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特表2024-544230医療用デバイスを患者に固定するための機器、および、医療用デバイスを患者に固定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】医療用デバイスを患者に固定するための機器、および、医療用デバイスを患者に固定する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/04 20060101AFI20241121BHJP
   A61M 25/02 20060101ALI20241121BHJP
   A61M 60/126 20210101ALI20241121BHJP
【FI】
A61M25/04
A61M25/02 502
A61M60/126
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534198
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2022085066
(87)【国際公開番号】W WO2023105001
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21213759.0
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507116684
【氏名又は名称】アビオメド オイローパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニクス クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ブリマーズ クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】シビルスキー ダーフィト
【テーマコード(参考)】
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C077DD05
4C077DD21
4C267AA05
4C267AA17
4C267AA33
4C267BB04
4C267BB23
4C267BB26
4C267BB40
4C267CC08
4C267CC19
4C267HH08
(57)【要約】
外科的ガイドチューブ1、外科的ガイドチューブ1を含むキット、外科的ガイドチューブ1を含むシステム、外科的ガイドチューブ部分を含むクランピングユニット、および、外科的ガイドチューブを提供するステップを含む、患者の血管への血管アクセスを提供する方法が提供される。そこでは、外科的ガイドチューブ1は、本体部を含み、本体部は、近位端部と、遠位端部と、長手方向軸線を有するガイドルーメンとを有しており、ガイドルーメンは、本体部の近位端部から遠位端部へ延在しており、本体部2を通して医療用デバイス、とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテルを挿入するように構成されている。外科的ガイドチューブ1は、横向きエクステンション10をさらに含み、横向きエクステンション10は、平面的表面12a、12bを画定しており、平面的表面12a、12bは、患者の血管24と患者の皮膚との間において患者の筋膜26に取り付けられるように構成されている。とりわけ、横向きエクステンション10の平面的表面12a、12bは、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して、約30°から60°の、好ましくは45°の傾斜角度だけ傾斜されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管グラフト(20)の中へ挿入するように構成されている外科的ガイドチューブ(1)であって、前記外科的ガイドチューブ(1)は、
本体部(2)であって、前記本体部(2)は、近位端部(4)、遠位端部(6)、および、長手方向軸線(8)を有するガイドルーメンを有しており、前記ガイドルーメンは、前記本体部(2)の前記近位端部(4)から前記遠位端部(6)へ延在しており、前記本体部(2)を通して医療用デバイス、とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル(30)を挿入するように構成されている、本体部(2)と、
横向きエクステンション(10)であって、前記横向きエクステンション(10)は、前記本体部(2)から横向きに延在しており、平面的表面(12a、12b)を画定しており、前記平面的表面(12a、12b)は、患者の体内管(24)、好ましくは血管、さらに好ましくは腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つと前記患者の皮膚との間において、前記患者の筋膜(26)に取り付けられるように構成されている、横向きエクステンション(10)と
を含み、
前記横向きエクステンション(10)の前記平面的表面(12a、12b)は、前記ガイドルーメンの前記長手方向軸線(8)に対して、約30°から60°の、好ましくは45°の傾斜角度だけ傾斜されていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の外科的ガイドチューブ(1)であって、前記外科的ガイドチューブ(1)は、別個のクランピングパーツ(34)をさらに含み、前記クランピングパーツ(34)は、近位端部(36)と、遠位端部(38)と、前記クランピングパーツ(34)の前記近位端部(36)から前記遠位端部(38)へ延在するクランピングルーメンとを有しており、前記横向きエクステンション(10)は、取り外し不可能な様式で前記クランピングパーツ(34)に取り付けられており、好ましくは、前記クランピングパーツ(34)と一体的に形成されており、前記クランピングパーツ(34)は、前記本体部(2)の上にクランプするように構成されており、前記横向きエクステンション(10)の前記平面的表面(12a、12b)が前記ガイドルーメンの前記長手方向軸線(8)に対して前記傾斜角度だけ傾斜されるようになっていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の外科的ガイドチューブ(1)であって、前記クランピングパーツ(34)は、少なくとも2つのアーム(42)を含み、前記アーム(42)は、実質的に反対側の円周方向に延在しており、インターロッキングプロファイル(44)をそれぞれ提供されており、前記アーム(42)が互いに通り過ぎるように移動されるときに、前記クランピングルーメンの断面が狭くされるように配置されており、前記インターロッキングプロファイル(44)を介して互いにインターロックされることを特徴とする、外科的ガイドチューブ(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の外科的ガイドチューブ(1)であって、前記外科的ガイドチューブ(1)の遠位端部の周囲部は、前記ガイドルーメンの前記長手方向軸線(8)に対して約30°から60°だけ、好ましくは45°だけ傾斜されている平面の中に横たわっていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ(1)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の前記外科的ガイドチューブ(1)と、血管グラフト(20)とを含むキットであって、前記血管グラフト(20)は、前記外科的ガイドチューブ(1)の前記遠位端部をその中へ挿入するように構成されている近位端部と、前記血管グラフト(20)を患者の血管(24)に固定するように構成されている遠位端部(22)と、前記グラフト(20)の前記近位端部から前記グラフト(20)の前記遠位端部(22)へ延在するグラフトルーメンとを有しており、前記グラフトルーメンは、前記外科的ガイドチューブ(1)の遠位セクションを収容するように構成されていることを特徴とする、キット。
【請求項6】
請求項5に記載のキットであって、前記外科的ガイドチューブ(1)は、請求項2に定義されているような前記クランピングパーツ(34)を含み、前記クランピングパーツ(34)は、前記外科的ガイドチューブ(1)が前記グラフト(20)の中に挿入されている状態で、前記クランピングパーツ(34)を前記グラフト(20)の上にクランプすることによって、前記グラフト(20)を前記外科的ガイドチューブ(1)に固定するように構成されていることを特徴とする、キット。
【請求項7】
請求項5または6に記載のキットであって、前記キットは、医療用デバイス、とりわけ、カテーテル(30)をさらに含み、前記医療用デバイスは、前記外科的ガイドチューブ(1)の前記ガイドルーメンの中へおよび前記ガイドルーメンを通して前記医療用デバイスを挿入するように構成されており、前記外科的ガイドチューブ(1)は、好ましくは、前記医療用デバイスの外側表面の上にスライド可能であることを特徴とする、キット。
【請求項8】
医療用デバイスを患者の身体に固定するように構成されているシステムであって、前記システムは、
(a) 血管グラフト(20)の中へ挿入するように構成されている外科的ガイドチューブ(1)を含み、
前記外科的ガイドチューブ(1)は、
本体部(2)であって、前記本体部(2)は、近位端部(4)、遠位端部(6)、および、長手方向軸線(8)を有するガイドルーメンを有しており、前記ガイドルーメンは、前記本体部(2)の前記近位端部(4)から前記遠位端部(6)へ延在しており、前記本体部(2)を通して医療用デバイス、とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル(30)を挿入するように構成されている、本体部(2)と、
横向きエクステンション(10)であって、前記横向きエクステンション(10)は、前記本体部(2)から横向きに延在しており、平面的表面(12a、12b)を画定しており、前記平面的表面(12a、12b)は、患者の体内管(24)、好ましくは血管、さらに好ましくは腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つと前記患者の皮膚との間において、前記患者の筋膜(26)に取り付けられるように構成されている、横向きエクステンション(10)と
を含み、
また、前記システムは、
(b) フィクセイター(46)であって、前記フィクセイター(46)は、前記フィクセイター(46)を前記患者の皮膚に固定するように、および、前記医療用デバイスを前記患者の身体に保持するように構成されており、前記フィクセイター(46)は、中央本体部(48)と、前記中央本体部(48)から反対方向に延在する2つのフィクセイターウィング(50)とを有しており、それぞれのフィクセイターウィング(50)は、共通の方向に面する平面的表面を有している、フィクセイター(46)を含むことを特徴とする、システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記システムは、再位置決めユニット(54)をさらに含み、前記再位置決めユニット(54)は、近位端部(56)と、遠位端部(58)と、前記再位置決めユニット(54)の前記近位端部(56)から前記遠位端部(58)へ延在する再位置決めルーメンとを有しており、前記再位置決めルーメンは、前記再位置決めユニット(54)を通して前記医療用デバイスを挿入するように構成されており、前記再位置決めユニット(54)は、少なくとも1つのボタン(60)またはレバーを含み、前記ボタン(60)またはレバーは、前記再位置決めユニット(54)の外側からアクセス可能であり、好ましくは、前記再位置決めユニット(54)の円周方向外側表面まで突出しており、または、前記再位置決めユニット(54)の円周方向外側表面を通って延在しており、前記ボタン(60)またはレバーは、第1の状態において、前記医療用デバイスを前記再位置決めルーメンに対してその長手方向位置に保持するように構成されており、また、第2の状態において、前記ボタン(60)またはレバーの作動のときに前記医療用デバイスを解放するように構成されており、前記再位置決めルーメンに対する前記医療用デバイスの移動を可能にするようになっていることを特徴とする、システム。
【請求項10】
請求項8または9に記載のシステムであって、前記中央本体部(48)は、アーチ形のブリッジ(80)を形成しており、前記フィクセイター(46)が前記患者の皮膚に適用されているときに、前記医療用デバイスが前記中央本体部(48)と前記患者の皮膚との間を通過することができるようになっていることを特徴とする、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記システムは、固着グラフト(96)をさらに含み、前記固着グラフト(96)は、前記患者の皮膚の下に前記固着グラフト(96)を植え込むように構成されており、また、前記固着グラフト(96)を通して前記医療用デバイスを挿入するように構成されており、前記固着グラフト(96)は、好ましくは、前記固着グラフト(96)の外側表面の上にベロアを含み、前記ベロアは、前記皮膚の下の組織がその中へ成長するように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項12】
請求項8または9に記載のシステムであって、エクステンションルーメンを有するチューブ状エクステンション(66)が、前記外科的ガイドチューブ(1)の前記近位端部において、前記外科的ガイドチューブ(1)に取り付けられており、好ましくは、前記外科的ガイドチューブ(1)と一体的に形成されており、前記エクステンションルーメンは、前記チューブ状エクステンション(66)を通して前記医療用デバイスを挿入するように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項13】
請求項9を含む請求項12に記載のシステムであって、前記システムは、接続部分(74)をさらに含み、前記接続部分(74)は、前記接続部分(74)を通して前記医療用デバイスを挿入するように構成されている接続ルーメンを有しており、前記接続部分(74)は、前記チューブ状エクステンション(66)を前記再位置決めユニット(54)に接続しており、前記接続部分(74)は、低減された外径を有するセクションを有しており、前記セクションは、前記再位置決めユニット(54)と前記チューブ状エクステンション(66)との間に位置決めされており、前記再位置決めユニット(54)と前記チューブ状エクステンション(66)との間にウエスト部分(76)を形成するようになっていることを特徴とする、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、前記フィクセイター(46)の前記中央本体部(48)は、アーチ形のブリッジ(80)を形成しており、前記フィクセイター(46)が前記患者の皮膚に適用されているときに、前記ウエスト部分(76)が前記中央本体部(48)と前記患者の皮膚との間を通過することができるようになっていることを特徴とする、システム。
【請求項15】
患者の身体に医療用デバイス、とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル(30)を固定するように構成されているクランピングユニット(100)であって、前記クランピングユニット(100)は、チューブ状本体部(102)を有しており、前記チューブ状本体部(102)は、近位端部(104)と、遠位端部(106)と、ルーメンとを備えており、前記ルーメンは、前記チューブ状本体部(102)の前記近位端部(104)から前記遠位端部(106)へ延在しており、前記チューブ状本体部(102)を通して前記医療用デバイスを挿入するように構成されており、前記チューブ状本体部(102)は、
前記チューブ状本体部(102)の前記遠位端部(106)にある外科的ガイドチューブ部分(108)であって、前記外科的ガイドチューブ部分(108)は、前記外科的ガイドチューブ部分(108)を血管グラフト(20)の中へ挿入するように構成されている、外科的ガイドチューブ部分(108)と、
横向きエクステンション(110)であって、前記横向きエクステンション(110)は、平面的表面(112a、112b)を画定しており、前記平面的表面(112a、112b)は、患者の体内管(24)、好ましくは血管、さらに好ましくは腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つと前記患者の皮膚との間において、前記患者の筋膜(26)に取り付けられるように構成されており、前記横向きエクステンション(110)は、前記外科的ガイドチューブ部分(108)の近位に提供されている、横向きエクステンション(110)と
前記横向きエクステンション(110)の近位に提供されているハンドリング部分(114)と、
回転可能なチューブ(116)であって、前記回転可能なチューブ(116)は、前記回転可能なチューブ(116)を通して前記医療用デバイスを挿入するように構成されており、前記回転可能なチューブ(116)は、前記チューブ状本体部(102)の前記ルーメンの内側に提供されており、第1のレバー(118)または第1のボタンに動作可能に接続されており、前記第1のレバー(118)または第1のボタンは、前記ハンドリング部分(114)の外側からアクセス可能であり、好ましくは、前記ハンドリング部分(114)の外側表面まで突出しており、または、前記ハンドリング部分(114)の外側表面を通って延在しており、前記第1のレバー(118)または第1のボタンの作動が、前記回転可能なチューブ(116)の長手方向軸線の周りでの前記回転可能なチューブ(116)の回転を非ツイスティング様式で引き起こすようになっている、回転可能なチューブ(116)と、
可撓性のチューブ状フォイル部分(120)であって、前記フォイル部分(120)は、前記フォイル部分(120)を通して前記医療用デバイスを挿入するように構成されており、前記フォイル部分(120)は、前記チューブ状本体部(102)の前記ルーメンの内側に提供されており、前記フォイル部分(120)の近位接続部分(122)において前記回転可能なチューブ(116)に回転不可能な様式で固定されており、前記フォイル部分(120)は、前記フォイル部分(120)の遠位接続部分(124)において前記チューブ状本体部(102)の前記ルーメンに回転不可能な様式でさらに固定されており、それによって、前記回転可能なチューブ(116)が第1の方向に回転させられるときに、前記フォイル部分(120)がツイストすることを引き起こし、また、前記回転可能なチューブ(116)が前記第1の方向に回転させられた後に、前記回転可能なチューブ(116)が前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させられるときに、前記回転可能なチューブ(116)がアンツイストすることをそれぞれ引き起こす、可撓性のチューブ状フォイル部分(120)と
を含むことを特徴とする、クランピングユニット(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用デバイス(とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル)を患者に固定するための外科的ガイドチューブ、キット、システム、およびクランピングユニット、ならびに、医療用デバイス(とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル)を患者に固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の心臓をサポートするために血管内血液ポンプが、心臓の中に設置されており、左心室または右心室の中へ延在するようになっている。血管内血液ポンプは、カテーテルと、カテーテルの遠位端部に取り付けられているポンピングデバイスとを含む。ポンピングデバイスは、ポンプセクションと、ポンプセクションの中のインペラーを駆動するための駆動セクションとを含む。電気配線が、カテーテルを通して駆動セクションの電気モーターを患者の身体の外側の外部電源と接続するか、または、カテーテルを通って走る可撓性の駆動ケーブルが、駆動セクションを外部モーターと接続するかのいずれかである。ポンプセクションは、インペラーに加えて、血液フロー入口部および血液フロー出口部を含み、血液フロー入口部(または、フロー方向に応じて、出口部)は、インペラーの遠位に配置され得るカニューレの遠位端部に位置決めされることが可能である。ポンプセクションの遠位端部に取り付けられている軟質の可撓性のエクステンション(extension)は、血管内血液ポンプを補完することが可能である。
【0003】
とりわけ、心臓の左心室の中で動作される血管内血液ポンプは、大動脈弁を横切って設置されており、すなわち、ポンプセクションは、大動脈から左心室の中へ延在している。外科的処置において、ポンプセクションは、鎖骨下動脈または腋窩動脈を介して、大動脈および左心室の中へ導入される。この目的のために、血管グラフト(graft)は、たとえば吻合によって、鎖骨下動脈または腋窩動脈に取り付けられ、次いで、ポンプは、グラフトを通して鎖骨下動脈/腋窩動脈の中へ大動脈弓に向けて導入され、最後に大動脈弁を横切って左心室の中へ導入される。
【0004】
ポンプセクションが心臓弁を横切って設置されると、カテーテルの上にスライド可能に装着されている再位置決めユニットのプラグ部分は、グラフトの中へ押し込まれ、次いで、グラフトにその遠位端部部分によって固定され、(たとえば、肩領域における)患者の皮膚の外側表面にその近位端部部分によって固定される。たとえば、再位置決めユニットは、2つの横向きエクステンションを有するバタフライ固着(fixation)を含み、2つの横向きエクステンションは、縫合糸またはテーピングによって患者の皮膚の上に固定されることが可能であり、それによって、再位置決めユニットと患者の皮膚との間の相対的な移動を防止する。さらに、再位置決めユニットが意図された位置に設置されると、ポンプのカテーテルは、再位置決めユニットの内側に固定され、再位置決めユニットとカテーテルとの間の相対的な移動が起こらないようになっている。
【0005】
しかし、再位置決めユニットおよびカテーテルの上述の固着は、一方では、再位置決めユニットと患者の皮膚との間の相対的な移動を防止し、他方では、カテーテルと再位置決めユニットとの間の相対的な移動を防止するが、患者の肩(すなわち、肩領域における皮膚)の任意の移動は、カテーテルが設置されている鎖骨下動脈/腋窩動脈の内側でのカテーテルの移動につながる可能性がある。これは、患者が肩を移動させる場合には、再位置決めユニット(カテーテルは再位置決めユニットの内側に固定されている)に固定されている皮膚部分も移動する可能性があり、それによって、血管の内側でのカテーテルの移動が引き起こされる可能性があり、最後に、心臓の中でのポンプの配置変化(dislocation)が引き起こされる可能性があるということ意味している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、先行技術の不利益を解決するかまたは少なくとも緩和し、とりわけ、肩の移動の結果としてのポンプ配置変化を防止するかまたは少なくとも低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、添付の独立請求項による外科的ガイドチューブ、キット、システム、クランピングユニット、および方法が提供される。
【0008】
本開示の第1の態様によれば、外科的ガイドチューブを通して医療用デバイス(たとえば、血管内血液ポンプのカテーテル)を挿入するためのルーメンを有する外科的ガイドチューブが提供される。外科的ガイドチューブは、皮膚と医療用デバイスがその中へ導入されることとなる血管(たとえば、腋窩動脈および鎖骨下動脈)との間に位置付けされている患者の深筋膜に固定されるように適合されている。この目的のために、外科的ガイドチューブは、その近位端部において固着部分を含み、筋膜は、縫合およびクランプ(clamping)することなどによって、固着部分に固定されることが可能である。外科的ガイドチューブの遠位端部は、ターゲット血管に接続されている血管グラフトに取り付けられることが可能であり、医療用デバイスが血管の中に挿入されるために血管へのアクセスを提供する。血管グラフトは、たとえば吻合によって血管に固定されることが可能である。血管へのアクセスポイントが患者の肩の領域にある場合には、外科的ガイドチューブの幾何学形状を肩の解剖学的構造に適合させることが有益である。この目的のために、外科的ガイドチューブの固着部分は、医療用デバイスがそれを通してガイドされることとなるそのルーメンの長手方向軸線に対して角度を付けられており、固着部分が、可能な限り自然に、すなわち、深筋膜の自然なコースを実質的に引き伸ばすか、ツイストさせるか、またはその他の方法で変形させることなく、血管アクセスと患者の皮膚との間の深筋膜に接触させられて固定されることが可能であるようになっている。
【0009】
具体的には、血管グラフトの中へ挿入するように構成されている外科的ガイドチューブであって、外科的ガイドチューブは、本体部を含み、本体部は、チューブ状の(とりわけ、線形の)形状を有することが可能であり、本体部は、長手方向軸線を有するガイドルーメンと、近位端部と、遠位端部とを有している、外科的ガイドチューブが提供される。ガイドルーメンは、本体部の近位端部から遠位端部へ延在しており、本体部を通して医療用デバイス(とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル)を挿入するように構成されている。外科的ガイドチューブの本体部は、横向きエクステンションをさらに含み、横向きエクステンションは、本体部から横向きに延在しており、平面的表面を画定しており、平面的表面は、患者の体内管、好ましくは血管、さらに好ましくは腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つと患者の皮膚との間において、患者の筋膜に取り付けられるように構成されている。特定の筋膜は、好ましくは、血管を取り囲んでいるか、または、血管に隣接して延在している。横向きエクステンションの平面的表面は、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して、約30°から60°の、好ましくは40°から50°の、より好ましくは45°の傾斜角度だけ傾斜されている。好ましくは、平面的表面の上の任意の表面法線は、ガイドルーメンの長手方向軸線と交差しない。
【0010】
前記傾斜角度によって、横向きエクステンションの平面的表面への深筋膜の固着の間に患者の深筋膜の自然なコースを引き伸ばすか、ツイストさせるか、またはその他の方法で変形させることは、たとえば肩の領域における腋窩動脈または鎖骨下動脈に外科的ガイドチューブが適用されるときに、防止されるかまたは少なくとも低減されることが可能である。外科的ガイドチューブは患者の深筋膜に固定されているので、外科的ガイドチューブは、完全に皮膚の下に位置決めされることが可能である。筋膜は、患者の身体の筋肉、骨、神経、および血管を取り囲む高密度の結合組織の層である。血管の非常に近くに延在する深筋膜の間に、最小の相対的な移動が存在している。したがって、皮膚の下の深筋膜への外科的ガイドチューブの固着は、ポンプ配置変化を最小化する。その理由は、患者の肩領域における皮膚の移動が、外科的ガイドチューブの移動を必ずしも引き起こすとは限らないからであり、すなわち、外科的ガイドチューブを通して血管の中へ挿入される医療用デバイスの移動が防止され得るからである。したがって、血管内血液ポンプの配置変化のリスクが低減されることが可能である。
【0011】
そこでは、横向きエクステンションは、好ましくは、それが軸線を含むように配置されており、その軸線は、横向きエクステンションの平面的表面の中に横たわっており、ガイドルーメンの長手方向軸線を通って直交して延在している。とりわけ、ガイドルーメンの長手方向軸線を通って直交して延在する平面的表面の軸線は、仮想回転軸線を構成しており、平面的表面は、ガイドルーメンの長手方向軸線が平面的表面に対して垂直に配向されることとなる位置から、ガイドルーメンの長手方向軸線が平面的表面に対して前記傾斜角度だけ(90°以外の)所定の角度で配向されている実際の傾斜位置へ、仮想回転軸線の周りに事実上回転させられている。
【0012】
