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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】内視鏡洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
A61B1/12 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534270
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 IB2022060463
(87)【国際公開番号】W WO2023111709
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/289,722
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】エバーソール, ギャレット ピー.
(72)【発明者】
【氏名】カレプ, ハリ ナーガ マヘシュ
(72)【発明者】
【氏名】アランパリー, シリーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス, ジュアン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ペイン, ライアン エス.
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン, デイビッド ティー.
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA24
4C161CC06
4C161GG07
4C161JJ11
(57)【要約】
内視鏡洗浄装置は、キャニスタと、バッテリパックと、キャニスタに熱的に結合された加熱機構と、プルタブとを含む。キャニスタは、キャニスタへの内視鏡の挿入時に内視鏡を洗浄するために、中に保存された防曇溶液を有する。カバーは、キャニスタの開放上端に固定され、内視鏡の通過のために構成された中央開口部を画定する。プルタブは、カバーの中央開口部を覆い、バッテリパックに結合される。プルタブは、プルタブがバッテリパックから取り外されるまで、バッテリと加熱機構との間の電気通信を阻止するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡洗浄装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された流体貯蔵アセンブリであって、
キャニスタであって、
中に防曇溶液が貯蔵され、内視鏡を受容されるように構成されたチャンバを画定する本体と、
前記本体の上部リムに固定されたカラーと、を含むキャニスタと、
前記キャニスタ内に支持されるシールアセンブリと、
前記カラーに固定され、前記内視鏡の通過のために構成された中央開口部を画定するカバーと、を含む、流体貯蔵アセンブリと、
バッテリを有するバッテリパックと、
前記キャニスタに熱的に結合された加熱機構と、
前記カバーの前記中央開口部を覆い、前記バッテリパックに結合されたプルタブと、を備え、前記プルタブが、前記バッテリパックから取り外されるまで前記バッテリと前記加熱機構との間の電気通信を阻止するように構成されている、内視鏡洗浄装置。
【請求項2】
前記本体及び前記カラーが一体的に形成されている、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項3】
前記本体及び前記カラーが金属から製造されている、請求項2に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項4】
前記本体及び前記カラーがプラスチックから製造されている、請求項2に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項5】
前記本体が金属から製造され、前記カラーがプラスチックから製造されている、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項6】
前記カラーが、前記本体の前記上部リムにオーバーモールドされている、請求項5に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項7】
前記カバーが前記カラーに溶接されることにより、前記防曇溶液が前記キャニスタ内に密封される、請求項5に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項8】
