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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】バリアボードおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D21H 11/02 20060101AFI20241121BHJP
   B32B 29/00 20060101ALI20241121BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20241121BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
D21H11/02
B32B29/00
D21H27/00 E
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024527553
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 FI2022050717
(87)【国際公開番号】W WO2023084150
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】20216159
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524174508
【氏名又は名称】アブノー オーイー
(71)【出願人】
【識別番号】524174519
【氏名又は名称】フォルス,ビョルン-エリック
(71)【出願人】
【識別番号】524174520
【氏名又は名称】アールスコグ,ボー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】フォルス,ビョルン-エリック
(72)【発明者】
【氏名】アールスコグ,ボー
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD02
3E086AD06
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA40
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB15
3E086CA01
3E086CA11
3E086DA08
4F100AJ06A
4F100AJ06B
4F100AJ06C
4F100BA02
4F100CB00A
4F100CB00B
4F100DG02A
4F100DG02B
4F100DG10A
4F100DG10B
4F100EH41A
4F100EH41B
4F100EH41C
4F100EH46C
4F100GB15
4F100GB23
4F100JM01C
4F100YY00B
4L055AA02
4L055AA03
4L055AC01
4L055AC05
4L055AG46
4L055AH37
4L055AJ01
4L055BD16
4L055EA05
4L055EA08
4L055EA16
4L055EA32
4L055FA19
4L055FA30
4L055GA05
4L055GA06
4L055GA30
(57)【要約】
第1層(1)である1つの層からなる食品包装材料用のバリアボードである。第1層(1)の主原料は、砕木SR値が50超であり1平方メートル当たりの重量が90g超の化学パルプである。本発明の一応用は、層が少なくとも2つあるバリアボード(10)である。第1層(1)の主原料は、化学パルプであり、当該化学パルプの砕木SR値は、50超である。第2層(2)の主原料は、化学パルプ、機械パルプ、CTMPマスまたは半化学パルプであり、当該原料が化学パルプであるとき、その砕木SR値が35超である。あるいは、前述した原料の条件が満たされる場合、前記第1層(1)および前記第2層(2)の砕木SR値は、これまで定められたものとは逆になる。本発明の一応用は、第1層(1)および第2層(2)の主原料が化学パルプであるバリアボード(10)である。当該化学パルプの砕木SR値は、50超であり、第2層(2)は、当該バリアボード(10)が段ボールとなるように波状加工される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維の長さが約500~3000μm、繊維の直径が15~40μmである通常の化学パルプから作製され、かつ第1層(1)および第2層(2)を少なくとも有するバリアボード(10)であって、水分、油分および/または脂肪分に対する、食品包装のためのバリアボード(10)において、
a.前記第1層(1)の主原料は、砕木SR値が50超である、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、もしくはこれらの化学パルプの混合物であり、
b.前記第2層(2)の主原料は、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、これらの化学パルプの混合物、機械パルプ、CTMPマス、もしくは半化学パルプであり、当該主原料が最初に述べた3つの主原料のうちの1つであるとき、そのSR値が35超であり、または
c.上述した原料の条件が満たされるとき、前記第1層(1)および前記第2層(2)の砕木値が上に定めたものとは逆である
ことを特徴とする、バリアボード(10)。
【請求項2】
前記第1層(1)は、その重量の1~4%の樹脂接着剤(21)、および/またはその重量の最大4%のカルボキシルメチルセルロース(CMC)(22)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバリアボード(10)。
