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特表2024-544237マイクロゲル、マイクロゲルの作製方法、及びマイクロゲルの使用方法
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  • 特表-マイクロゲル、マイクロゲルの作製方法、及びマイクロゲルの使用方法 図1
  • 特表-マイクロゲル、マイクロゲルの作製方法、及びマイクロゲルの使用方法 図2A-2E
  • 特表-マイクロゲル、マイクロゲルの作製方法、及びマイクロゲルの使用方法 図3
  • 特表-マイクロゲル、マイクロゲルの作製方法、及びマイクロゲルの使用方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】マイクロゲル、マイクロゲルの作製方法、及びマイクロゲルの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/06 20060101AFI20241121BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241121BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 38/43 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241121BHJP
   C12N 1/00 20060101ALN20241121BHJP
   C07K 14/52 20060101ALN20241121BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
A61K9/06
A61K9/16
A61K47/10
A61K47/32
A61K38/00
A61K38/43
A61K38/19
A61K39/395 D
A61P43/00 105
C12N1/00 F
C07K14/52
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534321
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 US2022081792
(87)【国際公開番号】W WO2023122497
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/291,531
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507371168
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソーヤー,ウォレス グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】サマーリン,ブレント エス.
(72)【発明者】
【氏名】グエン,デュイ ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ボーマン,ジャレッド イアン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065BC46
4B065CA44
4C076AA09
4C076AA31
4C076CC26
4C076EE09
4C076EE12
4C076EE13
4C076EE23
4C084AA01
4C084DA01
4C084DC01
4C084NA10
4C084ZB211
4C085AA13
4C085EE01
4C085EE05
4H045AA10
4H045AA11
4H045BA57
4H045CA40
4H045DA01
4H045DA76
4H045DA89
4H045EA60
(57)【要約】
本開示は、マイクロゲル、マイクロゲル組成物、マイクロゲル及びマイクロゲル組成物の作製方法、マイクロゲル及びマイクロゲル組成物の使用方法などを提供する。本開示は、中性電荷を有する複数の薬剤官能化マイクロゲル粒子を有するマイクロゲル組成物を提供する。薬剤官能化マイクロゲル粒子は、ポリマーから作製され得、ポリマーは、クエンチされているか又は活性化官能基を介して少なくとも1つのタイプの薬剤に結合している活性化官能基で官能化され得る。薬剤官能化マイクロゲル粒子は、約5~150μmの最長寸法、及び約1~1.5のアスペクト比を有し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロゲル組成物であって、中性電荷を有する複数の薬剤官能化マイクロゲル粒子を含み、前記薬剤官能化マイクロゲル粒子が、ポリマーから作製され、前記ポリマーが、クエンチされているか又は活性化官能基を介して少なくとも1つのタイプの薬剤に結合している前記活性化官能基で官能化され、前記薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約5~150μmの最長寸法、及び約1~1.5のアスペクト比を有する、マイクロゲル組成物。
【請求項2】
前記活性化官能基が、活性化エステル、N-アシルベンゾトリアゾール基、無水物基、又は活性化カーボネート官能基である、請求項1に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項3】
前記活性化エステルが、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、スルホン化NHSエステル基、フルオロフェニルエステル基、トシル酸エステル基、メシル酸エステル基、又はO-アシルイソ尿素から選択される、請求項2に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項4】
前記活性化カーボネート官能基が、スクシンイミジルカーボネートである、請求項2に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項5】
前記薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約1のアスペクト比を有する、請求項1に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項6】
薬剤官能化マイクロゲル粒子が、ランダムな三次元形状を有する、請求項1に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項7】
