(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ガス供給冷却システム用の冷却回路
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535542
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 FR2022052182
(87)【国際公開番号】W WO2023111414
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100224856
【氏名又は名称】朱牟田 奏人
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、アウン
(72)【発明者】
【氏名】パーベル、ボリシェビキ
(72)【発明者】
【氏名】シャルベル、オムシー
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB03
3E172AB04
3E172BA06
3E172BD01
3E172BD10
3E172HA02
3E172HA04
3E172HA08
3E172HA14
3E172JA09
(57)【要約】
本発明は、タンクを備えた浮遊構造体におけるガス供給冷却システム用の冷却回路であって、前記冷却回路には冷却剤が流れるとともにメインループを備え、前記メインループは、‐圧縮装置と、‐熱交換器と、‐内部熱交換器と、‐ターボ圧縮機(13)と、を備え、前記冷却回路は、前記メインループに接続した調節ブランチを備え、前記調節ブランチは、前記調節ブランチ内における冷却剤の前記流れを制御するように構成された弁を備え、前記メインループは、圧力センサを備え、前記圧力センサが測定した前記圧力に基づいて、前記弁は、前記メインループに存在する冷却剤の量を制御することを特徴とする冷却回路に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状態のガスを収容するように構成された少なくとも1つのタンク(2)を備えた浮遊構造体のガス供給冷却システム(1)用の冷却回路(4)であって、前記冷却回路(4)には前記タンク(2)に収容された液体状態の前記ガスの温度を低下させることが意図された冷媒流体が流れ、前記冷却回路(4)はメインループ(22)を備え、前記メインループ(22)は、
‐前記冷媒流体の圧縮をもたらす少なくとも1つの圧縮装置(10)と、
‐前記冷媒流体と、前記タンク(2)に収容された前記ガスとの間の熱交換をするように構成された少なくとも1つの熱交換器(17)と、
‐前記冷媒流体が第1圧力で通流する第1流路(23)と、前記冷媒流体が前記第1圧力よりも低い第2圧力で通流する第2流路(24)と、を備えた少なくとも1つの内部熱交換器(18)であって、前記第1流路(23)は前記圧縮装置(10)の下流かつ前記熱交換器(17)の上流に配置され、前記第2流路(24)は前記熱交換器(17)の下流かつ前記圧縮装置(10)の上流に配置される、内部熱交換器(18)と、
‐前記圧縮装置(10)と前記内部熱交換器(18)の前記第1流路(23)との間に配置された圧縮部材(14)と、前記内部熱交換器(18)の前記第1流路(23)と前記熱交換器(17)との間に配置されたタービン(15)と、が設けられた少なくとも1つのターボ圧縮機(13)であって、前記圧縮部材(14)と前記タービン(15)とはシャフト(16)により回転連結するターボ圧縮機(13)と、
を備え、
前記冷却回路(4)は、前記メインループ(22)に接続した調節ブランチ(25)を備え、
前記調節ブランチ(25)は、前記調節ブランチ(25)内における冷媒流体の通流を制御するように構成された少なくとも1つの弁(26)を備え、
前記メインループ(22)は、少なくとも1つの圧力センサ(27)を備え、
前記圧力センサ(27)が測定した圧力に基づいて、前記弁(26)は、前記メインループ(22)に存在する冷媒流体の量を制御する、
ことを特徴とする冷却回路(4)。
【請求項2】
前記弁(26)は、前記圧力センサ(27)が測定した前記圧力が第1圧力閾値よりも大きい場合に、冷媒流体が前記調節ブランチ(25)を介して前記メインループ(22)から流出することを許可するように構成される、
請求項1に記載の冷却回路(4)。
【請求項3】
前記弁(26)は、前記圧力センサ(27)が測定した圧力が前記第1圧力閾値よりも低い第2圧力閾値未満である場合に、冷媒流体が前記調節ブランチ(25)を介して前記メインループ(22)に流入することを許可するように構成される、
請求項2に記載の冷却回路(4)。
【請求項4】
前記調節ブランチ(25)は、前記圧縮装置(10)の下流かつ前記ターボ圧縮機(13)の前記圧縮部材(14)の上流において、前記メインループ(22)に接続し、
前記圧力センサ(27)は、前記メインループ(22)において、前記圧縮装置(10)と前記ターボ圧縮機(13)の前記圧縮部材(14)との間で前記圧力を測定するように構成される、
