(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】医療機器の電力供給源のための変換器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/378 20060101AFI20241121BHJP
H02N 1/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A61N1/378
H02N1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534507
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 GR2022000071
(87)【国際公開番号】W WO2023111603
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524218042
【氏名又は名称】エリアス シオレス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】エリアス シオレス
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK02
(57)【要約】
心筋又は他の運動する器官の運動の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するための変換器(100)は、2つの可撓性ブロック(7、7’)を備え、複数の延伸可能な要素(1)の第1及び第2の端部は、第1及び第2の可撓性ブロック(7、7’)上に移動不可能に接続される。延伸可能な要素(1)の各々は、摩擦電気材料の層と、中空部分(6)と、を備える。複数の延伸可能な要素(1)の各々は、中空部分(6)内に装着されている摩擦電気らせん構造(3)を備え、摩擦電気らせん構造(3)は、延伸可能な要素(1)の中空部分(6)内で移動可能である複数のねじれた細長い要素(4)を備える。ねじれた細長い要素(4)の各々は、ロッドの形状を有し、ねじれた細長い要素(4)の各々は、摩擦電気材料層(2)と、導電性材料層(12)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心筋の運動の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するための機械的エネルギーの変換器(100)であって、
-第1の可撓性ブロック(7)と、
-第2の可撓性ブロック(7’)と、を備え、
-複数の延伸可能な要素(1)の第1及び第2の端部は、前記第1及び前記第2の可撓性ブロック(7、7’)上に移動不可能に接続されており、前記複数の延伸可能な要素(1)の各々は、摩擦電気材料の層と、中空部分(6)と、を備え、前記複数の延伸可能な要素(1)の各々は、前記中空部分(6)内に装着されている摩擦電気らせん構造(3)を備え、前記摩擦電気らせん構造(3)は、前記延伸可能な要素(1)の前記中空部分(6)内で移動可能である複数のねじれた細長い要素(4)を備える、変換器(100)。
【請求項2】
前記複数の前記細長い要素(4)の各々は、ロッドの形状を有し、前記細長い要素(4)の各々は、摩擦電気材料層(2)及び導電性材料層(12)を備える、請求項1に記載の変換器(100)。
【請求項3】
前記ねじれた要素(1)の前記摩擦電気層、及び前記細長い要素(4)の前記摩擦電気層は、運動によって直接接触する、請求項2に記載の変換器(100)。
【請求項4】
前記複数のロッド(4)は、3つのロッドからなる、請求項2又は3に記載の変換器(100)。
【請求項5】
前記第1の可撓性ブロック(7)の長さは、前記第2の可撓性ブロック(7’)よりも約1.2~2倍長い、請求項1~4のいずれか一項に記載の変換器(100)。
【請求項6】
前記第1の可撓性ブロック(7)の前記長さは、前記第2のブロック(7’)よりも1.7倍長い、請求項1~5のいずれか一項に記載の変換器(100)。
【請求項7】
前記複数の延伸可能な要素(1)の各々は、円筒形状を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の変換器(100)。
【請求項8】
前記複数の延伸可能な要素(1)の各々は、元の長さを有する可撓性材料で作製され、前記可撓性材料は、その元の長さと比較して最大40%伸長することが可能であり、かつその伸長が終了すると、その元の長さに復帰するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の変換器(100)。
【請求項9】
電気絶縁材料と抗線維化溶質との混合物を含むコーティングを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の変換器(100)。
【請求項10】
前記抗線維化溶質は、マグネシウム塩及びジメトキシフェニルプロパノールアミノ安息香酸を含む、請求項9の記載の変換器(100)。
【請求項11】
前記第1及び第2の可撓性ブロック(7、7’)は、第1の端部及び第2の端部と、前記第1及び第2の可撓性ブロック(7、7’)の各々の前記第1の端部から前記第2の端部まで長手方向に延在する(9)貫通孔と、を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の変換器(100)。
