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特表2024-544211バチルス・コアギュランス(BACILLUS COAGULANS)株、その組成物及び使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】バチルス・コアギュランス(BACILLUS COAGULANS)株、その組成物及び使用の方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20241121BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 35/742 20150101ALI20241121BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20241121BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20241121BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20241121BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
C12N1/20 A
A61P3/00
A61P9/00
A61P39/02
A61P39/06
A61P37/02
A61P1/00
A61P13/02 105
A61P31/00
A61K35/742
A61K35/74 A
A23L33/135
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/31
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533255
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 US2022081195
(87)【国際公開番号】W WO2023108080
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】2021/0210
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524209811
【氏名又は名称】ディアランド プロバイオティクス アンド エンザイムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ディートン,ジョン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD85
4B018ME09
4B018ME11
4B065AA15X
4B065AA15Y
4B065BC31
4B065CA41
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC55
4C087MA17
4C087MA22
4C087MA23
4C087MA35
4C087MA43
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA36
4C087ZA66
4C087ZA81
4C087ZB07
4C087ZB31
4C087ZC21
4C087ZC37
(57)【要約】
本発明は、新しいバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株を対象とし、それは、単独で又は他の桿菌(Bacilli)株と組み合わせて、プロバイオティクスとして、又はプレバイオティクス及びシンバイオティクスと一緒に使用され得る。本発明はまた、新しいバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株を単独で又は他の株と組み合わせて含む、医薬組成物、乳製品、機能性食品、栄養補給食品、健康補助食品及びパーソナルケア用の製品などの組成物、並びに胃腸感染及び疾患の予防又は処置のためのこの株の使用、及び他の使用にも関する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1と少なくとも97%の同一性を共有するgyrBを有する1種以上の細菌を含む;及び/又は配列番号2と少なくとも97%の同一性を共有する16S rRNAを有する1種以上の細菌を含む精製された微生物集団を含むバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株。
【請求項2】
配列番号3と少なくとも97%の同一性を共有する請求項1に記載のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株。
【請求項3】
前記精製された微生物集団が、配列番号2を含む16S核酸配列を有する細菌を含む、請求項1に記載のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株。
【請求項4】
前記精製された微生物集団が、配列番号1を含むgyrB核酸配列を有する細菌を含む、請求項1に記載のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株。
【請求項5】
前記精製された微生物集団が、配列番号2を含む16S核酸配列を有する及び配列番号1を含むgyrB核酸配列を有する細菌を含む、請求項1に記載のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株。
【請求項6】
食用として許容可能な担体及び/又は希釈剤と一緒に請求項1~5の何れか1項に記載のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株を含む微生物組成物。
【請求項7】
前記組成物の単位用量が、10~1013CFUのバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株を含む、請求項6に記載の微生物組成物。
【請求項8】
粘液性の粘着性賦形剤をさらに含む、請求項6又は7に記載の微生物組成物。
【請求項9】
少なくとも1つのさらなるプロバイオティクスのバチルス(Bacillus)株をさらに含む、請求項6~8の何れか1項に記載の微生物組成物。
【請求項10】
錠剤、丸剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、又はエマルジョンとして処方される、請求項6~9の何れか1項に記載の微生物組成物。
【請求項11】
食品として処方される、請求項6~9の何れか1項に記載の微生物組成物。
【請求項12】
膣感染、尿路感染、胃腸感染、胃腸疾患を予防すること又は処置すること、免疫的健康を向上させること、酸化ストレスに対する防御、クレンジング及び解毒、代謝的健康及び心血管系の健康における使用のための、請求項1~5の何れか1項に記載のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株。
【請求項13】
膣感染、尿路感染、胃腸感染、胃腸疾患を予防する又は処置する、免疫的健康を向上させる、酸化ストレスに対する防御、クレンジング及び解毒、代謝的健康及び心血管系の健康の方法であって、請求項1~5の何れか1項に記載のバチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)株を投与することを含む、方法。
【請求項14】
膣感染、尿路感染、胃腸感染、胃腸疾患を予防すること又は処置すること、免疫的健康を向上させること、酸化ストレスに対する防御、クレンジング及び解毒、代謝的健康及び心血管系の健康における使用のための、請求項6~11の何れか1項に記載の微生物組成物。
【請求項15】
膣感染、尿路感染、胃腸感染、胃腸疾患を予防する又は処置する、免疫的健康を向上させる、酸化ストレスに対する防御、クレンジング及び解毒、代謝的健康及び心血管系の健康の方法であって、請求項6~11の何れか1項に記載の微生物組成物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
対象内のマイクロバイオームを改善する方法であって、プロバイオティクスを含む組成物を前記対象に投与することを含み、前記プロバイオティクスが、請求項1~5の何れか1項に記載のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株を含む、方法。
【請求項17】
プロバイオティクスとしての使用のための請求項1~5の何れか1項に記載のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株であって、任意選択的に前記菌株が、単一の組成物内で許容可能な担体又は送達ビヒクル及び任意選択的にアジュバント構成成分と会合されるか、又は別個の組成物が別々の菌株の混合物を含む、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株。
【請求項18】
膣感染、尿路感染、胃腸感染、胃腸疾患の処置、免疫的健康を向上させること、酸化ストレスに対する防御、クレンジング及び解毒、代謝的健康、心血管系の健康及び/又は皮膚の健康のための薬剤の製造における請求項1~5の何れか1項に記載のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単独で又は他のバチルス(Bacilli)株と組み合わせてプロバイオティクスとして又はプレバイオティクス及びシンバイオティクスと一緒に使用され得る、新規バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株に関する。本発明はまた、単独で又は他の株と組み合わせた新規バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株を含む、医薬組成物、乳製品、機能性食品、栄養補給食品、健康補助食品及びパーソナルケア用の製品などの組成物、並びに胃腸の感染及び疾患の予防若しくは処置のための株の使用及び他の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクスは、患者の微生物バランス、特に呼吸器及び消化管の環境を改善するために投与される、生きている微生物又は微生物混合物である。バチルス(Bacillus)株は、呼吸器感染の処置、下痢症の予防のため、並びに免疫関連疾患の処置のために使用されてきた(Elshaghabee et al.,2017)。
【0003】
正常な腸細菌叢は、様々な細菌種により占められており、これらは、病原体の増殖を調節するのを助ける物質を産生する。ディスバイオシスは、ある種の細菌種の減少及び病原性細菌の増加された増殖を特徴とする状態である。ディスバイオシスは、歯周病、炎症性腸疾患及び慢性疲労症候群の発現と関連付けられている。いくつかの試験は、ディスバイオシスを有する患者は、代謝の及び心臓の障害を発現する上昇したリスクを有し得ることを示唆している(Chan et al.,2013)。
【0004】
プロバイオティックな桿菌(Bacilli)を投与することにより、頻発するディスバイオシスのエピソードがある男女の腸細菌叢を再生することが可能である。ディスバイオシスは、一般的な胃腸問題である。エシェリキア・コリ(Escherichia coli)により引き起こされるディスバイオシスもまた、一般的な問題である(Chan et al.,2013)。
【0005】
桿菌(Bacilli)の存在は、腸微生物生態系の維持にとって重要である。桿菌(Bacilli)は、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、サルモネラ(Salmonella)spp.及びその他などの病原性細菌の増殖に対する阻害活性を保持することが示されている(Yilmaz et al.,2005)。この阻害は、有機酸、過酸化水素、バクテリオシン又はロイテリンなどの阻害化合物の産生又は上皮への競合的接着によるものであり得る(Abriouel et al.,2010)。
【0006】
桿菌(Bacilli)はまた、気道感染の処置として調べられている(Marseglia et al.,2007)。例えば、桿菌(Bacilli)の導入及び常在生物の刺激は、尿路感染の再発を防ぐために使用されている(Marseglia et al.,2007)。腸感染を防ぐことにおける桿菌(Bacilli)の役割もまた、研究されている。
【0007】
関連技術の説明
プロバイオティクスとしての桿菌(Bacilli)の重要性は、文献に記載されている。
【0008】
Hyronimus et al.,2000は、インビトロ技術及びヒトにおける13種類の選択された株のコロニー形成能の評価による、多数の桿菌(Bacilli)株のプロバイオティクス活性のスクリーニングを開示する。株を、Caco-2細胞へのpH2.5及び0.3%Oxgall接着に対する抵抗性及び腸内病原性細菌に対する抗微生物活性について調べた(Khochamit et al.,2015)。桿菌(Bacilli)は、良好な接着及び生物治療特性を有することに加え、GITストレス耐性の基本的要件を保持することが示されている(Thakur et al.,2016)。
【0009】
当技術分野で公知の桿菌(Bacilli)の医薬組成物は、インビボ、即ち、哺乳動物微生物生態系で再コロニー形成することにおいて十分に効率的ではなく、従って、医薬組成物、栄養補給食品、乳製品、機能性食品又は吸収性製品の形態での桿菌(Bacilli)の投与時に再コロニー形成する固有の能力がある桿菌(Bacilli)を発見することが必要である。土壌から単離される桿菌(Bacilli)は、ヒト微生物生態系におけるそれらの固有の生存能力のため、投与時にインビボで再コロニー形成する能力を有し得る。投与時にコロニー形成する増強された能力を有する桿菌(Bacilli)株を同定することは、厄介な工程であることが多く、従ってインビボでのコロニー形成能を予測するために最良の試験系を選択することは重要である。
【0010】
文献において、プロバイオティクス株の報告されたインビトロでの接着性に大きなばらつきがあると思われる。このばらつきは実際に、株と株の間の生物学的相違を反映するが、実験条件に依存することも確かである。さらにまた、接着性を測定する方法に関してばらつきがあると思われる。インビトロの実験は、上皮細胞への接着によるインビボでのコロニー形成能を推定するための手段としてしか機能しないと主張され得る。
【0011】
土壌微生物と長い間みなされていたものの、バチルス(Bacillus)spp.は、発酵産物又は芽胞に基づくサプリメントの形態で50年を超えて使用されてきた(Cutting et al.,2011)。天然では至るところに存在する桿菌(Bacilli)は、食物、水及び空気を通じて健康な人間の消化管及び気道に常に侵入する(Benno & Mitsuoka,1986)。それらは、腸から単離されており、最大で10CFU/gに達し得るので、正常な腸細菌叢の支配的な構成成分の1つであると考えられる(Lakshmi et al.,2017)。より最近、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)の株が、より特異的な機能を提供するために単離され、その安全性が評価された。バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)は、下痢患者(Sudha et al.,2013,Horosheva et al.,2014)及び再発性の呼吸器感染の小児(Marseglia et al.,2007)において有害事象の報告なく過去に使用されてきた。国及び株は特定されないが、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)は、世界55カ国で市販されている(Nista et al.,2004;Gabrielli et al.,2009)。バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)に対する総説文献は、そのプロバイオティクスに関連する有害事象を示さず、異なる国での細菌の世界的な存在は、ヒト摂取に対するその安全性のナラティブを補う。