前記ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、HEMA、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのタイプの薬剤と結合する前の前記ポリマーが、約0.1~30モル%の活性化エステル基の濃度を有する、請求項1に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの薬剤の約90%以上が、前記マイクロゲル粒子の表面上に存在する、請求項1に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの薬剤の約95%以上が、前記薬剤官能化マイクロゲル粒子の表面上に存在する、請求項1に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項11】
前記薬剤が、タンパク質である、請求項1に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項12】
前記タンパク質が、抗体、酵素、又はサイトカインである、請求項11に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項13】
前記薬剤が、アミン基を含有する生体分子である、請求項1に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項14】
前記薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約2~10タイプの異なる薬剤を含む、請求項1に記載のマイクロゲル組成物。
【請求項15】
薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法であって、
前記マイクロゲル粒子の均一な分布を形成することであって、前記マイクロゲル粒子が、活性化官能基を有するポリマーを含む、形成することと、
遠心分離プロセスを使用して、マイクロゲル粒子の前記均一な分布を分離して、マイクロゲル粒子のセットを取得することであって、前記マイクロゲル粒子のセットが、約5~150μmの最長寸法、及び約1~1.5のアスペクト比を有する、取得することと、
薬剤を、前記マイクロゲル粒子のセットの前記ポリマーの前記活性化官能基の第1の量に結合させることであって、前記活性化官能基の第2の量が、前記薬剤に結合しない、結合させることと、
薬剤官能基の前記第2の量のセットをアミン基でクエンチして、前記薬剤官能化マイクロゲル粒子を形成することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記形成する工程、前記分離する工程、前記結合させる工程、及び前記クエンチする工程が、約60~120分の時間にわたって処理される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記薬剤官能化マイクロゲル粒子が、中性電荷を有し、前記薬剤官能化マイクロゲル粒子が、ポリマーから作製され、前記ポリマーが、クエンチされているか又は活性化官能基を介して少なくとも1つのタイプの薬剤に結合している前記活性化官能基で官能化され、前記薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約5~150μmの最長寸法、及び約1~1.5のアスペクト比を有する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記活性化官能基が、活性化エステル、N-アシルベンゾトリアゾール基、無水物基、又は活性化カーボネート官能基である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記活性化エステルが、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、スルホン化NHSエステル基、フルオロフェニルエステル基、トシル酸エステル基、メシル酸エステル基、又はO-アシルイソ尿素から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記活性化カーボネート官能基が、スクシンイミジルカーボネートである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約1のアスペクト比を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
薬剤官能化マイクロゲル粒子が、ランダムな三次元形状を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、HEMA、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのタイプの薬剤と結合する前の前記ポリマーが、約0.1~30モル%の活性化エステル基の濃度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの薬剤の約90%以上が、前記マイクロゲル粒子の表面上に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの薬剤の約95%以上が、前記薬剤官能化マイクロゲル粒子の表面上に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記薬剤が、タンパク質である、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記タンパク質が、抗体、酵素、又はサイトカインである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記薬剤が、アミン基を含有する生体分子である、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
前記薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約2~10タイプの異なる薬剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項30】
薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法であって、
マイクロゲルブロックを、機械的ふるいの第1の側面上に配置することであって、前記機械的ふるいが、選択的特性サイズのふるいを有し、前記機械的ふるいが、前記第1の側面の反対側面に第2の側面を有し、前記マイクロゲルブロックが、活性化官能基を有するポリマーを含む、配置することと、
前記マイクロゲルブロックに対して第1の荷重を加えて、前記マイクロゲルブロックを、前記機械的ふるいを通して押し出して、前記機械的ふるいの前記第2の側面上に前記マイクロゲルブロックの第1の複数の断片を形成することであって、収集リザーバが、前記機械的ふるいの前記第2の側面に隣接して位置付けられて、前記マイクロゲルブロックの前記断片を受け入れる、形成することと、
