(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ステアバイワイヤ
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20241121BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20241121BHJP
B62D 113/00 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
B62D5/04
B62D6/00
B62D113:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534186
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 US2022052125
(87)【国際公開番号】W WO2023107555
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ローエン,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー,マイク
(72)【発明者】
【氏名】フェデリコ,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ドーラ,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ハラシム,スティーブ
【テーマコード(参考)】
3D232
3D333
【Fターム(参考)】
3D232CC32
3D232DA03
3D232DA64
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3D333CD60
3D333CE36
(57)【要約】
車両の横方向の動きを制御するためのワイヤによる車両ステアリングシステムが提供される。システムは、2つのコントローラを伴うステアリングホイールトルクフィードバックアクチュエータアセンブリと、2つのゾーン的に分離されるモータ及びコントローラを伴う前ロードホイールステアリングアクチュエータアセンブリと、2つの別個の電力アセンブリと、別個の配線束アセンブリ内の2つの別個の車両通信ネットワークと、ステアリングシステム内の各ノード間の3つのプライベートシステム通信ネットワークとを含む。冗長構成要素が、該構成要素のうちの1つ以上が故障するときに故障の共通の原因がシステムを危険にさらさないようにゾーン的に分離される。システムは、ロードホイールの絶対位置を可能にするための差動ギアボックスロードホイールアクチュエータを含むことができる。システムは、2つの磁気センサアセンブリ及び1つの誘導センサアセンブリを含む位置センサアセンブリのセットを更に含むことができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長性を伴うステアバイワイヤシステムであって、
第1のロードホイール及び第2のロードホイールと係合してこれらのロードホイールを制御するように構成されるロードホイールステアリングアセンブリであって、前記ロードホイールステアリングアセンブリは、
前記第1のホイール及び前記第2のホイールを作動させるように構成される第1のロードホイールアクチュエータと、
前記第1のホイール及び前記第2のホイールを作動させるように構成される第2のホイールアクチュエータとを備え、
前記第1のロードホイールアクチュエータが、前記第2のロードホイールアクチュエータからゾーン的に分離されるように構成される、ロードホイールステアリングアセンブリと、
ステアリングホイールと係合してステアリングホイールを制御するように構成されるステアリングフィードバックアセンブリであって、
前記ステアリングフィードバックアセンブリは、前記ステアリングホイールを作動させるように構成されるステアリングフィードバックアクチュエータを備える、ステアリングフィードバックアセンブリと、
を備える、ステアバイワイヤシステム。
【請求項2】
前記システムに電力を供給するように構成される第1の電源アセンブリ及び第2の電源アセンブリを更に備え、前記第1の電源アセンブリは、前記第2の電源アセンブリからゾーン的に分離されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システム内の通信を可能にするように構成される第1の車両通信ネットワーク及び第2の車両通信ネットワークを更に備え、前記第1の車両通信ネットワークが第1の配線束アセンブリ内にあり、前記第2の車両通信ネットワークが第2の配線束アセンブリ内にあり、前記第1の配線束アセンブリは、前記第2の配線束アセンブリからゾーン的に分離されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
第1のプライベートシステム通信ネットワークと、第2のプライベート通信ネットワークと、第3のプライベート通信ネットワークとを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のロードホイールアクチュエータは、
第1のギアボックスにエネルギーを供給するように構成される第1のモータであって、前記第1のギアボックスが、前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールを動かすように構成される、第1のモータと、
第1の1つ以上のモータ位置センサから情報を受信し、前記第1のモータに出力を供給するように構成される第1のロードホイールアクチュエータコントローラと、を備え、
前記第2のロードホイールアクチュエータは、
第2のギアボックスにエネルギーを供給するように構成される第2のモータであって、前記第2のギアボックスが、前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールを動かすように構成される、第2のモータと、
前記第1のモータに出力を供給するように構成される第2のロードホイールアクチュエータコントローラと、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ステアリングフィードバックアクチュエータは、
第3のギアボックスにエネルギーを供給するように構成されるロータであって、前記第3のギアボックスが前記ステアリングホイールを制御するように構成される、ロータと、
第3の1つ以上のモータ位置センサから入力を受信し、第1のステータに出力を供給するように構成される第1のフィードバックアクチュエータコントローラであって、前記第1のステータが前記ロータに接続される、第1のフィードバックアクチュエータコントローラと、
第4の1つ以上のモータ位置センサから入力を受信し、第2のステータに出力を供給するように構成される第2のフィードバックアクチュエータコントローラであって、前記第2のステータが前記ロータに接続される、第2のフィードバックアクチュエータコントローラと、を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ステアリングフィードバックアセンブリの前記第1のステータ及び前記第2のステータが耐故障ステータ巻線を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールの正確な位置決めを可能にするように構成される差動ギアボックスを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の電源アセンブリは、第1の車両電力コントローラに電力を供給する第1のバッテリを備え、前記第1の車両電力コントローラが前記システムの第1の部分に出力を供給し、
前記第2の電源アセンブリは、第2の車両電力コントローラに電力を供給する第2のバッテリを備え、前記第2の車両電力コントローラが前記システムの第2の部分に出力を供給する、請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のバッテリ及び前記第2のバッテリが高電圧バッテリである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のバッテリが高電圧バッテリであり、前記第2のバッテリが低電圧バッテリである、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の車両電力コントローラ及び前記第2の車両電力コントローラがインテリジェント車両電力コントローラである、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2のロードホイールアクチュエータコントローラは、第2の1つ以上のモータ位置センサから情報を受信するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のロードホイールアクチュエータコントローラ、前記第2のロードホイールアクチュエータコントローラ、前記第1のフィードバックアクチュエータコントローラ、及び前記第2のフィードバックアクチュエータコントローラのうちの少なくとも1つは、第1のマイクロプロセッサ及び第2のマイクロプロセッサを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のマイクロプロセッサは、測定データを受信し、前記測定データを処理し、所望のトルクコマンドをもたらすように