(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】高温超伝導ケーブル及びコイル
(51)【国際特許分類】
H01B 12/06 20060101AFI20241121BHJP
H01F 6/06 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01B12/06 ZAA
H01F6/06 140
H01F6/06 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527438
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022080586
(87)【国際公開番号】W WO2023083667
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512317995
【氏名又は名称】トカマク エナジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ノグテレン、 ジェロン
(72)【発明者】
【氏名】スレード、 ロバート
【テーマコード(参考)】
5G321
【Fターム(参考)】
5G321AA04
5G321AA05
5G321AA98
5G321BA01
5G321BA03
5G321CA04
5G321CA18
5G321CA24
5G321CA27
5G321CA28
5G321CA41
5G321CA42
5G321CA48
5G321CA50
5G321DB41
(57)【要約】
高温超伝導(HTS)ケーブルである。HTSケーブルは、チャネル、HTS材料及び絶縁層を含む。チャネルは、導電材料から形成され、HTSケーブルの長さに沿って延びる溝を有する。HTS材料が溝内に位置する結果、HTS材料が超伝導状態にあると、HTS材料が、ケーブルに沿って超伝導電流経路を形成し、HTS材料がチャネルに電気的に接続される。絶縁層がチャネルの表面に位置する。チャネルは複数の凹部を有し、各凹部が、導電経路及び/又は一以上の電気コンポーネントを含む電気アセンブリを含み、さらに電気アセンブリをチャネルから分離する絶縁体を含む。HTSケーブルはさらに、各凹部に対し、前記凹部内の前記電気アセンブリから前記絶縁層を横切る又は通る電気接続を与える第1電気接続部と、前記チャネルを前記凹部内の前記電気アセンブリに電気的に接続する第2電気接続部とを含み、前記凹部を通る前記第1電気接続部から前記第2電気接続部までのいずれの導電経路も、前記電気アセンブリを通過する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温超伝導(HTS)ケーブルであって、
導電材料から形成されたチャネルであって、前記HTSケーブルの長さに沿って延びる溝を有するチャネルと、
前記溝の中に位置するHTS材料であって、前記HTS材料が超伝導状態にあると、前記HTS材料が、前記ケーブルに沿って超伝導電流経路を形成し、前記HTS材料がチャネルに電気的に接続される、HTS材料と、
前記溝が存在する表面以外の前記チャネルの表面に位置する絶縁層と、
前記絶縁層の外表面に位置する導電層であって、前記チャネルとの電気的接触をなすように前記絶縁層まわりに延びる導電層と
を含む、HTSケーブル。
【請求項2】
前記導電層は、複数の切り欠きと、前記切り欠き間の複数の電流経路とを含み、各電流経路が、前記溝が存在する前記チャネルの表面を、前記導電層の反対表面に接続する、請求項1に記載のHTSケーブル。
【請求項3】
高温超伝導(HTS)ケーブルであって、
導電材料から形成されたチャネルであって、前記HTSケーブルの長さに沿って延びる溝を有するチャネルと、
前記溝の中に位置するHTS材料であって、前記HTS材料が超伝導状態にあると、前記HTS材料が、前記ケーブルに沿って超伝導電流経路を形成し、前記HTS材料がチャネルに電気的に接続される、HTS材料と、
前記チャネルの表面に位置する絶縁層と
を含み、
前記チャネルは複数の凹部を有し、各凹部が、導電経路及び/又は一以上の電気コンポーネントを含む電気アセンブリを包含し、各凹部はさらに、前記電気アセンブリを前記チャネルから分離する絶縁体を包含し、
前記HTSケーブルはさらに、各凹部に対し、
前記凹部内の前記電気アセンブリから前記絶縁層を横切る又は通る電気接続を与える第1電気接続部と、
前記チャネルを前記凹部内の前記電気アセンブリに電気的に接続する第2電気接続部と
を含み、
前記凹部を通る前記第1電気接続部から前記第2電気接続部までのいずれの導電経路も、前記電気アセンブリを通過する、HTSケーブル。
【請求項4】
前記チャネルに対向する前記絶縁層の表面に位置する導電層を含み、前記導電層は、前記第1電気接続部と電気的に接触する一以上の導電要素を含む、請求項3に記載のHTSケーブル。
【請求項5】
前記一以上の電気コンポーネントは、
抵抗器、
トランジスタ、
サイリスタ、
スイッチ、
圧力又は油圧作動スイッチ、
集積回路、
キャパシタ、
ダイオード、及び
バリスタ
のうちいずれか一つ以上を含む、請求項3又は4に記載のHTSケーブル。
【請求項6】
前記チャネルは、銅、ステンレス鋼、又はこれらの組み合わせから形成される、請求項3から5のいずれか一項に記載のHTSケーブル。
【請求項7】