請求項1~3のいずれかに記載の冷却回路(4)。
【請求項5】
前記調節ブランチ(25)は、前記内部熱交換器(18)の前記第2流路(24)の下流かつ前記圧縮装置(10)の上流において、前記メインループ(22)に接続し、
前記圧力センサ(27)は、前記メインループ(22)において、前記内部熱交換器(18)の前記第2流路(24)と前記圧縮装置(10)との間で前記圧力を測定するように構成される、
請求項1~3のいずれかに記載の冷却回路(4)。
【請求項6】
前記調節ブランチ(25)は、前記圧縮装置(10)の下流かつ前記ターボ圧縮機(13)の前記圧縮部材(14)の上流において前記メインループ(22)に接続する第1調節ブランチ(71)であり、
前記冷却回路(4)は、前記内部熱交換器(18)の前記第2流路(24)の下流かつ前記圧縮装置(10)の上流において前記メインループ(22)に接続する第2調節ブランチ(72)を備え、
前記メインループ(22)は、2つの圧力センサ(27)を備え、そのうちの第1圧力センサ(75)は、前記メインループ(22)において、前記圧縮装置(10)と前記ターボ圧縮機(13)の前記圧縮部材(14)との間で圧力を測定するように構成され、第2圧力センサ(76)は、前記メインループ(22)において、前記内部熱交換器(18)の前記第2流路(24)と前記圧縮装置(10)との間で圧力を測定するように構成される、
請求項1~3のいずれかに記載の冷却回路(4)。
【請求項7】
前記第1調節ブランチ(71)は、前記冷媒流体の前記メインループ(22)からの流出を制御し、
前記第2調節ブランチ(72)は、前記冷媒流体の前記メインループ(22)への流入を制御する、
請求項6に記載の冷却回路(4)。
【請求項8】
前記第1調節ブランチ(71)は、前記冷媒流体の前記メインループ(22)への流入を制御し、
前記第2調節ブランチ(72)は、前記冷媒流体の前記メインループ(22)からの流出を制御する、
請求項6に記載の冷却回路(4)。
【請求項9】
前記冷却回路(4)は、前記ターボ圧縮機(13)の前記圧縮部材(14)と前記内部熱交換器(18)の前記第1流路(23)との間に配置された追加の交換器(38)を備え、
前記追加の交換器(38)は、前記冷媒流体を冷却するように構成される、
請求項1~8のいずれかに記載の冷却回路(4)。
【請求項10】
前記冷媒流体は窒素である、
請求項1~9のいずれかに記載の冷却回路(4)。
【請求項11】
浮遊構造体のガス供給冷却システム(1)であって、液化状態のガスを収容するように構成された少なくとも1つのタンク(2)と、ガスが流れることが意図された供給回路(3)であって、前記タンクの前記ガスを前記浮遊構造体が装備する少なくとも1つのガス消費装置(5、6)に供給するように構成された供給回路(3)と、を備え、
前記ガス供給冷却システム(1)は、請求項1~10のいずれかに記載の冷却回路(4)を備える、
ことを特徴とするガス供給冷却システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊構造体のタンク内のガス供給冷却システムの分野に関し、より具体的には、このようなガス供給冷却システム内に組み込まれた冷却回路に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地まで配送することを意図して液体ガスタンク内にガスを含む浮遊構造体が行路をたどる際、前記浮遊構造体は、ガス供給システムを介してエンジンの少なくとも1つに供給するように、液体状態のガスの少なくとも一部を使用し得る。これと並行して、特に液体状態の積荷であるガスを適切な温度に維持することにより、タンク内部の圧力を許容レベルに維持する必要がある。
【0003】
このために、蒸発するガスを吸引し、再圧縮して単数または複数のエンジンに供給することを可能とする供給回路を使用することが知られている。並行的または代替的に、冷媒流体を通流させる冷却回路によりタンク内の圧力を低下させて、タンク内で蒸発したガスの一部を再液化することができる。
【0004】
タンクに収容されたガスを冷却することでタンクの圧力を最適に管理するためには、冷媒流体を所定の量で冷却回路内を通流させる必要がある。冷媒流体は様々な圧縮モジュールや膨張モジュールを通流するため、前記流体がモジュールのシールや軸受から漏れる場合がある。これにより、冷却回路を通流する冷媒流体の量が時間とともに減少し、冷媒流体の量がタンクに収容されたガスを効果的に冷却するのに十分でなくなってしまう。一方、冷却回路内を過度に大量の冷媒流体が通流すると、回路内の圧力が上昇してその適切な動作が損なわれてしまう。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、液体状態のガスを収容するように構成された少なくとも1つのタンクを備えた浮遊構造体からのガスの供給冷却システム用の冷却回路であって、前記冷却回路には前記タンクに収容された液体状態の前記ガスの温度を低下させることが意図された冷媒流体が流れ、前記冷却回路はメインループを備え、前記メインループは、
