(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】全光場イメージングカメラ及びそのイメージング方法、並びに全光場イメージング装置
(51)【国際特許分類】
G02B 21/36 20060101AFI20241121BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20241121BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G02B21/36
G02B13/00
G01N21/17 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530037
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2022132841
(87)【国際公開番号】W WO2023109428
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202111548124.X
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514313694
【氏名又は名称】中国科学院上海高等研究院
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI ADVANCED RESEARCH INSTITUTE,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.99,Haike Road,Zhangjiang Hi-Tech Park,Pudong Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】王 中陽
(72)【発明者】
【氏名】孫 静
(72)【発明者】
【氏名】王 柯威
【テーマコード(参考)】
2G059
2H052
2H087
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE02
2G059FF01
2G059FF03
2G059GG01
2G059HH02
2G059JJ11
2G059JJ22
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM09
2G059MM10
2H052AB06
2H052AC04
2H052AC05
2H052AC34
2H052AF14
2H087KA01
2H087KA09
2H087KA12
2H087KA15
2H087LA23
2H087RA44
(57)【要約】
本発明は、像面強度情報収集システムを形成するように順次配置されたイメージングコンポーネント及び二次元アレイ検出器、空間フーリエスペクトル強度情報収集システムを形成するように順次配置されたイメージングコンポーネント、フーリエ変換レンズ及び二次元アレイ検出器、並びに検出器に通信可能に接続された演算プロセッサを含む、全光場イメージングカメラを提供し、イメージングコンポーネントは、測定しょうとする対象物体からの照明光を受光してイメージング光を形成し、イメージング光は、検出器の検出面上にイメージングされて第1の像面を形成し、イメージング光は、フーリエ変換レンズの前でイメージングされて第2の像面を形成し、フーリエ変換レンズの後の焦点面上の検出器の検出面上には、空間フーリエスペクトル強度情報面が形成される。本発明は、対応するイメージング方法及び全光場イメージング装置をさらに提供する。本発明の全光場イメージングカメラは、高いサンプリングレート要件、冗長な情報を取得するためのオーバーラップの必要性、遅いアルゴリズム収束等の既存の位相イメージング技術の問題を解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全光場イメージングカメラであつて、
像面強度情報収集システムを形成するように光路の方向に沿って順次配置されたイメージングコンポーネント及び第1の二次元アレイ検出器、空間フーリエスペクトル強度情報収集システムを形成するように光路の方向に沿って順次配置された前記イメージングコンポーネント、フーリエ変換レンズ及び第2の二次元アレイ検出器、並びに第1の二次元アレイ検出器及び第2の二次元アレイ検出器に通信可能に接続された演算プロセッサを含み、前記イメージングコンポーネントは、測定しょうとする対象物体からの照明光を受光して、測定しょうとする対象物体のイメージング光を提供するように構成され、前記イメージング光は、第1の二次元アレイ検出器の検出面上にイメージングされて第1の像面を形成し、前記イメージング光は、フーリエ変換レンズの前の既知の距離の位置にイメージングされて第2の像面を形成し、フーリエ変換レンズの後の焦点面上の第2の二次元アレイ検出器の検出面に空間フーリエスペクトル面を形成することを特徴とする、前記全光場イメージングカメラ。
【請求項2】
前記イメージングコンポーネントの数は、一つであり、前記イメージングコンポーネントとフーリエ変換レンズとの間には、ビームスプリッタが設置されるか、又は前記イメージングコンポーネントの数は、二つであり、二つのイメージングコンポーネントの前には、ビームスプリッタが設置され、
且つ第1の像面及び第2の像面のうちの一つは、前記イメージング光の直接イメージングによって形成され、もう一つは、イメージング光が前記ビームスプリッタによって反射された後にイメージングして形成され、第1の像面及び第2の像面は、同じ情報を表わす異なる位置にある像面であり、第2の像面にあるイメージング光は、フーリエ変換レンズによって変換された後に空間フーリエスペクトル面を形成することを特徴とする
請求項1に記載の全光場イメージングカメラ。
【請求項3】
前記第1の二次元アレイ検出器及び第2の二次元アレイ検出器は、二つの異なる二次元アレイ検出器であり、第1の像面強度情報及び空間フーリエスペクトル面強度情報をそれぞれ同時に検出するか、又は光路に沿って移動できる同じ二次元アレイ検出器であり、前記フーリエ変換レンズは、移動可能であり、二次元アレイ検出器の移動及びフーリエ変換レンズの光路への移入及び移出により、像面強度情報収集システムと空間フーリエスペクトル強度情報収集システムとの間で切り替えることを特徴とする
請求項1に記載の全光場イメージングカメラ。
【請求項4】
前記演算プロセッサは、前記像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を受信し、前記像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報をフーリエ反復演算の制約条件として、複数回のフーリエ反復演算により、測定しょうとする対象物体の振幅空間分布情報及び位相空間分布情報を取得し、全光場イメージングを実現する段階S1を実行するように構成され、前記フーリエ反復演算の方法は、Gerchberg-Saxtonアルゴリズム、Hybrid input-outputアルゴリズムまたはYang-Guアルゴリズムを含むことを特徴とする
