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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ビーム走査システム
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/295 20060101AFI20241121BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G02F1/295
G01S7/481 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534324
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2022113323
(87)【国際公開番号】W WO2023115998
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111577494.6
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524007778
【氏名又は名称】無錫馭風智研科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Windsurf Technology (Wuxi) Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】▲ヂァン▼ 学哲
(72)【発明者】
【氏名】李 晨蕾
(72)【発明者】
【氏名】▲ウー▼ 昊
(72)【発明者】
【氏名】杜 寅超
【テーマコード(参考)】
2K102
5J084
【Fターム(参考)】
2K102AA17
2K102AA21
2K102BA01
2K102BA07
2K102BA10
2K102BA16
2K102BB02
2K102BB04
2K102BC04
2K102BC05
2K102BD09
2K102CA13
2K102CA20
2K102DA04
2K102DC08
2K102DD03
2K102DD05
2K102EB08
2K102EB10
5J084BA03
5J084BA43
5J084BA49
5J084BB34
(57)【要約】
本願は光走査技術分野に関するものであり、具体的にはビーム走査システムに関するものである。システムは、ビーム分岐装置と、光導波路アレイと、ビーム合成部と、ビーム調節装置と、位相調節装置とを含む。ビーム分岐装置はレーザービームを受け取り、レーザービームをいくつかのサブビームに分岐させた後に出力する。光導波路アレイは、いくつかのサブビームを受け取って、いくつかのサブビームを予め設けられた導波路出射端へ伝送するために用いられる。ビーム合成部は光導波路アレイに接続され、導波路出射端が出力した各サブビームはビーム合成部内で回折及び重畳を行って予め設けられたビーム出射面に結合集束させる。ビーム調節装置は、ビーム出射面が出力したビームにビーム拡大コリメートを行って、走査ビームを形成するために用いられる。位相調節装置は、光導波路アレイ中の各サブビーム導波路間の相対位相分布を調節することで、合成後のビームの前記ビーム出射面上の焦点位置を調節し、第1方向におけるビーム走査を行うために用いられる。これにより、導波路型フェーズドアレイにおける大きな結合干渉の問題を解決する。
【代表図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザービームを受け取り、前記レーザービームをいくつかのサブビームに分岐させた後に出力する、ビーム分岐装置と、
前記ビーム分岐装置の出力方向に設けられ、いくつかの前記サブビームを受け取って、いくつかの前記サブビームを予め設けられた導波路出射端へ伝送するために用いられる光導波路アレイであって、前記光導波路アレイは集束伝送領域を含み、各前記サブビームは前記集束伝送領域を経て前記導波路出射端へ集束される、光導波路アレイと、
前記光導波路アレイに接続されたビーム合成部であって、前記導波路出射端が出力する各サブビームはビーム合成部内でファーフィールド回折及び重畳を行い、予め設けられたビーム出射面に結合集束させる、ビーム合成部と、
前記ビーム出射面の出射方向に設けられ、前記ビーム出射面が出力するビームにビーム拡大コリメートを行って、走査ビームを形成する、ビーム調節装置と、
前記光導波路アレイに接続され、前記光導波路アレイ中の各サブビーム導波路間の相対位相分布を調節することで、合成後のビームの前記ビーム出射面上の焦点位置を調節し、第1方向におけるビーム走査を行う、位相調節装置と
を含む
ことを特徴とする、
ビーム走査システム。
【請求項2】
予め設けられた前記導波路出射端は半径が2Rのローランド円の円周に設けられ、
予め設けられた前記ビーム出射面は前記ローランド円内部に位置し、且つ前記導波路出射端までの距離は2Rであり、Rは正の数である
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項3】
前記導波路出射端での各前記サブビーム導波路の間隔は、前記レーザービームの波長よりも小さい
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項4】
前記ビーム分岐装置はスターカプラ又はカスケードされた1×n導波路スプリッタを含み、nは2以上の自然数である
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項5】
前記ビーム調節装置はコリメートレンズ組立体を含む
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項6】
前記位相調節装置は位相変調器を含む
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項7】
前記位相変調器は、シリコン導波路中の光信号を前記シリコン導波路上の電気光学媒体層導波路へ結合させることにより、媒体の電気光学効果を利用して導波路位相調節を行う、
又は、
前記位相変調器は、pin接合電流をシリコン導波路に注入することで導波路位相調節を行う、
又は、
前記位相変調器は、前記シリコン導波路上方に配置された金属ヒータによって、シリコンの熱光学効果を利用して導波路位相調節を行う
ことを特徴とする、
請求項6に記載のビーム走査システム。
【請求項8】
前記誘電体層導波路はニオブ酸リチウム導波路を含む
ことを特徴とする、
請求項7に記載のビーム走査システム。
【請求項9】
前記ビーム走査システムは、
前記ビーム分岐装置への異なる波長の前記レーザービームを切り替えるために用いられる、レーザー切替装置
を更に含み、
前記レーザー切替装置は、異なる波長の前記レーザービームによって合成後のビームの前記ビーム出射面上の焦点位置を調節することで、前記第1方向上のビーム走査角度を調節する
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項10】
前記ビーム走査システムは、
前記ビーム調節装置に接続され、第2方向に沿って前記ビーム調節装置を移動させることで第2方向上のビーム走査を行うために用いられる、移動プラットフォーム
を更に含む
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光走査技術に関するものであり、特にビーム走査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビーム制御は、LiDARや自由空間光通信といった分野における重要技術であり、ホログラフィック表示や生体撮像等の分野にも応用できる可能性がある。
【0003】
