(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】膜ろ過器、およびこのような膜ろ過器を含む膜ろ過アセンブリ
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20241121BHJP
B01D 61/36 20060101ALI20241121BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20241121BHJP
B01D 63/08 20060101ALI20241121BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20241121BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20241121BHJP
B01D 71/34 20060101ALI20241121BHJP
B01D 71/36 20060101ALI20241121BHJP
B01D 71/26 20060101ALI20241121BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C02F1/44 H
B01D61/36
B01D69/00
B01D63/08
B01D69/12
B01D69/10
B01D71/34
B01D71/36
B01D71/26
B01D63/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024531327
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2022082548
(87)【国際公開番号】W WO2023094298
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524196371
【氏名又は名称】エヌエスエス・ウォーター・エンハンスメント・テクノロジー・アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】NSS Water Enhancement Technology AB
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ホルムストレーム,ビョルン
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA27
4D006HA41
4D006JA08A
4D006JA08C
4D006JA14Z
4D006JA23A
4D006JA23C
4D006JA28A
4D006JA29A
4D006JA29B
4D006JA29C
4D006JA51Z
4D006JA58Z
4D006JA63Z
4D006JA67A
4D006KA01
4D006KB14
4D006KE02Q
4D006KE07Q
4D006MA03
4D006MA06
4D006MA22
4D006MA31
4D006MC23
4D006MC29
4D006MC30
4D006PA01
4D006PB06
4D006PC01
(57)【要約】
本発明は、純水を提供するための膜ろ過アセンブリおよび膜ろ過器に関する。膜ろ過器は、蒸発室と、凝縮室と、蒸発室および凝縮室を分離させ、1000ナノメートル以下の孔径を有する膜(9)と、を含む。膜は、不織の第1層(46)とスパンボンドされた第2層(47)とを含む多層ポリマー膜であり、不織の第1層(46)は、1000ナノメートル以下の孔径を有し、スパンボンドされた第2層(47)は、第1層に積層され、凝縮室(8)に面する。膜ろ過器は、剛性のある第1ポリマーフレーム(41)を含み、第1ポリマーフレーム(41)は、第1表面(48)と、第2表面(49)と、第1表面(48)および第2表面(49)の間において延びた中央開口(50)を有し、凝縮室の少なくとも一部は、中央開口(50)によって構成されており、膜(9)は、第1ポリマーフレーム(41)において中央開口(50)を覆う第1表面(48)に接続され、膜(9)の第2層(47)は第1ポリマーフレーム(41)の第1表面(48)に面する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水を提供するための膜ろ過器(2)であって、
蒸発室(7)と、
凝縮室(8)と、
前記蒸発室(7)および前記凝縮室(8)を分離させ、1000ナノメートル以下の孔径を有する膜(9)と、
を含み、
前記膜(9)は、不織の第1層(46)とスパンボンドされた第2層(47)とを含む多層ポリマー膜であり、前記不織の第1層(46)は、1000ナノメートル以下の孔径を有し、前記スパンボンドされた第2層(47)は、前記第1層(46)に積層され、前記凝縮室(8)に面し、前記膜ろ過器(2)は、剛性のある第1ポリマーフレーム(41)を含み、前記第1ポリマーフレーム(41)は、第1表面(48)と、第2表面(49)と、前記第1表面(48)および前記第2表面(49)の間において延びた中央開口(50)を有し、前記凝縮室(8)の少なくとも一部は、前記中央開口(50)によって構成されており、前記膜(9)は、前記第1ポリマーフレーム(41)において前記中央開口(50)を覆う前記第1表面(48)に接続され、前記膜(9)の前記第2層(47)は前記第1ポリマーフレーム(41)の前記第1表面(48)に面する、
膜ろ過器。
【請求項2】
前記膜(9)の厚さは、0.1ミリメートル以上かつ0.4ミリメートル以下であり、好ましくは、0.2ミリメートル以上かつ0.3ミリメートル以下である、
請求項1に記載の膜ろ過器。
【請求項3】
前記膜(9)の前記第1層(46)の孔径は、750ナノメートル以下であり、好ましくは、500ナノメートル以下である、
請求項1または2に記載の膜ろ過器。
【請求項4】
前記膜(9)の前記第1層(46)は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)またはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)などのフルオロポリマーを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項5】
前記膜(9)の前記第2層(47)は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)などの熱可塑性ポリマーを含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項6】
前記凝縮室(8)の近傍に位置する冷却室(30)を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項7】
前記冷却室(30)と前記凝縮室(8)とを分離させるフィルム(31)を含む、
請求項6に記載の膜ろ過器。
【請求項8】
