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特表2024-5442362層の漏れ止め補強ストリップを含む漏れ止め容器
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  • 特表-2層の漏れ止め補強ストリップを含む漏れ止め容器 図1
  • 特表-2層の漏れ止め補強ストリップを含む漏れ止め容器 図2
  • 特表-2層の漏れ止め補強ストリップを含む漏れ止め容器 図3
  • 特表-2層の漏れ止め補強ストリップを含む漏れ止め容器 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】2層の漏れ止め補強ストリップを含む漏れ止め容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D65/40 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534316
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022086435
(87)【国際公開番号】W WO2023111303
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2113922
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524216598
【氏名又は名称】エービーシー トランスファー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ジャン-リュック
(72)【発明者】
【氏名】レジエ,ピエール
【テーマコード(参考)】
3E086
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AC07
3E086AD01
3E086BA02
3E086BA04
3E086BA19
3E086BB01
3E086BB90
3E086CA29
3E086CA40
(57)【要約】
本発明は、ポリマー製の可撓性フィルムで形成された袋(2)と、無菌チャンバの相補的接続装置と係合するように意図された漏れ止め接続装置とを備える漏れ止め容器であって、接続装置は、袋(2)が結合されるフランジ(6)を備え、容器は、ポリスチレン製の第1の層(11)と、補強ストリップ(10)を袋(2)に直接結合することを可能にするために袋(2)の材料と適合性のある材料で作られた第2の補強層(12)とから構成される2層の漏れ止め補強ストリップ(10)を備え、第2の層の剛性は第1の層(11)の剛性よりも大きく、補強ストリップ(10)は、第1の層(11)がフランジに結合され、第2の補強層(12)が袋に結合されるように、ポリマー製のフランジと袋との間に挿入されることを特徴とする漏れ止め容器に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部容積(3)及び貫通開口を画定するポリマー製の可撓性フィルムで形成された袋(2)と、前記容器(1)の内部容積と滅菌チャンバの内部容積との間の漏れ止め連通を確実にするように、前記滅菌チャンバの相補的接続装置と係合するように意図された漏れ止め接続装置(4)とを備える漏れ止め容器(1)であって、前記接続装置は、前記袋(2)が結合されるフランジ(6)を備え、前記フランジ(6)は、前記袋の貫通開口を画定し、前記容器(1)が、2層の漏れ防止補強ストリップ(10)であって、
-前記補強ストリップ(10)が前記フランジ(6)に直接結合されることを可能にするために少なくともポリフェニレンオキシドを含む、前記フランジ(6)の材料と適合性のあるポリスチレンで作られた第1の層(11)と、
-前記補強ストリップ(10)が前記袋(2)に直接結合されることを可能にするために前記袋(2)の材料と適合性のある材料で作られ、前記第1の層(11)よりも剛性が高い第2の補強層(12)と、から構成される、2層の漏れ防止補強ストリップ(10)を備え、
前記補強ストリップ(10)は、前記第1の層(11)が前記フランジに結合され、前記第2の補強層(12)が前記袋に結合されるように、前記フランジと前記袋との間に挿入されることを特徴とする、漏れ止め容器(1)。
【請求項2】
前記補強漏れ止めストリップ(10)が前記フランジに熱結合されたストリップであることを特徴とする、請求項1に記載の容器(1)。
【請求項3】
前記補強漏れ止めストリップ(10)が前記袋に一体化されていることを特徴とする、請求項1に記載の容器(1)。
【請求項4】
前記補強ストリップ(10)が、50マイクロメートルと200マイクロメートルの間、有利には60マイクロメートルと100マイクロメートルとの間、好ましくは80マイクロメートルの厚さを有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項5】
前記第2の補強層(12)は、前記第1の層(11)の厚さ以上の厚さを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項6】
前記第2の補強層(12)がポリエチレンで作られていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の漏れ止め容器(1)。
【請求項7】
前記袋が、ポリエチレンを含む単層又は多層フィルムから形成され、好ましくはポリエチレン繊維を含む不織布材料から作られることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項8】
前記容器(1)は、前記袋が取り付けられる前記フランジの部分を取り囲む保護リング(5)を備え、前記袋は、前記保護リングと前記フランジとの間に係合されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項9】
