(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】感染性結膜炎を処置するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 33/18 20060101AFI20241121BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241121BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241121BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241121BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20241121BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241121BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241121BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20241121BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241121BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241121BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A61K33/18
A61K47/32
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/24
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/40
A61P27/02
A61P31/04
A61P31/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534519
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 US2022052728
(87)【国際公開番号】W WO2023114222
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520091281
【氏名又は名称】ハーロウ アイピー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サアデ, デニス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB24
4C076CC31
4C076DD09
4C076DD37R
4C076DD38
4C076DD41R
4C076DD49R
4C076DD55R
4C076EE16
4C076EE16R
4C076EE23
4C076EE39
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA58
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZB32
4C086ZB33
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、概して、ポビドンヨードと組成物の眼毒性を低下させる賦形剤とを含む組成物を対象の感染眼に投与することによって感染性結膜炎を処置する方法であって、組成物は、ステロイド系抗炎症薬や非ステロイド系抗炎症薬を含まない、方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染性結膜炎の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記方法は、約0.6~1.25%(w/w)のポビドンヨードと、ポリビニルピロリドン、グリセリン、又はそれらの組み合わせから選択される量の賦形剤とを含む、治療有効量の組成物を前記対象の感染眼に投与することを含み、前記賦形剤の量は、Draizeウサギ眼試験の9日目において、前記組成物の眼毒性を、プラセボ対照と統計的に同程度のレベルまで低下させ、前記組成物は、ステロイド系抗炎症薬や非ステロイド系抗炎症薬を含まない、方法。
【請求項2】
前記ポビドンヨードが、約0.8%(w/w)の濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、ポリビニルピロリドンを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、約1~2%(w/w)のポリビニルピロリドンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、防腐剤、界面活性剤、pH調整剤、安定剤、緩和剤、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、グリセリンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、約1~2%(w/w)のグリセリンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、グリセリン及びポリビニルピロリドンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、約1~2%(w/w)のポリビニルピロリドン及び約1~2%(w/w)のグリセリンを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、防腐剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記防腐剤が、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、EDTA、ソルビン酸、ポリクオルタニウム1、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項5又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記防腐剤が、前記組成物中に約0.001重量%~1.0重量%の濃度を有する、請求項5、10、又は11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、界面活性剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、プルロニック(登録商標)F-68、プルロニック(登録商標)F-84、プルロニック(登録商標)F-127、プルロニック(登録商標)P-103、シクロデキストリン、ノノキシノール-9、Igepal Co-630、タイロキサポール、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項5又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤が、前記組成物中に約0.01重量%~2重量%の濃度を有する、請求項5、13、又は14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記緩和剤が、約4%(w/w)の濃度のポリエチレングリコールを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、約4.2~4.5のpHを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、約4.3のpHを有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、粘性溶液である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、前記組成物の眼忍容性を改善する量の、ステロイド系抗炎症薬、非ステロイド系抗炎症薬、メントール、メントール誘導体、ボルネオール、カンファーやN-アセチルシステインを含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記感染性結膜炎が、細菌性結膜炎である