IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロードの特許一覧

<>
  • 特表-二酸化炭素を含有する煙の処理方法 図1
  • 特表-二酸化炭素を含有する煙の処理方法 図2
  • 特表-二酸化炭素を含有する煙の処理方法 図3
  • 特表-二酸化炭素を含有する煙の処理方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】二酸化炭素を含有する煙の処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20241121BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20241121BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/14 210
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532662
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2022086022
(87)【国際公開番号】W WO2023117655
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2114055
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリッチ,マリン
(72)【発明者】
【氏名】ペイロン,ジャン マルク
(72)【発明者】
【氏名】プラサド,バドリ
(72)【発明者】
【氏名】グラナドス,ルドビック
(72)【発明者】
【氏名】デ カイユー,オリビエ
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC05
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA13
4D002CA13
4D002DA31
4D002EA02
4D002FA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB02
4D002GB03
4D002GB04
4D020AA03
4D020BA16
4D020BB03
4D020DA01
4D020DA02
4D020DB01
4D020DB02
4D020DB03
4D020DB04
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、公称動作圧力で動作する少なくとも1つの上流ユニット(2)で発生する煙を処理するための方法に関し、この煙は、湿量基準で5モル%~90モル%の二酸化炭素(CO)を含有し、0.5~2バール絶対圧、好ましくは、0.9~1.1バール絶対圧の圧力であり、前記方法は、- 前記煙から、50モル%超、好ましくは、75モル%超、さらには、95モル%超のCOを含有するCOに富むガス状又は液状ストリームを生成するために、少なくとも1つの下流処理ユニット(3)によって、上流ユニットから発生する煙のストリームのすべて又は実質的にすべてを処理するステップと、- 煙のストリームが、上流ユニットと下流ユニットとの間で、出口ライン(24)を介して連通することを可能にするステップであって、煙のストリームの圧力を大気圧と等しくすることを可能にするように、煙突(22)が大気に通じており、且つ、この出口ラインが公称動作において開いたまま又は部分的に開いたままである、ステップとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公称動作圧力で動作する少なくとも1つの上流ユニット(2)で発生する煙道ガスを処理するための方法であって、この煙道ガスが、湿量基準で5モル%~90モル%の二酸化炭素(CO)を含有し、0.5~2バール絶対圧、選択的に、0.9~1.1バール絶対圧の圧力であり、前記方法は、
- 前記煙道ガスから、50モル%超、好ましくは、75%超、さらには、95モル%超のCOを含有するCOに富むガス状又は液状ストリームを生成するために、少なくとも1つの下流処理ユニット(3)を介して、前記上流ユニットから発生する前記煙道ガスのストリームのすべて又は実質的にすべてを処理するステップと、
- 前記煙道ガスの前記ストリームが、前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間で、出口ライン(24)を介して、大気に対して開いているスタック(22)と連通することを可能にするステップであって、前記煙道ガスの前記ストリームの前記圧力を大気圧に平衡させることを可能にするように、この出口ラインが公称動作において開いたまま又は部分的に開いたままである、ステップと
を含む、
方法。
【請求項2】
- 前記上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の少なくとも1つの項目を検出するステップであって、この予測情報項目が前記煙道ガスの圧力、流量、又は全体組成の測定値とは異なる、ステップと、
- 前記煙道ガスの通路のための弁装置、及び/又は、前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間に若しくは前記下流ユニット内に位置付けられた圧力上昇装置を使用して、前記上流ユニット(2)と前記下流処理ユニット(3)との間の煙道ガスの前記流量を、この予測情報項目の関数として調整するステップと
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
弁装置(23)が、
- 前記スタックと、前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのラインとの間を連通する前記出口ライン上に、又は、
- 前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのライン上に、又は、
- 前記スタック内に
位置付けられ、
この弁装置が、開いている又は部分的に開いているように配置され、前記弁装置が、たとえば、ダンパバタフライ弁などのバタフライ弁である弁を備える、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記弁装置が、前記弁装置によって可能である最大の開口の5%~100%の開口を有するように配置される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記煙道ガスの前記ガス状ストリームの圧力を増加させることが可能である、特に、前記下流ユニットに置かれる、圧力上昇装置が設けられ、
前記圧力上昇装置が、特に、圧縮機(5)又はブロワを備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
- 前記上流ユニット(2)に入るガスの少なくとも1つの流量、特に、前記上流ユニットに入る前記ガスのすべての少なくとも80%を表す、前記上流ユニットに入るさまざまなガスの流量を測定するステップであって、前記測定された流量が、前記上流ユニットから放出される前記煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目の一部を形成する、ステップと、
- 特に、より多くの煙道ガスを吸い上げることによって前記上流ユニットから放出される煙道ガスの前記流量を増加させることによって、特に、弁装置の流れ面積を増加させることによって、及び/又は、前記圧縮機若しくは前記ブロワの回転速度を増加させることによって、及び/又は、前記圧縮機若しくは前記ブロワの可変ベーンの位置を変更することによって、前記上流ユニット(2)と前記下流ユニット(4)との間の煙道ガスの前記流量を、この測定された流量である前記予測情報項目の関数として調整するステップと
を含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
- 煙道ガスの前記流れ中の1つ若しくは複数の酸素濃度、又は、前記下流ユニットの入口と前記上流ユニットの出口との酸素濃度の差を測定するステップ、及び/或いは、
- 前記スタック中の空気又は前記スタックから発生する空気の1つ若しくは複数の温度を測定するステップと、