前記凹部は、前記チャネルの長さに沿って均等に離間される、請求項3から6のいずれか一項に記載のHTSケーブル。
【請求項8】
隣接する凹部間の間隔が前記チャネルの長さに沿って変化する、請求項3から6のいずれか一項に記載のHTSケーブル。
【請求項9】
各凹部は、前記一以上の電気コンポーネントの電気的に等価な配列を包含する、請求項3から8のいずれか一項に記載のHTSケーブル。
【請求項10】
前記複数の凹部は、複数のセットの凹部を含み、各セットの凹部の中で、前記セットの各凹部が、前記一以上の電気コンポーネントの電気的に等価な配列を包含する、請求項3から8のいずれか一項に記載のHTSケーブル。
【請求項11】
前記凹部は、各セットの凹部の配列が前記チャネルに沿って周期的に繰り返すパターンを形成する、請求項10に記載のHTSケーブル。
【請求項12】
各電気アセンブリが一以上の能動コンポーネントを含む、請求項3から11のいずれか一項に記載のHTSケーブル。
【請求項13】
各凹部に対して制御入力を含み、前記制御入力に印加される電圧によって、前記凹部の中にある少なくとも一つの能動コンポーネントの状態の変化が引き起こされる、請求項12に記載のHTSケーブル。
【請求項14】
各凹部に対する前記制御入力が、前記チャネルから電気的に絶縁された導電経路を介して他の凹部の前記電気アセンブリに接続する、請求項13に記載のHTSケーブル。
【請求項15】
高温超伝導(HTS)コイルであって、前記コイルの巻線を形成するように巻かれるHTSケーブルを含み、前記HTSケーブルは、請求項1又は2に記載のHTSケーブルである、高温超伝導(HTS)コイル。
【請求項16】
高温超伝導(HTS)コイルであって、前記コイルの巻線を形成するように巻かれるHTSケーブルを含み、前記HTSケーブルは、請求項3から14のいずれか一項に記載のHTSケーブルである、高温超伝導(HTS)コイル。
【請求項17】
高温超伝導(HTS)コイルであって、
前記コイルの巻線を形成するように巻かれたHTSケーブルを含み、
前記HTSケーブルは、
導電材料から形成されたチャネルであって、前記HTSケーブルの長さに沿って延びる溝を有するチャネルと、
前記溝の中に位置するHTS材料であって、前記HTS材料が超伝導状態にあると、前記HTS材料が、前記ケーブルに沿って超伝導電流経路を形成し、前記HTS材料がチャネルに電気的に接続される、HTS材料と、
前記チャネルの表面に位置する絶縁層と
を含み、
前記チャネルは複数の凹部を有し、各凹部が、導電経路及び/又は一以上の電気コンポーネントを含む電気アセンブリを包含し、各凹部はさらに、前記電気アセンブリを前記チャネルから分離する絶縁体を包含し、
前記HTSケーブルはさらに、各凹部に対し、
前記凹部内の前記電気アセンブリから前記絶縁層を横切る又は通る電気接続を与える第1電気接続部と、
前記チャネルを前記凹部内の前記電気アセンブリに電気的に接続する第2電気接続部と
を含み、
前記HTSケーブルは、最も内側又は最も外側の巻線以外の各巻線の前記第1電気接続部が、隣接巻線の前記チャネルに電気的に接続するように巻かれ、各凹部を介した各巻線から隣接巻線までのいずれの電流経路も、前記凹部内の前記電気アセンブリを通過する、HTSコイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高温超伝導体に関する。詳しくは、本発明は、高温超伝導材料を含むケーブルの構築に関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導材料は典型的に、「高温超伝導体」(HTS)と「低温超伝導体」(LTS)とに分類される。Nb及びNbTiのようなLTS材料は、その超伝導がBCS理論によって記述できる金属又は金属合金である。すべての低温超伝導体は、約30Kを下回る自己場臨界温度(それを上回ると外部磁場がゼロでも超伝導になり得ない温度)を有する。HTS材料の挙動はBCS理論によっては記述されず、かかる材料は約30Kを上回る自己場臨界温度を有し得る(ただし、HTS及びLTS材料を定義するのは、自己場臨界温度ではなく、組成及び超伝導動作の物理的な違いであることに留意すべきである)。最も一般的に使用されるHTSは「銅酸化物超伝導体」である。これは、BSCCO又はReBCO(ここでReは希土類元素であり、一般にY又はGdである)のような銅酸化物(銅酸化物基を含む化合物)をベースにしたセラミックスである。他のHTS材料は、鉄ニクダイド(iron pnictide)(例えばFeAs及びFeSe)及び二ホウ酸マグネシウム(MgB2)を含む。
【0003】
ReBCOは典型的に、