【0012】
バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)は、様々な食物における使用の長い歴史を有する。数十年にわたり世界中で広く摂取されているバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)の多くの株がある(Endres et al.,2009)。この細菌の存在は、ヨーグルト、ミルク、ザウアークラウト、キムチ及び他の乳製品などの食品中で見出され得、これらは全て、5x10CFU/g(Sudha et al.,2016)~9.38x1010(Endres et al.,2011)のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)レベルを含有する。いくつかのバチルス(Bacillus)種は、ハチミツ中で一般的であることが報告されており、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)(Alippi,1995;Alippi et al.,2004;Gilliam,1979;Gilliam & Valentine,1976;Snowdon & Cliver,1996)を含む。プロバイオティクスにおける使用のためのこの細菌種の起源は、インドに端を発し、そこでは多くの製造者が、輸出のために食品成分としてバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)を生産し、ヨーロッパ及びアメリカでの再ラベル付けされている(Cutting、2011)。バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)の安全性を評価するために、ゲノムが調べられ、それは、有害な遺伝子を全く含有しないと見出された(Salvetti et al.,2016)。バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)の無害な性質のため、この細菌は、US Food and Drug Administration(FDA)及びEuropean Union Food Safety Authority(EFSA)によりこの細菌が安全であると報告されており、Generally Recognized as Safe (GRAS)及びQualified Presumption of Safety (QPS)リスト(European Food Safety Authority,2017)に掲載されている。バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)及びバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)を含む、100種類の既知のバチルス(Bacillus)spp.の中でいくつかの非病原性株は、全年齢に対してヒトの摂取について安全であると言明されている(Nithya & Halami、2012)。バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)についての総説文献は、プロバイオティクスに関連する有害事象を示さず、このことは、それはよく許容され安全であるという知見を強固にするる。従って、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)は、安全なプロバイオティクスであり摂取は宿主に恩恵をもたらすとみなされ得る。
【0013】
バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)は、土壌から海水、堆積物、水田、ハチミツ、魚類、ミルク及び乾燥食品まで、多様な生息場所で見出されている(Alfoldi,1957;Alippi & Reynaldi,2006;Padgham and Sikora,2007;Pelletier & Sygusch,1990;Vary et al.,2007;Von Tersch and Carlton,1983;Scholle et al.,2003,Kotb,2014)。ハチミツから単離された微生物のさらなる定性的分析は、バチルス(Bacillus)の最も頻度の高い種の1つがバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)であることを明らかにした(Alippi,1995;Alippi et al.,2004;Snowdon & Cliver,1996;Tysset,Durand,& Taliergio,1970)。魚類においてバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)を単離したという、補助的実験があった(Sumathi et al.,2017)。Afrilasari et al.,2015はまた、ナマズの消化管からバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)を単離することに成功し、PTB 1.4として同定した。バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)の無害な性質により、この細菌はQualified Presumption of Safety(QPS)リスト(European Food Safety Authority,2017)に掲載された。バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)株ATCC14581は、ゲノム解析を通じて、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)MIT411とほぼ同一(>99%)であると確認された。Health Canadaは、この生物はヒトの健康又は環境に対し害がなく;環境及びカナダ人に対する曝露は中程度である、と宣言した。従って、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)株ATCC14581がヒトの健康に対して又は環境に対して害がないと結論付けられる(Health Canada,2018)。
【0014】
まとめると、プロバイオティクス能を有する桿菌(Bacilli)株は、細胞株Caco-2細胞などの他の適切な細胞に接着できるはずである。さらに、プロバイオティクス能を有する桿菌(Bacilli)株が他の細菌種に対するインビトロでの阻害活性を示し、液体培養中での増殖後に酸を産生し及び/又は過酸化水素を産生することもまた望ましい。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、所望される特性を有する、適切なプロバイオティックな桿菌(Bacilli)株の医薬処方物又は吸収製品などの、本願を通じて記載されるような株及び組成物を提供することである。一実施形態では、本発明は、単独での又はバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)株MIT411(その全体において本明細書中に内容が組み込まれるアイルランド特許出願第2021/0211号明細書からの優先権を主張する対応するPCT出願PCT/US2022/xxxxxにおいて開示され特許請求される)及びバチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)株CSI08(その全体において本明細書中に内容が組み込まれるアイルランド特許出願第2021/0209号明細書からの優先権を主張する対応するPCT出願PCT/US2022/xxxxxにおいて開示され特許請求される)などの桿菌(Bacilli)株などの他の株と組み合わせたバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株CGI314に関する。一実施形態では、これらの株は、同様であるか又は基本的に同じ有利な特性、例えば粘膜に対する接着性によるコロニー形成能を有し、これは従って例えば膣、尿路、胃腸、ナソ-シナル(naso-sinal)、咽頭、食道、口腔及び/又は例えば粘膜がある身体の他の領域などの感染又は疾患の処置又は予防、並びに皮膚及び/又は上皮を有する身体の他の領域の感染又は疾患の処置又は予防;免疫の健康、酸化ストレスに対する防御、クレンジング及び解毒、代謝的健康及び心血管系の健康、とりわけ例えば、乳酸、安息香酸及びコハク酸を含む抗微生物活性、抗炎症活性、炎症促進反応の抑制を提供する、例えばマクロファージを刺激することによって免疫応答を活性化及び/又は誘発する、免疫防御を提供する、例えば腸における消化及び/又は発酵を助ける、分岐状アミノ酸、必須アミノ酸及び群Bビタミンを産生する、健康な腸及び/又は、皮膚の健康のサポートにおける乳酸、安息香酸及びコハク酸を含み皮膚を維持する、毒性物質から粘膜及び他の上皮組織を保護する、軟便の発生を減少させる、腸脳軸を改善する、及びディスバイオシス及びその影響、例えば歯周病、炎症性腸疾患、慢性疲労症候群、代謝障害、心臓障害、気道感染、尿路感染、GI感染及び下痢などを処置及び/又は予防すること;及び正常及び/又は健康な細菌叢を回復させることなどに適切である。一実施形態では、本発明は、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)株CSI08の使用及び糞便移植での使用のための組成物を可能にする。
【0016】
胃腸疾患は、個人における胃腸の異常を処置することを含むが限定されず、個人は、Bristol Stool Scaleで1又は2である(即ち便秘を処置する)便通の月に少なくとも1回の24時間のエピソードを有し;又は個人は、Bristol Stool Scaleで6~7である(下痢の傾向)便通の月に少なくとも1回の24時間のエピソードを有し、Bristol Stool Scaleで1又は2である(又は6~7)便通の1カ月あたりの個人の24時間エピソードの頻度は、低下する。
【0017】
また含まれるのは、個人において胃腸の規則正しさを回復させる方法であり、個人は、Bristol Stool Scaleで1若しくは2;又は6~7である便通の1カ月あたり少なくとも1回の24時間エピソードを有し、Bristol Stool Scaleで3~5である個人の便通の24時間の期間の頻度は、増加する。
【0018】
本発明は、バチルス(Bacillus)含有組成物を用いて、健康な腸の微生物叢を維持することをさらに含む。バチルス(Bacillus)含有組成物は、胃腸微生物叢のプロバイオティックな補充物として使用され得、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、サルモネラ(Salmonella)spp.などの腸での病原性細菌と競合し得るか又はそうでなければそれらを妨害し得る。
【0019】
本発明の別の目的は、粘液性の接着性賦形剤を使用することによる粘膜への接着によりコロニー形成する増大した能力を有する製剤処方物を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)及びグラム陰性病原性細菌の増殖を抑制する増大した能力を有する膣処方物を提供することである。
【0021】
本発明のまた別の目的は、単独で、又は、粘膜でコロニー形成する能力を有する基本的に同じ特性を有する、及び従って膣感染、尿路感染及び胃腸疾患の処置又は予防に適応される、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)株及び/バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)株などの他の桿菌(Bacilli)株と組み合わせてバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株CGI314を含む、乳製品、栄養補給食品製品及び機能性食品などの組成物を提供することである。本発明の組成物は、指定される及び/又はこれらの範囲内に入るあらゆる時間枠を含む、1用量、1日、1日~1週間、1日~1カ月、1カ月~45日、45日~2カ月、3カ月、6カ月、1年又はそれを超えて、投与され得る。
【0022】
本発明は、処置及び/又は予防の方法及び様々な他の方法を含み、それらは、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株又は本発明の組成物を対象(例えば、哺乳動物対象、ヒト患者を含むヒトなど)に提供する段階及び対象にその株又は組成物を投与する段階を含み得る。一実施形態では、本発明は、疾患又は感染又は他の状態を処置するための、組成物、例えば組成物の使用を対象とする。一実施形態では、本発明は、膣感染、尿路感染、胃腸疾患の処置、免疫の健康を改善すること、酸化ストレスに対する防御、クレンジング及び解毒、代謝的健康、心血管系の健康及び/又は皮膚の健康、及び/又は本願を通して記載される適用のための他の処置若しくは他の理由のための医薬品の製造における、本願を通じて(特許請求の範囲を含む)記載されるような、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株又はその組成物の使用を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面において
図1図1は、クレードにおいて配置されるバチルス(Bacillus)sppの系統樹(16S)を例示する。
図2図2は、クレードにおいて配置されるバチルス(Bacillus)sppの系統樹(gyrB)を例示する。
図3図3は、0.4%TSA寒天が重層されたMRS寒天プレート(固形培地)上での腸、皮膚及び尿路の日和見性病原体に対するB.コアギュランス(B.coagulans)CGI314の抗菌活性を示す。A-E.コリ(E.coli);B-S.エンテリティディス(S.enteritidis)及びC-S.アウレウス(S.aureus)。
図4図4は、腸、皮膚及び尿路の日和見性病原体に対する液体TSB培地におけるB.コアギュランス(B.coagulans)CGI314の抗菌活性を示す。病原体:E.コリ(E.coli)、サルモネラ(Salmonella)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)及びS.アウレウス(S.aureus)。(濃度Log10CFU/ml)
図5図5は、24時間でE.コリ(E.coli)に対しB.コアギュランス(B.coagulans)CGI314(Fortispore)で観察される最強の抗菌活性を示す。E.コリ(E.coli)0.4%TSA寒天重層プレートに対する、MRS寒天上に接種された(a)B.コアギュランス(B.coagulans)MTCC5856(Lactospore(登録商標))(b)B.コアギュランス(B.coagulans)CG314(Fortispore)(c)B.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))。
図6図6は、48時間でS.エンテリティディス(S.enteritidis)に対するFortisporeで観察される最強の抗菌活性を示す。S.エンテリティディス(S.enteritidis)0.4%TSA寒天重層プレートに対する、MRS寒天上に接種された(a)Lactospore(登録商標)(b)Fortispore(c)BC30(商標)。