- これらの測定値から、前記大気由来の空気が煙道ガスの前記流れに加えられているかどうか、又は、煙道ガスが前記スタックを通して前記大気に流出しているかどうかを決定するステップと、
- 煙道ガスの前記流れへの空気のこの追加を防ぐために、又は、煙道ガスの前記大気への流出を防ぐために、煙道ガスの前記流量を調整するステップと
を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記下流処理ユニットに到達する煙道ガスの前記流量を調整するために、前記上流装置の故障モード又は変動又は警報が考慮され、その場合、前記上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の前記変化を予測するための情報の項目が、この故障モード又はこの変動又はこの警報の検出である
ことを特徴とする、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記上流処理ユニットが、圧力スイング吸着(PSA)装置を備え、
前記下流処理ユニットに到達する煙道ガスの前記流量を調整するために、このPSA装置の故障モード又は変動又は警報が考慮され、その場合、前記上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の前記変化を予測するための情報の項目が、この故障モード又はこの変動又はこの警報の検出である
ことを特徴とする、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記上流ユニット、又は前記上流ユニットの少なくとも1つが、水蒸気メタン改質ユニット(SMR)である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記下流ユニット(3)が、極低温でCOを精製するための1つ若しくは複数のユニット、又は、1つ若しくは複数のアミンスクラビングユニットを備える、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記上流ユニット及び下流ユニットが、同じ煙道ガスネットワークに接続される、
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素を含有する煙道ガスを処理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素は、さまざまな分野、特に、輸送及び工業の脱炭素において、ますます大きな役割を果たすエネルギキャリアである。水素は、(SMR(水蒸気メタン改質)炉における)天然ガスの改質反応から、又は、水の電気分解によって、製造することができる。水の電気分解は、温室効果ガスを出さない利点を有するが、(可能であれば、脱炭素された)多量の電気を消費する。SMRでは、水素の製造には、かなりのCOの製造が伴う。SMRによる水素の製造の二酸化炭素排出量を減少させるために、CO捕捉ユニットをSMRに追加することができる。COの捕捉(たとえば、食品での使用のための又は隔離のためのCOの処理及び液化)は、極低温で又は非極低温で実行することができる(たとえば、アミンスクラビング)。
【0003】
煙道ガスは、パイプを介してSMR炉から引き抜かれ、次いで、煙道ガスから熱の一部を回収するために、一定数の交換器を通過し、次いで、煙道ガスはブロワによって吸い上げられて、スタックを介して外気に送られる。この場合、COは捕捉されない。
【0004】
CO処理又は捕捉ユニットがSMRの出口に接続されるとき、下流ユニット上の変動が上流のSMRの故障モードを引き起こさないことを保証することが重要である。さらにまた、いくつかのSMRが同じ下流処理ユニットに接続される場合には、変動又はSMRの故障モードが、他のSMRの故障モードを引き起こしてはならない。COの捕捉のないSMR上では、ブロワがスタックを介して外気に流体的に接続されるという事実のために、ブロワの下流の圧力は大気圧の影響を受ける。したがって、この圧力は安定しており、ブロワによる、SMR炉内の圧力の細かい制御を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、COを含有する煙道ガスを発生させる産業用ユニットの二酸化炭素排出量を減少させるために、たとえば、SMRを出る煙道ガスの実質的にすべてを処理する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
よって、本発明の1つの主題は、公称動作圧力で動作する少なくとも1つの上流ユニットで発生する煙道ガスを処理するための方法であって、この煙道ガスは、湿量基準で5モル%~90モル%の二酸化炭素(CO)を含有し、0.5~2バール絶対圧、選択的に、0.9~1.1バール絶対圧の圧力であり、この方法は、
- 前記煙道ガスから、50モル%超、好ましくは、75%超、さらには、95モル%超のCOを含有するCOに富むガス状又は液状ストリームを生成するために、少なくとも1つの下流処理ユニットを介して、上流ユニット(単数又は複数)から発生する煙道ガスのストリームのすべて又は実質的にすべてを処理するステップと、
- 煙道ガスのストリームが、上流ユニットと下流ユニットとの間で、出口ラインを介して、大気に対して開いているスタックと連通することを可能にするステップであって、煙道ガスのストリームの圧力を大気圧に平衡させることを可能にするように、この出口ラインが公称動作において開いたまま又は部分的に開いたままである、ステップと
を含む。
【0007】
本発明において、煙道ガスのストリームのすべて又は実質的にすべてを処理することは、煙道ガスの少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらには、少なくとも97%を処理することを意味する。
【0008】
「この出口ラインが開いたまま又は部分的に開いたままである」は、出口ラインに存在する弁装置が開いたまま若しくは部分的に開いたままである状況、又は、出口ラインが恒久的に開いていることを意味する、弁装置が出口ライン上に設けられていない状況のいずれかを意味することは理解されるべきである。
【0009】
本発明の態様の1つによると、方法は、
- 上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の少なくとも1つの項目を検出するステップであって、この予測情報項目が煙道ガスの圧力、流量、又は全体組成の測定値とは異なる、ステップと、
- 煙道ガスの通路のための弁装置、及び/又は、上流ユニットと下流ユニットとの間に若しくは下流ユニット内に位置付けられた圧力上昇装置を使用して、上流ユニットと下流処理ユニットとの間の煙道ガスの流量を、この予測情報項目の関数として調整するステップと
を含む。
【0010】
予測情報項目は、たとえば、煙道ガス中のOの濃度の測定値であってもよく、この測定値は、全体組成の測定値ではない。予測情報項目は、上流ユニットに入るガスのすべての少なくとも80%を表す、上流ユニットに入るさまざまなガスの流量であってもよい。
【0011】
これらの煙道ガスは、たとえば、SMR改質装置、セメント工事、酸素燃焼ユニット、又は石灰工場から発生することがある。
【0012】
本発明では、弁装置は通常、特に煙道ガスのための、可変流れ面積の装置を意味する。
【0013】
本発明の態様の1つによると、弁装置は、
- スタックと、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのラインとの間を連通する出口ライン上に、又は、
- 上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのライン上に、又は、
- スタック内に、
位置付けられ、この弁装置は、開いている又は部分的に開いているように配置され、弁装置は、たとえば、ダンパバタフライ弁などのバタフライ弁である弁を備える。
【0014】
1つの変形形態では、特に、上流ユニットと下流ユニットとの間の流れのためのラインが大気と完全に連通することがある場合、弁を設けないことが可能である。
【0015】
本発明の態様の1つによると、弁装置は、弁装置によって可能である最大の開口の5%~100%の開口を有するように配置される。
【0016】