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記感染性結膜炎が、ウイルス性結膜炎である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ウイルス性結膜炎が、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、又はエンテロウイルスによって引き起こされる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ウイルス性結膜炎が、アデノウイルスによって引き起こされる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記処置が、プラセボ対照と比較して、ウイルス複製の測定された減少をもたらす、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記処置が、プラセボ対照と比較して、ウイルス力価の減少をもたらす、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記処置が、プラセボ対照と比較して、陽性培養の減少をもたらす、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記処置が、プラセボ対照と比較して、ウイルス排出期間の減少をもたらす、請求項22~24のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月14日に出願された「METHOD AND COMPOSITION FOR TREATING INFECTIOUS CONJUNCTIVITIS」と題する米国非仮出願第17/550,802号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、感染性結膜炎を処置するための方法及び組成物に関する。したがって、本発明は、薬学、医学、及び化学の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
ポビドンヨード(PVP-I)は、その抗菌性で知られている(Saggers,B.and Stewart,G.,1964)。それは、一般にほとんどの薬局で入手でき、消毒剤として広く使用されている。また、PVP-Iに対する耐性菌の徴候もなく、感染症対策として特に重要なツールとなっている。しかしながら、PVP-Iは、高濃度では眼に対する低い忍容性が観察されるため、眼科用製剤では敬遠されてきた。さらに、ウイルス性結膜炎の処置におけるPVP-Iの有効性に関しては、文献上、相反する報告が存在する。この問題に対するいくつかの解決策として、ステロイド系抗炎症薬及び非ステロイド系抗炎症薬を含有する製剤でPVP-Iを使用し、眼忍容性を向上させる方法がある。必要とされているのは、高い眼毒性を示さないか、又はステロイド系や非ステロイド系抗炎症薬を使用しない、対象の感染眼にPVP-Iを含む溶液を投与することによって感染性結膜炎を処置する方法である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の様々な態様の中には、感染性結膜炎の処置に有用な組成物がある。本組成物は、有効成分としてPVP-Iを含み、好ましくは、感染性結膜炎の処置に有効であり、プラセボ対照と比較した場合、眼忍容性に大きな差がない。本組成物は、ポリビニルピロリドン(PVP)、グリセリン、又はそれらの組み合わせから選択される賦形剤をさらに含む。賦形剤は、Draizeウサギ眼試験の9日目において、組成物の眼忍容性をプラセボ対照と統計的に同様のレベルまで低下させ得る。さらに、本組成物は、ステロイド系抗炎症薬も非ステロイド系抗炎症薬も含まない。本組成物の眼忍容性は、ステロイド系抗炎症薬や非ステロイド系抗炎症薬を使用しないで、プラセボ対照と同等であり得る。
【0005】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される組成物を使用した感染性結膜炎の処置方法である。本方法は、PVP-Iを有効成分として含み得る治療有効量の組成物を含む組成物を対象の感染眼に投与することを含む。本組成物はまた、賦形剤を含むことができ、この賦形剤は、Draizeウサギ眼試験の9日目において、本組成物の眼忍容性をプラセボ対照と統計的に同様のレベルまで低下させ得る。本方法は、ステロイド系抗炎症薬や非ステロイド系抗炎症薬の使用を含まなくてよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ウサギで実施したDraize眼毒性試験の結果を示す。配合1A~1Cはビグアジンポリマーを含み、配合1Dは本開示の組成物を含み、配合1Eはビヒクル対照を含んだ。
【
図2】ウイルス複製を測定するAd5ウイルス力価試験の結果を示す。配合1A~1Cはビグアジンポリマーを含み、配合1Dは本開示の組成物を含み、配合1Eはビヒクル対照を含んだ。
【
図3】ウイルス複製を測定する全培養当たりのAd5陽性培養の結果を示す。配合1A~1Cはビグアジンポリマーを含み、配合1Dは本開示の組成物を含み、配合1Eはビヒクル対照を含んだ。
【
図4】Ad5の感染の長さを決定するAd5排出期間試験の結果を示す。配合1A~1Cはビグアジンポリマーを含み、配合1Dは本開示の組成物を含み、配合1Eはビヒクル対照を含んだ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明が開示され、説明される前に、本発明は、本明細書に開示される特定の方法、組成物、又は材料に限定されるものではなく、関連技術分野における通常の当業者によって認識されるであろうそれらの等価物に拡張されることを理解されたい。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のみに使用され、限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0008】
本明細書において、濃度、量、及びその他の数値データは、範囲形式で表現又は提示される場合がある。そのような範囲形式は、単に便宜上及び簡潔さのために使用され、範囲の限界として明示的に列挙された数値だけでなく、各数値及び部分範囲があたかも明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値又は部分範囲を含むように柔軟に解釈されるべきであることも理解されたい。例示として、「約2~約50」の数値範囲は、明示的に列挙された2~50の値だけでなく、指示された範囲内の個々の値及び部分範囲もすべて含むものと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲に含まれるのは、2、2.4、3、3.7、4、5.5、10、10.1、14、15、15.98、20、20.13、23、25.06、30、35.1、38.0、40、44、44.6、45、48、及び部分範囲、例えば1~3、2~4、5~10、5~20、5~25、5~30、5~35、5~40、5~50、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50などである。これと同じ原則が、最小値又は最大値として1つの数値のみを示す範囲にも適用される。さらに、そのような解釈は、範囲の広さ又は記載されている特徴に関係なく適用されるべきである。
【0009】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の値が終点より「少し上」又は「少し下」である可能性を提供することによって、数値範囲の終点に柔軟性を提供するために使用される。例えば、終点は、記載された値の10%、8%、5%、3%、2%、又は1%以内であり得る。さらに、便宜上及び簡潔にするために、「約50mg/mL~約80mg/mL」という数値範囲は、「50mg/mL~80mg/mL」という範囲も支持するものと理解されたい。終点は、FDA、USPなどの適切な規制機関によって許容される変動性に基づいていてもよい。
【0010】
