。
【0070】
少なくとも1つのクランクピンと、別のクランクピンないし別の偏心器とは、回転軸に沿って見たときに相前後して配置され、少なくとも1つのクランクピンと別のクランクピンとは必ずしも直接的に互いに連続していなくてよく、ないしは直接的に互いに後続していなくてよい。すなわち、これらのクランクピンの間の間隔が意図されていてもよい。
【0071】
当然ながら、複数の別のクランクピン、複数の別のピストンセット、星形に構成された複数の別のコンロッド、および複数の別の中空シャフトが設けられることが可能であり、これらは典型的には回転軸に沿って見たときそれぞれ相前後して配置される。
【0072】
結果として得られる同軸伝動装置の2段または多段の実施形態のもとで、一方では、比較的多い数の歯が出力伝達に関与し、それによっていっそう高いトルクを伝達することができる。他方では、特に低速への比較的高い変速比を具体化することができる。
【0073】
このとき全体変速比iは、固定ないし制動される段の歯数zf、すなわち中空シャフトの内歯の歯数と、従動段の歯数、すなわち別の中空シャフトの内歯の歯数とから、i=za*(zf-1)/(za-zf)に従って算出される。たとえば中空シャフトの内歯が42個の歯を有し、別の中空シャフトの内歯が41個の歯を有している場合、全体変速比i=-1681が得られ、すなわち低速への非常に高い変速比が得られる(日常語では減速とも呼ばれる)。|i|>>1が成り立つからである。マイナス記号は、案内ユニットと別の中空シャフトとが反対方向へ回転することを表す。
【0074】
それに応じて、変速比の広い帯域幅を具体化するために、および特に高い変速比を具体化するために、本発明による同軸伝動装置の特別に好ましい実施形態では、中空シャフトの内歯と別の中空シャフトの内歯とがそれぞれ異なる数の歯を有することが意図される。
【0075】
原則として、少なくとも1つのクランクピンの偏心度と別のクランクピンの偏心度とは異なる大きさであってよい。本発明による同軸伝動装置の特別に好ましい実施形態では、少なくとも1つのクランクピンと別のクランクピンとは等しい偏心度を有することが意図される。このことは、良好な質量補償という観点から好ましいことが判明している。
【0076】
同様に、ゼロに等しくないある程度のクランクピンオフセットも、良好な質量補償の観点から好都合であることが判明している。したがって、本発明による同軸伝動装置の特別に好ましい実施形態では、少なくとも1つのクランクピンと別のクランクピンとが回転軸に関して好ましくは360°/hだけ互いに回転して配置されることが意図され、ここでhはすべてのクランクピンの総数である。
【0077】
360°/hのクランクピンオフセットは質量補償の観点から最善であることが判明しており、ここでhは、少なくとも1つのクランクピンの数と別のクランクピンの数との合計である。すなわち同軸伝動装置の上記の実施形態において、たとえばちょうど1つのクランクピンとちょうど1つの別のクランクピンとが設けられている場合、h=2であるから、360°/2=180°のクランクピンオフセットがクランクピンと別のクランプピンとの間で生じる。
【0078】
次に、実施例を参照しながら本発明について詳しく説明する。図面は例示であり、本発明を説明するものではあるが、いかなる形でも限定をするものではなく、決して完結的に反映するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】本発明による同軸伝動装置の第1の実施例を示す模式的な断面図である。
【
図2】本発明による同軸伝動装置の第2の実施例を示す模式的な断面図である。
【
図3】案内区域を見ることができる、本発明による同軸伝動装置の第2の実施例を示す模式的な断面図である。
【
図4】本発明による同軸伝動装置の第3の実施例を示す模式的な断面図ないし正面図である。
【
図5】
図4の切断線V-Vに沿って第3の実施例を示す模式的な断面図であり、矢印は視線方向を示唆している。
【
図6】
図5の切断線VI-VIに沿って第3の実施例を示す模式的な断面図であり、矢印は視線方向を示唆している。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1の断面図には、本発明による同軸伝動装置1の第1の実施例が示されている。この同軸伝動装置1はクランクシャフト3を有しており、該クランクシャフトは回転軸2を中心として回転可能であるとともにクランクピン4を有しており、該クランクピンは
図1に見ることができ、クランクシャフト3が回転したときに回転軸2を中心として回転する偏心器を構成する。
【0081】
第1の実施例の同軸伝動装置1は、9つのピストン5a-iを有するピストンセットを有している。これらの各々のピストン5a-iは、回転軸2から離れるほうを向く第1の端面10に、刻設された歯を有する噛合部11を有している。
【0082】
さらにこの同軸伝動装置1では、内歯8を有する中空シャフト7が設けられている。回転軸2に対して垂直である
