(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】自走式作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 3/96 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
E02F3/96 L
E02F3/96 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533239
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 FI2022050701
(87)【国際公開番号】W WO2023111383
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524210057
【氏名又は名称】アッル・イノベイション・アンド・リサーチ・センター・オサケユフティオ
【氏名又は名称原語表記】ALLU Innovation and Research Center Oy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】ヨンニネン,マルック
(57)【要約】
掘削機などの自走式作業機械は、車輪(5)又は軌道チェーンを備えた下部構造体(4)、及び、垂直軸の周りに360度の回転のために下部構造体上に支持された上部構造体(1)を備える。第1関節ブーム(2)は、上部構造体(1)に旋回可能に取り付けられ、第1道具(3)は、第1関節ブームの自由端に取り付けられる。下部構造体(4)は、第2関節ブーム(6)が取り付けられる取付及び旋回アダプタ(8)が取り付けられる。アダプタ(8)は、下部構造体に取り付けられた取付部分(8a)と、垂直軸(9)の周りに少なくとも120度旋回可能であるように取付部分(8a)に取り付けられた旋回部分(8b)であって、水平軸(11)の周りに旋回可能であるように旋回部分に取り付けられた第2関節ブーム(6)を有する旋回部分(8b)とを備える。第2道具(7)は、第2関節ブーム(6)の自由端に取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削機などの自走式作業機械であって、
車輪(5)又は軌道チェーンを備えた下部構造体(4)、
垂直軸の周りに360度の回転のために前記下部構造体上に支持された上部構造体(1)、及び
前記上部構造体に旋回可能に取り付けられた第1関節ブーム(2)であって、第1関節ブーム(2)の自由端に取り付けられた第1道具(3)を有する第1関節ブーム(2)を備え、
前記下部構造体(4)は、第2関節ブーム(6)の自由端に取り付けられた第2道具(7)を有する第2関節ブーム(6)が取り付けられた取付及び旋回アダプタ(8)(以下、アダプタ)が取り付けられ、
前記アダプタ(8)は、前記下部構造体に取り付けられた取付部分(8a)と、垂直軸(9)の周りに旋回可能であるように取付部分(8a)に取り付けられた旋回部分(8b)であって、水平軸(11)の周りに旋回可能であるように旋回部分に取り付けられた前記第2関節ブーム(6)を有する旋回部分(8b)とを備えた、作業機械において、
前記アダプタの垂直軸(9)の軸線は、前記作業機械の走行方向に前記下部構造体(4)からある距離にあり、前記旋回部分(8b)は前記関節ブーム(6)とともに、前記アダプタの垂直軸(9)の周りに少なくとも120度旋回可能であり、
前記作業機械は、前記第2関節ブーム(6)及び/又は前記第2道具(7)の所定の運動を自動的に制御するようにプログラムされたプログラム可能なプロセッサを備える、及び/又は、
前記アダプタ(8)は、電子制御ユニットによって遠隔制御可能である油圧バルブを備えたバルブハウジング(10)を備え、前記電子制御ユニットを用いて、前記第2関節ブーム(6)及び/又は前記第2道具(7)の運動は、遠隔制御可能である、
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記第2関節ブーム(6)を移動するために必要である油圧駆動力は、前記作業機械を移動するために必要である駆動力又は前記第1関節ブーム(2)を移動するために必要である駆動力と同じ前記作業機械のモータからとられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記アダプタ(8)の取付部分(8a)は、前記第2関節ブーム(6)を前記作業機械から取り外すために前記下部構造体(4)のフレームに取り外し可能に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記第1関節ブーム及び前記第2関節ブーム(2,6)は前記道具(3,7)とともに、前記第1道具(3)が前記第2道具(7)の真上にある相互位置に移動可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の作業機械。
