(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】自動手術システムセットアップ及び構成
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
A61F9/007 200
A61F9/007 130Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528585
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 IB2022061881
(87)【国際公開番号】W WO2023105440
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ポール アール.ハレン
(72)【発明者】
【氏名】マーク エー.ホプキンズ
(57)【要約】
手術環境、例えば、眼科手術環境における装置及びシステムをユーザの所望の設定に自動的に構成するためのシステムが提供される。本システムは、コントローラに動作可能に結合される受信機と通信してもよいユーザ識別子、例えば、無線周波数識別(RFID)装置の利用を介して、ユーザ、例えば、外科医を識別するよう構成されるコントローラを含む。コントローラは、更に、装置関連識別子、例えば、装置固有RFID装置を介して、外科手術中にユーザによって用いられている外科装置、例えば、眼科プローブを識別するよう構成されてもよい。ユーザ及び手術装置の識別時に、コントローラは、ユーザ及び手術装置を予め定義された且つユーザ入力のパラメータ/設定の1つ以上のセットにマッピングし、更に、以前に特定されたパラメータ/設定のマッピングされた1つ以上のセットに基づいて、手術装置を構成してもよい。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術環境において手術コンソールを構成するためのシステムであって、
実行可能命令を備えるメモリと、
プロセッサであって、前記メモリとデータ通信し、且つ前記命令を実行して、前記システムに、
前記外科手術環境におけるユーザに関連するユーザ識別情報を受信させ、
前記ユーザ識別情報をユーザプロファイルにマッピングさせ、
前記ユーザプロファイルに基づいて、手術ツールを駆動するための1つ以上のパラメータを識別させ、
前記1つ以上のパラメータに基づいて前記手術ツールを駆動するよう前記手術コンソールを構成させるよう、
構成されるプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項2】
更に、前記1つ以上のパラメータを前記手術コンソールのディスプレイ装置上に表示するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザ識別情報は、前記ユーザの識別タグ又は識別バッジから受信される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記識別タグ又は識別バッジは、前記ユーザ識別情報を備える信号を送信するよう構成される無線周波数識別(RFID)装置を備え、前記プロセッサは、前記信号を受信し、前記ユーザ識別情報を前記プロセッサに中継するよう構成されるRFIDリーダとデータ通信する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ユーザ識別情報は、前記ユーザのスマート装置から暗号化された通信信号として受信される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ユーザ識別情報は、前記プロセッサとデータ通信する撮像装置によってキャプチャされる前記ユーザの画像を備え、前記プロセッサは、1つ以上の画像認識アルゴリズムを利用して、前記ユーザの前記キャプチャされた画像を前記ユーザプロファイルにマッピングする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記命令を実行することは、更に、前記システムに、
前記手術ツールに関連するツール識別情報を受信させ、
前記ツール識別情報をツールプロファイルにマッピングさせることであって、前記1つ以上のパラメータの前記識別は、更に、前記ツールプロファイルに基づく、マッピングさせる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
更に、前記手術コンソールのディスプレイ装置上に前記ツールプロファイルを表示するよう構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ツール識別情報は、前記手術ツール上のツール識別子から受信される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ツール識別子は、無線周波数識別(RFID)装置を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記手術ツールはセンサを備え、前記センサは、前記手術ツールが前記ユーザによって保持されるか、又は前記センサが押されると、前記ツール識別子からの前記ツール識別情報の送信を開始するよう構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ツール識別情報は、前記プロセッサとデータ通信する撮像装置によってキャプチャされる前記手術ツールの画像を備え、前記プロセッサは、1つ以上の画像認識アルゴリズムを利用して、前記キャプチャされた画像を前記ツールプロファイルにマッピングする、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記ユーザ識別情報は、前記撮像装置によってキャプチャされる前記ユーザの画像を備え、前記プロセッサは、前記1つ以上の画像認識アルゴリズムを利用して、前記ユーザの前記キャプチャされた画像を前記ユーザプロファイルにマッピングし、前記プロセッサは、更に、前記1つ以上の画像認識アルゴリズムを利用して、前記手術ツールが前記ユーザによって用いられているかどうかを特定する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記命令を実行することは、更に、前記システムに、
前記ユーザプロファイルに基づいて、前記ユーザに関連する前記手術コンソールの動作モードを識別させ、
前記手術コンソールを前記動作モードにさせる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