図1の図平面では、ピストン5a-iは、および少なくとも区域的にクランクシャフト3は、中空シャフト7の内部に配置されている。このことは案内ユニット9についても該当し、その中でピストン5a-iがそれぞれ直線状に案内されて、回転軸2に対して法線方向にある径方向12と平行にそれぞれ往復運動可能である。そのために案内ユニット9は、図示した実施例では、ピストン5a-iのための直線状の案内部として機能する中空シリンダを有している。ピストン5a-iは、案内ユニット9の中空シリンダの中に配置された区域で円形の断面を有しており、それぞれの断面は、それぞれの径方向12に対して法線方向に位置する。
【0083】
ピストン5a-iが往復運動することで、ピストン5a-iの第1の端面10の噛合部11が内歯8と順次係合し、および内歯8から解放された状態へとなり、ピストン5a-iの直線状の運動に基づき、係合中に、それぞれの噛合部11と内歯8との間で面状の接触を保証することができ、それぞれの噛合部11が内歯8に対して面状に押圧される。それにより、案内ユニット9が回転軸2に対して不動に配置されている場合には、または案内ユニット9が回転軸2を中心として回転可能に配置されているが制動されている場合には、中空シャフト7が中心軸2を中心として一区画だけさらに回転する。それに対して中空シャフト7が回転軸2に対して固定され、ないしは不動である場合には、または制動されている場合には、(回転軸2を中心として回転可能に支承された)案内ユニット9が一区画だけさらに回転する。面状の係合ないし押圧に基づき、非常に高いトルクをクランクシャフト3から中空シャフト7または場合により案内ユニット9へ、伝達することができる。
【0084】
図1~3に示す実施例では、案内ユニットは回転軸2に対して不動に配置されるのが好ましく、それにより、クランクシャフト3が回転すると中空シャフト7が運動する。
【0085】
ピストンセットのピストン5a-iとクランクピン4を結合するために、本発明によると、星形に構成された共通のコンロッド6が設けられ、これとピストン5a-iが連結される。それにより図示した実施例では、回転軸2に関して、ピストン5a-iの実質的に相互のオフセットのない配置が生じており、そこから、比較的多い数のピストン5a-iにもかかわらず、回転軸2と平行に測定される極端に小さい同軸伝動装置1の全長が帰結される。それと同時に、比較的多い数のピストン5a-iによって非常に均一な力導入が具体化され、さらには、極端に高いトルクを伝達することができる。
【0086】
軌道運動を保証するために、およびこれを超える、星形に構成されたコンロッド6の案内ユニット9に対して相対的な回転に対処するために、
図1~3に示す実施例では、それぞれ2つの案内ボルト16が設けられていて、これらの案内ボルトは星形に構成されたコンロッド6と固定的に結合されて、これから回転軸2と平行に延びるように突出する。このとき案内ボルト16は、特に案内ボルト16の自由端を有している区域は、
図3を参照すると、案内区域19の対応する切欠き17と係合し、ないしは区域的に切欠き17の中に配置され、案内区域19は案内ユニット9に対して不動に配置され、ないしはこれと結合される。図示した実施例では、対応する切欠き17はボアとして製作されており、切欠き17の寸法設定はクランクピン4の偏心度に合わせて適合化されている。
【0087】
ピストン5a-iと星形に構成されたコンロッド6との間の連結は、多種多様な方式で行うことができる。
図1に示している第1の実施例では、ピストンセットのピストン5a-iと、これに割り当てられる星形に構成されたコンロッド6とを連結するために、ピストン5a-iに、それぞれの径方向12に対して横向きに延びる長孔13が設けられており、星形に構成されたコンロッド6には、長孔13と係合する、ないしは区域的に長孔13の中に配置される、連結ボルト14が取り付けられている。すなわち、このようにしてピストン5a-1の運動はスライダクランクの原理に基づいて行われる。図示した実施例では、長孔13は実質的に直線状に延びるとともに、それぞれの径方向12に対して実質的に法線方向に、ならびに回転軸2に対して実質的に法線方向に延びている。連結ボルト14は回転軸2に対して実質的に平行に延びており、ないしは、星形に構成されたコンロッド6から回転軸2に対して平行に突出する。
【0088】
図1に示す第1の実施例では、連結ボルト14のうちの2つが案内ボルト16を構成しており、それは、これらの連結ボルト14が残りの連結ボルト14よりも若干長く構成され、それぞれの長孔13を通過して案内区域19のそれぞれの切欠き17の中へ突入することによる。それによって部品の数がいっそう削減される。
【0089】
図2に示す第2の実施例は、星形に構成されたコンロッド6へのピストン5a-iの連結によってのみ第1の実施例から区別されるので、同軸伝動装置1の基本的な作用形態に関しては上で述べたことを援用する。具体的には第2の実施例では、ピストンセットのピストン5a-iを星形に構成されたコンロッド6と連結するために、実質的に固定的に製作された中間部材15が設けられることが意図され、各々の中間部材15は、一方では付属のピストン5a-iと枢着結合され、他方では星形に構成されたコンロッド6と枢着結合される。
【0090】
