(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】フレーバ物質を経鼻的に吸収するための飲用装置用アタッチメント及び飲用装置
(51)【国際特許分類】
B65D 23/12 20060101AFI20241121BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20241121BHJP
A47G 19/22 20060101ALI20241121BHJP
A47G 21/18 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
B65D23/12
A47J41/02 102
A47J41/02 104
A47G19/22 M
A47G21/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532411
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2021083547
(87)【国際公開番号】W WO2023098974
(87)【国際公開日】2023-06-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520020524
【氏名又は名称】エアー アップ グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】イェーガー,ティモ
【テーマコード(参考)】
3B001
3B115
3E062
4B002
【Fターム(参考)】
3B001DB20
3B001DC01
3B115BA18
3E062AA09
3E062AB02
3E062AC02
3E062AC03
3E062BA04
3E062BA20
3E062BB03
3E062KA03
3E062KC01
4B002AA13
4B002BA07
4B002BA21
4B002CA31
(57)【要約】
飲用装置用のアタッチメントであって、
飲用流体のためのリザーバ(12)に液密に取り付けるためのアダプタ要素(14)と、
アダプタ要素(14)に着脱可能に固定するためのヘッド部分(20)と、
ヘッド部分(20)に固定可能であって、気体流通可能なフレーバ容器(32)と、
前記ヘッド部分(20)に固定可能な、飲用流体のための輸送チャネル(44)と、を備え、
アダプタ要素(14)は第1アダプタ部分(16)及び第2アダプタ部分(18)を有し、
第1アダプタ部分(16)は、リザーバ(12)への取り付けのため、及び前記第2アダプタ部分への取り付けのために適合されており、
第2アダプタ部分(18)は、第1長手軸(L1)を有する第1開口部(36)、及び第2長手軸(L2)を有する第2開口部(40)を備え、
第1長手軸(L1)は、第2長手軸(L2)に対して角度をなしており、この角度は少なくとも20°である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーバ物質を経鼻的に吸収するための飲用装置用のアタッチメントであって、
- 飲用流体のためのリザーバに液密に取り付けるためのアダプタ要素と、
- 前記アダプタ要素に着脱可能に固定するためのヘッド部分と、
- 前記ヘッド部分に固定可能であって、気体流通可能なフレーバ容器と、
- 前記ヘッド部分に固定可能な、飲用流体用の輸送チャネルと、を備え、
- 前記アダプタ要素は第1アダプタ部分及び第2アダプタ部分を有し、
- 前記第1アダプタ部分は、前記リザーバへの取り付けのためと、前記第2アダプタ部分への取り付けのためと、に適合されており、
- 前記第2アダプタ部分は、第1長手軸を有する第1開口部と、第2長手軸を有する第2開口部と、を備え、
- 前記第1長手軸は、前記第2長手軸に対して角度をなしており、前記角度は少なくとも20°である、
飲用装置用アタッチメント。
【請求項2】
前記フレーバ容器は、容器壁で囲まれた内部空洞と、前記容器壁を貫通する空気入口開口部と、前記容器壁を貫通する空気出口開口部と、を備える、
請求項1記載の飲用装置用アタッチメント。
【請求項3】
前記ヘッド部分は、空気チャネルを有し、
前記空気チャネルの第2端部は、飲用流体のための前記輸送チャネルの内部空間と流路連通しており、
前記空気チャネルの第1端部は、空気出口開口部が前記空気チャネルの前記第1端部と流路連通する位置に前記フレーバ容器が移動可能であるように配置されている、
請求項2記載の飲用装置用アタッチメント。
【請求項4】
前記第2アダプタ部分は、少なくとも領域的に多重壁、特に二重壁である、
請求項1乃至3いずれか1項記載の飲用装置用アタッチメント。
【請求項5】
前記第2アダプタ部分の内壁と外壁との間の空洞に、紫外線放射部品を配置することができる、
請求項4記載の飲用装置用アタッチメント。
【請求項6】
飲用流体用の前記輸送チャネルは、湾曲する経路を有する長手軸を備える、
請求項1乃至5いずれか1項記載の飲用装置用アタッチメント。
【請求項7】
飲用流体用の前記輸送チャネルは飲用ストローであり、
前記飲用ストローの外形断面は、少なくとも前記ヘッド部分における固定領域内で、前記飲用ストローが飲用流体用の前記輸送チャネルの長手軸に関する単一の回転位置においてのみ前記ヘッド部分に固定可能であるように、設計されている、
請求項1乃至6いずれか1項記載の飲用装置用アタッチメント。
【請求項8】
前記フレーバ容器は、実質的に環状であり、半径方向外側の境界壁と半径方向内側の境界壁とを有し、
前記半径方向内側の境界壁は、断面が円形から逸脱した形状を有する空間を囲む、
請求項1乃至7いずれか1項記載の飲用装置用アタッチメント。
【請求項9】
前記アダプタ要素は、携帯用ストラップを取り付けるための受入ユニットを備えている、
請求項1乃至8いずれか1項記載の飲用装置用アタッチメント。
【請求項10】
前記アダプタ要素及び前記ヘッド部分はプラスチック製である、
請求項1乃至9いずれか1項記載の飲用装置用アタッチメント。
【請求項11】
前記第2アダプタ部分は、第1開口部の領域に少なくとも1つの第1位置決め要素を有し、