更に、前記ユーザに関連する前記動作モードを前記手術コンソールのディスプレイ装置上に表示するよう構成される、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、2021年12月9日出願の米国仮特許出願第63/265,168号、発明の名称「AUTOMATIC SURGICAL SYSTEM SETUP AND CONFIGURATION」、発明者Paul R. Hallen及びMark Alan Hopkinsの優先権の利益を主張し、その全てを十分且つ完全に本明細書中に記載するように引用し、本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
網膜硝子体手術等の眼科処置を含む外科手術の件数及び複雑さは、日々増加している。多くのかかる外科手術は、顕微鏡、ディスプレイ装置、並びに種々の手術ツール及び/又はシステム(例えば、コンソール)等の複数の装置の使用を必要とする。例えば、硝子体切除手術を実施する場合、外科医は、一般に、硝子体切除プローブ(例えば、硝子体カッター)、注入カニューレ、及び眼内照明を用いる場合があり、これらは全て、他のツール及び装置に加えて、手術コンソールと通信してもよい。
【0003】
外科手術の実施前又は実施中に、手術コンソールは、処置のための1つ以上の適切な手術ツールを駆動させるよう、外科医又は他の手術スタッフからのある特定の入力を必要とする場合がある。例えば、動作モード設定、ユーザが好むツール設定及びパラメータ(例えば、出力、持続時間等)、表示設定、並びに他のかかる入力は、手術ツールの利用前又は利用中に入力及び/又は確認される必要がある可能性がある。通常、ユーザ、例えば、外科医は、例えば、手術コンソール上のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)又は他のインターフェースを介して、これらの種々の入力を手動で入力する。結果として、外科手術の流れがそれゆえに中断される可能性があり、外科医の効率及び時間管理が低下する可能性がある。
【0004】
従って、当該技術分野において、外科手術中又はその準備において、手術コンソールの構成をユーザの所望の設定に効率化するための向上した装置、システム、及び方法に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、手術装置、システム、及び方法に関し、特に、手術コンソール及びシステムの自動セットアップ及びモード切替のための装置、システム、及び方法に関する。
【0006】
ある特定の実施形態によれば、外科手術環境において手術コンソールを構成するためのシステムが提供される。システムは、実行可能命令を備えるメモリと、メモリとデータ通信するプロセッサとを備える。プロセッサは、更に、命令を実行して、システムに、外科手術環境におけるユーザに関連するユーザ識別情報を受信させ、ユーザ識別情報をユーザプロファイルにマッピングさせ、ユーザプロファイルに基づいて、手術ツールを駆動するための1つ以上のパラメータを識別させ、1つ以上のパラメータに基づいて、手術ツールを駆動するよう手術コンソールを構成させるよう構成される。
【0007】
上記で引用した本開示の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができ、その幾つかを添付図面に示す。しかし、添付図面は、例示的実施形態を示すにすぎず、従って、その適用範囲を限定するものとみなされるべきではなく、他の同様に効果的な実施形態が認められてもよいことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示のある特定の実施形態による、その設定が自動構成されてもよい、種々の手術装置及びシステムによる手術環境を示す。
【
図2A】本開示のある特定の実施形態による、手術構成システムを用いるための方法のフロー図を示す。
【
図2B】本開示のある特定の実施形態による、手術構成システムの略図を示す。
【
図3】本開示のある特定の実施形態による、
図2の手術構成システムの例示的なコンポーネントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にすべく、可能であれば同一の参照符号を用いて図面に共通する同一要素を指定する。一実施形態の要素及び特徴が、更に言及することなく他の実施形態に有利に組み込まれる場合も考えられる。
【0010】
以下の説明において、開示する主題の理解を容易にするよう、詳細を実施例として記載する。しかし、開示する実装形態は例であり、全ての可能な実装を網羅するものではないことは、当業者に明らかであるはずである。従って、説明する実施例への言及は、本開示の適用範囲を限定する意図はないことが理解されるべきである。説明する装置、器具、方法に対する任意の変更及び更なる修正並びに本開示の原理の更なる任意の応用は、本開示が関連する当該技術の当業者が通常想到するであろうことが完全に想定される。特に、1つの実装に関して説明する特徴、コンポーネント、及び/又はステップは、本開示の他の実装に関して説明する特徴、コンポーネント、及び/又はステップと組み合わされてもよいことは完全に想定される。
【0011】
本開示の実施形態は、一般に、手術環境、例えば、眼科手術環境において、手術コンソール等の手術システムをユーザの所望の設定に自動的に構成するためのシステムに関する。ある特定の態様において、システムは、コントローラに動作可能に結合される受信機と通信してもよいユーザ固有の携帯型コンポーネント、例えば、無線周波数識別(RFID)装置の利用を介して、外科医等のユーザを識別するよう構成されるコントローラを含む。ユーザの識別時に、コントローラは、ユーザを手術システムのための定義されたパラメータ/設定の1つ以上のセットにマッピングしてもよい。コントローラは、更に、例えば、ツール固有のRFID装置又は他のセンサを介して、外科手術中にユーザによって用いられるか又は用いられている眼科プローブ等の手術ツールを識別するよう構成されてもよい。ある特定の態様において、用いられている手術ツールの識別時に、コントローラは、手術ツールに関連する適切な動作モードに手術コンソールを置いてもよい。ある特定の態様において、ユーザ及び手術ツールの識別時に、コントローラは、手術コンソールに、ユーザに関連付けられマッピングされた定義パラメータ/設定の1つ以上のセットに基づいて手術ツールを駆動させてもよい。更なる態様において、コントローラは、画像認識メカニズムを介して、ユーザ及び/又は手術ツールを識別するよう構成されてもよい。
【0012】
