(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】未固結織物細長部材を製造するための装置
(51)【国際特許分類】
B29C 70/54 20060101AFI20241121BHJP
B29C 70/32 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B29C70/54
B29C70/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529499
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2022082313
(87)【国際公開番号】W WO2023089051
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524184688
【氏名又は名称】オロー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ライネ,バートランド
(72)【発明者】
【氏名】アズラン,アイメリク
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG08
4F205HA02
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA45
4F205HC02
4F205HF23
4F205HK21
4F205HL02
4F205HT22
(57)【要約】
本発明は、未強化織物細長部材(11)を製造するための装置(1)に関連し、この装置は、方向Xに長手方向のメインガイド(3)を有するフレーム(2)であって、当該メインガイド(3)はフレーム(2)に取り付けられている、フレーム(2)と、方向Xにおいて直列するようにガイド(3)の周りに配置された2つのモジュール(4)と、を備え、各モジュール(4)は、ガイド(3)の一部を取り囲む供給リング(5)と、リング(5)上に配置され、供給速度V1で、少なくとも1本のリボン(10)をメインガイド(3)に供給することができ、各リボン(10)はメインガイド(3)の周りに、又はリボン(10)の上層に巻き付けられる、供給手段(6)と、リング(5)を回転速度V2で回転させることができるリング(5)を駆動するための手段(15)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未強化織物細長部材(11)を製造するための装置(1)であって、
・方向Xに長手方向のメインガイド(3)を備えるフレーム(2)であって、前記メインガイド(3)は当該フレーム(2)に取り付けられている、フレーム(2)と、
・方向Xにおいて直列するように前記メインガイド(3)の周りに配置された少なくとも2つのモジュール(4)であって、各モジュール(4)は、
・前記メインガイド(3)の一部を取り囲む供給リング(5)と、
・前記リング(5)上に配置され、方向Xに対して-90°から90°の間の角度で、かつ供給速度V1で、少なくとも1本のリボン(10)を前記ガイド(3)に供給することができる供給手段(6)であって、各リボン(10)は少なくとも前記ガイド(3)の周りに、又はリボン(10)の前記上層に巻き付けられる、供給手段(6)と、
・前記メインガイド(3)を中心として回転速度V2で前記リング(5)を回転させることができる、前記リング(5)を駆動するための手段(15)と、
を備える装置。
【請求項2】
各モジュール(4)は、独立した供給手段(6)を備える、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記長手方向のメインガイド(3)は、実質的に円形又は多角形又は自由形状の断面を有する、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記供給手段(6)は、前記供給リング(5)の周りに配置された、リボン(10)のディスペンサ(20)を少なくとも1つ備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記リボン(10)の前記ディスペンサ(20)は、前記供給リング(5)を中心として枢動するための手段(22)を備える、請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
ディスペンサ(20)から出た少なくとも1本のリボン(10)を切断することができる少なくとも1つの切断機(25)と、前記リボン(10)を前記メインガイド(3)に供給することができる電動要素(M)と、を更に備える、請求項4又は5に記載の装置(1)。
【請求項7】