前記第1位置決め要素は、前記ヘッド部分に設けられた第2位置決め要素と協働し、
前記ヘッド部分は、前記第1長手軸に対して所定の回転位置でのみ前記第2アダプタ部分に取り付けられる、
請求項1乃至10いずれか1項記載の飲用装置用アタッチメント。
【請求項12】
フレーバ物質を経鼻的に吸収するための飲用装置であって、
- 飲用流体のためのリザーバと、
- 飲用流体のための前記リザーバに固定される、請求項1乃至11いずれか1項記載のアタッチメントと、
を備える飲用装置。
【請求項13】
飲用流体のための前記リザーバは前記アダプタ要素とは異なる材料製であり、
好ましくは、前記アダプタ要素はプラスチック製であり、飲用流体のための前記リザーバは金属製である、
請求項12記載の飲用装置。
【請求項14】
前記リザーバは、少なくとも領域的に二重壁である、
請求項12又は13記載の飲用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーバ物質を経鼻的に摂取するための飲用装置用アタッチメント、及び、かかるアタッチメントを備えた飲用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲用流体に溶け込んだフレーバ物質又は安定剤の吸収によって引き起こされる健康リスクを避けつつ、一方で心地よい味を有する飲用流体を摂取する必要性が高まっている。加えて、カロリーの増加も避けなければならない。
【0003】
その結果、ほのかなフルーツフレーバの水が近年人気を博している。しかし、このフレーバウォーターには、安定化物質や一定量の糖分といった好ましくない添加物も含まれているため、これらのフレーバ飲料はカロリーも高く、多くのユーザに拒否されている。
【0004】
この問題を解決するための第一歩は、飲料を消費する直前に風味フレーバを添加することである。US2008/028353A1及びUS2015/030726A1は、本来別々に添加されるはずのフレーバ物質を、飲料の消費直前又は消費中に飲用流体に添加し溶解させる投与システムの例である。この措置によれば、長時間にわたって飲用流体を安定化するなどの問題を回避できるが、添加物の望ましくない吸収という問題は残る。
【0005】
食品や飲料を消費する際、嗅覚的な印象が味覚的知覚の(der gustatorischen Wahrnehmung)重要な部分を占めるため、これまでの飲用システムでは、飲用時に知覚される匂いに影響を与えようとしている。このため、US 5,635,229では、飲用開口部付近の飲用容器にフレーバ要素を固定し、フレーバ要素がユーザの鼻のすぐ近くに来るようにすることで、ユーザが飲用中に鼻から呼吸することで匂いを吸収することを提案している。US8,662,339B2による飲用容器も、この原理に従って動作し、飲用中に鼻からフレーバを吸い込む。
【0006】
WO2019/016096A1は、気体流通可能なフレーバ容器を備え、飲用流体のための輸送チャネルにフレーバ付き空気を供給する、フレーバ物質の経鼻的吸収のための飲用装置を開示している。このようにして、フレーバ物質は経鼻的に吸収される。飲用時、フレーバ物質は飲用流体とともにユーザの口に入り、咽頭を経由して嗅粘膜まで上り、そこで受容体によって感知され、ユーザに知覚される。これは、嗅覚と味覚の間に密接な関係があるという事実を利用したものである。したがって、実際には後鼻で嗅いでいるだけであるにもかかわらず、ユーザは香りを味わっているような印象を受ける。
【0007】
WO2020/126210A1には、フレーバ物質を経鼻的に摂取するための、このような飲用装置の特別な設計が記載されている。
【発明の概要】
【0008】
フレーバ物質又はアロマ物質(Aromasubstanz)を経鼻的に又は後鼻で(retronasal)吸収するための飲用装置は、吸収される飲用流体に関して可能な限り可変的であり、かつ可能な限り持続的に使用できるように設計する必要性が高まっている。
【0009】
したがって、本発明は、フレーバ物質を経鼻的に吸収するための飲用装置を、飲用流体との関係においてより可変的で、より持続可能なものにするという課題に基づいている
【0010】
この課題は、請求項1の特徴を有する飲用流体用のアタッチメントと、請求項12の特徴を有するフレーバ物質の経鼻的な吸収のための飲用装置によって解決される。好ましい実施形態は、残りの請求項から導かれる。
【0011】
本発明による、フレーバ物質を経鼻的に吸収するための飲用装置用のアタッチメントは、飲用流体のためのリザーバに液密に取り付ける(fluessigkeitsdichten Anbringung)ためのアダプタ要素と、アダプタ要素に着脱可能に固定する(loesbaren Befestigung)ためのヘッド部分と、ヘッド部分に固定可能であって、気体流通可能なフレーバ容器(Aromabehaelter)とを備える。さらに、飲用流体のための輸送チャネルはヘッド部分に固定可能である。アダプタ要素は、第1アダプタ部分及び第2アダプタ部分を有し、第1アダプタ部分は、リザーバへの取り付けのため、及び、第2アダプタ部分への取り付けのために適合されている。第2アダプタ部分は、第1長手軸を有する第1開口部、及び、第2長手軸を有する第2開口部を備え、第1長手軸は、第2長手軸に対して角度をなしており、その角度は少なくとも20°である。
【0012】
第1アダプタ部分及び第2アダプタ部分を有するアダプタ要素を設けることにより、異なる形状の第1アダプタ部分が第2アダプタ部分と協働することができるので、第1アダプタ部分を異なる飲用流体用リザーバに固定することが可能になり、したがって、第1アダプタ部分はそれぞれ第2アダプタ部分に取り付け可能であり、飲用流体用リザーバの異なる取り付け形状に適合させることができる。最も単純なケースでは、これは、飲用流体用リザーバに設けられる異なるネジ山形状又はネジ山直径を含む可能性がある。
【0013】
さらに、第1アダプタ部分と第2アダプタ部分を有するアダプタ要素は、第1長手軸と第2長手軸が互いに角度をなして配置されたアダプタ要素のクランク状の設計(die gekroepfte Bauform)が製造コストの増加を伴うため、アダプタ要素の製造を簡素化できるという利点がある。また、2つのアダプタ部分からアダプタ要素を製造することで、製造公差に準拠することも容易になる。
