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特表2024-544183ラインアレイの巻き付け及び展開システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ラインアレイの巻き付け及び展開システム
(51)【国際特許分類】
   B63B 22/08 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B63B22/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532169
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022080570
(87)【国際公開番号】W WO2023102380
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/284,296
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524059674
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ミスリア,ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】カールステン,カーティス ビー.
(57)【要約】
充填型センサラインアレイシステムは、中心マンドレルの周りに巻き付けられたケーブルパックの外側に取り付けられたセンサを含む。システムでは、センサとケーブルパックの複数の列(層)が、キャニスタにより包囲され得る。ケーブル保持具を使用して、ケーブル端部がセンサの近くに保持され、ケーブル端部が後続の巻き付け動作の邪魔にならないように維持され得る。巻き付けはインサイチュで行われ得、マンドレルは回転可能チャックに取り付けられ、回転可能チャックが回転することで、マンドレルの周りに個々のケーブルパックが順次巻き付けられ、巻き付け動作の合間に、巻線の外側にセンサが配置される。位置決め可能な割り出しツールをマンドレルに連結して、マンドレルに沿って移動させることで、ケーブルパックの巻き付けごとに、マンドレルに沿ってスペースが画定され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填型センサラインアレイシステムであって、
中心マンドレルと、
ケーブルパックにより接続されたセンサであって、前記ケーブルパックは連続する前記センサ間に存在し、前記センサ及び前記ケーブルパックは一緒にセンサラインアレイを構成する、前記センサと、
を備え、
前記ケーブルパックは、前記中心マンドレルの周りに巻き付けられ、
前記センサは、前記ケーブルパックの外側に存在する、
充填型センサラインアレイシステム。
【請求項2】
前記ケーブルパックは、前記中心マンドレルの周りに巻き付けられるときに軸方向に積み重ねられる、請求項1に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項3】
前記センサに最も近い前記ケーブルパックの端部を保持するための1つ以上のケーブル保持具をさらに備える、請求項1または2に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のケーブル保持具は、ケーブルの前記端部が連結される1つ以上のリングである、請求項3に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項5】
前記マンドレルは、台座の一部であり、前記台座は、前記マンドレルの端部に終端重りも含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項6】
前記センサはソノブイである、請求項1~5のいずれか一項に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項7】
前記マンドレルの周りに前記ケーブルパックを巻き付けるための装具と組み合わせられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項8】
前記装具には、割り出しツールが含まれる、請求項7に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項9】
前記割り出しツールは、環状ディスクと、プレートに取り付けられた中空ロッドとを含む、請求項8に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項10】
前記中空ロッドは、前記中心マンドレルの周りに嵌合し、複数の位置のうちのいずれかで前記中心マンドレルに固定されるように構成される、請求項9に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項11】
前記中空ロッドには、該ロッドの軸方向に沿って間隔をあけて複数の穴が設けられており、
前記中心マンドレルには、穴が設けられており、
前記中空ロッドの前記複数の穴のうちの1つを前記中心マンドレルの前記穴と位置合わせすることにより、前記中空ロッドは前記中心マンドレルに対して所定位置に維持される、
請求項10に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項12】
前記装具には、巻き付け固定具が含まれる、請求項7~11のいずれか一項に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項13】