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のマイクロプロセッサは、パルス幅変調信号のセットを放出し、前記所望のトルクコマンドに従ってトルクを生成するように更に構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1のマイクロプロセッサは、第1のソフトウェアを使用して前記所望のトルクコマンドをもたらし、第2のソフトウェアを使用して前記パルス幅変調信号を生成するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記測定データは、電圧感知、電流感知、並びに電力段構成及び状態を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2のマイクロプロセッサは、トルクコマンドを決定し、もたらされた前記実際のトルクを推定し、前記トルクコマンド及びもたらされた実際のトルクが所定の値と合うかどうかを決定するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記トルクコマンド及びもたらされた実際のトルクが前記所定の値と合わないと前記第2のマイクロプロセッサが決定すると、前記第2のマイクロプロセッサは、前記第1及び第2のマイクロプロセッサと関連付けられるパワーエレクトロニクスをオフにするように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2のマイクロプロセッサは、ステアリング制御が冗長要素で継続するようにするべく調停動作をトリガするメッセージを放出するように更に構成される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第2のロードホイールアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、前記第1のフィードバックアクチュエータコントローラと前記第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、前記第1のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第1のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、前記第2のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信する、請求項6に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1及び第2のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第1及び第2のフィードバックアクチュエータコントローラとの間の前記双方向通信は、別々の経路を通ってルーティングされる、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
冗長性を伴うステアバイワイヤシステムであって、
第1のロードホイール及び第2のロードホイールと係合してこれらのロードホイールを制御するように構成されるロードホイールステアリングアセンブリを備え、前記ロードホイールステアリングアセンブリは、
前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールを作動させるように構成される第1のロードホイールアクチュエータと、
前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールを作動させるように構成される第2のロードホイールアクチュエータと、を備え、
前記第1のロードホイールアクチュエータは、前記第2のロードホイールアクチュエータからゾーン的に分離されるように構成される、ステアバイワイヤシステム。
【請求項25】
前記システムに電力を供給するように構成される第1の電源アセンブリ及び第2の電源アセンブリを更に備え、前記第1の電源アセンブリは、前記第2の電源アセンブリからゾーン的に分離されるように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記システム内の通信を可能にするように構成される第1の車両通信ネットワーク及び第2の車両通信ネットワークを更に備え、前記第1の車両通信ネットワークが第1の配線束アセンブリ内にあり、前記第2の車両通信ネットワークが第2の配線束アセンブリ内にあり、前記第1の配線束アセンブリは、前記第2の配線束アセンブリからゾーン的に分離されるように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1のロードホイールアクチュエータは、
第1のギアボックスにエネルギーを供給するように構成される第1のモータであって、前記第1のギアボックスが、前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールを動かすように構成される、第1のモータと、
第1の1つ以上のモータ位置センサから情報を受信し、前記第1のモータに出力を供給するように構成される第1のロードホイールアクチュエータコントローラと、を備え、
前記第2のロードホイールアクチュエータは、
第2のギアボックスにエネルギーを供給するように構成される第2のモータであって、前記第2のギアボックスが、前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールを動かすように構成される、第2のモータと、
前記第1のモータに出力を供給するように構成される第2のロードホイールアクチュエータコントローラと、を備える、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
ステアリングホイールと係合してこのステアリングホイールを制御するように構成されるステアリングフィードバックアセンブリを更に備え、前記ステアリングフィードバックアセンブリは、前記ステアリングホイールを作動させるように構成されるステアリングフィードバックアクチュエータを備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記ステアリングフィードバックアクチュエータは、
第3のギアボックスにエネルギーを供給するように構成されるロータであって、前記第3のギアボックスが前記ステアリングホイールを制御するように構成される、ロータと、
第3の1つ以上のモータ位置センサから入力を受信し、第1のステータに出力を供給するように構成される第1のフィードバックアクチュエータコントローラであって、前記第1のステータが前記ロータに接続される、第1のフィードバックアクチュエータコントローラと、
第4の1つ以上のモータ位置センサから入力を受信し、第2のステータに出力を供給するように構成される第2のフィードバックアクチュエータコントローラであって、前記第2のステータが前記ロータに接続される、第2のフィードバックアクチュエータコントローラと、を備える、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記ステアリングフィードバックアセンブリの前記第1のステータ及び前記第2のステータが耐故障ステータ巻線を備える、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールの正確な位置決めを可能にするように構成される差動ギアボックスを更に備える、請求項24に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1の電源アセンブリは、第1の車両電力コントローラに電力を供給する第1のバッテリを備え、前記第1の車両電力コントローラが前記システムの第1の部分に出力を供給し、
前記第2の電源アセンブリは、第2の車両電力コントローラに電力を供給する第2のバッテリを備え、前記第2の車両電力コントローラが前記システムの第2の部分に出力を供給する、請求項25に記載のシステム。
【請求項33】
前記第2のロードホイールアクチュエータコントローラは、第2の1つ以上のモータ位置センサから情報を受信するように構成される、請求項27に記載のシステム。
【請求項34】
前記第1のロードホイールアクチュエータコントローラ、前記第2のロードホイールアクチュエータコントローラ、前記第1のフィードバックアクチュエータコントローラ、及び前記第2のフィードバックアクチュエータコントローラのうちの少なくとも1つは、第1のマイクロプロセッサ及び第2のマイクロプロセッサを備える、請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1のマイクロプロセッサは、測定データを受信し、前記測定データを処理し、所望のトルクコマンドをもたらすように構成される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1のマイクロプロセッサは、パルス幅変調信号のセットを放出し、前記所望のトルクコマンドに従ってトルクを生成するように更に構成される、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記測定データは、電圧感知、電流感知、並びに電力段構成及び状態を少なくとも含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
