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特表2024-544235寸法安定性が向上したポリエチレン原糸およびこれを含む機能性生地
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  • 特表-寸法安定性が向上したポリエチレン原糸およびこれを含む機能性生地 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】寸法安定性が向上したポリエチレン原糸およびこれを含む機能性生地
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/04 20060101AFI20241121BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20241121BHJP
【FI】
D01F6/04 B
D03D15/283
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534278
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 KR2022019719
(87)【国際公開番号】W WO2023106799
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0175083
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,シノ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨン ス
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン ウン
【テーマコード(参考)】
4L035
4L048
【Fターム(参考)】
4L035AA05
4L035BB31
4L035BB55
4L035BB81
4L035BB89
4L035BB91
4L035CC07
4L035EE20
4L035HH01
4L035MA01
4L048AA15
4L048AB07
4L048AB11
4L048AC09
4L048AC10
4L048AC11
4L048CA00
4L048CA03
4L048DA01
(57)【要約】
本発明は、寸法安定性が向上したポリエチレン原糸およびこれを含む機能性生地に関するものであって、より詳しくは、製織および裁断などといった後加工の際に、形態の変形を防止することができる、寸法安定性が向上したポリエチレン原糸、および、これを含むことで冷感を使用者に提供することができる機能性生地に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大熱収縮応力(maximum thermal shrinkage stress)が0.1~0.7g/dであり、
溶融指数(melt index:MI、@190℃)が5~25g/10minである、ポリエチレン原糸。
【請求項2】
前記原糸は、多分散指数(Polydispersity Index、PDI)が5~20であり、数平均分子量(Mn)が1,000~10,000g/molである、請求項1に記載のポリエチレン原糸。
【請求項3】
前記原糸は、ASTM D2256によって測定される強度が6~17g/dであり、伸び率が10~25%である、請求項1に記載のポリエチレン原糸。
【請求項4】
前記原糸は、結晶化度が65~85%である、請求項1に記載のポリエチレン原糸。
【請求項5】
前記原糸は、密度が0.92~0.97g/cm3である、請求項1に記載のポリエチレン原糸。
【請求項6】
請求項1~5のうちのいずれか一つの請求項のポリエチレン原糸を含む機能性生地。
【請求項7】
前記生地は、20±2℃、65±2% R.Hで、20±2℃の生地に対して30±2℃の熱板(T-box)を接触させて測定される接触冷感が0.05~0.25W/cm2である、請求項6に記載の機能性生地。
【請求項8】
前記生地は、20±2℃、65±2% R.Hで、20±2℃の生地に対して30±2℃の熱源板(BT-box)を接触させて測定される厚さ方向熱伝導度(thermal conductivity)が0.05~0.25W/mKである、請求項6に記載の機能性生地。
【請求項9】
前記生地は、面密度が150~800g/m2である、請求項6に記載の機能性生地。
【請求項10】
請求項6の生地から製造された冷感性製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法安定性が向上したポリエチレン原糸、およびこれを含む機能性生地に関するものであって、より詳しくは、製織および裁断などといった後加工の際、寸法変形率が小さい、寸法安定性が向上したポリエチレン原糸、およびこれを含む機能性生地に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、生活水準の向上、人口増加などにより、繊維の需要が、一般衣類用汎用糸および産業用繊維から、多様な機能を有する高機能性、高性能化された先端繊維素材へと変わっている。特に、夏季や高温の作業環境で、使用者の快適感を付与する冷感性を有する繊維素材の開発が活発に行われているのが実情である。