【請求項12】
前記複数の細長い要素(4)からの各細長い要素(4)は、少なくとも1つの電気接続部(11)を更に備え、前記電気接続部(11)は、張力下で、前記細長い要素(4)に受けて巻き付けられている、請求項1~11のいずれか一項に記載の変換器(100)。
【請求項13】
各細長い要素(4)の前記導電層(12)は、金属ワイヤ(10)と結合されており、前記ワイヤ(10)は、各可撓性ブロック(7、7’)の前記貫通孔(9)を通って延在する、請求項2~12のいずれか一項に記載の変換器(100)。
【請求項14】
ヒトの身体の器官の運動の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の変換器(100)の使用。
【請求項15】
ヒトの身体の心筋の収縮及び拡張によってもたらされる電力を生成するように構成された、電圧安定器及び蓄電池を備えるシステムとの、請求項14に記載の変換器(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月14日に出願されたギリシア国特許出願第2021/0100876号からの優先権を主張するものであり、その内容全体は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、ヒトの身体内に装着される医療機器の電力供給源のために使用される変換器の分野に関する。
【0003】
本開示は、概して、エネルギーがヒトの身体の自律運動に応答する形状変化からもたらされる電源に関する。更に、本開示は、具体的には、電源に作用する心臓及び胸腔の運動が電力の発生を引き起こすことになる、電源であるように構築された植え込み型変換器について言及する。
【背景技術】
【0004】
心臓ペースメーカ、除細動器、左心室補助器(本明細書では、以後、LVADと呼ばれる)、及び神経刺激器などの一般的な医療機器は、従来から、患者の心拍リズム及び機能を連続的に監視し、リズム障害がその機器によって検出された場合に、必要に応じて、心臓に電気パルスを送達するために、又はLVADの場合のように心臓から身体に血液を送り出すのを助けるために使用される。そのような医療機器は、それらの適切な機能のために、かなり大量のエネルギーを消費する。現在、それらの機能は、例えば、心臓ペースメーカ若しくは除細動器と共にヒトの身体内に植え込まれた電気エネルギー貯蔵器に基づくか、又は例えば、ヒトの皮膚を介してLVADと通信する外部携帯エネルギー蓄電池に基づく。しかしながら、これらの器具は、数年の連続的な動作の後に、心臓ペースメーカなどの機器のバッテリ交換の必要性のようないくつかの欠点を示し、これは、とりわけ、患者にとって短期の外科手術を必要とする。そのような手技は、感染及び他の合併症のリスクを増大させ、そのことは、重篤な罹病率又は死亡率をもたらすことが稀ではなく、重大な臨床的及び経済的負担を招く。更に、別の欠点は、例えば、LVADについて、携帯型のかさばるエネルギー貯蔵器の輸送が、医療機器の適切な機能性を確実にするために必要とされることである。同様の欠点はまた、その機能性のための基礎として電気エネルギーを有する他の植え込み型医療機器にも現れる。
【0005】
そのような医療機器(ペースメーカ、除細動器)の寿命を延ばすための解決策としては、電力消費機器に補助電力を効率的に供給することによるものである。これは、ヒトの身体によって行われる機械的仕事によって生成されるエネルギーを収穫することができ、それ以外の場合には、浪費され、そのエネルギーを電力に変換する、植え込まれたアセンブリを介して可能になり得る。魅力的な内部電源発生器は、ヒトが生きている限り、機械的エネルギーを連続的に送達するためのその能力に起因する心臓-胸腔システムである。したがって、機械対電力変換器を心臓自体又は横隔膜上に設置することによって、その中で生成されたかなりのエネルギーを利用し、電力を使用する任意の医療機器に電力を提供し得る。
【0006】
したがって、心臓又は横隔膜の機械的収縮/拡張のように、患者の器官のたくさんの自律運動によって生成されるものなど、接触印加力によって生成される機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することによって、医療機器の前述した欠点を克服する植え込み型機器を提供する必要がある。当然ながら、胸腔の内側では、いくつかの運動が、心臓運動、肺拡張、及び横隔膜運動などによって引き起こされ、包括的なエネルギー収穫源として機能することが想定される。次いで、そのような運動によって生成される電気エネルギーは、エネルギーと共に医療機器(ペースメーカ、又は他の選択された機器)に電力供給することが可能な電力管理及び貯蔵モジュールに送達される。
【0007】