本明細書中で用いる場合、用語「手術システム」とは、外科手術を実施するための任意の手術システム、コンソール、又は装置を指す場合がある。例えば、用語「手術システム」とは、当業者にとって公知であるように、超音波水晶体乳化吸引術コンソール、硝子体切除術コンソール、レーザシステム、又は眼科手術室内で用いられる任意の他のコンソール、システム、若しくは装置等の手術コンソールを指す場合がある。本明細書中のある特定の実施形態は、眼科システム、ツール、及び環境に関連して説明されているが、本明細書中に説明する実施形態は、他の種類の医療又は手術システム、ツール、及び環境にも同様に適用可能であることに留意されたい。
【0013】
本明細書中で用いるように、用語「センサ」とは、例えば、物理的入力を検出又は測定し、物理的入力を記録し、それを示し、又はそうでなければそれに応答する、任意の種類の装置を指す場合がある。例えば、用語「センサ」とは、手術ツール、システム、又はユーザの位置、場所、近接性(例えば、手術コンソールに対する)、傾き、高さ、速度(例えば、加速度計)、温度等を検出又は測定するよう構成される装置を指す場合がある。ある特定の実施例において、用語「センサ」とは、静電容量式又は抵抗式タッチセンサ等の、タッチ、即ち、ユーザによる手術ツール又はシステムの接触を検出するよう構成される装置を指す場合がある。ある特定の実施例において、用語「センサ」とは、電荷結合装置(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ等のアクティブピクセルセンサ(APS)等、画像ベースの情報を検出及び中継するよう構成される撮像装置を指す場合がある。
【0014】
眼科手術装置及びシステムを参照して一般的に説明するが、本明細書中に説明する装置及びシステムは、本願の適用範囲から逸脱することなく、他の手術のための装置及びシステム等の他の装置及びシステムにより実装されてもよい。
【0015】
本明細書中で用いるように、用語「約」とは、公称値からの+/-10%の変動を指す場合がある。かかる変動を本明細書中に提供する任意の値に含むことができることは言うまでもない。
【0016】
図1は、本開示の実施形態による、手術コンソール120が外科手術の実施のために利用されてもよい眼科手術環境等の手術環境100の一実施例を示している。示すように、手術環境100は、更に、外科医110、患者112、並びに、ディスプレイ装置122を有する手術コンソール120、顕微鏡システム124、及び手術ツール126等の複数の手術システム及びツールを含む。一般に、手術環境100に含まれてもよい適切な手術システムの例は、網膜硝子体処置、白内障手術、角膜移植、緑内障手術、レーシック手術、屈折レンズ交換、線維柱帯切除術、角膜切開処置、及び角膜移植手術を行うための手術装置及びコンソール、又は当業者によって識別可能な他の装置及びコンソールを含む。これらの処置のうちの2つ以上を行うことが可能なコンソールもまた、本開示の適用範囲内である。網膜硝子体処置を行うために構成されるコンソールの一例は、Alcon Laboratories,Inc.,Fort Worth,Texasから入手可能なConstellation(登録商標)システムである。白内障手術を行うよう構成されるコンソールの一例は、Alcon Laboratories,Inc.,Fort Worth, Texasから入手可能なCenturion(登録商標)システムである。
【0017】
手術コンソール120は、コントローラ104(仮想線で示す)と、ある特定の実施形態において、コントローラ104と通信する受信機106とを含む。コントローラ104は、手術ツールに関連付けられる格納された設定及びパラメータに従って、手術ツール、例えば、手術ツール126を駆動するための1つ以上のタスクを手術コンソール120に行わせるよう構成される。受信機106は、コントローラ104と、例えば、以下で検討するユーザ識別子130との間の通信(例えば、一方向又は双方向信号)のための任意の好適なインターフェースを含んでもよい。例えば、受信機106は、コントローラ104とユーザ識別子130との間の無線又は有線接続を含んでもよい。ある特定の実施形態において、受信機106は、コントローラ104とツール識別子140及び/又は使用センサとの間で更なる通信(例えば、一方向又は双方向信号)を行い、それぞれを以下で更に詳細に説明する。
【0018】
ある特定の実施形態において、受信機106は、RFIDリーダ、Bluetooth(登録商標)受信機、近距離無線通信(NFC)リーダ、又は別の同様の無線式受信機を含む。
図1の実施形態において、コントローラ104及び受信機106は、手術コンソール120内に統合され、コントローラ104は、手術コンソール内に統合される1つ以上のプロセッサ及び/又はメモリ装置を含むか、又はそれを指す。ある特定の他の実施形態において、コントローラ104及び/又は受信機106は、例えば、手術コンソール120及び手術環境100内の他の装置と無線又有線通信しているスタンドアロン装置又はモジュールである。ある特定の実施形態において、コントローラ104は、手術コンソール120に関連付けられるプロセッサが実行するよう構成されるソフトウェア命令のセットを指す。ある特定の態様において、コントローラ104の動作は、部分的にはコントローラ104及び/又は手術コンソール120と関連付けられるプロセッサによって、及び部分的には公共又はプライベートクラウドにおいて実行されてもよい。
【0019】
図1の実施例において、ユーザ識別子130は外科医110上に描写されている。ユーザ識別子130は、一般に、手術環境100における外科医110の存在をコントローラ104に信号伝達し、更に、外科医110に関連する定義されたパラメータ/設定に従って、手術コンソール120の自動セットアップ及び構成の目的のために、外科医110を識別してもよい任意の好適な物品、装置、又はコンポーネントを含む。ある特定の実施形態において、ユーザ識別子130は、例えば、コントローラ104と通信する手術コンソール120上のイメージスキャナによってキャプチャされるか又は読み取られてもよいユーザ固有のデジタル若しくはアナログバーコード或いは他の形態の機械読取可能コード(例えば、クイックレスポンス「QR」コード)を含み、次いで、コードを利用して、外科医110を識別する。ある特定の実施形態において、ユーザ識別子130は、例えば、コントローラ104と通信する受信機106に、それによる識別のために、ユーザ固有の識別データを無線で送信するよう構成される装置を含む。例えば、ユーザ識別子130は、RFID受信機を含んでもよい受信機106にユーザ固有の識別データを送信する(即ち、通信する)ための受動又は能動RFIDトランスポンダ又は同様の装置を含んでもよい。ユーザ識別子130の具体的な実施例は、アナログ機械読取可能コードを有する従業員バッジ、RFIDトランスポンダを有する従業員バッジ又はタグ、RFIDトランスポンダを有するブレスレット等を含んでもよい。
