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特表2024-544214増強された風味を有するパーム油ベースのショートニング組成物及びそれを作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】増強された風味を有するパーム油ベースのショートニング組成物及びそれを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20241121BHJP
   A21D 2/16 20060101ALI20241121BHJP
   A21D 13/00 20170101ALI20241121BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20241121BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20241121BHJP
   C11B 3/02 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
A23D9/00 504
A21D2/16
A21D13/00
A23L23/00
A23L27/10 B
C11B3/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533863
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2021138749
(87)【国際公開番号】W WO2023108537
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジュンイン
(72)【発明者】
【氏名】マー、ジュクン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、ウェイリン
(72)【発明者】
【氏名】ザオ、チェンユ
(72)【発明者】
【氏名】シー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】グ、インフェン
【テーマコード(参考)】
4B026
4B032
4B036
4B047
【Fターム(参考)】
4B026DC01
4B026DG02
4B026DG11
4B026DL09
4B026DL10
4B026DP01
4B026DP03
4B026DP04
4B026DP10
4B032DB05
4B032DB13
4B032DB16
4B032DB21
4B032DB32
4B032DK18
4B032DK38
4B032DK51
4B032DL06
4B036LC01
4B036LF01
4B036LH13
4B036LH36
4B036LH49
4B036LK01
4B047LB09
4B047LE05
4B047LF08
4B047LG10
4B047LG50
4B047LG57
4B047LP02
4B047LP18
(57)【要約】
ベースショートニングと、風味増強組成物と、を含む、ショートニング組成物。風味増強組成物は、酵素の存在下で獣脂を加水分解することによって調製される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ベースショートニングと、
(B)風味増強組成物と、を含み、
前記風味増強組成物が、酵素的に加水分解された獣脂であることを特徴とする、ショートニング組成物。
【請求項2】
前記風味増強組成物が、リパーゼ加水分解獣脂である、請求項1に記載のショートニング組成物。
【請求項3】
前記風味増強組成物の酸価が、約6~約40mgKOH/g、又は約6~約30mgKOH/g、又は約6~約20mgKOH/gである、請求項1又は2に記載のショートニング組成物。
【請求項4】
前記ショートニング組成物の重量に対して、前記ベースショートニングが、約91.5重量%~約95.5重量%であり、前記風味増強組成物が、約4.5重量%~約8.5重量%であり、前記ベースショートニングが、約91.7重量%~約95.3重量%であり、前記風味増強組成物が、約4.7重量%~約8.3重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項5】
前記ベースショートニングが、パーム油及び/又はパーム油誘導体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項6】
前記パーム油誘導体が、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームステアリン、パーム中融点画分、パーム核油、パーム核オレイン、パーム核ステアリン、パーム核中融点画分、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載のショートニング組成物。
【請求項7】
添加剤を更に含み、前記添加剤が、抗酸化剤、栄養増強剤、風味物質、防腐剤、色素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のショートニング組成物を含む、食品。
【請求項9】
前記食品が、ベーカリー製品又は調味製品である、請求項8に記載の食品。
【請求項10】
前記調味製品が、ホットポットスープベースである、請求項9に記載の食品。
【請求項11】
食品の特性を改善するための、請求項1~7のいずれか一項に記載のショートニング組成物の使用。
【請求項12】