特許文献1(欧州特許出願公開第2975759号号明細書)は、摩擦電気ナノ発電機、及び摩擦電気現象を利用して電気エネルギーを生成する材料について開示している。この摩擦電気ナノ発電機は、層の表面のうちの一方のみで周期的に接触する2つの摩擦材料層から構成され、それらの摩擦材料層は、それらの非接触表面上で、2つのそれぞれの導電性材料層に元来接続されている。より以前の生体内エネルギー収穫の試みでは、ペースメーカ及び他の植え込み型機器に電源を提供するために、心臓運動に応答する圧電現象が利用された。特許文献2(米国特許出願公開第2010/160994号明細書)は、エネルギーがヒトの身体の自律運動に応答する形状変化からもたらされる電源について開示している。電源に作用する心臓の運動が電力の発生を引き起こすように、ヒトの心臓内に植え込まれるように構成された自己内蔵型電源について記載されている。一例では、身体の生理学的要件に応答するための電力消費手段と、ヒトの身体内の組織によって曲げられたときに電流を発生させるように構成されたシース付き可撓性圧電式アセンブリを有する電源と、を備える、インプラントが開示されており、この圧電式アセンブリは、アレイ状に配列されて、ナノワイヤ層を形成する、複数の配向したナノワイヤを備え、この複数の配向したナノワイヤは、ポリマーマトリックス内にカプセル化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2975759号号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/160994号明細書
【発明の概要】
【0009】
本開示は、患者に問題を引き起こすことが既知である、医療機器におけるバッテリ交換のための外科手技を排除し、同時に、ペースメーカ又は他の選択された機器に供給する終生のエネルギー源を患者に提供するという、広く認識された必要性に対処する。
【0010】
本開示は、摩擦電気現象を利用し、バッテリを交換する必要がなく患者の寿命の間に医療機器に供給するのに十分な電力発生を提供する電力収穫アーキテクチャを備える変換器を導入する。構造は、心臓において配備可能であり、好ましくは、その全体において、又は肺及び横隔膜などの他の動いている器官において配備可能である。電気システムは、摩擦電気ナノ発電機と、電圧安定器-エネルギー管理機器と、蓄電池と、を含む。摩擦電気ナノ発電機は、複数の延伸可能な要素を備え、これらの延伸可能な要素は、心筋-胸腔運動から電力を発生させるための心筋への付着成長のために、要素の中空部分の内側で共にねじられた複数の摩擦電気らせん構造を備える。摩擦電気ナノ発電機は、摩擦電気ナノ発電機を周期的な運動に供する場所において患者内に植え込まれるように構成される。周期的な運動の例としては、呼吸、及び鼓動している心臓によって引き起こされる運動が挙げられる。別の例としては、骨格筋、及びその骨格筋を介して生成され得る身体運動が挙げられる。
【0011】
本開示の態様によれば、ヒトの身体の内側に植え込み可能な変換器が提供され、その変換器は、ヒトの身体の生理学的又は病理学的要件に応答する電力消費手段と、電源と、電力貯蔵器と、を含む。電源は、身体の組織によって曲げられたときに電流を発生し、かつ発生した電流を、電力消費手段に結合されている電力貯蔵器に伝達するように構成されているシース付き摩擦電気ナノ発電機アセンブリを備える。したがって、本開示は、エネルギーがヒトの身体の自律運動に応答した形状変化からもたらされる電源に関する。
【0012】
圧電素子に基づく変換器などの既知の変換器に勝る本開示の利点は、より多くのエネルギーを持続可能に生成するために、特にヒトの運動の周波数が低いこと(4Hz未満)に起因して、生体内の環境に最適化された摩擦電気現象を最良に利用することである。更に、エネルギー収穫潜在能力を最大化するように、構造的に設計される。
【0013】
第1の態様によれば、収縮期拡張期サイクル中の心筋の運動、並びに吸気に印加された正及び負の力によって引き起こされた機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するための植え込み型変換器が提供され、この変換器は、第1の可撓性ブロックと、第2の可撓性ブロックとを備え、複数の延伸可能な要素の第1及び第2の端部は、第1及び第2の可撓性ブロック上に元来移動不可能に接続されており、複数の延伸可能な要素の各々は、摩擦電気材料層及び中空部分を備え、複数の延伸可能な要素の各々は、中空部分内に装着されている摩擦電気らせん構造を備え、この摩擦電気らせん構造は、中空部分内で移動可能である複数のねじれた細長い要素を備える。したがって、中空部分は、3つの細長い要素の例では、摩擦電気らせん構造を収容しており、この摩擦電気らせん構造は、中空部分内の各延伸可能な要素の長手方向軸に沿って共にねじられ、各延伸可能な要素の中空部分内で移動可能である。いくつかの例では、延伸可能な要素及びねじれた細長い要素の両方は、摩擦電気及び導電性材料層の別個のセットを備え、そこでは、延伸可能な要素及び細長い要素の摩擦電気層は、運動によって直接接触するが、それらのそれぞれの導電性材料層は、互いに接触しない。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数の細長い要素の各々は、ロッドの形状を有し、細長い要素の各々は、摩擦電気層及び導電層を備える。
【0015】