【0014】
さらに、本発明によるアタッチメントは、ガラス、スチール又はプラスチック材料などの任意の材料からなる、モジュールシステムの意味での飲用流体用のリザーバに取り付けることもできる。特に、スチール製の飲用流体用リザーバを使用する場合、プラスチック製のアタッチメントに比べて耐用年数が長いため、アタッチメントは交換可能である。また、本発明によるアタッチメントを交換することは、衛生上の理由から所望される場合もある。この場合、アタッチメントのみを交換すればよく、飲用装置全体を交換する必要はないので、本発明によるアタッチメントは、本発明によるアタッチメントを有する飲用装置の持続可能性に寄与する。
【0015】
第1長手軸を有する第2アダプタ部分の第1開口部は、ヘッド部分を着脱可能に固定するために作用することができ、第2長手軸を有する第2開口部は、第1アダプタ部分を取り付け可能であるアタッチメントの側面を表す。第2長手軸は、アタッチメントに接続可能な飲用流体用のリザーバの長手軸に対応する。
【0016】
第2長手軸に対する第1長手軸の角度配置は、ヘッド部分が飲用流体用のリザーバに対して角度をなして(winklig)配置され、これにより、本発明によるアタッチメントを備える飲用装置は、人間工学的に改善され、さらに、使用者が飲用装置をどのように保持すべきかが直感的に明確になる、という利点を有する。アダプタ要素、ひいてはアダプタ要素に接続された飲用装置の延長部に屈曲部を(eines Knicks)設けることにより、飲用装置は飲用中に傾くことも著しく減少し、飲用流体が誤ってこぼれる危険性が減少する。第1長手軸と第2長手軸との間に角度を設けることで、飲用容器を傾けることなく、直立した状態で飲用容器を交換することも可能になる。
【0017】
好ましくは、フレーバ容器は、容器壁で囲まれた内部空洞と、容器壁を貫通する空気入口開口部と、容器壁を貫通する空気出口開口部とを備える。
【0018】
容器壁で囲まれた内部空洞は、適切な方法でフレーバ物質を含むことができる。この目的のために、フレーバ容器の内部空洞内に、フレーバ物質又は異なるフレーバ物質の混合物を有するキャリア物質が存在することができる。フレーバ物質は、好ましくは流体状で提供される。
【0019】
内部空洞には、フレーバ物質を有するキャリア物質に加えて、空気で満たされたヘッドスペースも存在し、ヘッドスペースは、容器壁を貫通する空気入口開口部から流入する空気を、容器壁を貫通する空気出口開口部から流出する前に、可能な限り均等にフレーバ物質で富化する役割を果たすことが好ましい。
【0020】
フレーバ容器の内部空洞内のキャリア物質は、多孔性フレーバキャリア材料、好ましくは不織材料を含む。さらに、100Paの差圧における多孔性フレーバキャリア材料の空気透過性は、好ましくは少なくとも200l/(m2・s)であり、好ましくは220l/(m2・s)と280l/(m2・s)との間である。
【0021】
さらに、フレーバキャリア材料の空孔率は、好ましくは70%と93%との間、より好ましくは70%と80%との間である。
【0022】
さらに、フレーバ容器の空気入口開口部の領域におけるレイノルズ数Reが少なくとも2300であることが好ましく、ここで、無次元レイノルズ数は、空気の動粘度ν[m2/s]、空気入口開口部の直径d[m]、及び空気入口開口部を通ってフレーバ容器に平均体積流量250ml/分~600ml/分で流入するときの空気の流速w[m/s]で、Re=(w・d)/νとして定義される。
【0023】
レイノルズ数が少なくとも2300であることは、乱流又は少なくとも層流と乱流の間の過渡領域にある流れを特徴付ける。乱流は良好な混合を保証し、フレーバ容器を流れる空気流中のフレーバ物質の吸収を改善する。1分間当たりの所与の体積流量は、本発明によるアタッチメントが飲用流体用のリザーバに結合され、ユーザが飲用装置から飲むときに、一時的な体積流量が時にかなり変動することを考慮している。飲用プロセスは、均一な静的なプロセスではなく、むしろ、吸飲プロセス中及び嚥下プロセス中に、飲用流体用の輸送チャネルにおいて異なる圧力及び異なる流速が優勢であるため、一時的な体積流量にはかなりの変動があり、したがって、空気が空気入口開口部を通過する流速も同様である。しかしながら、フレーバ容器を備えた本発明によるアタッチメントは、意図したとおりに使用された場合、平均体積流量が250ml/分~600ml/分であることが実験的に示されている。生理的な飲用プロセスを、多数の異なる成人について測定した。体積流量は流速と断面積の積であるため、流れ状態を記述するレイノルズ数が少なくとも2300でなければならないという条件下で、空気入口開口部の開口断面の適切な範囲を決定することができる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によれば、第2アダプタ部分は、少なくとも特定の領域において多重壁、特に二重壁である。
【0025】
この設計には、アダプタ部分の断熱性が著しく向上するという利点があり、したがってアダプタ部分は、より長い時間間隔にわたって低温又は高温を維持すべき飲用流体が充填された飲用流体用保存容器に使用するのにも適している。二重壁のアダプタ部分は、飲用流体用のリザーバである魔法瓶への使用に特に適している。
【0026】
二重壁のアダプタ部分の好ましい実施形態によれば、電池やプロセッサなどのユニットを含むUV発光部品を、第2アダプタ部分の内壁と外壁の間の空間に配置することができる。UV発光部品は、例えばUVダイオードの形態であり、作動中、第2アダプタ部分の内壁を通してアダプタ部分の内壁で囲まれた空間を殺菌する(desinfiziert)ように配置することができる。また、NFCを利用した無線データ接続によりスマートデバイスと結合することができる充填レベル測定など、センサ要素をアダプタに取り付けて一体化することもできる。機能的要素をアダプタに統合することの利点の一つは、システムのモジュール性に加えて、何よりも、急速な技術進歩の影響を受けるセンサ技術を迅速かつコスト効率よく持続的に置き換えることができることである。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、ヘッド部分は空気チャネルを有し、空気チャネルの第2端部は、飲用流体用の輸送チャネルの内部空間と流路連通しており、空気チャネルの第1端部は、フレーバ容器の空気出口開口部が空気チャネルの第1端部と流路連通する位置にフレーバ容器が移動可能であるように配置されている。