本開示において、「comprises(含む)」、「comprising(含む)」、「containing(含有する)」、及び「having(有する)」などは、米国特許法においてそれらに付与される意味を有することができ、「includes(含む)」、「including(含む)」などを意味することができ、一般にオープンエンドな用語であると解釈される。「consisting of(からなる)」又は「consists of(からなる)」という用語はクローズドエンド用語(closed terms)であり、そのような用語とともに具体的に列挙された構成要素、構造、ステップなどのみを含み、並びに米国特許法に従ったものを含む。「consisting essentially of(から本質的になる)」又は「consists essentially of(から本質的になる)」は、米国特許法でそれらに一般に付与されている意味を有する。具体的には、そのような用語は、一般にクローズドエンド用語(closed terms)であり、これに関連して使用される項目(複数可)の基本的かつ新規な特性又は機能に重大な影響を与えない追加的な項目、材料、成分、ステップ、又は要素の包含を許容することを例外とする。例えば、組成物中に存在するが、組成物の性質又は特性に影響を与えない微量元素は、そのような用語に続く項目のリストに明示的に列挙されていなくても、「本質的に~からなる」という文言の下で存在する場合は許容されるであろう。本明細書において、「comprising(含む)」又は「including(含む)」のようなオープンエンドの用語を使用する場合、あたかも明示的に記載されているかのように、「consisting essentially of(から本質的になる)」という文言にも、「consisting of(からなる)」という文言にも直接的な支持が与えられるべきであり、その逆もまた同様であると理解される。
【0011】
本明細書で使用される場合、「対象」とは哺乳動物を指す。対象の例としては、ヒトが挙げられ、ウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギ、及び水生哺乳類などの他の動物も挙げられ得る。一態様では、対象はヒトであり得る。
【0012】
本明細書で使用される場合、「眼忍容性」及び「眼毒性」とは、それぞれ、対象の眼に対する明白な有害作用が、対象によって耐えられ得る程度、又は測定可能な毒性を生じる程度を指す。眼忍容性と眼毒性とは、反比例の関係にある。眼忍容性又は眼毒性は、ヒト又は他の適切な対象で測定することができる。例えば、眼忍容性は、Draizeスケールを使用して測定することができる。Draizeスケール法は、非ヒト対象(通常はウサギ)の片眼の下結膜嚢及び角膜に100μLの試験液を点眼し、その後に生理食塩水で洗浄することを含む。対象のもう片方の眼には液体を投与せず、処置眼と比較する対照眼とする。角膜混濁、結膜充血、結膜浮腫、眼脂、虹彩異常、及びその他の基準を、予め定義された間隔で記録する。記録された症候は、「最大平均スコア」に展開される。Draize試験の結果を使用して、試験液を無刺激性(non-irritating)、実質的に無刺激性(practically non-irritating)、最小刺激性(minimally irritating)、軽度刺激性(mildly irritating)、中等度刺激性(moderately irritating)、重度刺激性(severely irritating)、極度刺激性(extremely irritating)、又は最大刺激性(maximally irritating)と記述することができる。Draize試験は、眼忍容性を測定する最も一般的に実施されている試験である。
【0013】
眼忍容性を測定する他の方法には、少容量眼刺激試験(LVET)などのインビボ試験が含まれる。LVETはDraize試験とは異なり、少容量の試験物質(10μL)が注入される。しかしながら、LVETには依然として動物が使用されている。さらに、LVET試験で少容量で刺激が生じなかった場合、標準的な手順は、容量を増やして試験を繰り返すことである。眼毒性に関するエクスビボ試験には、単離/眼球摘出臓器/器官型法が含まれるが、そのような試験は物質の全身的影響を予測することはできず、短期間の評価期間にしか使用できない。細胞毒性評価、角膜上皮モデル、及び角膜等価物などの、眼毒性を測定するためのインビトロ試験も存在する。
【0014】
眼忍容性を測定するための別の方法は、COMTOL(Comparison of Ophthalmic Medication for Ocular Tolerability)である。COMTOLは、眼科薬投与後に患者が記入するアンケートである。眼忍容性を測定するさらなる方法は、当該技術分野で周知である。
【0015】
一方、眼毒性は、予想される毒性の種類に応じて、いくつかの方法で測定することができる。例えば、眼毒性は、角膜表面を染色して上皮の損傷を測定するか、又は結膜充血を測定することによって測定することができる。眼毒性を測定するさらなる方法は、当該技術分野で周知である。
【0016】
本明細書で使用される「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、又は「処置(treatment)」という用語は、治療的処置と予防的又は防止的措置との両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的変化又は疾患/障害を予防又は遅らせる(軽減する)ことである。有益な又は所望の臨床結果には、検出可能であるか、検出不能であるかにかかわらず、症候の軽減、疾患の程度の低下、疾患の安定した(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延又は減速、病状の改善又は緩和、及び寛解(部分的若しくは完全な)が含まれるが、これらに限定されない。「処置(treatment)」はまた、処置を受けていない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することを意味し得る。処置を必要とする者には、既に疾患、症状若しくは障害を有する者、並びに疾患、症状若しくは障害を有する傾向がある者、又は疾患、症状若しくは障害が予防されるべき者が含まれる。
【0017】
I.感染性結膜炎を処置するための組成物
本明細書に記載されるのは、ポビドンヨード(PVP-I、ヨードポビドンとしても知られる)と、ポリビニルピロリドン(PVP)、グリセリン、又はそれらの組み合わせから選択される賦形剤とを含む、感染性結膜炎を処置するための組成物である。組成物にはまた、薬学的に許容され得る担体、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤、安定剤、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つ以上の追加の賦形剤が含まれ得る。いくつかの実施形態では、組成物は水溶液である。本開示の組成物は、典型的には、感染性結膜炎の処置を、それを必要とする対象において行うための有効な眼用製剤であり、好ましくは、プラセボ対照と比較して統計的に同様のレベルの眼毒性を有する。本明細書で使用される場合、「プラセボ対照」は、プラセボ対照がPVP-Iを欠いていることを除いて、それが照らし合わせて評価される組成物と構造が同一の組成物である。
【0018】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.6%(w/w)~約1.25%のPVP-I濃度を含む。例えば、組成物は、約0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1%、1.05%、1.1%、1.15%、1.2%、又は1.25%(w/w)のPVP-I濃度を含み得る。いくつかの例では、PVP-Iの濃度は、約0.6%~約1%、約0.6%~約0.9%、又は約0.6%~約0.8%(w/w)であり得る。いくつかの例では、PVP-Iの濃度は、約0.7%~約1%、又は約0.7%~約0.9%(w/w)であり得る。いくつかの例では、PVP-Iの濃度は、約0.8%~約1.2%、約0.8%~約1.1%、又は約0.8%~約1.0%(w/w)であり得る。いくつかの例では、PVP-Iの濃度は、約0.6%~約0.7%、約0.7%~約0.8%、約0.8%~約0.9%、約0.9%~約1%、約1%~約1.1%、約1.1%~約1.2%、又は約1.2%~約1.25%(w/w)であり得る。例示的な一実施形態では、PVP-Iの濃度は、約0.8%(w/w)である。