(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】9個の炭素原子を有する芳香族化合物を転化するデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
C07C 5/27 20060101AFI20241121BHJP
C07C 15/02 20060101ALI20241121BHJP
C07C 4/18 20060101ALI20241121BHJP
C07C 15/08 20060101ALI20241121BHJP
B01J 29/74 20060101ALI20241121BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
C07C5/27
C07C15/02
C07C4/18
C07C15/08
B01J29/74 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533210
(86)(22)【出願日】2022-11-26
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2022083380
(87)【国際公開番号】W WO2023104554
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】ブシー クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】クパール ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】パゴット アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ダン ティ ビック ゴック
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169BA01B
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BC75B
4G169CC14
4G169DA05
4G169EA02Y
4G169FA03
4G169FB14
4G169FB67
4G169ZA22B
4G169ZA32B
4G169ZC01
4G169ZF04A
4G169ZF04B
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC27
4H006AD11
4H006AD16
4H006BA26
4H006BA71
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC18
4H006BC31
4H006BD33
4H006BD40
4H006BD41
4H006BD52
4H006BD84
4H006BE20
4H006DA12
4H006DA15
4H039CA11
4H039CG50
4H039CJ10
(57)【要約】
本発明は、芳香族化合物を転化する方法およびデバイスに関するものであり、9個の炭素原子を有する芳香族化合物を含んでいる炭化水素系供給原料(1)からの芳香族化合物を、水素化/脱水素機能基および水素異性化機能基を有する二機能性異性化触媒の存在中で異性化ユニット(A)において異性化し、トリメチルベンゼンに富んだ異性化流出物(10)を生じさせる。本発明は、芳香族化合物を転化する方法およびデバイスを含む芳香族化合物を製造する方法およびデバイスにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族化合物を転化するための方法であって、以下の工程を含んでいる、方法:
- 9個の炭素原子を含有している芳香族化合物を含んでいる炭化水素供給原料(1)の芳香族化合物を、異性化ユニット(A)において、水素化/脱水素機能および水素化異性化機能を有する二機能性異性化触媒の存在中で異性化して、トリメチルベンゼンに富んだ異性化流出物(10)を生じさせる工程。
【請求項2】
炭化水素供給原料(1)の芳香族化合物の異性化を、以下の操作条件の少なくとも1つの下に実行する、請求項1に記載の方法:
- 温度250℃~450℃、優先的には355℃~390℃、例えば温度385℃;
- 圧力0.1絶対MPa~3絶対MPa、優先的には0.2絶対MPa~1.5絶対MPa;
- H
2/HCのモル比1~5、優先的には3~4.5、例えばH
2/HCのモル比4;
- WWH1h
-1~30h
-1、優先的には3h
-1~12h
-1;用語WWHは、供給される触媒の重量に相対する、時間当たりの注入される炭化水素供給原料の重量に相当する。
【請求項3】
異性化触媒は、水素化/脱水素機能基としての元素周期律表の第VIIIB族からの少なくとも1種の金属、水素化異性化機能基としての少なくとも1つのモレキュラーシーブ、および場合による少なくとも1種のマトリクスを含む、請求項1または2に記載の転化方法。
【請求項4】
炭化水素供給原料(1)は、2個または3個の炭素原子を含有しているアルキル鎖を有する9個の炭素原子を含有している芳香族化合物を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の転化方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の転化方法であって、以下の工程を含んでいる方法:
- 分離ユニット(G)において異性化流出物(10)を処理する工程;分離ユニット(G)は、異性化ユニット(A)の下流に、場合によっては直接的下流に位置する;第1の分離留分(11)と、未転化化合物の留分(13)とを少なくとも生じさせ、未転化化合物の留分(13)を異性化ユニット(A)の入口にリサイクルする。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の転化方法であって、以下の工程を含んでいる方法:
- 抽出ユニット(H)において炭化水素供給原料(1)を処理する工程;抽出ユニット(H)は、異性化ユニット(A)の上流に、場合によっては直接的上流に位置する;トリメチルベンゼンを抽出し、トリメチルベンゼン欠乏炭化水素供給原料(15)を生じさせ、トリメチルベンゼン欠乏炭化水素供給原料(15)を異性化ユニットに送る。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の転化方法を組み入れるキシレンの製造のための方法であって、以下の工程を含んでいる方法:
- トリメチルベンゼンに富んだ異性化流出物(10)の全部または一部をアロマティックコンプレクスに送り、キシレンを生じさせる。
【請求項8】
以下の構成の少なくとも1つにより転化方法をアロマティックコンプレクスに統合する、請求項7に記載のキシレンを製造するための方法:
- アロマティックコンプレクスの上流の炭化水素供給原料(1)の前処理;
- アロマティックコンプレクスに対して内部の少なくとも1つの留分の処理。
【請求項9】
請求項8に記載のキシレンを製造するための方法であって、以下の工程を含む方法:
- アロマティックコンプレクスのキシレン塔(M)からの9~10個の炭素原子を含有している化合物を含んでいる芳香族流出物を、炭化水素供給原料(1)として異性化ユニット(A)に送る工程。
【請求項10】
芳香族化合物を転化するためのデバイスであって、以下を含む、デバイス:
- 異性化ユニット(A);9個の炭素原子を含有している芳香族化合物を含んでいる炭化水素供給原料(1)の芳香族化合物を、水素化/脱水素機能基および水素化異性化機能基を有する二機能性異性化触媒の存在中で異性化するのに適している;トリメチルベンゼンに富んだ異性化流出物(10)を生じさせる。
【請求項11】
請求項10に記載の転化デバイスであって、以下のものを含んでいる、転化デバイス:
- 分離ユニット(G):異性化ユニット(A)の下流に、場合によっては、直接的下流に位置し、第1の分離留分(11)と、未転化化合物の留分(13)とを少なくとも生じさせるように異性化流出物(10)を処理するのに適しており、未転化化合物の留分(13)は、異性化ユニット(A)の入口にリサイクルされる。
【請求項12】
請求項10または11に記載の転化デバイスであって、以下のものを含む、転化デバイス:
- 抽出ユニット(H);異性化ユニット(A)の上流に、場合によっては直接的上流に位置する;トリメチルベンゼンを抽出し、かつ、トリメチルベンゼン欠乏炭化水素供給原料(15)を生じさせるように炭化水素供給原料(1)を処理するのに適しており、該トリメチルベンゼン欠乏炭化水素供給原料(15)は、異性化ユニット(A)に送られる。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1つに記載の転化デバイスを組み込んでなるキシレン製造デバイスであって、以下のものを含む、キシレン製造デバイス:
- 給送ライン;トリメチルベンゼンに富んだ異性化流出物(10)の全部または一部をアロマティックコンプレクスに送るのに適しており、キシレンを生じさせる。
【請求項14】
転化デバイスは、以下の構成の少なくとも1つにしたがってアロマティックコンプレクスに統合される、請求項13に記載のキシレン製造デバイス:
- アロマティックコンプレクスの上流の炭化水素供給原料(1)の前処理;
- アロマティックコンプレクスに対して内部の少なくとも1つの留分の処理。
【請求項15】
請求項14に記載のキシレン製造デバイスであって、以下のものを含むキシレン製造デバイス:
- 給送ライン:9~10個の炭素原子を含有している化合物を含んでいる芳香族流出物を、アロマティックコンプレクスのキシレン塔(M)から異性化ユニット(A)に炭化水素供給原料(1)として送るのに適している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油化学工業用の芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、パラキシレン、オルトキシレン)を製造するコンテクストにおける芳香族化合物の転化に関する。アロマティックコンプレクス(芳香族化合物製造デバイス)は、C6~C10+供給原料を供給され、アルキル芳香族化合物がそこから抽出され、次いで、望みの中間体に転化される。対象となる生成物は、0、1または2個のメチルを有する芳香族化合物であり、キシレンが最も高い市場価値を有している。それ故に、本発明は、2個超の炭素を含有しているアルキル鎖を転化すること、とりわけ、9個の炭素原子を含有している芳香族化合物、すなわちA9留分を転化することによって、アロマティックコンプレクスにおいて利用可能なメチル基の量を増大させることに関する。
