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特表2024-544231トランスジェニックPristella
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】トランスジェニックPristella
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/0275 20240101AFI20241121BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241121BHJP
   A01K 67/02 20060101ALI20241121BHJP
   A01K 61/10 20170101ALI20241121BHJP
【FI】
A01K67/0275
C12N15/63 Z
A01K67/02
A01K61/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534261
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 US2022080233
(87)【国際公開番号】W WO2023107818
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/287,153
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519351303
【氏名又は名称】グローフィッシュ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【弁理士】
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】アイダス ネイスビシウス
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA03
2B104CA03
(57)【要約】
本発明は、トランスジェニック観賞魚、及びかかる魚をインビトロ受精技術によって作製する方法に関する。また、かかるトランスジェニック魚の集団を確立する方法、及びマーケティングの目的でそれらを観賞魚産業に提供する方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むトランスジェニックPristellaであって、前記Pristellaが、「Green Pristella 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックPristella。
【請求項2】
繁殖力のあるトランスジェニックPristellaとして更に定義される、請求項1に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項3】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項1に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項4】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項1に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項5】
トランスジェニックPristellaを観賞魚市場に提供する方法であって、請求項1に記載のトランスジェニックPristellaを得ることと、前記魚を前記観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項6】
前記魚が、養殖者によって商業的流通業者に流通される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記魚が、養殖者又は商業的流通業者によって小売業者に流通される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
トランスジェニックPristellaを生産する方法であって、
(a)蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むPristellaを得ることであって、前記Pristellaが、「Green Pristella 1形質転換イベント」を含む、得ることと、
(b)得られた前記Pristellaを第2のPristellaと繁殖させて、前記Green Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを提供することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記第2のPristellaが、非トランスジェニックPristellaである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含む請求項1に記載のトランスジェニックPristellaの子孫であって、前記Pristella及び子孫が、蛍光を呈し、前記「Green Pristella 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックPristellaの子孫。
【請求項12】
繁殖力のあるトランスジェニックPristellaとして更に定義される、請求項11に記載の子孫の魚。
【請求項13】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項11に記載の子孫の魚。
【請求項14】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項11に記載の子孫の魚。
【請求項15】
トランスジェニック魚を観賞魚市場に提供する方法であって、請求項11に記載の子孫の魚を得ることと、前記魚を前記観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項16】
前記魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
トランスジェニック魚を生産する方法であって、
(a)請求項1に記載のトランスジェニック魚を得ることと、
(b)得られた前記魚を第2の魚と繁殖させて、前記Green Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚を提供することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記第2の魚が、非トランスジェニック魚である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むトランスジェニックPristellaであって、前記Pristellaが、「Orange Pristella 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックPristella。
【請求項22】
繁殖力のあるトランスジェニックPristellaとして更に定義される、請求項21に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項23】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項21に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項24】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項21に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項25】
トランスジェニックPristellaを観賞魚市場に提供する方法であって、請求項21に記載のトランスジェニックPristellaを得ることと、前記魚を前記観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項26】
前記魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
トランスジェニックPristellaを生産する方法であって、
(a)蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むPristellaを得ることであって、前記Pristellaが、「Orange Pristella 1形質転換イベント」を含む、得ることと、
(b)得られた前記Pristellaを第2のPristellaと繁殖させて、前記Orange Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを提供することと、を含む、方法。
【請求項30】
前記第2のPristellaが、非トランスジェニックPristellaである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含む請求項21に記載のトランスジェニックPristellaの子孫であって、前記Pristella及び子孫が、蛍光を呈し、前記「Orange Pristella 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックPristellaの子孫。
【請求項32】
繁殖力のあるトランスジェニックPristellaとして更に定義される、請求項31に記載の子孫の魚。
【請求項33】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項31に記載の子孫の魚。