前記膜ろ過器(2)は、剛性のある第2ポリマーフレーム(43)を含み、前記第2ポリマーフレーム(43)は、第1表面(51)と、第2表面(52)と、前記第1表面(51)および前記第2表面(52)の間において延びた中央開口(53)を有し、前記フィルム(31)は、前記第2ポリマーフレーム(43)において前記中央開口(53)を覆う前記第1表面(51)、および、前記第2ポリマーフレーム(43)において前記中央開口(53)を覆う前記第2表面(52)のうちの1つに接続される、
請求項7に記載の膜ろ過器。
【請求項9】
前記フィルム(31)の厚さは、0.08ミリメートル以上かつ0.25ミリメートル以下であり、好ましくは、0.1ミリメートル以上かつ0.2ミリメートル以下である、
請求項7または8に記載の膜ろ過器。
【請求項10】
前記膜ろ過器(2)は、弾性のある第1ガスケット(40)を含み、前記第1ガスケット(40)は、第1表面(54)と、第2表面(55)と、前記第1表面(54)および前記第2表面(55)の間において延びた中央開口(56)とを含み、前記蒸発室(7)の少なくとも一部は前記中央開口(56)によって構成されており、入口(57)は前記中央開口(56)に延びており、出口(58)は前記中央開口(56)から延びている、
請求項1~9のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項11】
前記膜ろ過器(2)は、弾性のある第2ガスケット(42)を含み、前記第2ガスケット(42)は、第1表面(59)と、第2表面(60)と、前記第1表面(59)および前記第2表面(60)の間において延びた中央開口(61)とを含み、前記凝縮室(8)の少なくとも一部は前記中央開口(61)によって構成されており、出口(62)は前記中央開口(61)から延びている、
請求項1~10のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項12】
前記膜ろ過器(2)は、弾性のある第3ガスケット(44)を含み、前記第3ガスケット(44)は、第1表面(64)と、第2表面(65)と、前記第1表面(64)および前記第2表面(65)の間において延びた中央開口(66)とを含み、前記冷却室(30)の少なくとも一部は前記中央開口(66)によって構成されており、入口(67)は前記中央開口(66)に延びており、出口(68)は前記中央開口(66)から延びている、
出口(62)は前記中央開口(61)から延びている、
請求項6~9のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項13】
前記ポリマーフレーム(41、43)は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの、剛性のあるフルオロポリマーを含む、
請求項1~12のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項14】
前記ガスケット(40、42、44)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの弾性のあるフルオロポリマーを含む、
請求項10~12のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項15】
前記フィルム(31)は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフルオロポリマーを含む、
請求項7~9のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項16】
純水を提供するための膜ろ過アセンブリ(1)であって、
純水を生産するように構成された膜ろ過器(2)であって、蒸発室(7)および凝縮室(8)を有し、前記蒸発室(7)および前記凝縮室(8)が膜(9)によって分離されている、膜ろ過器(2)と、
前記膜ろ過器(2)に接続されており、純水を中間的に保存するための貯水槽(4)と、
前記膜ろ過器(2)に接続された給水ユニット(3)と、
前記貯水槽(4)に接続された純水ディスペンサツール(5)と、
を含み、
前記膜(9)は、不織の第1層(46)とスパンボンドされた第2層(47)とを含む多層ポリマー膜であり、前記不織の第1層(46)は、1000ナノメートル以下の孔径を有し、前記スパンボンドされた第2層(47)は、前記第1層(46)に積層され、前記凝縮室(8)に面し、
前記膜ろ過器(2)は、剛性のある第1ポリマーフレーム(41)を含み、前記第1ポリマーフレーム(41)は、第1表面(48)と、第2表面(49)と、前記第1表面(48)および前記第2表面(49)の間において延びた中央開口(50)を有し、前記凝縮室(8)の少なくとも一部は、前記中央開口(50)によって構成されており、前記膜(9)は、前記第1ポリマーフレーム(41)において前記中央開口(50)を覆う前記第1表面(48)に接続され、前記膜(9)の前記第2層(47)は前記第1ポリマーフレーム(41)の前記第1表面(48)に面する、
膜ろ過アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概ね、水から粒子を取り除くように、すなわち、純水を生産するように構成された膜ろ過アセンブリに関し、膜ろ過アセンブリは、産業応用に用いられ、純水を生産するために構成された膜ろ過器に特に関する。さらに具体的に言うと、本発明は、10ナノメートルよりも大きい粒子を含まないナノ/超純水(nano/ultra-purified water)を生産することが可能な膜ろ過アセンブリに関する。
【0002】
本発明は、膜ろ過器に特に関連し、当該膜ろ過器は、蒸発室と、凝縮室と、蒸発室および凝縮室を分離させる膜とを含み、膜は1000ナノメートル以下の孔径を有する。
【0003】
本発明は、純水を提供するための膜ろ過アセンブリにも関連する。
当該膜ろ過アセンブリは、
純水を生産するように構成された膜ろ過器であって、蒸発室および凝縮室を有し、蒸発室および凝縮室が膜によって互いに分離されており、膜が1000ナノメートル以下の孔径を有する、膜ろ過器と、
膜ろ過器に接続されており、純水を中間的に保存するための貯水槽と、
膜ろ過器に接続された給水ユニットと、
貯水槽に接続された純水ディスペンサツールと、
を含む。
【0004】
このような膜ろ過器および膜ろ過アセンブリは半導体製造産業に特に有用であり、半導体製造産業において、半導体ウェハは純水を用いた洗浄ステップを複数回通過する。
【背景技術】
【0005】
本発明は、消費エネルギがより少ない、かつより速い、より安い電子装置という需要を満たすために、半導体が小さくなる一方、という事実に基づくものである。よって、ウェアにより多くの半導体/構造を含ませるために、シリコンウェア上の半導体/構造が小さくなり、構造間の距離も小さくなる。よって、半導体の短絡または故障を回避するために、ウェハから同様に小さい汚染物をより効率的に洗い流すという需要が増加し、洗浄水にウェハを汚染させないように、洗浄水には超純水を利用する必要がある。求められる洗浄結果を得るために、ウェアの洗浄は大量の超純水を消費するものの、超純水の生産が時間もエネルギもかかり、超純水の有効寿命(useful life)が短く、すなわち、30分間よりも短い。よって、タンクまたは管路による超純水の搬送は汚染を引き起こし、すなわち、既存の汚染物の成長によって、および、タンク/管路の材料からの汚染物の増加によって、汚染を引き起す。従来技術では遅すぎるので、従来の膜ろ過アセンブリは、所要量の純水を生産することができない。
