(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】高温管状炉
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20241121BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20241121BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20241121BHJP
H01L 21/324 20060101ALI20241121BHJP
H01L 21/22 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C23C16/44 B
H01L21/68 N
H01L21/68 B
H01L21/324 Q
H01L21/22 511M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533238
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2021135082
(87)【国際公開番号】W WO2023097609
(87)【国際公開日】2023-06-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524210024
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (リンガン) インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ACM RESEARCH (LINGANG) , INC.
【住所又は居所原語表記】BUILDING C, NO. 888 HUANHU WEST SECOND ROAD, NANHUI NEW TOWN, LIN-GANG SPECIAL AREA OF CHINA (SHANGHAI) PILOT FREE TRADE ZONE Shanghai 201303 CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】523404767
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ コリア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ACM RESEARCH KOREA CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】#402, Hyundai City Plaza, 2106 Gyeongchung-daero, Bubal-eup, Icheon-si, Gyeonggi-do REPUBLIC OF KOREA
(71)【出願人】
【識別番号】523404778
【氏名又は名称】クリーンチップ テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLEANCHIP TECHNOLOGIES LIMITED
【住所又は居所原語表記】Flat/Rm K 15/F, Mg Tower, 133 Hoi Bun Road, Kwun Tong Kl Hong Kong China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シャン
(72)【発明者】
【氏名】シェン ホイ
(72)【発明者】
【氏名】リュ ツァ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ドンチョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジェソン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャア ショオナ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シァオイェン
(72)【発明者】
【氏名】キム ワイワイ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F131
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