いくつかの実施形態では、ねじれた要素の摩擦電気層、及び細長い要素の摩擦電気層は、運動によって直接接触する。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の可撓性ブロックは、平行六面体又は円筒形の形状のものである。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数のロッドは、3つのロッドからなる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の可撓性ブロックの長さは、心臓上に植え込まれる第2の可撓性ブロックの長さの約0.5~0.7であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の可撓性ブロックの長さは、心臓上に植え込まれる第2の可撓性ブロックの長さの約0.6である。
【0020】
いくつかの実施形態では、複数の延伸可能な要素の各々は、円筒形の形状を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、複数の延伸可能な要素は、元の長さを有する可撓性材料で作製され、当該可撓性材料は、その元の長さと比較して約25~40%だけ伸長することが可能であり、その伸長が終了すると、その元の長さに戻るように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の可撓性ブロックは、各々、一対の端部を備え、第1の可撓性ブロックの端部は、円を形成するように接続される。
【0023】
いくつかの実施形態では、変換器は、電気絶縁材料と抗線維化溶質との混合物でコーティングされる。
【0024】
いくつかの実施形態では、抗線維化溶質は、マグネシウム塩及びジメトキシフェニルプロパノールアミノ安息香酸を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の可撓性ブロックは、第1の端部及び第2の端部と、第1及び第2の可撓性ブロックの各々の第1の端部から第2の端部まで長手方向に延在する貫通孔と、を更に備え得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、各細長い要素は、張力下で、細長い要素に巻き付けられている電気接続部を備える。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の細長い要素からの各細長い要素の各導電性材料層は、金属ワイヤと結合され得、当該ワイヤは、各可撓性ブロックの貫通孔を通って延在する。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の延伸可能な要素からの各延伸可能な要素の各導電性材料層は、可撓性ブロックの同じ材料の物理的連続体であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、電圧安定器-エネルギー管理機器と、ヒトの身体の心臓の収縮及び拡張によってもたらされる電力を生成及び貯蔵するように構成された蓄電池と、を備えるシステムとの、本変換器の使用が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】心臓-胸腔運動から自然力を収穫する植え込み型変換器の正面図の縦断面の2D概略例解図である。
【
図2】複数のロッドを備える延伸可能な要素の断面図である。
【
図3】本開示による延伸可能な要素の縦断面図である。
【
図4a】第2の可撓性ブロックを示す、本開示の変換器の部分詳細概略例解図である。
【
図4b】第1の可撓性ブロックを示す、本開示の変換器の部分詳細概略例解図である。
【
図5】金属ワイヤ及び電気接続部を示す、本開示の一実施形態の部分詳細例解図である。
【
図6】外部絶縁材料を有さず、長手方向の貫通孔を有する第2の可撓性ブロックの部分詳細例解図である。
【
図7】変換器が心筋上に装着されている本開示の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ヒトの複数の病理学的条件の治療のために、心臓ペースメーカ、除細動器、LVAD、及び神経刺激器などであるが、これらに限定されない医療電子機器が使用されることは、当技術分野において、一般的に既知である。そのような機器は、それらの適切な機能のために、変動しやすく、しばしば大量のエネルギーを消費するという欠点を有する。更に、そのような医療機器は、例えば、ペースメーカ及び除細動器における一体化されたエネルギー蓄電池、又は皮膚を通して、例えば、LVADにおける主機器と通信する携帯型外部蓄電池のいずれかの提供を必要とする。したがって、そのような医療機器のバッテリの交換を頻繁に進めて、それらの医療機器が適切に動作することを確実にし、患者の健康を危険にさらすことを回避する必要がある。加えて、LVADの場合のように、既存のバッテリは、それらの機能に電力を供給するのに十分ではなく、外部蓄電池は、多くの場合、かなりの体積のものであり、したがって、患者らが移動するか、又は任意の日常活動を行って感染源を与える必要があるときに、患者に不便をもたらす。この技術的弱点は、より広範な患者集団における臨床上の実施を大いに拡大する必要があるときの主な制約事項である。
【0032】
したがって、本開示の目的は、前述の欠点を克服し、現在の安定器-エネルギー管理機器、及びヒトの身体内に設置された蓄電池を組み合わせて、例えば、患者の心臓及び胸腔の運動の機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することを介して、そのような医療機器の連続的でかつ信頼性の高い動作を提供する変換器を提供することである。そのような変換器は、医療機器と同時に植え込まれることが見通され、したがって、また、医療機器の連続動作に起因して必要とされ得る任意のバッテリ交換の必要性も排除する。
