(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】光学フィルム及びそれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 1/04 20060101AFI20241121BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241121BHJP
H10K 50/842 20230101ALI20241121BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
G02B1/04
H10K59/10
H10K50/842 141
H10K50/86 865
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535646
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 KR2022013958
(87)【国際公開番号】W WO2023113160
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0180609
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒョ キョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヒョ ジュン
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC21
3K107CC43
3K107EE21
3K107EE45
3K107FF06
3K107FF14
(57)【要約】
本発明は、光透過性基材を含み、耐光性試験前の黄色度が5.0以下であり、耐光性試験後の色変化(ΔE*ab)が3.5以下である、光学フィルム及びそれを含む表示装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材を含み、
耐光性試験前の黄色度が5.0以下であり、
耐光性試験後の色変化(ΔE*
ab)が3.5以下である、
光学フィルム:
前記耐光性試験は、キセノンランプ(Xenon Lamp)を使用し、デイライトフィルター(Daylight filter)、420nmにて0.8W/m
2で12kW(12kW 0.8W/m
2@420nm)、30℃で相対湿度30%のチャンバー(30℃/30RH% Chamber)、55℃のブラックパネル(Black Panel)の条件で300時間実施するのであり、
前記色変化(ΔE*
ab)は下記数式1で算出される。
[数式1]
ΔE*
ab=[(ΔL*)
2+(Δa*)
2+(Δb*)
2]
1/2
前記数式1において、ΔL*は耐光性試験の前後のL*の差であり、Δa*は耐光性試験の前後のa*差であり、Δb*は耐光性試験の前後のb*の差である。
【請求項2】
前記光透過性基材は、
高分子樹脂および
マロン酸塩系(Malonate)紫外線吸収剤を含む、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記紫外線吸収剤は、ジメチルアセトアミド(DAMc)に0.001wt%の濃度で溶解させたとき、UVA領域(315~400nm)の最大吸光度が0.45以上である、
請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記紫外線吸収剤は、下記化学式2で表される化合物を含む、
請求項2に記載の光学フィルム:
[化学式2]
前記化学式2において、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン元素、フェニル基、またはC1~C10の直鎖状、分岐状または脂環式のアルキル基であり、Yは炭素数6~40の2価の芳香族またはヘテロ有機基であり、化学式2に含まれる有機基中の水素原子は、(1)ハロゲン元素、(2)炭化水素基、(3)ハロゲン置換された炭化水素基、または、(4)ハロゲン元素、酸素または窒素で置換された炭化水素基、によって置換されてもよい。
【請求項5】
前記紫外線吸収剤は、テトラエチル2,2'-(1,4-フェニレンジメチルジイン)ビスマロネート(Tetraethyl 2,2'-(1,4-phenylenedimethylidyne)bismalonate)を含む、
請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記光透過性基材は、前記高分子樹脂100重量部に対して1~10重量部の前記紫外線吸収剤を含む、
請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記高分子樹脂は、イミド繰り返し単位およびアミド繰り返し単位の少なくとも1つ以上を含む、
請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項8】
耐光性試験後の光透過度が88.5%以上であり、
耐光性試験後のヘイズが1.0以下である、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項9】
表示パネルと、