‐前記冷媒流体の圧縮をもたらす少なくとも1つの圧縮装置と、
‐前記冷媒流体と前記タンクに収容された前記ガスとの間の熱交換をするように構成された少なくとも1つの熱交換器と、
‐前記冷媒流体が第1圧力で通流する第1流路と、前記冷媒流体が前記第1圧力よりも低い第2圧力で通流する第2流路と、を備えた少なくとも1つの内部熱交換器であって、前記第1流路は前記圧縮装置の下流かつ前記熱交換器の上流に配置され、前記第2流路は前記熱交換器の下流かつ前記圧縮装置の上流に配置される、内部熱交換器と、
‐前記圧縮装置と前記内部熱交換器の前記第1流路との間に配置された圧縮部材と、前記内部熱交換器の前記第1流路と前記熱交換器との間に配置されたタービンと、が設けられた少なくとも1つのターボ圧縮機であって、前記圧縮部材と前記タービンとはシャフトにより回転連結するターボ圧縮機と、
を備え、
前記冷却回路は、前記メインループに接続した調節ブランチを備え、
前記調節ブランチは、前記調節ブランチ内における冷媒流体の通流を制御するように構成された少なくとも1つの弁を備え、
前記メインループは、少なくとも1つの圧力センサを備え、
前記圧力センサが測定した圧力に基づいて、前記弁は、前記メインループに存在する冷媒流体の量を制御する、ことを特徴とする冷却回路を提供することにより、冷却回路に存在する冷媒流体の量を調整することを可能とする。
【0006】
調節ブランチにより、冷媒流体の量は常にメインループ内で制御される。本発明による冷却回路により、初期量が効果的な冷却を実施するのに十分でない場合には、冷媒流体をメインループに追加することができる、または、メインループに冷媒流体が過剰な量で存在する場合には、冷媒流体を除去することができる。冷媒流体の量は、圧力センサによるメインループ内の圧力測定によってリアルタイムで決定される。
【0007】
冷却回路の圧縮装置は、メインループ内で冷媒流体を通流させる役割を果たす。また、圧縮装置は、冷媒流体を圧縮し、その結果、冷媒流体の温度を上昇させることができる。冷媒流体は、圧縮装置やターボ圧縮機にダメージを与えないように、通流中は永続的に気体状態のままである。
【0008】
圧縮部材およびタービンは、それらの機械的連結により、一体的に回転する。タービンが回転することでシャフトが回転し、こうしてシャフトが圧縮部材を回転させる。したがって、冷媒流体は、圧縮部材により最初に圧縮される。そして、冷媒流体は、内部熱交換器の第1流路を流れ、次いでタービンを通過することにより膨張する。ターボ圧縮機の回転は、駆動部材により開始される。上述のように、後者は、タービンを直接的に回転させ得るが、前記駆動部材は、圧縮部材も直接的に回転させ得る。
【0009】
シャフトはタービンをターボ圧縮機の圧縮部材に連結するのみであることに留意されたい。圧縮装置はターボ圧縮機とは別個であるため、いかなる態様でもシャフトに連結していない。換言すれば、圧縮装置はその固有の駆動部材を備え、駆動部材同士は互いに独立している。このような構成により、圧縮装置とターボ圧縮機とは、互いに独立した速度を有することができる。したがって、圧縮装置を経由する圧縮流体の流速を、圧縮部材がかける圧力とは無関係に調節することができる。
【0010】
冷媒流体は、膨張時にタービンの出口で低圧低温になり、そして内部熱交換器を通過する。タンクからのガスも熱交換器を流れる。後者は、冷媒流体の温度よりも高温であるため、タンクからのガスは冷媒流体により冷却される。したがって、熱交換器は、例えばタンク内の液体状態のガスの温度を低下させてタンクにおける過圧を防止するように使用される。
【0011】
熱交換器の出口で、冷媒流体は内部熱交換器の第2流路を流れる。内部熱交換器は、第1流路内の第1圧力の冷媒流体と第2流路を通流する第2圧力の冷媒流体との熱交換を行う。このように、熱交換はメインループに内在し、メインループにおける熱力学的平衡が管理され得る。
【0012】
調節ブランチは、メインループに接続した端部を備える。これにより、メインループとの流体接続が確保される。調節ブランチは、例えば、冷媒流体タンクまで、および/または大気への出口まで延び得る。メインループ内の冷媒流体の量を増加または減少させる必要がある場合、弁が開放することで冷媒流体が冷媒流体タンクからメインループに、またはメインループから大気に通流する。メインループ内の冷媒流体の量がタンクに収容されたガスを冷却する必要を満たすことを許容可能である場合、弁は閉鎖位置にある。
【0013】
好適には、圧力センサは、冷媒流体の量を推定するために、メインループ内の冷媒流体の圧力を測定するように構成されている。高過ぎる圧力は、メインループ内の冷媒流体の量が多すぎることを示す。一方、低すぎる圧力は、メインループ内の冷媒流体の量が少なすぎることを示す。
【0014】