【0028】
このようにして、フレーバ容器内を流れる空気は、フレーバ容器の空気出口開口部から出た直後に、飲用流体用の輸送チャネルに開口する空気チャネルに入ることができる。しかしながら、空気出口開口部が空気チャネルの第1の端部と流路連通する位置にフレーバ容器が移動可能であるという特徴は、フレーバ容器がこの流路連通が存在しない位置に移動可能であり、したがって、フレーバ容器から空気が漏れないということも同様に意味する。この位置では、フレーバ付き空気は流体用の輸送チャネルに入らず、フレーバ容器は、フレーバ付き空気の逃げが防止されるか、少なくとも大部分が防止される静止位置にある。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、飲用流体用の輸送チャネルは、湾曲する経路を有する長手軸を有する。
【0030】
本発明によるアタッチメントはアダプタ要素を備え、第2アダプタ部分はクランク状であり、第1長手軸は第2長手軸に対して角度をなしており、飲用流体用の輸送チャネルはヘッド部分に固定可能であり、輸送チャネルの湾曲した経路は、飲用流体用のリザーバの底部の近くまで案内されることができ、そのため、本発明によるアタッチメントを、適切な形状を有する飲用流体入りリザーバに使用した場合、飲用流体はユーザにほぼ完全に吸引されることができるという利点を有する。
【0031】
飲用流体用の輸送チャネルを飲用ストローとして設計し、その外形断面を、少なくともヘッド部分への固定領域において、飲用ストローが長手軸に対して単一の回転位置でのみヘッド部分に固定可能であるように設計すると有利である。ヘッド部は好ましくはシリコーン製で、挿入されたストローを摩擦結合により(reibschluessig)保持できる。
【0032】
この設計の利点は、ヘッド部分への固定の際に回転位置を規定することによって、輸送チャネルの長手軸の経過の曲率も規定された配向を有し、その配向が、飲用装置用のアタッチメントを飲用流体用のリザーバに取り付ける際に飲用装置用のアタッチメントの全体的な形状と一致することである。
【0033】
好ましくは、フレーバ容器は、実質的に、半径方向外側の境界壁と半径方向内側の境界壁とを有する環状であり、半径方向内側の境界壁は、断面が円形から逸脱した形状を有する空間を取り囲む。
【0034】
実質的にリング状の形状を有するフレーバ容器を提供することは、多くの利点を有する。第一に、かかるフレーバ容器は、飲用流体用のリザーバにアタッチメントを使用する際に、飲用装置上で非対称な重量分布が生じないため、フレーバ容器の重量が邪魔に感じられることなく、飲用流体用の輸送チャネルの周囲のアタッチメントのヘッド部分に固定することができる。さらに、空気入口開口部及び空気出口開口部の所期の配置によって環状の形状を設けることにより、フレーバ容器を流れる空気流ができるだけ長い経路をカバーし、フレーバチャンバ内にあるフレーバ物質をできるだけ完全に富化又は濃縮する(sich...anreichert)ことが保証される。
【0035】
半径方向内側の境界壁が、断面が円形から逸脱した形状を有する空間を囲むことにより、アタッチメント上のフレーバ容器の正しい位置決め(das korrekte Platzieren)を容易にすることができる。円形から逸脱した形状が、ヘッド部に対する回転に関してフレーバ容器の単一の位置しか許容しない場合、ヘッド部分に関するフレーバ容器の明確な位置決めを確実にすることができる。さらに、フローパターンのすべての変化が乱流の発生をサポートするため、フレーバ容器を通って流れる空気は、フレーバチャンバの内部空洞の断面変化と曲率の変化によって、よりよく混合される。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、アダプタ要素は、携帯用ストラップを取り付けるための受け入れユニットを備えている。受け入れユニットは、例えば、さねはぎ式システム(Nut-Feder-System)として設計することができる。
【0037】
このようにして、異なる携帯用ストラップをアダプタ要素に便利に固定することができる。携帯用ストラップの色を選択することで、ユーザの希望に応じてアタッチメントを個別化する(individualisieren)ことができるが、飲用流体用の異なるリザーバに取り付けるために異なる第1アダプタ部分を使用する場合にも、ユーザが把握しやすい差別化を図ることができる。
【0038】
第2アダプタ部分の長手軸がリザーバの長手軸と一致する、第2アダプタ部分の領域に携帯用ストラップが配置されるように、携帯用ストラップを第2アダプタ部分に配置することにより、携帯用ストラップは飲用プロセス中にも使用されることができる。さらに、携帯用ストラップは、蓋22がねじ込まれたり緩められたりするときに回転しない飲用装置の一部に配置されているため、ユーザは、蓋のねじを緩めたり外したりしている間、飲用具を携帯用ストラップで保持することができる。
【0039】
携帯用ストラップは取り外し可能であるため、破損した場合には簡単に交換することができる。さらに、携帯用ストラップは、例えば、関連するエネルギー貯蔵装置を必要とする紫外線発光ユニットにエネルギーを供給するために、バッテリーやアキュムレーターなどのエネルギー貯蔵装置へのインターフェースとして機能することができる。
【0040】
第2アダプタ部分の形状が湾曲しているため、ユーザは、飲用装置全体を傾ける必要がなく、マウスピースから快適に飲むことができる。飲用装置は、携帯用ストラップによって、直立姿勢で、すなわち底部を水平向けて使用することができ、あるいは飲用装置は、飲用プロセス中に水平面に置かれることができる。