前記第2のマイクロプロセッサは、トルクコマンドを決定し、もたらされた前記実際のトルクを推定し、前記トルクコマンド及びもたらされた実際のトルクが所定の値と合うかどうかを決定するように構成される、請求項35に記載のシステム。
【請求項39】
前記トルクコマンド及びもたらされた実際のトルクが前記所定の値と合わないと前記第2のマイクロプロセッサが決定すると、前記第2のマイクロプロセッサは、前記第1及び第2のマイクロプロセッサと関連付けられるパワーエレクトロニクスをオフにするように構成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記第2のマイクロプロセッサは、ステアリング制御が冗長要素で継続するようにするべく調停動作をトリガするメッセージを放出するように更に構成される、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記第1のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第2のロードホイールアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、前記第1のフィードバックアクチュエータコントローラと前記第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、前記第1のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第1のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、前記第2のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信する、請求項29に記載のシステム。
【請求項42】
前記第1及び第2のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第1及び第2のフィードバックアクチュエータコントローラとの間の前記双方向通信は、別々の経路を通ってルーティングされる、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
冗長性を伴うワイヤによってステアリングシステムを制御する方法において、
第1のロードホイールアクチュエータを使用して第1のロードホイール及び第2のロードホイールを制御するステップと、
第2のロードホイールアクチュエータを使用して前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールを制御するステップであって、前記第1のロードホイールアクチュエータが、前記第2のロードホイールアクチュエータからゾーン的に分離される、ステップと、
ステアリングフィードバックアクチュエータを使用してステアリングホイールを制御するステップと、
を含む方法。
【請求項44】
第1の電源アセンブリを使用して前記ステアリングシステムに電力を供給するステップと、第2の電源アセンブリを使用して前記ステアリングシステムに電力を供給するステップとを更に含み、前記第1の電源アセンブリが前記第2の電源アセンブリからゾーン的に分離される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
第1の車両通信ネットワーク及び第2の車両通信ネットワークを使用して前記システムにおける通信を可能にするステップを更に含み、前記第1の車両通信ネットワークが前記第2の車両通信ネットワークからゾーン的に分離されるように構成される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
第1のフィードバックロードホイールアクチュエータコントローラを用いて前記第1のロードホイールアクチュエータが前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールを動かすための出力を決定して実施するステップであって、
前記出力が、第1の1つ以上のモータ位置センサからの情報に少なくとも部分的に基づく、ステップと、
第2のフィードバックロードホイールアクチュエータコントローラを用いて前記第2のロードホイールアクチュエータが前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールを動かすための出力を決定して実施するステップであって、
前記出力が、第2の1つ以上のモータ位置センサからの情報に少なくとも部分的に基づく、ステップと、を更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記第1のフィードバックアクチュエータコントローラを用いて前記ステアリングフィードバックアクチュエータが前記ステアリングホイールを動かすための出力を決定して実施するステップであって、
前記出力が、第3の1つ以上のモータ位置センサからの情報に少なくとも部分的に基づく、ステップと、
前記第2のフィードバックアクチュエータコントローラを用いて前記ステアリングフィードバックアクチュエータが前記ステアリングホイールを動かすための出力を決定して実施するステップであって、
前記出力が、第4の1つ以上のモータ位置センサからの情報に少なくとも部分的に基づく、ステップと、を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
差動ギアボックスを使用して前記第1のロードホイール及び前記第2のロードホイールを位置決めするステップを更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の電源アセンブリを使用して前記システムの第1の部分に電力を供給するステップと、前記第2の電源アセンブリを使用して前記システムの第2の部分に電力を供給するステップとを更に含み、前記システムの前記第1の部分が前記システムの前記第2の部分からゾーン的に分離される、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
第1のマイクロプロセッサ及び第2のマイクロプロセッサを用いて、前記第1のホイールアクチュエータ、前記第2のホイールアクチュエータ、前記第1のフィードバックアクチュエータ、及び前記第2のフィードバックアクチュエータのうちの少なくとも1つのための出力を決定するステップを更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記第1のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第2のロードホイールアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、前記第1のフィードバックアクチュエータコントローラと前記第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、前記第1のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第1のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、前記第2のロードホイールアクチュエータコントローラと前記第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信する、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2021年12月10日に出願された米国仮出願第63/265,238号の利益を主張し、この米国仮出願の全開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、車両のためのステアリングシステムに関する。より具体的には、ステアリングシステムは、車両のハンドホイールへの機械的連結を伴うことなく車両の横方向の動きを制御でき、及び/又は故障を低減して障害を回避するための冗長性を含むことができる。
【背景技術】
【0003】
従来のステアリングシステムは、車両の動きを制御するために機械システム(例えば、ラックアンドピニオン、ステアリングボックスなど)を使用する。機械的連結は、ロードホイールをハンドホイールに接続するために使用される。機械システムは、特に低速でロードホイールを移動させるためにシステムによって必要とされる労力を低減するために動力補助される場合がある。動力補助システムは、高圧下の油を機械システムに供給する油リザーバ及び油ポンプ(例えば、液圧システム)を含む場合がある。したがって、従来のステアリングシステムは、複雑であり、その機械的性質及び高圧に起因して様々な種類の故障及び障害の影響を受けやすい可能性がある。ステアバイワイヤシステムは、機械システムを電気システムで置き換えることによって、故障の多くを回避することができる。より具体的には、ステアリングホイールとロードホイールとの間の機械的連結は、ステアバイワイヤシステムの電気配線で置き換えることができる。また、ステアバイワイヤシステムは、革新的な特徴及び設計を可能にすることによって車両の運転経験及び操縦性を改善することもできる。例えば、ステアバイワイヤシステムは、車両上でのハンドホイールの柔軟な位置決めを可能にするが、従来のステアリングシステムは、ハンドホイールを固定位置に配置する必要がある。
【0004】
