(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電池情報管理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241121BHJP
H02J 15/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H02J15/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532546
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 KR2022018947
(87)【国際公開番号】W WO2023101341
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0172221
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ギュン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ソン・タケ・オ
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA16
5G503FA19
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
一実施形態に係る電池情報管理システムは、電池ラックを制御するRBMS(Rack Battery Management System)から前記電池ラックに関する情報を受信する通信装置と、前記通信装置とローカルエリアネットワークを介して連結され、前記通信装置から前記電池ラックに関する情報を受信するスイッチと、前記スイッチから前記電池ラックに関する情報を受信するコントローラと、を含む。実施形態によると、通信速度やデータ容量に関係なく全ての電池セルの情報を収集および管理することができる。したがって、システムに異常が発生した場合に異常の原因となる電池セルを容易に探すことができ、当該電池セル/モジュールだけを取り替えて修理およびメンテナンス費用を節減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ラックを制御するRBMS(Rack Battery Management System)から前記電池ラックに関する情報を受信する通信装置と、
前記通信装置とローカルエリアネットワークを介して連結され、前記通信装置から前記電池ラックに関する情報を受信するスイッチと、
前記スイッチから前記電池ラックに関する情報を受信するコントローラと、
を含む、電池情報管理システム。
【請求項2】
前記電池ラックは、少なくとも1つの電池モジュールを含み、
前記電池モジュールそれぞれは、少なくとも1つの電池セルを含み、
前記電池ラックに関する情報は、前記電池セルそれぞれに関する情報を含む、請求項1に記載の電池情報管理システム。
【請求項3】
前記電池モジュールそれぞれは、MBMS(Module Battery Management System)により制御され、
前記RBMSと前記MBMSは、CAN(Controller Area Network)通信を行って前記電池セルそれぞれに関する情報を送受信する、請求項2に記載の電池情報管理システム。
【請求項4】
前記通信装置は、前記RBMSと前記MBMSとの間のCAN通信データをTCP/IPパケットに変更して前記スイッチに伝送する、請求項3に記載の電池情報管理システム。
【請求項5】
前記通信装置は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)方式でIPが割り当てられ、前記割り当てられたIPに基づいて前記スイッチと通信し、
前記スイッチは、DHCP方式によるIP割り当てが可能となるように構成される、請求項4に記載の電池情報管理システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記電池セルそれぞれに関する情報を格納装置に格納するように構成される、請求項2に記載の電池情報管理システム。
【請求項7】
前記コントローラが前記電池セルそれぞれに関する情報を格納する周期が1秒以内である、請求項6に記載の電池情報管理システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記格納装置に格納された前記電池セルそれぞれに関する情報に基づいて電池セルの異常有無を判定するように構成される、請求項6に記載の電池情報管理システム。
【請求項9】
少なくとも1つの電池ラックと、
前記少なくとも1つの電池ラックそれぞれを制御する少なくとも1つのRBMS(Rack Battery Management System)と、
前記少なくとも1つの電池ラックに関する情報を管理する電池情報管理システムと、
を含み、
前記電池情報管理システムは、
前記RBMSそれぞれから、各RBMSが制御する電池ラックに関する情報を受信する少なくとも1つの通信装置と、