【0003】
冷感性繊維素材は、繊維自体の熱伝導性を用いて冷感性が付与されるか、または、熱伝導度が高い金属成分のコーティングなどを通じて繊維素材の表面の熱伝導度が調節されることで冷感性が付与された。特に、繊維自体の熱伝導性を用いた冷感性繊維素材は生地の製織工程のみで製造することができ、洗濯後にも冷感性を維持することができることから、現在、実質的に多様な産業分野で生産されている。
【0004】
従来、繊維自体の熱伝導性を用いた冷感性繊維素材は、日本公開特許公報JP2010-236130Aおよび大韓民国公開特許公報第10-2017-0135342号に開示されているように、高分子量ポリエチレン(HMWPE)繊維が有する優れた熱伝導性を用いて、運動服、登山服、および作業服などの、高い冷感が要求されるファッション衣類およびテクニカル繊維分野に、多様に適用する試みが行われている。
【0005】
しかし、このような冷感性ポリエチレン原糸は、高粘度の高分子量ポリエチレンを含むことによって、原糸として製造される際、原料の低い溶融流れ性によって製造が難しいという短所がある。よって、原料の溶融流れ性を改善するために、高粘度の高分子ポリエチレンを含む原料を、溶媒に希釈させて原糸を生産したのであるが、工程が複雑になり、溶媒の管理および回収が難しいという追加的な問題点が発生する。
【0006】
一方、高粘度の高分子量ポリエチレン繊維に比べて、低粘度の低分子量ポリエチレン繊維は、低強度、高伸び率および低寸法安定性によって、製織、編み、および熱処理などの後加工において不利であるという短所がある。よって、低分子量ポリエチレン繊維は、高分子量ポリエチレン繊維に比べて産業利用性が低く、多様な用途に活用できずにいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、製織および裁断などといった後加工の際、寸法変形率が小さい、寸法安定性が向上したポリエチレン原糸、および、これを含むことで冷感を使用者に提供することができる機能性生地を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるポリエチレン原糸は、最大熱収縮応力(maximum thermal shrinkage stress)が0.1~0.7g/dであり、溶融指数(melt index:MI、@190℃)が5~25g/10minである。
【0009】
本発明の一実施形態によるポリエチレン原糸において、前記原糸は、多分散指数(Polydispersity Index、PDI)が5~20であり、数平均分子量(Mn)が1,000~10,000g/molであってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態によるポリエチレン原糸において、前記原糸は、ASTM D2256によって測定される強度が6~17g/dであり、伸び率が10~25%であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態によるポリエチレン原糸において、前記原糸は、結晶化度が65~85%であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態によるポリエチレン原糸において、前記原糸は、密度が0.92~0.97g/cm3であってもよい。
【0013】
本発明による機能性生地は、前述のポリエチレン原糸を含む。
【0014】
本発明の一実施形態による機能性生地において、前記生地は、20±2℃、65±2% R.Hで、20±2℃の生地に対して30±2℃の熱板(T-box)を接触させて測定される接触冷感が0.05~0.25W/cm2であり得る。
【0015】
本発明の一実施形態による機能性生地において、前記生地は、20±2℃、65±2% R.Hで、20±2℃の生地に対して30±2℃の熱源板(BT-box)を接触させて測定される厚さ方向熱伝導度(thermal conductivity)が0.05~0.25W/mKであってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態による機能性生地において、前記生地は、面密度が150~800g/m2であってもよい。
【0017】
本発明による冷感性製品は、前述の生地から製造されたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるポリエチレン原糸は、低分子量ポリエチレン原糸であるにも拘わらず優れた寸法安定性を有し、優れた熱伝導度を有することができる。
【0019】
また、本発明による機能性生地は、優れた熱伝導度および高い寸法安定性を有するポリエチレン原糸を含むことによって、冷感性を有すると同時に、後加工の際にも形態変形が防止され、優れた品質を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ポリエチレン原糸の製造装置を概略的に示した模式図である。
図2】生地の接触冷感を測定する装置を概略的に示した模式図である。
図3】生地の厚さ方向の熱伝導度を測定する装置を概略的に示した模式図である。
図4】実施例1による生地の熱収縮応力グラフである。