【請求項3】
前記第2層は、その重量の1~4%の樹脂接着剤(21)、および/またはその重量の最大4%のCMC(22)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のバリアボード(10)。
【請求項4】
前記バリアボード(10)は、2つの層からなり、
前記第2層(2)の重量は、110~200g平方メートルであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項5】
前記バリアボード(10)は、原料が針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物である第3層(3)を、前記第2層の隣に含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項6】
前記第3層の砕木SR値は、35未満であることを特徴とする、請求項5に記載のバリアボード(10)。
【請求項7】
前記第1層(1)の重量は、50g平方メートル超であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項8】
前記第2層(2)の重量は、100~170g平方メートル超であることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項9】
前記第3層(3)の重量は、40~80g平方メートルであることを特徴とする、請求項5~8のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項10】
繊維の長さが約500~3000μm、繊維の直径が15~40μmである通常の化学パルプから作製され、かつ2つの層または3つの層を有するバリアボード(10)であって、水分、油分および/または脂肪分に対する、食品包装のためのバリアボード(10)において、
a.第1層(1)および第2層(2)の主原料は、砕木SR値が50超である、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物であり、
b.前記第2層(2)は、前記バリアボードが段ボールとなるように波状加工されている
ことを特徴とする、バリアボード(10)。
【請求項11】
前記第1層(1)は、その重量の1~4%の樹脂接着剤(21)、および/またはその重量の最大4%のCMC(22)を含むことを特徴とする、請求項10に記載のバリアボード(10)。
【請求項12】
前記第2層(2)は、その重量の1~4%の樹脂接着剤(21)、および/またはその重量の最大4%のCMC(22)を含むことを特徴とする、請求項10または11に記載のバリアボード(10)。
【請求項13】
前記第3層(3)の砕木SR値は、50超であり、または
前記第3層は、35未満の砕木SR値を有するボードからなる白色または茶色の表面クラフトライナと、その表面に施されるコーティングと、からなる
ことを特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項14】
すべての層(1~3)の1平方メートル当たりの重量は、90g平方メートル超であることを特徴とする、請求項10~13のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項15】
繊維の長さが約500~3000μm、繊維の直径が15~40μmである通常の化学パルプから作製され、かつ第1層(1)である1つの層を含むバリアボード(10)であって、水分、油分および/または脂肪分に対する、食品包装のためのバリアボード(10)において、
前記第1層(1)の主原料は、砕木SR値が50超である、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物であり、前記層の1平方メートル当たりの重量は、90g超であることを特徴とする、バリアボード(10)。
【請求項16】
前記バリアボード(10)は、その重量の1~4%の樹脂接着剤(21)、および/またはその重量の最大4%のCMC(22)を含むことを特徴とする、請求項15に記載のバリアボード(10)。
【請求項17】
その裏面(10.1)には、CMCコーティングおよび/または水溶性ポリマーディスパージョンコーティングが適合されていることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項18】
その層(1-3)のうちの少なくとも1つの層は、少なくとも2つの互いに付着した層状の部分を含むことを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のバリアボードの製造方法において、
a.少なくとも前記第1層(1)の主原料である通常の化学パルプ(20)が、当該化学パルプ(20)を形成する繊維束が、繊維が実質的に切断されることなく互いに緩まりフィブリル化するよう、また、繊維間の結合が乾燥後も残存するように、砕木工程によって繊維が切断されることなく当該繊維に影響が与えられるよう、砕木機で砕木される操作と、
b.或る層(1-3)の化学パルプ(20)に対して、樹脂接着剤(21)および/またはCMC(22)が当該層の構成に含まれる場合、当該樹脂接着剤(21)および/またはCMC(22)が添加される操作と、
c.1層、2層、または3層のバリアボード(10)が、この目的のために適合された板紙抄紙機を使用して、化学パルプ(20)または混合物(23)から作製される操作と、