これは、安定した圧力を維持するために大気に接続しながら、弁装置によりラインを制限することによってOの入口又は煙道ガスの出口を最小化するために、流量の調整を適合させる時間を有することによって、上流ユニットの小さい変動を考慮することを可能にする。したがって、下流ユニットが、急速な変化に対処するために、当然に慣性を有する強力な機械であってもよいので、本発明は変動をなくすことを可能にする。
【0017】
本発明の態様の1つによると、煙道ガスのガス状ストリームの圧力を増加させることが可能である、特に、下流ユニットに置かれる、圧力上昇装置が、設けられ、圧力上昇装置は、特に、圧縮機又はブロワを備える。
【0018】
本発明の態様の1つによると、圧縮機又はブロワは、可変ベーン式のものであり、流量又は圧力を調節するために、圧縮機又はブロワのブレードの傾きを変更することを可能にする。
【0019】
本発明の態様の1つによると、この圧縮機又はこのブロワの回転速度は、特に、煙道ガスの流量をそれぞれ増加又は減少の方向に調整するために、それぞれ増加又は減少させる制御ユニットによって制御することができる。
【0020】
可変ベーンは、流れラインにおいて気相の流れをそらすように構成された複数の案内羽根を備えてもよく、これらの案内羽根は、この可変ベーンを横切る流体の圧力を決定するために、軸に対する傾斜を調整可能である。
【0021】
本発明の態様の1つによると、方法は、
- 上流ユニットに入るガスの少なくとも1つの流量、特に、上流ユニットに入るガスのすべての少なくとも80%を表す、上流ユニットに入るさまざまなガスの流量を測定するステップであって、これらの測定された流量が、上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目の一部を形成する、ステップと、
- 特に、より多くの煙道ガスを吸い上げることによって上流ユニットから放出される煙道ガスの流量を増加させることによって、特に、弁装置の流れ面積を増加させることによって、及び/又は、圧縮機若しくはブロワの回転速度を増加させることによって、及び/又は、圧縮機若しくはブロワの可変ベーンの位置を変更することによって、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流量を、この測定された流量である予測情報項目の関数として調整するステップと
を含む。
【0022】
本発明の態様の1つによると、方法は、
- 煙道ガスの流れ中の1つ若しくは複数の酸素濃度、又は、下流ユニットの入口と上流ユニットの出口との酸素濃度の差を測定するステップ、及び/或いは、
- スタック中の空気又はスタックから発生する空気の1つ若しくは複数の温度を測定するステップと、
- これらの測定値から、大気由来の空気が煙道ガスの流れに加えられているかどうか、又は、煙道ガスがスタックを通して大気に流出しているかどうかを決定するステップと、
- 煙道ガスの流れへの空気のこの追加を防ぐために、又は、煙道ガスの大気への流出を防ぐために、煙道ガスの流量を調整するステップと
を含む。
【0023】
下流ユニットに入る空気の量を減少させるために、調整は、特に、弁装置の流れ面積を縮小させること、及び/又は、圧縮機又はブロワの回転速度を低下させること、及び/又は、圧縮機又はブロワの可変ベーンの位置を変更することを含む。大気に流出する煙道ガスの量を減少させるために、調整は、特に、弁装置の流れ面積を増大させること、及び/又は、圧縮機又はブロワの回転速度を上昇させること、及び/又は、可変ベーンの位置を変更することを含む。
【0024】
本発明の態様の1つによると、下流処理ユニットに到達する煙道ガスの流量を調整するために、上流装置の故障モード又は変動又は警報が考慮され、その場合、上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目が、この故障モード又はこの変動又はこの警報の検出である。
【0025】
本発明の態様の1つによると、上流処理ユニットは、圧力スイング吸着(PSA)装置を備え、下流処理ユニットに到達する煙道ガスの流量を調整するために、このPSA装置の故障モード又は変動又は警報が考慮され、その場合、上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目が、この故障モード又はこの変動又はこの警報の検出である。
【0026】
本発明の態様の1つによると、上流ユニット、又は上流ユニットの少なくとも1つは、水蒸気メタン改質ユニット(SMR)である。
【0027】
本発明の態様の1つによると、下流ユニットは、極低温でCOを精製するための1つ若しくは複数のユニット、又は、1つ若しくは複数のアミンスクラビングユニットを備える。
【0028】
本発明の態様の1つによると、上流ユニット及び下流ユニットは、同じ煙道ガスネットワークに接続される。
【0029】
本発明の態様の1つによると、方法は、
- 前記煙道ガスから、50モル%超、好ましくは、75%超、さらには、95モル%超のCOを含有するCOに富むガス状又は液状ストリームを生成するために、下流処理ユニットを介して、上流ユニット(単数又は複数)から発生する煙道ガスのストリームのすべて又は実質的にすべてを処理するステップと、
- 上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目を検出するステップと、
- 上流ユニットと下流処理ユニットとの間の煙道ガスの流量を、この予測情報項目の関数として調整するステップと
を含む。
【0030】
本発明は、下で説明されるように、この煙道ガス流量調整により、上流ユニットの動作圧力に影響を及ぼすこと、及び/又は下流処理ユニットによって処理される煙道ガスの比率に影響を及ぼすことを可能にする。
【0031】
上流ユニットから放出される煙道ガスの実質的にすべてが下流ユニットで処理されるので、煙道ガス流れは、上流ユニットの動作に対する影響を有する、特に、上流ユニットの故障モードを有するリスクを有する。したがって、本発明は、上流ユニットの望ましくない停止につながることがある、故障モードのこの種類の誘発を防ぐことを可能にする。したがって、本発明は、上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目により可能となる予想を使用することを提案する。
【0032】
本発明の態様の1つによると、方法は、
- 上流ユニットに入るガスの少なくとも1つの流量、特に、上流ユニットに入るガスのすべての少なくとも80%を表す、上流ユニットに入るさまざまなガスの流量を測定するステップであって、これらの測定された流量が予測情報項目の一部を形成する、ステップと、
- 特に、より多くの煙道ガスを吸い上げることによって上流ユニットから放出される煙道ガスの流量を増加させることによって、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流量を、この測定された流量の関数として調整するステップと
を含む。
【0033】
本発明の態様の1つによると、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスのガス状ストリームの圧力を増加させることが可能である圧力上昇装置、及び/又は上流ユニットと下流ユニットとの間に位置付けられて、煙道ガスのストリームのための可変流れ面積を有する弁装置が設けられ、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流量を調整する。
【0034】
本発明の態様の1つによると、圧力上昇装置は、圧縮機又はブロワを備え、この圧縮機又はこのブロワの回転速度は、特に、煙道ガスの流量をそれぞれ増加又は減少の方向に調整するために、それぞれ増加又は減少させる制御ユニットによって制御することができる。
【0035】
上流ユニットに入るガス、たとえば、空気、及びメタン、及び任意選択的にPSAからの排ガスの流量を測定するという事実により、上流ユニットの出口における煙道ガスの流量の変化、及び/又は、この上流ユニット内の圧力変動を予想することが可能になる。この予想により、特に、実質的に煙道ガスのすべてが下流ユニットで処理されるときに、下流ユニットで処理される流量をより適切に調整し、上流ユニット及び/又は下流ユニットの停止をもたらすことがある故障モードを防ぐことが可能になる。
【0036】
この予想は、システムの反応時間及び圧力変動へのその感度により、たとえば、問題があることが判明することがある圧力上昇を検出するために待つことなく、効果的な調整を意図した、上流ユニットの出口における圧力の制御、及び/又は、下流ユニットへの煙道ガスの流量の制御が完了する。