リボン(10)を上層に溶接することができる溶接手段(26)を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
1つ又は複数の前記モジュール(4)の1つ又は複数の前記供給手段(6)から1本又は複数本の前記リボン(10)を案内することができる引っ張り補助装置(30)を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記メインガイド(3)の直径又は断面よりも大きな直径又は断面を有し、前記メインガイド(3)にわたって並進することができる長手方向のセカンダリーガイドを更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
未強化織物細長部材(11)の製造方法であって、
・請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(1)の前記モジュール(4)のそれぞれに、選択されたリボン(10)を備える供給手段(6)を実装する工程と、
・各モジュール(4)の供給速度V1及び回転速度V2を設定し、各モジュール(4)を始動させる工程と、
・前記細長部材(11)を切断する工程及び/又は前記リボン(10)を排出する工程と、
・得られた前記細長部材(11)を回収する工程と、
を含む製造方法。
【請求項11】
保管リールに巻かれた前記細長部材(11)を保管する工程を更に含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記引っ張り補助装置(30)の実装によって前記リボン(10)の引っ張りを補助する工程を更に含む、請求項8を引用する請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
第1のモジュール(4)の高さに長手方向のセカンダリーガイドを配置し、当該セカンダリーガイドを方向Xに沿って並進させる追加の工程を更に含む、請求項9を引用する請求項10~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
得られた前記細長部材(11)を所望の角度に冷間曲げする工程を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記細長部材(11)の直径又は断面を変化させる工程を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
請求項1~9のいずれか一項に記載の製造装置(1)から得られた未強化織物細長部材(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未強化織物細長部材を製造するための装置、並びに関連する製造方法及びそれによって得られる未強化織物細長部材の技術分野に関連する。
【0002】
上記の分野では、特に細長いチューブを形成する編組方法が知られている。これらのチューブは、使用できるように強化されてコンポジットチューブを形成する。
【0003】
しかしながら、このような方法はコストがかかり、大量に製造することができず、当該方法によって得られるチューブ形状に関して制限がある。
【0004】
互いに重ねて配置されたリボンの異なる層を含むコンポジットチューブを製造するための機械も存在し、1つの層は、上層のリボンと混ざり合い相互作用する樹脂を含む。これらのチューブは剛性マトリックスを有し、容易に変形しない。
【0005】
本発明の目的は、これらの欠点を克服し、大きな寸法を有することができ、容易に変形することができる未強化織物細長部材を製造することである。
【0006】
この目的のために、本発明は、未強化織物細長部材を製造するための装置であって、
・方向Xに長手方向のメインガイドを備えるフレームであって、メインガイドは当該フレームに取り付けられている、フレームと、
・方向Xにおいて直列するようにメインガイドの周りに配置された少なくとも2つのモジュールであって、各モジュールは、
・メインガイドの一部を取り囲む供給リングと、
・リング上に配置され、方向Xに対して-90°から90°の間の角度で、かつ供給速度V1で、少なくとも1本のリボンをメインガイドに供給することができる供給手段であって、各リボンは少なくともメインガイドの周りに、又はリボンの上層に巻き付けられる、供給手段と、
・メインガイドを中心として回転速度V2でリングを回転させることができる、リングを駆動するための手段と、を備える
装置。
【0007】
メインガイドの周りにリボンを供給するための手段の使用は、リボンを同じ方向に容易に配置することを可能にする。各モジュールは、このように少なくとも1本のリボンを所与の方向に送達することができ、したがって、細長部材は、リボンのいくつかの層を備え、各層は、所与の角度で配置された少なくとも1つのリボンを備える。上層は、適用された最後の層として定義される。