【請求項5】
前記道具(3,7)は、ふるい分け装置又は粉砕ふるい分け装置である、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の作業機械。
【請求項6】
前記下部構造体(4)は、前記アダプタ(8)が前記下部構造体(4)に取り付けられるときに前記アダプタの入口パイプが案内されて接続される油圧オイルクイックコネクトカプラを有する、又は、前記アダプタ(8)は、前記アダプタ(8)が前記下部構造体に取り付けられるときに前記作業機械の油圧ホースに接続された供給パイプが案内されて接続される油圧オイルクイックコネクトカプラを有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の作業機械。
【請求項7】
前記アダプタの取付部分(8a)は、地面に押し付けられるとともに前記作業機械の走行方向から見たときに前記作業機械の中心線から所望の距離まで延びる取り外し可能な支持脚(17)を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の作業機械。
【請求項8】
前記旋回部分(8b)及び前記旋回部分とともにある前記第2関節ブーム(6)は、前記取付部分(8a)の垂直軸(9)の周りに少なくとも180度旋回可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の作業機械。
【請求項9】
前記第1関節ブーム及び前記第2関節ブーム(2,6)は前記道具(3,7)とともに、前記道具が互いにある距離を置いて並ぶ相互位置に移動可能であり、前記道具は、グリッパである、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の作業機械。
【請求項10】
前記アダプタ(8)の反対側に、前記下部構造体(4)は、ラック(19)が取り付けられ、前記ラック(19)を用いて、前記作業機械と共に使用するのに適した道具(20)は、前記作業機械とともに建設現場に輸送可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、自走式作業機械であって、車輪又は軌道(track)チェーンを備えた下部構造体、垂直軸の周りに360度の回転のために前記下部構造体上に支持された上部構造体、及び前記上部構造体に旋回可能に取り付けられた第1関節ブームであって、第1関節ブームの自由端に取り付けられた第1道具を有する第1関節ブームを備え、前記下部構造体は、第2関節ブームの自由端に取り付けられた第2道具を有する第2関節ブームが取り付けられた取付及び旋回アダプタ(以下、アダプタという)が取り付けられ、前記アダプタは、前記下部構造体に取り付けられた取付部分と、垂直軸の周りに旋回可能であるように取付部分に取り付けられた旋回部分であって、水平軸の周りに旋回可能であるように旋回部分に取り付けられた前記第2関節ブームを有する旋回部分とを備えた、作業機械である。一般的に、作業機械は、掘削機であり、道具は、バケットである。
【背景技術】
【0002】
作業機械の一端に掘削機ブームを有し、他端にホイールローダブームを有するバックホーローダは、既知である。それらは、同じ建設現場において両方の機械の作業を実行することを可能にし、すなわち最初に1つの機械、次にもう1つの機械を順番に実行することを可能にし、1つの機械と1人の運転手だけが必要である。同時作業のためにブームの併用は不可能である。
【0003】
1人のオペレーターによって制御される2つの独立した掘削機ブームが掘削機の回転する上部構造体に取り付けられる日立のプロトタイプマシンも知られている。この日立の問題点は、後方から何かを拾い上げるためにブームの一方だけを旋回させるときに、例えば他方のブームがそれとともに回転することである。この2つのブームの配置は、2つのブームが限られた範囲においてのみ個別に使用することができ、他方は、独自の一連のタスクを実行するようにプログラムすることはできない。
【0004】
実開昭59-80563号公報は、最初に述べられたタイプの作業機械を開示し、そこでは、上部構造体の下の軌道チェーン間にあるアダプタの垂直軸の位置は、垂直軸の周りにおける第2関節ブームの旋回角度を制限する。これは、同時作業のためにブームの組み合わせた使用を困難にするが、前記公報は、そのような示唆はしていない。
【0005】