【0006】
また、従来技術は、蒸発室と凝縮室との間の密封関係を得るために膜をそのキャリア/フレームに接続/溶接されることに問題がある。よって、膜が膜ろ過器に取り付けられるときにキャリア/フレームに完璧に接続/溶接されていなかった場合、膜が歪んだらまたはしわができたら、漏れが生じ得る。
【0007】
よって、利用時に、利用する箇所、すなわち、クリーンルームの洗浄ステーションの近くに大量の超純水を効率的に生産するように構成された設備についてのニーズがある。純水は、洗剤として利用される以外にも、異なる産業応用では溶剤として利用可能である。
【発明の概要】
【0008】
(本発明の目的)
本発明の狙いは、従来の膜ろ過器および膜ろ過アセンブリの欠点および短所を克服し、改良された膜ろ過器および膜ろ過アセンブリを提供することである。本発明の主な目的は、最初に定義された種類であって改良された膜ろ過器および膜ろ過アセンブリを提供することであり、当該膜ろ過器および膜ろ過アセンブリは、所要量の純水を常に提供し、半導体/ウェハの製造プラントのクリーンルーム内に利用可能である。本発明のもう1つの目的は、純水の同時かつ連続的な生産および利用が可能な膜ろ過器および膜ろ過アセンブリを提供することである。本発明のもう1つの目的は、純水の精製度(degree of purification)が増加することで純水の所要量が減少する膜ろ過器および膜ろ過アセンブリを提供することである。本発明のもう1つの目的は、より少ない水道水を消費する膜ろ過器および膜ろ過アセンブリを提供することである。本発明のもう1つの目的は、膜ろ過器において膜がより容易に固定される膜ろ過器および膜ろ過アセンブリを提供することである。
【0009】
(発明の概要)
本発明に基づいて、少なくとも1つの主な目的は、独立請求項によって定義された特徴を有する、最初に定義された膜ろ過器および膜ろ過アセンブリによって達成される。本発明の好ましい実施例は、従属請求項によってさらに定義されている。
【0010】
本発明に基づいて、最初に定義された種類の膜ろ過器および膜ろ過アセンブリが提供され、当該膜ろ過器および膜ろ過アセンブリにおいて、膜は、不織の第1層とスパンボンドされた(spunbonded)第2層とを含む多層ポリマー膜であり、不織の第1層は、1000ナノメートル以下の孔径を有し、スパンボンドされた第2層は、第1層に積層され、凝縮室に面する。膜ろ過器は、剛性のある第1ポリマーフレームを含み、第1ポリマーフレームは、第1表面と、第2表面と、第1表面および第2表面の間において延びた中央開口を有し、凝縮室の少なくとも一部は、中央開口によって構成されており、膜は、第1ポリマーフレームにおいて中央開口を覆う第1表面に接続され、膜の前記第2層は第1ポリマーフレームの第1表面に面する。
【0011】
よって、本発明は、膜を新しく設計/構築するという洞察に基づいたものであり、この膜によって、純水の製造量を増加する能力を改善して問題なく純水を製造することを保証する。より正確に言うと、独創的な多層膜は、要求される精製度を損なうことなくより高い産出量をもたらすとともに、スパンボンドされた第2層が、膜の第1層と凝縮室内の表面/壁との間に常に距離があることを保証する。蒸発室内の圧力が凝縮室内の圧力よりも高いため、膜のろ過層、すなわち第1層と、凝縮室の壁との接触は、精製水の産出量に悪影響を及ぼす。独創的な膜ろ過器によれば、膜の第1層/ろ過層は、第1ポリマーフレームへの接続/溶接のために最適化される必要がなく、代わりに、膜の第2層は第1ポリマーフレームへの接続/溶接に最適化され、膜の第1層はろ過に最適化される。
【0012】
本発明の様々な実施例に基づいて、膜の第1層はフルオロポリマーを含み、膜の第2層は熱可塑性ポリマーを含む。よって、膜の第1層/ろ過層は、確実に疎水性を有し、要求される精製度を得るように最適化可能であり、膜の第2層は、第1層と凝縮室の壁との接触を防ぐ、安定した構造を提供するように最適化可能である。より正確に言うと、第2層は、圧縮されないものの、蒸発室からの蒸気が凝縮できる体積を常に提供する。
【0013】
本発明の様々な実施例に基づいて、膜ろ過器は、凝縮室の近傍に位置する冷却室を含む。よって、凝縮室における適切で効率的な冷却が達成される。
【0014】
本発明の様々な実施例に基づいて、膜ろ過器は、冷却室と凝縮室とを分離させるフィルムを含む。また、フィルムの厚さは、0.08ミリメートル以上かつ0.25ミリメートル以下である。よって、凝縮室内の適切かつ効率的な冷却が達成されるとともに、フィルムはそのキャリア/フレームに適切に接続/溶接される。フィルムが薄いと、キャリア/フレームに接続/溶接されることが非常に難しく/不可能になり、フィルムが厚いと、冷却効率が低下する。
【0015】
本発明の様々な実施例に基づいて、膜ろ過器は、剛性のある第2ポリマーフレームを含み、第2ポリマーフレームは、第1表面と、第2表面と、第1表面および第2表面の間において延びた中央開口を有する。冷却室と凝縮室とを分離させるフィルムは、第2ポリマーフレームにおいて中央開口を覆う第1表面、および、第2ポリマーフレームにおいて中央開口を覆う第2表面のうちの1つに接続される。よって、凝縮室の適切かつ効率的な冷却が達成されるとともに、フィルムはそのキャリア/フレームに適切に接続される。
【0016】
本発明の更なる特徴および利点は、他の従属請求項および以下の好ましい実施例についての詳細な説明から明らかになるであろう。
【0017】
上述した本発明の特徴と利点、および本発明の他の特徴と利点へのより完全な理解は、添付図面と併せて好ましい実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】第1実施例に基づいた膜ろ過アセンブリの貯水槽の概略図
【
図3】第2実施例に基づいた膜ろ過アセンブリの貯水槽の概略図
【
図5】概略的実施例に基づいた膜ろ過器の概略的な分解側面図
【
図7】
図6に基づいた膜ろ過器の代替例の側面概略図
【
図9】
図8に基づいた膜ろ過の第1エンドプレート(endplate)の概略図
【
図10】
図8に基づいた膜ろ過の第1ガスケットの概略図
【
図11】
図8に基づいた膜ろ過の第1ポリマーフレームの概略図
【
図12】
図8に基づいた膜ろ過の第2ガスケットの概略図
【
図13】
図8に基づいた膜ろ過の第2ポリマーフレームの概略図
【
図14】
図8に基づいた膜ろ過の第3ガスケットの概略図
【
図15】
図8に基づいた膜ろ過の第2エンドプレートの概略図
【発明を実施するための形態】
【0019】
最初に、概ね参照番号1で指される膜ろ過アセンブリの主要構成の概略図を示す
図1が参照される。
【0020】
