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特表2024-544159プレート熱交換器の構造、排ガス熱回収への利用及び排ガスからの熱回収方法
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  • 特表-プレート熱交換器の構造、排ガス熱回収への利用及び排ガスからの熱回収方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】プレート熱交換器の構造、排ガス熱回収への利用及び排ガスからの熱回収方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/26 20060101AFI20241121BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20241121BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F28F9/26
F28F9/00 321
F28F3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529630
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 FI2022050846
(87)【国際公開番号】W WO2023118653
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】20216308
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521116129
【氏名又は名称】ヴァハテルス オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーニッカーラ、レイマ
【テーマコード(参考)】
3L065
【Fターム(参考)】
3L065FA19
(57)【要約】
プレート熱交換器の構造(1)であって、流路を流れる媒体の入口接続部(3)及び出口接続部(4)を有する流路構造(2a、2b)と、少なくとも1つのプレートパックモジュール(5)と、プレートパックモジュールが着脱自在に配置されるフレーム構造(6)とを備え、このフレーム構造(6)が流路構造の一部として配置されている。プレート熱交換器の構造(1)は、プレート熱交換器の構造を排ガス流路の一部として配置することにより、排ガス熱回収に使用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート熱交換器の構造(1)であって、前記プレート熱交換器の構造(1)が、
流路構造(2a、2b)の壁に形成され、流路を流れる媒体のための入口接続部(3)と出口接続部(4)とを有する、流路構造と、
少なくとも1つのプレートパックモジュール(5)と、プレートパックモジュールが取り外し可能に配置されるフレーム構造(6)であって、前記フレーム構造(6)が、流路構造の一部として配置され、前記フレーム構造(6)が、フレーム構造のコーナに形成された垂直サポートビームと、前記垂直サポートビームを連結する水平サポートビームと、から構成されたフレームワークを備え、流路に対して配置された前記フレームワークの側面が開口され、前記流路構造(2a、2b)の前記壁が前記フレーム構造(6)に取り付けられている、フレーム構造(6)と、を備え、
前記プレートパックモジュール(5)が、
プレートパック(7)であって、開口を有するとともに互いに上下に配置された矩形の熱交換器プレートで形成され、これによりプレートパックが高さ方向を有し、前記プレートパックにおいて、熱交換プレートがプレート対として互いに取り付けられ、前記プレート対の内側部が、前記熱交換プレートの前記開口により形成された流路(20、21)を介して互いに連結して配置された、プレートパック(7)と、
伝熱流体のための入口接続部(8)及び出口接続部(9)であって、接続部が、前記流路(20、21)と前記プレートパックの前記プレート対の前記内側部とを接続して配置された、入口接続部(8)及び出口接続部(9)と、
前記プレートパック(7)の両端部に配設されたサポートエンドプレート(10)と、
前記プレートパック(7)の両側の側端面に配置されたサイドサポートプレート(13、14)であって、これにより前記プレートパックの前記高さ方向に前記プレートパックの前記側端面をほぼ覆う、サイドサポートプレート(13、14)と、を備え、