前記巻き付け固定具は、プレートと、前記プレートに連結された一連の調整可能ロッドとを含み、
前記巻き付け固定具は、前記中心マンドレルを回転可能チャックに連結するように構成される、
請求項12に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項14】
前記装具には、1つ以上の保持クリップが含まれる、請求項7~13のいずれか一項に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項15】
センサ保持クリップは、巻き付け中に、前記巻き付けたケーブルパックの周りにセンサを固定するように構成される、請求項14に記載の充填型センサラインアレイシステム。
【請求項16】
充填型センサラインアレイシステムに対して、ケーブルパックとセンサが交互に存在するセンサラインアレイを装填する方法であって、
連続する前記ケーブルパックのそれぞれについて、反復的に、中心マンドレルの周りに前記ケーブルパックを巻き付け、前記巻き付けたケーブルパックの外側に前記ケーブルパックに隣接するように前記センサを配置すること、
を含む、前記方法。
【請求項17】
前記ケーブルパックの巻き付けの逐次的な反復の合間に、割り出しツールを調整して、後続のケーブルパックを巻き付けるための巻き付けスペースを前記中心マンドレル上に用意することを、さらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記充填型センサラインアレイシステムの1つ以上の保持リングに、前記センサに隣接する前記ケーブルパックの端部を連結することを、さらに含む、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記巻き付けられたケーブルパックの外側にある1つ以上のセンサクリップに、センサラインアレイのセンサを連結することを、さらに含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記充填型センサラインアレイシステムが連結された回転チャックを使用して、前記充填型センサラインアレイシステムを回転させることにより、前記巻き付けは達成される、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年11月30日に出願された米国仮出願第63/284,296号の優先権を主張し、その開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本出願は、センサラインアレイ、及びこのようなアレイを充填及び展開する方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
ソノブイでの使用を目的としたハイドロフォンラインアレイは、ハイドロフォンの外径(OD)が関連アレイケーブルのODの約10倍になることが多いことから、スモールフォームファクタ内に充填することが困難である。従来のケーブル充填及び巻き付け方法は、小径ケーブルならびに関連大径ハイドロフォンの両方を効率的に収容できないため、使用することができない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様によれば、非常に小さなフォームファクタ(Aサイズのソノブイなど)にセンサラインアレイを充填及び展開するためのシステムが使用される。また、システムにより、壊れやすいアレイセンサ及び関連アレイケーブルに損傷または応力を与えることなく、信頼性の高いアレイ展開を行うことも可能となる。
【0005】
別の態様によれば、システムは、本明細書に説明されるアレイ充填ツールの集合を使用してインサイチュ(in situ)で巻き付けられた個々のケーブルパックの周りに配置されたセンサを有する、アレイ充填スキームである。
【0006】
システムは、様々な幾何学的形態のアレイ、様々なセンサ間隔、及びアレイあたりの様々なセンサ数に対応するように、容易に変更され得る。
【0007】
本発明は、ワイヤ燃焼リリースまたは他の同様のリリース機構を介して、深海での自律リリースを可能にするように構成されている。
【0008】
別の態様によれば、充填型センサラインアレイシステムは、中心マンドレルと、ケーブルパックにより接続されたセンサであって、ケーブルパックは連続するセンサ間に存在し、センサ及びケーブルパックは一緒にセンサラインアレイを構成する、センサと、を備え、ケーブルパックは中心マンドレルの周りに巻き付けられ、センサはケーブルパックの外側に存在する。
【0009】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、ケーブルパックは、中心マンドレルの周りに巻き付けられるときに軸方向に積み重ねられる。
【0010】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、充填型アレイは、センサに最も近いケーブルパックの端部を保持するための1つ以上のケーブル保持具を含む。
【0011】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、1つ以上のケーブル保持具は、ケーブルの端部が連結される1つ以上のリングである。
【0012】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、マンドレルは、台座の一部であり、台座は、マンドレルの端部に終端重りも含む。
【0013】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、センサは、ソノブイからの展開が容易になるように配置される。
