IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーの特許一覧

特表2024-544258ラッチ機構を有するポジティブロッキングクラッチ
<>
  • 特表-ラッチ機構を有するポジティブロッキングクラッチ 図1
  • 特表-ラッチ機構を有するポジティブロッキングクラッチ 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ラッチ機構を有するポジティブロッキングクラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 11/10 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
F16D11/10 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534719
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 DE2022100917
(87)【国際公開番号】W WO2023110016
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133448.9
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトア リヒテンヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】クヌート エアトマン
【テーマコード(参考)】
3J056
【Fターム(参考)】
3J056AA03
3J056AA62
3J056BB41
3J056BB42
3J056CC03
3J056CC39
(57)【要約】
本発明は、回転軸(12)を中心にして回転可能である第1の回転コンポーネント(14)と第2の回転コンポーネント(16)との間のトルク伝達に影響を及ぼすためのポジティブロッキングクラッチ(10)であって、ポジティブロッキングクラッチ(10)は、歯列(28)であって、第1のクラッチ作動状態(57)でトルク伝達をセットアップし、第2のクラッチ作動状態(63)でトルク伝達を遮断する、歯列(28)と、クラッチ作動状態を変化させるための変位可能な作動要素(42)と、を有し、第1のクラッチ作動状態(57)及び/又は第2のクラッチ作動状態(63)を固定するラッチ装置(46)が存在し、ラッチ装置(46)は、少なくとも1つのラッチ要素(48)を備え、少なくとも1つのラッチ要素(48)は、リリース位置(65)と、特定のクラッチ作動状態(57、63)を固定するラッチ位置(59)との間で変位可能であり、ラッチ位置(59)において受け要素(50)にポジティブロッキング式に結合される、ポジティブロッキングクラッチ(10)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(12)を中心にして回転可能である第1の回転コンポーネント(14)と第2の回転コンポーネント(16)との間のトルク伝達に影響を及ぼすための形状嵌合クラッチ(10)であって、前記形状嵌合クラッチ(10)が、
歯(28)であって、前記回転コンポーネント(14)上の第1の歯(30)と、前記第2の回転コンポーネント(16)上の第2の歯(32)とを備え、トルク伝達のために形状嵌合するように前記形状嵌合クラッチ(10)に結合することができ、第1のクラッチ作動状態(57)で前記トルク伝達を確立し、かつ第2のクラッチ作動状態(63)で前記トルク伝達を遮断する、歯(28)と、
作動力によって前記クラッチ作動状態を変化させるための変位可能な作動要素(42)と、を有し、
前記第1のクラッチ作動状態(57)及び/又は前記第2のクラッチ作動状態(63)を固定するロッキング装置(46)が配置されており、前記ロッキング装置(46)は、少なくとも1つのロッキング要素(48)を備え、前記少なくとも1つのロッキング要素(48)は、リリース位置(65)と、それぞれの前記クラッチ作動状態(57、63)を固定するロッキング位置(59)との間で変位可能であり、前記ロッキング位置(59)において受け要素(50)に形状嵌合するように結合され、
前記作動要素が、前記第1のクラッチ作動状態(57)をとるために、前記第1の回転コンポーネント(14)及び前記第2の回転コンポーネント(16)に対して軸方向に変位可能であり、かつ、前記ロッキング要素(48)を介して前記第1の回転コンポーネント(14)に前記作動力を伝達するために、前記ロッキング要素(48)に力が伝達されるように連結されることを特徴とする、形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項2】
前記ロッキング要素(48)が、前記作動要素(42)の前記変位に応じて半径方向に変位可能であることを特徴とする、請求項1に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項3】
前記ロッキング要素(48)が、前記第2のクラッチ作動状態(63)においてよりも前記第1のクラッチ作動状態(57)において更に半径方向内側にあることを特徴とする、請求項1又は2記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項4】