【0008】
本発明に係る装置は、使用されるモジュールの数と同じ数のリボン層を重ねることができる。供給速度V1は、装置のメインガイドに対する織物部材の供給速度に対応する。したがって、速度V1は、装置の各モジュールとも実質的に同じである。
【0009】
本発明に係る装置によって得られるこのような細長部材は、多くの利点を提供する。細長部材は、このように未強化であり、したがって、特定の非直線形状を与えるように容易に冷間曲げすることができる。細長部材を、例えば、互換性のあるツール内で変形させることによって固めることができる。
【0010】
リボンは、織物部材が供給される方向Xに対して厳密に-90°より大きく、織物部材が供給される方向Xに対して厳密に90°未満の角度でメインガイドに向かって積層する。
【0011】
本発明の目的のために、リボンは織物と呼ばれ、したがって、繊維、例えば乾燥繊維である一方向炭素繊維を含む。本発明に適合するリボンは、メインガイドの周りに巻き付けることができ、メインガイドの周りに巻き付けられた状態を維持するのに十分な剛性を有する構造を含む。
【0012】
本発明に適合するリボンは、プラスチック、セラミック、金属、紙又は前述の材料の混合物から作製することもできるが、このリストは網羅的なものではない。このように本発明に適合するリボンは、メインガイドの周りに形成することができ、本発明に係る装置に固有の力に抵抗することができる任意の材料として定義される。
【0013】
特定の実施形態によれば、リボンは、急速硬化用のマトリックスを更に含むことができる。強化された織物細長部材は、本発明の装置を用いて得ることができる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、熱可塑性マトリックスを含浸させた一方向繊維で形成されたリボンは、支持体を使用する必要なしに、コイル形状を保持するのに十分な曲げ剛性を与えられる。
【0015】
そのようなリボンは、特に、装置のメインガイドに対して0°の角度で配向されたリボンの第1の層を備える織物部材の製造を可能にし、この第1のリボン層は、フレームに取り付けられた前述のメインガイドの上をスライドすることができ、第1のリボン層上の上層を動かすことができる。
【0016】
装置にそのようなリボンを使用する利点の1つは、リボンを連続的に供給することが可能なことであり、したがって連続生産を確実にする。更に、得られる織物細長部材は十分に丈夫である。装置のメインガイドはフレームに取り付けられており、したがって、得られる織物細長部材の一部ではない。このように、いくつかの既存の装置とは対照的に、使用可能な最終部材を得るために材料を硬化させる加熱工程を実施する必要がない。
【0017】
得られる未強化織物細長部材は直接使用することができるものであり、中間部品ではない。しかしながら、特定の意図された用途に応じて、得られた細長部材を変形及び/又は強化するために、追加の工程を細長部材に適用してもよい。
【0018】
本発明の1つの特徴によれば、各モジュールは独立した電力供給手段を備える。したがって、各モジュールは、異なる種類のリボンを分配することができる。リボンの種類及び寸法は、層ごとに異なっていてもよい。
【0019】
本発明の別の特徴によれば、長手方向のメインガイドは、実質的に円形又は多角形又は自由形状の断面を有する。得られた細長部材は、したがって、用途に応じてチューブのような形状にすることができ、又はより複雑な形状を有することができる。
【0020】
本発明の更に別の特徴によれば、供給手段は、供給リングの周りに配置された少なくとも1つのリボンディスペンサを備える。リボンディスペンサを使用すると、リボンを貯蔵してメインガイドに分配することがより容易になる。このとき1つ又は複数のリボンディスペンサはメインガイドを中心として供給リングの回転速度に応じて回転している。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、リボンディスペンサは、供給リング上で枢動するための手段を備える。枢動手段の使用は、リボンの分配をメインガイドの方に配向できるようにするので、リボンとメインガイドとの間の角度を-90°から90°の間で選択できるようにする。同じモジュールの全てのリボンは、メインガイドに対して実質的に同じ角度を有する。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、リボンディスペンサは、ディスペンサから出た少なくとも1本のリボンを切断することができる少なくとも1つの切断機と、リボンをメインガイドに供給することができる電動要素と、を備える。