【請求項34】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項31に記載の子孫の魚。
【請求項35】
トランスジェニック魚を観賞魚市場に提供する方法であって、請求項31に記載の子孫の魚を得ることと、前記魚を前記観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項36】
前記魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
トランスジェニック魚を生産する方法であって、
(a)請求項21に記載のトランスジェニック魚を得ることと、
(b)得られた前記魚を第2の魚と繁殖させて、前記Orange Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚を提供することと、を含む、方法。
【請求項40】
前記第2の魚が、非トランスジェニック魚である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むトランスジェニックPristellaであって、前記Pristellaが、「Purple Pristella 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックPristella。
【請求項42】
繁殖力のあるトランスジェニックPristellaとして更に定義される、請求項41に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項43】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項41に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項44】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項41に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項45】
トランスジェニックPristellaを観賞魚市場に提供する方法であって、請求項41に記載のトランスジェニックPristellaを得ることと、前記魚を前記観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項46】
前記魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
トランスジェニックPristellaを生産する方法であって、
(a)蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むPristellaを得ることであって、前記Pristellaが、「Purple Pristella 1形質転換イベント」を含む、得ることと、
(b)得られた前記Pristellaを第2のPristellaと繁殖させて、前記Purple Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを提供することと、を含む、方法。
【請求項50】
前記第2のPristellaが、非トランスジェニックPristellaである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含む請求項41に記載のトランスジェニックPristellaの子孫であって、前記Pristella及び子孫が、蛍光を呈し、前記「Purple Pristella 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックPristellaの子孫。
【請求項52】
繁殖力のあるトランスジェニックPristellaとして更に定義される、請求項51に記載の子孫の魚。
【請求項53】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項51に記載の子孫の魚。
【請求項54】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項51に記載の子孫の魚。
【請求項55】
トランスジェニック魚を観賞魚市場に提供する方法であって、請求項51に記載の子孫の魚を得ることと、前記魚を前記観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項56】
前記魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
トランスジェニック魚を生産する方法であって、
(a)請求項41に記載のトランスジェニック魚を得ることと、
(b)得られた前記魚を第2の魚と繁殖させて、前記Purple Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚を提供することと、を含む、方法。
【請求項60】
前記第2の魚が、非トランスジェニック魚である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むトランスジェニックPristellaであって、前記Pristellaが、「Red Pristella 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックPristella。
【請求項62】
繁殖力のあるトランスジェニックPristellaとして更に定義される、請求項61に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項63】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項61に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項64】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項61に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項65】
トランスジェニックPristellaを観賞魚市場に提供する方法であって、請求項61に記載のトランスジェニックPristellaを得ることと、前記魚を前記観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項66】
前記魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
トランスジェニックPristellaを生産する方法であって、
(a)蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むPristellaを得ることであって、前記Pristellaが、「Red Pristella 1形質転換イベント」を含む、得ることと、
(b)得られた前記Pristellaを第2のPristellaと繁殖させて、前記Red Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを提供することと、を含む、方法。
【請求項70】
前記第2のPristellaが、非トランスジェニックPristellaである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含む請求項61に記載のトランスジェニックPristellaの子孫であって、前記Pristella及び子孫が、蛍光を呈し、前記「Red Pristella 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックPristellaの子孫。
【請求項72】
繁殖力のあるトランスジェニックPristellaとして更に定義される、請求項71に記載の子孫の魚。
【請求項73】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項71に記載の子孫の魚。
【請求項74】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項71に記載の子孫の魚。
【請求項75】
トランスジェニック魚を観賞魚市場に提供する方法であって、請求項71に記載の子孫の魚を得ることと、前記魚を前記観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項76】
前記魚が、養殖者によって商業流通業者に流通される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記魚が、養殖者又は商業流通業者によって小売業者に流通される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
トランスジェニック魚を生産する方法であって、
(a)請求項61に記載のトランスジェニック魚を得ることと、
(b)得られた前記魚を第2の魚と繁殖させて、前記Red Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚を提供することと、を含む、方法。
【請求項80】
前記第2の魚が、非トランスジェニック魚である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記Green Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子が、受託番号(PTA-127162)としてATCCに寄託されている、請求項1、9、又は11のいずれか一項に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項82】