【0014】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、充填型アレイは、マンドレルの周りにケーブルパックを巻き付けるための装具と組み合わせられる。
【0015】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、装具には、割り出しツールが含まれる。
【0016】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、割り出しツールは、環状ディスクと、プレートに取り付けられた中空ロッドとを含む。
【0017】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、中空ロッドは、中心マンドレルの周りに嵌合し、複数の位置のうちのいずれかで中心マンドレルに固定されるように構成される。
【0018】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、中空ロッドには、ロッドの軸方向に沿って間隔をあけて複数の穴が設けられている。
【0019】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、中心マンドレルには、穴が設けられている。
【0020】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、中空ロッドの複数の穴のうちの1つを中心マンドレルの穴と位置合わせすることにより、中空ロッドは中心マンドレルに対して所定位置に維持される。
【0021】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、装具には、巻き付け固定具が含まれる。
【0022】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、巻き付け固定具は、プレートと、プレートに連結された一連の調整可能ロッドとを含む。
【0023】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、巻き付け固定具は、中心マンドレルを回転可能チャックに連結するように構成される。
【0024】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、装具には、1つ以上の保持クリップが含まれる。
【0025】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、センサ保持クリップは、巻き付け中に、巻き付けたケーブルパックの周りにセンサを固定するように構成される。
【0026】
別の態様によれば、充填型センサラインアレイシステムに対して、ケーブルパックとセンサが交互に存在するセンサラインアレイを装填する方法であって、方法は、連続するケーブルパックのそれぞれについて、反復的に、中心マンドレルの周りにケーブルパックを巻き付け、巻き付けたケーブルパックの外側にケーブルパックに隣接するようにセンサを配置することを含む。
【0027】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、方法はさらに、ケーブルパックの巻き付けの逐次的な反復の合間に、割り出しツールを調整して、後続のケーブルパックを巻き付けるための巻き付けスペースを中心マンドレル上に用意することを含む。
【0028】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、方法はさらに、充填型センサラインアレイシステムの1つ以上の保持リングに、センサに隣接するケーブルパックの端部を連結することを含む。
【0029】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、方法はさらに、巻き付けられたケーブルパックの外側にある1つ以上のセンサクリップに、センサラインアレイのセンサを連結することをさらに含む。
【0030】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、充填型センサラインアレイシステムが連結された回転チャックを使用して充填型センサラインアレイシステムを回転させることにより、巻き付けは達成される。
【0031】
さらに別の態様によれば、センサラインアレイを充填及び展開するためのシステムは、センサと、ケーブルパックとを備え、センサはケーブルパックの周りに配列される。
【0032】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、センサは、ケーブルパックのそれぞれに対応する。
【0033】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、システムは、1つ以上のセンサ保持クリップを含む。
【0034】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、1つ以上のセンサ保持クリップは、組み立て中にアレイ内のセンサを保持する。
【0035】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、システムはさらに、ケーブルパックの端部を固定する1つ以上のケーブル保持具を含む。
【0036】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、1つ以上のケーブル保持具には、1つ以上のケーブル保持リングが含まれる。
【0037】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、1つ以上のリングは、柔軟なプラスチックまたはゴムで作られている。