【0041】
好ましくは、アダプタ要素とヘッド部分はプラスチック製である。プラスチックを使用することで、アダプタ要素は射出成形によって容易に大量生産することができる。さらに、携帯用ストラップの色に加えて、使用するプラスチック材料に適切な色を選択することで、さらなる個別化(Individualisierung)と携帯用ストラップとの色合わせを達成することができる。プラスチックは密度が低く、したがって軽量化が可能であり、材料の節約や輸送コストの低減に加え、利用者にも心地よく感じられるため、特に適している。プラスチックはまた、射出成形工程で溶融物として加工されるため、設計の自由度が高い。これは、複数の部品の機能を1つの部品に統合するインテグラルデザインにおける複雑な形状の製造に有利なだけでなく、関連する製造工程の削減にもつながる。
【0042】
好ましい実施形態によれば、第2アダプタ部分は、第1開口部の領域に少なくとも1つの第1位置決め要素を有し、この第1位置決め要素は、ヘッド部分に設けられた第2位置決め要素と協働し、したがって、ヘッド部分は、第1長手方向軸に対して定められた位置でのみ第2アダプタ要素に取り付けることができる。
【0043】
少なくとも1つの第1位置決め要素を設けることにより、ヘッド部分をセンタリングすることができる。これは、アタッチメントのクランク状の形態のために必要である。なぜなら、ヘッド部分には圧力平衡化チャネルが設けられており、この圧力平衡化チャネルは、飲用プロセスの際に飲用流体が漏れないように、飲用プロセスの中に飲用装置の上端に配置されるべきであるからである。さらに、長手軸が湾曲した経路を有する飲用流体用輸送チャネルは、ヘッド部分が正しく挿入された場合、すなわちヘッド部が正しい向きで挿入された場合にのみ、正しく使用することができる。第1位置決め要素及び第2位置決め要素は、好ましくは、1つ以上のリブ及び1つ以上の凹部であり、これらは、ヘッド部品を第2アダプタ要素に取り付ける際のガイド機能も果たし、これにより、ヘッド部分をアダプタ要素に取り付けることも容易になる。
【0044】
本発明による飲用装置は、好ましくはアダプタ要素とは異なる材料で作られ、アダプタ要素は好ましくはプラスチック製であり、リザーバは金属製である。
【0045】
このようにして、個々のモジュール部品の異なる寿命を考慮に入れたり、飲用流体用リザーバ又はアタッチメントのいずれかの損傷を、損傷した部品のみを交換することによって修復したりすることができるので、本発明による飲用装置は長期間にわたって持続的に使用されることができる。
【0046】
好ましくは、飲用流体用のリザーバは、少なくとも一部の領域が二重壁になっている。こうすることで、リザーバは、温かい飲用流体と冷たい飲用流体の両方を、できるだけ長い時間、温かいまま、或いは、冷たいまま保存することができる。さらに、二重シェル構造は、より少ない材料で、単壁の保存容器と同じ機械的安定性を提供する。このようにして、本発明による飲用装置の大量生産において、かなりの材料節約を達成することができる。
【0047】
また、第1アダプタ部分と第2アダプタ部分との接続領域には、第1アダプタ部分の第2アダプタ部分への接続を容易にするために、例えば第1アダプタ部分に対向する第2アダプタ部分の壁面にガイドリブ(Fuehrungsrippe an der dem ersten Adapterteil zugewandten Wandung)の形態で、適切な位置決め及びガイド要素を設けることができ、したがって、第1アダプタ部分は、第2アダプタ部分に対して定められた位置でのみねじ固定されることができる。さらに、第1アダプタ部分と第2アダプタ部分との間の形状結合によるガイド及び位置決めユニットは、第2アダプタ部分が第1アダプタ部分に対して回転できないように作用することもでき、したがって、ユーザは、第2アダプタ部分を飲用流体用のリザーバに対して回転することによって、自動的に、飲用流体用のリザーバの上にねじ固定された第1アダプタ部分をリザーバから外したり、リザーバの上にねじ固定し(aufschrauben)たりすることができる
【0048】
本発明の好ましい実施形態によれば、ヘッド部分は、空気チャネルと連通する空気チャンバを有する。この空気チャンバは、飲用中及び飲用後の過圧及び低圧を緩衝する安全緩衝器となり、飲用流体がフレーバ容器に流入するのを防止することができる。特に、これは、飲用装置における飲用プロセスの終了時に生じる、飲用流体の輸送チャネル及びヘッド部分の空気チャネルにおける圧力及び流動状態の変動が、空気チャネル及び/又はフレーバ容器に飲用流体が流入することにつながるという問題を解決する。流体がフレーバ容器に入ると、フレーバ物質が不所望に希釈されたり、衛生上の問題が生じたりする虞がある。中間空気チャンバによる空気チャネルの中断(Unterbrechung)は、飲用流体用の輸送チャネル接とヘッド部分を通る空気チャネルとの接点において、飲用装置のヘッド部分に凹部(Aussparung)が設けられるように実施されることができる。空気チャンバが環状で飲用流体用の輸送チャネルの周囲をめぐる(herumlaeuft)場合、これには、飲用流体の輸送チャネルを長手軸に対して任意の回転位置でヘッド部分に固定可能であるという追加の利点がある。空気入口チャネルは空気チャンバ内の飲用流体の輸送チャネルで終端し、したがって半径方向の配向をヘッド部分の空気チャネルと一致させる必要がないからである。
【0049】
本発明による飲用装置用アタッチメントの実質的な側面は、アタッチメントを異なる飲用流体用のリザーバに設置することができ、第1アダプタ部分の適切な設計によって飲用流体用のリザーバの材質及び接続形状に依存せずに適合させることができることである。
【0050】
飲用流体のリザーバは純粋な水で満たすことができるが、炭酸水や固有の風味付きの飲用流体も同様に入れることができる。固有の風味付きの飲用流体を使用する場合、飲用流体の既存の固有の風味は、フレーバ容器からのフレーバ物質によって増強されるか、又は1つ以上の追加の風味成分によって補足される。