前記少なくとも1つの通信装置とローカルエリアネットワークを介して連結され、前記通信装置から前記電池ラックに関する情報を受信するスイッチと、
前記スイッチから前記電池ラックに関する情報を受信するコントローラと、
を含む、電力貯蔵システム。
【請求項10】
前記電池ラックそれぞれは、少なくとも1つの電池モジュールを含み、
前記電池モジュールそれぞれは、少なくとも1つの電池セルを含み、
前記電池ラックに関する情報は、前記電池セルそれぞれに関する情報を含む、請求項9に記載の電力貯蔵システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電池モジュールそれぞれを制御する少なくとも1つのMBMS(Module Battery Management System)をさらに含み、
前記RBMSと前記MBMSは、CAN(Controller Area Network)通信を行って前記電池セルそれぞれに関する情報を送受信する、請求項10に記載の電力貯蔵システム。
【請求項12】
前記通信装置は、前記RBMSと前記MBMSとの間のCAN通信データをTCP/IPパケットに変更して前記スイッチに伝送する、請求項11に記載の電力貯蔵システム。
【請求項13】
前記通信装置は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)方式でIPが割り当てられ、前記割り当てられたIPに基づいて前記スイッチと通信し、
前記スイッチは、DHCP方式によるIP割り当てが可能となるように構成される、請求項12に記載の電力貯蔵システム。
【請求項14】
前記電池セルそれぞれに関する情報を格納する格納装置をさらに含み、
前記コントローラは、前記電池セルそれぞれに関する情報を前記格納装置に格納するように構成される、請求項10に記載の電力貯蔵システム。
【請求項15】
前記コントローラが前記電池セルそれぞれに関する情報を格納する周期が1秒以内である、請求項14に記載の電力貯蔵システム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記電力貯蔵システムに異常が発生した場合、前記格納装置に格納された前記電池セルそれぞれに関する情報に基づいて電池セルの異常有無を判定するように構成される、請求項14に記載の電力貯蔵システム。
【請求項17】
通信装置が電池ラックを制御するRBMS(Rack Battery Management System)から前記電池ラックに関する情報を受信するステップと、
前記通信装置とローカルエリアネットワークを介して連結されるスイッチが前記通信装置から前記電池ラックに関する情報を受信するステップと、
コントローラが前記スイッチから前記電池ラックに関する情報を受信するステップと、
含む、電池情報管理方法。
【請求項18】
前記電池ラックは、少なくとも1つの電池モジュールを含み、
前記電池モジュールそれぞれは、少なくとも1つの電池セルを含み、
前記電池ラックに関する情報は、前記電池セルそれぞれに関する情報を含む、請求項17に記載の電池情報管理方法。
【請求項19】
前記コントローラが前記電池セルそれぞれに関する情報を格納装置に格納するステップをさらに含む、請求項18に記載の電池情報管理方法。
【請求項20】
前記コントローラが前記格納装置に格納された前記電池セルそれぞれに関する情報に基づいて電池セルの異常有無を判定するステップをさらに含む、請求項19に記載の電池情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年12月03日付けの韓国特許出願第10-2021-0172221号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本文書に開示された実施形態は、電池情報管理システムおよびそれを用いた電池情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電力貯蔵システム(ESS、Energy Storage System)は、電気エネルギーを貯蔵しておき、必要なときに使用できるように管理するシステムであり、一般的に大規模電力網を駆動する発電所または電力消費量の大きいビルディングなどに設置される電力貯蔵システムは、数百~数千個の電池セルを含む。このような電池セルを体系的に管理するために、複数の電池セルをまとめて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールをまとめて電池ラック(Battery Rack)を構成することになる。電力貯蔵システムは、このような電池ラックを複数含み、それぞれの電池モジュールおよび電池ラックを制御し状態をモニターするためにMBMS(Module Battery Management System)およびRBMS(Rack Battery Management System)が設けられ、最上位階層には、前記MBMS、RBMSから受信した複数の電池関連情報を統合管理し電池システム全体を制御するためのBSC(Battery System Controller)が設けられる。
【0004】