膜ろ過アセンブリ1は、超純水などの純水を製造するように構成された膜ろ過器2と、膜ろ過器2に接続されており、膜ろ過器2が処理すべき水を供給するように構成された給水ユニット3と、膜ろ過器2に接続されており、膜ろ過器2から純水を受けるように構成された貯水槽4と、貯水槽4に接続された純水ディスペンサツール5とを含む。貯水槽4は、純水を中間的/一時的に保存するように構成されている。
【0021】
給水ユニット3は、水道の本管(water mains)などの水源6に接続されており、すなわち、水道水に接続されている。純水ディスペンサツール5は、手動のノズル/ハンドルまたは自動制御のノズルであってもよい。
【0022】
膜ろ過器2は、密封された蒸発室7と、密封された凝縮室8とを含み、蒸発室7と凝縮室8とは、膜9によって分離されている。凝縮室8はガス室としても知られている。様々な実施例に基づいて、膜ろ過器2は複数組の蒸発室7および凝縮室8を含み、このような組は並列に接続されている。好ましくは、それぞれの蒸発室7は2つの凝縮室8と関連しており、この2つの凝縮室8は、蒸発室7の両側のそれぞれに設けられており、かつ、対向するように設けられている。膜9は、1000ナノメートル以下の孔径を有し、好ましくは、750ナノメートル以下の孔径を有し、さらに好ましくは、500ナノメートル以下の孔径を有する。膜9は、100ナノメートル以上の孔径を有する。一般的には、比較的小さい孔径によって、きれいな水が提供可能であるが、純水の生産が遅くなる。液浸透を防ぐために、孔を十分に小さくすべきである。
【0023】
給水ユニット3は蒸発室7に給水し、すなわち、蒸発室7は熱湯によって充填される。例えば、蒸発室7は、80℃以上かつ90℃以下の熱湯によって充填される。このような水は膜9を通れないが、水と膜9との間の境界にある蒸気は、汚染物を蒸発室7に残して膜9に通って凝縮室8に入る。凝縮室8内の温度は蒸発室7内の温度よりも低い。すなわち、凝縮室8は冷却されており、凝縮室8において、蒸気は蓄積/凝縮されて液滴になる。凝縮室8は冷たい表面10を含み、冷たい表面10において、効率的な凝縮が行われる。液滴は蓄積されて最終的に凝縮室8の底部に流れ、純水はその底部において膜ろ過器2から離れて貯水槽4に入る。蒸発室7と凝縮室8との圧力差は、0.5バール以下であり、すなわち、水は強制的に/加圧されて膜9を通過させられることがない。
【0024】
膜9は、熱的かつ化学的に安定な材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)などの材料から製造されるべきである。
【0025】
貯水槽4は、純水を中間的/一時的に保存するための少なくとも1つのタンク11aを含む。以下では、貯水槽4は少なくとも2つのタンク11a、11bを含むが、本発明は、2つのタンク11a、11bを含む貯水槽4に限られていない。タンク11a、11bは、膜ろ過器2と純水ディスペンサツール5との間において並列に接続されている。膜ろ過アセンブリ1の動作中に、第1のタンク11aが膜ろ過器2からの純水によって充填されて第2のタンク11bが純水をディスペンサツール5に提供するか、または、第2のタンク11bが膜ろ過器2からの純水によって充填されて第1のタンク11aが純水をディスペンサツール5に提供する。よって、貯水槽は、利用する箇所において超純水が間に合うように供給する。すなわち、前述した2つのタンクは交互に充填されてディスペンサツールに超純水を交互に供給する。よって、純水の生産および利用は同時かつ連続的に実行できる。
【0026】
注意すべきことに、第1のタンク11aは、その中からの純水が利用される前に完全に充填される必要がなく、充填される前にその中の純水を利用し切る必要もない。好ましくは、第1のタンク11aは、第2のタンク11bの充填にかかる時間にわたってディスペンサツール5が純水に対する需要と同じ程度/範囲で充填される。
【0027】
ウェハの洗浄時などに利用された純水は、樋/排水装置12内に収集されて水源6に戻されてリサイクルされてもよい。樋/排水装置12は、洗浄ステップにわたって水に入った汚染物/物質が水源6に届くことを防ぐために、適したフィルタを含んでもよい。膜ろ過アセンブリ1は、水源6と給水ユニット3との間に位置するプレフィルタ(prefilter)を含んでもよい。
【0028】
第1実施例に基づいた膜ろ過アセンブリ1の貯水槽4の概略図を示す
図2が参照される。
【0029】
様々な実施例に基づいて、タンク11a、11bのそれぞれは中間管13と出口管15とを含み、中間管13は、膜ろ過器2に接続されており、制御可能な中間弁14を有し、出口管15は、純水ディスペンサツール5に接続されており、制御可能な出口弁16を有する。よって、貯水槽4の別々のタンクは、個別に充填されたり空にされたりすることができる。タンク11a、11bは、純水が自動的に出口管15へ流れるように設けられており、出口管15は、タンクの最低点においてタンクと接続されている。
【0030】
タンク11a内の純水を時間内に利用し切れていないイベントにおいて、すなわち、第1のタンク11a内の純水の有効寿命が尽きる前に、および/または、第2のタンク11bが満タンになる前に、第1のタンク11a内に残ったものは、第2のタンク11bの純水が利用される前に排出/廃棄される。この排出/廃棄は、ディスペンサツール5を樋/排水装置12に直接的に向かわせる手動操作であってもよい。同じ操作は、1つのタンク11aのみを有する貯水槽4にも適用する。よって、別々のタンク内の、いかなる古くなった水/適切でない水は、ディスペンサツールへの純水供給に影響を与えずに排出またはリサイクルされ得る。
【0031】
第2実施例に基づいた膜ろ過アセンブリ1の貯水槽4の概略図を示す
図3が参照される。
【0032】
様々な実施例に基づいて、タンク11a、11bのそれぞれは排出/廃棄管17を含み、排出/廃棄管17は、制御可能な排出弁18を有し、ディスペンサツール5を迂回している。このようにすれば、タンク11a、11bの一方に残ったものの排出/廃棄が自動的に実行されると同時に、タンク11a、11bの他方の純水がディスペンサツール5に利用されることが可能である。排出管17は好ましくは、直接的に、または、樋/排水装置12を介して間接的に、水源6に接続される。同じ構成は、1つのタンク11aのみを有する貯水槽4にも適用する。
【0033】
タンク11a、11bが空になるとき、タンク内の残留物が次のバッチの純水を汚染しかねないため、タンク内に残留物が残っていないことが重要である。様々な実施例に基づいて、膜ろ過アセンブリ1は、ガス源19を含み、好ましくは、窒素などのガスのガス源19を含む。タンク11a、11bのそれぞれは給気管20を含み、給気管20は、ガス源19に接続されており、制御可能なガス弁21を有する。ガス源19からの加圧ガスは、出口弁16および/または排出弁18を介してタンク11a、11bを空にするように利用される。給気管20は好ましくは、中間管13の近傍で、または、中間管13を介して、中間弁14の下流でタンク11a、11bに接続されている。
【0034】
ここで、膜ろ過アセンブリ1の給水ユニット3の概略図を示す
図4も参照される。
【0035】