図示した実施例では、それぞれの中間部材15と星形に構成されたコンロッド6との間の枢着結合のために、回転継手ないしその回転軸を定義する結合ボルト18が設けられており、これらの回転軸は回転軸2と平行である。このとき結合ボルト18は、星形に構成されたコンロッド6から回転軸2と平行に突出する。部品を節減するために、結合ボルト18のうちの2つは同時に案内ボルト16も構成しており、それは、これらの結合ボルト18が残りの結合ボルト18よりも若干長く構成されて、案内区域の19それぞれの切欠き17の中へ突入することによる。
図3を参照。
【0091】
それぞれの中間部材15と付属のピストン5a-iとの間の枢着結合は、図示した第2の実施例では、それぞれ1つの回転継手20によって具体化されていてよく、回転継手20の回転軸は回転軸2と平行に延びている。
【0092】
図1および
図2の両方の図示した実施例では、クランクシャフト3はそれぞれ回転軸2に沿って中空に構成されており、このことは、たとえばケーブル(図示せず)のねじれのない挿通を可能にする。
【0093】
別段の断りがない限り、第3の実施例についても上で述べたことが当てはまり、したがって相応の繰り返しは省略する。
図4、
図5、および
図6に示す第3の実施例では、回転軸2を中心とする回転運動に関して、案内ユニット9が不動に配置されるのではなく、ないしはロックまたは制動されるのではなく、中空シャフト7がロックまたは制動される。
【0094】
同軸伝動装置1は、このケースでは別のクランクピン21を含み、ならびに、回転軸2から離れるほうを向く第1の端面10に少なくとも1つの歯を備えた噛合部11をそれぞれ有する複数のピストン5a-tを有する別のピストンセットを含んでいる。
【0095】
本実施例では、偏心シャフトないしクランクシャフト3は、偏心器ないしクランクピン4および別の偏心器ないしクランクピン21と一体的に製作されており、クランクピン4,21は、回転軸2に沿って見たとき、直接的に相前後して配置されている。
図5を参照。
【0096】
別のピストンセットのピストン23a-tを別のクランクピン21と結合するために、星形に構成された別のコンロッド22が設けられていて、これと別のピストンセットのピストン23a-tとが連結される。
【0097】
ピストン23a-tを、星形に構成された別のコンロッド22と連結するために、このケースでは星形に構成されたコンロッド6ではなく星形に構成された別のコンロッド22の中間部材15が、同じく設けられている。中間部材15は、星形に構成された別のコンロッド22の側では結合ボルト18によって回転可能に支承され、ピストン23a-tの側では回転継手20によって回転可能に支承され、付属の回転軸は回転軸2と平行に延びている。
【0098】
星形の別のコンロッド22は別のクランクピン21に、クランクピン4での星形のコンロッド6の支承に準じて、図示した実施例ではニードルベアリング26によって構成される支承部によって支承されている。
【0099】
図示した第3の実施例では、同軸伝動装置1は内歯25を有する別の中空シャフト245をさらに含んでおり、回転軸2に対して法線方向にある平面で見て、別の中空シャフト24の全体が中空シャフト7の断面の内部に配置されている。特に
図4および
図5を参照。
【0100】
図示した第3の実施例では、中空シャフト7と別の中空シャフト24は回転軸2に沿って見たとき、別の中空シャフト24が中空シャフト7の外部に位置して、これに直接的に後続するように相前後して配置されている。しかし当然ながら、中空シャフト7が別の中空シャフト24から、特に内歯を有さない中空シャフト7の区域27をもって、回転軸2と平行に突き出すことも可能であろう。それに代えて、中空シャフト7のこの内歯8のない区域27は、別の中空シャフト24のための軸受、特に滑り軸受を構成することもできる。内歯のない区域27を有する、そのような中空シャフト7の可能なジオメトリーないし設計が、
図5に点線で示唆されている。
【0101】
別のピストンセットンのピストン23a-tは、ピストンセットのピストン5a-tと同じく、それぞれ案内ユニット9の中で直線状に案内されて、径方向12と平行に往復運動可能である。それにより、回転軸2を中心として案内ユニット9が回転すると、別のピストンセットのピストン23a-tの第1の端面10の噛合部11が、別の中空シャフト24の内歯25と順次係合し、および別の中空シャフト24の内歯25から解放された状態になり、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの噛合部11と別の中空シャフト24の内歯25との間の面状の接触のもとで、別の中空シャフトを回転軸2を中心としてさらに回転させる。
【0102】
このようにして2段の同軸伝動装置1が具体化され、別の中空シャフト24は従動部として機能し、特別に高い変速比を具体化可能である。この関連において、図示している第3の実施例では、中空シャフト7の内歯8と別の中空シャフト24の内歯25とは、それぞれ異なる数の歯を有する。
【0103】
具体的には、図示した第3の実施例では、別の中空シャフト24の内歯25の歯数zaについてはza=41が成り立ち、中空シャフト7の内歯8の歯数zfについてはzf=42が成り立つ。このように、全体変速比としてi=za*(zf-1)/(za-zf)=-1681が得られ、すなわち非常に高い減速比が得られ、案内ユニット9と別の中空シャフト24とは反対の方向へ回転する。
【0104】
図示した第3の実施例では、クランクピン4と別のクランクピン21とは等しい偏心度を有している。