BSCは、電力貯蔵システムの円滑な作動のために、数百~数千個の電池セルと関連したデータを随時に(通常、1秒周期で)モニターしなければならず、全てのデータを処理するには通信速度およびデータ容量に限界があるため、重要データ(例えば、最大/最小セル電圧、モジュール温度、充電状態(SOC)など)だけを選択的に受信して処理するのが一般的である。しかし、この場合、全ての電池セルを精密にモニターすることができないため、電力貯蔵システムに異常が発生した際に、どの電池セルに問題の原因が発生したかを発見し難いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本文書に開示された実施形態の一目的は、電力貯蔵システムを構成する全ての電池セルのデータを随時にモニターすることができる電池情報管理システムおよび電池情報管理方法を提供することにある。
【0006】
本文書に開示された実施形態の他の目的は、全ての電池セルの情報を格納装置に格納することで、システムに異常が発生した場合に異常の原因となる電池セルを容易に探すことができるようにする。
【0007】
本文書に開示された実施形態の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないまた他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る電池情報管理システムは、電池ラックを制御するRBMS(Rack Battery Management System)から前記電池ラックに関する情報を受信する通信装置と、前記通信装置とローカルエリアネットワークを介して連結され、前記通信装置から前記電池ラックに関する情報を受信するスイッチと、前記スイッチから前記電池ラックに関する情報を受信するコントローラと、を含む。
【0009】
一実施形態に係る電池情報管理システムにおいて、前記電池ラックは、少なくとも1つの電池モジュールを含み、前記電池モジュールそれぞれは、少なくとも1つの電池セルを含み、前記電池ラックに関する情報は、前記電池セルそれぞれに関する情報を含むことができる。
【0010】
一実施形態に係る電池情報管理システムにおいて、前記電池モジュールそれぞれは、MBMS(Module Battery Management System)により制御され、前記RBMSと前記MBMSは、CAN(Controller Area Network)通信を行って前記電池セルそれぞれに関する情報を送受信することができる。
【0011】
一実施形態に係る電池情報管理システムにおいて、前記通信装置は、前記RBMSと前記MBMSとの間のCAN通信データをTCP/IPパケットに変更して前記スイッチに伝送することができる。
【0012】
一実施形態に係る電池情報管理システムにおいて、前記通信装置は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)方式でIPが割り当てられ、前記割り当てられたIPに基づいて前記スイッチと通信し、前記スイッチは、DHCP方式によるIP割り当てが可能となるように構成されることができる。
【0013】
一実施形態に係る電池情報管理システムにおいて、前記コントローラは、前記電池セルそれぞれに関する情報を格納装置に格納するように構成されることができる。
一実施形態に係る電池情報管理システムにおいて、前記コントローラが前記電池セルそれぞれに関する情報を格納する周期が1秒以内であってもよい。
【0014】
一実施形態に係る電池情報管理システムにおいて、前記コントローラは、前記格納装置に格納された前記電池セルそれぞれに関する情報に基づいて電池セルの異常有無を判定するように構成されることができる。
【0015】
一実施形態に係る電力貯蔵システムは、少なくとも1つの電池ラックと、前記少なくとも1つの電池ラックそれぞれを制御する少なくとも1つのRBMS(Rack Battery Management System)と、前記少なくとも1つの電池ラックに関する情報を管理する電池情報管理システムと、を含み、前記電池情報管理システムは、前記RBMSそれぞれから、各RBMSが制御する電池ラックに関する情報を受信する少なくとも1つの通信装置と、前記少なくとも1つの通信装置とローカルエリアネットワークを介して連結され、前記通信装置から前記電池ラックに関する情報を受信するスイッチと、前記スイッチから前記電池ラックに関する情報を受信するコントローラと、を含む。
【0016】
一実施形態に係る電力貯蔵システムにおいて、前記電池ラックそれぞれは、少なくとも1つの電池モジュールを含み、前記電池モジュールそれぞれは、少なくとも1つの電池セルを含み、前記電池ラックに関する情報は、前記電池セルそれぞれに関する情報を含むことができる。
【0017】
一実施形態に係る電力貯蔵システムにおいて、前記少なくとも1つの電池モジュールそれぞれを制御する少なくとも1つのMBMS(Module Battery Management System)をさらに含み、前記RBMSと前記MBMSは、CAN(Controller Area Network)通信を行って前記電池セルそれぞれに関する情報を送受信することができる。
【0018】
