IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

<>
  • 特表-充電安全カットオフ 図1
  • 特表-充電安全カットオフ 図2
  • 特表-充電安全カットオフ 図3
  • 特表-充電安全カットオフ 図4
  • 特表-充電安全カットオフ 図5
  • 特表-充電安全カットオフ 図6
  • 特表-充電安全カットオフ 図7
  • 特表-充電安全カットオフ 図8
  • 特表-充電安全カットオフ 図9
  • 特表-充電安全カットオフ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】充電安全カットオフ
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H02J7/10 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024534387
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2022084856
(87)【国際公開番号】W WO2023104917
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21213807.7
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】ベサント ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ビラ ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ネイラー フィリップ
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503GD06
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生システム内の電池を充電するための方法に関し、方法は、電池の充電を開始する工程と、電池の充電速度を示す電気パラメータを監視する工程と、電池の充電速度を判定する工程と、判定された充電速度を基準充電速度と比較する工程と、充電速度が基準充電速度から逸脱した場合に電池が充電されることを抑制する工程とを含む。本発明はまた、エアロゾル発生システムの充電コントローラにも関する。本発明はまた、充電コントローラを備えるエアロゾル発生装置、および充電コントローラを備えるエアロゾル発生装置用の充電ケースに関する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-エアロゾル発生システム内の電池を充電するための方法であって、
-前記電池の充電を開始する工程と、
-前記電池の充電速度を示す電気パラメータを監視する工程と、
-前記電池の前記充電速度を判定する工程と、
-前記判定された充電速度を基準充電速度と比較する工程と、
-前記充電速度が前記基準充電速度から逸脱する場合、前記電池が充電されることを抑制する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記電池の前記充電速度を示す複数のパラメータが監視される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記充電速度を示す前記パラメータが、前記電池の充電状態および前記電池の出力電圧である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記充電速度を示す前記パラメータが、前記電池の充電状態および前記電池に印加される充電電流である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記充電速度を示す前記パラメータが、前記電池の充電状態、前記電池の出力電圧、および前記電池に印加される充電電流である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
監視される前記電池の前記充電速度を示す前記パラメータが、適用される充電モードに応じて選択される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記電池が再充電可能リチウムイオン電池である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記充電速度が前記基準充電速度から少なくとも所定の偏差だけ逸脱する場合、前記電池の充電が抑制される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記電池を充電することが、前記充電速度が前記基準充電速度から少なくとも所定の回数にわたり逸脱することが見出された後にのみ抑制される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記電気パラメータを監視する工程が、第一の時間で前記電気パラメータを判定する工程と、第二の時間で前記電気パラメータを判定する工程とを含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記電池の前記充電速度を判定する工程が、前記第一の時間および前記第二の時間で判定された前記電気パラメータの変化と、前記第一の時間と前記第二の時間との間の時間差の比を計算する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基準充電速度が、前記エアロゾル発生システムのデータストレージユニットに格納された充電スキームから決定される、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記基準充電速度が、前記監視された電気パラメータの変化として定義される、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記充電速度を判定する工程が、第一の時間と第二の時間との間の前記電気パラメータの変化を監視する工程を含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記充電速度が前記基準充電速度から逸脱していると判定する工程が、前記電気パラメータの前記監視された変化が前記基準充電速度によって定義される前記監視された電気パラメータの前記変化よりも小さいと判定する工程を含む、請求項13および請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
-エアロゾル発生システムであって、前記充電コントローラが、
-電池の充電を開始し、
-前記電池の充電速度を示す電気パラメータを監視し、
-前記電池の前記充電速度を判定し、
-前記判定された充電速度を基準充電速度と比較し、
-前記充電速度が、少なくとも所定の偏差だけ前記基準充電速度から逸脱する場合、前記電池が充電されることを抑制するように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項17】
再充電可能電池と、前記再充電可能電池を外部電源に接続するための第一の電力インターフェースと、前記再充電可能電池から電気ヒータへの電源を制御するためのホストコントローラとを備えるエアロゾル発生装置であって、
前記ホストコントローラが、前記再充電可能電池を充電するため請求項16に記載の前記充電コントローラを備え、
または、
前記エアロゾル発生装置が、前記再充電可能電池を充電するため請求項16に記載の前記充電コントローラを備える電池充電器ICを備える、エアロゾル発生装置。
【請求項18】
エアロゾル発生装置用の充電ケースであって、再充電可能電池と、前記充電ケースの前記再充電可能電池を外部電源に接続するための第一の電力インターフェースと、前記充電ケースの前記再充電可能電池を前記エアロゾル発生装置の再充電可能電池に接続するための第二の電力インターフェースとを備える、充電ケースであって、
前記充電ケースが、前記エアロゾル発生装置の前記再充電可能電池を充電するため請求項16に記載の前記充電コントローラをさらに備える、充電ケース。
【請求項19】
エアロゾル発生装置用の充電ケースであって、再充電可能電池と、前記充電ケースの前記再充電可能電池を外部電源に接続するための第一の電力インターフェースと、前記充電ケースの前記再充電可能電池を前記エアロゾル発生装置の再充電可能電池に接続するための第二の電力インターフェースとを備える、充電ケースであって、
前記充電ケースが、前記充電ケースの前記再充電可能電池を充電するため請求項16に記載の前記充電コントローラを備えるホストマイクロコントローラをさらに備え、
または、