上端にトップカバー(101)が配置され、トップカバー(101)複数の貫通孔(1011)が設けられているプロセスチューブ(1)と、プロセスチューブ(1)のトップカバー(101)の複数の貫通孔1011に接続されるガス供給管(2)であって、ガス供給管(2)、およびプロセスチューブ(1)のトップカバー(101)の複数の貫通孔(1011)を介してプロセスガスが導入されるガス供給管(2)と、プロセスチューブ(1)内に配置され、支持フレーム(301)および複数の支持板(302)を備えるウエハーボート(3)であって、複数の支持板(302)が支持フレーム(301)の長さ方向に沿って複数の層に分散され、かつ複数の基板(w)を支持するために使用されており、各基板(w)がある支持板に配置されており、各支持板が基板(w)の下部全体を支持するウエハーボート(3)と、を備える高温管状炉。複数層の支持板(302)が設けられており、各支持板(302)が基板(w)の下部全体を支持している。これによって、1200℃以上の高温プロセス中に基板(w)が下方に変形することによって基板(w)に格子欠陥が発生することを回避し、チップの歩留まりを向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端にトップカバーが配置され、前記トップカバーには複数の貫通孔が設けられているプロセスチューブと、
前記プロセスチューブの前記トップカバーの前記複数の貫通孔に接続されたガス供給管であって、当該ガス供給管および前記プロセスチューブの前記トップカバーの前記複数の貫通孔を介して前記プロセスチューブ内にプロセスガスを導入するための前記ガス供給管と、
前記プロセスチューブ内に配置され、支持フレームおよび複数の支持板を備えており、前記複数の支持板が前記支持フレームの長さ方向に沿って複数の層に分散されることで複数の基板を支持しており、各基板が前記支持板の各層に配置されており、前記支持板の各層が各基板の全体を支持するウエハーボートと、を備える高温管状炉。
【請求項2】
前記支持板の各層に三つのガイド溝が設けられており、前記複数の基板を取ったり配置したりするためのマニピュレータに三つの吸盤が設けられており、前記三つのガイド溝は、前記マニピュレータ上の前記三つの吸盤に対応しており、前記三つの吸盤が前記三つのガイド溝に挿入されることで前記支持板から前記基板が取り出されたり前記支持板上に配置されたりすることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項3】
前記支持板の各層に二つのガイド溝が設けられており、前記複数の基板を取ったり配置したりするためのマニピュレータに三つの吸盤が設けられており、二つの吸盤は一方のガイド溝に対応しており、残りの一つの吸盤は他方のガイド溝に対応しており、前記三つの吸盤が前記二つのガイド溝に挿入されることで前記支持板から前記基板が取り出されたり前記支持板上に配置されたりすることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項4】
前記マニピュレータ上の前記三つの吸盤は、前記基板を吸着するための真空吸盤であることを特徴とする、請求項2または3に記載の高温管状炉。
【請求項5】
前記マニピュレータ上の前記三つの吸盤はすべて固体吸盤であり、前記三つの吸盤のそれぞれにシーリングリングが設けられており、前記複数の固体吸盤は、前記シーリングリングの摩擦を介して前記基板を支持することを特徴とする、請求項2または3に記載の高温管状炉。
【請求項6】
前記支持板の各層の周縁部には、少なくとも二つのスロットが設けられており、前記支持フレームには、前記支持板の各層に対応する位置に少なくとも二つのブロックが設けられており、少なくとも二つのブロックは、少なくとも二つのスロットに1対1で対応しており、前記支持板の各層は、前記スロットを介して前記支持フレームの前記複数のブロックに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項7】
前記複数のスロットの数は四つであり、前記複数のブロックの数は四つであり、前記四つのブロックは、前記支持板の各層の周方向における両側に対称的に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の高温管状炉。
【請求項8】
前記複数のスロットの数は三つであり、前記三つのスロットは各支持板の周囲に均一に分布しており、隣接する二つの前記スロット間の角度は120°であり、前記複数のブロックの数は三つであり、かつ、前記三つのスロットに1対1で対応していることを特徴とする、請求項6に記載の高温管状炉。
【請求項9】
前記支持板および前記支持フレームは、異なる材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項10】
前記支持板および前記支持フレームは、同じ材料からなり、一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項11】
前記支持板の材料は、石英、炭化ケイ素、ダイヤモンド、グラファイト、およびグラフェンのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項12】
前記支持フレームの材料は、石英、炭化ケイ素、およびシリコンのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項13】