前記特性が、栄養プロファイル、テクスチャー、色、味、芳香、外観、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項13】
ショートニング組成物を調製する方法であって、
(A)ベースショートニングを提供することと、
(B)風味増強組成物を提供することであって、前記風味増強組成物が、酵素の存在下で獣脂を加水分解することによって調製される、提供することと、
(C)前記ベースショートニングを前記風味増強組成物と混合することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記獣脂の前記加水分解が、約25℃~約58℃、又は約27℃~約50℃、又は約30℃~約45℃の温度で行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項15】
前記獣脂の前記加水分解が、加水分解された前記獣脂の酸価が、約6~約40mgKOH/gになるまで約1時間~約6時間の期間行われる、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項16】
前記獣脂の前記加水分解が、約2~6時間、又は約2.5~6時間の期間行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項17】
前記獣脂の前記加水分解が、前記加水分解された獣脂の酸価が、約6~約30mgKOH/g、又は約6~20mgKOH/gになるまで行われる、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項18】
前記加水分解が、約5~約8、又は約5.7~約8.3、又は約6~約8のpHで行われる、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
以下の工程、
(A)前記酵素を不活性化する工程、及び
(B)前記加水分解された獣脂から水を分離する工程のうちの1つ又は両方を更に含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ショートニング組成物の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ショートニングは、概して、ベーカリー製品及び他の食品をサクサクにし、かつ/又は砕けやすくするために使用される室温での任意の固体脂肪を指す。しかしながら、ショートニングの風味及び/又はテクスチャーを必要とする調味製品などの他の製品にショートニングを使用することも可能である。バター及び獣脂は、ベーカリーに従来使用されている天然ショートニングである。バター及び獣脂と比較して、植物油に基づくショートニングは安価であり、より温度耐性がある。それらは、より一貫した可塑性を有する傾向があり、したがって、作業がより容易である。したがって、植物油に基づくショートニングは、ベーカリー及び他の製品のために食品産業において広く使用されている。
【0003】
部分的に水素化された植物油がショートニングに使用されてきた。しかしながら、トランス脂肪酸(本明細書以下、「TFA(trans fatty acid)」)を含有する部分的に水素化された植物油は健康リスクを有することが現在認識されている。トランス脂肪酸は、低密度リポタンパク質(「悪玉コレステロール」として知られる)レベルを上昇させ、高密度リポタンパク質(「善玉コレステロール」として知られる)レベルを低下させ、したがって、心臓発作、心臓疾患などのより高いリスクに寄与する。トランス脂肪酸は、2型糖尿病の発症にも関係している。多くの国々、例えばデンマークは、食品中のトランス脂肪酸の使用に制限を設ける法律及び規制を制定している。いくつかの他の国々、例えば、米国及びカナダは、更に進んでおり、食品における部分的に水素化された油の使用を禁止している。世界保健機関は、部分的に水素化された油を、工業的に生産されるトランス脂肪酸の主な供給源として特定している(WHO(World Health Organization)のウェブサイトを介してオンラインでアクセス可能な「POLICIES TO ELIMINATE INDUSTRIALLY-PRODUCED TRANS FAT CONSUMPTION」と題された情報シート:https://www.who.int/docs/default-source/documents/replace-transfats/replace-act-information-sheet.pdf?ua=1)。
【0004】
パーム油及び/又はその誘導体もショートニング組成物に使用されている。パーム油は、アブラヤシの木の実から抽出された油である。アブラヤシの木は、任意の他の植物油性の作物よりも生産効率が高いため、パーム油の生産コストは低い。更に、パーム油は、約50%の飽和脂肪酸及び50%の不飽和脂肪酸を有する。そのような特有の脂肪酸プロファイルに起因して、パーム油は酸化的に安定であり、配合が容易である。ショートニング組成物において部分的に水素化された植物油をパーム油及び/又はその誘導体で置き換えて、TFA含量を低減させる研究が行われてきた。
【0005】
しかしながら、水素化された植物油は、パーム油又はその誘導体が有しない特別な風味を有する。そのような特別な風味は、水素化された風味と呼ばれ、一部の人々は乳製品様と言い表しており、甘いペーストリーと関連する。実際に、パーム油は中性の風味を有する。したがって、獣脂などの天然ショートニングに匹敵する増強された風味を有するパーム油ベースのショートニング組成物が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様は、ベースショートニングと、風味増強組成物と、を含む、ショートニング組成物に関し、風味増強組成物は、酵素的に加水分解された獣脂である。