【0037】
異なるアプローチでは、上流ユニットと下流処理ユニットとの間の煙道ガスの流れは、公称動作において、大気から分離される、特に、上流ユニットから発生する煙道ガスが必要であれば送られることがあるスタックから分離される。
【0038】
この例では、弁装置は、スタックと、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのラインとの間を連通する出口ライン上に位置付けられ、この弁装置は、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのラインからスタックを分離するために閉じられるように配置される。
【0039】
本発明の態様の1つによると、弁装置は、ダンパバタフライ弁などのバタフライ弁を備える。
【0040】
本発明の態様の1つによると、方法は、
- 上流ユニットの出口における動作圧力を公称動作圧力に維持することを意図して、下流処理ユニットへの煙道ガスの流量を調整するステップであって、公称動作圧力が特に大気圧によって支配されている、ステップ
を含む。
【0041】
好ましくは、公称動作圧力は大気圧に対応する。
【0042】
本発明の態様の1つによると、方法は、
- 上流ユニットと下流ユニットとの間のガスの流れの圧力、特に、上流ユニットの出口における圧力を測定するステップであって、この圧力測定値が予測情報項目である、ステップと、
- 上流ユニットの出口における動作圧力をその公称値に維持することを意図して、煙道ガス流量をこの圧力測定値の関数として調整するステップと
を含む。
【0043】
本発明の態様の1つによると、下流ユニットは圧縮機を備え、特に、その駆動は、電気モータによって少なくとも部分的に伝達され、この圧縮機の回転速度は、上流ユニットの動作圧力をそれぞれ低下又は上昇させるために、特に、下流ユニットに入る煙道ガスの流量をそれぞれ増加又は減少の方向に調整するために、それぞれ増加又は減少させる制御ユニットによって制御することができる。
【0044】
上流ユニットと下流処理ユニットとの間の煙道ガスの流れが、公称動作において、大気から分離されている場合、上流ユニットの圧力を大気圧と等しくすることはできない。この場合、上流ユニットの公称動作圧力が、たとえば、数ミリバールの許容差内に維持されることを保証することが可能である。特に、安全上の理由で、上流ユニットの動作圧力がこの許容差から逸脱するとき、警報シーケンスが開始されることがあり、上流ユニットは場合によっては緊急停止することがあるが、それは、当然、避けなければならない。
【0045】
上流ユニットが煙道ガスの流れを吐出するためのブロワを備える場合、ブロワの吐出圧力は、大気圧の影響を受けない(ブロワが大気から分離されているので)が、下流ユニットの吸気圧力の影響を受ける。下流ユニットの変動又は故障モード、たとえば、緊急停止は、続いて、上流ユニットの故障モードを引き起こすことがあり、公称動作圧力に対して許容される差が非常に小さいという点で、その上流ユニットは高い感度を有する。したがって、上流ユニットの動作圧力の制御は、煙道ガス流量の調整により、反応的な方法で実行されなければならない。
【0046】
大気から、特に、スタックから煙道ガスの流れを分離するという事実は、さらに、スタックを介した煙道ガスへの空気の取り入れを排除する又は大きく制限することを可能にする。これにより、煙道ガスのすべて又は実質的にすべてが下流処理ユニットで処理され、処理される煙道ガスの流れに加えられる外気が、この好ましくない過剰な空気流のために、下流ユニットにおいて追加の処理能力が必要になることを防ぐことを保証することが可能になる。さらにまた、煙道ガスは、スタックを介して大気に流出することが防がれる。
【0047】
本発明の態様の1つによると、上流ユニットと下流処理ユニットとの間の煙道ガスの流れは、公称動作において、大気と圧力平衡状態にある。
【0048】
本発明の態様の1つによると、煙道ガスの流れは、出口ラインを介して、大気に対して開いているスタックと連通し、煙道ガスの流れの圧力を大気圧に平衡させることを可能にするように、この出口ラインは、公称動作において開いたまま又は部分的に開いたままである。
【0049】
本発明の態様の1つによると、弁装置は、スタックと、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのラインとの間を連通する出口ライン上に位置付けられ、この弁装置は、開いている又は部分的に開いているように配置される。
【0050】
この場合、本発明は、上流ユニットの圧力が、ヘッドロスを除いて、公称動作圧力に、ここでは、大気圧に維持されることを保証することを可能にする。よって、圧力の安定により、上流ユニットの故障モードのリスクは避けられる。
【0051】
本発明の態様の1つによると、方法は、
- 煙道ガス又は煙道ガスの一部の流れへの空気の取り入れが、スタックに導入され、次いで、大気に流出することを防ぐように、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流量を調整するステップ
を含む。
【0052】
したがって、煙道ガスの流量の選択は、煙道ガスのすべて又は実質的にすべて、特に、煙道ガスの少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらには、少なくとも97%が、下流ユニットによって処理されることを保証する。この好ましくない過剰な空気流のために、外気が、処理される煙道ガスの流れに追加されること、及び、下流ユニットにおいて追加の処理能力が必要になることが防止される。さらにまた、COを含有する煙道ガスがスタックを介して大気に流出することが防止される。
【0053】
本発明の態様の1つによると、方法は、
- 煙道ガスの流れ中の1つ若しくは複数の酸素濃度、又は、下流ユニットの入口と上流ユニットの出口との酸素濃度の差を測定するステップ、及び/或いは、
- スタック中の空気又はスタックから発生する空気の1つ若しくは複数の温度を測定するステップと、
- これらの測定値から、大気由来の空気が煙道ガスの流れに加えられているかどうか、又は、煙道ガスがスタックを通して大気に流出しているかどうかを決定するステップと、
- 煙道ガスの流れへの空気のこの追加を防ぐために、又は、煙道ガスの大気への流出を防ぐために、煙道ガスの流量を調整するステップと
を含む。
【0054】
酸素濃度の差が処理ユニットの入口と上流ユニットの出口との間で増加する場合、又は、下流ユニットの入口で測定される酸素濃度が増加する場合、制御ユニットは、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流量の減少を命じる。
【0055】
スタック内のガスの温度が上昇する場合、制御ユニットは、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流量の減少を命じる。
【0056】
大気から分離された煙道ガスのストリームによる構成は、煙道ガスの100%を処理するための有利なソリューションであるが、システム(上流ユニット+下流ユニット)を、方法自体の外部変動(単数又は複数)に対して非常に敏感であるようにする欠点を有することに注目すべきであり、それは、上流ユニットの故障モードを引き起こす可能性がある。対照的に、本発明による、大気と圧力平衡状態の煙道ガスのストリームによる構成は、変動に対してあまり敏感ではないシステムを有することを可能にする。
【0057】
本発明の態様の1つによると、上流処理ユニットは、圧力スイング吸着(PSA)装置を備える。
【0058】
下流処理ユニットに到達する煙道ガスの流量又は上流ユニットに入るガスの流量を調整するために、このPSA装置の故障モード又は変動又は警報が考慮される。たとえば、PSAユニットの停止又は警報は、処理される煙道ガスの流量の制御において予想されてもよい。
【0059】
本発明の態様の1つによると、いくつかの上流ユニットは、下流処理ユニットに接続される。これらの上流ユニットは、同一であってもよく、若しくは、同一の技術のユニットであってもよく、又は、変形形態として、異なる技術のユニットであってもよい。
【0060】
本発明の態様の1つによると、上流ユニットは、送風機と、この上流ユニットから放出される煙道ガスの流量を調整することができる弁装置とを備える。