図5】実施例7による生地の熱収縮応力グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用される、技術用語および科学用語においての他の定義がなければ、この発明の属する技術分野における、通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明および添付図面にて本発明の要旨を不必要にぼやけさせうる公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0022】
また、本明細書で使用される単数の形態は、文脈で特別な指示がない限り複数の形態も含むと意図することができる。
【0023】
また、本明細書で特別な言及なく使用された単位は、重量を基準とし、一例として、%または比の単位は重量%または重量比を意味し、重量%は別途に定義されない限り、一つの全体組成物中のいずれか一つの成分が組成物内で占める重量%を意味する。
【0024】
また、本明細書で使用される数値範囲は、下限値と上限値と、その範囲内での全ての値、定義される範囲の形態と幅における論理的に誘導される増分、このうちの限定された全ての値、および、互いに異なる形態に限定された数値範囲についての上限および下限の、全ての可能な組み合わせを含む。本発明の明細書にて、特別な定義がない限り、実験誤差または値の丸めによって発生する可能性がある、数値範囲以外の値も、定義された数値範囲に含まれる。
【0025】
本明細書の用語、‘含む’は、‘備える’、‘含有する’、‘有する’または‘特徴とする’などの表現と等価の意味を有する、開放型(open-ended)記載であり、追加的な、列挙されていない要素、材料または工程を排除しない。
【0026】
従来の冷感性ポリエチレン原糸は、高粘度の高分子量ポリエチレンを含むことによって、原糸として製造される際、原料の低い溶融流れ性によって製造が難しいという短所がある。よって、ポリエチレン原糸原料の溶融流れ性を改善するために、高粘度の高分子ポリエチレンを含む原料を、溶媒に希釈させて原糸を生産したのであるが、工程が複雑になり、溶媒の管理および回収が難しいという追加的な問題点が発生する。
【0027】
一方、高粘度の高分子量ポリエチレン原糸に比べて、低粘度の低分子量ポリエチレン原糸は、低強度、高伸び率、および低寸法安定性によって、製織、編み、および熱処理など後加工において不利であるという短所がある。よって、低分子量ポリエチレン原糸は、高分子量ポリエチレン原糸に比べて産業利用性が低く、多様な用途に活用されていない。
【0028】
よって、本出願人は、低粘度の低分子量ポリエチレンを含むものの高い寸法安定性を有するポリエチレン原糸を開発することで、別途の溶媒に希釈する必要なしに、ポリエチレン固有の高い溶融流れ性によって、容易に紡糸工程を行うことができ、製織および裁断染色など後加工時、寸法変形率が小さい、優れた寸法安定性および機械的物性を有するポリエチレン原糸を提供する。
【0029】
本明細書でポリエチレン原糸は、ポリエチレンチップを原料にして、紡糸および延伸などの工程を通じて製造されたモノおよびマルチフィラメントを意味する。一例として、ポリエチレン繊維は、1~3デニールの繊度をそれぞれ有する40~500個のフィラメントを含むことができ、100~1,000デニールの総繊度を有することができる。
【0030】
本発明のポリエチレン原糸は、最大熱収縮応力(maximum thermal shrinkage stress)が0.1~0.7g/dであり、溶融指数(melt index:MI、@190℃)が5~10g/10minで、低粘度低分子量ポリエチレンを含むにも拘わらず優れた熱収縮率、即ち、優れた寸法安定性を有する。よって、高粘度高分子量ポリエチレンを含むときと異なり、紡糸工程の際、別途の溶媒に希釈する必要がなくて工程が単純になることによって、原糸の生産性が非常に高く、製織、撚りなどの後加工の際、形態が変形せずに優れた熱伝導度を有することができる。また、優れた熱伝導度および寸法安定性を有することによって、冷感性などの優れた物性を有する生地に製造できる。
【0031】
本発明によるポリエチレン原糸の寸法安定性は、原糸が生地として製織または編みといった後加工がさされる際、熱、圧力、および張力などによる寸法変形に対して抵抗する特性であって、形態安定性を意味することもありうる。寸法安定性が高いほど、後加工時に寸法変形率が小さい。
【0032】
本発明によるポリエチレン原糸を含む生地の冷感性は、原糸の高い熱伝導度を通じて生地を着用した使用者が適切な冷感、即ち、涼しさ(cooling feeling)を感じることができる特性である。具体的に、高分子の場合、主にフォノン(phonon)という格子振動(lattice vibration)を通じて熱が高分子内で(特に、共有結合を通じて連結された分子鎖方向に)伝達される。即ち、原糸の熱伝導度は、同一な樹脂から製造された原糸であっても、原糸の結晶化度および配向度など高分子自体の構造的特徴によって異なるように調節できる。
【0033】
前述のように、ポリエチレン原糸は、最大熱収縮応力が0.1~0.7g/d、具体的に、0.2~0.5g/dであってもよく、溶融指数(melt index:MI、@190℃)が5~25g/10min、詳細に6~15g/10minであってもよいが、これに限定されるのではない。但し、前記範囲で、さらに優れた寸法安定性および熱伝導度を有することができる。また、このようなポリエチレン原糸は、溶融時低粘度を有するもので、紡糸工程において、別途の溶媒なくても紡糸が可能で紡糸効率に優れる。