図5を参照。このことは、質量補償の観点からポジティブに作用する。
【0105】
これに加えて第3の実施例では、質量補償を最適化するために180°のクランクピンオフセットが意図されている。すなわちクランクピン4と別のクランクピン21は、回転軸2に関して180°だけ互いに回転して配置されている。
図5を参照。
【符号の説明】
【0106】
1 同軸伝動装置
2 回転軸
3 クランクシャフト
4 クランクピン
5a-i,j-t ピストン
6 星形に構成されたコンロッド
7 中空シャフト
8 中空シャフトの内歯
9 案内ユニット
10 ピストンの第1の端面
11 第1の端面の噛合部
12 径方向
13 長孔
14 連結ボルト
15 中間部材
16 案内ボルト
17 切欠き
18 結合ボルト
19 案内区域
20 回転継手
21 別のクランクピン
22 星形に構成された別のコンロッド
23a-t 別のピストンセットのピストン
24 別の中空シャフト
25 別の中空シャフトの内歯
26 ニードルベアリング
27 中空シャフトの内歯のない区域
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸伝動装置(1)であって、少なくとも1つのクランクピン(4)を有する、回転軸(2)を中心として回転可能なクランクシャフト(3)を含み、前記同軸伝動装置(1)は、前記回転軸(2)から離れるほうを向く第1の端面(10)にそれぞれ少なくとも1つの歯を有する噛合部(11)を有する複数の、好ましくは少なくとも3つの、ピストン(5a-i)を有する少なくとも1つのピストンセットをさらに含み、前記同軸伝動装置(1)は内歯(8)を有する中空シャフト(7)をさらに含み、前記回転軸(2)に対して法線方向にある平面で見て前記ピストン(5a-i)は前記中空シャフト(7)の内部に配置され、
前記同軸伝動装置(1)は案内ユニット(9)をさらに含み、前記ピストン(5a-i)はそれぞれ前記案内ユニット(9)の中で直線状に案内されて、前記回転軸(2)に対して法線方向にある径方向(12)と平行に往復運動可能であり、それにより前記ピストン(5a-i)の前記第1の端面(10)の前記噛合部(11)を前記内歯(8)と順次係合させることができ、および前記内歯(8)から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの前記噛合部(11)と前記内歯(8)との間の面状の接触のもとで、前記中空シャフト(7)または前記案内ユニット(9)を前記回転軸(2)を中心としてさらに回転させる、同軸伝動装置において、それぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)を少なくとも1つの前記クランクピン(4)と結合するために、星形に構成された共通のコンロッド(6)がそれぞれ設けられ、該コンロッドとそれぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)が連結されることを特徴とする、同軸伝動装置(1)。
【請求項2】
複数のピストンセットが設けられ、各々の前記ピストンセットについて星形に構成された共通のコンロッド(6)がそれぞれ設けられ、該コンロッドとそれぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)が連結されることを特徴とする、請求項1に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項3】
軌道運動を保証するために、およびこれを超える、星形に構成されたそれぞれの前記コンロッド(6)の前記案内ユニット(9)に対して相対的な回転に対処するために、少なくとも2つの案内ボルト(16)が設けられ、これらの案内ボルトは星形に構成されたそれぞれの前記コンロッド(6)と固定的に結合されるとともに、前記案内ユニット(9)に対して不動に配置された少なくとも1つの案内区域(19)の対応する少なくとも1つの切欠き(17)と係合することを特徴とする、請求項1または2に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの対応する前記切欠き(17)の中で前記案内ボルト(16)が運動するときに少なくとも1つの前記案内区域(19)に沿った転動を容易にするために、前記案内ボルト(16)にローラが設けられることを特徴とする、請求項3に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項5】
それぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)を、星形に構成された付属の前記コンロッド(6)と連結するために、それぞれの径方向(12)に対して横向きに延びる長孔(13)が前記ピストン(5a-i)に設けられ、星形に構成された前記コンロッド(6)に、前記長孔(13)と係合する連結ボルト(14)が取り付けられることを特徴とする、請求項
3に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記連結ボルト(14)は少なくとも1つの前記案内ボルト(16)も構成することを特徴とする、請求項