前記プレートパックモジュールが、長方形の熱交換プレートで形成された前記プレートパックの前記高さ方向が、前記流路を流れる前記媒体の流れ方向と直交するように、前記流路構造に配置され、これにより前記熱交換プレートの幅方向が、前記流路を流れる前記媒体の流れ方向となる、ことを特徴とするプレート熱交換器の構造(1)。
【請求項2】
前記長方形の熱交換器プレートは、湾曲した端部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記プレートパックモジュール(5)が、前記プレートパックの一端にエンドプレート(12)をさらに備え、係るエンドプレートによって前記プレートパックモジュールが前記フレーム構造のフランジ(15)に着脱自在に固定される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の構造。
【請求項4】
前記サイドサポートプレート(13、14)が、前記プレートパック(7)の大側面に対して少なくとも一部が曲げられている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の構造。
【請求項5】
前記プレートパックの前記サイドサポートプレート(13、14)は、一方の前記サポートエンドプレート(10)から前記プレートパックの他方のサポートエンドプレートまで延在する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の構造。
【請求項6】
前記プレートパックモジュール(5)が、完全に溶接されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の構造。
【請求項7】
前記フレーム構造(6)が、前記フレーム構造(6)に配置されたフローガイドプレート(16、17、18)をさらに備える、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の構造。
【請求項8】
前記フレーム構造を備えた2つ以上のプレートパックモジュール(22、23、24、25)が、前記媒体の前記流路への流れ方向に並んで配置されている、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の構造。
【請求項9】
前記フレーム構造を有する2つ以上のプレートパックモジュール(26、27)が、一方が他方の上部に1つずつ並んで前記流路に配置されている、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の構造。
【請求項10】
前記フレーム構造を有する2つのプレートパックモジュール(28、29)が互いに端を接して配置され、これにより、第1のプレートパックモジュール(28)の入口接続部および出口接続部(32、33)と、第2のプレートパックモジュールの入口接続部および出口接続部(34、35)とが、前記流路構造の異なる側にある、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の構造。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のプレート熱交換器の構造の排ガス熱回収での使用。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載のプレート熱交換器の構造を、排ガス流路の一部として配置して熱を回収する、ことを特徴とする排ガスからの熱回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下に提示する独立請求項に係るプレート熱交換器の構造に関する。本発明はまた、排ガス熱回収におけるプレート熱交換器の構造の使用及び排ガスからの熱回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排ガスを放出する際に通常失われるであろう熱を抽出することは、関連するシステムの全体的な熱効率を著しく向上させる。熱を回収し、様々な加熱または冷却要件に使用するか、または例えばORCシステムを介して蒸気を発生させるか、または電気を発生させることができる。回収された熱エネルギは様々な用途に利用でき、エネルギコストの削減に貢献する。
【0003】
排ガス熱交換器は、エネルギ発生時に発生する排ガスから効率的に排熱を回収する方法である。排ガスで発生する排熱はどこでも排ガス熱交換器を利用できる。例えば、チューブ式熱交換器が一般的に使用されているが、それらは典型的には重く大きいサイズであるため、全ての用途に適用可能ではない。また、チューブ熱交換器のメンテナンスや清掃も、典型的には手間がかかる。
【0004】