【0034】
特に、ポリエチレン原糸は、低分子量ポリエチレンを含むもので、多分散指数(Polydispersity Index、PDI)が5~20、具体的に8~18、さらに具体的に、10~15であり、数平均分子量(Mn)が1000~10,000g/mol、具体的に、2000~5000g/molであってもよい。前記範囲の多分散指数および数平均分子量を有するポリエチレン原糸は、原糸の溶融押出時における溶融物の流れ性が良く、熱分解発生を防止し、延伸時に糸切れが発生しないなどの工程性が確保されて、均一な物性の原糸を製造することができ、耐久性に優れた原糸を提供することができる。この時、重量平均分子量は、前述の数平均分子量に対して前述のPDI値を満足することができるものであれば限定されないが、通常の冷感用ポリエチレン原糸より低い重量平均分子量を有することができる。具体的に、20,000~90,000g/mol、詳しくは35,000~75,000g/molであってもよい。
【0035】
また、ポリエチレン原糸は、密度が0.92~0.97g/cm3であり、紡糸を通じた結晶化度が60~90%、具体的に65~85%であってもよい。前記ポリエチレン原糸の結晶化度は、X線回折分析器を用いた結晶性分析の際、微結晶の寸法と共に導出できる。前述のように、結晶化度が前記範囲を満足する範囲にて、ポリエチレンの共有結合を通じて連結された分子鎖の方向に‘フォノン(phonon)’という格子振動(lattice vibration)を通じて、熱が急速に拡散および発散され、汗および吐息などの水分の排出機能が向上して、冷感に優れた生地を提供することができる。
【0036】
そして、ポリエチレン原糸は、ASTM D2256によって測定される強度が6~17g/d、具体的に10~15g/dであり、伸び率が10~25%、具体的に12~20%であってもよい。前記範囲の強度および伸び率を有するポリエチレン原糸は、優れた熱伝導度だけでなく、比較的に柔軟性が高くて、優れた製織性を有することができることから、後で製織されて生地として製造される際、より優れた品質の生地を得ることができる。
【0037】
以下では、図1を参照して本発明の一態様によるポリエチレン原糸の製造方法を具体的に説明する。本発明のポリエチレン原糸は、PDI、強度、および伸び率などの前記物性の範囲を満足するものであれば、その製造方法にについて制限されるわけではなく、以下は一態様を説明するものである。
【0038】
まず、チップ(chip)形態のポリエチレンを、エクストルーダー(extruder)100に投入して溶融させることによってポリエチレン溶融物を得る。
【0039】
溶融されたポリエチレンが、前記エクストルーダー100内のスクリュー(図示せず)によって、口金100を通じて運搬されるのであり、前記口金200に形成された多数のホールを通じて押出される。前記口金200のホールの個数は、製造される原糸のDPF(Denier Per Filament)および繊度によって決定されうる。例えば、75デニールの総繊度を有する原糸を製造する場合、前記口金200は20~75個のホールを有することができるのであって、450デニールの総繊度を有する原糸を製造する場合、前記口金200は90~450個、好ましくは100~400個のホールを有することができる。
【0040】
前記エクストルーダー100内での溶融工程および口金200を通じた押出工程は、ポリエチレンチップの溶融指数に応じて変更適用可能であるが、具体的に、例えば、150~315℃、好ましくは250~315℃、さらに好ましくは265~310℃で行われることが好ましい。即ち、エクストルーダー100および口金200が150~315℃、好ましくは250~315℃、さらに好ましくは265~310℃で維持されることが好ましい。
【0041】
前記紡糸温度が150℃未満である場合、低い紡糸温度によってポリエチレンの均一な溶融が行われなくて、紡糸が困難でありうる。反面、紡糸温度が315℃を超過する場合、ポリエチレンの熱分解が引き起こされて所望の強度を発現できないことがありうる。
【0042】
前記口金200におけるホールの直径Dに対するホールの長さLの比率であるL/Dは、3~40であってもよい。L/Dが3未満であれば、溶融押出時に、ダイスウェル(Die Swell)現象が発生して、ポリエチレンの弾性挙動の制御が困難になることによって紡糸性が良くないものとなり、L/Dが40を超過する場合には、口金200を通過する溶融ポリエチレンのネッキング(necking)現象による糸切れと共に、圧力降下による吐出不均一の現象が発生しうる。
【0043】
溶融されたポリエチレンが口金200のホールから吐出されながら紡糸温度と室温との間の差によってポリエチレンの固化が始まり、半固化状態のフィラメント11が形成される。本明細書では、半固化状態のフィラメントはもちろんのこと、完全固化されたフィラメントも、全て“フィラメント”と総称する。
【0044】
複数の前記フィラメント11は、冷却部(または“quenching zone”)300で冷却されることによって完全固化される。前記フィラメント11の冷却は、空冷方式で行うことができる。
【0045】