前記基板の下部と接触している前記支持板側には、複数の突起または溝が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項14】
前記プロセスチューブの前記トップカバーは、上層と下層とを含む二層構造であり、前記トップカバーの上層と下層は、アーチ構造であることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項15】
前記トップカバーの上層と下層の間に複数のスティフナーが設けられており、前記トップカバーの上層と下層とを接続していることを特徴とする、請求項14に記載の高温管状炉。
【請求項16】
前記トップカバーが上層および下層を含む二層構造であり、前記トップカバーの上層はアーチ構造であり、前記トップカバーの下層は平面構造であり、前記トップカバーの上層と下層の間には複数のスティフナーが配置されており、前記トップカバーの上層と下層とを接続していることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項17】
前記プロセスチューブの材料は、石英または炭化ケイ素であることを特徴とする、請求項1に記載の高温管状炉。
【請求項18】
請求項1に記載の高温管状炉であって、
前記プロセスチューブの周囲にスリーブ状に設けられているライナーチューブと、
前記ライナーチューブの周囲にスリーブ状に設けられている複数の加熱素子と、をさらに備えることを特徴とする高温管状炉。
【請求項19】
前記ライナーチューブの材料が、石英または炭化ケイ素であることを特徴とする、請求項18に記載の高温管状炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置の分野に関し、特に高温管状炉に関する。
【背景技術】
【0002】
高温管状炉は、主に蒸着や酸化アニール(oxidizing annealing)などの半導体プロセスに適用される。現在のところ、従来の半導体蒸着プロセスの温度は800°C~1100°Cである。しかし、半導体パワーデバイスやより高度な半導体プロセス装置の発展に伴い、高温管状炉のプロセス温度要件はますます高くなっている。800°C~1100°Cの従来のプロセス温度では、もはや需要を満たすことができない。
【0003】
半導体プロセス中、シリコンウェハにおけるドープ(dope)された原子の拡散速度、および酸化膜の堆積速度を速めることで設備の出力を高めるために、プロセス温度を1200°Cよりも高くする必要がある。通常、プロセス温度は1300℃よりも低い。
【0004】
通常、石英または炭化ケイ素からなる異型のプロセスチューブが高温管状炉において適用される。高温管状炉では、石英の融点は約1700℃である。高温管状炉を1200℃以上の高温プロセス条件下で長時間使用する場合、プロセスチューブの上部は、自重および圧力の影響を受ける。これにより、プロセスチューブの中央が下方に陥没しがちになるため、プロセスチューブが変形する結果となり、その後の生産ニーズを満たすことができなくなる。
【0005】
基板の材料はたいていシリコンであり、シリコン基板の融点は約1410℃である。
また、
図1Aに示すように、既存の高温管状炉内のウエハーボートには、支持フレーム11およびこれに接続されている複数の支持フィン12が設けられている。各シリコン基板wを支持するために、一つの支持面を決定する三つの支持フィン12がある。
しかしながら、
図1Bに示すように、三つの支持フィン12は、各シリコン基板wの周縁部しか支持することができない。高温管状炉を1200℃以上の高温プロセス条件下で使用する場合、シリコン基板wの中心が下方に陥没しやすくなる。これによってシリコン基板wの中央領域の変形が悪化し、基板内の格子転位欠陥の密度が増加して、チップの歩留まりが低下する結果となる。
【0006】
そのため、従来の高温管状炉は、高温プロセス条件下でプロセスチューブ、ウエハーボート、およびシリコン基板の変形や損傷を引き起こしがちであり、それが高温管状炉の耐用年数の減少につながる。それにより、使用コストが増加する。
【0007】
即ち、上記の問題を解決するには、新しい管状炉構造を提案する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、上記従来技術の欠点に鑑みて、従来技術における高温管状炉のプロセスチューブ、ウエハーボート、および基板が変形しがちであるという問題を解決した高温管状炉を提供することを目的とする。
【0009】
上記の目的およびその他の関連する目的を達成するため、本発明は、以下を含む高温管状炉を提案する。
本高温管状炉は、
上端にトップカバーが配置され、トップカバーには複数の貫通孔が設けられているプロセスチューブと、