【背景技術】
【0002】
A9留分の転化のための従来技術、例えば、脱アルキル反応(2個の炭素の喪失)および水素化分解反応(1個の炭素原子の喪失)が知られている。
【0003】
脱アルキル反応は、水素原子のアルキル基との分子内の置換の反応である。
【0004】
水素化脱アルキル反応は、芳香族分子からのアルキル基の除去が水素の存在中で実行される脱アルキル反応である。具体的には、それは、核とのアルキル鎖「面一」の末端切断である。触媒反応は、酸型のものと金属型のものであることができ、酸型は、とりわけ、2個以上の炭素を含有しているアルキル鎖上で用いられるが、メチルに非常に非効率的であり、金属型は、とりわけ、メチルを転化することが望まれる場合である。メチルの転化は、とりわけ、ガソリンのカットポイントを低下させるために用いられ、このために、全ての分子は、炭素を喪失しなければならないか、または、ベンゼンの製造のために用いられ、このために、反応は、芳香核のみを維持するように最大限に推し進められる。
【0005】
水添分解反応(hydrogenolysis)は、炭素-炭素または炭素-ヘテロ原子の共有結合が水素の作用によって分解されるかまたは分解を経る化学反応である。水素化脱アルキル反応は、したがって、アルキルと芳香核の間の炭素-炭素結合の水添分解の反応であると考えられ得る。他方で、水添分解反応は、2個以上の炭素を含有しているアルキル基に対して内部の炭素-炭素結合にも関係する。
【0006】
例えば、エチルトルエンは、水添分解によってキシレンに転化され得ること(特許文献1参照)またはトランスアルキル化ユニットにおいて現在用いられている反応機構を介して脱アルキルによってトルエンに転化され得ることが言及されてよい。特許出願(特許文献1)は、とりわけ、8個超の炭素原子を含有している芳香族化合物に豊富な供給原料を処理する選択的水添分解ユニットに関し、ベンゼン核に結合した少なくとも2個の炭素原子を含有している1つまたは複数のアルキル基(エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル等)を1つまたは複数のメチル基に転化することからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3069244号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
前述のコンテクストにおいて、本説明の第1の目的は、従来技術の課題を克服し、改善されたメチル化合物の選択性および収率を可能にする石油化学工業用の芳香族化合物を製造するための方法を提供することにある。
【0009】
本発明は、2個または3個の炭素原子を含有しているアルキル鎖を有する9個の炭素原子を含有している芳香族化合物の(炭素の喪失がない)異性化反応に関する。それは、したがって、以下の5つの化合物:クメン、n-プロピルベンゼン、o-メチルエチルベンゼン、m-エチルトルエンおよびp-エチルトルエンをトリメチルベンゼン(TMB)に異性化するという問題であり、利用可能なメチル基の量を増大させる。有利には、トルエンによるトランスアルキル化によって、アロマティックコンプレクスのキシレン、とりわけp-キシレンの純生産量が増大させられることができる。
【0010】
第1の態様によると、上述の目的は、他の利点と共に、芳香族化合物を転化するための方法によって得られ、当該方法は、以下の工程を含んでいる:
- 9個の炭素原子を含有している芳香族化合物を含んでいる炭化水素供給原料の芳香族化合物(例えば、クメン、n-プロピルベンゼン、o-エチルトルエン、m-エチルトルエンおよびp-エチルトルエン)を、異性化ユニットにおいて、水素化/脱水素機能および水素化異性化機能を有している二機能性異性化触媒の存在中で異性化して、トリメチルベンゼンを豊富にした異性化流出物を生じさせる工程。
【0011】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料の芳香族化合物の異性化は、以下の操作条件の少なくとも1つの下に実行される:
- 温度250℃~450℃、優先的には355℃~390℃、例えば温度385℃;
- 圧力0.1絶対MPa~3絶対MPa、優先的には0.2絶対MPa~1.5絶対MPa;
- H2/HCのモル比1~5、優先的には3~4.5、例えばH2/HCのモル比4;
- WWH1h-1~30h-1、優先的には3h-1~12h-1;用語WWHは、供給される触媒の重量に相対する、時間当たりの注入される炭化水素供給原料の重量に相当する。
【0012】
1つまたは複数の実施形態によると、異性化触媒は、水素化/脱水素機能基としての元素周期律表の第VIIIB族からの少なくとも1種の金属、水素化異性化機能基としての少なくとも1種のモレキュラーシーブ、および任意選択に少なくとも1種のマトリクスを含む。
【0013】
1つまたは複数の実施形態によると、供給原料は、2個または3個の炭素原子を含有しているアルキル鎖を有する9個の炭素原子を含有している芳香族化合物、例えばクメン、n-プロピルベンゼン、o-メチルエチルベンゼン、m-エチルトルエンおよびp-エチルトルエンを含む。
【0014】
1つまたは複数の実施形態によると、本転化方法は、以下の工程を含む:
- 分離ユニットにおいて異性化流出物を処理する工程;分離ユニットは、異性化ユニットの下流に、場合によっては直接的な下流に位置する;第1の分離留分と、未転化化合物の留分とを少なくとも生じさせ、未転化化合物の留分は、異性化ユニットの入口にリサイクルされる。
【0015】
1つまたは複数の実施形態によると、本転化方法は、以下の工程を含む:
- 抽出ユニットにおいて炭化水素供給原料を処理する工程;抽出ユニットは、異性化ユニットの上流に、場合によっては直接的に上流に位置する;トリメチルベンゼンを抽出し、トリメチルベンゼン欠乏炭化水素供給原料を生じさせ、トリメチルベンゼン欠乏炭化水素供給原料は、異性化ユニットに送られる。
【0016】
第2の態様によると、上述の目的は、他の利点と共に、第1の態様による転化方法を組み入れるキシレン製造方法によって得られ、以下の工程を含む:
- キシレンを製造するために、トリメチルベンゼンを豊富にされた異性化流出物の全部または一部をアロマティックコンプレクス、好ましくはトランスアルキル化ユニットに送る工程;キシレンを生じさせる。
【0017】
1つまたは複数の実施形態によると、芳香族化合物を転化するための方法は、以下の構成の少なくとも1つよるアロマティックコンプレクスに組み込まれる:
- アロマティックコンプレクスの上流の炭化水素供給原料の前処理;
- アロマティックコンプレクスに対して内部の少なくとも1つの留分の処理。
【0018】
1つまたは複数の実施形態によると、キシレン製造方法は、以下の工程を含む:
- アロマティックコンプレクスのキシレン塔からの9~10個の炭素原子を含有している化合物(C9-C10)を含んでいる(例えば本質的に)芳香族性の流出物を、炭化水素供給原料として異性化ユニットに送る工程。
【0019】
第3の態様によると、上述の目的は、他の利点と共に、異性化ユニットを含んでいる芳香族化合物転化デバイスによって得られ、当該ユニットは、9個の炭素原子を含有している芳香族化合物を含んでいる炭化水素供給原料の芳香族化合物(例えば、クメン、n-プロピルベンゼン、o-エチルトルエン、m-エチルトルエンおよびp-エチルトルエン)を、水素化/脱水素機能および水素化異性化機能を有する二機能性異性化触媒の存在中で異性化して、トリメチルベンゼンに富んだ異性化流出物を生じさせるのに適している。
【0020】
1つまたは複数の実施形態によると、異性化触媒は、水素化/脱水素機能基としての元素周期律表の第VIIIB族からの少なくとも1種の金属、水素化異性化機能基としての少なくとも1種のモレキュラーシーブ、および任意選択に少なくとも1種のマトリクスを含む。
【0021】
1つまたは複数の実施形態によると、転化デバイスは、以下のものを含む:
- 異性化ユニットの下流に、場合によっては直接的に位置する分離ユニット;当該ユニットは、異性化流出物を処理して第1の分離留分と、未転化化合物の留分とを少なくとも生じさせるのに適しており、未転化化合物の留分は、異性化ユニットの入口にリサイクルされる。
【0022】
1つまたは複数の実施形態によると、転化デバイスは、以下のものを含む:
- 異性化ユニットの上流に、場合によっては直接的に位置している抽出ユニット;炭化水素供給原料を処理するために、トリメチルベンゼンを抽出し、トリメチルベンゼン枯渇炭化水素供給原料を生じさせるのに適しており、トリメチルベンゼン枯渇炭化水素供給原料は、異性化ユニットに送られる。
【0023】
第4の態様によると、上述の目的は、他の利点と共に、第3の態様による芳香族化合物を転化するためのデバイスを組み入れてなるキシレン製造デバイスによって得られ、以下のものを含んでいる:
- 給送ライン;トリメチルベンゼンに富んだ異性化流出物の全部または一部をアロマティックコンプレクス、好ましくはトランスアルキル化ユニットに送り、キシレンを生じさせるのに適している。
【0024】
1つまたは複数の実施形態によると、転化デバイスは、以下の構成の少なくとも1つに従ってアロマティックコンプレクスに組み込まれる:
- アロマティックコンプレクスの上流の炭化水素供給原料(例えば投入供給原料の一部)の前処理;
- アロマティックコンプレクスに対して内部の少なくとも1つの留分の処理。
【0025】
1つまたは複数の実施形態によると、キシレン製造デバイスは、以下のものを含む:
- 給送ライン;9~10個の炭素原子を含有している化合物(C9-C10)を含んでいる(例えば本質的に)芳香族性の流出物を、アロマティックコンプレクスのキシレン塔から炭化水素供給原料として異性化ユニットに送るのに適している。
【0026】
上述した態様による実施形態およびまた上述した態様によるデバイスおよび方法の他の特徴および利点は、以下の図面を参照しながら、限定することなく、例示のためにのみ与えられる以下の説明を読めば明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(図面のリスト)
図1は、本発明の1つまたは複数の実施形態による芳香族化合物転化デバイスを表し、異性化ユニット、異性化ユニットの直接的上流に位置する任意選択のトリメチルベンゼン抽出ユニット、および生成物、副生成物、反応中間体および未転化種を分離するための任意選択の塔を含む。