前記充電ケースが、前記充電ケースの前記再充電可能電池を充電するため請求項16に記載の前記充電コントローラを備える電池充電器ICを備える、充電ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システム内の電池を安全に充電するための方法、および該方法を実装するエアロゾル発生システムに関する。本発明はまた、エアロゾル発生システムで使用されるケースとエアロゾル発生装置と充電ケースとに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に既知のエアロゾル発生システムは携帯型であり、電気的に動作し、また通常必要な電力を提供するために再充電可能電池を含む。エアロゾル発生システム内の電池を安全な方法で充電することは重要であり、そうでなければ電池が不安定になり、エアロゾル発生装置の壊滅的な故障につながる可能性がある。これは、エアロゾル発生システムでは、これらのシステムが典型的に熱を発生し、ユーザの身体に近接して使用されるため、特に重要である。
【0003】
電池を充電するコントローラで一般的に使用される一つの安全機能は、いわゆる「安全タイマー」である。この安全機能は、所定の期間後に電池が充電された期間をタイミング化し、電池が依然として充電されている場合、充電を終了することを伴う。
【0004】
従来の「安全タイマー」機能の問題は、充電サイクルの開始時にシステム(例えば、電池)に障害があり得るが、安全タイマーは、所定の期間の終了まで充電コントローラが電池を充電することを可能にすることができることである。充電が終了する所定の期間は、例えば最大10時間に固定されてもよい。したがって、充電サイクルの開始時に電池に欠陥がある場合、電池は10時間充電し続けることができる可能性があり、これはエアロゾル発生装置の壊滅的な故障につながる可能性がある。
【0005】
それ故に、エアロゾル発生システム内の電池を充電する間に壊滅的な故障を回避するのを補助することができる、より洗練された充電安全機能を提供することが望ましいことになる。
【0006】
充電プロセス中の早期段階で充電問題を検出するのを補助し得る充電方法を提供することがさらに望ましいことになる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態によると、エアロゾル発生システム内の電池を充電するための方法が提供される。本方法は、
-電池の充電を開始する工程と、
-電池の充電速度を示す電気パラメータを監視する工程と、
-電池の充電速度を判定する工程と、
-判定された充電速度を基準充電速度と比較する工程と、
-充電速度が基準充電速度から逸脱する場合、電池が充電されることを抑制する工程と、を含む。
【0008】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生システム内の電池を充電するための方法が提供され、方法は、
-電池の充電を開始する工程と、
-電池の充電速度を示す電気パラメータを監視する工程と、
-所与の期間にわたる電気パラメータの変化を監視することによって、電池の充電速度を判定する工程と、
-判定された充電速度を基準充電速度と比較する工程であって、基準充電速度が、監視された電気パラメータの変化によって定義される、比較する工程と、
-充電速度が基準充電速度から逸脱する場合、電池が充電されることを抑制する工程と、を含む。
【0009】
充電プロセス中に充電速度を判定することによって、変則的な充電を早期に検出することができる。したがって、本発明の方法で、充電プロセスは、危険な充電速度の検出に伴い、中断、完全に停止、または安全なレベルまで低減することができる。このようにして、本発明は、欠陥のある電池の長時間の充電を回避することを可能にする。それによって、本発明は、エアロゾル発生システムで使用される電池の充電に関連して潜在的に危険な状況を低減するのに役立つ。
【0010】
例えば、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウムイオン電池、例えばコバルト酸リチウム(LCO)、リン酸鉄リチウム(LFP)、リチウムニッケルマンガンコバルト(NMC)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)、またはリチウムポリマー電池(LiPo)であってもよい。電源は、再充電を必要とし得、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーを貯蔵可能にする容量を有し得、例えば、電源は、約4~10分間、または約六分間、または約4~10分の倍数の期間、または約六分の倍数の期間エアロゾルを連続的に発生させるのに十分な容量を有し得る。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または発熱体の不連続的な起動を提供するのに十分な容量を有してもよい。
【0011】
基準充電速度は、予想される充電速度であってもよい。再充電可能電池を充電するための充電プロセスは、異なる充電モードを含み得る。充電モードは、電力が電池に供給される方法が異なる場合がある。
【0012】
実施形態では、充電プロセスの充電モードは、プリチャージモード、電流調節モード、および電圧調節モードを含み得る。
【0013】
プリチャージモードでは、第一の定電流(例えば、「プリチャージ電流」と呼ばれる)が印加され得る。このプリチャージ電流は、電池の電圧出力がプリチャージ電圧閾値に達するまで印加され得る。
【0014】
定電流調節モードでは、第二の定電流(例えば、「調節電流」と呼ばれる)が印加されてもよい。定電流モードで印加される調節電流は、プリチャージモードで印加されるプリチャージ電流よりも大きくてもよい。調節電流は、電池の電圧出力が調節電圧閾値に達するまで印加されてもよい。したがって、定電流調節モードは、電池の電圧出力がプリチャージ電圧閾値と調節電圧閾値との間の範囲内にあるときはいつでも使用され得る。
【0015】
プリチャージモードおよび定電流調節モードが完了した後、定電圧調節モードが使用され得る。このモードでは、定電圧(例えば、「調節電圧」と呼ばれる)が電池に印加されてもよく、一方で充電電流は連続的に減少する。調節電圧は、充電電流が充電終了電流レベルに下がるまで印加されてもよい。充電電流が充電終了電流レベルに達すると、これは電池がその所望の充電状態に達したことを示す。この所望の充電状態に達すると、電池は完全に充電されているとみなされてもよく、充電が停止されてもよい。
【0016】
監視される電池の充電速度を示す一つまたは複数のパラメータ、および基準充電速度は、適用される充電モードに応じて選択され得る。充電速度を示す一つまたは複数のパラメータは、電池の出力電圧および/または充電中に電池によって引き出される電流であってもよい。充電速度は、監視された電気パラメータから判定されてもよい。
【0017】
定電流が印加される充電モードでは、言い換えれば、プリチャージモードおよび定電流調節モードにおいて、充電速度を示すパラメータは、充電される電池の出力電圧であってもよい。これらの充電モードの広い範囲にわたって、電池の出力電圧は一般的に経時的に直線的に増加する。出力電圧の増加は、出力電圧が調節電圧閾値に近づく時に、定電流調節モードの終了に向かって低下する。
【0018】
電圧調節モードでは、定電圧が印加される。この充電モードでは、充電速度を示すパラメータは、充電される電池によって引き出される電流であってもよい。電圧調節モードでは、引き出される電流は経時的に指数関数的に減少し得る。
【0019】
充電速度は、当業者に既知の任意の適切な方法によって判定されてもよい。充電速度を決定するために、電池の充電速度を示す電気パラメータが監視されてもよい。実施形態では、電池の充電速度は、所与の期間にわたる電気パラメータの変化を監視することによって得られ得る。一つの例示的な例では、電気パラメータの変化はゼロであってもよく、言い換えれば、電気パラメータの変化を監視することは、電気パラメータの変化が発生していないことを観察することを含み得る。これは、障害を示し得、したがって、充電を適宜に抑制することができる。電気パラメータを監視することは、第一の時間で電気パラメータを判定すること、および第二の時間で電気パラメータを判定することを含み得る。一例では、充電速度を示すパラメータは、充電中に電池に供給される電力またはエネルギー、あるいは電池の充電状態である。充電中に電池に供給される電力またはエネルギーは、経時的に監視することができ、従って電池の充電速度を判定することができる。一時間間隔にわたって電池に供給される高電力またはエネルギーは、高充電速度を示し、一時間間隔にわたって電池に供給される低電力またはエネルギーは、低充電速度を示す。追加で、または代替で、電池の充電状態を経時的に監視することができ、従って充電速度を判定することができる。一時間間隔にわたる電池の充電状態のより速い増大は、より高い充電速度を示し、一方で一時間間隔にわたる電池の充電状態のより遅い増大は、より低い充電速度を示す。
【0020】
二つの時間で判定された電気パラメータの値の差は、二つの異なる時間の間の時間差で割られてもよい。電気パラメータの二つの値の差と時間差の結果として生じる比は、現在適用されている充電速度を示し得る。
【0021】