【0020】
ある特定の実施形態において、ユーザ識別子130は、ユーザ固有の識別データをコントローラ104に通信するためのハードウェア/ソフトウェア等のワイヤレス通信機能により構成される装置であってもよい。例えば、ユーザ識別子130は、近距離無線通信、Bluetooth(登録商標)、又はWiFi等の技術を用いてユーザ固有の識別データをコントローラ104に送信することが可能な、スマートフォン等の無線セルラー装置、又はスマートウォッチ、タブレット、又は任意の他の電子装置等の同様のスマート装置を含んでもよい。ある特定の実施形態において、スマート装置は、外科医110が手術コンソール120に近接している場合にスマート装置にユーザ固有の識別データをコントローラ104に通信させるソフトウェアアプリケーションを実行してもよい。例えば、外科医110が手術コンソール120に近接している場合、ソフトウェアアプリケーションは、自動的に、又は何らかのユーザアクション(例えば、ユーザ入力)の結果として、コントローラ104と通信するよう構成されてもよい。ある特定の実施形態において、ユーザ識別子130は、ユーザ識別子130をアクティブ化又はロック解除し、ユーザ識別子130と、例えば、コントローラ104又は手術コンソール120との間の通信を可能にするよう、外科医110にユーザ固有パスワードを入力させることを要求してもよい。ある特定の実施形態において、識別データに加えて、ユーザ識別子130はまた、ユーザ関連及びユーザの好みの手術ツール及び/又はシステム設定、動作モード、動作及び/又はツールサブモード、タスクパラメータ、較正データ等をコントローラ104に提供してもよい。
【0021】
患者112に対する眼科外科手術の実施中、外科医110は、手術ツール126を含む1つ以上の手術ツールを利用してもよい。上で説明したように、手術ツール126は、例えば網膜硝子体手術、白内障手術、緑内障手術等の眼科処置を行うための任意の適切なツールを含んでもよい。ある特定の実施形態において、手術ツール126及び/又は手術コンソール120は、ツール識別子140を含んでもよい。ツール識別子140は、手術ツール126に関連する定義されたパラメータ/設定に従って、手術コンソール120の自動セットアップ、構成、及び/又は動作モード選択の目的で、手術ツール126の種類を識別するか又はコントローラ104に示してもよい任意の適切な装置又はコンポーネントを含む。ある特定の実施形態において、ツール識別子140は、更に、コントローラ104と直接又は間接的に通信してもよい使用センサを含む。使用センサは、外科医110による手術ツール126の使用又は取り扱いを検出するための任意の適切な種類のセンサを含んでもよい。例えば、ある特定の実施形態において、使用センサは、手術ツール126のハンドル上に配設される容量、誘導、抵抗、又は圧電センサ等の外科医110による手術ツール126の取り扱いを検出するよう構成される手術ツール126上のタッチ又は圧力センサを含む。ある特定の実施形態において、使用センサは、例えば、手術ツール126の動きを検出するよう構成される手術ツール126上の加速度計又は傾斜センサを含む。更なる実施形態において、使用センサは、例えば、ユーザ識別子130、手術コンソール120、及び/又は手術環境100に対する手術ツール126の軌跡を検出するよう構成される手術ツール126上の近接又は位置センサを含む。
【0022】
手術ツール126が手術コンソール120及び/又はコントローラ104と有線通信する実施形態において、ツール識別子140は、例えば使用センサによる手術ツール126の使用又は取り扱いの検出時に、手術ツール126を識別するよう、有線接続を通じてコントローラ104にツール固有信号を送信してもよい。ある特定の実施形態において、ツール識別子140は、ツール識別子140又は手術ツール126の起動時に、有線接続を通じてコントローラ104にツール固有信号を送信してもよい。かかる実施形態において、ツール固有信号は、手術ツール126の識別(例えば、ツールの種類、モデル等)及びその使用若しくは取り扱いの両方を示してもよく、使用センサによる取り扱いの検出に基づいてもよいか、又は基づいていなくてもよい。
【0023】
同様に、手術ツール126が受信機106を介して手術コンソール120及び/又はコントローラ104と無線通信する実施形態において、ツール識別子140は、手術ツール126の使用若しくは取り扱いの検出時に、又はツール識別子140若しくは手術ツール126の起動時に(使用センサによる取り扱いの検出に基づいても又は基づいていなくてもよい)、手術ツール126を識別するよう、無線接続を通じて、受信機106を介してコントローラ104にツール固有信号を送信してもよい。ある特定の実施形態において、手術ツール126は、受信機106を介してコントローラ104にツール固有の識別データを無線送信するためのRFIDトランスポンダ若しくは同様のコンポーネントを(例えば、ツール識別子140の一部として、又は別個に)含んでもよい。ある特定の実施形態において、ツール識別子140は、例えば、手術コンソール120に結合され、次いでコードを利用して手術ツール126を識別するコントローラ104と通信するイメージスキャナ又は同様の装置によってキャプチャ又は読み取られてもよいツール特有のバーコード又は他の形態の機械読取可能コードを含む。かかる実施形態において、手術ツール126の使用は、例えば、外科医110によるコードの走査によって想定されてもよい。
【0024】
ある特定の実施形態において、使用センサは、手術コンソール120上に位置決めされ、手術コンソール120からの手術ツール126の取り外しを検出するよう構成されるレーザセンサ又は同様の装置を含む。更なる実施形態において、使用センサは、手術コンソール120からの手術ツール126の持ち上げを検出するよう構成される、手術コンソール120のツールトレイ128上等の手術コンソール120上に配設される重量センサ又は他の種類のロードセルを含む。使用センサが手術コンソール120上のレーザセンサ又は重量センサである実施形態において、使用センサは、手術ツール126の使用を検出し、ツール固有信号をコントローラ104に送信してもよく、それによって、手術ツール126の識別及び外科医110によるその取り扱いの両方をコントローラ104に示す。
【0025】