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、リボンディスペンサは、リボンを現在の層又は上層に溶接することができる溶接手段、例えば超音波溶接手段を備える。使用されるリボンの種類に適合する他の溶接手段も、本発明の範囲内で可能である。細長部材の直径又は細長部材がチューブでない場合は、その断面が変化するとき、1つ又は複数のリボンを追加又は除去することは興味深い。これは、切断機及び/又は溶接手段を使用することの効能によって本発明の範囲内で可能である。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、装置は、1つ又は複数のモジュールのリボンを案内することができる引っ張り補助装置を更に備える。
【0025】
引っ張り補助装置の使用は、メインガイドに沿った異なるリボン層のスライドを容易にする。引っ張り補助装置の例として、方向Xにおいて最後のモジュールの下流に配置された少なくとも1つのローラからなるシステムが可能である。このローラ又は複数のローラは、リボン層をメインガイド上でスライドさせるのに十分な圧力を加える。この補助装置は、リボンの種類に応じて、織物部材の製造中に取り外すことができ、織物部材は、その剛性により、メインガイド上を単独で前進することができる。他の実施形態によれば、リボンの種類によっては、引っ張り補助を必要としない。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、装置は、メインガイドの直径又はメインガイドがチューブでない場合はその断面よりも大きな直径又は断面を有するとともにメインガイド上を並進可能な長手方向のセカンダリーガイドを更に備える。装置が動作しているとき、より大きな直径又は断面を有するセカンダリーガイドを使用して細長部材の直径又は細長部材がチューブではない場合は断面を増大させることができる。このときリボンはセカンダリーガイド上に積層させられる。
【0027】
本発明に係る装置のメインガイドは、フレームに取り付けられており、したがって、得られる織物細長部材の一部を形成しない。したがって、既存のシステムとは異なり、製造装置はマンドレルを含まず、得られる織物部材の直径を変更することを容易にする。そのような方法は、マンドレルを有する装置には存在せず、以下で説明される。
【0028】
本発明はまた、未強化織物細長部材の製造方法に関連し、当該方法は、
・本発明に係る装置のモジュールのそれぞれに、選択されたリボンを含む供給手段を実装する工程と、
・各モジュールの供給速度V1及び回転速度V2を設定し、各モジュールを始動させる工程と、
・細長部材を切断する工程及び/又はリボンを排出する工程と、
・得られた細長部材を回収する工程と、を含む。
【0029】
供給速度V1は、メインガイド上の織物部材の供給速度に対応する。したがって、供給速度V1は、各モジュールとも実質的に同じである。各モジュールの供給速度V1及び回転速度V2は、一方では、各モジュールによって送られる1つ又は複数のリボンの角度とリボンの供給速度に関連付けられる。
【0030】
このような供給手段は、本明細書で前述したような互換性のあるリボンの種類と組み合わされて装置に連続的に供給することを可能にするので、未強化織物細長部材を製造するための連続プロセスを実施することができる。得られる織物部材は、装置から出るとすぐに直接使用することができる。そのような製造方法は、リボン又は得られる織物部材を硬化させて直接使用するために加熱する工程を、必要としないことに留意されたい。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、方法は、保管リールに巻かれた細長部材を保管する工程を更に含む。本発明に係る方法は、リボン供給手段を使い尽くすまで、例えば1キロメートルまでのかなりのサイズの細長部材を製造することを可能にする。細長部材を装置の出口でリール上に格納することにより、取り扱いが容易になる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、引っ張り補助装置の実装によってリボンの引っ張りを補助する工程を更に含む。引っ張り補助装置は、織物部材の最後の層を供給する最後のモジュールの下流に配置される。オペレータは、例えば、リボン層の各々を引っ張り補助装置に向けて案内することができる。引っ張り補助装置は、異なる層をメインガイド上でスライドさせるのを助ける。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、保管リールは、製造装置のモジュールの供給手段からのリボンのための引っ張り補助装置である。