前記冷却部300での前記フィラメント11の冷却は、0.2~1m/secの風速の冷却風を用いて、15~40℃に冷却されるように行われることが好ましい。前記冷却温度が15℃未満であれば、過冷却によって伸度が不足することから延伸過程で糸切れが発生しうるのであり、前記冷却温度が40℃を超過すれば、固化の不均一によってフィラメント11間の繊度偏差が大きくなり、延伸過程で糸切れが発生しうる。
【0046】
また、冷却部にて冷却する際に、多段冷却を行うことによって、より均一に結晶化が行われるようにすることができ、これにより、湿気および汗の排出をより円滑にし、冷感性に優れた原糸を製造することができる。より具体的には、前記冷却部は2つ以上の区間に分けられてもよい。例えば2つの冷却区間からなる場合、第1冷却部から第2冷却部に行くほど温度が次第に低くなるように設計されることが好ましい。具体的に、例えば第1冷却部は40~90℃に設定され、第2冷却部は15~50℃に設定されてもよい。
【0047】
また、第1冷却部で風速を最も高く設定することによって、表面が、より滑らかな繊維を製造することができる。具体的に、第1冷却部は0.8~1.2m/secの風速の冷却風を用いて40~90℃に冷却されるようにするのであって、第2冷却部は0.3~1.0m/secの風速の冷却風を用いて15~50℃に冷却されるようにするものであってもよく、このような条件に調節することによって、結晶化度が、より高く、表面が、より滑らかな原糸を製造することができる。
【0048】
次いで、集束機400で、前記冷却および完全固化されたフィラメント11を集束させてマルチフィラメント10を形成させる。
【0049】
図1に例示されているように、本発明のポリエチレン原糸は、直接紡糸延伸(DSD)の工程を通じて製造することができる。即ち、前記マルチフィラメント10が、複数のゴデットローラー部GR1…GRnを含む多段延伸部500に直接伝達されて、2~20倍、好ましくは3~15倍の総延伸比で多段延伸された後、ワインダー600に巻き取られる。また、多段延伸時、最後の延伸区間では1~5%の収縮延伸(弛緩)を付与することによって、耐久性に、より優れた原糸を提供することができる。
【0050】
代替案として、前記マルチフィラメント10を未延伸糸として一旦巻き取った後に、前記未延伸糸を延伸することによって、本発明のポリエチレン原糸を製造することもできる。即ち、本発明のポリエチレン原糸は、ポリエチレンを溶融紡糸して未延伸糸を一旦製造した後、前記未延伸糸を延伸するという2段階工程を通じて製造することもできる。
【0051】
延伸工程で適用される総延伸比が2未満であれば、最終的に得られるポリエチレン原糸が60%以上の結晶化度を有することができず、前記原糸から製造される生地上に、羽毛(フィリング)が誘発される危険がある。
【0052】
反面、前記総延伸比が15倍を超過すれば、糸切れが発生する可能性があり、最終的に得られるポリエチレン原糸の強度が適合しないことから、前記ポリエチレン原糸の製織性が良くないだけでなく、これを用いて製造された生地が、過度にごわごわして使用者が不便さを感じうる。
【0053】
本発明の溶融紡糸の紡糸速度を決定する一番目のゴデットローラー部GR1の線速度が決定されれば、前記多段延伸部500で2~20、好ましくは3~15の総延伸比が前記マルチフィラメント10に適用されるように、残りのゴデットローラー部の線速度が適切に決定される。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、前記多段延伸部500のゴデットローラー部GR1…GRnの温度を、40~140℃の範囲に適切に設定することによって、前記多段延伸部500を通じてポリエチレン原糸の熱固定(heat-setting)が行われる。具体的に例えば、前記多段延伸部は、3つ以上、具体的に3~5個の延伸区間からなるものであり得る。また、各延伸区間は複数のゴデットローラー部からなるものであり得る。
【0055】
具体的に例えば、前記多段延伸部は4つの延伸区間からなり、第1延伸区間~第3延伸区間で総延伸比7~15倍に延伸した後、第4延伸区間で1~3%の収縮延伸(弛緩)を行うものであり得る。前記総延伸比は、延伸を行う前の繊維に比べて、第1延伸区間から第3延伸区間を経た繊維の最終延伸比を意味する。
【0056】
さらに具体的に、第1延伸区間は、40~120℃で行われ、総延伸比が2~5倍であるものであり得る。第2延伸区間は、前記第1延伸区間に比べて高い温度で行われ、具体的に90~140℃で行われ、総延伸比が5~8倍になるように延伸するものであり得る。第3延伸区間は、90~140℃で行われ、総延伸比が7~15倍になるように延伸するものであり得る。第4延伸区間は、前記第3延伸区間と同一または低い温度で行われうるのであり、具体的に、90~140℃で行われ、1~3%の収縮延伸(弛緩)を行うものであり得る。
【0057】
多段延伸部500によって、前記マルチフィラメント10の多段延伸と熱固定とが同時に行われ、多段延伸されたマルチフィラメント10がワインダー600に巻き取られることによって、本発明のポリエチレン原糸が完成される。
【0058】
本発明による機能性生地は、前述のポリエチレン原糸を含むもので、優れた熱伝導度および高い寸法安定性を有するポリエチレン原糸を含むことによって、冷感特性を有すると同時に優れた品質を有することができる。
【0059】