前記カバーが、前記カラーにねじ結合されている、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項9】
前記カラーが、
前記本体の前記上部リムから半径方向外向きに延在するベース部分と、
前記ベース部分から上向きに突出している環状壁と、を備え、前記シールアセンブリが前記ベース部分上に支持されている、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項10】
前記シールアセンブリが、
前記ベース部分上に支持されている一方向弁と、
前記一方向弁と前記カバーとの間に配置された開放シールと、を含む、請求項9に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項11】
前記一方向弁及び前記開放シールが、前記カラーの前記ベース部分と前記カバーとの間で圧縮されている、請求項10に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項12】
前記環状壁が、内側溝を画定し、前記カバーが、前記内側溝に受容される環状突起を含む、請求項9に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項13】
前記カバーは、中に前記中央開口部を形成するリング状のプレートを有し、前記環状突起が、前記プレートから延びている、請求項12に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項14】
前記カバーの前記プレートが、前記中央開口部以外の穴を欠いている、請求項13に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項15】
前記カバーが板金から製造され、
前記中央開口部を中に画定するリング状プレートと、
前記プレートの外周から下方に延在している環状壁と、を含み、前記環状壁が、前記プレートと前記下縁部との間で前記シールアセンブリを圧縮するための、前記カラーのネックに圧着された下縁部を有する、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項16】
前記弁アセンブリが、
前記カラー上に支持された一方向弁と、
前記一方向弁と前記カバーの前記プレートとの間に配置された開放シールと、を含み、前記開放シールが、中に受容される前記プレートの環状リッジを有する環状凹部を画定する上面を有する、請求項15に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項17】
外科用キットであって、
遠位端部分にレンズを有する内視鏡と、
内視鏡洗浄装置と、を備え、前記内視鏡洗浄装置が、
キャニスタであって、
内部に防曇溶液が貯蔵され、内視鏡を受容するように構成されたチャンバを画定する本体と、
前記本体の上部リムに固定されたカラーと、を含む、キャニスタと、
前記キャニスタ内に支持されるシールアセンブリと、
前記カラーに固定され、前記内視鏡の前記遠位部分の通過のために構成された中央開口部を画定するカバーと、
バッテリを有するバッテリパックと、
前記キャニスタに熱的に結合された加熱機構と、
前記カバーの前記中央開口部を覆い、前記バッテリパックに結合されたプルタブと、を含み、前記プルタブが、前記プルタブが前記バッテリパックから取り外されるまで、前記バッテリと前記加熱機構との間の電気通信を阻止するように構成されている、外科用キット。
【請求項18】
前記本体及び前記カラーが、金属又はプラスチックから一体的に形成されている、請求項17に記載の外科用キット。
【請求項19】
前記本体が金属から製造され、前記カラーがプラスチックから製造され、前記カラーが前記本体の前記上部リムにオーバーモールドされ、前記カバーが前記カラーに溶接されることにより、前記防曇溶液が前記キャニスタ内に密封される、請求項17に記載の外科用キット。
【請求項20】
前記カバーが板金から製造され、
前記中央開口部を中に画定するリング状プレートと、
前記プレートの外周から下方に延在している環状壁と、を備え、前記環状壁が、前記プレートと前記下縁部との間で前記シールアセンブリを圧縮するための、前記カラーのネックに圧着された下縁部を有する、請求項17に記載の外科用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低侵襲外科手術手技中に内視鏡のレンズを洗浄するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術により、患者に大きな切開をする必要がなくなり、不快感、回復期間、及び従来の切開手術に伴う有害な副作用の多くが低減される。例えば、腹腔鏡及び内視鏡などの低侵襲観察器具は、低侵襲手術中に内部組織及び/又は臓器の観察を提供する。腹腔鏡外科手術では、外科手術部位を視認するために患者の腹壁の小切開部に腹腔鏡を配置することを含む。内視鏡外科手術では、外科手術部位を視認するために、自然に発生する開口部(例えば、口、鼻、肛門、尿道、又は膣)に内視鏡を配置することを含む。他の低侵襲外科手術手技としては、ビデオ補助胸部外科手術、及び肋骨間の小切開を通して行われる心臓血管外科手術が挙げられる。これらの手技では、外科手術部位を視認するためにスコープも利用する。