遠心分離プロセスを使用して、マイクロゲル粒子の均一な分布を、新しいリザーバを使用して分離して、マイクロゲル粒子のセットを取得することであって、前記マイクロゲル粒子のセットが、約5~150μmの最長寸法、及び約1~1.5のアスペクト比を有する、取得することと、
薬剤を、前記マイクロゲル粒子のセットの前記ポリマーの前記活性化官能基の第1の量に結合させることであって、前記活性化官能基の第2の量が、前記薬剤に結合しない、結合させることと、
前記薬剤官能基の前記第2の量をアミン基でクエンチして、前記薬剤官能化マイクロゲル粒子の前記組成物を形成することと、を含む、方法。
【請求項31】
前記マイクロゲルブロックを配置する工程、前記荷重を加える工程、前記第1の複数の断片を配置する工程、前記分離する工程、前記結合させる工程、及び前記クエンチする工程が、約60~120分の時間にわたって処理される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
クエンチすることが、約1.1~10当量の前記アミンを使用することを含む、請求項30及び31に記載の方法。
【請求項33】
前記アミンが、一級アミンである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
クエンチすることが、薬剤官能基の前記第2の量のセットに対して、過剰なモル量の前記アミンを使用することを含む、請求項30及び33に記載の方法。
【請求項35】
前記荷重が、機械的力である、請求項30及び33に記載の方法。
【請求項36】
前記機械的力が、滅菌注射器を介して加えられる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記機械的ふるいが、約65~85マイクロメートルメッシュの選択的特性サイズのふるいを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の荷重が、均一に分布した垂直荷重である、請求項30~37に記載の方法。
【請求項39】
前記分離工程の前に、前記方法が、前記マイクロゲルブロックの前記第1の複数の断片を、前記機械的ふるいの前記第1の側面上に配置し、前記マイクロゲルブロックの第1の複数の断片に対して第2の荷重を加えて、前記断片を、前記機械的ふるいを通して押し出して、前記マイクロゲルブロックの第2の複数の断片を形成し、前記マイクロゲルブロックの前記第2の複数の断片を前記収集リザーバ内に収集し、前記マイクロゲル粒子の均一な分布が形成されるまで、この工程を繰り返すことを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
第1の濃度のクエンチされていない活性化官能基で官能化されているポリマーを含む、マイクロゲルポリマー。
【請求項41】
前記活性化官能基が、活性化エステル、N-アシルベンゾトリアゾール基、無水物基、又は活性化カーボネート官能基である、請求項40に記載のマイクロゲルポリマー。
【請求項42】
前記活性化エステルが、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、スルホン化NHSエステル基、フルオロフェニルエステル基、トシル酸エステル基、メシル酸エステル基、又はO-アシルイソ尿素から選択される、請求項41に記載のマイクロゲルポリマー。
【請求項43】
前記活性化カーボネート官能基が、スクシンイミジルカーボネートである、請求項41に記載のマイクロゲルポリマー。
【請求項44】
前記活性化官能基の前記第1の濃度が、約0.1~30モル%である、請求項41に記載のマイクロゲルポリマー。
【請求項45】
前記活性化官能基の前記第1の濃度が、約5~30モル%である、請求項41に記載のマイクロゲルポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の優先権の主張
本出願は、2021年12月20日に出願されたシリアル番号:63/291,531を有する「MICROGELS,METHODS OF MAKING MICROGELS AND METHODS OF USING MICROGELS」と題された同時係属中の米国仮出願の優先権を主張するものであり、この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
マイクロゲルは広く使用されているが、多くは、官能基を有するマイクロゲルを変性することに関して欠点を有する。また、マイクロゲルは、生成に時間がかかり、高価であり得る。したがって、より多くの選択肢を有し、より効率的なプロセスを使用してマイクロゲルを生成する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、マイクロゲル、マイクロゲル組成物、マイクロゲル及びマイクロゲル組成物の作製方法、マイクロゲル及びマイクロゲル組成物の使用方法などを提供する。
【0004】
本開示は、マイクロゲル組成物であって、中性電荷を有する複数の薬剤官能化マイクロゲル粒子を含み、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、ポリマーから作製され、ポリマーが、クエンチされているか又は活性化官能基を介して少なくとも1つのタイプの薬剤に結合している活性化官能基で官能化され、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約5~150μmの最長寸法、及び約1~1.5のアスペクト比を有する、マイクロゲル組成物を提供する。
【0005】
本開示は、活性化官能基が、活性化エステル、N-アシルベンゾトリアゾール基、無水物基、又は活性化カーボネート官能基、並びにシッフ/イミン化学物質用のケトン/アルデヒド、又はクリック化学物質用のマレイミド/アクリレートである、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0006】
本開示は、活性化エステルが、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、スルホン化NHSエステル基、フルオロフェニルエステル基、トシル酸エステル基、メシル酸エステル基、又はO-アシルイソ尿素から選択される、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0007】
本開示は、活性化カーボネート官能基が、スクシンイミジルカーボネートである、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0008】
本開示は、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約1~1.5のアスペクト比を有する、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0009】