【0061】
本発明の態様の1つによると、上流ユニットは、炭化水素原料から合成ガスを製造するためのユニットである。
【0062】
本発明の態様の1つによると、上流ユニットは、水蒸気メタン改質ユニット(SMR)、石灰製造ユニット、セメント生産ユニット、精製装置、酸素燃焼ユニットから選択される。
【0063】
本発明の態様の1つによると、上流ユニットは、水蒸気メタン改質装置(SMR)を備える。
【0064】
水蒸気メタン改質装置(SMR)の煙道ガスが、約10モル%~20モル%のCO、さらに、湿量基準で約50モル%~70モル%の窒素を含有するガスを生成することに注目すべきである。
【0065】
本発明の態様の1つによると、上流ユニットは、煙道ガスを吐出するために、燃焼室及び対流室を備える改質炉の燃焼を使用する、改質のために必要とされる熱の発生による水蒸気改質によって粗合成ガスを生成するステップであって、燃焼室が、上から下まで炭化水素及び蒸気の混合物を循環させることが可能である、触媒で満たされた垂直管と、燃料及び酸化剤が供給されるバーナとを含む、ステップと、燃焼を介して、改質のために必要とされる熱を管に供給することが可能な火炎を発生させるステップと、任意選択的に、対流室において、さまざまな流体の予熱及び/又は加熱のために、煙道ガスに含有された熱を使用するステップとのうちの少なくとも1つのステップを実行する。
【0066】
本発明の態様の1つによると、上流ユニットは、非常に高い温度で、水蒸気メタン改質(SMR)又は他の軽質炭化水素の水蒸気改質によってH/CO合成ガスを生成するために配置される。
【0067】
本発明の態様の1つによると、この改質ステップ中、いくつかの反応が起こり、一部は放熱であるが、最初の主な反応は自身の吸熱であり、そのため、合成ガスを生成するこのステップのために熱を供給することが必要である。
【0068】
他のタイプの上流ユニットが設けられてもよい。
【0069】
下流ユニットで処理されるガス又は煙道ガスは、燃焼、たとえば、酸素燃焼から、発酵から、水素の除去のためのPSAから、製鋼所から、セメント工事から、アンモニア、石灰、又はエチレンオキシドの製造から得られてもよい。それは、いずれの場合も、天然ガス、又は、メタンも含有する生物メタンであってもよい。
【0070】
本発明の態様の1つによると、下流ユニットは、極低温でCOを精製するためのユニット、又は、1つ若しくは複数のアミンスクラビングユニットを備える。
【0071】
本発明の態様の1つによると、煙道ガス、又は二酸化炭素に富むガスは、最初に、スクラブ塔で精製及び/又は冷却されて、次いで、圧縮機で圧縮される。次いで、ガスは、吸着ユニットであってもよい乾燥機で乾燥される。次いで、乾燥されたガスは、乾燥製品として使用されてもよく、又は、別の吸着ユニット、及び/又は、膜、及び/又は、分離のためのユニットなどの別の手段によって、たとえば、分縮及び/又は蒸留によって、0℃より低い温度で、精製される。乾燥機が必ずしも吸着を介して動作するというわけではないことが理解されよう。ガスは、ガスが含有する水を凝縮するために、単に冷却及び/又は加圧されてもよい。極低温でCOを精製するためのユニットが設けられる。
【0072】
したがって、下流ユニットはCOの捕捉を可能にする。
【0073】
下流ユニットは、煙道ガス又はガス中のCOを捕捉するための、任意の他のタイプであってもよい。
【0074】
本発明の態様の1つによると、上流処理ユニットは、圧力スイング吸着(PSA)装置を備え、下流処理ユニットに到達する煙道ガスの流量を調整するために、このPSA装置の故障モード又は変動又は警報が考慮され、その場合、上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目が、この故障モード又はこの変動又はこの警報の検出である。
【0075】
本発明の別の主題は、公称動作圧力で動作する少なくとも1つの上流ユニットで発生する煙道ガスを処理するためのプラントであって、この煙道ガスは、湿量基準で5モル%~90モル%の二酸化炭素(CO)を含有し、0.5~2バール絶対圧、選択的に、0.9~1.1バール絶対圧の圧力であり、このプラントは、
- 前記煙道ガスから、50モル%超、好ましくは、75%超、さらには、95モル%超のCOを含有するCOに富むガス状又は液状ストリームを生成するために、上流ユニット(単数又は複数)から発生する煙道ガスのストリームのすべて又は実質的にすべてを処理するための少なくとも1つの下流処理ユニットと、
- 煙道ガスのストリームが、上流ユニットと下流ユニットとの間で、大気に対して開いているスタックと連通することを可能にする出口ラインであって、煙道ガスのストリームの圧力を大気圧に平衡させることを可能にするように、この出口ラインが公称動作において開いたまま又は部分的に開いたままである、出口ラインと
を備える。
【0076】
このプラントは、上記のように、本発明による処理方法を実行することを可能にする。
【0077】
本発明の態様の1つによると、上流ユニットは、炭化水素原料から合成ガスを製造するためのユニットである。
【0078】
本発明の態様の1つによると、下流ユニットは、極低温でCOを精製するためのユニットを備え、下流ユニットは、極低温でCOを精製するためのユニット、又は、1つ若しくは複数のアミンスクラビングユニットを備える。
【0079】
本発明は、以下の説明を読み、添付図を検討することにより、よりよく理解されるであろう。これらの図は、実例としてのみ与えられ、いかなる意味においても、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1図1は、処理プラントの例の概略的且つ部分的な表現である。
図2図2は、本発明の1つの例示的な実施形態による処理プラントの概略的且つ部分的な表現である。
図3図3は、本発明の別の例示的な実施形態による処理プラントの概略的且つ部分的な表現である。
図4図4は、本発明の1つの例による下流ユニットの機能ブロックを表す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
同一、同様、又は類似のそれらの要素は、1つの図面から次の図面にわたって同じ参照符号を保持する。
【0082】
煙道ガスを処理するためのプラント1が図1に示され、そのプラント1は、
- 公称動作圧力で動作し、その動作中に煙道ガスを発生させる上流ユニット2であって、この煙道ガスが二酸化炭素(CO)を含有する、上流ユニット2と、
- 前記煙道ガスから、約95モル%のCOを含有するCOに富むガス状又は液状ストリームを生成するために、上流ユニットから発生する煙道ガスのすべて又は実質的にすべて、特に、煙道ガスの少なくとも90%を処理するための下流処理ユニット3と、
- 上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目を検出し、上流ユニット2と下流処理ユニット4との間の煙道ガスの流量を、この予測情報項目の関数として調整するように配置された制御ユニット4と
を備える。
【0083】
説明される例では、上流ユニット2は、SMRタイプの、炭化水素原料から合成ガスを製造するためのユニットである。
【0084】
煙道ガスは、湿量基準で5モル%~90モル%の二酸化炭素(CO)を含有し、0.5~2バール絶対圧、選択的に、0.9~1.1バール絶対圧の圧力である。
【0085】
この上流ユニット2は、非常に高い温度で、水蒸気メタン改質(SMR)又は他の軽質炭化水素の水蒸気改質によってH/CO合成ガスを生成するために配置される。
【0086】
よって、上流ユニット2は、煙道ガスを吐出するために、燃焼室及び対流室を備える改質炉の燃焼を使用する、改質のために必要とされる熱の発生による水蒸気改質によって粗合成ガスを生成するステップであって、燃焼室が、上から下まで炭化水素及び蒸気の混合物を循環させることが可能である、触媒で満たされた垂直管と、燃料及び酸化剤が供給されるバーナとを含む、ステップと、燃焼を介して、改質のために必要とされる熱を管に供給することが可能な火炎を発生させるステップと、任意選択的に、さまざまな流体の予熱及び/又は加熱のために、煙道ガスに含有された熱を使用するステップとを実行する。
【0087】
上流ユニット2は、燃焼室の圧力の関数として、この上流ユニットから放出される煙道ガスの流量を調整することが可能である、ブロワ15及び弁装置又はベーン装置(図示せず)を備える。