前記受け要素(50)が、前記半径方向に開いた凹部(54)を有し、前記凹部(54)内に、前記ロッキング要素(48)が前記ロッキング位置(59)において形状嵌合するように係合することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項5】
前記ロッキング要素(48)が、前記ロッキング位置(59)において前記受け要素(50)に形状嵌合するように結合される少なくとも1つの回転対称なロッキングコンポーネント(52)を備えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項6】
前記第1の歯(30)及び/又は前記第2の歯(32)が、前記クラッチ作動状態に応じて軸方向に変位可能であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項7】
前記第2の歯(32)が、軸方向に変位可能であり、かつ前記ロッキング装置(46)によって前記第1のクラッチ作動状態(57)及び/又は前記第2のクラッチ作動状態(63)において軸方向に固定されることを特徴とする、請求項6に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項8】
前記作動要素(42)が、傾斜領域(62)を介して前記ロッキング要素(48)の半径方向移動をもたらすことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項9】
前記作動要素(42)が、前記ロッキング位置(59)において前記ロッキング要素(48)を前記半径方向に固定することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項10】
前記ロッキング要素(48)が、少なくとも1つのばね要素(56)を介して作用されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の形状嵌合クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102016222539号には、係合前にクラッチ本体の速度を調整するための同期装置を備えた、2つの平歯付きディスク形状のクラッチ本体を備える形状嵌合クラッチが記載されている。クラッチ本体は、互いに軸方向に離間され、一方のクラッチ本体は、平歯の係合をもたらすために、他方のクラッチ本体に対して軸方向に移動することができるように配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、より省エネルギーかつ高信頼の方法で形状嵌合クラッチを動作させることである。クラッチ機能は、改善されるべきであり、形状嵌合クラッチは、より費用効果的になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの目的の少なくとも1つは、請求項1に記載の特徴を有する形状嵌合クラッチによって達成される。このように、形状嵌合クラッチは、より費用効果的に構成することができ、それぞれのクラッチ作動状態は、より確実にかつより省エネルギーの方法で維持することができる。
【0005】
形状嵌合クラッチは、車両内に配置することができる。形状嵌合クラッチは、車両の駆動トレイン内に配置することができる。形状嵌合クラッチは、車両を推進するために駆動トルクを伝達することができる。形状嵌合クラッチは、車両の電気駆動軸に配置することができる。形状嵌合クラッチは、双安定になるように構成することができる。第1のクラッチ作動状及び第2のクラッチ作動状態は各々、固定することができる。
【0006】
第1の回転コンポーネントは、シャフト又はハブとすることができる。第2の回転コンポーネントは、シャフト又はハブとすることができる。
【0007】
形状嵌合クラッチは、爪クラッチとして構成することができる。歯は、爪歯として構成することができる。
【0008】
形状嵌合クラッチは、第1のクラッチ作動状態においてトルク伝達のために係合され、第2のクラッチ作動状態においてトルク伝達の遮断のために係合解除することができる。
【0009】
作動要素は、電気機械的に変位可能とすることができる。作動要素は、シフトフォーク及び/又はシフトロッカーに形状嵌合するように結合することができる。作動要素は、液圧的に変位可能とすることができる。作動要素は、作動ピストンによって変位可能とすることができる。
【0010】
作動要素は、第1の回転コンポーネント及び第2の回転コンポーネントとは別個のコンポーネントである。作動要素は、第2のクラッチ作動状態をとるために、第1の回転コンポーネント及び第2の回転コンポーネントに対して軸方向に変位可能とすることができる。作動要素は、第1のクラッチ作動状態をとるために一方の軸方向に変位可能であり、かつ第2のクラッチ作動状態をとるために反対の軸方向に変位可能とすることができる。
【0011】
作動要素は、第1のクラッチ作動状態をとるために、作動力を少なくとも部分的にロッキング要素を介して第1の回転コンポーネントに伝達することができる。ロッキング要素は、作動要素と第1の回転コンポーネントとの間で力が伝達されるように少なくとも部分的に動作可能に配置することができる。
【0012】