本開示は、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、ランダムな三次元形状を有する、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0010】
本開示は、ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、HEMA、及びこれらの組み合わせから選択される、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0011】
本開示は、少なくとも1つのタイプの薬剤と結合する前のポリマーが、約0.1~30モル%の活性化エステル基の濃度を有する、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0012】
本開示は、少なくとも1つの薬剤の約90~95%以上が、薬剤官能化マイクロゲル粒子の表面上に存在する、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0013】
本開示は、薬剤が、タンパク質である、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0014】
本開示は、タンパク質が、抗体、酵素、又はサイトカインである、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0015】
本開示は、薬剤が、アミン基を含有する生体分子である、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0016】
本開示は、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約2~10タイプの異なる薬剤を含む、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲル組成物を提供する。
【0017】
本開示は、マイクロゲル粒子の均一な分布を形成することであって、ポリマーマイクロゲル粒子が、活性化官能基を有する、形成することと、遠心分離プロセスを使用して、マイクロゲル粒子の均一な分布を分離して、マイクロゲル粒子のセットを取得することであって、マイクロゲル粒子のセットが、約5~150μmの最長寸法、及び約1~1.5のアスペクト比を有する、取得することと、薬剤を、マイクロゲル粒子のセットのポリマーの活性化官能基の第1の量に結合させることであって、活性化官能基の第2の量が、薬剤に結合しない、結合させることと、薬剤官能基の第2の量のセットをアミン基でクエンチして、薬剤官能化マイクロゲル粒子を形成することと、を含む、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0018】
本開示は、形成する工程、分離する工程、結合させる工程、及びクエンチする工程が、約60~120分の時間にわたって処理される、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0019】
本開示は、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、中性電荷を有し、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、ポリマーから作製され、ポリマーが、クエンチされているか又は活性化官能基を介して少なくとも1つのタイプの薬剤に結合する活性化官能基で官能化され、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約5~150μmの最長寸法、及び約1~1.5のアスペクト比を有する、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0020】
本開示は、活性化官能基が、活性化エステル、N-アシルベンゾトリアゾール基、無水物基、又は活性化カーボネート官能基、並びにシッフ/イミン化学物質用のケトン/アルデヒド、又はクリック化学物質用のマレイミド/アクリレートである、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0021】
本開示は、活性化エステルが、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、スルホン化NHSエステル基、フルオロフェニルエステル基、トシル酸エステル基、メシル酸エステル基、又はO-アシルイソ尿素から選択される、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0022】
本開示は、活性化カーボネート官能基が、スクシンイミジルカーボネートである、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0023】
本開示は、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約1~1.5のアスペクト比を有する、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0024】
本開示は、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、ランダムな三次元形状を有する、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0025】
本開示は、ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、HEMA、及びこれらの組み合わせから選択される、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0026】
本開示は、少なくとも1つのタイプの薬剤と結合する前のポリマーが、約0.1~30モル%の活性化エステル基の濃度を有する、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0027】
本開示は、少なくとも1つの薬剤の約90~95%以上が、薬剤官能化マイクロゲル粒子の表面上に存在する、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0028】
本開示は、薬剤が、タンパク質である、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0029】
本開示は、タンパク質が、抗体、酵素、又はサイトカインである、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0030】