請求項1に記載の全光場イメージングカメラ。
【請求項5】
前記イメージング光は、フーリエ変換レンズの前の焦点面上でイメージングされることを特徴とする
請求項1に記載の全光場イメージングカメラ。
【請求項6】
全光場イメージングカメラのイメージング方法であって、
照明光が測定しょうとする対象物体を照射した後にイメージングコンポーネントを通過して測定しょうとする対象物体のイメージング光を形成するように、イメージングコンポーネントを提供し、前記イメージング光のイメージングによって形成される第1の像面に第1の二次元アレイ検出器の検出面を配置し、第2の像面から既知の距離にある位置にフーリエ変換レンズを配置し、フーリエ変換レンズの後の焦点面に第2の二次元アレイ検出器を配置し、第1の二次元アレイ検出器及び第2の二次元アレイ検出器により、収集して測定しょうとする対象物体の像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を取得する段階S1’と、
段階S1’で取得した測定しょうとする対象物体の像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を演算プロセッサにアップロードし、前記演算プロセッサを用いて、前記像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報をフーリエ反復演算の制約条件として、複数回のフーリエ反復演算により、測定しょうとする対象物体の振幅空間分布情報及び位相空間分布情報を取得し、全光場イメージングを実現する段階S1を実行する段階S2’とを含むことを特徴とする、前記全光場イメージングカメラのイメージング方法。
【請求項7】
前記段階S1’は、前記イメージングコンポーネントの数は、一つであり、イメージングコンポーネントと第1の二次元アレイ検出器との間にはビームスプリッタが配置されるか、又は前記イメージングコンポーネントの数は、二つであり、二つのイメージングコンポーネントの前には、ビームスプリッタが設置される段階をさらに含み、これにより、第1の像面は、前記イメージング光の直接イメージングによって形成され、第2の像面は、イメージング光が前記ビームスプリッタによって反射された後にイメージングすることによって形成されることを特徴とする
請求項6に記載の全光場イメージングカメラのイメージング方法。
【請求項8】
前記照明光は、コヒーレント光又はコヒーレンス度が既知の部分コヒーレント光であり、部分コヒーレント光は、準単色の基準を満たすことを特徴とする
請求項6に記載の全光場イメージングカメラのイメージング方法。
【請求項9】
全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置であって、
同一光軸上にあるレーザー、測定しょうとする対象物体及びイメージングレンズ群、並びに請求項1~5のいずれか1項に記載の全光場イメージングカメラを含み、前記イメージングレンズ群は、一つのイメージング対物レンズ、又は一つのイメージング対物レンズ及び一つのイメージングレンズであり、前記測定しょうとする対象物体は、イメージングレンズ群のイメージング対物レンズの焦点面上に位置することを特徴とする、前記全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載の全光場イメージングカメラを含み、
前記全光場イメージング装置は、顕微鏡、カメラ、又は望遠鏡及びリモートセンシング装置であり、前記全光場イメージングカメラのイメージングコンポーネントは、前記顕微鏡対物レンズに対応するイメージングレンズコンポーネント、前記カメラに対応する写真レンズコンポーネント、又は望遠鏡及びリモートセンシング装置に対応する望遠鏡及びリモートセンシングイメージングコンポーネントを含むことを特徴とする、前記全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージング分野に関し、より具体的には、全光場イメージングカメラ及びそのイメージング方法、並びに全光場イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージングプロセスにおいて、物体の位相情報は、物体の強度情報よりも重要な役割を果たすことがよくある。しかし、実際のイメージングにおいて、イメージング検出器は、画像の強度情報のみを検出でき、対応する位相情報は、失われるため、イメージングでは画像内の重要な位相情報を失われる。画像の位相情報を復元するために、位相イメージング方法は、ここ数年で大きく発展し、主に次のカテゴリを含む。
【0003】
一つ目の方法は、コヒーレント回折イメージング技術(CDI)であり、当該技術は、コヒーレント光でサンプルを照明し、サンプルからの光が遠方場に回折され、遠方場に当該物体の空間フーリエスペクトル強度分布を形成し、収集空間フーリエスペクトル強度分布を制約として収集することにより、オーバーサンプリング及びフーリエ反復演算等の方法により、物体の振幅及び位相情報を取得し、物体イメージングを実現する。
【0004】
二つ目の方法は、フーリエプチキソグラフィイメージング技術(FPM)であり、当該技術は、様々な角度からサンプルを照射することで、顕微鏡イメージングシステムによって収集される。光の各角度は、一つの異なる実像面強度分布に対応し、検出されたこれらのオーバーラップ実像面強度分布を制約条件として使用し、フーリエ反復演算により振幅及び位相情報を復元することで、物体のイメージングを実現する。
【0005】
三つ目の方法は、ホログラフィーであり、当該技術は、参照光を導入し、物体を通過した回折光と参照光を干渉させてホログラムを取得し、この場合、干渉縞のコントラスト及び形状(又は位置)情報は、それぞれ物体の波面振幅及び位相の情報を含み、ホログラムの波面を再生することで、物体の振幅及び位相情報を取得し、物体の鮮明なイメージングを実現する。
【0006】
位相情報は、実際の画像収集プロセスで失われるため、位相を復元する過程で制約条件として追加情報が必要となるが、上記方法でも、位相を解決することで、物体の画像を復元することができる。しかし、それぞれに、異なる欠点があり、主に次の点に反映される。
【0007】
1.一つ目の方法は、高いサンプリング要件を必要とし、空間フーリエスペクトル面の部分情報しか検出できないため、位相情報を得るには十分ではなく、十分な制約をえるにはサンプリングを向上させて冗長な情報量を作る必要があるため、オーバーサンプリングが必要となり、アルゴリズムが収束しない原因になりやすい。
【0008】
2.二つ目の方法も、情報の冗長量が要求されるが、実像面の部分情報しか検出されないため、位相情報を解くだけでは不十分であり、十分な制約を得るために、このような方法は、隣接する二つの角度ごとのフーリエ空間スペクトル分布に対するある程度の重複検出が達成できるため、情報の冗長性が高く、イメージング時間か短縮される。