このため、コンパクトな構造で清掃やサービスが容易な排ガス熱回収の分野で熱交換器のニーズが存在している。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記の問題点を克服した特に排ガス熱回収用のプレート熱交換器を提供するものである。
【0006】
そこで、本発明は、コンパクトな構造を有し、プレートパックのメンテナンス性及び清掃が容易なプレート熱交換器の構造を提供する。
【0007】
また、本発明は、プレート熱交換器の構造を提供し、この構造は、回収された熱がどの目的で使用されることが計画されているかに応じて、異なる用途に変更およびスケーリングが容易である。本発明はまた、幾つかの別々の熱回収循環を同じ構造に構成することができ、従ってそれらを排ガス流路に容易に配置する実施例を提供する。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、添付の特許請求の範囲に提示されているものを特徴とする。
【0009】
本文中で言及された実施形態および利点は、該当する場合、プレート熱交換器の構造に関連するが、必ずしも具体的には言及されていないにしても、本発明による使用だけでなく、本方法にも関連する。
【0010】
本発明による典型的なプレート熱交換器の構造は、流路の壁で形成され、流路を流れる媒体の入口接続部および出口接続部を有する流路構造と、プレートパックモジュールが取り外し可能に構成され、フレーム構造が流路構造の一部として構成された少なくとも1つのプレートパックモジュールおよびそのフレーム構造とを含む。典型的なフレーム構造は、フレーム構造のコーナの垂直サポートビームと、垂直サポートビームを連結する水平サポートビームとから形成されるフレームワークを含み、流路に対して配置されるフレームワークの側面は開口しており、流路構造の壁はフレーム構造に取り付けられている。本発明によるプレート熱交換器の構造の典型的なプレートパックモジュールは、以下を備える
- 開口を有するとともに上下に配置された矩形の熱交換器プレートから形成されたプレートパックであって、前記プレートパックが高さ方向を有し、前記プレートパックがプレート対として取り付けられたプレートパックであって、前記プレート対の内側部が前記熱交換プレートの開口により形成された流路を介して互いに連結して配置されているプレートパックであって、
- 伝熱流体の入口接続部と出口接続部であって、該接続部は、前記プレートパックの前記流路と前記プレート対の内側部とに関連して配置されている、出口接続部と、
- 前記プレートパックの両端に配置された前記サポートエンドプレート
-
プレートパックの両側の側端面に配置されるサイドサポートプレートは、プレートパックの高さ方向に側端面をほぼ覆い、プレートパックモジュールは、長方形の熱交換プレートで形成されるプレートパックの高さ方向が流路を流れる媒体の流れ方向と直交するように流路構造に配置されることにより、熱交換プレートの幅方向が流路を流れる媒体の流れ方向となる。
【0011】
典型的には、本発明によるプレート熱交換器の構造は、排ガス熱回収において使用される。本発明によるプレート熱交換器の構造は、排熱が発生するどのようなシステムで使用しても適用可能である。本発明による実施形態では、本発明によるプレート熱交換器の構造は、排ガス熱を有する発電プラントまたは他のプラントにおける排ガス熱回収に使用される。コンパクトな構造と複数の別々の熱回収循環を同じ構造に構成する可能性は、船舶や船舶で特に有用である。したがって、有利な実施形態では、本発明によるプレート熱交換器の構造が、船舶または容器の排ガス熱回収に使用される。
【0012】
排ガスから熱回収する本発明による典型的な方法では、排ガス流路の一部として、本発明によるプレート熱交換器の構造を配置することによって熱が回収され、それによって排ガスがプレートパックモジュールの流路構造およびプレートパックを通って流れるように導かれる。
【0013】
本発明によるプレート熱交換器の構造は、プレートパックに使用される長方形の熱交換プレートによるコンパクトな設計を提供する。フレーム構造に着脱自在に配置されたプレートパックモジュールは、プレートパックの検査、清掃、メンテナンス性を容易にする。本発明に係るプレート熱交換器の構造のプレートパックモジュール自体を耐圧自己支持構造とすることで、どの目的で回収熱を使用するかによって、本発明のプレート熱交換器の構造を異なる用途に容易に変更、スケーリングすることが可能となる。本発明に係るプレート熱交換器の構造を用いると、フレーム構造を有する2つ以上のプレートパックモジュールを流路構造に容易に配置することができる。