本開示は、薬剤が、アミン基を含有する生体分子である、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0031】
本開示は、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、約2~10タイプの異なる薬剤を含む、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0032】
本開示は、マイクロゲルブロックを、機械的ふるいの第1の側面上に配置することであって、機械的ふるいが、選択的特性サイズのふるいを有し、機械的ふるいが、第1の側面の反対側面に第2の側面を有し、マイクロゲルブロックが、活性化官能基を有するポリマーを含む、配置することと、マイクロゲルブロックに対して第1の荷重を加えて、マイクロゲルブロックを、機械的ふるいを通して押し出して、機械的ふるいの第2の側面上にマイクロゲルブロックの第1の複数の断片を形成することであって、収集リザーバが、機械的ふるいの第2の側面に隣接して位置付けられて、マイクロゲルブロックの断片を受け入れる、形成することと、マイクロゲル粒子の均一な分布が形成されるまで、新しいリザーバを使用して、この工程を繰り返すことと、遠心分離プロセスを使用して、マイクロゲル粒子の均一な分布を分離して、マイクロゲル粒子のセットを取得することであって、マイクロゲル粒子のセットが、約5~150μmの最長寸法、及び約1~1.5のアスペクト比を有する、取得することと、薬剤を、マイクロゲル粒子のセットのポリマーの活性化官能基の第1の量に結合させることであって、活性化官能基の第2の量が、薬剤に結合しない、結合させることと、薬剤官能基の第2の量をアミン基でクエンチして、薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物を形成することと、を含む、薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0033】
本開示は、マイクロゲルブロックを配置する工程、荷重を加える工程、第1の複数の断片を配置する工程、分離する工程、結合させる工程、及びクエンチする工程が、約60~120分の時間にわたって処理される、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0034】
本開示は、クエンチすることが、約1.1~10当量のアミンを使用することを含む、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0035】
本開示は、アミンが、一級アミンである、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0036】
本開示は、クエンチすることが、薬剤官能基の第2の量のセットに対して、過剰なモル量のアミンを使用することを含む、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0037】
本開示は、荷重が、機械的力である、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0038】
本開示は、機械的力が、滅菌注射器を介して加えられる、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0039】
本開示は、機械的ふるいが、約10~85マイクロメートルメッシュの選択的特性サイズのふるいを有する、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0040】
本開示は、第1の荷重が、均一に分布した垂直荷重である、上記及び本明細書に記載される薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法を提供する。
【0041】
本開示は、第1の濃度のクエンチされていない活性化官能基で官能化されているポリマーを含む、マイクロゲルポリマーを提供する。
【0042】
本開示は、活性化官能基が、活性化エステル、N-アシルベンゾトリアゾール基、無水物基、又は活性化カーボネート官能基、並びにシッフ/イミン化学物質用のケトン/アルデヒド、又はクリック化学物質用のマレイミド/アクリレートである、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲルポリマーを提供する。
【0043】
本開示は、活性化エステルが、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、スルホン化NHSエステル基、フルオロフェニルエステル基、トシル酸エステル基、メシル酸エステル基、又はO-アシルイソ尿素から選択される、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲルポリマーを提供する。
【0044】
本開示は、活性化カーボネート官能基が、スクシンイミジルカーボネートである、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲルポリマーを提供する。
【0045】
本開示は、活性化官能基の第1の濃度が、約0.1~30モル%又は約5~30モル%である、上記及び本明細書に記載されるマイクロゲルポリマーを提供する。
【0046】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照するとよりよく理解できる。図面中の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本開示の原理を明確に示すことに重点が置かれる。更に、図面中、同様の参照番号は、複数の図を通じて、対応する部分を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】タンパク質、抗体、アミノ酸、生物製剤、又は任意のタンパク質ベースの材料でのマイクロゲルのコーティング方法が、一連の製作工程を伴うことを示す。
図2A-2E】図2Aは、表面官能化及びタンパク質共役PAAmマイクロゲルを示す。マイクロゲルの表面上に共役したタイプIコラーゲンタンパク質を示す。図2Bは、表面官能化及びタンパク質共役PAAmマイクロゲルを示す。表面上に共役した蛍光抗体を有するマイクロゲルを示す。図2Cは、表面官能化及びタンパク質共役PAAmマイクロゲルを示す。コラーゲンI共役マイクロゲルに結合する付着細胞を示す蛍光画像を示す。細胞を、アクチンについてはファロイジン(緑色)、核についてはHoechst 33342(青色)で染色した。図2Dは、表面官能化及びタンパク質共役PAAmマイクロゲルを示す。コラーゲンI共役マイクロゲル上に付着する同じ細胞を示す明視野顕微鏡画像を示す。図2Eは、表面官能化及びタンパク質共役PAAmマイクロゲルを示す。異なるタンパク質及び抗体を有する表面官能化マイクロゲルを示す右側の画像を示す。