様々な実施例に基づいて、給水ユニット3は、概ね参照番号22で指される一次給水管を含み、一次給水管22は、膜ろ過器2の蒸発室7に接続されており、ヒータ23を含む。よって、蒸発室7に供給される水は、蒸発室に到達するときにはすでに適した/正確な温度に予熱される。
【0036】
一次給水管22は整水器24を含み、整水器24は、一次給水管22を介して蒸発室7に供給される水の流量および圧力を制御するように構成されている。整水器24は好ましくはポンプによって形成され、ポンプは、蒸発室7内の圧力が高くなりすぎないように自動的に動作する。
【0037】
様々な実施例に基づいて、給水ユニット3は、一次給水管22に接続されたバッファタンク25を含む。好ましくはバッファタンク25がヒータ23と関連するが、バッファタンク25とヒータ23とは互いに直列に位置してもよい。また、給水管26は、バッファタンク25または整水器24に接続されており、水源6に接続されるように構成されている。給水管26は、バッファタンク25を充填するか、または整水器24を動作させるために、制御可能な充填弁27を含む。様々な実施例に基づいて、給水ユニット3は、蒸発室7からバッファタンク25に延びた一次還水管28を含む。膜ろ過器2において精製されていない水、すなわち、膜9を通っていない水は戻され/リサイクルされ、このような水は、すでに高温であるため、有益である。バッファタンク25は、充填弁27を制御するために、好ましくは水位センサ(level sensor)を含む。一次給水管22は好ましくはエア抜き構造(air vent)を含む。
【0038】
給水ユニット3は、整水器24の上流側の圧力が高くなりすぎないように圧力調整弁29を含む。圧力調整弁29は水源6と給水ユニット3との間に位置してもよい。
【0039】
整水器24によって生成された流量は1リットル/分から5リットル/分までの範囲内であり、貯水槽4に届く純水の生成量は1リットル/分から4リットル/分までの範囲内である。
【0040】
様々な実施例に基づいて、膜ろ過器2は、凝縮室8の近傍に位置する、密封された冷却室30を含む。よって、冷却室30は冷たい表面10を提供するように構成されている。好ましくは、膜ろ過器2は、冷却室30と凝縮室8とを分離させるフィルム/隔壁/箔31を含み、すなわち、冷たい表面10はフィルム/隔壁31の一部である。冷却室30は液体/水またはガスを含む。代替的に、冷たい表面10は冷却ブロック/冷却装置の一部である。
【0041】
様々な実施例に基づいて、フィルム31の厚さは、0.08ミリメートル以上かつ0.25ミリメートル以下であり、好ましくは、0.1ミリメートル以上かつ0.2ミリメートル以下である。よって、フィルム31は、変形に耐えて取り付けやすいとともに、依然として断熱性が低い。冷たい表面10は、純水の下への流れを促すために、できるだけ滑らかであるべきである。好ましくは、フィルム31は、疎水性材料であり、好ましくはポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフルオロポリマーを含む。
【0042】
様々な実施例に基づいて、給水ユニット3は、概ね参照番号32で指される二次給水管を含み、二次給水管32は、膜ろ過器2の冷却室30に接続されており、クーラー33を含む。よって、冷却室30内の水は、凝縮室8における水蒸気を純水に効率的に凝縮させるのに適した温度を有する。
【0043】
二次給水管32は整水器34を含み、整水器34は、二次給水管32を介して冷却室30に供給される水の流量および圧力を制御するように構成されている。整水器34は好ましくはポンプによって形成され、ポンプは、冷却室30内の圧力が高くなりすぎないように自動的に動作する。
【0044】
様々な実施例に基づいて、給水ユニット3は、二次給水管32に接続されたバッファタンク35を含む。好ましくはバッファタンク35がクーラー33と関連するが、バッファタンク35とクーラー33とは互いに直列に位置してもよい。また、給水管36は、バッファタンク35または整水器34に接続されており、水源6に接続されるように構成されている。給水管36は、バッファタンク35を充填するか、または整水器34に給水するために、制御可能な充填弁37を含む。様々な実施例に基づいて、給水ユニット3は、冷却室30からバッファタンク35に延びた二次還水管38を含む。冷却水は戻され/リサイクルされ、このような水は、水の使用量を低減させるため、有益である。
【0045】
バッファタンク35は、充填弁37を制御するために、好ましくは水位センサを含む。二次給水管32は好ましくはエア抜き構造を含む。
【0046】
好ましくは、クーラー33は熱電ヒートポンプ(thermoelectric heat pump)であり、例えば、電力を用いて熱を素子の一側から他側に伝達するペルチェ素子(peltier device)であってもよい。熱は、二次給水管32内、好ましくはバッファタンク35内の液体/水から、周囲の空気に伝達される。代替的な実施例に基づいて、このような熱電ヒートポンプは冷却室30に直接的に関連する。
【0047】
好ましくは、少なくとも貯水槽4および凝縮室8からディスペンサツール5に延びた管は、純水の流れを促すために、純水に面する表面が疎水性を有するように処理される。
【0048】
概略的な膜ろ過器2の概略図を示す
図5~
図7が参照される。膜ろ過器2は、蒸発室7、凝縮室8および冷却室30を提供するために、積み重ねた異なる構成/要素を含む。しかしながら、好ましくは、積み重ねた膜ろ過器2は、このような互いに並列に設置された組み合わせを複数組含んでもよい。好ましくは、周囲環境/クリーンルームへの熱放射を最小限にするために、積み重ねた構成において頂部の組および底部の組が冷却室30を含む。
【0049】
開示された概略的な実施例に基づいた、積み重ねた膜ろ過器2は、好ましくは金属で作られた第1エンドプレート39と、弾性のある第1ガスケット40と、膜9と、剛性のある第1ポリマーフレーム41と、弾性のある第2ガスケット42と、剛性のある第2ポリマーフレーム43と、フィルム31と、弾性のある第3ガスケット44と、好ましくは金属で作られた第2エンドプレート45とを含む。
【0050】
開示された実施例に基づいて、第1エンドプレート39は蒸発室7を区切って、第2エンドプレート45が冷却室30を区切る。すなわち、エンドプレートが外部/隣接する室を区切る。
【0051】
本発明に基づいて、膜9は、不織の第1層46とスパンボンドされた第2層47とを含む多層ポリマー膜であり、不織の第1層46は、1000ナノメートル以下の孔径を有し、スパンボンドされた第2層47は、第1層46に積層され、凝縮室8に面する。よって、第1層46は蒸発室7に面する。様々な実施例に基づいて、膜9の厚さは、0.1ミリメートル以上かつ0.4ミリメートル以下であり、好ましくは、0.2ミリメートル以上かつ0.3ミリメートル以下である。よって、膜9の第1層46は実際のろ過層である。膜9の第1層46は好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフルオロポリマーを含む。膜9の第2層47は好ましくは、ポリプロピレン(PP)などの熱可塑性ポリマーを含む。第1層46と第2層47とは、第1層46への第2層47の侵入を最小化することによって第1層46の孔の閉塞を最小化するために、積層される前に別々で製造されるものである。