【0028】
図2は、パラキシレンの製造のためのアロマティックコンプレクスを表し、本発明の1つまたは複数の実施形態による芳香族化合物転化デバイスを組み込んでいる。
【0029】
(実施形態の説明)
石油化学工業において、パラキシレンは、最も市場価値の高い中間体のひとつである。その製造にはメチル置換型モノ芳香族化合物が必要である;それは、主に、トルエンの不均化、キシレン類の異性化またはトルエンのトリメチルベンゼンまたはテトラメチルベンゼンとのトランスアルキル化によって製造される。パラキシレンの製造を最大にするために、芳香核当たりの利用可能なメチル基の量を最大にすることが有効である。
【0030】
この目標を念頭に置いて、メチル置換型モノ芳香族化合物、好ましくはメチルのみにより置換されたモノ芳香族化合物は、直接的にアップグレードされることができるが、これは、2個を超える炭素原子を含有しているアルキル鎖を有するモノ芳香族化合物には当てはまらない(例えば、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン(methylethylbenzenes:MEB)、プロピルベンゼン等)。したがって、これらのモノ芳香族化合物をメチル(例えばメチルのみ)で置換された芳香族化合物に転化することが好ましい。このコンテクストにおいて、芳香族化合物を転化するためのデバイスが開発されており、9個の炭素原子を含有している芳香族化合物の異性化のためのユニットを含んでおり、これは、芳香核上のメチル基の量を増加させることができ、とりわけ、パラキシレンの生産量を増加させることができる。有利には、異性化ユニットにより、とりわけ、プロピルベンゼンおよびメチルエチルベンゼンからのトリメチルベンゼンの製造が可能になる。
【0031】
第1および第3の態様によると、かつ
図1を参照すると、本発明は、それ故に、芳香族化合物を転化するための方法およびデバイスに関し、9個の炭素原子を含有している芳香族化合物を含んでいる炭化水素供給原料(1)の芳香族化合物(例えばクメン、n-プロピルベンゼン、o-エチルトルエン、m-エチルトルエンおよびp-エチルトルエン)を異性化するためおよびトリメチルベンゼンに富んだ異性化流出物を生じさせるために適した異性化ユニットAを用いている/含んでいる。
【0032】
(炭化水素供給原料)
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、前記炭化水素供給原料(1)の全重量に相対して最低95重量%、好ましくは最低98重量%、大いに好ましくは最低99重量%の芳香族化合物を含む。1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、少なくとも9個の炭素原子を含んでいる芳香族化合物を、前記炭化水素供給原料(1)の全重量に相対して最低93重量%、好ましくは最低95重量%、大いに好ましくは最低98重量%で含む。
【0033】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、少なくとも1つのC2+アルキル(例えばエチル、プロピル)鎖を含んでいる芳香族分子を、炭化水素供給原料(1)の全重量に相対して、最低50重量%、好ましくは最低60重量%、優先的には最低70重量%で含む。
【0034】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、2個または3個の炭素原子を含有しているアルキル鎖を有する9個の炭素原子を含有している芳香族化合物、例えば、クメン、n-プロピルベンゼン、o-メチルエチルベンゼン、m-エチルトルエンおよびp-エチルトルエンを含むか、または本質的にそれらからなる。
【0035】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、9~10個の炭素原子を含有している芳香族分子を、前記炭化水素供給原料(1)の全重量に相対して、最低93.5重量%、好ましくは最低95.5重量%、大いに好ましくは最低98.5重量%で含む。1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料は、パラキシレンの製造のためにアロマティックコンプレクスの少なくとも1つの内部流れを含み、および/または異性化流出物(10)は、パラキシレンの製造のためにアロマティックコンプレクスに少なくとも部分的に送られる供給原料である。
【0036】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、9個の炭素原子を含有している芳香族分子を、前記炭化水素供給原料(1)の全重量に相対して、最低93重量%、好ましくは最低95重量%、大いに好ましくは最低98重量%で含む。1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、メチルエチルベンゼンおよび/またはプロピルベンゼンおよび任意選択にトリメチルベンゼンを含み、好ましくはトリメチルベンゼンをほとんどまたは全く含まない(例えば1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、大いに好ましくは0.2重量%未満)。
【0037】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、10個の炭素原子を含有している芳香族分子を、前記炭化水素供給原料(1)の全重量に相対して、最低0.1重量%、好ましくは最低0.2重量%、大いに好ましくは最低0.5重量%で含む。1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、ジメチルエチルベンゼンおよび/またはメチルプロピルベンゼン、および任意選択にテトラメチルベンゼンおよび/またはブチルベンゼンを含む。
【0038】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、メチルエチルベンゼン、プロピルベンゼン、場合によるトリメチルベンゼン、ジメチルエチルベンゼン、メチルプロピルベンゼン、および場合によるテトラメチルベンゼンおよび/またはブチルベンゼンから選ばれる芳香族化合物を、最低93重量%、好ましくは最低95重量%、大いに好ましくは最低98重量%で含む。
【0039】
(異性化ユニット)
図1を参照すると、異性化ユニットAは、以下の用途に適している:
- 9個の炭素原子を含有している芳香族化合物を含んでいる炭化水素供給原料(1)を、供給水素(2)によって、触媒の存在中で処理して、炭化水素供給原料(1)の少なくとも一部をトリメチルベンゼンに転化すること;およびトリメチルベンゼンに富んだ転化流出物(5)を生じさせること。
【0040】
1つまたは複数の実施形態によると、異性化ユニットAは、以下の操作条件下の使用に適した少なくとも1基の異性化反応器Cを含む:
- 温度:250℃~450℃、優先的には355℃~390℃、例えば温度385℃、および/または
- 圧力:0.1絶対MPa~3絶対MPa、優先的には0.2絶対MPa~1.5絶対MPa、および/または
- H2/HCのモル比:1~5、優先的には3~4.5、例えばH2/HCのモル比:4、および/または
- WWH:1h-1~30h-1、優先的には3h-1~12h-1。
【0041】
用語「WWH」は、供給される触媒の質量に相対する、時間当たりの注入される炭化水素供給原料の質量に対応する。
【0042】
1つまたは複数の実施形態によると、異性化反応器Cは、固定床または移動床の反応器である。移動床は、重力流床であるとして定義されてよく、例えば、ガソリンの接触改質においてみられるものがある。1つまたは複数の実施形態によると、異性化反応器Cは、固定床反応器である。
【0043】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料(1)は、水素の供給物(2)と異性化反応器C内および/または異性化反応器Cの上流(例えば直接的上流)で混合され、水素に富んだ炭化水素供給原料(3)を形成するようにする。
【0044】
1つまたは複数の実施形態によると、異性化ユニットAは、異性化反応器Cの上流(例えば直接的上流)で炭化水素供給原料(1)または水素富化炭化水素供給原料(3)を加熱するための加熱ユニットBも含む。加熱ユニットBの前に、炭化水素供給原料(1)または水素富化炭化水素供給原料(3)を予熱するために用いられる転化流出物熱回収設備(5)が配置されてよい。1つまたは複数の実施形態によると、加熱ユニットBは、以下の操作条件下の使用に適している:入口温度150℃~200℃;および/または出口温度355℃~390℃(例えば385℃)。加熱ユニットBからの加熱流出物(4)は、異性化反応器Cに(例えば直接的に)送られる。
【0045】
1つまたは複数の実施形態によると、転化流出物(5)は、冷却ユニットD(例えば熱交換器)に(例えば直接的に)送られて、冷却された転化流出物(6)を形成するようにする。冷却ユニットDの前に、炭化水素供給原料(1)または水素富化炭化水素供給原料(3)を予熱するために用いられる転化流出物熱回収設備(5)が配置されてよい。1つまたは複数の実施形態によると、冷却ユニットDは、以下の操作条件下の使用に適している:入口温度355℃~390℃(例えば385℃);および/または出口温度45℃~60℃。
【0046】
1つまたは複数の実施形態によると、冷却済み転化流出物(6)は、分離セクションEに(例えば直接的に)送られて、水素を含んでいるガス状流出物(7)と、異性化流出物(10)とを生じさせる。
【0047】
1つまたは複数の実施形態によると、ガス状流出物(7)は、以下のために適したリサイクルユニットFに送られる:ガス状流出物(7)を圧縮および/または精製する;場合によっては、ガス状流出物(7)からのパージガス(9)(例えばメタン)を抽出する;および/またはガス状流出物(7)を供給水素(2)と混合して水素混合物(8)を形成する;水素混合物(8)は、異性化反応器Cに送られ、および/または炭化水素供給原料(1)と(例えば直接的に)混合されて、水素富化炭化水素供給原料(3)を形成する。
【0048】
(分離ユニット)