前記表示パネル上に配置された、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の光学フィルムを含む、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム及びそれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の薄型化、軽量化、フレキシブル化に伴い、カバーウィンドウとしてガラスの代わりに高分子樹脂を含む光学フィルムを使用することが検討されている。光学フィルムが表示装置のカバーウィンドウとして使用されるためには、優れた光学的特性および機械的特性を有する必要がある。
【0003】
一方、高分子樹脂を含む光学フィルムは、初期黄変度が高いか、または時間の経過とともに光に曝されることにより、光学フィルムの色変化が発生するという問題がある。
【0004】
そのため、不溶性、耐薬品性および耐熱性などの機械的特性に優れ、かつ耐光性などの光学特性に優れたフィルムを開発することが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の一実施態様は、耐光性に優れた光学フィルムを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明の他の一実施態様は、耐光性に優れた光学フィルムを含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、光透過性基材を含み、耐光性試験前の黄色度が5.0以下であり、耐光性試験後の色変化(ΔE*ab)が3.5以下である、光学フィルムを提供する。
【0008】
前記耐光性試験は、キセノンランプ(Xenon Lamp)を使用して、Daylightフィルター、12kW 0.8W/m2@420nm、30℃/30RH% Chamber、55℃Black Panelの条件で300時間実施し、前記色変化(ΔE*ab)は下記数式1で算出される。
【0009】
[数式1]
ΔE*ab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
【0010】
前記数式1において、ΔL*は耐光性試験の前後におけるL*の差であり、Δa*は耐光性試験の前後におけるa*の差であり、Δb*は耐光性試験の前後におけるb*の差である。
【0011】
前記光透過性基材は、高分子樹脂、および、マロン酸塩系(Malonate)紫外線吸収剤を含んでもよい。
【0012】
前記紫外線吸収剤は、DAMc(ジメチルアセトアミド)に0.001wt%濃度で溶解させたとき、UVA領域(315~400nm)の最大吸光度が0.45以上であってもよい。
【0013】
前記紫外線吸収剤は、下記化学式2で表される化合物を含んでもよい。
【0014】
【0015】
前記化学式2において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン元素、フェニル基、またはC1~C10の直鎖状、分岐状または脂環式のアルキル基であり、Yは炭素数6~40の2価の芳香族またはヘテロ有機基であり、化学式2に含まれる有機基中の水素原子は、(1)ハロゲン元素、(2)炭化水素基、(3)ハロゲン置換された炭化水素基、または、(4)ハロゲン元素、酸素または窒素で置換された炭化水素基、によって置換されてもよい。
【0016】
前記紫外線吸収剤は、テトラエチル2,2'-(1,4-フェニレンジメチルジイン)ビスマロネート(Tetraethyl2,2'-(1,4-phenylenedimethylidyne)bismalonate)を含んでもよい。
【0017】
前記光透過性基材は、前記高分子樹脂100重量部に対して1~10重量部の前記紫外線吸収剤を含んでもよい。
【0018】
前記高分子樹脂は、イミド繰り返し単位およびアミド繰り返し単位の少なくとも1つ以上を含んでもよい。
【0019】
前記光学フィルムは、耐光性試験後、光透過度が88.5%以上であってもよく、耐光性試験後のヘイズが1.0以下であってもよい。
【0020】
本発明の他の一実施態様は、表示パネルと、前記表示パネル上に配置された前記光学フィルムとを含む、表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施態様によれば、UVA領域(315~400nm)で耐光性に優れた光学フィルムを提供することができる。
【0022】
本発明の他の一実施態様によれば、UVA領域(315~400nm)で耐光性に優れた光学フィルムを含む表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施態様に係る光学フィルム(100)の断面図である。
【
図2】プライマー層(120)をさらに含む光学フィルム(101)の断面図である。
【
図3】ハードコート層(130)をさらに含む光学フィルム(102)の断面図である。
【
図4】本発明の他の一実施態様に係る表示装置(200)の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施態様を詳細に説明する。ただし、以下で説明される実施例は、本発明の明確な理解を助けるための例示的な目的として提示されるものであり、本発明の範囲を限定しない。
【0025】