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、第1のモジュールの高さに長手方向のセカンダリーガイドを配置し、当該セカンダリーガイドを方向Xに沿って並進させる追加の工程を更に含む。セカンダリーガイドは、製造される細長部材の直径又は細長部材がチューブでない場合は断面を拡大すること、又は第1のセカンダリーガイドが既に使用されている場合は部材の直径又は断面を減少させることを可能にする。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、得られた細長部材を所望の角度に冷間曲げする工程を更に含む。製造装置の1つの利点は、細長部材の冷間曲げの可能性である。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、細長部材の直径又は細長部材がチューブでない場合は断面を変化させる工程を更に含む。セカンダリーガイドに加え、他の手段を使用して、細長部材の直径又は細長部材がチューブでない場合は断面を拡大又は縮小することができる。例えば、50%までの細長部材の直径の変動を得ることを可能にする追加の最終工程を見越して、各層のリボンの特定の配向を提供することができる。
【0037】
本発明はまた、本発明に係る製造装置から得られる未強化織物細長部材に関連する。
【0038】
もちろん、本発明の様々な特徴、変形及び実施形態は、それらが互いに矛盾しないか又は排他的でない限り、様々な組み合わせに従って互いに関連付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
更に、本発明の様々な他の特徴は、本発明の実施形態の非限定的な形態を示す図面を参照して与えられる添付の説明から明らかになるであろう。
【
図2】
図1に示す装置の対頂角から見た斜視図である。
【
図3】本発明に係る細長部材の一例の斜視図である。
【
図5】本発明に係るモジュールの一例の斜視図である。
【
図7】本発明に係るリボン供給手段の一例を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係る装置の別の例示的実施形態の斜視図である。
【
図9】
図6に示す装置の対頂角からの斜視図である。
【
図10】本発明に係る可変断面を有する細長部材の斜視図である。
【
図11】本発明に係る屈曲した細長部材の断面図である。
【0040】
これらの図において、異なる変形例に共通の構造的及び/又は機能的要素は、同じ参照符号を有する場合があることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1及び
図2に示され、全体として参照番号1で示される本発明に係る装置は、未強化織物細長部材の製造を意図している。この目的のために、装置1は、方向Xに長手方向のメインガイド3を備えるフレーム2と、方向Xにおいて直列するようにメインガイド3の周りに配置された少なくとも2つのモジュール4と、を備える。
【0042】
長手方向のメインガイド3は、フレーム2に取り付けられている。図示の実施形態によれば、長手方向のメインガイド3は円形断面を有しているので、管状の形状である。この形状は、本発明を限定するものではない。メインガイド3の他の形状も本発明に適合する。メインガイド3は直線的であり、正方形、長方形、四辺形、三角形、多角形、円形、楕円形、又は混合及び/又は自由形状などの異なる形状の部分を含むことができる。
【0043】
本発明に係る装置1のモジュール4は、一方では、長手方向のメインガイド3の一部を取り囲む供給リング5を備える。図示の例によれば、供給リング5は、実質的にディスク形状であり、メインガイド3が配置される中心孔を備える。
【0044】
一方、モジュール4は、リング5上に配置された供給手段6を備える。図示の実施形態によれば、供給手段6は、ディスクの片側に配置され、方向Xに対して-90°から90°の間の角度で少なくとも1本のリボン10をメインガイド3に供給する。
【0045】
本発明に適合するリボン10は、一方では、メインガイド3の周りに巻くのに十分な可撓性を有する。
図3は、本発明に係る装置1の手段によって得られた細長部材11を示す。異なる角度で配置されたリボン10の連続層は、得られた細長部材11がその形状を保持することを可能にする。
図4は、この細長部材11の断面を示しており、連続層が見てとれる。
【0046】
リング5上に配置された供給手段6は、方向Xに対して-90°から90°の間の選択された角度で少なくとも1本のリボン10をメインガイド3に供給する。各リボン10は、少なくともメインガイド3の周りに、又は既に存在するリボン10の層、すなわち上層に、選択された全体供給速度V1で巻き付けられる。
【0047】