ロッキング装置は、作動要素と第1の回転コンポーネントとの間で作動力の伝達をもたらすことができる。その結果、第1の回転コンポーネントに所望の作動力を設定するために、作動要素を介して印加される作動力が調整することができる。第1のクラッチ作動状態がとられるとき、第1の回転コンポーネントに印加される作動力は、それをもたらし、かつ作動要素に印加される作動力に依存することができる。この依存性は、線形及び/又は非線形とすることができる。この依存性は、連続的及び/又は非連続的とすることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、ロッキング要素が作動要素の変位に応じて半径方向に変位可能である場合に有利である。ロッキング要素は、追加的に又は代替的に、作動要素の変位に応じて軸方向に変位可能とすることができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、ロッキング要素は、第2のクラッチ作動状態においてよりも第1のクラッチ作動状態において更に半径方向内側にある。作動要素は、少なくとも第1のクラッチ作動状態において、ロッキング要素の半径方向上方に配置することができる。作動要素は、少なくとも第1のクラッチ作動状態において、ロッキング要素を半径方向に固定し得る。受け要素は、ロッキング要素の半径方向内側に配置することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、受け要素が半径方向に開いた凹部を有し、凹部内に、ロッキング要素がロッキング位置において形状嵌合するように係合することが有利である。凹部は、好ましくは、ボールの形状に適合することができる。凹部は、カップ形状に構成することができる。
【0016】
本発明の特定の実施形態では、ロッキング要素が、ロッキング位置で受け要素に形状嵌合するように結合される少なくとも1つの回転対称なロッキングコンポーネントを備える場合に有利である。ロッキングコンポーネントは、ボール又はローラとすることができる。
【0017】
本発明の特別な実施形態では、少なくとも第1の歯及び/又は第2の歯が、クラッチ作動状態に応じて軸方向に変位可能である場合に有利である。第1の歯及び/又は第2の歯は、平歯又はラジアル歯とすることができる。第1の歯は、内歯又は外歯とすることができる。第2の歯は、内歯又は外歯とすることができる。第1の歯は、第1の回転コンポーネント上に直接的又は間接的に形成することができる。第2の歯は、第2の回転コンポーネント上に直接的又は間接的に形成することができる。
【0018】
第1の歯は、クラッチ本体として構成することができる。第2の歯は、スライドスリーブとして構成することができる。第2の歯は、スリーブキャリア上で軸方向に変位可能とすることができる。スリーブ支持体は、第2の回転コンポーネントに形状嵌合するように結合することができる。スリーブ支持体は、第2の歯に形状嵌合するように結合することができる。スリーブキャリアは、内歯によって第2の回転コンポーネントに形状嵌合するように結合することができる。スリーブキャリアは、外歯によって第2の歯に形状嵌合するように結合することができる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、第2の歯が軸方向に変位可能であり、かつ第1のクラッチ作動状態及び/又は第2のクラッチ作動状態においてロッキング装置によって軸方向に固定される場合に有利である。ロッキング装置は、第2の歯に関連付けることができる。ロッキング要素は、ロッキング位置において第2の歯を軸方向に固定することができる。
【0020】
本発明の特定の実施形態では、作動要素が傾斜領域を介してロッキング要素の半径方向移動をもたらす場合に有利である。傾斜領域は、作動要素上に形成することができる。傾斜領域は、作動力の伝達をもたらすことができる。作動要素及びロッキング要素は、リリース位置において半径方向に重なるように配置することができる。作動要素及びロッキング要素は、ロッキング位置において、半径方向に互いの上に、かつ軸方向に重なるように配置することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、作動要素がロッキング要素をロッキング位置で半径方向に固定する場合に有利である。作動要素は、ロッキング要素の半径方向外側に配置することができる。ロッキング位置では、ロッキング要素は、受け要素と作動要素との間に半径方向に配置することができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、ロッキング要素が少なくとも1つのばね要素を介して作用される場合に有利である。ばね要素は、軸方向かつ/又は半径方向にロッキング要素に作用することができる。ばね要素は、ロッキング要素に直接的又は間接的に作用することができる。ばね要素は、ロッキング位置にあるロッキング要素によって作用することができる。リリース位置では、ばね要素は、ロッキング要素によって負荷をかけられ得ない。
【0023】
本発明の更なる利点及び有利な実施形態は、図の説明及び図面から明らかになるであろう。
【0024】
本発明は、図面を参照しながら以下に詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1のクラッチ作動状態における、本発明の特定の実施形態における形状嵌合クラッチの断面を示す。