現在、ビーム制御は光フェーズドアレイ(OPA)を介した方法で実現されることが多く、例えば、入力レーザーがスターカプラを介してN個のアレイ導波路に等分され、各アレイ導波路にはいずれも制御可能な位相シフトアレイが統合され、各位相制御されたアレイ導波路はいずれも二次線形導波路型回折格子に接続されることで、線形導波路型回折格子を表面垂直放射出力装置とし、複数の線形導波路型回折格子エミッタを等間隔に配列して一次元光アンテナアレイを形成する。アレイ導波路間の相対位相を調整することにより、回折格子エミッタを構成するアレイが放射するサブビームが空間内でコヒーレント重畳され、光ビームのアレイ方向における走査制御を実現する。
【0004】
しかし、エミッタとされた導波路型回折格子は、波束合成機能と平面導波路の表面垂直出力機能とを同時に兼ね備え、グレーティングサイドローブのない波束合成は導波路型回析格子間隔サブ波長放射を必要とし、また発散角の小さなビームを出力するためには導波路型回折格子は大きなサイズの弱回折格子構造であることを必要とし、狭い間隔と長い導波路並列放射とを満たすためには導波路型回折格子間の大きな結合干渉をもたらしてしまうことが避けられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[技術的課題]
これに基づき、上記問題に対してビーム走査システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[技術的解決手段]
ビーム走査システムであって、前記ビーム走査システムは下記を含む:
【0007】
レーザービームを受け取り、前記レーザービームをいくつかのサブビームに分岐させた後に出力する、ビーム分岐装置と、
【0008】
前記ビーム分岐装置の出力方向に設けられ、いくつかの前記サブビームを受け取って、いくつかの前記サブビームを予め設けられた導波路出射端へ伝送するために用いられる、光導波路アレイと、
【0009】
前記光導波路アレイに接続するビーム合成部であって、前記導波路出射端が出力する各サブビームはビーム合成部内で回折及び重畳を行い、予め設けられたビーム出射面に結合集束させる、ビーム合成部と、
【0010】
前記ビーム出射面の出射方向に設けられ、前記ビーム出射面が出力するビームにビーム拡大コリメートを行って走査ビームを形成する、ビーム調節装置と、
【0011】
前記光導波路アレイに接続され、前記光導波路アレイ中の各サブビーム導波路間の相対位相分布を調節することで、合成後のビームの前記ビーム出射面上の焦点位置を調節し、第1方向における光ビーム走査を行う、位相調節装置。
【0012】
1つの実施形態において、予め設けられた前記導波路出射端は半径が2Rのローランド円の円周に設けられる。予め設けられた前記ビーム出射面は前記ローランド円内部に位置し、且つ前記導波路出射端までの距離は2Rであり、Rは正の数である。
【0013】
1つの実施形態において、前記導波路出射端での各前記サブビーム導波路の間隔は、前記レーザービームの波長よりも小さい。
【0014】
1つの実施形態において、前記ビーム分岐装置はスターカプラ又はカスケードされた1×n導波路スプリッタを含み、nは2以上の自然数である。
【0015】
1つの実施形態において、前記ビーム調節装置はコリメートレンズ組立体を含む。
【0016】
1つの実施形態において、前記位相調節装置は位相変調器を含む。
【0017】
1つの実施形態において、前記位相変調器はシリコン導波路中の光信号を前記シリコン導波路上の電気光学誘電体層導波路へ結合させることにより、媒体の電気光学効果を利用して導波路位相調節を行う、又は、前記位相変調器はpin接合電流をシリコン導波路に注入することで導波路位相調節を行う、又は、前記位相変調器は前記シリコン導波路上方に配置された金属ヒータによって、シリコンの熱光学効果を利用して導波路位相調節を行う。
【0018】
1つの実施形態において、前記誘電体層導波路はニオブ酸リチウム導波路を含む。
【0019】
1つの実施形態において、前記ビーム走査システムは下記を更に含む:
【0020】
前記ビーム分岐装置への異なる波長の前記レーザービームを切り替えるために用いられる、レーザー切替装置、
【0021】
前記レーザー切替装置は、異なる波長の前記レーザービームによって合成後のビームの前記ビーム出射面上の焦点位置を調節することで、前記第1方向上のビーム走査角度を調節する。
【0022】
1つの実施形態において、前記ビーム走査システムは下記を更に含む:
【0023】
前記ビーム調節装置に接続され、第2方向に沿って前記ビーム調節装置を移動させることで、第2方向上のビーム走査を行うために用いられる、移動プラットフォーム。
【発明の効果】
【0024】
[有益な効果]
上述したビーム走査システムは、ビーム分岐装置によってレーザービームをいくつかのサブビームに分岐させ、光導波路アレイがいくつかのサブビームを受け取って予め設けられた導波路出射端へ伝送し、導波路出射端が出力した各サブビームはビーム合成部内で回折及び重畳を行い、予め設けられたビーム出射面に結合集束させる。ビーム出射面が出力したビームは、ビーム調節装置によってビーム拡大コリメートを行った後に出力されて、走査ビームを形成する。同時に、位相調節装置によって光導波路アレイ中の各サブビーム導波路間の相対位相分布を調節し、これにより合成後のビームのビーム出射面上の焦点位置を調節することができ、これにより走査ビームの走査角度を調節し、第1方向上のビーム走査を行う。本実施形態は従来技術における導波路型回折格子を介してビームを合成して出力する手法を改変し、各サブビームは導波路アレイを経て予め設けられた導波路出射端へ伝送され、各サブビームはビーム合成部内で回折及び重畳を行って予め設けられたビーム出射面に結合集束させる。導波路アレイ中の相対位相分布を調節すれば、ビーム出射面上のビーム焦点位置を調節することができ、これによりビーム走査を実現する。従来の導波路型回折格子アレイ出力構造を採用しないことから、従来技術における狭い間隔と長い導波路とを同時に満たす必要があることがもたらす大きな結合干渉の問題を回避し、且つ上述した構造によりビーム走査を実現することによって難易度とコストを低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
[添付図面の説明]
図1】従来技術におけるビーム制御構造図である。
【0026】
図2】本発明の1つの実施形態によるビーム走査システムの構造ブロック図である。
【0027】
図3】本発明の1つの実施形態によるビーム走査システムの上面図である。
【0028】
図4】本発明の1つの実施形態によるビーム走査システムの構造ブロック図である。
【0029】
図5】本発明の1つの実施形態によるビーム走査システムの上面図である。
【0030】
図6】本発明の1つの実施形態によるビーム走査システムの正面図である。
【0031】
符号の説明:
【0032】
100:レーザービーム、 200:ビーム分岐装置、 300:光導波路アレイ、 310:サブビーム導波路、 320:導波路出射端、 330:拡散伝送領域、 340、位相調節領域、 350:集束伝送領域、 400:ビーム合成部、 410:ビーム出射面、 500:ビーム調節装置、 600:位相調節装置、 700:入力導波路、 800:レーザー切替装置
【発明を実施するための形態】
【0033】
[本発明の実施方式]
本発明の理解を容易にするため、以下に、関連する添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。添付図面には、本発明の好ましい実施形態を示している。ただし、本発明は多くの異なる形態で実施することができ、本明細書が記述する実施形態に限定されない。これら実施形態を提供する目的は、本発明の開示内容のより徹底的且つ包括的な理解のためである。提供されるものである。
【0034】
本発明において、明記及び限定しない限り、用語「取り付ける」、「連接する」、「接続する」、「固定する」等は広義に理解されるべきである。例えば、固定接続であってよく、取外し可能な接続、又は統合された接続であってもよい。機械的接続であってよく、電気的接続であってもよい。直接的な接続であってよく、中間媒介物を介し間接的な接続であってもよい。明記しない限り、2つの部材内部の接続であるか2つの部材の相互作用の関係であってよい。当業者であれば、具体的な状況に基づいて上記用語の本発明における具体的な含意を理解できるであろう。