【0009】
3.三つの方法は、回折光を干渉させるために追加の参照光を導入する必要があり、光路が比較的に複雑になり、安定性の要求が高くなり、同時にホログラフィーによって位相を解く過程で,共役像等の問題が発生し、アルゴリズムが収束できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、全光場イメージングカメラ及びそのイメージング方法、並びに全光場イメージング装置を提供することで、高いサンプリングレート要件、冗長な情報を取得するためのオーバーラップの必要性、遅いアルゴリズム収束等の既存の位相イメージング技術の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、全光場イメージングカメラを提供し、像面強度情報収集システムを形成するように光路の方向に沿って順次配置されたイメージングコンポーネント及び第1の二次元アレイ検出器、空間フーリエスペクトル強度情報収集システムを形成するように光路の方向に沿って順次配置された前記イメージングコンポーネント、フーリエ変換レンズ及び第2の二次元アレイ検出器、並びに第1の二次元アレイ検出器及び第2の二次元アレイ検出器に通信可能に接続された演算プロセッサを含み、前記イメージングコンポーネントは、測定しょうとする対象物体からの照明光を受光して、測定しょうとする対象物体のイメージング光を提供するように構成され、前記イメージング光は、第1の二次元アレイ検出器の検出面上にイメージングされて第1の像面を形成し、前記イメージング光は、フーリエ変換レンズの前の既知の距離の位置にイメージングされて第2の像面を形成し、フーリエ変換レンズの後の焦点面上の第2の二次元アレイ検出器の検出面に空間フーリエスペクトル面を形成する。
【0012】
好ましくは、前記イメージングコンポーネントの数は、一つであり、前記イメージングコンポーネントとフーリエ変換レンズとの間には、ビームスプリッタが設置されるか、又は前記イメージングコンポーネントの数は、二つであり、二つのイメージングコンポーネントの前には、ビームスプリッタが設置され、第1の像面及び第2の像面のうちの一つは、前記イメージング光の直接イメージングによって形成され、もう一つは、イメージング光が前記ビームスプリッタによって反射された後にイメージングして形成され、前記第1の二次元アレイ検出器及び第2の二次元アレイ検出器は、二つの二次元アレイ検出器、又は同一の移動可能な二次元アレイ検出器である。
【0013】
好ましくは、前記第1の二次元アレイ検出器及び第2の二次元アレイ検出器は、それぞれ第1の像面強度情報及び空間フーリエスペクトル面強度情報を検出する二つの異なる二次元アレイ検出器であるか、又は光路に沿って移動できる同じ二次元アレイ検出器であり、この場合、前記フーリエ変換レンズは、移動可能であり、二次元アレイ検出器の移動及びフーリエ変換レンズの光路への移入及び移出により、像面強度情報収集システムと空間フーリエスペクトル強度情報収集システムとの間で切り替える。
【0014】
好ましくは、前記演算プロセッサは、前記像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を受信し、前記像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報をフーリエ反復演算の制約条件として、複数回のフーリエ反復演算により、測定しょうとする対象物体の振幅空間分布情報及び位相空間分布情報を取得し、全光場イメージングを実現する段階S1を実行するように構成され、前記フーリエ反復演算の方法は、Gerchberg-Saxtonアルゴリズム、Hybrid input-outputアルゴリズム及びYang-Guアルゴリズムを含むが、これらに限定されない。
【0015】
前記イメージング光は、フーリエ変換レンズの前の焦点面上でイメージングされる。
【0016】
別の態様において、本発明は、以下を含む全光場イメージングカメラのイメージング方法を提供する。
【0017】
照明光が測定しょうとする対象物体を照射した後にイメージングコンポーネントを通過して測定しょうとする対象物体のイメージング光を形成するように、イメージングコンポーネントを提供し、前記イメージング光のイメージングによって形成される第1の像面に第1の二次元アレイ検出器の検出面を配置し、第2の像面から既知の距離にある位置にフーリエ変換レンズを配置し、フーリエ変換レンズの後の焦点面に第2の二次元アレイ検出器を配置し、第1の二次元アレイ検出器及び第2の二次元アレイ検出器により、収集して測定しょうとする対象物体の像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を取得する段階S1’;
【0018】
段階S1’で取得した測定しょうとする対象物体の像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を演算プロセッサにアップロードし、前記演算プロセッサを用いて、前記像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報をフーリエ反復演算の制約条件として、複数回のフーリエ反復演算により、測定しょうとする対象物体の振幅空間分布情報及び位相空間分布情報を取得し、全光場イメージングを実現する段階S1を実行する段階S2’。
【0019】
好ましくは、前記段階S1’は、前記イメージングコンポーネントの数は、一つであり、イメージングコンポーネントと第1の二次元アレイ検出器との間にはビームスプリッタが配置されるか、又は前記イメージングコンポーネントの数は、二つであり、二つのイメージングコンポーネントの前には、ビームスプリッタが設置される段階をさらに含み、これにより、第1の像面は、前記イメージング光の直接イメージングによって形成され、第2の像面は、イメージング光が前記ビームスプリッタによって反射された後にイメージングすることによって形成される。
【0020】
好ましくは、前記照明光は、コヒーレント光又はコヒーレンス度が既知の部分コヒーレント光であり、部分コヒーレント光は、準単色の基準を満たす。
【0021】
別の態様において、本発明は、同一光軸上にあるレーザー、測定しょうとする対象物体及びイメージングレンズ群、並びに上記の全光場イメージングカメラを含む、全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置を提供する。前記イメージングレンズ群は、一つのイメージング対物レンズ、又は一つのイメージング対物レンズ及び1个イメージングレンズであり、前記測定しょうとする対象物体は、イメージングレンズ群のイメージング対物レンズの焦点面上に位置する。
【0022】