図7図7は、抗菌活性が、P.エルギノーサ(P.aeruginosa)に対しバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)にわたり検出されなかったことを示す。24時間での、P.エルギノーサ(P.aeruginosa)0.4%TSA寒天重層プレートに対する、TSA寒天に接種された、(a)B.コアギュランス(B.coagulans)MTCC5856(Lactospore(登録商標))(b)B.コアギュランス(B.coagulans)CG314(c)B.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))。
図8図8は、24時間でMRS寒天を使用してS.アウレウス(S.aureus)に対しB.コアギュランス(B.coagulans)にわたり検出された限定的な抗菌性を示す。(a)S.アウレウス(S.aureus)0.4%TSA寒天重層プレートに対する、TSA寒天上に接種されたB.コアギュランス(B.coagulans)。(b)S.アウレウス(S.aureus)0.4%TSA寒天重層プレートに対する、MRS寒天上に接種されたB.コアギュランス(B.coagulans)。
図9図9は、B.コアギュランス(B.coagulans)(Fortispore)及びL.ラムノサス(L.rhamnosus)の総抗酸化能を示す。
図10図10は、DE111、B.コアギュランス(B.coagulans)(Fortispore)、B.クラウシイ(B.clausii)CSI08(Munispore)、B.メガテリウム(B.megaterium)MIT411(Renuspore)及びL.ラムノサス(L.rhamnosus)の総抗酸化能を示す。
図11図11は、接着細菌のパーセンテージとして測定される、HT-29細胞株へのFortisporeの接着が、無視できる程度であったことを示す。
図12図12は、接着細菌のパーセンテージとして測定される、HT-29-MTX細胞株へのFortisporeの接着が、無視できる程度であることを示す。
図13図13は、HT-29細胞株へのB.コアギュランス(B.coagulans)株の接着についての試験を示す。
図14図14は、HT-29-MTX細胞株へのB.コアギュランス(B.coagulans)株の接着についての試験を示す。
図15図15は、24時間又は48時間での画線法及び終夜TSBブロス法の両方を使用した、B.コアギュランス(B.coagulans)CGI314におけるカゼイン分解活性の欠如を示す。
図16図16は、カゼイン誘導体に対するFortisporeのタンパク質分解活性が、37℃で24時間のインキュベーション後にEnzCheck(登録商標)キットを使用して、陽性対照であるプロテイナーゼKよりも低いことを示す。
図17図17は、24時間又は48時間での画線法及び終夜TSBブロス法の両方を使用した、(左から右)B.コアギュランス(B.coagulans)CGI314、B.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))及びB.コアギュランス(B.coagulans)MTCC5856(Lactospore(登録商標))にわたるカゼイン分解活性の欠如を示す。
図18図18は、カゼインに対し低プロテアーゼ活性を示すFortispore B.コアギュランス(B.coagulans)を示す。
図19図19は、37℃で24時間のインキュベーション後にEnzCheck(登録商標)キットにより決定される、B.コアギュランス(B.coagulans)株にわたるカゼイン分解活性の定量分析を示す。
図20図20は、Fortispore UTH発酵乳のFAAプロファイルを示す。メチオニン、アラニン、プロリン、トリプトファン、リジン、シス-アコニット酸の相対濃度を示す(白色バー(左)は対照に相当)。
図21図21は、Fortispore UTH発酵乳のFAAプロファイルを示す。コハク酸、乳酸、安息香酸、イソクエン酸の相対濃度を示す(白色バー(左)は対照に相当)。
図22図22は、乳酸、コハク酸及び安息香酸の産生においてLactospore及びBC30とFortisporeを比較する(左から右へ:対照、BC30、Lactospore、Fortispore)。
図23図23は、アミノ酸の産生においてLactospore及びBC30とFortisporeを比較する(左から右へ:対照、BC30、Lactospore、Fortispore;また、メチオニン、プロリン、トリプトファン、リジンの相対濃度を示す)。
図24図24は、Fibersol(登録商標)(F)が、対照と比較してインキュベーション24時間後に最小培地中で、1 log10、Fortisporeの濃度(CFU/mL)を有意に増加させたことを示す。
図25図25は、Fibersol(登録商標)(F)が、最小培地中でFortisporeの濃度(CFU/mL)を有意に上昇させ、一方でBC30及びLactosporeの増殖における有意性は見られなかったことを示す。
図26図26は、Fibersol(登録商標)(F)が、対照と比較して、TSB培地中でFortispore濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかったことを示す。
図27図27は、Fibersol(登録商標)(F)が、対照と比較して、TSB培地中でDE111、Fortispore、BC30、E.コリ(E.coli)及びサルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)の濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかったことを示す。
図28図28は、Fibersol(登録商標)(F)が、対照と比較して、50%TSB培地中でFortisporeの濃度(CFU/mL)を有意に上昇させなかったことを示す。
図29図29は、Fibersol(登録商標)(F)が、50%TSB培地中で24時間後にDE111の収率(CFU/mL)を1 log10、有意に上昇させたことを示す。
図30図30は、Fibersol(登録商標)(F)が、BHI培地中で対照と比較して、Fortisporeの濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかったことを示す。
図31図31は、Fibersol(登録商標)(F)が、BHI培地中で対照と比較して、DE111、Fortispore及びBC30の濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかったことを示す。
図32図32は、Fibersol(登録商標)(F)が、50%BHI培地中で対照と比較して、Fortisporeの濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかったことを示す。
図33図33は、Fibersol(登録商標)(F)が、50%BHI培地中で対照と比較して、DE111、Fortispore及びBC30の濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかったことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
遺伝子型同定
出願者らは、ゲノムシーケンシング及び同定についてCornell University(Ithaca NY,USA)と連携した。
【0025】
WGS DNA組成物
全ゲノム配列(WGS)を、アセンブリ及びアノテーションを含み、Cornell Universityにより行った。バイオインフォマティクス分析は、Cornell Universityで、及びDeerland Probiotics and Enzymes(Kennesaw GA,USA)で完遂された。gyrB遺伝子ポイモルフィズム(poymorphism)の同定を、出願者により行った。
【0026】
gyrB遺伝子は、DNAジャイレースサブユニットBをコードする。DNAジャイレースは、ねじれ角が小さい(underwound)状態で染色体を維持するために、ATP依存的に閉じた環状2本鎖DNAを負に超らせんに巻く。遺伝子シーケンシング分析は、原核生物の種レベルの鑑別のためのよく確立された方法であるgyrB遺伝子多型を使用した(Bavykin et al.,2014;Wang et al.,2007)。代表的なゲノムが、見直され、NCBIにより精選され、UniProt Consortium(NCBI,2016;UniProt,2016)によりコーディネートされた。UniProt Consortium分析と併せたR package SequinRを使用して、本発明で特許請求されるバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株CGI314の全ゲノム配列(WGS)及びGyrB配列を他の参照株と比較した(下記の表1~3)。
【0027】
バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314の遺伝子型、gyrB及び16S rRNAの同定
CGI314を単離し、ゲノムを、成功であるとみなした。
【0028】
CGI314のゲノムサイズ(3.0Mbp)は、以前シーケンシングされたB.コアギュランス(B.coagulans)株(3.4Mbp)(Upadrasta et al.,2016)よりも短かった。%GC(47.3%)は、以前シーケンシングされたB.コアギュランス(B.coagulans)株のもの(46.5%)(Upadrasta et al.,2016)と合致した。
【表1】
【表2】
【表3】
【0029】
16S rRNA
4つの参照配列と比較して、CGI314の全ゲノムシーケンシング(WGS)及び16SrRNA分析は、B.コアギュランス(B.coagulans)株ATCC7050と比較すると、99.9%の16SrRNAについての平均ヌクレオチド同一性(ANI)スコアを示した。CGI314についてのゲノムサイズ(3.0Mbp)及びGC含量(47.30%)は、4つの参照株と同等であった。
【0030】
さらなる預託及び受入番号
バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株CGI314(Fortispore)のゲノム配列データは、NCBI GenBankデータベースに預託され、ゲノム配列は、NCBI Prokaryotic Genome Annotation Pipeline(PGAP)によりアノテートされた。ゲノムは、その株に対するGenBank受入番号JABBFU000000000.1で公開されており、例えばリンク:link:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/JABBFU000000000.1で利用可能である。
【0031】
バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)株CSI08(Munispore)のゲノム配列データは、NCBI GenBankデータベースに預託され、ゲノム配列は、NCBI Prokaryotic Genome Annotation Pipeline(PGAP)によりアノテートされた。ゲノムは、その株に対するGenBank受入番号JABBNL000000000.1で公開されており、例えばリンク:Alkalihalobacillus clausii strain CSI08,whole genome shotgun sequenci-Nucleotide-NCBI(nih.gov)で利用可能である。
【0032】
バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)株MIT411(Renuspore)のゲノム配列データは、NCBI GenBankデータベースに預託され、ゲノム配列は、NCBI Prokaryotic Genome Annotation Pipeline(PGAP)によりアノテートされた。ゲノムは、その株に対するGenBank受入番号JABBNK000000000.1で公開されており、例えばリンク:Priestia megaterium strain MIT411,whole genome shotgun sequencing pro -Nucleotide-NCBI(nih.gov)で利用可能である。
【0033】
系統発生学的な配置は、Deerland Probiotics and Enzymes,Inc.により行われた。
【0034】
デジタルゴールドスタンダードである、ゲノム対ゲノムの距離計算(GGDC)は、DNA-DNAハイブリダイゼーション(DDH)と同程度の信頼性がある(Auch et al.,2010)。GGDCは、亜種の評価のためのより高い識別力を保持し、その後、多重アライメント及び系統発生的分析の確認として使用された。GGDCは、計算に基づくモデルをもたらし、これは、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314が、ATCC7050に対して近縁種であることをさらに検証した。
【0035】
保存される16S rRNA配列は、細菌における系統発生を比較し、試験するためのよく確立された方法であるが、近縁種の間の配列類似性の高い割合は、その有用性を制限する(Wang et al.,2007)。近縁の細菌種における16S rRNA配列類似性の高い率は、分子進化の速度がより遅いためである。過去の研究(Bavtlin et al.,2004;Wang et al.,2007)は、それらの塩基置換の速度及びDNA-DNAハイブリダイゼーション分析との有意で信頼できる相関のため、分類学的なバイオマーカーとしてgyrB配列を使用する妥当性を裏付ける(Dauga et al.,2002;Kasai et al.,1998;Wang et al.,2007)。gyrBは、DNA複製において重要な役割を果たすDNAジャイレースB及びII型トポイソメラーゼをコードする。ジャイレースBサブユニットは、gyrB遺伝子によりコードされる。
【0036】
近隣結合(NJ)法(Saitou & Nei,1987)を使用する系統発生学的な分析は、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)ATCC 7050があるクレードにバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を位置づけた(図2)。これは、全ての以前のゲノム同一性決定を確認する。バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314は、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)群に位置づけられている。
【0037】
定義
「賦形剤」は、最終処方物の部分を形成するために添加されるあらゆる非活性成分を意味する。
【0038】
「プロバイオティクス」は、生存可能な微生物サプリメントを意味し、これは、腸管、尿路又は膣管におけるその効果を通じて患者に対する有益な影響を有する。「プロバイオティクス」という用語は、適正な量で投与されると、宿主に健康上の利益を付与する、生きている微生物を指し得る。プロバイオティクスを含有する食品及び食品添加物は、腸の微生物叢の健康なバランスの回復を助け得る。さらに、腸内細菌叢のプロバイオティックの補充は、健康的な腸のホメオスタシスを促進し得る。
【0039】
「プレバイオティクス」は本明細書中で、基質として使用され、それは、プロバイオティクスに対する、及び従ってプロバイオティクスを摂取する個々の患者に対する有益な効果を有する。適切なプレバイオティクスは、イヌリン、オリゴ糖及び/又はビタミンから選択され得る。
【0040】
本明細書中で使用される「対象」は、微生物の不均衡に関する何れかの臨床状態に罹患している者並びに予防的に、細菌調製物を使用している者を含む。任意選択的に、対象は、ヒトである。
【0041】