好ましくは、横向きエクステンションは、取り外し不可能な様式で本体部に取り付けられており、好ましくは、本体部と一体的に形成されている。それによって、横向きエクステンションの位置は、予め決定されており、外科的ガイドチューブのハンドリングは、簡単化されることが可能である。
【0013】
代替的に、外科的ガイドチューブは、別個のクランピングパーツ(すなわち、取り外し不可能な様式で本体部に取り付けられているのではなく、外科的ガイドチューブの本体部から独立しているクランピングパーツ)を含むことが可能である。クランピングパーツは、近位端部と、遠位端部と、クランピングパーツの近位端部から遠位端部へ延在するクランピングルーメンとを有しており、横向きエクステンションは、取り外し不可能な様式でクランピングパーツに取り付けられており、好ましくは、クランピングパーツと一体的に形成されており、クランピングパーツは、外科的ガイドチューブの本体部の上にまたはその周りにクランプするように構成されており、横向きエクステンションの平面的表面が、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して前記傾斜角度だけ傾斜されているようになっている。それによって、外科的ガイドチューブの長手方向軸線に沿った横向きエクステンションの位置は、外科医によって個別に決定されることが可能である。すなわち、外科医は、外科的ガイドチューブの長手方向軸線に沿った所望の位置にクランピングパーツを設置することが可能である。
【0014】
好適な実施形態において、クランピングパーツは、クランピングパーツのクランピングルーメンの長手方向軸線が外科的ガイドチューブのガイドルーメンの長手方向軸線に対して平行になるように、外科的ガイドチューブの本体部の上にまたはその周りにクランプするように構成されている。これは、横向きエクステンションの平面的表面が、クランピングパーツのクランピングルーメンの長手方向軸線に対して約30°から60°だけ傾斜されているということ意味している。
【0015】
さらに好ましくは、クランピングパーツは、外科的ガイドチューブの本体部の上にまたはその周りにクランプされているときに、とりわけ、外科的ガイドチューブの上に提供されている2つのバンプ(bump)(とりわけ、隣接するバンプ)間において、または、バンプと隣接するバルジ(bulge)(より詳細に下記に説明されている)との間において、クランピングパーツが外科的ガイドチューブの長手方向位置に設置されているときに、外科的ガイドチューブのガイドルーメンの直径を低減させるように構成されている。換言すれば、クランピングパーツは、外科的ガイドチューブの本体部の上にまたはその周りにクランプされているときに、ガイドルーメンの断面を低減させる。それによって、医療用デバイスは、医療用デバイスがガイドルーメンの中に挿入されるときに、ガイドルーメンに対してその長手方向位置に保持されることが可能である。好適な実施形態において、クランピングパーツは、少なくとも2つのアームを含み、アームは、実質的に反対側の円周方向に延在しており、インターロッキングプロファイルをそれぞれ提供されており、アームがそれぞれの円周方向に互いに通り過ぎるように移動されるときに、クランピングルーメンの断面が狭くされるように配置されており、インターロッキングプロファイルを介して互いにインターロックされる。具体的には、インターロッキングプロファイル(interlocking profile)は、ラチェットメカニズム(ratchet mechanism)を形成することが可能である。
【0016】
好適な実施形態において、前記横向きエクステンションのうちの2つが提供されており、それらは、好ましくは、互いにミラー対称的に配置されている。2つの横向きエクステンションは、2つのウィングを形成しており、2つのウィングは、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して反対側の半径方向に延在している。好ましくは、ウィングがそこから半径方向に延在する外科的ガイドチューブの位置において、ガイドルーメンの長手方向軸線と横向きエクステンションのそれぞれの半径方向に最も外側の縁部との間の距離は、約5mmから約19mmの間にあり、好ましくは約8mmから約16mmの間にあり、さらに好ましくは約12mmである。このように、横向きエクステンションのそれぞれの最も外側の縁部をガイドルーメンの長手方向軸線の可能な限り近くに維持しながら、患者の筋膜を横向きエクステンションの平面的表面に取り付けるための十分に大きなエリアが提供されることが可能である。
【0017】
好ましくは、横向きエクステンションが(ガイドチューブの長手方向軸線に対して)半径方向に延在する長さは、少なくとも3mmである。とりわけ好ましくは、前記長さは、3mmから10mmの間にあり、さらにより好ましくは約5mmである。さらに好ましくは、半径方向に対して垂直の方向への横向きエクステンションの延在は、少なくとも3mmであり、とりわけ好ましくは3mmから10mmの間にあり、さらにより好ましくは約5mmである。さらに好ましくは、横向きエクステンションの表面積は、少なくとも9mmであり、とりわけ好ましくは9mmから100mmの間にあり、さらにより好ましくは約25mmである。横向きエクステンションが、横向きエクステンションの表面積に開口する1つ以上の開口部(aperture)を含むケースでは、1つ以上の開口部の開口面積は、横向きエクステンションの表面積の中に含まれると考えられる。さらに好ましくは、横向きエクステンションが半径方向に延在する長さ、および、半径方向に対して垂直の方向への横向きエクステンションの延在は、おおよそ同じである。そのような寸法決めされた横向きエクステンションは、患者の筋膜への横向きエクステンションの容易で安全な取り付けを可能にする。
【0018】
好ましくは、外科的ガイドチューブの本体部は、5mmから10mmの間の、より好ましくは6mmから9mmの間の、さらにより好ましくは約8mmの外径を有している。本体部の内径(すなわち、ガイドルーメンの直径)は、好ましくは4mmから9mmの間にあり、より好ましくは5mmから8mmの間にあり、さらにより好ましくは6mmから7mmの間にある。このように、外科的ガイドチューブは、カテーテルベースの医療用デバイス(たとえば、心臓ポンプなど)とともに使用するのにとりわけ適切である。
【0019】
好ましくは、横向きエクステンションが半径方向に延在する長さは、外科的ガイドチューブの本体部の外径の0.6倍から1倍の間にあり、より好ましくは外科的ガイドチューブの本体部の外径の0.8倍である。
【0020】
これらの寸法は、筋膜への横向きエクステンションの容易な取り付けを可能にし、同時に、血管グラフトの中への外科的ガイドチューブの容易な挿入を可能にする。
【0021】
好ましくは、外科的ガイドチューブのその軸線方向への長さは、10mmから30mmの間にあり、より好ましくは15mmから25mmの間にあり、さらにより好ましくは約20mmである。これは、外科的ガイドチューブを血管(医療用デバイスのためのアクセスが血管の中に提供される)と患者の皮膚との間に配置されるのにとりわけ適切なものにする。
【0022】
好ましくは、横向きエクステンションは、筋膜への固着のための取り付けポイント(たとえば、1つ以上の開口部、凹部、または突出部など)を含む。たとえば、横向きエクステンションは、開口部(より好ましくは、前記開口部の2つ以上)を含み、開口部は、それを通して縫合糸またはクランプを挿入するように構成されており、(たとえば縫合またはクランプすることによる)患者の筋膜への外科的ガイドチューブの取り付けを促進させるようになっている。とりわけ、開口部の長手方向軸線は、横向きエクステンションの平面的表面に対して実質的に垂直方向に延在している。そこでは、開口部は、横断方向断面において実質的にD字形状になっていることが可能である。
【0023】
さらに好ましくは、横向きエクステンションは、外科的ガイドチューブの近位端部に配置されている。とりわけ、横向きエクステンションは、外科的ガイドチューブの近位端部を形成することが可能である。それによって、外科的ガイドチューブの合計長さは、短く維持されることが可能である。代替的に、近位バルジは、本体部を取り囲み、外科的ガイドチューブの近位端部を形成しており、近位バルジは、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有している。これは、横向きエクステンションが別個のクランピングパーツの上に提供されるときに、とりわけ有用である。
【0024】
好適な実施形態において、外科的ガイドチューブは、その本体部から半径方向に延在する1つ以上の円周方向バンプを提供されており、前記バンプのそれぞれは、本体部を取り囲んでおり、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有している。バンプは、ガイドルーメンの長手方向軸線に沿って間隔を離して配置された関係で配置されることが可能である。換言すれば、近隣の円周方向バンプは、ガイドルーメンの長手方向軸線に沿って互いに対して所定の距離を伴って配置されている。円周方向バンプは、外科的ガイドチューブがその遠位端部によって血管グラフトの中へ挿入されるときに、外科的ガイドチューブと血管グラフトとの間にシールを提供するのに有用である。また、円周方向バンプは、別個のクランピングパーツのための予め決定されたクランピング位置を提供する。これらの目的のために、前記円周方向バンプのうちの少なくとも2つが存在しているということ、および、それらがガイドルーメンの長手方向軸線に沿って互いに平行に整合されているか、同じ外径を有しているか、または、その両方であることが好適である。さらに好適には、円周方向バンプのうちのいくつかまたはすべては、横向きエクステンションの遠位において外科的ガイドチューブの上に位置決めされており、好ましくは少なくとも2つの遠位に位置決めされている円周方向バンプが存在しており、前記少なくとも2つの遠位に位置決めされている円周方向バンプは、ガイドルーメンの長手方向軸線に沿って互いに平行に整合されているか、同じ外径を有しているか、または、その両方である。
【0025】
好ましくは、遠位バルジは、本体部を取り囲み、外科的ガイドチューブの遠位端部を形成しており、遠位バルジは、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有している。これは、シーリング特性を改善し、横向きエクステンションが別個のクランピングパーツの上に提供されるときに有用である可能性がある。さらに好ましくは、前記遠位バルジの近位に位置決めされている円周方向バンプのすべては、ガイドルーメンの長手方向軸線に沿って互いに平行に整合されているか、同じ外径を有しているか、または、その両方である。また、好ましくは、横向きエクステンションと前記遠位バルジとの間に位置決めされている円周方向バンプのすべては、ガイドルーメンの長手方向軸線に沿って互いに平行に整合されているか、同じ外径を有しているか、または、その両方である。
【0026】
具体的には、外科的ガイドチューブの遠位端部の周囲部は、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して約30°から60°だけ、好ましくは40°から50°だけ、さらに好ましくは45°だけ傾斜されている平面の中に横たわっていることが可能である。それによって、外科的ガイドチューブは、ターゲット部位(たとえば、患者の肩)の解剖学的構造にさらに適合されることが可能である。さらに、平面は、好ましくは、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して、横向きエクステンションの平面的表面と同じ方向に、および、好ましくは同じ傾斜角度だけ傾斜されている。換言すれば、外科的ガイドチューブの遠位端部が横たわっている平面、および、外科的ガイドチューブの横向きエクステンションの平面的表面は、好ましくは平行になっている。
【0027】
好適な実施形態において、外科的ガイドチューブの上の円周方向バンプは、そのガイドルーメンの長手方向軸線と同心円状に配置されており、ガイドルーメンの長手方向軸線に対するバンプのそれぞれの外径は、外科的ガイドチューブの本体部の外径よりも約0.8倍から約1.8倍大きく、好ましくは約1倍から約1.6倍大きく、さらに好ましくは約1.3倍大きい。具体的には、円周方向バンプは、約9mmの外径を有することが可能であり、外科的ガイドチューブの本体部は、約7mmの外径を有することが可能である。これは、バンプが好ましくは同じ外側寸法を有しているということ意味している。これは、血管グラフトの中への外科的ガイドチューブの挿入を促進させ、たとえば後に説明される追加的な固定手段に対して良好なシーリングおよび固定特性を提供する。また、好ましくは、外科的ガイドチューブの本体部は、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して一定の外径を有している。
【0028】
とりわけ、外科的ガイドチューブの円周方向バンプのすべては、クランピングパーツの近位端部から遠位端部への距離よりも大きい共通の相互距離において、そのガイドルーメンの長手方向軸線に沿って位置決めされている。さらに好ましくは、(a)外科的ガイドチューブの近位端部と外科的ガイドチューブの近位端部の最も近くに位置付けされている円周方向バンプのうちの1つとの間の距離、および、(b)外科的ガイドチューブの遠位端部と外科的ガイドチューブの遠位端部の最も近くに位置付けされている円周方向バンプのうちの1つとの間の距離のうちの少なくとも1つは、クランピングパーツの近位端部から遠位端部への距離よりも大きい。これは、別個のクランピングパーツに対して大きい数の予め決定されたクランピング位置を可能にする。
【0029】
本開示の第2の態様によれば、上記に説明されているような外科的ガイドチューブと、血管グラフトとを含むキットであって、血管グラフトは、たとえばダクロン(Dacron)から作製されることが可能である、キットが提供される。血管グラフトは、近位端部と、たとえば吻合によって血管グラフトを患者の血管に固定するように構成されている遠位端部と、血管グラフトの近位端部から遠位端部へ延在するグラフトルーメンとを有しており、グラフトルーメンは、血管グラフトの近位端部の中に外科的ガイドチューブの遠位セクションを収容するように構成されている。
【0030】
好ましくは、外科的ガイドチューブは、上記に説明されているような1つ以上の円周方向バンプを含み、グラフトルーメンの内径は、円周方向バンプ(とりわけ、最大外径を有する円周方向バンプ)の外径の1倍から約1.2倍の間にある。具体的には、グラフトルーメンは、約10mmの内径を有することが可能であり、円周方向バンプは、約9mmの外径を有することが可能である。これは、血管グラフトの中への外科的ガイドチューブの挿入を促進させ、たとえば後に説明される追加的な固定手段に対して良好なシーリングおよび固定特性を提供する。
【0031】
好適な実施形態において、外科的ガイドチューブは、上記に説明されているようなクランピングパーツを含み、クランピングパーツは、外科的ガイドチューブがグラフトの中に挿入されている状態で、クランピングパーツをグラフトの上にクランプすることによって、血管グラフトを外科的ガイドチューブに固定するように構成されている。それによって、グラフトおよび外科的ガイドチューブは、互いに固定され、グラフトと外科的ガイドチューブとの間のクリアランスまたはギャップは閉鎖され、外科的ガイドチューブに対してグラフトをシールするようになっており、血液が前記クリアランスを通って流れることを回避するようになっている。そこでは、クランピングパーツは、好ましくは、外科的ガイドチューブのガイドルーメンの直径を低減させるように構成されており、すなわち、外科的ガイドチューブがグラフトの中に挿入されている状態で血管グラフトの上にクランピングパーツをクランプすることによって、ガイドルーメンの断面を狭くするように構成されている。クランプすることは、好ましくは、2つの隣接するバンプの間において、近位バルジと近位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、または、遠位バルジと外科的ガイドチューブの遠位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、所定の長手方向位置において起こる。このように、ガイドルーメンの中へ医療用デバイスを挿入した後に、医療用デバイスは、ガイドルーメン(すなわち、外科的ガイドチューブ)に対して固定位置に保持されることが可能である。換言すれば、医療用デバイスは、ガイドルーメンの内側で移動することを防止される。
【0032】
キットは、少なくとも1つの縫合糸および少なくとも1つの固定クランプのうちの少なくとも1つをさらに含むことが可能であり、それは、とりわけ、2つの近隣のバンプの間において、近位バルジと近位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、または、遠位バルジと外科的ガイドチューブの遠位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、所定の長手方向位置において、外科的ガイドチューブがグラフトの中に挿入されているときに、外科的ガイドチューブの本体部の外側周囲部に血管グラフトを固定するように構成されている。好ましくは、縫合糸または固定クランプは、グラフトの直径を低減させるように構成されており、すなわち、外科的ガイドチューブがグラフトの中に挿入されている状態でそれをグラフトに適用することによって、とりわけ、近隣のバンプの外径、近位バルジおよび近位バルジの最も近くに位置付けされているバンプの外径、または、遠位バルジおよび遠位バルジの最も近くに位置付けされているバンプの外径よりも小さい低減された直径まで、グラフトルーメンの断面を狭くするように構成されている。それによって、グラフトの内側の外科的ガイドチューブは、グラフトに固定され、外科的ガイドチューブの外側表面とグラフトの内側壁部との間のクリアランスは、低減されるかまたは閉鎖される。
【0033】
好ましくは、固定クランプは、血管グラフトのガイドルーメンの直径を低減させるように構成されており、すなわち、とりわけ、2つの近隣のバンプの間において、近位バルジと近位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、または、遠位バルジと外科的ガイドチューブの遠位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、所定の長手方向位置において、外科的ガイドチューブがグラフトの中に挿入されている状態で固定クランプをグラフトに適用することによって、ガイドルーメンの断面を狭くするように構成されている。このように、外科的ガイドチューブのガイドルーメンの中へ医療用デバイスを挿入した後に、医療用デバイスは、固定クランプによって、ガイドルーメンに対して(すなわち、外科的ガイドチューブに対して)固定された相対的な位置において保持されることが可能である。換言すれば、医療用デバイスは、外科的ガイドチューブのガイドルーメンの内側で移動することを防止される。
【0034】
好適な実施形態において、キットは、医療用デバイス(とりわけ、カテーテル)を含むことが可能であり、医療用デバイスは、外科的ガイドチューブのガイドルーメンの中へおよびそれを通して医療用デバイスを挿入するように構成されており、外科的ガイドチューブは、好ましくは、医療用デバイスの外側表面の上でスライド可能である。さらに、キットは、血管内血液ポンプを含むことが可能であり、血管内血液ポンプは、医療用デバイス(カテーテル)にそれを接続するように構成されており、また、血管グラフトを通して患者の血管の中へそれを挿入するように構成されている。医療用デバイスがカテーテルである場合には、カテーテルが約55Dのカテーテルショア硬度で作製されるようにすることが好ましい。外科的ガイドチューブは、約60Aの硬度で作製されることが可能である。カテーテルは、たとえば、ポリウレタンまたはテフロン(Teflon)またはシリコーンから作製されることが可能である。好ましくは、カテーテルは、約2mmから約5mmの、とりわけ約3mmの外径を有しており、それは、小さな皮膚アクセスポートを可能にし、したがって、感染を防止する。
【0035】
本開示の第3の態様によれば、医療用デバイスを患者の身体に固定するように構成されているシステムが提供される。システムは、血管グラフトの中へ挿入するように構成されている外科的ガイドチューブを含む。外科的ガイドチューブは、本体部を含み、本体部は、チューブ状の(とりわけ、線形の)形状を有することが可能であり、本体部は、近位端部と、遠位端部と、長手方向軸線を有するガイドルーメンとを有しており、ガイドルーメンは、近位端部から遠位端部へ延在しており、ガイドルーメンを通して医療用デバイス(とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル)を挿入するように構成されている。外科的ガイドチューブは、横向きエクステンションをさらに含み、横向きエクステンションは、本体部から横向きに延在しており、平面的表面を画定しており、平面的表面は、患者の体内管、好ましくは血管、さらに好ましくは腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つと患者の皮膚との間において、患者の筋膜に取り付けられるように構成されている。筋膜は、好ましくは、血管を取り囲み、または、血管に隣接して延在している。さらに、システムは、フィクセイター(fixator)を含み、フィクセイターは、患者の皮膚に固定されるように構成されており、また、患者の身体に対して医療用デバイスを保持するように構成されている。フィクセイターは、中央本体部と、中央本体部から反対方向に延在する2つのフィクセイターウィングとを有しており、それぞれのフィクセイターウィングは、平面的表面を有しており、平面的表面は、共通の方向に面している。
【0036】
それによって、前記システムの一部は、皮膚の下に(すなわち、アクセス血管と皮膚との間の患者の深筋膜に)固定されることが可能であり、システムの別の一部は、患者の皮膚の外側表面の上に固定されることが可能であり、患者の身体の上での医療用デバイスの安全な固着を可能にする。
【0037】
そこでは、外科的ガイドチューブは、本開示の第1および第2の態様を参照して上記に説明されている特徴のいずれか1つを含むことが可能である。たとえば、本開示の第1の態様による外科的ガイドチューブにおいて、外科的ガイドチューブの横向きエクステンションの平面的表面は、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して、約30°から60°の、好ましくは40°から50°の、さらに好ましくは45°の傾斜角度だけ傾斜されている。しかし、これは、本開示のこの第3の態様によるシステムにおける外科的ガイドチューブの必要な特徴ではなく、本開示から逸脱することなくシステムから省略されることが可能である。
【0038】
さらに、本開示のこの第3の態様によるシステムは、本開示の第2の態様を参照して上記に説明されているようにキットの特徴のいずれか1つを含むことが可能である。たとえば、システムは、キットの上述の構成による血管グラフト、縫合糸、固定クランプ、医療用デバイス、および血管内血液ポンプを含むことが可能である。
【0039】
システムの好適な実施形態において、2つのフィクセイターウィングのそれぞれは、少なくとも1つの開口部(好ましくは、2つ以上の開口部)を含み、開口部は、それを通して縫合糸またはクランプを挿入するように構成されており、(たとえば、縫合糸またはクランプによって)フィクセイターウィングを患者の皮膚の外側表面に取り付けるようになっている。さらに好ましくは、フィクセイターウィングの平面的表面は、平面的表面を患者の皮膚に粘着させるように構成されている接着剤によって、少なくとも部分的にまたは完全にカバーされている。このように、患者の皮膚へのフィクセイターウィングの取り付けが促進される。
【0040】
好ましくは、システムは、再位置決めユニットを含み、再位置決めユニットは、近位端部と、遠位端部と、再位置決めユニットの近位端部から遠位端部へ延在する再位置決めルーメンとを有しており、再位置決めルーメンは、それを通して医療用デバイスを挿入するように構成されている。再位置決めユニットは、少なくとも1つのボタンまたはレバーを含み、ボタンまたはレバーは、再位置決めユニットの外側からアクセス可能であり、好ましくは、再位置決めユニットの円周方向外側表面まで突出しており、または、再位置決めユニットの円周方向外側表面を通って延在している。ボタンまたはレバーは、第1の状態において、医療用デバイスを再位置決めルーメンに対してその長手方向位置に保持するように構成されており、また、第2の状態において、ボタンまたはレバーの作動のときに医療用デバイスを解放するように構成されており、再位置決めルーメンの内側での医療用デバイスの移動を可能にするようになっている。そのような再位置決めユニットは、医療用デバイスの解放可能な固着を可能にし、すなわち、外科医は、必要に応じて医療用デバイスを固着および解放することが可能である。
【0041】
好ましくは、フィクセイターの中央本体部は、近位端部と、遠位端部と、中央本体部の近位端部から遠位端部へ延在するフィクセイタールーメンとを有しており、フィクセイタールーメンは、中央本体部を通して医療用デバイスを挿入するために構成されている。それによって、医療用デバイスは、フィクセイターが患者の皮膚に取り付けられた状態でフィクセイタールーメンの内側でガイドされて保持されることが可能である。
【0042】
さらに好適には、エクステンションルーメンを有するチューブ状エクステンションは、中央本体部の遠位端部においてフィクセイターの中央本体部に取り付けられており、好ましくは、中央本体部と一体的に形成されており、チューブ状エクステンションを通して医療用デバイスを挿入するように構成されている。それによって、医療用デバイスは、フィクセイターが患者の皮膚に取り付けられた状態でエクステンションルーメンの内側でガイドされて保持されることが可能である。
【0043】
とりわけ、再位置決めユニットは、中央本体部の近位端部に取り付けられることが可能である。そこでは、エクステンションルーメン、フィクセイタールーメン、および再位置決めルーメンは、同軸に整合されており、好ましくは、同じ直径を有しており、それは、前記ルーメンを通した医療用デバイスの挿入を促進させる。
【0044】
好ましくは、システムは、エクステンションルーメン、フィクセイタールーメン、および再位置決めルーメンを通して挿入可能な医療用デバイスをさらに含み、チューブ状エクステンション、フィクセイター、および再位置決めユニットは、再位置決めユニットのボタンまたはレバーが作動されるときに、医療用デバイスの上をスライド可能である。それによって、再位置決めユニットは、チューブ状エクステンションおよびフィクセイターとともに、意図された固着の場所に前進または後戻りされることが可能である。
【0045】
好適な実施形態において、フィクセイターの中央本体部は、アーチ形の(すなわち、凸形の)ブリッジを形成しており、医療用デバイスがフィクセイターの中央本体部と患者の皮膚との間を通過することができるようになっている。換言すれば、医療用デバイスは、フィクセイターが患者の皮膚に適用されている状態で、ブリッジの下を通過することが可能である。それによって、フィクセイターの中央本体部は、患者の皮膚に対して医療用デバイスを保持し、一方では、フィクセイターウィングは、フィクセイターを患者の皮膚に取り付ける。
【0046】
さらに好ましくは、システムは、固着グラフトを含むことが可能であり、固着グラフトは、患者の皮膚の下にそれを植え込むように構成されており、また、それを通して医療用デバイスを挿入するように構成されている。固着グラフトは、好ましくは、その外側表面の上にベロアを含み、ベロアは、皮膚(または、皮膚の下の組織)がその中へ成長するように構成されている。このように、システムの別のパーツ(すなわち、固着グラフト)は、横向きエクステンションによって患者の皮膚の下に固定されている外科的ガイドチューブに加えて、皮膚の下に固定されることが可能であり、それによって、患者の身体の上に医療用デバイスを固定し、シールし、およびガイドするためのさらなる手段を提供する。
【0047】