各モジュール4は、リング5を駆動するための手段15も備える。
図2によれば、また
図5にも示されているように、駆動手段15は、供給手段6に対してリング5の反対側に配置されている。リング5を駆動する手段15は、メインガイド3を中心として回転速度V2でリング5を回転させる。図示の実施形態によれば、駆動手段15は、特にリング5を回転させることができるベルトを備えるモータと、リング5の回転速度V2を実現するためのモータ制御ユニットと、を備える。この構成は本発明を限定するものではない。
【0048】
図1及び
図2に示される装置は、2つのモジュール4を備える。第1のモジュール4の供給手段6は、リボン10のディスペンサ20を2つ備えており、第2のモジュール4の供給手段6は、リボン10のディスペンサ20を1つ備えている。様々なモジュール4用の電源6は、実際には互いに独立している。したがって、各モジュール4は、層ごとに、異なる種類のリボン10及び選択された数のリボン10を供給することができる。
【0049】
図6は、リボン10のディスペンサ20を6つ備えるモジュール4を示す。リボン10のディスペンサ20は、供給リング5の周りに配置される。図示の実施形態によれば、リボン10のディスペンサ20は、枢動手段22を介してリング5の片側に取り付けられたリール21を備える。図示されたこの非限定的な実施形態によれば、枢動手段22は、固定部23と、リール21の方に向けられた枢動部24と、を備える。リール21は枢動部24内で自在に枢動し、枢動部は固定部23に対して自在に枢動する。したがってリール21を所望の構成に配置することができ、ディスペンサ20の所望の配置に枢動手段22をロックすることができる。
【0050】
図7は、本発明の特定の実施形態を示し、リボン10のディスペンサ20は、ディスペンサ20から出るリボン10を切断することができる切断機25と、切断後にリボンを供給することができるモータMと、リボン10をリボン10の現在の層又は上側の層に溶接することができる超音波溶接手段26と、を更に備える。モータM、切断機25、及び溶接手段26の図は、
図7に概略的に示されており、他の実施形態が可能であり、特に、ディスペンサ20の外側でリボン10に作用する手段を伴う。
【0051】
図8及び
図9は、本発明の特定の実施形態を示す。装置1は、モジュール4を3つ備える。第1のモジュール4は、リボン10のディスペンサ20を4つ備え、各ディスペンサ20は、供給方向Xにリボン10を積層させる。これは、リボン10とメインガイド3との間の角度が0度の値を有することを意味する。第2のモジュール4は、リボン10のディスペンサ20を2つ備え、最後に、第3のモジュール4は、リボン10のディスペンサ20を1つ備える。この実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0052】
第1の工程は、本発明に係る細長部材11を製造するために、装置1のモジュール4の各々に供給手段6を実装することである。図示の例によれば、この目的のために、各々が選択されたリボン10を含むリール21は、装置1の各供給リング5上に配置される。好ましくは、リールは、モジュールごとに同じリボン10を供給し、各モジュール4は、異なる種類のリボン10のリールを含むことができる。
【0053】
図8及び
図9に示される例によれば、使用されるリボン10は、20~10mmの幅及び約150μmの厚さを有する。
【0054】
方法の第2の工程は、モジュール4の各々の供給速度V1及び回転速度V2を設定することである。これら2つの値の正確に調整された設定は、各供給手段6に対してリボン10とメインガイド3との間の所望の角度を規定することを可能にする。この角度は-90°から90°の間で変化するが、これら2つの区間境界値は除く。例えば、
図8及び
図9に示される装置の例によれば、リボン10の第1の層は、方向Xに対して0°に近い角度で積層し、リボン10の第2の層は、方向Xに対して約80°の角度で積層し、第3の層は、方向Xに対して-80°に近い角度で積層する。
【0055】
1つの設定例は、毎分1メートルに実質的に等しい供給速度V1と、各々がリボン10を分配する2つのモジュール4の毎分360回転に実質的に等しい回転速度V2とを規定することである。この例は、本発明を限定するものではない。
【0056】
次に、モジュール4が起動される。
【0057】
リボン10の種類に応じて、部材11の様々な層のリボン10を引っ張るのを助けるために、引っ張り補助装置30が使用される。
図8及び