図1に示される構造を有するテープとして製造される。かかるテープ100は一般に、近似的に100ミクロンの厚さであり、基材101(典型的には電解研磨されたニッケル・モリブデン合金(例えば近似的に50ミクロンの厚さのハステロイ(登録商標)))を含み、その上には、IBAD、マグネトロンスパッタリング、又は他の適切な技法によって、近似的な厚さが0.2ミクロンのバッファスタック102として知られる一連のバッファ層が堆積される。エピタキシャルReBCO・HTS層103(金属酸化物化学蒸着(MOCVD)又は他の適切な技法によって堆積される)が、バッファスタックに重なり、典型的には1ミクロンの厚さである。1~2ミクロンの銀層104が、スパッタリング又は他の適切な技法によってHTS層上に堆積され、銅スタビライザ層105が、電気メッキ又は他の適切な技法によってテープ上に堆積され、多くの場合、テープは完全にカプセル化される。銀層104及び銅スタビライザ層105は、テープ100及び基材101の側面にも堆積されるので、これらの層が、テープ100まわりに連続的に延びることにより、テープ100のいずれかの面からReBCO・HTS層103への電気接続がなされることが許容される。したがって、これらの層104、105は、「クラッディング」とも称される。典型的に、銀クラッディングは、テープの両側面及び両エッジの双方において、ほぼ1~2ミクロンの均一な厚さを有する。HTS層103と銅層105との間に銀層104を設けることにより、銅によるHTS材料の汚染をもたらし得るHTS材料が銅と接触することが防止される。テープ100の両側面上にある銀層104及び銅スタビライザ層105の複数部分は、明確性を目的として
図1に示されていない。
図1はまた、通常の場合のように、基材101の下に延びる銀層104も示していない。銀層104は、ReBCO層103に対する低抵抗の電気的インターフェースをなし、ReBCO層103まわりの気密保護シールをなす一方、銅層105は、テープへの外部接続を可能にし(例えば、はんだ付けを許容し)、電気的安定化のための平行導電経路を与える。
【0004】
加えて、「剥離された」HTSテープを製造することができる。これは、基材及びバッファスタックを欠くが、典型的には銀の「周囲コーティング」、すなわちHTS層の両側面及び両エッジにおける層、を有する。基材を有するテープは、「基材付き」HTSテープと称される。
【0005】
HTSケーブルは、導電材料(通常は銅)を介して長さにその沿って接続された一以上のHTSテープを含む。HTSテープは、積層されて(すなわち、HTS層が平行になるように配列されて)よく、又はケーブルの長さに沿って変わり得る他のテープ配列を有してよい。HTSケーブルの注目すべき特別なケースは、単一のHTSテープ、及びHTSペアである。HTSペアは、HTS層が平行となるように配列されたHTSテープの一ペアを含む。基材付きテープが使用される場合、HTSペアは、タイプ0(HTS層が互いに対向する)、タイプ1(一方のテープのHTS層が他方のテープの基材に対向する)、又はタイプ2(基材が互いに対向する)となり得る。2つを超えるテープを含むケーブルは、当該テープの一部又はすべてをHTSペアに配列することができる。積層されたHTSテープは、HTSペアの様々な配列を含んでよく、最も一般的には、タイプ1ペアの積層、又はタイプ0ペア(又は同等にタイプ2ペア)の積層のいずれを含んでよい。HTSケーブルは、基材付きテープと剥離されたテープの混合を含み得る。
【0006】
超伝導磁石は、複数のHTSケーブル(又は、この記載の目的上、単一テープのケーブルとして扱い得る個別のHTSテープ)を、HTSケーブルを巻き取ること、又はHTSケーブルから作られたコイルのセクションを設けてこれらを一緒に結合することのいずれかにより、コイルに配列することによって形成される。HTSコイルは、以下の3つの広範なクラスに分類される。
・絶縁され、巻線間に電気絶縁材料を有する(その結果、電流はHTSケーブルを通る「らせん経路」にのみ流れ得る)。
・非絶縁であり、巻線は、ケーブルに沿ってだけでなく、径方向に電気的に接続されている。
・部分的に絶縁され、巻線は、(例えば銅と比較して)高抵抗の材料を使用すること、又はコイル間に断続的な絶縁を設けることのいずれかにより、制御された抵抗に径方向に接続されている。
【0007】
非絶縁のコイルはまた、部分的に絶縁されたコイルの低抵抗の場合とみなされ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2021/178697号
【特許文献2】中国特許出願公開第103794297号明細書
【特許文献3】国際公開第2019/150123号
【特許文献4】中国特許出願公開第110828058号明細書
【発明の概要】
【0009】
第1側面によれば、高温超伝導(HTS)ケーブルが与えられる。HTSケーブルは、チャネル、HTS材料及び絶縁層を含む。チャネルは、導電材料から形成され、HTSケーブルの長さに沿って延びる溝を有する。HTS材料が溝内に位置する結果、HTS材料が超伝導状態にあると、HTS材料が、ケーブルに沿って超伝導電流経路を形成し、HTS材料がチャネルに電気的に接続される。絶縁層がチャネルの表面に位置する。チャネルは複数の凹部を有し、各凹部が、導電経路及び/又は一以上の電気コンポーネントを含む電気アセンブリを含み、さらに電気アセンブリをチャネルから分離する絶縁体を含む。HTSケーブルはさらに、各凹部に対し、
凹部内の電気アセンブリから絶縁層を横切る又は通る電気接続を与える第1電気接続部と、
チャネルを凹部内の電気アセンブリに電気的に接続する第2電気接続部と
を含み、
凹部を通る第1電気接続部から第2電気接続部までのいずれの導電経路も、電気アセンブリを通過する。
【0010】
第2側面によれば、高温超伝導ケーブルが与えられる。HTSケーブルは、チャネル、HTS材料、絶縁層及び導電層を含む。チャネルは、導電材料から形成され、HTSケーブルの長さに沿って延びる溝を有する。HTS材料が溝内に位置する結果、HTS材料が超伝導状態にあると、HTS材料が、ケーブルに沿って超伝導電流経路を形成し、HTS材料がチャネルに電気的に接続される。絶縁層は、溝が存在する表面以外のチャネルの表面に位置する。導電層は、絶縁層の外表面に位置し、チャネルとの電気的接触をなすように絶縁層まわりに延びる。