本発明の実施態様を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、数などは例示的なものであり、本発明は図面に示された事項に限定されない。明細書全体に亘って、同一の構成要件は、同一の参照符号で指すことができる。本発明を説明するにあたり、関連する公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略される。
【0026】
本明細書で言及された「含む」、「有する」、「行われる」などが使用される場合、「~のみ」という表現が使用されない限り、他の部分が追加されうる。構成要件が単数で表現された場合、特に明示的な記載がない限り複数を含む。また、構成要件を解釈するにあたり、別途明示的な記載がない場合でも、誤差範囲を含むものと解釈する。
【0027】
位置関係の説明の場合、例えば、「~の上に」、「~の上方に」、「~の下方に」、「~の横に」など、2つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」という表現が使用されない限り、2つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置しうる。
【0028】
空間的に相対的な用語である「下(below, beneath)」、「下部・下方(lower)」、「上(above)」、「上部・上方(upper)」などは、図面に示されているようにある素子または構成要件と他の素子または構成要件との相関関係を容易に記述するために使用することができる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、使用時または動作時の素子の異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図面に示されている素子を裏返すと、他の素子の「下(below)」または「下(beneath)」と記載されている素子は、他の素子の「上(above)」に配置されうる。したがって、例示的な用語である「下」は、下と上の両方の方向を含むことができる。同様に、例示的な用語である「上」または「上部・上方」は、上方向と下方向の両方を含むことができる。
【0029】
時間関係についての説明の場合、例えば、「~の後に」、「~に続いて」、「~の次に」、「~の前に」など、時間的な先後関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」という表現が使用されない限り、連続的でない場合も含むことができる。
【0030】
第1、第2などが様々な構成要件を記述するために使用されるが、これらの構成要件はこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、単に1つの構成要件を他の構成要件と区別するために使用するものである。したがって、以下で言及される第1の構成要件は、本発明の技術的思想の範囲内で第2の構成要件であってもよい。
【0031】
「少なくとも1つ」という用語は、1つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むものと理解されるべきである。例えば、「第1の項目、第2の項目および第3の項目の少なくとも1つ」の意味は、第1の項目、第2の項目または第3の項目のそれぞれだけでなく、第1の項目、第2の項目および第3の項目のうちの2つ以上から提示できるすべての項目の組み合わせを意味する。
【0032】
本発明の様々な実施態様の各特徴は、部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動および駆動が可能であり、各実施態様は、互いに独立して実施可能であり、または連関関係で一緒に実施することもできる。
【0033】
以下、本発明を詳細に説明する前に、本明細書で使用される用語は、特定の実施態様を説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものではないことを理解すべきである。本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、他に言及されない限り、技術的に通常の技術を有する者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0034】
また、以下、本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語を解釈するにあたっては、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に踏まえて、必ずしも通例的又は辞典的な意味のみに限定して解釈するのではなく、本明細書に記載されているとおり、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈しなければならない。
【0035】
本発明の一実施態様は、光学フィルム(100)を提供する。
図1は、本発明の一実施態様による光学フィルム(100)の断面図である。
【0036】
図1に示すように、本発明の一実施態様による光学フィルム(100)は、光透過性基材(110)を含む。
【0037】
本発明の一実施態様による光学フィルム(100)は、耐光性試験前の黄色度が5.0以下であり、耐光性試験後の色変化(ΔE*ab)が3.5以下である。