「シンバイオティクス製品」は、プロバイオティクスとプレバイオティクスの組み合わせを意味し、これは相乗的であり、患者に対し有益な影響を有する。
【0042】
「頑強な増殖(hardy growth)」は、細菌が優れた増殖を示すことを意味する。
【0043】
「CFU」という略語は、コロニー形成単位を意味する。
【0044】
対象においてインビボ細菌叢を再生できるプロバイオティクスの桿菌(Bacilli)株に関する本発明は、次の詳細な説明が進むにつれて明らかになろう。
【0045】
第1の態様によれば、本発明は、単独での又は基本的に同じ特性を有する他のプロバイオティクスの桿菌(Bacilli)株と組み合わせたバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株CGI314を含む。このような他のプロバイオティクスの桿菌(Bacilli)株としては、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)株及びバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)株が挙げられ得るが、限定されない。このような他の桿菌(Bacilli)株としては、内容がその全体において本明細書中に組み込まれるこれらの個々の題目下で本日それぞれ提出される、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)株及びバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)株がさらに挙げられ得る。
【0046】
本明細書中に添付される特許請求の範囲で引用される通りの配列番号1は、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314のgyrBを含む。
【0047】
本明細書中に添付される特許請求の範囲で引用される通りの配列番号2は、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314の16S rRNAを含む。
【0048】
本明細書中に添付される特許請求の範囲で引用される通りの配列番号3は、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314の組み立てられた全ゲノム配列を含む。
【0049】
配列番号1及び/又は2との少なくとも97%の同一性;又は配列番号3との少なくとも97%の同一性に関して本明細書中で特許請求されるバチルス(Bacillus)株は、次の特性を有する:
【0050】
バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314
【0051】
この株は、胆汁安定性を示す。
【0052】
この株は、酸安定性を示す。
【0053】
この株は、熱耐性を示す。
【0054】
この株は、バクテリオシンの形態で天然の抗生物質を産生する。
【0055】
本明細書中で開示される株の属及び種を決定するために、全ゲノムをシーケンシングした。この株の量及び組成を、同定し決定した。
【0056】
この株は、抗生物質耐性及び安全性の懸念が殆ど又は全くないと示された。
【0057】
この株は、酸及び胆汁に対し安定性を示すことが見出された。
【0058】
第2の態様によれば、本発明の桿菌(Bacilli)株は、膣感染、尿路感染及び胃腸疾患(胃腸感染を含む)を予防する又は処置すること、並びに免疫的健康を向上させること、酸化ストレスに対する防御、クレンジング及び解毒、代謝的健康及び心血管系の健康における医学的使用に適切である。
【0059】
別の好ましい実施形態では、医薬組成物が、薬学的に許容可能な担体及び/又は希釈剤と一緒に、単独での又は基本的に同じ特性を有する他のプロバイオティクスの桿菌(Bacilli)株と組み合わせたバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を含んで提供される。このような他のプロバイオティクスの桿菌(Bacilli)株としては、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)株及びバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)株が挙げられるが限定されない。これらの細菌株は、プロバイオティクス株の容易な投与を可能にするために及び当業者にとって公知の手段により、医薬処方物へと処方される。
【0060】
バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)は、全てインビボで、過敏性腸症候群の症状を緩和し(Sudha et al.,2018)、筋肉の完全性及びサイトカイン応答を改善し(Gepner et al.,2017;Jager et al.,2018)、腸のマイクロバイオーム及び免疫応答を調整し(Kimmel et al.,2010)、機能性腸ガス症状を軽減し(Kalman et al.,2009)、下痢の実例及び期間を低減させ(Dolin et al.,2009)、機能性腹痛及び膨満の症状を改善し(Hun et al.,2009)、アセトアミノフェン誘導性の急性肝臓傷害を予防し(Neag et al.,2020)、ブチロジェネシス(butyrogenesis)を促進し(Sasaki et al.,2020)、細菌性腟疾患の重症度を低減し(Sudha et al.,2012)及びコレステロールを低下させる(Sudha et al.,2012)ことができると証明されている。バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)はまた、全てインビトロで、免疫応答及び抗炎症作用を誘導し(Jensen et al.,2017)、植物タンパク質消化を改善し(Keller et al.,2017)、Caco-2細胞に接着し(Sharma & Kanwar,2017)、潰瘍性大腸炎がある患者におけるコロニー微小環境を改善し(Sasaki et al.,2020)、HT-29細胞においてS.チフィムリウム(S.typhimurium)により引き起こされる、接着、細胞傷害性及びアポトーシスの誘導を低減し(Kawarizadeh et al.,2019)、ホエイタンパク質からラクトースを加水分解し(Liu et al.,2019)、t-細胞応答を増強する(Baron,2009)ことも示されている。
【0061】
バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)は、インビボで、再発性の呼吸器感染を予防すること(Marseglia et al.,2007)、下痢の持続期間及び重症度を低減すること(Sudha et al.,2019)において効果的であることが証明されている。バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)はまた、インビトロで、抗菌及び抗酸化能とともにタンパク質加水分解産物を生成すること(Rochin-Medina et al.,2017)、アセトアミノフェンにより誘導される急性肝臓損傷を予防すること(Neag et al.,2020)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)及びバチルス・セレウス(Bacillus cereus)毒により誘導される細胞傷害性効果を阻害すること(Ripert et al.,2016)ができることも証明されている。
【0062】
バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)は、インビトロ及びインビボの両方で、酸化ストレスに対して防御効果を発揮することが示されている(Mazzoli et al.,2019)。バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)はまた、酸ストレス条件で適応する及び生存すること並びにインビトロで重金属をキレートすることができることも示されている(Ferreira et al.,2019)。
【0063】
好ましくは、本発明に従い医薬品中で使用されるプロバイオティックな細菌は、10~1013の細菌濃度で使用される。一実施形態では、本発明で使用されるプロバイオティックな細菌は、10~1013CFU(コロニー形成単位)の細菌濃度で、例えば上記範囲に含まれる何れかの量又は範囲を含む1日用量として、使用される。一実施形態では、細菌は、10~1012CFU又は10~1011CFU又は10~1010CFUの量で、又は例えば約10、約10、約10、約10、約1010、約1011、約1012及び/又は約1013CFUの量及び上記量を含むか又はそれらの間にある何れかの量又は範囲で、使用される。一実施形態では、本発明の組成物は、約10~約1013CFU、例えば約10のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を含む、基本的にそれからなる、それからなる、及び/又はそれにより特徴づけられる。一実施形態では、本発明の組成物は、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)MIT411及び/又はバチルス・クラウシイ(Bacillus Cclausii)CSI08と組み合わせて、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314(例えば約10CFU)を含む。一実施形態では、本発明の組成物は、カプセル形態で経口投与される。一実施形態では、本発明の組成物及び/又は使用又は方法において、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314は、芽胞形態である、又は芽胞形態ではない。
【0064】
特定の実施形態では、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を含む組成物は、トレハロース、マルトデキストリン、米粉、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、イノシトール、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、デキストロース、乾燥乳製品などからなる群から選択される1種以上の乾燥担体を含み得る。特定の実施形態では、乾燥担体が、組成物の約1%~約95重量%の重量パーセントでバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を含む組成物に添加され得る。
【0065】
特定の実施形態では、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を含む組成物は、水及び生理食塩溶液、尿素、アルコール及びその誘導体(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール)、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール)からなる群から選択される1種以上の液体又はゲルに基づく担体;全て生物と適合性がある、天然又は合成香味料及び食品品質の着色剤;コーンスターチ、グアーガム、キサンタンガムなどからなる群から選択される増粘剤;過塩性の担体、メチルパラベン、グアーガム、ポリソルベート、保存剤などからなる群から選択される1種以上の芽胞発芽阻害剤を含み得る。特定の実施形態では、1種以上の液体又はゲルに基づく担体が、組成物の約0.6%~約95%重量/体積の重量/体積パーセンテージでバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を含む組成物に添加され得る。特定の実施形態では、天然又は合成香味料が、組成物の約3.0%~約10.0%重量/体積の重量/体積パーセンテージでバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を含む組成物に添加され得る。特定の実施形態では、着色剤が、組成物の約1.0%~約10.0%重量/体積の重量/体積パーセンテージでバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を含む組成物に添加され得る。特定の実施形態では、増粘剤が、組成物の約2%重量/体積の重量/体積パーセンテージでバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を含む組成物に添加され得る。特定の実施形態では、1種以上の芽胞発芽阻害剤が、組成物の約1%重量/体積の重量/体積パーセンテージでバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314を含む組成物に添加され得る。
【0066】
送達系
適切な剤形としては、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、粉末、ガム及び菓子類が挙げられる。舌下送達系としては、舌下及び舌上での溶けるタブレット、液体ドロップ及び飲料が挙げられるが、限定されない。可食性フィルム、親水性ポリマー、口腔で溶けるフィルム又は溶ける経口ストリップ(strip)を、使用し得る。他の有用な送達系は、経口又は鼻腔スプレー又は吸入剤などを含む。適切な剤形としては、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、粉末、ガム及び菓子類が挙げられる。舌下送達系としては、舌下及び舌上での溶けるタブレット、液体ドロップ及び飲料が挙げられるが、限定されない。可食性フィルム、親水性ポリマー、口腔で溶けるフィルム又は口腔で溶けるストリップを、使用し得る。他の有用な送達系は、経口又は鼻腔スプレー又は吸入剤などを含む。
【0067】
経口投与の場合、プロバイオティクスは、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒剤又は他の適切な剤形の調製のために1つ以上の固体の不活性成分とさらに組み合わされ得る。例えば、活性物質は、充填剤、結合剤、保水剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤及び滑沢剤からなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤と組み合わされ得る。他の有用な賦形剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、マンニトール、キシリトール、甘味料、デンプン、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、シリカ、ゼラチン、二酸化ケイ素などが挙げられるが、限定されない。
【0068】
特定の実施形態では、1つ以上の従来のアジュバント、担体又は希釈剤と一緒に本開示の方法に従い投与される組成物の構成成分は従って、医薬組成物及びその単位投与量の形態中に置かれ得る。このような形態としては、固体及び特に、全て経口での使用のための、錠剤、充填カプセル、粉末及びペレット形態;液体及び特に、水性又は非水性溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル;及びそれらが充填されたカプセル;直腸投与用の座薬及び非経口使用のための滅菌注射用溶液が挙げられる。このような医薬組成物及びその単位剤形は、さらなる活性化合物又は有効成分あり又はなしで、従来の割合で従来の成分を含み得、このような単位剤形は、使用される意図された1日投与量の範囲と釣り合う、有効成分のあらゆる適切な有効量を含有し得る。
【0069】
本開示の方法に従い投与される組成物の構成成分は、多岐にわたる経口及び非経口剤形で投与され得る。次の剤形が、特定の実施形態では、活性成分として、本開示の化学的な化合物又は本開示の化学的な化合物の薬学的に許容可能な塩の何れかを含み得ることは、当業者にとって明らかであろう。