【0007】
本発明の別の態様は、本発明によるショートニング組成物を含む、食品に関する。
【0008】
本発明の更なる態様は、食品の特性を改善するための、本発明によるショートニング組成物の使用に関する。
【0009】
本発明の更に別の態様は、ショートニング組成物を調製する方法であって、ベースショートニングを提供することと、風味増強組成物を提供することであって、風味増強組成物が、酵素の存在下で獣脂を加水分解することによって調製される、提供することと、ベースショートニングを風味増強組成物と混合することと、を含む、方法に関する。
【0010】
理論に束縛されることを意図するものではないが、本発明のショートニング組成物は、パーム油(例えば、低減されたTFA含量)又はその誘導体の1つ以上の使用から生じる利益を提供するだけでなく、獣脂様の芳香及び風味を与えることもできると考えられる。したがって、そのようなショートニング組成物は、食品産業の製造業者、特にベーカリー製品及び調味製品を製造する製造業者にとって特に歓迎されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の可能な構成を示す添付の図面に関して、本発明を更に説明することが好都合である。本発明の他の構成が可能であり、したがって、添付の図面の特殊性は、限定するものではなく、本発明の前述の説明の一般性に取って代わるものとして理解されるべきではない。
図1】獣脂に関する様々なショートニング組成物の官能試験結果を反映するR指数の作成のために、R臨界値を決定するために参照されるR臨界値表を示す。
図2】様々なショートニング組成物による獣脂芳香の再現を評価するための、図1に記載されるR指数を示す。
【0012】
本明細書の図は、参照目的のみのためであり、必ずしも縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に明記しない限り、全ての測定値、重量、長さなどはメートル単位であり、全ての温度は摂氏度である。特に明記しない限り、本明細書に記載される材料、化合物、化学物質などは、典型的には、世界中の様々な供給業者及び供給源から入手可能な商品品目及び/又は業界標準品目であることが理解される。
【0014】
本発明の一態様は、ベースショートニングと、風味増強組成物と、を含む、ショートニング組成物に関し、風味増強組成物は、酵素的に加水分解された獣脂である。
【0015】
理論に束縛されることを意図するものではないが、少量の加水分解された獣脂をパーム油ベースのショートニング組成物に添加して、一貫した持続性の獣脂風味を提供することができると考えられる。従来の天然獣脂と比較して、そのようなショートニング組成物は、天然獣脂の芳香、風味及び口当たりを再現するだけでなく、貯蔵安定であり、TFA飽和脂肪酸、及びコレステロール含量が低い。したがって、本発明は、「より健康的」でありながら、天然獣脂に匹敵する風味及び芳香を与えることができるショートニング組成物を提供する。更に、少量の加水分解された獣脂のみが使用されることを考慮すると、本発明のショートニング組成物の製造コストを低く維持することができる。
【0016】
本発明の態様では、酵素はリパーゼである。本発明の別の態様では、酵素は、約7.0のpHで約30,000U/gを超える活性を有するリパーゼである。酵素によって触媒される獣脂の加水分解は、ほんの少量の加水分解された獣脂の使用によって、本発明のショートニング組成物の風味及び芳香を増強するという予想外の技術的効果を生じると考えられる。具体的には、ショートニング組成物中に少量の加水分解された獣脂が存在すると、純粋な獣脂に匹敵する風味及び芳香を有する組成物が提供される。
【0017】
理論に束縛されることを意図するものではないが、獣脂は、酵素の操作により、遊離脂肪酸に加水分解され、この遊離脂肪酸は、それ自体で、ヒトの知覚により心地良い芳香及び/若しくは風味を有するか、又は次に酸化、エステル化などを経て、心地良い芳香及び/若しくは風味を有するケトン、アルデヒド及び/若しくはエステルを生成すると考えられる。具体的には、加水分解された獣脂中のヘキサナール、ヘプタナール、トランス-2-ヘプテナール、トランス-2-オクテナール、ノナナール、トランス-2-ノエナール、トランス-2-デセナール、パルミチン酸、及びオレイン酸の組み合わせが、本発明のショートニング組成物の獣脂様の風味及び芳香に寄与していると考えられる。
【0018】
本発明の態様では、ベースショートニングは、ショートニング組成物の重量に対して、約91.5重量%~約95.5重量%、又は約91.7重量%~約95.3重量%である。具体的には、ベースショートニングは、ショートニング組成物の重量に対して、91.5重量%、92重量%、92.5重量%、93重量%、93.5重量%、94重量%、94.5重量%、95重量%、又は95.5重量%であり得る。別の態様では、風味増強組成物は、ショートニング組成物の重量に対して、約4.5重量%~約8.5重量%、又は約4.7重量%~約8.3重量%である。具体的には、風味増強組成物は、ショートニング組成物の重量に対して、4.7重量%、5重量%、5.3重量%、5.6重量%、5.9重量%、6.2重量%、6.5重量%、6.8重量%、7.1重量%、7.4重量%、7.7重量%、8.0重量%、又は8.3重量%であり得る。理論に束縛されることを意図するものではないが、ベースショートニングと風味増強組成物との間のバランスは、本発明のショートニング組成物に、その製造コストを低く維持しながら、獣脂様の風味及び芳香を提供すると考えられる。