【0011】
第3側面によれば、高温超伝導(HTS)コイルが与えられ、これは、コイルの巻線を形成するべく巻かれたHTSケーブルを含む。HTSケーブルは、チャネル、HTS材料及び絶縁層を含む。チャネルは、導電材料から形成され、HTSケーブルの長さに沿って延びる溝を有する。HTS材料が溝内に位置する結果、HTS材料が超伝導状態にあると、HTS材料が、ケーブルに沿って超伝導電流経路を形成し、HTS材料がチャネルに電気的に接続される。絶縁層がチャネルの表面に位置する。チャネルは複数の凹部を有し、各凹部が、導電経路及び/又は一以上の電気コンポーネントを含む電気アセンブリを含み、さらに電気アセンブリをチャネルから分離する絶縁体を含む。HTSケーブルはさらに、各凹部に対し、
凹部内の電気アセンブリから絶縁層を横切る又は通る電気接続を与える第1電気接続部と、
チャネルを凹部内の電気アセンブリに電気的に接続する第2電気接続部と
を含み、
HTSケーブルは、最も内側又は最も外側の巻線以外の各巻線の第1電気接続部が、隣接巻線のチャネルに電気的に接続するように巻かれ、各凹部を介した各巻線から隣接巻線までのいずれの電流経路も、凹部内の電気アセンブリを通過する。
【0012】
第3側面のHTSケーブルは、第1側面のHTSケーブルとしてよい。
【0013】
さらなる実施形態は、請求項2以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3B】
図3Aのケーブルから形成されたHTSコイルの巻線間の電流を示す。
【
図4】
図3Aと同等のケーブルに対する代替構造を示す。
【
図6A-6C】
図6Aから
図6Cは、
図5に示されるもののようなケーブルにおいて使用される例示的な電気アセンブリを示す。
【
図7】なおもさらなる例示的なHTSケーブルの断面である。
【
図8】
図7に係るケーブルの2つの可能な側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2A及び
図2BはHTSケーブルを示す。
図2Aは等角図であり、
図2Bは端面断面である。HTSケーブルの短いセクションのみが示されており、このセクションは、
図2Aの矢印で示される方向に任意の長さで延び得る。HTSケーブルはチャネル201を含む。チャネル201は、例えば
図2Bに示されるU字形断面を有するように、その長さに沿って溝202を有する細長い導電要素である。HTS材料203は、チャネル内、すなわち溝内、に配置される。チャネルは、任意の導電材料、例えば任意の金属又は金属合金(例:強度の高い銅又は高銅合金、真ちゅう、ステンレス鋼、アルミニウム、随意的にはんだ付けを補助する電気メッキがされたもの)、導電複合材料若しくはセラミック材料、又はチャネルの異なる領域で異なる材料を使用する等によるこれらの組み合わせ、から形成されてよい。
【0016】
HTS材料は、
図1を参照して記載されたHTSテープであってよく、テープ積層として又は複雑な配列で、配列されてよい。チャネル内にHTS材料を固定するべく、導電接合剤、例えばハンダ、導電材料を含浸させた樹脂、又は同様のものが使用されてよい。
【0017】
チャネルの導電材料は、ケーブルのHTS材料間で、又は、非絶縁若しくは部分絶縁構成で使用される場合は界磁コイルのケーブル間で、電流を共有するための低抵抗の代替電流経路を与える。加えて、チャネルは、HTSと密接に熱接触した状態で有意な熱質量を与えるので、HTS材料が抵抗性になることによって引き起こされる加熱を緩和するのに役立つ。
【0018】
チャネルはまた、コイルパック内の電磁応力に抵抗する構造的補強を与えるべく、ステンレス鋼のような高強度材料を含んでよい。チャネルはまた、高強度材料の一般に低い熱伝導率を補償するべく、銅のような高熱伝導率材料を含んでよい。
【0019】
図2A及び
図2Bのケーブル配列は、非絶縁のHTS界磁コイルを巻くために直接使用してよく、又は巻線間の制御された抵抗によって部分的に絶縁されたHTS界磁コイルへのケーブル(例えば、国際公開第2019/150123号に開示された部分的絶縁層)間の追加層と一緒に使用してよい。しかしながら、かかる部分的絶縁層は、比較的かさ張ることがあり、比較的厚いチャネルとの組み合わせにおいて、所望の電流密度よりも低い電流密度をもたらし得る。
【0020】
よって、ここに提案される構造は、一体化された要素を有するHTSケーブルを与え、その結果、巻かれたときに、かかる要素の設計により容易に制御可能な抵抗によって部分的に絶縁されたコイルが得られる。加えて、同様の設計により、任意の所望の回路又はコンポーネントをHTSケーブルと一体化することも許容される。
【0021】
図3Aは、HTSケーブルが巻かれたときに得られるHTSコイルの巻線を接続する一体化された抵抗器を有するHTSケーブルを示す。HTSケーブルは、その長さに沿って溝302を有する導電チャネル301を含む。HTS材料303は、上述のように溝内に位置する。HTSケーブルはさらに、チャネルの下面にある絶縁層304(すなわち、HTSケーブルが巻かれてコイルになるときにHTSケーブルとHTSケーブルの他の巻線との間に存在するもののような)と、絶縁層の下面にある導電層305とを含む。絶縁層は、特に明記されない限り、チャネルの下面を覆う。導電層は、絶縁層のすべてを覆ってよく、その一部のみを覆ってもよい。