図3】マイクロゲル中の細胞移動を視覚化するためのタンパク質共役ポリアクリルアミドマイクロゲルを示す。左上は、共焦点顕微鏡検査中の視覚化を補助するために、表面上にタイプIコラーゲンコーティング(緑色)を有するマイクロゲル、及びローダミンB(赤色)ポリアクリルアミドマイクロゲルの蛍光画像である。一例として、ここに示されるタイムラプス画像(0~116時間)は、コラーゲンIが共役したマイクロゲル上に細胞が付着し、116時間培養する間に広がっていく様子を示しており、生体適合性及びマイクロゲル粒子表面へのタンパク質の共役が成功していることを示している。
図4】タンパク質共役マイクロゲル粒子に結合する生アストロサイトの共焦点画像を示す。細胞をCellTracker(商標)Orange CMRA Dye(カタログ番号C34551)で標識し、高解像度ガルバノスキャナーを用いてNikon A1R HD25共焦点顕微鏡で画像化した。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本開示の実施形態は、マイクロゲル、マイクロゲル組成物、マイクロゲル及びマイクロゲル組成物の作製方法、マイクロゲル及びマイクロゲル組成物の使用方法などを提供する。追加の詳細が本明細書に提供される。
【0049】
本開示をより詳細に記載する前に、本開示が、記載される特定の実施形態に限定されず、そのため、当然ながら、変動し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、本開示の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるので、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0050】
値の範囲が提供される場合、(文脈が明確にそうでないことを指示しない限り)下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間の各介在値と、その記述された範囲内の任意の他の記述された値又は介在値が、本開示内に包含されることを理解されたい。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して、より小さな範囲に含まれてもよく、また、記述された範囲内の任意の明確に除外された限定を前提として、本開示内に包含される。記述された範囲が、限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれた限界の一方又は両方を除外する範囲もまた、本開示に含まれる。
【0051】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似又は同等の任意の方法及び材料もまた、本開示の実施又は試験に使用することができるが、ここで好ましい方法及び材料を本明細書に記載する。
【0052】
本開示を読むと当業者には明らかであろうように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態の各々は、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得る、又はそれらと組み合わされ得る個別の成分及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能である任意の他の順序で実施され得る。
【0053】
本開示の実施形態は、別段の指示がない限り、当該技術分野の範囲内である、化学、ポリマー化学、生物化学、生物学などの技法を用いる。このような技法は、文献で十分に説明されている。
【0054】
以下の実施例は、当業者に、本明細書において開示及び特許請求される方法の実行、並びに組成物及び化合物の使用の方法の完全な開示及び記載を提供するために示される。数値(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するように努力がなされてはいるが、いくらかの誤差及び偏差が考慮されるべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、温度は℃であり、圧力は、大気圧である。標準温度及び圧力は、25℃及び1気圧と定義されている。
【0055】
本開示の実施形態が詳細に説明される前に、別段の指示がない限り、本開示は、特定の材料、試薬、反応物質、製造プロセスなどに限定されないので、変化し得ることが理解されるであろう。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことを理解されたい。本開示では、工程は、論理的に可能である場合には異なる順序で実行され得ることも可能である。
【0056】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数の参照物を含むことに留意する必要がある。したがって、例えば、「支持体」への言及は、複数の支持体を含む。本明細書及び以下の特許請求の範囲において、いくつかの用語を参照し、これらは逆の意図が明らかでない限り以下の意味を有するように定義されるものとする。
【0057】
「ポリマー」としては、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダム、及び交互コポリマー、ターポリマーなど、並びにこれらのブレンド及び変性が挙げられると理解されるが、これらに限定されない。
【0058】
本開示の実施形態は、マイクロゲル(例えば、官能化マイクロゲル)、複数の薬剤官能化マイクロゲル粒子を含むマイクロゲル組成物、マイクロゲル及びマイクロゲル組成物の作製方法、マイクロゲル及びマイクロゲル組成物の使用方法などを提供する。一実施形態では、本開示は、マイクロゲル粒子に結合した1つ以上のタイプの薬剤を含む薬剤官能化マイクロゲル粒子を提供する。一態様では、本開示は、マイクロゲル組成物が迅速に(例えば、数時間以内又は1時間以内に)生成され得、最小量の薬剤を消費し得、コストを低減させ得るという点で有利である。また、薬剤官能化マイクロゲル粒子上に存在する薬剤(複数可)の量が正確に制御され得る。複数の薬剤官能化マイクロゲル粒子を使用して、細胞増殖又は劣化、特定の化合物に対する細胞応答、細胞移動、分化、細胞-細胞間相互作用、及び細胞-細胞外マトリックス間相互作用を研究し得る。
【0059】