図2】第2のクラッチ作動状態における図1の形状嵌合クラッチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、第1のクラッチ作動状態における、本発明の特定の実施形態における形状嵌合クラッチの断面を示している。形状嵌合クラッチ10は、トルク伝達のために車両内に配置される。形状嵌合クラッチ10は、回転軸12を中心にして回転可能であり、かつ軸として形成された第1の回転コンポーネント14と、更に回転軸12を中心にして回転可能であり、かつシャフトとして構成された第2の回転コンポーネント16とを有している。第1の回転コンポーネント14は、駆動シャフト18とすることができ、第2の回転コンポーネント16は、出力シャフト20とすることができる。駆動シャフト18は、少なくとも1つの軸受要素22を介して出力シャフト20に対して取り付けられている。軸受要素22は、ラジアルニードル軸受とすることができる。第2の回転コンポーネント16は、更なる軸受要素24を介してハウジング26に対して取り付けられている。
【0027】
形状嵌合クラッチ10は、形状嵌合クラッチ10が第1のクラッチ作動状態にあるときにトルク伝達を確立し、形状嵌合クラッチ10が第2のクラッチ作動状態にあるときにトルク伝達を遮断する歯28を有する。歯28は、第1の回転コンポーネント14の第1の歯30と第2の回転コンポーネント16の第2の歯32とから形成されている。歯28は、爪歯34として構成され、平歯が第1の歯30を形成し、平歯が第2の歯32を形成する。ここに示される第1のクラッチ作動状態では、第1の歯30と第2の歯32とが、トルク伝達のために形状嵌合するように互いに結合されている。
【0028】
第2の歯32は、スリーブキャリア36上で軸方向に変位可能に受容されている。スリーブキャリア36は、出力シャフト20の半径方向外側に配置され、内歯38によって出力シャフト20に、外歯40によって第2の歯32に、形状嵌合するように結合されている。クラッチ作動状態は、作動要素42によって切り替えることができ、作動要素42は、第1の回転コンポーネント14及び第2の回転コンポーネント15に対して軸方向に変位可能であり、かつクラッチ作動状態を変更するために作動力を導入する。作動要素42は、ロッキングリング44を備える。
【0029】
形状嵌合クラッチ10は、少なくとも第1のクラッチ作動状態を固定するロッキング装置46を備え、ロッキング装置46は、ロッキング要素48を備え、ロッキング要素48は、リリース位置と、第1のクラッチ作動状態を固定するロッキング位置との間で半径方向に変位可能であり、かつロッキング位置において受け要素50に形状嵌合するように結合されている。受け要素50は、スリーブキャリア36と一体的に形成されている。
【0030】
ロッキング要素48は、少なくとも1つの回転対称なロッキングコンポーネント52、好ましくはボールを備え、受け要素50は、半径方向で開いた少なくとも1つの凹部54を有し、凹部54内に、ロッキング要素48がロッキング位置において形状嵌合するように係合する。凹部54は、好ましくは、ボール52の形状に適合されている。凹部54は、例えばカップ形状に構成される。
【0031】
ロッキング要素48は、半径方向に作用するばね要素56によってロッキング位置で負荷をかけられる。作動要素42が、歯28を介したトルク伝達を遮断する第2のクラッチ作動状態をとるために軸方向に変位すると、ばね要素56はロッキング要素48を凹部54から押し出し、ロッキング要素48は、第2の歯32の軸方向の変位によって軸方向に移動することができる。ロッキング要素48は、第2のクラッチ作動状態においてよりも第1のクラッチ作動状態において更に半径方向内側にある。
【0032】
作動要素42は、ここに示される第1のクラッチ作動状態57をとるために第1の方向58に変位し、第2のクラッチ作動状態をとるために反対の第2の方向60に変位する。作動要素42が第1の方向58に移動すると、作動要素42の軸方向の変位が、作動要素42上の傾斜領域62を介して、ばね要素56のばね力に抗したロッキング要素48の半径方向の移動に変換される。その結果、ロッキング要素48は、作動要素42がロッキング要素48を半径方向に固定し、ロッキング要素48が第2の歯32を軸方向に固定するロッキング位置59をとる。作動要素42は、ロッキング要素48の半径方向外側に配置されている。
【0033】
図2は、第2のクラッチ作動状態における図1の形状嵌合クラッチを示している。形状嵌合クラッチ10は、第2のクラッチ作動状態63で示されており、この状態では、歯28を介したトルク伝達が遮断される。第2の歯32は、第1のクラッチ作動状態に対して第2の方向60に変位している。
【0034】
作動要素42が第1のクラッチ作動状態から出発して、第2のクラッチ作動状態63をとるために第2の方向60に移動すると、ロッキング要素48はばね要素56によって半径方向外側に向かって移動する。作動要素42は、第2の歯32上のロッキングリング64を介して第2の歯32を第2の方向60に変位させる。ロッキング要素48は、作動要素42が第2の方向60に変位すると半径方向外側に向かって移動することができ、これにより、リリース位置65にある。
【0035】
第1のクラッチ作動状態をとるとき、作動要素42は、作動力を第1の回転コンポーネント14に伝達するために、ロッキング要素48に力が伝達されるように連結される。この場合、作動要素42の軸方向移動によって、ロッキング要素48は、ばね要素56のばね力に抗して軸方向かつ半径方向に変位する。ロッキング要素48は、作動要素42から生じる作動力を第2の歯32に伝達する。