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態によると、芳香族化合物転化デバイスは、場合によっては、異性化ユニットAの下流(例えば直接的下流)に配置された任意選択の分離ユニットGも含み、これは、異性化流出物(10)を処理し、少なくとも1つの分離留分、例えば第1の分離留分(11)および第2の分離留分(12)、並びに任意選択に、未転化化合物留分(13)を生じさせるためのものであり、未転化化合物留分(13)は、異性化ユニットAの入口にリサイクルされることができる。
【0049】
1つまたは複数の実施形態によると、第1の分離留分(11)は、8個以下の炭素原子(C8-)を含有している化合物を含んでいる炭化水素留分である;第2の分離留分(12)は、トリメチルベンゼンを含んでいる芳香族留分である;未転化化合物留分(13)は、メチルエチルベンゼンおよびプロピルベンゼンを含んでいる芳香族留分である。
【0050】
(抽出ユニット)
異性化ユニットAの性能を向上させるために、1つまたは複数の実施形態により、異性化ユニットAの上流(例えば直接的上流)に抽出(または欠乏)のユニットHを加えて、トリメチルベンゼンを抽出し、それ故に、メチル(のみ)で置換された化合物の含有律を低減させることが提案される。これらの化合物は、トランスアルキル化の前に異性化される必要がなく、したがって異性化ユニットAによって処理される必要がない。このように、異性化ユニットの供給原料は、トリメチルベンゼンが枯渇しており、異性化ユニットAにより、2個以上の炭素を含有している少なくとも1個のアルキル鎖を有する芳香族化合物を主に処理することが可能となる。それ故に、異性化ユニットAにおける損失が減少し、ユニットの選択性における利得をもたらす。
【0051】
図1を参照すると、転化デバイスは、以下に適した抽出ユニットHを含む:
- 炭化水素供給原料(1)を処理して、トリメチルベンゼンを抽出すること、および
- トリメチルベンゼン富化流出物(14)と、トリメチルベンゼン枯渇炭化水素供給原料(15)とを生じさせ、トリメチルベンゼン枯渇炭化水素供給原料(15)は、炭化水素供給原料(1)の代わりに異性化ユニットAに送られること。
【0052】
1つまたは複数の実施形態によると、トリメチルベンゼンを富化した流出物(14)は、前記流出物の全重量に相対して、最低50重量%、好ましくは最低60重量%、大いに好ましくは最低70重量%のトリメチルベンゼンを含む。
【0053】
1つまたは複数の実施形態によると、抽出ユニットHは、少なくとも1つの蒸留塔、および/またはモレキュラーシーブ擬似移動床、および/または温度および/または差圧下で再生され得るモレキュラーシーブ吸着ユニット、および/または結晶化ユニット、および/または液体/液体抽出ユニット、および/または抽出蒸留ユニット、および/または膜分離ユニットを含む。
【0054】
1つまたは複数の実施形態によると、抽出ユニットHは、以下の蒸留塔のうちの少なくとも1つを含む:
- 第1の抽出塔;塔の頂部におけるメチルエチルベンゼンおよび/またはプロピルベンゼン、および塔の底部におけるトリメチルベンゼンを回収するのに適している。
【0055】
1つまたは複数の実施形態によると、抽出ユニットHの塔は、以下の操作条件の少なくとも1つの下での使用に適している:
- 還流容器の圧力は、実質的に0.001~0.1MPag、例えば実質的に0.01MPagであり、温度は、実質的に140℃~180℃、例えば実質的に163℃である;
- 塔は、実質的に50~150段の理論板、例えば実質的に100段の理論板を有し、還流と給送の速度の質量比は、1~10、好ましくは4~6であり、塔の頂部での温度は、150℃~190℃、好ましくは160℃~175℃であり、塔の底部での温度は、実質的に180℃~220℃、例えば実質的に203℃である。
【0056】
1つまたは複数の実施形態によると、例えば、抽出ユニットHが分離ユニットGとの組み合わせで用いられる場合、第1の分離留分(11)は、8個以下の炭素原子を含有している化合物(C8-)を含んでいるヘッドフラクション留分である;第2の分離留分(12)は、任意選択のパージ留分(例えば、燃料ガス)である;未転化化合物留分(13)は、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼンおよびプロピルベンゼンを含んでいる底部フラクション留分であり、これは、抽出ユニットHに送られる。
【0057】
(異性化触媒)
本発明によると、異性化反応器Cは、二機能性異性化触媒、すなわち、水素化/脱水素機能基または元素、および水素化異性化機能基または元素を有する水素化異性化触媒の存在中で操作される。
【0058】
本特許出願において、用語「水素化/脱水素」は、分子中の水素原子の取り込み/除去を含む/からなる水素化/脱水素反応の促進を指す。本特許出願において、用語「水素化異性化」は、水素の存在中での分子の異性体への変換を含む/からなる水素化異性化反応の促進を指す。
【0059】
本発明によると、水素化/脱水素および水素化異性化の触媒は、水素化/脱水素機能基または元素として元素周期律表の第VIIIB族からの少なくとも1種の金属を含み、水素化異性化機能基または元素として少なくとも1種のモレキュラーシーブを含む。1つまたは複数の実施形態によると、異性化触媒は、少なくとも1種のマトリクスも含む。
【0060】
本特許出願において、化学元素の族は、規定により、CAS分類に従って与えられる(CRC Handbook of Chemistry and Physics、出版元CRC Press、編集長D. R. Lide、第81版、2000-2001)。例えば、CAS分類による第VIII族は、新IUPAC分類による8、9および10列の金属に対応する。CAS分類による第VIIIB族、第IVA族および第VIIB族は、それぞれに、新IUPAC分類による13、14および7列の金属に対応する。
【0061】
(水素化異性化元素)
1つまたは複数の実施形態によると、少なくとも1種のモレキュラーシーブは、少なくとも1種のゼオライトモレキュラーシーブを含む。1つまたは複数の実施形態によると、触媒は、少なくとも1種の1次元の10MRまたは12MRのゼオライトモレキュラーシーブを含む。1次元の10MRまたは12MRのゼオライトモレキュラーシーブは、10個の酸素原子を含有している環(10MR開口)または12個の酸素原子を含有している環(12MR開口)によって開口が画定される細孔またはチャネルを有する。10MRまたは12MRの開口を有するゼオライトモレキュラーシーブのチャネルは、有利には、前記ゼオライトの外部に直接的に開口する非相互接続1次元チャネルを含む。1つまたは複数の実施形態によると、前記水素化異性化触媒中に存在する1次元の10MRまたは12MRのゼオライトモレキュラーシーブは、ケイ素と、アルミニウム、鉄、ガリウム、リンおよびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Tとを含む。好ましくは、元素Tは、アルミニウムを含むか、またはアルミニウムからなる。
【0062】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化異性化触媒の1次元10MRゼオライトモレキュラーシーブは、有利には、フレームワーク型TОN(例えば、ZSM-22およびNU-10から選ばれ、単独でまたは混合物として利用される)、FER(例えば、ZSM-35およびフェリエライトから選ばれ、単独でまたは混合物として利用される)、EUО(例えば、EU-1およびZSM-50から選ばれ、単独でまたは混合物として利用される)、AEL(例えば、SAPО-11)または*MRE(例えば、ZSM-48、ZBM-30、EU-2およびEU-11から選ばれ、単独でまたは混合物として利用される)のゼオライトモレキュラーシーブから選ばれる。1つまたは複数の実施形態によると、水素化異性化触媒の12MRゼオライトモレキュラーシーブは、フレームワーク型MTW(例えば、ZSM-12、TPZ-12、Theta-3、NU-13、CZH-5から選ばれ、単独でまたは混合物として利用される)およびMОR(例えば、モルデナイトまたはLZ-211から選ばれ、単独でまたは混合物として利用される)のゼオライトモレキュラーシーブから選ばれる。フレームワークコードは、国際ゼオライト協会の分類(IZA:http://www.iza-structure.org/databases/)で定義されている。
【0063】
1つまたは複数の実施形態によると、触媒は、IZM-2ゼオライトを含む。IZM-2ゼオライトは、特許出願FR 2 918 050 A1に記載されている結晶構造を有する結晶性ミクロ細孔性固体である。IZM-2ゼオライトのX線回折パターンは、表1に列挙されたラインを少なくとも含み、表1は、焼成されたIZM-2結晶性固体のX線回折パターンで測定された平均dhkl値および相対強度を表している。表1中、VS=非常に強い;S=強い;m=中程度;mw=中程度に弱い;w=弱い;vw=非常に弱い、である。相対強度Irelは、100の値が、X線回折図中で最も強いラインに与えられる相対強度スケールとして与えられる:vw<15;15≦w<30;30≦mw<50;50≦m<65;65≦S<85;VS≦85。
【0064】
【0065】
回折図は、従来の粉末法を用いる回折計による放射線結晶学的分析により、銅のKα1放射線(λ=1.5406Å)により得られる。角度2θによって表される回折ピークの位置に基づいて、サンプルに特徴的な格子定数距離dhklは、ブラッグの関係を用いて計算される。dhklに対する測定誤差Δ(dhkl)は、2θの測定に割り当てられた絶対誤差Δ(2θ)の関数として、ブラッグの法則によって計算される。±0.02°に等しい絶対誤差Δ(2θ)は、一般的に受け入れられる。dhklの各値に割り当てられた相対強度Irelは、対応する回折ピークの高さにしたがって測定される。本発明によるIZM-2結晶性固体のX線回折図は、表1に与えられるdhklの値でのラインを少なくとも含む。dhklの値の列において、格子間隔の平均値は、オングストローム(Å)で示されている。これらの値のそれぞれは、±0.6Å~±0.01Åの測定誤差Δ(dhkl)に割り当てられなければならない。
【0066】
IZM-2ゼオライトは、無水ベースで、酸化物のモルに関して表される化学組成を有し、以下の一般式:XО2:aY2О3:bM2/nОで定義され、式中、Xは、少なくとも1種の4価の元素を表し、Yは、少なくとも1種の3価の元素を表し、Mは、価数nの少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属であり、aおよびbは、それぞれにY2О3およびM2/nОのモル数を表し、aは、0~0.5であり、bは、0~1である。