本開示は、第1の濃度のクエンチされていない活性化官能基で官能化されているポリマーを含む、マイクロゲルポリマーを提供する。ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、及びこれらのコポリマーであり得る。活性化官能基は、活性化エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、スルホン化NHSエステル基、フルオロフェニルエステル基、トシル酸エステル基、メシル酸エステル基、O-アシルイソ尿素エステル)、N-アシルベンゾトリアゾール基、無水物基、又は活性化カーボネート官能基(例えば、スクシンイミジルカーボネート)、並びにシッフ/イミン化学物質用のケトン/アルデヒド、又はクリック化学物質用のマレイミド/アクリレートから選択され得る。ポリマーは、約0.1~30モル%又は約1~30モル%、又は約5~30モル%の活性化官能基の第1の濃度を有し得る。一般に、マイクロゲルポリマーは、対象のモノマーを混合して、ポリマー及び活性化官能基を形成することによって作製され得、マイクロゲルポリマーを作製する時間は、約20~30分である。
【0060】
加えて、不活性化官能基(例えば、カルボン酸)で官能化されたマイクロゲルポリマーが調製され得、官能基は、例えば、1-エチル-3-(-3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリドを使用して、活性化エステル(例えば、O-アシルイソ尿素エステル又はNHSエステル)の形成を介して後で活性化され得る。
【0061】
本開示はまた、マイクロゲルポリマーから作製され得るマイクロゲル組成物も提供する。マイクロゲル組成物は、中性電荷を有する複数の薬剤官能化マイクロゲル粒子を含む。薬剤官能化マイクロゲル粒子は、活性化官能基(例えば、活性化エステル、N-アシルベンゾトリアゾール基、無水物基、又は活性化カーボネート官能基)で官能化されるポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、HEMA、ポリアクリル酸)から作製され得、活性化官能基は、クエンチされているか(例えば、活性化官能基が加水分解されないようにアミン化合物と反応した)又は活性化官能基を介して少なくとも1つのタイプの薬剤に結合している。薬剤官能化マイクロゲル粒子のポリマーは、約0.1~30モル%、又は約1~30モル%、又は約5~30モル%の活性化官能基(例えば、クエンチされたものに、薬剤に結合したものを加えたもの)の濃度を有し得る。
【0062】
一態様では、薬剤官能化マイクロゲル粒子は、約5~150μmの最長寸法(例えば、直径若しくは幅、長さ、又は高さ)、及び約1~1.5、1~1.2、又は約1のアスペクト比を有する。薬剤官能化マイクロゲル粒子は、ランダムな三次元形状(例えば、不規則な形状)を有し得る。薬剤官能化マイクロゲル粒子は、本明細書に記載される寸法を有するサブグループに分割され得る。例えば、最長寸法(例えば、直径若しくは幅、長さ、又は高さ)は、約5マイクロメートル~200マイクロメートル、約5マイクロメートル~150マイクロメートル、約5マイクロメートル~100マイクロメートル、約10マイクロメートル~200マイクロメートル、約10マイクロメートル~150マイクロメートル、約10マイクロメートル~100マイクロメートル、約10マイクロメートル、約100マイクロメートル、約150マイクロメートルの範囲であるサブグループを有し得、ここで、薬剤官能化マイクロゲル粒子のサブグループは、意図された使用、対象のセル、使用される薬剤などに基づいて選択され得る。
【0063】
一実施形態では、薬剤は、アミン基を含有する生体分子(例えば、一級アミン)であり得る。例えば、薬剤は、タンパク質であり得、特に、薬剤は、抗体、酵素、サイトカイン、成長因子、又は細胞外マトリックス成分であり得る。いくつかの実施形態では、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、1つのタイプの薬剤のみを含むことが望ましいが、他の実施形態では、薬剤官能化マイクロゲル粒子が、2つ以上のタイプの薬剤(例えば、2~10、又は2~5、又は2~3)、例えば、2つの異なるタイプの抗体、又は1つの抗体及び1つの酵素などを含むことが望ましい。一態様では、少なくとも1つの薬剤の約90%以上、又は約95%以上は、マイクロゲル粒子の表面上に存在する。薬剤官能化マイクロゲル粒子上の薬剤(複数可)の量は、薬剤官能化マイクロゲル粒子の製作中に、製作方法において使用される薬剤の量によって正確に制御され得る。このようにして、薬剤官能化マイクロゲル粒子は、既知の量の薬剤(複数可)で作製され得、薬剤をほとんど又はまったく無駄にすることなく、費用対効果の高い方式で作製され得る。これに関して、活性化官能基の約10%~100%、約25%~90%、約40%~80%は各々、薬剤に結合する。
【0064】
マイクロゲルポリマー及びマイクロゲル組成物を記載したので、マイクロゲル組成物の作製方法を以下に記載する。一般に、薬剤官能化マイクロゲル粒子を含むマイクロゲル組成物の作製方法は、マイクロゲル粒子の均一な分布を形成すること(本明細書及び以下により詳細に記載される)を含み得、マイクロゲル粒子は、活性化官能基を有するポリマーを含む。マイクロゲル粒子の均一な分布は、遠心分離プロセスを使用して分離されて、マイクロゲル粒子のセットを取得し得、マイクロゲル粒子のセットは、約5~150μmの最長寸法又は約、約1~1.5のアスペクト比及び1.2~1.3のアスペクト比、又はそれらのサブグループを有する。薬剤は、マイクロゲル粒子のセットの第1の量(例えば、ポリマーの約10%~100%、約25%~90%、約40%~80%)の活性化官能基に結合し得、第2の量(例えば、10%未満、約10%~75%、約20%~60%)の活性化官能基は、薬剤に結合しない。薬剤官能基の第2の量のセットは、その後、アミン(例えば、エタノールアミン)でクエンチされ得る。クエンチは、薬剤官能基の第2の量のセットに対して、過剰なモル量のアミンを混合することを含み得る。具体的には、クエンチは、薬剤を活性化官能基と反応させた直後に、約1.1~10、又は約1.1~3、又は約2当量のアミン(例えば、エタノールアミン、ヘキシルアミン、ブチルアミンなどの一級アミン)をマイクロゲル粒子と混合することを含み得る。一般に、このプロセス(例えば、分離、薬剤の結合、及びクエンチ)は、約60~120分かかる。
【0065】
ここで、プロセスを一般的に記載した後、追加の詳細が提供される。一態様では、薬剤官能化マイクロゲル粒子の組成物の作製方法は、機械的ふるいの第1の側面上に(例えば、本明細書に記載されるマイクロゲルポリマーから作製される)マイクロゲルブロックを配置することを含む。例えば、シリンジを使用して、機械的ふるい上にマイクロゲルブロックを配置し得る。機械的ふるいは、所望の寸法を有する粒子が形成されるように、選択的特性サイズのふるい(例えば、約5~150マイクロメートルメッシュ、約65~85マイクロメートルメッシュ、約74マイクロメートルメッシュ)を有する。機械的ふるいは、第1の側面の反対側面に第2の側面を有し、粒子が収集され得る。