【0070】
本開示の方法に従い投与される医薬組成物を調製するための、薬学的に許容可能な担体は、固体又は液体の何れかであり得る。固体形態の調製物としては、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、カシェー、坐薬及び分散性顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤又は封入材料としても作用し得る、1つ以上の物質であり得る。
【0071】
粉末において、担体は、微粉化された固体であり、それは、微粉化された活性成分との混合物中にある。錠剤において、活性成分は、適切な割合で必要な結合能を有する担体と混合され、所望の形状及びサイズに成形される。
【0072】
特定の実施形態では、本開示の方法に従い投与される粉末及び錠剤は好ましくは、5又は10~約70パーセントの活性化合物を含有し得る。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「調製」という用語は、さらなる担体あり又はなしで活性成分が担体により取り囲まれる、従ってそれと合わせられる、カプセルを提供する担体としての封入材料を用いる活性化合物の処方を含むと意図される。同様に、カシェー及び薬用キャンディーが、含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェー及び薬用キャンディーが、含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェー及び薬用キャンディーは、経口投与に適切な固体形態として使用され得る。
【0073】
液体調製物としては、溶液、懸濁液及びエマルジョン、例えば水又は水-プロピレングリコール溶液が挙げられるが、限定されない。例えば、非経口注射液体調製物は、水性ポリエチレングリコール溶液中で溶液として処方され得る。特定の実施形態では、本開示の方法に従い投与される化学的化合物は従って、非経口投与(例えば注射、例えばボーラス注射又は連続点滴による)のために処方され得、アンプル、プレフィルドシリンジ、低体積注入での投与のための単位用量で、又は保存剤が添加された複数回投与容器で与えられ得る。本組成物は、油性又は水性ビヒクル中で懸濁液、溶液又はエマルジョンとしてこのような形態をとり得、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの処方剤を含有し得る。或いは、有効成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば滅菌、発熱物質不含水との構成のために滅菌固体の無菌的な単離によるか又は溶液からの凍結乾燥により得られる、粉末形態であり得る。
【0074】
経口使用に適切な水溶液は、水中で有効成分を溶解すること、および必要に応じて適切な着色剤、香味料、安定化剤及び増粘剤を添加することにより調製され得る。経口使用に適切な水性懸濁液は、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又は他の周知の懸濁剤などの粘性物質とともに水中で微粉化した活性成分を分散させることにより作製され得る。
【0075】
口腔中の局所投与に適切な組成物としては、風味付きの基剤、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント中で活性物質を含む薬用キャンディー;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性基剤中に有効成分を含むトローチ;及び適切な液体担体中に有効成分を含む洗口液が挙げられるが、限定されない。
【0076】
溶液又は懸濁液は、従来の手段により、例えば、点滴器、ピペット又はスプレーを用いて、鼻腔に直接適用される。本組成物は、単回又は複数回の投与形態で提供され得る。鼻腔内組成物を含む気道への投与が意図される組成物において、本化合物は一般に、例えば5ミクロン以下のオーダーの小さい粒径を有する。このような粒径は、当技術分野で公知の手段により、例えば、微粒子化により得られ得る。
【0077】
医薬調製物は好ましくは、単位剤形である。このような形態において、調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量にさらに分割される。単位剤形は、パッケージされた調製物であってよく、パッケージは、バイアル又はアンプル中のパッケージされた錠剤、カプセル及び粉末などの調製物の個別の量を含有する。また、単位剤形は、カプセル、錠剤、カシェー又は薬用キャンディーそのものであり得る;又はそれは、パッケージされた形態のこれらの何れかの適切な数であり得る。
【0078】
経口投与のための錠剤、カプセル及び薬用キャンディー及び経口使用のための液体は、好ましい組成物である。鼻腔への又は気道への適用のための溶液又は懸濁液は、好ましい組成物である。表皮への局所投与のための経皮パッチは、好ましい。
【0079】
処方及び投与のための技術についてのさらなる詳細は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版で見出され得る。
【0080】
特定の実施形態では、本開示の方法に従い投与される組成物を含む本発明の組成物はまた、1つ以上の賦形剤、最も好ましくは1つ以上の栄養補助剤用の賦形剤又は医薬賦形剤も含み得る。1つ以上の賦形剤を含有しかつ1つ以上のプロバイオティクスを組み込む組成物は、当技術分野で公知の手順により調製され得る。任意選択的に、組成物は、1つ以上のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝液、希釈剤及び/又は他の通例の医薬補助剤を含み得る。例えば、プロバイオティクスは、錠剤、カプセル、粉末、懸濁液、経口投与用の溶液、静脈内、皮内、筋肉内及び皮下投与を含む非経口投与用の溶液及び一般的及び従来のバリア、結合剤、希釈剤及び賦形剤との経皮適用用のパッチ上への適用のための溶液へと処方され得る。
【0081】
特定の実施形態では、本開示の方法に従い投与される栄養補給食品組成物を含む栄養補給食品組成物は、薬学的に許容可能な担体を含み得、かつそれと組み合わせて投与され得る。特定の実施形態では、このような処方物中の有効成分は、約1重量%~約99重量%を含み得る。他の実施形態では、このような処方物中の有効成分は、約0.1重量%~約99.9重量%を含み得る。「薬学的に許容可能な担体」は、処方物の他の成分と適合しかつ使用者に対し有害でない何れかの担体、希釈剤又は賦形剤を意味する。有用な賦形剤としては、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、何れかの許容可能な糖(例えばマンニトール、キシリトール)などが挙げられるが限定されず、化粧品としての使用の場合、水又は油性基剤が使用されてよく、又はエマルジョンなどを含むその混合物が使用されてよい。
【0082】
投与の経路
株バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314又は本発明の株を含む組成物は、経口、舌下、頬側、眼、肺、直腸、膣、尿道、尿管及び非経口投与を含むが限定されない何れかの経路により、又は経口若しくは鼻腔スプレー(例えば噴霧蒸気、液滴又は固体粒子の吸入)として投与され得る。非経口投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、膀胱内(例えば膀胱へ)、皮内、経皮、局所又は皮下投与が挙げられる。また本発明の範囲内で企図されるのは、薬物の全身又は局所の放出が後の時間に起こる、制御された処方物での患者の身体における医薬組成物の滴下注入である。例えば、薬物は、循環への制御された放出のための、又は局所部位への放出のためのデポーに局在され得る。
【0083】
本発明の医薬組成物は、例えば経口、直腸、気管支、鼻腔、プルモナル(pulmonal)、局所(頬側及び舌下を含む)、経皮、膣、尿道、尿管又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼内注射又は点滴を含む)投与を含む、上で特定される経路の何れかに適切なもの及びそのために処方されるものであり得るか、又は粉末及び液体エアロゾル投与を含む、吸入若しくは吹送による又は持続放出系による投与に適切な形態のものであり得る。持続放出系の適切な例は、本発明の化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、このマトリクスは、造形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態であり得る。
【0084】
上記の実施形態は、次の実施例と関連してさらに理解され得る。さらに、次の非限定例は、本発明を例示するために提供される。しかし、当技術分野の熟練者は、本発明のあらゆる与えられる実施形態に対する手順を変更する、例えば順序又は段階を変更することが必要であり得ることを認めるであろう。
【0085】
実施例1
バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314(本明細書中で以後、Fortisporeと呼ばれる)の特徴評価
B.コアギュランス(B.coagulans)CGI314(Fortispore)は、0.4%TSA寒天が重層された固形MRS寒天上でE.コリ(E.coli)、サルモネラ(Salmonella)及びS.アウレウス(S.aureus)に対し有意な抗微生物活性を有した。
【0086】
しかし、抗微生物活性は、固形培地において、P.エルギノーサ(P.aeruginosa)に対し観察されなかった。Fortisporeは、固体環境において、腸、尿及び皮膚の病原体に対し抗微生物活性を有する。
【表4】
【0087】
抗微生物活性は、阻害ゾーン(mm)±標準偏差として示される。
【0088】
図3は、0.4%TSA寒天が重層されたMRS寒天プレート(固形培地)上での腸、皮膚及び尿路の日和見性病原体に対するB.コアギュランス(B.coagulans)CGI314の抗微生物活性を示す。A-E.コリ(E.coli);B-S.エンテリティディス(S.enteritidis)及びC-S.アウレウス(S.aureus)。
【0089】
Fortisporeは、液体TSB培地中でE.コリ(E.coli)、サルモネラ(Salmonella)及びP.エルギノーサ(P.aeruginosa)に対し有意な抗微生物活性を有した。しかし、抗微生物活性は、液体TSB培地中でS.アウレウス(S.aureus)に対し観察されなかった。
【表5】
【0090】
図4は、腸、皮膚及び尿路の日和見性病原体に対する液体TSB培地中でのB.コアギュランス(B.coagulans)CGI314抗微生物活性を示す。病原体:E.コリ(E.coli)、サルモネラ(Salmonella)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)及びS.アウレウス(S.aureus)。対照は、個々に病原体の増殖を表し;処置は、B.コアギュランス(B.coagulans)CGI314の存在下での病原体の増殖を表す。**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【0091】
Fortisporeは、半液体~液体状態が一般的であろう腸及び尿路において日和見性病原体の存在を制御する可能性を有する。さらに、Fortisporeは、ヒトの皮膚などのより乾いた環境において日和見性病原体の広がりを防ぐ可能性を有する。
【0092】
Fortisporeは、競合者B.コアギュランス(B.coagulans)プロバイオティクスよりも高い抗微生物活性を有する。B.コアギュランス(B.coagulans)CGI1314(Fortispore)の抗微生物活性を、次のヒト皮膚及び腸での日和見性及び動物由来感染症の病原体に対し寒天拡散法を使用して、B.コアギュランス(B.coagulans)MTCC5856(Lactospore(登録商標))及びB.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))のものと比較した:
エシェリキア・コリ(Escherichia coli)25922、
サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)13076、
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)RF122及び
シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)DSM3227。
【0093】
B.コアギュランス(B.coagulans)CGI314(Fortispore)は、BC30(商標)及びLactospore(登録商標)よりも、24時間でE.コリ(E.coli)に対し、及び48時間でS.エンテリティディス(S.enteritidis)に対し、強い抗微生物活性を示した。Fortisporeは、ヒトの腸に又は皮膚上に存在し得る日和見性及び動物由来感染症の病原体の存在を制御する、より高い可能性を有し得る:
E.コリ(E.coli)に対するFortisporeの高い抗微生物活性。
48時間でのS.エンテリティディス(S.enteritidis)に対するFortisporeの高い抗微生物活性。
抗微生物活性は、P.エルギノーサ(P.aeruginosa)に対しバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)にわたり検出されない。
TSA寒天を用いる、S.アウレウス(S.aureus)に対する、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)の限定された抗微生物活性。
【0094】
抗微生物活性-E.コリ(E.coli)に対する高い抗微生物活性:
B.コアギュランス(B.coagulans)CGI314(Fortispore)は、MRS寒天を使用して試験したE.コリ(E.coli)に対しもっとも強い抗微生物活性を有した。B.コアギュランス(B.coagulans)MTCC5856(Lactospore(登録商標))及びB.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))は、限定的な抗微生物活性を有した。
【表6】
【0095】
図5は、24時間でE.コリ(E.coli)対しB.コアギュランス(B.coagulans)CGI314(Fortispore)で観察された最強の抗微生物活性を示す。E.コリ(E.coli)0.4%TSA寒天重層プレートに対し、MRS寒天上に接種された(a)B.コアギュランス(B.coagulans)MTCC5856(Lactospore(登録商標))(b)B.コアギュランス(B.coagulans)CG314(Fortispore)(c)B.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))。
【0096】
Fortisporeは、日和見性の腸及び尿路病原体E.コリ(E.coli)の増殖を阻害した。
【0097】
抗微生物活性-48時間でのS.エンテリティディス(S.enteritidis)に対する高い抗微生物活性:
24時間で、B.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))は、S.エンテリティディス(S.enteritidis)に対し最強の抗微生物活性を有した。しかし、48時間で、B.コアギュランス(B.coagulans)CGI314(Fortispore)は、この病原体に対する最強の抗微生物活性を有した。
【表7】
【0098】