ある特定の実施形態では、組成物は、唯一の有効成分としてPVP-Iを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物中のPVP-Iに対する眼忍容性を改善する量のPVP、グリセリン、又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物中の各賦形剤の濃度は、約1.0%~約2.5%(w/w)であり得る。例えば、各賦形剤の濃度は、約1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、又は約2.5%(w/w)であり得る。他の例では、各賦形剤の濃度は、約1.0%~約1.1%、約1.1%~約1.2%、約1.2%~約1.3%、約1.3%~約1.4%、約1.4%~約1.5%、約1.5%~約1.6%、約1.6%~約1.7%、約1.7%~約1.8%、約1.8%~約1.9%、約1.9%~約2.0%、約2.0%~約2.1%、約2.1%~約2.2%、約2.2%~約2.3%、約2.3%~約2.4%、又は約2.4%~約2.5%(w/w)であり得る。眼忍容性は、当該技術分野で知られている任意の適切な方法で測定することができる。例えば、臨床試験中にヒト対象の眼忍容性を測定することができる。代替的に、眼忍容性は、実施例で詳述するDraizeウサギ眼試験などの適切な動物モデルで測定することもできる。本開示の組成物中の賦形剤(複数可)の量は、賦形剤(複数可)を欠くが、他の点では構造が同一である組成物と比較することによって、眼忍容性を改善することを示すことができる。眼忍容性の改善は、2日以上の連続日数(例えば、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、又はそれ以上の日数)投与後の眼毒性の低減であり得、その低減量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上である。代替的又は追加的に、本開示の組成物中の賦形剤(複数可)の量は、賦形剤(複数可)を含む組成物が眼毒性をプラセボ対照と統計的に同様のレベルまで低減する場合に、眼忍容性を改善することが示され得る。例示的な実施形態では、眼忍容性の改善は、少なくとも2日間の連続日数(例えば、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、又はそれ以上の日数)投与後、より好ましくは少なくとも7日間の連続日数投与後又は9日間の連続日数投与後、さらにより好ましくは少なくとも14日間の連続日数投与後に測定される。
【0020】
いくつかの実施形態では、賦形剤はPVPであり得る。PVPは、約25,000~約40,000の分子量を有し得る。いくつかの態様では、PVPは、約25,000~約30,000、約30,000~約35,000、又は約35,000~約40,000の分子量を有し得る。いくつかの追加の態様では、PVPは、約25,000、30,000、35,000、又は約40,000の分子量を有し得る。いくつかの例では、PVPは、約30,000の分子量を有し得る。
【0021】
組成物中のPVPの濃度は、約0.5%~約2.5%、又はより好ましくは約1.0%~約2.5%(w/w)であり得る。例えば、PVPの濃度は、約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、又は2.5%(w/w)であり得る。いくつかの例では、PVPの濃度は、約1.0%~約2.2%、約1.0%~約2.0%、約1.0%~約1.8%、又は約1.0%~約1.5%であり得る。いくつかの例では、PVPの濃度は、約0.7%~約1.3%、約0.8%~約1.2%、又は約0.9%~約1.1%であり得る。いくつかの例では、PVPの濃度は、約0.9%~約1.0%、約1.0%~約1.1%、約1.1%~約1.2%、約1.2%~約1.3%、約1.3%~約1.4%、約1.4%~約1.5%、約1.5%~約1.6%、約1.6%~約1.7%、約1.7%~約1.8%、約1.8%~約1.9%、約1.9%~約2.0%、約2.0%~約2.1%、約2.1%~約2.2%、約2.2%~約2.3%、約2.3%~約2.4%、又は約2.4%~約2.5%(w/w)であり得る。いくつかの例では、PVPの濃度は約1%である。いくつかの例では、PVPはPVP-k30である。
【0022】
いくつかの実施形態では、賦形剤はグリセリンであり得る。組成物中のグリセリンの濃度は、約1.0%~約2.5%(w/w)であり得る。例えば、グリセリンの濃度は、約1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、又は2.5%(w/w)であり得る。いくつかの例では、PVPの濃度は、約1.0%~約2.2%、約1.0%~約2.0%、約1.0%~約1.8%、又は約1.0%~約1.5%であり得る。いくつかの例では、PVPの濃度は、約1.3%~約2.5%、約1.5%~約2.5%、約1.7%~約2.5%、又は約2.0%~約2.5%であり得る。他の例では、グリセリンの濃度は、約1.0%~約1.1%、約1.1%~約1.2%、約1.2%~約1.3%、約1.3%~約1.4%、約1.4%~約1.5%、約1.5%~約1.6%、約1.6%~約1.7%、約1.7%~約1.8%、約1.8%~約1.9%、約1.9%~約2.0%、約2.0%~約2.1%、約2.1%~約2.2%、約2.2%~約2.3%、約2.3%~約2.4%、又は約2.4%~約2.5%(w/w)であり得る。いくつかの実施形態では、グリセリンの濃度は、約1.25%(w/w)である。
【0023】
いくつかの実施形態では、賦形剤はグリセリン及びPVPであり得る。グリセリンの濃度は、約1.0%及び約2.5%(w/w)であり得、組成物中のPVPの濃度は、約0.5%及び約2.5%(w/w)であり得る。様々な例において、グリセリン及びPVPの濃度は、前の段落に記載されたとおりであり得る。いくつかの実施形態では、PVPの濃度は、約0.8%~約1.2%(w/w)であり、グリセリンの濃度は、約1.0%~約1.5%(w/w)である。いくつかの実施形態では、PVPの濃度は、約1%~約1.5%(w/w)であり、グリセリンの濃度は、約1.0%~約1.5%(w/w)である。いくつかの実施形態では、PVPの濃度は、約1%(w/w)であり、グリセリンの濃度は、約1.25%(w/w)である。
【0024】
本明細書に記載される組成物には、組成物の眼忍容性を改善するための量のステロイド系抗炎症薬(複数可)や非ステロイド系抗炎症薬(複数可)は含まれない。ステロイド系抗炎症薬の例としては、ベタメタゾン、コルチコステロイド、デキサメタゾン、フルロメタロン、酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、リメキソロン、ロテプレドノールエタボネート、及び当該技術分野で知られている他のステロイド系抗炎症薬が挙げられる。非ステロイド系抗炎症薬の例としては、ブロムフェナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェンナトリウム、ケトロラクトロメタミン、ネパフェナク、及び当該技術分野で知られている他の非ステロイド系抗炎症薬が挙げられる。本明細書に記載される組成物はまた、組成物の眼忍容性を改善する量のN-アセチルシステインを含まない。したがって、ある特定の実施形態では、本開示の組成物は、(a)PVP-Iと、(b)PVP、グリセリン、又はそれらの組み合わせから選択される賦形剤と、(c)1つ以上の追加の有効成分又は賦形剤とから本質的に構成され得、ただし、(c)の成分は、組成物の眼忍容性に重大な影響を与えない。さらに他の実施形態では、本開示の組成物は、(a)PVP-Iと、(b)PVP、グリセリン、又はそれらの組み合わせから選択される賦形剤と、(c)pH調整剤、防腐剤、安定剤、及び界面活性剤からなる群から各々独立して選択される1つ以上の追加の賦形剤とから本質的に構成され得、ただし、(c)の成分は、組成物の眼忍容性に重大な影響を与えない。薬物又は賦形剤が組成物の眼忍容性を改善するかどうかを決定する方法は前述のとおりである。例示的な実施形態では、眼忍容性は、Draizeウサギ眼試験の9日目に評価される。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物は、緩和剤(demulcent)を含み得る。いくつかの態様では、緩和剤は、ポリエチレングリコール、ポリソルベート(例えばポリソルベート80)、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、及びメチルセルロース)、デキストラン70、ゼラチン、及び当該技術分野で知られている他の緩和剤、及びそれらの組み合わせであり得る。緩和剤がポリエチレングリコールである場合、ポリエチレングリコールの分子量は、約300(PEG-300)~約400(PEG-400)であり得る。