【0014】
本発明のプレート熱交換器の構造は、排ガス排熱の効率的利用を提供する。本発明を使用することにより、熱を回収し、ORCシステムを介して、様々な加熱および/または冷却要件に使用するか、または蒸気を発生させるか、または例えばより多くの電気を発生させることができる。
【0015】
本発明は、添付の概略図を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るプレート熱交換器の構造を示す。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るプレート熱交換器の構造のプレートパックモジュールをより詳細に示す。
図3図3は、フレーム構造に配置された本発明の一実施形態によるプレートパックモジュールの概略断面を示す。
図4図4は、フレーム構造に配置された本発明の他の実施形態によるプレートパックモジュールの概略断面を示す。
図5図5は、4つのフレーム構造を有するプレートパックモジュールが、流路への媒体の流れ方向に並んで配置されている本発明による実施形態を示す。
図6図6は、フレーム構造を有する2つのプレートパックモジュールが、もう一方の上部に流路構造の中に配置されている本発明による一実施形態を示す。
図7図7は、フレーム構造を有する2つのプレートパックモジュールが、互いに端を接して配置され、それによりプレートパックモジュールの入口接続部および出口接続部が、流路構造の異なる側にある本発明に係る実施形態の概略断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るプレート熱交換器の構造は、流路構造と、少なくとも1つのプレートパックモジュールと、プレートパックモジュールが着脱可能に配置されるフレーム構造とを備え、このフレーム構造が流路構造の一部として配置されているものである。
【0018】
本発明によるプレート熱交換器の構造の流路構造は、流路の壁で形成され、流路を流れる媒体の入口接続部と出口接続部とを備えている。流路構造は、典型的にはダクトである。本発明の好ましい実施形態では、流路構造は排ガス流路であり、それによって、流路構造は排ガス流のための入口接続部および出口接続部を含む。本発明の実施形態によれば、本構造の流路構造の出入口接続部は、本発明のプレート熱交換器の構造を、係る構造に高温の排ガスを供給するための排ガスダクトに接続するために使用され、また、本発明のプレート熱交換器の構造を、熱交換器の構造から流出する冷却された排ガスを搬送するための排ガスダクトに接続するために使用される。本発明による実施形態では、流路構造は、プレート熱交換器の構造が配置された排ガスダクト又は他のダクトであってもよく、そのため排ガスダクトの流路構造の一部である。この場合、流路構造の入口接続部および出口接続部は、排ガス流路または他の流路の入口および出口を指す。
【0019】
本開示では、排ガスは、燃料又は他の材料の燃焼の結果として発生するガスを指す。排ガスは、例えば、ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービン、焼却炉、または他の発電プラントにおける対応するシステムからの燃焼ガスのような、エネルギ交換または変換プロセスの後にシステムを出る。排ガスは、煙道ガスと呼ぶこともできる。排ガスはダクトを介して燃焼システムから搬送され、排ガスのダクトに本発明によるプレート熱交換器の構造を配置することによって排ガス熱を回収することができる。
【0020】
本発明によるプレートパックモジュールは、プレートパックを備え、このプレートパックは、プレートおよびシェル型熱交換器で使用されるプレートパック構造に基づく。プレートパックは、開口を有する熱交換器プレートを上下に並べて形成されている。熱交換プレートはプレート対として互いに取り付けられている。各プレート対は、典型的には、取り付けられる2つの熱交換プレートから形成され、好ましくは、少なくともその外周で一緒に溶接される。各熱交換プレートは、伝熱流体の流れのための少なくとも2つの開口を有する。隣接するプレート対は、取り付けることによって互いに取り付けられ、好ましくは2つの隣接するプレート対の開口を互いに溶接する。プレート対の内側部は、熱交換プレートの開口によって形成された流路を介して互いに関連して配置されている。したがって、伝熱流体は、プレート対から開口を介して別のものに流れることができる。伝熱流体をプレートパックへ導き、そこから外へ導くための伝熱流体の入口接続部および出口接続部が、プレートパックのエンドプレートに配置されている。