電気パラメータは、一定の時間間隔で監視されてもよい。時間間隔は、充電される電池のタイプに適合されてもよい。時間間隔は、電池を充電するために使用される電源のタイプに適合されてもよい。時間間隔は、電池を充電するために適用される所定の充電スキームに適合されてもよい。
【0022】
電気パラメータは毎秒監視されてもよい。電気パラメータは、10秒ごとに監視されてもよい。電気パラメータは、20秒毎に監視されてもよい。電気パラメータは、毎分、5分毎、10分毎、30分毎、1時間毎、または2時間毎に監視されてもよい。電気パラメータの各監視間の時間間隔は、電池が充電されるべき予想される最大時間よりも短いことが好ましい。
【0023】
方法は、電池の充電状態を監視することによって、電池の出力電圧を監視することによって、または電池を充電するために印加される充電電流を監視することによって、充電速度を判定することを含み得る。
【0024】
方法は、電池の充電速度を示す複数の電気パラメータを監視することによって充電速度を判定することを含み得る。
【0025】
方法は、電池の充電状態および電池の出力電圧を監視することによって充電速度を判定することを含み得る。方法は、電池の充電状態および電池を充電するために印加される充電電流を監視することによって充電速度を判定することを含み得る。方法は、電池の出力電圧および電池を充電するために印加される充電電流を監視することによって充電速度を判定することを含み得る。方法は、電池の充電状態、電池の出力電圧、および電池を充電するために印加される充電電流を監視することによって充電速度を判定することを含み得る。電池の充電速度を示すパラメータのうちのいずれまたはどの組み合わせが所与の時間で使用されるかは、適用される電流充電モードに応じて選択され得る。
【0026】
電池の充電速度は、所与の期間にわたる電気パラメータの変化を監視することによって判定されてもよい。電気パラメータを監視することは、第一の時間で電気パラメータを判定すること、および第二の時間で電気パラメータを判定することを含み得る。二つの時間で判定された電気パラメータの値の差は、二つの異なる時間の間の時間差で割られてもよい。電気パラメータの二つの値の差と時間差の結果として生じる比は、現在適用されている充電速度を示し得る。パラメータが規則的な間隔で監視される場合、電気パラメータの連続的に判定された値の差は、充電速度の尺度として使用されてもよい。
【0027】
監視された電気パラメータの予想される変化は、測定間隔の期間に依存し得る。間隔が短いほど、監視された電気パラメータの予想される変化は小さくなる。
【0028】
次に、上述のように判定された現在適用されている充電速度は、基準充電速度と比較され得る。基準充電速度は、エアロゾル発生システムのデータストレージユニットに格納された充電スキームから判定され得る。基準充電速度は、以前の充電プロセスの平均から判定されてもよい。以前の充電プロセスを使用して、格納された標準充電スキームを変更してもよい。所与の電池に対する以前の充電プロセスを考慮することによって、基準充電速度は、所与の電池に対する充電プロセスにより良好に近似するようにカスタマイズされてもよい。
【0029】
基準充電速度は、監視された電気パラメータの変化によって定義されてもよい。例えば、基準充電速度は、電池の電圧出力の変化によって定義されてもよく、または基準充電速度は、電池を充電するために印加される電流の変化によって定義されてもよい。次に、電池の実際の充電速度は、二つ以上の時点で電気パラメータ(例えば、電池の電圧出力、または電池を充電するために印加される電流)を測定し、電気パラメータの変化を計算することによって判定され得る。測定された電気パラメータの計算された変化が、基準充電速度によって定義された電気パラメータの変化から逸脱する場合、充電は抑制され得る。例えば、測定された電気パラメータの計算された変化が、基準充電速度によって定義される電気パラメータの変化よりも低い場合、これは充電システムの障害を示し得る。従って、充電は抑制または防止され得る。一つの例示的な例では、観察される電気パラメータに変化はなくてもよく、基準充電速度は、電気パラメータのゼロでない変化として定義されてもよい。この場合、電気パラメータの変化は、基準充電速度よりも小さくなり、それ故に充電を適宜に抑制することができる。
【0030】
基準充電速度は、数学的手段によって定義されてもよい。基準充電速度は、充電速度および時間を示すパラメータ間の線形または非線形の関係によって定義され得る。
【0031】
例えば、プリチャージモードの間、電池電圧と充電時間との間の比較的線形の関係が予想される。したがって、以下の線形方程式を使用して、電池電圧と充電時間との間の関係を定義し得る。
(1)Vb(t)=mt+c
式中、Vbは電池出力電圧であり、tは時間であり、mおよびcは係数である。「m」の値は、例えば、電池に流れる電流および電池の温度などのシステムのパラメータに依存し得る。
【0032】
それとは対照的に、電圧調節モードでは、充電電流と時間との間の関係は、非線形方程式によってより良好に近似され得る。特に、電圧調節モードでは、充電電流は経時的に指数関数的に減衰するとみなされ得る。したがって、以下の指数式で充電電流を推定することがより適切であり得る。
(2)IC(t)=e-mt
式中、ICは充電電流であり、tは時間であり、mは係数である。
【0033】
プリチャージモードでは、基準充電速度の決定は、以下の工程を含み得る。
【0034】
第一の工程では、電池の出力電圧が決定されてもよい。さらなる工程では、所定のプリチャージ閾値と出力電圧との間の電圧差(dV)が決定される。次の工程では、基準時間(dT)が決定され、これは電池を出力電圧からプリチャージ閾値電圧に充電するために必要とされることが予想される。プリチャージ閾値に達するまでの予想される時間は、標準的な動作環境下で実行される標準的な充電プロセスを想定することによって決定され得る。こうした情報は、製造時にサンプル電池の別個の較正工程で取得され得る。次に、基準充電速度は、dVをdTで割ることによって計算され得る。
【0035】
定電流充電モードでは、基準充電速度の決定は、同様の方法で実行され得る。
【0036】
再び第一の工程では、電池の出力電圧が決定されてもよい。さらなる工程では、所定の調節電圧閾値と出力電圧との間の電圧差(dV)が決定される。次の工程では、基準時間(dT)が決定され、これは電池を出力電圧から調節電圧閾値に充電するために必要とされることが予想される。次いで、基準充電速度は、dVをdTで割ることによって再び計算され得る。
【0037】
基準時間dTは、電池を充電するために印加される電流に依存し得る。例えば、電池を充電するために印加される電流が高い場合、予想される充電時間はより短くなり、したがって基準時間dTはより短くなる。一方、電池を充電するために印加される電流がより小さい場合、予想される充電時間はより長くなり、したがって基準時間dTはより長くなる。
【0038】
電圧調節充電モードでは、基準充電速度の決定は、以下の工程を含み得る。
【0039】
第一の工程では、電池への充電電流(IRC)が決定され得る。さらなる工程では、充電電流(IRC)と終了電流(ITC)との間の差(dI)が決定され得る。次の工程では、基準時間(dT)が決定され、これは充電電流(IRC)が終了電流(ITC)と等しくなるまで電池を充電する必要があると予想される。次に、基準充電速度は、dIをdTで割ることによって計算され得る。
【0040】
基準時間dTは、電池を充電するために印加される利用可能な電流、例えば、主電源(例えば、USB)から、または電池を充電するために使用される電池パックから利用可能な電流に依存し得る。例えば、電池を充電するために利用可能な電流が高い場合、予想される充電時間はより短くなり、従って基準時間dTはより短くなる。一方、電池を充電するために利用可能な電流が低い場合、予想される充電時間はより長くなり、したがって基準時間dTはより長くなる。
【0041】
充電速度が少なくとも所定の偏差だけ基準充電速度から逸脱する場合、電池の充電は抑制され得る。所定の偏差の量は、充電速度がどのように判定されるかの状況を考慮して定義されてもよい。特に、充電速度がどの程度正確に判定されるか、および充電速度のどの典型的、したがって許容可能な変動が予想されるかを考慮に入れてもよい。所定の偏差の量は、動作環境に基づいて、例えば、温度センサからの温度読取値に基づいて選択され得る。基準充電速度からの所定の偏差は、基準充電速度の最大40パーセントに相当し得る。基準充電速度からの所定の偏差は、基準充電速度の最大25パーセントに相当し得る。基準充電速度からの所定の偏差は、基準充電速度の最大10パーセントに相当し得る。
【0042】
基準充電速度は、下限充電速度閾値と/または上限充電速度閾値との間の充電速度の範囲として定義され得る。下限充電速度閾値および/または上限充電速度閾値は、任意の所与の電池および充電に利用可能な電源に対して好適に選択され得る。狭すぎる範囲は、充電コントローラの感度を増加させる場合があるが、そうでなければ充電速度の許容可能な変化が充電プロセスの停止を誤ってトリガするリスクも増加させ得る。過度に広く定義された充電速度の範囲は、充電コントローラの感度を低減し、欠陥のある充電プロセスの認識を遅らせる場合がある。