【0026】
緩和剤は、組成物中に約0.1%(w/w)~約5%(w/w)の濃度を有し得る。いくつかの実施形態では、緩和剤は、組成物中に約0.1%(w/w)~約0.5%(w/w)、約0.5%(w/w)~約1%(w/w)、約1%(w/w)~約1.5%(w/w)、約1.5%(w/w)~約2%(w/w)、約2%(w/w)~約2.5%(w/w)、約2.5%(w/w)~約3%(w/w)、約3%(w/w)~約3.5%(w/w)、約3.5%(w/w)~約4%(w/w)、約4%(w/w)~約4.5%(w/w)、又は約4.5%(w/w)~約5%(w/w)の濃度を有し得る。いくつかの追加的な実施形態では、緩和剤は、組成物中に約0.1%(w/w)~約4.5%(w/w)、約0.1%(w/w)~約4%(w/w)、約0.1%(w/w)~約3.5%(w/w)、約0.1%(w/w)~約3%(w/w)、約0.1%(w/w)~約2.5%(w/w)、約0.1%(w/w)~約2%(w/w)、約0.1%(w/w)~約1.5%(w/w)、約0.1%(w/w)~約1%(w/w)、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)、約1%(w/w)~約5%(w/w)、約1.5%(w/w)~約5%(w/w)、約2%(w/w)~約5%(w/w)、約2.5%(w/w)~約5%(w/w)、約3%(w/w)~約5%(w/w)、約3.5%(w/w)~約5%(w/w)、又は約4%(w/w)の濃度を有し得る。さらに別の実施形態では、緩和剤は、組成物中に約0.1%(w/w)、0.2%(w/w)、0.3%(w/w)、0.4%(w/w)、0.5%(w/w)、0.6%(w/w)、0.7%(w/w)、0.8%(w/w)、0.9%(w/w)、1%(w/w)、1.5%(w/w)、2%(w/w)、2.5%(w/w)、3%(w/w)、3.5%(w/w)、4%(w/w)、4.5%(w/w)、又は約5%(w/w)の濃度を有し得る。一例では、緩和剤はPEG-400であり、PEG-400は、組成物中に約4%(w/w)の濃度を有する。
【0027】
組成物の安定性を維持するためには、組成物のpHを制御しなければならない。組成物のpHは、約4.2~約4.5であり得る。いくつかの例では、組成物のpHは、約4.2、4.3、4.4、又は4.5であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、所望のpHを達成又は維持するためにpH調整剤(例えば、酸、塩基、緩衝剤)を含み得る。pH調整剤には、二塩基性リン酸ナトリウム、ホウ酸、クエン酸、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、pH調整剤はクエン酸を含み得る。いくつかの態様では、クエン酸は、組成物中に約0.1%(w/w)~約1%(w/w)の濃度を有し得る。いくつかの追加の態様では、クエン酸の濃度は、約0.1%(w/w)~約0.7%(w/w)、約0.1%(w/w)~約0.5%(w/w)、又は約0.1%(w/w)~約0.3%(w/w)であり得る。さらなる追加の態様では、クエン酸は、組成物中に約0.1%(w/w)~約0.2%(w/w)、約0.2%(w/w)~約0.3%(w/w)、約0.3%(w/w)~約0.4%(w/w)、約0.4%(w/w)~約0.5%(w/w)、約0.5%(w/w)~約0.6%(w/w)、約0.6%(w/w)~約0.7%(w/w)、約0.7%(w/w)~約0.8%(w/w)、約0.8%(w/w)~約0.9%(w/w)、又は約0.9%(w/w)~約1%(w/w)の濃度を有し得る。さらに別の態様では、クエン酸は、組成物中に約0.1%(w/w)、0.2%(w/w)、0.3%(w/w)、0.4%(w/w)、0.5%(w/w)、0.6%(w/w)、0.7%(w/w)、0.8%(w/w)、0.9%(w/w)、又は約1%(w/w)の濃度を有し得る。一例では、クエン酸は、組成物中に約0.2%(w/w)の濃度を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、pH調整剤は二塩基性リン酸ナトリウムを含み得る。いくつかの態様では、二塩基性リン酸ナトリウムは、組成物中に約0.3%(w/w)~約1.5%(w/w)の濃度を有し得る。いくつかの追加の態様では、二塩基性リン酸ナトリウムは、組成物中に約0.3%(w/w)~約1%(w/w)、又は約0.3%~約0.5%(w/w)の濃度を有し得る。さらなる追加の態様では、二塩基性リン酸ナトリウムは、組成物中に約0.3%(w/w)~約0.4%(w/w)、約0.4%(w/w)~約0.5%(w/w)、約0.5%(w/w)~約0.6%(w/w)、約0.6%(w/w)~約0.7%(w/w)、約0.7%(w/w)~約0.8%(w/w)、約0.8%(w/w)~約0.9%(w/w)、約0.9%(w/w)~約1%(w/w)、約1%(w/w)~約1.1%(w/w)、約1.1%(w/w)~約1.2%(w/w)、約1.2%(w/w)~約1.3%(w/w)、約1.3%(w/w)~約1.4%(w/w)、又は約1.4%(w/w)~約1.5%(w/w)の濃度を有し得る。さらに別の態様では、二塩基性リン酸ナトリウムは、組成物中に約0.3%(w/w)、0.4%(w/w)、0.5%(w/w)、0.6%(w/w)、0.7%(w/w)、0.8%(w/w)、0.9%(w/w)、1%(w/w)、1.1%(w/w)、1.2%(w/w)、1.3%(w/w)、1.4%(w/w)、又は約1.5%(w/w)の濃度を有し得る。一例では、二塩基性リン酸ナトリウムは、組成物中に約0.3%(w/w)の濃度を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、pH調整剤は、クエン酸と二塩基性リン酸ナトリウムとの組み合わせであり得る。一例では、pH調整剤は、クエン酸と二塩基性リン酸ナトリウムとの組み合わせであり、クエン酸は、組成物中に約0.2%(w/w)の濃度を有し、二塩基性リン酸ナトリウムは、組成物中に約0.3%(w/w)の濃度を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物は1つ以上の防腐剤を含む。防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、EDTA、ソルビン酸、ポリクオルタニウム1、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、防腐剤は、組成物中に約0.001%~約0.1%(w/w)の濃度を有し得る。例えば、防腐剤の濃度は、約0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、又は約0.1%(w/w)であり得る。他の例では、防腐剤の濃度は、約0.001%~約0.002%、約0.002%~約0.003%、約0.003%~約0.004%、約0.004%~約0.005%、約0.006%~約0.007%、約0.007%~約0.008%、約0.008%~約0.009%、約0.009%~約0.01%、約0.01%~約0.02%、約0.02%~約0.03%、約0.03%~約0.04%、約0.05%~約0.06%、約0.06%~約0.07%、約0.07%~約0.08%、約0.08%~約0.09%、又は約0.09%~約0.1%(w/w)であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、防腐剤は、塩化ベンザルコニウムとEDTAとの組み合わせであり得る。組成物中の塩化ベンザルコニウムの濃度及びEDTAの濃度は各々、約0.001%~約0.1%(w/w)であり得る。例えば、塩化ベンザルコニウムの濃度は、約0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、又は約0.1%(w/w)であり得、EDTAの濃度は、約0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、又は約0.1%(w/w)であり得る。他の例では、塩化ベンザルコニウムの濃度は、約0.001%~約0.002%、約0.002%~約0.003%、約0.003%~約0.004%、約0.004%~約0.005%、約0.006%~約0.007%、約0.007%~約0.008%、約0.008%~約0.009%、約0.009%~約0.01%、約0.01%~約0.02%、約0.02%~約0.03%、約0.03%~約0.04%、約0.05%~約0.06%、約0.06%~約0.07%、約0.07%~約0.08%、約0.08%~約0.09%、又は約0.09%~約0.1%(w/w)であり得、EDTAの濃度は、約0.001%~約0.002%、約0.002%~約0.003%、約0.003%~約0.004%、約0.004%~約0.005%、約0.006%~約0.007%、約0.007%~約0.008%、約0.008%~約0.009%、約0.009%~約0.01%、約0.01%~約0.02%、約0.02%~約0.03%、約0.03%~約0.04%、約0.05%~約0.06%、約0.06%~約0.07%、約0.07%~約0.08%、約0.08%~約0.09%、又は約0.09%~約0.1%(w/w)であり得る。例えば、組成物は、約0.003%(w/w)の濃度の塩化ベンザルコニウムと、約0.1%(w/w)の濃度のEDTAとを含み得る。