【0088】
下流ユニット3は、極低温で、又は、アミンスクラビングによって、COを精製するためのユニット13を備える。
【0089】
下流ユニット3は、CO出口ライン70を備える。
【0090】
図4は、ブロックで、下流ユニット3の主要な機能を示す。
【0091】
よって、煙道ガス、又は二酸化炭素に富むガスは、最初に、スクラブ塔10で精製及び/又は冷却されて、次いで、圧縮機5で圧縮される。次いで、ガスは、吸着ユニットであってもよい乾燥機11で乾燥される。次いで、乾燥されたガスは、乾燥製品として使用されてもよく、又は、(たとえば、PSAタイプの)別の吸着ユニット12、及び/又は、膜、及び/又は、分離のためのユニットなどの別の手段によって、たとえば、分縮及び/又は蒸留によって、0℃より低い温度で、精製される。乾燥機が必ずしも吸着を介して動作するというわけではないことが理解されよう。ガスは、ガスが含有する水を凝縮するために、単に冷却及び/又は加圧されてもよい。極低温でCOを精製するためのユニット13が設けられ、そのユニットは、窒素回路を備える。
【0092】
アミンスクラビングの文脈内では、スクラブ塔及び圧縮機/ブロワは再び遭遇するが、乾燥機11及びCOへの予備濃縮のための吸着ユニット12は必ずしもそうとは限らない。
【0093】
プラント1は、公称動作圧力で動作する上流ユニット2内で生成される煙道ガスを処理するための方法の実施態様を可能にし、この煙道ガスは二酸化炭素(CO)を含有し、この方法は、
- その捕捉を意図して、煙道ガスからCOを除去するために、下流ユニット3を介して、上流ユニット2から発生する煙道ガスのおよそ少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらには、少なくとも97%を処理するステップと、
- 上流ユニット2と下流処理ユニット3との間の煙道ガスの流量を調整するステップと
を含む。
【0094】
方法は、
- ここでは、空気18、天然ガス19、及びPSAユニットからの排ガスの流入流れ上の流量センサ17によって、上流ユニット2に入るガスの流量を測定するステップと、
- 制御ユニット4の支援により、上流ユニット2と下流ユニット3との間の煙道ガスの流量を、この測定された流量の関数として、特に、煙道ガスのこの流量を増加させることによって、調整するステップと
を含む。
【0095】
説明される例では、空気18、天然ガス19、及びPSAユニットからの排ガスの流入流れ上の流量センサ17による、上流ユニット2に入るガスの流量の測定値は、上流ユニット2から放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目の一部を形成する。
【0096】
水素は、上流ユニット2の出口20で回収される。
【0097】
下流ユニットは圧縮機5を備え、この圧縮機5の回転速度は、煙道ガスの流量をそれぞれ増加又は減少の方向に調整するために、それぞれ増加又は減少させる制御ユニット4によって制御することができる。
【0098】
ガス、たとえば、上流ユニット2に入る空気18及びメタン19の流量を想定するという事実により、上流ユニットの出口における煙道ガスの流量の変化、及び/又は、この上流ユニット内の圧力変動を予想することが可能になる。この予想により、これらのパラメータをより適切に調整し、上流ユニット及び/又は下流ユニット3の停止をもたらすことがある故障モードを回避することが可能になる。
【0099】
図1からの例において、上流ユニット2と下流処理ユニット3との間の煙道ガスの流れは、公称動作において、大気から分離されている、すなわち、上流ユニット2から発生する煙道ガスが必要であれば送られることがあるスタック22から分離されている。
【0100】
弁装置23は、スタックと、上流ユニット2と下流ユニット4との間の煙道ガスの流れのためのライン25との間を連通する出口ライン24上に位置付けられ、この弁装置23は、上流ユニット2と下流ユニット3との間の煙道ガスの流れのためのライン25からスタック22を分離するために閉じられるように配置される。
【0101】
示されない1つの変形形態では、弁装置23は、スタック22内に位置付けられる。
【0102】
弁装置23は、ダンパバタフライ弁を備える。
【0103】
この弁装置23は存在しなくてもよく、下流ユニットに入る煙道ガスの流量調整は、圧縮機又はブロワによって実行される。
【0104】
方法は、
- 上流ユニット2の出口における動作圧力を公称動作圧力に維持することを意図して、制御ユニット4の支援により、下流処理ユニット3への煙道ガスの流量を調整するステップ
を含む。
【0105】
公称動作圧力は大気圧に対応する。
【0106】
方法は、
- 圧力センサ29を使用して、上流ユニット2と下流ユニット3との間のガスの流れの圧力、特に、上流ユニットの出口における圧力を測定するステップであって、この圧力測定値が予測情報項目である、ステップと、
- 上流ユニット2の出口における動作圧力をその公称値に維持することを意図して、煙道ガス流量をこの圧力測定値の関数として調整するステップと
をさらに含む。
【0107】
下流ユニット3の圧縮機5の回転速度は、上流ユニット2の動作圧力をそれぞれ低下又は上昇させるために、下流ユニットに入る煙道ガスの流量をそれぞれ増加又は減少の方向に調整するために、それぞれ増加又は減少させる制御ユニット4によって制御することができる。
【0108】
上流ユニット2と下流処理ユニット3との間の煙道ガスの流れが、公称動作において、大気から分離されている場合、上流ユニットの圧力を大気圧と等しくすることはできない。この場合、上流ユニットの公称動作圧力が、およそ大気圧の、たとえば、数ミリバールの許容差内に維持されることを保証することが可能である。
【0109】
下流ユニット4への煙道ガスの流量の調整を支援するために、弁装置30を下流ユニット3の入口の間で位置付けることができる。ここで、この弁装置30は、ダンパバタフライ弁を備える。他のタイプの弁が設けられてもよい。
【0110】
図2からの例において、要素の大部分は、上流ユニット2と下流処理ユニット3との間の煙道ガスの流れが、公称動作において、大気と圧力平衡状態にあることを除いて、図1から実施形態の要素と同一である。
【0111】
煙道ガスの流れは、出口ライン24を介して、大気に対して開いているスタック22と連通し、煙道ガスの流れの圧力を大気圧に平衡させることを可能にするように、この出口ライン24は、公称動作において、完全に又は部分的に開いたままである。
【0112】
弁装置23は、スタック22と、上流ユニットと下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのライン25との間を連通する出口ライン24上に位置付けられ、この弁装置23は、完全に開いている又は部分的に開いているように配置される。
【0113】
この場合、本発明は、上流ユニット2の圧力が、公称動作圧力に、ここでは、大気圧に維持されることを保証することを可能にする。よって、圧力の安定により、上流ユニットの故障モードのリスクは避けられる。
【0114】
方法は、
- 煙道ガス又は煙道ガスの一部の流れへの空気の取り入れが、スタック22に導入され、次いで、大気に流出することを防ぐように、上流ユニット2と下流ユニット3との間の煙道ガスの流量を調整するステップ
を含む。
【0115】
この好ましくない過剰な空気流のために、外気が、処理される煙道ガスの流れに追加されること、及び、下流ユニットにおいて追加の処理能力が必要になることが防止される。さらにまた、COを含有する煙道ガスがスタックを介して大気に流出することが防止される。
【0116】
図2からの例において、方法は、
- O濃度を測定するためのセンサ31を使用して、下流ユニット3の入口と上流ユニット2の出口との間の酸素濃度の差を測定するステップと、
- 温度センサ33を使用して、スタック22中の空気又はスタックから発生する空気の温度を測定するステップと、
- これらの測定値から、大気由来の空気が煙道ガスの流れに加えられているかどうか、又は、煙道ガスがスタック22を通して大気に流出しているかどうかを決定するステップと、
- 煙道ガスの流れへの空気のこの追加を防ぐために、又は、煙道ガスの大気への流出を防ぐために、煙道ガスの流量を調整するステップと
を含む。
【0117】