図6は、48時間でS.エンテリティディス(S.enteritidis)に対しFortisporeで観察された最強の抗微生物活性を示す。S.エンテリティディス(S.enteritidis)0.4%TSA寒天重層プレートに対し、MRS寒天上に接種された(a)Lactospore(登録商標)(b)Fortispore(c)BC30(商標)。
【0099】
Fortisporeは、腸管に影響を及ぼすことが知られている動物由来感染症の病原体サルモネラ(Salmonella)の増殖を阻害した。
【0100】
抗微生物活性-抗微生物活性は、P.エルギノーサ(P.aeruginosa)に対しバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)にわたり検出されなかった:
【0101】
寒天拡散法を使用して、抗微生物活性は、P.エルギノーサ(P.aeruginosa)に対しB.コアギュランス(B.coagulans)にわたり観察されなかった。
【0102】
図7は、抗微生物活性が、P.エルギノーサ(P.aeruginosa)に対しバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)にわたり検出されなかったことを示す。24時間でのP.エルギノーサ(P.aeruginosa)0.4%TSA寒天重層プレートに対し、TSA寒天上に接種された(a)B.コアギュランス(B.coagulans)MTCC5856(Lactospore(登録商標))(b)B.コアギュランス(B.coagulans)CG314(c)B.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))。
【0103】
Fortisporeは、皮膚病原体P.エルギノーサ(P.aeruginosa)に対し抗微生物剤を放出しない。しかし、Fortisporeは、液体培地中でP.エルギノーサ(P.aeruginosa)に対し潜在的な活性を示す(表5及び図7参照)。
【0104】
抗微生物活性-MRS寒天を用いるS.アウレウス(S.aureus)に対するバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)の限定的な抗微生物活性:
【0105】
TSA寒天を使用して、S.アウレウス(S.aureus)に対するB.コアギュランス(B.coagulans)株による抗微生物活性の証拠はなかった。しかし、B.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))及びB.コアギュランス(B.coagulans)CGI1314(Fortispore)は、MRS寒天を使用してこの病原体に対し僅かな活性を示した。
【表8】
【0106】
図8は、24時間でMRS寒天を使用してS.アウレウス(S.aureus)に対しB.コアギュランス(B.coagulans)にわたり検出された限定的な抗微生物剤を示す。(a)S.アウレウス(S.aureus)0.4%TSA寒天重層プレートに対し、TSA寒天上に接種されたB.コアギュランス(B.coagulans)(左から右に:BC30、CGI314、Lactospore)。(b)S.アウレウス(S.aureus)0.4%TSA寒天重層プレートに対し、MRS寒天上に接種されたB.コアギュランス(B.coagulans)(左から右に:CGI314、BC30、Lactospore)。
【0107】
Fortisporeは、皮膚病原体S.アウレウス(S.aureus)に対し皮膚などの乾燥表面上で限定量の抗微生物剤を放出し得る。
【0108】
Fortisporeは、潜在的な抗酸化剤プロバイオティクスである:
FortisporeB.コアギュランス(B.coagulans)の総酸化活性を、L.ラムノサス(L.rhamnosus)と比較した。Fortisporeは、L.ラムノサス(L.rhamnosus)よりも高い抗酸化活性を有する。
【0109】
図9は、B.コアギュランス(B.coagulans)及びL.ラムノサス(L.rhamnosus)の総抗酸化能を示す。結果は、nmole/mlでのトロロックス同等物の平均濃度(n=3)±標準誤差を示す。**p-値=0.0014。
【0110】
Fortisporeにおけるトロロックス同等物濃度の上昇されたレベルは、フリーラジカルを中和でき除去でき、かつ細胞への酸化損傷を防ぎ得る。
【0111】
Fortispore抗酸化活性は、全てのDeerland芽胞の中で2番目に高い量の抗酸化活性である。
【0112】
Fortispore B.コアギュランス(B.coagulans)の総抗酸化活性を、B.メガテリウム(B.megaterium)MIT411、B.クラウシイ(B.clausii)CSI08、DE111B.サブチリス(B.subtilis)及びL.ラムノサス(L.rhamnosus)と比較した。Fortisporeは、高い抗酸化活性を有し、L.ラムノサス(L.rhamnosus)よりも高い。
【0113】
図10は、DE111、本発明のB.コアギュランス(B.coagulans)、B.クラウシイ(B.clausii)CSI08、B.メガテリウム(B.megaterium)MIT411及びL.ラムノサス(L.rhamnosus)の総抗酸化能を示す。結果は、nmole/mlでのトロロックス同等物の平均濃度(n=3)±標準誤差を示す。
【0114】
Fortisporeにおけるトロロックス同等物濃度の上昇されたレベルは、フリーラジカルを中和でき、除去でき、かつ細胞に対する酸化損傷を防ぎ得る。
【0115】
Fortispore(栄養型、非芽胞型)は、腸上皮細胞株に接着しなかった。
【0116】
腸上皮のインビトロモデルへのバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株(CGI314)の接着能を、評価した。HT-29細胞株へのB.コアギュランス(B.coagulans)株CGI314の接着は、37℃で無視できる程度であった。粘液産生細胞株HT-29-MTXへのB.コアギュランス(B.coagulans)CGI314の接着能は、37℃で無視できる程度であった。
【0117】
図11は、HT-29細胞株へのFortisporeの接着が無視できる程度であったことを示す。
【0118】
図12は、HT-29-MTX細胞株へのFortisporeの接着が無視できる程度であることを示す。
【0119】
Fortispore株は、腸粘液又は上皮細胞に接着しない。
【0120】
腸上皮のインビトロモデルへの様々なバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)株(CGI314、BC30(商標)、Lactospore(登録商標))の接着能を、評価した。HT-29細胞株へのB.コアギュランス(B.coagulans)株CGI314、BC30(商標)、Lactospore(登録商標)の接着は、37℃で無視できる程度である。粘液産生細胞株HT-29-MTXへのB.コアギュランス(B.coagulans)BC30(商標)の接着能は、37℃でB.コアギュランス(B.coagulans)CGI314及びLactospore(登録商標)よりも高い。
【0121】
図13は、HT-29細胞株へのB.コアギュランス(B.coagulans)株の接着についての試験を示す。
【0122】
図14は、HT-29-MTX細胞株へのB.コアギュランス(B.coagulans)株の接着性についての試験を示す。
【0123】
B.コアギュランス(B.coagulans)株(液体培養、非芽胞形態)は、腸粘液又は上皮細胞に接着しない。
【0124】
Fortisporeは、低いカゼイン分解活性を示す。
【0125】
Fortisporeは、スキムミルク寒天プレート上でカゼイン分解活性について陰性であった。Fortisporeカゼイン分解活性の定量分析を、蛍光タグを付加されたカゼイン誘導体を用いて市販のキットを使用することにより、評価した。Fortisporeは、低い細胞外プロテアーゼ活性を示した。
【0126】
図15は、24時間又は48時間で画線法及び終夜TSBブロス法の両方を使用する、B.コアギュランス(B.coagulans)CGI1314におけるカゼイン分解活性の非存在についての試験を示す。
【0127】
図16は、カゼイン誘導体に対するFortisporeのタンパク質分解活性が、37℃で24時間のインキュベーション後にEnzCheck(登録商標)キットを使用して、陽性対照プロテイナーゼKよりも低いことを示す。エラーバーは、標準誤差を示す(n=3)。
【0128】
Fortisporeは、カゼインに対する低いプロテアーゼ活性を示す。
【0129】
Deerland株の中でも、Fortisporeは、カゼイン誘導体に対する低い細胞外プロテアーゼ活性を示す。
【0130】
図17は、24時間又は48時間で画線法及び終夜TSBブロス法の両方を使用して、B.コアギュランス(B.coagulans)CGI1314、B.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))及びB.コアギュランス(B.coagulans)MTCC5856(Lactospore(登録商標))にわたるカゼイン分解活性の欠如を示す。
【0131】
図18は、Deerland株の中で、Fortispore B.コアギュランス(B.coagulans)がカゼインに対し最低のプロテアーゼ活性を示すことを示す。
【0132】
図19は、37℃で24時間のインキュベーション後のEnzCheck(登録商標)キットにより決定された、B.コアギュランス(B.coagulans)株にわたるカゼイン分解活性の定量分析を示す。有意性は、a、b及び/又はcにより示され、複数文字は、結果が1を超える群と有意に異ならないことを示す(P<0.05)。エラーバーは標準偏差を示す。
【0133】
比較物(Lactospore(登録商標)及びBC30(商標))に対する比較において、Fortisporeは、カゼインに対する優れたプロテアーゼ活性を示す。
【0134】
Fortisporeの多様な炭水化物プロファイル
Fortisporeは、一連の単糖、二糖類、糖アルコール、アミン糖及び多糖類を代謝し得る。
【0135】
Fortisporeは、市販のAPI 50 CHストリップを用いて試験した49種類のうち22種類の炭水化物の代謝について陽性であった。これらの炭水化物の殆どは、D-リボース、D-グルコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、D-マンノースなどの単糖類及びトレハロース、マルトース及びセロビオースなどの二糖類であった。さらに、Fortisporeが代謝し得る、グリコシル化されたヒドロキノン(アルブチン)、シアン形成グリコシド(アミグラジン)及びアルコール性β-グルコシド(Salicin)に属する化合物があった。
【表9】
【0136】
これらのデータは、Fortisporeが腸においてこれらの化合物を消化するのを助け得ることを示唆する。
【0137】
Fortisporeは、D-ソルビトール及びデンプンアミドンに対し強い陽性であり、他の2つの競合者の株(BC30(商標)及びLactospore(登録商標))は、これらに対し陰性か又は弱い陽性であった。
【表10】
【0138】
これらのデータは、Fortisporeが腸においてこれらの化合物を消化するのを助け得ることを示唆する。
【0139】
Fortisporeは、エステラーゼ、ペプチダーゼ、ホスファターゼ及びグルコシダーゼ活性を有する:
【0140】
Fortisporeは、API ZYMキットを使用して、エステラーゼ、ペプチダーゼ、ホスファターゼ及びグルコシダーゼ活性に対し陽性であり、これは、次のことを意味する:
適切な脂質供給源の存在下でエステラーゼの作用から遊離脂肪酸を生成させるFortisporeの高い可能性。
ガルクトシダーゼ(Galctosidase)は、様々なオリゴ糖、ラクトシルセラミド、ラクトース及び多数の糖タンパク質に対する活性があるので、Fortisporeの炭水化物異化反応の可能性を高める。
ロイシン、バリン及びシステイン基質の加水分解を触媒するアミノペプチダーゼ。
【0141】
実際に、インシリコ分析は、エステラーゼ、ペプチダーゼ及びガラクトシダーゼをコードする遺伝子を同定した。
【表11】
【0142】
この試験は、オリゴ糖に対するFortisporeの加水分解能を裏付け、脂肪及びペプチドを分解して遊離アミノ酸を放出させる可能性を示す。
【0143】
これらのデータは、Fortisporeが、腸においてこれらの分子を消化するのを助け得ることを示唆する。
【0144】
B.コアギュランス(B.coagulans)酵素プロファイルは、ペプチダーゼ及びエステル分解能を示し、オリゴ糖分解能を確認する:
【0145】
全てのB.コアギュランス(B.coagulans)は、API ZYMキットを用いて、エステラーゼ、ペプチダーゼ、ホスファターゼ及びガラクトシダーゼ活性に対し陽性であり、これは、次のことを意味する:
B.適切な脂質供給源の存在下でエステラーゼの作用から遊離脂肪酸を生成させるコアギュランス(B.coagulans)の高い可能性。
ガラクトシダーゼは、これらが様々なオリゴ糖、ラクトシルセラミド、ラクトース及び多数の糖タンパク質に対する活性があるので、B.コアギュランス(B.coagulans)の炭水化物異化反応の可能性を高める。
ロイシン、バリン及びシステイン基質の加水分解を触媒するアミノペプチダーゼ。
【表12】
【0146】
この試験は、市販のAPI ZYMキットを使用して、いくつかの酵素に対しB.コアギュランス(B.coagulans)株の加水分解能における差がないことを示す。
【0147】
Fortisporeは、解糖及びプロテアーゼ代謝から遊離アミノ酸を放出させる。
【0148】
メタボロミックな分析は、ミルクの炭水化物及び様々なアミノ酸を生成するタンパク質に対するFortisporeの発酵及びタンパク質分解の能力を明らかにする。
【0149】
UHTミルクモデルを使用して、Fortisporeの炭水化物発酵及びタンパク質分解能を分析した。GC-MS分析は、全部で38種類の遊離アミノ酸(FAA)化合物を同定し、このうち10種類が、Fortisporeにおいて統計学的に有意であることが分かった。同定されたカルボン酸のうち数個は、炭水化物代謝経路に関連しており、このことは、ラクトース/ガラクトース/グルコース取り込み及び酵素代謝系の存在がFortisporeにおいて活性であることを裏付ける。さらに、ペプチダーゼ活性と関連する数個のアミノ酸及びフェニルアラニンのさらなる異化反応と関連する安息香酸の放出があるので、Fortisporeにおける活性なタンパク質分解系の証拠もある。
【表13】
【0150】
全体的に、酵素の及びメタボロミックなデータは、生成される化合物の殆どが解糖経路(乳中の炭水化物の変換)からのものであるので、Fortisporeが活性な炭水化物代謝酵素を有することを示唆する。さらに、カルボン酸を生成しかつFortisporeが発酵させたUHT乳からアミノ酸を放出する潜在的に活性なアミノペプチダーゼ、リアーゼ及びデカルボキシラーゼの証拠がある。
【0151】
Fortisporeは、解糖及びプロテアーゼ代謝から遊離アミノ酸を放出させる。
棒グラフで示す遊離アミノ酸分析(平均+SEM)
図20は、Fortispore UTH発酵乳のFAAプロファイルを示す。P-値≦0.005=**及びP-値≦0.01=。白いバーは対照を表す。
【0152】
図21は、Fortispore UTH発酵乳のFAAプロファイルを示す。P-値≦0.005=**及びP-値≦0.01=。白いバーは対照を表す。
【0153】
Fortisporeは、競合者B.コアギュランス(B.coagulans)株との比較で皮膚の健康に有益な化合物を生成することにおいて僅かにより有効である。
【0154】