一実施形態に係る電力貯蔵システムにおいて、前記通信装置は、前記RBMSと前記MBMSとの間のCAN通信データをTCP/IPパケットに変更して前記スイッチに伝送することができる。
【0019】
一実施形態に係る電力貯蔵システムにおいて、前記通信装置は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)方式でIPが割り当てられ、前記割り当てられたIPに基づいて前記スイッチと通信し、前記スイッチは、DHCP方式によるIP割り当てが可能となるように構成されることができる。
【0020】
一実施形態に係る電力貯蔵システムは、前記電池セルそれぞれに関する情報を格納する格納装置をさらに含み、前記コントローラは、前記電池セルそれぞれに関する情報を前記格納装置に格納するように構成されることができる。
一実施形態に係る電力貯蔵システムにおいて、前記コントローラが前記電池セルそれぞれに関する情報を格納する周期が1秒以内であってもよい。
【0021】
一実施形態に係る電力貯蔵システムにおいて、前記コントローラは、前記電力貯蔵システムに異常が発生した場合、前記格納装置に格納された前記電池セルそれぞれに関する情報に基づいて電池セルの異常有無を判定するように構成されることができる。
【0022】
一実施形態に係る電池情報管理方法は、通信装置が電池ラックを制御するRBMS(Rack Battery Management System)から前記電池ラックに関する情報を受信するステップと、前記通信装置とローカルエリアネットワークを介して連結されるスイッチが前記通信装置から前記電池ラックに関する情報を受信するステップと、コントローラが前記スイッチから前記電池ラックに関する情報を受信するステップと、含む。
【0023】
一実施形態に係る電池情報管理方法において、前記電池ラックは、少なくとも1つの電池モジュールを含み、前記電池モジュールそれぞれは、少なくとも1つの電池セルを含み、前記電池ラックに関する情報は、前記電池セルそれぞれに関する情報を含むことができる。
【0024】
一実施形態に係る電池情報管理方法は、前記コントローラが前記電池セルそれぞれに関する情報を格納装置に格納するステップをさらに含むことができる。
一実施形態に係る電池情報管理方法は、前記コントローラが前記格納装置に格納された前記電池セルそれぞれに関する情報に基づいて電池セルの異常有無を判定するステップをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
一実施形態によると、電池ラックを制御するRBMSとそれぞれ連結された通信装置、および前記通信装置からローカルエリアネットワークを介して電池セルそれぞれに関する情報を受信してコントローラに伝達するスイッチを用いて、全ての電池セルの情報を統合管理することができる電池情報管理システムが提供される。
【0026】
提案されたシステムによると、コントローラがRBMSから電池関連情報を直接収集する従来のシステムに比べて、通信速度やデータ容量に関係なく全ての電池セルの情報を収集および管理することができる。したがって、システムに異常が発生した場合に異常の原因となる電池セルを容易に探すことができ、当該電池セル/モジュールだけを取り替えて修理およびメンテナンス費用を節減することができる。
この他に、本文書により、直接的または間接的に把握される多様な効果が提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本文書に開示された実施形態または従来技術の技術的解決策をより明らかに説明するために、実施形態に関する説明に必要な図面が以下に簡単に紹介される。以下の図面は、本明細書の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定するためのものではないことを理解しなければならない。また、説明の明瞭性のために、図面の一部の構成要素に対する表現が誇張または省略されることがある。
【0028】
【
図1】一実施形態に係る電池情報管理システムを含む電力貯蔵システムの構成を示したブロック図である。
【
図2】従来技術に係る電力貯蔵システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る電力貯蔵システムに含まれた電池ラック(battery rack)の構成を示したブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る電池情報管理方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本文書に開示された実施形態を例示的な図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付するに際し、同一の構成要素に対しては他の図面上に表示される際にも可能な限り同一の符号を付するようにしていることに留意しなければならない。また、本文書に開示された実施形態を説明するに際し、関連した公知の構成または機能に関する具体的な説明が本文書に開示された実施形態に対する理解を妨げると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0030】