別の態様において、全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置であって、上記の全光場イメージングカメラを含み、前記全光場イメージング装置は、顕微鏡、カメラ、又は望遠鏡及びリモートセンシング装置であり、前記全光場イメージングカメラのイメージングコンポーネントは、前記顕微鏡対物レンズに対応するイメージングレンズコンポーネント、前記カメラに対応する写真レンズコンポーネント、又は望遠鏡及びリモートセンシング装置に対応する望遠鏡及びリモートセンシングイメージングコンポーネントを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明によって提供される全光場イメージングカメラの実現方法及び装置は、像面の強度分布、空間フーリエスペクトル強度分布、及びレンズ変換を制約条件として使用し、フーリエ反復演算によりイメージング物体振幅及び位相を取得し、全光場イメージングを実現するため、既存の位相イメージング及びその装置と比較して、次のような利点を有する。
【0024】
既存の位相イメージング方法は、位相を制約として解決するために、オーバーサンプリングか参照光かにかかわらず、制約条件として追加情報が必要になることがよくある。本発明は、二つの像面によって実際に検出された情報を使用することによって、従来の方法の光路設計を簡素化し、デュアル像面の制約を通じて、位相を解決するのに十分な情報を取得できるため、サンプリング要件が軽減される同時に実験の難易度が簡素化される。
【0025】
既存の方法は、制約条件の情報が不十分であるため、演算結果が収束できないか、又は最適解に収束できないことが多い。この方法で制約条件として使用する情報は、すべて実際に検出されるため、情報がより正確になり、フーリエ反復演算の収束速度をより速く、収束をより正確にすることができる。
【0026】
従って、本発明の全光場イメージングカメラの実現方法及び装置は、検出器のサンプリング要件を効果的に低減し、光路を簡素化し、イメージング情報量を改善する等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る全光場イメージングカメラの構造概略図である。
【0028】
【
図2】本発明の第3の実施例に係る全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置の構造概略図であり、前記全光場イメージング装置は、すりガラスの全光場イメージングを実現するために使用される。
【0029】
【
図3】本発明の第4の実施例に係る全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置の構造概略図であり、前記全光場イメージング装置は、顕微鏡イメージング分野で使用される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、特定の具体的な例を挙げて本発明の実施形態を説明するが、当業者であれば本明細書に開示された内容から本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。本発明は、別の異なる具体的な実施形態を通じて実施又は応用することができ、本明細書における様々な詳細は、本発明の精神から逸脱することなく、異なる観点及び適用に基づいて様々な修飾又は変更を行うことができる。矛盾しない場合、以下の実施例及び実施例における特徴を相互に組み合わせることができる。
【0031】
なお、以下の実施例によって提供される図は、本発明の基本的な概念を模式的に示したものであり、図面は、本発明に関係するコンポーネントのみを示したものであり、実際の実施に際してコンポーネントの数、形状、大きさ等に応じて描かれたものではなく、その実際の実施に際して各コンポーネントの形態、数及び比率は、自由に変更でき、そのコンポーネントの配置も、より複雑になる場合がある。
【0032】
第1の実施例.全光場イメージングカメラ
【0033】
図1は、本発明の一実施例に係る全光場イメージングカメラの構造概略図を示す。
【0034】
図1に示されるように、本実施例において、前記全光場イメージングカメラは、光路の方向に沿って第1の光軸上に順次配置されたイメージングコンポーネント1、ビームスプリッタ2、第1の二次元アレイ検出器3、第1の光軸と直交する第2の光軸上に光路の方向に沿って順次配置された前記ビームスプリッタ2、焦点距離fのフーリエ変換レンズ4及び第2の二次元アレイ検出器5、並びに第1の二次元アレイ検出器3及び第2の二次元アレイ検出器5の両方と通信可能に接続された演算プロセッサ6を含む。
【0035】
前記イメージングコンポーネント1は、測定しょうとする対象物体の下流に配置され、測定しょうとする対象物体からの照明光を受光して、測定しょうとする対象物体のイメージング光を提供するように構成され、前記イメージング光は、第1の二次元アレイ検出器3の検出面上にイメージングして直接第1の像面7を形成して、第1の二次元アレイ検出器3の検出面上の光強分布が像面強度分布に対応し、これにより、光路の方向に沿って順次配置された前記イメージングコンポーネント1、第1の二次元アレイ検出器3は、像面強度情報収集システムを構成し、第1の二次元アレイ検出器3は、像面強度情報を収集する。
【0036】
ここで、照明光は、コヒーレント光照明又は既知のコヒーレンス度の部分コヒーレント光を使用することができ、部分コヒーレント光のコヒーレンス度は、準単色の基準を満たし、即ち、λ/Δλ>Mである(λは、部分コヒーレント光の波長であり、Δλは、部分コヒーレント光の波長誤差範囲であり、Mは、一方向での第1の二次元アレイ検出器3及び第2の二次元アレイ検出器5の画素数である)。
【0037】
前記イメージング光は、前記ビームスプリッタ2によって反射された後にフーリエ変換レンズ4の前の焦点面上にイメージングして第2の像面8を形成し(即ち、ち、第2の像面8とフーリエ変換レンズ4との距離は、フーリエ変換レンズ4の焦点距離fである)、フーリエ変換レンズ4と第2の二次元アレイ検出器5との距離は、フーリエ変換レンズ4の焦点距離fであるため、第2の二次元アレイ検出器5の検出面上の光強分布は、空間フーリエスペクトル強度情報分布に対応する。別の実施例において、第2の像面8とフーリエ変換レンズ4との間の距離がフーリエ変換レンズ4の焦点距離fではないが第2の像面8とフーリエ変換レンズ4との間の距離が既知である状況もあり得る。これにより、光路の方向に沿って順次配置された前記イメージングコンポーネント1、ビームスプリッタ2、フーリエ変換レンズ4及び第2の二次元アレイ検出器5は、空間フーリエスペクトル強度情報収集システムを構成し、第2の二次元アレイ検出器5は、空間フーリエスペクトル強度情報を取得する。
【0038】