【0066】
第1の荷重(例えば、均一に分布する垂直荷重)が、マイクロゲルブロックに対して加えられて、マイクロゲルブロックを、機械的ふるいを通して押し出して、機械的ふるいの第2の側面上にマイクロゲルブロックの第1の複数の断片を形成し得る。第1の荷重は、シリンジの押下によって提供されて、ふるいのメッシュを通ってマイクロゲルブロックを押し出し得る。マイクロゲルブロックの断片は、機械的ふるいの第2の側面に隣接して位置付けられた収集リザーバ内に受け入れられ得る。一般に、このプロセスは、同じ機械的ふるいを使用して、又は異なるメッシュサイズを有する1つ以上の他の機械的ふるいを使用して繰り返して、所望の寸法の粒子を生成し得る。例えば、マイクロゲルブロックの第1の複数の断片は、任意選択的に、機械的ふるい(例えば、同じふるい又は異なるメッシュサイズの別のふるい)の第1の側面上に配置され(例えば、位置付けられる、置かれるなど)、マイクロゲルブロックの第1の複数の断片に対して第2の荷重を(例えば、シリンジを使用して)加えることによって押し出されて、断片を、機械的ふるいを通して押し出して、マイクロゲルブロックの第2の複数の断片を形成し得る。マイクロゲルブロックの第2の複数の断片は、収集リザーバ内に受け入れられ得る。必要に応じて、このプロセスは、マイクロゲル粒子の均一な分布(平均及び標準偏差を有する)が形成されるまで繰り返され得る。プロセスの繰り返しが多いほど、正規分布は、平均粒径に近くなる。
【0067】
上記のように、マイクロゲル粒子の均一な分布は、遠心分離を使用して分離され得、次いで、薬剤(複数可)は、残りの活性化官能基がクエンチされている間、活性化官能基の一部分に結合し得る。このプロセス(例えば、配置工程(複数可)、荷重を加える工程(複数可)、分離、結合、クエンチ)は、完了するのに約60~120分かかるはずである。例えば、官能性活性化エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基)でのゲル重合のプロセスは、約20~30分かかり、ゲル粒子を作成するための機械的ふるい分けは、約5分かかり、特定の粒子サイズまでの分離は、約5分かかり、ゲル粒子とタンパク質薬剤との共役又は結合は、約30分かかり、エタノール-アミンでのクエンチは、約30分かかり、プロセス全体の総洗浄工程は、約20分かかる。
【0068】
薬剤官能化マイクロゲル粒子を含む生成されたマイクロゲル組成物は、中性電荷を有する。
【実施例
【0069】
ここで、本開示の実施形態を記載したが、一般に、実施例は、いくつかの追加の実施形態を記載する。本開示の実施形態は、実施例及び対応する本文及び図面に関連して記載されるが、本開示の実施形態をこれらの記載に限定する意図はない。それとは反対に、意図は、本開示の実施形態の趣旨及び範囲内に含まれる全ての代替物、修飾物、及び等価物を網羅することである。
【0070】
実施例1:
マイクロゲル粒子の機械的製作は、ランダム及び不規則な形状を有するマイクロゲル粒子の迅速な生成を可能にする。図1は、タンパク質、抗体、アミノ酸、生物製剤、又は任意のタンパク質ベースの材料でのマイクロゲルのコーティング方法が、一連の製作工程を伴うことを示す。
【0071】
1)例えば、NHS化学物質(N-ヒドロキシ-スクシンイミド)の架橋濃度を含有するヒドロゲル材料の重合。
【0072】
2)重合後、ヒドロゲルは、最終粒径分布が生成されるまで、一連の機械的メッシュを通過させることによって、又は同じ機械的メッシュ(図示せず)を通過させることによって粉砕される。概して、2マイクロメートル~1mmのふるいサイズを使用する。
【0073】
3)依然としてNHS化学物質又は同様の化学物質を含有するマイクロゲルの生成後、候補のタンパク質性材料の希釈混合物が水性混合物に添加され、穏やかに撹拌されて、表面への均一な付着を可能にする。材料のマイクロゲルへの浸透は、溶液中の濃度、コーティングの時間、及びマイクロゲルが作製されるヒドロゲル材料のメッシュサイズに依存する。表面が相互作用の最初の点であり、溶液が枯渇すると被覆が制限されるため、希釈溶液は、表面被覆をもたらす。
【0074】
4)残りのNHS化学物質は、例えば、ヒドロゲル内に拡散し、NHSと反応し、NHSがアクリル酸に加水分解するのを防止する高濃度の小分子(例えば、アミン)を使用してクエンチされる。
【0075】
5)コーティングされたマイクロゲルアンサンブルを生成し、マイクロゲル中の残りのNHSをクエンチした後、マイクロゲルアンサンブルは、細胞培養のために狭いサイズ範囲に分類される。
【0076】
図2A図1Eは、表面官能化及びタンパク質共役PAAmマイクロゲルを示す。図3は、マイクロゲル中の細胞移動を視覚化するためのタンパク質共役ポリアクリルアミドマイクロゲルを示す。図4は、タンパク質共役マイクロゲル粒子に結合する生アストロサイトの共焦点画像を示す。図に関する追加の詳細は、図のキャプションに提供される。
【0077】
比、濃度、量、及び他の数値データは、範囲形式で表され得る。このような範囲形式は、利便性及び簡潔性のために使用され、範囲の限界として明示的に列挙された数値だけでなく、各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例示するために、「約0.1%~約5%」の濃度範囲は、約0.1%~約5%の明示的に列挙された濃度だけでなく、個々の濃度(例えば、1%、2%、3%、及び4%)及び示された範囲内の部分範囲(例えば、0.5%、1.1%、2.2%、3.3%、及び4.4%)も含むと解釈されるべきである。一実施形態では、「約」という用語は、数値の有効数字による従来の四捨五入を含み得る。加えて、「約「x」~「y」」という句は、「約「x」~約「y」」を含む。
【0078】
別途定義されない限り、使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。記載されているものと類似又は同等の任意の方法及び材料もまた、本開示の実施又は試験に使用することができるが、ここで好ましい方法及び材料を本明細書に記載する。
【0079】
本開示の実施形態は、別段の指示がない限り、当該技術分野の範囲内である、材料を分離、試験、及び構築する技法を用いる。このような技法は、文献で十分に説明されている。
【0080】
上記の実施形態は、単に可能な実現形態の例であることを強調すべきである。本開示の原理から逸脱することなく、上記の実施形態に対して多くの変形及び修正が行われ得る。このような修正及び変形は全て、本開示の範囲内に本明細書において含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
図1
図2A-2E】
図3
図4
【国際調査報告】