【0052】
剛性のあるポリマーフレーム/キャリア41、43は好ましくはポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの剛性のあるフルオロポリマーを含み、弾性のあるガスケット40、42、44は好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの弾性のあるフルオロポリマーを含む。剛性のあるポリマーフレーム41、43は、膜ろ過器2が取り付けられ/圧縮されても、その初期厚さを維持する。弾性のあるガスケット40、42、44は、膜ろ過器2が取り付けられる/圧縮されることに応じて、その厚さが初期厚さよりも小さくなる。弾性のあるガスケットは好ましくは、初期厚さ/無負荷時の厚さの25%以上かつ40%以下に圧縮される。圧縮率が小さ過ぎると、漏れが生じる恐れがあり、圧縮率が大きすぎると、小さくなったガスケットがその密封性/弾性の特性を失い、漏れが生じる恐れがある。積み重ねた膜ろ過器2が取り付けられた/圧縮されたときに、第1エンドプレート39および第2エンドプレート45は互いに挟持されるとともに、過度の挟持を防ぐように、エンドプレート間において距離要素が適切な長さを有する。よって、距離要素が適切な長さは、ガスケットの最終的な/圧縮された厚さとポリマーフレームの厚さとの合計に等しい。
【0053】
第1ポリマーフレーム41は、第1表面48と、第2表面49と、第1表面48および第2表面49の間において延びた中央開口50とを含み、凝縮室8の少なくとも一部は中央開口50によって構成されている。膜9は第1ポリマーフレーム41の第1表面48に接続/溶接されており、当該第1表面48は中央開口を覆い、膜9の第2層47は第1ポリマーフレーム41の第1表面48に面する。膜9は、接着剤などの他の適した手段で第1ポリマーフレーム41に接続可能であるが、溶接(超音波溶接)が好ましい。膜9の第2層47は、膜9と第1ポリマーフレーム41との間の接続を促す。
【0054】
第2ポリマーフレーム43は、第1表面51と、第2表面52と、第1表面51および第2表面52の間において延びた中央開口53とを含む。フィルム31は、第2ポリマーフレーム43において中央開口を覆う第1表面51、および、第2ポリマーフレーム43において中央開口を覆う第2表面52のうちの1つに接続/溶接される。フィルム31は、接着剤などの他の適した手段で第2ポリマーフレーム43に接続可能であるが、溶接(超音波溶接)が好ましい。フィルム31が第2ポリマーフレーム43の第2表面52に接続されたとき(
図6を参照)、中央開口53は凝縮室8の少なくとも一部を構成する。フィルム31が第2ポリマーフレーム43の第1表面51に接続されたとき(
図7を参照)、中央開口53は冷却室30の少なくとも一部を構成する。
【0055】
弾性のある第1ガスケット40は、第1表面54と、第2表面55と、第1表面54および第2表面55の間において延びた中央開口56とを含み、蒸発室7の少なくとも一部は中央開口56によって構成されている。一次給水管22の一部である入口57は、第1ガスケット40の下部において中央開口56に延びており、一次還水管の一部である出口58は、第1ガスケット40の上部において中央開口56から延びている。
【0056】
弾性のある第2ガスケット42は、第1表面59と、第2表面60と、第1表面59および第2表面60の間において延びた中央開口61とを含み、凝縮室8の少なくとも一部は中央開口61によって構成されている。中間管13一部である出口62は、第2ガスケット42の下部において中央開口61から延びている。第2ガスケット42は、凝縮室8内の圧力の上昇を防ぐために、エア抜き構造63を含んでもよい。
【0057】
弾性のある第3ガスケット44は、第1表面64と、第2表面65と、第1表面64および第2表面65の間において延びた中央開口66とを含み、冷却室30の少なくとも一部は中央開口66によって構成されている。二次給水管32一次給水管22の一部である入口67は、第3ガスケット44の上部において中央開口66に延びており、二次還水管38の一部である出口68は、第3ガスケット44の下部において中央開口66から延びている。
【0058】
概略的な膜ろ過器2の別の概略図を示す
図8~
図15が参照される。
図5~
図7の概略的実施例に追加される内容/
図5~
図7の概略的実施例と異なる内容のみが説明される。
【0059】
様々な実施例に基づいて、膜ろ過器2は一次給水マニホールド69を含み、一次給水マニホールドは、第1ガスケット40の下部において第1ガスケット40の第1表面54と第2表面55との間に延びており、入口57は、一次給水マニホールド69から第1ガスケット40の中央開口56に延びている。一次給水マニホールド69は、一次給水管22の一部であり、第1ガスケット40から膜ろ過器2の外部に延びており、例えば、任意の中間要素を通って第1エンドプレート39の外面70に延びている。一次給水マニホールド69は、膜ろ過器2全体を通るように延びていてもよく、すなわち、第1エンドプレート39の外面70から第2エンドプレート45の外面71に延びていてもよい。好ましくは、すべての蒸発室7は一次給水マニホールド69に接続されている。
【0060】
様々な実施例に基づいて、膜ろ過器2は一次還水マニホールド72を含み、一次還水マニホールド72は、第1ガスケット40の上部において第1ガスケット40の第1表面54と第2表面55との間に延びており、出口58は、第1ガスケット40の中央開口56から一次還水マニホールド72に延びている。一次還水マニホールド72は一次還水管28の一部であり、第1ガスケット40から膜ろ過器2の外部に延びており、例えば、任意の中間要素を通って第1エンドプレート39の外面70に延びている。一次還水マニホールド72は、膜ろ過器2全体を通るように延びていてもよく、すなわち、第1エンドプレート39の外面70から第2エンドプレート45の外面71に延びていてもよい。好ましくは、すべての蒸発室7は一次還水マニホールド72に接続されている。
【0061】
様々な実施例に基づいて、膜ろ過器2は純水マニホールド73を含み、純水マニホールド73は、第2ガスケット42の下部において第2ガスケット42の第1表面59と第2表面60との間に延びており、出口62は、第2ガスケット42の中央開口61から純水マニホールド73に延びている。純水マニホールド73は、中間管13の一部であり、第2ガスケット42から膜ろ過器2の外部に延びており、例えば、任意の中間要素を通って第1エンドプレート39の外面70に延びている。純水マニホールド73は、膜ろ過器2全体を通るように延びていてもよく、すなわち、第1エンドプレート39の外面70から第2エンドプレート45の外面71に延びていてもよい。好ましくは、すべての凝縮室8は純水マニホールド73に接続されている。純水マニホールド73は好ましくは疎水性材料でコーティング/内張りされ、疎水性材料は、純水が膜ろ過器2から離れるのを確保するために、好ましくはポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフルオロポリマーを含む。純水マニホールド72全体に沿って延びたコーティング/内張りによって、異なるフレームおよびガスケットの間の境界で詰まるリスクがなくなる。コーティング/内張りは、凝縮室8から純水マニホールド73まで延びた出口62を塞いではならない。