【0003】
典型的な低侵襲視認器具(例えば、腹腔鏡又は内視鏡)は、ハウジングと、ハウジングの一端から延在している細長いレンズシャフトと、細長いレンズシャフトの遠位端に提供されるレンズと、を含む。カメラのビューファインダは、ハウジングの他方の端から延在している。カメラは、ハウジングに接続され、レンズを通して見える画像を、画像が表示される外部モニタに送信する。外科手術手技中、細長いレンズシャフトの遠位端部分は患者の体内に延在し、細長いレンズシャフトの近位端部分、ハウジング、及びカメラのビューファインダは患者の外側に留まる。このようにして、腹腔鏡/内視鏡は、モニタ上の外科手術野の特定の解剖学的構造を視認するように位置付けられ、かつ調整される。
【0004】
体内への内視鏡又は腹腔鏡の挿入中及び外科手術手技中に、スコープのレンズに細片(例えば、有機物及び/水分)が堆積する場合がある。レンズ上に細片及び結露が蓄積すると、外科手術部位の視覚化が損なわれ、多くの場合、レンズの洗浄が必要になる。内視鏡洗浄装置は、レンズ上の細片を除去し、内視鏡が手術部位に入る際のレンズの曇りを阻止するために利用され得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示によれば、内視鏡洗浄装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置された流体貯蔵アセンブリと、バッテリパックと、加熱機構と、プルタブとを含む。流体貯蔵アセンブリは、キャニスタと、キャニスタ内に支持されたシールアセンブリと、カバーとを含む。キャニスタは、チャンバを画定する本体と、本体の上部リムに固定されたカラーとを有する。本体のチャンバは、中に格納された防曇溶液を有し、内視鏡を受容するように構成されている。カバーは、カラーに固定され、内視鏡の通過のために構成された中央開口部を画定する。加熱機構は、キャニスタに熱的に結合される。プルタブは、カバーの中央開口部を覆い、バッテリパックに結合される。プルタブは、プルタブがバッテリパックから取り外されるまで、バッテリパックのバッテリと加熱機構との間の電気通信を阻止するように構成されている。
【0006】
一態様では、本体及びカラーは一体的に形成され得る。
【0007】
一態様では、本体及びカラーは、金属から製造され得る。
【0008】
一態様では、本体及びカラーは、プラスチックから製造され得る。
【0009】
一態様では、本体は金属から製造され得、カラーはプラスチックから製造され得る。
【0010】
一態様では、カラーは、本体の上部リムにオーバーモールドされ得る。
【0011】
一態様では、カバーは、カラーに溶接されることにより、防曇溶液がキャニスタ内に密封され得る。
【0012】
一態様では、カバーはカラーにねじ結合され得る。
【0013】
一態様では、カラーは、本体の上部リムから半径方向外向きに延在しているベース部分と、ベース部分から上向きに突出する環状壁とを含んでもよい。シールアセンブリは、ベース部分上に支持され得る。
【0014】
一態様では、シールアセンブリは、ベース部分上に支持された一方向弁と、一方向弁及びカバーとの間に介在する開放シールとを含んでもよい。
【0015】
一態様では、一方向弁及び開放シールは、カラーのベース部分とカバーとの間で圧縮され得る。
【0016】
一態様では、環状壁は内側溝を画定することができ、カバーは、内側溝内に受容される環状突起を含んでもよい。
【0017】
一態様では、カバーは、中に中央開口部を画定するリング形状のプレートを有し得る。環状突出部は、プレートから延在し得る。
【0018】
一態様では、カバーのプレートは、中央開口部以外の穴がなくてもよい。
【0019】
一態様では、カバーは、板金から製造されてもよく、中に中央開口部を画定するリング形状のプレートと、プレートの外周から下方に延在している環状壁とを含んでもよい。環状壁は、プレートと下縁部との間でシールアセンブリを圧縮するために、カラーのネックに圧着された下縁部を有し得る。
【0020】
一態様では、弁アセンブリは、カラー上に支持される一方向弁と、一方向弁及びカバーのプレートとの間に介在する開放シールとを含んでもよい。開放シールは、環状凹部を画定する上面を有し得る。環状凹部は、中に受容されるプレートの環状リッジを有し得る。