好適な実施形態において、エクステンションルーメンを有するチューブ状エクステンションは、外科的ガイドチューブの近位端部において外科的ガイドチューブに取り付けられており、好ましくは、それと一体的に形成されており、それを通して医療用デバイスを挿入するように構成されている。それによって、医療用デバイスは、エクステンションルーメンの内側でガイドされて保持されることが可能である。
【0048】
好ましくは、システムは、接続部分を含み、接続部分は、それを通して医療用デバイスを挿入するように構成されている接続ルーメンを有しており、接続部分は、チューブ状エクステンションの近位端部と再位置決めユニットの遠位端部とを接続しており、接続部分は、低減された外径を有するセクションを有しており、前記セクションは、再位置決めユニットとチューブ状エクステンションとの間に位置決めされており、再位置決めユニットとチューブ状エクステンションとの間にウエスト部分を形成するようになっている。ウエスト部分は、患者の皮膚への接続部分の取り付けを促進させ、それによって、再位置決めユニットおよびチューブ状エクステンションも患者の皮膚に固定する。具体的には、フィクセイターの中央本体部は、アーチ形の(すなわち、凸形の)ブリッジを形成することが可能であり、ウエスト部分のみが中央本体部と患者の皮膚との間を通過することができるようになっている。換言すれば、ウエスト部分は、フィクセイターが患者の皮膚に適用されている状態で、ブリッジの下を通過することが可能である。そこでは、ウエスト部分は、近位端部および遠位端部を有しており、ウエスト部分は、所定の方向(それは、接続ルーメンの長手方向長さの方向である)に沿ってブリッジの下を移動することが可能であり、ウエスト部分の移動は、ウエスト部分の遠位端部においておよび近位端部においてそれぞれ停止される。それによって、ウエスト部分は、患者の皮膚に取り付けられると同時に、接続部分に関する移動の範囲(接続部分は、その範囲の中で前後に押されることが可能である)を提供する。
【0049】
好ましくは、エクステンションルーメン、接続ルーメン、および再位置決めルーメンは、同軸に整合されており、より好ましくは、同じ直径を有しており、それは、前記ルーメンを通した医療用デバイスの挿入を促進させる。
【0050】
本開示の第4の態様によれば、クランピングユニットは、医療用デバイス(とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル)を患者の身体に固定するために提供および構成されている。クランピングユニットは、チューブ状本体部を有しており、チューブ状本体部は、近位端部と、遠位端部と、近位端部から遠位端部へ延在するルーメンとを備えている。ルーメンは、それを通して(すなわち、クランピングユニットを通して)医療用デバイスを挿入するように構成されている。チューブ状本体部は、その遠位端部にある外科的ガイドチューブ部分を含み、外科的ガイドチューブ部分は、血管グラフトの中への挿入のために構成されており、また、チューブ状本体部は、横向きエクステンションを含み、横向きエクステンションは、平面的表面を画定しており、平面的表面は、患者の体内管(好ましくは血管、さらに好ましくは腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つ)と患者の皮膚との間の患者の筋膜に取り付けられるように構成されている。筋膜は、好ましくは、血管を取り囲み、または、血管に隣接して延在している。チューブ状本体部の横向きエクステンションは、外科的ガイドチューブ部分の近位に提供されている。チューブ状本体部は、横向きエクステンションの近位に提供されているハンドリング部分と、回転可能なチューブとをさらに含み、回転可能なチューブは、それを通して医療用デバイスを挿入するように構成されている。回転可能なチューブは、チューブ状本体部のルーメンの内側に提供されており、第1のレバーまたは第1のボタンに動作可能に接続されており、第1のレバーまたは第1のボタンは、ハンドリング部分の外側からアクセス可能である。第1のレバーまたは第1のボタンは、好ましくは、ハンドリング部分の外側表面まで突出しており、または、ハンドリング部分の外側表面を通って延在しており、第1のレバーまたは第1のボタンの作動が、回転可能なチューブのその長手方向軸線の周りでの回転を非ツイスティング様式で引き起こすようになっている。さらに、チューブ状本体部は、可撓性のチューブ状フォイル部分(foil portion)を含み、チューブ状フォイル部分は、それを通して医療用デバイスを挿入するように構成されており、チューブ状フォイル部分は、チューブ状本体部のルーメンの内側に提供されており、その近位接続部分において回転可能なチューブに固定されており、チューブ状フォイル部分および回転可能なチューブが、フォイル部分の近位接続部分において回転不可能な様式で互いに固定されるようになっている。さらに、フォイル部分は、その遠位接続部分においてチューブ状本体部のルーメンに(より具体的には、チューブ状本体部の内側壁部に)固定されており、フォイル部分およびチューブ状本体部がフォイル部分の遠位接続部分において回転不可能な様式で互いに固定されるようになっているので、フォイル部分は、回転可能なチューブが第1の方向に回転させられるときには、その長手方向軸線の周りにツイストし、また、回転可能なチューブが第1の方向に回転させられた後に、回転可能なチューブが第1の方向とは反対の第2の方向に回転させられるときには、アンツイストする(untwist)。フォイル部分のツイストのときに、フォイル部分の内径は減少し、アンツイストのときに、内径は増加し、そのオリジナルのサイズに戻る。したがって、クランピングユニットは、チューブ状本体部のルーメンを通して挿入された医療用デバイスの解放可能な固着を可能にし、すなわち、外科医は、必要に応じて医療用デバイスを固着および解放することが可能である。
【0051】
より具体的には、ハンドリング部分は、第2のボタンまたは第2のレバーをさらに含むことが可能であり、第2のボタンまたは第2のレバーは、ハンドリング部分の外側からアクセス可能であり、好ましくは、ハンドリング部分の円周方向外側表面まで突出しており、または、ハンドリング部分の円周方向外側表面を通って延在している。第2のボタンまたは第2のレバーは、第1の状態において、クランピングユニットのチューブ状本体部のルーメンに対してその長手方向位置に医療用デバイスを保持するように構成されており、また、第2の状態において、第2のボタンまたは第2のレバーの作動のときに医療用デバイスを解放するように構成されており、クランピングユニットのチューブ状本体部のルーメンに対する医療用デバイスの(長手方向へのおよび回転方向への)移動を解放するようになっている。たとえば、ハンドリング部分に捩じりスプリングを追加的に提供することも可能であり、第2のボタンまたは第2のレバーは、捩じりスプリングによって第1の状態へと付勢されている。それによって、第2のボタンまたはレバーが、たとえば外科医によって、スプリング力に対抗して第2の状態へとアクティブに作動されない場合には、フォイル部分は、医療用デバイスを固着するように構成されることが可能である。
【0052】
さらに、ハンドリング部分は、ウエスト部分を形成するように、その長さに沿って、低減された外径を有するセクションを含むことが可能であり、第1のボタンまたは第1のレバーは、好ましくは、ウエスト部分の中に提供されており、さらに好ましくは、ウエスト部分に隣接するハンドリング部分の部分を越えて半径方向に延在していない。それによって、第1のボタンまたは第1のレバーの非意図的な動作が回避されることが可能である。
【0053】
好ましくは、クランピングユニットは、フィクセイターをさらに含み、フィクセイターは、患者の皮膚への固着のために構成されており、また、患者の身体にまたは患者の身体に対してクランピングユニットを保持するように構成されている。フィクセイターは、中央本体部と、中央本体部から反対方向に延在する2つのフィクセイターウィングとを有している。それぞれのフィクセイターウィングは、平面的表面を有しており、その表面は、共通の方向に面している。フィクセイターの中央本体部は、アーチ形の(すなわち、凸形の)ブリッジを形成しており、クランピングユニットのチューブ状本体部のハンドリング部分のウエスト部分のみが、フィクセイターの中央本体部と患者の皮膚との間を通過するようになっている。換言すれば、ウエスト部分のみが、フィクセイターが患者の皮膚に適用されている状態で、ブリッジの下を通過することが可能である。そこでは、ウエスト部分は、近位端部および遠位端部を有しており、クランピングユニットのハンドリング部分のチューブ状本体部は、長手方向(それは、チューブ状本体部のルーメンの長手方向軸線に対応している)に沿ってブリッジの下を移動することが可能である(そのような移動がウエスト部分の遠位端部においておよび近位端部においてそれぞれ停止されるまで)。それによって、ウエスト部分は、患者の皮膚に取り付けられると同時に、クランピングユニットのハンドリング部分に関する移動の範囲(ハンドリング部分は、その範囲の中で前後に押されることが可能である)を提供する。
【0054】
さらに好適には、外科的ガイドチューブ部分、横向きエクステンション、および、クランピングユニットのフィクセイターは、本開示の第3の態様を参照して上記に説明されているシステムの外科的ガイドチューブ、横向きエクステンション、およびフィクセイターの特徴のいずれか1つをそれぞれ含むことが可能である。
【0055】
本開示の第5の態様によれば、患者の体内管への、好ましくは血管への、さらに好ましくは、腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つへの血管アクセスを提供する方法が提供される。本方法は、外科的ガイドチューブを提供するステップであって、外科的ガイドチューブは、チューブ状の(とりわけ、線形の)本体部を含み、本体部は、近位端部、遠位端部、および、長手方向軸線を有するガイドルーメンを有しており、ガイドルーメンは、本体部の近位端部から遠位端部へ延在しており、それを通して医療用デバイス(とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル)を挿入するように構成されている、ステップと、外科的ガイドチューブを血管と患者の皮膚との間において患者の筋膜に固定するさらなるステップであって、筋膜は、好ましくは、血管を取り囲み、または、血管に隣接して延在している、ステップとを含む。
【0056】
前記方法によって、外科的ガイドチューブを患者の皮膚の下に固着することが可能であり、患者の肩の移動(それは、肩領域における皮膚の移動を誘発させる可能性がある)が、外科的ガイドチューブを配置変化させるリスクをより低くするようになっている。
【0057】
好ましくは、外科的ガイドチューブは、横向きエクステンションをさらに含み、横向きエクステンションは、本体部から横向きに延在しており、平面的表面を画定しており、本方法は、好ましくは、横向きエクステンションを筋膜に縫合するか、クランプするか、または粘着させることによって、横向きエクステンションの平面的表面を患者の筋膜に取り付けるステップをさらに含む。これは、簡単な取り付けオプションを提供する。そこでは、筋膜に取り付けられている平面的表面は、横向きエクステンションの近位のまたはフロントの平面的表面であることが可能である。代替的にまたは追加的に、筋膜に取り付けられている平面的表面は、横向きエクステンションの遠位のまたはバックの平面的表面であることが可能である。
【0058】
さらに好ましくは、外科的ガイドチューブは、本開示の第3の態様を参照して上記に説明されているシステムの外科的ガイドチューブの特徴のいずれか1つを含むことが可能である。
【0059】
好適な実施形態において、本方法は、とりわけ、外科的ガイドチューブを筋膜に固定する前に、(たとえば吻合によって)血管グラフトの遠位端部を患者の血管に固定するステップをさらに含む。血管グラフトは、テフロンまたはダクロンから作製されることが可能である。それは、血管グラフトの近位端部から遠位端部へ延在するグラフトルーメンを有することが可能であり、グラフトルーメンは、血管グラフトの近位端部の中に外科的ガイドチューブの遠位セクションを収容するように構成されている。それによって、血管グラフトは、医療用デバイスがその中へ挿入されることになっている血管へのアクセスを提供する。
【0060】
とりわけ、本方法は、その近位端部においてカテーテルを含む血管内血液ポンプを、血管グラフトの中へ、および、血管グラフトを通して、ならびに、好ましくは、血管グラフトが血管に固定された後に、さらに患者の血管の中へ導入するステップをさらに含むことが可能である。好ましくは、本方法は、意図された最終的な位置に血管内ポンプを前進させるステップをさらに含み、最終的な位置は、患者の心臓の左心室であることが可能である。さらに好ましくは、外科的ガイドチューブは、カテーテルの外側表面の上にスライド可能に装着されることが可能であり、本方法は、外科的ガイドチューブの遠位セクションが血管グラフトのグラフトルーメンの中へ進入するように、カテーテルの外側表面の上で外科的ガイドチューブをスライドさせるステップをさらに含むことが可能であり、このステップは、好ましくは、外科的ガイドチューブを筋膜に固定する前に実施される。そこでは、グラフトルーメンの内径は、外科的ガイドチューブの外径の1倍から約1.2倍の間にあることが可能であり、好ましくは約1.1倍であることが可能であり、それは、後に説明されることとなるように、血管グラフトの中への外科的ガイドチューブの挿入を促進させ、外科的ガイドチューブに対して血管グラフトをシールすることを促進させる。
【0061】
好ましくは、本方法は、外科的ガイドチューブが血管グラフトのグラフトルーメンの中へ挿入された後に、血管グラフトを外科的ガイドチューブの外側表面に固定するステップをさらに含むことが可能である。好ましくは、固着は、好ましくは外科的ガイドチューブを筋膜に固定する前に、外科的ガイドチューブの外側表面に血管グラフトをクランプまたは縫合することによって実現される。それによって、血管グラフトは、外科的ガイドチューブに固定され、同時に外科的ガイドチューブに対してシールされることが可能である。
【0062】
この目的のために、外科的ガイドチューブは、別個のクランピングパーツをさらに含むことが可能であり、別個のクランピングパーツは、近位端部と、遠位端部と、クランピングパーツの近位端部から遠位端部へ延在するクランピングルーメンとを有しており、横向きエクステンションは、取り外し不可能な様式でクランピングパーツに取り付けられており、好ましくは、クランピングパーツと一体的に形成されており、クランピングパーツは、外科的ガイドチューブの本体部の上にまたはその周りにクランプするように構成されている。ここで、本方法は、外科的ガイドチューブがその中へ挿入された血管グラフトの上にクランピングパーツをクランプすることによって、外科的ガイドチューブの本体部に血管グラフトを固定するステップをさらに含むことが可能である。これは、横向きエクステンションがより個別に位置決めされることが可能であるというさらなる利点を有する。
【0063】
そこでは、クランピングパーツは、外科的ガイドチューブがその中へ挿入される血管グラフトの上にクランプされているときに、ガイドルーメンの直径を低減させる(すなわち、ガイドルーメンの断面を狭くする)ことが可能である。とりわけ、クランピングパーツは、外科的ガイドチューブの上に提供され得る、2つの近隣のバンプの間において、近位バルジと近位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、または、遠位バルジと遠位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、外科的ガイドチューブの所定の位置において、血管グラフトの上にクランプされることが可能であり、それによって、外科的ガイドチューブのガイドルーメンの内側に医療用デバイスを固定し、ガイドルーメンの内側での医療用デバイスの長手方向移動が防止されるようになっている。
【0064】
代替的にまたは追加的に、本方法は、外科的ガイドチューブがその中へ挿入されているグラフトの上に、少なくとも1つの縫合糸および少なくとも1つの固定クランプのうちの少なくとも1つを適用することによって、血管グラフトを外科的ガイドチューブの本体部(それは、グラフトの中へ以前に挿入されている)に固定するステップをさらに含むことが可能である。とりわけ、血管グラフトは、外科的ガイドチューブの上に提供されている、2つの近隣のバンプの間において、近位バルジと近位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、または、遠位バルジと遠位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、外科的ガイドチューブの長手方向位置において外科的ガイドチューブの本体部に固定されることが可能である。そこでは、縫合糸または固定クランプは、外科的ガイドチューブがその中へ挿入されているグラフトに適用されているときに、グラフトルーメンの直径を低減させる(すなわち、グラフトルーメンの断面を狭くする)ことが可能である。とりわけ、グラフトルーメンの直径は、外科的ガイドチューブの上に提供されている、2つの近隣のバンプの外径、近位バルジおよび近位バルジの最も近くに位置付けされているバンプの外径、または、遠位バルジおよび遠位バルジの最も近くに位置付けされているバンプの外径よりも小さい低減された直径まで狭くされることが可能であり、それによって、グラフトルーメンの内側での外科的ガイドチューブの長手方向移動のリスクを低減させる(好ましくは、防止する)。
【0065】
好ましくは、固定クランプは、外科的ガイドチューブがその中へ挿入されている血管グラフトの上にクランプされているときに、ガイドルーメンの直径を低減させる(すなわち、ガイドルーメンの断面を狭くする)ことが可能である。好ましくは、固定クランプは、外科的ガイドチューブの上に提供されている、2つの近隣のバンプの間において、近位バルジと近位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、または、遠位バルジと遠位バルジの最も近くに位置付けされているバンプとの間において、外科的ガイドチューブの長手方向位置に設置されており、それによって、外科的ガイドチューブのガイドルーメンの内側に医療用デバイスを固定し、ガイドルーメンの内側での医療用デバイスの長手方向移動が防止されるようになっている。
【0066】
好適な実施形態において、本方法は、医療用デバイスが患者の身体にまたは患者の身体に対して保持されるように、フィクセイターを患者の皮膚に固定するステップを含むことが可能である。フィクセイターは、中央本体部と、中央本体部から反対方向に延在する2つのフィクセイターウィングとを有しており、それぞれのフィクセイターウィングは、平面的表面を有しており、平面的表面は、共通の方向に面している。これは、患者の身体への医療用デバイスの追加的な固着を提供する。そこでは、2つのフィクセイターウィングのそれぞれは、少なくとも1つの開口部、好ましくは2つ以上の開口部を含むことが可能であり、本方法は、フィクセイターウィングが患者の皮膚に取り付けられる(すなわち、縫合されるかまたはクランプされる)ように、前記開口部を通して縫合糸またはクランプを挿入するステップを含むことが可能である。代替的にまたは追加的に、フィクセイターウィングの平面的表面は、接着剤によって少なくとも部分的にまたは完全にカバーされることが可能であり、本方法は、平面的表面を患者の皮膚に粘着させるステップをさらに含むことが可能である。
【0067】
さらに好ましくは、フィクセイターの中央本体部は、近位端部と、遠位端部と、中央本体部の近位端部から遠位端部へ延在するフィクセイタールーメンとを有することが可能であり、本方法は、フィクセイタールーメンの中へおよびフィクセイタールーメンを通して医療用デバイスを挿入するステップをさらに含むことが可能である。好ましくは、フィクセイターの中央本体部は、医療用デバイスの上にスライド可能に装着されている。
【0068】
好ましくは、エクステンションルーメンを有するチューブ状エクステンションは、フィクセイターの中央本体部の遠位端部に取り付けられており、好ましくは、それと一体的に形成されており、本方法は、エクステンションルーメンの中へおよびエクステンションルーメンを通して医療用デバイスを挿入するステップをさらに含むことが可能である。好ましくは、チューブ状エクステンションは、医療用デバイスの上にスライド可能に装着されている。
【0069】
とりわけ、再位置決めユニットが提供されることが可能であり、再位置決めユニットは、近位端部と、遠位端部と、再位置決めユニットの近位端部から遠位端部へ延在する再位置決めルーメンとを有しており、本方法は、再位置決めルーメンの中へおよび再位置決めルーメンを通して医療用デバイスを挿入するステップをさらに含むことが可能である。再位置決めユニットは、少なくとも1つのボタンまたはレバーをさらに含むことが可能であり、少なくとも1つのボタンまたはレバーは、再位置決めユニットの外側からアクセス可能であり、少なくとも1つのボタンまたはレバーは、好ましくは、再位置決めユニットの円周方向外側表面まで突出しており、または、再位置決めユニットの円周方向外側表面を通って延在している。本方法は、ボタンまたはレバーを使用するステップをさらに含むことが可能であり、第1の状態において、医療用デバイスを再位置決めルーメンに対してその長手方向位置に保持し、また、第2の状態において、ボタンまたはレバーの作動のときに医療用デバイスを解放し、再位置決めルーメンに対する医療用デバイスの移動を可能にするようになっている。好ましくは、再位置決めユニットは、フィクセイターの中央本体部の近位端部に取り付けられている。
【0070】
好適な実施形態において、本方法は、医療用デバイスのセクション(それは、フィクセイターから外科的ガイドチューブへ延在している)が患者の皮膚の上にC字カーブで配置され得るように、患者の皮膚の外側表面の上の所定の場所にフィクセイターを取り付けるステップをさらに含むことが可能である。この配置は、(とりわけ、肩領域における)患者の皮膚の移動がC字カーブによって吸収され得る(すなわち、医療用デバイスのC字カーブセクションが圧縮されるかまたは引き伸ばされることが可能である)という利点を提供する。したがって、吻合部、血管内血液ポンプ、またはその両方を引っ張る力または押す力が防止されることが可能である。
【0071】
さらに好ましくは、フィクセイターの中央本体部は、アーチ形の(すなわち、凸形の)ブリッジを形成することが可能であり、本方法は、医療用デバイスがフィクセイターの中央本体部と患者の皮膚との間を(すなわち、ブリッジの下を)通過するように、医療用デバイスの上におよび患者の皮膚の外側表面の上にフィクセイターを適用するステップをさらに含むことが可能である。これは、患者の身体への医療用デバイスのさらなる固着を提供する。
【0072】
好ましくは、医療用デバイスは、固着グラフトの中へおよび固着グラフトを通して挿入され、固着グラフトは、その外側表面の上にベロア(たとえば、ダクロンなど)を含むことが可能であり、ベロアは、皮膚または組織がその中へ成長するように構成されており、本方法は、外科的ガイドチューブとフィクセイターとの間の医療用デバイスのセクションが皮膚の下におよび皮膚に沿って延在するように、および、組織がベロアの中へ成長することができるように、患者の皮膚の下に固着グラフトを植え込むステップを含むことが可能である。このように、患者の皮膚の下でのさらなる固着は、患者の皮膚の下の筋膜に固定されている外科的ガイドチューブに加えて、ベロアによって実現されることが可能であり、それによって、医療用デバイスを患者の身体に固定するためのさらなる手段を提供する。
【0073】
好適な実施形態において、エクステンションルーメンを有するチューブ状エクステンションは、外科的ガイドチューブの近位端部において外科的ガイドチューブに取り付けられることが可能であり、好ましくは、それと一体的に形成されることが可能であり、本方法は、エクステンションルーメンの中へおよびエクステンションルーメンを通して医療用デバイスを挿入するステップを含むことが可能である。医療用デバイスは、外科的ガイドチューブのチューブ状エクステンションによって追加的に保持およびガイドされる。
【0074】
さらに、接続ルーメンを有する接続部分は、チューブ状エクステンションの近位端部を上述の再位置決めユニットの遠位端部と接続することが可能であり、医療用デバイスは、接続ルーメンの中へおよび接続ルーメンを通して挿入されることが可能である。そこでは、接続部分は、その長さに沿って、低減された外径を有するセクションを有することが可能であり、前記セクションは、再位置決めユニットとチューブ状エクステンションとの間に位置決めされており、再位置決めユニットとチューブ状エクステンションとの間にウエスト部分を形成するようになっている。そこでは、フィクセイターの中央本体部は、アーチ形の(すなわち、凸形の)ブリッジを形成することが可能であり、本方法は、接続部分のウエスト部分のみがフィクセイターの中央本体部のアーチ形のブリッジと患者の皮膚の外側表面との間を通過するように(すなわち、接続部分のウエスト部分がブリッジの下を通過するように)、接続部分の上におよび患者の皮膚の上にフィクセイターを適用するステップを含むことが可能である。好ましくは、ウエスト部分は、近位端部および遠位端部を有しており、ウエスト部分は、所定の方向に沿ってブリッジの下を移動することが可能であり、所定の方向は、接続ルーメンの長手方向長さの方向であり、ウエスト部分の移動は、ウエスト部分の遠位端部においておよび近位端部においてそれぞれ停止される。それによって、ウエスト部分は、患者の皮膚に取り付けられると同時に、接続部分に関する移動の範囲(接続部分は、その範囲の中で前後に押されることが可能である)を提供する。
【0075】
好適な実施形態において、横向きエクステンションを含む外科的ガイドチューブは、本開示の第4の態様を参照して上記に説明されているようなクランピングユニットの一部である。そこでは、フィクセイターの中央本体部は、アーチ形の(すなわち、凸形の)ブリッジを形成することが可能であり、本方法は、ウエスト部分のみがフィクセイターの中央本体部と患者の皮膚の外側表面との間を通過するように(すなわち、ウエスト部分がブリッジの下を通過するように)、クランピングユニットのウエスト部分の上に患者の皮膚の上にフィクセイターを適用するステップを含むことが可能である。好ましくは、ウエスト部分は、近位端部および遠位端部を有しており、ウエスト部分は、ブリッジの下を所定の方向に沿って移動することが可能であり、所定の方向は、クランピングユニットのルーメンの長手方向長さの方向であり、ウエスト部分の移動は、ウエスト部分の遠位端部においておよび近位端部においてそれぞれ停止される。それによって、ウエスト部分は、患者の皮膚に取り付けられると同時に、クランピングユニットのハンドリング部分に関する移動の範囲(クランピングユニットのハンドリング部分は、その範囲の中で前後に押されることが可能である)を提供する。
【0076】
患者の体内管への、とりわけ血管への、好ましくは、腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つへの血管アクセスを提供し、その近位端部にカテーテルを含む血管内血液ポンプを患者の血管系の中へ挿入し、カテーテルを患者の身体に取り付ける例示的な方法であって、本方法は、
- 吻合を実施することによって、血管グラフトを患者の血管に縫合し、それによって、血管への血管アクセスを提供するステップと、
- 血管グラフトの中へおよび血管グラフトを通して血管の中へ血管内血液ポンプを導入し、患者の身体の内側のその意図された位置まで、すなわち、患者の心臓の左心室の中の大動脈弁を横切って、血管内血液ポンプを前進させるステップと、
- カテーテルの外側表面の上にスライド可能に装着されている外科的ガイドチューブをカテーテルに沿って外科的グラフトの中へスライドさせるステップと、
- たとえば、縫合糸によってまたはクランプによって、外科的グラフトをその中に挿入されている外科的ガイドチューブに固定するステップと、
- 外科的ガイドチューブの横向きエクステンションを、血管と患者の皮膚との間の患者の深筋膜に、とりわけ、血管の付近に延在する深筋膜に固定するステップと、
- カテーテルを患者の皮膚の外側表面に直接的にまたは間接的に固定するステップと
を含む。
【0077】
前記例示的な方法において、外科的ガイドチューブ、キット、システム、およびクランピングユニットの上述の実施形態のいずれかが適用されることが可能である。
【0078】