【0062】
様々な実施例に基づいて、膜ろ過器2はエア抜きマニホールド(vent manifold)74を含み、エア抜きマニホールド74は、第2ガスケット42の上部において第2ガスケット42の第1表面59と第2表面60との間に延びており、エア抜き構造63は第2ガスケット42の中央開口61からエア抜きマニホールド74に延びている。エア抜きマニホールド74は、第2ガスケット42から膜ろ過器2の外部に延びており、例えば、任意の中間要素を通って第1エンドプレート39の外面70に延びている。エア抜きマニホールド74は、膜ろ過器2全体を通るように延びていてもよく、すなわち、第1エンドプレート39の外面70から第2エンドプレート45の外面71に延びていてもよい。好ましくは、すべての凝縮室8はエア抜きマニホールド74に接続されている。
【0063】
様々な実施例に基づいて、膜ろ過器2は第2給水マニホールド75を含み、第2給水マニホールド75は、第3ガスケット44の上部において第3ガスケット44の第1表面64と第2表面65との間に延びており、入口67は第3ガスケット44の中央開口66から第2給水マニホールド75に延びている。第2給水マニホールド75は、第2給水管32の一部であり、第3ガスケット44から膜ろ過器2の外部に延びており、例えば、任意の中間要素を通って第2エンドプレート45の外面71に延びている。第2給水マニホールド75は、膜ろ過器2全体を通るように延びていてもよく、すなわち、第1エンドプレート39の外面70から第2エンドプレート45の外面71に延びていてもよい。好ましくは、すべての冷却室30は第2給水マニホールド75に接続されている。
【0064】
様々な実施例に基づいて、膜ろ過器2は第2還水マニホールド76を含み、第2還水マニホールド76は、第3ガスケット44の下部において第3ガスケット44の第1表面64と第2表面65との間に延びており、出口68は第3ガスケット44の中央開口66から第2還水マニホールド76に延びている。第2還水マニホールド76は、第2還水管38の一部であり、第3ガスケット44から膜ろ過器2の外部に延びており、例えば、任意の中間要素を通って第2エンドプレート45の外面71に延びている。第2還水マニホールド76は、膜ろ過器2全体を通るように延びていてもよく、すなわち、第1エンドプレート39の外面70から第2エンドプレート45の外面71に延びていてもよい。好ましくは、すべての冷却室30は第2還水マニホールド76に接続されている。
【0065】
図9~
図15は、
図8に基づいた膜ろ過器2の異なる要素を示し、これらの要素は第1エンドプレート39の第1表面70から見られている。
【0066】
図10は第1ガスケット40を示し、中央開口56における入口57の開口は下部の隅の1つに位置し、中央開口56における出口58の開口は、蒸発室7全体における水/熱の最適な分布を得るために、正反対の上部の隅に位置する。好ましくは、入口57の断面積は、一次給水マニホールド69の断面積よりも小さく、好ましくは一次給水マニホールド69の断面積の50%よりも小さい。好ましくは、入口57は、一次給水マニホールド69と中央開口56との間の湾曲部を含む。好ましくは、出口58の断面積は、一次還水マニホールド72の断面積よりも小さく、好ましくは一次還水マニホールド72の断面積の50%よりも小さい。好ましくは、出口57は、一次還水マニホールド72と中央開口56との間の湾曲部を含む。
【0067】
図12は第2ガスケット42を示し、中央開口61における出口62の開口は底部の中間に位置し、中央開口61におけるエア抜き構造63の開口は、凝縮室8からの純水の最適な排出を得るために、頂部の中間に位置する。
【0068】
図14は第3ガスケット44を示し、中央開口66における入口67の開口は上部の隅の1つに位置し、中央開口66における出口68の開口は、冷却室30全体における水/熱の最適な分布を得るために、正反対の下部の隅に位置する。好ましくは、入口67の断面積は、二次給水マニホールド75の断面積よりも小さく、好ましくは二次給水マニホールド75の断面積の50%よりも小さい。好ましくは、入口67は、二次給水マニホールド75と中央開口66との間の湾曲部を含む。好ましくは、出口68の断面積は、二次還水マニホールド76の断面積よりも小さく、好ましくは二次還水マニホールド76の断面積の50%よりも小さい。好ましくは、出口67は、二次還水マニホールド76と中央開口66との間の湾曲部を含む。
【0069】
一次給水マニホールド69および二次還水マニホールド76は好ましくは、膜ろ過器2の下部の隅のうちの1つにそれぞれに位置し、一次還水マニホールド72および二次給水マニホールド75は好ましくは、膜ろ過器2の上部の隅のうちの1つにそれぞれに位置する。
【0070】
(実施可能な変化例)
本発明は、上述した説明および図面に示された実施例に限定されることがなく、これらの説明および実施例は例示のみを目的とする。この特許出願は、本明細書に記載された好ましい実施例のすべての変化例および変形例を網羅することを意図している。よって、本発明は、添付の特許請求の範囲の文言によって定義される。したがって、装置は、添付の特許請求の範囲の枠組み内で考えられるすべての方法で変化可能である。
【0071】
また、注意すべきことに、上、下、上方、下方などの用語に関する/関連するすべての情報は、図面において参照番号が正しく読み取れる方向で定位された装置を考慮して解釈/解読しなければならない。よって、このような用語は、示された実施例における相対的な関係を示すだけであり、この関係は、本発明による装置に別の構造/設計が提供される場合、変更され得る。
【0072】
また、注意すべきことに、特定の実施例の特徴を別の実施例の特徴と組み合わせることができると明示されていない場合でも、組み合わせが可能であれば、その組み合わせは明らかであると考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水を提供するための膜ろ過器(2)であって、
蒸発室(7)と、
凝縮室(8)と、
前記蒸発室(7)および前記凝縮室(8)を分離させ、1000ナノメートル以下の孔径を有する膜(9)と、
を含み、
前記膜(9)は、不織の第1層(46)とスパンボンドされた第2層(47)とを含む多層ポリマー膜であり、前記不織の第1層(46)は、1000ナノメートル以下の孔径を有し、前記スパンボンドされた第2層(47)は、前記第1層(46)に積層され、前記凝縮室(8)に面し、前記膜ろ過器(2)は、剛性のある第1ポリマーフレーム(41)を含み、前記第1ポリマーフレーム(41)は、第1表面(48)と、第2表面(49)と、前記第1表面(48)および前記第2表面(49)の間において延びた中央開口(50)を有し、前記凝縮室(8)の少なくとも一部は、前記中央開口(50)によって構成されており、前記膜(9)は、前記第1ポリマーフレーム(41)において前記中央開口(50)を覆う前記第1表面(48)に接続され、前記膜(9)の前記第2層(47)は前記第1ポリマーフレーム(41)の前記第1表面(48)に面