第1の二次元アレイ検出器3及び第2の二次元アレイ検出器5は、受光素子を有し、受光素子の光電変換特性により、その検出面上の光強(即ち、光波の振幅の二乗情報)を電気信号に変換するように構成され、前記検出面上の光強は、前記像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報である(グレイスケール値の画像として表現される)。変換された電気信号自体は、無次元であり、検出面上の光強自体の単位は、W/cm2であるため、像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報の単位は、W/cm2である。具体的には、検出された像面強度情報は、f(x0,y0)で表され、空間フーリエスペクトル強度情報は、F(u0,v0)で表され、ここで、x0,y0は、第1の二次元アレイ検出器3の検出面の座標、即ち実像空間の座標を表わし、u0,v0は、第2の二次元アレイ検出器5の検出面の座標、即ち空間フーリエ周波数領域の座標を表わし、f(x0,y0)及びF(u0,v0)の関数値は、それぞれ第1の二次元アレイ検出器3及び第2の二次元アレイ検出器5によって検出された光強の大きさ(即ち、光振幅の二乗)である。
【0039】
前記第1の二次元アレイ検出器3及び第2の二次元アレイ検出器5は、高サンプリングレートCCD、EMCCD、CMOS又はsCMOSを採用することができる。
【0040】
本実施例において、第1の像面7は、前記イメージング光の直接イメージングによって形成され、第2の像面8は、イメージング光が前記ビームスプリッタ2によって反射された後にイメージングすることにより形成される。第1の二次元アレイ検出器3及び第2の二次元アレイ検出器5は、二つの異なる二次元アレイ検出器を使用し、二つの二次元アレイ検出器を通じてそれぞれ像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を取得する。
【0041】
別の実施例において、第1の像面7及び第2の像面8のうちの一つは、前記イメージング光の直接イメージングによって形成され、もう一つは、イメージング光が前記ビームスプリッタ2によって反射された後にイメージングすることにより形成され、第1の像面7及び第2の像面8は、同じ情報を表わすが異なる位置にある像面である。第2の像面8におけるイメージング光がフーリエ変換レンズ4によって変換された後に空間フーリエスペクトル面を形成する。第1の二次元アレイ検出器3及び第2の二次元アレイ検出器5は、異なる光路に移動可能な同一の二次元アレイ検出器であり得、即ち、同じ二次元アレイ検出器の位置を移動させることで第1の二次元アレイ検出器3及び第2の二次元アレイ検出器5として連続して使用することにより、同じ二次元アレイ検出器を第1の二次元アレイ検出器3として使用する場合には像面強度情報を取得し、第2の二次元アレイ検出器5として使用する場合には空間フーリエスペクトル強度情報を取得する。
【0042】
別の実施例において、ビームスプリッタ2は、イメージングコンポーネント1の前に配置することができ、即ち、ビームスプリッタ2の数は、一つであり、イメージングコンポーネント1の数は、二つであり、測定しょうとする対象物体からの照明光がビームスプリッタを通過して二つの照明光に分割された後、第1の个イメージングコンポーネントは、そのうちの一つの照明光を受光し且つ対応するイメージング光を提供し、前記イメージング光は、第1の二次元アレイ検出器の検出面上にイメージングされて第1の像面を形成し、第2の个イメージングコンポーネントは、別の路照明を受光し且つ対応するイメージング光を提供し、前記イメージング光は、フーリエ変換レンズの前の既知の距離の位置にイメージングされて第2の像面を形成し、フーリエ変換レンズの後の焦点面上の第2の二次元アレイ検出器の検出面に空間フーリエスペクトル面を形成する。この場合、第1の像面は、前記イメージング光の直接イメージングによって形成され、第2の像面は、イメージング光が前記ビームスプリッタによって反射された後にイメージングすることによって形成され、第1の像面及び第2の像面は、同じ情報を表わすが異なる位置にある像面であり、第2の像面にあるイメージング光は、フーリエ変換レンズによって変換された後に空間フーリエスペクトル面を形成するという条件を満たす。
【0043】
別の実施例において、ビームスプリッタ2は、省略可能であり、即ち、第1の像面及び第2の像面の両方は、前記イメージング光の直接イメージングによって形成され、同じ位置にある同じ像面であり、第1の二次元アレイ検出器及び第2の二次元アレイ検出器は、光路に移入及び移出できる二つの異なる二次元アレイ検出器であってもよく、光路に沿って移動できる同じ二次元アレイ検出器であってもよく、このようなビームスプリッタを省略する場合、前記フーリエ変換レンズは、移動可能であり(即ち、光路に移入及び移出できる)、これにより、異なる二次元アレイ検出器の移入光路及び移出光路、又は同じ二次元アレイ検出器の光路に沿う前後の移動並びにフーリエ変換レンズの移入光路及び移出光路を通じて、像面強度情報収集システムと空間フーリエスペクトル強度情報収集システムとの間を切り替える。
【0044】
前記イメージングコンポーネント1は、全光場イメージングカメラ外部の顕微鏡対物レンズに対応するイメージングレンズコンポーネント、写真レンズコンポーネント、並びに望遠鏡及びリモートセンシングイメージングレンズコンポーネント等を含むが、これらに限定されない。
【0045】
前記ビームスプリッタ2は、1:1光ビームスプリッタ、及び固定ビーム比率を有する他の光ビームスプリッタを含むが、これらに限定されない。
【0046】
前記フーリエ変換レンズ4は、検出スペクトル範囲内の色消し複合レンズを使用することができ、無色収差の凹面鏡及び楕円面鏡を使用することができる。フーリエ変換レンズ4の口径Dは、画像に含まれる空間スペクトルを切断せず、その焦点距離fは、像面及び空間フーリエスペクトル強度情報面のサンプリング要件、即ち、f=Δx1Δx2N/λを満たし、ここで、λは、照明光の波長であり、Δx1は、第1の二次元アレイ検出器3のサンプリング間隔であり、Δx2は、第2の二次元アレイ検出器5のサンプリング間隔であり、Nは、サンプリング点数である。
【0047】
前記演算プロセッサ6は、コンピューター又は内臓内のフーリエ反復プロセッサ等を使用することができる。
【0048】
前記演算プロセッサ6は、前記像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を受信し、次のような段階S1を実行するように構成される。
【0049】
前記像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報をフーリエ反復演算の制約条件として、複数回のフーリエ反復演算により、測定しょうとする対象物体の振幅空間分布情報及び位相空間分布情報を取得し、全光場イメージングを実現する。
【0050】
これにより、本発明は、フーリエ反復演算を通じて位相を復元する既存の技術に基づいて、像面強度情報収集システム及び空間フーリエスペクトル強度情報収集システムの光路構造により、像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を同時に提供し、それにより全光場カメラを実現する。
【0051】