【0033】
組成物は界面活性剤を含み得る。一般に、非イオン性界面活性剤は、それらがPVP-Iと結合しないので好ましい。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリ(オキシエチレン-co-オキシプロピレン)ブロックコポリマー、ポロキサマー、プルロニック(登録商標)F-68、プルロニック(登録商標)F-84、プルロニック(登録商標)F-127、プルロニック(登録商標)P-103、シクロデキストリン、ノノキシノール-9、ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、Igepal Co-630、チロキサポール、又はそれらの組み合わせを含み得る。界面活性剤の濃度は、約0.01%~2%(w/w)であり得る。例えば、組成物中の界面活性剤の濃度は、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、又は2%(w/w)であり得る。別の例では、界面活性剤の濃度は、約0.01%~約0.02%、約0.02%~約0.03%、約0.03%~約0.04%、約0.04%~約0.05%、約0.05%~約0.06%、約0.06%~約0.07%、約0.07%~約0.08%、約0.08%~約0.09%、約0.09%~約0.1%、約0.1%~約0.2%、約0.2%~約0.3%、約0.3%~約0.4%、約0.4%~約0.5%、約0.5%~約0.6%、約0.6%~約0.7%、約0.7%~約0.8%、約0.8%~約0.9%、約0.9%~約1%、約1%~約1.1%、約1.1%~約1.2%、約1.2%~約1.3%、約1.3%~約1.4%、約1.4%~約1.5%、約1.5%~約1.6%、約1.6%~約1.7%、約1.7%~約1.8%、約1.8%~約1.9%、又は約1.9%~約2%(w/w)であり得る。一例では、界面活性剤はチロキサポールであり、約0.02%~約0.5%(w/w)の濃度を有する。別の例では、界面活性剤は約0.3%(w/w)の濃度のチロキサポールである。
【0034】
組成物は、安定剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、安定剤は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム又は他の塩化物塩を含み得る。安定剤は、組成物中に約0.1%~約0.9%の濃度を有し得る。例えば、安定剤は、組成物中に約0.1%(w/w)、0.2%(w/w)、0.3%(w/w)、0.4%(w/w)、0.5%(w/w)、0.6%(w/w)、0.7%(w/w)、0.8%(w/w)、又は約0.9%(w/w)の濃度を有し得る。一実施形態では、安定剤は、約0.2%(w/w)の濃度の塩化ナトリウムである。
【0035】
組成物はさらに水を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は水溶液である。いくつかの実施形態では、組成物は粘性溶液であり得る。いくつかの態様では、組成物は、約1cP~約100cPの粘度を有し得る。いくつかの追加の態様では、組成物は、約1cP~約5cP、約5cP~約10cP、約10cP~約20cP、約20cP~約30cP、約30cP~約40cP、約40cP~約50cP、約50cP~約60cP、約60cP~約70cP、約70cP~約80cP、約80cP~約90cP、又は約90cP~約100cPの粘度を有し得る。更なる態様では、組成物は、約1cP~約90cP、約1cP~約80cP、約1cP~約70cP、約1cP~約60cP、約1cP~約50cP、約1cP~約40cP、約1cP~約30cP、約1cP~約20cP、約1cP~約10cP、約5cP~約100cP、約10cP~約100cP、約20cP~約100cP、約30cP~約100cP、約40cP~約100cP、約50cP~約100cP、約60cP~約100cP、約70cP~約100cP、又は約90cP~約100cPの粘度を有し得る。さらに別の態様では、組成物は、約1cP、5cP、10cP、20cP、30cP、40cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、又は約100cPの粘度を有し得る。
【0036】
例示的な実施形態では、組成物は、約0.6%(w/w)~約1.25%(w/w)のPVP-I、約1%(w/w)~約2%(w/w)のグリセリン、約1%(w/w)~約2%(w/w)のPVP、約0.1%(w/w)~約1%(w/w)のクエン酸、約0.3%(w/w)~約1.5%(w/w)の二塩基性リン酸ナトリウム、約0.001%(w/w)~約0.1%(w/w)の塩化ベンザルコニウム、約0.1%(w/w)~約0.9%(w/w)の塩化ナトリウム、約4%(w/w)のPEG-400、及び適量を加えた注射用水を含み、組成物は、約4.2~約4.5のpHを有する。別の例示的な実施形態では、組成物は、約0.8%(w/w)のPVP-I、約1.25%(w/w)のグリセリン、約1%(w/w)のPVP、約0.2%(w/w)のクエン酸、約0.3%(w/w)の二塩基性リン酸ナトリウム、約0.003%(w/w)の塩化ベンザルコニウム、約0.2%(w/w)の塩化ナトリウム、約4%(w/w)のPEG-400、及び適量を加えた注射用水を含み、組成物は、約4.2~約4.5のpHを有する。
【0037】
好ましくは、本組成物には、本組成物の眼忍容性を改善する可能性のある冷却剤は含まれない。本開示の組成物に含まれない可能性のある冷却剤には、メントール;メントン(methone)グリセリンアセチル及びメンチルエステル、カルボキサミド、メンタングリセロールケタール、アルキル置換尿素、スルホンアミド、テルペン類似体、フラノン、及びホスフィンオキシドを含むメントール誘導体;カンファー、及びボルネオールが含まれる。
【0038】
一例では、組成物は、まず注射用水を供給し、次いでpH調整剤、安定剤、賦形剤、緩和剤、PVP-I、及び防腐剤を順次添加し、溶解することによって調製される。次に、pHを測定し、調整することができる。最後に、注射用水を所望の最終容量になるまで加える。
【0039】
II.感染性結膜炎を処置する方法