前記Orange Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子が、受託番号(PTA-127164)としてATCCに寄託されている、請求項21、29、又は31のいずれか一項に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項83】
前記Purple Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子が、受託番号(PTA-127163)としてATCCに寄託されている、請求項41、49、又は51のいずれか一項に記載のトランスジェニックPristella。
【請求項84】
前記Red Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子が、受託番号(PTA-127165)としてATCCに寄託されている、請求項61、69、及び71のいずれか一項に記載のトランスジェニックPristella。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、PCT国際特許出願として2022年11月21日に出願され、2021年12月8日に出願された米国仮出願第63/287,153号の優先権及び利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、トランスジェニック魚、特に緑色、オレンジ色、紫色、及び赤色のトランスジェニックPristellaに関する。
【背景技術】
【0003】
トランスジェニック技術は、宿主が新しい遺伝的形質を獲得することを可能にする宿主生物への外来遺伝子の移行を伴う。トランスジェニック技術には多くの潜在用途がある。例えば、新しい品種の魚を生成するために、魚に導入遺伝子を導入するために使用することができる。マイクロインジェクション(例えば、Zhu et al.,1985、Du et al.,1992)、エレクトロポレーション(Powers et al.,1992)、精子媒介性遺伝子導入(Khoo et al.,1992、Sin et al.,1993)、遺伝子衝突又は遺伝子銃(Zelenin et al.,1991)、リポソーム媒介性遺伝子導入(Szelei et al.,1994)、及び筋肉組織へのDNAの直接注入(Xu et al.,1999)を含む、外来遺伝子を魚に導入する多くの方法が存在する。
【0004】
最初のトランスジェニック魚の報告は、マウスメタロチオネイン遺伝子プロモーター及びヒト成長ホルモン遺伝子からなるキメラ遺伝子構築物を使用してZhu et al.,(1985)によって公開された。初期のトランスジェニック魚の研究のほとんどは、急速に成長する魚を生成することを目的とした成長ホルモン遺伝子導入に焦点を当ててきた。初期の試みの大部分は、異種成長ホルモン遺伝子及びプロモーターを使用し、これらの魚を生産することができなかったが(例えば、Chourrout et al.,1986、Penman et al.,1990、Brem et al.,1988、Gross et al.,1992)、トランスジェニック魚の増強された成長が、タイセイヨウサケ、タイヘイヨウサケのいくつかの種、及びドジョウを含むいくつかの魚種で示されている(例えば、Du et al.,1992、Delvin et al.,1994,1995、Tsai et al.,1995)。
【0005】
Pristella属の2つの種のうちの1つであるPristella maxillarisは、その半透明の体のために、一般にX線魚又はX線テトラとして知られている。アマゾン川及びオリノコ川流域、並びにギアナの沿岸河川の酸性水域及びアルカリ性水域の両方で見られる、広く分布し、適応性のある魚である。他のほとんどのカラシンとは異なり、わずかに塩気のある水に耐性である(時にはその中に見出される)。小さく(長さ最大約5cm又は2.0インチ)、大きなグループで生活しており、雄は雌よりも小さくて細いことから、雌と区別することができる。他のほとんどのテトラと同様に、主に小さな昆虫及びプランクトン動物を餌とする。
【0006】
住宅用魚市場では、Pristella maxillarisは適応性のある小さな魚である。これは、ある範囲の水の化学値(すなわち、pH6~8)に耐性である。スクーリング種として、通常、少なくとも6つの標本のグループに保たれ、攻撃的又は捕食的なタンクの仲間から離れているが、そうでなければ簡単にコミュニティタンクで保持される。
【0007】
しかしながら、蛍光タンパク質による遺伝子導入のために修飾された色素沈着を有するそのようなPristellaの利用可能性は、様々な色のより良好な視覚化に起因して、観賞魚産業のためのより良好な製品をもたらすであろう。
【0008】
多くの蛍光タンパク質が当該技術分野で既知であり、様々な緑色、赤色、ピンク色、黄色、オレンジ色、青色、又は紫色を呈する蛍光タンパク質を含む様々な細胞プロセスを調査するために使用されている。蛍光タンパク質を含むトランスジェニック実験は、遺伝子導入のための新しいマーカー及びレポーターを提供してきたが、そのようなタンパク質を発現するPristellaの開発及び生産の分野における進歩は限られている。
【0009】
トランスジェニックPristella
ある特定の実施形態では、本開示は、トランスジェニック蛍光魚を作製し、そのような魚を観賞魚産業に提供することに関する。
【0010】
いくつかの実施形態では、トランスジェニック魚又はトランスジェニック魚を作製する方法が提供される。ある特定の態様では、トランスジェニック魚は、繁殖力のあるトランスジェニック蛍光魚である。特定の実施形態では、開示される構築物及び方法とともに使用するための魚は、Pristellaである。Pristella皮膚色は、メラノソーム(黒色又は褐色)、キサントソーム(黄色)、エリスロソーム(オレンジ色又は赤色)、又はイリドソーム(白色を含む、虹色)と呼ばれる色素顆粒を含む、皮膚における色素細胞によって決定される。色素細胞当たりの色素顆粒の数、サイズ、及び密度は、魚の皮膚の色に影響を及ぼす。
【0011】
ある特定の具体的な実施形態では、本明細書において形質転換イベントと称される特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックPristella又はその子孫が提供される。これらの魚は、例えば、審美的に好ましい緑色を具現化するため、特に興味深いものである。これらの特定のトランスジェニックイベントを含むトランスジェニック魚は、形質転換イベントに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。形質転換イベントを欠く魚で繁殖したホモ接合性魚は、ほぼ全てのケースで100%ヘテロ接合性子孫を生産する。これらの特定のトランスジェニックイベントを含む生殖細胞、卵子、精子、及び胚もまた、本発明の一部として含まれる。
【0012】
特定のトランスジェニック組み込みイベントに関する1つのかかる実施形態では、染色体組み込み導入遺伝子を含む緑色のトランスジェニックPristella又はその子孫が提供され、、Pristellaは、「Green Pristella 1形質転換イベント」を含み、Green Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127162)としてAmerican Type Culture Collections(ATCC)(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている。染色体組み込み導入遺伝子は、1つの組み込み発現カセット又は2つ以上の組み込み発現カセット上に存在してもよい。ある特定の態様では、そのようなトランスジェニックPristellaは、繁殖力のあるトランスジェニックPristellaである。そのようなトランスジェニックPristellaは、導入遺伝子又は組み込み発現カセット(複数可)に対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。
【0013】
また、Green Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを観賞魚市場に提供する方法も開示される。いくつかの実施形態では、方法は、染色体組み込み導入遺伝子を含むトランスジェニックPristella又はその子孫を得ることを含み、Pristellaは、「Green Pristella 1形質転換イベント」を含み、Green Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127162)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されており、観賞魚市場に魚を流通している。そのような魚は、養殖者によって商業的流通業者に流通され得るか、又はそのような魚は、養殖者若しくは商業的流通業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多製品小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0014】
いくつかの態様では、(a)蛍光を呈し、1つ以上の染色体組み込み導入遺伝子又は発現カセットを含むPristellaを得ることであって、Pristellaが、「Green Pristella 1形質転換イベント」を含み、Green Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子が、受託番号(PTA-127162)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている、得ることと、(b)得られたPristellaを第2のPristellaで繁殖させ、Green Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを提供することと、を含む、トランスジェニックPristellaを生産する方法が提供される。第2のPristellaは、トランスジェニック又は非トランスジェニックPristellaであり得る。