【0051】
本発明の好ましい実施形態によれば、交換可能なフレーバ容器は、ヘッド部分に対して密封位置から非密封位置まで軸方向に移動させることができる。このように、フレーバ容器を軸方向に移動させるだけで、密封位置から、フレーバ容器を空気が流れる動作位置へ移動させることができる。密封位置においてフレーバ容器の空気入口開口部を閉じた場合、フレーバ物質の環境への揮発及びフレーバ容器への流体の浸入を防ぐことができる。
【0052】
アダプタ要素を備える本発明によるアタッチメントは、異なる接続寸法を有し、異なる材料で作られた異なるリザーバにモジュラーシステムの形態で取り付けることができる。リザーバは、アタッチメント全体をリザーバから取り外すだけでよく、蓋とストローを有するアタッチメント全体は作動位置に維持できるため、充填や再充填を容易に行うことができる。
【0053】
例えば金属製の飲用流体リザーバは、プラスチック素材のアタッチメントよりも耐用年数が長いことが経験的に分かっているため、アタッチメントを交換することで飲用装置を再利用することができ、可能な限り持続可能な利用が可能となる。
【0054】
第1アダプタ部分の領域で飲用流体のリザーバから取り外すことができるアタッチメントの形状により、飲用装置の充填口を飲用流体の最大充填レベルにできるだけ近くなるように配置することができ、例えばスペースが限られている場合に水道の下で飲用装置を再充填することが容易になる。しかしながら同様に、水道の蛇口と洗面台との間に限られたスペースしかない場合にも、ヘッド部分を取り外し、リザーバの長手方向軸が垂直に対して傾斜している間に、第2アダプタ部分18の第1開口部から水を補充することによって、飲用装置を補充することができる。
【0055】
飲用装置を保持したり、特定の位置に手動で移動したりする必要がなく、飲用の際に使用できるため、身体に制限がある人でも簡単に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図面は、本発明の例示的な実施形態を示す。
【
図2】
図2に示す飲用装置の側面図を示す図である。
【
図3】
図1及び
図2に示す飲用装置の分解斜視図を示す図である。
【
図5】アダプタ要素の両アダプタ部分の断面図を示す図である。
【
図6】
図5に示すアダプタ要素の両アダプタ部分の立体図を示す図である。
【
図7】組み立てられたアダプタ要素を示す図である。
【
図8】本発明のさらなる実施形態の
図4に対応する断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下に説明する実施形態では、同じ構成要素には同じ参照番号を付し、必要に応じて個々の実施形態間の具体的な相違点のみを説明する。
【0058】
図1及び
図2は、本発明による飲用装置を示している。飲用装置10は、飲用流体用のリザーバ12と、本発明によるアタッチメント11と、蓋22とを備える。アタッチメント11には、携帯用ストラップ24が取り付けられている。蓋がねじ止め又は差し込まれた状態の外観図では、アタッチメント11のアダプタ要素14のみが見える。蓋22は、その回転軸に関して、飲用流体用リザーバ12の長手方向軸に対してある角度をなして配置されており、その角度は少なくとも20°であることが分かる。この角度配置は、アタッチメント11、特にアダプターエレメント14の形状によって生み出される。
【0059】
アダプタ要素14は、アダプタ要素14とリザーバ12との間の接続平面が、アダプタ要素14と蓋22との間の接続平面に対して斜めになるように曲がっている。アダプタ要素14は、好ましくはプラスチック製であり、リザーバ12は、好ましくは金属製及び/又はガラス製である。しかしながら、リザーバ12も同様にプラスチック製とすることができる。
【0060】
図3では、
図1及び
図2に示した飲用装置10の個々の要素が分解図で示されている。飲用流体用リザーバ12は、実質的に環状の底部52と、底部52から上方に延在する側壁54とを有する。側壁の上端には、側壁54から半径方向内側に実質的に水平に延在する上面56があり、そこから環状の充填口58が上方に延在し、その外壁には固定ねじ60が設けられている。しかし、固定ねじ60の代わりに、バヨネット状の構造又は適切なラッチ装置を同様に設けることもできる。
【0061】
本発明によるアタッチメント11は、固定ねじ60にねじ固定可能である。この目的のために、
図1及び
図2に示すアダプタ要素14が設けられ、このアダプタ要素14は、第1アダプタ部分16及び第2アダプタ部分18を備える。第1アダプタ部分16は、リザーバ12の固定ねじ60にねじ固定可能であり、第2アダプタ部分18にも接続できるように設計されている。第2アダプタ部18はクランク状であり、すなわち屈曲部を有し、第1アダプタ部16を受け入れる第2開口部が、ヘッド部分20を取り付けるために使用される第1開口部に対してある角度で配置された平面内に位置するようになっている。
【0062】
図4による断面図に見られるように、ヘッド部分20は、マウスピース62を備え、フレーバ容器32のための適切な受け入れ形状を備えている。さらに、ヘッド部20は、飲用ストロー26を固定可能であり、好ましくはヘッド部分に挿入することができるように設計されている。
【0063】
飲用ストロー26は、長手方向に湾曲した経路を有し、さらに、飲用ストロー26をヘッド部分20に固定可能である固定端62の、少なくとも一部の領域において、ヘッド部分の対応する形状の受け入れ形状との協働により、回転軸に関して単一の配向のみを許容する外側輪郭を有する。
【0064】
携帯用ストラップのための受け入れユニット34が第2アダプタ部分に設けられており、携帯用ストラップ24は、受け入れユニット34と協働する相補的な形状の固定形状64を備えており、固定用ストラップがアンカまで一方向にスライドすることができ、この位置で形状結合的に保持されるようになっている。
【0065】
第2アダプタ部分18の第1開口部38の領域には、ガイド要素46が設けられており、このガイド要素46は、ヘッド部分の適切な受け形状(