が少なくとも実行されることを特徴とする、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明の対象は、少なくとも第1層からなるバリアボードであって、食品の包装のためのバリアボードである。さらに、本発明の対象は、上記のボード(板紙)の製造方法である。
【0002】
本発明の使用範囲は、食品の包装である。その意義は、プラスチックをこの目的のために構成する市場のバリアボードだけでなく、プラスチック材料、紙/ボードおよびプラスチックの組み合わせ材料、そしてアルミニウムを含む包装材料を可能な限り置き換えること、これらすべてを、完全にプラスチックフリーで持続可能にリサイクルできる材料に置き換えることである。自然および気候を汚染する物質(例えば、木材ベースの包装材料のバリア層として使用され、またはその一部として使用される前述したプラスチック)を回避できるように、本発明によって針葉樹およびカバノキの化学パルプの特性を利用することが意図される。本発明によって、食品の包装におけるプラスチック、ガラス、および金属の包装の使用量を減らすことが可能となる。
【0003】
本発明の有利な使用は、固形食品、半固形食品、または液体食品の包装のようなものである。当該包装では、食品から環境への水分、その他の液体、脂肪分、臭気、もしくは味の移動が防止され、または包装材料もしくは環境から食品への有害物質の移動が防止される。ボード包装のバリア層または保護層は、特に食品が湿っぽく、液状であり、または脂っぽい場合に必要となる。
【0004】
食品の包装について語る際の「バリア(barrier)」という語は、フィンランド語でも一般的になっているため、本明細書ではそのままで、または複合語の一部として使用されている。
【0005】
本発明によるバリアボードの原料化学パルプは、次のように、その繊維の尺度スケールによって公知の方法で定められ得る、通常の化学パルプである:繊維の長さは、約500~3000μmであり、繊維の直径は、15~40μmである。既知の技術によるソリューションでは、使用される化学パルプは、前述した通常の化学パルプである。明確にするために、本発明によるバリアボードの原料には、ナノ化学パルプ(例えば、繊維長が約1~10μmであり繊維直径が<0.1μmである、マイクロフィブリル化化学パルプ(micro fibrillated chemical pulp:MFC))は適していないことを述べておく。
【0006】
既知の技術によるバリアボードは、1または複数の化学パルプ層またはマス層からなり、包装内の食品に向かう裏面層(すなわち、内側層)は、プラスチックでコーティング(ラミネート加工)される。コーティングに使用される最も一般的なプラスチックは、ポリエチレン(polyethylene:PE)であるが、ポリプロピレン(polypropylene:PP)およびポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate:PET)も使用される。
【0007】
PEラミネート加工ボードから作製された、現在使用されている食品包装の例としては、液体包装、ボードカップ(board cup)、冷凍食品包装、およびアイスクリーム包装等がある。製造されたボード液体包装が無菌であることが望まれる場合、そのバリアは、プラスチック層またはアルミニウム層から作製されるが、アルミニウムは液体と直接的に接触させることができないため、アルミニウムの上にさらにPE層がラミネート加工される。この種の包装の例として、ジュース用の包装およびロングライフミルク用の包装を挙げることができる。
【0008】
バリア包装内に食品を包装する既知の方法の1つは、情報を伝える印刷をそれに施すことであり、異なる2つの材料内に食品を包装することである。まず、プラスチック、バリア紙、またはアルミニウム(最近の例では、スズ)内に食品が包装され、次いでその上に、表面に印刷が施された紙またはボードが合わせられる。これらの包装の例としては、コンビニエンスフード、冷凍食品、コーヒー、およびミューズリーの包装が挙げられ得る。
【0009】
今日の食品包装の多くは、3層のボードから作製されていることが知られている。ここで、表面層は、良好な印刷性を有し、中間層は、良好な強度および折り畳み性を有し、裏面層は、十分なバリア性を有する。ボードの特徴的な剛性が達成され、ボードを例えば箱形に折りたたむことが可能になるように、中間層の1平方メートル当たりの重量が、ボードの総厚を決定するために使用される。
【0010】
折りたたみボックスボード(folding boxboard)は、三層構造のボードの典型的な一例である。すべての層に、バージンファイバ(virgin fiber)が使用される:中間層には、機械マスまたは化学パルプである半機械マス、チップ由来の半化学パルプが使用され、表面層および裏面層には、漂白された化学パルプが使用されている。生産者/販売者が希望する情報を印刷できるように、表面は、ほとんど常にコーティングされている。既知の技術では、食品に対する折りたたみボックスボードのバリアは通常、PEプラスチックを裏面層にラミネート加工することによって作製される。
【0011】
別の多層ボードは、ソリッドボード(solid board)である。漂白された化学パルプまたは未漂白(茶色)の化学パルプが、すべての層に使用される。通常、表面層には、印刷用のコーティングが施される。ソリッドボードは、乾燥食品(例えば、チョコレート)の包装にそのまま使用されるが、バリアが必要な場合には、PEプラスチック、PPプラスチック、またはPETプラスチックが、押し出し法を用いて裏面層にコーティングされる。
【0012】
液体用包装ボードは、化学パルプ(漂白または未漂白)だけでなく、チップ由来の半化学パルプ(CTMPマス(CTMP mass))からも構成される。また、このボードのバリアは、PEプラスチックで表面をラミネート加工することによって作製される。