伝熱流体用の入口接続部及び出口接続部は、プレートパックの内部部品、すなわちプレートパックのプレート対の内部部品と接続して配置されており、これにより、伝熱流体の入口接続部と出口接続部との間に回路が形成される。本発明に係るプレート熱交換器の構造のうち、流路、好ましくは排ガス流路を流れる媒体は、プレート対の間の空間を流れるように配置されている。例えば排ガス用の、流路を流れる媒体の入口接続部及び出口接続部は、流路構造と関連して、またプレートパックのプレート対の間の空間と関連して配置される。換言すれば、流路を流れる媒体、例えば排ガスは、流路構造の内部を流れ、プレートパックのプレート対の間の空間をも流れる。プレートパック内部を流れる伝熱流体は、流路構造を流れる媒体と混合することができない。伝熱流体は一つおきのプレート空間に流れ、排ガスはプレートパックの一つおきのプレート空間に流れる。伝熱流体は、伝熱に関与する気体または液体であり得る。
【0021】
プレートパックモジュールのプレートパックは、長方形の熱交換プレートで形成されている。本発明の好ましい実施形態では、プレートパックモジュールのプレートパックは、湾曲した端部を有する長方形の熱交換プレートで形成されている。換言すれば、本発明の実施形態によるプレートパックは、2つの半楕円で形成された長方形状を有する熱交換プレートで形成されている。熱交換プレートの湾曲端部はプレートパックの耐圧性を向上させ、プレートパックの溶接も容易になる。熱交換プレートは長さ方向と幅方向を有する。長方形の熱交換プレートの長さ方向とは、プレートの最長辺の方向をいう。これに対応して、長さ方向は、1つの湾曲した端部から別の湾曲した端部へのプレートの方向を指す。熱交換プレートの幅方向は長さ方向に垂直な方向である。幅方向は、通常、長さ方向よりも短いが、これは、熱交換プレートが長方形のプレートである、すなわち、プレートパックがスリムな熱交換プレートで形成されているからである。熱交換プレートの開口は長方形のプレート熱交換プレートの両端に配置されており、この開口はプレート対の内側を流れる伝熱流体に流路を形成する。
【0022】
上述したように、プレートパックは、プレート熱交換プレートのプレート対を上下に並べて形成されている。本開示において、プレートパックの高さ方向とは、互いの上部にあるプレートペアで形成されたプレートパックの方向、すなわち、プレートペアのスタックの高さを指す。プレートパックは、熱交換プレートと同じ長さ方向および幅方向を有する。前記プレートパックは、前記プレートパックの高さ方向および長さ方向で規定される大側面と、前記端部の形成される薄い側端面とを有し、前記熱交換プレートの湾曲した端部は前記プレートパックの高さ方向および幅方向で規定されるのが好ましい。側端面は、大側面に対して実質的に垂直である。
【0023】
プレートパックモジュールでは、プレートパックの高さ方向に両端にサポートエンドプレートが配置されている。サポートエンドプレートは、熱交換プレートと実質的に同じ外形を有するが、それらは、典型的には、熱交換プレートよりも厚い。
【0024】
また、上記プレートパックモジュールは、上記プレートパックの両側の側端面に配置されたサイドサポートプレートを備え、上記サイドサポートプレートは上記プレートパックの高さ方向に側端面を略覆っている。プレートパックの側端面は、熱交換プレートの端部から形成されるプレートパックの側端部を指し、典型的には、熱交換プレートの湾曲した端部から形成される。本発明の実施形態では、上記プレートパックの上記サイドサポートプレートは、上記一方のサポートエンドプレートから上記プレートパックの他方のサポートエンドプレートまで延在し、上記サイドサポートプレートは、上記プレートパックの高さ方向に上記プレートパックの側端面を略覆っている。サイドサポートプレートは、1つの単一な部品として形成してもよいし、2つ以上の部品で形成してもよい。サイドサポートプレートは、プレートパックモジュール構造をより強くし、また、それらは、流路構造の排ガスのバイパス流れを防止することによって、フローガイドとして機能し得る。本発明の一実施形態によれば、前記サイドサポートプレートは少なくとも一部が前記プレートパックの大側面に対して折り曲げられている。その結果、ガス流を流路中央部のプレートパックを通して効率的に導くことができた。
【0025】
さらに、プレートパックモジュールは、伝熱流体用の入口接続部および出口接続部を備え、これらの接続部は、流路およびプレートパックのプレート対の内側部と関連して配置されている。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、プレートパックモジュールは完全に溶接されている。プレートパックモジュール自体は、耐圧自己支持構造である。