Ganeden Biotechは、それが最大量の天然由来L+乳酸、バクテリオシン、過酸化水素、酵素及び他の代謝産物を生成するので、B.コアギュランス(B.coagulans)6086(BC30(商標))をアンチエイジングプロバイオティクスとして市販している。乳酸は、その抗微生物活性及び水和のためアンチエイジング、ざ瘡との闘いと関連する。コハク酸もまた、抗炎症性、抗微生物性及び水和と関連する。安息香酸は、抗微生物活性と関連する。
【0155】
図22は、乳酸、コハク酸及び安息香酸の産生においてFortisporeをLactospore及びBC30と比較する。有意性は、a、b及び/又はcにより示され、複数文字は、結果が複数の群と有意に異ならないことを示す(P<0.05)。エラーバーは、標準偏差を示す。
【0156】
発明者らの結果は、Fortisporeが、乳酸産生に関してBC30(商標)よりも僅かに効率的であり、コハク酸及び安息香酸産生に優れていることを示す。
【0157】
Fortisporeは、競合者B.コアギュランス(B.coagulans)株との比較において皮膚の健康に有益なアミノ酸を産生し得る。
【0158】
Fortisporeを、Lactospore(登録商標)及びBC30と比較する。発明者らの結果は、Fortisporeが、メチオニン、プロリン、リジン及びトリプトファンの産生においてBC30(商標)及びLactospore(登録商標)よりも優れていることを示す。
【0159】
メチオニンは、皮膚の色調及び弾力を向上させ、健康な毛髪を促進し、かつ爪を強化する硫黄含有アミノ酸である。プロリンは、炎症を低下させることを助け、これは、健康な免疫系を増強する。それはまた、回復に役立つ抗炎症性化合物及び遺伝子のカスケードの惹起も助ける。リジンは、口唇ヘルペスを予防すること~不安を軽減することおよび創傷治癒を促進することにわたる、多くの有益性を有する必須アミノ酸である。トリプトファンは、うつ及び不安の緩和と関連する。
【0160】
図23は、アミノ酸の産生においてFortisporeをLactospore及びBC30と比較する。有意性は、a、b及び/又はcにより示され、複数文字は、結果が複数の群と有意に異ならないことを示す(P<0.05)。エラーバーは、標準偏差を示す。
【0161】
Fortisporeプロテオミクス分析は、潜在的なプロバイオティクスの有益性があるタンパク質を同定する。
【0162】
Fortisporeの細胞外分泌物を、質量分析に送って、プロバイオティクス株により放出されるタンパク質を同定した。全部で28種類のタンパク質が検出され、そのうち6種類は、潜在的なプロバイオティクスの有益性を有した。
【表14】
【0163】
これらのデータは、Fortisporeがタンパク質及び炭水化物の消化をどのように助け得るのか及び病原体に対する抗微生物特性をどのように有するのかを示す、以前のインビトロの結果を裏付ける。
【0164】
Fortispore増殖は、最小培地中でFibersol(登録商標)の存在下で増大した。
【0165】
図24は、Fibersol(登録商標)が、対照と比較してインキュベーション24時間後に最小培地中でFortisporeの濃度(CFU/mL)を1 log10、有意に上昇させたことを示す。p<0.05
【0166】
競合者B.コアギュランス(B.coagulan)株と比較して、最小培地中Fibersol(登録商標)の存在下でFortisporeの増殖の有意な上昇がある。
【0167】
図25は、Fibersol(登録商標)が、最小培地中のFortisporeの濃度(CFU/mL)を有意に上昇させ、一方でBC30及びLactosporeの増殖の有意性は見られなかったことを示す。統計学的分析は、テューキー法を使用して一元配置ANOVAを用いて行った。**p-値=<0.01。
【0168】
TSB培地中のFibersol(登録商標)の存在下でFortisporeの増殖における増加はなかった。
【0169】
図26は、Fibersol(登録商標)が、対照と比較してTSB培地中のFortisporeの濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかったことを示す。最小培地とは異なり、Fibersol(登録商標)は、富栄養培地中でFortisporeの増殖を増加させず、それはおそらく、FortisporeがTSB培地中に存在する栄養により最大増殖に到達するからである。
【0170】
Fortispore、BC30、DE111及び病原体の増殖を、TSB培地中Fibersol(登録商標)の存在下で比較した。
【0171】
図27は、Fibersol(登録商標)が、対照と比較してTSB培地中のDE111、Fortispore、BC30、E.コリ(E.coli)及びサルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)の濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかったことを示す。最小培地とは異なり、Fibersol(登録商標)は、富栄養培地中でDE111、Fortispore、BC30、E.コリ(E.coli)及びS.エンテリティディス(S.enteritidis)の増殖を向上させず、それはおそらく、エンテリティディスがTSB培地中に存在する栄養により最大増殖に到達するからである。
【0172】
50%TSB培地中でのFibersol(登録商標)の存在下でFortisporeの増殖における増加はなかった。
【0173】
図28は、Fibersol(登録商標)が、対照と比較して50%TSB培地中のFortisporeの濃度(CFU/mL)を有意に上昇させなかったことを示す。
【0174】
Fortispore、BC 30及びDE111の増殖を、50%TSB培地中のFibersol(登録商標)の存在下で比較した。
【0175】
図29は、Fibersol(登録商標)が、50%TSB培地中で24時間後に1 log10、DE111の収率(CFU/mL)を有意に上昇させたことを示す。****p<0.0001。Fibersol(登録商標)は、対照と比較して50%TSB培地中でFortispore及びBC30の濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかった。
【0176】
Fortisporeの有意な増殖は、Fibersol(登録商標)が補充されたBHI培地の存在下で観察されなかった。
【0177】
図30は、Fibersol(登録商標)が、BHI培地中で対照と比較して、Fortisporeの濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかったことを示す。最小培地とは異なり、Fibersol(登録商標)は、富栄養培地中でFortisporeの増殖を増加させず、それはおそらく、FortisporeがBHI培地中に存在する栄養により最大増殖に達するからである。
【0178】
Fortispore、BC30及びDE111の増殖を、BHI培地中Fibersol(登録商標)の存在下で比較した。
【0179】
図31は、Fibersol(登録商標)が、BHI培地中で対照と比較して、DE111、Fortispore及びBC30の濃度(CFU/mL)における顕著な上昇を示さなかったことを示す。最小培地とは異なり、Fibersol(登録商標)は、富栄養培地中でDE111、Fortispore及びBC30の増殖を増加させず、それはおそらく、それらがBHI培地中に存在する栄養を用いて最大増殖を達成するからである。
【0180】
Fortisporeの増殖の増加は、50%BHI培地中のFibersol(登録商標)の存在下で観察されなかった。
【0181】
図32は、Fibersol(登録商標)が、50%BHI培地中で対照と比較して、Fortisporeの濃度(CFU/mL)の有意な上昇を示さなかったことを示す。最小培地とは異なり、Fibersol(登録商標)は、富栄養培地中でのFortisporeの増殖を向上させず、それはおそらく、FortisporeがBHI培地中に存在する栄養を用いて最大増殖を達成するからである。
【0182】
Fortispore、BC30及びDE111の増殖の増加は、50%BHI培地中のFibersol(登録商標)の存在下で観察されなかった。
【0183】
図33は、Fibersol(登録商標)が、50%BHI培地中で対照と比較して、DE111、Fortispore及びBC30の濃度(CFU/mL)における有意な上昇を示さなかったことを示す。最小培地とは異なり、Fibersol(登録商標)は、富栄養培地中でDE111、Fortispore及びBC30の増殖を向上させず、それはおそらく、それらがBHI培地中に存在する栄養を用いて最大増殖を達成するからである。
【0184】
実施例2
腸上皮のインビトロモデルに対する接着能の評価
細胞株:ヒト結直腸腺癌細胞株HT-29及び粘液分泌性細胞株HT-29-MTXを、5%CO雰囲気で37℃にて10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン及び2μg/mlアンホテリシンBを補充した低グルコースDMEM培地を使用して増殖させた。
【0185】
細胞を、細胞5x10個の細胞/ウェルの密度で24ウェルプレート上に播種し、完全成熟まで21~28日間培養した。培地を2~3日ごとに交換した。
【0186】
実験前に、細胞を、0.5ml DPBSで2回洗浄した。DPBSを、第2回目の洗浄後にウェルから完全に吸引した。
【0187】
芽胞の調製:10ミリグラムのB.クラウシイ(B.clausii)CSI08、B.メガテリウム(B.megaterium)MIT411及びB.コアギュランス(B.coagulans)CGI314芽胞粉末の重量を、15mlファルコンチューブ中で測定し、10mlの抗生物質不含の完全培養培地中で再懸濁した。懸濁液を分注し、使用まで-20℃で保管した。懸濁液を、調製2週間以内に使用した。
【0188】
接着アッセイ:500μlの芽胞懸濁液(1.3x10~9.2x10CFU/ml)を、HT-29及びHT-29-MTX細胞に添加し、穏やかにかき回すことにより混合し、COインキュベーター中で37℃にて2.5時間インキュベートした。哺乳動物細胞を含有しない対照ウェルを、調製し、同じように並行してインキュベートした(0.5mlの芽胞の懸濁液)。
【0189】
インキュベーション時に、HT-29及びHT-29-MTX細胞を、0.5ml PBSで4回洗浄した。その後、50μLのトリプシン/EDTA溶液及び50μLのPBSを、ウェルに添加し、穏やかに振盪しながら(~100rpm)37℃で10分間インキュベートした。50マイクロリットルのトリプシン/EDTA溶液を、対照ウェルに添加した。
【0190】
結果的に、450μLのPBSを、芽胞を含むウェルに添加し、ウェルの内容物を、剥離しながらエッペンドルフチューブに移し、各30秒間、3回の激しい振盪に供した。対照ウェルの内容物を、エッペンドルフチューブに移し、振盪1回に供した。
【0191】
連続希釈物(プラス対照ウェルの希釈)を、PBS中で調製し、BC寒天(B.コアギュランス(B.coagulans)CGI314)又はPetriFilm(商標)(B.クラウシイ(B.clausii)CSI08、B.メガテリウム(B.megaterium)MIT411)上に播種した。プレートを、計数前に37℃にて48時間インキュベートし、PetriFilmを、計数前に37℃で24時間インキュベートした。
【0192】
実験を、1つの実験あたり3回技術的反復して2又は3回行った。結果は平均±SEMとして表される。
【表15】
【表16】
【0193】
結論:
1.上で示される結果は、おそらく芽胞の物理的特性のため、非粘液分泌性細胞と比較して粘液分泌性細胞株HT-29-MTXに接着する芽胞のより高い能力を示す。
2.B.メガテリウム(B.megaterium)MIT411及びB.コアギュランス(B.coagulans)CGI314芽胞は、B.クラウシイ(B.clausii)CSI08芽胞と比較して、非粘液産生細胞株HT-29に接着するより高い(しかし全体的に低い)能力を有する。
【0194】
実施例3
安全性、忍容性及び胃腸の健康についてのバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314の評価:健康な成人における、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験。
【0195】
試験介入
毎日投与される1x10CFUのバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314及びバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)DE111(登録商標)を含有するプロバイオティクス1、
約0.5x10CFU(及び0.5x10CFU超)のバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)DE111(登録商標)、約0.5x10CFUのバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)MIT411、約0.5x10CFU(及び0.5x10CFU未満)のバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314、約0.5x10CFUのバチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)CSI08を含有するプロバイオティクスの組み合わせ;毎日投与される全部で2x10のバチルス(Bacillus)芽胞、
プラセボ:毎日投与されるコメのマルトデキストリン。
【0196】
試験した適応症
胃腸ホメオスタシス及び免疫系
【0197】
試験の説明
18~65歳の健康な成人を、動員し、この試験における参加についてスクリーニングした。適格な参加者を、2つの実験群又は対照群の何れか1つに1:1:1でランダムに群分けし、45日間の処置及び2週間のフォローアップを行って、健康な成人における新しいプロバイオティクス株の安全性及び有効性を評価した。
【0198】
このために、治験製品を、1日用量に対応する個々のカプセルに充填した。各カプセルは、300mgの成分を含有した:
プロバイオティクス処方物1:バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314及びバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)DE111(登録商標)(全部で1x10CFU)、~4.17mg;低水分コメマルトデキストリン、292.23mg;中鎖トリグリセリド、3.6mg。
プロバイオティクスカクテル:バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)DE111(登録商標)(約0.5x10CFU(及び0.5x10CFU超))、2.1mg;バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)MIT411(約0.5x10CFU)、2.1mg;バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)CSI08(約0.5x10CFU)、2.1mg;バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)CGI314(約0.5x10CFU(及び0.5x10CFU未満))、2.1mg;低水分コメマルトデキストリン、288mg;中鎖トリグリセリド、3.6mgを含む、2x10CFUのバチルス(Bacillus)芽胞。
プラセボは、プロバイオティクス生物のみ除き、治験製品と全て同じ成分からなった。プラセボは、1日の用量に対応した個々のカプセル中であった。各カプセルは、300mgの成分:プラセボ:低水分コメマルトデキストリン、296.4mg;中鎖トリグリセリド、3.6mg、を含有した。
【0199】