5に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項7】
それぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)を、星形に構成された付属の前記コンロッド(6)と連結するために、実質的に固定的に製作された中間部材(15)が設けられ、各々の前記中間部材(15)は、一方では付属の前記ピストン(5a-i)と枢着結合され、他方では星形に構成された前記コンロッド(6)と枢着結合されることを特徴とする、請求項
3に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項8】
それぞれの前記中間部材(15)と、星形に構成された付属の前記コンロッド(6)との間の枢着結合のために結合ボルト(18)が設けられ、前記結合ボルト(18)のうちの少なくとも1つは前記案内ボルト(16)も構成することを特徴とする、請求項
7に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項9】
前記第1の端面(10)の前記噛合部(11)はそれぞれ複数の、好ましくは3つの、歯を有することを特徴とする、請求項
1または2に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項10】
前記クランクシャフト(3)は中空に製作されることを特徴とする、請求項
1または2に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項11】
前記ピストン(5a-i)は前記第1の端面(10)に向かい合う第2の端面に少なくとも1つの歯を有する噛合部をそれぞれ有し、前記回転軸(2)を中心として回転可能に支承された、外歯を有する内輪が設けられ、前記案内ユニット(9)は少なくとも区域的に前記内輪と前記中空シャフト(7)との間に配置され、前記ピストン(5a-i)の前記第2の端面の前記噛合部を前記外歯と順次係合させることができ、および前記外歯から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの前記噛合部と前記外歯との間の面状の接触のもとで、前記内輪または前記案内ユニット(9)を前記回転軸(2)を中心としてさらに回転させることを特徴とする、請求項
1または2に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項12】
前記案内ユニット(9)は前記回転軸(2)に対して不動に配置されることを特徴とする、請求項
1または2に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項13】
前記回転軸(2)を中心とする回転運動に関して前記中空シャフト(7)がロックまたは制動され、
別のクランクピン(21)が設けられ、
前記回転軸(2)から離れるほうを向く第1の端面(10)に少なくとも1つの歯を有する噛合部(11)をそれぞれ有する複数のピストン(23a-t)を有する別のピストンセットが設けられ、
前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)を前記別のクランクピン(21)と結合するために、星形に構成された別のコンロッド(22)が設けられ、該コンロッドと前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)が連結され、
内歯(25)を有する別の中空シャフト(24)が設けられ、前記回転軸(2)に対して法線方向にある平面で見て少なくとも前記別の中空シャフト(24)の内歯が、好ましくは前記別の中空シャフト全体が、前記中空シャフト(7)の断面の内部に配置され、
前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)はそれぞれ前記案内ユニット(9)の中で直線状に案内されて、径方向(12)と平行に往復運動可能であり、それにより、前記回転軸(2)を中心として前記案内ユニット(9)が回転したとき、前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)の前記第1の端面(10)の前記噛合部(11)を前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)と順次係合させることができ、および前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの前記噛合部(11)と前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)との間の面状の接触のもとで、前記別の中空シャフト(24)を前記回転軸(2)を中心としてさらに回転させることを特徴とする、請求項
1または2に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項14】