【0022】
HTSケーブルはさらに、HTSケーブルの側面の凹部311に位置する複数の抵抗器310を含む。各抵抗器310は、凹部内の絶縁によってHTSケーブルから電気的に絶縁され、絶縁層304を貫通して導電層305に電気的に接続する第1接続部313と、導電チャネル301に電気的に接続する第2接続部314とを有する。
【0023】
図3Bは、第1巻線320と第2巻線330との間の径方向電流の流れを、各巻線においてHTSケーブルの凹部と整列する断面に対して示す(ただし、凹部は巻線間で整合する必要がないことに留意されたい)。第1巻線及び第2巻線の個別のコンポーネントに対する参照番号は
図3Aのものと同等であるが、第1巻線のコンポーネントに対しては接尾辞「a」を付け、第2巻線のコンポーネントに対しては接尾辞「b」を付ける。HTSケーブルが巻かれてHTSコイルを形成するとき、第1巻線320のケーブルは、第2巻線330のケーブルの下にあり、その結果、第2巻線の導電層305bは、第1巻線のチャネル301aの上面と電気的に接触する。(第1巻線から第2巻線に流れる電流が点線矢印350で示される)巻線間の電気接続は、第2巻線の抵抗器310bを介して径方向に生じる。すなわち、
・第1巻線のHTS材料303aから、
・第1巻線のチャネル301aを通り、
・第2巻線の導電層305bを通り、
・接続部313bを介して第2巻線の抵抗器310bを通り、
・接続部314bを介して第2巻線のチャネル301bを通り、
・第2巻線のHTS材料303bに至る。
【0024】
留意すべきことだが、
図3Bが2つの巻線のみを示す一方、HTSコイルは任意数の巻線を含んでよい。さらに、HTSコイルは単一のHTSケーブルから巻かれ得るので、チャネル301a及び301bは単一のチャネル301の異なるセクションであってよく、絶縁層304a/b、導電層305a/b、及びHTS材料303a/bに対しても同様である。
【0025】
これにより、ケーブルを設計するときに、抵抗器の抵抗を適宜選択することによって、巻線間の接続抵抗を容易に調整することができる。チャネルの導電材料及び接合剤からの、並びに例えばHTSテープの非超電導コンポーネントからの、抵抗への追加の寄与が存在するが、これらは計算又は実験により容易に決定されて設計に織り込まれ得る。
【0026】
図4に示される代替例として、絶縁層404をチャネル401の上面に設けてよい。すなわち、HTS材料403を包含する溝402が絶縁層404によって覆われる。導電層405はこの場合、絶縁層404の上面に設けられ、抵抗器410は、絶縁層を貫通して上方に延びる一方の接続部413と、チャネルに接続する他方の接続部414とを有する。絶縁層及び導電層のこの代替的な配列は、これらの例に対して具体的な図示がなくても、本開示に提示されるすべての例に対して可能であることがわかる。
【0027】
加えて、導電層305/405は省略してよく、絶縁層を貫通する電気接続部313/413は、絶縁層の反対側に配置されるコンポーネントへの接続を目的として、絶縁層の表面で終端してよい。さらに、接続部313/413は、絶縁層を貫通するのではなく、絶縁層まわりに延びても、又は絶縁層にわたって延びてもよい。
【0028】
上記の例は、チャネルに一体化された抵抗器を使用する簡単な例を示したが、同じ原理を任意の電気コンポーネントに適用することができる。
図5は、この原理の一般的な実施形態を示す。HTSケーブルは、以前の例と同様に、チャネル501、溝502、HTS材料503、絶縁層504及び導電層505を含む。HTSケーブルはさらに、電子コンポーネントの複数のアセンブリ510を含み、これらは、チャネル501の側面の凹部511内に位置し、後述される場合を除き、絶縁体(図示せず)によってチャネル501から絶縁される。
【0029】
図3Bに示される抵抗器310の場合と同様に、
図5のHTSケーブルから巻かれたHTSコイルの巻線間を径方向に流れる電流は、電子コンポーネントのアセンブリ510を介して流れる。
【0030】
アセンブリは、絶縁層504を通って導電層505に至る一以上の電気接続部513を有する。アセンブリはまた、チャネル501及び/又はHTS材料503までの一以上の電気接続部514を有する。ここで、電気接続部513から流れる電流は、電気接続部514を通って流れる前にアセンブリ510の少なくとも一つのコンポーネントを通過し、又は電気接続部514から流れる電流は、電気接続部513を通って流れる前にアセンブリ510の少なくとも一つのコンポーネントを通過する。アセンブリは、例えば巻線間の電圧、温度又は圧力のような、コイルパック内の局所的条件の変化に反応するダイオード又はバリスタのような受動デバイスを包含してよい。これにより、コンポーネントは、クエンチにつながり得る故障状態に応答して電気抵抗を変化させることができる。代替的に、アセンブリは、外部電圧によって制御される半導体(電界効果トランジスタ)スイッチのような能動コンポーネントを含んでよい。この場合、アセンブリは、これらのコンポーネントに対する入力を受けるためのさらなる単数又は複数の電気接続部515を含んでよい。アセンブリが、他の手段(例えば油圧又は圧力作動スイッチ)によって作動される能動コンポーネントを含む場合、アセンブリは、これらの作動手段のための適切な入力を含んでよい。圧力スイッチ及び同様のデバイスは、順方向電圧を有しない点で、ダイオード又は能動半導体スイッチよりも優れている。圧力スイッチは、ガス圧の変化によって外部で動作させることができ、又はスイッチ内部の圧力チャンバを密閉することによって、温度変化によって内部でガス圧を発生させることができる。