【0021】
本開示の別の態様によれば、内視鏡と内視鏡洗浄装置を含む外科用キットが提供される。内視鏡は、内視鏡の遠位端部分にレンズを有する。内視鏡洗浄装置は、キャニスタと、キャニスタ内に支持されるシールアセンブリと、カバーと、バッテリパックと、キャニスタに熱的に結合される加熱機構と、プルタブとを含む。キャニスタは、チャンバを画定する本体と、本体の上部リムに固定されたカラーとを含む。本体のチャンバは、中に格納された防曇溶液を有し、内視鏡の遠位端部分を受容するように構成されている。カバーは、カラーに固定され、内視鏡の遠位部分の通過のために構成された中央開口部を画定する。プルタブは、カバーの中央開口部を覆い、バッテリパックに結合される。プルタブは、プルタブがバッテリパックから取り外されるまで、バッテリと加熱機構との間の電気通信を阻止するように構成されている。
【0022】
一態様では、本体及びカラーは、金属又はプラスチックから一体的に形成され得る。
【0023】
一態様では、本体は金属から製造され得、カラーはプラスチックから製造され得る。カラーは、本体の上部リムにオーバーモールドされてもよく、カバーは、カラーに溶接されることにより、防曇溶液がキャニスタ内に密封され得る。
【0024】
一態様では、カバーは、板金から製造されてもよく、中に中央開口部を画定するリング形状のプレートと、プレートの外周から下方に延在している環状壁とを含んでもよい。環状壁は、プレートと下縁部との間でシールアセンブリを圧縮するために、カラーのネックに圧着された下縁部を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の上記及び他の態様及び特徴は、同様の参照番号が類似又は同一の要素を識別する、添付の図面と併せて解釈されたときに、以下の詳細な説明に照らしてより明らかとなろう。
【0026】
図1】本開示による内視鏡と内視鏡洗浄装置とを含む外科用キットを示す斜視図である。
【0027】
図2図1の内視鏡洗浄装置を示す、部品を分離した斜視図である。
【0028】
図3図1の内視鏡洗浄装置の流体貯蔵アセンブリを示す、部品を分離した斜視図である。
【0029】
図4図3の流体貯蔵アセンブリを示す縦断面図である。
【0030】
図5】内視鏡洗浄装置の別の流体貯蔵アセンブリを示す縦断面図である。
【0031】
図6】内視鏡洗浄装置の更に別の流体貯蔵アセンブリを示す縦断面図である。
【0032】
図7】内視鏡洗浄装置の更に別の流体貯蔵アセンブリを示す縦断面図である。
【0033】
図8】内視鏡洗浄装置の別の流体貯蔵アセンブリを示す上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書に開示の内視鏡外科用装置は、図面を参照して詳細に記載され、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一又は対応する要素を指定する。本明細書で使用するとき、「遠位」という用語は、ユーザからより遠くにあると説明される部分を指し、「近位」という用語は、ユーザのより近くにあると説明される部分を指す。更に、矛盾しない範囲内で、本明細書で詳述される態様のいずれか又は全ては、本明細書で詳述される他の態様のいずれか又は全てと併用することができる。
【0035】
内視鏡洗浄装置では、洗浄流体又は防曇溶液は、使用前に内視鏡洗浄装置のキャニスタ内に密閉される。しかしながら、シールの材料及びキャニスタ上のキャップの幾何学形状は、ある期間にわたる洗浄流体の蒸発を可能にし得る。蒸気がシールを透過すると、蒸気はキャップの開口を通過して外部環境に入る。
【0036】
本開示は、蒸発による洗浄流体の損失を防止及び/又は抑制する複数の方法を提供する。1つの一態様では、キャニスタは金属から製造されてもよく、金属キャニスタの上部にオーバーモールドされたプラスチックリムを有する。次に、プラスチックキャップをプラスチックリムに溶接する。別の一態様では、キャニスタは完全にプラスチックから製造され、プラスチックキャップがプラスチックキャニスタの上部に溶接される。他の一態様では、キャニスタは金属又はプラスチックであってもよく、プラスチックキャップがキャニスタの上部にねじ込まれる。更なる一態様では、キャニスタは完全にプラスチックで作製され、金属カバーがプラスチックキャニスタの上部に圧着される。これらの設計の各々は、キャップとキャニスタとの間に気密シールを形成し、容易かつ安価に製造され、加熱機構によって生成された熱をキャニスタを介して洗浄流体に効果的に熱伝達する。
【0037】