し、前記膜ろ過器(2)は、前記凝縮室(8)の近傍に位置する冷却室(30)を含み、フィルム(31)は、前記冷却室(30)と前記凝縮室(8)とを分離させる、
膜ろ過器。
【請求項2】
前記膜(9)の厚さは、0.1ミリメートル以上かつ0.4ミリメートル以下であり、好ましくは、0.2ミリメートル以上かつ0.3ミリメートル以下である、
請求項1に記載の膜ろ過器。
【請求項3】
前記膜(9)の前記第1層(46)の孔径は、750ナノメートル以下であり、好ましくは、500ナノメートル以下である、
請求項1または2に記載の膜ろ過器。
【請求項4】
前記膜(9)の前記第1層(46)は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)またはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)などのフルオロポリマーを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項5】
前記膜(9)の前記第2層(47)は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)などの熱可塑性ポリマーを含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項6】
前記膜ろ過器(2)は、剛性のある第2ポリマーフレーム(43)を含み、前記第2ポリマーフレーム(43)は、第1表面(51)と、第2表面(52)と、前記第1表面(51)および前記第2表面(52)の間において延びた中央開口(53)を有し、前記
ポリマーフィルム(31)は、前記第2ポリマーフレーム(43)において前記中央開口(53)を覆う前記第1表面(51)、および、前記第2ポリマーフレーム(43)において前記中央開口(53)を覆う前記第2表面(52)のうちの1つに接続される、
請求項
1~5のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項7】
前記
ポリマーフィルム(31)の厚さは、0.08ミリメートル以上かつ0.25ミリメートル以下であり、好ましくは、0.1ミリメートル以上かつ0.2ミリメートル以下である、
請求項
1~6のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項8】
前記膜ろ過器(2)は、弾性のある第1ガスケット(40)を含み、前記第1ガスケット(40)は、第1表面(54)と、第2表面(55)と、前記第1表面(54)および前記第2表面(55)の間において延びた中央開口(56)とを含み、前記蒸発室(7)の少なくとも一部は前記中央開口(56)によって構成されており、入口(57)は前記中央開口(56)に延びており、出口(58)は前記中央開口(56)から延びている、
請求項1~
7のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項9】
前記膜ろ過器(2)は、弾性のある第2ガスケット(42)を含み、前記第2ガスケット(42)は、第1表面(59)と、第2表面(60)と、前記第1表面(59)および前記第2表面(60)の間において延びた中央開口(61)とを含み、前記凝縮室(8)の少なくとも一部は前記中央開口(61)によって構成されており、出口(62)は前記中央開口(61)から延びている、
請求項1~
8のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項10】
前記膜ろ過器(2)は、弾性のある第3ガスケット(44)を含み、前記第3ガスケット(44)は、第1表面(64)と、第2表面(65)と、前記第1表面(64)および前記第2表面(65)の間において延びた中央開口(66)とを含み、前記冷却室(30)の少なくとも一部は前記中央開口(66)によって構成されており、入口(67)は前記中央開口(66)に延びており、出口(68)は前記中央開口(66)から延びている、
出口(62)は前記中央開口(61)から延びている、
請求項
1~9のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項11】
前記ポリマーフレーム(41、43)は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの、剛性のあるフルオロポリマーを含む、
請求項1~
10のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項12】
前記ガスケット(40、42、44)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの弾性のあるフルオロポリマーを含む、
請求項
8~10のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項13】
前記フィルム(31)は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフルオロポリマーを含む、
請求項
1~12のいずれか1項に記載の膜ろ過器。
【請求項14】
純水を提供するための膜ろ過アセンブリ(1)であって、
純水を生産するように構成された膜ろ過器(2)であって、蒸発室(7)および凝縮室(8)を有し、前記蒸発室(7)および前記凝縮室(8)が膜(9)によって分離されている、膜ろ過器(2)と、
前記膜ろ過器(2)に接続されており、純水を中間的に保存するための貯水槽(4)と、
前記膜ろ過器(2)に接続された給水ユニット(3)と、
前記貯水槽(4)に接続された純水ディスペンサツール(5)と、
を含み、
前記膜(9)は、不織の第1層(46)とスパンボンドされた第2層(47)とを含む多層ポリマー膜であり、前記不織の第1層(46)は、1000ナノメートル以下の孔径を有し、前記スパンボンドされた第2層(47)は、前記第1層(46)に積層され、前記凝縮室(8)に面し、
前記膜ろ過器(2)は、剛性のある第1ポリマーフレーム(41)を含み、前記第1ポリマーフレーム(41)は、第1表面(48)と、第2表面(49)と、前記第1表面(48)および前記第2表面(49)の間において延びた中央開口(50)を有し、前記凝縮室(8)の少なくとも一部は、前記中央開口(50)によって構成されており、前記膜(9)は、前記第1ポリマーフレーム(41)において前記中央開口(50)を覆う前記第1表面(48)に接続され、前記膜(9)の前記第2層(47)は前記第1ポリマーフレーム(41)の前記第1表面(48)に面
し、前記膜ろ過器(2)は、前記凝縮室(8)の近傍に位置する冷却室(30)を含み、フィルム(31)は、前記冷却室(30)と前記凝縮室(8)とを分離させる、
膜ろ過アセンブリ。
【国際調査報告】