【0031】
可変抵抗を有するコンポーネントにより、コイルを高い又は低い巻線間抵抗で動作させることができる。これは有利なことに、コイルを迅速に通電させ(コンポーネントは高抵抗を有し、電流の変化によって巻線にわたって発生する誘導電圧によって巻線間で駆動される電流を最小にする)、その後、低い巻線間抵抗の状態に切り替え、巻線内電流が安定しているときの外乱に対してコイルを安定させることができる。
【0032】
またも有利なことに、巻線間抵抗をリアルタイムで調整することもできる。例えば、クエンチ、又はクエンチを引き起こしそうな状態、を検出した後に磁石からエネルギーを迅速にダンピングする場合、巻線間の抵抗が高ければ高いほど、外部ダンピング抵抗まで駆動される減衰電流の割合が大きくなり、コイルパックへとダンピングされる磁石エネルギーの量が低減され、ひいては端子コイル温度が低下するので、コイル構造の異なる部分の急速な熱膨張によって引き起こされる過渡応力を回避することができる。
【0033】
アセンブリ510は、HTSケーブルが巻かれたときにHTSコイルの巻線間の径方向における所要の電気的相互作用を達成するべく、任意の所望のコンポーネントを含み得る。例えば、アセンブリは、抵抗器、ダイオード、バリスタ、サーミスタ、及び、酸化バナジウム又は他の化合物を包含するカートリッジ、トランジスタ(例えばMOSFET)、サイリスタ、キャパシタ、スイッチ(例えば油圧若しくは圧力作動スイッチ)、超伝導要素(例えばHTS材料よりも温度変化に対する感度が高い超電導要素)、上記コンポーネントの組み合わせを含む回路又は集積回路等の他の温度依存抵抗器を含み得る。一つの可能な回路又は集積回路は、高抵抗状態から低抵抗状態への変化のトリガを可能にするスイッチ(例えばトランジスタ又はサイリスタ)のゲート電圧に接続されたRCフィルタである。他の回路設計ももちろん可能である。さらなる例として、各電気アセンブリは、導電経路、例えば、抵抗器として作用するように所要の抵抗を与えるべく材料、断面積及び長さが選択された導電経路、を含んでよい。直線でない電流経路を設けることによって、凹部のいずれの寸法よりも長い長さを有する電流経路を達成してよい。
【0034】
複数のアセンブリが、HTSケーブルに沿って、それぞれの凹部に配置される。これらのアセンブリは、例えば、アセンブリ内のスイッチングのコーディネートされた制御を許容するべく、互いに電気的に接続されてよい。これらのアセンブリ同士の間隔は、HTSケーブルの所要のバルク電気特性によって決定される。すなわち、抵抗アセンブリの場合、凹部間の間隔が大きければ大きいほど、HTSケーブル全体の単位長さ当たりの平均抵抗が大きくなる。凹部同士の間隔は、HTSケーブルに沿って変化してよく、例えば、ケーブルが巻かれたときに、コイルの異なる円弧に沿って可変の巻線間抵抗を有するHTSコイルを与えるようにしてよい。アセンブリは、その構造的な又は電気的な特性を変化させてよい。例えば、異なるアセンブリで異なる抵抗を有してよく、又は繰り返しパターンで数種類のアセンブリを交互に使用してよい。
【0035】
アセンブリは、溝のいずれかの側面のチャネルの材料の中に、構造的に妥協することなく適合することが要求されるが、溝のいずれかの側面のチャネルの材料の幅は、一般に3mmから15mmの間であり、チャネル材料の高さは、一般に3mmから25mmの間である。これにより、かかるコンポーネントの小型化を前提として、電気コンポーネントのための十分な空間が許容される。
【0036】
いくつかの例示的なアセンブリが、
図6Aから
図6Cに回路図として示される。それぞれの場合において、上側レール601はチャネルへの接続を表し、下側レール602は絶縁層を介した接続を表す。
【0037】
図6Aは、
図3Aに示される例を表す。ここで、凹部内の電気コンポーネントは抵抗器611である。これにより、凹部ごとに固定された抵抗が得られ、巻かれてHTSコイルになったときのHTSケーブルの単位長さごとの巻線間抵抗は、抵抗器611の抵抗又は凹部の間隔を変化させることによって制御することができる。
【0038】
図6Bは、凹部において直列に接続された抵抗器631及びダイオード632を有する一例を示す。これは、ダイオードの抵抗及びダイオードとの電気接続が十分であれば、抵抗器なしで実装することもできる。ダイオードは、抵抗器を通る電流の流れを、その順方向電圧を下回る単一方向のみに制限する。この電圧は、複数のダイオードを直列に配置することによって増加させることができる。背中合わせのダイオードのペアは、どちらの方向にも電流を流すことができるようにこの着想を拡張する。この原理の拡張として、かかるアセンブリの2つのセットを設けてよい。ここで、第1セットは、電流がコイルを通って径方向外側に流れることを許容し、第2セットは、電流が径方向内側に流れることを許容し、各方向の抵抗の独立した制御を許容する。
【0039】