ここで、取得した全光場イメージングのイメージング結果は、フーリエ反復演算によって取得した測定しょうとする対象物体の振幅空間分布情報及び位相空間分布情報である。当該イメージング結果は、波動関数として表現することも、グレイスケール値を含む復元によって取得した画像として表現することもでき、振幅空間分布及び位相空間分布は、画像上の各画素グリッドのグレイスケール値として復元によって取得した画像に反映される。
【0052】
ここで、フーリエ反復演算の方法は、1.Gerchberg-Saxton(GS)アルゴリズム、2.Hybrid input-output(HIO)アルゴリズム、3.Yang-Gu(Y-G)アルゴリズム等のいくつかのフーリエ反復位相復元アルゴリズムを含むが、これらに限定されない。具体的には、文献[Gerchberg R W、O. A S W . A practical algorithm for the determination of phase from image and diffraction plane pictures[J]. Optik、1972、35:237-250]、[Fienup J R . Reconstruction of an object from modulus of its Fourier transform[J]. Optics Letters、1978、3(1):27-29]、[Guozhen Yang、Benyuan Gu、光学システムにおける振幅及び位相の復元問題[J].Acta Physica Sinica、1981、30(3):410-413]。
【0053】
対応的に、フーリエ反復演算の制約条件の種類は、強度制約条件、非負制約条件、空間境界制約条件等を含むが、これらに限定されない。
【0054】
以下、Gerchberg-Saxton(GS)アルゴリズム及び強度制約条件を例として、段階S1の具体的な段階を具体的に説明する。
【0055】
前記段階S1は、具体的には、検出された像面強度情報f(x0,y0)及び空間フーリエスペクトル強度情報F(u0,v0)に従って、次のような反復演算を実行することを含む。
【0056】
段階S11:現在の反復ラウンド数kを0に初期化し、検出された像面強度分布f(x0,y0)に一つの反復ラウンド数0の像面位相値φ(0)をランダムに割り当てて、現在の反復ラウンド数の像面強度分布の複数形態f(x0,y0)eiφ(0)を取得する。
【0057】
段階S12:現在の反復ラウンド数の像面強度分布の複数形態f(x0,y0)eiφ(k)に対してフーリエ変換を実行して、現在の反復ラウンド数の空間フーリエスペクトル変換結果F(k)(u0,v0)eiΦ(k)を取得し、ここで、Φ(k)は、現在の反復ラウンド数の像面位相値のスペクトル変換結果である。
【0058】
段階S13:検出された空間フーリエスペクトル強度情報F(u0,v0)で当該空間フーリエスペクトル変換結果F(k)(u0,v0)eiΦ(k)のベース部分を置き換えて、現在の反復ラウンド数の空間フーリエスペクトル分布の複数形態F(u0,v0)eiΦ(k)を取得する。
【0059】
段階S14:現在の反復ラウンド数の空間フーリエスペクトル分布の複数形態F(u0,v0)eiΦ(k)に対してフーリエ逆変換を実行して、現在の反復ラウンド数の次の段階の像面強度分布変換結果f(k)(x0,y0)eiφ(k)を取得する。
【0060】
段階S15:検出された像面強度情報f(x0,y0)を現在の反復ラウンド数の次の段階の像面強度分布変換結果f(k)(x0,y0)eiφ(k+1)のベース部分に置き換えて、現在の反復ラウンド数の次の段階の像面強度分布の複数形態f(x0,y0)eiφ(k+1)を取得する。
【0061】
段階S16:現在の反復ラウンド数の次の段階k+1を新しい現在の当前反復ラウンド数kとして取り、アルゴリズムが収束するまで上記段階S12から段階S15を繰り返し、この場合、現在の反復ラウンドの次のラウンドの像面強度分布の複数形態f(x0,y0)eiφ(k+1)及び現在の反復ラウンド数の空間フーリエスペクトル分布の複数形態F(u0,v0)eiΦ(k)は、最終的に復元された実像面の複素振幅f(x0,y0)eiφ及び空間フーリエスペクトル強度情報面の複素振幅F(u0,v0)eiΦを取得する。
【0062】
ここで、k回目の反復後、現在の反復ラウンド数k及び前の段階の空間フーリエスペクトルの複数形態分布が式|F(k)(u0,v0)|=|F(k-1)(u0,v0)|を満たす場合、アルゴリズムは、収束したと見なす。
【0063】
段階S17:最終的に復元した実像面の複素振幅f(x0,y0)eiφ及び空間フーリエスペクトル強度情報面の複素振幅F(u0,v0)eiΦに従って、測定しょうとする対象物体の振幅空間分布情報及び位相空間分布情報を決定する。
【0064】
これにより、本実施例において、段階S13において、本発明は、検出された空間フーリエスペクトル面の強度を制約条件として使用し、段階S15では、検出された実像面の強度を強度制約条件とし、二つの面の強度情報を強度制約条件として使用して、演算結果を画像制約の条件に近似させ、これにより、結果は、実像面及び空間フーリエスペクトル強度情報面の両方の強度制約を満たし、失われた位相情報が確実に計算されるようになる。
【0065】
本発明によって提供される上記段階S11~段階S16は、次のような動作原理に基づく。
【0066】
前記段階S1において、二次元アレイ検出器は、サンプリング定理に従って、測定しょうとする対象物体の空間フーリエスペクトル強度情報面上の空間フーリエスペクトル強度情報を取得し、サンプリング定理に従って、次のような式を得ることができる。
【0067】
【0068】
ここで、u、vは、空間フーリエスペクトル強度情報面の座標を表わし、Φは、空間フーリエスペクトル強度情報面の光波の位相情報を表わし、Lx,Lyは、x方向及びy方向に広がる実像面領域のサイズを表わし、n、mは、サンプリングの各画素グリッド位置を表わし、sinc関数は、直交関数のフーリエ変換である。
【0069】
前記段階S2において、二次元アレイ検出器は、サンプリング定理に従って、測定しょうとする対象物体の像面強度情報を取得し、サンプリング定理に従って、次のような式を得ることができる。
【0070】
【0071】
ここで、x、yは、実像面の座標を表わし、φは、実像面の光波の位相情報を表わし、Bx,Byは、x方向及びy方向に広がる測定しょうとする対象物体の最高周波数を表わし、n、mは、サンプリングの各画素グリッド位置を表わし、sinc関数は、直交関数のフーリエ変換である。
【0072】
両者は、フーリエ変換によって組み合わせることができ、既知のnこの強度情報を既知の制約条件として、上記の段階S11~段階S16を通じて上記の二つの方程式を解くことにより、実像面の複素振幅f(x0,y0)eiφ及び空間フーリエスペクトル強度情報面の複素振幅F(u0,v0)eiΦ、即ち、未知の位相情報φ、Φを取得することができる。
【0073】
第2の実施例.全光場イメージングカメラのイメージング方法
【0074】
上記の全光場イメージングカメラに基づいて実現される全光場イメージングカメラのイメージング方法は、具体的には、次のような段階を含む。