プロセスチューブのトップカバーの貫通孔に接続されており、ガス供給管およびプロセスチューブのトップカバーの貫通孔を介してプロセスチューブ内にプロセスガスを導入するためのガス供給管と、
プロセスチューブ内に配置され、支持フレームおよび複数の支持板を備えており、複数の支持板が支持フレームの長さ方向に沿って複数の層に分布することで複数の基板を支持しており、各基板が、各基板の下部全体を保持するための支持板の各層に配置されているウエハーボートと、を備えている。
【0010】
本発明の一実施形態において、支持板の各層に三つのガイド溝が設けられており、基板を取ったり配置したりするためのマニピュレータに三つの吸盤が設けられている。三つのガイド溝はマニピュレータ上の三つの吸盤に対応する。また、三つの吸盤が三つのガイド溝に挿入されることで支持板から基板が取り出されたり支持板上に配置されたりする。
【0011】
本発明の一実施形態において、支持板の各層に二つのガイド溝が設けられており、基板を取ったり配置したりするためのマニピュレータに三つの吸盤が設けられている。二つの吸盤は一方のガイド溝に対応しており、残りの一つの吸盤は他方のガイド溝に対応している。また、三つの吸盤が二つのガイド溝に挿入されることで支持板から基板が取り出されたり支持板上に配置されたりする。
【0012】
本発明の一実施形態において、マニピュレータの三つの吸盤は、基板を吸着するための真空吸盤である。
【0013】
本発明の一実施形態において、マニピュレータの三つの吸盤はすべて固体吸盤であり、それぞれにシーリングリングが設けられており、固体吸盤は、シーリングリングの摩擦を介して基板を支持している。
【0014】
本発明の一実施形態において、支持板の各層の周縁部には、少なくとも二つのスロットが設けられており、支持フレームには、支持板の各層に対応する位置に少なくとも二つのブロックが設けられており、少なくとも二つのブロックは、少なくとも二つのスロットに1対1で対応しており、支持板の各層は、スロットを介して支持フレームのブロックに取り付けられている。
【0015】
本発明の一実施形態において、スロットの数は四つであり、ブロックの数は四つであり、四つのブロックは支持板の各層の周方向における両側に対称的に配置されている。
【0016】
本発明の一実施形態において、スロットの数は三つであり、三つのスロットは各支持板の周囲に均一に分布している。隣接する二つのスロット間の角度は120°である。また、ブロックの数は三つであり、三つのスロットに1対1で対応している。
【0017】
本発明の一実施形態において、支持板および支持フレームは異なる材料からなる。
【0018】
本発明の一実施形態において、支持板および支持フレームは同じ材料からなり、一体的に形成されている。
【0019】
本発明の一実施形態において、支持板の材料は、石英、炭化ケイ素、ダイヤモンド、グラファイト、およびグラフェンのいずれかである。
【0020】
本発明の一実施形態において、支持フレームの材料は、石英、炭化ケイ素、およびシリコンのいずれかである。
【0021】
本発明の一実施形態において、基板の下部と接触している支持板側には、複数の突起または溝が設けられている。
【0022】
本発明の一実施形態において、プロセスチューブのトップカバーは上層および下層を含む二層構造であり、どちらの層もアーチ構造である。
【0023】
本発明の一実施形態において、トップカバーの上層と下層の間に複数のスティフナーが設けられており、トップカバーの上層と下層とを接続している。
【0024】
本発明の一実施形態において、トップカバーは上層および下層を含む二層構造である。トップカバーの上層はアーチ構造であり、トップカバーの下層は平面構造である。また、トップカバーの上層と下層の間には複数のスティフナーが配置されており、トップカバーの上層と下層とを接続している。
【0025】
本発明の一実施形態において、プロセスチューブの材料は石英または炭化ケイ素である。
【0026】
本発明の一実施形態において、高温管状炉は、
プロセスチューブの周囲にスリーブ状に設けられているライナーチューブと、
ライナーチューブの周囲にスリーブ状に設けられている加熱素子と、をさらに備える。
【0027】
本発明の一実施形態において、ライナーチューブの材料は石英または炭化ケイ素である。
【0028】
上述のように、本発明で提案する高温管状炉は、従来技術に比べ、以下の有益な効果を有する。
1.本発明が提供する高温管状炉において、複数層の支持板が設けられており、各層が基板の下部全体を支持している。これによって、1200℃以上の高温プロセス中に基板が下方に変形することによって基板に格子欠陥が発生することを回避し、チップの歩留まりを向上させる。
2.本発明が提供する高温管状炉において、プロセスチューブのトップカバーを二層アーチ構造にすることで、1200℃以上の高温プロセス時にプロセスチューブのトップカバーの下層が陥没しにくくなり、プロセスチューブのトップカバーにおける応力や変形が防止され、高温管状炉の耐用年数が延び、使用コストが削減される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1Aは、従来技術におけるウエハーボートの支持フィンおよび支持基板を示す概略図である。