【0035】
用語「第1」、第2」は説明目的でのみ使用されており、相対的な重要性を示したり暗示するもの、或いは示された技術的特徴の量を暗示するものとして理解されるべきではない。このため、「第1」、「第2」と限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗黙的に含んでよい。本発明の説明において、明確に具体的に限定しない限り、「複数」の含意は、例えば2つ、3つ等の少なくとも2つである。
【0036】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解される含意と同一である。文中における本発明の明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、列記された関連する項目の1つ又は複数のあらゆる組合せを含む。
【0037】
背景技術で述べたように、ビーム制御は既にLiDAR、自由空間光通信等の分野の重要技術となっており、且つホログラフィック表示、生体撮像等の分野にも応用できる可能性がある。そのうち、ビーム制御は機械によって実現されてよく、光フェーズドアレイ(OPA)を採用して実現されてもよい。光フェーズドアレイの手法では、サイズ、重量、速度の全ての点で機械的手法では得られない利点があり、且つシリコンフォトニクス技術といった適切なフォトニック集積チップを採用し、光フェーズドアレイを他の関連光電デバイスおよび回路とモノシリックに集積したチップレベルLiDARを実現することが期待されている。
【0038】
図1は、現在のフォトニック集積チップに基づくOPAビーム制御の一般的に採用されるソリューションを図示している。具体的には、入力レーザーはスターカプラ等を介してN個のアレイ導波路へ等分され、各アレイ導波路には制御可能な位相シフトアレイが統合され、各位相が制御されたアレイ導波路はいずれも二次線形導波路型回折格子に接続されることで、線形導波路型回折格子を表面垂直放射出力装置とし、複数の線形導波路型回折格子エミッタを等間隔に配列して一次元光アンテナアレイを形成する。アレイ導波路間の相対位相を調整することにより、回折格子エミッタを構成するアレイが放射するサブビームが空間内でコヒーレント重畳され、ビームのアレイ方向における走査制御を実現する。
【0039】
位相制御された均一放射回折格子のサイドローブを効果的に抑制するため、回折格子間隔dはd<λ/2を満たす必要があり、λはレーザー波長である。当然ながら、条件によっては、該制限条件は適度に緩和されてよく、即ち、d<λを満たせばよい。無線周波数フィールドにおいては、波長が比較的長いことから緩和後の制限条件を満たすのは比較的容易であるが、光フェーズドアレイは通常、ミクロンレベルの波長、例えば1.5μmで動作し、上述した回折格子間隔の要件を実現することは難しい。同時に、出射ビームの発散角を可能な限り小さくするため、通常は弱導波路型回折格子を採用し、比較的長い距離において導波路中のライトフィールド面を垂直に出射する。導波路距離が比較的近い場合は相互間の結合干渉が存在する可能性があり、距離が近いほどクロストークは大きくなり、また導波路が長いほどクロストークは大きくなり、且つ導波路アレイ中のクロストークは光フェーズドアレイの性能に大きく影響し、同時に同一アパーチャにおいてアレイ間隔は狭くなり、通常はより多くのアレイユニットが必要となり、アレイ位相制御の難易度の増大を意味する。
【0040】
回折格子エミッタ間の結合クロストークを避け、同時にフェーズドアレイのユニット数を可能な限り減少させるため、通常は波長の複数倍のアレイ間隔が用いられ、回折格子エミッタアレイのユニット間隔を任意に分配することによって回折格子サイドローブを有効に排除するが、この手法は一般的に回折格子サイドローブ中のエネルギーをメインローブに集中させるのではなく空間に分散させ、このためビーム効率が低下する。
【0041】
本願は、上述した矛盾に対し、ビーム走査システムを提供するものである。
【0042】
1つの実施形態において、ビーム走査システムを提供する。図2図3を参照し、本実施形態のビーム走査システムは、ビーム分岐装置200と、光導波路アレイ300と、ビーム合成部400と、ビーム調節装置500と、位相調節装置600とを含む。そのうち:
【0043】
ビーム分岐装置200はレーザービーム100を受け取り、レーザービーム100をいくつかのサブビームに分岐させた後に出力する。光導波路アレイ300はビーム分岐装置200の出力方向に設けられ、いくつかのサブビームを受け取って、いくつかのサブビームを予め設けられた導波路出射端320へ伝送するために用いられる。ビーム合成部400は光導波路アレイ300に接続し、導波路出射端320が出力する各サブビームにビーム合成部400内で回折及び重畳を行って予め設けられたビーム出射面410に結合集束させる。ビーム調節装置500はビーム出射面410の出射方向に設けられ、ビーム出射面410が出力するビームにビーム拡大コリメートを行って、走査ビームを形成する。位相調節装置600は光導波路アレイ300に接続され、光導波路アレイ300中の各サブビーム導波路310間の相対位相分布を調節することで、合成後のビームのビーム出射面410上の焦点位置を調節し、第1方向におけるビーム走査を行う。
【0044】
具体的には、先ずレーザービーム100を入力導波路700へ結合させて、ビーム分岐装置200を介してレーザービーム100をいくつかのサブビームに分岐させる。そのうち、ビーム分岐装置200はスターカプラ又はカスケードされた1×n導波路スプリッタを用いてよく、nは2以上の自然数である。
【0045】
光導波路アレイ300は、並列に設けられたいくつかのサブビーム導波路310を含み、各サブビーム導波路310は各サブビームを予め設けられた導波路出射端320へ伝送する。そのうち、光導波路アレイ300は、順に連接する拡散伝送領域330と、位相調節領域340と、集束伝送領域350とを有し、各サブビーム導波路310は先ず拡散伝送領域330においてビーム分岐装置200が出力した各サブビームを拡散して伝送し、そして位相調節領域340に進入し、最後に各サブビーム導波路310は各サブビームを集束伝送領域350に進入させるよう伝送し、各サブビームは予め設けられた導波路出射端320へ集束される。
【0046】
各サブビームが導波路出射端320に到達した後、導波路出射端320を介して自由伝送領域、即ち、ビーム合成部400へ出力されてよく、各サブビームにビーム合成部400内でファーフィールド回折及び重畳を行い、予め設けられたビーム出射面410へ結合集束させる。ビーム出射面410はビームの出力端であり、ビーム出射面410によって出力されたビームは、ビーム調節装置500を通じてビーム拡大コリメートが行われた後に、最終的な走査ビームを形成する。
【0047】
上述したビーム伝播の過程において、位相調節装置600によって各サブビーム導波路310間の相対位相分布を調節してよく、これによりビーム合成部400で合成した後のビームのビーム出射面410上の焦点位置を調節することができる。合成したビームのビーム出射面410上の焦点位置に変化が生じた後、最終的な走査ビームの第1方向における走査角度にも変化が生じ、これにより第1方向におけるビーム走査を実現する。そのうち、第1方向は水平方向であってよく、他の方向であってもよく、本実施形態では水平方向(図3の破線矢印が指す向き)のみを説明する。図3はビーム走査システムの上面図である。
【0048】
本実施形態において、ビーム分岐装置200、光導波路アレイ300、ビーム合成部400、位相調節装置600は同一SOI(シリコン・オン・インシュレータ)チップ上に統合されてよく、ビーム調節装置500は、例えばコリメートレンズ組立体を選択して用いるといった、機械構造を用いて実現されてよい。
【0049】