図6Cは、直列に接続された抵抗631およびMOSFETトランジスタ632を有する一例を示す。MOSFETのゲートが制御入力633に接続される。制御入力は、外部コントローラに接続されてよい。これにより、HTSケーブルから巻かれたHTSコイルにおける径方向電流の流れを電子的に制御することができ、例えば、HTSコイルが、ランプ時に絶縁コイルと同様に動作する(その結果ランプ時間が低減される)ことが許容され、動作時に部分的に絶縁されたコイルとして動作する(その結果クエンチに対する抵抗が増加する)ことが許容される。
【0040】
一般に、電子コンポーネントのアセンブリが、印加電圧に起因して状態が変化するトランジスタ又は他のコンポーネントのような能動コンポーネントを含む場合、制御入力が含まれ得る。この制御入力は、外部コントローラに接続してよく、又は、HTSケーブルに沿った制御入力の伝播を許容するべく、他の凹部にある電子コンポーネントに接続してよい。
【0041】
上記の例示的なHTSケーブルが巻かれてコイルになると、導電層305/405/505(又は導電層が存在しない場合は電気接続部313/413/513)が、チャネル301/401/501の反対側の表面と接触する。 よって、電流は、チャネルにある凹部の中の電気コンポーネント310/410/510を介して、得られたHTSコイルの巻線間を径方向に流れることができる。
【0042】
巻線間の絶縁層はまた、すべての巻線にわたって電圧の非誘導成分を得るためのセンスワイヤとして作用するセンスワイヤを包含する可撓性プリント回路基板として構成してよい。これは、コイル内の電流が変化しているときに、コイルにわたる始点終点間電圧(誘導成分と非誘導成分のベクトル和である)から、開回路センスにわたって発生する誘導電圧を減算することによって行われる。
【0043】
図は、ケーブルの片側の凹部のみを示すが、これは例示のみを目的としており、凹部は、ケーブルの両側に配置されてもよいことが理解されるべきである。加えて、説明が「上側」又は「下側」表面に言及されている場合、又は任意の特定の配向を意味する場合、これは説明における理解を容易にするためであり、HTSケーブルは、任意の配向で設けられてよいこと(実際のところ、絶対配向が実用上特に意味を持たないようなコイルに巻かれるのが一般的である)が理解されるべきである。同様に、図は、チャネルの全高に延びる直線状の側面を有する凹部を示すが、凹部は、その中の所要の電気コンポーネントに適合する任意のサイズであってよく、チャネルへの電気接続及びチャネルからの絶縁に関する制限が満たされる場合には、チャネルの高さの一部のみに延びてもよいことが理解されるべきである。一般に、図は、実際の物理的装置の忠実な表現ではなく、特定の概念を強調するために設計された模式的な図とみなされるべきである。図面では、特定の材料(すなわちHTS材料及び絶縁体)を区別するためにいくつかのクロスハッチング及びブロック充填が使用されているが、別段の記載がない限り、所定の要素に対するクロスハッチング及びブロック充填の有無は、当該要素が、クロスハッチング又はブロック充填の有無が同じである他の要素と同じ材料で形成されていることを意味するわけではない。特に、チャネル及び単数又は複数の導電層は、異なる導電性材料から形成されてよい。
【0044】
図7は、HTSケーブルの代替構造の断面を示す。以前の例と同様に、HTSケーブルは、チャネル701、溝702、及び溝内のHTS材料703を含む。HTSケーブルはさらに、チャネルの底部及び側部を覆う絶縁層704と、絶縁層704を覆ってチャネル701の頂部まで延びる導電層705(例えば、銅若しくはステンレス鋼、又はその双方の要素)とを含む。
【0045】
この設計は、巻かれると、導電層705を介して巻線間で電流を流すことを許容し、抵抗は当該層の厚さおよび材料に依存する。
図8は、
図7による例示的な構造の側面図である。抵抗をさらに制御するべく、導電層705はその側面に、完全な導電層によって得られるよりも大きな抵抗を有する一セットの電流経路802を生成するように、複数の切り欠き801を有してよい。これらの切り欠きは、図の左側に示されるように導電経路の幅を制限してよく、又は、右側に示されるように、複雑な導電経路を画定して、直線導電経路で可能であるよりも長い長さの導電経路(したがって抵抗)を許容してよい。
【0046】
本開示において、「絶縁体」は、その通常の定義をとる。すなわち、電流が自由に流れず、導電体又は半導体よりも大きな抵抗率、例えば、105オーム/メートル又は1010オーム/メートルを超える抵抗率を有する材料である。導電材料は、金属、金属合金及び炭素(アモルファス又はグラファイトの形態)を含む。HTSコイル内の巻線間電圧は一般に十分に低いので、絶縁破壊電圧又は降伏電圧を因子として考慮する必要はない。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温超伝導(HTS)ケーブルであって、
導電材料から形成されたチャネルであって、前記HTSケーブルの長さに沿って延びる溝を有するチャネルと、
前記溝の中に位置するHTS材料であって、前記HTS材料が超伝導状態にあると、前記HTS材料が、前記
HTSケーブルに沿って超伝導電流経路を形成し、前記HTS材料がチャネルに電気的に接続される、HTS材料と、
前記溝が存在する表面以外の前記チャネルの表面に位置する絶縁層と、
前記絶縁層の外表面に位置する導電層であって、前記チャネルとの電気的接触をなすように前記絶縁層まわりに延びる導電層と
を含む、HTSケーブル。