【0027】
本発明の実施態様において、プレートパックは、プレートパックの流路に配置された内管構造およびストッパプレートまたはプレートを含むことができる。これらにより、プレートパックに複数の経路を配置することが可能になる。
【0028】
プレート熱交換器の構造は、プレートパックモジュールが取り外し可能に配置されるフレーム構造をさらに備える。本発明に係るフレーム構造は、プレートパックモジュールの周囲にセットするフレームワークである。それは、典型的にはプレートパックモジュールのコーナにある、プレートパックモジュールのすべての側部にサポートビームを備える。本発明によれば、フレーム構造は、フレーム構造のコーナに垂直サポートビームと、この垂直サポートビームを連結する水平サポートビームとで形成されたフレームワークを備える。プレートパックモジュールがフレーム構造に配置されている場合、サポートビームはプレートパックモジュールのコーナを循環する。流路に対して配置されたフレームワークの側面は、プレートパックモジュールを通って排ガスを流すことができるように開口されている。フレーム構造は、フレーム構造の側面を閉塞するカバープレートを備え、このカバープレートは、プレートパックモジュールがフレーム構造に配置可能な側面とは反対側の側面である。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、フレーム構造は、フレーム構造に配置された追加のフローガイドプレートをさらに備えることができる。前記フローガイドプレートは、前記流路の中央部において前記プレートパックを流れるように前記排ガスの流れを導く前記フレーム構造のコーナに配置されているとよい。
【0030】
本発明の典型的な実施形態によると、プレートパックモジュールは、さらに、プレートパックの一方の端部にエンドプレートを備え、このエンドプレートによって、プレートパックモジュールは、フレーム構造のフランジに着脱自在に固定される。エンドプレートは、プレートパックのサポートエンドプレートに取り付けられている。したがって、プレートパックモジュールは、プレート熱交換器装置から容易に取り外すことができ、例えば、検査、洗浄又は他のメンテナンスのために、フレーム構造から取り外すことができる。
【0031】
本発明の実施の形態に係るプレート熱交換器の構造では、プレートパックモジュールのフレーム構造とフレーム構造に取り付けられた流路構造とが、本発明のプレート熱交換器の構造のフレームワークを形成する。本発明によれば、フレーム構造は流路構造の一部として配置されている。本発明の典型的な実施形態では、プレート熱交換器の構造の流路構造は、プレートパックモジュールのフレーム構造に取り付けられている。本発明の一実施の形態によれば、流路構造の壁は、フレーム構造に取り付けられている。したがって、プレートパックモジュールのフレーム構造は、流路構造の一部を形成する。
【0032】
本発明による典型的な実施形態では、プレートパックモジュールは、熱交換プレートの幅方向が、排ガスの流れ方向のように、流路を流れる媒体の流れ方向になるように流路構造に配置される。すなわち、プレートパックモジュールは、長方形の熱交換プレートで形成されたプレートパックの高さ方向が、排ガスのように流路を流れる媒体の流れ方向に対して垂直であり、かつ、流路を流れる媒体がプレートパックをプレートパックの幅方向に流れるように、流路構造に配置されている。したがって、プレートパックを通る排ガスの流れの移動の長さは、短くなるように配置される。これは、排ガスが燃焼の生成物であり、微粒子および他の望ましくない物質を含み、したがって、排ガスがプレートパック中に微粒子の蓄積を引き起こし、したがって伝熱を弱める可能性があるので有利である。これは、本発明によるプレートパックモジュールによって回避することができる。また、長方形の熱交換プレートで形成されたプレートパックを流れる際にガスの圧力損失が低く、プレートパックを流れる排ガスの流れの長さが短くなるように配置されている。これに対応して、プレートパック内部の伝熱流体の流れ方向は、プレートパックを通ってプレートの長さ方向に流れ、したがって、伝熱がプレートパック全体で効率的であるので、より長く配置することができる。
【0033】
本発明によれば、プレート熱交換器の構造は、流路構造の一部として配置された少なくとも1つのプレートパックモジュールおよびそのフレーム構造を備える。したがって、本発明の一実施形態では、プレート熱交換器の構造は、1つのプレートパックモジュールと、そのフレーム構造とを備え、このフレーム構造は、流路構造の一部として配置される。本発明による他の実施形態では、プレート熱交換器の構造は、それらのフレーム構造を有する2つ以上のプレートパックモジュールを備えており、これらは流路に配置されている。本発明による好ましい実施形態では、各プレートパックモジュールは、独自のフレーム構造を備える。したがって、必要な機能に応じて、構造のスケーリングや修正が容易である。フレーム構造は、互いに取り付けることができる。