ある特定の実施形態において、手術環境100は、更に、コントローラ104と直接又は間接的に通信してもよい撮像装置160を含む。撮像装置160は、画像認識プロセスを介する外科医110及び/又は手術ツール126の識別の目的のために、例えば、外科医110及び/又は手術ツール126の画像をキャプチャし、コントローラ104に中継するよう構成される任意の好適な種類の撮像装置であってもよい。従って、撮像装置160及びコントローラ104を介する画像認識は、ユーザ識別子130及び/又はツール識別子140の代わりに、又はそれに加えて、手術環境100における外科医110の存在を識別し、その識別を特定すると共に、ツールの種類及び手術ツール126の(例えば、外科医110による)使用を識別するために利用されてもよい。ある特定の実施形態において、撮像装置160は、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像センサを利用するデジタルカメラを含む。一般に、撮像装置160は、手術環境100内の任意の適切な機器又は装置に物理的に結合されてもよい。
図1の実施形態において、撮像装置160は、手術コンソール120に結合され、外科医110によって取り上げられると、外科医110及び手術ツール126の両方を撮像してもよい。更なる実施形態において、撮像装置160は、例えば、外科医110の手首に結合され、従って、外科医110が手術ツール126を取り上げる場合の画像をキャプチャし、それを検出するよう構成される。ある特定の実施形態において、複数の撮像装置160を組み合わせて用いてもよい。例えば、手術コンソール120上の第1の撮像装置160が、外科医110の画像認識のために外科医110の画像を検出及びキャプチャしてもよく、外科医の手首上の第2の撮像装置160が、手術ツール126の画像認識のために手術ツール126の画像を検出及びキャプチャしてもよい。ある特定の実施形態において、撮像装置160は、手術環境100内の外科医110の存在、並びに外科医110が手術ツール126を用いているか及び/又は扱っているかどうかの両方に対する2因子パリティチェックを容易にする。
【0026】
図2及び
図3を参照して以下でより詳細に検討するように、コントローラ104は、例えば、ユーザ識別子130、ツール識別子140、及び/又は撮像装置160と(例えば、無線又は有線で)インターフェース接続して、外科医110の識別を特定し、眼科手術中に外科医110によって用いられるツールを識別する。外科医110及び/又は手術ツール126の識別を特定すると、コントローラ104は、定義された(例えば、予め設定されるか又は所定の)及びユーザに関連する手術ツール及び/又はシステム設定、動作モード、動作及び/又はツールサブモード、タスクパラメータ、較正データ等に従って、手術コンソール120を自動的に構成するための1つ以上のアクションをとる。従って、コントローラ104は、本質的に「ハンズフリー」のシステムセットアップ及び構成を可能にし、それによって、彼らの手が既に他のツール又はタスクにより占有されている可能性がある外科医110又は他の手術スタッフに求められる手動構成の量を低減することによって、外科手術の効率を向上させる。
【0027】
図2Aは、本開示のある特定の実施形態による、
図1の種々の装置を用いて、定義された且つユーザ関連のツール及び/又はシステム設定に基づいて、手術コンソール、例えば、手術コンソール120を自動的に構成するための方法200のフロー図を示している。
図2Bは、本開示のある特定の実施形態による、方法200の間に用いられる
図1の種々のコンポーネントの略図を示している。従って、
図2A~2Bは、明確にするために
図1の種々のコンポーネントを参照して説明される。処置動作は、単一の手術ツール126を参照して説明されるが、複数の手術ツール126が、本明細書中に説明するシステム及び方法と組み合わせて利用されてもよいことに留意されたい。更に、複数の手術ツールが方法200により利用される場合、手術ツールは異なる種類のツールであってもよい。
【0028】
動作202において、手術コンソールに関連するコントローラは、外科手術環境におけるユーザに関連するユーザ識別データを受信する。例えば、手術コンソール120のコントローラ104は、手術環境100における外科医110に関する外科医識別データを受信する。上で説明したように、ある特定の実施形態において、コントローラ104は、外科医110に関連するユーザ識別子130から、外科医110に関するユーザ識別データを受信する。一実施例において、ユーザ識別子130が手術環境100内に存在し、手術コンソール120に近接している場合、ユーザ識別子130は、ユーザ識別信号250(例えば、RF信号)をコントローラ104に送信する。コントローラ104に送信されるユーザ識別信号250は、手術環境100における外科医110の存在をコントローラ104に示し、外科医110を識別する。ある特定の実施例において、ユーザ識別子130は、外科医110及びユーザ識別子130が手術環境100において存在するか又は存在するはずかに関わらず、ユーザ識別信号250(例えば、WiFi信号)をコントローラ104に送信してもよい。かかる実施例において、コントローラ104に送信されるユーザ識別信号250は、手術環境100における外科医110の現在又は将来の存在をコントローラ104に示し、外科医110の識別情報を示す。
【0029】
上で説明したように、ユーザ識別子130は、手術ツール126のための外科医110に関連する定義されたパラメータ/設定に従って、手術コンソール120のセットアップ及び構成の目的で、外科医110の識別に関するユーザ識別信号250をコントローラ104に提供してもよい任意の適切な物品、装置、又はコンポーネントを含む。ある特定の実施例において、ユーザ識別子130は、受動RFID型ユーザ識別子130をアクティブ化するよう構成されるRFID型受信機等のRFID型受信機であってもよい受信機106を介してコントローラ104とインターフェース接続する受動又は能動RFID型トランスポンダである。かかる実施形態において、ユーザ識別子130は、ユーザ識別子130からのユーザ識別信号250がコントローラ104に送信されてもよいように、外科手術の開始に先立って、例えば、受信機106に近接させられるか、又はそれに対して接触させられてもよい。ある特定の他の実施形態において、ユーザ識別子は、ユーザ識別子130が手術環境100において存在する必要なしにWiFi信号をコントローラ104に送信することが可能なWiFi対応装置である。
【0030】
ある特定の実施形態において、ユーザ識別データは、例えば、手術コンソール120及び/又はコントローラ104に通信可能に結合されてもよい撮像装置160を用いて、外科医110の画像認識を介して、コントローラ104によって取得される。かかる実施例において、撮像装置160は、1つ以上の画像認識アルゴリズムを利用して、外科医110のキャプチャ画像を外科医110の識別を示す対応する外科医プロファイルにマッピングしてもよいコントローラ104への送信のために、外科医110の画像をキャプチャし、中継してもよい。
【0031】