【0033】
ここで、本開示の態様による変換器の実施形態が、
図1~
図7を参照して説明されるであろう。この変換器は、具体的な例を参照して説明されるが、特許請求の範囲によって定義されるような一般的な範囲を逸脱することなく、これらの例に対して、修正及び変更が行われ得ることを理解されたい。特に、本明細書に図示及び/又は言及される様々な実施形態の個々の特性は、追加の実施形態において組み合わされ得る。結果的に、説明及び図面は、限定的なものではなく、例解的なものであるという意味で考慮されるべきである。図は、必ずしも縮尺通りではなく、例解的な態様を描写しており、本開示の範囲を限定することを意図されていない。描写される例解的な態様は、例示的なものとしてのみ意図されている。
【0034】
「例示的」という用語は、「理想的」ではなく、「例の」という意味で使用される。本開示の態様は、様々な修正及び代替の形態に適用可能であるが、それらの詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明されるであろう。しかしながら、本開示の態様を、説明される特定の実施形態に限定することを意図されていないことを理解されたい。逆に、本開示の意図は、本開示の範囲内に入る全ての修正形態、等価物、及び代替形態を網羅することである。
【0035】
様々な材料、構築方法、及び締着方法は、開示される実施形態の文脈で考察されるであろう。当業者は、材料、構築方法、及び締着方法に対する既知の代替物を認識し、それらの全ては、開示される実施形態と互換性があるものと見なされ、添付された特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0036】
この開示及び添付された特許請求の範囲で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、別途その内容が明確に規定しない限り、複数の指示対象を含む。この開示及び添付された特許請求の範囲で使用される場合、「又は」という用語は、別途その内容が明確に規定しない限り、「及び/又は」を含むその意味で一般に使用される。
【0037】
特許請求の範囲を含む本明細書全体にわたって、「備える(comprising a)」、「含む(including a)」、及び「有する(having a)」という用語は、別途記述されない限り、「1つ以上を備える(comprising one or more)」、「1つ以上を含む(including one or more)」、及び「1つ以上を有する(having one or more)」と同義であるものとして理解されたい。更に、特許請求の範囲を含む、本明細書に記述される任意の範囲は、別途記述されない限り、その端値を含むものとして理解されたい。説明された要素についての具体的な値は、当業者に既知である製造の許容範囲又は業界の許容範囲以内であると理解されるべきであり、「実質的に」、「ほぼ」、及び「おおむね」という用語の任意の使用は、そのような許容範囲以内に入ることを意味すると理解されるべきである。
【0038】
要素若しくは特徴が、別の要素若しくは特徴「の上にある」、「に係合される」、「に接続される」、又は「に結合される」ものとして本明細書で言及される場合、それは、他の要素若しくは特徴に直接上にあり得るか、それに係合され得るか、それに接続され得るか、若しくは又は結合され得るか、又は介在する要素又は特徴が存在し得る。対照的に、要素若しくは特徴が、別の要素若しくは特徴「の直接上にある」、「に直接係合される」、「に直接接続される」、又は「に直接結合される」ものとして本明細書で言及される場合、介在する要素又は特徴は、存在しない。要素又は特徴の間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様のやり方で解釈されるべきである(例えば、「間に」対「直接間に」、「隣接する」対「直接隣接する」等)。
【0039】
「頂部」、「底部」、「中間」、「内側」、「外側」、「真下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」等の空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために本明細書で使用されて、図面に例解されるような1つの要素又は特徴の、別の要素又は特徴に対する関係を説明し得る。空間的に相対的な用語は、図面に描写された配向に加えて、使用中又は動作中における機器の異なる配向を包含することが意図され得る。例えば、図面中の機器がひっくり返された場合、他の要素又は特徴の「下方(below)」又は「真下(beneath)」として説明される要素は、今度は、他の要素又は特徴の「上方(above)」に配向されることになる。したがって、例示的な用語「下方(below)」は、上方及び下方の両方の配向を包含することができる。機器は、別様に配向(90度又は他の配向に回転)され得、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。
【0040】