【0067】
1つまたは複数の実施形態によると、Xは、ケイ素、ゲルマニウム、チタン、およびこれらの4価元素の少なくとも2種の混合物から優先的に選ばれる。1つまたは複数の実施形態によると、Yは、アルミニウム、ホウ素、鉄、インジウムおよびガリウムから選ばれる;優先的には、Yは、アルミニウムである。
【0068】
1つまたは複数の実施形態によると、IZM-2ゼオライトは、無水ベースで、酸化物のモルに関して、以下の一般式:SiО2:aAl2О3:bM2/nОによって定義される化学組成を有し、式中、Mは、価数nを有する少なくとも1種のアルカリ金属および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属である。上記に与えられた前記式において、aは、Al2О3のモル数を表し、bは、M2/nОのモル数を表し、aは、0~0.5であり、bは、0~1である。
【0069】
1つまたは複数の実施形態によると、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの金属の少なくとも2種の混合物から選ばれる;優先的には、Mは、ナトリウムである。
【0070】
上記のゼオライトのSi/Al比は、有利には、合成中に得られたものまたは当業者に周知の合成後の脱アルミニウム処理の後に得られたものであり、脱アルミニウム処理は、例えば、しかし非網羅的に、水熱処理と、これに続けて、場合によっては、鉱酸または有機酸溶液による酸攻撃とを行うか、あるいはほか直接的に酸攻撃を行うものである。ゼオライトは、好ましくは本質的に酸型にあり、すなわち、固体の結晶格子に挿入された1価の補償カチオン(例えばナトリウム)とアルミニウムとの間の原子比は、有利には0.1未満、好ましくは0.05未満、大いに好ましくは0.01未満である。1つまたは複数の実施形態によると、前記水素化異性化触媒の組成物に含まれるゼオライトは、有利には焼成される。1つまたは複数の実施形態によると、前記ゼオライトは、少なくとも1種のアンモニウム塩の溶液による少なくとも1回の処理によって交換されて、ゼオライトのアンモニウム型を得るようにし、このものは、一旦焼成されたところで、前記ゼオライトの酸型に至る。
【0071】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化異性化触媒中のモレキュラーシーブ含有率は、水素化異性化触媒の全重量に相対して、1重量%~90重量%、好ましくは3重量%~80重量%、より優先的には4重量%~60重量%である。
【0072】
(マトリクス)
1つまたは複数の実施形態によると、マトリクスは、無定形または結晶質である。1つまたは複数の実施形態によると、マトリクスは、有利には、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、粘土、チタン酸化物、ホウ素酸化物、ジルコニアおよびアルミン酸塩によって形成される群から選ばれ、これらは、単独でまたは混合物として利用される。好ましくは、マトリクスとしてアルミナが用いられる。好ましくは、前記マトリクスは、アルミナを当業者に知られている全てのその形態で含有してよく、例えば、アルファ、ガンマ、エータおよびデルタのタイプのアルミナである。
【0073】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化異性化触媒中のマトリクス、例えば、アルミナの含有率は、水素化異性化触媒の全重量に相対して10重量%~99重量%であり、すなわち、水素化異性化触媒を構成する元素の100重量%までの残部を提供するようにする。
【0074】
触媒担体は、モレキュラーシーブを、場合によってはマトリクスとの混合物として含む。混合物の形態での担体の成形は、好ましくは、モレキュラーシーブをマトリクスまたはマトリクスの前駆体、例えば熱処理によってアルミナに変換されるベーマイトと共混練し、押し出し、次いで熱処理することによって実行される。
【0075】
(水素化/脱水素元素)
1つまたは複数の実施形態によると、少なくとも1種の第VIIIB族金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金から選ばれる。好ましくは、少なくとも1種の第VIIIB族金属は、第VIIIB族貴金属から選ばれる;大いに好ましくは、少なくとも1種の第VIIIB族金属は、パラジウムおよび白金から選ばれ、一層より好ましくは、少なくとも1種の第VIIIB族金属は、白金である。
【0076】
1つまたは複数の実施形態によると、少なくとも1種の第VIIIB族金属の分散度(表面上に露出された前記金属の原子の割合(%))は、化学吸着、例えばH2/О2滴定または一酸化炭素化学吸着によって決定されて、10%~100%、好ましくは20%~100%、より好ましくは30%~100%である。少なくとも1種の第VIIIB族金属の巨視的分布係数は、キャスタンマイクロプローブ(Castaing microprobe)により決定されたそのプロファイルから得られ、粒体(触媒押出成形物)のコアにおける第VIIIB族金属の濃度の、この同一の粒体(触媒押出成形物)のエッジにおける濃度に相対する比として定義されて、0.7~1.3、好ましくは0.8~1.2である。この比の値は、1の領域において、水素化異性化触媒中の少なくとも1種の第VIIIB族金属の分布の均一性の証拠である。
【0077】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化異性化触媒は、少なくとも1種の追加金属も含み、これは、元素周期律表の第IIIA族、第IVA族および第VIIB族の金属によって形成される群から選ばれ、好ましくは、ガリウム、インジウム、スズおよびレニウムから選ばれる。前記追加金属は、好ましくは、インジウム、スズおよびレニウムから選ばれる。
【0078】
有利には、水素化/脱水素元素(金属)は、当業者に知られている任意の方法、例えば共混練、乾式含浸または交換による含浸によって触媒担体上に導入されてよい。
【0079】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化異性化触媒中の第VIIIB族金属、例えば白金の含有率は、水素化異性化触媒の全重量に相対して0.01重量%~4重量%、好ましくは0.05重量%~2重量%である。
【0080】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化異性化触媒中の少なくとも1種の追加金属の含有率は、水素化異性化触媒の全重量に相対して、0.01重量%~2重量%、好ましくは0.05重量%~1重量%である。
【0081】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化異性化触媒中の硫黄含有率は、硫黄のモル数対少なくとも1種の第VIIIB族金属のモル数の比が0.3~3になるようにする。1つまたは複数の実施形態によると、触媒中の硫黄の存在は、水素化異性化触媒の任意選択の硫化工程から生じる。1つまたは複数の実施形態によると、触媒中の硫黄の存在は、例えばアルミナバインダ中に存在することがある不純物に由来する。
【0082】
1つまたは複数の実施形態によると、本発明による方法において用いられる水素化異性化触媒は、より具体的には、以下のものを含み、好ましくは以下のものからなる:
- モレキュラーシーブ;1重量%~90重量%、好ましくは3重量%~80重量%、一層より好ましくは4重量%~60重量%;
- 少なくとも1種の第VIIIB族金属、好ましくは白金;0.01重量%~4重量%、好ましくは0.05重量%~2重量%;
- 場合による、第IIIA族、第IVA族および第VIIB族の金属によって形成される群から選ばれる少なくとも1種の追加金属;0.01重量%~2重量%、好ましくは0.05重量%~1重量%;
- 場合による、硫黄;含有率は、好ましくは硫黄のモル数対第VIIIB族金属のモル数の比が0.3~3になるようにする;
- 場合による、少なくとも1種のマトリクス、好ましくはアルミナ;水素化異性化触媒の全重量に相対して、触媒中に100%までの残部を提供する。
【0083】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化異性化触媒は、円筒状または多葉状の押出成形物、例えば、直線状または捻れ状の二葉、三葉または多葉状の押出成形物に成形される。1つまたは複数の実施形態によると、水素化異性化触媒は、粉砕粉末状、タブレット状、リング状、ビーズ状またはホイール状に成形される。押出成形以外の技術、例えばペレット化またはドレッジングが、有利には、用いられてよい。
【0084】
水素化異性化触媒が少なくとも1種の貴金属を含有するケースにおいて、前記水素化異性化触媒中に含有される貴金属は、有利には、還元されてよい。金属還元を実行するための好適な方法の1つは、水素下(例えば、水素0.4~40ノルマルm3/h/触媒m3(Nm3/h/m3)、好ましくは1~16Nm3/h/m3、例えば実質的に4Nm3/h/m3)に、150℃~650℃の温度および0.1~25MPaの全圧での処理である。例えば、還元は、150℃で2時間にわたる定常段階、次いで1℃/分の速度での450℃までの昇温、次いで450℃で2時間の定常段階を含んでよい;還元工程中、水素流量は、触媒の容積(m3)当たり水素1000ノルマルm3であってよく、全圧は、0.1MPaで一定に維持されてよい。任意の現場外(ex-situ)還元法が、有利には想定されてもよい。
【0085】
(アロマティックコンプレクス)
第2および第4の態様によると、本転化方法およびデバイスは、アロマティックコンプレクス、例えばアロマティックコンプレクスを用いたキシレンの製造のための方法および/またはデバイスに統合される。転化方法/デバイスは、次いで、流れをアロマティックコンプレクスと交換する。1つまたは複数の実施形態によると、アロマティックコンプレクスは、炭素数が6個から10個の範囲にわたる分子を本質的に含有している炭化水素留分を給送される。
【0086】
1つまたは複数の実施形態によると、アロマティックコンプレクスに組み込まれた転化デバイスの以下の構成が想定される:
- 転化デバイスは、アロマティックコンプレクスの上流で前処理ユニットとして用いられる。このケースにおいて、外部流れは、転化デバイスに直接的に給送することができ(例えば6~10個の炭素のリフォメート、A9/A10留分等)、転化デバイスからの流出物は、次いで、アロマティックコンプレクスに送られる;