【0038】
耐光性試験前の黄色度は、分光光度計(Spectrophotometer)装置を用いて測定することができる。具体的には、標準規格ASTM E313に従って分光光度計、例えばKONICA MINOLTA社の分光光度計(モデル名:CM-3700D)装置を用いて光学フィルムの黄色度を測定することができる。
【0039】
前記耐光性試験は、キセノンランプ(Xenon Lamp)、例えば、ATLAS社のSUNTEST XXL+機器を使用して、デイライトフィルター(Daylightフィルター;昼光フィルター)、420nmにて0.8W/m2で12kW(12kW0.8W/m2@420nm)、30℃で相対湿度30%のチャンバー(30℃/30RH% Chamber)、55℃のブラックパネル(Black Panel)の条件で300時間実施したのであり、前記色変化(ΔE*ab)は下記数式1で算出される。
【0040】
[数式1]
ΔE*ab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
【0041】
前記数式1において、ΔL*は耐光性試験の前後におけるL*の差であり、Δa*は耐光性試験の前後におけるa*の差であり、Δb*は耐光性試験の前後におけるb*の差である。
【0042】
光学フィルム(100)の耐光性試験の前のL*、a*、b*は、色差計装置を用いて測定することができる。具体的には、光学フィルム(100)を色差計、例えばKONICA MINOLTA社の色差計(モデル名:CM-3600A)装置を用いてD65光源、視野角2°、透過モードでL*、a*、b*をそれぞれ3回測定し、3回測定したL*、a*、b*のそれぞれの平均値を計算して光学フィルム(100)のL*、a*、b*とする。耐光性試験後のL*、a*、b*は、耐光性試験を行った後、前記耐光性試験の前のL*、a*、b*の測定方法と同じ方法で測定することができる。
【0043】
光学フィルム(100)の耐光性試験前の黄変度が5.0以下であり、耐光性試験後の色変化(ΔE*ab)が3.5以下である場合、光学フィルム(100)の視認性及び耐光性、特にUV耐光性に優れ、表示装置のカバーウィンドウとして使用するのに適している。光学フィルム(100)の光透過性基材(110)が含む高分子樹脂は、多量の芳香族環を有しているため、長時間、紫外線(UV)波長の光に曝される場合、光学フィルム(100)の色変化が発生する。したがって、時間が経過するにつれて、光学フィルム(100)の色再現性及び鮮明度が低下し、視認性が低下する。一方、UV耐光性に優れた光学フィルム(100)は、紫外線(UV)波長の光に曝されても、色変化が少ないため、表示装置のカバーウィンドウの寿命を増加させることができる。
【0044】
本発明の一実施態様の光透過性基材(110)は、高分子樹脂及び紫外線吸収剤を含んでもよい。
【0045】
高分子樹脂は、屈曲特性及び耐衝撃性などに優れており、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウとして使用するのに適している。高分子樹脂は、フィルムに、固形分粉末の形態、溶液に溶解している形態、溶液に溶解した後に固化したマトリックスの形態など、様々な形状及び形態で含まれてもよく、本発明と同じ繰り返し単位を含む樹脂であれば、形状及び形態を問わず、全て本発明の高分子樹脂と同一のものと見ることができる。一般的に、フィルム内における高分子樹脂は、高分子樹脂溶液を塗布した後、乾燥して固化されたマトリックスの形態で存在してもよい。
【0046】
本発明の一実施態様に係る高分子樹脂は、光透過性樹脂であればどのようなものでもよい。例えば、シクロオレフィン系誘導体、セルロース系ポリマー、エチレン酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリアミドイミド系ポリマー、ポリエーテルイミド系ポリマー、ポリアクリル系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリエチレン系ポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリメチルペンテン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリビニルアセタール系ポリマー、ポリエーテルケトン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリメチルメタアクリレート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート系ポリマー、ポリブチレンテレフタレート系ポリマー、ポリエチレンナフタレート系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー及びエポキシ系ポリマーから選ばれる少なくとも1つ以上を含んでもよい。好ましくは、本発明の一実施態様による高分子樹脂は、ポリイミド系ポリマー、ポリアミド系ポリマーおよびポリアミドイミド系ポリマーの少なくとも1つを含んでもよい。