【0013】
リサイクル可能な繊維ベースのWLCボードは、外側の包装としてのみ食品に適している。食品と接触する場合には、その内部がPEプラスチックでラミネート加工される。
【0014】
ボードの製造時に、化学パルプは、全ての機械パルプおよび半機械パルプと同様に、繊維の特性を上記製品の製造にとってより良く変化させる目的で砕木される。砕木プロセスでは、繊維は、水中で砕木することによって加工される。砕木プロセスにおいて、繊維の水素結合が切断され、水分子に対する新たな結合が形成され、その結果、繊維が膨潤する。すると繊維の表面は大きくなり、膨潤した繊維はワイヤにおいて互いにより良く結合する。砕木の質は、完成したボードの特性と機械におけるマスの取り扱いとの両方に影響する。砕木は、化学パルプをベースとする層の耐久性を高めるものの、不透明度、光沢、および明度といった光学的特性を弱めてしまう。加えて、砕木が多すぎると、マスの排水能力が弱くなるため、ボードの製造時におけるマスの乾燥が遅くなってしまう。実際、板紙抄紙機および砕木機のエネルギー消費量がより大きなものになってしまうこととなる。既知の技術によれば、砕木は、その既知の利点および欠点を考慮して最適化される。砕木の程度は、排水能力によって表され、その単位は、ショッパー-リーグラー値(Schopper-Riegler value:SR値)である。今日の折りたたみボックスボードおよびソリッドボードの種々の層における砕木度は、SR値で表すと約20~30である。
【0015】
ここ数十年の間に(1980年以降)、水溶性ポリマーディスパージョンが開発された。水溶性ポリマーディスパージョンは、ボードまたは紙をコーティングするために、適切なコーティングミネラルと混合させて使用することができる。乾燥後、この種のコーティングは、水分および/または脂肪分をはじくバリアを形成する。この種のボード材料は、リサイクル可能であり、かつ堆肥化可能である。このようにして形成されたバリア表面は、比較的薄く(10~15g平方メートル)、製造プロセスまたは調質(リファイニング)プロセスの間、バリア表面に小さな穴または亀裂が形成され得る。このため、ポリマーディスパージョンをベースとしたバリアボードは、例えばPEプラスチックコーティングボードのようには、要求の厳しい食品包装に使用することができない。PEプラスチックコーティングボードについては、プラスチック層(15~40g平方メートル)材料が非常に可撓的であるため、通常、容易には穴が形成されない。
【0016】
フィンランドのMetsaboardは、ヨーロッパ最大の折りたたみボックスボード生産会社であり、同社のインターネットサイトwww.metsaboard.comには、例えば同社のボード製品が紹介されている。
【0017】
スウェーデンのHolmen Iggesundは、ソリッドボードを生産してプラスチックでラミネート加工している。同社の製品および生産については、インターネットサイトwww.iggesund.comで知ることができる。
【0018】
既知の食品ボードおよびその製造の最大の弱みは、化石プラスチックの使用に関するものである。プラスチックは、ボードおよび包装の業界の専門家ならびに包装のユーザから、不利であり自然に有害な原料であると考えられており、プラスチックからの脱却が望まれている。その妨げとなっているのは、環境に優しい十分に良好な技術が存在しないことである。
【0019】
既知の技術の一欠点として、バリアボードに使用される最も一般的なプラスチックであるポリエチレンは、オーブンで加熱されるのに適していないことが挙げられる。そのため、食品包装における使用には、限界がある。
【0020】
本発明の意義は、既知の技術の欠点を回避するようなバリアボード、およびその製造方法をもたらすことである。請求項1、請求項10、請求項15、および請求項20の特徴部に示されたことが、本発明によるソリューションについての特徴である。
【0021】
本発明は、既知の技術に関して多くの利点を有する。本発明による食品包装バリアボードでは、例えばプラスチック等の化石原料は使用されない。そのバリア層は、木材材料および非化石添加剤から得られる。ボード内への食品包装は、地球規模において巨大な活動分野である。また、バリアボードは、持続可能な開発の原料から完全に製造することができるので、それ自体、脱化石世界へ向けての大きな飛躍である。
【0022】
プラスチック/バリア紙/アルミニウムおよびボードからなる2つの材料の食品包装と本発明とを比較すると、包装材料の節約、およびリサイクル性の向上に役立つ。
【0023】
本発明によるプラスチックフリーの食品包装は、PEラミネート加工ボードの箱、カップ、缶等が適しない加熱に適している。本発明によるバリアボードは、加熱中、有害な物質、味、または臭いを食品へ放出しない。
【0024】
本発明によるバリアボードの製造方法によって、上述した環境に優しい新たな製品を使用することが可能になる。
【0025】
本発明は、添付の図面において、より正確に説明される。
【0026】
図1は、本発明による三層バリアボードを示し、
図2は、本発明による二層バリアボードを示し、
図3は、本発明による一層バリアボードを示し、
図4は、図1とは異なる本発明の三層ソリューションの一応用を示し、
図5は、本発明による方法の実現例を示すチャートであり、
図6は、本発明による方法の別の実現例に関するチャートである。
【0027】
次に、本発明によるバリアボードの製造方法の特別な特徴について、前述した図を参照して説明する。
【0028】