上述したビーム走査システムは、ビーム分岐装置200によってレーザービーム100をいくつかのサブビームに分岐させ、光導波路アレイ300がいくつかのサブビームを受け取って予め設けられた導波路出射端320へ伝送し、導波路出射端320が出力した各サブビームにビーム合成部400内でファーフィールド回折及び重畳を行って予め設けられたビーム出射面410へ結合集束させる。ビーム出射面410が出力したビームは、ビーム調節装置500によってビーム拡大コリメートが行われた後に出力されて、走査ビームを形成する。同時に、位相調節装置600によって光導波路アレイ300中の各サブビーム導波路310間の相対位相分布を調節し、これにより合成後のビームのビーム出射面410上の焦点位置を調節することができ、これにより走査ビームの走査角度を調節し、第1方向におけるビーム走査を行う。本実施形態は従来技術における導波路回折格子を介してビームを合成し出力する手法を改変し、各サブビームは導波路アレイ300を経て予め設けられた導波路出射端320へ伝送され、各サブビームにビーム合成部400においてファーフィールド回折及び重畳を行って予め設けられたビーム出射面410に結合集束させる。導波路アレイ中の相対位相分布を調節すれば、ビーム出射面410上のビーム焦点位置を調節することができ、これによりビーム走査を実現する。従来の導波路回折格子アレイ出力構造を採用しないことから、従来技術における狭い間隔と長い導波路とを同時に満たす必要があることがもたらす大きな結合干渉の問題を回避し、且つ上述した構造によりビーム走査を実現することによって、サブビームを導波路出射端320へ集束させれば各サブビームは自由伝送領域に進入して合成が行われ、その後にビーム出射面410へフォーカスされ、ビームを出力して走査を行う。従来の構造中の回折格子面垂直エミッタアレイを採用する必要はなく、難易度とコストを低下させる。
【0050】
1つの実施形態において、予め設けられた導波路出射端320は半径が2Rのローランド円の円周に設けられる。予め設けられた前記ビーム出射面410はローランド円内部に位置し、且つ導波路出射端320までの距離は2Rであり、Rは正の数である。
【0051】
光導波路アレイ300の導波路出射端320は半径が2Rのローランド円の円周に設けられ、これにより光導波路アレイ300の自由空間における回析重畳は回折格子の回折にレンズフォーカスを加えた効果に相当する。選択した回折次数の出射スポットが半径Rの円周上に表示される、即ち、合成後のビーム焦点は半径Rの円周面上にあり、同時に、該半径がRの円周面と導波路出射端320との間の距離は2Rである。従来のAWG波長分割マルチプレクサは複数の導波路を配置して異なる波長の出力を受け取ることができるが、本実施形態においてはSOIチップ上に直接出力端面、即ち、ビーム出射面410をエッチングし、光導波路アレイ300中の位相分布を改変することによって固定波長のビームがビーム出射面410の異なる位置に出力されるよう制御し、これによりビーム出射面410に垂直に、異なる角度の走査ビームを出力するものであり、比較的単純な手法を実現する。また、従来技術では一般的に、導波路回折格子が波長調整によって表面垂直出力角の変化を引き起こすことによって第1方向と直交するビーム走査を実現しており、調整可能なレーザー装置を採用する必要があるが、調整可能なレーザー装置は往々にして高価である。本願の手法は調整可能なレーザー装置を採用する必要のないビーム走査を実現し、コストを低下させることができる。
【0052】
1つの実施形態において、導波路出射端320での各サブビーム導波路310の間隔はレーザービーム100の波長よりも小さく、これにより光導波路アレイ300の複数ビームを合成することによる回折格子サイドローブを効果的に抑制し、高効率なビーム制御を実現することができる。また、本実施形態において、光導波路アレイ300は徐々に接近する設計を採用し、光導波路アレイ300中の各サブビーム導波路310はビーム合成部400に進入する前に小さな領域(集束伝送領域350)内で接近して放出され、このため各サブビーム導波路310間の結合クロストークは無視することができる。
【0053】
1つの実施形態において、ビーム調節装置500はコリメートレンズ組立体を含む。本実施形態において、コリメートレンズ組立体をビーム出射面410の出射方向に配置してよく、ビームはビーム出射面410を経て垂直に出力された後、コリメートレンズ組立体のビーム拡大コリメートを経た後に、走査ビームを形成する。合成ビームがビーム出射面410の異なる位置にあるとき、コリメートレンズ組立体の処理を経た後に異なるビーム角度を有することができ、ビームの水平方向における一次元走査を実現することができる。コリメートレンズ組立体をビーム調節装置500とすることで、ビーム調節装置500のハードウェアコストを下げることができ、且つ実施に利する。
【0054】
1つの実施形態において、位相調節装置600は位相変調器を含む。位相変調器は光の位相を特定の規則に従って変化させる光変調器であり、本実施形態において、位相変調器を単独で設けてもよく、位相変調器を導波路アレイ中に統合してもよい。
【0055】
具体的には、位相変調器はシリコン導波路中の光信号をシリコン導波路上の電気光学媒体層導波路へ結合させることにより、媒体の電気光学効果を利用して導波路位相調節を行う、又は、位相変調器はpin接合電流をシリコン導波路に注入することで導波路位相調節を行う、又は、位相変調器はシリコン導波路上方に配置された金属ヒータによって、シリコンの熱光学効果を利用して導波路位相調節を行う。
【0056】
1つの実施形態において、ビーム合成部400はSOIチップに位置するシリコン導波路であってよい、即ち、導波路出射端320が出力した各サブビームはシリコン導波路において結合集束される。或いは、ビーム合成部400はシリコン導波路上に位置する電気光学媒体層導波路であってもよい、即ち、シリコン導波路中の光信号は上方の電気光学媒体層導波路へ結合され、これにより電気光学媒体層導波路において結合集束を行う。
【0057】
1つの実施形態において、電気光学媒体層導波路はニオブ酸リチウム導波路を含む。
【0058】
1つの実施形態において、図4を参照し、本実施形態の提供するビーム走査システムはレーザー切替装置800を更に含み、レーザー切替装置800はビーム分岐装置200への異なる波長のレーザービーム100を切り替えるために用いられる。
【0059】
本実施形態において、レーザー切替装置800は、異なる波長のレーザービーム100を切り替えることによって合成後のビームのビーム出射面410上の焦点位置を調節することで、第1方向におけるビーム走査角度を調節する。位相調節によってビームのビーム出射面410上の焦点位置を改変する以外に、本実施形態は異なる波長のレーザー及びレーザー切替装置800を更に配置し、レーザー切替装置800によって入力レーザーの波長変化を実現し、ビームのビーム出射面410上の焦点位置の変化も実現することができる。
【0060】
実際の応用において、波長が固定に維持される状況において、位相分布を調整して位相分布を固定に維持する場合、異なる波長のレーザービーム100を切り替えて、波長変換と位相調整を組み合わせることによって、ビームのビーム出射面410における更に大きな範囲の集束を実現することができ、これによりビーム調節装置500のビーム拡大コリメートを経た後の更に大きな範囲のビーム走査範囲を得られる。
【0061】
そのうち、図5を参照し、レーザー切替装置800は光スイッチを用いてよい。光スイッチの入力端は異なる波長のレーザービーム100に接続し、出力端は入力導波路700に接続し、入力導波路700を経て切り替えられた後のレーザーはビーム分岐装置200へ伝送される。位相調整と光スイッチ切替速度はGHzに達することができることから、たとえ数千のサンプリングポイントの第1方向におけるビーム走査であってもマイクロ秒レベルで完了することができる。
【0062】
第1方向のビーム走査を実現する以外に、本実施形態のビーム走査システムは第2方向のビーム走査を更に実現することができる。1つの実施形態において、本実施形態の提供するビーム走査システムは移動プラットフォームを更に含む。移動プラットフォームは、ビーム調節装置500に接続され、第2方向に沿ってビーム調節装置500を移動させることで第2方向上のビーム走査を行うために用いられる。第2方向は垂直方向であってよく、他の方向であってもよい。本実施形態では垂直方法のみを説明する。
【0063】