【0043】
充電速度の許容可能な範囲の定義では、下限充電速度閾値および/または上限充電速度閾値は、決定された基準充電速度にスケーリング係数を乗じることによって決定され得る。下限充電速度閾値を決定するためのスケーリング係数は、(1-X)によって定義されてもよく、Xは、最大0.9に相当してもよく、Xは、最大0.8に相当してもよく、Xは、最大0.6に相当してもよく、Xは、最大0.4に相当してもよく、Xは、最大0.2に相当してもよく、Xは、最大0.1に相当してもよい。
【0044】
上限充電速度閾値を決定するためのスケーリング係数は、(1+X)によって定義されてもよく、Xは、最大0.9に相当してもよく、Xは、最大0.8に相当してもよく、Xは、最大0.6に相当してもよく、Xは、最大0.4の量に相当してもよく、Xは、最大0.2に相当してもよく、Xは、最大0.1に相当してもよい。
【0045】
下限充電速度閾値のスケーリング係数を決定するためのパラメータXは、上限充電速度閾値を決定するために使用されるパラメータXと同一であってもよい。監視されたパラメータと時間との間に線形関係がある場合、下限充電速度閾値および上限充電速度閾値の対称的な定義を使用することが有利であり得る。対照的に、監視されたパラメータと時間との間の非線形関係については、下限充電速度閾値と上限充電速度閾値の非対称な定義を使用することが有利であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、下限充電速度閾値のみ、または上限充電速度閾値のみを定義するだけで十分であり得る。いずれの場合でも、遅すぎるまたは速すぎる充電が判定されてもよく、欠陥のある充電プロセスの識別に使用されてもよい。
【0047】
基準充電速度が線形または非線形方程式によって定義される実施形態では、監視された電気パラメータは、経時的に連続的に記録されてもよい。次いで、記録された値は、近似方程式を計算することによって近似され得る。例えば、上述の式(1)による監視されたパラメータと時間との間の予想される線形関係の場合、電池電圧と時間との間の監視された関係は、以下の式によって最良に近似されるように計算され得る。
(3)Vb(t)=m1・t+c1
【0048】
次に、二つの関数間の類似性を定義する値を計算するために、これら二つの関数を互いに比較することができる。二つの関数間の類似性を定義する一つの方法は、二つの関数間の相互相関を実行することである。相互相関の出力の大きさが小さいほど、記録された充電速度と基準充電速度との間の類似性が高くなる。記録された充電速度と基準充電速度との間の差の測定値が閾値を超える場合、これはシステム内の障害を示してもよく、充電を適宜に抑制することができる。
【0049】
上限充電速度閾値および下限充電速度閾値を定義することは、充電中に許容可能な充電速度の範囲を決定するための単純かつ効果的な機構であってもよい。この方法は、充電速度の変化がほとんど予想されない充電モードに特に有効である。しかしながら、監視された電気パラメータと時間との間の関係が非線形である場合、所与の充電モード全体を通して充電速度のより大きな変化が予想される。これは、上限および下限充電閾値が、遭遇する可能性のある最高および最低充電速度を考慮して、それに応じて設定される必要があることを意味する。
【0050】
方法の感度をさらに増大させるために、充電モードのうちの一つ以上を複数の充電セグメントに細分化してもよい。基準充電速度ならびに上限および下限充電閾値は、それぞれの充電モードの各セグメントに対して異なってもよい。例えば、所与の充電モードは、二つ、三つ、四つ、またはさらにより多くの充電セグメントに細分化されてもよい。ここでの考えは、非線形充電モードを複数のセグメントに細分化することであり、それぞれが線形関係により密接に従う。
【0051】
電流調節モードが二つ以上のセグメントに適用される充電モードを細分化することが特に有利であり得る。一定の、かつむしろ速い充電速度が予想される第一のセグメントが定義されてもよい。第二のセグメントは、この充電モードの非線形部分を包含するように定義されてもよい。このようにして、第二のセグメントで使用される上限充電速度閾値と比較して、より高い上限充電速度閾値を第一のセグメントに適用することができる。また、第二のセグメント内の下限充電速度閾値と比較して、より高い下限充電速度閾値を第一のセグメントに適用することができる。この充電モードに対して一対の充電速度閾値のみを選択する場合、第二のセグメントに対する下限充電速度閾値および第一のセグメントに対する上限充電速度閾値は、完全な充電モードに対して選択された可能性がある。これにより、広範囲の許容可能な充電速度がもたらされ、これは欠陥のある充電プロセスを検出し、充電プロセスの後の終了までの時間を延長することになる。代わりに、モードを複数のセグメントに細分することによって、方法の感度が強化され、欠陥のある充電プロセスが早期段階で検出され得る。
【0052】
充電閾値のうちの一つの突破は、変則的な突破であり得ることが可能であってよい。こうした場合、充電プロセスを停止する必要はないことになり、充電プロセスを停止することは望ましいことにはならないことになる。したがって、充電プロセスの早すぎる終了を回避するために、いずれかの充電閾値の複数の突破が必要とされ得る。それ故に、充電閾値のいずれかの繰り返しの突破のみ、充電プロセスの停止がトリガされる。要求される突破の数は、それぞれのエアロゾル発生システムの状況に応じて自由に選択され得る。充電プロセスの終了をトリガするであろう検出された突破の数は、例えば、5回、10回、または15回の突破であってもよい。また、突破は連続的または非連続的な突破であることが要求される場合がある。また、連続的および非連続的突破の混合を使用して、トリガ閾値を定義することも可能であり得る。例えば、5回の連続した突破または10回の連続していない違反が判定された場合、充電は停止され得る。
【0053】
本発明の一実施形態によると、電池と充電コントローラとを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生システムは、上述の通り、充電する方法を遂行するように構成されている。この目的のために、充電コントローラは、電池の充電を開始し、電池の充電速度を示す電気パラメータを監視するように構成される。充電コントローラは、電池の充電速度を判定し、判定された充電速度を基準充電速度と比較するようにさらに構成されている。充電速度が基準充電速度から逸脱する場合、充電コントローラは電池が充電されることを抑制するように構成されている。
【0054】
充電コントローラは、所与の期間にわたる電気パラメータの変化を監視することによって電池の充電速度を判定するように、および判定された充電速度を基準充電速度と比較するように構成されてもよく、基準充電速度は、監視された電気パラメータの変化によって定義される。充電速度が基準充電速度から逸脱する場合、電池が充電されることを抑制する。
【0055】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生するエアロゾル発生装置を備えてもよい。エアロゾル発生システムはさらに、充電ケースを備え得る。充電ケースは携帯型充電ケースであってもよい。充電ケースは、充電目的のためにエアロゾル発生装置に接続されるように構成されてもよい。
【0056】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾルを発生するためにエアロゾル形成基体と相互作用する装置を指す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、エアロゾル形成基体を含むカートリッジとのうちの一方または両方と相互作用してもよい。一部の例では、エアロゾル発生装置はエアロゾル形成基体を加熱して、基体からの揮発性化合物の放出を容易にする場合がある。電気的に作動するエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを形成するための、電気ヒータなどのアトマイザーを備えてもよい。
【0057】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は、再充電可能電池と、再充電可能電池を外部電源に接続するための第一の電力インターフェースと、再充電可能電池から電気ヒータへの電源を制御するためのホストコントローラとを備える。エアロゾル発生装置は充電コントローラをさらに備える。充電コントローラは、エアロゾル発生装置のホストコントローラ内に含まれてもよい。別の方法として、充電コントローラは、エアロゾル発生装置の電池充電器ICに含まれてもよい。
【0058】