図3には示されていない)と協働し、このようにして、第2アダプタ部分18に対するヘッド部分20の単一の、予め定められた配向のみを許容する。アダプタ要素に対するヘッド部分の明確な配向は、飲用装置が圧力均一化開口部66を有しているために重要であり、この圧力均一化開口部66は、飲用プロセス中に上側に配置されるべきであり、飲用装置から吸い出された飲用流体の量を置き換えるために、飲用プロセス中に周囲の空気を飲用装置に流入させる役割を果たす。
【0066】
第2アダプタ部分18は、第1開口部の領域に外ねじ36を備えており、この外ねじ36は、蓋22をアタッチメント11にねじ固定するために、
図3には示されていないが、蓋22の内ねじと協働する。
【0067】
図4は、
図3の分解図に示す飲用装置の断面図である。
図4は、ヘッド部分20へのフレーバ容器32の収容及びその環状形状を断面で示しているが、フレーバ容器32の形状は正確な円環形状から逸脱している。さらに、第2アダプタ部分18は二重壁であり、内壁28と外壁30から構成されていることがわかる。第2アダプタ部分18の二重壁設計により、第2アダプタ部分18の断熱効果を向上させる空洞68が形成され、このようにして温かい飲用流体の冷却又は冷たい飲用流体の加熱を遅らせる。空洞68は、断熱効果を高めるために発泡体であることができる。しかし、二重壁の設計は、同じ機械的特性を維持しながら壁の厚さを減らすことにも役立ち、それによってアタッチメントの製造に使用される材料の量を減らすことができる。
【0068】
空洞68はまた、センサ、バッテリー、ダイオード、例えば紫外線を放射するためのもの、あるいは加熱又は冷却素子など、他の素子を収容するために使用することもできる。
【0069】
図4にも見られるように、蓋には環状のステップ70が成形されており、こののステップ70は、蓋22がねじ固定されたときにヘッド部分20に対してシールする。さらに、不活性化リング72が蓋に形成されており、この不活性化リング72は、蓋が閉じられたときに、ヘッド部分20に対してフレーバ容器32を下方に変位させ、このようにして、静止位置に運ばれる。静止位置では、フレーバ容器32からの空気出口開口部が、アロマ容器が活性化位置にあるときにフレーバ容器から流出するフレーバ付き空気を飲用流体用輸送チャネル44に搬送する役割を果たす空気チャネル74と整列していないので、アロマ容器32が密封される。
【0070】
図4にも示されているように、第1アダプタ部分16と第2アダプタ部分18との間の軸方向の接続は摩擦結合的接続(eine reibschluessige Verbindung)である。しかしながら、同じように、スナップイン接続(eine Einschnappverbindung)も可能であり、この接続は、例えば、ロック機構が第2アダプタ要素の特定のポイントを押すことによって再び解除されたときにのみ、はじめて解除される。
【0071】
図4にも示すように、飲用ストロー26は、飲用ストロー26の一端が飲用流体用リザーバ12の底部52のすぐ近くまで延在するようにヘッド部分20に挿入されている。
【0072】
第1アダプタ部分16と第2アダプタ部分18とを備えるアダプタ要素14の設計に関する具体的な実施例を
図5に示す。ここでは、第2アダプタ部分の内壁28、第2アダプタ部分の外壁30、携帯用ストラップを取り付けるための受け入れユニット34、第2アダプタ部分の第1開口部38の領域にヘッド部分と外ねじ36を位置決めするための少なくとも1つのガイド要素46が、先の実施形態よりも詳細に示されている。第2開口部40に対する第1開口部38の角度配置も同様に示されている。第1アダプタ部分16と第2アダプタ部分18との間の不所望な回転を防止するセンタリング・位置決め要素42は、長手方向に延在する単純なリブとして設計することができ、第1アダプタ部分16の対応する形状の溝と相互作用する。
【0073】
第2アダプタ部分18の内壁28にはガイドカラー76が設けられており、このガイドカラー76は、
図4にも見られるように、アダプタ要素14が装着された状態で、第1アダプタ部分16の上部開口部78に係合し、アダプタ要素14の安定性と、第2アダプタ部分18に対する第1アダプタ部分16の正しい位置決めの両方を保証する。
【0074】
図6と
図7は、再びアダプタ要素14を示し、
図6は
図5の三次元表現に対応し、
図7は、第1アダプタ部分16が第2アダプタ部分18に接続されているアダプタ要素14の断面図、すなわちアダプタ要素の組立状態を示す。
図7はまた、長手軸L1、L2が互いに対して位置する角度を示しており、第1長手軸L1は第1開口部38に対して垂直であり、第2長手軸L2は第2開口部40に対して垂直であり、第2長手軸L2は第1アダプタ部分16の長手方向軸線にも対応している。第1長手軸L1と第2長手軸L2との間の角度は、少なくとも20°であり、好ましくは20°から40°の間である。
【0075】
図7は、第2アダプタ部分18のガイドカラー76と第1アダプタ部分16の上部開口部との協働も示している。
【0076】
図6は、携帯用ストラップを取り付けるための受け入れユニット34の可能な形状を示しており、これにより、携帯用ストラップ24上に対応する形状の固定形状64(
図3参照)を挿入するための形状結合的形状(eine formschluessige Geometrie)が可能になる。さらに、
図6にはシールレセプタクル80が示されており、これは弾力性のある密封用リング(図示せず)を収容する役割を果たし、第1アダプタ部分16がリザーバ12にねじ固定されたときに、リザーバ12とアダプタ要素14との間のねじ部に密封される。
【0077】
環状のシールレセプタクル80の円周上に分散して、多数の凹部100がシールレセプタクル内に設けられ、これらの凹部100は、第1アダプタ部分16とシールレセプタクル80に挿入された環状シールとの間の組立位置に配置される。凹部100に配置されたエアクッション(Luftpolster)は、製造公差を補正し、アダプタ要素が飲用流体用リザーバにねじ固定されたときに凹部100内の空気を圧縮してシール効果を向上させるために使用される。多数の凹部100を設けることで、シール要素の耐用年数も長くなる。