【0019】
本発明の態様では、ベースショートニング組成物は、パーム油及び/又はその誘導体の1つ以上を含む。特定の態様では、ベースショートニングは、完全にパーム油及び/又はその誘導体の1つ以上からなる。パーム油誘導体は、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームステアリン、パーム中融点画分、パーム核油、パーム核オレイン、パーム核ステアリン、パーム核中融点画分、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0020】
本発明の態様では、ショートニング組成物は、添加剤を更に含む。添加剤は、抗酸化剤、栄養増強剤、風味物質、防腐剤、色素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。当業者は、ショートニング組成物に添加されるべき適切な添加剤(単数又は複数)を決定することができることは理解されるべきである。例えば、本発明のショートニング組成物の視覚的魅力を増強するために色素を添加してもよい。別の例では、抗酸化剤を添加して、ショートニング組成物の酸化を防止し、並びに更なる健康上の利益を提供することができる。
【0021】
特定の態様では、添加剤は、炭酸カルシウム、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、乳酸、二酸化炭素、リンゴ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、トコフェロール濃縮物(tocopherol-rich extract)、アルファ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、デルタ-トコフェロール、レシチン、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、リンゴ酸カルシウム、酒石酸カルシウム、クエン酸トリアンモニウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、寒天、カルギナン、加工紅藻抽出物(processed euchema seaweed)、ローカストビーンガム、グアガム、トラガカント、アラビアガム、キサンタンガム、タラガム、ゲランガム、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、コンニャク、ペクチン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びセルロースガム、酵素的に加水分解されたカルボキシメチルセルロース及びセルロースガム、脂肪酸のナトリウム/カリウム/カルシウム塩、脂肪酸のマグネシウム塩、脂肪酸のモノ-及びジグリセリドの酢酸エステル、脂肪酸のモノ-及びジグリセリドの乳酸エステル、脂肪酸のモノ-及びジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のモノ-及びジグリセリドの酒石酸エステル、脂肪酸のモノ-及びジグリセリドのモノ及びジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸のモノ-及びジグリセリドの混合酢酸及び酒石酸エステル、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、塩酸、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、脂肪酸、グルコン酸、グルコノ-デルタ-ラクトン、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルタミン酸一カリウム、マグネシウムジグルタメート(magnesium diglutamate)、グアニル酸、グアニル酸二ナトリウム、グアニル酸二カリウム、グアニル酸カルシウム、イノシン酸、イノシン酸二ナトリウム、イノシン酸二カリウム、イノシン酸カルシウム、カルシウム5’-リボヌクレオチド、二ナトリウム5’-リボヌクレオチド、グリシン及びそのナトリウム塩、L-システイン、アルゴン、ヘリウム、窒素、亜酸化窒素、酸素、水素、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトール、インベルターゼ、ポリデキストロース、酸化デンプン、リン酸化デンプン(monostarch phosphate)、リン酸架橋デンプン(distarch phosphate)、ホスフェートリン酸架橋デンプン(phosphate distarch phosphate)、アセチル化リン酸架橋デンプン(acetylated distarch phosphate)、アセチル化デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン(acetylated distarch adipate)、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシルプロピルリン酸架橋デンプン(hydroxyl propyl distarch phosphate)、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、アセチル化酸化デンプン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、二リン酸塩、三リン酸塩、ポリリン酸塩、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸カリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(ポリソルベート40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、
ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)、脂肪酸のスクロースエステル、スクログリセリド、脂肪酸のポリグリセロールエステル、脂肪酸のプロパン-1,2-ジオールエステル、ナトリウムステアロイル-2-ラクチレート、カルシウムステアロイル-2-ラクチレート、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム及びタルク、リボフラビン、クロロフィル及びクロロフィリン、クロロフィル及びクロロフィリンの銅錯体、プレーンカラメル、亜硫酸ソーダカラメル(caustic sulphite caramel)、アンモニアカラメル、亜硫酸アンモニアカラメル、植物炭素、カロチン、パプリカ抽出物/カプサンチン/カプソルビン、赤ビーツ/ベタニン、アントシアニン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、並びに酸化鉄及び水酸化物からなる群から選択される1つであり得る。
【0022】
本発明の別の態様は、本発明によるショートニング組成物を含む、食品に関する。
【0023】
本発明の態様では、食品は、ベーカリー製品である。ベーカリー製品は、クロワッサン、ビスケット、ケーキ、パイ、ロール、クッキー、ブレッド、タルト、カップケーキ、パフペーストリー、デニッシュペーストリー、及びガレット、又はピッツァであり得る。別の態様では、食品は、調味製品である。特定の例では、食品は、ホットポットスープベースである。
【0024】
本発明の更なる態様は、食品の特性を改善するための、本発明によるショートニング組成物の使用に関する。食品の特性は、栄養プロファイル、テクスチャー、色、味、芳香、外観、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つであり得る。
【0025】
本発明の更に別の態様は、ショートニング組成物を調製する方法であって、ベースショートニングを提供することと、風味増強組成物を提供することであって、風味増強組成物が、酵素の存在下で獣脂を加水分解することによって調製される、提供することと、ベースショートニングを風味増強組成物と混合することと、を含む、方法に関する。
【0026】
本発明の態様では、獣脂の加水分解は、約25℃~約58℃、又は約27℃~約50℃、又は約30℃~約45℃、又は約35℃~約45℃、又は約36℃~約44℃、又は約38℃~約43℃、又は約38℃~約42℃の温度で行われる。
【0027】
別の態様では、獣脂の加水分解は、加水分解された獣脂の酸価が約6~約40mgKOH/gになるまで、約1時間~約6時間の期間行われる。更なる態様では、獣脂の加水分解は、約2~6時間、又は約2.5~6時間、又は約3~約6時間、又は約4~約6時間、又は約4.5~約6時間、又は約5~6時間、又は約5.5~約6時間の期間行われる。
【0028】
本発明の更なる態様では、獣脂の加水分解は、加水分解された獣脂の酸価が約6~約30mgKOH/g、又は約6~20mgKOH/gになるまで行われる。加水分解された獣脂の酸価を監視することによって、加水分解された獣脂が所望の芳香及び風味を提供するように加水分解の程度を制御することができることを理解すべきである。
【0029】
本発明の更に別の態様では、加水分解は、約5~約8、又は約5.7~約8.3、又は約6~約8のpHで行われる。
【0030】
当業者は、特定の加水分解期間が、加水分解が行われる温度及びpH、並びに加水分解された獣脂の目標酸価に応じることを理解するであろう。
【0031】
本発明の態様では、方法は、酵素を不活性化すること、及び加水分解された獣脂から水を分離することのうちの1つ又は両方を更に含む。当業者は、実際の必要性に基づいて、本発明の方法に1つ以上の追加の工程を加えるかどうかを決定し得ることが理解されるべきである。
【実施例
【0032】
以下に記載される各実施例で使用した獣脂は、AnHui Run He Food,Inc.、Bozhou City、中国から購入した。各実施例で使用したパーム油は、Cargill,Incから購入し、かつ/又はCargill,Incによって処理された。
【0033】
全ての実施例で使用したリパーゼは、AMANO ENZYME U.S.A.CO.LTD.から製品名「Newlase F」として購入した。Newlase Fは、Rhizopus Niveusでの発酵からのトリアシルグリセロールリパーゼ/酸プロテイナーゼ複合体調製物である。それは、40℃の最適温度及び7.0の最適pHを有し、リパーゼとして作用する場合、pH5.0~8.0で安定である。
【0034】
各事例では、ショートニング組成物は以下の工程に従って調製される。
(A)獣脂の加水分解:
a.精製水(約1部)及び獣脂油(約4~9.8部)を混合し、リパーゼ(混合物の重量に対して、約0.01重量%~1重量%)を混合物に添加し、
b.反応混合物を約6~約8のpHで約1~約6時間の期間撹拌し、反応タンクの温度を約43℃~約50℃に維持し、