前記中空シャフト(7)の前記内歯(8)と前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)とはそれぞれ異なる数の歯を有することを特徴とする、請求項13に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの前記クランクピン(4)と前記別のクランクピン(21)とは等しい偏心度を有することを特徴とする、請求項
13に記載の同軸伝動装置(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの前記クランクピン(4)と前記別のクランクピン(21)とは前記回転軸(2)に関して好ましくは360°/hだけ互いに回転して配置され、ここでhはすべてのクランクピンの総数であることを特徴とする、請求項
13に記載の同軸伝動装置(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
これに加えて第3の実施例では、質量補償を最適化するために180°のクランクピンオフセットが意図されている。すなわちクランクピン4と別のクランクピン21は、回転軸2に関して180°だけ互いに回転して配置されている。
図5を参照。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 同軸伝動装置(1)であって、少なくとも1つのクランクピン(4)を有する、回転軸(2)を中心として回転可能なクランクシャフト(3)を含み、前記同軸伝動装置(1)は、前記回転軸(2)から離れるほうを向く第1の端面(10)にそれぞれ少なくとも1つの歯を有する噛合部(11)を有する複数の、好ましくは少なくとも3つの、ピストン(5a-i)を有する少なくとも1つのピストンセットをさらに含み、前記同軸伝動装置(1)は内歯(8)を有する中空シャフト(7)をさらに含み、前記回転軸(2)に対して法線方向にある平面で見て前記ピストン(5a-i)は前記中空シャフト(7)の内部に配置され、
前記同軸伝動装置(1)は案内ユニット(9)をさらに含み、前記ピストン(5a-i)はそれぞれ前記案内ユニット(9)の中で直線状に案内されて、前記回転軸(2)に対して法線方向にある径方向(12)と平行に往復運動可能であり、それにより前記ピストン(5a-i)の前記第1の端面(10)の前記噛合部(11)を前記内歯(8)と順次係合させることができ、および前記内歯(8)から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの前記噛合部(11)と前記内歯(8)との間の面状の接触のもとで、前記中空シャフト(7)または前記案内ユニット(9)を前記回転軸(2)を中心としてさらに回転させる、同軸伝動装置において、それぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)を少なくとも1つの前記クランクピン(4)と結合するために、星形に構成された共通のコンロッド(6)がそれぞれ設けられ、該コンロッドとそれぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)が連結されることを特徴とする、同軸伝動装置(1)。
[2] 複数のピストンセットが設けられ、各々の前記ピストンセットについて星形に構成された共通のコンロッド(6)がそれぞれ設けられ、該コンロッドとそれぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)が連結されることを特徴とする、[1]に記載の同軸伝動装置(1)。
[3] 軌道運動を保証するために、およびこれを超える、星形に構成されたそれぞれの前記コンロッド(6)の前記案内ユニット(9)に対して相対的な回転に対処するために、少なくとも2つの案内ボルト(16)が設けられ、これらの案内ボルトは星形に構成されたそれぞれの前記コンロッド(6)と固定的に結合されるとともに、前記案内ユニット(9)に対して不動に配置された少なくとも1つの案内区域(19)の対応する少なくとも1つの切欠き(17)と係合することを特徴とする、[1]または[2]に記載の同軸伝動装置(1)。
[4] 少なくとも1つの対応する前記切欠き(17)の中で前記案内ボルト(16)が運動するときに少なくとも1つの前記案内区域(19)に沿った転動を容易にするために、前記案内ボルト(16)にローラが設けられることを特徴とする、[3]に記載の同軸伝動装置(1)。
[5] それぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)を、星形に構成された付属の前記コンロッド(6)と連結するために、それぞれの径方向(12)に対して横向きに延びる長孔(13)が前記ピストン(5a-i)に設けられ、星形に構成された前記コンロッド(6)に、前記長孔(13)と係合する連結ボルト(14)が取り付けられることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
[6] 少なくとも1つの前記連結ボルト(14)は少なくとも1つの前記案内ボルト(16)も構成することを特徴とする、[3]または[4]を引用する[5]に記載の同軸伝動装置(1)。