上記のような温度及び酸素濃度の関数としての制御補正の前に、下流ユニットに到達する流れによる調整が実行され、調整のためのその設定値は、上流ユニットに入る流量の測定によって修正することができる。
【0118】
酸素濃度の差が下流処理ユニット3の入口と上流2の出口との間で増加する場合、制御ユニット4は、下流ユニットの圧縮機の回転速度の低下を命じる。
【0119】
スタック内のガスの温度が上昇する場合、制御ユニット4は、下流ユニット4の圧縮機5の回転速度の上昇を命じる。
【0120】
下流ユニット3へと流れる流れの測定は、フローライン25上のセンサ17によって実行される。
【0121】
本例において、方法は、
- 上流ユニット2に入るガスの少なくとも1つの流量、特に、上流ユニットに入るガスのすべての少なくとも80%を表す、上流ユニット2に入るさまざまなガスの流量を測定するステップであって、これらの測定された流量が、上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目の一部を形成する、ステップと、
- 特に、より多くの煙道ガスを吸い上げることによって上流ユニットから放出される煙道ガスの流量を増加させることによって、特に、弁装置30の流れ面積を増加させることによって、及び/又は、圧縮機若しくはブロワの回転速度を増加させることによって、及び/又は、圧縮機若しくはブロワの可変ベーンの位置を変更することによって、上流ユニット2と下流ユニット4との間の煙道ガスの流量を、この測定された流量である予測情報項目の関数として調整するステップと
を含む。
【0122】
下流ユニット4に入る空気の量を減少させるために、調整は、特に、弁装置30の流れ面積を縮小させること、及び/又は、圧縮機又はブロワの回転速度を低下させること、及び/又は、圧縮機又はブロワの可変ベーンの位置を変更することを含む。大気に流出する煙道ガスの量を減少させるために、調整は、特に、弁装置30の流れ面積を増大させること、及び/又は、圧縮機又はブロワの回転速度を上昇させること、及び/又は、可変ベーンの位置を変更することを含む。
【0123】
2つの上流ユニット2及び1つの下流ユニット3が設けられた本発明の別の実施形態が図3に示されている。
【0124】
2つの弁30は、2つの上流ユニット2と関連付けられ、ストリームの混合点51は2つの弁30から来る。次いで、ストリームの混合物は、下流ユニット3の方へ進む。
【0125】
弁30の一方は広く開いたままであり、弁30の他方は部分的に開いたままである、又は、上流ユニット2の一方と混合点51との間の圧力降下と、上流ユニットの他方と混合点51との間の圧力降下との差を補償するために、弁30の一方は、弁30の他方よりも大きく開いたままである。

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公称動作圧力で動作する少なくとも1つの上流ユニット(2)で発生する煙道ガスを処理するための方法であって、この煙道ガスが、湿量基準で5モル%~90モル%の二酸化炭素(CO)を含有し、0.5~2バール絶対圧、選択的に、0.9~1.1バール絶対圧の圧力であり、前記方法は、
- 前記煙道ガスから、50モル%超、好ましくは、75%超、さらには、95モル%超のCOを含有するCOに富むガス状又は液状ストリームを生成するために、少なくとも1つの下流処理ユニット(3)を介して、前記上流ユニットから発生する前記煙道ガスのストリームのすべて又は実質的にすべてを処理するステップと、
- 前記煙道ガスの前記ストリームが、前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間で、出口ライン(24)を介して、大気に対して開いているスタック(22)と連通することを可能にするステップであって、前記煙道ガスの前記ストリームの前記圧力を大気圧に平衡させることを可能にするように、この出口ラインが公称動作において開いたまま又は部分的に開いたままである、ステップと
を含む、
方法。
【請求項2】
- 前記上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の少なくとも1つの項目を検出するステップであって、この予測情報項目が前記煙道ガスの圧力、流量、又は全体組成の測定値とは異なる、ステップと、
- 前記煙道ガスの通路のための弁装置、及び/又は、前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間に若しくは前記下流ユニット内に位置付けられた圧力上昇装置を使用して、前記上流ユニット(2)と前記下流処理ユニット(3)との間の煙道ガスの前記流量を、この予測情報項目の関数として調整するステップと
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
弁装置(23)が、
- 前記スタックと、前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのラインとの間を連通する前記出口ライン上に、又は、
- 前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのライン上に、又は、
- 前記スタック内に
位置付けられ、
この弁装置が、開いている又は部分的に開いているように配置され、前記弁装置が、たとえば、ダンパバタフライ弁などのバタフライ弁である弁を備える、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記弁装置が、前記弁装置によって可能である最大の開口の5%~100%の開口を有するように配置される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記煙道ガスの前記ガス状ストリームの圧力を増加させることが可能である、特に、前記下流ユニットに置かれる、圧力上昇装置が設けられ、
前記圧力上昇装置が、特に、圧縮機(5)又はブロワを備える、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
- 前記上流ユニット(2)に入るガスの少なくとも1つの流量、特に、前記上流ユニットに入る前記ガスのすべての少なくとも80%を表す、前記上流ユニットに入るさまざまなガスの流量を測定するステップであって、前記測定された流量が、前記上流ユニットから放出される前記煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目の一部を形成する、ステップと、
- 特に、より多くの煙道ガスを吸い上げることによって前記上流ユニットから放出される煙道ガスの前記流量を増加させることによって、特に、弁装置の流れ面積を増加させることによって、及び/又は、前記圧縮機若しくは前記ブロワの回転速度を増加させることによって、及び/又は、前記圧縮機若しくは前記ブロワの可変ベーンの位置を変更することによって、前記上流ユニット(2)と前記下流ユニット(4)との間の煙道ガスの前記流量を、この測定された流量である前記予測情報項目の関数として調整するステップと
を含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
- 煙道ガスの前記流れ中の1つ若しくは複数の酸素濃度、又は、前記下流ユニットの入口と前記上流ユニットの出口との酸素濃度の差を測定するステップ、及び/或いは、
- 前記スタック中の空気又は前記スタックから発生する空気の1つ若しくは複数の温度を測定するステップと、
- これらの測定値から、前記大気由来の空気が煙道ガスの前記流れに加えられているかどうか、又は、煙道ガスが前記スタックを通して前記大気に流出しているかどうかを決定するステップと、
- 煙道ガスの前記流れへの空気のこの追加を防ぐために、又は、煙道ガスの前記大気への流出を防ぐために、煙道ガスの前記流量を調整するステップと
を含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記下流処理ユニットに到達する煙道ガスの前記流量を調整するために、前記上流装置の故障モード又は変動又は警報が考慮され、その場合、前記上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の前記変化を予測するための情報の項目が、この故障モード又はこの変動又はこの警報の検出である
ことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記上流処理ユニットが、圧力スイング吸着(PSA)装置を備え、