「第1」、「第2」等の用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、セクション、及び/又はパラメータを説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、セクション、及び/又はパラメータは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又はセクションを、別の領域、層、又はセクションから区別するためにのみ使用される。したがって、本明細書で考察される第1の要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、本発明の主題の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又はセクションと称され得る。
【0041】
図1に示すように、変換器100は、第1の可撓性ブロック7、第2の可撓性ブロック7’など、製造を単純化するために最小限の構成要素を含むことができ、第1及び第2の可撓性ブロックは、実質的に平行な平面内で動作するように配列されている。更に、変換器100は、第1の端部及び第2の端部を各々有する複数の延伸可能な要素1を備え、当該第1及び第2の端部は、変換器100の第1及び第2の可撓性ブロック(7、7’)上に、元来移動不可能に接続されている。いくつかの例では、複数の延伸可能な要素1の各々は、摩擦電気材料層2と、変換器100の複数の延伸可能な要素1の各々の中空部分6内に設置されている摩擦電気らせん構造3を包含する中空部分6を有する。そのような変換器は、摩擦電気ナノ発電機(Triboelectric Nanogenerator、TENG)の分野に属し、摩擦電気現象に起因して、それらの摩擦電気ナノ発電機は、印加された外力の機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0042】
本開示は、その様々な実施形態において、心臓運動の自然力を収穫して、貯蔵された収穫された電力を電力-消費手段に急送するためのシステムとして、実装することができる。電力消費手段は、例えば、ペースメーカ及び/又は除細動器、左心室補助器、人工心臓、例えば、容積及び圧力センサ、肺インピーダンスセンサ、化学センサ等の植え込み型感知器の公称電力要件を含むことができるが、これらに限定されないことが想定される。変換器は、心外膜の下、及び心筋層の上の低侵襲胸部外科手技を介して、心臓上に設置され得る。一例では、長い方の可撓性ブロックは、房室間溝の真下に装着され、この長い方の可撓性ブロックの端部は、心臓上に装着されるか、又は共に装着されるが、短い方の可撓性ブロックの端部は、共に装着されて円を形成し得、この円は、装着することなく自由に移動させる。他の例では、変換器は、低侵襲胸部外科手技を介して横隔膜上に設置され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、人の心臓の運動の機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されている変換器100が提供される。この変換器は、2つの実質的に平行な平面内で動作するように配列されている第1の可撓性ブロック7及び第2の可撓性ブロック7’を備える。第1及び第2のブロック(7、7’)は、それら自体が、Al、Cu、Ag、Au、炭素、又は他のナノファイバを用いて強化され、それらの効率を最大化するように機械的又は化学的に後処理された、PTFE、PDMS、PPT、PVDF、FEP、Kapton、Nylon、PETポリマーなどの任意の既知の好適な材料で作製された複合可撓性摩擦電気ブロック又はシリンダであり得、これにより、複数の用途のための電気エネルギー発生が可能になる。第1及び第2の可撓性ブロック(7、7’)は、押し出し成形プロセスなどの従来の製造方法と比較してより費用対効果の高い解決策を可能にする付加製造(3D印刷)を介して構築され得る。変換器は、複数の延伸可能な要素1を更に備え得、それらの各々は、第1の端部及び第2の端部を有する。延伸可能な要素は、延伸可能な要素に印加された生理学的力に応答して摩擦電気ナノ発電機として機能し、かつ電力を発生させるように構成され、それらの延伸可能な要素は、
図6に描写されるように、第1及び第2のブロック又はシリンダと同じ材料で作製され、同じ原理に従って、同じ方法を用いて同時に連続して構築される。各延伸可能な要素1のそれぞれの摩擦電気材料層2もまた、付加製造を介して同時に製造され、その場で機械的又は化学的に後処理され得る。
図1及び
図4aに見られるように、複数の延伸可能な要素1は、第1及び第2のブロック7、7’に対して、実質的に鉛直であり、格子を形成する。複数の延伸可能な要素1の各々の各第1及び第2の端部は、それぞれ、第1及び第2の可撓性ブロック7、7’に移動不可能に接続されており、したがって、変換器100の構造的完全性を確実にする。
【0044】
いくつかの例では、複数の延伸可能な要素1の各々は、