[7] それぞれの前記ピストンセットの前記ピストン(5a-i)を、星形に構成された付属の前記コンロッド(6)と連結するために、実質的に固定的に製作された中間部材(15)が設けられ、各々の前記中間部材(15)は、一方では付属の前記ピストン(5a-i)と枢着結合され、他方では星形に構成された前記コンロッド(6)と枢着結合されることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
[8] それぞれの前記中間部材(15)と、星形に構成された付属の前記コンロッド(6)との間の枢着結合のために結合ボルト(18)が設けられ、前記結合ボルト(18)のうちの少なくとも1つは前記案内ボルト(16)も構成することを特徴とする、[3]または[4]を引用する[7]に記載の同軸伝動装置(1)。
[9] 前記第1の端面(10)の前記噛合部(11)はそれぞれ複数の、好ましくは3つの、歯を有することを特徴とする、[1]から[8]のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
[10] 前記クランクシャフト(3)は中空に製作されることを特徴とする、[1]から[9]のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
[11] 前記ピストン(5a-i)は前記第1の端面(10)に向かい合う第2の端面に少なくとも1つの歯を有する噛合部をそれぞれ有し、前記回転軸(2)を中心として回転可能に支承された、外歯を有する内輪が設けられ、前記案内ユニット(9)は少なくとも区域的に前記内輪と前記中空シャフト(7)との間に配置され、前記ピストン(5a-i)の前記第2の端面の前記噛合部を前記外歯と順次係合させることができ、および前記外歯から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの前記噛合部と前記外歯との間の面状の接触のもとで、前記内輪または前記案内ユニット(9)を前記回転軸(2)を中心としてさらに回転させることを特徴とする、[1]から[10]のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
[12] 前記案内ユニット(9)は前記回転軸(2)に対して不動に配置されることを特徴とする、[1]から[11]のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
[13] 前記回転軸(2)を中心とする回転運動に関して前記中空シャフト(7)がロックまたは制動され、
別のクランクピン(21)が設けられ、
前記回転軸(2)から離れるほうを向く第1の端面(10)に少なくとも1つの歯を有する噛合部(11)をそれぞれ有する複数のピストン(23a-t)を有する別のピストンセットが設けられ、
前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)を前記別のクランクピン(21)と結合するために、星形に構成された別のコンロッド(22)が設けられ、該コンロッドと前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)が連結され、
内歯(25)を有する別の中空シャフト(24)が設けられ、前記回転軸(2)に対して法線方向にある平面で見て少なくとも前記別の中空シャフト(24)の内歯が、好ましくは前記別の中空シャフト全体が、前記中空シャフト(7)の断面の内部に配置され、
前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)はそれぞれ前記案内ユニット(9)の中で直線状に案内されて、径方向(12)と平行に往復運動可能であり、それにより、前記回転軸(2)を中心として前記案内ユニット(9)が回転したとき、前記別のピストンセットの前記ピストン(23a-t)の前記第1の端面(10)の前記噛合部(11)を前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)と順次係合させることができ、および前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)から解放された状態にすることができ、そのようにしてそれぞれの係合中に、好ましくはそれぞれの前記噛合部(11)と前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)との間の面状の接触のもとで、前記別の中空シャフト(24)を前記回転軸(2)を中心としてさらに回転させることを特徴とする、[1]から[11]のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
[14] 前記中空シャフト(7)の前記内歯(8)と前記別の中空シャフト(24)の前記内歯(25)とはそれぞれ異なる数の歯を有することを特徴とする、[13]に記載の同軸伝動装置(1)。
[15] 少なくとも1つの前記クランクピン(4)と前記別のクランクピン(21)とは等しい偏心度を有することを特徴とする、[13]または[14]に記載の同軸伝動装置(1)。
[16] 少なくとも1つの前記クランクピン(4)と前記別のクランクピン(21)とは前記回転軸(2)に関して好ましくは360°/hだけ互いに回転して配置され、ここでhはすべてのクランクピンの総数であることを特徴とする、[13]から[15]のいずれか1項に記載の同軸伝動装置(1)。
【国際調査報告】