表17は、4つのプロバイオティクス群及びプラセボ群について、ベースライン~処置期間終了時の腸-脳軸質問票のスコアにおける変化をまとめる。95%信頼区間の平均の変化が、示される。ANOVAオムニバス検定(p-値)及び1試料T検定(p-値)の結果も、示される。腸脳軸のスコアの変化に対する正規性の検定は、データが正規分布に従わないことを示し、これは、境界有意である(p-値が0.05~0.10)結果に影響を及ぼし得る。これは、2つの項目:活力の喪失及び食欲における変化に影響する。代替的ノンパラメトリッククルスカル・ワリス検定を、これらの項目に適用し;0.111(活力の喪失)及び0.123(食欲における変化)のp-値が観察された。
【0200】
概して、腸-脳軸質問票のスコア変化の平均値は、試験した全ての症状について負であり、症状が処置期間の終了時にそれほど強くなかった(参加者は、これらの症状によりそれほど悩まされなかった)ことを意味する。1試料T検定の結果は、試験の3分の1において(70回行ったうち)、統計学的に有意な変化の腸脳軸質問票スコアが観察されたことを示す。しかし、これは、プラセボ群を含む全ての処置群について観察され得る。結果として、ANOVA検定の結果は、処置群の間で腸脳軸スコア変化における有意差は検出されなかったが活力の喪失及び食欲における変化の項目について境界有意性が観察されたことを示す。バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)群における参加者は、これらの2項目について最大の変化を経験した。
【表17】
【0201】
個々のプロバイオティクス群とプラセボ群の間のペアワイズ比較の95%信頼区間及びp-値での平均差を、表17で示す。プラセボと比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、ベースライン~処置期間終了の腸-脳軸スコア変化における統計学的に有意な差を示さなかった。
【0202】
個々のプロバイオティクス群とプラセボ群の間のペアワイズ比較の95%信頼区間及びp-値での平均差を、表18で示す。プラセボと比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、ベースライン又は処置期間終了時の腸-脳軸項目スコアの合計における統計学的に有意な差を示さなかった。
【表18】
【0203】
個々のプロバイオティクス群とプラセボ群の間のペアワイズ比較の95%信頼区間及びp-値での平均差を、表19で示す。プラセボと比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、ベースライン~処置期間終了のHDL、LDL、TC又はTG変化における統計学的に有意な差を示さなかった。
【表19】
【0204】
個々のプロバイオティクス群とプラセボ群の間のペアワイズ比較の95%信頼区間及びp-値の平均差を、表20で示す。プラセボと比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、ベースライン~処置期間終了のHDL、LDL、TC又はTGの相対変化における統計学的に有意な差を示さなかった。
【表20】
【0205】
表21は、参加者の日記1において少なくとも1日、臨床的に意義のある感染があったことを報告した者の割合を表す。表22において、臨床的に意義がある感染があった日数の記述統計学及びクラスカル-ワリス検定(p-値)及びホルム補正を用いたマン-ホイットニーU検定(p-値)の結果が、示される。
【表21】
【表22】
【0206】
クラスカル・ワリス検定は、処置群の間で臨床的に意義がある感染があった日数における有意差を示さなかった。しかし、境界の統計学的に有意な結果が、臨床的に意義がある胃腸感染について観察された。これはおそらく、4つのプロバイオティクス処置群で臨床的に意義がある胃腸感染を経験した者がなかったという事実のためであり、一方プロバイオティクス群において、全部で2日間のこのような感染が観察され、これは偶然起きたものであり得る。
【0207】
それにもかかわらず、プラセボと比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、統計学的に有意な差を示さなかった。
【0208】
表23は、参加者の日記2において胃腸感染の個々の症状がある少なくとも1日を報告した者の割合を表す。表24において、胃腸感染の症状があった日数の記述統計学及びクラスカル-ワリス検定(p-値)及びホルム補正を用いたマン-ホイットニーU検定(p-値)の結果を示す。
【表23】
【表24】
【0209】
群の間での有意差は、便秘があった日数でのみ検出され(p=0.013)、これはおそらく、プラセボ群で3名の参加者のみが参加者の日記2においてこの症状を報告し、一方で他の4つの処置群において、どの参加者もこの症状を報告しなかったという事実による。しかし、便秘があった日数を個々のプロバイオティクス群とプラセボ群の間で比較したさらなる分析(ホルム補正を用いたマン-ホイットニーU検定)は、おそらく試料サイズが小さいために、有意な差を示さなかった。
【0210】
有効性アウトカム:処置期間
処置群の間のベースライン時の参加者の胃腸の健康における有意差は、検出されなかった。参加者は、5つの処置群にランダムに群分けされ、そのためこのような結果は、予想された。
【0211】
腸-脳軸質問票における項目のスコアは、ベースラインスコアと比較して、処置期間終了時により低く、これは、参加者が処置期間終了時にこれらの症状にそれほど悩まされなかったことを意味する。これは、プラセボ群を含む全ての処置群について観察され得る。
【0212】
処置群間の腸-脳軸項目スコアの変化(処置期間の終了時-ベースライン)における有意差は、検出されなかった。プラセボ群と比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、腸-脳軸スコアの変化における統計学的に有意な差を示さなかった。
【0213】
処置群間の腸-脳軸項目スコアの変化の改善における有意差は、検出されなかった。プラセボ群と比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、腸-脳軸スコアの改善における統計学的に有意な差を示さなかった。
【0214】
処置群間の腸脳軸質問票における全項目のスコアの合計での有意差は、検出されなかった。プラセボと比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、ベースライン時又は処置期間終了時の腸-脳軸項目スコアの合計における統計学的に有意な差を示さなかった。
【0215】
処置群の間でのコレステロール及びトリグリセリド変化(ベースライン~処置期間終了時の絶対的及び相対的変化)の有意差は、検出されなかった。プラセボと比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、ベースライン~処置期間終了時のHDL、LDL、TC又はTGの変化(絶対的又は相対的)における統計学的に有意な差を示さなかった。同じ知見が、PP集団において観察された。
【0216】
処置期間終了時のサイトカイン(TNFα、IFNα、IFNβ、IFNγ及びIL6)レベルは、全処置群において定量限界(LOQ)を下回った。サイトカインIL13について、LOQを上回るいくつかの値が報告されたが、処置群間での統計学的に有意な差は観察されなかった。
【0217】
ベースライン値と比較した、処置期間終了時の重金属(カドミウム、鉛、水銀、銅、ニッケル、亜鉛及びヒ素)レベルにおける有意な変化は、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)群において検出されなかった。同じ知見が、PP集団において観察された。
【0218】
プラセボと比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、胃腸感染の症状があった日数における統計学的に有意な差を示さなかった。しかし、統計学的な境界有意性の結果が、臨床的に意義のある胃腸感染について観察された。これはおそらく、4つのプロバイオティクス処置群の参加者で臨床的に意義がある胃腸感染を経験した者がなかったという事実のためであり、一方プロバイオティクス群において、全部で2日間のこのような感染が観察され、これは偶然起きたものであり得る。
【0219】
プラセボと比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、気道感染の症状があった日数における統計学的に有意な差を示さなかった。しかし、処置群間の統計学的に有意な差が、鼻汁-濃厚があった日数において検出され(p=0.018)、これはおそらく、プロバイオティクスカクテル群の3名の参加者のみがこの症状を報告し、一方で他の4つの処置群では、どの参加者もこの症状を報告しなかったという事実による。
【0220】
しかし、さらなる事後分析(ペアワイズ比較 対プラセボ)は、何らかの有意差を示さなかった。
【0221】
プラセボと比較して、プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、尿路感染の症状があった日数における統計学的に有意な差を示さなかった。
【0222】
統計学的に有意な差は、便通の規則性において処置群間で検出されなかった。
【0223】
群間の有意差が、便の硬さについて、即ち総処置期間並びに処置期間の第6及び7週における軟便の割合において検出された。しかし、さらなる事後分析(ペアワイズ比較 対プラセボ)は、おそらく試料サイズが小さいため、何らかの有意差を示さなかった。プロバイオティクスカクテル群の参加者は、全便通あたりの軟便の最も小さい割合を有した。
【0224】
有効性アウトカム:フォローアップ期間
群間の有意差が、便秘があった日数においてのみ検出された(p=0.013)。しかし、さらなる事後分析(ペアワイズ比較 対プラセボ)は、おそらくサンプルサイズが小さいため、有意差を示さなかった。
【0225】
プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、気道感染の症状があった日数における統計学的に有意な差を示さなかった。
【0226】
プロバイオティクスを含有する試験製品のいずれも、尿路感染の症状があった日数における統計学的に有意な差を示さなかった。
【0227】
処置群間で有意な差は、便通の規則性及び便通の硬さにおいて検出されなかった。
【0228】
安全性のアウトカム
全部で17例のAEが報告された。1~5例のADEが、各試験製品について報告され、最も多かったのは胃食道逆流(3例のAE)、発疹(2例のAE)及び眩暈(2例のAE)であった。SAEは報告されなかった。
【0229】
因果関係評価は、報告されたAEと試験製品の間に関係がないことを明らかにした。
【0230】
まとめると、この試験は、新規プロバイオティクス、即ちバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)及び、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)及びバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)を含有するプロバイオティクスカクテルの安全性及び有効性に取り組んだ。
【0231】
処置群間のベースラインでの参加者の胃腸の健康は、試験群の間で差がなく、これはランダム化のためと予想された。
【0232】
全部で17例のAEが報告され、SAEがなかったので、この試験の主要アウトカム(安全性)が達成された。因果関係評価は、報告されたAEと試験製品の間の関係を示さなかった。
【0233】
有効性に関連するアウトカムのいずれも、何らかの統計学的に有意な差を示さなかったが、これは、試験群あたりの試料サイズが小さいので、驚くに当たらない。さらに、活性生成物を支持するいくつかの傾向が、特に腸脳軸スコア及び軟便の割合において、観察された。
【0234】
結論として、プロバイオティクス生成物は、成人での使用に対して安全であることが示され、腸脳軸及び便の硬さに関していくつかの有益な傾向が示されたが、より大きい試料サイズ、各参加者についてベースラインの便の硬さを決定するための導入期間及び腸-脳軸ドメインを決定するための検証された質問票の使用を伴うさらなる試験が、試験された製品の有効性を科学的に証明するために必要とされる。
【0235】
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【0236】
本発明は、本明細書中に記載される実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、修正又は変更され得る。
【0237】
本発明を記載する文脈における(特に特許請求の範囲の文脈における)「a」、「an」、「the」及び同様の指示対称の語の使用は、本明細書中で別段の指示がない限り、又は文脈により明らかに否定されない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書中での値の範囲の列挙は、単に、本明細書中で別段の指示がない限り、範囲内に入る各個別の値に個々に言及する省略法として機能すると意図され、各個別の値は、それが個々に本明細書中で列挙されるかのように本明細書に組み込まれる。「約」という用語の使用は、およそ±10%の範囲の述べられる値の上又は下の何れかの値を記載すると意図され;他の実施形態では、値は、およそ±5%の範囲の述べられる値の上又は下の何れかの値の範囲であり得;他の実施形態では、値は、およそ±2%の範囲の述べられる値の上又は下の値の範囲であり得;他の実施形態では、値は、およそ±1%の範囲の述べられる値の上又は下の値の範囲であり得る。前述の範囲は、文脈により明らかにされると意図され、さらなる制限は示唆されない。本明細書中に記載の全ての方法は、本明細書中で別段指示されない限り、又は文脈により明らかに否定されない限り、あらゆるの適切な順序で行われ得る。本明細書中で提供されるありとあらゆる例又は代表的な語(例えば「など」)の使用は、本発明をより良好に明らかにするものに過ぎず、別段の断りがない限り、本発明の範囲に対する制限を課さない。明細書中の如何なる語も、請求されていない何れかの要素が本発明の実施に必須ものとして示されるものとして解釈されるべきではない。
【0238】
前述の明細書においてその特定の実施形態に関連して本発明を説明し、例示を目的として多くの詳細を提示してきたが、本発明がさらなる実施形態の影響を受け易いこと及び本明細書中に記載の特定の詳細が本発明の基本的な原理から逸脱することなく、大幅に変更され得ることは当業者にとり明らかであろう。
【0239】
本明細書中で引用される全ての参考文献は、その全体において参照により組み込まれる。本発明は、本発明の精神又は必須の特質から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得、従って、本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書ではなく添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
図1
図2
図3
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図5
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図8(a)】
図8(b)】
図9
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図30
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図32
図33
【配列表】
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【国際調査報告】