本発明による機能性生地は前記説明されたポリエチレン原糸を単独で使用するものであってもよく、他の機能性をさらに付与するために異種原糸をさらに含むこともできるが、冷感性および寸法安定性を同時に有することができる観点からは、前記ポリエチレン原糸を単独で使用することが好ましい。
【0060】
具体的に、機能性生地は、前述の原糸を含むことによって、優れた冷感性を有することができる。詳細に、20±2℃、65±2% R.Hで20±2℃の生地に対して、30±2℃の熱板(T-box)を接触させて測定される接触冷感が0.05~0.25W/cm2であり、20±2℃、65±2% R.Hで、20±2℃の生地に対して30±2℃の熱源板(BT-box)を接触させて測定される厚さ方向の熱伝導度(thermal conductivity)が0.05~0.25W/mKであり得る。より具体的に、接触冷感が0.07~0.20W/cm2であり、厚さ方向の熱伝導度(thermal conductivity)が0.07~0.20W/mKであり得る。このような冷感を有する機能性生地は、後で製品として製造または加工されて使用者に着用される際、高温環境下で使用者が快適感を感じることができる、適切な冷感を提供することができる。
【0061】
また、機能性生地は、前述のポリエチレン原糸を含むことによって優れた寸法安定性を有することができる。具体的に、機能性生地は、前述のポリエチレン原糸を通じて製織または製編されて製造される時、設計された寸法に対して、最終的に製造された生地の寸法変形率がほとんどなくいことから不良品がほとんどないのであり、優れた品質を有しうる。
【0062】
また、機能性生地は、前述のように特定熱収縮応力を有する原糸を含むことによって、高温の苛酷条件下でも、優れた寸法安定性を有することができる。具体的に、90±2℃、65±2% R.H条件下にて、下記式1で表現される生地の寸法変形率は、-2.0%~2.0%、好ましくは-1.8%~1.8%、さらに好ましくは-1.5%~1.5%であり得る。
【0063】
[式1]
寸法変形率(%)={(FS1-FS0)/(FS0)}×100
【0064】
(上記式中、FS0は機能性生地を常温(20±2℃、65±2% R.H)で24時間放置した後に測定した機能性生地の寸法(mm)であり、FS1は、機能性生地を90±2℃、65±2% R.H条件下で24時間放置した後に測定した機能性生地の寸法(mm)である)
【0065】
このように、機能性生地は、苛酷条件でも優れた寸法安定性を有することによって、熱、圧力などの多様な外力が作用する、後加工における寸法安定性が確保されることから優れた後加工性を有することができる。
【0066】
また、機能性生地は、150~800g/m2の単位面積当りの重量(即ち、面密度)を有する織物または編物であり得る。生地の面密度が150g/m2未満であれば、生地の稠密性が不足し、生地内に多くの空隙が存在することになり、このような空隙は生地の冷感性を低下させる。反面、生地の面密度が800g/m2を超過すれば、過度に稠密な生地構造によって、生地がごわごわになり、使用者が感じる触感に問題が発生し、高い重量によって使用上の問題点が誘発される。
【0067】
このような生地は、適切な冷感性が要求される冷感性製品として加工できる。製品は、従来の繊維製品は全て可能であるが、好ましくは人体に冷感性を付与するための夏季の夏服、スポーツウェア、マスク、および作業服であり得る。
【0068】
以下、実施例を通じて本発明についてさらに詳しく説明する。但し、下記実施例は本発明を詳しく説明するための一つの参照に過ぎず、本発明がこれに限定されるのではなく、様々の形態に実現できる。
【0069】
また、別途に定義されない限り、全ての技術的用語および科学的用語は、本発明の属する当業者の中の一人によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。本願で説明に使用される用語は、単に特定の実施例を効果的に記述するためのものであり、本発明を制限するものと意図されない。また、明細書で特に記載していない添加物の単位は、重量%であり得る。
【実施例
【0070】
物性は以下のように測定した。
【0071】
[原糸物性測定]
<1.熱収縮応力>
ポリエチレン原糸の両端を結んで、ループ(loop)の形態のサンプルを作った後、ループの形態のサンプルの両側を、熱応力試験機(日本Kanebo Eng.、KE-2)のホットチャンバー(hot chamber)内に配置した後、ロードセルおよび初荷重環に、ループサンプルの両側をそれぞれ引っ掛けて、下記条件で最大熱収縮応力を測定した。ここで、ループの周りの長さは10cmであった。
【0072】
-ロードセル(load cell):500gfまで測定可能なロードセル
-初期温度:室温(20±2℃)
-昇温速度:300℃/120sec
-初荷重:0.06667g/d
【0073】
熱収縮応力値は、出力装置(Type 3086 X-T Recoder、Yokogawa、Hokushin Eletric、Tokyo、Japan)を通じて、グラフとして得た。
【0074】
<2.数平均分子量(Mw)(g/mol)重量平均分子量(Mw)(g/mol)および多分散指数(PDI)>
ポリエチレン原糸を下記の溶媒に完全に溶解させた後、次のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて、前記ポリエチレン原糸の重量平均分子量(Mw)および多分散指数(Mw/Mn:PDI)をそれぞれ求めた。