図6は、ビーム走査システムの正面図である。図6を参照し、実際の応用において、移動プラットフォームによって垂直方向(図中の双方向矢印が指す向き)に沿ってビーム調節装置500を移動させることができ、これにより垂直方向においてビーム出射面410が出力したビームがビーム調節装置500に当たる位置を改変させる。該位置の変化は最終的に出力される走査ビームの垂直方向における角度変化をもたらし、これにより垂直方向のビーム走査を実現する。水平方向における高速走査に基づいて、垂直方向の走査は、>30Hzの走査周波数であれば>30フレーム/sの二次元ビーム走査を実現することができる。
【0064】
本実施形態において、移動プラットフォームは駆動装置を含んでよく、駆動装置はビーム調節装置500に接続され、駆動装置を介してビーム調節装置500が第2方向に沿って移動するよう駆動できればよい。駆動装置は、設備コストが比較的低く、且つ実施に基づいたリニアモータやDCモータ等の駆動機器を用いてよい。
【0065】
上述した実施形態の技術的特徴は任意に組み合わされてよく、説明を簡略化するため、上記実施形態の各技術的特徴の全ての可能な組合せについては説明しないが、これら技術的特徴の組合せに矛盾がない限り、本明細書に記載の範囲であると見なされるべきである。
【0066】
上述した実施形態は本発明のいくつかの実施形態を表現しているにすぎず、それらの説明は比較的具体的且つ詳細であるが、本発明の特許範囲を限定するものと理解すべきではない。当業者であれば、本発明の概念から逸脱することなく、更にいくつかの変形及び改変を行うことができ、これらは全て本発明の保護範囲に属することに留意されたい。このため、本発明の特許の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光走査技術に関するものであり、特にビーム走査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビーム制御は、LiDARや自由空間光通信といった分野における重要技術であり、ホログラフィック表示や生体撮像等の分野にも応用できる可能性がある。
【0003】
現在、ビーム制御は光フェーズドアレイ(OPA)を介した方法で実現されることが多く、例えば、入力レーザーがスターカプラを介してN個のアレイ導波路に等分され、各アレイ導波路にはいずれも制御可能な位相シフトアレイが統合され、各位相制御されたアレイ導波路はいずれも二次線形導波路型回折格子に接続されることで、線形導波路型回折格子を表面垂直放射出力装置とし、複数の線形導波路型回折格子エミッタを等間隔に配列して一次元光アンテナアレイを形成する。アレイ導波路間の相対位相を調整することにより、回折格子エミッタを構成するアレイが放射するサブビームが空間内でコヒーレント重畳され、光ビームのアレイ方向における走査制御を実現する。
【0004】
しかし、エミッタとされた導波路型回折格子は、波束合成機能と平面導波路の表面垂直出力機能とを同時に兼ね備え、グレーティングサイドローブのない波束合成は導波路型回析格子間隔サブ波長放射を必要とし、また発散角の小さなビームを出力するためには導波路型回折格子は大きなサイズの弱回折格子構造であることを必要とし、狭い間隔と長い導波路並列放射とを満たすためには導波路型回折格子間の大きな結合干渉をもたらしてしまうことが避けられない。
【発明の概要】
【0005】
[技術的課題]
これに基づき、上記問題に対してビーム走査システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[技術的解決手段]
ビーム走査システムであって、前記ビーム走査システムは下記を含む:
【0007】
レーザービームを受け取り、前記レーザービームを複数のサブビームに分岐させた後に出力する、ビーム分岐装置と、
【0008】
前記ビーム分岐装置の出力方向に設けられ、複数の前記サブビームを受け取って、複数の前記サブビームを予め設けられた導波路出射端へ伝送するために用いられる、光導波路アレイであって、前記光導波路アレイは集束伝送領域を含み、各前記サブビームは前記集束伝送領域を経て前記導波路出射端へ集束される、光導波路アレイと、
【0009】
前記光導波路アレイに接続するビーム合成部であって、前記導波路出射端が出力する各サブビームはビーム合成部内で回折及び重畳を行い、予め設けられたビーム出射面に結合集束させる、ビーム合成部と、
【0010】
前記ビーム出射面の出射方向に設けられ、前記ビーム出射面が出力するビームにビーム拡大コリメートを行って走査ビームを形成する、ビーム調節装置と、
【0011】
前記光導波路アレイに接続され、前記光導波路アレイ中の各サブビーム導波路間の相対位相分布を調節することで、合成後のビームの前記ビーム出射面上の焦点位置を調節し、第1方向における光ビーム走査を行う、位相調節装置。
【0012】
1つの実施形態において、予め設けられた前記導波路出射端は半径が2Rのローランド円の円周に設けられる。予め設けられた前記ビーム出射面は前記ローランド円内部に位置し、且つ前記導波路出射端までの距離は2Rであり、Rは正の数である。
【0013】
1つの実施形態において、前記導波路出射端での各前記サブビーム導波路の間隔は、前記レーザービームの波長よりも小さい。
【0014】
1つの実施形態において、前記ビーム分岐装置はスターカプラ又はカスケードされた1×n導波路スプリッタを含み、nは2以上の自然数である。
【0015】
1つの実施形態において、前記ビーム調節装置はコリメートレンズ組立体を含む。
【0016】
1つの実施形態において、前記位相調節装置は位相変調器を含む。
【0017】
1つの実施形態において、前記位相変調器はシリコン導波路中の光信号を前記シリコン導波路上の電気光学誘電体層導波路へ結合させることにより、媒体の電気光学効果を利用して導波路位相調節を行う、又は、前記位相変調器はpin接合電流をシリコン導波路に注入することで導波路位相調節を行う、又は、前記位相変調器は前記シリコン導波路上方に配置された金属ヒータによって、シリコンの熱光学効果を利用して導波路位相調節を行う。
【0018】
1つの実施形態において、前記誘電体層導波路はニオブ酸リチウム導波路を含む。
【0019】
1つの実施形態において、前記ビーム走査システムは下記を更に含む:
【0020】
前記ビーム分岐装置への異なる波長の前記レーザービームを切り替えるために用いられる、レーザー切替装置、
【0021】
前記レーザー切替装置は、異なる波長の前記レーザービームによって合成後のビームの前記ビーム出射面上の焦点位置を調節することで、前記第1方向上のビーム走査角度を調節する。
【0022】
1つの実施形態において、前記ビーム走査システムは下記を更に含む:
【0023】
前記ビーム調節装置に接続され、第2方向に沿って前記ビーム調節装置を移動させることで、第2方向上のビーム走査を行うために用いられる、移動プラットフォーム。
【発明の効果】
【0024】
[有益な効果]
上述したビーム走査システムは、ビーム分岐装置によってレーザービームを複数のサブビームに分岐させ、光導波路アレイが複数のサブビームを受け取って予め設けられた導波路出射端へ伝送し、導波路出射端が出力した各サブビームはビーム合成部内で回折及び重畳を行い、予め設けられたビーム出射面に結合集束させる。ビーム出射面が出力したビームは、ビーム調節装置によってビーム拡大コリメートを行った後に出力されて、走査ビームを形成する。同時に、位相調節装置によって光導波路アレイ中の各サブビーム導波路間の相対位相分布を調節し、これにより合成後のビームのビーム出射面上の焦点位置を調節することができ、これにより走査ビームの走査角度を調節し、第1方向上のビーム走査を行う。本実施形態は従来技術における導波路型回折格子を介してビームを合成して出力する手法を改変し、各サブビームは導波路アレイを経て予め設けられた導波路出射端へ伝送され、各サブビームはビーム合成部内で回折及び重畳を行って予め設けられたビーム出射面に結合集束させる。導波路アレイ中の相対位相分布を調節すれば、ビーム出射面上のビーム焦点位置を調節することができ、これによりビーム走査を実現する。従来の導波路型回折格子アレイ出力構造を採用しないことから、従来技術における狭い間隔と長い導波路とを同時に満たす必要があることがもたらす大きな結合干渉の問題を回避し、且つ上述した構造によりビーム走査を実現することによって難易度とコストを低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