本開示による、カテーテルベースの医療用デバイスを患者の血管の中に安定化させる異なる方法は、外科的ガイドチューブの使用を必要としない。この方法によれば、患者の皮膚が、血管へのアクセスを得るために開放され、グラフトが、吻合によって血管に接続され、医療用デバイスが、グラフトを通して血管の中へ挿入され、カテーテルがグラフトを通って患者から外へ延在するようになっている。次いで、グラフトがツイストされ、その内径を低減させるようになっており、それによって、グラフトの内側にカテーテルをクランプする。これは、追加的な手段によって、下記に説明されているようにさらに改善されることが可能であり、捩じり力が吻合部に伝達されないようになっている。
【0079】
グラフトがツイストされると、それは、ツイストされた状態で保持されることが可能であり、それがアンツイストすることができないようになっている。これは、グラフトの外側からグラフトに作用するクランプを使用して、ツイストされたグラフトの近位パーツをカテーテルに対して一時的にクランプすることによって行われることが可能である。次に、または、追加的なクランピングステップなしに、ツイストされたグラフトは、それを常にツイストされた状態に保持するように縫合されることが可能であり、すなわち、ツイストされたグラフトは、ツイストされた構造体を保存するためにそれ自身に縫合される。加えて、ツイストされたグラフトは、それを縫合する前に、または、好ましくは、それを縫合した後のいずれかに、所望の長さまで短縮されることが可能である。
【0080】
吻合によってグラフトを血管に接続するステップは、グラフトを血管に縫合し、それによって、グラフトと血管との間に継ぎ目を生成させるステップを含むことが可能であり、継ぎ目は、好ましくは、糊によって補強される。
【0081】
述べられているように、医療用デバイスは、血管内血液ポンプであることが可能である。そのような場合では、医療用デバイスを血管の中へ導入するステップは、血管内血液ポンプのポンピングデバイスが患者の心臓の中へ到達するまで、患者の血管(たとえば、腋窩動脈または鎖骨下動脈)の中へ血管内血液ポンプを前進させるステップを含む。
【0082】
好ましくは、医療用デバイスは、カテーテルに沿ってスライド可能であるプラグを含む。医療用デバイスが患者の内側のターゲット場所に設置されると、スライド可能なプラグは、グラフトの内側のカテーテルの上に配置され、それが血管に極めて近接するようになっている。プラグの1つの目的は、止血を提供するように、カテーテルに対してグラフトをシールすることである。プラグがカテーテルの上をスライド可能であることに起因して、それは、カテーテルの上に緩く設置されることが可能であり、医療用デバイスがグラフトを通して血管の中へその最終的な位置に向けて導入されるときに、プラグがカテーテルの上を後方にスライドするようになっている。スライド可能なプラグは、好ましくは、閉鎖された形態を有している。閉鎖された形態は、閉鎖された円筒状の形態であることが可能であり、好ましくは、スライド可能なプラグの外側形態は、円筒に対応しており、それによって、グラフトの内側のプラグの位置を安定化させる。さらに、スライド可能なプラグは、貫通孔を有することが可能であり、カテーテルは、貫通孔を通って延在しており、前記貫通孔は、断面に関して六角形の形状を有しており、好ましくは、六角柱の形態を有している。六角形の形状は、プラグがカテーテルに沿ってスライドする間の摩擦を低減させることを助けることが可能である。スライド可能なプラグは、シリコーンゴムから作製されることが可能である。スライド可能なプラグは、50ショアAの強度を有することが可能である。
【0083】
好ましくは、グラフトの内側にプラグを配置する前に、スロット付きシム(shim)が、スライド可能なプラグがグラフトの内側に配置されるように意図される場所の遠位の場所において、グラフトの周りに設置される。スロット付きシムは、非弾性的であり、中央貫通孔を含み、スロットは、中央貫通孔から半径方向外向きに延在しており、シムの半径方向に開口部を形成するようになっている。カテーテルがその中に挿入された状態で、グラフトの周りにシムを配置させるために、グラフトは、スロットを通してシムの中央貫通孔へ通されることが可能である。中央貫通孔の内径は、スライド可能なプラグの外径よりも小さく、プラグがシムを通り過ぎて血管の中へ押されることができず、遠位に押されるときにシムに当接するようになっている。スロット付きシムは、その半径方向外側の周囲部に配置されているアイレットをさらに含むことが可能である。アイレットは、(たとえば縫合することによって)シムを患者の筋膜に固定するための固定手段としての役割を果たす。スロット付きシムは、グラフトがツイストされているときに、外科医によって容易に把持および保持されることが可能である。ツイスティング移動の間に、シムおよびプラグは、ツイスティングストップとしての役割を果たし、ツイスティングによって生成される捩じり力が、吻合に到達せず、したがって、吻合継ぎ目に悪影響を及ぼすことができないようになっている。換言すれば、グラフトをその内径を低減させるようにツイストするステップは、好ましくは、スロット付きシムを保持することを含み、それによって、ツイスティングステップを促進させる。シムは、好ましくは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製されている。
【0084】
好ましくは、ツイスティングステップの直前に、患者の身体の内側の医療用デバイスの位置が、訂正または最終決定される。これは、有益である。その理由は、プラグをグラフトの内側のその意図された位置までスライドさせることが、医療用デバイスの望まれない変位につながる可能性があり、プラグが適正に設置された後に、医療用デバイスの位置が少しの訂正を必要とするようになっているからである。ツイストされたグラフトによって発生させられるクランピング力によって、グラフトがカテーテルに適正に固定されているときに、医療用デバイスは、もはや血管の内側で前方または後方に移動することができない。したがって、ツイストされたグラフトは、カテーテルがツイストされたグラフトを通って患者の身体から外へ延在している状態で、最後に患者の身体の中へ押し込まれることが可能であり、次いで、開放された皮膚が、カテーテルの周りで閉鎖されることが可能である。
【0085】
グラフトの中への組織の内方成長を防止するために、スリーブ(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作製されたチューブ状パーツなど)が、ツイストされたグラフトの周りに提供されることが可能である。すなわち、グラフトは、通常は、ダクロン(登録商標)または同様の材料から作製されており、また、医療用デバイスが血管から除去されることとなるときに、グラフトが労力なしにアンツイストされることが可能であるということが保証されなければならない。グラフトの中の組織の内方成長は、アンツイスティングを妨げることとなる。
【0086】
本開示の別の態様によれば、カテーテルを含む医療用デバイスを安定化させるためのキットが提供される。キットは、血管グラフトを含み、医療用デバイスは、血管グラフトを通して導入されることが可能であり、カテーテルは、血管グラフトを通って延在することが可能である。グラフトは、グラフトの内側にカテーテルをクランプするために、その内径を低減させるようにツイスト可能であり得る。キットは、プラグをさらに含み、プラグは、カテーテルに沿ってスライド可能であるように構成されており、プラグは、好ましくはプラグがカテーテルの上に設置されている状態で、グラフトの中へ挿入可能である。グラフトは、とりわけ、そのツイストされた状態で、自分自身に縫合されることが可能である。好ましくは、グラフトは、編物、経編物、ノッティドファブリック(knotted fabric)、織布、または不織布であり、それは、グラフトを縫合することを促進させる。
【0087】
プラグは、閉鎖された形態を有することが可能であり、好ましくは、閉鎖された円筒状の形態を有することが可能である。たとえば、スライド可能なプラグの外側形態は、円筒に対応している。さらに、プラグは、貫通孔を有することが可能であり、カテーテルは、貫通孔を通って延在することが可能である。そのような貫通孔は、好ましくは、断面に関して六角形の形状を有しており、とりわけ、六角柱の形態になっている。プラグは、シリコーンゴムから作製されることが可能であり、50ショアAの強度を有することが可能である。
【0088】
とりわけ、キットは、スロット付きシムをさらに含み、スロット付きシムは、カテーテルがグラフトの中に挿入されている状態でグラフトの周りに設置されるように構成されており、スロット付きシムは、PEEKから作製されることが可能である。スロット付きシムは、好ましくは、弾性的でない。スロット付きシムは、好ましくは、半径方向に延在するスロットを含み、グラフトは、カテーテルがグラフトを通って延在している状態で、半径方向に延在するスロットを通してシムの中心に向けて通されることが可能である。さらに、シムは、アイレットを提供されることが可能であり、シムは、アイレットによって患者の筋膜に固定されることが可能である。
【0089】
好ましくは、スロット付きシムの内径は、プラグの外径よりも小さく、プラグがシムを通過することができないようになっている。また、好ましくは、スロット付きシムの内径は、医療用デバイスの外径よりも大きく、医療用デバイスがシムを通過させられることが可能であるようになっている。
【0090】
キットは、医療用デバイスとして血管内血液ポンプをさらに含むことが可能である。さらに、キットは、クランプを含むことが可能であり、クランプは、ツイストされたグラフトの近位パーツをカテーテルに対してクランプするように構成されている。
【0091】
上記の開示は、心臓(とりわけ、左心室)の中に位置決めされる血液ポンプに関連して説明されているが、他の用途も可能であり、本開示の範囲から除外されるものではない。たとえば、本開示全体は、右側支持(右心室)または血管系の他の部分(たとえば、血液ポンプが腎臓灌流を推進するように配置されているケースでは、腎臓の近く)のための血液ポンプの位置の安定化に適用されることが可能である。さらに、本開示全体(少なくともその態様)は、血液ポンプ(それは、血管系の中の特定の場所に位置決めされることを必要とする可能性がある)以外の任意の種類のカテーテルベースのデバイスに適用されることが可能である。そのうえ、医療用デバイスが鎖骨下動脈または腋窩動脈を介して大動脈の中へ導入されることが可能であるということが説明されているが、本開示は、鎖骨下動脈または腋窩動脈を介したアクセスに制限されない。直接的に大動脈を介して医療用デバイスのためのアクセスを提供すること、または、胸骨上のアクセスを提供することも、本開示の中にある。さらに、大腿血管も同様にアクセスされることが可能である。本開示全体は、小児科においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
以降では、本開示は、添付の図面を参照して例として説明されることとなる。
図1】患者の身体に取り付けられている、本開示の第1の実施形態による外科的ガイドチューブ、および、血管グラフトの側面図である。
図2図2(a)~(d)は、固定クランプの異なる実施形態を示す図である。
図3】本開示の第2の実施形態による外科的ガイドチューブの斜視図である。
図4】クランピングパーツの平面図である。
図5】患者の身体に取り付けられている、本開示の第2の実施形態による外科的ガイドチューブ、および、血管グラフトの側面図である。
図6】本開示の第1の実施形態による、医療用デバイスを患者の身体に固定するためのシステムの平面図である。
図7】本開示の第2の実施形態による、医療用デバイスを患者の身体に固定するためのシステムの平面図である。
図8】本開示の第2の実施形態によるシステムの断面図である。
図9】患者の身体に取り付けられている、本開示の第3の実施形態による、医療用デバイスを患者の身体に固定するためのシステムの平面図である。
図10図9のセクションXの拡大側面図である。
図11】第1の状態におけるクランピングユニットの部分的な断面平面図である。
図12】第2の状態における図11のクランピングユニットの部分的な断面平面図である。
図13】カテーテルの上でツイストされた血管グラフトを示す図である。
図14A】弾性的なオープンリングの平面図である。
図14B】線XIVに沿った図14Aの弾性的なオープンリングの断面図である。
図15A】プラグの3次元図である。
図15B図15Aのプラグの断面図である。
【0093】
図面は、縮尺通りではなく、任意の様式で本開示を限定するものとして構成されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0094】
図1は、外科的ガイドチューブの第1の実施形態による外科的ガイドチューブ1の側面図を示している。外科的ガイドチューブ1は、チューブ状本体部2を含み、チューブ状本体部2は、近位端部4と、遠位端部6と、近位端部4から遠位端部6へ延在するガイドルーメンとを有しており、ガイドルーメンは、長手方向軸線8を有している。外科的ガイドチューブ1は、横向きエクステンション10を含み、横向きエクステンション10は、チューブ状本体部2から横向きに延在しており、平面的表面12a、12bを画定しており、その平面的表面12aは、近位のまたはフロントの平面的表面であり、平面的表面12bは、遠位のまたはバックの平面的表面である。横向きエクステンション10は、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して半径方向に延在するウィングを形成している。さらなる横向きエクステンション(図1には示されていない)を形成するさらなるウィングは、図1に示されている横向きエクステンション10に対して半径方向反対側に、チューブ状本体部2の上に提供されている。したがって、2つのウィングは、反対側の半径方向に延在している。横向きエクステンション10の平面的表面12a、12bは、互いに平行であり、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して約45°の傾斜角度だけ傾斜されている。それぞれの平面的表面12a、12bは、軸線を含み、その軸線は、ガイドルーメンの長手方向軸線8を通って直交して延在しており、仮想回転軸線Aとしての役割を果たしており、平面的表面12a、12bは、仮想回転軸線Aの周りに前記傾斜角度へと回転させられている。
【0095】
横向きエクステンション10(チューブ状本体部2の半径方向反対側にある横向きエクステンションも同様)は、チューブ状本体部2と一体的に形成されており、チューブ状本体部2の近位端部4に位置付けされている。横向きエクステンション10(チューブ状本体部2の半径方向反対側にある横向きエクステンションも同様)は、たとえば図7の実施形態に示されているように、D字形状の横断方向断面を有する開口部14を含み、平面的表面12aに対して実質的に垂直方向に延在する長手方向軸線を有している。
【0096】
横向きエクステンション10の遠位には、チューブ状本体部2の上に円周方向バンプ16が提供されている。円周方向バンプ16は、チューブ状本体部2から半径方向に延在しており、円形リングの形状の断面を有している。円周方向バンプ16の断面平面は、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して直交して延在している。チューブ状本体部2の遠位端部6には、遠位バルジ18が提供されており、遠位バルジ18は、チューブ状本体部2を取り囲んでおり、円形リングの形状の断面を有している。外科的ガイドチューブ1の遠位端部6(すなわち、遠位バルジ18の遠位端部)の周囲部は、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して約45°だけ傾斜されている平面の中に横たわっている。この平面は、平面的表面12a、12bと同じ方向に同じ傾斜角度だけ傾斜されており、すなわち、前記平面および平面的表面12a、12bは、互いに平行である。チューブ状本体部2は、一定の内径を有しており、すなわち、そのガイドルーメンは、一定の直径を有している。
【0097】
その配置は、外科的ガイドチューブ1の遠位端部部分が血管グラフト20の中に挿入された状態で示されている。具体的には、外科的ガイドチューブ1は、円周方向バンプ16までおよび円周方向バンプ16を含むように、グラフト20の中に挿入されている。グラフト20の遠位端部22において、グラフト20は、(たとえば吻合によって)患者の血管24に取り付けられている。それによって、グラフト20は、血管24へのアクセスを提供し、血管24は、たとえば、腋窩動脈または鎖骨下動脈などの血管である。外科的ガイドチューブ1がグラフト20の中に挿入されている状態で、円周方向バンプ16および遠位バルジ18は、ライトシールを提供し、チューブ状本体部2とグラフト20の内側壁部との間のギャップを通した血液損失を低減させ、理想的には防止する。次いで、グラフト20の内側壁部は、チューブ状本体部2に対して完全にシールされ、すなわち、グラフト20の内側壁部とチューブ状本体部2との間のギャップは、グラフト20を外科的ガイドチューブ1に固着する2つの縫合糸28によって、完全に閉鎖される。代替的に、グラフト20の内側壁部は、より多くのもしくはより少ない縫合糸によって、または、固定クランプ(それは、後に説明されることとなる)によって、チューブ状本体部2に対して完全にシールされることが可能である。
【0098】
横向きエクステンション10は、アクセス血管24と患者の皮膚(図示せず)との間に延在する患者の深筋膜26の上に固着される。好ましくは、深筋膜は、アクセスされた血管24の付近に横たわっている固定点として選ばれている。この目的のために、横向きエクステンション10は、遠位平面的表面12bが縫合糸29によって深筋膜26に接触した状態で、深筋膜26に縫合されており、縫合糸29は、開口部14を通り、深筋膜26を通り、または、深筋膜26の周りを通り、さらに横向きエクステンション10の周りを通っている。代替的に、横向きエクステンション10は、深筋膜26にクランプされるかまたは糊付けされることが可能である。同じ方式で、近位平面的表面12aが深筋膜26に接触した状態で、筋膜26を横向きエクステンション10に固着することも同様に可能である
【0099】
ガイドルーメンを通して、カテーテル30(たとえば、血管内血液ポンプ(図示せず)の近位端部に取り付けられているカテーテル)が、アクセスされた血管24の中に挿入される。外科的ガイドチューブ1は、カテーテル30の上をスライド可能であり、すなわち、カテーテル30および外科的ガイドチューブ1は、長手方向に互いに対して移動することが可能である。外科的ガイドチューブ1が縫合糸28によって血管グラフト20に固定された後に、カテーテル30は、依然として、外科的ガイドチューブ1のガイドルーメンの内側を長手方向に前後に移動することが可能である。これは、後の血管内血液ポンプの交換を可能にする。
【0100】
縫合糸28の代わりに、グラフト20は、図2に描かれている実施形態(a)から(d)によって示されているような固定クランプ32によって、外科的ガイドチューブ1に固定されることが可能である。そこでは、実施形態(a)は、ケーブルタイの形態の固定クランプであり、実施形態(b)は、クリップまたはスプリングであり、実施形態(c)は、フラップロックを備えた固定クランプであり、実施形態(d)は、チュービングクリップである。カテーテル30が外科的ガイドチューブ1のガイドルーメンを通して挿入されている状態で、外科的ガイドチューブ1が血管グラフト20の中へ挿入されると、固定クランプ32は、グラフト20の上にクランプされ、固定クランプ32は、ガイドルーメンの直径を低減させ、カテーテル30がガイドルーメンの内側に固着されるようになっている。これは、血管グラフト20の上にクランプされた固定クランプ32によって、外科的ガイドチューブ1の内側でのカテーテル30の長手方向移動が防止されるということ意味している。外科的ガイドチューブ1および血管グラフト20の相対的な長手方向移動も同様に、固定クランプ32によって防止される。したがって、カテーテル30は、意図された位置に固定的に保持され、血管内血液ポンプの配置変化が回避されることが可能である。
【0101】
図3は、外科的ガイドチューブ1の第2の実施形態の斜視図を示している。第2の実施形態の外科的ガイドチューブ1は、以下の特徴において、第1の実施形態の外科的ガイドチューブ1とは異なる。横向きエクステンション10は、別個のクランピングパーツ34の上に提供されており、別個のクランピングパーツ34は、外科的ガイドチューブ1のチューブ状本体部2の上にクランプされることが可能である。クランピングパーツ34は、近位端部36と、遠位端部38と、近位端部36から遠位端部38へ延在するクランピングルーメンとを含む。横向きエクステンション10は、クランピングパーツ34と一体的に形成されている。
【0102】
横向きエクステンション10の平面的表面12a、12bは、クランピングルーメンの長手方向軸線に対して約45°の傾斜角度だけ傾斜されている。クランピングパーツ34がチューブ状本体部2の上にクランプされているときに、平面的表面12a、12bも、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して約45°の傾斜角度だけ傾斜されており、すなわち、クランピングルーメンの長手方向軸線およびガイドルーメンの長手方向軸線8は平行になっており、クランピングパーツ34が外科的ガイドチューブ1の上にクランプされているときに、一致することさえも可能である。
【0103】
近位バルジ40は、チューブ状本体部2を取り囲んでおり、外科的ガイドチューブ2の近位端部を形成している。近位バルジ40は、円形リングの形状の断面を有している。近位バルジ40の遠位には、2つの円周方向バンプ16および遠位バルジ18が提供されている。近位バルジ40、円周方向バンプ16、および遠位バルジ18は、互いに対して平行に整合されており、円周方向バンプ16および遠位バルジ18は、同じ外径を有しており、その直径は、近位バルジ40の外径よりも大きい。
【0104】
近位バルジ40、円周方向バンプ16、および遠位バルジ18は、クランピングパーツ34の近位端部36からクランピングパーツ34の遠位端部38への距離よりも大きい相互距離に、ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って位置決めされている。それによって、チューブ状本体部2の上へのクランピングパーツ34のクランピング位置は、可変である。正確には、クランピングパーツ34は、近隣のバンプ同士の間において、または、チューブ状本体部2のバンプと近隣のバルジとの間において、すなわち、近位バルジ40と最も近い円周方向バンプ16との間において、2つの円周方向バンプ16同士の間において、または、遠位バルジ18と最も近い円周方向バンプ16との間において、チューブ状本体部2の上にクランプされることが可能である。
【0105】
図4は、クランピングパーツ34の平面図を示している。横向きエクステンション10は、2つのウィングによって形成されており、D字形状の開口部14を含み、D字形状の開口部14は、平面的表面12a、12bに対して実質的に垂直方向に延在している。クランピングパーツ34は、反対側の円周方向に延在する2つのアーム42を含む。アーム42は、インターロッキングプロファイル44をそれぞれ提供されており、アーム42が互いに向けて移動されて反対側の円周方向に互いに通り過ぎるときに、クランピングパーツのクランピングルーメンの断面が狭くされるように配置されている。互いに向けて互いに通り過ぎて移動されると、アーム42は、インターロッキングプロファイル44を介して互いにインターロックする。インターロッキングプロファイル44は、ラチェットメカニズムを形成している。
【0106】
図5は、所定の位置にある第2の実施形態による外科的ガイドチューブ1の側面図を示しており、その位置では、それが、血管グラフト20の中に挿入され、血管グラフト20に固定されており、血管グラフト20は、患者のアクセスされた血管24に取り付けられている。第1の実施形態の外科的ガイドチューブ1とは対照的に、第2の実施形態の外科的ガイドチューブ1のチューブ状本体部2は、近位バルジ40までおよび近位バルジ40を含むように(すなわち、外科的ガイドチューブのチューブ状本体部2の近位端部4までおよびそれを含むように)、血管グラフト20の中に挿入されている。カテーテル30がチューブ状本体部2のガイドルーメンを通してアクセスされた血管24の中へ挿入されている状態で、チューブ状本体部2がグラフト20の中へ挿入された後に、クランピングパーツ34は、近位バルジ40と最も近い円周方向バンプ16との間の位置において、血管グラフト20の上にクランプされる。また、他の上述のクランピング位置のうちの1つにおいて、クランピングパーツ34をクランプすることも可能である。
【0107】
カテーテル30がガイドルーメンを通して挿入されている状態で、チューブ状本体部2がグラフト20の中へ挿入され、クランピングパーツ34がグラフト20の上にクランプされるときに、クランピングパーツ34は、ガイドルーメンの直径を低減させ、カテーテル30が外科的ガイドチューブ1のガイドルーメンの内側に固着されるようになっている。これは、チューブ状本体部2の内側でのカテーテル30の長手方向移動は、血管グラフト20の上にクランプされたクランピングパーツ34によって防止されるということ意味している。また、血管グラフト20の内側でのチューブ状本体部2の長手方向移動も、クランピングパーツ34によって防止される。したがって、カテーテル30は、意図される位置に固定的に保持され、血管内血液ポンプの配置変化が回避されることが可能である。横向きエクステンション10は、第1の実施形態の外科的ガイドチューブ1を参照して上記に説明されているのと同じ様式で、深筋膜26に取り付けられることが可能である。
【0108】
図6は、システムの第1の実施形態による、医療用デバイス(たとえば、カテーテル)を患者の身体に固定するためのシステムの平面図を示している。システムは、外科的ガイドチューブ1を含み、外科的ガイドチューブ1は、上記にすでに説明されているような外科的ガイドチューブ1であることが可能である。しかし、医療用デバイスを固定するためのこのシステムの外科的ガイドチューブ1は、異なる構成(たとえば、異なる数の円周方向バンプ16)を有することも可能である。具体的には、医療用デバイスを固定するためのこのシステムの外科的ガイドチューブ1は、平面的表面12a、12bを備えた横向きエクステンション10を有しており、平面的表面12a、12bは、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して約45°だけ傾斜されることが可能である。しかし、これは、医療用デバイスを固定するためのこのシステムの必要な特徴ではなく、本開示から逸脱することなく省略されることが可能である。とりわけ、平面的表面12a、12bは、異なる傾斜角度を有することが可能であり、または、全く傾斜を有していなくてもよい。上述の外科的ガイドチューブ1と同様に、横向きエクステンション10は、外科的ガイドチューブ1を患者の深筋膜(図6には示されていない)に固定するように構成されている。
【0109】
医療用デバイスを固定するためのシステムは、中央本体部48と、中央本体部48から反対方向に延在するフィクセイターウィング50とを備えたフィクセイター46を含む。それぞれのフィクセイターウィング50は、平面的表面を有しており、2つのフィクセイターウィング50の平面的表面は、共通の方向に面している。フィクセイターウィング50は、フィクセイター46を患者の皮膚の外側表面に固定するように構成されており、患者の身体に対してカテーテル30を保持するように構成されている。この目的のために、フィクセイターウィング50は、2つの開口部52をそれぞれ含み、縫合糸は、フィクセイターウィング50を患者の皮膚に縫合するために2つの開口部52を通されることが可能である。フィクセイターウィング50の中に提供されている2つよりも多いまたは2つよりも少ない開口部52が存在していることが可能である。
【0110】
医療用デバイスを固定するためのシステムは、再位置決めユニット54を含み、再位置決めユニット54は、近位端部56と、遠位端部58と、近位端部56から遠位端部58へ延在する再位置決めルーメンとを有している。再位置決めユニット54は、2つのボタン60を含み、2つのボタン60は、再位置決めユニット54の外側からアクセス可能である。2つのボタン60は、第1の状態において、カテーテル30を再位置決めルーメン54に対してその長手方向位置に保持するように設計されており、また、第2の状態において、ボタン60の作動のときにカテーテル30を解放するように設計されており、再位置決めルーメン54に対するカテーテル30の移動を可能にするようになっている。