図2に見られるように、中空部分6と、中空部分6内に設置されている摩擦電気らせん構造3と、を備える。そのような摩擦電気らせん構造3は、ヒトの心臓の運動から、又は任意の他の運動する器官(肺、横隔膜、腹部など)から作り出される機械的エネルギーを利用して、電気エネルギーの生成に寄与する。更に、複数の摩擦電気らせん構造3の各々は、各細長い要素1の中空部分6内で移動可能である複数の摩擦電気ロッド4を更に備え得る。複数のロッド4は、本開示の教示から逸脱しなければ、2つ、3つ、4つ等のロッドであり得る。説明されている実施形態では、
図2に見ることができるように、3つのロッド4が描写されている。いくつかの例では、第1及び第2のブロック(7、7’)、並びに複数の延伸可能な要素1は、高い機械的強度及び増加したレベルの弾力性によって特徴付けられる同じ材料で作製され得、元のサイズに対してほぼ25~40%の滑らかな伸長の能力を提供する。更に、第1及び第2のブロック(7、7’)は、異なる長さのものであり得る。いくつかの例では、第1の可撓性ブロック7は、第2の可撓性ブロック(7’)より約1.2~2倍長くあり得る。他のより具体的な例では、第1の可撓性ブロック7の長さは、第2の可撓性ブロック7’の長さの約1.7倍である。他の例では、第1の可撓性ブロックの長さは、20~30cmの範囲内であり得、第2の可撓性ブロックの長さは、10~18cmの範囲内であり得る。第1及び第2のブロックの長さにおけるこのような差は、心臓のそれぞれの部位への適切な装着を確実にするために望ましく、機器の長さの範囲は、様々なサイズの心臓に適合させるために望ましい。詳細には、機器は、いかなる厳しい機械的制約を伴わずに、心筋運動に追従することが可能であるべきである。一般に既知であるように、心臓は、実質的に円錐台形状を有する。最も大きくなければならない、第1のブロック7についての最適な装着場所は、心室の基部(円錐の広い部分)であるのに対して、第2のブロック7’については、先端部であることが、実験後に確認されている。第1の可撓性ブロック7は、心臓の円錐の外周部を取り巻くことができるような長さ及び弾力性を有するものである。他の例では、第1及び第2の可撓性ブロック(7、7’)は、0.2~0.8cmの範囲にわたり得る同じ厚さのものであり得る。他の例では、第1及び第2の可撓性ブロック(7、7’)は、等しいサイズに決定され得、その理由は、この構成が横隔膜のアーチの間に装着される必要があり得るためである。
【0045】
いくつかの実施形態では、各延伸可能な要素1は、好ましくは、円筒形の形状の中空部分6を備え、その中空部分は、各延伸可能な要素の全長にわたって、かつ可撓性ブロック7、7’の両方の全幅にわたって長手方向に延在し、したがって、例えば、
図4a及び
図4bに見られるように、可撓性ブロック全体にわたって貫通孔8を作り出す。この貫通孔8は、延伸可能な要素1の中空部分6の内側に摩擦電気らせん構造を装填するために必要である。円筒形の形状は、それが、心臓又はヒトの身体の他の器官の運動中に、所与の空間におけるそれぞれの材料層間に相対的に大きい領域の摩擦電気相互作用を提供することによって、エネルギー収穫の潜在能力を最大化するため、重要である。利用可能な心臓表面のかなりの領域をカバーする、円筒形の形状の複数の延伸可能な要素を有することは、この用途の摩擦電気潜在能力を最大化する利点を提供し、したがって、本開示で説明されるように、ペースメーカなどのエネルギー消費医療機器の適切な機能のために必要である適切な量のエネルギーを結果的に収穫する。このように円筒形状の延伸可能な要素を有することは、ヒトの身体の心臓をちょうどカバーするシートを設置するなどの他の既知の方法と比較して有益であり、その理由は、円筒形状の延伸可能な要素がヒトの身体の心臓から生成されるエネルギーの利用を最大化するからである。いくつかの例では、また
図4a、
図4bに見られるように、第1及び第2の可撓性ブロック(7、7’)は、第1の端部及び第2の端部と、第1及び第2の可撓性ブロック(7、7’)の各々において、第1の端部から第2の端部まで長手方向に延在する貫通孔8と、を備え得る。
【0046】
いくつかの例では、複数の摩擦電気ロッド4の各々は、例えば、
図2に見られるように、2つの同心状材料層、特に摩擦電気層及び内側導電性材料層12を備える。そのような摩擦電気ロッド4は、好ましくは、円筒形であり、それらの複数においてらせん構造3を構成するように織り交ぜられている。構造3は、延伸可能な要素1の各々の中空部分6の内径の約25~50%の最大直径を有する。したがって、各摩擦電気要素4の直径は、約0.2~0.6cmのものであり得る。細長い要素1及び摩擦電気ロッド4の両方は、それらの元のサイズに対してほぼ25~40%の伸長、及びそれらのその初期状態への完全な弾力性復帰をもたらす有効な弾力性を示す。同じ
図2において、最も外側の層が絶縁材料5であることもまた示されている。
【0047】
図5に示されているいくつかの実施形態では、複数のロッドの各ロッド4は、各端部において、電気接続部11を備える。電気接続部11は、張力下で、各ロッド4の各端部に巻き付けられて、各ロッドが変換器100の動作中に安定に保持されることを確実にし得る。更に、複数のロッド3の各ロッド4の導電性材料層12は、各可撓性ブロック7、7’の貫通孔9を通って延在する金属ワイヤ10に取り外し可能に接続され得る。そのようにして、ロッド4は、変換器100の様々な構成要素に固定してかつ堅固に接続されている。ワイヤ10は、約0.3cm及び0.5cmの厚さを有し得、以下に限定されないが、鋼又はニッケル合金などの任意の好適な材料で作製され得る。好ましい実施形態では、摩擦電気層及び導電層12を備える3つのロッド4が、一体化された摩擦電気らせん構造3を形成する。摩擦電気らせん構造3が形成されると、それは、関連する孔8を通って対応する細長い要素1の中に挿入され、次いで、その孔は、シリコーンを用いて封止され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、ワイヤ10と同じ材料及び厚さの追加の金属ワイヤが、可撓性ブロックの端部上で、可撓性ブロックの導電性材料構成要素内に装着され、摩擦電気層2と摩擦電気ロッド4との間の電気回路を閉じる。