前記保護リング(5)が、前記内部スリーブ上にクリップ留めされて取り付けられることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の漏れ止め容器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの容積が当該外部環境と接触することなく連通して配置されることを可能にするように、無菌エンクロージャにシール様式で接続されるように意図された容器の分野に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、内容積及び貫通開口を画定する可撓性ポリマーフィルムで形成された袋と、当該容器の内容積と滅菌チャンバの内容積との間の漏れ止め連通を確実にするように、滅菌チャンバの相補的接続装置と係合するように意図された漏れ止め接続装置とを備える漏れ止め容器であって、当該接続装置は、袋が結合されるフランジを備え、当該フランジは、袋の貫通開口を画定する、漏れ止め容器に関する。
【0003】
本発明による漏れ止め容器は、特定の医薬品、生物工学的製品、生物学的製品、化学的製品又は放射性製品などの危険な製品の移送、ストッパ、ボトル、プランジャ、シリンジなどの構成要素の移送、培地ラック、粒子カウンタなどの環境制御装置の移送、洗浄システムの移送、液体、粉末、ツールの移送、チャンバの外側への廃棄物の移送、及び/又は生産ラインの生産又は保守に必要な任意の要素の移送を特に意図しているが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0004】
既知の方法では、接続及びシールを破壊することなく、製品を移送するために、シールされた容器を無菌エンクロージャに接続することは、一方が容器に装備され、他方がエンクロージャに装備される2つの接続装置を使用して行われる。各接続装置は、容器又はチャンバの内部空間への貫通開口をそれぞれ画定するフランジを備え、貫通開口の各々はドアによって閉鎖される。容器のフランジ及びドアは、バヨネット接続によってエンクロージャのフランジ及びドアにそれぞれ接続することができ、容器の関連するフランジ及びドアの、それらが取り付けられているエンクロージャのフランジ及びドアに対する回転運動の作用下で互いに分離することができる。
【0005】
可撓性フィルム容器の場合、接続装置及び可撓性フィルムは、フィルムをフランジに溶接することによって組み立てられる。しかしながら、このようにして製造された容器は、フランジへの袋の結合に関連する欠点を有する。
【0006】
袋がオートクレーブ内で滅菌されるとき、袋はかなりの圧力を受け、その結果、袋とフランジとの結合部に高い応力が生じ、強度及び漏れ防止性に関して結合部を弱める。したがって、漏れ箇所の存在を排除することはできない。
【0007】
本発明は、簡単かつ迅速に製造することができ、改善された機械的強度及び強化された漏れ防止性を有する、滅菌チャンバに接続することができる可撓性袋を有する漏れ止め容器を提案することによって、これらの問題を解決することを目的とする。
【0008】
本発明の別の目的は、再利用可能な可撓性袋の漏れ止め容器を提案することである。
【発明の概要】
【0009】
この目的のために、本発明は、内容積及び貫通開口を画定するポリマー製の可撓性フィルムで形成された袋と、当該容器の内部容積とチャンバの内部容積との間の漏れ止め連通を確実にするように、無菌チャンバの相補的接続装置と係合するように意図された漏れ止め接続装置とを備える漏れ止め容器であって、当該接続装置は、袋が結合されるフランジを備え、当該フランジは、袋の貫通開口を画定し、容器が、2層の漏れ止め補強ストリップであって、補強ストリップがフランジに直接結合されることを可能にするために少なくともポリフェニレンオキシドを含む、フランジの材料と適合性のあるポリスチレンの第1の層と、補強ストリップが袋に直接結合されることを可能にするために袋の材料と適合性のある材料で作られ、第1の層よりも剛性が高い第2の補強層と、から構成される、2層の漏れ止め補強ストリップを備え、当該補強ストリップは、第1の層がフランジに結合され、第2の補強層が袋に結合されるように、フランジと袋との間に挿入されることを特徴とする、漏れ止め容器を提案する。
【0010】
「結合された」という用語は、本明細書では、各部品の材料の完全性を維持しながら、2つの部品(この場合、袋及びフランジ)を一緒に恒久的に組み立てることを意味するために使用される。この用語は、熱溶接、ヒートシール又は熱溶融技術による溶接を使用する組み立て、固定又は結合を示すために使用することができる。
【0011】
有利には、漏れ止め補強ストリップはフランジに熱的に結合される。実施形態の一変形例によれば、補強漏れ止めストリップは、袋に一体化されてもよい。
【0012】
有利には、補強ストリップは、50マイクロメートルと200マイクロメートルの間、有利には60マイクロメートルと100マイクロメートルの間、好ましくは80マイクロメートルの厚さを有する。
【0013】
有利には、第2の補強層は、第1の層の厚さ以上の厚さを有する。
【0014】
有利には、第2の補強層は、ポリエチレンを含むか、又はポリエチレンで作られる。
【0015】
好ましい実施形態において、フランジは、ポリマーのブレンド、特にポリフェニレンオキシドと耐衝撃性ポリスチレンとのブレンドを含む。
【0016】
有利には、袋はポリエチレンを含む単層又は多層フィルムから有利に形成され、好ましくはポリエチレン繊維を含む不織布材料から作られる。
【0017】
有利な実施形態では、容器は、袋が取り付けられるフランジの部分を取り囲む保護リングを備え、袋は、当該保護リングとフランジとの間に係合される。保護リングは、フランジに取り付けられた部品であり、好ましくはフランジにクリップ留めされる。
【0018】