【0034】
それらのフレーム構造を有する2つ以上のプレートパックモジュールは、多くの方法でプレート熱交換器の構造に配置することができる。一実施形態では、それらのフレーム構造を備えた2つ以上のプレートパックモジュールが、流体の流路への流れ方向に並んで配置されている。別の実施形態では、それらのフレーム構造を有する2つのプレートパックモジュールが、もう一方の上部に流路に配置されている。流路は、流路への媒体の流れ方向に並べられたプレートパックモジュールおよび/または流路への他方の上部の1つを含むことができる。本発明の好ましい実施の形態によれば、プレートパックモジュールは、長方形の熱交換プレートで形成されたプレートパックの高さ方向が、排ガスのように流路を流れる媒体の流れ方向に対して垂直になるように流路構造に配置され、流路を流れる媒体は、プレートパックをプレートパックの幅方向に流れる。
【0035】
一実施形態では、それらのフレーム構造を有する2つのプレートパックモジュールが、互いに端を接して配置され、それによって、プレートパックモジュールの入口接続部および出口接続部は、流路構造の異なる側にある。また、この実施形態では、流路は、流路への媒体の流れ方向に並んで、および/または流路への他方の上部に1つずつ、プレートパックモジュールを含んでもよい。
【0036】
本発明によるプレート熱交換器の構造は、排熱、典型的には排ガスによって、生成されるいずれのシステムでも使用することができる。上述のように、本発明による構造は、1つ、2つ又は数個のプレートパックモジュールを備え、それらのフレーム構造は、流路に配置される。排ガスから熱回収する本発明による方法では、排ガス流路の一部として、本発明によるプレート熱交換器の構造を配置することによって熱が回収され、それによって排ガスがプレートパックモジュールのプレートパックを通って流れるように導かれる。
【0037】
(図面の詳細な説明)
図1は本発明の実施の形態に係るプレート熱交換器の構造を示し、図2図1に示すプレート熱交換器の構造のプレートパックモジュールをより詳細に示す。図3および図4は本発明の実施の形態に係るプレートパックモジュールの概略断面を示す。
【0038】
本発明の実施の形態によるプレート熱交換器の構造1は、流路を流れる媒体のための入口接続部3および出口接続部4を有する流路構造を備える。図1において、流路構造は、フレーム構造6に取り付けられた2つの部品2a、2bで形成されている。図1に示すプレート熱交換器の構造1は、1つのプレートパックモジュール5と、プレートパックモジュール5が着脱自在に配置されるフレーム構造6とを備えている。フレーム構造6は流路構造の一部として配置されていた。
【0039】
図2に詳細を示した本発明によるプレートパックモジュール5は、開口を有し互いに上部に配置された長方形の熱交換器プレートで形成されたプレートパック7を備えている。本発明に係るプレートパック7では、熱交換プレートがプレート対として互いに取り付けられており、プレート対の内側部は、図3および図4に示すように熱交換プレートの開口によって形成された流路20、21を介して互いに関連して配置されている。プレートパックモジュール5は、伝熱流体用の入口接続部8および出口接続部9を備えており、これらの接続部は、流路20、21およびプレートパックのプレート対の内側部に関連して配置されている。
【0040】
また、プレートパックモジュール5は、プレートパック7の両端部に配置されたサポートエンドプレート10を備える。典型的には、プレートパックモジュール5は、プレートパックの一方の端部にエンドプレート12をさらに備え、このエンドプレートによって、プレートパックモジュールは、フレーム構造のフランジ15に着脱自在に固定される。図2~4では、1つのサポートエンドプレート、すなわちサポートエンドプレート10のみが見える。なお、プレートパックの他方のサポートエンドプレートは、プレートパック7とエンドプレート12との間に配置されていた。サポートエンドプレートとエンドプレート12とは、典型的には互いに取り付けられるが、一体として作ることも可能である。
【0041】