前記下流処理ユニットに到達する煙道ガスの前記流量を調整するために、このPSA装置の故障モード又は変動又は警報が考慮され、その場合、前記上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の前記変化を予測するための情報の項目が、この故障モード又はこの変動又はこの警報の検出である
ことを特徴とする、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記上流ユニット、又は前記上流ユニットの少なくとも1つが、水蒸気メタン改質ユニット(SMR)である、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記下流ユニット(3)が、極低温でCOを精製するための1つ若しくは複数のユニット、又は、1つ若しくは複数のアミンスクラビングユニットを備える、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記上流ユニット及び下流ユニットが、同じ煙道ガスネットワークに接続される、
請求項1又は2に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
弁30の一方は広く開いたままであり、弁30の他方は部分的に開いたままである、又は、上流ユニット2の一方と混合点51との間の圧力降下と、上流ユニットの他方と混合点51との間の圧力降下との差を補償するために、弁30の一方は、弁30の他方よりも大きく開いたままである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 公称動作圧力で動作する少なくとも1つの上流ユニット(2)で発生する煙道ガスを処理するための方法であって、この煙道ガスが、湿量基準で5モル%~90モル%の二酸化炭素(CO )を含有し、0.5~2バール絶対圧、選択的に、0.9~1.1バール絶対圧の圧力であり、前記方法は、
- 前記煙道ガスから、50モル%超、好ましくは、75%超、さらには、95モル%超のCO を含有するCO に富むガス状又は液状ストリームを生成するために、少なくとも1つの下流処理ユニット(3)を介して、前記上流ユニットから発生する前記煙道ガスのストリームのすべて又は実質的にすべてを処理するステップと、
- 前記煙道ガスの前記ストリームが、前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間で、出口ライン(24)を介して、大気に対して開いているスタック(22)と連通することを可能にするステップであって、前記煙道ガスの前記ストリームの前記圧力を大気圧に平衡させることを可能にするように、この出口ラインが公称動作において開いたまま又は部分的に開いたままである、ステップと
を含む、
方法。
[2] - 前記上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の少なくとも1つの項目を検出するステップであって、この予測情報項目が前記煙道ガスの圧力、流量、又は全体組成の測定値とは異なる、ステップと、
- 前記煙道ガスの通路のための弁装置、及び/又は、前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間に若しくは前記下流ユニット内に位置付けられた圧力上昇装置を使用して、前記上流ユニット(2)と前記下流処理ユニット(3)との間の煙道ガスの前記流量を、この予測情報項目の関数として調整するステップと
を含む、
[1]に記載の方法。
[3] 弁装置(23)が、
- 前記スタックと、前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのラインとの間を連通する前記出口ライン上に、又は、
- 前記上流ユニットと前記下流ユニットとの間の煙道ガスの流れのためのライン上に、又は、
- 前記スタック内に
位置付けられ、
この弁装置が、開いている又は部分的に開いているように配置され、前記弁装置が、たとえば、ダンパバタフライ弁などのバタフライ弁である弁を備える、
[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記弁装置が、前記弁装置によって可能である最大の開口の5%~100%の開口を有するように配置される、
[3]に記載の方法。
[5] 前記煙道ガスの前記ガス状ストリームの圧力を増加させることが可能である、特に、前記下流ユニットに置かれる、圧力上昇装置が設けられ、
前記圧力上昇装置が、特に、圧縮機(5)又はブロワを備える、
[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] - 前記上流ユニット(2)に入るガスの少なくとも1つの流量、特に、前記上流ユニットに入る前記ガスのすべての少なくとも80%を表す、前記上流ユニットに入るさまざまなガスの流量を測定するステップであって、前記測定された流量が、前記上流ユニットから放出される前記煙道ガスの流量の変化を予測するための情報の項目の一部を形成する、ステップと、
- 特に、より多くの煙道ガスを吸い上げることによって前記上流ユニットから放出される煙道ガスの前記流量を増加させることによって、特に、弁装置の流れ面積を増加させることによって、及び/又は、前記圧縮機若しくは前記ブロワの回転速度を増加させることによって、及び/又は、前記圧縮機若しくは前記ブロワの可変ベーンの位置を変更することによって、前記上流ユニット(2)と前記下流ユニット(4)との間の煙道ガスの前記流量を、この測定された流量である前記予測情報項目の関数として調整するステップと
を含む、
[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] - 煙道ガスの前記流れ中の1つ若しくは複数の酸素濃度、又は、前記下流ユニットの入口と前記上流ユニットの出口との酸素濃度の差を測定するステップ、及び/或いは、
- 前記スタック中の空気又は前記スタックから発生する空気の1つ若しくは複数の温度を測定するステップと、
- これらの測定値から、前記大気由来の空気が煙道ガスの前記流れに加えられているかどうか、又は、煙道ガスが前記スタックを通して前記大気に流出しているかどうかを決定するステップと、
- 煙道ガスの前記流れへの空気のこの追加を防ぐために、又は、煙道ガスの前記大気への流出を防ぐために、煙道ガスの前記流量を調整するステップと
を含む、
[1]~[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記下流処理ユニットに到達する煙道ガスの前記流量を調整するために、前記上流装置の故障モード又は変動又は警報が考慮され、その場合、前記上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の前記変化を予測するための情報の項目が、この故障モード又はこの変動又はこの警報の検出である
ことを特徴とする、
[1]~[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 前記上流処理ユニットが、圧力スイング吸着(PSA)装置を備え、
前記下流処理ユニットに到達する煙道ガスの前記流量を調整するために、このPSA装置の故障モード又は変動又は警報が考慮され、その場合、前記上流ユニットから放出される煙道ガスの流量の前記変化を予測するための情報の項目が、この故障モード又はこの変動又はこの警報の検出である
ことを特徴とする、
[8]に記載の方法。
[10] 前記上流ユニット、又は前記上流ユニットの少なくとも1つが、水蒸気メタン改質ユニット(SMR)である、
[1]~[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11] 前記下流ユニット(3)が、極低温でCO を精製するための1つ若しくは複数のユニット、又は、1つ若しくは複数のアミンスクラビングユニットを備える、
[1]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12] 前記上流ユニット及び下流ユニットが、同じ煙道ガスネットワークに接続される、
[1]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】