【0111】
フィクセイター46の中央本体部48は、近位端部62と、遠位端部64と、中央本体部48の近位端部62から遠位端部64へ延在するフィクセイタールーメンとを有している。エクステンションルーメンを有するチューブ状エクステンション66が、中央本体部48の遠位端部64において、中央本体部48に接合されている。再位置決めユニット54は、中央本体部48の近位端部62に取り付けられている。
【0112】
使用時に、カテーテル30は、再位置決めルーメン、フィクセイタールーメン、エクステンションルーメン、およびガイドルーメンを通って、患者のアクセスされた血管24の中へ延在し、カテーテル30が患者の皮膚を貫通した状態になっている。血管グラフト20(図6には示されていない)、外科的ガイドチューブ1、およびカテーテル30は、上述の様式で固定クランプ32によって固着され、横向きエクステンション10は、患者の深筋膜26の上に固着される。また、別個のクランピングパーツ34を含む外科的ガイドチューブ1の上述の第2の実施形態を適用することも可能であり、そこでは、血管グラフト20、チューブ状本体部2、およびカテーテル30を固着するために、クランピングパーツ34が使用される。それによって、血管24の内側でのカテーテル30の移動が防止されることが可能である。
【0113】
チューブ状エクステンション66、フィクセイター46、および再位置決めユニット54は、横向きエクステンション10の近位に位置決めされている。そこでは、チューブ状エクステンション66は、横向きエクステンション10に対して所定の距離に位置決めされている。チューブ状エクステンション66は、皮膚刺激を低減させるために、それが患者の皮膚を貫通するように設置されている。カテーテル30は、約55Dの最大剛性を有しており、力の伝達を低減させるために可能な限り可撓性であるべきである。チューブ状エクステンション66は、約60Aの剛性を有するべきであり、小さな直径を取得して感染を低減させるために、可能な限り細く構成されるべきである。カテーテル30は、チューブ状エクステンション66と横向きエクステンション10との間にC字カーブを形成するように配置されることが可能である。次いで、カテーテル30のC字カーブは、フィクセイター46が取り付けられている患者の身体パーツの移動(とりわけ、肩領域における皮膚の移動)を吸収することが可能であり、吻合部への引っ張り力が防止されることが可能である。
【0114】
図7は、システムの第2の実施形態による、医療用デバイスを患者の身体に固定するためのシステムの平面図を示している。医療用デバイスを固定するためのシステムの第2の実施形態は、外科的ガイドチューブ1を含み、外科的ガイドチューブ1は、上述の外科的ガイドチューブ1の第1の実施形態の特徴のいずれか1つを含むことが可能である。しかし、医療用デバイスを固定するためのシステムのこの第2の実施形態の外科的ガイドチューブ1は、異なる構成(たとえば、異なる数の円周方向バンプ16(それは、本ケースでは、2つである))を有することも可能である。具体的には、医療用デバイスを固定するためのシステムのこの第2の実施形態の外科的ガイドチューブ1は、平面的表面12a、12bを備えた横向きエクステンション10を有しており、平面的表面12a、12bは、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して約45°だけ傾斜されることが可能である。しかし、これは、必要な特徴ではなく、本開示から逸脱することなくシステムから省略されることが可能である。また、平面的表面12a、12bは、異なる傾斜角度を有することも可能であり、または、全く傾斜を有していなくてもよい。上述の外科的ガイドチューブ1の第1の実施形態と同様に、横向きエクステンション10は、外科的ガイドチューブ1を患者の深筋膜に固定するように構成されている。
【0115】
医療用デバイスを固定するためのシステムの第1の実施形態と同様に、また、システムのこの第2の実施形態は、中央本体部48と、中央本体部48から反対方向に延在するフィクセイターウィング50とを備えたフィクセイター46を含む。それぞれのフィクセイターウィング50は、平面的表面を有しており、2つのフィクセイターウィング48の平面的表面は、共通の方向に面している。フィクセイターウィング50は、中央本体部48を患者の皮膚の外側表面に固定するように構成されており、患者の身体に対してカテーテル30を保持するように構成されている。この目的のために、フィクセイターウィング50の平面的表面は、フィクセイターウィング50を患者の皮膚に粘着させるために、(たとえば、石膏または接着剤テープのような)接着剤によってそれぞれカバーされている。
【0116】
また、医療用デバイスを固定するためのシステムのこの第2の実施形態は、近位端部56と、遠位端部58と、近位端部56から遠位端部58へ延在する再位置決めルーメンとを備えた再位置決めユニット54を含む。医療用デバイスを固定するためのシステムの第1の実施形態の再位置決めユニット54とは対照的に、医療用デバイスを固定するためのシステムのこの第2の実施形態の再位置決めユニット54は、1つのボタン60のみを含み、ボタン60は、第1の状態において、カテーテル30を再位置決めルーメン54に対してその長手方向位置に保持するためのものであり、また、第2の状態において、ボタン60の作動のときにカテーテル30を解放するためのものであり、再位置決めルーメン54に対するカテーテル30の移動を可能にするようになっている。
【0117】
外科的ガイドチューブ1は、横向きエクステンション10の近位に提供されるチューブ状エクステンション66を含み、その両方は、チューブ状本体部2と一体的に形成されている。チューブ状エクステンション66の近位端部において、チューブ状エクステンション66は、横向きエクステンション10に接合されているチューブ状エクステンション66の遠位端部と比較して拡大された直径を有するスリーブ部分68を含む。チューブ状エクステンション66の遠位部分70(それは、チューブ状エクステンション66の遠位端部における直径に対応する一定の直径を有している)は、テーパー付き部分72に融合し、テーパー付き部分72は、チューブ状エクステンション66の遠位部分70をスリーブ部分68と接続している。
【0118】
接続部分74は、スリーブ部分68を再位置決めユニット54と接続している。再位置決めユニット54の遠位端部58およびスリーブ部分68の近位端部は、実質的に同じ直径を有しているが、接続部分74の最も外側の直径は、これよりも小さい。接続部分74は、ウエスト部分76を含み、接続部分74の直径は、ウエスト部分76の中でさらに低減されている。ウエスト部分76の遠位端部において、および、ウエスト部分76の近位端部において、ウエスト部分76は、ウエスト部分76の最小の直径である一定の直径を有する中央領域78に向けてテーパー付きになっている。
【0119】
フィクセイター46は、2つのフィクセイターウィング50を接続するアーチ形のブリッジ80(または、ブラケット)の形態の中央本体部48を有している。ブリッジ80の幅は、フィクセイターウィング50の幅と比較して小さく、ブリッジ80は、ウエスト部分76の上を通過するように適合されており、ウエスト部分76がブリッジ80の下で長手方向に移動することができるようになっている。中央領域78の長さは、ブリッジ80のおおよそ2倍の幅に対応しており、ウエスト部分76の近位端部およびウエスト部分76の遠位端部は、ブリッジ80の下でのウエスト部分76の長手方向移動のスパンdを制限する(図8を参照)。
【0120】
図8の断面図において見ることができるように、再位置決めユニット54、接続部分74、およびチューブ状エクステンション66は、プラグ接続を介して接続されている。この目的のために、再位置決めユニット54は、半径方向外側のガイドスリーブ82、および、ガイドスリーブ82の内側に位置付けされているシーリング84を提供する。接続部分74は、近位スリーブ86を有しており、近位スリーブ86は、取り外し不可能な様式でシーリング84に係合するために、ガイドスリーブ82とシーリング84との間で半径方向にフィットするように適合されている。接続部分74の遠位部分88は、半径方向外側の係合構造体90を提供されており、チューブ状エクステンション66のスリーブ部分68は、半径方向内側の係合構造体92を提供されている。接続部分74がスリーブ部分68の中へ差し込まれるとき、係合構造体90、92は、取り外し不可能な様式で係合する。シーリング84と接続されているガイドチューブ94が提供されている。ガイドチューブ94は、接続部分74のウエスト部分76および遠位部分88を通って延在しており、接続ルーメンを形成しており、医療用デバイスは、接続ルーメンを通して挿入されることが可能である。接続部分74がチューブ状エクステンション66のスリーブ部分68の中へ差し込まれるときに、接続部分74のガイドチューブ94は、チューブ状エクステンション66のテーパー付き部分72に対して遠位に当接し、ガイドチューブ94の遠位端部が、スリーブ部分68と接続部分74の遠位部分88との間にシーリング機能を提供するようになっている。
【0121】
使用時に、カテーテル30(図7および図8には示されていない)は、再位置決めルーメン、接続ルーメン、およびガイドルーメンを通って、患者のアクセスされた血管24の中へ延在している。血管グラフト20(図7および図8には示されていない)および外科的ガイドチューブ1は、(外科的ガイドチューブ1の第1の実施形態を参照した)上述の様式で縫合糸28(図7および図8には示されていない)によって接続されており、横向きエクステンション10は、患者の深筋膜26の上に固着されている。チューブ状エクステンション66は、患者の皮膚を貫通している。この構成に起因して、カテーテル30は、再位置決めユニット54によって固定的に位置決めされており、ポンプが依然として交換可能である状態で、患者の血管系の内側のカテーテル30および血管内血液ポンプの意図されない再配置(relocation)を防止する。さらに、フィクセイターウィング50の適用領域(たとえば、肩領域)における皮膚の移動は、ウエスト部分76の長手方向移動のスパンdの中で可能であり、すなわち、吻合部に対する押す力または引っ張り力が低減されることが可能である。
【0122】
図9は、医療用デバイスを患者の身体に固定するためのシステムの第3の実施形態を示している。医療用デバイスを固定するためのシステムの第1の実施形態と同様に、システムのこの第3の実施形態は、外科的ガイドチューブ1を含み、外科的ガイドチューブ1は、上記に説明されている外科的ガイドチューブ1の第1または第2の実施形態の特徴のいずれか1つを含むことが可能である。しかし、医療用デバイスを固定するためのシステムのこの第3の実施形態の外科的ガイドチューブ1は、異なる構成を有することも可能である。医療用デバイスを固定するためのシステムのこの第3の実施形態の外科的ガイドチューブ1は、平面的表面12a、12bを備えた横向きエクステンション10を有しており、平面的表面12a、12bは、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して約45°だけ傾斜されている。しかし、これは、必要な特徴ではなく、本開示から逸脱することなくシステムから省略されることが可能である。平面的表面12a、12bは、異なる傾斜角度を有することが可能であり、または、全く傾斜を有していなくてもよい。上述の外科的ガイドチューブ1の第1および第2の実施形態と同様に、横向きエクステンション10は、外科的ガイドチューブ1を患者の深筋膜に固定するように構成されている。
【0123】
医療用デバイスを固定するためのシステムの第2の実施形態と同様に、また、システムのこの第3の実施形態は、中央本体部48と、中央本体部48から反対方向に延在するフィクセイターウィング50とを備えたフィクセイター46を含む。それぞれのフィクセイターウィング50は、平面的表面を有しており、2つのフィクセイターウィング50の平面的表面は、共通の方向に面している。フィクセイターウィング50は、フィクセイター46の中央本体部48を患者の皮膚の外側表面に固定するように構成されており、患者の身体に対してカテーテル30を保持するように構成されている。この目的のために、フィクセイターウィング50の平面的表面は、フィクセイターウィング50を患者の皮膚に粘着させるために、(たとえば、石膏または接着剤テープのような)接着剤によってそれぞれカバーされている。
【0124】
医療用デバイスを固定するためのシステムの第3の実施形態は、患者の皮膚の下への植え込みのための、および、それを通して医療用デバイスを挿入するための固着グラフト96を含む。その外側表面において、固着グラフト96は、皮膚の下の組織の中へのフィクセイターグラフト96の内方成長を強化するためのベロアを提供されている。
【0125】
使用時に、カテーテル30は、固着グラフト96の近位端部の近位に位置付けされている皮膚アクセス98のポイントにおいて患者の皮膚を貫通し、固着グラフト96を通って患者の皮膚の下に延在し、さらに外科的ガイドチューブ1を通って血管24の中へ延在する。血管グラフト20(図10におけるセクションXの拡大図に示されている)、外科的ガイドチューブ1、およびカテーテル30は、上述の様式で固定クランプ32によって固着されており(たとえば、図2を参照)、横向きエクステンション10は、患者の深筋膜24の上に固着されている。また、別個のクランピングパーツ34を含む外科的ガイドチューブ1の第2の実施形態を適用することも可能であり、そこでは、クランピングパーツ34は、グラフト20、チューブ状本体部2、およびカテーテル30を固着するために使用される。この構成に起因して、血管24の内側でのカテーテル30の長手方向移動が防止され、血管内血液ポンプの配置変化が回避される。
【0126】
フィクセイター46は、2つのフィクセイターウィング50を接続するアーチ形のブリッジ80(または、ブラケット)の形態の中央本体部48を有している。ブリッジ80は、皮膚の外側表面の上でカテーテル30の上を通過するように適合されており、皮膚アクセス98のポイントの近位の皮膚の外側表面の上に延在するカテーテル30の一部が、ブリッジ80の下を長手方向に移動することができるようになっている。
【0127】
医療用デバイスを固定するためのシステムの第3の実施形態は、医療用デバイスの長期の固着にとりわけ適切であり、医療用デバイスは、本ケースでは、カテーテル30および血管内血液ポンプである。医療用デバイスが患者の身体から除去されることとなるときに、血管グラフト20および固定クランプ32(または、外科的ガイドチューブ1の第2の実施形態のケースでは、別個のクランピングパーツ34)は、患者の腋窩において露出され、次いで、カテーテル30は、腋窩において、および、皮膚アクセス98のポイントにおいて切り落とされる。腋窩における切断ポイントと皮膚アクセス98のポイントとの間のカテーテル30の一部は、患者の身体の中にあるままである。血管グラフト20および固定クランプ32(または、外科的ガイドチューブ1の第2の実施形態のケースでは、別個のクランピングパーツ34)が、患者の身体から除去される。
【0128】
図11は、第1の状態における患者の身体への医療用デバイスの固着のためのクランピングユニット100の部分的な断面図を示している。クランピングユニット100は、近位端部104と、遠位端部106と、それを通して医療用デバイスを挿入するためのルーメンとを備えたチューブ状本体部102を有しており、ルーメンは、近位端部104から遠位端部106へ延在している。チューブ状本体部102は、チューブ状本体部102の遠位端部106における外科的ガイドチューブ部分108と、外科的ガイドチューブ部分108の近位に提供された2つの横向きエクステンション110とを含む。それぞれの横向きエクステンション110は、近位平面的表面112aおよび遠位平面的表面112b(図示せず)を画定している。チューブ状本体部102は、横向きエクステンション110の近位に提供されたハンドリング部分114と、それを通して医療用デバイスを挿入するように構成された回転可能なチューブ116とをさらに含む。回転可能なチューブ116は、チューブ状本体部102の内側ルーメンの内側に提供されており、レバー118に動作可能に接続されており、レバー118は、ハンドリング部分114の外側からアクセス可能である。レバー118は、ハンドリング部分114の外側表面を通って突出しており、レバー118の作動は、回転可能なチューブ116がその長手方向軸線の周りに非ツイスティング様式で回転することを引き起こす。
【0129】
さらに、チューブ状本体部102は、可撓性のチューブ状フォイル部分120を含み、チューブ状フォイル部分120は、それを通して医療用デバイスを挿入するように構成されている。チューブ状フォイル部分120は、内側ルーメンの内側に提供されており、近位接続部分122において回転可能なチューブ116に固定されており、チューブ状フォイル部分120および回転可能なチューブ116が、近位接続部分122において回転不可能な様式で互いに固定されるようになっている。チューブ状フォイル部分120は、遠位接続部分124においてチューブ状本体部102の内側壁部(チューブ状本体部のルーメンの内側)にさらに固定されており、チューブ状フォイル部分120およびチューブ状本体部102が、遠位接続部分124において回転不可能な様式で互いに固定されるようになっている。
【0130】
この構成に起因して、チューブ状フォイル部分120は、回転可能なチューブ116が第1の方向に回転させられるときに、その長手方向軸線の周りにツイストさせられ、また、回転可能なチューブ116が第1の方向に回転させられた後に、回転可能なチューブ116が第1の方向とは反対の第2の方向に回転させられるときに、アンツイストさせられる。図11は、チューブ状フォイル部分120がアンツイストされている状態を示しており、図12は、チューブ状フォイル部分120がツイストされている状態を示している。アンツイストされた状態からツイストされた状態へチューブ状フォイル部分120を移行させるために、すなわち、回転可能なチューブ116が第1の方向に回転することを引き起こすために、レバー118(それは、回転可能なチューブ116に接続されている)は、図11に示されている第1の位置(レバー118が上に回されている)から図12に示されている第2の位置(レバー118が下に回されている)へ移動される。同じ様式で、第2の位置(レバー118が下に回されている)から第1の位置(レバー118が上に回されている)へレバー118を移動させて戻すことによって、チューブ状フォイル部分120は、ツイストされた状態からアンツイストされた状態へ移行され、すなわち、回転可能なチューブ116は、第2の方向に回転させられる。
【0131】
ハンドリング部分114は、ボタン126をさらに含み、ボタン126は、ハンドリング部分114の外側からアクセス可能であり、ボタン126は、ハンドリング部分114の円周方向外側表面を通って延在している。ボタン126は、第1の状態において、チューブ状本体部102のルーメンに対して適切な位置に医療用デバイスを保持するように構成されており、また、第2の状態において、ボタン126の作動のときに医療用デバイスを解放するように構成されており、内側ルーメンに対する医療用デバイスの長手方向移動および回転移動を可能にするようになっている。しかし、ボタン126は、必要な特徴ではなく、本開示から逸脱することなくクランピングユニット114から省略されることが可能である。
【0132】
ハンドリング部分114は、その長さに沿って、低減された外径を有するセクションを含み、ウエスト部分128を形成するようになっている。ウエスト部分128の遠位端部において、および、ウエスト部分128の近位端部において、ウエスト部分128は、ウエスト部分128の最小の直径である一定の直径を有する中央領域130に向けてテーパー付きになっている。レバー118は、ウエスト部分128の中央領域130の中に提供されており、ウエスト部分128に隣接するハンドリング部分114の部分を越えて半径方向に延在していない。
【0133】
クランピングユニット100は、医療用デバイスを固定するためのシステムの第2の実施形態の上述のフィクセイター46と組み合わせられることが可能である。そこでは、フィクセイターウィング50(それは、接着剤によってカバーされている)は、フィクセイターの中央本体部48を患者の皮膚に固着し、患者の身体に対してハンドリング部分114を保持することが可能である。アーチ形のブリッジ80の形態の中央本体部48は、ハンドリング部分114のウエスト部分128の上を通過することが可能であり、ウエスト部分128がブリッジ80の下を長手方向に移動することができるようになっている。中央領域130の長手方向長さは、ブリッジ80のおおよそ2倍の幅に対応しており、ウエスト部分128の近位端部およびウエスト部分128の遠位端部は、ブリッジ80の下でのウエスト部分128の長手方向移動のスパンを制限する。
【0134】
使用時に、カテーテル30は、レバー118が第1の位置(レバー118が上に回されている)にある状態で、すなわち、チューブ状フォイル部分120がアンツイストされた状態で、チューブ状本体部102のルーメンの中へ挿入され、ハンドリング部分114および外科的ガイドチューブ部分108の全体を通って延在する。すなわち、カテーテル30は、また、回転可能なチューブ116およびチューブ状フォイル部分120のルーメンを通って、患者のアクセスされた血管24の中へ延在する。血管グラフト20(図11および図12には示されていない)および外科的ガイドチューブ部分108は、(外科的ガイドチューブ1の第1の実施形態を参照した)上述の様式で縫合糸28(図11および図12には示されていない)によって接続されており、横向きエクステンション110は、患者の深筋膜26に固着されている。ハンドリング部分114は、患者の皮膚を貫通している。この構成に起因して、カテーテル30は、レバー118を第2の位置に移動させる(レバー118を下に回す)ことによって、クランピングユニット100の内側に固定的に位置決めされることが可能であり、それによって、チューブ状フォイル部分120をツイストさせ、それは、チューブ状フォイル部分120の内径を低減させること、および、カテーテル30をクランプすることを結果として生じさせる。それによって、患者の血管系の内側のカテーテル30および血管内血液ポンプの意図されない再配置が防止されることが可能である。さらに、カテーテル30は、レバー118を第1の位置に移動させて戻す(レバー118を上に回す)ことによって、クランピングから解放されることが可能であり、それによって、チューブ状フォイル部分120をアンツイストさせ、それは、チューブ状フォイル部分120の内径を拡大させること、および、カテーテル30をアンクランプすることを結果として生じさせる。それによって、カテーテル30および血管内血液ポンプは、再配置または交換されることが可能である。さらに、フィクセイターウィング50が適用される領域(たとえば、肩領域)における皮膚の移動は、ウエスト部分128の長手方向移動のスパンの中で可能である。このように、カテーテル30がチューブ状フォイル部分120の内側にクランプされているときでも、すなわち、レバー118が第2の位置にある(レバー118が下に回されている)ときでも、吻合部に対する押す力または引っ張り力が低減されることが可能である。
【0135】
患者の血管の中にカテーテルベースの医療用デバイスを安定化させ、患者が移動するときにそれが血管の内側で前方または後方に移動することができないようになっている、異なる方法は、外科的ガイドチューブの使用を必要としない。第1の方法ステップは、以前に説明された実施形態におけるものと同じである。すなわち、第1のステップにおいて、患者の皮膚は、血管へのアクセスを得るために開放され、次に、血管グラフトは、吻合によって血管に接続され、グラフトを血管に縫合することによって発生させられる継ぎ目は、糊によって補強されることが可能であり、次いで、医療用デバイスが、グラフトを通して血管の中へ挿入され、カテーテルがその近位端部によってグラフトを通って患者から外へ延在するようになっている。しかし、この異なる方法によれば、カテーテルを安定化させるために外科的ガイドチューブを用いる代わりに、グラフトは、その内径を低減させるためにツイストされ、それによって、血管に固定されているグラフトの内側にカテーテルをクランプする。
【0136】
より具体的には、医療用デバイスは、プラグを含み、プラグは、カテーテルの上に装着されており、プラグがカテーテルに沿ってスライド可能であるようになっている。スライド可能なプラグは、閉鎖された形態(たとえば、閉鎖された円筒状の形態など、とりわけ、円筒に対応する外側形態)を有することが可能であり、シリコーンゴムから作製されることが可能である。医療用デバイス(たとえば、血管内血液ポンプなど)が患者の内側のそのターゲット場所に設置されると、カテーテルの上に配置されているスライド可能なプラグは、吻合部に近い位置までグラフトの中へ押し込まれる。下記に説明されている追加的な手段によって、スライド可能なプラグは、血管に極めて近接して血管の手前に保持される。グラフトの中へのプラグの挿入を促進させるために、プラグの外径は、グラフトの内径よりも小さくなっていることが可能である。追加的にまたは代替的に、グラフトは、弾性的特性を有することが可能であり、その外径がグラフトの内径に等しいかまたはさらにはグラフトの内径を超えるプラグが、依然としてグラフトの中へ押し込まれることが可能であるようになっている。後者のケースでは、プラグが位置決めされている場所において、張力が、グラフトの半径方向および円周方向にグラフトに印加される。この張力およびグラフトの弾性的特性に起因して、グラフトの内側のプラグの位置を安定化させるクランピング力が発生させられる。
【0137】
グラフトの中へプラグを挿入する前に、スロット付きシム(それは、好ましくは、弾性的ではなく、PEEKから作製されることが可能である)が、スライド可能なプラグがグラフトの内側に配置されるように意図される場所の遠位の場所において、グラフトの周りに設置され、それによって、遠位方向へのスライド可能なプラグのためのストップを形成する。スロット付きシムは、可能な限り吻合部の近くに設置されている。スロット付きシムの目的は、プラグのためのスライディングストップとしての役割を果たすことに加えて、グラフトがツイストされているときにそれが外科医によって容易に把持および保持されることが可能であるということである。さらに、シムは、アイレットを提供されることが可能であり、アイレットは、半径方向外向きに突出しており、シムは、強化された安定性のために、アイレットによって患者の筋膜に固定される(たとえば、縫合される)ことが可能である。好ましくは、シムは、プラグがグラフトの中へ挿入される前に、そのアイレットによって筋膜に固定される。グラフトの周りにシムを設置するために、シムは、半径方向に延在するスロットを含み、スロットの場所においてグラフトの上に半径方向にガイドされる。この目的のために、スロットは、カテーテルがその中に挿入された状態のグラフトの外径に少なくとも等しいかまたは好ましくはそれを超える幅を有している。さらに、シムの内径は、プラグの外径よりも小さく、プラグがシムを通って血管の中へスライドすることを防止されるようになっている。
【0138】
シムがグラフトの周りにおいて所望の位置に持って行かれ、プラグがその最終的な位置へとグラフトの中へ押し込まれると、患者の中の医療用デバイスの位置が最終決定される。次いで、グラフトは、その内径を低減させるようにツイストされる。それによって、クランピング力が、グラフトの内側のカテーテルの上に働かされ、スライド可能なプラグが、シムに対して押し付けられ、カテーテルの上にきつく圧縮される。プラグおよびシムは、グラフトのためのツイスティングストッパーとしての役割を果たす。それによって、グラフトに対してカテーテルを固定するためにグラフトがツイストされるときに、吻合部は、引張力を働かされないように保護されることが可能である。換言すれば、ツイスティング行為によって生成される捩じり力および引張力は、吻合部に到達せず、したがって、吻合継ぎ目に悪影響を及ぼすことはできない。
【0139】