本発明によるバリアボード10は、1層、2層または3層からなる(図1図3)。その化学パルプ原料の製造プロセスにおいて、少なくとも1つの層が水分、油分もしくは脂肪分、またはこれらすべてに対するバリアとなり、ボードが食品包装に適したものとなるように、化学パルプ繊維を切断することなく当該化学パルプ繊維に機械的な影響を与える砕木工程が用いられる。
【0029】
本発明によるバリアボード10は、本発明の新規な方法によって製造される。製造においては、砕木された針葉樹および/またはカバノキの先進的な化学パルプが使用される。試験の結果、化学パルプの砕木の程度がSR40超になると当該化学パルプにバリア性が現れ始め、砕木の程度が大きくなるにつれてバリア性が向上し、カバノキ化学パルプではSR80に至るまでバリア性が向上することが示された。一方、厚く締まったボードのウェブ形成(web formation)および乾燥は、砕木の程度が通常(SR30)を超えると困難になっていく。試験の結果、針葉樹化学パルプおよびカバノキ化学パルプのバリア特性はともに、SR40超になると向上していくが、針葉樹化学パルプよりもカバノキ化学パルプにおいて、より良好であったこと、一方、例えば曲げ剛性および強度といった重要な特性は、上述した限界値を超えたとき、カバノキ化学パルプよりも針葉樹化学パルプにおいて、より良好に維持されることが示された。
【0030】
本発明による方法において、化学パルプの砕木工程は、化学パルプを形成する繊維の束が、繊維が切断されることなく互いに緩まりフィブリル化し得るように、また、当該砕木工程が化学パルプ繊維に機械的影響を与えるように、実行される。本発明による方法では、乾燥後も繊維間の結合が保持されるように、繊維どうしが互いにくっつく。これは、バリア特性が形成されるための必要条件である。本方法では、バリアボード10の化学パルプ原料の砕木工程は、砕木の程度が各段階においてSR15~20程度上昇するように、従来技術に従って2つ以上の段階で実行される。しかしながら、砕木の程度の高い化学パルプフィルムストリップからの水分の除去は、通常の折りたたみボックスボードの化学パルプボードフィルムストリップよりも困難であるため、板紙抄紙機の製造速度を低下させることで、それが行われる。この欠点は、開発のこの段階では受容し得るものである。この方法を用いて得られる製品が、様々な点でそれを埋め合わせるからである。
【0031】
本発明によるバリアボード10の種々の層には、カバノキ化学パルプ、針葉樹化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物を使用することができる。混合比は、各々の場合に有利であるように適合させることができる。
【0032】
本発明による方法の他の特徴は、化学パルプに或る添加剤を使用することである。これについては以降の段落で扱う。
【0033】
SR60の砕木針葉樹化学パルプおよびSR75の砕木カバノキ化学パルプに樹脂接着剤(通常の市販樹脂)を添加すると、例えば、水分に対しては50%、油分に対しては100%、バリア特性が改善されることが、試験により示されている。上記のバリア効果の改善について言えば、化学パルプにおけるこの添加剤の有利な量は、化学パルプの重量について約2~3%であるが、樹脂接着剤のその他の量、およびより低い砕木の程度も問題となり得る(論議され得る)。本発明による方法では、樹脂接着剤は、バリアボード10の食品側、すなわち裏側(本明細書では、第1層1とも称される)の化学パルプと、中間層、すなわち第2層2の化学パルプに添加され得る。一層バリアボード10について問題とする場合、樹脂接着剤は、その化学パルプに添加される。
【0034】
市販の化石フリー樹脂接着剤の一例として、Solenis Corporationの製品Hi-pHase40を挙げることができる。この製品も、フィンランドで生産されている。
【0035】
本明細書において、「樹脂接着剤(“resin glue")」という用語は化石フリー樹脂を意味するものであり、先に述べたものに加えて、本発明とともに使用できる他の樹脂製品も市場には存在する。
【0036】
また、市販品のカルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose:CMC)を前述した砕木化学パルプに添加すると、油分に対するバリア性が改善されることが試験によって示されている。試験では、SR60-75の化学パルプに添加したCMCの量は、化学パルプの重量の約2%であり、バリア性の向上は、約30%であった。化学パルプの重量に関するこの添加剤の有利な量の一つは、所望のバリア性改善に応じて約1~3%であるが、CMCのその他の量、および化学パルプの砕木の程度も問題となり得る(論議され得る)ことを、試験によって知ることができた。本発明による方法では、第1層1の化学パルプにCMCを添加することができ、または第1層1の化学パルプと第2層2の化学パルプとにCMCを添加することができる。一層バリアボードについて問題とする場合には、CMCは、その化学パルプに添加することができる。或るバリアボードの化学パルプにいかなるCMCも添加しないように、本発明による方法を適用することもできる。
【0037】
乾燥後、ボードの技術的特性を改善するために、本発明による三層バリアボード10の裏面10.1および/または表面10.2にCMCのコーティングを加えること、すなわち、CMCの表面サイジング(surface sizing)でそれらを処理することが可能であり、この結果、第1層1のバリアは、さらに良好になる。このように処理された食品ボードは、わずかな変更を加えるだけで、今日の箱およびペーストリモールドの製造包装ラインに適した構造的性質を有する。包装ラインのプロセスには少なくとも、ボードを印刷する工程、およびボードに傷をつけて切断する工程が含まれることが知られている。