- 1基または複数基の転化デバイスがアロマティックコンプレクスに対して内部の1つまたは複数の留分を処理するために用いられる。このケースにおいて、転化デバイスは、アロマティックコンプレクスのユニット(例えば、分画/蒸留等、擬似移動床)から来る1つまたは複数の流れを部分的または全体的に給送されることができる。転化デバイスからの流出物は、次いで、アロマティックコンプレクスにまた戻される;
- 上に定義された2つの構成の組み合わせも可能であり、本発明のコンテクスト内にある。全てのケースにおいて、流出物は、次いで、メチル基を含んでいる芳香族化合物を富化され、これは、アロマティックコンプレクスに全体的または部分的に送られ、キシレンおよび任意選択にベンゼンを製造する。全体として、以下に説明される
図2の実施形態に示されることになるように、アロマティックコンプレクスへの転化デバイスの統合により、パラキシレンの生産量が増加する。
【0087】
1つまたは複数の実施形態によると、転化デバイスは、アロマティックコンプレクスに対して内部の9個の炭素原子および任意選択に10個の炭素原子を含有している芳香族化合物を含有している流れを処理するのに適している。例えば、
図2は、アロマティックコンプレクスの分画トレインから得られた9個および10個の炭素原子を含有している芳香族化合物を含有している流れを処理するためにアロマティックコンプレクスに組み込まれた転化デバイスを示す。
【0088】
図2を参照すると、1つまたは複数の実施形態によると、アロマティックコンプレクスは、以下のものを含む:
- 場合による、供給原料分離ユニットI;アロマティックコンプレクスに入る供給原料から7個以下の炭素原子を含有している炭化水素留分(C7-)と8個以上の炭素原子を含有している芳香族留分(A8+)とを分離する;
- 場合による、供給原料分離ユニットIと分留トレインK-Nとの間での芳香族化合物の抽出のためのユニットJ;コンプレクスの供給原料のC7-留分のベンゼンおよびトルエンから脂肪族化合物を分離する;
- 分画トレインK-N;キシレンを他の芳香族化合物から抽出することが可能となる;
- トランスアルキル化ユニットО;トルエンおよびメチルアルキルベンゼン、例えば、トリメチルベンゼンをキシレンに転化する;有利には、このユニットは、テトラメチルベンゼンおよび、所定の程度のベンゼンを処理することもできる;
- キシレン分離ユニットP(例えば、結晶化ユニットまたはモレキュラーシーブと脱着剤を用いる擬似移動床分離ユニット)またはパラキシレンをキシレンおよびエチルベンゼンから単離することができるタイプのユニット;
- 場合による、ユニットQ;キシレン分離ユニットPからの流出物として得られたラフィネートを異性化し、特にオルト-キシレン、メタ-キシレンおよびエチルベンゼンをパラキシレンに転化する;および
- 本発明による転化デバイス;異性化ユニットA、分離ユニットGおよび抽出ユニットHを含み、アロマティックコンプレクスのキシレン塔Mの底部において生じた炭化水素供給原料(1)を処理し、および異性化流出物(10)を生じさせるのに適している。
【0089】
1つまたは複数の実施形態によると、供給原料分離ユニットIは、アロマティックコンプレクスに入る供給原料(16)を処理し、7個以下の炭素原子を含有している化合物(C7-)を(例えば本質的に)含んでいる先頭フラクション留分(17)と、8個以上の炭素原子を含有している芳香族化合物(A8+)を(例えば本質的に)含んでいる底部フラクション留分(18)とを分離し。底部フラクション留分(18)は、キシレン塔Mに送られる。場合によっては、供給原料分離ユニットIは、軽質化合物留分(19)(5個以下の炭素原子を含んでいる化合物)を分離することもできる。
【0090】
1つまたは複数の実施形態によると、投入供給原料(16)は、炭素数が6~10個の炭素原子の範囲にわたる分子を主に含有している炭化水素留分である。この供給原料は、10個を超える炭素原子を含有している分子および/または5個の炭素原子を含有している分子を含有してもよい。アロマティックコンプレクスに入る供給原料(16)は、芳香族化合物に豊富であり、アルキル芳香族化合物を最低50重量%、優先的には70重量%超で含有する。投入供給原料(16)は、ナフサの接触改質によって製造されることができ、または分解(例えば、水蒸気分解、触媒分解)ユニットまたはアルキル芳香族化合物の製造のための任意の他の手段の生成物であることができる。
【0091】
供給原料分離ユニットIからの先頭フラクション留分(17)は、場合によっては、安定化塔Rからの底部生成物(20)(ベンゼンおよびトルエン)と混合されて、芳香族化合物抽出ユニットJに送られ、C6-C7脂肪族種を含んでいる流出物(21)を抽出し、これは、アロマティックコンプレクスの副生成物として送出される。芳香族化合物抽出ユニットJからの抽出物と呼ばれる芳香族留分(22)(本質的にはベンゼンとトルエン)は、場合によっては、トランスアルキル化ユニットОの(第1の)分離塔Sからの重質フラクション(23)と混合され、分画トレインK-Nの(第1の)芳香族化合物蒸留塔Kに送られる。
【0092】
1つまたは複数の実施形態によると、分画トレインは、芳香族化合物の蒸留のための塔K、L、MおよびNを含み、以下の5つの留分を分離することを可能とする:
- 留分(24);6個の炭素原子を含有している(例えば本質的に)芳香族性の化合物(例えばベンゼン)を含む;
- 留分(25);7個の炭素原子を含有している(例えば本質的に)芳香族性の化合物(例えばトルエン)を含む;
- 留分(26);8個の炭素原子を含有している(例えば、本質的に)芳香族性の化合物(例えば、キシレンおよびエチルベンゼン)を含む;
- 留分(27);9個および10個の炭素原子を含有している(例えば本質的に)モノ芳香族性の化合物を含む;および
- 留分(28);(例えば、本質的に)芳香族性の化合物を含み、その最も揮発性の高い種は、10個の炭素原子を含有している芳香族化合物である。
【0093】
芳香族化合物を蒸留するための第1の塔Kは、ベンゼン塔とも呼ばれ、以下のために適している:C6-C10の(例えば、本質的に)芳香族性の化合物(A6+)炭化水素供給原料(22)を処理すること;頂部のところで、アロマティックコンプレクスを出る望みの生成物の1つである留分(24)(ベンゼン留分)を生じさせること;および底部のところで、C7-C10の(例えば、本質的に)芳香族性の化合物(A7+)流出物(29)を生じさせること。1つまたは複数の実施形態によると、C6-C10の(例えば、本質的に)芳香族性の化合物(A6+)炭化水素供給原料(22)は、C6-C7の(例えば、本質的に)芳香族性の化合物(A6-A7)炭化水素供給原料である。
【0094】
芳香族化合物を蒸留するための第2の塔Lは、トルエン塔とも呼ばれ、以下を行うために適している:ベンゼン塔の底部からの(A7+)流出物(29)を処理すること;頂部でトランスアルキル化ユニットОに送られる留分(25)(トルエン留分)を生じさせること;および底部でC8-C10の(例えば本質的に)芳香族性の(A8+)流出物(30)を生じさせること。
【0095】
芳香族化合物を蒸留するための第3の塔Mは、キシレン塔とも呼ばれ、以下のことを行うために適している:トルエン塔の底部からの流出物(30)、および場合によっては、アロマティックコンプレクスの供給原料の8個以上の炭素原子を含有している芳香族留分(18)(A8+)を処理すること;頂部で、キシレン分離ユニットPに送られる留分(26)(キシレンおよびエチルベンゼンの留分)を生じさせること;および底部で、本発明による転化デバイスのための炭化水素供給原料(1)としてC9-C10の(例えば、本質的に)芳香族性(A9+)の流出物(31)を生じさせること。
【0096】
第4の芳香族化合物蒸留塔Nは、重質芳香族化合物塔としても知られ、以下のことを行うために適している:抽出ユニットHからのトリメチルベンゼン富化流出物(14)を処理すること;頂部で、トランスアルキル化ユニットОに向けられる9個および10個の炭素原子を含有している(例えば本質的に)モノ芳香族性の化合物を含んでいる留分(27)を生じさせること;および底部で、最も揮発性の種が10個の炭素原子を含有している芳香族化合物(A10+)である(例えば本質的に)芳香族性の化合物を含んでいる留分(28)を生じさせること。
【0097】
トランスアルキル化ユニットОにおいて、9個および10個の炭素原子を含有している(例えば、本質的に)モノ芳香族性の化合物を含んでいる留分(27)は、トルエン塔Lの頂部から来るトルエンを含んでいる留分(25)と混合され、複数のメチル基を有さない芳香族化合物(トルエン)および過剰のメチル基を有する芳香族化合物(例えば、トリメチルベンゼンおよびテトラメチルベンゼン)のトランスアルキル化によってキシレンを生じさせ、第1の分離塔Sに給送される。1つまたは複数の実施形態によると、トランスアルキル化ユニットОがベンゼン(
図2には示されていないライン)を給送されるのは、例えば、パラキシレンの製造のために過剰のメチル基が観察される場合である。
【0098】
1つまたは複数の実施形態によると、トランスアルキル化ユニットОは、以下の操作条件のうちの少なくとも1つの下での使用に適した第1のトランスアルキル化反応器を少なくとも含む:
- 温度:200℃~600℃、優先的には350℃~550℃、一層より優先的には380℃~500℃;
- 圧力:2~10MPa、優先的には2~6MPa、より優先的には2~4MPa;
- WWH:0.5~5h-1、優先的には1~4h-1、より優先的には2~3h-1。
【0099】
1つまたは複数の実施形態によると、第1のトランスアルキル化反応器は、ゼオライト、例えばZSM-12および/またはZSM-5を含んでいる触媒の存在中で操作される。1つまたは複数の実施形態によると、第2のトランスアルキル化反応器は、固定床タイプのものである。
【0100】
1つまたは複数の実施形態によると、トランスアルキル化ユニットОは、以下の操作条件のうちの少なくとも1つの下での使用に適した第2のトランスアルキル化反応器を少なくとも含む:
- 温度:200℃~400℃、優先的には220℃~350℃、一層より優先的には250℃~310℃;
- 圧力:1~6MPa、優先的には2~5MPa、より優先的には3~5MPa;
- WWH:0.5~5h-1、優先的には0.5~4h-1、より優先的には0.5~3h-1。
【0101】