ステアバイワイヤシステムは、電気的故障又は何らかの他の種類の故障(例えば、熱的、磁気的、又は機械的な故障)が起こるときに依然として障害の影響を受けやすい可能性がある。従来の手法は、ステアバイワイヤシステムのバックアップとして機械システムを維持することを含む。しかしながら、余分な機械システムは、コストがかかり、車両に余分な重量及び制限を加える可能性がある。ステアバイワイヤシステムの利点を維持しながら、故障を更に低減し、システム障害の場合に冗長性を与えるために、ステアバイワイヤシステムを改善する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、一般に、車両の横方向の動きを制御するためのシステムに関する。より具体的には、本開示は、冗長性を与えて故障を低減するハンドホイールへの機械的連結を伴わないステアリングシステムに関する。
【0006】
一態様は、車両用のステアバイワイヤシステムに関する。システムは、第1のロードホイール及び第2のロードホイールと係合してこれらのロードホイールを制御するように構成されるロードホイールステアリングアセンブリを備えることができる。ロードホイールステアリングアセンブリは、第1のロードホイール及び第2のロードホイールを作動させるように構成される第1のロードホイールアクチュエータと、第1のロードホイール及び第2のロードホイールを作動させるように構成される第2のロードホイールアクチュエータとを備える。第1のロードホイールアクチュエータは、第2のロードホイールアクチュエータからゾーン的に分離されるように構成される。
【0007】
上記態様は、ステアリングホイールと係合してステアリングホイールを制御するように構成されるステアリングフィードバックアセンブリを更に備える。ステアリングフィードバックアセンブリは、ステアリングホイールを作動させるように構成されるステアリングフィードバックアクチュエータを備える。
【0008】
上記態様は、システムに電力を供給するように構成される第1の電源アセンブリ及び第2の電源アセンブリを更に備え、第1の電源アセンブリは、第2の電源アセンブリからゾーン的に分離されるように構成される。
【0009】
上記態様は、システム内の通信を可能にするように構成される第1の車両通信ネットワーク及び第2の車両通信ネットワークを更に備える。第1の車両通信ネットワークは第1の配線束アセンブリ内にあり、第2の車両通信ネットワークは第2の配線束アセンブリ内にある。第1の配線束アセンブリは、第2の配線束アセンブリからゾーン的に分離されるように構成される。
【0010】
上記態様は、第1のプライベートシステム通信ネットワークと、第2のプライベート通信ネットワークと、第3のプライベート通信ネットワークとを更に備える。
【0011】
上記態様の変形例では、第1のロードホイールアクチュエータは、第1のギアボックスにエネルギーを供給するように構成される第1のモータと、第1の1つ以上のモータ位置センサから情報を受信し、第1のモータに出力を供給するように構成される第1のロードホイールアクチュエータコントローラとを備える。第1のギアボックスは、第1のロードホイール及び第2のロードホイールを動かすように構成される。第2のロードホイールアクチュエータは、第2のギアボックスにエネルギーを供給するように構成される第2のモータと、第1のモータに出力を供給するように構成される第2のロードホイールアクチュエータコントローラとを備える。第2のギアボックスは、第1のロードホイール及び第2のロードホイールを動かすように構成される。
【0012】
上記態様の変形例では、ステアリングフィードバックアクチュエータは、第3のギアボックスにエネルギーを供給するように構成されるロータを備える。第3のギアボックスは、ステアリングホイールを制御するように構成される。変形例は、第3の1つ以上のモータ位置センサから入力を受信し、第1のステータに出力を供給するように構成される第1のフィードバックアクチュエータコントローラを更に備え、第1のステータはロータに接続される。変形例は、第4の1つ以上のモータ位置センサから入力を受信し、第2のステータに出力を供給するように構成される第2のフィードバックアクチュエータコントローラを更に備え、第2のステータはロータに接続される。
【0013】
上記態様の変形例では、ステアリングフィードバックアセンブリの第1のステータ及び第2のステータは、耐故障ステータ巻線を備える。
【0014】
上記の態様の変形例は、第1のロードホイール及び第2のロードホイールの正確な位置決めを可能にするように構成される差動ギアボックスを更に備える。
【0015】
上記態様の変形例では、第1の電源アセンブリは、第1の車両電力コントローラに電力を供給する第1のバッテリを備える。第1の車両電力コントローラは、システムの第1の部分に出力を供給する。第2の電源アセンブリは、第2の車両電力コントローラに電力を供給する第2のバッテリを備える。第2の車両電力コントローラは、システムの第2の部分に出力を供給する。
【0016】
上記態様の変形例では、第1のバッテリ及び第2のバッテリが高電圧バッテリである。
【0017】
上記態様の変形例では、第1のバッテリが高電圧バッテリであり、第2のバッテリが低電圧バッテリである。
【0018】
上記態様の変形例では、第1の車両電力コントローラ及び第2の車両電力コントローラがインテリジェント車両電力コントローラである。
【0019】
上記態様の変形例では、第2のロードホイールアクチュエータコントローラは、第2の1つ以上のモータ位置センサから情報を受信するように構成される。
【0020】
上記態様の変形例では、第1のロードホイールアクチュエータコントローラ、第2のロードホイールアクチュエータコントローラ、第1のフィードバックアクチュエータコントローラ、及び第2のフィードバックアクチュエータコントローラのうちの少なくとも1つは、第1のマイクロプロセッサ及び第2のマイクロプロセッサを備える。
【0021】
上記態様の変形例では、第1のマイクロプロセッサは、測定データを受信し、測定データを処理し、所望のトルクコマンドをもたらすように構成される。
【0022】
上記態様の変形例では、第1のマイクロプロセッサは、パルス幅変調信号のセットを放出し、所望のトルクコマンドに従ってトルクを生成するように更に構成される。
【0023】
上記態様の変形例では、第1のマイクロプロセッサは、第1のソフトウェアを使用して所望のトルクコマンドをもたらし、第2のソフトウェアを使用してパルス幅変調信号を生成するように構成される。
【0024】
上記態様の変形例では、測定データは、電圧感知、電流感知、並びに電力段構成及び状態を含む。
【0025】
上記態様の変形例では、第2のマイクロプロセッサは、トルクコマンドを決定し、もたらされた実際のトルクを推定し、トルクコマンド及びもたらされた実際のトルクが所定の値と合うかどうかを決定するように構成される。
【0026】
上記態様の変形例では、トルクコマンド及びもたらされた実際のトルクが所定の値と合わないと第2のマイクロプロセッサが決定すると、第2のマイクロプロセッサは、第1及び第2のマイクロプロセッサと関連付けられるパワーエレクトロニクスをオフにするように構成される。
【0027】
上記態様の変形例では、第2のマイクロプロセッサは、ステアリング制御が冗長要素で継続するようにするべく調停(仲裁、arbitration)動作をトリガするメッセージを放出するように更に構成される。
【0028】
上記態様の変形例では、第1のロードホイールアクチュエータコントローラと第2のロードホイールアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、第1のフィードバックアクチュエータコントローラと第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、第1のロードホイールアクチュエータコントローラと第1のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、第2のロードホイールアクチュエータコントローラと第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信する。
【0029】
上記態様の変形例では、第1及び第2のロードホイールアクチュエータコントローラと第1及び第2のフィードバックアクチュエータコントローラとの間の双方向通信は、別々の経路を通ってルーティングされる。
【0030】
この開示の他の態様は、第1のロードホイール及び第2のロードホイールと係合してこれらのロードホイールを制御するように構成されるロードホイールステアリングアセンブリを含む、冗長性を伴うステアバイワイヤシステムを含む。ロードホイールステアリングアセンブリは、第1のロードホイール及び第2のロードホイールを作動させるように構成される第1のロードホイールアクチュエータと、第1のロードホイール及び第2のロードホイールを作動させるように構成される第2のロードホイールアクチュエータとを備える。第1のロードホイールアクチュエータは、第2のロードホイールアクチュエータからゾーン的に分離されるように構成される。システムは、システムに電力を供給するように構成される第1の電源アセンブリ及び第2の電源アセンブリを更に含み、第1の電源アセンブリは、第2の電源アセンブリからゾーン的に分離されるように構成される。また、システムは、システム内の通信を可能にするように構成される第1の車両通信ネットワークおよび第2の車両通信ネットワークも含み、第1の車両通信ネットワークは第1の配線束アセンブリ内にあり、第2の車両通信ネットワークは第2の配線束アセンブリ内にある。第1の配線束アセンブリは、第2の配線束アセンブリからゾーン的に分離されるように構成される。
【0031】