【0038】
前述した表面処理は、3層、2層、または1層のバリアボード10について行われ得る。
【0039】
本発明による一層バリアボード10は、原則として、三層バリアボードの第1層1と同様に製造することができる。相違点は、砕木の程度および1平方メートル当たりの重量の相違であるが、これについては後で詳しく述べる。これらの製品は、例えば肉および魚の包装、またはチーズ、ベーカリー製品、ピザ、サンドウィッチ、およびハンバーガーの包装といった生鮮食品の包装に適している。または、前述した一層バリアボードは、三層バリアボード10の第2層2と同様に、SR50超の砕木化学パルプから作製することができる。この製品は、例えばベーカリー製品、チーズ、ピザ、サンドウィッチ、およびハンバーガーといった生鮮食品の包装に適している。バリア性が弱いため、一層バリアボード包装で包装されたこれらの製品の保存期間は三層包装で保存された製品よりも短いが、製造コストは低い。また、これらのボードの表面にも、ある制限の中で印刷を施すことができる。
【0040】
本発明による2層のバリアボード10は、三層バリアボードの第1層1および第2層2のように製造できる。この製品の包装の技術的性質は、三層ボードの性質とほぼ同じレベルであり、製造コストは、いくぶん低く、印刷性は、だいたい三層ボードと一層ボードとの間に位置する。
【0041】
次に、図1図3を参照して、本発明による一部のバリアボード10の構成を説明する。
【0042】
食品を包装するための3層のバリアボード10を、図1に示す。その第1層1は、砕木SR値が50超である、砕木されたカバノキ化学パルプ、針葉樹化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物から、主に作製されている。さらに、上述した層は、その重量の1~4%の樹脂接着剤と、その重量の最大4%のカルボキシルメチルセルロース(CMC)と、を含み、この層の1平方メートル当たりの重量は、50g平方メートル超である。第2層2は、SR値が35超である、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物から、主に構成されている。さらに、この層は、その重量の1~4%の樹脂接着剤と、その重量の最大4%のCMCと、を含み、当該層の重量は、100~170g平方メートルである。第2層2の側にある表面層は、本明細書において第3層3と称され、第3層3は、砕木SR値が<35であるカバノキ化学パルプから主に作製されており、その重量は、40~80g平方メートルである。
【0043】
本発明の別の一応用は、上に提示したものと同様のバリアボード10である。ただし、第2層2が樹脂接着剤を含まず、または第1層1および第2層2が樹脂接着剤を含まないという相違がある。
【0044】
前述した三層バリアボード10の主なバリアは、その第1層1にあり、主にボードに対して良好な強度値を与える第2層2は、固定バリア(securing barrier)を含む。第3層3は、有利な視覚的性質および印刷性を含む。本発明による三層バリアボードの一応用は、前述のものとは逆に、第1層1のSR値を>35という値に設定し、第2層2の値を>50という値に、これらの層に関する限り設定することである。この構成により、或る状況において、第1層1が締まりすぎず、湿気が第1層1を通り第1層1と第2層2との間に十分にもたらされるように保証することができる。その結果、上述した層を互いに分離し得るいわゆるブローが形成されなくなる。
【0045】
二層バリアボード10または三層バリアボード10の一製造方法は、機械パルプ、CTMP、または半化学パルプで第2層2を形成することである。その場合においても、第1層1のSR値を>50という値に設定し、第2層のSR値を>35という値に設定することができる。あるいは、その逆とすることもできる。
【0046】
図2には、食品を包装するための1つの二層バリアボード10が記載されている。その食品側である第1層1は、砕木SR値が50超である、砕木されたカバノキ化学パルプ、針葉樹化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物から、主に作製されている。さらに、上述した層は、その重量の1~4%の樹脂接着剤と、その重量の最大4%のCMCと、を有し、この層の重量は、50g平方メートル超である。第2層2は、SR値が35超である、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物から、主に作製されている。さらに、この層は、その重量の1~4%の樹脂接着剤と、その重量の最大4%のCMCと、含み、その重量は、110~200g平方メートルである。代替的に、第1層のSR値が、>35という値に設定され、第2層のSR値が、>50という値に設定される。この意図は、三層バリアボードにおける対応する代替形態と同じ最終結果に到達することである。
【0047】
また、二層バリアボード10は、その第2層2が樹脂接着剤を含まないように作製することもできる。または、その第1層および第2層2が樹脂接着剤を含まないようにすることもできる。
【0048】
図3には、食品を包装するための1つのバリアボード10が示されている。これは、SR値が50超である、カバノキ化学パルプ、針葉樹化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物から主に作製された第1層1のみを含む。この層の重量は、90g平方メートル超である。
【0049】
本発明の一応用は、一層バリアボードであって、その重量の1~4%の樹脂接着剤をさらに含む一層バリアボードである。
【0050】