本文書で用いられる用語は、機能を考慮しつつ可能な限り現在広く用いられる一般的な用語を選択したが、これは、当該分野に携わる技術者の意図または慣例または新しい技術の出現などに応じて異なり得る。また、特定の場合、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、当該明細書の説明部分にその意味を記載する。したがって、本文書で用いられる用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する実質的な意味および本文書の全般にわたった内容に基づいて解釈しなければならないことを明らかにしておく。
【0031】
本文書で用いられた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであって、他の実施形態の範囲を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに他を意味しない限り、複数の表現を含んでもよい。
【0032】
図1は、一実施形態に係る電池情報管理システムを含む電力貯蔵システムの構成を示したブロック図である。
図1を参照すると、一実施形態に係る電力貯蔵システム1は、複数の電池ラック101、102、103、104と、前記複数の電池ラック101、102、103、104をそれぞれ制御する複数のRBMS(Rack Battery Monitoring System)111、112、113、114と、電池に関する情報を管理する電池情報管理システム10と、電池に関する情報を格納する格納装置150と、を含む。
【0033】
一実施形態に係る電池情報管理システム10は、RBMS111、112、113、114から電池ラックに関する情報を受信する少なくとも1つの通信装置121、122、123、124と、前記通信装置から電池ラックに関する情報を受信するスイッチ130と、前記スイッチ130から電池ラックに関する情報を受信するコントローラ140と、を含む。
【0034】
図1には4個の電池ラック101、102、103、104、4個のRBMS111、112、113、114、および4個の通信装置121、122、123、124だけが示されているが、これは例示的な構成にすぎず、各構成要素の個数は示されたものに限定されず、さらに多いかまたはさらに少ない数の構成要素が存在してもよい。
【0035】
図2は、従来技術に係る電力貯蔵システムの構成を示したブロック図である。
図2を参照すると、電力貯蔵システム2は、複数の電池ラック201、202、203、204と、前記複数の電池ラック201、202、203、204をそれぞれ制御する複数のRBMS211、212、213、214と、前記RBMSから電池に関する情報を受信して管理するコントローラ240と、電池に関する情報を格納する格納装置250と、を含む。
【0036】
従来技術の電力貯蔵システム2に比べて実施形態の電力貯蔵システム1の構造上の最も大きい相違点は、それぞれのRBMSと連結された追加の通信装置121、122、123、124と、前記通信装置から全ての電池に関する情報を受信してコントローラ140に伝達するスイッチ130と、を備えることである。これらの構成要素は、従来のシステムとは異なる方式で通信を行って電池セルと関連した情報を収集し管理できるようにする。
【0037】
電池ラック(Battery Rack)は、複数の電池モジュール集合を積載し管理するための装置であり、電池ラックに設けられたラック電池管理システム(RBMS)により制御される。
図1に示されたように、電力貯蔵システム1には、1つ以上の電池ラック101、102、103、104が含まれることができ、各電池ラックに設けられたRBMS111、112、113、114は、電池ラックを制御し、電池ラックに含まれた電池モジュール、電池セルに関する情報を収集する。
【0038】
図3は、一実施形態に係る電力貯蔵システムに含まれた電池ラックの構成を示したブロック図である。
図3を参照すると、一実施形態に係る電池ラック101は、少なくとも1つの電池モジュール(M1、M2、M3、M4、...)を含むことができる。それぞれの電池モジュール(M1)は、少なくとも1つの電池セル(C11、C12、C13、C14、C15、...)を含むことができる。
【0039】
電池セル(C11、C12、C13、C14、C15、...)は、電気エネルギーを充電および放電して使用できるように構成された電池の基本単位であり、正極、負極、セパレータ、電解液などの構成要素をパウチ、円筒型、または四角型ケースに入れて作製される。実施形態によると、電池セルは、リチウムイオン(Li-ion)電池、リチウムイオンポリマー(Li-ion polymer)電池、ニッケルカドミウム(Ni-Cd)電池、ニッケル水素(Ni-MH)電池などであってもよいが、これに限定されない。
【0040】