図1Bは、従来技術における支持フィンおよび支持基板の図であり、基板が高温で陥没する様子を示している。
図2は、本発明の第一実施形態によって提供される高温管状炉を示す概略図である。
図3は、本発明の第一実施形態によって提供されるウエハーボートを示す概略図である。
図4Aは、本発明の第一実施形態によって提供される、
図3のAA方向における支持板を示す上面図である。
図4Bは、本発明の第一実施形態によって提供される支持板と連携するマニピュレータを示す概略図である。
図4Cは、本発明の第一実施形態によって提供される支持板のガイド溝に吸盤を挿入するマニピュレータを示す概略図である。
図5A、
図5B、および
図5Cは、それぞれ本発明の第一実施形態において提供されるマニピュレータ上のガイド溝に挿入されている吸盤を示す底面図、上面図、および正面図である。
図6Aは、本発明の第二実施形態によって提供されるマニピュレータと連携する支持板を示す概略図である。
図6B、
図6C、および
図6Dは、それぞれ本発明の第二実施形態において提供されるマニピュレータ上の基板を取り去るためにガイド溝に挿入される真空吸盤を示す底面図、上面図、および正面図である。
図7は、本発明の第三実施形態によって提供される支持フレーム上の三つのブロックと連携する支持板上の三つのスロットを示す概略図である。
図8A、
図8B、および
図8Cは、それぞれ本発明の第一実施形態およびその他の実施形態によって提供される、
図4Aに示すB-B’方向における異なる種類の支持板の断面図である。
図9Aおよび
図9Bは、それぞれ、本発明の第一実施形態によって提供されるプロセスチューブのトップカバーの部分断面図および断面図である。
図10Aおよび
図10Bは、それぞれ、本発明の第四実施形態によって提供されるプロセスチューブのトップカバーの部分断面図および断面図である。
図11Aおよび
図11Bは、それぞれ、本発明の第五実施形態によって提供されるプロセスチューブのトップカバーの部分断面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態は、以下の特定の具体例を通じて説明される。当業者は、本明細書に開示された内容から本発明のその他の利点および利益を容易に理解することができる。本発明をその他様々な具体的な実施形態で実施または適用してもよい。本明細書における詳細を、本発明の趣旨から逸脱することなく、異なる観点および用途に基づいて様々な方法で修正または変更してもよい。
【0031】
図2~
図11Bを参照されたい。なお、本実施形態で提供される図面は、本発明の基本概念を概略的に示しているだけであることに留意すべきである。図面は、実際の実施における部品の数、形状、および大きさに応じてというよりかは、本発明に関する部品を単に示しているだけであるが、実際の実施における各部品の形状、数、および割合は任意に変更可能であり、部品のレイアウトもより複雑にすることができる。
【0032】
第一実施形態
図2に示すように、本発明は高温管状炉を提供する。具体的には、高温管状炉は、プロセスチューブ1、ガス供給管2、ウエハーボート3、外部ガス管4、ライナーチューブ5、および加熱素子6を備える。
【0033】
ここで、
図9Aおよび
図9Bに示すように、プロセスチューブ1の上部にはトップカバー101が設けられており、トップカバー101上には貫通孔1011が設けられている。第一実施形態において、トップカバー101は上層1012および下層1013を含む二層構造である。トップカバー101の上層1012および下層1013の両方が、1200℃以上の高温においてトップカバー101が陥没するのを抑制するために、アーチ構造となっている。また、トップカバー101の上層1012と下層1013の間にはキャビティ1014が形成されており、トップカバー101の下層1013上には貫通孔1011が設けられている。プロセスチューブ1の材料は、石英または炭化ケイ素(SiC)である。
【0034】
図2、
図9A、および
図9Bに示すように、ガス供給管2はプロセスチューブ1の側壁に沿って配置されている。ガス供給管2の第一端部(下端部)は外部ガス管4に接続されており、第二端部(上端部)はトップカバー101上のキャビティ1014に接続されている。外部ガス管4によって供給されるプロセスガスは、ガス供給管2、およびプロセスチューブ1のトップカバー101上の貫通孔1011を介してプロセスチューブ1の内部に導入される。ライナーチューブ5はプロセスチューブ1の周囲に配置されている。ライナーチューブ5の材料は、石英または炭化ケイ素(SiC)である。加熱素子6は、ライナーチューブ5の周囲にスリーブ状に設けられている。
【0035】