本発明の特徴によれば、前記弁は、前記圧力センサが測定した前記圧力が第1圧力閾値よりも大きい場合に、冷媒流体が前記調節ブランチを介して前記メインループから流出することを許可するように構成される。第1圧力閾値は最大圧力値に対応し、最大圧力値を超えると冷却回路は最適に機能しない。第1圧力閾値を超えると、弁が開き、メインループ外部の所定量の冷媒流体が、調節ブランチを経由して通流して、大気へ送られる、または冷媒流体タンクに送られてそこに貯蔵される。弁の開放は、例えば、第1圧力閾値を超えた後に圧力センサが発信する信号の受信の結果であり得る。
【0015】
冷媒流体について測定された圧力が第1圧力閾値未満に再び下がると、冷媒流体回路は再び最適に機能する。そして、より多くの冷媒流体がメインループから出ることがないように、弁が閉鎖される。
【0016】
本発明の特徴によれば、前記弁は、前記圧力センサが測定した圧力が前記第1圧力閾値よりも低い第2圧力閾値未満である場合に、冷媒流体が前記調節ブランチを介して前記メインループに流入することを許可するように構成される。第2圧力閾値は最低圧力に対応し、最低圧力未満になると冷却回路はもはや最適に機能しない。低すぎる圧力は、タンクに収容されたガスを冷却する必要性を満たすのに十分な冷媒流体が存在しないことを表す。冷媒流体のこのような不足は、例えば、圧縮装置、ターボ圧縮機、またはタービンのシールを介して冷媒流体が漏れた結果であり得る。次いで、圧力センサは、信号を調節ブランチの弁に送信し得る。これにより、前記弁が開放し所定量の冷媒流体がメインループ内に追加され得る。こうして、冷媒流体タンクに貯蔵された冷媒流体が、調節ブランチに通流しメインループに到達する。
【0017】
冷媒流体について測定された圧力が第2圧力閾値を再び超えると、冷媒流体回路は再び最適に機能する。そして、より多くの冷媒流体がメインループに流入しないように、弁が閉鎖される。
【0018】
本発明の特徴によれば、前記調節ブランチは、前記圧縮装置の下流かつ前記ターボ圧縮機の前記圧縮部材の上流において、前記メインループに接続し、前記圧力センサは、前記メインループにおいて、前記圧縮装置と前記ターボ圧縮機の前記圧縮部材との間で前記圧力を測定するように構成される。好適には、圧力の測定は、メインループと調節ブランチとの流体接続と同一のメインループのセクションで実施される。
【0019】
圧縮装置と圧縮部材との間のセクションにおいて、流体は高圧で通流するため、冷媒流体のメインループ外部への流出が容易になる。ただし、冷媒流体の流入も可能である。
【0020】
本発明の特徴によれば、前記調節ブランチは、前記内部熱交換器の前記第2流路の下流かつ前記圧縮装置の上流において、前記メインループに接続し、前記圧力センサは、前記メインループにおいて、前記内部熱交換器の前記第2流路と前記圧縮装置との間で前記圧力を測定するように構成される。内部熱交換器の第2流路と圧縮装置との間のセクションにおいて、冷媒流体は低圧で通流する。これは、当該セクションがターボ圧縮機の下流かつ圧縮装置の上流に位置するためである。冷媒流体が低圧で通流することは、より多くの冷媒流体がメインループに流入するのに有利であるが、冷媒流体のそこからの流出も可能である。
【0021】
本発明の特徴によれば、前記調節ブランチは、前記圧縮装置の下流かつ前記ターボ圧縮機の前記圧縮部材の上流において前記メインループに接続する第1調節ブランチであり、前記冷却回路は、前記内部熱交換器の前記第2流路の下流かつ前記圧縮装置の上流において前記メインループに接続する第2調節ブランチを備え、前記メインループは、2つの圧力センサを備え、そのうちの第1圧力センサは、前記メインループにおいて、前記圧縮装置と前記ターボ圧縮機の前記圧縮部材との間で前記圧力を測定するように構成され、第2圧力センサは、前記メインループにおいて、前記内部熱交換器の前記第2流路と前記圧縮装置との間で前記圧力を測定するように構成される。
【0022】
換言すれば、冷却回路のメインループの2つの異なるセクションは、各々が調節ブランチを備える。このため、冷却回路は、冷媒流体の流入に専用の調節ブランチと、冷媒流体の流出に専用の調節ブランチと、を備えるように構成され得る。2つの調節ブランチの各々は、冷媒流体のメインループ内への流入、およびメインループ外への流出をそれぞれ制御する。また、冷却回路は、2つの圧力センサを備え得る。各々の圧力センサは、各々が接続するメインループのセクションにおいて冷媒流体の圧力を測定するように構成される。
【0023】
本発明の特徴によれば、前記第1調節ブランチは、前記冷媒流体の前記メインループからの流出を制御し、前記第2調節ブランチは、前記冷媒流体の前記メインループへの流入を制御する。第1調節ブランチは、メインループの第2低圧セクションに配置される。圧力差の観点から、メインループの高圧セクションにおける冷媒流体の流出、およびメインループの低圧セクションへの冷媒流体の流入を制御する方が容易である。
【0024】