【0078】
図8による実施形態は、
図4による実施形態にほぼ対応しているので、アタッチメント11の説明については、先の実施形態を参照することができる。しかしながら、先に説明した実施形態と異なる点は、飲用流体用のリザーバ12が、断熱容器又は魔法瓶容器として知られているように、二重壁容器50であることである。二重壁リザーバ50は好ましくは金属製であり、アタッチメント11はプラスチック製である。しかしながら、他の材料の組み合わせも提供することができ、例えば、リザーバはガラス製、又は金属製の外殻と鏡面ガラス製の内殻の組み合わせも可能である。
【0079】
図9は、フレーバ容器32の断面図である。フレーバ容器32はフレーバチャンバ82を有し、このフレーバチャンバ82はフレーバ容器32の内部空洞68によって形成されている。キャリア物質84がこのフレーバチャンバ82内に配置され、このキャリア物質84は、
図8に示す作動位置においてフレーバチャンバ82の下面86上に置かれる。キャリア物質84とフレーバチャンバ82の上面88との間には、ヘッドスペース90が形成され、このヘッドスペース90では、フレーバチャンバ82はキャリア物質84で満たされていない。ヘッドスペース90の目的は、フレーバ容器内を流れる空気をフレーバ物質でよりよく濃縮し、均質化できるようにすることである。ヘッドスペース90の高さは、フレーバチャンバ82の高さの50%未満である。しかし、キャリア物質84がフレーバチャンバ82の高さの少なくとも80%を占めることが好ましい。
【0080】
フレーバ容器32は、下部シェル92と上部シェル94とから形成されている。
図9による断面図には示されていないが、空気入口開口部は下部シェル92に配置され、空気出口開口部96は実質的に環状のフレーバ容器の内側側壁に形成されている。製造上の理由から、空気出口開口部96を下部シェル92と上部シェル94との間の継ぎ目に配置することが有利であることが判明しており、これは射出成形によるフレーバ容器の大量生産の場合に有利である。
【0081】
キャリア物質84は、多孔性のフレーバキャリア物質、例えば不織布であり、その空隙率は、好ましくは70%から93%の間、より好ましくは70%から80%の間である。
図9には示されていないが、下壁の空気入口開口部の直径は、1.1mmから1.3mmの間である。
【0082】
下部シェル92と上部シェル94は、超音波溶接によって互いに接続されることができ、したがって、空気出口開口部96の領域を除いて全周にわたって堅固に接続されるので、フレーバ容器内への潜在的な空気の侵入及びフレーバ容器32からのフレーバ物質の不所望な流出を回避することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 飲用装置(Trinkvorrichtung)
11 アタッチメント(Aufsatz)
12 飲用流体用のリザーバ(Vorratsbehaelter fuer Trinkfluessigkeit)
14 アダプタ要素(Adapterelement)
16 第1アダプタ部分(erstes Adapterteil)
18 第2アダプタ部分(zweites Adapterteil)
20 ヘッド部分(Kopfteil)
22 蓋(Deckel)
24 携帯用ストラップ(Trageschlaufe)
26 飲用ストロー(Trinkhalm)
28 第2アダプタ部分の内壁(Innenwand des zweiten Adapterteils)
30 第2アダプタ部分の外壁(Aussenwand des zweiten Adapterteils)
32 フレーバ容器(Aromabehaelter)
34 携帯用ストラップを保持するための受入ユニット(Aufnahmeeinrichtung zur Aufnahme der Trageschlaufe)
36 第1開口領域の外ネジ(Aussengewinde im Bereich der ersten Oeffnung)
38 第1開口(erste Oeffnung)
40 第2開口(zweite Oeffnung)
42 センタリング・位置決めユニット(Zentrier- und Positioniereinrichtung)
44 飲用流体のための輸送チャネル(Transportkanal fuer Trinkfluessigkeit)
46 ガイド要素(Fuehrungselement)
48 第1アダプタ部分の内ネジ(Innengewinde des ersten Adapterteils)
50 二重壁リザーバ(doppelwandiger Vorratsbehaelter)
52 底部(Boden)
54 側壁(Seitenwand)
56 上側(Oberseite)
58 充填開口(Einfuelloeffnung)
60 固定ネジ(Befestigungsgewinde)
62 固定端(Befestigungsende)
64 固定形状(Befestigungsgeometrie)
66 圧力平衡化開口(Druckausgleichsoeffnung)
68 空洞(Hohlraum)
70 ステップ(Absatz)
72 解除リング(Deaktivierungsring)
74 空気チャネル(Luftkanal)
76 ガイドカラー(Fuehrungsbund)
78 上部開口(obere Oeffnung)
80 シールレセプタクル(Dichtungsaufnahme)
82 フレーバチャンバ(Aromakammer)
84 キャリア物質(Traegersubstanz)
86 フレーバチャンバの下側(Unterseite der Aromakammer)
88 フレーバチャンバの上側(Oberseite der Aromakammer)
90 ヘッド空間(Kopfraum)
92 下部シェル(untere Schale)
94 上部シェル(obere Schale)
96 空気出口開口(Luftaustrittsoeffnung)
98 内側壁(innere Seitenwand)
100 凹部(Vertiefungen)
【国際調査報告】