上記態様の変形例では、第1のロードホイールアクチュエータは、第1のギアボックスにエネルギーを供給するように構成される第1のモータと、第1のロードホイールアクチュエータコントローラとを備える。第1のギアボックスは、第1のロードホイール及び第2のロードホイールを動かすように構成される。第1のロードホイールアクチュエータコントローラは、第1の1つ以上のモータ位置センサから情報を受信し、第1のモータに出力を供給するように構成される。第2のロードホイールアクチュエータは、第2のモータと第2のロードホイールアクチュエータコントローラとを備える。第2のモータは第2のギアボックスにエネルギーを供給するように構成され、第2のギアボックスは、第1のロードホイール及び第2のロードホイールを動かすように構成される。第2のロードホイールアクチュエータコントローラは、第1のモータに出力を供給するように構成される。
【0032】
上記態様は、ステアリングホイールと係合してこのステアリングホイールを制御するように構成されるステアリングフィードバックアセンブリを更に備え、ステアリングフィードバックアセンブリは、ステアリングホイールを作動させるように構成されるステアリングフィードバックアクチュエータを備える。
【0033】
上記態様の変形例では、ステアリングフィードバックアクチュエータは、第3のギアボックスにエネルギーを供給するように構成されるロータを備える。第3のギアボックスは、ステアリングホイールを制御するように構成される。ステアリングフィードバックアクチュエータは、第3の1つ以上のモータ位置センサから入力を受信し、第1のステータに出力を供給するように構成される第1のフィードバックアクチュエータコントローラを備え、第1のステータはロータに接続される。ステアリングフィードバックアクチュエータは、第4の1つ以上のモータ位置センサから入力を受信し、第2のステータに出力を供給するように構成される第2のフィードバックアクチュエータコントローラを更に備え、第2のステータはロータに接続される。
【0034】
上記態様の変形例では、ステアリングフィードバックアセンブリの第1のステータ及び第2のステータは、耐故障ステータ巻線を備える。
【0035】
上記態様は、第1のロードホイール及び第2のロードホイールの正確な位置決めを可能にするように構成される差動ギアボックスを更に備える。
【0036】
上記態様の変形例では、第1の電源アセンブリは、第1の車両電力コントローラに電力を供給する第1のバッテリを備える。第1の車両電力コントローラは、システムの第1の部分に出力を供給する。第2の電源アセンブリは、第2の車両電力コントローラに電力を供給する第2のバッテリを備え、第2の車両電力コントローラは、システムの第2の部分に出力を供給する。
【0037】
上記態様の変形例では、第2のロードホイールアクチュエータコントローラは、第2の1つ以上のモータ位置センサから情報を受信するように構成される。
【0038】
上記態様の変形例では、第1のロードホイールアクチュエータコントローラ、第2のロードホイールアクチュエータコントローラ、第1のフィードバックアクチュエータコントローラ、及び第2のフィードバックアクチュエータコントローラのうちの少なくとも1つは、第1のマイクロプロセッサ及び第2のマイクロプロセッサを備える。
【0039】
上記態様の変形例では、第1のマイクロプロセッサは、測定データを受信し、測定データを処理し、所望のトルクコマンドをもたらすように構成される。
【0040】
上記態様の変形例では、第1のマイクロプロセッサは、パルス幅変調信号のセットを放出し、所望のトルクコマンドに従ってトルクを生成するように更に構成される。
【0041】
上記態様の変形例では、測定データは、電圧感知、電流感知、並びに電力段構成及び状態を少なくとも含む。
【0042】
上記態様の変形例では、第2のマイクロプロセッサは、トルクコマンドを決定し、もたらされた実際のトルクを推定し、トルクコマンド及びもたらされた実際のトルクが所定の値と合うかどうかを決定するように構成される。
【0043】
上記態様の変形例では、トルクコマンド及びもたらされた実際のトルクが所定の値と合わないと第2のマイクロプロセッサが決定すると、第2のマイクロプロセッサは、第1及び第2のマイクロプロセッサと関連付けられるパワーエレクトロニクスをオフにするように構成される。
【0044】
上記態様の変形例では、第2のマイクロプロセッサは、ステアリング制御が冗長要素で継続するようにするべく調停動作をトリガするメッセージを放出するように更に構成される。
【0045】
上記態様の変形例では、第1のロードホイールアクチュエータコントローラと第2のロードホイールアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、第1のフィードバックアクチュエータコントローラと第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、第1のロードホイールアクチュエータコントローラと第1のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、第2のロードホイールアクチュエータコントローラと第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信する。
【0046】
上記態様の変形例では、第1及び第2のロードホイールアクチュエータコントローラと第1及び第2のフィードバックアクチュエータコントローラとの間の双方向通信は、別々の経路を通ってルーティングされる。
【0047】
本開示の他の態様は、冗長性を伴うワイヤによってステアリングシステムを制御する方法である。方法は、第1のロードホイールアクチュエータを使用して第1のロードホイール及び第2のロードホイールを制御するステップと、第2のロードホイールアクチュエータを使用して第1のロードホイール及び第2のロードホイールを制御するステップであって、第1のロードホイールアクチュエータが、第2のロードホイールアクチュエータからゾーン的に分離される、ステップと、ステアリングフィードバックアクチュエータを使用してステアリングホイールを制御するステップと、第1の電源アセンブリを使用してステアリングシステムに電力を供給するステップと、第2の電源アセンブリを使用してステアリングシステムに電力を供給するステップであって、第1の電源アセンブリが第2の電源アセンブリからゾーン的に分離される、ステップと、第1の車両通信ネットワーク及び第2の車両通信ネットワークを使用してシステム内で通信を可能にするステップであって、第1の車両通信ネットワークが、第2の車両通信ネットワークからゾーン的に分離されるように構成される、ステップとを含む。
【0048】
上記態様は、第1のフィードバックロードホイールアクチュエータコントローラを用いて第1のロードホイールアクチュエータが第1のロードホイール及び第2のロードホイールを動かすための出力を決定して実施するステップを更に含む。出力は、第1の1つ以上のモータ位置センサからの情報に少なくとも部分的に基づく。方法は、第2のフィードバックロードホイールアクチュエータコントローラを用いて第2のロードホイールアクチュエータが第1のロードホイール及び第2のロードホイールを動かすための出力を決定して実施するステップを更に含む。出力は、第2の1つ以上のモータ位置センサからの情報に少なくとも部分的に基づく。
【0049】
上記態様は、第1のフィードバックアクチュエータコントローラを用いてステアリングフィードバックアクチュエータがステアリングホイールを動かすための出力を決定して実施するステップを更に含む。出力は、第3の1つ以上のモータ位置センサからの情報に少なくとも部分的に基づく。方法は、第2のフィードバックアクチュエータコントローラを用いてステアリングフィードバックアクチュエータがステアリングホイールを動かすための出力を決定して実施するステップを更に含む。出力は、第4の1つ以上のモータ位置センサからの情報に少なくとも部分的に基づく。
【0050】
上記態様は、差動ギアボックスを使用して第1のロードホイール及び第2のロードホイールを位置決めするステップを更に含む。
【0051】
上記態様は、第1の電源アセンブリを使用してシステムの第1の部分に電力を供給するステップと、第2の電源アセンブリを使用してシステムの第2の部分に電力を供給するステップとを更に含み、システムの第1の部分がシステムの第2の部分からゾーン的に分離される。
【0052】
上記態様は、第1のマイクロプロセッサ及び第2のマイクロプロセッサを用いて、第1のホイールアクチュエータ、第2のホイールアクチュエータ、第1のフィードバックアクチュエータ、及び第2のフィードバックアクチュエータのうちの少なくとも1つのための出力を決定するステップを更に含む。
【0053】
上記態様の変形例では、第1のロードホイールアクチュエータコントローラと第2のロードホイールアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、第1のフィードバックアクチュエータコントローラと第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、第1のロードホイールアクチュエータコントローラと第1のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信し、第2のロードホイールアクチュエータコントローラと第2のフィードバックアクチュエータコントローラとが連続的に双方向で通信する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