本発明の特徴によれば、前記第1調節ブランチは、前記冷媒流体の前記メインループへの流入を制御し、前記第2調節ブランチは、前記冷媒流体の前記メインループからの流出を制御する。実際には、冷媒流体タンクおよび/または大気への出口のレイアウト等の理由から必要が感じられる場合、圧力差とは無関係に冷媒流体の流入と流出とを反転させることができる。
【0025】
本発明の特徴によれば、前記冷却回路は、前記ターボ圧縮機の前記圧縮部材と前記内部熱交換器の前記第1流路との間に配置された追加の交換器を備え、前記追加の交換器は、前記冷媒流体を冷却するように構成される。冷媒流体の冷却により、タービンによるその良好な膨張がもたらされるため、タンクに収容されたガスの冷却性能が向上する。追加の交換器を通過する前の冷却流体は高圧高温であるため、追加の交換器内での冷媒流体の冷却が海水等の第3流体でなされ得る。
【0026】
本発明の特徴によれば、前記冷媒流体は窒素である。窒素は冷却流体として常用され、本発明による冷却回路に適合する。さらに、浮遊構造体が窒素発生器を設けられた船舶であれば、窒素は容易に入手可能な流体である。窒素発生器と冷却回路の単数または複数の調節ブランチとの接続を確立することは、より容易であるとともにより低コストである。
【0027】
また、本発明は、浮遊構造体のガス供給冷却システムであって、液化状態のガスを収容するように構成された少なくとも1つのタンクと、前記タンクからのガスが流れることが意図された供給回路であって、ガスを前記浮遊構造体が装備する少なくとも1つのガス消費装置に供給するように構成された供給回路と、を備え、前記ガス供給冷却システムは、上述の冷却回路を備えることを特徴とするガス供給冷却システムを対象とする。
【0028】
液体状のガスの積荷の輸送中に、タンク内のガスの一部が自然に、またはガス消費装置に供給するように気化し得る。タンクの内圧を低下させるため、蒸気状態のガスは、供給回路を介して排出され得る、または、上述のように冷却回路を介して間接的に再凝縮され得る。供給回路によりタンクに連結したガス消費装置は、例えば、浮遊構造体の推進力を提供するエンジン、または浮遊構造体に電気を供給する発電機であり得る。
【0029】
本発明の他の特徴および利点は、一方で以下の説明により、他方で添付の概略図面を参照して限定的ではないが示唆として説明される複数の実施形態例により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明による冷却回路であって、当該冷却回路を通流する冷媒流体用の調節ブランチを備える冷却回路を示す。
【
図2】
図2は、2つの調節ブランチを備える本発明による冷却回路を示す。
【
図3】
図3は、冷却回路を備えるガス供給冷却システムの第1実施形態を示す。
【
図4】
図4は、冷却回路を備えるガス供給冷却システムの第2実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、浮遊構造体のガス供給冷却システムに組み込まれ得る冷却回路4を示す。浮遊構造体は、液体状態のガスを輸送および/または貯蔵するとともに、前記ガスを収容するタンクを備えているが、タンクは図示していない。
【0032】
冷却回路4は、例えば窒素である冷媒流体が通流するメインループ22を備えている。メインループ22は、圧縮装置10と、ターボ圧縮機13と、内部熱交換器18と、熱交換器17と、追加の交換器38と、を備えている。冷却回路4の目的は、冷媒流体が熱交換器17を低温で通過するような態様で冷媒流体をメインループ22内で通流させることである。液体状態のガスも、
図1に部分的に示す液体状態のガスの回路8(液状ガス回路8)内で熱交換器17を通って流れる。後で詳述するように、液状ガス回路8により、液体状態のガスがタンクから熱交換器17に向けて通流することができる。次いで、液体状態のガスは、前記熱交換器17を流れた後、タンクに戻る。このようにして、冷媒流体は、タンクからのガスを熱交換器17内で冷却する。したがって、タンクに圧送される液体状態のガスは、熱交換器17内の冷媒流体によりさらに冷却され、その後タンクに送られる。この目的は、タンクの平均温度を低下させることで、蒸発したガスを凝縮させること、およびタンクの内圧を管理することである。
【0033】
圧縮装置10の目的は、冷媒流体を通流させること、および冷媒流体を高圧高温に圧縮することである。その後、流体は、ターボ圧縮機13まで通流する。ターボ圧縮機13は、圧縮部材14とタービン15とを備え、これらはシャフト16を介して機械的に互いに連結されている。シャフトは、圧縮部材14をタービン15に連結するのみであり、圧縮部材10自体はシャフト16に連結していない。このような構成により、圧縮装置10と圧縮部材14とは、互いに異なる回転速度で回転することができる。
【0034】
圧縮部材14は、内部熱交換器18の第1流路23の上流に配置される一方で、タービン15は熱交換器18の第1流路23の下流に配置されている。