更に、内視鏡洗浄装置のキャップ内の開口部を覆い、プルタブが内視鏡洗浄装置のバッテリから係合解除されるまで内視鏡洗浄装置の回路を遮断する二重機能を有するヒートシールされたプルタブが提供される。プルタブは、上述のキャニスタ及びキャップの溶液のいずれかと組み合わせて、キャニスタ内の洗浄流体の蒸発経路を排除する。
【0038】
図1を参照すると、本開示による内視鏡洗浄装置は、概して、内視鏡洗浄装置100として示される。内視鏡洗浄装置100は、内視鏡10を受容し、手術前及び/又は手術中に内視鏡10の遠位端部分16のレンズ18を洗浄及び暖機するように構成されている。内視鏡洗浄装置100は、内視鏡10のレンズ18の曇りを低減し、良好な視野を維持するのに役立つ。
【0039】
図1は、ハウジング12と、ハウジング12から遠位方向に延在しているレンズ18で終端する細長い管状シャフト14とを含む内視鏡10を示す。内視鏡10の管状シャフト14の遠位端部分16は、当業者に公知であるように、患者の組織の画像を生成するいくつかの光学構成要素を含む。光学構成要素は、一般に、画像センサの前、又は画像を内視鏡10の近位端に転送する光ファイバー撮像ガイドの前に位置付けられる、窓又はレンズアセンブリの前要素を含む。例えば、発光ダイオード、光ファイバー又は照明ガイドなどの照明源も提供され得る。
【0040】
細長い管状シャフト14は、可撓性、半剛性、又は剛性であり得る。ハウジング12は、内視鏡10の位置が手術野の特定の解剖学的構造を見るように調整されるときに、患者の手術野、例えば、腹腔、胸腔などの画像を見るように適合されたビューファインダ20を含むことができる。カメラ(図示せず)は、レンズ18を通して見える手術野の画像を受信し、その画像を、例えば、手術野の画像が表示される外部モニタ(図示せず)に伝送するように適合される。すなわち、視覚表示装置(図示せず)は、光信号をビデオ信号に変換して、モニタ上に(又は選択された媒体上に記憶するために)ビデオ画像を生成する。したがって、モニタにより、臨床医は、低侵襲手術器具又は内視鏡手術器具を使用して外科手術手技が行われる際に、患者の内部の手術野における解剖学的構造を見ることができる。
【0041】
内視鏡10のレンズ18の曇りは、レンズ18が手術部位に導入されるときに発生し得る。更に、外科手術手技を通じて、結露、煙粒子、及び生物学的組織又は物質が内視鏡10のレンズ18に接触し、上に蓄積する可能性がある。これは、手術野の画像がモニタ上に表示されるときに手術野の画像を不明瞭にする傾向がある。この目的のために、内視鏡洗浄装置100は、鮮明な画像を維持するために、外科手術手技中及び/又は外科手術手技前に利用され得る。特に、内視鏡洗浄装置100は、内視鏡10のレンズ18か、例えば有機物及び/又は水分などの細片を除去し、内視鏡10が手術部位に入る際のレンズ18の曇りを低減するために利用され得る。
【0042】
図1及び図2は、ハウジング102と、ベース部分104と、ベース部分104に取り外し可能に取り付けられ、ハウジング102内に受容されるバッテリパック106と、加熱機構108と、流体貯蔵アセンブリ110とを含む内視鏡洗浄装置100を示す。ハウジング102は、ベース部分104に取り外し可能に結合され、内視鏡10のシャフト14を受容されるように構成された開口部112を画定する。
【0043】
流体貯蔵アセンブリ110は、概して、以下で更に詳細に説明されるように、防曇材料(明示的に図示せず)を中に貯蔵したキャニスタ114と、シールアセンブリ116とを含む。防曇材料は、内視鏡10のレンズ18を処理し、外科手術手技中にレンズ18が曇ることを防止するように構成されている。防曇材料は、液体又はゲルの形態の防曇剤、レンズ洗浄剤、又は界面活性剤溶液を含んでもよい。
【0044】
一態様では、ホワイトバランス基準材料又はクリーニングパッド118(図3及び図4)をキャニスタ114内に配置して、画像の色温度をバランスさせ、及び/又はレンズ18から細片を拭き取ることができる。ホワイトバランス基準材料118は、純白、軟質、非スクラッチ、吸収性材料であり得る。例えば、ホワイトバランス基準材料118は、約D-65又は約D-50又は約D-100の色度を有する白色を有するスポンジを含んでもよい。ホワイトバランス基準材料118は、疎水性又は親水性のいずれかであり得る低密度発泡体又は他の軟質材料から作製され得る。一態様では、ホワイトバランス基準材料118は、白色の医療グレードの独立気泡発泡体から作製される。一態様では、ハウジング102は、内視鏡10のレンズ18が外科手術手技中にその上で拭き取られて洗浄され得るように、ハウジング102の外面の全部又は一部にマイクロファイバー織物を含んでもよい。
【0045】