また、プレートパックモジュール5は、プレートパック7の両側の側端面に配置されたサイドサポートプレート13、14を備え、これにより、サイドサポートプレート13、14は、プレートパックの高さ方向に側端面をほぼ覆う。「プレートパックの高さ方向」とは、互いの上部にプレート対が形成されたプレートパックの方向、すなわち、プレート対の積み重ねの高さをいう。通常、プレートパックのサイドサポートプレート13、14は、一方のサポートエンドプレート10からプレートパックの他方のサポートエンドプレートまで延在する。
【0042】
なお、図2では、サイドサポートプレート13、14は、少なくとも一部がプレートパック7の大側面に対して折り曲げられている。プレートパックの大側面は、プレートパックの高さ方向および長さ方向によって規定され、これらの大側面は、流路に抗している。すなわち、長方形の熱交換プレートで形成されたプレートパックの高さ方向は、排ガスのような、流路を流れる媒体の流れ方向に対して垂直である。これは、プレートパックモジュール5が、熱交換プレートの幅方向が排ガスのような流路を流れる媒体の流れ方向になるように流路構造に配置されていることを意味する。
【0043】
本発明に係るプレート熱交換器の構造1のフレーム構造6は、図2から理解できるようにフレーム構造のコーナに垂直サポートビームと、垂直サポートビームを連結する水平サポートビームとで形成されたフレームワークで構成されている。フレーム構造6は、プレートパックモジュール5の周囲にセットされたフレームワークである。フレーム構造6はさらに、フレーム構造に配置された1つまたは複数のフローガイドプレート16、17、18を備えることができる。通常、フローガイドプレート16、17、18は、流路の高さ方向においてフレーム構造6の下部及び/又は上部に配置されている。
【0044】
図2に示すように、流路に対して配置されたフレームワークの側面は、プレートパックモジュールを通って排ガスを流すことができるように開口されている。典型的には、フレーム構造6は、フレーム構造の側面を閉じるためのカバープレート19を備え、このカバープレートは、プレートパックモジュール5がフレーム構造に配置可能な側面とは反対側の側面である。
【0045】
図1及び図2に示すように、フレーム構造は流路構造の一部である。流路構造2a、2bの壁は、フレーム構造6に取り付けられていた。
【0046】
図3および図4は、プレートパック7の内部に流れを配置したいくつかの実施態様を提示している。図4には、流路20内に配置された内管構造40と、プレートパック内部の伝熱流体の流れに対して複数の経路を設けるための流路21に配置されたストッパプレート41とが示されている。
【0047】
図5図7は、本発明に係るいくつかの実施形態を示しており、ここで、プレート熱交換構造は2つ以上のプレートパックモジュールを備える。
【0048】
図5は、本発明による実施形態を示しており、4つのプレートパックモジュール22、23、24、25は、それらのフレーム構造と共に、並んで配置されている。これらは流路の媒体の流れ方向に並んでいるように流路構造に配置することができる。また、プレートパックモジュールは、長方形の熱交換プレートで形成されたプレートパックの高さ方向が排ガスなどの流路を流れる媒体の流れ方向に対して垂直になるように流路構造に配置されている。
【0049】
図6は、本発明の実施の形態によるプレート熱交換器の構造1を示しており、ここでは、フレーム構造を備えた2つのプレートパックモジュール26、27が、流路構造に上下に一方が配置されている。流路構造2a、2bは、プレートパックモジュールのフレーム構造に取り付けられている。プレートパックモジュールのプレートパックの高さ方向は、流路への媒体の流れ方向に対して垂直である。プレート熱交換器の構造1は、流路を流れる媒体のための入口接続部3および出口接続部4をさらに備える。
【0050】
図7は、本発明による実施形態を示しており、ここで、フレーム構造を有する2つのプレートパックモジュール28、29が互いに端を合わせて配置されており、それによって、プレートパックモジュールの入口接続部33、35および出口接続部32、34は、流路構造の異なる側に配置されている。図7では、フレーム構造を有する他の2つのプレートパックモジュール30、31が、プレートパックモジュール28、29の下に配置されている。また、フレーム構造を有するプレートパックモジュール30、31は、互いに端を接して配置されており、プレートパックモジュールの入口接続部37、39および出口接続部36、38は、流路構造の異なる側に配置されている。すべてのフレーム構造は、コンパクトなプレート熱交換器の構造を形成するために互いに取り付けられている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】