【0075】
-分析機器:Tosoh社 HLC-8321 GPC/HT
-カラム:PLgel guard(7.5×50mm)+2×PLgel mixed-B(7.5×300mm)
-カラム温度:160℃
-溶媒:トリクロロベンゼン(TCB)+0.04wt.% ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)(after drying with 0.1% CaCl2)
-Injector、Detector温度:160℃
-Detector:RI Detector
-流速:1.0ml/min
-注入量:300mL
-試料濃度:1.5mg/mL
-標準試料:ポリスチレン
【0076】
<3.強度(g/d)および伸び率(%)>
ASTM D2256方法によって、インストロン社(Instron Engineering Corp、Canton、Mass)の万能引張試験機を用いてポリエチレン原糸の変形-応力曲線を得た。サンプル長さは250mmであり、引張速度は300mm/minであり、初期ロード(load)は0.05g/dに設定した。破断点での応力と伸長から強度(g/d)および伸び率(%)を求め、前記曲線の原点付近の最大勾配を付与する接線から初期モジュラス(g/d)を求めた。それぞれの原糸ごとに5回の測定の後、その平均値を算出した。
【0077】
<4.結晶化度>
XRD機器(X-ray Diffractometer)[製造社:PANalytical社、モデル名:EMPYREAN]を用いて、ポリエチレン原糸の結晶化度を測定した。具体的に、ポリエチレン原糸を切断して、2.5cmの長さを有するサンプルを準備し、前記サンプルをサンプルホルダーに固定させた後、下記の条件下で測定を実施した。
【0078】
-光源(X-ray Source):Cu-Kα radiation
-電力(Power):45KV×25mA
-モード:連続スキャンモード
-スキャン角度範囲:10~40°
-スキャン速度:0.1°/sec
【0079】
[生地の物性測定]
<1.接触冷感>
韓国衣類試験研究院に依頼してKES-F7(Thermo Labo II)装置を用いて、試験環境20±2℃、65±2% R.Hで測定した。
【0080】
具体的に、20cm×20cmのサイズの生地サンプルを準備した後、20±2℃の温度および65±2%のRHの条件下で24時間放置した。次いで、20±2℃の温度および65±2%のRHのテスト環境で、KES-F7 THERMO LABO II(Kato Tech Co., LTD.)装置を用いて、生地の接触冷感(Q max)を測定した。具体的に、図2に例示されているように、20℃に維持されるベースプレート(‘Water-Box’とも称される)21上に、前記生地サンプル23を載せて、30℃で加熱された熱板(T-Box)22a(接触面積:3cm×3cm)を前記生地サンプル23上に、1秒間のみ載せた。即ち、一面がベースプレート21と接触している前記生地サンプル23の他面を、T-Box22aに瞬間的に接触させた。前記T-Box22aによって、前記生地サンプル23に加えられた接触圧力は、6gf/cm2であった。次いで、前記装置に連結されたモニター(図示せず)に表示されたQ max値を記録した。このようなテストを10回繰り返し、Q max値の算術平均を算出した。
【0081】
<2.熱伝導度>
20cm×20cmのサイズの生地サンプルを準備した後、20±2℃の温度および65±2%のRHの条件下で24時間放置した。次いで、20±2℃の温度および65±2%のRHのテスト環境でKES-F7 THERMO LABO II(Kato Tech Co., LTD.)装置を用いて生地の熱伝導度および熱伝達係数を求めた。具体的に、図3に例示されているように、20℃に維持されるベースプレート21上に、前記生地サンプル23を載せて、30℃で加熱されたBT-Box22b(接触面積:5cm×5cm)を、前記生地サンプル23上に1分間載せた。前記BT-Box22bが、前記生地サンプル23と接触する間にも、その温度が30℃で維持されるように、前記BT-Box22bに熱が持続的に供給された。前記BT-Box22bの温度維持のために供給された熱量[即ち、熱流損失((heat flow loss))]が、前記装置に連結されたモニター(図示せず)に表示された。このようなテストを5回繰り返し、熱流損失の算術平均を算出した。次いで、生地の熱伝導度および熱伝達係数を、下記の式2および式3を用いて算出した。
【0082】
[式2]:K=(W.D)/(A.ΔT)
[式3]:k=K/D
【0083】
ここで、Kは熱伝導度(W/cm.℃)であり、Dは生地サンプル23の厚さ(cm)であり、Aは前記BT-Box22bの接触面積(=25cm2)であり、ΔTは生地サンプル23両面の温度差(=10℃)であり、Wは熱流損失(Watt)であり、kは熱伝達係数(W/cm2.℃)である。
【0084】
<3.寸法安定性>
20cm×20cmのサイズの生地サンプルを準備した後、20±2℃の温度および65±2%のRHの条件下で24時間放置した。その後、生地サンプルに対して、一側の稜部の寸法を測定した。
【0085】