電池モジュール(M1、M2、M3、M4、...)は、それぞれ複数の電池セル(C11~C15、C21~C25、C31~C35、C41~C45、...)を含み、電池セルを外部衝撃、熱、振動などから保護し、情報を管理するために、一定数を束ねてフレームに入れた組立体である。電池モジュール(M1、M2、M3、M4、...)は、それぞれモジュール電池管理システム(MBMS)(S1、S2、S3、S4、...)により制御される。実施形態によると、MBMS(S1)は、電池モジュール(M1)を制御および管理し、電池モジュール(M1)を構成する電池セル(C11、C12、C13、C14、C15、...)に関する情報、例えば、各電池セルの電圧、電流、温度、抵抗、SOC(State of Charge)、SOH(State of Health)などの情報を収集してモジュール外部装置に伝送する。
【0041】
図3を参照すると、MBMS(S1、S2、S3、S4、...)は、それぞれが制御する電池モジュールの上位グループである電池ラック101を制御するRBMS111と通信し、一定周期ごとに(例えば、1秒ごとに)収集した電池セルの状態情報をRBMS111に伝送する。一実施形態によると、MBMS(S1、S2、S3、S4、...)とRBMS111は、CAN(Controller Area Network)通信方式でデータをやり取りすることができる。CAN通信は、システム内でホストコンピュータなしにコントローラや装置が互いに通信するように設計された通信プロトコル規格であり、電気的ノイズに非常に強く、安価で通信システムを構成できるという長所がある。CAN通信は一例示にすぎず、RBMSとMBMSとの間の通信方式はこれに限定されない。
【0042】
再び
図1を参照すると、RBMS111、112、113、114は、それぞれ連結された電池ラック101、102、103、14から電池ラックに関する情報を受信する。より詳細には、
図3のように、CAN通信を用いて電池ラックに含まれた電池モジュールを制御するMBMS(S1、S2、S3、S4、...)と通信し、MBMSから電池モジュールに関する情報、電池セルに関する情報を受信する。すなわち、電池ラックに関する情報は、電池ラックに含まれた電池セルそれぞれに関する情報を含む。
【0043】
電池情報管理システム10を構成する少なくとも1つの通信装置121、122、123、124は、それぞれRBMS111、112、113、114から電池セルに関する情報を含む電池ラックに関する情報を受信する。この際、RBMS111、112、113、114と通信装置121、122、123、124は、それぞれCAN通信方式で通信することができるが、これに限定されない。通信装置121、122、123、124は、それぞれの電池ラックに関する情報をローカルエリアネットワークを用いてスイッチ130に伝送する。
【0044】
一実施形態によると、通信装置121、122、123、124は、CAN-to-Ethernet通信装置であり、RBMSから受信した電池情報を含むCANメッセージをTCP/IPパケットに変更し、イーサネット(Ethernet)ネットワークを介してスイッチ130に伝送することができる。このために、通信装置とスイッチは、有線または無線LAN(Local Area Network)で連結されることができ、CAN通信に比べて遥かに遠い距離からも秒当たりに数十~数千Mbitのデータを送受信することが可能である。実施形態においては、通信装置とスイッチがイーサネットネットワークとTCP/IPプロトコルを用いてデータを送受信するものと説明したが、前述した通信方式に限定されるものではない。
【0045】
スイッチ130は、ローカルエリアネットワーク(例えば、イーサネット)を介して、通信装置121、122、123、124から電池ラックに関する情報(電池セルに関する情報を含む)を受信する。一実施形態によると、スイッチ130は、通信装置からTCP/IPパケット形態の電池関連情報を受信し、イーサネットネットワークを介して、前記情報をTCP/IPパケット形態でコントローラ140に伝送する。
図1に示されたように、スイッチ130は、複数のポートを介して連結された複数の通信装置121、122、123、124から情報を受信し、選択的に、順次に、または同時にコントローラ140に伝達するスイッチハブ(Switch Hub)の役割をする。
【0046】
一実施形態によると、通信装置121、122、123、124は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)方式でIPが割り当てられ、前記割り当てられたIPに基づいて前記スイッチ130と通信し、前記スイッチ130は、DHCP方式によるIP割り当てが可能となるように構成されることができる。すなわち、スイッチ130は、IPを必要とする通信装置に自動でIPを割り当て、通信装置がIPを使用しなければ返却してもらい、他の装置が使用できるようにする。
【0047】
コントローラ140は、スイッチ130から電池ラックに関する情報(電池セルに関する情報を含む)を受信する。前述したように、イーサネットネットワークを介して、情報をTCP/IPパケット形態で受信することができるが、これに限定されない。コントローラ140は、下位電池管理システム(MBMS、RBMSなど)から伝達された情報を処理するための演算ユニットと、処理結果に基づいて下位電池管理システム(MBMS、RBMS)を制御するための制御ユニットと、を含み、一般的な電池制御システムに用いられるBSC(Battery System Controller)であってもよい。