内視鏡洗浄装置100の加熱機構108(図2)は、流体貯蔵アセンブリ110のキャニスタ114の周りに巻き付けられ、キャニスタ114内に配置された防曇材料を加熱して内視鏡10のレンズ18が曇るのを更に抑制するために、キャニスタ114内に画定された内部チャンバ又は管120(図4)と熱連通している。加熱機構108は、バッテリパック106に接続される、例えば、巻きゲージ銅線又はニクロム線等の加熱要素を含んでもよい。一態様では、熱構成要素を有するサーミスタ又はスイッチ122が、加熱機構108の電気回路に配置されて、加熱機構108が、バッテリパック106によって通電されている間、延長された時間期間にわたって体温を上回る防曇材料の一定温度を維持することを可能にするように、防曇材料によって所定の温度に達したら、電気の供給をオフにすることができる。
【0046】
流体貯蔵アセンブリ110は、バッテリ128が加熱機構108(図2)に通電するのを阻止するために、バッテリパック106の電気接点部分126とバッテリパック106のバッテリ128との間に挿入されたプルタブ124を含む。加えて、プルタブ124のシール部分130は、シールアセンブリ116のキャップ又はカバー134内の入口開口部132(図3)を覆って位置付けられ、シールアセンブリ116と気密シールを形成し、それによってキャニスタ114内に防曇材料を含有する。したがって、プルタブ124は、内視鏡洗浄装置100の使用前に(例えば、内視鏡洗浄装置100が出荷及び保管されている間に)、バッテリ128の排水を阻止すること、及びシールアセンブリ116の入口開口部132を封止すること、の二重機能を有し得る。
【0047】
使用中、プルタブ124のグリップ部分は、プルタブ124をバッテリパック106から取り外し、加熱機構108(図2)に通電し、シール部分130をシールアセンブリ116から分離するか、又は別様にシールアセンブリ116の入口開口部132を露出させるために、臨床医によって引っ張られ得る。加熱機構108は、次に、キャニスタ114及び中に配置された防曇材料を加熱する。
【0048】
図3及び図4は、流体貯蔵アセンブリ110の詳細を示す。流体貯蔵アセンブリ110のシールアセンブリ116は、キャニスタ114の上部カラー136内に少なくとも部分的に配置され、それを通して内視鏡10を受容し、防曇材料がキャニスタ114の管120からこぼれるのを阻止するように構成されている。シールアセンブリ116は、弁140、シール142、及びカバー134を含む。弁140及びシール142は、キャニスタ114のカラー136内に配置され、カバー134は、カラー136に固定され、弁140及びシール142を中に密封する。弁140は、近位方向への流体の通過を阻止し、遠位方向に内視鏡10を挿入することを可能にする、例えばダックビル弁のような一方向弁であり得る。シール142は、内視鏡洗浄装置100がその側面上へと傾いた場合、防曇材料がシール142の中心開口部から近位に通過することを防止するキャッチを形成する。弁140及びシール142は、医療グレードの可撓性シリコーンプラスチックから作製され得る。弁140及びシール142のための他の好適な材料も、検討される。
【0049】
流体貯蔵アセンブリ110のキャニスタ114は、本体144及びカラー136を含む。本体144は、金属(例えば、ステンレス鋼)から製造され、円筒形状を有する。本体144の他の形状も考えられる。本体144は、カラー136がオーバーモールドされる本体144から半径方向外向きに突出する上部リム146を有する。
【0050】
キャニスタ114のカラー136は、プラスチックから製造され、本体144の上部リム146から上方及び半径方向外側に突出する。カラー136は、上部リム146にオーバーモールドされた第1のベース部分136aと、第1のベース部分136aから上方に延在している第1の環状壁136bと、第1の環状壁136bから半径方向外向きに延在している第2のベース部分136cと、第2のベース部分136cから上方に延在している第2の環状壁136dとを有する一体的構造である。第1のベース部分136aは、その上に弁140及びシール142を支持し、第2のベース部分136cは、カバー134の外側環状突出部を支持及び受容する。プラスチックカラー136をキャニスタ114の上部リム146にオーバーモールドすることにより、カラー136と本体144との間に気密シールが形成される。
【0051】