図3に示すように、プロセスチューブ1内には、ウエハーボート3が配置されている。具体的には、ウエハーボート3は、支持フレーム301および支持板302を備えている。支持板302は、支持フレーム301の長さ方向に沿って分布している複数の層を有しており、複数の基板wを支持している。各基板wは支持板302の各層上に配置されており、支持板302の各層は各基板wの下部全体を支持している。これによって、基板wの表面応力に対する重力の影響が低減され、基板wにおける格子転位欠陥の密度が低減される。
【0036】
図4Aに示すように、
図4Aは
図3に示すAA方向における支持板を示す上面図であり、
図4Bは支持板302と連携するマニピュレータ7を示す概略図である。第一実施形態において、基板wを取ったり配置したりするためのマニピュレータ7は、三つの吸盤701をセットする。支持板302の各層には三つのガイド溝3021が設けられており、三つのガイド溝3021はマニピュレータ7上の三つの吸盤701に対応している。
【0037】
本実施形態において、マニピュレータ7上の三つの吸盤701は、基板を吸着するための真空吸盤であってもよい。
図4Cに示すように、マニピュレータ7が基板wを支持板302の各層に配置したり各層から取り去ったりするときに、マニピュレータ7上に設けられている三つの真空吸盤701が基板wをしっかりと吸着して、基板wの落下やずれを回避することができる。
【0038】
別の実施形態において、マニピュレータ7上の三つの吸盤701は固体吸盤であってもよく、この場合、各固体吸盤701にはシールリング(添付の図面には示されていない)が設けられる。固体吸盤701は、シールリングの摩擦によって基板wを支持し、基板wの落下やずれを防止する。また、固体吸盤701は、金属吸盤、セラミック吸盤、または炭素繊維吸盤等であってもよい。
【0039】
本実施形態において、
図5A~
図5Cに示すように、マニピュレータ7上の三つの真空吸盤701は、三つのガイド溝3021に挿入されて基板wを吸着することで、支持板302を基板wから取り去ったり、支持板302上に基板wを配置したりする。本実施形態の三つのガイド溝3021の大きさは、三つの真空吸盤701の大きさと一致している。これによって、支持板3021と基板wとの接触面積が大きくなり、1200℃以上の高温で基板wが下方に変形することを効果的に防止できる。
【0040】
本実施形態において、マニピュレータ7上の三つの真空吸盤701は、ほぼ二等辺三角形状に分布している。
【0041】
図8Aは、第一実施形態で提供される支持板302の、
図4Aに示すBB’方向に沿った断面図である。支持板302の各層は基板wの下部と平面的に接触している。これによって、支持板302と基板wとの接触面積が大きくなり、高温時に基板wが下方に変形しやすくないということが確実になり、基板wにおける格子欠陥が回避される。
【0042】
本発明のその他の実施形態において、
図8Bに示すように別の実施形態で提供されている支持板302’は、
図4Aに示すBB’方向における断面図で表される。基板wの下部と接触している支持板302’’の各層側には複数の突起3024が設けられており、支持板302’’と基板wの下部の間に隙間が確保されるようになっている。本実施形態において、基板wが支持板302’’と点接触している。これによって、支持板302’の各層が基板wの下部に接触する第一実施形態に比べて、基板wが不均一に加熱されるという欠点が改善されている。
【0043】
図8Cは、別の実施形態で提供される支持板302’’の、
図4Aに示すBB’方向における断面図である。基板wの下部と接触している支持板302’’の各層側には複数の溝3025が設けられており、支持板302’’と基板wの下部の間に隙間が確保されるようになっている。基板wは支持板302’’と点接触しているため、基板wが不均一に加熱されるという欠点が改善される。
【0044】
第一実施形態において、支持板302と支持フレーム301の複数の層は、異なる材料からなる。高温技術のプロセスにおいて、異なる材料の熱膨張係数に違いがあり、異なる熱膨張係数を持つ支持板302と支持フレーム301の間に応力が発生する。これは支持フレーム301の損傷および変形を引き起こしやすく、基板wを汚染する不純物粒子を発生させやすい。
【0045】
そこで、
図4A、
図4C、
図5A、および
図5Bに示すように、異なる熱膨張係数を持つ複数の材料からなる支持板302と支持フレーム301の間に応力が発生することを回避するために、支持板302の各層の周囲に四つの溝(添付の図面には示されていない)を分布させている。支持フレーム301には、支持板302の各層に対応する位置に四つの対応するブロック3011が設けられている。第一実施形態において、支持板302の各層の周方向における両側に四つのブロック3011が対称的に分布しており、支持板302の各層は、スロットを介して支持フレーム301のブロック(3011)上にクランプされている。そうすることによって、高温プロセス中に、熱膨張係数の異なる支持板302と支持フレーム301の間に応力が生じないため、不純物粒子が発生して基板wを汚染するのを回避する。