グラフトがツイストされると、それは、たとえば、クランプを使用することによって、ツイストされた状態で保持され、クランプは、グラフトの外側からグラフトに作用し、グラフトが再びアンツイストされることができないようになっている。次いで、ツイストされたグラフトは、それ自身に縫合され、ツイストされた構造体を保存し、したがって、それをツイストされた状態で常に保持する。結果として生じる継ぎ目は、ツイストされたグラフトの長手方向のエクステンションと共線的になっていることが可能である。次いで、クランプが除去されることが可能である。次に、ツイストされたグラフトは、好ましくは、グラフトの縫合糸を損なうことなく、所望の長さまで短縮されることが可能である。
【0140】
ツイストされたグラフトによって発生させられるクランピング力によって、グラフトがカテーテルに適正に固定されるときに、医療用デバイスは、もはや血管の内側で前方または後方に移動することができなくなる。したがって、ツイストされたグラフトは、患者の身体の中へ押し込まれ、一方では、カテーテルは、ツイストされたグラフトを通って患者の身体から外へ延在しており、次いで、開放された皮膚は、カテーテルの周りで閉鎖されることが可能である。
【0141】
グラフトは、通常は、ダクロン(登録商標)または同様の材料から作製されている。グラフトは、編物、経編物、ノッティドファブリック、織布、または不織布であり、縫合することを促進させるようになっている。医療用デバイスが血管から除去されることとなるときに、グラフトが労力なしにアンツイストされることが可能であることを保証するために、グラフトの中への組織の内方成長は防止されるべきである。その理由は、これがアンツイスティングを妨げることとなるからである。したがって、グラフトの中への組織の任意の内方成長を防止するために、スリーブが、ツイストされたグラフトの周りに提供されることが可能である。スリーブは、チューブ状であることが可能であり、または、グラフトのツイストされた部分の周りに巻かれることが可能である。スリーブは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(たとえば、テフロン(Teflon)(登録商標)など)から作製されることが可能である。
【0142】
この方法の利点は、患者を切開することなく医療用デバイスが容易に除去されることが可能であるということである。より具体的には、医療用デバイスが除去されなければならないときに、グラフトをツイストされた状態に保持しているグラフトの上の縫合が最初に除去される。次いで、グラフトがアンツイストされ、カテーテルにかかるそのクランピング力を失う。医療用デバイスは、血管およびグラフトから引っ張り出され、それによって、スライド可能なプラグもグラフトから引っ張り出される。これは、カテーテルの遠位端部に配置されている医療用デバイス(たとえば、カテーテルベースの血管内血液ポンプのポンピングデバイスなど)の典型的により幅の広いパーツ(外径を指す)が、スライド可能なプラグをグラフトから押し出すからである。シムの内径は医療用デバイスの外径を超えているので、最初にグラフトからシムを除去することなく医療用デバイスを除去することが可能である。シムは、患者の内側に残されることが可能である。
【0143】
図13は、スロット付きシム33と、クランプ32と、継ぎ目20bとともに、カテーテル30の上の血管グラフト20を示しており、スロット付きシム33は、グラフトの遠位端部22の上に配置されており、外科医は、グラフト20のアンツイスティングを防止するために、カテーテル30に対してクランプ32によってグラフトの近位端部21を保持し、継ぎ目20bは、グラフトのツイストされた部分20aの長さに沿って延在しており、グラフト20のツイストされた構造体を保存しており、一方では、カテーテルの近位端部は、皮膚200を通って患者の身体から外へ延在している。また、最初にグラフト20を手動でツイストし、次いでアンツイスティングを防止する結紮糸を提供することによって、グラフト20をツイストし、クランプ32なしにツイストされた構造体を固定することも可能である。患者の皮膚200と血管24との間の距離は、変化する可能性がある。プラグ31が皮膚200の完全に下方に位置付けされていることが好適である。
【0144】
グラフト20は、6mmから10mmの内径、好ましくは、8mmの内径、または8mmから10mmの内径を有することが可能である。グラフト20の内側において、シム33の近位に、プラグ31(破線で示されている)が提供されている。プラグ31がグラフト20の中に挿入された状態で、グラフト20は、カテーテルに対してシールされ、止血を提供する。プラグ31は、とりわけ、シリコーンゴムから作製されており、40~60ショアAの強度、好ましくは、50ショアAの強度を有している。プラグ31の外径は、グラフト20の内径よりも小さい。代替的に、グラフト20は、弾性的であることも可能であり、プラグ31が、グラフト20の内径に等しいかまたはそれを超える外径を有することが可能であるようになっている。プラグ31およびシム33は、グラフトのツイスティング移動によって生じる引張力および捩じり力から吻合部を防止する。グラフト20は、編物、経編物、ノッティドファブリック、織布、または不織布である。図13に示されている状況は、クランプ32を除去し、グラフト20の近位端部21を切り離し、患者の身体の中へグラフト20を押し込み、患者の皮膚200の中の開口(opening)を閉鎖する前の手順の瞬間に対応している。
【0145】
図14Aは、スロット付きシム33の平面図を示しており、たとえば、図13に示されているようにカテーテルの上でツイストされた血管グラフトのために使用されることが可能であるようなものである。スロット付きシム33は、オープンリングの形態の平坦な主本体部1133を有している。平坦な半径方向突出部1133Aは、オープンリングから半径方向外側方向に延在しており、シム33を筋膜に固定するためのアイレットを形成している。オープンリングの円周方向にアイレットから間隔を離して配置されて、シム33は、リング33の半径方向に延在するスロット1033をさらに含む。オープンリングの2つの端部は、それぞれの端部表面1233を形成しており、端部表面1233は、スロット1033を画定しており、互いに平行に走っている。端部表面1233間の距離a(すなわち、スロット1033の幅)は、4mmから8mmの間にあり、好ましくは6mmである。オープンリングの内径bは、5mmから9mmの間にあり、好ましくは7mmである。オープンリングの外径cは、15mmから25mmの間にあり、好ましくは20mmである。図14Bにおいて見ることができるように(図14Bは、線XIVに沿って図14Aのスロット付きシム33の断面図を示している)、平坦な主本体部1133は、1mmから2mmの、好ましくは1.5mmの厚さdを有している。一般的に、スロット1033の幅は、カテーテルがその中に挿入されるグラフトがスロット1033を通ってフィットするように寸法決めされている。これは、スロット1033の幅が、少なくともカテーテルの外径にグラフトの壁部厚さの2倍を加えたものに対応するということ意味している。さらに、内径bは、カテーテルよりも幅の広い医療用デバイス(たとえば、ポンプヘッド)がシム33を通してガイドされ得るように寸法決めされている。これは、内径bが、少なくとも医療用デバイスの外径にグラフトの壁部厚さの2倍を加えたものに対応するということ意味している。
【0146】
図15Aは、プラグ31の3次元図を示しており、たとえば、図13に示されているようにカテーテルの上でツイストされた血管グラフトのために使用されることが可能であるようなものである。プラグ31の外側形態は、円筒に対応している。プラグ31は、15mmから25mmの、好ましくは20mmの長さを有している。図15Bにおいて見ることができるように(図15Bは、図15Aのプラグの断面図を示している)、プラグ31は、六角柱の形態の中央貫通孔1031を含む。プラグ31の外径eは、7mmから11mmであり、好ましくは9mmである。六角形に形状決めされた貫通孔1031のそれぞれの対向する表面は、2.5mmから3.5mmの、好ましくは3mmの距離fに提供されており、一方では、それぞれの対向する縁部は、好ましくは3.46mmの距離gに提供されている。隣接する表面は、120°で角度を付けられている。プラグ31は、シリコーンゴムから作製されており、50ショアAの強度を有している。
【0147】
本開示の好適な実施形態
1.血管グラフト20の中へ挿入するように構成されている外科的ガイドチューブ1であって、外科的ガイドチューブ1は、
本体部2であって、本体部2は、近位端部4、遠位端部6、および、長手方向軸線8を有するガイドルーメンを有しており、ガイドルーメンは、本体部2の近位端部4から遠位端部6へ延在しており、本体部2を通して医療用デバイス、とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル30を挿入するように構成されている、本体部2と、
横向きエクステンション10であって、横向きエクステンション10は、本体部2から横向きに延在しており、平面的表面12a、12bを画定しており、平面的表面12a、12bは、患者の体内管24、好ましくは血管、さらに好ましくは腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つと患者の皮膚との間において、患者の筋膜26に取り付けられるように構成されている、横向きエクステンション10と
を含み、
横向きエクステンション10の平面的表面12a、12bは、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して、約30°から60°の、好ましくは45°の傾斜角度だけ傾斜されていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0148】
2.段落1に記載の外科的ガイドチューブ1であって、横向きエクステンション10は、その平面的表面12a、12bが、ガイドルーメンの長手方向軸線8を通って直交して延在する軸線を含むように配置されていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0149】
3.段落1または2に記載の外科的ガイドチューブ1であって、横向きエクステンション10は、取り外し不可能な様式で本体部2に取り付けられており、好ましくは、本体部2と一体的に形成されていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0150】
4.段落1または2に記載の外科的ガイドチューブ1であって、外科的ガイドチューブ1は、別個のクランピングパーツ34をさらに含み、別個のクランピングパーツ34は、近位端部36と、遠位端部38と、クランピングパーツ34の近位端部36から遠位端部38へ延在するクランピングルーメンとを有しており、横向きエクステンション10は、取り外し不可能な様式でクランピングパーツ34に取り付けられており、好ましくは、クランピングパーツ34と一体的に形成されており、クランピングパーツ34は、本体部2の上にクランプするように構成されており、横向きエクステンション10の平面的表面12a、12bがガイドルーメンの長手方向軸線8に対して前記傾斜角度だけ傾斜されるようになっていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0151】
5.段落4に記載の外科的ガイドチューブ1であって、クランピングパーツ34は、クランピングルーメンの長手方向軸線がガイドルーメンの長手方向軸線8に対して平行になるように、本体部2の上にクランプするように構成されていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0152】
6.段落4または5に記載の外科的ガイドチューブ1であって、クランピングパーツ34は、本体部2の上にクランプされているときに、とりわけ、外科的ガイドチューブ1が2つ以上のバンプ16を提供されているかまたは少なくとも1つのバンプ16および少なくとも1つのバルジ18、40を提供されている場合に、クランピングパーツ34が、バンプ16同士の間において、または、少なくとも1つのバンプ16と少なくとも1つのバルジ18、40との間において、外科的ガイドチューブ1の長手方向位置に設置されているときに、ガイドルーメンの直径を低減させるように構成されていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0153】
7.段落4から6のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、クランピングパーツ34は、少なくとも2つのアーム42を含み、アーム42は、実質的に反対側の円周方向に延在しており、インターロッキングプロファイル44をそれぞれ提供されており、アーム42が互いに通り過ぎるように移動されるときに、クランピングルーメンの断面が狭くされるように配置されており、インターロッキングプロファイル44を介して互いにインターロックされることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0154】
8.段落7に記載の外科的ガイドチューブ1であって、少なくとも2つのアーム42のインターロッキングプロファイル44は、ラチェットメカニズムを形成していることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0155】
9.段落1から8のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、前記横向きエクステンション10のうちの2つが提供されており、それらは、好ましくは、互いにミラー対称的に配置されており、それぞれがウィングを形成しており、2つのウィングは、本体部2のガイドルーメンの長手方向軸線8に対して反対側の半径方向に延在していることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0156】
10.段落9に記載の外科的ガイドチューブ1であって、ガイドルーメンの長手方向軸線8と横向きエクステンション10のそれぞれの半径方向に最も外側の縁部との間の距離は、約5mmから約19mmの間にあり、好ましくは約8mmから約16mmの間にあり、さらに好ましくは約12mmであることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0157】
11.段落1から10のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、横向きエクステンション10は、突出部、凹部、または開口部14、より好ましくは、前記開口部14のうちの2つ以上を含み、それは、横向きエクステンション10を通して縫合糸28またはクランプ32を挿入するように構成されていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0158】
12.段落11に記載の外科的ガイドチューブ1であって、開口部14の長手方向軸線は、平面的表面12a、12bに対して実質的に垂直方向に延在していることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0159】
13.段落11または12に記載の外科的ガイドチューブ1であって、開口部14は、横断方向断面において実質的にD字形状になっていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0160】
14.段落1から13のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、横向きエクステンション10は、外科的ガイドチューブ1の近位端部4に配置されていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0161】
15.段落1から13のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、近位バルジ40は、本体部2を取り囲み、外科的ガイドチューブ1の近位端部を形成しており、近位バルジ40は、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有していることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0162】
16.段落1から15のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、外科的ガイドチューブ1は、本体部2から半径方向に延在する1つ以上の円周方向バンプ16を提供されており、前記1つ以上の円周方向バンプ16のそれぞれは、本体部2を取り囲んでおり、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有しており、1つ以上の円周方向バンプ16は、ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って間隔を離して配置された関係で配置されていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0163】
17.段落16に記載の外科的ガイドチューブ1であって、前記1つ以上の円周方向バンプ16のうちの少なくとも2つが存在しており、少なくとも2つの円周方向バンプ16は、(a)ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って互いに平行に整合されているという特徴、および、(b)同じ外径を有しているという特徴のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0164】
18.段落16に記載の外科的ガイドチューブ1であって、1つ以上の円周方向バンプ16のうちのいくつかまたはすべては、横向きエクステンション10の遠位に位置決めされており、前記遠位に位置決めされた円周方向バンプのうちの好ましくは少なくとも2つが存在しており、前記少なくとも2つの遠位に位置決めされた円周方向バンプは、(a)ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って互いに平行に整合されているという特徴、および、(b)同じ外径を有しているという特徴のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0165】
19.段落1から18のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、遠位バルジ18は、本体部2を取り囲み、外科的ガイドチューブ1の遠位端部を形成しており、遠位バルジ18は、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有していることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0166】
20.段落16から18のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、遠位バルジ18は、本体部2を取り囲み、外科的ガイドチューブ1の遠位端部を形成しており、遠位バルジ18は、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有しており、前記遠位バルジ18の近位に位置決めされている1つ以上の円周方向バンプ16のすべては、(a)ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って互いに平行に整合されているという特徴、および、(b)同じ外径を有しているという特徴のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0167】
21.段落18に記載の外科的ガイドチューブ1であって、遠位バルジ18は、本体部2を取り囲み、外科的ガイドチューブ1の遠位端部を形成しており、遠位バルジ18は、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有しており、横向きエクステンション10と前記遠位バルジ18との間に位置決めされている1つ以上の円周方向バンプ16のすべては、ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って互いに平行に整合されているという特徴、および、同じ外径を有しているという特徴のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0168】
22.段落1から21のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、外科的ガイドチューブ1の遠位端部の周囲部は、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して約30°から60°だけ、好ましくは45°だけ傾斜されている平面の中に横たわっていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0169】
23.段落22に記載の外科的ガイドチューブ1であって、平面は、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して、横向きエクステンション10の平面的表面12a、12bと同じ方向に、および、好ましくは同じ傾斜角度だけ傾斜されていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0170】
24.段落16から23のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、1つ以上の円周方向バンプ16は、ガイドルーメンの長手方向軸線8の周りに同心円状に配置されており、ガイドルーメンの長手方向軸線に対するバンプのそれぞれの外径は、本体部2の外径よりも約0.8倍から約1.8倍大きく、好ましくは約1倍から約1.6倍大きく、さらに好ましくは約1.3倍大きいことを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0171】
25.段落1から24のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、本体部2は、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して一定の外径を有していることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0172】
26.段落16から18、20、22、23、および25のうちのいずれか1つならびに段落4から8のいずれか1つを含む、段落1から25のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、少なくとも2つの円周方向バンプ16のすべては、クランピングパーツ34の近位端部36から遠位端部38への距離よりも大きい相互距離において、ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って位置決めされていることを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0173】
27.段落16、17、18、20、22、23、25、および26のいずれか1つならびに段落4から8のいずれか1つを含む、段落1から26のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1であって、(a)外科的ガイドチューブ1の近位端部と外科的ガイドチューブ1の近位端部の最も近くに位置付けされている1つ以上の円周方向バンプ16のうちの1つとの間の距離、および、(b)外科的ガイドチューブ1の遠位端部と外科的ガイドチューブ1の遠位端部の最も近くに位置付けされている1つ以上の円周方向バンプ16のうちの1つとの間の距離のうちの少なくとも1つは、クランピングパーツ34の近位端部36から遠位端部38への距離よりも大きいことを特徴とする、外科的ガイドチューブ1。
【0174】
28.段落1から27のいずれか1つに記載の外科的ガイドチューブ1と、血管グラフト20とを含むキットであって、血管グラフト20は、外科的ガイドチューブ1の遠位端部をその中へ挿入するように構成されている近位端部と、血管グラフト20を患者の血管24に固定するように構成されている遠位端部22と、グラフト20の近位端部からグラフト20の遠位端部22へ延在するグラフトルーメンとを有しており、グラフトルーメンは、外科的ガイドチューブ1の遠位セクションを収容するように構成されていることを特徴とする、キット。
【0175】
29.段落28に記載のキットであって、外科的ガイドチューブ1は、段落16に定義されているような1つ以上の円周方向バンプ16を含み、グラフトルーメンの直径は、1つ以上の円周方向バンプ16の外径の、とりわけ、1つ以上の円周方向バンプ16の最大外径の1倍からおよび約1.2倍にあり、好ましくは約1.1倍であることを特徴とする、キット。
【0176】
30.段落28または29に記載のキットであって、外科的ガイドチューブ1は、段落4から8のいずれか1つに定義されているようなクランピングパーツ34を含み、クランピングパーツ34は、外科的ガイドチューブ1がグラフト20の中に挿入されている状態で、クランピングパーツ34をグラフト20の上にクランプすることによって、グラフト20を外科的ガイドチューブ1に固定するように構成されていることを特徴とする、キット。
【0177】
31.段落30に記載のキットであって、外科的ガイドチューブ1がグラフト20の中に挿入されている状態でグラフト20の上にクランピングパーツ34をクランプすることによって、クランピングパーツ34は、外科的ガイドチューブ1のガイドルーメンの直径を低減させるように構成されていることを特徴とする、キット。
【0178】
32.段落28から31のいずれか1つに記載のキットであって、キットは、外科的ガイドチューブ1がグラフト20の中に挿入された状態で、グラフト20を本体部2の外側周囲部に固定するように構成されている、(a)少なくとも1つの縫合糸28および(b)少なくとも1つの固定クランプ32のうちの少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする、キット。
【0179】
33.段落32に記載のキットであって、少なくとも1つの縫合糸28または少なくとも1つの固定クランプ32は、外科的ガイドチューブ1がグラフト20の中に挿入されている状態でグラフト20にそれを適用することによって、グラフト20の直径を低減させるように構成されていることを特徴とする、キット。
【0180】
34.段落32または33のいずれか1つに記載のキットであって、固定クランプ32は、外科的ガイドチューブが1グラフト20の中に挿入されている状態で固定クランプ32をグラフト20に適用することによって、グラフト20のガイドルーメンの直径を低減させるように構成されていることを特徴とする、キット。
【0181】
35.段落28から34のいずれか1つに記載のキットであって、キットは、医療用デバイス、とりわけ、カテーテル30をさらに含み、医療用デバイスは、外科的ガイドチューブ1のガイドルーメンの中へおよびガイドルーメンを通して医療用デバイスを挿入するように構成されており、外科的ガイドチューブ1は、好ましくは、医療用デバイスの外側表面の上にスライド可能であることを特徴とする、キット。
【0182】
36.段落35に記載のキットであって、キットは、血管内血液ポンプをさらに含み、血管内血液ポンプは、医療用デバイスにそれを接続するように構成されており、また、グラフト20を通して患者の血管24の中へそれを挿入するように構成されていることを特徴とする、キット。
【0183】
37.医療用デバイスを患者の身体に固定するように構成されているシステムであって、システムは、
(a) 血管グラフト20の中へ挿入するように構成されている外科的ガイドチューブ1を含み、
外科的ガイドチューブ1は、
本体部2であって、本体部2は、近位端部4、遠位端部6、および、長手方向軸線8を有するガイドルーメンを有しており、ガイドルーメンは、本体部2の近位端部4から遠位端部6へ延在しており、本体部2を通して医療用デバイス、とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル30を挿入するように構成されている、本体部2と、