本発明の1層での一応用は、先に示したものと同様の一層バリアボード10であるが、その重量の最大4%のCMCをさらに含むという相違がある。
【0051】
本発明の一応用は、その重量の最大4%のCMCを含むが樹脂を含まないという点で前二者と異なる、一層バリアボード10である。
【0052】
図4は、第2層2が波状加工された、かかる三層ソリューションの一応用を示している。この構造の通称は、段ボール(corrugated board)である。その3層すべての主原料は、SR値が50超であり重量が90g平方メートル超である、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物である。このバリアボード10には、いずれの層にもバリアがある。
【0053】
三層バリアボード10の段ボールの別の一応用では、SR値が<35、重量40~80g平方メートルのボード(板紙)であることが知られる段ボール調質(リファイニング)用に作製される通常の白色または茶色の表面クラフトライナと、コーティングと、から、第3層3が作製される。このようにして得られた第3層3の重量は、100~150g平方メートルである。本発明のこの応用では、第1層1および第2層2は、そのバリアがこれら2つの層にあるように、前述した応用と同じように実現される。
【0054】
段ボールの応用を実現する場合、第2層は、所望の波状加工形状が得られるように、板紙抄紙機のコルゲーションユニットを通じて供給される。
【0055】
図5は、本発明による一応用をチャートとして示している。それは、以下の操作からなる。段階A;各層の化学パルプ20は、それを形成する繊維束が、繊維が実質的に切断されることなく互いに緩まりフィブリル化するように、また、少なくとも第1層の化学パルプの砕木工程が、繊維を切断することなく当該繊維に機械的影響を与え、そのとき乾燥後も繊維間の結合が残存するように、砕木機を用いて砕木される。段階Bおよび段階C;樹脂接着剤21および/またはCMC22がプロセス中の構成に含まれる場合、当該樹脂接着剤21および/またはCMC22が化学パルプ20に添加される。段階D;化学パルプ20/混合物23から、一層バリアボード10、二層バリアボード10、または三層バリアボード10が、この目的のために採用された板紙抄紙機または抄紙機を使用して作製される。化学パルプのSR値、ならびに樹脂接着剤およびCMCの量は、前述した有利な値および量となるように、層ごとに採用される。
【0056】
図6は、樹脂もCMCも使用しない、本発明による方法の一応用を示す。この応用は、一層バリアボード10から三層バリアボード10までの製造に使用でき、そのバリア効果は、もっぱら段階Aにおける化学パルプの砕木によって達成することができる。
【0057】
バリアボード10の裏面10.1および/または表面10.2がCMCコーティングを用いてコーティングされるように本発明による方法を適用する場合、それは、抄紙機/板紙抄紙機の表面サイジングユニットを使用して、または別個のコーティング機において、行うことができる。
【0058】
本発明による方法を実現する一方法は、その裏面10.1に水溶性ポリマーディスパージョンを加えることである。
【0059】
本発明の一応用は、バリアボード10の表面10.2に、情報を伝える印刷を印刷することである。
【0060】
一層バリアボードの表面10.2は、例えば、いわゆるクラフトライナから、層の外面にそれをラミネート加工または接着することによって、実現することができる。
【0061】
また、一層バリアボード10または二層バリアボード10は、第1層1、または第1層および第2層2が、CMC接着剤または壁紙糊(wallpaper paste)を用いて2つまたは3つの層をラミネートすることによって作製されるように、製造することができる。この段階は、別個のラミネート機を用いて行うことができる。
【0062】
第1層1および第2層2を3層から構成して組み合わせる別の一方法は、段ボール機を使用して、コルゲーションユニットを迂回することによって、それらを一緒にラミネートまたは接着することである。
【0063】
また、前述した機械は、本発明によるバリアボードの製造時に、第1層1、第2層2、および第3層3を組み合わせるために利用できる。
【0064】
また、本発明によるバリアボードは、3層よりも多くの層を含むこともできる。
【0065】
本発明の上述した種々の応用は、常にケースバイケースで有利な組み合わせにおいて実現できる。
【0066】
なお、この説明では、本発明を有利に実現する例として1つのタイプに固執しているが、これは決して、この種の使用のみに本発明の使用を制限することを欲するものではなく、むしろ特許請求の範囲の発明思想の範囲内において多くの変形形態が可能であることに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本発明による三層バリアボードを示す。
図2】本発明による二層バリアボードを示す。
図3】本発明による一層バリアボードを示す。
図4図1とは異なる本発明の三層ソリューションの一応用を示す。
図5】本発明による方法の実現例を示すチャートである。
図6】本発明による方法の別の実現例に関するチャートである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維の長さが約500~3000μm、繊維の直径が15~40μmである通常の化学パルプから作製され、かつ第1層(1)および第2層(2)を少なくとも有するバリアボード(10)であって、水分、油分および/または脂肪分に対する、食品包装のためのバリアボード(10)において、