本明細書に記載されるのは、感染性結膜炎の処置を、それを必要とする対象において行う方法である。本方法は、治療有効量のセクションIの組成物を対象の感染眼に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、約0.6%~1.25%(w/w)のポビドンヨードと、ポリビニルピロリドン、グリセリン、又はそれらの組み合わせから選択される賦形剤の量とを含む治療有効量の組成物を対象の感染眼に投与することを含み、賦形剤の量は、ポビドンヨードの眼毒性をプラセボ対照と統計的に同様のレベルまで低下させる。いくつかの実施形態では、本方法は、約0.6~1.25%(w/w)のポビドンヨード、約1~2%(w/w)のポリビニルピロリドン、約1~2%(w/w)のグリセリンを含む組成物の治療有効量を対象の感染眼に投与することを含み、本組成物は、プラセボ対照と比較して統計的に同程度のレベルの眼毒性を生じる。いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、感染眼が処置されている間に非感染眼の感染を予防するために、対象の非感染眼に組成物を投与することを含み得る。適切な組成物の追加の態様については、セクションIに記載されており、参照によりここに組み込まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、感染性結膜炎の種類は細菌性結膜炎であり得る。例えば、本方法は、黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、セラチア菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、又は他の細菌種によって引き起こされる細菌性結膜炎を処置するために使用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、感染性結膜炎の種類はウイルス性結膜炎であり得る。例えば、本方法は、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、エンテロウイルス、又は他のウイルス種によって引き起こされるウイルス性結膜炎を処置するために使用することができる。
【0042】
本明細書に記載される方法は、治療有効量のセクションIの組成物を投与することを含む。本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、物質を投与された対象に対して測定可能で有益な効果、すなわち有意な有効性をもたらす量を意味する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、感染性結膜炎の症候又は臨床徴候の測定可能な改善をもたらし得る。感染性結膜炎の非限定的な症候及び臨床徴候には、結膜充血、分泌物、眼刺激、眼炎症、眼サンプル(例えば、液体、分泌物、擦り傷など)の微生物又はウイルス検査陽性などが含まれる。投与される治療有効量は、当該技術分野における標準的な技法を使用して決定することができ、症例を取り巻く状況、例えば、結膜炎の種類、疾患の重症度などに影響され得る。治療有効量は、例えば、1日当たり1、2、3、4回、又はそれを超える用量として、任意の適切な回数の用量にわたって投与することができ、「用量」とは、1眼当たりの指定された滴数である。一例では、治療有効量は、1日当たり1眼当たり4回など、複数回の用量に分けて投与される。別の例では、治療有効量は、1日当たり1眼当たり2回の用量など、複数回の用量に分けて投与される。さらに別の例では、1回の用量は組成物の1滴とみなされる。
【0043】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、組成物の投与前に対象から得られた眼液のサンプルと比較して、又はプラセボ対照を投与された対象から得られた眼液のサンプルにおいて測定されたウイルス又は微生物の複製と比較して、少なくとも2日間(例えば、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、又は14日、又はそれ以上)の処置後に対象から得られた眼液サンプルにおいて測定されたウイルス又は微生物の複製の減少をもたらし得る。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、組成物の投与前に対象から得られた眼液のサンプルと比較して、又はプラセボ対照を投与された対象から得られた眼液のサンプルにおいて測定されたウイルス又は微生物の複製と比較して、少なくとも2日間(例えば、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、又は14日、又はそれ以上)の処置後に対象から得られた眼液サンプルにおいて測定されたウイルス又は微生物の力価の減少をもたらし得る。ウイルス又は微生物の複製率が高い、あるいはウイルス又は微生物の力価が高いということは、一般に、より重症の感染症であることを示し、複製又は力価の変化量が有効性の直接的な尺度となる。いくつかの例では、ウイルス又は微生物の力価の減少は、少なくとも2日間(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日、又はそれ以上)の処置後のウイルス又は微生物の力価の対数3減少であり得る。いくつかの実施形態では、本方法は、組成物の投与前に対象から得られた眼液のサンプルと比較して、又はプラセボ対照を投与された対象から得られたサンプルと比較して、少なくとも2日間(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日、又はそれ以上)の処置後に対象から得られた眼液のサンプルからの陰性培養の増加をもたらし得る。一般に、何日間も連続して得られた陽性培養の割合が高ければ、重症の感染症であることを示し、同じ日数にわたる陰性培養の割合の変化量が有効性の直接的な尺度となる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本方法は、組成物の投与前に得られた眼液サンプルにおいて測定されたウイルス排出と比較して、又はプラセボ対照を投与された対象から得られた眼液サンプルにおいて測定されたウイルス排出と比較して、少なくとも2日間(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日、又はそれ以上)の処置後に対象から得られた眼液サンプルからのウイルス排出期間の減少をもたらし得る。ウイルス排出期間が長ければ重症の感染症であり、ウイルス排出期間の変化量が有効性の直接的な尺度となる。
【0045】
III.感染を予防する方法
本明細書に記載されるのは、対象における感染を予防する方法である。本方法は、対象の非感染眼に、セクションIの有効量の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、約0.6%~1.25%(w/w)のポビドンヨードと、ポリビニルピロリドン、グリセリン、又はそれらの組み合わせから選択される賦形剤の量とを含む治療有効量の組成物を対象の非感染眼に投与することを含み、賦形剤の量は、ポビドンヨードの眼毒性をプラセボ対照と統計的に同様のレベルまで低下させる。本方法は、片眼又は両眼の感染を予防的に防ぐのに有用であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、本方法は、片眼又は両眼への感染を予防するための眼科手術又は手技後の感染を予防するために有用であり得る。いくつかの態様では、眼科手術又は手技は、白内障手術、MIGS手技、レーシック、角膜形成術、又は当該技術分野で知られている他の眼科手術又は手技を含み得る。
【0047】
例示的な実施形態
実施形態1:感染性結膜炎を処置することを、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記方法は、約0.6~1.25%(w/w)のポビドンヨードと、ポリビニルピロリドン、グリセリン、又はそれらの組み合わせから選択される量の賦形剤とを含む、治療有効量の組成物を前記対象の感染眼に投与することを含み、前記賦形剤の量は、Draizeウサギ眼試験の9日目において、前記組成物の眼毒性を、プラセボ対照と統計的に同程度のレベルまで低下させ、前記組成物は、ステロイド系抗炎症薬や非ステロイド系抗炎症薬を含まない、方法。
【0048】
実施形態2:前記ポビドンヨードが、約0.8%(w/w)の濃度を有する、実施形態1に記載の方法。
【0049】
実施形態3:前記組成物が、ポリビニルピロリドンを含む、実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
【0050】
実施形態4:前記組成物が、約1~2%(w/w)のポリビニルピロリドンを含む、実施形態3に記載の方法。
【0051】
実施形態5:前記組成物が、防腐剤、界面活性剤、pH調整剤、安定剤、緩和剤、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む、実施形態4に記載の方法。
【0052】
実施形態6:前記組成物が、グリセリンを含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の方法。
【0053】
実施形態7:前記組成物が、約1~2%(w/w)のグリセリンを含む、実施形態6に記載の方法。
【0054】
実施形態8:前記組成物が、グリセリン及びポリビニルピロリドンを含む、実施形態1~7のいずれか一つに記載の方法。