【0049】
いくつかの実施形態では、変換器100がその完全に組み立てられた状態にあるときに、その変換器は、電気絶縁材料及び抗線維化溶質を含む混合物5でその外面の全てに最終的にコーティングされて、例えば、
図2、
図3、
図4a、
図4b、
図5に見ることができるように、任意の反応性組織繊維化を回避する。このコーティングプロセスは、電気スプレー又は任意の他の好適な方法を通じて実施され得る。電気絶縁材料は、ポリテトラフルオルエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)又はゴムなどの任意の好適なポリマー材料から選択され得るが、これらに限定されない。抗線維化溶質は、マグネシウム塩及びジメトキシフェニルプロパノールアミノ安息香酸を含み得る。そのような材料は、例えば、それらがヒトの身体内に埋め込まれる機器のコーティングに植え込まれている場合、抗線維化特性を提供し、機器の植え込みに起因する、ヒトの身体からの任意の所望されない反応のリスクを軽減する。
【0050】
本開示による変換器100は、低侵襲手技を介して、心外膜の下、及び心筋層の上、ヒトの身体の心臓の周りに設置されることによって、外科手術中に使用され得、第2の可撓性ブロック7’は、房室間溝の真下で、非吸収性縫合糸を用いて心室の基部の心筋に固定され得、これに対して、他の縫合糸は、第2の可撓性ブロックが心臓の横方向軸に沿って一定のままであるように、第2の可撓性ブロック7’の各端部に接続する。更に、ヒトの身体の心臓の頂部を取り囲む第1の可撓性ブロック7は、第2の可撓性ブロックとしてはリベット締めされず、その端部のみが、縫合糸を用いて互いに接続されて、心臓運動に滑らかに追従する。変換器100は、両方の可撓性ブロックが横隔膜上に装着された状態で、横隔膜アーチを横切って設置され得る。更に、第2の可撓性ブロック7’の各端部から、電力ケーブルが出ており、電圧安定器-電気管理システム及び蓄電池に接続されている。電圧安定器及び蓄電池は、好ましくはシリコンで作成されたケーシング内に、ヒトの身体の心臓の近くに設置され得る。外科手術は、別の医療機器、例えば、変換器、並びにシステムの残り(電圧安定器及び蓄電池)をケーシングに接続される機械式ポンプを、胸部内の心臓の左心室の頂部において、同時に植え込むことを組み合わされ得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、変換器はまた、電磁波を伝送することを可能にする追加の電気機器も備え得、したがって、変換器を通過する電圧及び電流のデータ測定値の無線伝送の利点を提供する。無線伝送はまた、心臓又は他の器官の機能に関する有用な情報も提供することができる。疑似連続的とすることもできるそのような伝送は、発電メカニズムがヒトの身体に恒久的に植え込まれている場合にのみ、達成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、変換器はまた、心筋に対して電気刺激を直接送達することが可能なナノワイヤの追加の外層を備え得る。
【0053】
図7は、変換器が心筋上に装着されている本開示の一実施形態を示している。上部可撓性ブロック7は、縫い目21を介して心臓に装着されている。エネルギー管理システム22は、上部中実ブロック7及び下部中実ブロック7’に電気的に接続され、電気エネルギーを受け取って貯蔵する、当技術分野で既知である特徴を備える。
【0054】
上記の実施形態は、本発明の技術的解決策を単に例解するためのものであり、限定するものではないことに留意されたい。本発明は、上記の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者は、本発明の任意の修正物又は関連する代替物が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されていることを理解すべきである。
【0055】
本明細書における本開示は、特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は、本開示の原理及び応用の単なる例解的なものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0056】
1 延伸可能な要素
2 摩擦電気層
3 摩擦電気らせん構造
4 摩擦電気ロッド(細長い要素)
5 絶縁材料
6 延伸可能な要素の中空部分
7 可撓性ブロック
7’ 可撓性ブロック
8 延伸可能な要素の孔
9 各可撓性ブロックの貫通孔
10 ワイヤ
11 電気接続部
12 導電性材料層
12’ 導電性材料層
21 編み目
22 エネルギー管理システム
【国際調査報告】