【請求項2】
前記導電層は、複数の切り欠きと、前記切り欠き間の複数の電流経路とを含み、各電流経路が、前記溝が存在する前記チャネルの表面を、前記導電層の反対表面に接続する、請求項1に記載のHTSケーブル。
【請求項3】
高温超伝導(HTS)ケーブルであって、
導電材料から形成されたチャネルであって、前記HTSケーブルの長さに沿って延びる溝を有するチャネルと、
前記溝の中に位置するHTS材料であって、前記HTS材料が超伝導状態にあると、前記HTS材料が、前記
HTSケーブルに沿って超伝導電流経路を形成し、前記HTS材料がチャネルに電気的に接続される、HTS材料と、
前記チャネルの表面に位置する絶縁層と
を含み、
前記チャネルは複数の凹部を有し、各凹部が、導電経路及び/又は一以上の電気コンポーネントを含む電気アセンブリを包含し、各凹部はさらに、前記電気アセンブリを前記チャネルから分離する絶縁体を包含し、
前記HTSケーブルはさらに、各凹部に対し、
前記凹部内の前記電気アセンブリから前記絶縁層を横切る又は通る電気接続を与える第1電気接続部と、
前記チャネルを前記凹部内の前記電気アセンブリに電気的に接続する第2電気接続部と
を含み、
前記凹部を通る前記第1電気接続部から前記第2電気接続部までのいずれの導電経路も、前記電気アセンブリを通過する、HTSケーブル。
【請求項4】
前記チャネルに対向する前記絶縁層の表面に位置する導電層を含み、前記導電層は、前記第1電気接続部と電気的に接触する一以上の導電要素を含む、請求項3に記載のHTSケーブル。
【請求項5】
前記一以上の電気コンポーネントは、
抵抗器、
トランジスタ、
サイリスタ、
スイッチ、
圧力又は油圧作動スイッチ、
集積回路、
キャパシタ、
ダイオード、及び
バリスタ
のうちいずれか一つ以上を含む、請求項
3に記載のHTSケーブル。
【請求項6】
前記チャネルは、銅、ステンレス鋼、又はこれらの組み合わせから形成される、請求項
3に記載のHTSケーブル。
【請求項7】
前記凹部は、前記チャネルの長さに沿って均等に離間される、請求項
3に記載のHTSケーブル。
【請求項8】
隣接する凹部間の間隔が前記チャネルの長さに沿って変化する、請求項
3に記載のHTSケーブル。
【請求項9】
各凹部は、前記一以上の電気コンポーネントの電気的に等価な配列を包含する、請求項
3に記載のHTSケーブル。
【請求項10】
前記複数の凹部は、複数のセットの凹部を含み、各セットの凹部の中で、前記セットの各凹部が、前記一以上の電気コンポーネントの電気的に等価な配列を包含する、請求項
3に記載のHTSケーブル。
【請求項11】
前記凹部は、各セットの凹部の配列が前記チャネルに沿って周期的に繰り返すパターンを形成する、請求項10に記載のHTSケーブル。
【請求項12】
各電気アセンブリが一以上の能動コンポーネントを含む、請求項
3に記載のHTSケーブル。
【請求項13】
各凹部に対して制御入力を含み、前記制御入力に印加される電圧によって、前記凹部の中にある少なくとも一つの能動コンポーネントの状態の変化が引き起こされる、請求項12に記載のHTSケーブル。
【請求項14】
各凹部に対する前記制御入力が、前記チャネルから電気的に絶縁された導電経路を介して他の凹部の前記電気アセンブリに接続する、請求項13に記載のHTSケーブル。
【請求項15】
高温超伝導(HTS)コイルであって、前記
HTSコイルの巻線を形成するように巻かれるHTSケーブルを含み、前記HTSケーブルは、請求項
1に記載のHTSケーブルである、高温超伝導(HTS)コイル。
【請求項16】
高温超伝導(HTS)コイルであって、前記HTSコイルの巻線を形成するように巻かれるHTSケーブルを含み、前記HTSケーブルは、請求項2に記載のHTSケーブルである、高温超伝導(HTS)コイル。
【請求項17】
高温超伝導(HTS)コイルであって、前記
HTSコイルの巻線を形成するように巻かれるHTSケーブルを含み、前記HTSケーブルは、請求項
3に記載のHTSケーブルである、高温超伝導(HTS)コイル。
【請求項18】
高温超伝導(HTS)コイルであって、
前記
HTSコイルの巻線を形成するように巻かれたHTSケーブルを含み、
前記HTSケーブルは、
導電材料から形成されたチャネルであって、前記HTSケーブルの長さに沿って延びる溝を有するチャネルと、
前記溝の中に位置するHTS材料であって、前記HTS材料が超伝導状態にあると、前記HTS材料が、前記
HTSケーブルに沿って超伝導電流経路を形成し、前記HTS材料がチャネルに電気的に接続される、HTS材料と、
前記チャネルの表面に位置する絶縁層と
を含み、
前記チャネルは複数の凹部を有し、各凹部が、導電経路及び/又は一以上の電気コンポーネントを含む電気アセンブリを包含し、各凹部はさらに、前記電気アセンブリを前記チャネルから分離する絶縁体を包含し、
前記HTSケーブルはさらに、各凹部に対し、
前記凹部内の前記電気アセンブリから前記絶縁層を横切る又は通る電気接続を与える第1電気接続部と、
前記チャネルを前記凹部内の前記電気アセンブリに電気的に接続する第2電気接続部と
を含み、
前記HTSケーブルは、最も内側又は最も外側の巻線以外の各巻線の前記第1電気接続部が、隣接巻線の前記チャネルに電気的に接続するように巻かれ、各凹部を介した各巻線から隣接巻線までのいずれの電流経路も、前記凹部内の前記電気アセンブリを通過する、HTSコイル。
【国際調査報告】