その後、90±2℃の温度および65±2%のRHの条件下で、24時間放置した後、前記方法で寸法を再び測定した。次いで、生地の寸法変形率を、下記式1を通じて算出した。
【0086】
[式1]
寸法変形率(%)={(FS1-FS0)/(FS0)}×100
【0087】
(上記式中、FS0は機能性生地を製織した後、常温(20±2℃、65±2% R.H)で24時間の放置後に測定した機能性生地寸法(mm)であり、FS1は、機能性生地製織後、90±2℃、65±2% R.H条件下で24時間放置した後測定した機能性生地寸法(mm)である)
【0088】
[実施例1]
<ポリエチレン原糸の製造>
図1に例示された装置を用いて、200個のフィラメントを含み総繊度が400デニールであるポリエチレン原糸を製造した。
【0089】
まず、0.93g/cm3の密度、8,500g/molの重量平均分子量(Mw)を有するポリエチレンチップを、エクストルーダー100に投入して溶融させた。溶融されたポリエチレンは、200個のホールを有する口金200を通じて押出された。口金200におけるホール直径(D)に対するホール長さ(L)の比率であるL/Dは、6であった。口金温度は270℃であった。
【0090】
口金200のノズルホールから吐出されつつ形成されたフィラメント11は、2つの区間からなる冷却部300で、順次に冷却を行った。第1冷却部では1.0m/secの風速の冷却風によって60℃に冷却し、第2冷却部では0.5m/secの風速の冷却風によって30℃に最終冷却された。冷却された後、集束機400によってマルチフィラメント糸10として集束された。
【0091】
次いで、前記マルチフィラメント糸は延伸部500に移動した。前記延伸部は、4つの区間からなる多段延伸部からなり、総4段のゴデットローラー部から構成されており、各ゴデットローラー部は、2つ~6つのゴデットローラーからなる。
【0092】
具体的に、第1延伸区間は最大延伸温度80℃で総延伸比2倍に延伸され、第2延伸区間は最大延伸温度120℃で総延伸比1.5倍に延伸され、第3延伸区間は最大延伸温度120℃で総延伸比1.3倍に延伸され、第4延伸区間は最大延伸温度120℃で第3延伸区間に比べて2%収縮延伸(弛緩)されるようにして、延伸および熱固定された。
【0093】
次いで、前記延伸されたマルチフィラメント糸は、ワインダー600に巻き取られた。巻取り張力は0.8g/dであった。
【0094】
製造された原糸の物性を測定して下記表1に示した。
【0095】
測定された熱収縮応力グラフを図4に示した。
【0096】
<機能性生地の製造>
前記製造されたポリエチレン原糸を製織して、面密度500g/m2の機能性生地を製造した。製造された機能性生地の物性を測定して、下記表3に示した。
【0097】
[実施例2~9]
下記表1のように原糸条件を変更したことを除いては、実施例1と同一に生地を製造した。また、実施例1と同一に製造された生地の物性を測定して、下記表3に示した。実施例7の場合の、測定された熱収縮応力グラフを、図5に示した。
【0098】
[比較例1~2]
下記表2のように原糸条件を変更したことを除いては、実施例1と同一に生地を製造した。また、実施例1と同一に製造された生地の物性を測定して、下記表4に示した。
【0099】
[比較例3]
下記表2のように原糸条件を変更し、延伸区間の個数を2にしたことを除いて、実施例1と同一に原糸および生地を製造した。また、実施例1と同一に製造された生地の物性を測定して、下記表4に示した。
【0100】
[比較例4]
下記表2のように原糸条件を変更し、延伸区間個数を6にしたことを除いて、実施例1と同一に原糸および生地を製造した。また、実施例1と同一に製造された生地の物性を測定して、下記表4に示した。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】
上記表1~表4を参照すれば、実施例による生地の場合、適切な冷感を有し、優れた寸法安定性を有するのを確認することができた。特に、比較例4の場合、比較的に結晶化度の高い原糸を用いて生地を製造したにも拘わらず、生地の製造時に、多量の毛羽が発生して低い接触冷感および熱伝導度を有するのを確認することができた。
【0106】
以上のように、本発明では特定の事項と限定された実施例および図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明は前記の実施例に限定されるのではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であればこのような記載から多様な修正および変形が可能である。
【0107】
したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定されて決められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的変形がある全てのものは、本発明思想の範疇に属するというべきである。
【符号の説明】
【0108】
10:マルチフィラメント
11:フィラメント
21:ベースプレート
23:生地
22a:T-box
22b:BT-box
100:エクストルーダー
200:口金
300:冷却部
400:集束部
500:延伸部
600:ワインダー
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】