動作204において、ユーザ識別データ(例えば、信号250)の受信時、コントローラ104は、ユーザ識別データを、外科医110のユーザプロファイル及び外科医110のためのパラメータ/設定の1つ以上の対応し且つ定義されたセットにマッピングする。パラメータ/設定の定義されたセットは、外科医固有であってもよく、対応する手術ツールを操作及び駆動するよう手術コンソール120によって用いられてもよい。例えば、パラメータ/設定の定義されたセットは、外科手術の実施前に予め定義されてもよい、1つ以上の異なる手術ツール及びコンソールのための、ユーザ定義の(外科医110によって定義された)及びユーザにとって好ましい(外科医111によって好まれる)手術ツール及び/又はコンソール設定、モード、サブモード、タスクパラメータ、較正データ等を含んでもよい。ある特定の実施形態において、パラメータ/設定の定義されたセットは、外科医110のユーザプロファイル内に格納される。かかる実施形態において、ユーザ識別データを外科医プロファイルにマッピングすることによって、コントローラ104は、外科医110のパラメータ/設定の定義されたセットにアクセスすることが可能である。ある特定の実施形態において、パラメータ/設定の定義されたセットは、ユーザ識別子130等のユーザ識別子のメモリ内に格納され、ユーザ識別信号250によりコントローラ104に送信される。
【0032】
ある特定の実施形態において、動作206では、ユーザ識別信号250を外科医110のプロファイル及び外科医110のためのパラメータ/設定のセットのうちの1つ以上の定義されたセットにマッピングすると、コントローラ104は、任意に、外科医110の正しい識別及び/又はパラメータ/設定の定義されたセットを確認するよう、外科医110からの確認252を要求してもよい。確認を要求すること252は、外科医110の誤った識別、及び、それら自身のユーザ識別子130を有する2人以上の外科医又は他の手術スタッフが手術環境100において存在する(又は通過する)場合に生じる可能性がある対応しないユーザプロファイルへの誤ったマッピング並びに誤ったパラメータ/設定を回避する可能性がある。確認252は、外科医110による可聴確認、例えば、物理的ボタン又はオンスクリーンボタンの押下を介する触覚確認等の形態であってもよい。ある特定の実施形態において、確認252の一部として、外科医110のマッピングされたプロファイル及び/又はパラメータ/設定のセットは、外科医110による視認のために、手術コンソール120のディスプレイ装置122等のディスプレイ装置上に表示される。ある特定の実施形態において、1つ以上のオンスクリーンボタンを有するポップアップウィンドウが、オンスクリーンボタンを押下することによって、外科医110が外科医110の識別及び/又はパラメータ/設定の定義されたセットを確認又は拒絶するよう、ディスプレイ装置122上に表示されてもよい。
【0033】
ある特定の実施形態において、動作208では、コントローラ104は、任意に、手術コンソール120の動作モードを特定する。例えば、手術コンソール120は、異なる処置のための幾つかの異なる動作モード、例えば、超音波水晶体乳化吸引術及び関連する白内障手術処置を行うための「phaco」モード、網膜硝子体処置(例えば、硝子体切除術)を行うための網膜硝子体モード等を有してもよい。かかる実施例において、コントローラ104は、外科医110のユーザプロファイルを外科医110に対応する手術コンソール120の定義された動作モードにマッピングすることによって、動作モードを特定してもよい。例えば、超音波水晶体乳化吸引手術を行う外科医110のために、コントローラ104は、外科医110のプロファイルに基づいて、手術コンソール120を超音波水晶体乳化吸引手術モードにする必要があると特定してもよい。手術コンソール120の動作モードにマッピングすると、コントローラ104は、手術コンソール120をマッピングされた動作モードにするか、又は切り換えてもよい。しかし、ある特定の実施形態において、コントローラ104は、以下で説明するように、手術コンソール120をマッピングされた動作モードにするか又は切り換える前に、外科医110による定義された動作モードの確認256を要求してもよい。手術コンソール120をマッピングされた動作モードにするか又は切り換えることは、マッピングされた動作モードに関連するユーザインターフェースを手術コンソール120のディスプレイ122上に表示すること、マッピングされた動作モードのために通常用いられる対応する手術ツール126をロック解除又は起動すること等を含んでもよい。
【0034】
ある特定の実施形態において、動作210では、動作モードを特定すると、手術コンソール120を動作モードにするか又は切り換える前に、コントローラ104は、任意に、動作モードの正しいマッピング及び選択を確認するよう、外科医110からの確認256を要求してもよい。確認252と同様に、確認254は、外科医110による可聴確認、例えば、物理的ボタン又はタッチスクリーンボタンの押下を介する触覚確認等の形態であってもよい。ある特定の実施形態において、確認255の一部として、マッピングされた動作モードは、外科医110による視認のために、手術コンソール120のディスプレイ装置122等のディスプレイ装置上に表示される。ある特定の実施形態において、1つ以上のオンスクリーンボタンを有するポップアップウィンドウが、外科医110が動作モードの正しいマッピング及び選択を確認又は拒絶するよう、ディスプレイ装置122上に表示されてもよい。
【0035】
動作212において、コントローラ104は、手術コンソール120が駆動するよう構成される手術ツール126に関連するツール識別データを受信する。ある特定の実施形態において、ツール識別データは、手術ツール126のツール、装置、モデル等の種類をコントローラ104に示してもよいツール識別信号258の形態で、コントローラ104及び/又はユーザ識別子130に(例えば、有線又は無線で)送信される。ある特定の実施形態において、ツール識別信号258は、手術ツール126に関連するツール識別子140からコントローラに送信される。
図2Bに示すように、ツール識別子140は、コントローラ104と、ある特定の実施形態において、ユーザ識別子130と、直接又は間接的にインターフェース接続してもよい。上で説明したように、ツール識別子140は、一般に、手術ツール126に関連する定義されたパラメータ/設定に従って、手術コンソール120のセットアップ及び構成の目的のために、手術ツール126の識別に関するツール識別信号258をコントローラ104及び/又はユーザ識別子130に送信してもよい任意の適切なコンポーネント又は装置を含む。ある特定の実施形態において、手術ツール126は、手術ツール126が用いられた結果として感覚信号を生成するための使用センサ(ツール識別子140の一部として、又は別個に)を含んでもよい。例えば、使用センサは、外科医110による手術ツール126の使用又は取り扱い260を検出するための任意の好適な種類のセンサ、コンポーネント、又は装置を含んでもよい。ある特定の実施形態において、ツール識別子140は、手術ツール126が用いられていることを示す感覚信号を使用センサが生成すると、ツール識別信号258をコントローラ104及び/又はユーザ識別子130に送信する。