【0046】
別の実施形態において、支持板302と支持フレーム301の間の応力を回避するために、支持板302および支持フレーム301が同じ材料からなり、一体的に形成されていてもよい。これによって、応力により支持フレーム301および支持板302が変形することで発生した不純物粒子が基板wを汚染することを効果的に回避することができる。
【0047】
第一実施形態において、支持板302の厚さは1~3mmである。支持板302の材料は、石英、炭化ケイ素、ダイヤモンド、グラファイト、およびグラフェンのいずれかであってよい。支持フレーム301の材料は、石英、炭化ケイ素、およびシリコンのいずれかであってよい。その他の実施形態において、基板wはシリコンに加えてその他の材料からなっていてもよい。
【0048】
第二実施形態
図6A~6Dに示すように、第二実施形態は、第一実施形態とは以下の点で異なる高温管状炉を提供する。
【0049】
図6Aに示すように、第二実施形態において、基板wを取ったり配置したりするためのマニピュレータ7には三つの吸盤が設けられており、支持板302の各層には二つのガイド溝が設けられている。第二実施形態において、三つの吸盤はすべて真空吸盤である。マニピュレータ7上の二つの真空吸盤702は一方のガイド溝3022に対応しており、残りの真空吸盤703は他方のガイド溝3023に対応している。
図6B、
図6C、および
図6Dに示すように、マニピュレータ7上の三つの真空吸盤を二つのガイド溝に挿入して、基板wを支持板302から取り去ったり、支持板302上に配置したりする。
【0050】
本実施形態のその他の設定は、第一実施形態と同じである。ここでは説明を繰り返さない。
【0051】
第三実施形態
第三実施形態は、第一実施形態とは以下の点で異なる高温管状炉を提供する。
【0052】
図7に示すように、第三実施形態において、異なる熱膨張係数を持つ複数の材料からなる支持板302と支持フレーム301との間の応力を回避するために、支持板302上に三つのスロットが設けられ、支持フレーム301上に三つのブロック3011が設けられている。三つのブロック3011は、隣接する二つのブロック3011間の角度が120°になるように、支持板302の各層の周囲に均一に分布している。支持板302の各層は、スロットを介して支持フレーム301のブロック3011上にクランプされている。
【0053】
本実施形態のその他の設定は、第一実施形態と同じである。ここでは説明を繰り返さない。
【0054】
第四実施形態
第四実施形態は、第一実施形態とは以下の点で異なる高温管状炉を提供する。
【0055】
図10Aおよび
図10Bに示すように、第四実施形態において、プロセスチューブ1の上部にあるトップカバー101の上層1012および下層1013の両方がアーチ構造となっており、トップカバー101の上層1012と下層1013との間にはスティフナー1015が設けられている。スティフナー1015は、トップカバー101の上層1012と下層1013とを接続して、高温によりトップカバー101の上層1012および下層1013が陥没する可能性を低減することで、高温時におけるプロセスチューブ1の安定性を実現する。
【0056】
本実施形態のその他の設定は、第一実施形態と同じである。ここでは説明を繰り返さない。
【0057】
第五実施形態
第五実施形態は、第一実施形態と以下の点で異なる高温管状炉を提供する。
【0058】
図11Aおよび
図11Bに示すように、第五実施形態において、プロセスチューブ1の上端におけるトップカバー101は上層1012および下層1013を含む二層構造である。トップカバー101の上層1012はアーチ構造であり、トップカバー101の下層1013は平面構造である。平面構造のトップカバー101の下層1013が1200℃以上の高温で陥没するのを防止するために、トップカバー101の上層1012と下層1013との間にスティフナー1015が設けられていることにより、トップカバー101の上層1012と下層1013とが接続されている。
【0059】
本実施形態のその他の設定は、第一実施形態と同じである。ここでは説明を繰り返さない。
【0060】
本発明は、当業者が適宜実施することができるように、上記実施形態および関連図面を通じて関連技術を具体的かつ詳細に開示した。しかしながら、上記実施形態は本発明を説明することのみが目的であり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の特許請求の範囲は、本発明の特許請求の範囲によって定められる。ここで開示されている構成要素の数を変更したもの、または同等の構成要素を置換したものもまた、本発明の特許請求の範囲内とされるべきである。
【国際調査報告】