【0038】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、ケーブルは、1つ以上のリングの変位タイプクリップに押し込まれる。
【0039】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、リングは、Oリングをケーブル上に設置することを可能にする機構を有し、これにより、ケーブルはクリップに対して保持される。
【0040】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、リングは滑らかである。
【0041】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、ケーブルはリングに接着接合される。
【0042】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、各センサのケーブルの上部は、保持クリップに取り付けられ、保持クリップは、センサを垂直に、内側のケーブルパックが上向きに繰り出されるときはセンサを外装シェルに向かって、軽く保持する。
【0043】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、システムはさらに、パックの形状を保持するバインダ材料を含む。
【0044】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、システムはさらに、外側シェルまたはキャニスタを含む。
【0045】
さらに別の態様によれば、いずれかの他の段落(複数可)に記載のシステムの設置ツールは、台座と、台座に機械的に連結された割り出しツールとを含む。
【0046】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、ツールは、発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載のシステムを組み立てるための回転チャックに取り付けられる。
【0047】
さらなる態様によれば、発明の概要のいずれかの他の段落(複数可)に記載のツールを使用する方法を用いて、発明の概要のいずれかの他の段落(複数可)に記載のシステムが組み立てられる。
【0048】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、方法はさらに、割り出しツールを台座に対して延長させて、個々のケーブルパックを形成することを含む。
【0049】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、方法はさらに、垂直バーを延長させることを含む。
【0050】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、方法はさらに、外側シェルまたはキャニスタを設置することを含む。
【0051】
発明の概要のいずれかの段落(複数可)に記載の実施形態によれば、方法はさらに、パックの巻き付け中、センサクリップを使用してセンサを所定位置に保持することを含む。
【0052】
本開示は、前述の目的及び関連する目的を達成するために、下記で完全に説明され、特許請求の範囲で具体的に指摘される特徴を含む。下記の説明及び添付の図面一式は、本発明の特定の例示的な実施形態を詳細に明らかにする。しかし、これらの実施形態は、本開示の原理を使用し得る様々な方法のうちのほんの数例を示すものである。他の目的、利点、及び新規の特徴は、本開示の下記の発明を実施するための形態を図面と併せて検討することにより、明らかになるであろう。
【0053】
添付の図面は、必ずしも縮尺通りではないが、本開示の様々な態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】実施形態による、充填型センサラインアレイシステムの斜視図である。
図2図1のシステムの一部を拡大した側面図である。
図3】充填する前のセンサラインアレイの一部の図である。
図4】例示目的でいくつかの部品が取り除かれた、部分的に充填されたシステムの斜視図である。
図5】割り出しツールと組み合わされた、図4の部分的に充填されたシステムの斜視図である。
図6】充填型センサラインアレイシステムの一部として使用可能な第1の実施形態の保持リングの斜視図である。
図7】充填型センサラインアレイシステムの一部として使用可能な第2の実施形態の保持リングの斜視図である。
図8】充填型センサラインアレイシステムの一部として使用可能な第3の実施形態の保持リングの斜視図である。
図9図1のシステムを充填する方法を示す側面図である。
図10】システムを充填する方法の高次フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
充填型センサラインアレイシステムは、中心マンドレルの周りに巻き付けられたケーブルパックの外側に取り付けられたセンサを含む。システムでは、センサとケーブルパックの複数の列(層)が、キャニスタにより包囲され得る。ケーブル保持具を使用して、ケーブル端部がセンサの近くに保持され、ケーブル端部が後続の巻き付け動作の邪魔にならないように維持され得る。巻き付けはインサイチュで行われ得、マンドレルは回転可能チャックに取り付けられ、回転可能チャックが回転することで、マンドレルの周りに個々のケーブルパックが順次巻き付けられ、巻き付け動作の合間に、巻線の外側にセンサが配置される。位置決め可能な割り出しツールをマンドレルに連結して、マンドレルに沿って移動させることで、ケーブルパックの巻き付けごとに、マンドレルに沿ってスペースが画定され得る。