a.前記第1層(1)の主原料は、砕木SR値が50超である、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、もしくはこれらの化学パルプの混合物であり、
b.前記第2層(2)の主原料は、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、これらの化学パルプの混合物、機械パルプ、CTMPマス、もしくは半化学パルプであり、当該主原料が最初に述べた3つの主原料のうちの1つであるとき、そのSR値が35超であり、または
c.上述した原料の条件が満たされるとき、前記第1層(1)および前記第2層(2)の砕木値が上に定めたものとは逆である
ことを特徴とする、バリアボード(10)。
【請求項2】
前記第1層(1)は、その重量の1~4%の樹脂接着剤(21)、および/またはその重量の最大4%のカルボキシルメチルセルロース(CMC)(22)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバリアボード(10)。
【請求項3】
前記第2層は、その重量の1~4%の樹脂接着剤(21)、および/またはその重量の最大4%のCMC(22)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のバリアボード(10)。
【請求項4】
前記バリアボード(10)は、2つの層からなり、
前記第2層(2)の重量は、110~200g平方メートルであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項5】
前記バリアボード(10)は、原料が針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物である第3層(3)を、前記第2層の隣に含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項6】
前記第3層の砕木SR値は、35未満であることを特徴とする、請求項5に記載のバリアボード(10)。
【請求項7】
前記第1層(1)の重量は、50g平方メートル超であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項8】
前記第2層(2)の重量は、100~170g平方メートル超であることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項9】
前記第3層(3)の重量は、40~80g平方メートルであることを特徴とする、請求項5~8のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項10】
繊維の長さが約500~3000μm、繊維の直径が15~40μmである通常の化学パルプから作製され、かつ2つの層または3つの層を有するバリアボード(10)であって、水分、油分および/または脂肪分に対する、食品包装のためのバリアボード(10)において、
a.第1層(1)および第2層(2)の主原料は、砕木SR値が50超である、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物であり、
b.前記第2層(2)は、前記バリアボードが段ボールとなるように波状加工されている
ことを特徴とする、バリアボード(10)。
【請求項11】
前記第1層(1)は、その重量の1~4%の樹脂接着剤(21)、および/またはその重量の最大4%のCMC(22)を含むことを特徴とする、請求項10に記載のバリアボード(10)。
【請求項12】
前記第2層(2)は、その重量の1~4%の樹脂接着剤(21)、および/またはその重量の最大4%のCMC(22)を含むことを特徴とする、請求項10または11に記載のバリアボード(10)。
【請求項13】
前記第3層(3)の砕木SR値は、50超であり、または
前記第3層は、35未満の砕木SR値を有するボードからなる白色または茶色の表面クラフトライナと、その表面に施されるコーティングと、からなる
ことを特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項14】
すべての層(1~3)の1平方メートル当たりの重量は、90g平方メートル超であることを特徴とする、請求項10~13のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項15】
繊維の長さが約500~3000μm、繊維の直径が15~40μmである通常の化学パルプから作製され、かつ第1層(1)である1つの層を含むバリアボード(10)であって、水分、油分および/または脂肪分に対する、食品包装のためのバリアボード(10)において、
前記第1層(1)の主原料は、砕木SR値が50超である、針葉樹化学パルプ、カバノキ化学パルプ、またはこれらの化学パルプの混合物であり、前記層の1平方メートル当たりの重量は、90g超であることを特徴とする、バリアボード(10)。
【請求項16】
前記バリアボード(10)は、その重量の1~4%の樹脂接着剤(21)、および/またはその重量の最大4%のCMC(22)を含むことを特徴とする、請求項15に記載のバリアボード(10)。
【請求項17】
その裏面(10.1)には、CMCコーティングおよび/または水溶性ポリマーディスパージョンコーティングが適合されていることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【請求項18】
その層(1-3)のうちの少なくとも1つの層は、少なくとも2つの互いに付着した層状の部分を含むことを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載のバリアボード(10)。
【国際調査報告】