同様の参照文字が同様の要素を参照する添付図面に関連して本開示について説明する。
【0055】
【
図1】一次ロードホイールアクチュエータ、二次ロードホイールアクチュエータ、及びステアリングフィードバックアクチュエータを含む本発明の一実施形態に係るステアリングシステムの概要を示す図である。
【0056】
【
図2】
図1のステアリングシステムからの一次及び二次ロードホイールアクチュエータとの例示的な機械的及び電気的接続を示すブロック図である。
【0057】
【
図3】
図1のステアリングフィードバックアクチュエータとの例示的な機械的及び電気的接続を示すブロック図である。
【0058】
【
図4】
図1のステアリングシステムにゾーン的分離をもたらす耐故障電源の2つの異なる実施形態における例示的な電気接続を示すブロック図である。
【0059】
【
図5】一次ロードホイールアクチュエータ、二次ロードホイールアクチュエータ、及びステアリングフィードバックアクチュエータを含む本発明の他の実施形態に係るステアリングシステムの概要を示す図である。
【0060】
【
図6】
図5のステアリングシステムの一次及び二次ロードホイールアクチュエータとの例示的な機械的及び電気的接続を示すブロック図である。
【0061】
【
図7】
図5のステアリングフィードバックアクチュエータとの例示的な機械的及び電気的接続を示すブロック図である。
【0062】
【
図8】
図5の各コントローラ内の例示的な機械的及び電気的接続を示すブロック図である。
【0063】
【
図9】
図5のコントローラとセンサとの間の例示的な通信経路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
一般的に説明すると、本開示の1つ以上の態様は、車両用のステアリングシステムに関する。特定の実施形態では、本開示の1つ以上の態様は、ハンドホイールへの機械的連結を伴うことなく車両の横方向の動きを制御するように構成され得るステアリングシステムに関する。他の実施形態では、本開示の1つ以上の態様は、耐故障性及び冗長性を与えるように構成され得るステアリングシステムに関する。
【0065】
本開示の実施形態は、電気システム(例えば、ステアバイワイヤ)を用いてロードホイールをハンドホイールに接続する車両のステアリングシステムに関する。特定の実施形態において、ステアリングシステムは、電気システムをバックアップするための機械システムを含まない。特定の実施形態において、ステアバイワイヤシステムの重要な構成要素又は機能は、ステアバイワイヤシステムにあるレベルの冗長性を与えるために複製される。例えば、特定の実施形態では、ステアバイワイヤシステムは、個々の電気部品の複数のユニットを備えることができる。特定の実施形態では、複数のユニットは、1つのユニット内の個々の構成要素の電気的、熱的、磁気的、又は機械的な故障の一般的な原因が、第2の又は冗長ユニット内の個々の電気的構成要素を危険にさらすことがないように、互いにゾーン的に分離されるように構成される。したがって、複数のユニットのうちの1つが故障する場合、第2のユニット又は冗長ユニットは、ステアバイワイヤシステムの動作を維持し続けることができる。
【0066】
より具体的には、特定の実施形態において、システムは、2つのコントローラ(2つのうちの一方が冗長となり得る)を伴うステアリングトルクフィードバックアセンブリと、2つの耐故障モータ(2つのうちの一方が冗長であり得る)及び2つのコントローラ(2つのうちの一方が冗長であり得る)を伴う前ロードホイールステアリングアセンブリと、2つのインテリジェント車両電力コントローラ(2つのうちの一方が冗長であり得る)と、2つの別個の車両通信ネットワーク(2つのうちの一方が冗長であり得る)と、3つのプライベートシステム通信ネットワーク(3つのうちの1つ以上が冗長であり得る)とを備えることができる。個々の構成要素の冗長性及びゾーン的分離は、耐故障性をもたらし、電気的障害だけでなく、熱的、磁気的、及び機械的な障害に対しても障害から保護することができる。
【0067】
システムは、位置センサアセンブリを更に備えることができる。システムの個々の位置センサアセンブリは、3つの位置センサを備えることができ、3つの位置センサのうちの2つは磁気式であり、3つの位置センサのうちの1つは誘導性である。3センサアーキテクチャは、位置機構で3分の2の投票を利用することによって故障検出及び分離を可能にすることができる。
【0068】
特定の実施形態において、システムは、絶対的な位置決めを可能にするために、差動ギアボックスロードホイールアクチュエータ及びピニオン角度センサを含むことができる。特定の実施形態において、システムのインテリジェント車両電力コントローラは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET」)スイッチを備える。特定の実施形態において、車両通信ネットワーク及びプライベートシステム通信ネットワークは、コントローラエリアネットワーク(「CAN」)プロトコルを実装する。
【0069】
図1は、一次ロードホイールアクチュエータコントローラ10Aに接続された一次ロードホイールアクチュエータ1Aと、二次ロードホイールアクチュエータコントローラ10Bに接続された二次ロードホイールアクチュエータ1Bとを備える例示的なステアリングシステム1000の概要を示す図である。特定の実施形態において、一次ロードホイールアクチュエータ1A及び二次ロードホイールアクチュエータ1Bはいずれも、第1の前輪及び第2の前輪と係合してこれらの車輪を制御するラックバー9に接続する。一次ロードホイールアクチュエータ1Aは、二次ロードホイールアクチュエータ1Bの動作状態にかかわらず、第1の前輪及び第2の前輪の両方を制御するように構成され得る。例えば、一次ロードホイールアクチュエータ1Aは、二次ロードホイールアクチュエータ1Bが非動作又は動作しているときに、第1の前輪及び第2の前輪の両方を制御することができる。二次ロードホイールアクチュエータ1Bは、一次ロードホイールアクチュエータ1Aが動作していないとき又は動作しているときに、第1の前輪及び第2の前輪の両方を制御することができる。特定の実施形態において、二次ロードホイールアクチュエータ1Bは、一次ロードホイールアクチュエータ1Aが動作していないときにのみ第1の前輪及び第2の前輪の両方を制御する。冗長性は、システム故障(例えば、電子的、熱的、磁気的、又は機械的な故障)の分離を可能にする。
【0070】
特定の実施形態において、システム1000は、ラックバー9と係合する差動ギアボックス4と、一次ロードホイールアクチュエータ1Aと係合し、一次ロードホイールアクチュエータ1Aに情報を提供するように構成されたギアボックス又はラック位置センサ80A及び80Bとを更に含むことができる。特定の実施形態において、情報は、第1の前輪及び第2の前輪の正確な位置決めを可能にする。
【0071】
システム1000は、ハンドホイール22と、コラム6と、ハンドホイール22を制御するように構成されたステアリングフィードバックアクチュエータ2と、1つ以上のハンドホイール角度センサ20とを更に備えることができる。ステアリングフィードバックアクチュエータ2は、ロータ71と、2つのステータ72A及び72Bとを含むことができる(
図3参照)。ステアリングフィードバックアクチュエータ2は、センサからの情報を処理し、ハンドホイール22を制御(例えば、力フィードバック)して、道路状況に従ってハンドホイール22の所望の操縦体験をユーザに提供することができる。幾つかの実施形態において、1つ以上のハンドホイール角度センサ20は、ハンドホイール22の回転を感知するためにコラム6とギアボックス8Cとの間に位置されてもよい。幾つかの実施形態において、1つ以上のハンドホイール角度センサ20及びステアリングフィードバックアクチュエータ2はいずれも、コラム6に近接する、ギアボックス8Cの上面に位置され得る。
【0072】
システム1000は、電源装置3A及び電源装置3Bを更に備えることができる。電源装置3Aは、電源30Aと、ステアリングフィードバックアクチュエータ2に接続されたeヒューズ33と、一次ロードホイールアクチュエータ1Aに接続されたeヒューズ34とを備えることができる。電源装置3Bは、電源30Bと、ステアリングフィードバックアクチュエータ2に接続されたeヒューズ31と、二次ロードホイールアクチュエータ1Bに接続されたeヒューズ32とを備えることができる。eヒューズ31、32、33、及び34は、システム内の電気的過負荷を検出してそれに反応し、それに接続された構成要素を切断してシステムの残りの部分を保護し、それによって故障分離をもたらすことができる。
【0073】
特定の実施形態において、システム1000は、一次パブリック通信エリアネットワーク(「CAN」)51A、二次パブリックCAN 51B、一次プライベートCAN 52A、二次プライベートCAN 52B、及び調停プライベートCAN 53を更に備えることができる。この場合も先と同様にゾーン的に分離される冗長通信システムは、電子的、熱的、磁気的、又は機械的な故障に起因してシステムの一部が故障した場合でも通信を可能にする。
【0074】
図2は、
図1のシステム1000内の一次及び二次ロードホイールアクチュエータ1A、1Bと他の要素との間の例示的な機械的及び電気的接続を示すブロック図である。