【0056】
センサラインアレイを充填及び展開するためのシステムが、本明細書で説明される。巻き付け固定具を使用して、中心マンドレル/台座上にアレイが組み立てられる。アレイは、先入後出方式で組み立てられる。最初に設置されたセンサが、最後に繰り出される。センサがシステム内に設置されると、センサ間のケーブル(例えば6メートル(20フィート))が中心マンドレルの周りに巻き付けられ、個々のケーブルパックが作成される。実施形態では、36個のセンサを有するアレイが示されるが、システムは、任意の数のセンサを収容するように変更することができる。
【0057】
36個の個別のケーブルパックは、充填ツール/固定具を使用して、インサイチュで巻き付けられる。先入れ後出しであるように、展開は、充填プロセスの逆順に行われる。パックの形状を維持するために、ケーブルバインダが使用され得る。センサケーブル保持クリップは、他のセンサが繰り出されるときに、センサを所定位置に維持する。外装キャニスタは、20ゲージのアルミニウム製の深絞り板金外装管であり得る。管(キャニスタ)は、最後に設置され得る。
【0058】
センサは、ケーブルパックの周りに組み立てられ、充填中はツールにより、展開前は保持クリップ(図示せず)により、所定位置に保持される。100度のフラットヘッドが、終端重り/台座構造の外側に取り付けられる。アレイは、展開中、センサケーブル保持クリップにより中央のケーブルパックの周りに保持される。各センサのケーブルの上部は、保持クリップに取り付けられ、保持クリップは、センサを垂直に、内側のケーブルパック及び関連センサが上向きに繰り出されるときはセンサを外装シェルに向かって、軽く保持する。
【0059】
センサケーブル保持クリップは、様々なコンセプトのうちのいずれかであり得る。すべてのコンセプトは、100度のフラットヘッドで外装シェルに固定される。各コンセプトは、以下の1)~3)の異なる様式でケーブルを保持する。1)リングは柔軟なプラスチックまたはゴムで作られ、ケーブルは変位タイプクリップ機構に押し込まれる。2)リングは、ケーブル上に小さなOリングが設置されることを可能にする機構を有し、これにより、ケーブルはクリップに対して保持される。3)リングは簡素/滑らかであり、一時的な接着剤(低粘着性のホットメルト接着剤、「booger」接着剤など)を使用して、ケーブルはリングに「接着」される。
【0060】
アレイパックは、下から上へ組み立てられる(最初に設置されるセンサはS36であり、最後に設置されるセンサはS1である)。ツールが回転チャックに取り付けられ、ケーブルは台座の周りに巻き付けられる。割り出しツールは、個々のパックのサイズを設定する。ケーブルが巻き付けられるときにバインダ材料が適用されることで、パックの形状が保持される。充填中、後続のセンサ及びケーブルを巻き付けることができるように、センサは、垂直バー及びセンサクリップ上に折り重ねられる。センサのリード線は、センサを折り重ねることができるほど十分な長さが残されている。パックが構築されると、垂直バーが延長され、さらなるセンサクリップが追加される。
【0061】
最初の12個のセンサは、巻き付けられた後、センサケーブルクリップに取り付けられ、VELCRO(登録商標)(フックアンドループ材料)によりケーブルパックの周りの所定位置に保持される。S13~S24の充填を可能にするために、垂直バーが延長される。S25~S36についても、同様の動作が実行される。すべてのセンサが充填された後、VELCRO(登録商標)ストラップが取り外され、外径(OD)シェルが、パックの上に設置され、終端重り/台座及びセンサケーブルクリップに取り付けられる。
【0062】
本明細書で説明されるシステムは、従来の手法に対する利点/優秀性を提供する。この幾何学的形態のハイドロフォンアレイ、またはこの幾何学的形態の他のシステムを、アレイに損傷を与えることなく確実に展開できるような小さなフォームファクタに充填するための既知の解決策は存在しない。提案されるシステムは、高度な柔軟性を提供する。提案されるシステムは、直径及び形状が大きく異なるケーブル及びセンサを有するアレイを、効率的に充填して展開することができる。バインダ材料及び適用により、ケーブルパックは、展開されるまでその形状を保持することが可能となる。開示されるシステムにより、アレイ自体の中の間隔変更も可能となる。
【0063】
異なる高さの個々のケーブルパックが形成されるように充填ツールを設計することにより、様々な間隔を有するアレイが収容され得る。システムは、所与の用途に合わせて、迅速かつ容易に再構成され得る。システムは、高度な展開確実性を提供する。先入れ後出し充填方式により、ケーブルは、絡まるまたは結び目ができるような状態で設置されることは決してない。
【0064】
壊れやすいケーブルにかかる応力を低く維持するように、低張力のケーブルが求められことから、配置されるシステムは、軽い張力で巻き付けられ、ケーブルパックは、ある程度の体積非効率性を考慮してサイズ設定される。
【0065】
図1及び図2は、キャニスタ21内に充填されたセンサラインアレイ20を含む充填型センサラインアレイシステム10を示す。図3は、一連のセンサ22がそれら間にあるケーブルパック(複数のケーブル長)24により接続されたセンサラインアレイ20の一般的なレイアウトを示す。センサラインアレイ20のすべてのセンサ22は、介在ケーブル24により一列につなげられ得るので、センサラインアレイ20は、展開されると、介在ケーブル長により間隔をあけられた単一の長いセンサラインを構成する。
【0066】
センサ22は、例えばハイドロフォンであり得る。実施形態では、センサ22はそれぞれ、全長が7cm(2.75インチ)、直径が2cm(0.78インチ)であり得るが、他の様々なセンササイズも可能である。