流体貯蔵アセンブリ110のカバー134は、プラスチックから製造され、シールアセンブリ116のシール142の上に配置される。カバー134は、カラー136の第2のベース部分136c及び第2の環状壁136dに溶接されて、カバー134とカラー136との間で弁140及びシール142を圧縮する。溶接によって、制御可能な圧縮が施され、防曇溶液のためのあらゆる漏れ経路を排除する。カバー134は、環状プレート148と、プレート148から下方に延在している内側及び外側同心環状突起134a、134bとを有する。カバー134のプレート148は、キャニスタ114の中心長手方向軸と垂直に位置合わせされた入口開口132を画定する。カバー134の内側環状突起134aは、シール142の上面152に画定された環状凹部150(図3)に受容され、カバー134の外側環状突起134bは、シール142の外周とカラー136の第2の環状壁136dの内周との間に画定された環状チャネル又は溝154に受容される。外側環状突起134bは、カラー134の第2環状壁136d及び/又は第2ベース部136cに溶接される。
【0052】
図5を参照すると、内視鏡洗浄装置100の流体貯蔵アセンブリ210の別の実施形態が提供されるが、図3及び図4の流体貯蔵アセンブリ110と実質的に同様である。流体貯蔵アセンブリ210を図3及び図4の流体貯蔵アセンブリ110と特に区別する特徴のみを詳細に説明する。
【0053】
流体貯蔵アセンブリ210は、キャニスタ214と、キャニスタ214にオーバーモールドされたカバー234とを含む。キャニスタ214は、プラスチックから一体的に形成された本体244及びカラー236を含む。キャニスタ214が製造されるプラスチックは、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む熱可塑性物質であり得る。カバー234はプラスチックから製造され、カラー236に溶接される。プラスチックキャニスタ214は、加熱機構108(図2)からキャニスタ214内の防曇溶液に熱を効果的に伝達する。
【0054】
図6を参照すると、内視鏡洗浄装置100の流体貯蔵アセンブリ310の別の実施形態が提供されるが、図3及び図4の流体貯蔵アセンブリ110と実質的に同様である。流体貯蔵アセンブリ310を図3及び図4の流体貯蔵アセンブリ110と特に区別する特徴のみを詳細に説明する。
【0055】
流体貯蔵アセンブリ310は、キャニスタ314と、キャニスタ314にねじ結合されたカバー334とを含む。より具体的には、キャニスタ314は、本体344と、本体344に取り付けられたプラスチックカラー336と、を含む。本体34は金属から製造され得ることが企図されている。他の一態様では、本体344及びカラー336は、プラスチックから一体的に形成され得る。カバー334はプラスチックから製造され、カラー336のねじ付き外面342にねじ係合されるねじ付き内面340を有する。
【0056】
図7を参照すると、内視鏡洗浄装置100の流体貯蔵アセンブリ410の別の実施形態が提供されるが、図3及び図4の流体貯蔵アセンブリ110と実質的に同様である。流体貯蔵アセンブリ410を図3及び図4の流体貯蔵アセンブリ110と特に区別する特徴のみを詳細に説明する。
【0057】
流体貯蔵アセンブリ410は、キャニスタ414と、キャニスタ414に圧着された金属カバー434とを含む。より具体的には、キャニスタ414は、円筒形本体444と、本体444の上部リム446と一体的に形成されたプラスチックカラー436とを含む。いくつかの一態様では、本体444は金属から製造され得る。カバー434は、1枚の板金から製造され、リング状プレート448と、リング状プレート448の外周から下方に延在している環状壁450とを有する。
【0058】
リング状プレート448は、そこから下方に延在している環状突出部又はリッジ452と、カールした円周方向内側縁部454とを有する。リッジ452は、プレート448の周りに円周方向に延在し、U字形断面を有する。リッジ452は、シール142の環状凹部150に受容され、プレート448のカールした縁部454は、シール142の内側環状面に当接する。カバー434の環状壁450は、カラー436の周りに延在し、カバー434をキャニスタ414に固定するためにカラー436のネック458の周りに圧着される下端460を有し、シール140及び弁142は、カバー434のリング状プレート448とカバー434の圧着された下端460との間で圧縮される。
【0059】
図8を参照すると、カバー134の入口開口部132(図3)を覆うプルタブ124(図2)の代わりに、カバー134に熱かしめされてその入口開口部132を覆う貫通可能なフィルム133が設けられている。
【0060】
本開示が図面に示されているが、本開示は当該技術分野が許容するのと同じくらい広い範囲であると捉えられるべきであり、本明細書も同様に読み取られるべきであると意図されるので、本開示がこれらの図面に限定されることは意図されない。したがって、上記の説明は、限定的なものとしてではなく、単に例示として解釈されるべきである。本明細書に添付の請求項の範囲及び趣旨を逸脱しない他の修正は、当業者ならば想到するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】