c.酸価が約6mgKOH/g~約20mgKOH/gに達したら、反応タンクの温度を約80℃に上昇させ、温度を約20分間維持して、リパーゼを不活性化し、
d.反応混合物を約80℃で約2~6時間静置させ、次いで底部から水を排出し、排出された反応混合物を約105℃で約20分間真空乾燥させて、加水分解された獣脂を生成する。
(B)加水分解された獣脂を冷却し、例えば、混練によりベースショートニングと混合する。
【0035】
様々なショートニング組成物は、以下の表1に従って調製される。これらのショートニング組成物では、パーム油がベースショートニングとして使用される。獣脂は、参照標準として使用される。それでもなお、これらの実施例で使用される実験パラメータは、例示目的のためだけであり、1つ以上の実験パラメータが、実際の必要性に基づいて当業者によって本明細書において上記で説明された様々な範囲内で選択され得ることを理解されたい。
【0036】
【表1】
【0037】
官能試験(すなわち、識別試験)を官能パネルによって行って、調製したショートニング組成物の芳香を獣脂に対して比較する。
【0038】
官能パネルは、人々の80%より高い官能感度を有する、40人の訓練された経験豊富なパネリストからなる。各パネリストを識別試験のために訓練する。
【0039】
獣脂及びショートニング組成物を、それぞれの水溶液の形態で試験する。具体的には、10部のショートニング組成物又は獣脂を90部の沸騰水に添加することによって、各ショートニング組成物及び獣脂(比較組成物)についてそれぞれ10%水溶液を作製する。次いで、各水溶液を琥珀色のガラス瓶に移し、次いでこれを芳香評価のために70℃の水浴に入れる。
【0040】
試験のための試料を4つの群に分け、各群は参照標準(すなわち、獣脂の10%水溶液)及び1つ以上のショートニング組成物からなる。各パネリストは、順に試料の群の匂いを嗅ぎ、芳香に関して各ショートニング組成物と参照標準との間の顕著な差異を決定する。次の試料の群に進む前に、各パネリストは彼又は彼女の手の甲の臭いを嗅ぎ、休憩を取る。試料のグループ分けは以下の通りである。
・獣脂対組成物2及び6、
・獣脂対組成物1及び5、
・獣脂対組成物3及び4、並びに
・獣脂対組成物7。
【0041】
各パネリストは、試料の各群について以下の選択肢のうちから1つを選択する。
・試料及び参照は同一である-それらが同一であることは確かである、
・試料及び参照は同一である-確かではないが、それらが同一であると推測する、
・試料及び参照は異なる-確かではないが、それらが異なると推測する、及び
・試料及び参照は異なる-それらが異なることは確かである。
【0042】
95%の信頼水準を使用する。官能試験の結果に基づいてR指数が計算される。P値は0.05に設定され、R臨界値は、式R臨界値(0.05)=(50+Δ)%に基づいて64.97%であると計算され、Δの値は、図1に示される表を参照して14.97(N=40)であると決定される。64.97%より大きい計算されたR値は、試料及び参照が芳香に関して実質的に異なることを示すと解釈される。他方で、計算されたR値が64.97%未満であることは、試料及び参照が芳香に明らかな差を示さないことを示す。
【0043】
図2は、上記の官能試験の結果に基づいて作成されたR指数を示す。組成物のR指数値が大きいほど、対応する組成物と参照とを区別することが容易である。したがって、図2から、組成物2及び6は獣脂の芳香を再現するが、組成物1、3~5及び7は獣脂の芳香から様々な程度に逸脱することが見て取れる。
【0044】
上記を考慮して、本発明によるパーム油ベースのショートニングベースと加水分解された獣脂との間の特定のバランスを有するショートニング組成物は、パーム油又はその誘導体によって提供される利益を保持しながら、天然獣脂の風味及び芳香を再現することができると考えられる。
【0045】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明の実施形態が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術及び本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的にそのように定義されていない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されよう。
【0046】
例示的な実施形態を参照して本開示を説明してきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素を均等物で置き換えることができることが当業者には理解されよう。加えて、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正が行われてもよい。したがって、本開示は、本開示を実施するために企図される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されず、本開示は、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施形態を含むことが意図される。
【0047】
本明細書で具体的に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、そのような参考文献の引用又は組み込みは、必ずしも、本発明に対する/に対する先行技術としてのその妥当性、引用可能性、及び/又は利用可能性に関して承認するものではない。
図1
図2
【国際調査報告】