図1に示す例によれば、タービン15は回転部材により回転することで、シャフト16を駆動し、そしてシャフト16が圧縮部材14を駆動する。別の例によれば、駆動部材は、圧縮部材14を駆動することができ、これにより圧縮部材14がシャフト16を駆動し、こうしてシャフト16がタービン15を駆動する。追加の交換器38は、圧縮部材14と内部熱交換器18の第1流路23との間に介設されている。
【0035】
こうして、冷媒流体は、まず圧縮部材14で圧縮されてから、追加の交換器38を流れ、ここで第3流体により、例えば海水により冷却される。追加の交換器38を介した冷却により、その後のタービン15による膨張が効果的に行われ得る。その後、冷媒流体は、内部熱交換器18の第1流路23を流れ、その後タービン15で膨張する。膨張により、熱交換器17を通流する冷媒流体の温度が低下することで、上述のように、タンクからの液体状態のガスが冷却される。
【0036】
熱交換器17の出口で、冷媒流体は内部熱交換器18の第2流路24を流れる。こうして、内部熱交換器18の第1流路23を第1圧力で通流する冷媒流体と、内部熱交換器18の第2流路24を第1圧力よりも低い第2圧力で通流する冷媒流体との間で熱交換が行われ、冷却回路4を通流する冷媒流体の温度が調節される。
【0037】
冷却回路の作動中に、メインループ22を通流する冷媒流体の量が過度に多すぎたり少なすぎたりすることがあり得る。このような場合、冷却回路3の機能および/またはその冷却性能が阻害され得る。メインループ22における冷媒流体の量のモニタリングは、メインループ22に配置されて冷媒流体の圧力をリアルタイムで測定する圧力センサ27により提供される。測定された圧力は、メインループ22に存在する冷媒流体の量の指標である。高過ぎる圧力は冷媒流体が過剰であることに関し、低すぎる圧力は冷媒流体の量が少なすぎることに関する。
【0038】
さらに、メインループ22における冷媒流体の量を調整するために、冷却回路4は、メインループ22に接続した調節ブランチ25を備えている。調節ブランチ25は、弁26を備えるとともに、冷媒流体タンク28まで、かつ必要に応じて大気への出口29まで延びている。冷媒流体の量が最適な冷却性能に適合しない場合、弁26を開放して冷媒流体を調節ブランチ25に通流させて、メインループ22内の冷媒流体の量を増加または減少させることができる。
【0039】
冷媒流体がメインループ22において過剰に存在する場合、弁26が開くことで、所定量の冷媒流体がメインループ22を出て調節ブランチ25を冷媒流体タンク28まで、または大気への出口29まで通流する。
【0040】
例えば圧縮装置10またはターボ圧縮機13のシールを介して余剰な冷媒流体が漏れ出し、冷媒流体がメインループ22において少なすぎる量でしか存在しない場合、弁26が開くことで、冷媒流体タンク28からの所定量の冷媒流体が調節ブランチ25をメインループ22まで通流する。
【0041】
上述のいずれの場合でも、メインループ22に存在する冷媒流体の量が冷却回路4の性能を最大にし得る最適な量に達した後、弁26は再び閉鎖する。
【0042】
弁26の開閉は、圧力センサ27の発信する信号に依存し得る。したがって、圧力センサ27は、冷媒流体の測定圧力が、メインループ22内の冷媒流体が過剰であることを示す第1圧力閾値を超えているかどうかを検出し、確実に弁26を開放して冷媒流体を流出させるように構成され得る。
【0043】
また、圧力センサ27は、冷媒流体の測定圧力が、第1圧力閾値よりも低い第2閾値未満であるかどうかを検出し得る。このような構成において、上記の意味することは、冷媒流体がメインループ22に十分な量で存在していないということである。次いで、圧力センサ27は、信号を送信し、確実に弁26を開放して冷媒流体タンク28からメインループ22への冷媒流体を流入させる。
【0044】
好適には、調節ブランチ25は、圧力センサ27が冷媒流体の圧力を測定するセクションと同一のセクションに接続している。
図1において、圧力センサ27および調節ブランチ25は、圧縮装置10とターボ圧縮機13の圧縮部材14との間に配置されている。これにより、本発明による冷却回路4は、メインループ22を通流する冷却媒体の量を調整して、熱交換器17で生じる熱交換によりタンクに収容されたガスが最適に冷却されることを可能とする。
【0045】
図2は、2つの調節ブランチ25を有する冷却回路4を示す。上述の点のみが、
図1に示す冷却回路4との構造的差異である。したがって、本発明による冷却回路4の2つの代表例に共通のすべての要素について、同一の説明を参照することができる。
【0046】
したがって、
図2に示す冷却回路4は、第1調節ブランチ71および第2調節ブランチ72を備えている。調節ブランチ25の各々は、その固有の弁26、すなわち、第1調節ブランチ71に配置された第1弁73、および第2調節ブランチ72に配置された第2弁74を備えている。第2調節ブランチ72は、メインループ22の低圧セクションに、より正確には、内部熱交換器18の第2流路24と圧縮装置10との間に設置されている。第1調節ブランチ71は、
図1に示す調節ブランチ25と同じセクションに配置されている。冷却回路4は、1つの調節ブランチ25のみを含むことに留意すべきである。この調節ブランチ25は、