エアロゾル発生装置内に充電コントローラを提供することによって、充電に対するエアロゾル発生装置の汎用性が増大する。これらの実施形態では、充電プロセスは、エアロゾル発生装置内に設けられた回路によって制御されてもよい。充電プロセスを実行するために、エアロゾル発生装置を適切な外部電源に接続するだけで十分である。
【0059】
外部電源は、主電源からAC入力を受け取り、再充電可能電池を充電するのに適したDC電圧を出力する主電源ACアダプタであってもよい。典型的には、約5ボルトのDC出力が電源から供給される。
【0060】
電源に接続するための第一の電力インターフェースは、任意の適切な接続手段であってもよい。接続手段は、USB-AまたはUSB-CインターフェースなどのUSBインターフェースであってもよい。
【0061】
エアロゾル発生装置はホストマイクロコントローラをさらに備え得る。ホストマイクロコントローラは、エアロゾルがエアロゾル発生基体から発生できるように、電池からヒータへの電力の提供など、エアロゾル発生装置の必要な機能を実行するように構成され得る。ホストマイクロコントローラは、充電コントローラを備えるようにさらに構成されてもよい。したがって、ホストマイクロコントローラはまた、エアロゾル発生装置の再充電可能電池の充電プロセスを実行および制御するように構成されてもよい。
【0062】
エアロゾル発生装置はまた、別個の電池充電器ICを備えてもよい。電池充電器ICが設けられる場合、電池充電器ICは、エアロゾル発生装置の再充電可能電池の充電プロセスを実行および制御するように構成され得る。
【0063】
エアロゾル発生装置の再充電可能電池は、ホストマイクロコントローラおよびヒータに電力を提供し、その結果、エアロゾル発生装置は、電源に接続されなくなった時に使用され得る。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、上述のようにエアロゾル発生装置用の充電ケースが提供される。充電ケースは、再充電可能電池と、充電ケースの再充電可能電池を外部電源に接続するための第一の電力インターフェースとを備えてもよい。充電ケースは、充電ケースの再充電可能電池をエアロゾル発生装置の再充電可能電池に接続するための第二の電力インターフェースを備えてもよい。充電ケースは、エアロゾル発生装置の再充電可能電池を充電するための充電コントローラをさらに備えてもよい。
【0065】
充電ケース内に充電コントローラを提供することによって、エアロゾル発生装置内に充電コントローラを提供する必要はない。それ故に、エアロゾル発生装置において必要とされる電子回路はより少ない。これは、エアロゾル発生装置の製造の複雑さを低減し得る。同時に、エアロゾル発生装置の製造プロセスのコスト効率が増大する場合がある。
【0066】
さらに、外部電源は、主電源からAC入力を受信し、DC電圧を出力する主電源ACアダプタであってもよい。充電ケースを電源に接続するための第一の電力インターフェースは、任意の適切な接続手段であってもよい。接続手段は、USB-AまたはUSB-CインターフェースなどのUSBインターフェースであってもよい。
【0067】
充電ケースの再充電可能電池をエアロゾル発生装置の再充電可能電池に接続するための第二の電力はまた、任意の適切な接続手段であってもよく、さらにUSBインターフェースであってもよい。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、上述のようにエアロゾル発生装置用の充電ケースが提供される。充電ケースは、再充電可能電池と、充電ケースの再充電可能電池を外部電源に接続するための第一の電力インターフェースとを備えてもよい。充電ケースは、充電ケースの再充電可能電池をエアロゾル発生装置の再充電可能電池に接続するための第二の電力インターフェースを備えてもよい。充電ケースは、充電ケースの再充電可能電池を充電するための充電コントローラを備えるホストマイクロコントローラをさらに備えてもよい。別の方法として、充電ケースは、充電ケースの再充電可能電池を充電するための充電コントローラを備える電池充電器ICを備えてもよい。
【0069】
充電ケースのホストマイクロコントローラは、充電ケースの必要な機能を実行するように構成されてもよい。こうした機能は、エアロゾル発生装置からのデータのダウンロードを含み得る。ホストマイクロコントローラはまた、コンピュータなどの外部装置と通信するように構成されてもよい。ホストマイクロコントローラは、USBインターフェースを介して、エアロゾル発生装置からコンピュータなどの外部装置にダウンロードされたデータの送信を実行するように構成されてもよい。
【実施例
【0070】
本発明は、特許請求の範囲に定義される。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わせられ得る。
【0071】
実施例A:
エアロゾル発生システム内の電池を充電するための方法であって、
-電池の充電を開始する工程と、
-電池の充電速度を示す電気パラメータを監視する工程と、
-前記電池の前記充電速度を判定する工程と、
-判定された充電速度を基準充電速度と比較する工程と、
-充電速度が前記基準充電速度から逸脱する場合、前記電池が充電されることを抑制する工程と、を含む、方法。
実施例A’:
エアロゾル発生システム内の電池を充電するための方法であって、前記方法が、
-電池の充電を開始する工程と、
-電池の充電速度を示す電気パラメータを監視する工程と、
-所与の期間にわたる電気パラメータの変化を監視することによって、電池の充電速度を判定する工程と、
-判定された充電速度を基準充電速度と比較する工程であって、基準充電速度が、監視された電気パラメータの変化によって定義される、比較する工程と、
充電速度が基準充電速度から逸脱する場合、電池が充電されることを抑制する工程と、を含む、方法。
実施例B:
電池の充電速度を示す複数のパラメータが監視される、実施例Aまたは実施例A’に記載の方法。
実施例C:
充電速度を示すパラメータが、電池の充電状態および電池の出力電圧である、実施例Aまたは実施例A’に記載の方法。
実施例D:
充電速度を示すパラメータが、電池の充電状態および電池に印加される充電電流である、実施例Aまたは実施例A’に記載の方法。
実施例E:
基準充電速度が、予想される充電速度である、実施例A~Dのいずれかに記載の方法。
実施例F:
電池が再充電可能リチウムイオン電池である、実施例A~Eのいずれかに記載の方法。
実施例G:
充電速度が基準充電速度から少なくとも所定の偏差だけ逸脱する場合、電池の充電が抑制される、実施例A~Fのいずれかに記載の方法。
実施例H:
充電プロセスが、異なる充電モードを含む、実施例A~Gのいずれかに記載の方法。
実施例I:
充電プロセスが、プリチャージモード、電流調節モード、および電圧調節モードを含む、実施例A~Hのいずれかに記載の方法。
実施例J:
監視される電池の充電速度を示すパラメータが、適用される充電モードに応じて選択される、実施例A~Iのいずれかに記載の方法。
実施例K:
充電速度を示すパラメータが、電池の出力電圧、電池に印加される電流、電池に供給されるエネルギー、電池に供給される電力、または電池の充電状態である、実施例A~Jのいずれかに記載の方法。
実施例L:
電気パラメータを監視する工程が、第一の時間で電気パラメータを判定する工程と、第二の時間で電気パラメータを判定する工程とを含む、実施例A~Kのいずれかに記載の方法。
実施例M:
電池の充電速度を判定する工程が、第一の時間および第二の時間で判定された電気パラメータの変化と、第一の時間と第二の時間との間の時間差との比を計算する工程を含む、実施例Lに記載の方法。
実施例N:
基準充電速度が、エアロゾル発生システムのデータストレージユニットに格納された充電スキームから決定される、実施例A~Mのいずれかに記載の方法。
実施例O:
基準充電速度が、監視された電気パラメータの変化として定義される、実施例A~Nのいずれかに記載の方法。
実施例P:
充電速度を判定する工程が、第一の時間と第二の時間との間の電気パラメータの変化を監視する工程を含む、実施例A~Oのいずれかに記載の方法。
実施例Q:
前記方法が、電気パラメータの監視された変化が、基準充電速度によって定義された監視された電気パラメータの変化よりも小さいと判定することによって、充電速度が基準充電速度から逸脱すると判定する工程をさらに含む、実施例Oおよび実施例Pのいずれか一方に記載の方法。
実施例R:
プリチャージモードおよび/または電流調節充電モードにおいて、基準充電速度を判定する工程が、
電池の出力電圧を判定する工程と、
それぞれの充電モードについて、出力電圧と所定の閾値電圧との間の差dVを判定する工程と、
基準時間dTを判定して、電池を出力電圧から閾値電圧に充電する工程と、
dVをdTで割ることによって、基準充電速度を計算する工程と、を含む、実施例A~Qのいずれかに記載の方法。
実施例S:
基準時間dTは、電池を充電するために印加される電流に依存する、実施例Rに記載の方法。
実施例T:
電圧調節充電モードにおいて、基準充電速度を判定する工程が、
電池への充電電流IRCを判定する工程と、
充電電流IRCと終端電流ITCとの間の差dIを判定する工程と、