特に、ポリイミド系ポリマー、ポリアミド系ポリマー及びポリアミドイミド系ポリマーは、熱的特性、硬度、耐摩耗性、屈曲性などの物理的特性だけでなく、光透過率、ヘイズなどの光学的特性にも優れており、表示装置のカバーウィンドウとして使用される光学フィルム(100)の光透過性基材(110)として、ポリイミド系ポリマー、ポリアミド系ポリマー及びポリアミドイミド系ポリマーの少なくとも1つを含むことが好ましい。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、光透過性基材(110)は、イミド繰り返し単位及びアミド繰り返し単位の少なくとも1つ以上を含む高分子樹脂を含んでもよい。本発明において、イミド繰り返し単位とは、ジアミン系化合物とジアンハイドライド系化合物とが反応し、イミド化して生成される繰り返し単位をいうのであり、アミド繰り返し単位とは、ジアミン系化合物とジカルボニル系化合物が反応して生成される繰り返し単位をいう。光透過性基材(110)は、ポリイミド系基材、ポリアミド系基材及びポリアミドイミド系基材のいずれか1つであってもよい。しかしながら、本発明の一実施態様はこれに限定されず、光透過性を有する基材であれば、本発明の一実施態様による光透過性基材(110)であってもよい。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、光透過性基材(110)は、紫外線吸収剤を含んでもよい。前記紫外線吸収剤は、マロン酸塩系(Malonate)化合物を含んでもよい。すなわち、本発明の一実施態様による光透過性基材(110)は、マロン酸塩系紫外線吸収剤を含んでもよい。
【0049】
本発明のマロン酸塩系化合物は、マロン酸塩置換基を含む化合物であり、マロン酸塩置換基は下記化学式1で表される構造である。すなわち、マロン酸塩系化合物は、下記化学式1で表される構造を含む化合物をいう。
【0050】
【0051】
前記化学式1において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン元素、フェニル基、またはC1~C10の直鎖状、分岐状または脂環式のアルキル基である。
【0052】
マロン酸塩系(Malonate)化合物は、光学フィルム(100)の初期黄色度の増加を最小化し、光学フィルム(100)の耐光性改善の効果に優れ、紫外線吸収剤として含む場合、光学フィルム(100)が光に曝される際の色変化を最小化することができる。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、紫外線吸収剤は、DAMcに0.001wt%の濃度で溶解させたとき、UVA領域(315~400nm)の最大吸光度が0.45以上であってもよい。
【0054】
紫外線吸収剤のUVA領域(315~400nm)の最大吸光度は、紫外線分光器(UV Spectrophotometer)を用いて測定することができる。具体的には、紫外線吸収剤をDMAc(N,N-Dimethylacetamide)に0.001wt%の濃度で溶解し、紫外線分光器、例えばShimadzu社の紫外線分光器(モデル名:UV-1800)装置を用いてUVA領域(315~400nm)での吸光度を測定し、前記UVA領域(315~400nm)で測定したところの吸光度のうちの最大値が、紫外線吸収剤のUVA領域(315~400nm)の最大吸光度である。
【0055】
紫外線吸収剤のUVA領域(315~400nm)の最大吸光度が0.45以上である場合、光学フィルム(100)の初期黄変度の向上を最小化し、耐光性を向上させることにより、初期黄変度が5.0以下になるようにし、また、耐光性試験後の色変化(ΔE*ab)が3.5以下になるようにすることができる。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、紫外線吸収剤は、前記化学式1で表される構造を少なくとも2つ以上含んでもよい。すなわち、紫外線吸収剤は、マロン酸塩置換基を少なくとも2つ以上含んでもよい。
【0057】
紫外線吸収剤が2つ以上のマロン酸塩置換基を含む場合、紫外線吸収剤の吸光度が増加し、UVA領域(315~400nm)の最大吸光度が0.45以上であってもよい。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、紫外線吸収剤は、下記化学式2で表される化合物を含んでもよい。
【0059】
【0060】
前記化学式2において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン元素、フェニル基、またはC1~C10の直鎖状、分岐状または脂環式のアルキル基であり、Yは炭素数6~40の2価の芳香族有機基またはヘテロ有機基であり、化学式2に含まれる有機基中の水素原子は、(1)ハロゲン元素、(2)炭化水素基、(3)ハロゲン置換された炭化水素基、または、(4)ハロゲン元素、酸素または窒素で置換された炭化水素基、によって置換されてもよい。
【0061】
前記化学式2において、Yは、例えば、下記化学式3で表される構造式のいずれか1つで表される構造を含んでもよい。
【0062】
【0063】