横向きエクステンション10であって、横向きエクステンション10は、本体部2から横向きに延在しており、平面的表面12a、12bを画定しており、平面的表面12a、12bは、患者の体内管、好ましくは血管、さらに好ましくは腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つと患者の皮膚との間において、患者の筋膜26に取り付けられるように構成されている、横向きエクステンション10と
を含み、
また、システムは、
(b) フィクセイター46であって、フィクセイター46は、フィクセイター46を患者の皮膚に固定するように、および、医療用デバイスを患者の身体に保持するように構成されており、フィクセイター46は、中央本体部48と、中央本体部48から反対方向に延在する2つのフィクセイターウィング50とを有しており、それぞれのフィクセイターウィング50は、共通の方向に面する平面的表面を有している、フィクセイター46を含むことを特徴とする、システム。
【0184】
38.段落37に記載のシステムであって、横向きエクステンション10の平面的表面は、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して、約30°から60°の、好ましくは45°の傾斜角度だけ傾斜されていることを特徴とする、システム。
【0185】
39.段落37または38に記載のシステムであって、横向きエクステンション10は、その平面的表面12a、12bが、ガイドルーメンの長手方向軸線8を通って直交して延在する軸線を含むように配置されていることを特徴とする、システム。
【0186】
40.段落37から39のいずれか1つに記載のシステムであって、横向きエクステンション10は、取り外し不可能な様式で本体部2に取り付けられており、好ましくは、本体部2と一体的に形成されていることを特徴とする、システム。
【0187】
41.段落37から40のいずれか1つに記載のシステムであって、外科的ガイドチューブ1は、別個のクランピングパーツ34をさらに含み、別個のクランピングパーツ34は、近位端部36と、遠位端部38と、クランピングパーツ34の近位端部36から遠位端部38へ延在するクランピングルーメンとを有しており、横向きエクステンション10は、取り外し不可能な様式でクランピングパーツ34に取り付けられており、好ましくは、クランピングパーツ34と一体的に形成されており、クランピングパーツ34は、本体部2の上にまたは本体部2の周りにクランプするように構成されており、好ましくは、横向きエクステンション10の平面的表面12a、12bがガイドルーメンの長手方向軸線8に対して前記傾斜角度だけ傾斜されるようになっていることを特徴とする、システム。
【0188】
42.段落41に記載のシステムであって、クランピングパーツ34は、クランピングルーメンの長手方向軸線がガイドルーメンの長手方向軸線8に対して平行になるように、本体部2の上にまたは本体部2の周りにクランプするように構成されていることを特徴とする、システム。
【0189】
43.段落41または42に記載のシステムであって、クランピングパーツ34は、本体部2の上にクランプされているときに、とりわけ、外科的ガイドチューブ1が2つ以上のバンプ16を提供されているかまたは少なくとも1つのバンプ16および少なくとも1つのバルジ18、40を提供されている場合に、クランピングパーツ34が、バンプ16同士の間において、または、少なくとも1つのバンプ16と少なくとも1つのバルジ18、40との間において、外科的ガイドチューブ1の長手方向位置に設置されているときに、ガイドルーメンの直径を低減させるように構成されていることを特徴とする、システム。
【0190】
44.段落41から43のいずれか1つに記載のシステムであって、クランピングパーツ34は、少なくとも2つのアーム42を含み、アーム42は、実質的に反対側の円周方向に延在しており、インターロッキングプロファイル44をそれぞれ提供されており、アーム42が互いに通り過ぎるように移動されるときに、クランピングルーメンの断面が狭くされるように配置されており、インターロッキングプロファイル44を介して互いにインターロックされることを特徴とする、システム。
【0191】
45.段落44に記載のシステムであって、少なくとも2つのアーム42のインターロッキングプロファイル44は、ラチェットメカニズムを形成していることを特徴とする、システム。
【0192】
46.段落37から45のいずれか1つに記載のシステムであって、前記横向きエクステンション10のうちの2つが存在しており、それぞれがウィングを形成しており、2つのウィングは、本体部2のガイドルーメンの長手方向軸線8に対して反対側の半径方向に延在していることを特徴とする、システム。
【0193】
47.段落46に記載のシステムであって、ガイドルーメンの長手方向軸線8と横向きエクステンション10のそれぞれの半径方向に最も外側の縁部との間の距離は、約5mmから約19mmの間にあり、好ましくは約8mmから約16mmの間にあり、さらに好ましくは約12mmであることを特徴とする、システム。
【0194】
48.段落37から47のいずれか1つに記載のシステムであって、横向きエクステンション10は、開口部14、より好ましくは、前記開口部14のうちの2つ以上を含み、それは、横向きエクステンション10を通して縫合糸28またはクランプ32を挿入するように構成されていることを特徴とする、システム。
【0195】
49.段落48に記載のシステムであって、開口部14の長手方向軸線は、平面的表面12a、12bに対して実質的に垂直方向に延在していることを特徴とする、システム。
【0196】
50.段落48または49に記載のシステムであって、開口部14は、横断方向断面において実質的にD字形状になっていることを特徴とする、システム。
【0197】
51.段落37から50のいずれか1つに記載のシステムであって、横向きエクステンション10は、外科的ガイドチューブ1の近位端部に配置されていることを特徴とする、システム。
【0198】
52.段落37から50のいずれか1つに記載のシステムであって、近位バルジ40は、本体部2を取り囲み、外科的ガイドチューブ1の近位端部を形成しており、近位バルジ40は、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有していることを特徴とする、システム。
【0199】
53.段落37から52のいずれか1つに記載のシステムであって、外科的ガイドチューブ1は、本体部から半径方向に延在する1つ以上の円周方向バンプ16を提供されており、前記1つ以上の円周方向バンプ16のそれぞれは、本体部2を取り囲んでおり、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有しており、1つ以上の円周方向バンプ16は、ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って間隔を離して配置された関係で配置されていることを特徴とする、システム。
【0200】
54.段落53に記載のシステムであって、前記1つ以上の円周方向バンプ16のうちの少なくとも2つが存在しており、少なくとも2つの円周方向バンプ16は、(a)ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って互いに平行に整合されているという特徴、および、(b)同じ外径を有しているという特徴のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、システム。
【0201】
55.段落53に記載のシステムであって、1つ以上の円周方向バンプ16のうちのいくつかまたはすべては、横向きエクステンション10の遠位に位置決めされており、前記遠位に位置決めされた円周方向バンプのうちの好ましくは少なくとも2つが存在しており、前記少なくとも2つの遠位に位置決めされた円周方向バンプは、(a)ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って互いに平行に整合されているという特徴、および、(b)同じ外径を有しているという特徴のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、システム。
【0202】
56.段落37から55のいずれか1つに記載のシステムであって、遠位バルジ18は、本体部2を取り囲み、外科的ガイドチューブ1の遠位端部を形成しており、遠位バルジ18は、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有していることを特徴とする、システム。
【0203】
57.段落37から55のいずれか1つに記載のシステムであって、遠位バルジ18は、本体部2を取り囲み、外科的ガイドチューブ1の遠位端部を形成しており、遠位バルジ18は、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有しており、前記遠位バルジ18の近位に位置決めされている1つ以上の円周方向バンプ16のすべては、(a)ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って互いに平行に整合されているという特徴、および、(b)同じ外径を有しているという特徴のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、システム。
【0204】
58.段落55に記載のシステムであって、遠位バルジ18は、本体部2を取り囲み、外科的ガイドチューブ1の遠位端部を形成しており、遠位バルジ18は、好ましくは環状になっており、さらに好ましくは円形リングの形状を有しており、横向きエクステンション10と前記遠位バルジ18との間に位置決めされている1つ以上の円周方向バンプ16のすべては、(a)ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って互いに平行に整合されているという特徴、および、(b)同じ外径を有しているという特徴のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、システム。
【0205】
59.段落41から66のいずれか1つに記載のシステムであって、外科的ガイドチューブ1の遠位端部の周囲部は、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して約30°から60°だけ、好ましくは45°だけ傾斜されている平面の中に横たわっていることを特徴とする、システム。
【0206】
60.段落59に記載のシステムであって、平面は、ガイドルーメンの長手方向軸線8に対して、横向きエクステンション10の平面的表面12a、12bと同じ方向に、および、好ましくは同じ傾斜角度だけ傾斜されていることを特徴とする、システム。
【0207】
61.段落53から60のいずれか1つに記載のシステムであって、1つ以上の円周方向バンプ16は、ガイドルーメンの長手方向軸線8の周りに同心円状に配置されており、ガイドルーメンの長手方向軸線に対するバンプ16のそれぞれの外径は、本体部2の外径よりも約0.8倍から約1.8倍大きく、好ましくは1倍から約1.6倍大きく、さらに好ましくは約1.3倍大きいことを特徴とする、システム。
【0208】
62.段落37から61のいずれか1つに記載のシステムであって、本体部2は、ガイドルーメンの長手方向軸線に対して一定の外径を有していることを特徴とする、システム。
【0209】
63.段落41から45のいずれか1つならびに段落53から55、58、61のいずれか1つを含む、段落53から62のいずれか1つに記載のシステムであって、少なくとも2つの円周方向バンプ16のすべては、クランピングパーツ34の近位端部36から遠位端部38への距離よりも大きい相互距離において、ガイドルーメンの長手方向軸線8に沿って位置決めされていることを特徴とする、システム。
【0210】
64.段落41から45のうちのいずれか1つならびに段落53から55、58、61のうちのいずれか1つを含む、段落53から63のいずれか1つに記載のシステムであって、(a)外科的ガイドチューブ1の近位端部と外科的ガイドチューブ1の近位端部の最も近くに位置付けされている1つ以上の円周方向バンプ16のうちの1つとの間の距離、および、(b)外科的ガイドチューブ1の遠位端部と外科的ガイドチューブ1の遠位端部の最も近くに位置付けされている1つ以上の円周方向バンプ16のうちの1つとの間の距離のうちの少なくとも1つは、クランピングパーツ34の近位端部36から遠位端部38への距離よりも大きいことを特徴とする、システム。
【0211】
65.段落37から64のいずれか1つに記載のシステムであって、システムは、血管グラフト20をさらに含み、グラフト20は、外科的ガイドチューブ1の遠位端部をその中へ挿入するように構成されている近位端部と、グラフト20を患者の血管24に固定するように構成されている遠位端部22と、グラフト20の近位端部からグラフト20の遠位端部22へ延在するグラフトルーメンとを有しており、グラフトルーメンは、外科的ガイドチューブ1の遠位セクションを収容するように構成されていることを特徴とする、システム。
【0212】
66.段落65に記載のシステムであって、外科的ガイドチューブ1は、段落53に定義されているような1つ以上の円周方向バンプ16を含み、グラフトルーメンの直径は、1つ以上の円周方向バンプ16の外径の、とりわけ、1つ以上の円周方向バンプ16の最大外径の1倍からおよび約1.2倍にあり、好ましくは約1.1倍であることを特徴とする、システム。
【0213】
67.段落65または66に記載のシステムであって、外科的ガイドチューブ1は、段落41から45のいずれか1つに定義されているようなクランピングパーツ34を含み、クランピングパーツ34は、外科的ガイドチューブ1がグラフト20の中に挿入されている状態で、クランピングパーツ34をグラフト20の上にクランプすることによって、グラフト20を外科的ガイドチューブ1に固定するように構成されていることを特徴とする、システム。
【0214】
68.段落67に記載のシステムであって、外科的ガイドチューブ1がグラフト20の中に挿入されている状態でグラフト20の上にクランピングパーツ34をクランプすることによって、クランピングパーツ34は、外科的ガイドチューブ1のガイドルーメンの直径を低減させるように構成されていることを特徴とする、システム。
【0215】
69.段落65から68のいずれか1つに記載のシステムであって、システムは、外科的ガイドチューブ1がグラフト20の中に挿入された状態で、グラフト20を本体部2の外側周囲部に固定するように構成されている、(a)少なくとも1つの縫合糸28および(b)少なくとも1つの固定クランプ32のうちの少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする、システム。
【0216】
70.段落69に記載のシステムであって、少なくとも1つの縫合糸28または少なくとも1つの固定クランプ32は、外科的ガイドチューブ1がグラフト20の中に挿入されている状態でグラフト20にそれを適用することによって、グラフト20の直径を低減させるように構成されていることを特徴とする、システム。
【0217】
71.段落69または70に記載のシステムであって、固定クランプ32は、外科的ガイドチューブが1グラフト20の中に挿入されている状態で固定クランプ32をグラフト20に適用することによって、グラフト20のガイドルーメンの直径を低減させるように構成されていることを特徴とする、システム。
【0218】
72.段落65から72のいずれか1つに記載のシステムであって、システムは、医療用デバイス、とりわけ、カテーテル30をさらに含み、医療用デバイスは、外科的ガイドチューブ1のガイドルーメンの中へおよびガイドルーメンを通して医療用デバイスを挿入するように構成されており、外科的ガイドチューブ1は、好ましくは、医療用デバイスの外側表面の上にスライド可能であることを特徴とする、システム。
【0219】
73.段落72に記載のシステムであって、システムは、血管内血液ポンプをさらに含み、血管内血液ポンプは、医療用デバイスにそれを接続するように構成されており、また、グラフト20を通して患者の血管24の中へそれを挿入するように構成されていることを特徴とする、システム。
【0220】
74.段落37から73のいずれか1つに記載のシステムであって、2つのフィクセイターウィング50のそれぞれは、少なくとも1つの開口部、好ましくは2つ以上の開口部を含み、開口部は、それを通して縫合糸またはクランプを挿入するように構成されており、フィクセイターウィング50を患者の皮膚に取り付けるようになっていることを特徴とする、システム。
【0221】
75.段落37から74のいずれか1つに記載のシステムであって、フィクセイターウィング50の平面的表面は、平面的表面を患者の皮膚に粘着させるように構成されている接着剤によって、少なくとも部分的にカバーされていることを特徴とする、システム。
【0222】
76.段落37から75のいずれか1つに記載のシステムであって、システムは、再位置決めユニット54をさらに含み、再位置決めユニット54は、近位端部56と、遠位端部58と、再位置決めユニット54の近位端部56から遠位端部58へ延在する再位置決めルーメンとを有しており、再位置決めルーメンは、再位置決めユニット54を通して医療用デバイスを挿入するように構成されており、再位置決めユニット54は、少なくとも1つのボタン60またはレバーを含み、ボタン60またはレバーは、再位置決めユニット54の外側からアクセス可能であり、好ましくは、再位置決めユニット54の円周方向外側表面まで突出しており、または、再位置決めユニット54の円周方向外側表面を通って延在しており、ボタン60またはレバーは、第1の状態において、医療用デバイスを再位置決めルーメンに対して適切な位置に保持するように構成されており、また、第2の状態において、ボタン60またはレバーの作動のときに医療用デバイスを解放するように構成されており、再位置決めルーメンに対する医療用デバイスの移動を可能にするようになっていることを特徴とする、システム。
【0223】
77.段落37から76のいずれか1つに記載のシステムであって、フィクセイター46の中央本体部48は、近位端部62と、遠位端部64と、中央本体部48の近位端部62から遠位端部64へ延在するフィクセイタールーメンとを有しており、フィクセイタールーメンは、中央本体部48を通して医療用デバイスを挿入するように構成されていることを特徴とする、システム。
【0224】
78.段落37から77のいずれか1つに記載のシステムであって、エクステンションルーメンを有するチューブ状エクステンション66は、中央本体部48の遠位端部64において中央本体部48に取り付けられており、好ましくは、中央本体部48と一体的に形成されており、エクステンションルーメンは、チューブ状エクステンション66を通して医療用デバイスを挿入するように構成されていることを特徴とする、システム。
【0225】
79.段落76から78のいずれか1つに記載のシステムであって、再位置決めユニット54は、中央本体部48の近位端部に取り付けられていることを特徴とする、システム。
【0226】
80.段落79に記載のシステムであって、エクステンションルーメン、フィクセイタールーメン、および再位置決めルーメンは、互いに対して同軸に整合されていることを特徴とする、システム。
【0227】
81.段落76を含む段落78から80のいずれか1つに記載のシステムであって、システムは、エクステンションルーメン、フィクセイタールーメン、および再位置決めルーメンを通して挿入可能な医療用デバイスをさらに含み、チューブ状エクステンション66、フィクセイター46、および再位置決めユニット54は、再位置決めユニット54のボタン60またはレバーが作動されるときに、医療用デバイスの上をスライド可能であることを特徴とする、システム。
【0228】
82.段落37から76のいずれか1つに記載のシステムであって、中央本体部48は、アーチ形のブリッジ80を形成しており、フィクセイター46が患者の皮膚に適用されているときに、医療用デバイスが中央本体部48と患者の皮膚との間を通過することができるようになっていることを特徴とする、システム。
【0229】
83.段落82に記載のシステムであって、システムは、固着グラフト96をさらに含み、固着グラフト96は、患者の皮膚の下に固着グラフト96を植え込むように構成されており、また、固着グラフト96を通して医療用デバイスを挿入するように構成されており、固着グラフト96は、好ましくは、固着グラフト96の外側表面の上にベロアを含み、ベロアは、皮膚がその中へ成長するように構成されていることを特徴とする、システム。
【0230】
84.段落37から76のいずれか1つに記載のシステムであって、エクステンションルーメンを有するチューブ状エクステンション66が、外科的ガイドチューブ1の近位端部において、外科的ガイドチューブ1に取り付けられており、好ましくは、外科的ガイドチューブ1と一体的に形成されており、エクステンションルーメンは、チューブ状エクステンション66を通して医療用デバイスを挿入するように構成されていることを特徴とする、システム。
【0231】
85.段落76を含む段落84に記載のシステムであって、システムは、接続部分74をさらに含み、接続部分74は、接続部分74を通して医療用デバイスを挿入するように構成されている接続ルーメンを有しており、接続部分74は、チューブ状エクステンション66を再位置決めユニット54に接続しており、接続部分74は、低減された外径を有するセクションを有しており、前記セクションは、再位置決めユニット54とチューブ状エクステンション66との間に位置決めされており、再位置決めユニット54とチューブ状エクステンション66との間にウエスト部分76を形成するようになっていることを特徴とする、システム。
【0232】
86.段落85に記載のシステムであって、フィクセイター46の中央本体部48は、アーチ形のブリッジ80を形成しており、フィクセイター46が患者の皮膚に適用されているときに、ウエスト部分76が中央本体部48と患者の皮膚との間を通過することができるようになっていることを特徴とする、システム。
【0233】
87.段落86に記載のシステムであって、ウエスト部分76は、近位端部および遠位端部を有しており、ウエスト部分76は、長手方向に沿ってブリッジ80の下を移動することが可能であり、長手方向に沿ったウエスト部分76の移動は、ウエスト部分76の遠位端部においておよび近位端部において、それぞれ停止されることを特徴とする、システム。
【0234】
88.段落85に記載のシステムであって、エクステンションルーメン、接続ルーメン、および再位置決めルーメンは、互いに対して同軸に整合されていることを特徴とする、システム。
【0235】
89.患者の身体に医療用デバイス、とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテル30を固定するように構成されているクランピングユニット100であって、クランピングユニット100は、チューブ状本体部102を有しており、チューブ状本体部102は、近位端部104と、遠位端部106と、ルーメンとを備えており、ルーメンは、チューブ状本体部102の近位端部104から遠位端部106へ延在しており、チューブ状本体部102を通して医療用デバイスを挿入するように構成されており、チューブ状本体部102は、
チューブ状本体部102の遠位端部106にある外科的ガイドチューブ部分108であって、外科的ガイドチューブ部分108は、外科的ガイドチューブ部分108を血管グラフト20の中へ挿入するように構成されている、外科的ガイドチューブ部分108と、
横向きエクステンション110であって、横向きエクステンション110は、平面的表面112a、112bを画定しており、平面的表面112a、112bは、患者の体内管24、好ましくは血管、さらに好ましくは腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つと患者の皮膚との間において、患者の筋膜26に取り付けられるように構成されており、横向きエクステンション110は、外科的ガイドチューブ部分108の近位に提供されている、横向きエクステンション110と
横向きエクステンション110の近位に提供されているハンドリング部分114と、
回転可能なチューブ116であって、回転可能なチューブ116は、回転可能なチューブ116を通して医療用デバイスを挿入するように構成されており、回転可能なチューブ116は、チューブ状本体部102のルーメンの内側に提供されており、第1のレバー118または第1のボタンに動作可能に接続されており、第1のレバー118または第1のボタンは、ハンドリング部分114の外側からアクセス可能であり、好ましくは、ハンドリング部分114の外側表面まで突出しており、または、ハンドリング部分114の外側表面を通って延在しており、第1のレバー118または第1のボタンの作動が、回転可能なチューブ116の長手方向軸線の周りでの回転可能なチューブ116の回転を非ツイスティング様式で引き起こすようになっている、回転可能なチューブ116と、
可撓性のチューブ状フォイル部分120であって、フォイル部分120は、フォイル部分120を通して医療用デバイスを挿入するように構成されており、フォイル部分120は、チューブ状本体部102のルーメンの内側に提供されており、フォイル部分120の近位接続部分122において回転可能なチューブ116に回転不可能な様式で固定されており、フォイル部分120は、フォイル部分120の遠位接続部分124においてチューブ状本体部102の内側ルーメンに回転不可能な様式でさらに固定されており、それによって、回転可能なチューブ116が第1の方向に回転させられるときに、フォイル部分120がツイストすることを引き起こし、また、回転可能なチューブ116が第1の方向に回転させられた後に、回転可能なチューブ116が第1の方向とは反対の第2の方向に回転させられるときに、回転可能なチューブ116がアンツイストすることをそれぞれ引き起こす、可撓性のチューブ状フォイル部分120と
を含むことを特徴とする、クランピングユニット100。
【0236】
90.段落89に記載のクランピングユニット100であって、ハンドリング部分114は、第2のボタン126または第2のレバーをさらに含み、第2のボタン126または第2のレバーは、ハンドリング部分114の外側からアクセス可能であり、好ましくは、ハンドリング部分114の円周方向外側表面まで突出しており、または、ハンドリング部分114の円周方向外側表面を通って延在しており、第2のボタン126または第2のレバーは、第1の状態において、チューブ状本体部102のルーメンに対して適切な位置に医療用デバイスを保持するように構成されており、また、第2の状態において、第2のボタン126または第2のレバーの作動のときに医療用デバイスを解放するように構成されており、内側ルーメンに対する医療用デバイスの移動を解放するようになっていることを特徴とする、クランピングユニット100。
【0237】
91.段落89または90に記載のクランピングユニット100であって、ハンドリング部分114は、低減された外径を有するセクションを含み、ウエスト部分128を形成するようになっており、第1のレバー118または第1のボタンが、好ましくは、ウエスト部分128に提供されており、さらに好ましくは、ウエスト部分128に隣接するハンドリング部分114の部分を越えて半径方向に延在していないことを特徴とする、クランピングユニット100。
【0238】
92.段落89から91のいずれか1つに記載のクランピングユニット100であって、クランピングユニット100は、フィクセイター46をさらに含み、フィクセイター46は、患者の皮膚への固着のために構成されており、また、患者の身体に対してクランピングユニット100を保持するように構成されており、フィクセイター46は、中央本体部48と、中央本体部48から反対方向に延在する2つのフィクセイターウィング50とを有しており、それぞれのフィクセイターウィング50は、共通の方向に面する平面的表面を有しており、フィクセイター46の中央本体部48は、アーチ形のブリッジ80を形成しており、フィクセイター46が患者の皮膚に適用されているときに、チューブ状本体部102のハンドリング部分114のウエスト部分128が、フィクセイター46の中央本体部48と患者の皮膚との間を通過することができるようになっていることを特徴とする、クランピングユニット100。