充電電流が前記終端電流と等しくなるまで、電池を充電するための基準時間dTを判定する工程と、
dIをdTで割ることによって、基準充電速度を計算する工程と、を含む、実施例A~Sのいずれかに記載の方法。
実施例U:
基準時間dTは、電池を充電するために利用可能な電流に依存する、実施例Tに記載の方法。
実施例V:
基準充電速度が、下限充電速度閾値と/または上限充電速度閾値との間の充電速度の範囲として定義される、実施例A~Uのいずれかに記載の方法。
実施例W:
下限充電速度閾値および上限充電速度閾値が、決定された基準充電速度にスケーリング係数を乗じることから決定される、実施例Vに記載の方法。
実施例X:
下限充電速度閾値を決定するためのスケーリング係数が(1-X)に定義され、上限充電速度閾値を決定するためのスケーリング係数が(1+X)に定義され、Xが最大0.9に相当してもよく、Xが最大0.8に相当してもよく、Xが最大0.6に相当してもよく、Xが最大0.4に相当してもよく、Xが最大0.2に相当してもよく、Xが最大0.1に相当してもよい、実施例Wに記載の方法。
実施例Y:
下限充電速度閾値および上限充電速度閾値のスケーリング係数を決定するためのパラメータXが、同じである、実施例Xに記載の方法。
実施例Z:
充電モードが複数のセグメントに分割され、基準充電速度ならびに上限および下限充電閾値が、それぞれの充電モードの各セグメントに対して異なる、実施例A~Yのいずれかに記載の方法。
実施例ZA:
基準充電速度が、充電速度および時間を示すパラメータ間の線形または非線形の関係によって定義される、実施例A~Zのいずれかに記載の方法。
実施例ZB:
電池の充電速度を示す電気パラメータの連続的に監視された値が記録され、これらの記録された値が、充電速度および時間を示すパラメータ間の線形または非線形の関係に従って基準充電速度と比較される、実施例ZAに記載の方法。
実施例ZC:
充電が、充電速度が少なくとも所定の回数にわたり基準充電速度から逸脱することが見出された後にのみ抑制される、実施例A~ZBのいずれかに記載の方法。
実施例ZD:
充電が、充電速度が基準充電速度から少なくとも5回、少なくとも10回、または少なくとも15回にわたり逸脱することが見出された後にのみ抑制される、実施例ZCに記載の方法。
実施例ZE:
エアロゾル発生システム用の充電コントローラであって、前記充電コントローラが、
電池の充電を開始し、
電池の充電速度を示す電気パラメータを監視し、
電池の充電速度を判定し、
判定された充電速度を基準充電速度と比較し、
充電速度が、少なくとも所定の偏差だけ基準充電速度から逸脱する場合、電池が充電されることを抑制するように構成される、充電コントローラ。
実施例ZE’:
エアロゾル発生システム用の充電コントローラであって、前記充電コントローラが、
電池の充電を開始し、
電池の充電速度を示す電気パラメータを監視し、
所与の期間にわたる電気パラメータの変化を監視することによって、電池の充電速度を決定し、
判定された充電速度を基準充電速度と比較し、基準充電速度は、監視された電気パラメータの変化によって定義され、
充電速度が、少なくとも所定の偏差だけ基準充電速度から逸脱する場合、電池が充電されることを抑制するように構成される、充電コントローラ。
実施例ZF:
再充電可能電池と、再充電可能電池を外部電源に接続するための第一の電力インターフェースと、再充電可能電池から電気ヒータへの電源を制御するためのホストコントローラとを備えるエアロゾル発生装置であって、
ホストコントローラが、再充電可能電池を充電するため実施例ZEまたは実施例ZE’の充電コントローラを備え、
または、
エアロゾル発生装置が、再充電可能電池を充電するため実施例ZEまたは実施例ZE’の充電コントローラを備える電池充電器ICを備える、エアロゾル発生装置。
実施例ZG:
エアロゾル発生装置用の充電ケースであって、再充電可能電池と、充電ケースの再充電可能電池を外部電源に接続するための第一の電力インターフェースと、充電ケースの再充電可能電池をエアロゾル発生装置の再充電可能電池に接続するための第二の電力インターフェースとを備える、充電ケースであって、
充電ケースが、エアロゾル発生装置の再充電可能電池を充電するための実施例ZEまたは実施例ZE’の充電コントローラをさらに備える、充電ケース。
実施例ZH:
エアロゾル発生装置用の充電ケースであって、再充電可能電池と、充電ケースの再充電可能電池を外部電源に接続するための第一の電力インターフェースと、充電ケースの再充電可能電池をエアロゾル発生装置の再充電可能電池に接続するための第二の電力インターフェースとを備える、充電ケースであって、
充電ケースが、充電ケースの再充電可能電池を充電するため実施例ZEまたは実施例ZE’の充電コントローラを備えるホストマイクロコントローラをさらに備え、
または、
充電ケースが、充電ケースの再充電可能電池を充電するため実施例ZEまたは実施例ZE’の充電コントローラを備える電池充電器ICを備える、充電ケース。
【0072】
一つの実施形態に関して記載される特徴は、他の実施形態にも等しく適用され得る。
【0073】
ここで、添付の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1図1は、典型的な従来技術の充電プロセスを示す。
図2図2は、充電方法の第一の段階を示す。
図3図3は、充電方法の第二の段階を示す。
図4図4は、定電流調節モードにおける許容可能な充電速度範囲の決定を示す。
図5図5は、定電圧調節モードにおける許容可能な充電速度範囲の決定を図示する。
図6図6は、方法のタイミングの利点を示す。
図7図7は、充電方法の修正を示す。
図8図8は、エアロゾル発生システムの構成を示す。
図9図9は、充電ケースを含むエアロゾル発生システムを示す。
図10図10は、図9のエアロゾル発生システムの修正を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1では、リチウムイオン電池の典型的な充電プロセス10が図示されている。充電プロセスは、三つの異なる充電モードを本質的に含む。これらの充電モードは、プリチャージモード20、定電流調節モード22、および定電圧調節モード24と呼ばれる。図1で充電終了26と称される最終段階では、再充電可能電池の充電は終了する。
【0076】
図1では、充電電流30は暗灰色の線として描画され、電池電圧32は淡灰色の実線として描画される。やや消耗した電池の充電プロセス10を想定すると、充電プロセス10は、プリチャージモード20で開始する。
【0077】
プリチャージモード20では、「プリチャージ電流」(IPC)、34と呼ばれる第一の定電流が印加される。プリチャージ電流(IPC)は、約5mA以上であってもよい。一例では、プリチャージ電流(IPC)は、定電流調節モードで印加される電流の約10%であり得る。このプリチャージ電流34は、電池電圧32がプリチャージ電圧閾値(VPC)36に到達するまで印加される。プリチャージ電圧閾値(VPC)は、約2V~4V、約2.5V~3V、約3V、または約2V以下であってもよい。
【0078】
以下の充電モードでは、定電流調節モード22、「調節電流」(IRC)、38と呼ばれる第二の定電流が印加される。調節電流(IRC)は、約50mA~4Aであってもよい。この充電モードでは、電池電圧32は当初、ほぼ直線的に増大する。電池電圧32が調節電圧(VReg)40に近づくと、電池電圧32の増加は減速する。調節電圧は、約3V~4.5Vであってもよい。特に、調節電圧は約3.6V~3.7Vであってもよく、電池はリン酸鉄リチウムを含む。調節電圧は、約4V-4.5Vであってもよく、電池は酸化リチウムコバルト(LCO)、酸化リチウムニッケルマンガンコバルト(NMC)、または酸化リチウムニッケルコバルトアルミニウム(NCA)を含む。
【0079】
調節電圧(VReg)40に達すると、定電圧調節モード24が使用される。このモードでは、調節電圧(VReg)40に対応する定電圧が電池に印加され、一方で充電電流30は連続的に減少する。調節電圧(VReg)40は、充電電流30が充電終了電流(ITC)42に対応する所定のレベルに下がるまで印加される。図1のグラフでは、充電終了電流(ITC)42のレベルは、プリチャージ電流(IPC)34のレベルに対応する。しかしながら、充電終了電流(ITC)42は、プリチャージ電流(IPC)34よりも小さくてもよく、または充電終了電流(ITC)42は、プリチャージ電流(IPC)34よりも大きくてもよい。
【0080】
充電電流30が充電終了電流(ITC)42に達すると、電池はその所望の充電状態に達したとみなされ、充電が停止される。
【0081】
図1に示した従来技術の充電プロセス10は、典型的には数時間または数分続く。従来の充電システムでは、タイミング安全機能が使用される。この安全機能によると、充電は、電池の充電状態とは無関係に、所定の時間の後に終了する。それによって、その所望の充電状態(SoC)に決して達することができない欠陥がある電池が連続的に充電されることが防止される。この安全機能は、充電中の壊滅的な故障のリスクを低減する。