図9に示す実施形態によれば、第1のモジュール4からのリボン10の第1の層は、実装された他の2つのモジュール4を通ってメインガイド3上をスライドする。第1の層のリボン10は、その種類が許すのであれば、それ自体で、又は手動の補助によってスライドすることができる。他の層のリボン10は、前の層の上に積層し、次いで、引っ張り補助装置30を通過する。この補助装置30は、当該方法に必ずしも必要ではないが、使用されるリボン10の種類に応じて、異なる層が方向Xにスライドするのを助けることができる。
【0058】
特に方向Xに対して0°に近い角度で配置された第1のリボン層を有する特定の実施形態では、前述のリボン10を前進させるために手動補助は必ずしも必要とされない。
【0059】
フレーム2に対し、方向Xに対して0°の角度で配置されたリボン10の第1の層は、このように長手方向のメインガイド3上をスライドする。
【0060】
別の実施形態では、リボン10の更なる層が第1の層の上に重ね合わされると、細長部材11は、補助なしで製造することができ、引っ張り補助装置30は、もはや必要とされず、取り外すことができる。使用されるリボン10の種類により、当該リボンがそのリール21から効率的に展開することができない場合、過渡的な始動補助期間が必要な場合がある。
【0061】
このようにして製造された細長部材11は、保管リールに巻き付けて保管することができ、したがって、その後の取り扱いが容易になる。以下に記載される更なる工程に従って、例えば、増大された寸法又は減少された寸法で、細長部材11を製造されるようなサイズに切断することができる。
【0062】
一実施形態(図示せず)では、保管リールは、リボン10のための引っ張り補助装置である。実際、織物部材11は、巻かれる際に、織物部材11を形成するリボン10を引っ張る。
【0063】
細長部材11が所望の大きさになると、細長部材11を切断することができる。方法を完了する別の手段は、リボン10が尽きるのを待つことである。
【0064】
織物細長部材11の製造方法において本発明に係る装置1を使用する利点の1つは、使用可能な固体の織物細長部材11を得るために、リボン10及び/又は得られる織物細長部材11の温度を上昇させる工程が必要ないことである。実際、形質転換工程を実施する必要はない。
【0065】
次に、得られる未強化織物細長部材11を回収することができる。次に、例えば寸法が許容する場合には、熱成形工程などの強化工程を適用することができる。細長部材11を強化するとき、細長部材11の寸法、特にその周囲を10~20%のオーダーでわずかに変えることもできる。
【0066】
織物細長部材11はリボン10の層で構成されているので、織物細長部材11の周長の最大50%までの変動に予め対処するために、同層及び各層のリボン10の配向の特定の編成や、同層の前述のリボン10同士の隙間が任意の特定の編成を、提供することができる。実際に、各々の層に対して、互いに独立して強制的に角度を再編成することが可能であり、織物細長部材11の長さは影響を受ける。次に、追加の最終工程は、細長部材11を拘束する。このときリボン10の各層は新しい角度で再配向されており、同層のリボンは互いに近づくか又は更に離れるように移動しており、異なる層は互いの上をスライド可能になっている。
【0067】
特定の実施形態では、長手方向のセカンダリーガイド(図示せず)は、製造中に第1のモジュール4の高さに配置される。メインガイド3の直径又は断面よりも大きな直径又は断面を有するセカンダリーガイドは、第1のモジュール4の上流に配置され、細長部材11の製造方向に並進する。次に、様々なモジュール4のリボン10がセカンダリーガイド上に積層され、セカンダリーガイドが通過した後に再びメインガイド3上に積層される。このようにして、細長部材11の製造中に細長部材11の直径又は断面、更には全体形状を大幅に増大させることもできる。そのような得られた細長部材11の一例を
図10に示す。
【0068】
直径又は断面が大きくなると、対応するモジュール4によって供給されるリボン10と同様のリボン10を、超音波溶接手段26によって追加することができるので、細長部材11の表面積が増加することで形成される可能性のある開口部を埋めることができる。そのような例が
図10に示されており、部材11の直径を増加させるときにリボン10が上層の下の層に追加され、部材11の直径を減少させるときにリボン10が切断される。
【0069】
本発明の更なる実施形態では、装置1によって得られた細長部材11は、
図11に示す細長部材11のような所望の角度に冷間曲げされる。この冷間曲げ工程は、得られた細長部材11の曲げ剛性が許容する場合には、手で行うことができる。
【0070】
図示されていない更なる実施形態では、細長部材11のリボン10からなる構成層のうちの1つに固体のマトリックスを一体化することにより、細長部材11を強化することもできる。
【0071】
当然ながら、添付の特許請求の範囲内で本発明に対して様々な他の変形を行うことができる。
【国際調査報告】