[添付図面の説明]
図1】従来技術におけるビーム制御構造図である。
【0026】
図2】本発明の1つの実施形態によるビーム走査システムの構造ブロック図である。
【0027】
図3】本発明の1つの実施形態によるビーム走査システムの上面図である。
【0028】
図4】本発明の1つの実施形態によるビーム走査システムの構造ブロック図である。
【0029】
図5】本発明の1つの実施形態によるビーム走査システムの上面図である。
【0030】
図6】本発明の1つの実施形態によるビーム走査システムの正面図である。
【0031】
符号の説明:
【0032】
100:レーザービーム、 200:ビーム分岐装置、 300:光導波路アレイ、 310:サブビーム導波路、 320:導波路出射端、 330:拡散伝送領域、 340、位相調節領域、 350:集束伝送領域、 400:ビーム合成部、 410:ビーム出射面、 500:ビーム調節装置、 600:位相調節装置、 700:入力導波路、 800:レーザー切替装置
【発明を実施するための形態】
【0033】
[本発明の実施方式]
本発明の理解を容易にするため、以下に、関連する添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。添付図面には、本発明の好ましい実施形態を示している。ただし、本発明は多くの異なる形態で実施することができ、本明細書が記述する実施形態に限定されない。これら実施形態を提供する目的は、本発明の開示内容のより徹底的且つ包括的な理解のためである。提供されるものである。
【0034】
本発明において、明記及び限定しない限り、用語「取り付ける」、「連接する」、「接続する」、「固定する」等は広義に理解されるべきである。例えば、固定接続であってよく、取外し可能な接続、又は統合された接続であってもよい。機械的接続であってよく、電気的接続であってもよい。直接的な接続であってよく、中間媒介物を介し間接的な接続であってもよい。明記しない限り、2つの部材内部の接続であるか2つの部材の相互作用の関係であってよい。当業者であれば、具体的な状況に基づいて上記用語の本発明における具体的な含意を理解できるであろう。
【0035】
用語「第1」、第2」は説明目的でのみ使用されており、相対的な重要性を示したり暗示するもの、或いは示された技術的特徴の量を暗示するものとして理解されるべきではない。このため、「第1」、「第2」と限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗黙的に含んでよい。本発明の説明において、明確に具体的に限定しない限り、「複数」の含意は、例えば2つ、3つ等の少なくとも2つである。
【0036】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解される含意と同一である。文中における本発明の明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、列記された関連する項目の1つ又は複数のあらゆる組合せを含む。
【0037】
背景技術で述べたように、ビーム制御は既にLiDAR、自由空間光通信等の分野の重要技術となっており、且つホログラフィック表示、生体撮像等の分野にも応用できる可能性がある。そのうち、ビーム制御は機械によって実現されてよく、光フェーズドアレイ(OPA)を採用して実現されてもよい。光フェーズドアレイの手法では、サイズ、重量、速度の全ての点で機械的手法では得られない利点があり、且つシリコンフォトニクス技術といった適切なフォトニック集積チップを採用し、光フェーズドアレイを他の関連光電デバイスおよび回路とモノシリックに集積したチップレベルLiDARを実現することが期待されている。
【0038】
図1は、現在のフォトニック集積チップに基づくOPAビーム制御の一般的に採用されるソリューションを図示している。具体的には、入力レーザーはスターカプラ等を介してN個のアレイ導波路へ等分され、各アレイ導波路には制御可能な位相シフトアレイが統合され、各位相が制御されたアレイ導波路はいずれも二次線形導波路型回折格子に接続されることで、線形導波路型回折格子を表面垂直放射出力装置とし、複数の線形導波路型回折格子エミッタを等間隔に配列して一次元光アンテナアレイを形成する。アレイ導波路間の相対位相を調整することにより、回折格子エミッタを構成するアレイが放射するサブビームが空間内でコヒーレント重畳され、ビームのアレイ方向における走査制御を実現する。
【0039】
位相制御された均一放射回折格子のサイドローブを効果的に抑制するため、回折格子間隔dはd<λ/2を満たす必要があり、λはレーザー波長である。当然ながら、条件によっては、該制限条件は適度に緩和されてよく、即ち、d<λを満たせばよい。無線周波数フィールドにおいては、波長が比較的長いことから緩和後の制限条件を満たすのは比較的容易であるが、光フェーズドアレイは通常、ミクロンレベルの波長、例えば1.5μmで動作し、上述した回折格子間隔の要件を実現することは難しい。同時に、出射ビームの発散角を可能な限り小さくするため、通常は弱導波路型回折格子を採用し、比較的長い距離において導波路中のライトフィールド面を垂直に出射する。導波路距離が比較的近い場合は相互間の結合干渉が存在する可能性があり、距離が近いほどクロストークは大きくなり、また導波路が長いほどクロストークは大きくなり、且つ導波路アレイ中のクロストークは光フェーズドアレイの性能に大きく影響し、同時に同一アパーチャにおいてアレイ間隔は狭くなり、通常はより多くのアレイユニットが必要となり、アレイ位相制御の難易度の増大を意味する。
【0040】
回折格子エミッタ間の結合クロストークを避け、同時にフェーズドアレイのユニット数を可能な限り減少させるため、通常は波長の複数倍のアレイ間隔が用いられ、回折格子エミッタアレイのユニット間隔を任意に分配することによって回折格子サイドローブを有効に排除するが、この手法は一般的に回折格子サイドローブ中のエネルギーをメインローブに集中させるのではなく空間に分散させ、このためビーム効率が低下する。
【0041】
本願は、上述した矛盾に対し、ビーム走査システムを提供するものである。
【0042】
1つの実施形態において、ビーム走査システムを提供する。図2図3を参照し、本実施形態のビーム走査システムは、ビーム分岐装置200と、光導波路アレイ300と、ビーム合成部400と、ビーム調節装置500と、位相調節装置600とを含む。そのうち:
【0043】
ビーム分岐装置200はレーザービーム100を受け取り、レーザービーム100を複数のサブビームに分岐させた後に出力する。光導波路アレイ300はビーム分岐装置200の出力方向に設けられ、複数のサブビームを受け取って、複数のサブビームを予め設けられた導波路出射端320へ伝送するために用いられる。ビーム合成部400は光導波路アレイ300に接続し、導波路出射端320が出力する各サブビームにビーム合成部400内で回折及び重畳を行って予め設けられたビーム出射面410に結合集束させる。ビーム調節装置500はビーム出射面410の出射方向に設けられ、ビーム出射面410が出力するビームにビーム拡大コリメートを行って、走査ビームを形成する。位相調節装置600は光導波路アレイ300に接続され、光導波路アレイ300中の各サブビーム導波路310間の相対位相分布を調節することで、合成後のビームのビーム出射面410上の焦点位置を調節し、第1方向におけるビーム走査を行う。
【0044】
具体的には、先ずレーザービーム100を入力導波路700へ結合させて、ビーム分岐装置200を介してレーザービーム100を複数のサブビームに分岐させる。そのうち、ビーム分岐装置200はスターカプラ又はカスケードされた1×n導波路スプリッタを用いてよく、nは2以上の自然数である。