【0036】
ある特定の実施形態において、ツール識別信号258は、例えば、使用センサによる手術ツール126の使用又は取り扱い260の検出時に、手術ツール126からコントローラ104に直接送信される。しかし、ある特定の他の実施形態において、ツール識別信号258は、最初に、手術ツール126によってユーザ識別子130に送信され、次いで、ユーザ識別子130は、ツール識別信号258をコントローラ104に中継する。例えば、ユーザ識別子130は、RFID型のブレスレットであってもよく、ツール識別子140は、手術ツール126上の同様のRFID型コンポーネントであってもよい。ツール識別子140へのRFID型ブレスレットの近接(外科医110が手術ツール126を把持した結果として)は、ツールの使用又は取り扱い260を信号で伝え、ツール識別信号258をツール識別子140からユーザ識別子130に送信させてもよい。ユーザ識別子130は、ひいては、ツール識別信号258をコントローラ104に中継し(例えば、ユーザ識別信号250と共に)、それによって、外科医110が手術ツール126を用いていることをコントローラ104に示してもよい。
【0037】
ある特定の実施形態において、使用センサを有する手術ツール126の代わりに、又はそれに加えて、使用センサ(例えば、レーザセンサ、荷重センサ等)が、手術コンソール120上に位置決めされるか、又はその一部として設けられてもよい。かかる実施形態において、使用センサは、ユーザが手術ツール126を手術コンソール120上のその静止位置から持ち上げた場合に感覚信号を生成するよう構成されてもよい。ある特定の実施形態において、感覚信号は、次いで、コントローラ104に、手術ツール126を識別するためのツール識別信号258を受信させてもよい。使用センサが手術コンソール120上に位置決めされるか、又はそれによって提供される実施形態において、手術ツール126を取り扱う結果として生成される感覚信号は、ツール識別信号258として作用してもよい。
【0038】
ある特定の実施形態において、ツール識別データは、例えば、手術コンソール120及び/又はコントローラ104に通信可能に結合されてもよい撮像装置160を用いて、手術ツール126の画像認識を介して取得される。かかる実施例において、撮像装置160は、次いで1つ以上の画像認識アルゴリズムを利用して、手術ツール126のキャプチャ画像を対応するツール識別データにマッピングしてもよいコントローラ104への送信のために、手術ツール126の画像をキャプチャし、中継してもよい。
【0039】
動作214において、ツール識別データ(例えば、信号258)の受信時に、コントローラ104は、ツール識別データをツールプロファイルにマッピングする。例えば、手術ツール126が網膜硝子体プローブである場合、ツール識別データは網膜硝子体プローブプロファイルにマッピングされる。ある特定の実施形態において、ツールプロファイルがマッピングされると、コントローラ104は、手術ツール126の識別(ツールプロファイルによって示されるような)を、動作204において以前にマッピングされたパラメータ/設定の1つ以上の外科医固有のセットのうちの1つ、及び/又は手術コンソール120の動作モードにマッピングする。例えば、動作204においてマッピングされた外科医固有のパラメータ/設定は、網膜硝子体処置を実施するためのパラメータ/設定、並びに超音波水晶体乳化吸引処置を実施するためのパラメータ/設定を含んでもよい。かかる実施例において、手術ツール126の識別は、パラメータ/設定の1つ以上のセットのうちのどれが適用可能であるかを特定するために、コントローラ104によって用いられてもよい。例えば、識別された手術ツール126が網膜硝子体プローブである場合、コントローラ104は、手術ツール126が外科医110によって用いられている場合に網膜硝子体処置を実施するためのパラメータ/設定が用いられるべきであることを識別する。
【0040】
加えて、コントローラ104が外科医プロファイルに基づいて動作モードを選択することができない場合(例えば、外科医が異なる動作モードに対応する種々の処置を行う場合)、ツール識別データは、適切な動作モードにマッピングするためにコントローラ104によって用いられてもよい。例えば、外科医110が取り上げたばかりの手術ツール126が網膜硝子体プローブである場合、コントローラ104は、手術コンソール120が網膜硝子体手術に関連する動作モードにされるか又は切り換えられるべきであると特定してもよい。
【0041】
ある特定の実施形態において、動作216では、コントローラ104は、任意に、手術ツール126の正しい識別を確認するよう、外科医110からの確認262を要求してもよい。確認262を要求することは、2つ以上の手術ツールが手術環境100において存在する場合に発生する可能性がある手術ツール126の不正確な識別及び対応しないツールプロファイルへのマッピングを回避する可能性がある。確認262は、外科医110による可聴確認、例えば、物理的ボタン又はタッチスクリーンボタンの押下を介する触覚確認等の形態であってもよい。ある特定の実施形態において、確認262の一部として、識別された手術ツール126の画像、又はマッピングされたツールプロファイルは、外科医110による視認のために、手術コンソール120のディスプレイ装置122等のディスプレイ装置上に表示される。ある特定の実施形態において、1つ以上のオンスクリーンボタンを有するポップアップウィンドウが、外科医110が手術ツール126の正しい識別を確認又は拒絶するよう、ディスプレイ装置122上に表示されてもよい。
【0042】