【0015】
更なる実施形態では、トランスジェニック生物を生産する方法もまた提供され、方法は、トランスジェニック子孫を生産するために、生殖細胞移植を使用して、Green Pristella 1形質転換を生み出すことを含み、そのような凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127162)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている。そのような子孫は、例えば、Pristella、Characidae科の種、Pristellaに関連する魚種若しくは属、又は別の魚種若しくは属であり得る。
【0016】
他の実施形態では、本明細書において形質転換イベントと称される特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックPristella又はその子孫が提供される。これらの魚は、例えば、それらが審美的に好ましいオレンジ色を具体化するため、特に興味深いものである。これらの特定のトランスジェニックイベントを含むトランスジェニック魚は、形質転換イベントに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。形質転換イベントを欠く魚で繁殖したホモ接合性魚は、ほぼ全てのケースで100%ヘテロ接合性子孫を生産する。これらの特定のトランスジェニックイベントを含む生殖細胞、卵子、精子、及び胚もまた、本発明の一部として含まれる。
【0017】
特定のトランスジェニック組み込みイベントに関する1つのかかる実施形態では、染色体組み込み導入遺伝子を含むオレンジ色のトランスジェニックPristella又はその子孫が提供され、Pristellaは、「Orange Pristella 1形質転換イベント」を含み、Orange Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127164)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている。染色体組み込み導入遺伝子は、1つの組み込み発現カセット又は2つ以上の組み込み発現カセット上に存在してもよい。ある特定の態様では、そのようなトランスジェニックPristellaは、繁殖力のあるトランスジェニックPristellaである。そのようなトランスジェニックPristellaは、導入遺伝子又は組み込み発現カセット(複数可)に対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。
【0018】
また、Orange Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを観賞魚市場に提供する方法も開示される。いくつかの実施形態では、方法は、染色体組み込み導入遺伝子を含むトランスジェニックPristella又はその子孫を得ることを含み、Pristellaは、「Orange Pristella 1形質転換イベント」を含み、Orange Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127164)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されており、観賞魚市場に魚を流通している。そのような魚は、養殖者によって商業的流通業者に流通され得るか、又はそのような魚は、養殖者若しくは商業的流通業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多製品小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0019】
いくつかの態様では、(a)蛍光を呈し、1つ以上の染色体組み込み導入遺伝子又は発現カセットを含むPristellaを得ることであって、Pristellaが、「Orange Pristella 1形質転換イベント」を含み、Orange Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子が、受託番号(PTA-127164)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている、得ることと、(b)得られたPristellaを第2のPristellaで繁殖させ、Orange Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを提供することと、を含む、トランスジェニックPristellaを生産する方法が提供される。第2のPristellaは、トランスジェニック又は非トランスジェニックPristellaであり得る。
【0020】
更なる実施形態では、トランスジェニック生物を生産する方法もまた提供され、方法は、トランスジェニック子孫を生産するために、生殖細胞移植を使用して、Orange Pristella 1形質転換を生み出すことを含み、そのような凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127164)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている。そのような子孫は、例えば、Pristella、Characidae科の種、Pristellaに関連する魚種若しくは属、又は別の魚種若しくは属であり得る。
【0021】
代替的な実施形態では、本明細書において形質転換イベントと称される特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックPristella又はその子孫が提供される。これらの魚は、例えば、それらが審美的に好ましい紫色を具現化するため、特に興味深いものである。これらの特定のトランスジェニックイベントを含むトランスジェニック魚は、形質転換イベントに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。形質転換イベントを欠く魚で繁殖したホモ接合性魚は、ほぼ全てのケースで100%ヘテロ接合性子孫を生産する。これらの特定のトランスジェニックイベントを含む生殖細胞、卵子、精子、及び胚もまた、本発明の一部として含まれる。
【0022】
特定のトランスジェニック組み込みイベントに関する1つのかかる実施形態では、染色体組み込み導入遺伝子を含む紫色のトランスジェニックPristella又はその子孫が提供され、Pristellaは、「Purple Pristella 1形質転換イベント」を含み、Purple Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127163)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている。染色体組み込み導入遺伝子は、1つの組み込み発現カセット又は2つ以上の組み込み発現カセット上に存在してもよい。ある特定の態様では、そのようなトランスジェニックPristellaは、繁殖力のあるトランスジェニックPristellaである。そのようなトランスジェニックPristellaは、導入遺伝子又は組み込み発現カセット(複数可)に対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。
【0023】
また、Purple Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを観賞魚市場に提供する方法も開示される。いくつかの実施形態では、方法は、染色体組み込み導入遺伝子を含むトランスジェニックPristella又はその子孫を得ることを含み、Pristellaは、「Purple Pristella 1形質転換イベント」を含み、Purple Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127163)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されており、観賞魚市場に魚を流通している。そのような魚は、養殖者によって商業的流通業者に流通され得るか、又はそのような魚は、養殖者若しくは商業的流通業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多製品小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0024】
いくつかの態様では、(a)蛍光を呈し、1つ以上の染色体組み込み導入遺伝子又は発現カセットを含むPristellaを得ることであって、Pristellaが、「Purple Pristella 1形質転換イベント」を含み、Purple Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子が、受託番号(PTA-127163)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている、得ることと、(b)得られたPristellaを第2のPristellaで繁殖させ、Purple Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを提供することと、を含む、トランスジェニックPristellaを生産する方法が提供される。第2のPristellaは、トランスジェニック又は非トランスジェニックPristellaであり得る。
【0025】