【0067】
ケーブルパック24は、かなりの長さになり得る。実施形態では、ケーブルパック24は、2mm(0.075インチ)の太さのケーブルであり、隣接するセンサ22間のケーブルの長さは、6メートル(20フィート)である。ケーブルの適切な寸法は他にも多数可能であり、センサラインアレイ20が展開されたときに、センサ22の様々な適切な間隔の(例えば)いずれも実現できる。
【0068】
図1及び図2に戻り、さらに図4及び図5を参照すると、システム10は、キャニスタ21内に、終端重り32及びマンドレル34を含む台座30を備える。センサラインアレイ20は、キャニスタ21内に設置され、ケーブルパック24は、マンドレル34の周りに巻き付けられ、センサ22は、システム10の周囲に沿って、キャニスタ21の内壁に沿って、ケーブルパック24の外側に配列される。システムが水中に落とされたときに、センサラインアレイ20を展開するプロセスの一環として、キャニスタ21の内部に水が入り込むのを促進するために、キャニスタ21の下部には浸水穴38が設けられ得る。
【0069】
単一のセンサラインアレイ20では、センサライン20は、一端から反対端まで装填され、隣接するケーブルパック24がマンドレル34の周りに逐次的に巻き付けられる間、センサ22は逐次的に所定位置に保持される。センサ22(及び付随するケーブルパック24)は、キャニスタ21からセンサ22が展開される順序で装填され、最後に装填されたセンサが最初に展開される。センサライン20は、キャニスタ21の底部から装填され、最下列(層)42は、中間列(層)44の前に装填され、中間列(層)44は、最上列(層)46の前に装填される。ケーブルパック24は、列42~46のそれぞれ列の底部から始まる連続する軸方向層48で、マンドレル34の周りに巻き付けられる。
【0070】
列42、44、及び46の間には、対応する保持リング52及び54が設けられる。保持リング52及び54はそれぞれ、ケーブル保持クリップを有し得、これらは、システム10にセンサラインアレイ20を装填している間及び装填した後に、センサ22に近いケーブルパックの端部56及び58(図2)などの端部を固定する。
【0071】
システム10は、マンドレル34が所定位置にある状態で、マンドレル34の周りにセンサラインアレイ20を巻き付けることができるように構成される。巻き付け固定具62及びアレイパック割り出しツール64は、巻き付けプロセスで使用される装具65である。装置には、下記でさらに論述されるセンサクリップも含まれる。
【0072】
固定具62のプレート66は、終端重り32にボルトで固定されることなどにより、台座30に連結される。一連の調整可能ロッド68は、システム10内のケーブルパック24、センサ22、ならびに保持リング52及び54の位置の外側で、プレート66の周りに円周方向に配置される。巻き付けプロセス中に、ロッド68を使用して、巻き付け固定具62が固定され得る。システム10を製作するようにセンサライン20が最下列42(図1)から上方向に巻き付けられる巻き付けプロセス中に、ロッド68の位置が調整され得る。止めネジを使用して、ロッド68は所望の位置に固定され得る。
【0073】
装填(組み立て、または巻き付け)プロセス中に、マンドレル34の周りに連続するケーブルパック24を巻き付けるとき、巻き付けられたケーブルパック24を一連の軸方向層で互いに積み重なるように誘導するために、ツール64が使用される。割り出しツール64は、一連の穴84を有する中空ロッド82と、中空ロッド82の底端部にある環状ディスク86とを有する。穴84は、中空ロッド82の軸方向に均等に間隔をあけて配置され得、間隔は、マンドレル34の周りにケーブルパック24のうちの1つを巻き付けるための所望の高さに対応する。穴84は、中空ロッド82の両方の壁をロッド82の直径に沿って貫通し、ロッド82に沿って様々な高さに存在する貫通穴であり得る。マンドレル34は、その頂部近くに1つの穴88を有する。ピン92は、穴84のうちの1つ及び穴88を通過して、割り出しツール64(具体的には環状ディスク86)をマンドレル34に沿って所望の高さに固定するように、使用され得る。
【0074】
マンドレル34の周りにケーブルパック24が順次巻き付けられるときに、隣接するセンサ22を所定位置に保持するために、センサクリップ96などの1つ以上のセンサクリップが使用され得る。センサクリップ96は、隣接する一対の調整可能ロッド68に嵌合するカラー98と、カラー98の間に存在する湾曲バー100と、一対のセンサ22を把持するためのセンサ受け部材102とを有し得る。複数のセンサクリップ96を同時に使用して、例えば、システム10の列(層)を組み立てる間に、その列(層)のすべてのセンサが保持され得る。
【0075】
システム10を組み立てるためにセンサライン20を装填する際、割り出しツール64は、マンドレル34の周りに単一のケーブルパック24を巻き付けるのに適したスペースを提供するように配置され、例えば、中空ロッド82に沿って前の巻き付けで使用された穴84より下の次の穴84にピン92を入れて、割り出しツール64が配置される。これにより、巻き付けられたケーブルパック24のそれぞれは、独自の巻き付けスペース108を有することが可能となる。ケーブルパック24が逐次的に巻き付けられたスペース108は、システム10の底部から頂部へ軸方向に積み重ねられ、これにより、異なるケーブルパック24の巻線が重なり合うことが防止される。これにより、センサライン20がシステム10から展開されるときに、ケーブルパック24のスムーズな巻き戻しが促進される。
【0076】