図2に示す第2調節ブランチ72が配置されるメインループ22のセクションに同様に配置され得るとともに、メインループ22への冷媒流体の流入および/またはメインループ22からの冷媒流体の流出を単独で確保し得る。
【0047】
また、冷却回路4は、圧縮装置10とターボ圧縮機13の圧縮部材14との間の冷媒流体の圧力を測定する第1圧力センサ75と、内部熱交換器18の第2流路24と圧縮装置10との間の冷媒流体の圧力を測定する第2圧力センサ76と、を含む2つの圧力センサ27を有している。2つの圧力センサ27を有することにより、冷媒流体の圧力をより良好に経時的に制御することができるとともに、上述の2つの圧力閾値のうちの一方が超えたかどうかをチェックすることができる。
【0048】
図2において、第1調節ブランチ71は大気への出口29まで延びているのに対し、第2調節ブランチ72は冷媒流体タンク28まで延びている。これにより、メインループ22の外部に冷媒流体の出口がある場合、第1調節ブランチ71はこれの専用であり、メインループ22の内部に冷媒流体の入口がある場合、第2調節ブランチ72はこれの専用であることが理解される。このような構成は、冷媒流体が高圧である場合に、冷媒流体をメインループ22の外部に排出することがより容易であるという点で有利である。同様に、メインループを通流する冷媒流体が低圧である場合に、冷媒流体をメインループ22に流入させることもより容易である。弁26の開閉は、
図1で説明したのと同様に機能し、圧力センサ27の各々が測定した冷媒流体の圧力に依存する。
【0049】
図3は、上述の冷却回路4を備えるガス供給冷却システム1の第1実施形態を示す。ガス供給冷却システム1は、液体状のガスの輸送および/または貯蔵に適した浮遊構造体内に、例えばタンク2内に設置され得る。ガスは、例えば天然ガスまたはエタンである。液体状のガスは、タンク2に非常に低温で貯蔵される。輸送中に種々の理由から、例えば自然に、液体状のガスは、タンク2のブランケット200において一部が蒸発する可能性がある。
【0050】
ガス供給冷却システム1は、供給回路3を備えている。供給回路3は、タンク2のブランケット200で形成された蒸発ガスを吸引するように構成されている。ガスは、第1ガス消費装置5および/または第2ガス消費装置6の燃料として使用され得る。一例として、第1ガス消費装置5は、浮遊構造体の推進力を提供するエンジンであり得る。そして、第2ガス消費装置6は、浮遊構造体の電気供給を担う補助エンジンであり得る。
【0051】
図3において、冷却回路4内での冷媒流体の通量を保証する圧縮装置10が、蒸発したガスを圧縮してこのガスをガス消費装置に送るように供給回路3内でも使用されていることが分かる。ガス消費装置がガスを介したエネルギーの投入を必要としない場合には、ガスを例えばバーナー7を介して除去することができる。したがって、圧縮装置10は、回路の一方または他方で使用され得る。
【0052】
冷媒流体が窒素である場合、ガス消費装置への供給に適合しない。圧縮装置10を冷却回路4から供給回路3に切り替えている間に装置が劣化することを防止するため、圧縮装置10をガス消費装置への供給に使用する前に、調節ブランチ25によって窒素を完全に除去するように冷却回路4をパージしてもよい。
【0053】
供給回路3において、または冷却回路4において圧縮装置10を隔離するために、ガス供給冷却システム1は、一連の弁を備えている。したがって、第1弁41が、供給回路3において、圧縮装置10の上流、かつ冷却回路4への接続点の上流に配置されている。第2弁42が、供給回路3において、圧縮装置10の下流、かつ冷却回路4への接続点の下流に配置されている。第3弁43が、冷却回路4において、圧縮装置10の下流、かつ供給回路3への接続点の下流に配置されている。第4弁44が、冷却回路4において、圧縮装置10の上流、かつ供給回路3への接続点の上流に配置されている。
【0054】
これにより、第1弁41および第2弁42が開放位置にあり、第3弁43および第4弁44が閉鎖位置にある場合、圧縮装置10は、ガス消費装置への供給のためにガスを圧縮することを目的として、供給回路3に組み込まれている。
【0055】
第1弁41および第2弁42が閉鎖位置あり、第3弁43および第4弁44が開放位置にある場合、圧縮装置10は、冷媒流体を圧縮してタンク2に収容されたガスを冷却することを目的として、冷却回路4に組み込まれている。
【0056】
ガス供給冷却システム1は、液体状態のガスが通流する上述の液状ガス回路8も備えている。液体状態のガスは、タンク2から熱交換器17を通過して流れる。液状ガス回路8は、タンク2のブランケット200で蒸発したガスを凝縮させることにより、タンク圧力の管理に関与する。
【0057】
タンク2の液体状態のガスは、ポンプ19により液状ガス回路8に吸引される。そして、液体状態のガスは、熱交換器17に流れるまで通流する。したがって、熱交換器17内で生じる熱交換は、冷却回路4を通流する冷媒流体と液状ガス回路8を通流する液体状態のガスとの間で行われることが理解される。こうして冷却された液体状態のガスは、熱交換器17を出る。