【0048】
一実施形態によると、コントローラ140は、ローカルエリアネットワーク(例えば、イーサネット)を介してスイッチ130から情報を受信する(
図1のスイッチとコントローラを連結する点線を参照)と同時に、または選択的にRBMS111、112、113、114から電池ラックに関する情報を直接受信することができる(
図1のRBMSとコントローラを連結する実線を参照)。この際、RBMSとの直接通信には、イーサネットではなく、CAN通信方式が活用されることができる。
【0049】
再び
図1を参照すると、一実施形態に係る電力貯蔵システム1は、電池セルそれぞれに関する情報を格納する格納装置150をさらに含み、前記コントローラ140は、前記電池セルそれぞれに関する情報を前記格納装置150に格納するように構成されることができる。格納装置150は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどの各種ストレージ媒体であってもよく、前記ストレージ媒体とともに、データの処理、伝送、表示動作を行うことができる付加装置を含む概念であってもよい。他の実施形態によると、格納装置150は、電力貯蔵システム1の外部に位置する装置またはシステム(例えば、ネットワークを介して連結された外部端末、クラウドサーバなど)であってもよい。
【0050】
一実施形態によると、コントローラ140は、システムに設置されたロギングプログラム(例えば、LGESが開発したModuleLogReceiver(商標))を用いて、CAN-to-Ethernet伝送データを毎周期ごとに格納装置150に格納することができる。コントローラ140が前記電池セルそれぞれに関する情報を格納する周期は、好ましくは1秒以内に設定されることができるが、限定されるものではない。
【0051】
図2に示されたように、従来技術の電力貯蔵システム2においては、コントローラ240がCAN通信のような直接通信によりRBMS211、212、213、214から情報を受信した。しかし、CAN通信の場合、通信速度およびデータ容量の限界により、電池の重要データ(例えば、最大/最小セル電圧、モジュール温度、充電状態(SOC)など)だけを選択的に受信せざるを得なかった。これに対し、
図1の実施形態に係る電力貯蔵システム1は、それぞれのRBMSと連結された追加の通信装置121、122、123、124およびスイッチ130を用いて、イーサネットのようなローカルエリアネットワークを介して情報をコントローラ140に伝達するため、通信速度およびデータ容量の限界を克服し、全ての電池セル情報を収集および管理することができる。
【0052】
このように全ての電池セルデータをリアルタイムで記録することで、電力貯蔵システムの異常発生時に容易に対応することができる。例えば、コントローラ140は、電力貯蔵システム1に異常が発生した場合、格納装置150に格納された前記電池セルそれぞれに関する情報を読み込み、電池セルの異常有無を判定するように構成されることができる。この場合、全体システムの異常と電池セルの異常との関連性を予め定められた基準により判断するか、または管理者からの入力に基づいて判定することもできる。電池セルの異常と判定される場合、前記電池の位置(特定の電池ラックの特定の電池モジュール内の位置)および状態記録情報を管理者端末に伝送することができる。管理者は、特定された異常電池セルだけを取り替えることで、電力貯蔵システムの修理費用および時間を大幅に節減することができる。
【0053】
図4は、一実施形態に係る電池情報管理方法を示したフローチャートである。
図4を参照すると、先ず、通信装置が電池ラックを制御するRBMSから電池ラックに関する情報を受信するステップ(S100)が行われる。前述したように、電力貯蔵システムは、少なくとも1つの電池ラックを含み、各電池ラックは、少なくとも1つのRBMSにより制御される。
図3を参照して説明したように、それぞれの電池ラックは、少なくとも1つの電池モジュールを含み、それぞれの電池モジュールは、少なくとも1つの電池セルを含む。RBMSが収集する電池ラックに関する情報には、個別電池セルの情報、例えば、各電池セルの電圧、電流、温度、抵抗、SOC(State of Charge)、SOH(State of Health)などの情報が含まれる。電池ラックを管理するRBMSと電池モジュールを管理するMBMSは、CAN通信方式でデータを送受信することができ、各通信装置とRBMSも、CAN通信方式でデータを送受信することができる。
【0054】
次に、通信装置とローカルエリアネットワークを介して連結されるスイッチが通信装置から電池ラックに関する情報(電池セルに関する情報を含む)を受信するステップ(S200)が行われる。一実施形態によると、通信装置は、CAN-to-Ethernet通信装置であり、RBMSから受信した電池情報を含むCANメッセージをTCP/IPパケットに変更し、イーサネット(Ethernet)ネットワークを介してスイッチに伝送することができる。スイッチは、複数のポートを介して連結された複数の通信装置から情報を受信し、選択的に、順次に、または同時にコントローラに伝達するスイッチハブの役割をする。また、スイッチは、DHCP機能を支援し、必要な通信装置にIP割り当てが可能となるように構成されることができる。