図6図8は、保持リング52及び54の3つの可能な構成を示す。すべての構成において、保持リングは、ケーブルパック24の部分、例えばセンサ22の端部近くのケーブル長を保持するためのケーブルクリップを有する。図6に示される第1の構成では、保持リング52aは、ケーブル部分を保持するためのフックまたは変位機構53aを有する。図7に示される第2の構成では、保持リング52bは、ケーブル部分を受け入れて固定する凹部または戻り止めを含むクリップ53bを有し、例えば小さなOリングがケーブル部分上に設置される。図8に示される第3の構成では、保持リング52cは、ケーブル部分を固定するアームを備えたクリップ53cを有し、及び/または一時的な接着剤、例えば低粘着性のホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、ケーブルがリングに固定(接着)されることを可能にする。
【0077】
システム10の様々な部分は、適切な材料で作られ得、適切なプロセスで構築され得る。例えば、台座30及び/または割り出しツール64は、アルミニウムまたはステンレス鋼などの適切な金属で作られ得る。キャニスタ21も、アルミニウムで作られ得る。保持リング52及び54は、柔軟なプラスチックまたはゴムなどの柔軟な材料で作られ得る。センサクリップ96は、プラスチックなどから付加的に製造され得る。
【0078】
図9は、充填型センサラインアレイシステム10(図1)の一部として、センサラインアレイ20(図3)を設置するための充填システム140の部分を示す。図10は、センサラインアレイ20を設置する方法200の高次フローチャートである。ステップ202にて、固定具62がシステム140の回転チャック142に連結される。ステップ204にて、割り出しツール64は、次の巻き付けスペース108を解放した状態にする位置で、マンドレル34に固定される。
【0079】
次に、ステップ206にて、チャック142を回転させることにより、次のケーブルパック24(図3)がマンドレル34(図4)の周りに巻き付けられる。巻き付けられるケーブルパック24の前のセンサ22は、まだ固定されていない場合は、センサクリップ96で固定され得る。巻き付けは、マンドレル34の周りにケーブルパック24の大部分を巻き付けるように行われるが、後続のセンサ22及びケーブル端部の位置決めを可能にするために、いくらかのケーブルが尚も残される。ステップ208にて、後続のセンサ22(図1)が折り重ねられ、センサクリップ96に固定される。ほぼ同時に(直前または直後に)、ステップ210にて、後続のセンサの近くのケーブル端部が、保持リング52または54(図1)に固定される。巻き付けられたケーブルパック24は、適切な拘束により、例えばフックアンドループ材料で固定されたストラップで巻かれることにより、固定され得る。次にプロセスはステップ204に戻り、割り出しツール64は、マンドレル34に沿って動かされ、次の巻き付けスペース108を解放した状態にする。このプロセスは、一列が満たされるまで繰り返され、その後、すべての列が満たされ、センサラインアレイ20が完全に装填されるまで繰り返され得る。センサクリップ96は、プロセス中に必要に応じて再配置され、各列が完全に装填されると取り外される。
【0080】
センサアレイ20が完全に装填された後、システム10は、回転チャックから連結を解かれ得、割り出しツール64及び巻き付け固定具62は、装填済みシステム10から取り外され得る。最後に、装填されたアレイの上に、キャニスタ21(図1)が配置され、固定され得る。
【0081】
展開時に、システム10は、水中を通って下方に落下するように放たれる。このプロセスは、システム10の負の浮力特性により促進される。次に、センサ22及びケーブルパック24が充填された順序と逆の順序で、センサラインアレイ20が展開される。最後に充填されたセンサが、最初に展開される。終端重り32は、センサラインアレイ20の一端を下方に偏向させ、様々なセンサ22を分離した状態に維持し、ケーブルパック24が互いに絡まるのを防ぐアンカーとして機能する。
【0082】
システム10には、センサラインアレイ20を小さなスペースに装填するという利点がある。さらに、充填システム140を使用することで、システム10のインサイチュ装填が可能になるため、装填プロセスがより効率的に実行され得る。最後に、巻き付け方法は、巻き付け及び展開中に、ケーブルパック24が互いに絡まるのを回避するのに役立つ。
【0083】
本態様は1つ以上の特定の好ましい実施形態に関して図示及び説明されたが、本明細書及び添付図面を読み理解すれば、同等の変更及び修正が当業者に想起されることは明らかである。具体的には、前述の要素(コンポーネント、アセンブリ、デバイス、組成物など)により実行される様々な機能に関して、このような要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、特に指示のない限り、本明細書に示される本開示の例示的な1つ以上の実施形態において機能を実行する本開示の構造と構造的に同等でなくても、説明される要素の特定の機能を実行する(すなわち機能的に同等である)任意の要素に対応することが意図される。さらに、本開示の特定の特徴は、いくつかの示される実施形態のうちの1つ以上に関してのみ前述され得たが、このような特徴は、いずれの所与または特定の用途でも望ましく有利であり得るように、他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。
図1
図2
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図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】