1つまたは複数の実施形態によると、第2のトランスアルキル化反応器は、ゼオライト、例えば脱アルミニウム済みゼオライトY(例えば、アルキル化触媒のパートに記載されたものと同様のゼオライト)を含んでいる触媒の存在中で操作される。1つまたは複数の実施形態によると、第2のトランスアルキル化反応器は、固定床タイプのものである。
【0102】
1つまたは複数の実施形態によると、トランスアルキル化ユニットОの反応セクションからのトランスアルキル化流出物(32)は、第1の分離塔Sにおいて分離される。ベンゼンの少なくとも一部およびより揮発性の種(C6-)を含んでいる留分(33)は、第1の分離塔の頂部で抽出され、任意選択の安定化塔Rに送られる。少なくとも7個の炭素原子を含有している(例えば本質的に)芳香族性の化合物(A7+)を含んでいる第1の分離塔Sからの流出物の重質フラクション(23)は、場合によっては、分画トレインK-N、例えばベンゼン塔Kにリサイクルされる。
【0103】
8個の炭素原子を含有している(例えば本質的に)芳香族性の化合物(例えばキシレンおよびエチルベンゼン)を含んでいる留分(26)は、キシレン分離ユニットPにおいて処理される。主生成物としてパラキシレン(34)が送出される。(例えば本質的に)オルトキシレン、メタキシレンおよびエチルベンゼンを含んでいるキシレン分離ユニットPからのラフィネート(35)は、異性化ユニットQに給送する。
【0104】
異性化ユニットQの異性化反応セクション(図示せず)において、パラキシレン異性体は異性化されることができる一方で、エチルベンゼンは、脱アルキルされて、水素の存在中で、ベンゼンを生じさせる(例えば水素源(36)を給送される)。この例では、異性化反応セクションは、脱アルキルタイプのものである。1つまたは複数の実施形態によると、異性化ユニットの少なくとも1つの異性化反応セクションは、異性化タイプのものであり、またはエチルベンゼンは、キシレンに異性化される。1つまたは複数の実施形態によると、異性化反応セクションからの異性化流出物(37)は、第2の分離塔Tに送られ、底部で、パラキシレン富化異性化体(38)を生じさせ、これは、場合によっては、キシレン塔Mにリサイクルされる;および頂部で、7個以下の炭素原子を含有している化合物(C7-)を含んでいる炭化水素留分(39)を生じさせ、これは、安定化塔Rに、例えばベンゼンの少なくとも一部、およびより揮発性の種を含んでいる留分(33)と共に送られる。
【0105】
1つまたは複数の実施形態によると、少なくとも1つの異性化反応セクションは、気相にあり、以下の操作条件の少なくとも1つの下における触媒の存在中での使用に適している:
- 温度:300℃超、好ましくは350℃~480℃;
- 圧力:4.0MPa未満、好ましくは0.5~2.0MPa;
- 毎時空間速度:10h-1(毎時の容積(リットル)当たり10リットル)未満、好ましくは0.5h-1~6h-1;
- 水素対炭化水素のモル比:10未満、好ましくは3~6;
- 触媒は、10個または12個の酸素原子を含有している環(10MRまたは12MR)によって細孔の開口が画定される少なくとも1種のゼオライトと、0.1重量%~0.3重量%(還元型)(両境界を含む)の含有率の少なくとも1種の第VIIIB族金属とを含む。
【0106】
1つまたは複数の実施形態によると、少なくとも1つの異性化反応セクションは液相にあり、以下の操作条件の少なくとも1つの下における触媒の存在中での使用に適している:
- 温度:300℃未満、好ましくは200℃~260℃;
- 圧力;4MPa未満、好ましくは2~3MPa;
- 毎時空間速度;10h-1(時間当たりかつ容積当たり10リットル)未満、好ましくは2~4h-1;
- 触媒は、10個または12個の酸素原子を含有している環(10MRまたは12MR)によって細孔の開口が画定される少なくとも1種のゼオライトを含んでおり、優先的には10個の酸素原子を含有している環(10MR)によって細孔の開口が画定される少なくとも1種のゼオライトを含んでおり、一層より好ましくはZSM-5タイプのゼオライトを含む。
【0107】
1つまたは複数の実施形態によると、安定化塔Rは、底部で、(例えば本質的に)ベンゼンおよびトルエンを含んでいる安定化留分(20)を生じさせ、場合によっては、芳香族化合物抽出ユニットJの入口にリサイクルされる。安定化塔Rにより、とりわけ、以下で可燃性ガスまたは燃料ガスと呼ばれる、5個または40個以下の炭素原子を含有している化合物を抽出することが可能とされる。
【0108】
上記の
図2の例は、本発明による転化デバイスは、アロマティックコンプレクスの分画トレインから生じた9個および10個の炭素原子を含有している芳香族化合物を含んでいる流れを処理するのに適している実施形態に関する。他の構成も、単独でまたは組合わせで想定されることに留意されるべきである。
【0109】
(実施例)
(IZM-2ゼオライトを含んでいる触媒Aの調製)
触媒Aは、IZM-2ゼオライト、白金およびアルミナマトリクスを含んでいる触媒である。
【0110】
(IZM-2ゼオライトの合成)
IZM-2ゼオライトを、特許FR 2 918 050 B1の教示にしたがって合成した。Aldrichによって販売されている商品名Ludox HS-40の下に知られているコロイド状シリカ懸濁液を、水酸化ナトリウム(Prolabo)、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジブロミド構造化剤、アルミン酸ナトリウム(Carlo Erba)および脱イオン水から構成される溶液に組み入れる。混合物のモル組成は、以下の通りである:1SiO2;0.0042Al2O3;0.1666Na2O;0.1666 1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン;33.3333H2O。混合物を30分にわたって激しく撹拌する。均質化の後に、混合物をParrオートクレーブに移す。オートクレーブをスピンドル攪拌(30rpm)しながら5日にわたって170℃で加熱する。得られた生成物をろ過し、脱イオン水により洗浄して中性pHに達し、次いで、オーブン中100℃で終夜乾燥させる。固体を、次いで、マッフル炉に導入し、焼成して、構造化剤を除去する。焼成サイクルは、200℃までの昇温、この温度での2時間の定常段階、550℃までの昇温、その次の、この温度での8時間の定常段階および最後に室温に戻す段階を含む。昇温を、2℃/分の速度で実行する。こうして得られた固体を、次いで、硝酸アンモニウム水溶液(固体の重量(g)当たり溶液10mL、硝酸アンモニウム濃度3M)中、2時間にわたって還流し、ナトリウムアルカリカチオンをアンモニウムイオンと交換する。この還流工程をフレッシュな硝酸アンモニウム溶液により6回実行し、固体を、次いで、ろ別し、脱イオン水により洗浄し、オーブン中100℃で終夜乾燥させる。最後に、ゼオライトをその酸(プロトン化H+)型で得るために、焼成の工程を、550℃で10時間にわたって(昇温速度2℃/分)、流動床中、乾燥空気(時間当たりかつ固体の重量(グラム)当たり2ノルマルリットル)下に実行する。こうして得られた固体を、X線回折によって分析し、IZM-2ゼオライトからなっていることを同定した。蛍光X線(特に、125mAおよび32kVで作動するPANalytical AXIOS機によるビードアッセイ)およびICP(特に、ASTM D7260法に準拠したSPECTRО ARCОS ICP-ОES機)による特徴付けにより、IZM-2について以下の結果が得られた:
- ケイ素のモル数をアルミニウムのモル数で割った比(mol/mol)、Si/Al:85、
- ナトリウムのモル数をアルミニウムのモル数で割った比(mol/mol)、Na/Al:0.03。
【0111】
(担体の成形)
IZM-2ゼオライトを、Axens社によって供給されたGA7001タイプのアルミナゲルとブレンドする。ブレンドされたペーストを、1.6mm径の円筒形ダイを通して押し出す。オーブン中、110℃で終夜乾燥させた後、流動床において、乾燥空気(時間当たりかつ固体の重量(グラム)当たり2ノルマルリットル)下に、押出成形物を550℃で2時間にわたって焼成する(昇温速度5℃/分)。用いられるゼオライトの量を、焼成後の押出成形物中に約14重量%のゼオライトを得るように選ぶ。
【0112】
(白金の含浸)
次に、白金を押出成形物中に堆積させる。これを、ドレッジャー中、塩化白金テトラアミンPt(NH3)4Cl2の水溶液を乾式含浸させることによって行う。含浸溶液中の白金含有率の調節を、焼成後の触媒上の重量で約0.3%白金を得るように行う。含浸の後、押出成形物を実験室空気中、5時間にわたって静置熟成させ、次いで。オーブン中、110℃で終夜乾燥させる。押出成形物を、次いで、流動床中、乾燥空気の流れ下(時間当たりかつ固体の重量(グラム)当たり1ノルマルリットル)、以下の条件で焼成する:
- 周囲温度から150℃までの昇温:5℃/分、
- 150℃で1時間の定常段階、
- 150℃から450℃までの昇温;5℃/分、
- 450℃で1時間の定常段階、
- 常温まで降温。
【0113】
蛍光X線、キャスタンマイクロプローブおよびH2/О2滴定による特徴付けは、触媒Aについて以下の結果へのアクセスが与える:
- IZM-2ゼオライトの割合(%)(乾燥質量):13重量%
- 白金の割合(%)(乾燥質量):0.31重量%
- 白金の分散度:66%
- 白金の分配係数:0.85。
【0114】
(ZSM-12ゼオライトを含んでいる触媒Bの調製)
触媒Bは、ZSM-12ゼオライト、白金およびアルミナマトリクスを含んでいる触媒である。
【0115】
(ZSM-12ゼオライトの合成)
ZSM-12ゼオライトは、Zeolyst社によって供給される市販のゼオライトである。その商業的な参照番号は、CP788である。それは、そのアンモニウム型で供給されている。こうして得られた固体をX線回折で分析し、ZSM-12ゼオライトからなることを同定した。
【0116】
(担体の成形)
ZSM-12ゼオライトを、Axens社によって供給されるGA7001タイプのアルミナゲルとブレンドする。ブレンドされたペーストを、1.6mm径の円筒形ダイを通して押し出す。オーブン中110℃で終夜乾燥させた後に、押出成形物を、550℃で2時間にわたって流動床において乾燥空気(時間当たりかつ固体の重量(グラム)当たり2ノルマルリットル)下に焼成する(昇温速度5℃/分)。用いられるゼオライトの量を選び、焼成後の押出成形物中に約8重量%のゼオライトを得るようにする。
【0117】
(白金の含浸)