更なる実施形態では、トランスジェニック生物を生産する方法もまた提供され、方法は、トランスジェニック子孫を生産するために、生殖細胞移植を使用して、Purple Pristella 1形質転換を生み出すことを含み、そのような凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127163)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている。そのような子孫は、例えば、Pristella、Characidae科の種、Pristellaに関連する魚種若しくは属、又は別の魚種若しくは属であり得る。
【0026】
他の例示的な実施形態では、本明細書において形質転換イベントと称される特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックPristella又はその子孫が提供される。これらの魚は、例えば、審美的に好ましい赤色を具現化するため、特に興味深いものである。これらの特定のトランスジェニックイベントを含むトランスジェニック魚は、形質転換イベントに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。形質転換イベントを欠く魚で繁殖したホモ接合性魚は、ほぼ全てのケースで100%ヘテロ接合性子孫を生産する。これらの特定のトランスジェニックイベントを含む生殖細胞、卵子、精子、及び胚もまた、本発明の一部として含まれる。
【0027】
特定のトランスジェニック組み込みイベントに関する1つのかかる実施形態では、染色体組み込み導入遺伝子を含む赤色のトランスジェニックPristella又はその子孫が提供され、、Pristellaは、「Red Pristella 1形質転換イベント」を含み、Red Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127165)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている。染色体組み込み導入遺伝子は、1つの組み込み発現カセット又は2つ以上の組み込み発現カセット上に存在してもよい。ある特定の態様では、そのようなトランスジェニックPristellaは、繁殖力のあるトランスジェニックPristellaである。そのようなトランスジェニックPristellaは、導入遺伝子又は組み込み発現カセット(複数可)に対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。
【0028】
また、Red Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを観賞魚市場に提供する方法も開示される。いくつかの実施形態では、方法は、染色体組み込み導入遺伝子を含むトランスジェニックPristella又はその子孫を得ることを含み、Pristellaは、「Red Pristella 1形質転換イベント」を含み、Red Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127165)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されており、観賞魚市場に魚を流通している。そのような魚は、養殖者によって商業的流通業者に流通され得るか、又はそのような魚は、養殖者若しくは商業的流通業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多製品小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0029】
いくつかの態様では、(a)蛍光を呈し、1つ以上の染色体組み込み導入遺伝子又は発現カセットを含むPristellaを得ることであって、Pristellaが、「Red Pristella 1形質転換イベント」を含み、Red Pristella 1形質転換イベントを含む凍結保存された精子が、受託番号(PTA-127165)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている、得ることと、(b)得られたPristellaを第2のPristellaで繁殖させ、Red Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニックPristellaを提供することと、を含む、トランスジェニックPristellaを生産する方法が提供される。第2のPristellaは、トランスジェニック又は非トランスジェニックPristellaであり得る。
【0030】
更なる実施形態では、トランスジェニック生物を生産する方法もまた提供され、方法は、トランスジェニック子孫を生産するために、生殖細胞移植を使用して、Red Pristella 1形質転換を生み出すことを含み、そのような凍結保存された精子は、受託番号(PTA-127165)としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託されている。そのような子孫は、例えば、Pristella、Characidae科の種、Pristellaに関連する魚種若しくは属、又は別の魚種若しくは属であり得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、1つ以上を意味し得る。本明細書で特許請求の範囲で使用される場合、単語「含む」とともに使用される場合、単語「a」又は「an」は、1つ又は1つ超を意味し得る。
【0032】
特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されない限り、又は代替物が相互に排他的である場合を除いて、「及び/又は」を意味するように使用されるが、本開示は、代替物のみ及び「及び/又は」のみを指す定義も支持する。本明細書で使用される場合、「別の」とは、少なくとも第2の、又はそれ以上を意味し得る。
【0033】
本出願全体にわたって、「約」という用語は、値が、デバイス、値を決定するために用いられている方法、又は試験対象間に存在する変動、における誤差の固有の変動を含むことを示すために使用される。
【0034】
本方法、キット、及び組成物のうちのいずれかの任意の実施形態は、記載される特徴及び/又はステップ-を含む(comprise)/含む(include)/含む(contain)/有するではなく-からなるか、又は本質的になり得る。したがって、特許請求の範囲のうちのいずれかにおいて、「からなる(consisting of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、所与の特許請求の範囲を、非限定的連結動詞を他の方法で使用するものから変更するために、上記の非限定的連結動詞のいずれかに置き換えられ得る。
【0035】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明から、本発明の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正が当業者に明らかになるため、詳細な説明及び好ましい実施例は、本発明の特定の実施形態を示しながら、例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0036】
トランスジェニック魚
いくつかの態様では、本開示は、トランスジェニック魚に関する。トランスジェニック魚を作製する方法は、例えば、米国特許第7,135,613号、同第7,700,825号、同第7,834,239号に記載されており、それらの各々は参照によりその全体が組み込まれる。例えば、トランスジェニック緑色Pristellaは、zsGreen1、afraGFP、WasCFP、NowGFP、cerFP505、pporGFP、Kohinoor、efasGFP、eechGFP1、UnaG、bfloGFPa1、LanFP1、及びLanFP2などの緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする少なくとも1つの発現カセットを使用して生成され得る。代替的に、トランスジェニックオレンジ色Pristellaは、ZsYellow1、phiYFP、zFP538、mPapaya、及びmBananaなどの黄色蛍光タンパク質(YFP)をコードする少なくとも1つの発現カセットを使用して生成され得る。代替的に、トランスジェニック紫色Pristellaは、FP635、Katushka2S、mKate2、mCherry2、mCherry、mKate-S158C、eqFP650、mPlum、jRed、及びmRFP1などの紫色蛍光タンパク質(PFP)をコードする少なくとも1つの発現カセットを使用して生成され得る。代替的に、トランスジェニック赤色Pristellaは、TurboRFP、DsRed2、tdTomato、dTomato、eqFP578、DsRed-Express、DsRed-Express2、TagRFP、TagRFP-T、RRvT、cgfTagRFP、mRuby3、mNectarine、meffRFP、及びamilFP593などの赤色蛍光タンパク質(RFP)をコードする少なくとも1つの発現カセットを使用して生成され得る。
【0037】