【0075】
段階S1’:照明光が測定しょうとする対象物体に照射した後にイメージングコンポーネント1を通過して測定しょうとする対象物体のイメージング光を形成するように、イメージングコンポーネント1を提供し、第1の二次元アレイ検出器3の検出面を前記イメージング光によって形成される第1の像面7に配置するか、又はフーリエ変換レンズ4を第2の像面8から既知の距離にある位置に配置し(例えば、フーリエ変換レンズ4を、その前の焦点面が前記イメージング光によって形成される第2の像面8に位置するように、即ち、フーリエ変換レンズ4と第2の像面8との距離がフーリエ変換レンズ4の焦点距離と等しくなるように配置することができる)、第2の二次元アレイ検出器5をフーリエ変換レンズ4の後の焦点面に配置し、第1の二次元アレイ検出器3及び第2の二次元アレイ検出器5により、測定しょうとする対象物体の像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を収集する。
【0076】
本実施例において、前記段階S1’は、前記イメージングコンポーネント1の数は、一つであり、イメージングコンポーネント1と第1の二次元アレイ検出器3との間にはビームスプリッタ2を配置して、第1の像面7が、前記イメージング光の直接イメージングによって形成される段階を含み、第2の像面8は、イメージング光が前記ビームスプリッタ2によって反射された後にイメージングによって形成され、第1の像面7及び第2の像面8は、同じ情報を表わすが異なる位置にある像面であり、第2の像面8でのイメージング光は、フーリエ変換レンズによって変換された後に空間フーリエスペクトル面を形成する。
【0077】
別の実施例において、前記段階S1’は、前記イメージングコンポーネント1の数は、二つであり、二つのイメージングコンポーネント1の前には、ビームスプリッタ2が設置される段階を含み、これにより、測定しょうとする対象物体からの照明光がビームスプリッタを通過し且つ二つの照明光に分割された後、第1の个イメージングコンポーネントは、そのうちの一つの照明光を受光し且つ対応するイメージング光を提供し、前記イメージング光は、第1の二次元アレイ検出器の検出面上にイメージングされて第1の像面を形成し、第2の个イメージングコンポーネントは、別の照明光を受光し且つ対応するイメージング光を提供し、前記イメージング光は、フーリエ変換レンズの前の既知の距離の位置にイメージングされて第2の像面を形成し、フーリエ変換レンズの後の焦点面上の第2の二次元アレイ検出器の検出面に空間フーリエスペクトル面を形成する。この場合、第1の像面は、前記イメージング光の直接イメージングによって形成され、第2の像面は、イメージング光が前記ビームスプリッタによって反射された後にイメージングによって形成され、第1の像面及び第2の像面は、同じ情報を表わすが異なる位置にある像面であり、第2の像面にあるイメージング光は、フーリエ変換レンズによって変換された後に空間フーリエスペクトル面を形成する。
【0078】
別の実施例において、ビームスプリッタ2は、省略可能であり、即ち、第1の像面及び第2の像面の両方は、前記イメージング光の直接イメージングによって形成され、同じ位置にある同一像面であり、第1の二次元アレイ検出器及び第2の二次元アレイ検出器は、光路に移入及び移出できる二つの異なる光路の二次元アレイ検出器であってもよく、光路に沿って移動できる同じ二次元アレイ検出器であってもよく、このようなビームスプリッタを省略する場合、前記フーリエ変換レンズは、移動可能であり(即ち、光路に移入及び移出できる)、これにより、異なる二次元アレイ検出器の移入光路及び移出光路、又は同じ二次元アレイ検出器の光路に沿う前後の移動並びにフーリエ変換レンズの移入光路及び移出光路を通じて、像面強度情報収集システムと空間フーリエスペクトル強度情報収集システムとの間を切り替える。
【0079】
段階S2’:段階S1’で取得した測定しょうとする対象物体の像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報を演算プロセッサ6にアップロードし、前記演算プロセッサ6を利用して、次のような段階を実行し、前記像面強度情報及び空間フーリエスペクトル強度情報をフーリエ反復演算の制約条件として、複数回のフーリエ反復演算により、測定しょうとする対象物体の振幅空間分布情報及び位相空間分布情報を取得し、全光場イメージングを実現する。
【0080】
前記段階S1の具体的な内容は、上述したとおりである。
【0081】
第3の実施例.全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置
【0082】
図2に示されるように、本発明の第3の実施例に係る全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置は、全光場イメージングカメラによるすりガラスの全光場イメージングを実現するために使用される。
図2に示されるように、前記全光場イメージング装置は、同一光軸に順次配置されたレーザー10、第1の収束レンズ20、測定しょうとする対象物体30、拡大対物レンズ40及び上述の全光場イメージングカメラ50を含み、第1の収束レンズ20及び拡大対物レンズ40は、イメージングレンズ群を構成し、両者は、それぞれイメージングレンズ群のイメージングレンズ及びイメージング対物レンズである。測定しょうとする対象物体30は、拡大対物レンズ40の焦点面上に配置される。
【0083】
これにより、レーザー光は、レーザー10によって放射された後、第1の収束レンズ20によって収束された後に測定しょうとする対象物体30に照射され、次いで、検出器のサンプリングを満たすように対物レンズ4によって拡大される。ここで、前記全光場イメージングカメラ50のイメージングコンポーネント1は、拡大対物レンズ40と組み合わせられて、全光場イメージングカメラ50のイメージング条件を満たし、すりガラスサンプルの振幅及び位相情報を取得し、全光場イメージングを実現することにより、すりガラスの表面形態を取得する。
【0084】
前記測定しょうとする対象物体30は、透明な物体であり、本実施例において、前記測定しょうとする対象物体30は、すりガラスである。
【0085】
本実施例において、レーザー10によって発射されたレーザー光の波長は、532nmである。
【0086】
本実施例において、第1の収束レンズ20と測定しょうとする対象物体30との距離は、収束レンズ20の焦点距離であり、第1の収束レンズ20の焦点距離は、50mmであり得る。
【0087】
本実施例において、拡大対物レンズ40は、10倍、0.1NAである。
【0088】
本実施例において、全光場イメージングカメラ50におけるイメージングコンポーネント1は、イメージングレンズであり、イメージングレンズの焦点距離は、拡大対物レンズ40と組み合わせて、イメージングレンズの焦点距離=拡大対物レンズの等価焦点距離×拡大倍数を満たす。本実施例において、イメージングコンポーネント1の焦点距離は、180mmである。