次に、白金を押出成形物中に堆積させる。これを、ドレッジャー中、塩化白金テトラアミンPt(NH3)4Cl2の水溶液を乾式含浸させることによって行う。含浸溶液中の白金含有率の調節を、焼成後の触媒上の重量で約0.25%白金を得るように行う。含浸の後に、押出成形物を実験室空気中、5時間にわたって静置熟成させ、次いで。オーブン中、110℃で終夜乾燥させる。押出成形物を、次いで、流動床中、乾燥空気の流れ下(時間当たりかつ固体の重量(グラム)当たり1ノルマルリットル)、以下の条件下に焼成する:
- 周囲温度から150℃までの昇温:5℃/分、
- 150℃で1時間の定常段階、
- 150℃から450℃までの昇温;5℃/分、
- 450℃で1時間の定常段階、
- 常温まで降温。
【0118】
蛍光X線、キャスタンマイクロプローブおよびH2/О2滴定による特徴付けは、触媒Bについて以下の結果へのアクセスを与える:
- ZSM-12ゼオライトの割合(%)(乾燥質量):8重量%
- 白金の割合(%)(乾燥質量):0.24重量%
- 白金の分散度:90%
- 白金の分配の係数:1.01。
【0119】
(EU-1ゼオライトを含んでいる触媒Cの調製)
触媒Cは、EU-1ゼオライト、白金およびアルミナマトリクスを含んでいる触媒である。
【0120】
(EU-1ゼオライトの合成)
EU-1ゼオライトを、特許EP 0 042 226 B1の教示にしたがって、有機構造化剤1,6-N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムを用いて合成する。このようなゼオライトの調製のために、反応混合物は、以下のモル組成を有する:60SiO2:10.6Na2O:5.27NaBr:1.5Al2O3:19.5Hexa-Br2:2777H。Hexa-Br2は、1,6-N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムであり、臭素は、対イオンである。反応混合物を、撹拌しながら(300rpm)、5日にわたって180℃でオートクレーブ内に置く。
【0121】
EU-1ゼオライトを、第1に、550℃での乾燥空気気流れ下の10時間にわたる乾式焼成に供し、有機構造化剤を除去する。得られた固体を、次いで、硝酸アンモニウム溶液(固体の重量(グラム)当たり100mLの溶液、硝酸アンモニウム溶液10M)中で4時間にわたって還流し、アルカリ金属カチイオンをアンモニウムイオンと交換する。この交換工程を4回実行する。固体を、次いで、550℃で4時間にわたって管状炉において焼成する。X線回折分析により、EU-1ゼオライトが得られたことを確認する。蛍光X線(特に、125mAおよび32kVで動作するPANalytical AXIOS機によるビードアッセイ)およびICP(特に、ASTM D7260法に準拠したSPECTRO ARCOS ICP-OES機)による特徴付けは、EU-1について以下の結果へのアクセスを与える:
- ケイ素のモル数をアルミニウムのモル数で割った比(mol/mol)、Si/Al:15、
- ナトリウムのモル数をアルミニウムのモル数で割った比(mol/mol)、Na/Al:0.01。
【0122】
(担体の成形)
EU-1ゼオライトを、Axens社によって供給されるGA7001タイプのアルミナゲルとブレンドする。ブレンドされたペーストを、1.6mm径の円筒形ダイを通して押し出す。オーブン中110℃で終夜乾燥させた後に、押出成形物を、550℃で2時間にわたって流動床において乾燥空気(時間当たりかつ固体の重量(グラム)当たり2ノルマルリットル)下に焼成する(昇温速度5℃/分)。用いられるゼオライトの量を選び、焼成後の押出成形物中に約10重量%のゼオライトを得るようにする。
【0123】
(白金の含浸)
このようにして得られた担体を、競争剤(塩酸)の存在中でヘキサクロロ白金酸との陰イオン交換に供し、触媒に相対して0.3重量%の白金を堆積するようにする。湿潤固体を、次いで、120℃で12時間にわたって乾燥させ、空気中、500℃の温度で1時間にわたって焼成する。
【0124】
蛍光X線、キャスタンマイクロプローブおよびH2/О2滴定による特徴付けは、触媒Cについて以下の結果へのアクセスを与える:
- EU-1ゼオライトの割合(%)(乾燥質量):11重量%
- 白金の割合(%)(乾燥質量):0.29重量%
- 白金の分散度:85%
- 白金の分配の係数:0.97。
【0125】
(実施例1)
実施例1は、9個の炭素原子を主に含有している芳香族留分が処理される異性化ユニットAの性能を例証し、その留分の質量組成は、以下の表2に詳細に記載されている。
【0126】
【0127】
一旦調製したところで、これらの触媒は、異性化ユニットにおいて現場内活性化工程を経る。触媒は、第1に、窒素の流れ下、以下の条件下に乾燥工程を経る:
- 窒素流量:5NL/h/触媒グラム;
- 全圧:1.3絶対MPa;
- 昇温速度:周囲温度から150℃までの昇温速度:10℃/分;
- 150℃で30分の定常段階。
【0128】
次いで、窒素を水素と置換し、触媒還元工程を以下の条件下に実行する:
- 水素流量:4NL/h/触媒グラム;
- 全圧:1.3絶対MPa;
- 150℃から480℃までの昇温速度:5℃/分;
- 480℃で2時間の定常段階。
【0129】
還元の後に、触媒性能を評価する前に、温度を425℃まで下げ、次いで、触媒を、A9供給原料および水素の流れ下に、以下の条件下に24時間にわたって安定化させる:
- 全圧:1.3絶対MPa;
- 反応器の温度:385℃;
- 水素被覆率:炭化水素のモル当たりH24モル;
- WWH:触媒の重量(グラム)当たりかつ時間当たり炭化水素5グラム。
【0130】
A9異性化ユニットは、固定床において以下の条件下に操作する:
- 反応器の圧力:1.3MPa;
- 反応器の温度:385℃;
- 水素被覆率:炭化水素のモル当たりH24モル;
- WWH:4.5h-1。
【0131】
3タイプの触媒についての試験の性能を表3に示す。トリメチルベンゼンにおける5~12%の増加は、本発明に記載のA9異性化ユニットの利点を示している。
【0132】
【0133】
(実施例2)
実施例2は、9個の炭素原子を主に含有している芳香族留分を処理する抽出ユニットHとの組み合わせで、ZSM-12をベースとする触媒Bを用いる異性化ユニットAの性能を例証する。試験性能を以下の表4に提示する。
【0134】
【0135】
有利には、本発明による転化デバイスの性能は、メチル置換型芳香族化合物を抽出するための工程を加えることによって、供給原料のトリメチルベンゼン欠乏により改善されている。この抽出工程は、抽出ユニットHによって実行される。
【0136】
(実施例3)
実施例3は、本発明による転化デバイスが、アロマティックコンプレクスに対して内部のA9を主に含有している留分を処理するケース(
図2参照)を例証している。これは、前記留分が、トリメチルベンゼン異性体(特にメチルエチルベンゼン)に豊富であるからである。
【0137】
具体的には、キシレン塔Mの底部から回収された(例えば本質的に)芳香族性のC9-C10流出物(31)(A9+)は、本発明による転化デバイスの炭化水素供給原料(1)として抽出ユニットHに送られる。
【0138】
抽出ユニットHは、炭化水素供給原料(1)を処理して、トリメチルベンゼンを抽出するようにし、それ故に、トリメチルベンゼン富化流出物(14)と、トリメチルベンゼン欠乏炭化水素供給原料(15)とを生じさせ、トリメチルベンゼン欠乏炭化水素供給原料(15)は、異性化ユニットAに送られる。
【0139】
トリメチルベンゼン富化流出物(14)(A10+化合物も含む)は、重質芳香族化合物塔Nに送られ、これは、トランスアルキル化ユニットОに給送する。
【0140】
本発明による異性化ユニットAは、トランスアルキル化ユニットОの上流でA9留分の前処理のためのユニットとして理解されてよい。
【0141】
異性化ユニットAは、異性化流出物(10)を生じさせ、このものは、トランスアルキル化ユニットОに給送される前に分離ユニットGによって抽出されるキシレンを含有する場合がある。実際に、異性化ユニットAは、熱力学的に平衡状態にあってよく、A9+/A7トランスアルキル化によってキシレンを生じさせる。転化に悪影響を与えないように、キシレンを抽出することがそれ故に好ましい。
【0142】
コンプレクスに給送する入口供給原料(16)(リフォメート)は、以下の表5に示される組成を有する。芳香族化合物の全質量流量は、250t/hである。
【0143】
【0144】
本発明による転化デバイスによるアロマティックコンプレクスの性能を以下の表6に示す。
【0145】
【0146】
アロマティックコンプレクスと組み合わされた本発明による転化デバイスにより、実施例3において、パラキシレンおよびベンゼンの同時生産により6%程度のパラキシレン製造における利得が可能となる。
【0147】
本特許出願において、用語「含むこと(to comprise)」は、「含むこと(to include)」および「含有すること(to contain)」と同義(同じものという意味)であり、包括的または開放的であり、記載されていない他の要素を排除するものではない。用語「含む」は、排他的で閉じた用語「からなる」を含むと理解される。さらに、本明細書において、用語「大体(approximately)」、「実質的に(substantially)」、「本質的に(essentially)」、「単独に(solely)」、および「約(about)」は、所与の値の5%超および/または未満、好ましくは2%超および/または未満、大いに好ましくは1%超および/または未満のマージンと同義(同じものという意味)である。例えば、化合物Aを本質的にまたは単独で含んでいる流出物は、最低95%、好ましくは最低98%、大いに好ましくは最低99%の化合物Aを含んでいる流出物に相当する。別の例として、実質的に100(℃、MPag、h-1等)の値は、95~105、好ましくは98~102、大いに好ましくは99~101の値に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0148】
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図1】本発明の1つまたは複数の実施形態による芳香族化合物転化デバイスを表している。
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図2】パラキシレンの製造のためのアロマティックコンプレクスを表し、本発明の1つまたは複数の実施形態による芳香族化合物転化デバイスを組み込んでいる。
【国際調査報告】