商業的価値、特に観賞魚産業内で商業的価値のある魚の種及び品種に属する魚が使用されることが好ましい。そのような魚には、これらに限定されないが、Pristella、ナマズ、ゼブラフィッシュ、及び他のdanio、メダカ、コイ(carp)、ティラピア、金魚、テトラ、バーブ、サメ(レインボーシャークなどのcyprinidae科)、エンゼルフィッシュ、ドジョウ、コイ(koi)、グラスフィシュ、ディスカス、ウナギ、ハゼ、グーラミ、グッピー、Xiphophorus、ハチェットフィッシュ、モリーフィッシュ、又はpangasiusが含まれる。本開示の文脈における使用のための特定の魚は、Pristellaである。Pristellaはますます人気のある観賞動物であり、様々な色で商業的価値が付加されるであろう。Pristella胚は、容易に利用でき、ほぼ透明である。Pristellaの皮膚の色は、皮膚内の色素細胞によって決定され、それは、メラノソームと称される色素顆粒を含む。色素細胞当たりのメラノソームの数、サイズ、及び密度は、魚の皮膚の色に影響を及ぼす。
【0038】
商業養殖では、Pristellaは自然に産卵する。簡単に説明すると、テトラの1又は2つの繁殖対を、人工産卵マットを備えた2.5~5ガロンのタンクに配置すべきである。タンクの水位は少なくとも約2~3インチであり、75~85°Fに維持すべきである。低い塩分(導電率100~200uS/cm)及びわずかな酸性度(約pH6.9)は、産卵を促進する。魚は、自然又は人工の光サイクルに曝露され得、明期は、午前8時に始まり、午後10時に終了し得る。翌日、成体を取り出し、稚魚が孵化して自由に泳ぐようになるまで(すなわち、約4~6日)、華氏75~85度でインキュベートする。この時点で、稚魚は安全に扱うことができ、成長水槽又は土の池の外に移すことができる。Pristellaが成熟するまでには約4~6カ月かかる。関連する実施形態では、系統繁殖は、凍結保存された精子によって維持される。
【0039】
凍結精子からの受精
魚精子凍結方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、Walker and Streisinger(1983)及びDraper and Moens(2007)を参照されたく、これらの両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示される遺伝子導入魚を得るために、凍結テトラ精子を使用して卵を受精させ得る。
【0040】
例示的な実施形態では、若い成体雄緑色Pristellaが選択される。背中の腹側を上にして保持する必要がある。腹側は乾いたペーパータオルで拭き取る必要がある。腹側のヒレは、肛門開口部から離れて押され得る。乾燥すると、雄の側面を穏やかに押し出す必要があり、放出された精子を採取し、冷たいL-15細胞培養培地に移す必要がある。精子をすすいで流すためにピペットを数回出し入れする。このプロセスは、いくつかの雄で繰り返す必要があり、良好な状態の場合、L-15の50μl当たり約10匹の雄を使用する必要がある。目標は、50μlのL-15当たり少なくとも5~7μlの精子を採取することである。採取後は、できるだけ早く精子を凍結する必要がある。凍結直前に再混合する必要がある。凍結のために、30μlの凍結保護剤溶液(L-15中の10%無脂肪乾燥乳、15%メタノール、及び15%2-メトキシエタノール)をクライオバイアルに移す必要がある。15μlの精子懸濁液を加え、2~3回ピペッティングすることによって混合する。クライオバイアルを閉じ、15mlの遠心分離チューブに移し、ドライアイスに垂直に埋め込む必要がある。20分後、クライオバイアルを液体窒素に移す。好都合な場合(全てのクライオバイアルが移された場合、又は移す間に長い隙間がある場合)は、長期保存のために凍結されたクライオチューブを液体窒素を有するデュワーに移す。
【0041】
緑色Pristella系統を回収する例示的な方法では、テトラの1又は2つの繁殖対を、人工産卵マットを備えた2.5~5ガロンのタンクに配置すべきである。タンクの水位は少なくとも約2~3インチであり、75~85°Fに維持すべきである。低い塩分(導電率100~200uS/cm)及びわずかな酸性度(約pH6.9)は、産卵を促進する。魚は、自然又は人工の光サイクルに曝露され得、明期は、午前8時に始まり、午後10時に終了し得る。翌朝、排卵中の雌を収集する必要がある(それらは優しく押し出すと容易に卵を放出する)。雌の腹部は、ペーパータオルで拭き取って生乾きにする必要がある。卵は、受精を妨げるため、水に晒すべきではない。腹部の側面に、親指と人差し指で軽く圧力をかけ、指を生殖孔にスライドさせることによって、卵をわずかに凹んだ表面に押し出す必要がある。産卵する準備ができている雌は、卵を極めて簡単に放出し、魚を拭き取っている間に卵が押し出されないように注意すべきである。良質な卵は黄色味がかった半透明であり、雌内に長く残存していた卵は、白く不透明に見える。雌は、1時間ほどの間だけ卵を放出する。何匹かの雌からの卵をプールし得、卵は数分間受精しないままにできる。精子は、30~33℃で、水浴中で30秒間解凍する必要がある。70μlの室温のL-15培地溶液をバイアルに添加し、混合する必要がある。次に、精子を直ちに卵子に加え、穏やかに混合する。精子及び卵子は、750μlの魚水を加えて混合することによって活性化される。混合物を室温で5分間インキュベートする必要がある。次いで、卵を小さなタンクに移し、そこで通常のプロトコルを使用して更に培養して、緑色のPristellaの子孫を得る。
【0042】
例示的な実施形態では、若い成体雄オレンジ色Pristellaが選択される。背中の腹側を上にして保持する必要がある。腹側は乾いたペーパータオルで拭き取る必要がある。腹側のヒレは、肛門開口部から離れて押され得る。乾燥すると、雄の側面を穏やかに押し出す必要があり、放出された精子を採取し、冷たいL-15細胞培養培地に移す必要がある。精子をすすいで流すためにピペットを数回出し入れする。このプロセスは、いくつかの雄で繰り返す必要があり、良好な状態の場合、L-15の50μl当たり約10匹の雄を使用する必要がある。目標は、50μlのL-15当たり少なくとも5~7μlの精子を採取することである。採取後は、できるだけ早く精子を凍結する必要がある。凍結直前に再混合する必要がある。凍結のために、30μlの凍結保護剤溶液(L-15中の10%無脂肪乾燥乳、15%メタノール、及び15%2-メトキシエタノール)をクライオバイアルに移す必要がある。15μlの精子懸濁液を加え、2~3回ピペッティングすることによって混合する。クライオバイアルを閉じ、15mlの遠心分離チューブに移し、ドライアイスに垂直に埋め込む必要がある。20分後、クライオバイアルを液体窒素に移す。好都合な場合(全てのクライオバイアルが移された場合、又は移す間に長い隙間がある場合)は、長期保存のために凍結されたクライオチューブを液体窒素を有するデュワーに移す。
【0043】
オレンジ色Pristella系統を回収する例示的な方法では、テトラの1又は2つの繁殖対を、人工産卵マットを備えた2.5~5ガロンのタンクに配置すべきである。タンクの水位は少なくとも約2~3インチであり、75~85°Fに維持すべきである。低い塩分(導電率100~200uS/cm)及びわずかな酸性度(約pH6.9)は、産卵を促進する。魚は、自然又は人工の光サイクルに曝露され得、明期は、午前8時に始まり、午後10時に終了し得る。翌朝、排卵中の雌を収集する必要がある(それらは優しく押し出すと容易に卵を放出する)。雌の腹部は、ペーパータオルで拭き取って生乾きにする必要がある。卵は、受精を妨げるため、水に晒すべきではない。腹部の側面に、親指と人差し指で軽く圧力をかけ、指を生殖孔にスライドさせることによって、卵をわずかに凹んだ表面に押し出す必要がある。産卵する準備ができている雌は、卵を極めて簡単に放出し、魚を拭き取っている間に卵が押し出されないように注意すべきである。良質な卵は黄色味がかった半透明であり、雌内に長く残存していた卵は、白く不透明に見える。雌は、1時間ほどの間だけ卵を放出する。何匹かの雌からの卵をプールし得、卵は数分間受精しないままにできる。精子は、30~33℃で、水浴中で30秒間解凍する必要がある。70μlの室温のL-15培地溶液をバイアルに添加し、混合する必要がある。次に、精子を直ちに卵子に加え、穏やかに混合する。精子及び卵子は、750μlの魚水を加えて混合することによって活性化される。混合物を室温で5分間インキュベートする必要がある。次いで、卵を小さなタンクに移し、そこで通常のプロトコルを使用して更に培養して、オレンジ色のPristellaの子孫を得る。
【0044】
例示的な実施形態では、若い成体雄紫色Pristellaが選択される。背中の腹側を上にして保持する必要がある。腹側は乾いたペーパータオルで拭き取る必要がある。腹側のヒレは、肛門開口部から離れて押され得る。乾燥すると、雄の側面を穏やかに絞る必要があり、放出された精子を採取し、冷たいL-15細胞培養培地に移す必要がある。精子をすすいで流すためにピペットを数回出し入れする。このプロセスは、いくつかの雄で繰り返す必要があり、良好な状態の場合、L-15の50μl当たり約10匹の雄を使用する必要がある。目標は、50μlのL-15当たり少なくとも5~7μlの精子を採取することである。採取後は、できるだけ早く精子を凍結する必要がある。凍結直前に再混合する必要がある。凍結のために、30μlの凍結保護剤溶液(L-15中の10%無脂肪乾燥乳、15%メタノール、及び15%2-メトキシエタノール)をクライオバイアルに移す必要がある。15μlの精子懸濁液を加え、2~3回ピペッティングすることによって混合する。クライオバイアルを閉じ、15mlの遠心分離チューブに移し、ドライアイスに垂直に埋め込む必要がある。20分後、クライオバイアルを液体窒素に移す。好都合な場合(全てのクライオバイアルが移された場合、又は移す間に長い隙間がある場合)は、長期保存のために凍結されたクライオチューブを液体窒素を有するデュワーに移す。
【0045】