さらに、米国特許第6032094号公報は、2つの関節ブームを備えるとともに作業機械が転倒することを防止するためのシステムを有する作業機械を開示する。このシステムは、ブームの位置及び負荷を検出するためのセンサを備えている。システムがセンサからの信号に基づいて転倒する危険を検知する場合、ブームの運動が停止されて警報が発せられる、又はブームが負荷とともに、転倒する危険がない新しい位置に移動される。この機械は、第2ブームを取り外すために下部構造体に取り外し可能に取り付けることができる別個の旋回及び取付アダプタを有していない。代わりに、第2ブームは、上部構造体と下部構造体との間の回転機構に取り付けられ、回転機構の旋回軸は、上部構造体の回転機構の旋回軸と一致する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、以前よりも汎用性のある方法において使用することができ、
以前は不可能であったタスクを実行するように、又はいくつかのタスクの実行を大幅に迅速化及び容易にするように動作可能である、掘削機などの作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、添付の請求項1に提示された特徴による本発明によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に提示されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
次に、本発明の例示的な実施形態について、添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
【0009】
【
図2】
図1の作業機械の下部構造体と下部関節ブームの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び
図2は、車輪5又は軌道チェーンを備えた下部構造体4と、垂直軸の周りに360度の回転のために下部構造体上に回転台18を介して支持された上部構造体1とを備えた、掘削機などの自走式作業機械を示す。第1関節ブーム2は、水平軸の周りに旋回可能であるように上部構造体1に取り付けられ、第1関節ブームの自由端に取り付けられた第1道具3を有する。
【0011】
下部構造体4は、取付及び旋回アダプタ8(以下、アダプタ)が取り付けられ、アダプタに、第2関節ブーム6が水平軸11の周りに旋回可能であるように取り付けられる。アダプタ8は、下部構造体4に取り付けられた取付部分8aと、油圧シリンダ15によって垂直軸9の周りに少なくとも120度、好ましくは少なくとも180度旋回可能であるように取付部分8aに取り付けられた旋回部分8bとを備える。言い換えれば、旋回部分8b及び旋回部分とともにある第2関節ブーム6は、取付部分8aの垂直軸9の周りに少なくとも120度、好ましくは少なくとも180度旋回可能である。シリンダ15のピストンロッドは、垂直軸9の反対側にある旋回部分8bのラグ(lug)14と係合する。参照番号16は、シリンダ15が旋回することができる取付部分8a内の空間を示す。
【0012】
油圧シリンダ15の代替として、垂直軸9の周りの関節ブーム6の回転運動は、旋回部分8bの垂直軸9を囲む歯付きリムによって実現され、歯車を介して取付部分の油圧モータ(図示せず)によって回転され得る。
【0013】
関節ブームという用語は、旋回ジョイント12又は22を用いて互いに接続された少なくとも2つのブーム部分を有するブームに言及する。3つ以上のブーム部分が存在し、それに応じて2つ以上の旋回ジョイントが存在してもよい。これは、作業機械がより大きい動作範囲を有することを可能にする。さらに、関節ブームは、ブームのリーチを延長することができる延長部品を備えてもよい。第2道具7は、第2関節ブーム6の自由端に取り付けられる。道具3及び7は、バケット、ふるい分け装置、粉砕ふるい分け装置(crushing and screening device)、トング又はジョー(jaw)などのグリッパ(gripper)、衝撃ハンマ、粉砕ジョー、又はカッター粉砕機であってもよい。道具3及び7は、旋回ジョイント23及び13によってそれぞれ関節ブームに接続されてもよい。道具3及び7の旋回シリンダは、図示されておらず、油圧ホース又は上部ブームの旋回シリンダも、それらは作業機械においてよく知られた設備であるので、図示されていない。
【0014】
第2関節ブーム6を移動するために必要である油圧駆動力は、作業機械を移動するために必要である駆動力、又は第1関節ブーム2を移動するために必要である駆動力と同じ作業機械のモータからとられる。同じことは、第2関節ブーム6の道具7への駆動力入力に適用する。
【0015】