【0089】
本実施例において、全光場イメージングカメラ50におけるフーリエ変換レンズ4の焦点距離は、100mmであり得る。
【0090】
本実施例において、全光場イメージングカメラ5における二次元アレイ検出器は、すべて2048×2048のCMOSアレイ検出器を使用することができ、画素サイズは、6.45μm×6.45μmである。別の実施例において、サンプリング定理の計算式2NA/λ<Mag/2Δxを満たすために、画素サイズは13.3um以下の任意の数値であり得、ここで、NAは、レンズの開口数であり、λは、照明光の波長であり、Magは、レンズの拡大倍数であり、Δxは、画素サイズより大きくなければならないサンプリングサイズである。また、二次元アレイ検出器のサンプリングは、周波数領域のサンプリング定理、即ち、Δxf=λf/Sを満たす必要があり、ここで、Δxfは、サンプリング間隔の大きさであり、具体的には、検出器の各画素グリッドの大きさであり、λは、照明光の波長であり、fは、レンズの焦点距離であり、Sは、像面領域のサイズである。
【0091】
本実施例において、拡大対物レンズ40を使用して拡大する効果は、サンプリング定理に基づいて、サンプリング後のデジタル信号が元の信号中の情報を完全に保持できるように、サンプリング周波数が信号中の最高周波数の2倍より大きくなければならないことである。従って、サンプリングをより完全にし、すりガラスの位相情報をより適切に復元するには、すりガラスに対して拡大する必要がある。
【0092】
接触式プローブ検出、干渉法検出等のすりガラスの粗面を測定する従来の方法と比較して、本発明の全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置は、サンプルに接触せず、光路の実現が簡単であるという利点を有する。また、既存の的フーリエプチキソグラフィイメージング技術又はコヒーレント回折イメージング技術と比較して、空間フーリエスペクトル情報がオーバーラップ部分を有するか、又はオーバーサンプリングを通じて位相を復元するのに十分な情報を取得する必要はなく、両面イメージングにより十分な情報を取得することにより、冗長な情報を減少し、必要なデータを減少することで実験操作の難易度を軽減する。
【0093】
第4の実施例.全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置
【0094】
図3に示されるように、本発明の第4の実施例に係る全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置は、顕微鏡イメージング分野のイメージングに適用される。
図3に示されるように、前記全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置は、同一光軸上に配置されたレーザー10’、ビームスプリッタ20’、対物レンズ30’、測定しょうとする対象物体40’、及び前記ビームスプリッタ20’と位置合わせされ且つ別の光軸上に配置された全光場イメージングカメラ50’を含む。本実施例において、対物レンズ30’は、イメージングレンズ群における1个イメージング対物レンズを構成し、当該イメージングレンズ群は、一つのイメージングレンズのみを有する。前記測定しょうとする対象物体40’は、対物レンズ30’の焦点面上に位置する。
【0095】
これにより、レーザー光は、対物レンズ30’を介して測定しょうとする対象物体40’に収束され、サンプルによって発生した散射光は、対物レンズ30’により上述の全光場イメージングカメラ50’に収集されてイメージングされて、サンプルの振幅及び位相情報を取得し、顕微鏡物体サンプルの全光場イメージングを実現する。
【0096】
本実施例において、レーザー10’が発射するレーザー光の波長は、532nmである。
【0097】
本実施例において、対物レンズ30’は、100倍、0.8NAである。
【0098】
本実施例において、全光場イメージングカメラ50’におけるイメージングコンポーネント1は、イメージングレンズであり、イメージングレンズの焦点距離は、拡大対物レンズ40肉合わせて、イメージングレンズの焦点距離=拡大対物レンズの等価焦点距離×拡大倍数を満たす。本実施例において、イメージングコンポーネント1の焦点距離は、180mmである。
【0099】
本実施例において、全光場イメージングカメラ50’におけるフーリエ変換レンズ4の焦点距離は、100mmであり得る。
【0100】
本実施例において、全光場イメージングカメラ5における二次元アレイ検出器は、すべて2048×2048のCMOSアレイ検出器を使用することができ、画素サイズは、6.45μm×6.45μmである。別の実施例において、サンプリング定理の計算式2NA/λ<Mag/2Δxを満たすために、画素サイズは、13.3um以下の任意の数値であり、ここで、NAは、レンズ開口数であり、λは、照明光の波長であり、Magは、レンズ拡大倍数であり、Δxは、画素サイズよりも大きくなければならないサンプリングサイズである。また、二次元アレイ検出器のサンプリングは、周波数領域のサンプリング定理、即ち、Δxf=λf/Sを満たす必要があり、ここで、Δxfは、サンプリング間隔の大きさであり、具体的には、検出器の各画素グリッドの大きさであり、λは、照明光の波長であり、fは、レンズの焦点距離であり、Sは、像面領域のサイズである。
【0101】
別の実施例において、全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置は、顕微鏡、カメラ、又は望遠鏡及び上述の全光場イメージングカメラを含むリモートセンシング装置であり得る。当該全光場イメージングカメラのイメージングコンポーネントは、前記顕微鏡対物レンズに対応するイメージングレンズコンポーネント、前記カメラに対応する写真レンズコンポーネント、又は望遠鏡及びリモートセンシング装置に対応する望遠鏡及びリモートセンシングイメージングコンポーネントを含む。
【0102】
既存のフーリエプチキソグラフィイメージング技術又はコヒーレント回折イメージング技術と比較して、本発明の全光場イメージングカメラに基づく全光場イメージング装置によって実現される顕微鏡イメージングは、空間フーリエスペクトル情報がオーバーラップ部分を有するか、又はオーバーサンプリングによって位相を復元するのに十分な情報を取得する必要がなく、両面イメージングによって十分な情報を取得することにより、冗長な情報を減少し、必要なデータを減少でき、実験操作の難易度を軽減する。
【0103】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の上述の実施例には様々な変化が可能である。本発明の特許請求の範囲及び明細書内容に基づいて行われるすべての簡単かつ同等の変更及び修正は、本発明の特許請求の範囲の保護範囲内に含まれる。本発明において詳細に説明していないものは、すべて従来の技術内容である。
【国際調査報告】