動作218において、コントローラ104は、マッピングされた動作モードにおいて外科医固有のパラメータ/設定に従って手術ツール126を駆動する。例えば、コントローラ104は、最初に、手術コンソール120をマッピングされた動作モード(例えば、硝子体網膜モード)にし、これにより、一実施例として、手術コンソール120に、動作モードに関連するユーザインターフェース(UI)(例えば、網膜硝子体関連UI)をディスプレイ122上に表示させてもよい。次いで、トリガ(例えば、フットペダル等による外科医始動トリガ)に応答して、コントローラ104は、外科医固有パラメータ/設定に従って、手術ツール126の駆動を開始してもよい。上で説明したように、外科医固有パラメータ/設定は、手術ツール及び/又はコンソール設定、モード、サブモード、タスクパラメータ、較正データ等を含んでもよい。例えば、手術ツール126が網膜硝子体プローブである実施例において、コントローラ104は、そのそれぞれが異なるデューティサイクル、最小及び最大切断速度、及び/又は真空閾値等を含んでもよい外科医固有の網膜硝子体ツールサブモードに従って手術ツール126の駆動を開始してもよい。ある特定の実施形態において、手術ツール126の駆動は、手術コンソール120と通信するフットペダル又は同様の装置の外科医が始動する移動によってトリガされるか、又はそれに関連付けられてもよい。
【0043】
図3は、
図1~2に示す手術環境100の種々のコンポーネントがどのように共に通信し、動作するかを示す例示的な線図を示している。示すように、手術コンソール120は、限定するものではないが、ユーザ識別子130及び/又はツール識別子140へのコントローラ104の接続を可能にするコントローラ104及び受信機106を含む。コントローラ104は、データ通信ネットワーク350との接続のための相互接続310及びネットワークインターフェース312を含む。コントローラ104は、更に、中央処理ユニット(CPU)316と、メモリ318と、ストレージ320とを含む。CPU316は、アプリケーションデータを検索し、メモリ318に格納すると共に、メモリ318に格納された命令を検索し、実行してもよい。相互接続310は、CPU316、ネットワークインターフェース312、メモリ318、ストレージ320、手術ツール126、及び撮像装置360等の間で、プログラミング命令及びアプリケーションデータを送信する。CPU316は、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPU等を表すことができる。メモリ318はランダムアクセスメモリを表す。
【0044】
ストレージ320は、ディスクドライブであってもよい。単一のユニットとして示しているが、ストレージ320は、固定ディスクドライブ、着脱式メモリカード若しくは光学ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、又はストレージエリアネットワーク(SAN)等の固定又は着脱式ストレージ装置の組み合わせであってもよい。ストレージ320は、例えば、手術コンソール120を利用してもよい手術環境内のユーザ、例えば、外科医110のプロファイル332を備えてもよく、各ユーザプロファイル332は、ユーザ固有パラメータ/設定334及び/又は1つ以上の動作モードへのユーザ識別のマッピングを含んでもよい。ストレージ320は、更に、それぞれが対応する種類のツール及び/又は1つ以上の動作モードへのマッピングを示すツールプロファイル338を含んでもよい。ストレージ320は、更に、各モードが対応する動作モードにおいて手術コンソール120を動作させるための予め設定された命令を有する動作モード336を含んでもよい。
【0045】
メモリ318は、本明細書中の実施形態において説明するように、CPU316によって実行されると、コントローラ104が手術環境におけるユーザ及び/又はツールを識別することを可能にする命令を含む、構成モジュール322を備える。メモリ318はまた、オペレーティングシステム、及び/又は、CPU316によって実行されると、コントローラ104が手術コンソール120(例えば、検索されたパラメータ/設定に基づく駆動ツール126を含む)を動作させることを可能にする1つ以上のアプリケーション(図示せず)を含んでもよい。例えば、本明細書中に説明する実施形態によれば、メモリ318は、ユーザ識別子130を介してユーザを識別し、ユーザをユーザプロファイル332にマッピングするための実行可能命令を備えるユーザ識別モジュール324を含む。加えて、メモリ318は、手術ツール126の種類を識別し、それを対応するツールプロファイル338にマッピングするための実行可能命令を備える、ツール識別モジュール326を含む。
【0046】
本明細書中で用いられるように、項目のリスト「の少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b又はcの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c及びa-b-c並びに複数の同じ要素の任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c並びにc-c-c又はa、b及びcの他の任意の順序)を網羅することを意図される。
【0047】
上記の説明は、当業者が、本明細書中に説明する種々の実施形態を実施できるようにするために提供されている。これらの実施形態に対する種々の修正例は、当業者にとって自明であり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。従って、特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態への限定を意図しておらず、請求項の文言と整合する全範囲を対象とする。
【0048】
特許請求の範囲において、単数形での要素への言及は、具体的にそのような定めがない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1つ以上」を意味するものである。別途明記しない限り、用語「幾つか」とは、1つ以上を指す。本開示を通して説明した、当業者に公知であるか又は後に公知になる様々な態様の要素の全ての構造的及び機能的均等物が引用により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に含まれることを意図する。更に、本明細書に開示した何れのものも、かかる開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公衆に献呈されることを意図しない。特許請求の範囲のいかなる要素も、要素が語句「~するための手段」を用いて明示的に引用されない限り又は方法クレームの場合、要素は、語句「~するためのステップ」を用いて引用されない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではない。用語「例示的」とは、本明細書中において「実施例、実例、又は例示として役割を果たす」を意味するために用いられる。本明細書中で「例示的」として説明するいかなる態様も、必ずしも他の態様によりも好ましいか又は有利であると解釈されるべきではない。
【国際調査報告】