【0055】
次に、コントローラがスイッチから電池ラックに関する情報(電池セルに関する情報を含む)を受信するステップ(S300)が行われる。一実施形態によると、スイッチは、ローカルエリアネットワーク(例えば、イーサネット)を介して、前記情報をTCP/IPパケット形態でコントローラに伝送する。コントローラは、下位電池管理システム(MBMS、RBMSなど)から伝達された情報を処理するための演算ユニットと、処理結果に基づいて下位電池管理システム(MBMS、RBMS)を制御するための制御ユニットと、を含み、一般的な電池制御システムに用いられるBSC(Battery System Controller)であってもよい。
【0056】
次に、コントローラが電池セルそれぞれに関する情報を格納装置に格納するステップ(S400)が行われる。格納装置は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどの各種ストレージ媒体であってもよく、前記ストレージ媒体とともに、データの処理、伝送、表示動作を行うことができる付加装置を含む概念であってもよい。コントローラは、定められた周期(好ましくは、1秒以内)ごとに全ての電池セルに関する情報を受信して格納装置に記録する。
【0057】
一実施形態によると、電池情報管理方法は、システムに異常が発生した場合、コントローラが格納装置に格納された電池セルそれぞれに関する情報に基づいて電池セルの異常有無を判定するステップ(S500)をさらに含むことができる。このように全ての電池セルデータを格納装置に記録することで、電力貯蔵システムの異常発生時に容易に対応することができる。電池セルの異常と判定される場合、前記電池の位置(特定の電池ラックの特定の電池モジュール内の位置)および状態記録情報を管理者端末に伝送することができ、管理者は、特定された異常電池セルだけを取り替えることで、電力貯蔵システムの修理費用および時間を大幅に節減することができる。
【0058】
上述した実施形態に係る電池情報管理方法は、アプリケーションで実現されるか、または多様なコンピュータ構成要素を介して実行可能なプログラム命令語の形態で実現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることができる。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラム命令語、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。
【0059】
以上、実施形態を構成する全ての構成要素が1つに結合するかまたは結合して動作するものと説明されたからといって、このような実施形態に必ずしも限定されるものではなく、目的の範囲内であれば、全ての構成要素が1つ以上に選択的に結合して動作してもよい。また、以上に記載された「含む」、「構成する」、または「有する」などの用語は、特に反対の記載がない限り、当該構成要素が内在できることを意味するため、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいものと解釈されなければならない。
【0060】
以上の説明は本文書に開示された技術思想を例示的に説明したものにすぎず、本文書に開示された実施形態が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本文書に開示された実施形態の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正および変形が可能である。
【0061】
したがって、本文書に開示された実施形態は本文書に開示された技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、このような実施形態により本文書に開示された技術思想の範囲が限定されるものではない。本文書に開示された技術思想の保護範囲は後述の請求範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本文書の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0062】
1、2:電力貯蔵システム
10:電池情報管理システム
101、102、103、104、201、202、203、204:電池ラック
111、112、113、114、211、212、213、214:RBMS
121、122、123、124:通信装置
130:スイッチ
140、240:コントローラ
150、250:格納装置
M1、M2、M3、M4:電池モジュール
S1、S2、S3、S4:MBMS
C11~C15、C21~C25、C31~C35、C41~C45:電池セル
【国際調査報告】