【0058】
液体状態のガスは、冷却後、出口オリフィス21を介してタンク2の底部に戻ることができる。このような動作は、タンク2の平均温度の低下に関与し、これにより、タンク2の飽和圧力が低下し、ひいてはタンク2の圧力が低下する。
【0059】
冷却された液体状態のガスは、タンク2のブランケット200にスプレー状に噴霧され得る。この目的のために、液状ガス回路は、液体状態のガスの噴霧を確保する噴霧部材20を備えている。液体状態のガスを噴霧することにより、タンク2のブランケット200で蒸発したガスが凝縮する。ガスの凝縮により蒸発したガスの量が減少することで、タンク2の内圧が低下する。液体状態のガスの通流を許可するかどうかのために、液状ガス回路8は追加の弁51を備えている。
【0060】
冷却回路4、より具体的にはその調節ブランチ25は、
図1および
図2で説明したものと構造的におよび機能的に同一である。したがって、調節ブランチ25の機能について、図面の説明を参照されたい。
【0061】
図4は、ガス供給冷却システム1の第2実施形態を示す。第2実施形態は、第1圧縮装置11および第2圧縮装置12を備えている点で、第1実施形態から区別される。第1圧縮装置11は供給回路3に設置され、第2圧縮装置12は冷却回路4に設定されている。ただし、2つの圧縮装置の機能は、以下で詳述するシステムの位置により規定されるものではない。
【0062】
さらに、2つの圧縮装置の存在により、ガス供給冷却システム1に余剰性が生じる。これにより、圧縮装置のうちの一方が故障しても、他方の圧縮装置は依然としてその機能を確保できるため、ガス供給冷却システム1の稼働が維持され得る。
【0063】
供給回路3および冷却回路4は、圧縮装置の各々へのアクセスを提供する複数の弁をいずれも備えている。これにより、システムは、ガス消費装置にガスを供給する必要にも、冷却回路に冷媒流体を供給する必要にも応えることができる。これにより、第1実施形態で既に見た4つの弁に加えて、ガス供給冷却システム1の第2実施形態は、第5弁45、第6弁46、第7弁47、第8弁48、第9弁49、第10弁50を備えている。
【0064】
第5弁45および第6弁46により、ガス供給冷却システム1の構成に応じて、第1圧縮装置11から冷却回路4への接続、または第2圧縮装置12から供給回路3への接続が可能とされる。
【0065】
第7弁47および第8弁48は、第1圧縮装置11の両側に設置されて、両弁が閉鎖位置にある場合にシステムが隔離されることを可能とする。第1圧縮装置11が故障した場合に弁を閉鎖することは有用である。第9弁49および第10弁50により、これらを使用してガス供給冷却システム1の他の部分から第2圧縮装置12を隔離することができる。
【0066】
このように、すべての弁により、圧縮装置を回路の各々に専用とする、または両圧縮装置を供給回路3または冷却回路4に専用とすることができる。圧縮装置を回路の各々に専用とすれば、ガスをガス消費装置に供給する供給回路3と、冷媒流体を使用してタンク2に収容されたガスを冷却する冷却回路4とを同時に作動させることができる。両圧縮装置を回路の一方または他方のみに専用とする場合には、上述の機能の一方のみが提供される。
【0067】
第1実施形態と同様に、冷媒流体が窒素であると仮定した場合、圧縮装置11および/または圧縮装置12を冷却回路4から供給回路3に切り替えている間にガス消費装置が劣化することを防止するため、単数または複数の圧縮装置をガス消費装置への供給に利用する前に、例えば調節ブランチ25によって窒素を完全に除去するように冷却回路4をパージしてもよい。
【0068】
第2実施形態は、第1調節ブランチ71が冷媒流体タンク28に連結され、第2調節ブランチ72が大気への出口29に連結されている点においても、第1実施形態から区別される。このような構成は、例えば配管接続における機械的寸法または応力を理由として実現され得る。
【0069】
ガス供給冷却システム1の他の部分は、上で説明したものと構造的および/または機能的に同一である。すなわち、ガス供給冷却システム1の構造的および機能的詳細については、
図3の説明を参照されたい。また、冷却回路4の構造的および機能的詳細については、
図1および
図2の説明を参照されたい。
【0070】
当然に、本発明は、上述の例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく前記例に多くの適合を加えることが可能である。
【0071】
上述の発明により、設定した目標が達成されるとともに、浮遊構造体のタンクに収容されたガス冷却性能を最適化するように冷却回路内の冷媒流体の量を調節するのに適した冷却回路が提案され得る。本明細書に記載されていない変形例でも、本発明による変形例が本発明による冷却回路を構成する限り、本発明の範囲から逸脱することなく実施され得る。
【国際調査報告】