図2に示すように、青色矢印は電気的接続を示し、黒色矢印は機械的接続を示す。一次ロードホイールアクチュエータ1Aは、モータ7Aを制御するように構成されたロードホイールアクチュエータコントローラ10Aを備えることができ、これにより、左ホイール及びタイヤ94並びに右ホイール及びタイヤ95を動かすことができる。左ホイール及びタイヤ94は、左ナックル及びハブ92、左タイロッド90、中央のラックバー9、右タイロッド91、及び右ナックル及びハブ93を介して右ホイール及びタイヤ95に接続される。モータ7Aは、ラックバー9と係合してラックバー9を移動させることができるギアボックス8Aを制御することによって、左ホイール及びタイヤ94並びに右ホイール及びタイヤ95を移動させる。
【0075】
特定の実施形態において、ロードホイールアクチュエータコントローラ10Aは、車両CAN 50Aを介してフィードバックアクチュエータコントローラ21Aと通信する。電源30Aは、ロードホイールアクチュエータ制御部10A及びフィードバックアクチュエータコントローラ21Aの双方に電力を供給する。
【0076】
特定の実施形態において、モータ位置センサ70Aは、モータ7Aに接続してロードホイールアクチュエータコントローラ10Aに情報を提供するように構成され得る。特定の実施形態では、ギアボックス又はラック位置センサ80Aは、ラックバー9又はギアボックス8Aに接続してロードホイールアクチュエータコントローラ10Aに情報を提供するように構成され得る。特定の実施形態において、ハンドホイール角度センサ20Aは、フィードバックアクチュエータコントローラ21Aに情報を提供するように構成され得る。
【0077】
図2の二次ロードホイールアクチュエータ1Bは、ギアボックス8B、モータ7B、及びロードホイールアクチュエータコントローラ10Bの冗長セットを更に備えることができ、これらのそれぞれが前述と実質的に同じように動作するべく構成される。特定の実施形態において、ロードホイールアクチュエータコントローラ10Bは、車両CAN 50Bを介してフィードバックアクチュエータコントローラ21Bと通信する。電源30Bは、ロードホイールアクチュエータコントローラ10Bとフィードバックアクチュエータコントローラ21Bの両方に電力を供給する。
【0078】
特定の実施形態において、二次ロードホイールアクチュエータ1Bは、モータ位置センサ70B、ギアボックス又はラック位置センサ80B、ハンドホイール角度センサ20Bを備える、上記と実質的に同じように構成されて動作するセンサの冗長セットを含むことができる。
【0079】
図3は、ステアリングフィードバックアクチュエータ2と
図2のシステム1000内の他の要素との間の例示的な機械的及び電気的接続を示すブロック図である。
図3に示されるように、青色矢印は電気的接続を示し、黒色矢印は機械的接続を示す。特定の実施形態において、ステアリングフィードバックアクチュエータ2は、ステータ72A、ロータ71、ギアボックス8Cに接続するように構成されるフィードバックアクチュエータコントローラ21Aを備えることができ、フィードバックアクチュエータコントローラ21Aは、コラム6に接続され、ひいては、ハンドホイール22のステアリング角度を制御して、道路の状態に従ってハンドホイールのユーザにフィードバックを提供する。
【0080】
特定の実施形態において、ハンドホイール角度センサ20Aは、コラムに接続し、フィードバックアクチュエータコントローラ21Aに情報を提供するように構成される。特定の実施形態において、モータ位置センサ70Aは、ロータ71に接続し、フィードバックアクチュエータコントローラ21Aに情報を提供するように構成される。
【0081】
図3は、前述したのと実質的に同じように構成されて動作するフィードバックアクチュエータコントローラ21B及びステータ72Bの冗長セットを更に開示する。特定の実施形態において、ハンドホイール角度センサ20Bは、コラム6に接続し、フィードバックアクチュエータコントローラ21Bに情報を提供するように構成される。
【0082】
図4は、耐故障電源、二重高電圧(「HV」)電源301、並びに高電圧(「HV」)及び低電圧(「LV」)電源302の2つの異なる実施形態を示すブロック図である。
図4に示されるように、青色矢印は電気的接続を示す。二重HV電源301は、第1のHVバッテリ310A及び第2のHVバッテリ310Bを備えることができる。特定の実施形態において、第1のHV電源310A及び第2のHV電源310Bはそれぞれ、HVからLVへの電圧変換311A(「降圧変換」)及びHVからLVへの電圧変換311Bのうちの一方を含むことができる。
【0083】
HVからLVへの電圧変換311A及び311Bはそれぞれ、インテリジェント車両電力コントローラ312A及びインテリジェント車両電力コントローラ312Bの一方に直流(「DC」)電圧を供給することができ、2つのインテリジェント車両電力コントローラ312A及び312Bは互いに離間されており、互いにゾーン的に分離される。特定の実施形態において、インテリジェント車両電力コントローラ312A及び312Bは、MOSFETスイッチを備えることができる。
【0084】
二重HV電源301のインテリジェント車両電力コントローラ312A及び312Bのそれぞれは、一次ステアリングシステム110A及び二次ステアリングシステム110Bの一方に電圧及び電力保護をもたらすことができる。特定の実施形態において、一次ステアリングシステム110Aは、
図1に示されるように、ステアリングフィードバックアクチュエータ2、一次ロードホイールアクチュエータ1A、一次プライベートCAN52A、及び一次パブリックCAN51Aの第1の部分又は全体を備えることができる。特定の実施形態において、二次ステアリングシステム110Bは、
図1に示されるように、ステアリングフィードバックアクチュエータ2、二次ロードホイールアクチュエータ1B、二次プライベートCAN52B、及び二次パブリックCAN51Bの第2の部分又は全体を備えることができる。特定の実施形態において、一次ステアリングシステム110A及び二次ステアリングシステム110Bは、無故障双方向電流(例えば、ステアリング反転回生電流)が可能であり得る。
【0085】
耐故障電源の別の実施形態は、
図4に示されるHV及びLV電源302である。HV及びLV電源302は、HVバッテリ310A及びLVバッテリ320を備えることができる。幾つかの実施形態において、HVバッテリ310Aは、HVからLVへの電圧変換311Aを含むことができる。
【0086】
幾つかの実施形態において、HVバッテリ310A及びLVバッテリ320のそれぞれは、インテリジェント車両電力コントローラ312A及びインテリジェント車両電力コントローラ312Bのうちの一方をサポートする。特定の実施形態において、インテリジェント車両電力コントローラ312A及び312Bは、MOSFETスイッチを備えることができる。
【0087】
幾つかの実施形態において、HV及びLV電源302は、HVバッテリ310Aとインテリジェント車両電力コントローラ312Aとの間の接続部をLVバッテリ320とインテリジェント車両電力コントローラ312Bとの間の接続部に連結する電気接続322を更に備えることができる。
【0088】
幾つかの実施形態において、インテリジェント車両電力コントローラ312A及び312Bのそれぞれは、一次ステアリングシステム110A及び二次ステアリングシステム110Bの一方に電圧及び電力保護をもたらすことができる。特定の実施形態では、一次ステアリングシステム110A及び二次ステアリングシステム110Bは、無故障双方向電流(例えば、ステアリング反転回生電流)が可能であり得る。
【0089】
この開示に係るステアリングシステムの他の実施形態が
図5~
図7に示される。
図5及び
図6に示されるように、ステアリングシステム2000は、同様に、第1の前輪及び第2の前輪と係合して第1の前輪及び第2の前輪を制御するラックバー9に接続されたアクチュエータをそれぞれ制御する一次ロードホイールアクチュエータコントローラ10A及び二次ロードホイールアクチュエータコントローラ10Bを備えることができる。しかしながら、ステアリングシステム1000とは異なり、幾つかの実施形態において、ステアリングシステム2000は、ハンドホイール22の回転をより良好に感知するために、ハンドホイール22とコラム6との間に位置された第1のハンドホイール角度センサ20Aを有することができる。ハンドホイール22に近接する第1のハンドホイール角度センサ20Aは、一次パブリックCAN 50Aに接続することができる。幾つかの実施形態において、ステアリングシステム2000は、第2のハンドホイール角度センサ20Bと、ギアボックス8Cの上面とは反対側のギアボックス8Cの下面に位置されたステアリングフィードバックアクチュエータ2との両方を含むことができる。幾つかの実施形態において、1つ以上のハンドホイール角度センサ20及びステアリングフィードバックアクチュエータ2はいずれも、コラム6に近接する、ギアボックス8Cの上面に位置され得る。
【0090】
幾つかの実施形態において、ステアリングシステム2000は、異なるようにルーティングされた通信ラインを有することもでき、例えば、二次パブリックCAN 50Bは、ステアリングシステム1000のように二次ステアリングフィードバックアクチュエータコントローラ21Bのみではなく、二次ステアリングフィードバックアクチュエータコントローラ21B及び二次ロードホイールアクチュエータコントローラ10Bの両方に接続することができる。更に、幾つかの実施形態において、ステアリングシステム2000は、
図7に示されるように、一次フィードバックアクチュエータコントローラ21Aと二次フィードバックアクチュエータコントローラ21Bとの間の更なる電気的接続を含むことができる。