前記化学式3の構造式中、*は結合位置を示す。前記構造式において、Zは、独立して単結合、O、S、SO2、COおよび(C=C)nのいずれか1つであってもよく、nは1~5の整数であってもよい。Zと各環に対する結合の位置は特に限定されないが、Zの結合位置は、例えば、各環に対してオルソまたはパラ位置であってもよい。前記化学式3の構造式中の水素原子は、(1)ハロゲン元素、(2)炭化水素基、(3)ハロゲン置換された炭化水素基、または、(4)ハロゲン元素、酸素または窒素置換された炭化水素基、によって置換されてもよい。前記化学式3において、各構造式は、構造式中の炭素の1つ以上が、窒素(N)、硫黄(S)または酸素(O)といった元素で置換されたヘテロ環式有機基であってもよい。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、紫外線吸収剤は、テトラエチル2,2'-(1,4-フェニレンジメチルジイン)ビスマロネート(Tetraethyl 2,2'-(1,4-phenylenedimethylidyne)bismalonate)を含んでもよい。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、光透過性基材は、高分子樹脂100重量部に対して1~10重量部の紫外線吸収剤を含んでもよい。
【0066】
高分子樹脂100重量部に対して1重量部未満の紫外線吸収剤を含む場合、耐光性改善の効果が微々たるものであるため、耐光性試験後の色変化(ΔE*ab)が3.5を超えることになる。逆に、高分子樹脂100重量部に対して10重量部超過の紫外線吸収剤を含む場合、耐光性試験前の初期黄色度が5.0を超えることになり、また、長期保管時に溶出の問題が発生する可能性がある。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、光学フィルム(101)は、光透過性基材(110)の上方にプライマー層(120)をさらに含んでもよい。
図2は、プライマー層(120)をさらに含む光学フィルム(101)の断面図である。
【0068】
図2に示すように、プライマー層(120)をさらに含む光学フィルム(101)は、光透過性基材(110)、プライマー層(120)の順に積層されてもよい。
【0069】
本発明のプライマー層(120)は、硬化性樹脂を含んでもよい。本発明の一実施態様によれば、硬化性樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びシロキサン系樹脂から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、本発明のプライマー層(120)は、紫外線吸収剤および顔料の少なくともいずれか1つをさらに含んでもよい。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、プライマー層(120)は、光透過性基材(110)と同じマロン酸塩系(Malonate)紫外線吸収剤を含んでもよく、または、マロン酸塩系(Malonate)紫外線吸収剤以外に他の紫外線吸収剤を含んでもよい。本発明はこれに限定されない。
【0072】
本発明の一実施態様によれば、顔料は、銅フタロシアニン(Cu-phthalocyanine)系化合物を含んでもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、銅フタロシアニン系化合物以外の他の顔料を用いてもよい。
【0073】
本発明の一実施態様によれば、プライマー層(120)は、0.1~10μmの厚さを有してもよい。好ましくは、プライマー層(120)は、1~5μmの厚さを有してもよい。ただし、本発明はこれに限定されない。
【0074】
本発明の一実施態様によれば、光学フィルム(102)は、光透過性基材(110)の上方にハードコート層(130)をさらに含んでもよい。
図3は、ハードコート層(130)をさらに含む光学フィルム(102)の断面図である。
【0075】
図3に示すように、ハードコート層(130)をさらに含む光学フィルム(102)は、光透過性基材(110)、ハードコート層(130)の順に積層されてもよい。
【0076】
ハードコート層(130)は、光学フィルム(102)、光学フィルム(101)が貼り付けられた被着体を外部環境から保護する層であり、本発明の一実施態様によれば、ハードコート層(130)は、シロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂の少なくとも1つを含んでもよい。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、ハードコート層(130)は、1~10μmの厚さを有してもよく、好ましくは、1~5μmの厚さを有してもよい。ただし、本発明はこれに限定されない。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、光学フィルムは、光透過性基材(110)の上方にプライマー層(120)及びハードコート層(130)の両方を追加して含んでもよい(図示省略)。プライマー層(120)及びハードコート層(130)をさらに含む光学フィルムは、光透過性基材(110)、プライマー層(120)、ハードコート層(130)の順に積層されてもよい。
【0079】
本発明の一実施態様によれば、光学フィルム(100)は、光透過性及びフレキシブル特性を有してもよい。例えば、本発明の一実施態様による光学フィルムは、曲げ(bending)特性、折り畳み(folding)特性及びローラブル(rollable)特性を有してもよい。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、光学フィルム(100)は、耐光性試験前の光透過度が88.5%以上であってもよく、耐光性試験前のヘイズが0.4以下であってもよい。