【0082】
充電方法は、充電の問題をすでに早期の段階で識別し、こうした問題が検出されると充電を終了することを目的としている。
【0083】
方法は、図2および図3のフローチャートによって図示されている。この方法は、ホストマイクロコントローラおよび電池充電ICを備えるエアロゾル発生システムで実行される。方法の第一の段階50を図2のフローチャートに示す。この段階では、充電コントローラは、どの充電モードが適用されるかを決定する。充電プロセスの開始52の後、充電コントローラは、工程54で電池の出力電圧(Vb)を決定する。
【0084】
出力電圧(Vb)がプリチャージ閾値電圧(VPC)を下回る場合、プリチャージモードに工程56で入る。
【0085】
出力電圧(Vb)がプリチャージ閾値電圧(VPC)を上回るが、調節電圧(VREG)を下回る場合、定電流調節モードに工程58で入る。
【0086】
出力電圧(Vb)が調節電圧VREGと一致するか、またはそれより大きい場合、工程59で電圧電流調節モードに入る。
【0087】
第一の段階50での充電モードの選択が完了すると、図3に示す通り、充電プロセスは第二の段階60で継続される。第二の段階60では、電池充電器ICは、選択された充電モードをホストマイクロコントローラに伝達する(工程62)。次に、ホストマイクロコントローラは、図3のフローチャートの工程64に図示するように、決定された充電モードに基づいて、基準(または「予想される」)充電速度を選択する。
【0088】
図2および図3の例では、各充電モードについて、上限および下限充電速度閾値がホストマイクロコントローラのメモリに格納される。工程64では、選択された充電モードに対するこれらの格納された充電閾値は、ホストマイクロコントローラのメモリから読み取られる。したがって、この例では、予想される充電速度は、充電速度の範囲として定義される。
【0089】
ホストマイクロコントローラが所与の充電モードに対して予想される充電速度を選択した後、ホストマイクロコントローラは、定期的なサンプリング間隔で電池が充電される速度を監視する。これは、充電速度を示す電気パラメータを監視することによって行われる。充電モードに応じて、このパラメータは、電池電圧の変化またはサンプリング時間にわたる充電電流の変化の振幅であってもよい。それぞれの監視された電気パラメータは、方法工程66で第一の時間に測定される。サンプリング時間のため一時停止後(工程68)、監視された電気パラメータは、方法工程70で第二の時間に測定される。監視された電気パラメータが依然として選択された充電モードと一致しているという確認の後(工程72)、充電速度は、工程74の電気パラメータに対するこれらの二つの測定値に基づいて計算される。充電速度は、第一および第二の時間で測定された電気パラメータの二つの値と、これらの二つの測定値間のサンプル時間dTとの間の差の比として計算される。
【0090】
図2および図3の例では、上限閾値および下限閾値が予想される充電速度を定義し、変化の振幅が上限閾値または下限閾値のいずれかを突破する場合、充電は方法工程76で終了する。
【0091】
判定された充電速度が予想される充電範囲内である場合、充電は継続が許容される。この目的のために、方法は、充電速度を再度判定することによって、工程66で継続する。
【0092】
一例では、充電およびサンプル時間(Ts)の予想速度は、予め定義され、メモリに格納されてもよく、それぞれが特定の充電モードと関連している。例えば、プリチャージモードは、1時間の絶対最大時間後に終了すると予想され得る(例えば、低充電電流、低温、および高電池容量などの低速充電速度をもたらすことになる充電条件を想定する)。さらに、電池出力電圧の最大変化は、プリチャージ電圧閾値(VPC)から電池の最も低い合理的な電圧出力を引いたもの、例えば3V-2V=1Vであると予想され得る。したがって、プリチャージモードのためにメモリに格納された所定の予想される充電速度は、1時間後の電池出力電圧の増加の1Vであり得る。したがって、予想される充電速度は、電池の電圧出力の差、例えば1Vとして定義されてもよく、サンプル時間(Ts)は1時間に設定されてもよい。次に、電池の電圧出力が1時間で1V未満の値だけ増加していない場合、コントローラはシステム内に問題があることを検出することができ、充電を防止または抑制することができる。
【0093】
定電流調節モードは、3時間の絶対最大時間後に終了すると予想され得る(この場合も、例えば、低充電電流、低温、および高電池容量などの低速充電速度をもたらす充電条件を想定する)。加えて、電池出力電圧の最大変化は、調節電圧(VReg)からプリチャージ電圧閾値(VPC)を引いたもの、例えば4.2V-3V=1.2Vであると予想され得る。従って、プリチャージモードのためにメモリに格納された所定の予想される充電速度は、3時間後の電池出力電圧の増加の1.2Vであってもよい。したがって、予想される充電速度は、電池の電圧出力の差、例えば1.2Vとして定義されてもよく、サンプル時間(Ts)は3時間に設定されてもよい。次に、電池の電圧出力が3時間で1.2V未満の値だけ増加していない場合、コントローラはシステム内に問題があることを検出することができ、充電を防止または抑制することができる。
【0094】
定電圧調節モードは、2時間の絶対最大時間後に終了すると予想され得る(この場合も、例えば、低い利用可能な充電電流、低温、および高電池容量などの低充電速度をもたらす充電条件を想定する)。加えて、電池を充電するために印加される電流の最大変化は、調節電流(IRC)からプリチャージ電流(IPC)を引いたもの、例えば2A-0.2A=1.8Aであると予想され得る。従って、プリチャージモードのためにメモリに格納された所定の予想される充電速度は、2時間後に電池を充電するために印加される電流の減少の1.8Aであってもよい。したがって、予想される充電速度は、電池を充電するために印加される電流、例えば1.8Aの差として定義されてもよく、サンプル時間(Ts)は2時間に設定されてもよい。次に、電池を充電するために印加される電流が2時間で1.8A未満の値だけ減少していない場合、コントローラはシステム内に問題があることを検出することができ、充電を防止または抑制することができる。
【0095】
別の例では、予想される充電速度の許容可能な範囲はまた、図4および図5に図示するように定義されてもよい。
【0096】
定電流調節モード22について、上限充電速度閾値(TUCR)および下限充電速度閾値(TLCR)は、以下の方法によって設定される。
【0097】
所与の出力電圧(Vb)について、第一の工程では、所与の電池電圧(Vb)と調節電圧閾値(V(Reg))との間の差(dVCR)が決定される。差(dVCR)は、例えば、充電が定電流調節モードの終了に近づいているときに非常に低くてもよい。この場合、差(dVCR)は、約0.1V以上であり得る。差(dVCR)は、例えば、充電が定電流調節モードの開始に向かっている時に高くてもよい。この場合、差(dVCR)は、VREGとVPCとの間の差、例えば、約2.5V近くであり得る。
【0098】
次のステップでは、所与の出力電圧(Vb)から調節電圧(VReg)に電池を充電するために必要な予想時間(dTCR)が決定される。予想時間(dTCR)は、例えば、充電が定電流調節モードの終了に近づいているときに非常に低くてもよい。この場合、差(dTCR)は、約10秒以上であり得る。予想される時間(dTCR)は、例えば、充電が定電流調節モードの開始に向かっている時に高くてもよい。この場合、予想される時間(dTCR)は、約5時間であり得る。電池の定格容量に応じて、予想時間(dTCR)は異なり、これは、高容量の電池は充電により多くの時間がかかるためであり、低容量の電池は充電にかかる時間がより短いためである。
【0099】
次いで、予想される平均充電速度を、dVCRとdTCRの比として計算する。この比は、電流調節モード22における時間に対する電池電圧32の通常の変化速度を与える。定電流調節モード22に対する上限充電速度閾値(TUCR)および下限充電速度閾値(TLCR)は、dVCR/dTCRにスケーリング係数(1.0+X)および(1.0-X)をそれぞれ乗じることによって計算される。この場合、Xは同一であり、また上限充電速度閾値および下限充電速度閾値(TUCRおよびTLCR)の両方に対して約0.15に設定される。予想される平均充電速度および充電速度閾値は、図4の破線および点線で示されている。破線は、電流調節モード22における予想される平均充電速度を示す。点線は、電流調節モード22に対する上限および下限充電速度閾値(TUCR、TLCR)をそれぞれ図示する。
【0100】
定電圧調節モード24について、上限および下限充電速度閾値は、以下の方法によって設定されてもよい。
【0101】
第一の工程では、充電電流が調節電流(IRC)と等しい点から充電電流が終了電流ICCと等しい点まで電池を充電する必要がある、予想される時間(dTVR)が決定される。
【0102】