【0091】
幾つかの実施形態において、ステアリングシステム2000は、
図6に示されるように一次ロードホイールアクチュエータコントローラ10Aと二次ロードホイールアクチュエータコントローラ10Bとの間の既存の通信に起因して、ステアリングシステム1000のように2つ(例えば、80A及び80B)ではなく、ただ1つのギアボックス又はラック位置センサ80を含むことができる。
【0092】
本開示の他の態様は、
図8に示されるように、各コントローラ内の機械的及び電気的接続を含む。コントローラブロック(例えば、ステアリングシステム2000の一次及び二次ロードホイールアクチュエータコントローラ10A及び10B、並びに一次及び二次ステアリングフィードバックアクチュエータコントローラ21A及び21B)のそれぞれの内部には、それぞれが異なるソフトウェアを実行する2つのマイクロプロセッサが存在することができる。特定の実施形態において、2つのマイクロプロセッサは、いずれもパワーエレクトロニクス300に接続された主マイクロプロセッサ100及びモニタマイクロプロセッサ200を含むことができる。パワーエレクトロニクス300は、電源310によって給電され得る。
【0093】
主マイクロプロセッサ100は、
図8に示されるように、通信ライン306(例えば、プライベートリンク1、2、及びパブリックリンク)を介して隣接するコントローラ、パブリックバスデータ、及びオンボードセンサからデータ(例えば、車両、ユーザ入力、及び/又は信号)を取得するように構成することができる。次いで、主マイクロプロセッサ100は、受信したデータを処理し、トルクパスソフトウェア/アルゴリズムを使用して所望のトルクコマンドをもたらすように構成することができる。幾つかの実施形態において、各コントローラの回路基板上の電子素子は、コントローラシステムの1つ以上の測定値を主マイクロプロセッサ100に供給し、入力測定値を処理するように構成されてもよい。幾つかの実施形態において、測定値は、電源310の電圧感知301、パワーエレクトロニクス300とモータ320との間の電流感知302、及びモータロータ角度センサ303からのモータロータ角度を含むことができる。幾つかの実施形態において、測定値は、電力段構成及び状態305も含むことができる。入力測定値を処理している間、幾つかの実施形態では、主マイクロプロセッサ100は、トルク経路ソフトウェアによって生成されたトルクコマンドに一致するトルクを生成するように電圧及び電流が印加されたモータ巻線を制御するパワーエレクトロニクスにおいて迅速なスイッチングを生成するパルス幅変調(PWM)信号のセットを放出するように構成され得る。主マイクロプロセッサ100は、モータ制御ソフトウェアを使用してPWMを生成することができる。
【0094】
モニタマイクロプロセッサ200は、主マイクロプロセッサ100内のトルク経路ソフトウェアの合理性を監視するために、主マイクロプロセッサ100によって行われる全ての動作の合理性をクロスチェックするように構成され得る。幾つかの実施形態において、モニタマイクロプロセッサ200は、主マイクロプロセッサ100の通信バスと同じ通信バスに接続され得る。幾つかの実施形態において、モニタマイクロプロセッサ200は、もたらされた実際のトルクを推定するために、電圧感知301、電流感知302、並びに電力段構成及び状態などの同じデータを使用する、主マイクロプロセッサ100内で動作するモータ制御ソフトウェアの複製を使用することもできる。例えば、計算されたトルクコマンド及びもたらされた推定トルクがシステムの安全な動作を保証する挙動と合わない場合、モニタマイクロプロセッサ200は、電力段305を無効にするスイッチング素子を作動させることができ、パワーエレクトロニクス300を不活性にし、モータ320への印加電力を除去する。モニタマイクロプロセッサ200はまた、他のコントローラシステムのパワーエレクトロニクス上の調停動作をトリガして、ステアリング制御が冗長要素で継続するようにするメッセージを通信バスで放出する。
【0095】
車両の連続的な横方向制御及び可能なバックアップ状態間の円滑な移行を達成するために、幾つかの実施形態において、ステアリングシステム2000は、調停プロセスを実行するために、
図9に示されるように、コントローラ(例えば、一次及び二次ロードホイールアクチュエータコントローラ10A及び10B、並びに一次及び二次ステアリングフィードバックアクチュエータコントローラ21A及び21B)間の連続的な双方向通信401,402,403、404を維持するように構成され得る。調停プロセスは、どのコントローラがハンドホイール角度を所望のホイール角度に変換することを現在担うべきか、どのコントローラが所望のホイール角を満たすためのトルクを生成することを担うべきか、及びどのコントローラが望ましい安全な運転経験を与えるためにハンドホイール22上のフィードバックトルクを計算及び生成することを担うべきかを含む決定を行うように構成することができる。調停プロセスにおける全ての通信401,402,403、及び404は、各コントローラが2つの別個の通信バス上で別のコントローラの状態及び意図を受信するように、2つの別個の経路を介して冗長にルーティングされ得る。
【0096】
幾つかの実施形態では、
図9に示すように、電力ドメインA及び電力ドメインB(例えば、各電力ドメインは、別個のバッテリによって給電される)のそれぞれにハンドホイールコントローラ、ホイールコントローラ、ハンドホイールモータ位置センサ、モータ位置センサ、及びピニオン角センサのセットがある。更に、コントローラ内の各主マイクロプロセッサの合理性は、そのコントローラ内の対応するモニタマイクロプロセッサによって表される。したがって、モニタプロセッサが不合理にフラグを立てた場合、又はいずれかの方向の不一致からの通信が安全な動作を妨げる可能性がある誤動作を示した場合、残りの要素は、ステアリングシステム2000から不合理な要素を除去するように応答し、車両の横方向の動きの制御を維持するために責任を再割り当てすることができる。
【0097】
前述の開示は、本開示を開示された正にその形態又は特定の使用分野に限定しようとするものではない。したがって、本明細書中に明示的に記載されるか又は暗示されるかにかかわらず、本開示に対する様々な別の実施形態及び/又は修正が本開示に照らして想定し得ると考えられる。このように本開示の実施形態を説明してきたが、当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく形態及び詳細に変更を行うことができる。したがって、本開示は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0098】
上記の明細書では、特定の実施形態を参照して本開示を説明した。しかしながら、当業者であれば分かるように、本明細書に開示される様々な実施形態は、本開示の思想及び範囲から逸脱することなく、様々な他の方法で修正又は実施することができる。したがって、この説明は、例示と見なされるべきであり、開示されたグローブボックス作動アセンブリの様々な実施形態を作成し使用する態様を当業者に教示する目的のためである。本明細書に示され説明される開示の形態は、代表的な実施形態として解釈されるべきであることを理解すべきである。同等の要素、材料、プロセス、又は、ステップが、ここで典型的に図示されて説明されるものと置き換えられてもよい。更に、本開示の特定の特徴は、本開示のこの説明の利益を受けた後に当業者に明らかであるように、他の特徴の使用とは無関係に利用されてもよい。本開示を説明して特許請求の範囲に記載するために使用される「含む(including)」、「備える(comprising)」、「組み込む(incorporating)」、「から成る(consisting of)」、「有する(have)」、「である(is)」などの表現は、非排他的な態様で解釈されること、すなわち、明示的に説明されていない項目、構成要素又は要素も存在できるようにすることを意図している。また、単数形への言及は、複数形にも関連すると解釈されるべきである。
【0099】
更に、本明細書に開示される様々な実施形態は、例示的且つ説明的な意味で解釈されるべきであり、決して本開示を限定するものと解釈されるべきではない。全ての接合についての言及(例えば、取り付け、固定、結合、接続など)は、読者の本開示の理解を助けるためにのみ使用され、特に本明細書に開示されるシステム及び/又は方法の位置、向き、又は使用に関して限定を生じさせるものではない。したがって、接合についての言及がある場合、それは広く解釈されるべきである。更に、そのような接合についての言及は、必ずしも2つの要素が互いに直接接続されているとは限らない。更に、これらに限定されないが、「第1」、「第2」、「第3」、「一次」、「二次」、「主」などの全ての数値的用語或いは任意の他の通常の及び/又は数値的用語も、本開示の様々な要素、実施形態、変形例及び/又は修正についての読者の理解を助けるための識別子としてのみ解釈されるべきであり、特に、他の要素、実施形態、変形及び/又は修正に対する又はそれを超える任意の要素、実施形態、変形及び/又は修正の順序又は選好に関していかなる制限をもたらし得ない。
【0100】
また、図面/図に描かれた要素のうちの1つ以上を特定の用途にしたがって有用であるようにより分離された又は統合された方法で実装することもでき或いは更には特定の場合には動作不能であるように除去する又はレンダリングすることもできるのが分かる。
【国際調査報告】