紫色Pristella系統を回収する例示的な方法では、テトラの1又は2つの繁殖対を、人工産卵マットを備えた2.5~5ガロンのタンクに配置すべきである。タンクの水位は少なくとも約2~3インチであり、75~85°Fに維持すべきである。低い塩分(導電率100~200uS/cm)及びわずかな酸性度(約pH6.9)は、産卵を促進する。魚は、自然又は人工の光サイクルに曝露され得、明期は、午前8時に始まり、午後10時に終了し得る。翌朝、排卵中の雌を収集する必要がある(それらは優しく押し出すと容易に卵を放出する)。雌の腹部は、ペーパータオルで拭き取って生乾きにする必要がある。卵は、受精を妨げるため、水に晒すべきではない。腹部の側面に、親指と人差し指で軽く圧力をかけ、指を生殖孔にスライドさせることによって、卵をわずかに凹んだ表面に押し出す必要がある。産卵する準備ができている雌は、卵を極めて簡単に放出し、魚を拭き取っている間に卵が押し出されないように注意すべきである。良質な卵は黄色味がかった半透明であり、雌内に長く残存していた卵は、白く不透明に見える。雌は、1時間ほどの間だけ卵を放出する。何匹かの雌からの卵をプールし得、卵は数分間受精しないままにできる。精子は、30~33℃で、水浴中で30秒間解凍する必要がある。70μlの室温のL-15培地溶液をバイアルに添加し、混合する必要がある。次に、精子を直ちに卵子に加え、穏やかに混合する。精子及び卵子は、750μlの魚水を加えて混合することによって活性化される。混合物を室温で5分間インキュベートする必要がある。次いで、卵を小さなタンクに移し、そこで通常のプロトコルを使用して更に培養して、紫色のPristellaの子孫を得る。
【0046】
例示的な実施形態では、若い成体雄赤色Pristellaが選択される。背中の腹側を上にして保持する必要がある。腹側は乾いたペーパータオルで拭き取る必要がある。腹側のヒレは、肛門開口部から離れて押され得る。乾燥すると、雄の側面を穏やかに押し出す必要があり、放出された精子を採取し、冷たいL-15細胞培養培地に移す必要がある。精子をすすいで流すためにピペットを数回出し入れする。このプロセスは、いくつかの雄で繰り返す必要があり、良好な状態の場合、L-15の50μl当たり約10匹の雄を使用する必要がある。目標は、50μlのL-15当たり少なくとも5~7μlの精子を採取することである。採取後は、できるだけ早く精子を凍結する必要がある。凍結直前に再混合する必要がある。凍結のために、30μlの凍結保護剤溶液(L-15中の10%無脂肪乾燥乳、15%メタノール、及び15%2-メトキシエタノール)をクライオバイアルに移す必要がある。15μlの精子懸濁液を加え、2~3回ピペッティングすることによって混合する。クライオバイアルを閉じ、15mlの遠心分離チューブに移し、ドライアイスに垂直に埋め込む必要がある。20分後、クライオバイアルを液体窒素に移す。好都合な場合(全てのクライオバイアルが移された場合、又は移す間に長い隙間がある場合)は、長期保存のために凍結されたクライオチューブを液体窒素を有するデュワーに移す。
【0047】
赤いPristella系統を回収する例示的な方法では、テトラの1又は2つの繁殖対を、人工産卵マットを備えた2.5~5ガロンのタンクに配置すべきである。タンクの水位は少なくとも約2~3インチであり、75~85°Fに維持すべきである。低い塩分(導電率100~200uS/cm)及びわずかな酸性度(約pH6.9)は、産卵を促進する。魚は、自然又は人工の光サイクルに曝露され得、明期は、午前8時に始まり、午後10時に終了し得る。翌朝、排卵中の雌を収集する必要がある(それらは優しく押し出すと容易に卵を放出する)。雌の腹部は、ペーパータオルで拭き取って生乾きにする必要がある。卵は、受精を妨げるため、水に晒すべきではない。腹部の側面に、親指と人差し指で軽く圧力をかけ、指を生殖孔にスライドさせることによって、卵をわずかに凹んだ表面に押し出す必要がある。産卵する準備ができている雌は、卵を極めて簡単に放出し、魚を拭き取っている間に卵が押し出されないように注意すべきである。良質な卵は黄色味がかった半透明であり、雌内に長く残存していた卵は、白く不透明に見える。雌は、1時間ほどの間だけ卵を放出する。何匹かの雌からの卵をプールし得、卵は数分間受精しないままにできる。精子は、30~33℃で、水浴中で30秒間解凍する必要がある。70μlの室温のL-15培地溶液をバイアルに添加し、混合する必要がある。次に、精子を直ちに卵子に加え、穏やかに混合する。精子及び卵子は、750μlの魚水を加えて混合することによって活性化される。混合物を室温で5分間インキュベートする必要がある。次いで、卵を小さなタンクに移し、そこで通常のプロトコルを使用して更に培養して、赤色のPristellaの子孫を得る。
【0048】
Parichy and Johnson,2001は、その全体が参照により組み込まれるが、インビトロ受精に関する更なる実施例を提供する。
【0049】
本開示は、Green Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚、並びにトランスジェニック魚卵、精子細胞、胚、又は遺伝子組換えトランスジェニック構築物を含む他の細胞に由来するそのようなトランスジェニック魚の子孫を更に包含する。「子孫」は、用語が本明細書で使用される場合、本発明の2匹のトランスジェニック魚を繁殖させること、又は本発明の第1のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第2の魚に繁殖させることから生じ得る。後者の場合、第2の魚は、例えば、野生型魚、特殊な魚株、変異魚、又は他のトランスジェニック魚であり得る。第2の魚は、同じ種であってもよく、又は異なる種若しくは属であってもよい。これらの交配のハイブリッド子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わせた蛍光のための導入遺伝子の利点を有する。
【0050】
Green Pristella 1形質転換イベントを含む魚を識別する最も単純な方法は、問題の魚が緑色であり、非トランスジェニック魚と直ちに区別されるため、目視検査によるものである。
【0051】
本開示は、Orange Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚、並びにトランスジェニック魚卵、精子細胞、胚、又は遺伝子組換えトランスジェニック構築物を含む他の細胞に由来するそのようなトランスジェニック魚の子孫を更に包含する。「子孫」は、用語が本明細書で使用される場合、本発明の2匹のトランスジェニック魚を繁殖させること、又は本発明の第1のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第2の魚に繁殖させることから生じ得る。後者の場合、第2の魚は、例えば、野生型魚、特殊な魚株、変異魚、又は他のトランスジェニック魚であり得る。第2の魚は、同じ種であってもよく、又は異なる種若しくは属であってもよい。これらの交配のハイブリッド子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わせた蛍光のための導入遺伝子の利点を有する。
【0052】
Orange Pristella 1形質転換イベントを含む魚を識別する最も単純な方法は、問題の魚がオレンジ色であり、非トランスジェニック魚と直ちに区別されるため、目視検査によるものである。
【0053】
本開示は、Purple Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚、並びにトランスジェニック魚卵、精子細胞、胚、又は遺伝子組換えトランスジェニック構築物を含む他の細胞に由来するそのようなトランスジェニック魚の子孫を更に包含する。「子孫」は、用語が本明細書で使用される場合、本発明の2匹のトランスジェニック魚を繁殖させること、又は本発明の第1のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第2の魚に繁殖させることから生じ得る。後者の場合、第2の魚は、例えば、野生型魚、特殊な魚株、変異魚、又は他のトランスジェニック魚であり得る。第2の魚は、同じ種であってもよく、又は異なる種若しくは属であってもよい。これらの交配のハイブリッド子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わせた蛍光のための導入遺伝子の利点を有する。
【0054】
Purple Pristella 1形質転換イベントを含む魚を識別する最も単純な方法は、問題の魚が紫色であり、非トランスジェニック魚と直ちに区別されるため、目視検査によるものである。
【0055】
本開示は、Red Pristella 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚、並びにトランスジェニック魚卵、精子細胞、胚、又は遺伝子組換えトランスジェニック構築物を含む他の細胞に由来するそのようなトランスジェニック魚の子孫を更に包含する。「子孫」は、用語が本明細書で使用される場合、本発明の2匹のトランスジェニック魚を繁殖させること、又は本発明の第1のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第2の魚に繁殖させることから生じ得る。後者の場合、第2の魚は、例えば、野生型魚、特殊な魚株、変異魚、又は他のトランスジェニック魚であり得る。第2の魚は、同じ種であってもよく、又は異なる種若しくは属であってもよい。これらの交配のハイブリッド子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わせた蛍光のための導入遺伝子の利点を有する。
【0056】