【0081】
耐光性試験前の光透過度は、標準規格ASTM E313に従い、分光光度計(Spectrophotometer)を用い、例えばKONICA MINOLTA社の分光光度計(モデル名:CM-3700D)装置を用い、360~740nmの波長範囲での平均光透過度を測定することができる。
【0082】
耐光性試験前のヘイズは、製造された光学フィルム(100)を50mm×50mmに切断し、規格ASTM D1003に従ってヘイズメーターを用いて、例えばMURAKAMI社のヘイズメーター(モデル名:HM-150)装置を用いて、3回測定し、3回の測定値の平均値をヘイズ値とすることができる。
【0083】
本発明の一実施態様によれば、光学フィルム(100)は、耐光性試験後の光透過度が88.5%以上であってもよく、耐光性試験後のヘイズが1.0以下であってもよい。
【0084】
耐光性試験後の光透過度及びヘイズは、耐光性試験を行った後、前記耐光性試験の前の光透過度およびヘイズ測定方法と同じ方法で測定することができる。
【0085】
本発明の一実施態様による光学フィルム(100)は、表示装置に適用され、表示パネルの表示面を保護することができる。本発明の一実施態様による光学フィルム(100)は、表示パネルを保護するのに十分な程度の厚さを有してもよい。例えば、光学フィルム(100)は、20~120μmの厚さを有してもよい。ただし、本発明はこれに限定されない。
【0086】
以下、
図4及び
図5を参照して、本発明の一実施態様による光学フィルム(100)が使用された表示装置について説明する。
【0087】
図4は、本発明の他の一実施態様に係る表示装置(200)の一部の断面図であり、
図5は、
図4の「P」部分の拡大断面図である。
【0088】
図4を参照すると、本発明の他の一実施態様による表示装置(200)は、表示パネル(501)と、表示パネル(501)上の光学フィルム(100)とを含む。
図4の光学フィルム(100)は、
図2の光学フィルム(101)または
図3の光学フィルム(102)であってもよい。
【0089】
図4及び
図5を参照すると、表示パネル(501)は、基板(510)、基板(510)上の薄膜トランジスタ(TFT)、及び、薄膜トランジスタ(TFT)と連結された有機発光素子(570)を含む。有機発光素子(570)は、第1の電極(571)、第1の電極(571)上の有機発光層(572)、及び、有機発光層(572)上の第2の電極(573)を含む。
図4及び
図5に開示された表示装置(200)は、有機発光表示装置である。
【0090】
基板(510)は、ガラスまたはプラスチックで作製してもよい。具体的には、基板(510)は、ポリイミド系樹脂といったプラスチックで作製してもよい。図示されていないが、基板(510)上にバッファ層が配置されてもよい。
【0091】
薄膜トランジスタ(TFT)は、基板(510)上に配置される。薄膜トランジスタ(TFT)は、半導体層(520)、半導体層(520)と絶縁されて半導体層(520)の少なくとも一部と重なるゲート電極(530)、半導体層(520)と連結されたソース電極(541)、及び、ソース電極(541)から離間して半導体層(520)と連結されたドレイン電極(542)を含む。
【0092】
図5を参照すると、ゲート電極(530)と半導体層(520)との間にゲート絶縁膜(535)が配置される。ゲート電極(530)上に層間絶縁膜(551)が配置され、層間絶縁膜(551)上にソース電極(541)及びドレイン電極(542)が配置されてもよい。
【0093】
平坦化膜(552)は、薄膜トランジスタ(TFT)上に配置され、薄膜トランジスタ(TFT)の上部を平坦化する。
【0094】
第1の電極(571)は、平坦化膜(552)上に配置される。第1の電極(571)は、平坦化膜(552)に備えられたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタ(TFT)と連結される。
【0095】
バンク層(580)は、第1の電極(571)の一部及び平坦化膜(552)の上に配置され、画素領域又は発光領域を画定(定義)する。例えば、バンク層(580)が複数の画素間の境界領域にマトリックス構造で配置されることにより、バンク層(580)によって画素領域を画定(定義)することができる。
【0096】
有機発光層(572)は、第1の電極(571)上に配置される。有機発光層(572)は、バンク層(580)上に配置してもよい。有機発光層(572)は、1つの発光層を含んでもよく、上下に積層された2つ以上の発光層を含んでもよい。このような有機発光層(572)から、赤色、緑色及び青色のいずれか1つの色を有する光が放出されうるのであり、白色(White)光が放出されることもありうる。
【0097】
第2の電極(573)は、有機発光層(572)上に配置される。
【0098】
第1の電極(571)、有機発光層(572)及び第2の電極(573)が積層され、有機発光素子(570)が形成されてもよい。
【0099】