【符号の説明】
【0036】
10 形状嵌合クラッチ
12 回転軸
14 第1の回転コンポーネント
16 第2の回転コンポーネント
18 駆動シャフト
20 出力シャフト
22 軸受要素
24 軸受要素
26 ハウジング
28 歯
30 第1の歯
32 第2の歯
34 爪歯
36 スリーブキャリア
38 内歯
40 外歯
42 作動要素
44 ロッキングリング
46 ロッキング装置
48 ロッキング要素
50 受け要素
52 ロッキングコンポーネント
54 凹部
56 ばね要素
57 第1のクラッチ作動状態
58 第1の方向
59 ロッキング位置
60 第2の方向
62 傾斜領域
63 第2のクラッチ作動状態
64 ロッキングリング
65 リリース位置
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(12)を中心にして回転可能である第1の回転コンポーネント(14)と第2の回転コンポーネント(16)との間のトルク伝達に影響を及ぼすための形状嵌合クラッチ(10)であって、前記形状嵌合クラッチ(10)が、
歯(28)であって、前記回転コンポーネント(14)上の第1の歯(30)と、前記第2の回転コンポーネント(16)上の第2の歯(32)とを備え、トルク伝達のために形状嵌合するように前記形状嵌合クラッチ(10)に結合することができ、第1のクラッチ作動状態(57)で前記トルク伝達を確立し、かつ第2のクラッチ作動状態(63)で前記トルク伝達を遮断する、歯(28)と、
作動力によって前記クラッチ作動状態を変化させるための変位可能な作動要素(42)と、を有し、
前記第1のクラッチ作動状態(57)及び/又は前記第2のクラッチ作動状態(63)を固定するロッキング装置(46)が配置されており、前記ロッキング装置(46)は、少なくとも1つのロッキング要素(48)を備え、前記少なくとも1つのロッキング要素(48)は、リリース位置(65)と、それぞれの前記クラッチ作動状態(57、63)を固定するロッキング位置(59)との間で変位可能であり、前記ロッキング位置(59)において受け要素(50)に形状嵌合するように結合され、
前記作動要素が、前記第1のクラッチ作動状態(57)をとるために、前記第1の回転コンポーネント(14)及び前記第2の回転コンポーネント(16)に対して軸方向に変位可能であり、かつ、前記ロッキング要素(48)を介して前記第1の回転コンポーネント(14)に前記作動力を伝達するために、前記ロッキング要素(48)に力が伝達されるように連結されることを特徴とする、形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項2】
前記ロッキング要素(48)が、前記作動要素(42)の前記変位に応じて半径方向に変位可能であることを特徴とする、請求項1に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項3】
前記ロッキング要素(48)が、前記第2のクラッチ作動状態(63)においてよりも前記第1のクラッチ作動状態(57)において更に半径方向内側にあることを特徴とする、請求項1又は2記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項4】
前記受け要素(50)が、前記半径方向に開いた凹部(54)を有し、前記凹部(54)内に、前記ロッキング要素(48)が前記ロッキング位置(59)において形状嵌合するように係合することを特徴とする、請求項1に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項5】
前記ロッキング要素(48)が、前記ロッキング位置(59)において前記受け要素(50)に形状嵌合するように結合される少なくとも1つの回転対称なロッキングコンポーネント(52)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項6】
前記第1の歯(30)及び/又は前記第2の歯(32)が、前記クラッチ作動状態に応じて軸方向に変位可能であることを特徴とする、請求項1に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項7】
前記第2の歯(32)が、軸方向に変位可能であり、かつ前記ロッキング装置(46)によって前記第1のクラッチ作動状態(57)及び/又は前記第2のクラッチ作動状態(63)において軸方向に固定されることを特徴とする、請求項6に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項8】
前記作動要素(42)が、傾斜領域(62)を介して前記ロッキング要素(48)の半径方向移動をもたらすことを特徴とする、請求項1に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項9】
前記作動要素(42)が、前記ロッキング位置(59)において前記ロッキング要素(48)を前記半径方向に固定することを特徴とする、請求項1に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【請求項10】
前記ロッキング要素(48)が、少なくとも1つのばね要素(56)を介して作用されることを特徴とする、請求項1に記載の形状嵌合クラッチ(10)。
【国際調査報告】