【0239】
93.段落92に記載のクランピングユニット100であって、ウエスト部分128は、近位端部および遠位端部を有しており、ウエスト部分128は、長手方向に沿ってブリッジ80の下を移動することが可能であり、長手方向に沿ったウエスト部分80の移動は、ウエスト部分128の遠位端部においておよび近位端部において、それぞれ停止されることを特徴とする、クランピングユニット100。
【0240】
94.段落89から93のいずれか1つに記載のクランピングユニット100であって、外科的ガイドチューブ部分108、横向きエクステンション110、およびフィクセイター46のうちの少なくとも1つは、段落37から88のいずれか1つに記載のシステムの外科的ガイドチューブ1、横向きエクステンション10、およびフィクセイター46とそれぞれ同じ構成を有していることを特徴とする、クランピングユニット100。
【0241】
95.患者の体内管への、好ましくは血管への、さらに好ましくは、腋窩動脈および鎖骨下動脈のうちの少なくとも1つへの血管アクセスを提供する方法であって、本方法は、外科的ガイドチューブを提供するステップであって、外科的ガイドチューブは、本体部を含み、本体部は、近位端部、遠位端部、および、長手方向軸線を有するガイドルーメンを有しており、ガイドルーメンは、近位端部から遠位端部へ延在しており、外科的ガイドチューブを通して、医療用デバイスを、とりわけ、血管内血液ポンプのカテーテルを挿入するように構成されている、ステップと、外科的ガイドチューブを患者の血管と皮膚との間において患者の筋膜に固定するステップとを含むことを特徴とする、方法。
【0242】
96.段落95に記載の方法であって、外科的ガイドチューブは、横向きエクステンションをさらに含み、横向きエクステンションは、本体部から横向きに延在しており、平面的表面を画定しており、本方法は、好ましくは、横向きエクステンションを筋膜に縫合するか、クランプするか、または粘着させることによって、横向きエクステンションの平面的表面を患者の筋膜に取り付けるステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0243】
97.段落96に記載の方法であって、横向きエクステンションは、近位平面的表面および遠位平面的表面を含み、横向きエクステンションは、近位平面的表面によって筋膜に取り付けられていることを特徴とする、方法。
【0244】
98.段落96に記載の方法であって、横向きエクステンションは、近位平面的表面および遠位平面的表面を含み、横向きエクステンションは、横向きエクステンションの遠位平面的表面によって筋膜に取り付けられていることを特徴とする、方法。
【0245】
99.段落95から98のいずれか1つに記載の方法であって、外科的ガイドチューブは、段落37から64のいずれか1つに記載のシステムの外科的ガイドチューブと同じ構成を有していることを特徴とする、方法。
【0246】
100.段落95から99のいずれか1つに記載の方法であって、本方法は、好ましくは吻合によって、血管グラフトの遠位端部を患者の血管に固定するステップであって、血管グラフトは、グラフトの近位端部から遠位端部へ延在するグラフトルーメンを有しており、グラフトルーメンは、血管グラフトの近位端部の中に外科的ガイドチューブの遠位セクションを収容するように構成されている、ステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0247】
101.段落100に記載の方法であって、本方法は、その近位端部にカテーテルを含む血管内血液ポンプを、血管グラフトの中へ、および、血管グラフトを通して、ならびに、さらに患者の血管の中へ挿入するステップをさらに含み、本方法は、好ましくは、意図された最終的な位置に血管内ポンプを前進させる追加的なステップであって、最終的な位置は、好ましくは、患者の心臓の左心室であり、外科的ガイドチューブは、カテーテルの外側表面の上にスライド可能に装着されている、ステップを含み、本方法は、外科的ガイドチューブの遠位セクションが血管グラフトの近位端部においてグラフトルーメンの中に収容されるように、カテーテルの外側表面の上で外科的ガイドチューブをスライドさせるステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0248】
102.段落101に記載の方法であって、グラフトルーメンの直径は、外科的ガイドチューブの外径の1倍から約1.2倍の間にあり、好ましくは約1.1倍であることを特徴とする、方法。
【0249】
103.段落101または102に記載の方法であって、本方法は、外科的ガイドチューブが血管グラフトのグラフトルーメンの中に収容された後に、好ましくは、外科的ガイドチューブの外側表面に血管グラフトをクランプまたは縫合することによって、血管グラフトを外科的ガイドチューブの外側表面に固定するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0250】
104.段落103に記載の方法であって、外科的ガイドチューブは、別個のクランピングパーツをさらに含み、別個のクランピングパーツは、近位端部と、遠位端部と、クランピングパーツの近位端部から遠位端部へ延在するクランピングルーメンとを有しており、横向きエクステンションは、取り外し不可能な様式でクランピングパーツに取り付けられており、好ましくは、クランピングパーツと一体的に形成されており、クランピングパーツは、外科的ガイドチューブの本体部の上にまたはその周りにクランプするように構成されており、本方法は、外科的ガイドチューブの遠位セクションがその中に収容される血管グラフトの上にクランピングパーツをクランプすることによって、外科的ガイドチューブの本体部にグラフトを固定するステップを含むことを特徴とする、方法。
【0251】
105.段落104に記載の方法であって、クランピングパーツは、外科的ガイドチューブの遠位セクションがその中に収容されている血管グラフトの上にクランプされているときに、ガイドルーメンの直径を低減させ、とりわけ、外科的ガイドチューブが2つ以上のバンプを提供されているかまたは少なくとも1つのバンプおよび少なくとも1つのバルジを提供されている場合に、バンプ同士の間において、または、少なくとも1つのバンプと少なくとも1つのバルジとの間において、外科的ガイドチューブの長手方向位置においてクランプされているときに、ガイドルーメンの直径を低減させ、それによって、ガイドルーメンの内側に医療用デバイスを固定し、ガイドルーメンに沿った医療用デバイスの移動が防止されるようになっていることを特徴とする、方法。
【0252】
106.段落103に記載の方法であって、本方法は、とりわけ、外科的ガイドチューブが2つ以上のバンプを提供されているかまたは少なくとも1つのバンプおよび少なくとも1つのバルジを提供されている場合に、バンプ同士の間において、または、少なくとも1つのバンプと少なくとも1つのバルジとの間において、外科的ガイドチューブの適切な位置において、少なくとも1つの縫合糸および少なくとも1つの固定クランプのうちの少なくとも1つを、外科的ガイドチューブの遠位セクションがその中に収容されているグラフトの上に適用することによって、外科的ガイドチューブの本体部に血管グラフトを固定するステップをさらに含み、外科的ガイドチューブの遠位セクションは、血管グラフトの中に収容されていることを特徴とする、方法。
【0253】
107.段落106に記載の方法であって、少なくとも1つの縫合糸または少なくとも1つの固定クランプは、外科的ガイドチューブの近位セクションがその中に収容されている血管グラフトに適用されるときに、とりわけ、バンプまたは少なくとも1つのバンプと少なくとも1つのバルジの外径よりも小さい低減された直径まで、グラフトルーメンの直径を低減させ、それによって、グラフトルーメンに沿った外科的ガイドチューブの移動を低減させ、好ましくは、それを防止することを特徴とする、方法。
【0254】
108.段落106または107に記載の方法であって、固定クランプは、外科的ガイドチューブの遠位セクションがその中に挿入されている血管グラフトの上にクランプされているときに、とりわけ、バンプ同士の間において、または、少なくとも1つのバンプと少なくとも1つのバルジとの間において、固定クランプが外科的ガイドチューブの適切な位置に設置されているときに、ガイドルーメンの直径を低減させ、それによって、ガイドルーメンの内側に医療用デバイスを固定し、ガイドルーメンに沿った医療用デバイスの移動が防止されるようになっていることを特徴とする、方法。
【0255】
109.段落95から108のいずれか1つに記載の方法であって、本方法は、医療用デバイスが患者の身体に保持されるように、フィクセイターを患者の皮膚に固定するステップをさらに含み、フィクセイターは、中央本体部と、中央本体部から反対方向に延在する2つのフィクセイターウィングとを有しており、それぞれのフィクセイターウィングは、共通の方向に面する平面的表面を有していることを特徴とする、方法。
【0256】
110.段落109に記載の方法であって、2つのフィクセイターウィングのそれぞれは、少なくとも1つの開口部、好ましくは2つ以上の開口部を含み、本方法は、フィクセイターウィングが患者の皮膚に取り付けられるように、前記少なくとも1つの開口部を通して縫合糸またはクランプを挿入するステップを含むことを特徴とする、方法。
【0257】
111.段落109または110に記載の方法であって、フィクセイターウィングの平面的表面は、接着剤によって少なくとも部分的にカバーされており、本方法は、平面的表面を患者の皮膚に粘着させるステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0258】
112.段落109から111のいずれか1つに記載の方法であって、フィクセイターの中央本体部は、近位端部と、遠位端部と、中央本体部の近位端部から遠位端部へ延在するフィクセイタールーメンとを有しており、本方法は、フィクセイタールーメンの中へおよびフィクセイタールーメンを通して医療用デバイスを挿入するステップをさらに含み、フィクセイターの中央本体部は、好ましくは、医療用デバイスの上にスライド可能に装着されていることを特徴とする、方法。
【0259】
113.段落109から112のいずれか1つに記載の方法であって、エクステンションルーメンを有するチューブ状エクステンションは、中央本体部の遠位端部においてフィクセイターの中央本体部に取り付けられており、好ましくは、フィクセイターの中央本体部と一体的に形成されており、本方法は、エクステンションルーメンの中へおよびエクステンションルーメンを通して医療用デバイスを挿入するステップをさらに含み、チューブ状エクステンションは、好ましくは、カテーテルの上にスライド可能に装着されていることを特徴とする、方法。
【0260】
114.段落109から113のいずれか1つに記載の方法であって、本方法は、再位置決めユニットを提供するステップを含み、再位置決めユニットは、近位端部と、遠位端部と、再位置決めユニットの近位端部から遠位端部へ延在する再位置決めルーメンとを有しており、本方法は、再位置決めルーメンの中へおよび再位置決めルーメンを通して医療用デバイスを挿入するステップをさらに含み、再位置決めユニットは、少なくとも1つのボタンまたはレバーを含み、少なくとも1つのボタンまたはレバーは、再位置決めユニットの外側からアクセス可能であり、好ましくは、再位置決めユニットの円周方向外側表面まで突出しており、または、再位置決めユニットの円周方向外側表面を通って延在しており、ボタンまたはレバーは、第1の状態において、医療用デバイスを再位置決めルーメンに対してその長手方向位置に保持し、また、第2の状態において、ボタンまたはレバーの作動のときに医療用デバイスを解放し、再位置決めルーメンに対する医療用デバイスの移動を可能にするようになっており、再位置決めユニットは、好ましくは、フィクセイターの中央本体部の近位端部に取り付けられていることを特徴とする、方法。
【0261】
115.段落109から114のいずれか1つに記載の方法であって、本方法は、フィクセイターから外科的ガイドチューブへ延在する医療用デバイスのセクションが患者の皮膚の上にC字カーブで設置されるように、患者の皮膚の所定の場所にフィクセイターを取り付けるステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0262】
116.段落109から115のいずれか1つに記載の方法であって、フィクセイターの中央本体部は、アーチ形のブリッジを形成しており、本方法は、医療用デバイスがフィクセイターの中央本体部と患者の皮膚との間を通過するように、患者の皮膚の上に医療用デバイスの上にフィクセイターを適用するステップを含むことを特徴とする、方法。
【0263】
117.段落109から116のいずれか1つに記載の方法であって、本方法は、固着グラフトの中へおよび固着グラフトを通して医療用デバイスを挿入するステップを含み、固着グラフトは、好ましくは、固着グラフトの外側表面の上にベロアを含み、ベロアは、皮膚がその中へ成長するように構成されており、本方法は、外科的ガイドチューブとフィクセイターとの間の医療用デバイスの一部分が皮膚の下に延在するように、患者の皮膚の下に固着グラフトを植え込むステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0264】
118.段落95から111のいずれか1つに記載の方法であって、エクステンションルーメンを有するチューブ状エクステンションは、外科的ガイドチューブの近位端部において外科的ガイドチューブに取り付けられており、好ましくは、それと一体的に形成されており、本方法は、エクステンションルーメンの中へおよびエクステンションルーメンを通して医療用デバイスを挿入するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0265】
119.段落114を含む段落118に記載の方法であって、接続ルーメンを有する接続部分は、チューブ状エクステンションを再位置決めユニットに接続しており、本方法は、接続ルーメンの中へおよび接続ルーメンを通して医療用デバイスを挿入するステップを含み、接続部分は、低減された外径を有するセクションを有しており、低減された直径の前記セクションは、再位置決めユニットとチューブ状エクステンションとの間に位置決めされており、再位置決めユニットとチューブ状エクステンションとの間にウエスト部分を形成するようになっていることを特徴とする、方法。
【0266】
120.段落119に記載の方法であって、フィクセイターの中央本体部は、アーチ形のブリッジを形成しており、本方法は、ウエスト部分がフィクセイターの中央本体部と患者の皮膚との間を通過するように、患者の皮膚の上に接続部分のウエスト部分の上にフィクセイターのアーチ形のブリッジを適用するステップを含むことを特徴とする、方法。
【0267】
121.段落120に記載の方法であって、接続部分のウエスト部分は、近位端部および遠位端部を有しており、ウエスト部分は、長手方向に沿ってフィクセイターのアーチ形のブリッジの下を移動することが可能であり、長手方向に沿ったウエスト部分の移動は、ウエスト部分の遠位端部においておよび近位端部においてそれぞれ停止されることを特徴とする、方法。
【0268】
122.段落95から112のいずれか1つに記載の方法であって、外科的ガイドチューブおよび横向きエクステンションは、段落89から91のいずれか1つに記載のクランピングユニットの一部を形成していることを特徴とする、方法。
【0269】
123.段落109を含む段落122に記載の方法であって、フィクセイターの中央本体部は、アーチ形のブリッジを形成しており、本方法は、ウエスト部分がフィクセイターの中央本体部と患者の皮膚との間を通過するように、患者の皮膚の上にクランピングユニットのウエスト部分の上にフィクセイターを適用するステップを含むことを特徴とする、方法。
【0270】
124.段落123に記載の方法であって、クランピングユニットのウエスト部分は、近位端部および遠位端部を有しており、長手方向に沿ってフィクセイターのアーチ形のブリッジの下を移動することが可能であり、長手方向に沿ったウエスト部分の移動は、ウエスト部分の遠位端部においておよび近位端部においてそれぞれ停止されることを特徴とする、方法。
【0271】
125.カテーテルを含む医療用デバイスを患者の血管の中に安定化させる方法であって、本方法は、
- 血管へのアクセスを得るために患者の皮膚を開放するステップと、
- 吻合によって血管グラフトを血管に接続するステップと、
- カテーテルがグラフトを通って延在するように、グラフトを通して血管の中へ医療用デバイスを導入するステップと、
- グラフトをその内径を低減させるためにツイストさせ、それによって、グラフトの内側にカテーテルをクランプするステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【0272】
126.段落125に記載の方法であって、本方法は、ツイストされたグラフトがアンツイストすることができないように、ツイストされたグラフトをツイストされた状態に保持するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0273】
127.段落126に記載の方法であって、本方法は、クランプを使用してカテーテルに対してツイストされたグラフトの近位パーツをクランプするステップを含むことを特徴とする、方法。
【0274】
128.段落126または127に記載の方法であって、本方法は、好ましくは、ツイストされたグラフトの近位パーツがカテーテルに対してクランプされた後に、ツイストされたグラフトを縫合し、それをツイストされた状態に保持するステップを含むことを特徴とする、方法。
【0275】
129.段落128に記載の方法であって、本方法は、ツイストされたグラフトを縫合する前にまたはその後に、ツイストされたグラフトを短縮させるステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0276】
130.段落125に記載の方法であって、吻合によってグラフトを血管に接続するステップは、グラフトを血管に縫合し、グラフトと血管との間に継ぎ目を生成させるステップを含むことを特徴とする、方法。
【0277】
131.段落130に記載の方法であって、本方法は、糊によって継ぎ目を補強するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0278】
132.段落125に記載の方法であって、医療用デバイスは、血管内血液ポンプであり、血管の中へ医療用デバイスを導入するステップは、血管内血液ポンプのポンピングデバイスが患者の心臓の中へ到達するまで、患者の腋窩動脈または鎖骨下動脈の中へ血管内血液ポンプを前進させるステップを含むことを特徴とする、方法。
【0279】
133.段落125に記載の方法であって、医療用デバイスは、カテーテルに沿ってスライド可能であるプラグを含み、血管の中へ医療用デバイスを導入するステップは、スライド可能なプラグが血管に当接するかまたは血管に極めて近接するように、グラフトの内側のカテーテルの上にスライド可能なプラグを配置するステップを含むことを特徴とする、方法。
【0280】
134.段落133に記載の方法であって、スライド可能なプラグは、閉鎖された形態を有しており、好ましくは、閉鎖された円筒状の形態を有しており、とりわけ好ましくは、スライド可能なプラグの外側形態は、円筒に対応していることを特徴とする、方法。
【0281】
135.段落134に記載の方法であって、スライド可能なプラグは、貫通孔を有しており、カテーテルは、貫通孔を通って延在することが可能であり、前記貫通孔は、断面に関して六角形の形状を有しており、好ましくは、六角柱の形態を有していることを特徴とする、方法。
【0282】
136.段落133に記載の方法であって、スライド可能なプラグは、シリコーンゴムから作製されていることを特徴とする、方法。
【0283】
137.段落133に記載の方法であって、スライド可能なプラグは、50ショアAの強度を有していることを特徴とする、方法。
【0284】
138.段落133に記載の方法であって、本方法は、好ましくは、グラフトの内側にプラグを配置する前に、グラフトの内側のスライド可能なプラグの意図された位置の遠位の場所において、グラフトの周りにスロット付きシムを設置するステップをさらに含み、シムは、好ましくは、アイレットを含み、本方法は、アイレットを患者の筋膜に固定するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0285】
139.段落138に記載の方法であって、グラフトをその内径を低減させるようにツイストさせるステップは、スロット付きシムを保持し、それによって、ツイストさせるステップによって引き起こされる捩じり力に対して対抗力を生成させるステップを含むことを特徴とする、方法。
【0286】
140.段落138に記載の方法であって、スロット付きシムは、弾性的ではなく、好ましくは、PEEKから作製されていることを特徴とする、方法。
【0287】
141.段落125に記載の方法であって、本方法は、カテーテルがツイストされたグラフトを通って延在している状態で、ツイストされたグラフトを患者の身体の中へ押し込むステップと、カテーテルの周りの開放された皮膚を閉鎖するステップとをさらに含むことを特徴とする、方法。
【0288】
142.段落125に記載の方法であって、スリーブが、ツイストされたグラフトの周りに提供され、スリーブは、グラフトの中への組織の内方成長を防止することを特徴とする、方法。
【0289】
143.カテーテル30を含む医療用デバイスを安定化させるためのキットであって、キットは、
血管グラフト20であって、医療用デバイスは、血管グラフト20を通して導入されることが可能であり、カテーテル30は、血管グラフト20を通って延在することが可能である、血管グラフト20と、
プラグ31であって、プラグ31は、カテーテル30に沿ってスライド可能であるように構成されており、プラグ31は、好ましくはカテーテル30の上に設置されている状態で、グラフト20の中へ挿入可能である、プラグ31と
を含むことを特徴とする、キット。
【0290】
144.段落143に記載のキットであって、グラフト20は、編物、経編物、ノッティドファブリック、織布、または不織布であることを特徴とする、キット。
【0291】
145.段落143または144に記載のキットであって、グラフト20は、その内径を低減させるようにツイスト可能であり、それによって、グラフト20の内側にカテーテル30をクランプするように構成されていることを特徴とする、キット。
【0292】
146.段落143から145のいずれか1つに記載のキットであって、グラフト20は、縫合可能であり、好ましくは、ツイストされた状態で縫合可能であることを特徴とする、キット。
【0293】
147.段落143から146のいずれか1つに記載のキットであって、プラグ31は、閉鎖された形態を有しており、好ましくは、閉鎖された円筒状の形態を有しており、とりわけ好ましくは、スライド可能なプラグ31の外側形態は、円筒に対応していることを特徴とする、キット。
【0294】
148.段落143から146のいずれか1つに記載のキットであって、プラグ31は、貫通孔を有しており、カテーテル30は、貫通孔を通って延在することが可能であることを特徴とする、キット。
【0295】
149.段落148に記載のキットであって、貫通孔は、断面に関して六角形の形状を有しており、好ましくは、六角柱の形態になっていることを特徴とする、キット。
【0296】
150.段落143から149のいずれか1つに記載のキットであって、プラグ31は、シリコーンゴムから作製されていることを特徴とする、キット。
【0297】
151.段落143から150のいずれか1つに記載のキットであって、プラグ31は、50ショアAの強度を有していることを特徴とする、キット。
【0298】
152.段落143から151のいずれか1つに記載のキットであって、キットは、グラフト20の周りに設置されるように構成されているスロット付きシム33をさらに含むことを特徴とする、キット。
【0299】
153.段落152に記載のキットであって、スロット付きシム33は、弾性的ではなく、好ましくは、PEEKから作製されていることを特徴とする、キット。
【0300】
154.段落152または153のいずれか1つに記載のキットであって、スロット付きシム33は、半径方向に延在するスロットを含み、グラフトは、カテーテルがグラフトを通って延在している状態で、半径方向に延在するスロットを通過させられることが可能であることを特徴とする、キット。
【0301】
155.段落152から154のいずれか1つに記載のキットであって、シム33は、アイレット1133Aを提供されており、アイレット1133Aは、患者の筋膜に固定されるように構成されていることを特徴とする、キット。
【0302】
156.段落152から155のいずれか1つに記載のキットであって、スロット付きシム33の内径は、プラグ31の外径よりも小さいことを特徴とする、キット。
【0303】
156.段落152から155のいずれか1つに記載のキットであって、スロット付きシム33の内径は、医療用デバイスの外径よりも大きいことを特徴とする、キット。
【0304】
157.段落143から156のいずれか1つに記載のキットであって、キットは、医療用デバイスとして血管内血液ポンプをさらに含むことを特徴とする、キット。
【0305】
158.段落145から157のいずれか1つに記載のキットであって、キットは、クランプ32をさらに含み、クランプ32は、ツイストされたグラフト20の近位パーツをカテーテル30に対してクランプするように構成されていることを特徴とする、キット。
【符号の説明】
【0306】
1 外科的ガイドチューブ、2 チューブ状本体部、4 チューブ状本体部の近位端部、6 チューブ状本体部の遠位端部、8 ガイドルーメンの長手方向軸線、10 横向きエクステンション、12a 近位平面的表面、12b 遠位平面的表面、14 開口部、16 円周方向バンプ、18 遠位バルジ、20 血管グラフト/グラフト、20a グラフトのツイストされた部分、20b グラフトのツイストされた部分の上の縫合糸、21 グラフトの近位端部、22 グラフトの遠位端部、24 血管、26 筋膜、28 外科的ガイドチューブをグラフトに固定するための縫合糸、29 横向きエクステンションを筋膜に固定するための縫合糸、30 カテーテル、31 プラグ、32 固定クランプ、33 スロット付きシム、34 クランピングパーツ、36 別個のクランピングパーツの近位端部、38 近位クランピングパーツの遠位端部、40 近位バルジ、42 クランピングパーツのアーム、44 インターロッキングプロファイル、46 フィクセイター、48 フィクセイターの中央本体部、50 フィクセイターウィング、52 フィクセイターウィングの開口部、54 再位置決めユニット、56 再位置決めユニットの近位端部、58 再位置決めユニットの遠位端部、60 再位置決めユニットのボタン、62 中央本体部の近位端部、64 中央本体部の遠位端部、66 チューブ状エクステンション、68 スリーブ部分、70 チューブ状エクステンションの遠位部分、72 テーパー付き部分、74 接続部分、76 ウエスト部分、78 中央領域、80 ブリッジ、82 ガイドスリーブ、84 シーリング、86 近位スリーブ、88 接続部分の遠位部分、90 接続部分の係合構造体、92 チューブ状エクステンションの係合構造体、94 ガイドチューブ、96 固着グラフト、98 皮膚アクセス、100 クランピングユニット、102 チューブ状本体部、104 チューブ状本体部の近位端部、106 チューブ状本体部の遠位端部、108 外科的ガイドチューブ部分、110 横向きエクステンション、112a 近位平面的表面、112b 遠位平面的表面、114 ハンドリング部分、116 回転可能なチューブ、118 レバー、120 チューブ状フォイル部分、122 近位接続部分、124 遠位接続部分、126 ボタン、128 ウエスト部分、130 中央領域、200 皮膚、1031 貫通孔、1033 スロット、1133 主本体部、1133A アイレット、1233 端部表面、a 距離、b 内径、c 外径、d 長手方向移動のスパン、t 厚さ、e 外径、f 距離、g 距離、A 仮想回転軸線。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
【国際調査報告】