【0045】
光導波路アレイ300は、並列に設けられた複数のサブビーム導波路310を含み、各サブビーム導波路310は各サブビームを予め設けられた導波路出射端320へ伝送する。そのうち、光導波路アレイ300は、順に連接する拡散伝送領域330と、位相調節領域340と、集束伝送領域350とを有し、各サブビーム導波路310は先ず拡散伝送領域330においてビーム分岐装置200が出力した各サブビームを拡散して伝送し、そして位相調節領域340に進入し、最後に各サブビーム導波路310は各サブビームを集束伝送領域350に進入させるよう伝送し、各サブビームは予め設けられた導波路出射端320へ集束される。
【0046】
各サブビームが導波路出射端320に到達した後、導波路出射端320を介して自由伝送領域、即ち、ビーム合成部400へ出力されてよく、各サブビームにビーム合成部400内でファーフィールド回折及び重畳を行い、予め設けられたビーム出射面410へ結合集束させる。ビーム出射面410はビームの出力端であり、ビーム出射面410によって出力されたビームは、ビーム調節装置500を通じてビーム拡大コリメートが行われた後に、最終的な走査ビームを形成する。
【0047】
上述したビーム伝播の過程において、位相調節装置600によって各サブビーム導波路310間の相対位相分布を調節してよく、これによりビーム合成部400で合成した後のビームのビーム出射面410上の焦点位置を調節することができる。合成したビームのビーム出射面410上の焦点位置に変化が生じた後、最終的な走査ビームの第1方向における走査角度にも変化が生じ、これにより第1方向におけるビーム走査を実現する。そのうち、第1方向は水平方向であってよく、他の方向であってもよく、本実施形態では水平方向(図3の破線矢印が指す向き)のみを説明する。図3はビーム走査システムの上面図である。
【0048】
本実施形態において、ビーム分岐装置200、光導波路アレイ300、ビーム合成部400、位相調節装置600は同一SOI(シリコン・オン・インシュレータ)チップ上に統合されてよく、ビーム調節装置500は、例えばコリメートレンズ組立体を選択して用いるといった、機械構造を用いて実現されてよい。
【0049】
上述したビーム走査システムは、ビーム分岐装置200によってレーザービーム100を複数のサブビームに分岐させ、光導波路アレイ300が複数のサブビームを受け取って予め設けられた導波路出射端320へ伝送し、導波路出射端320が出力した各サブビームにビーム合成部400内でファーフィールド回折及び重畳を行って予め設けられたビーム出射面410へ結合集束させる。ビーム出射面410が出力したビームは、ビーム調節装置500によってビーム拡大コリメートが行われた後に出力されて、走査ビームを形成する。同時に、位相調節装置600によって光導波路アレイ300中の各サブビーム導波路310間の相対位相分布を調節し、これにより合成後のビームのビーム出射面410上の焦点位置を調節することができ、これにより走査ビームの走査角度を調節し、第1方向におけるビーム走査を行う。本実施形態は従来技術における導波路回折格子を介してビームを合成し出力する手法を改変し、各サブビームは導波路アレイ300を経て予め設けられた導波路出射端320へ伝送され、各サブビームにビーム合成部400においてファーフィールド回折及び重畳を行って予め設けられたビーム出射面410に結合集束させる。導波路アレイ中の相対位相分布を調節すれば、ビーム出射面410上のビーム焦点位置を調節することができ、これによりビーム走査を実現する。従来の導波路回折格子アレイ出力構造を採用しないことから、従来技術における狭い間隔と長い導波路とを同時に満たす必要があることがもたらす大きな結合干渉の問題を回避し、且つ上述した構造によりビーム走査を実現することによって、サブビームを導波路出射端320へ集束させれば各サブビームは自由伝送領域に進入して合成が行われ、その後にビーム出射面410へフォーカスされ、ビームを出力して走査を行う。従来の構造中の回折格子面垂直エミッタアレイを採用する必要はなく、難易度とコストを低下させる。
【0050】
1つの実施形態において、予め設けられた導波路出射端320は半径が2Rのローランド円の円周に設けられる。予め設けられた前記ビーム出射面410はローランド円内部に位置し、且つ導波路出射端320までの距離は2Rであり、Rは正の数である。
【0051】
光導波路アレイ300の導波路出射端320は半径が2Rのローランド円の円周に設けられ、これにより光導波路アレイ300の自由空間における回析重畳は回折格子の回折にレンズフォーカスを加えた効果に相当する。選択した回折次数の出射スポットが半径Rの円周上に表示される、即ち、合成後のビーム焦点は半径Rの円周面上にあり、同時に、該半径がRの円周面と導波路出射端320との間の距離は2Rである。従来のAWG波長分割マルチプレクサは複数の導波路を配置して異なる波長の出力を受け取ることができるが、本実施形態においてはSOIチップ上に直接出力端面、即ち、ビーム出射面410をエッチングし、光導波路アレイ300中の位相分布を改変することによって固定波長のビームがビーム出射面410の異なる位置に出力されるよう制御し、これによりビーム出射面410に垂直に、異なる角度の走査ビームを出力するものであり、比較的単純な手法を実現する。また、従来技術では一般的に、導波路回折格子が波長調整によって表面垂直出力角の変化を引き起こすことによって第1方向と直交するビーム走査を実現しており、調整可能なレーザー装置を採用する必要があるが、調整可能なレーザー装置は往々にして高価である。本願の手法は調整可能なレーザー装置を採用する必要のないビーム走査を実現し、コストを低下させることができる。
【0052】
1つの実施形態において、導波路出射端320での各サブビーム導波路310の間隔はレーザービーム100の波長よりも小さく、これにより光導波路アレイ300の複数ビームを合成することによる回折格子サイドローブを効果的に抑制し、高効率なビーム制御を実現することができる。また、本実施形態において、光導波路アレイ300は徐々に接近する設計を採用し、光導波路アレイ300中の各サブビーム導波路310はビーム合成部400に進入する前に小さな領域(集束伝送領域350)内で接近して放出され、このため各サブビーム導波路310間の結合クロストークは無視することができる。
【0053】
1つの実施形態において、ビーム調節装置500はコリメートレンズ組立体を含む。本実施形態において、コリメートレンズ組立体をビーム出射面410の出射方向に配置してよく、ビームはビーム出射面410を経て垂直に出力された後、コリメートレンズ組立体のビーム拡大コリメートを経た後に、走査ビームを形成する。合成ビームがビーム出射面410の異なる位置にあるとき、コリメートレンズ組立体の処理を経た後に異なるビーム角度を有することができ、ビームの水平方向における一次元走査を実現することができる。コリメートレンズ組立体をビーム調節装置500とすることで、ビーム調節装置500のハードウェアコストを下げることができ、且つ実施に利する。
【0054】
1つの実施形態において、位相調節装置600は位相変調器を含む。位相変調器は光の位相を特定の規則に従って変化させる光変調器であり、本実施形態において、位相変調器を単独で設けてもよく、位相変調器を導波路アレイ中に統合してもよい。
【0055】
具体的には、位相変調器はシリコン導波路中の光信号をシリコン導波路上の電気光学媒体層導波路へ結合させることにより、媒体の電気光学効果を利用して導波路位相調節を行う、又は、位相変調器はpin接合電流をシリコン導波路に注入することで導波路位相調節を行う、又は、位相変調器はシリコン導波路上方に配置された金属ヒータによって、シリコンの熱光学効果を利用して導波路位相調節を行う。
【0056】
1つの実施形態において、ビーム合成部400はSOIチップに位置するシリコン導波路であってよい、即ち、導波路出射端320が出力した各サブビームはシリコン導波路において結合集束される。或いは、ビーム合成部400はシリコン導波路上に位置する電気光学媒体層導波路であってもよい、即ち、シリコン導波路中の光信号は上方の電気光学媒体層導波路へ結合され、これにより電気光学媒体層導波路において結合集束を行う。