例えば、1つのブームを用いて通常の方法において使用される掘削機について、アダプタ8の取付部分8aは、第2関節ブーム6が作業機械から取り外すことができるように下部構造体4のフレームに取り外し可能に取り付けられる。例えば、締結ラグ及びそれに係合可能及びソケット内にロック可能であるフック及び/又はピンなど、取付部分8aを取り付けるための既知の固定解決策が使用され得る。この実施形態では、下部構造体4は、アダプタ8が下部構造体4に取り付けられるときにアダプタの入口パイプが案内されて接続される油圧オイル(hydraulic oil)クイックコネクトカプラを有することが好ましい。代替的に、アダプタ8は、アダプタ8が下部構造体に取り付けられるときに作業機械の油圧ホースに接続された供給パイプが案内されて接続される油圧オイルクイックコネクトカプラを有する。
【0016】
図1及び
図2に示すように、アダプタの垂直軸9の軸線は、作業機械の走行方向において下部構造体4からある距離にある。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、第1関節ブーム及び第2関節ブーム2,6は道具3,7とともに、第1道具3が第2道具7の真上にある相互位置に移動可能である。この実施形態では、道具3,7は一般的には、ふるい分け装置又は粉砕ふるい分け装置である。この場合、上部ふるい分け装置によってふるい分けられた物質は、次の(より小さい)断片(fraction)をふるい分けするための下部ふるい分け装置に直接流れる。これは、例えば、3つの異なる断片、例えば骨材が1つの作業ステップにおいて1つの作業機械を用いて2つの異なるふるい分け装置を使用してふるい分けされることを可能にし、その場合、その組合せは、別個の3つの断片ふるい及びそれに供給する機械、並びに最終の断片をふるいコンベアの下から離れて移動する機械に取って代わる。
【0018】
本発明によるアダプタ8は好ましくは、第2関節ブーム6及び/又は第2道具7の運動が遠隔制御することができる電子制御ユニットによって遠隔制御することができる油圧バルブを備えたバルブハウジング10を備えている。
【0019】
さらに、作業機械は好ましくは、少なくとも第2関節ブーム6及び/又は第2道具7の所定の運動を自動的に制御するようにプログラムされたプログラム可能なプロセッサを備えている。プログラム可能又はティーチング可能なプロセッサが1つ又は両方の関節ブームの一部又は全ての経路を制御するために使用されるとき、生産性は大幅に向上する。
【0020】
いくつかのタスクでは、作業機械の支持及び安定性の観点から、アダプタの取付部分8aが、地面に押し付けられるとともに作業機械の走行方向から見たときに作業機械の中心線から所望の距離まで延びる取り外し可能な支持脚17を備えることが有利である。
【0021】
長い部品を持ち上げる又は支持するために、第1関節ブーム及び第2関節ブーム2,6は道具3,7とともに、道具が互いにある距離を置いて並ぶ相互位置に移動可能であり、道具は、グリッパであることが有利である。2つの関節ブームの道具は、長い部品を2点において保持するために、例えばそれを正しい位置に設置するために使用することができる。さらに、構造物の解体では、2つの関節ブームの道具を使用して部品を取り除くことは、多くの場合、より安全で実行可能である。
【0022】
アダプタ8の反対側に、下部構造体4は、ラック19が取り付けられ、ラックを用いて、作業機械とともに使用するのに適した道具20は、作業機械とともに建設現場に輸送可能である。
図2に示す道具20は、衝撃ハンマである。ラック19は、異なる道具及び作業設備のために適した取付部分を取り付けることができる。ラック19の形状については、道具固有のマウントを取り付けることができれば、他に要件はない。ラック19内にある間、道具は、回転する関節ブーム2に直接取り付けられて使用することができる位置にある。特に油圧クイックコネクトカプラを使用するとき、その場合、すべてのオイル流れはまた、同時に接続され、道具輸送ラック19は、複数の道具が迅速に利用することができるので、有効であることがわかる。関節ブーム6が道具7の油圧駆動のためのクイックコネクトカプラを有する場合、回転する関節ブーム2は、交換するために第2関節ブーム6の道具7をそのリーチ内にもってくるために使用され得る。
【0023】
本発明によるブームの組合せはまた、大量のコンクリート及び骨材が、現場で利用することができる形に狭いスペースにおいて処理される又は一般的な輸送設備において簡単に輸送される必要がある用途にも効果的に使用することができる。この一例は、衝撃ハンマを用いて大きな部品を砕き、その後に結果として生じる小さな部品を粉砕ジョー又はバケット粉砕機を用いて粉砕することである。
【国際調査報告】