Red Pristella 1形質転換イベントを含む魚を識別する最も単純な方法は、問題の魚が赤色であり、非トランスジェニック魚と直ちに区別されるため、目視検査によるものである。使用される特定のRFP及び/又は発現カセットの挿入位置に応じて、トランスジェニック赤色Pristellaは、トランスジェニック赤色Pristellaの生涯にわたって、及び/又は複数世代にわたって維持される色を有し得ることを理解されたい。また、使用される特定のRFP及び/又は発現カセットの挿入位置に応じて、トランスジェニック赤色Pristellaは、トランスジェニック赤色Pristellaの生涯にわたって色褪せする色を有し得ることも理解されたい。例えば、赤色のトランスジェニックPristellaは、赤色から淡い赤色、又は赤色からピンク色に色が変化し得る。更に、使用される特定のRFP及び/又は発現カセットの挿入位置に応じて、トランスジェニック赤色Pristellaは、世代にわたって色褪せする色を有し得る。例えば、赤色のトランスジェニックPristellaは、古い世代が赤色を呈し得るが、若い世代が淡い赤色、又はピンク色に見え得るように、ある世代から次の世代に色が変化し得る。
【実施例
【0057】
本発明のある特定の実施形態は、以下の実施例を参照して更に説明される。これらの実施例は、本発明の単なる例示を意図するものであり、いかようにも本発明の範囲をいかなる方法でも限定又は制限することを意図するものではなく、本発明の技術を実施するためにのみ利用されなければならない条件、パラメータ、試薬、又は出発材料を提供するものと解釈されるべきではない。
【0058】
実施例1-緑色のトランスジェニックPristella
緑色を呈するトランスジェニック魚が提供される。これらの魚において具現化される特定のトランスジェニックイベントは、「Green Pristella 1形質転換イベント」と指定される。これらの魚からの精子を使用して、テトラ卵を受精させ、それによって、これらの特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックテトラを繁殖させ得る。この系統由来の精子は、ブダペスト条約の条項に基づいて「Green Pristella 1」としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託された(寄託は受託番号(PTA-127162)として指定された)。
【0059】
蛍光トランスジェニック魚は、市場で観賞魚として使用されている。安定的に発現しているトランスジェニック系統は、トランスジェニック個体を野生型魚、変異魚、又は他のトランスジェニック魚で繁殖させることによって発達させることができる。所望のトランスジェニック魚は、白色光、日光、紫外線、青色光、又はトランスジェニック魚の緑色の可視化を可能にする任意の他の有用な光条件で魚を観察することによって、非トランスジェニック魚と区別することができる。
【0060】
実施例2-オレンジ色のトランスジェニックPristella
オレンジ色を呈するトランスジェニック魚が提供される。これらの魚において具現化される特定のトランスジェニックイベントは、「Orange Pristella 1形質転換イベント」と指定される。これらの魚からの精子を使用して、テトラ卵を受精させ、それによって、これらの特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックテトラを繁殖させ得る。この系統由来の精子は、ブダペスト条約の条項に基づいて「Orange Pristella 1」としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託された(寄託は受託番号(PTA-127164)として指定された)。
【0061】
蛍光トランスジェニック魚は、市場で観賞魚として使用されている。安定的に発現しているトランスジェニック系統は、トランスジェニック個体を野生型魚、変異魚、又は他のトランスジェニック魚で繁殖させることによって発達させることができる。所望のトランスジェニック魚は、白色光、日光、紫外線、青色光、又はトランスジェニック魚のオレンジ色の可視化を可能にする任意の他の有用な光条件で魚を観察することによって、非トランスジェニック魚と区別することができる。
【0062】
実施例3-紫色のトランスジェニックPristella
紫色を呈するトランスジェニック魚が提供される。これらの魚において具現化される特定のトランスジェニックイベントは、「Purple Pristella 1形質転換イベント」と指定される。これらの魚からの精子を使用して、テトラ卵を受精させ、それによって、これらの特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックテトラを繁殖させ得る。この系統由来の精子は、ブダペスト条約の条項に基づいて「Purple Pristella 1」としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託された(寄託は受託番号(PTA-127163)として指定された)。
【0063】
蛍光トランスジェニック魚は、市場で観賞魚として使用されている。安定的に発現しているトランスジェニック系統は、トランスジェニック個体を野生型魚、変異魚、又は他のトランスジェニック魚で繁殖させることによって発達させることができる。所望のトランスジェニック魚は、白色光、日光、紫外線、青色光、又はトランスジェニック魚の紫色の可視化を可能にする任意の他の有用な光条件で魚を観察することによって、非トランスジェニック魚と区別することができる。
【0064】
実施例4-赤色のトランスジェニックPristella
赤色を呈するトランスジェニック魚が提供される。これらの魚において具現化される特定のトランスジェニックイベントは、「Red Pristella 1形質転換イベント」と指定される。これらの魚からの精子を使用して、テトラ卵を受精させ、それによって、これらの特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックテトラを繁殖させ得る。この系統由来の精子は、ブダペスト条約の条項に基づいて「Red Pristella 1」としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託された(寄託は受託番号(PTA-127165)として指定された)。
【0065】
蛍光トランスジェニック魚は、市場で観賞魚として使用されている。安定的に発現しているトランスジェニック系統は、トランスジェニック個体を野生型魚、変異魚、又は他のトランスジェニック魚で繁殖させることによって発達させることができる。所望のトランスジェニック魚は、白色光、日光、紫外線、青色光、又はトランスジェニック魚の赤色の可視化を可能にする任意の他の有用な光条件で魚を観察することによって、非トランスジェニック魚と区別することができる。
【0066】
蛍光トランスジェニック魚は、細胞系統及び細胞遊走を追跡するなどの胚研究に使用され得るため、科学研究ツールの市場でも価値があるはずである。更に、これらの魚は、遺伝子モザイク実験及び魚のがんモデルで細胞をマークするために使用され得る。
【0067】
本明細書に開示及び特許請求される全ての組成物及び/又は方法は、本開示に照らして、過度の実験なしに作製及び実施することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、本明細書に記載の組成物及び/又は方法並びにステップ又は方法の一連のステップに、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、変形例が適用され得ることが明らかであろう。より具体的には、化学的及び生理学的の両方に関連する特定の薬剤が、同じ又は同様の結果が達成されるとともに、本明細書に記載の薬剤と置き換えられ得ることが明らかであろう。当業者に明らかである全てのそのような同様の代替物及び修飾は、添付の特許請求項の範囲によって定義されるように、本発明の趣旨、範囲、及び概念内にあるとみなされる。
【0068】
上記の明細書、実施例、及びデータは、本発明の組成物の製造及び使用の完全な説明を提供する。本発明の多くの実施形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得るため、本発明は以下に添付される特許請求の範囲に属する。
【0069】
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書に記載されたことを補足する例示的な手順又は他の詳細を提供する範囲で、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【0070】
米国特許第7,135,613号
【0071】
米国特許第7,700,825号
【0072】
米国特許第7,834,239号
【0073】
Brem et al.,Aquaculture,68:209-219,1988.
【0074】
Chourrout et al.,Aquaculture,51:143-150,1986.
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Delvin et al.,Nature,371:209-210,1994.
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【0077】
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【0078】
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【0079】
Khoo et al.,Aquaculture,107:1-19,1992.
【0080】
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【0081】
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【0082】
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【国際調査報告】