【0057】
1つの実施形態において、電気光学媒体層導波路はニオブ酸リチウム導波路を含む。
【0058】
1つの実施形態において、図4を参照し、本実施形態の提供するビーム走査システムはレーザー切替装置800を更に含み、レーザー切替装置800はビーム分岐装置200への異なる波長のレーザービーム100を切り替えるために用いられる。
【0059】
本実施形態において、レーザー切替装置800は、異なる波長のレーザービーム100を切り替えることによって合成後のビームのビーム出射面410上の焦点位置を調節することで、第1方向におけるビーム走査角度を調節する。位相調節によってビームのビーム出射面410上の焦点位置を改変する以外に、本実施形態は異なる波長のレーザー及びレーザー切替装置800を更に配置し、レーザー切替装置800によって入力レーザーの波長変化を実現し、ビームのビーム出射面410上の焦点位置の変化も実現することができる。
【0060】
実際の応用において、波長が固定に維持される状況において、位相分布を調整して位相分布を固定に維持する場合、異なる波長のレーザービーム100を切り替えて、波長変換と位相調整を組み合わせることによって、ビームのビーム出射面410における更に大きな範囲の集束を実現することができ、これによりビーム調節装置500のビーム拡大コリメートを経た後の更に大きな範囲のビーム走査範囲を得られる。
【0061】
そのうち、図5を参照し、レーザー切替装置800は光スイッチを用いてよい。光スイッチの入力端は異なる波長のレーザービーム100に接続し、出力端は入力導波路700に接続し、入力導波路700を経て切り替えられた後のレーザーはビーム分岐装置200へ伝送される。位相調整と光スイッチ切替速度はGHzに達することができることから、たとえ数千のサンプリングポイントの第1方向におけるビーム走査であってもマイクロ秒レベルで完了することができる。
【0062】
第1方向のビーム走査を実現する以外に、本実施形態のビーム走査システムは第2方向のビーム走査を更に実現することができる。1つの実施形態において、本実施形態の提供するビーム走査システムは移動プラットフォームを更に含む。移動プラットフォームは、ビーム調節装置500に接続され、第2方向に沿ってビーム調節装置500を移動させることで第2方向上のビーム走査を行うために用いられる。第2方向は垂直方向であってよく、他の方向であってもよい。本実施形態では垂直方法のみを説明する。
【0063】
図6は、ビーム走査システムの正面図である。図6を参照し、実際の応用において、移動プラットフォームによって垂直方向(図中の双方向矢印が指す向き)に沿ってビーム調節装置500を移動させることができ、これにより垂直方向においてビーム出射面410が出力したビームがビーム調節装置500に当たる位置を改変させる。該位置の変化は最終的に出力される走査ビームの垂直方向における角度変化をもたらし、これにより垂直方向のビーム走査を実現する。水平方向における高速走査に基づいて、垂直方向の走査は、>30Hzの走査周波数であれば>30フレーム/sの二次元ビーム走査を実現することができる。
【0064】
本実施形態において、移動プラットフォームは駆動装置を含んでよく、駆動装置はビーム調節装置500に接続され、駆動装置を介してビーム調節装置500が第2方向に沿って移動するよう駆動できればよい。駆動装置は、設備コストが比較的低く、リニアモータやDCモータ等の駆動機器を用いてよい、且つ実施に利する
【0065】
上述した実施形態の技術的特徴は任意に組み合わされてよく、説明を簡略化するため、上記実施形態の各技術的特徴の全ての可能な組合せについては説明しないが、これら技術的特徴の組合せに矛盾がない限り、本明細書に記載の範囲であると見なされるべきである。
【0066】
上述した実施形態は本発明の複数の実施形態を表現しているにすぎず、それらの説明は比較的具体的且つ詳細であるが、本発明の特許範囲を限定するものと理解すべきではない。当業者であれば、本発明の概念から逸脱することなく、更に複数の変形及び改変を行うことができ、これらは全て本発明の保護範囲に属することに留意されたい。このため、本発明の特許の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザービームを受け取り、前記レーザービームを複数のサブビームに分岐させた後に出力する、ビーム分岐装置と、
前記ビーム分岐装置の出力方向に設けられ、複数の前記サブビームを受け取って、複数の前記サブビームを予め設けられた導波路出射端へ伝送するために用いられる光導波路アレイであって、前記光導波路アレイは集束伝送領域を含み、各前記サブビームは前記集束伝送領域を経て前記導波路出射端へ集束される、光導波路アレイと、
前記光導波路アレイに接続されたビーム合成部であって、前記導波路出射端が出力する各サブビームはビーム合成部内でファーフィールド回折及び重畳を行い、予め設けられたビーム出射面に結合集束させる、ビーム合成部と、
前記ビーム出射面の出射方向に設けられ、前記ビーム出射面が出力するビームにビーム拡大コリメートを行って、走査ビームを形成する、ビーム調節装置と、
前記光導波路アレイに接続され、前記光導波路アレイ中の各サブビーム導波路間の相対位相分布を調節することで、合成後のビームの前記ビーム出射面上の焦点位置を調節し、第1方向におけるビーム走査を行う、位相調節装置と
を含む
ことを特徴とする、
ビーム走査システム。
【請求項2】
予め設けられた前記導波路出射端は半径が2Rのローランド円の円周に設けられ、
予め設けられた前記ビーム出射面は前記ローランド円内部に位置し、且つ前記導波路出射端までの距離は2Rであり、Rは正の数である
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項3】
前記導波路出射端での各前記サブビーム導波路の間隔は、前記レーザービームの波長よりも小さい
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項4】
前記ビーム分岐装置はスターカプラ又はカスケードされた1×n導波路スプリッタを含み、nは2以上の自然数である
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項5】
前記ビーム調節装置はコリメートレンズ組立体を含む
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項6】
前記位相調節装置は位相変調器を含む
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項7】
前記位相変調器は、シリコン導波路中の光信号を前記シリコン導波路上の電気光学媒体層導波路へ結合させることにより、媒体の電気光学効果を利用して導波路位相調節を行う、
又は、
前記位相変調器は、pin接合電流をシリコン導波路に注入することで導波路位相調節を行う、
又は、
前記位相変調器は、前記シリコン導波路上方に配置された金属ヒータによって、シリコンの熱光学効果を利用して導波路位相調節を行う
ことを特徴とする、
請求項6に記載のビーム走査システム。
【請求項8】
前記誘電体層導波路はニオブ酸リチウム導波路を含む
ことを特徴とする、
請求項7に記載のビーム走査システム。
【請求項9】
前記ビーム走査システムは、
前記ビーム分岐装置への異なる波長の前記レーザービームを切り替えるために用いられる、レーザー切替装置
を更に含み、
前記レーザー切替装置は、異なる波長の前記レーザービームによって合成後のビームの前記ビーム出射面上の焦点位置を調節することで、前記第1方向上のビーム走査角度を調節する
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項10】
前記ビーム走査システムは、
前記ビーム調節装置に接続され、第2方向に沿って前記ビーム調節装置を移動させることで第2方向上のビーム走査を行うために用いられる、移動プラットフォーム
を更に含む
ことを特徴とする、
請求項1に記載のビーム走査システム。
【国際調査報告】