次のステップでは、IRCとITCとの間の差(dIVR)、所与のdIVRを決定する。前述のように、ICTはIRCの約10%であり得る。したがって、dIVRは、約0.9×IRCであり得る。例えば、IRCが2Aである場合、dIVRは1.8Aであり得る。
【0103】
次いで、予想される平均充電速度は、dIVRとdTVRの比として計算される。
【0104】
この比は、電圧調節モードにおける時間に対する充電電流の通常の変化速度を与える。定電圧調節モードに対する上限充電速度閾値および下限充電速度閾値は、dIVR/dTVRにスケーリング係数(1.0+X)および(1.0-X)をそれぞれ乗じることによって計算される。この場合、Xは同一であり、上限閾値と下限閾値の両方に対して約0.15に設定される。これらの充電閾値を図5に示す。点線は、電圧調節モードにおける通常の充電速度を示す。実線は、電圧調節モードの上限充電速度閾値を示す。点実線は、電圧調節モードに対する下限充電速度閾値を示す。
【0105】
スケーリング係数は、時間に対する充電電流間の非線形の関係を考慮するように選択され得る。電圧調節モードでは、Xは、TUVRがこのモードの前半における通常の変化速度よりも高くなるように選択することができ(速度が最も速い)、Yは、TLVRがこのモードの後半における予想される変化速度よりも低くなるように選択することができる(速度が最も遅い)。
【0106】
充電方法の有利な効果は、図6の図によって図示されている。
【0107】
図6の図は、リチウムイオン電池の充電プロセスを示し、充電プロセス10全体を通して充電電流30および予想される電池電圧32を示す。
【0108】
図6の例では、電池電圧Vb0は、第一の時間T0で測定される。この測定に基づいて、充電コントローラは定電流調節モード22を選択し、定充電電流IRCを電池に印加する。次に、充電コントローラは、第二の時間T1で電池電圧Vb1を測定してもよい。図6で分かるように、回数T1での電池電圧Vb1は、その回数での予想される電池電圧をはるかに下回る。この理由から、ホストマイクロコントローラは、時間T1で充電速度が予想よりもはるかに低いと判定する。充電コントローラは、この状況をシステム内の障害を示すものとして解釈し、電池のさらなる充電を抑制する。したがって、充電中に既に潜在的な危険な状況を検出することができ、安全対策を講じることができる。
【0109】
従来使用される固定型安全タイマーアプローチは、電池の予想される総充電時間を超える期間TST後に、障害を推定し、充電を終了することができるのみである。したがって、TSTは、方法が障害を推定できる時間T1よりもはるかに大きい。したがって、本方法では、障害を推定することができ、従来適用された固定型安全タイマーシステムを使用することと比較して、是正措置をより迅速に行うことができる。
【0110】
図7では、特に非線形充電モード中に障害を推定するのにかかる時間を短縮することを可能にする方法が図示されている。この目的のために、非線形充電モードは複数のセグメントに分割され、それによって各セグメントはより密接に線形関係に従う。
【0111】
図7の例では、電流調節モードは二つのセグメントに分解される。第一のセグメントは、第二のセグメントよりも高い予想される充電速度を有する。従って、第二のセグメント内の上限充電速度閾値と比較して、より高い上限充電速度閾値を第一のセグメントに適用することができる。また、第二のセグメント内の下限充電速度閾値と比較して、より高い下限充電速度閾値を第一のセグメントに適用することができる。電流調節モードに対して一対の充電速度閾値のみを選択する場合、第二のセグメントに対する下限充電速度閾値、および第一のセグメントに対する上限充電速度閾値は、最も高いおよび最も低い予想される充電速度を表すため、選択され得る。しかしながら、これは、許容可能な充電速度の幅広い帯域をもたらすことになる。それ故に、許容できない充電速度として識別されるために、充電速度は平均的な予想される充電速度から強く逸脱する必要があることになる。これは、図7に示す通り、充電モードをセグメントに分割することと比較して、充電プロセスの障害が検出されるまでにより長い時間がかかることを意味することになる。
【0112】
方法を実行するために、ホストマイクロコントローラは、電池電圧または充電電流を測定することによって、充電が現在モードのどのセグメントにあるかを判定する。次に、閾値は、これらのパラメータに基づいて、例えば、それぞれが上限および下限充電速度閾値に関連付けられた電圧/充電電流のルックアップテーブルを参照することによって決定され得る。
【0113】
同じ原理が、完全な充電サイクルにわたって適用されてもよく、電圧調節モードおよび/またはプリチャージモードでも使用されてもよい。
【0114】
方法を実装するエアロゾル発生システム100の異なるアーキテクチャの三つの例を図8~10に示す。
【0115】
図8では、エアロゾル発生システム100は、充電のために外部電源102に接続することができるエアロゾル発生装置110を備える。
【0116】
図示の例では、電源102は、主電源からAC入力を受信し、USB-Cケーブルを介して5V DCを出力する、主電源ACアダプタである。エアロゾル発生装置110は、再充電可能リチウムイオン電池112と、電池112の充電を制御する電池充電器IC114とを備える。電池充電器IC114は、電力インターフェース116から電力を受け取り、充電のために電池112に送達する。
【0117】
エアロゾル発生装置110は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生できるように、電池からヒータ120への電力の提供など、エアロゾル発生装置110の必要な機能を実行するためホストマイクロコントローラ118をさらに備える。
【0118】
電池112は、ホストマイクロコントローラ118およびヒータ120に電力を供給し、その結果、エアロゾル発生装置110は、電源102にもはや接続されていない時に使用され得る。
【0119】
図9の例では、エアロゾル発生システム100は、充電ケース120をさらに備える。外部電源102からの電力は、充電ケース120内の再充電可能電池122を充電するために使用される。次に、充電ケース120の電池122は、エアロゾル発生装置110の電池112を充電するために使用される。エアロゾル発生装置110は、図8に示す前の例と本質的に同じ構造を有する。
【0120】
充電ケース120は、電池122と、充電ケース120内の電池122の充電を制御する電池充電器IC124とを備える。電池充電器IC124は、電力インターフェース126から電力を受け取り、充電のために電池122に送達する。電源102を充電ケース120に接続するための電力インターフェース126、および充電ケース120をエアロゾル発生装置110に接続するための電力インターフェース116は同一であり、両方ともUSB-Cタイプの接続である。
【0121】
充電ケース120はまた、エアロゾル発生装置110からのデータのダウンロード、およびUSB-Cインターフェースを介した外部コンピュータへのこのデータの送信など、充電ケース120の必要な機能を実行するためホストマイクロコントローラ128を備える。
【0122】
充電ケース120は、充電ケース電池122から電力を受け取り、所定の電圧5Vをエアロゾル発生装置110に出力する調整器129を含む。図8の例と同様に、エアロゾル発生装置110は、電池112と、エアロゾル発生装置110内の電池112の充電を制御する電池充電器IC114とを備える。電池充電器IC114は、その電力インターフェース116から電力を受け取り、充電のために電池112にそれを送達する。
【0123】
図10の例では、エアロゾル発生システム100は、充電ケース120を再び備え、図9に示す以前の例とほぼ同様である。
【0124】
しかしながら、この例では、エアロゾル発生装置110の電池112を充電する電池充電器IC125は、エアロゾル発生装置110自体ではなく、充電ケース120内に位置する。したがって、充電プロセスに関連するすべての電子制御回路は、充電ケース120内に位置する。次いで、これは、エアロゾル発生装置110内に位置するのに必要な回路が少ないことを意味する。これは、エアロゾル発生装置110の構成要素の数を低減することを可能にし、その結果、エアロゾル発生装置110の複雑さがより少なく、潜在的により小さな構造が想定され得る。
【0125】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは、本明細書に具体的に列挙されてもよく、列挙されていなくてもよい。したがって、この文脈では、数字AはA±10%として理解される。この文脈内では、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を与えないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは、本明細書に具体的に列挙されてもよく、列挙されていなくてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】