有利には、可撓性フィルム及び接続装置は、静菌性材料で作られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】本発明による、容器の概略正面図を示す。
図2図1の容器の部分縦断面図である。
図3図2に示す容器の詳細図であり、構成要素が分解されて示されている。
図4】保護リングの変形実施形態の詳細図を示す。
【0020】
より明確にするために、種々の実施形態の同一又は類似の要素は、全ての図において同一の参照符号によって示される。
【0021】
「下部」は、容器の貫通開口から最も遠い、容器を構成する部品又はこれらの部品の端部を意味し、「上部」は、容器の貫通開口に最も近い、容器を構成する部品又はこれらの部品の端部を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1図4に関連して、本発明の一実施形態による容器1について説明する。示された容器1は、内部容積3及び貫通開口を画定するポリマー製の単層又は多層の可撓性フィルムから形成された袋2を備える。それはまた、無菌チャンバの相補的接続装置と係合するように意図された漏れ止め接続装置4を備える。この接続は、当該容器1の内部空間3とチャンバの内部空間との間の漏れ止め連通を保証するように行われる。
【0023】
接続装置4は、フランジ6と、貫通開口を閉じるようにフランジ6に取り外し可能に取り付けられたドア7とを更に備える。有利には、フランジ6及びドア7は、フランジ6及びドア7によってそれぞれ支持されたノッチ及びラグによって互いに取り付けられる。フランジ6とドア7との間の漏れ防止性は、フランジ6によって支持された環状シール13によって保証され、環状シール13は、ドアが貫通開口の閉鎖位置にあるときに、フランジ6とドア7とによって画定された空間に挿入される。有利には、環状シール13は、それが収容される領域に適合する形状(例ではL字型)の断面を有する。
【0024】
フランジ6の上部周囲には、チャンバの相補的な接続装置への接続手段を形成するラグの配置が設けられ、袋の底部において、袋は当該フランジの外壁に結合され、当該フランジ6は袋の貫通開口を画定する。
【0025】
袋2は、有利には、ポリエチレンを含む単層又は多層フィルムから形成される。フィルムは、好ましくはポリエチレン繊維を含む不織材料から作られる。フランジはポリフェニレンオキサイド製である。
【0026】
袋とフランジとの間の溶接ゾーンにおける容器の漏れ防止性を補強するために、容器1は、フランジ6と袋2との間に挿入された2層漏れ止め補強ストリップ10を有する(図3)。補強ストリップ10は、ポリスチレンで作られた第1の層11と、第1の層よりも剛性が大きいポリエチレンで作られた第2の補強層12とからなる。第1の層11は、フランジに面する補強ストリップ10の側を画定し、第2の補強層12は、袋に面する補強ストリップ10の側を画定する。第1の層11はフランジに結合され、第2の補強層12は袋に結合される。
【0027】
補強ストリップ10は、25マイクロメートルから30マイクロメートルの間の厚さを有する。
【0028】
容器1を製造するために、袋2はフランジ6に平坦に結合され、開口を画定する袋の周縁部は、袋とフランジ6との間に挿入された補強ストリップ10と共に、フランジ6を外側から取り囲むようにフランジ6の周りに配置される。フランジ6上への組み立て中に袋2の一体性を維持するために、袋は、好ましくはフランジ6への可撓性フィルムの結合の限界で行われる熱成形操作によって取り付けられる。特定の構成では、補強漏れ止めストリップ10をフランジ6に熱結合することができ、袋2はストリップの第2の補強層12上に直接配置され、次いで結合される。更なる構成では、補強漏れ止めストリップ10は、袋の内周縁部の内側に設けることができる。この場合、袋はフランジに直接結合される。
【0029】
スリーブはまた、袋と同時にフランジに結合され得る。
【0030】
袋の結合ゾーンを保護するために、容器1は、有利には、当該ゾーンのための保護リング5を含む。有利にはフランジにクリップ留めされる保護リング5は、袋が取り付けられるフランジの部分を取り囲み、袋は当該リングとフランジとの間に係合される。
【0031】
袋の漏れ防止性を更に高めるために、フランジ6の外周面とともに、保護リング5とフランジ6との間に係合された袋の部分のための圧縮ゾーンを画定するように配置された円周方向のスカロップが設けられた内周面を有する保護リングが設けられてもよい(図4)。保護リング5及びフランジ6の形状は、名目上、当該リング上のスカロップがフランジと干渉するように画定される。このような構成が図3に示されている。内側スリーブ6の外周面に押し付けられて半径方向の力を加えると、スカロップ14はシールとして作用する。図示の実施形態では、保護リングは、下端に配置され、当該スリーブの内周面の全周にわたって延びる単一のスカロップ14を備える。スカロップは、保護リング5がフランジ6上の所定の位置にあるときに、スカロップ14が結合線の下に位置するようなものである。
【0032】
有利には、フランジ6は、フランジ上への可撓性フィルムのねじ込み及び摺動を容易にするために、当該スリーブの下端に形成された円錐形の外部面取り部を備える。
【0033】
可撓性フィルム2及び接続装置4は、有利には、静菌性材料で作られる。シール8及び13は、残留現象を最小限に抑えるシリコーン材料又は他の材料で作られる。シールが静菌性材料で作られるようにすることもできる。
【0034】
以上、本発明を例示的に説明した。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の異なる変形実施形態を作り出すことができることが理解される。特に、記載された容器は、示された接続装置配置に限定されない。同様に、容器は保護リング5と共に示されているが、これは任意である。更に、保護リングが存在する場合、それは示された構成に限定されない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】