【0055】
実施形態9:前記組成物が、約1~2%(w/w)のポリビニルピロリドン及び約1~2%(w/w)のグリセリンを含む、実施形態1~8のいずれか一つに記載の方法。
【0056】
実施形態10:前記組成物が、防腐剤を含む、実施形態5に記載の方法。
【0057】
実施形態11:前記防腐剤が、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、EDTA、ソルビン酸、ポリクオルタニウム1、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態5又は実施形態10に記載の方法。
【0058】
実施形態12:前記防腐剤が、前記組成物中に約0.001重量%~1.0重量%の濃度を有する、実施形態5、10、又は11のいずれか一つに記載の方法。
【0059】
実施形態13:前記組成物が界面活性剤を含む、実施形態5に記載の方法。
【0060】
実施形態14:前記界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、プルロニック(登録商標)F-68、プルロニック(登録商標)F-84、プルロニック(登録商標)F-127、プルロニック(登録商標)P-103、シクロデキストリン、ノノキシノール-9、Igepal Co-630、タイロキサポール、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態5又は実施形態13に記載の方法。
【0061】
実施形態15:前記界面活性剤が、前記組成物中に約0.01重量%~2重量%の濃度を有する、実施形態5、13、又は14のいずれか一つに記載の方法。
【0062】
実施形態16:前記緩和剤が、約4%(w/w)の濃度のポリエチレングリコールを含む、実施形態5に記載の方法。
【0063】
実施形態17:前記組成物が、約4.2~4.5のpHを有する、実施形態1~16のいずれか一つに記載の方法。
【0064】
実施形態18:前記組成物が、約4.3のpHを有する、実施形態1~17のいずれか一つに記載の方法。
【0065】
実施形態19:前記組成物が、粘性溶液である、実施形態1~18のいずれか一つに記載の方法。
【0066】
実施形態20:前記組成物が、前記組成物の眼忍容性を改善する量の、ステロイド系抗炎症薬、非ステロイド系抗炎症薬、メントール、メントール誘導体、ボルネオール、カンファー、又はN-アセチルシステインを含まない、先行実施形態のいずれか一つに記載の方法。
【0067】
実施形態21:前記感染性結膜炎が、細菌性結膜炎である、実施形態1~20のいずれか一つに記載の方法。
【0068】
実施形態22.前記感染性結膜炎が、ウイルス性結膜炎である、実施形態1~20のいずれか一つに記載の方法。
【0069】
実施形態23:前記ウイルス性結膜炎が、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、又はエンテロウイルスによって引き起こされる、実施形態22に記載の方法。
【0070】
実施形態24:前記ウイルス性結膜炎が、アデノウイルスによって引き起こされる、実施形態22に記載の方法。
【0071】
実施形態25:処置が、プラセボ対照と比較して、ウイルス複製の測定された減少をもたらす、実施形態22~24のいずれか一つに記載の方法。
【0072】
実施形態26:処置が、プラセボ対照と比較して、ウイルス力価の減少をもたらす、実施形態22~24のいずれか一つに記載の方法。
【0073】
実施形態27:処置が、プラセボ対照と比較して、陽性培養の減少をもたらす、実施形態22~24のいずれか一つに記載の方法。
【0074】
実施形態28:処置が、プラセボ対照と比較して、ウイルス排出期間の減少をもたらす、実施形態22~24のいずれか一つに記載の方法。
【実施例】
【0075】
以下の実施例は、本発明の様々な実施を説明するものである。
【0076】
実施例1-インビボウサギボモデル試験
PVP-I組成物の眼忍容性及び有効性を高める開示された組成物を、アデノウイルス5型(Ad5;Ad5/NZWウサギ眼モデル)に対してニュージーランド白ウサギ検体でインビボ試験した。試験の目的は、Ad5/NZWウサギ眼モデルにおいて、開示された組成物のいくつかの濃度及び投与レジメンの抗ウイルス効力を判定することであった。
【0077】
この試験で使用された本開示の組成物は、0.8%のPVP-Iと、0.003%の塩化ベンザルコニウムと、0.3%のチロキサポールと、0.1%の二塩基性リン酸ナトリウムと、0.1%のホウ酸と、0.1%の塩化カルシウムと、0.1%のEDTAと、1%のPVPと、1.25%のグリセリンと、水を含んでいた。比較組成物は同じ製剤を含んだが、PVP-Iの代わりにビグアニジンポリマーを使用した。ビヒクル組成物は同じ製剤を含んだが、PVP-Iやビグアニジンポリマーを含まなかった。
【0078】
この試験では、表1に示すレジメンに従ってウサギを処置した。ポビドンヨード組成物をビグアニドポリマー組成物と比較した。5匹のウサギに有効成分を含有しないビヒクルを1日8回で10日間投与した。ビヒクル対照群の1匹のウサギは、健康不良のため7日目に安楽死を命じられた。
【表1-1】
【0079】
この試験で追跡された結果変数には、眼忍容性(Draizeスケールを利用)、Ad5ウイルス力価(ウイルス複製を測定)、Ad5陽性培養(ウイルス複製を測定)、及びAd5排出期間(感染期間を決定)が含まれていた。
【0080】
眼忍容性。眼忍容性試験の結果を
図1に示す。本試験では、各群間で、プラセボ対照群を含めて、3日目及び9日目の眼忍容性に大きな差はないことが示された(3日目とは処置3日目を指す)。3日目では、PVP-I組成物はDraize試験によれば「軽度刺激性」と記述され、プラセボ対照は「最小刺激性」と記述された。9日目では、PVP-I組成物とプラセボ対照とは、Draize試験によれば、どちらも「中等度刺激性」と記述された。この結果は、PVP-I組成物がプラセボ対照群と比較して眼毒性に大きな違いを示さなかったことを示している。
【0081】
Ad5ウイルス力価。Ad5ウイルス力価試験の結果を
図2に示す。本試験の結果、レジメン開始9日目にウイルス力価が統計学的に有意に低下した(p値=0.0001)。9日目では、PVP-I組成物を投与された群で検出されたウイルス力価の中央値は0であった。プラセボ対照群で検出されたウイルス力価の中央値がゼロに低下したのは14日目であった。この結果は、PVP-I組成物がプラセボ対照よりも効果的にウイルス複製を遅らせたことを示している。
【0082】
全体当たりのAd5陽性培養。全試験当たりのAd5陽性培養の結果を
図3示す。プラセボ対照群を除いて、試験の全群において、陽性培養の連続減少日は4日目から始まった。0.8%のPVP-Iを投与したウサギでは、9日目までの陽性培養の減少は統計的に有意であった(p値=0.0004)。11日目では、PVP-Iを投与された群について、培養陽性はゼロであった。プラセボ対照群では、14日目まで、全体当たりの培養陽性が0%に達しなかった。この結果は、PVP-I組成物がプラセボ対照よりも効果的にウイルス複製を遅らせたことを示している。
【0083】
Ad5の排出期間。Ad5排出試験の結果を
図4に示す。0.8%PVP-I組成物を投与された処置群では、Ad5の排出期間の中央値は数日ほどであったのに対し、プラセボ対照群では11日で排出が示された。これは、PVP-I組成物を投与された群のウイルス排出が統計的に有意に減少したことを示した(p値=0.0017)。この結果は、PVP-I組成物がプラセボ対照よりも感染の長さを短縮したことを示した。
【0084】
したがって、この試験により、Ad5/NZWウサギ眼モデルを用いたインビボでの抗ウイルス活性が確認され、この組成物がプラセボ対照よりも高い眼毒性を示すことはなかったことも確認された。
【0085】
実施例2-安定性及び効力
本開示の組成物は、本明細書に記載される方法に従って調製され、0.8%のポビドンヨード濃度を有した。組成物は2021年1月20日に第三者品質試験サービスに提供された。効力試験の間、組成物は室温で保存された。組成物の効力は2021年2月2日に試験され、その後30日間隔で試験された。表1に効力試験の結果を示す。組成物中のポビドンヨードの量がラベル表示の85.0~120.0%であれば、組成物は効力があると判定された。力価は滴定によって決定された。
【表1-2】
【国際調査報告】