図示されていないが、有機発光層(572)が白色(White)光を発光する場合、個々の画素は、有機発光層(572)から放出される白色(White)光を波長別にフィルタリングするためのカラーフィルタを含んでもよい。カラーフィルタは、光の移動経路上に形成される。
【0100】
第2の電極(573)上に薄膜封止層(590)を配置してもよい。薄膜封止層(590)は、少なくとも1つの有機膜及び少なくとも1つの無機膜を含んでもよく、少なくとも1つの有機膜及び少なくとも1つの無機膜が交互に配置されてもよい。
【0101】
以上に説明した積層構造を有する表示パネル(501)上に光学フィルム(100)が配置される。
【0102】
以下、例示的な実施例及び比較例を参照して、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下に説明する実施例及び比較例によって本発明は限定されない。
【0103】
<製造例:高分子樹脂製造>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた1Lの反応器に窒素を通しながら、DMAc(N,N-Dimethylacetamide;N,N-ジメチルアセトアミド) 776.655gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB(Bis(trifluoromethyl)benzidine;ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン) 54.439g(0.17mol)を溶解し、この溶液を25℃に維持した。ここにBPDA(biphenyl-tetracarboxylic acid dianhydride;ビフェニルテトラカルボン酸二無水物) 15.005g(0.051mol)を加え、3時間攪拌してBPDAを完全に溶解させた後、6FDA(4,4'-(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride;4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物) 22.657g(0.051mol)を加えて完全に溶解させた。反応器温度を10℃に下げた後、TPC(Terephthaloyl chloride;テレフタロイルクロリド)13.805g(0.068mol)を加えた後、25℃で12時間反応させ、固形分の濃度が12重量%のポリマー溶液を得た。
【0104】
得られたポリマー溶液にピリジン17.75g、酢酸無水物22.92gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間攪拌して常温まで冷却し、得られたポリマー溶液にメタノール20Lを加えて固形分を沈殿させ、沈殿した固形分を濾過及び粉砕した。この後、再びメタノール2Lで洗浄した後、100℃で真空により6時間乾燥し、粉末状のポリイミド系ポリマー固形分を得た。ここで製造されたポリイミド系ポリマー固形分は、ポリアミドイミドポリマー固形分である。
【0105】
<実施例1>
500mLの反応器に300重量部のDMAcと、ポリアミドイミドポリマー固形分100重量部に対して2重量部のテトラエチル2,2'-(1,4-フェニレンジメチルジイン)ビスマロネート(Tetraethyl 2,2'-(1,4-phenylenedimethylidyne)bismalonate)(紫外線吸収剤、Cas No.: 6337-43-5、Chempia社のEversorb 320)を入れ、室温で10分間十分に溶解した後、反応器の温度を5℃に維持したまま攪拌した。その後、製造例で製造したポリイミド系ポリマー固形分粉末43.72重量部を投入し、1時間攪拌後、25℃に昇温して液状のポリイミド系樹脂溶液を製造した。テトラエチル2,2'-(1,4-フェニレンジメチルジイン)ビスマロネート(Tetraethyl 2,2'-(1,4-phenylenedimethylidyne)bismalonate)の最大吸光度は0.95(@321nm)であった。
【0106】
得られたポリイミド系樹脂溶液をキャスティング基板に塗布してキャスティングし、130℃の熱風で30分乾燥してフィルムを製造した後、製造されたフィルムをキャスティング基板から剥離し、フレームにピンで固定した。この際、キャスティング基板の種類に特に制限はない。キャスティング基板として、ガラス基板、ステンレス(SUS)基板、テフロン(登録商標)基板などを用いてもよい。実施例1では、キャスティング基板として有機基板が使用された。以下同様である。
【0107】
フィルムが固定されたフレームを真空オーブンに入れ、100℃から280℃まで2時間、ゆっくりと加熱した後、徐々に冷却してフレームから分離し、ポリイミド系光学フィルムを得た。再びポリイミド系光学フィルムを250℃で5分間熱処理した。その結果、50μmの厚さのポリイミド系光学フィルムが完成された。
【0108】
<実施例2>
実施例1と同様の方法で、紫外線吸収剤の含量を変えて、実施例2の光学フィルムを製造した。
【0109】
実施例2の具体的な紫外線吸収剤の含量は、下記表1の通りである。
【0110】
<比較例1~4>
実施例1と同様の方法で、紫外線吸収剤の種類及び含量を変えて、比較例1~4の光学フィルムを製造した。
【0111】
比較例1~4の具体的な紫外線吸収剤の種類及び含量は、下記表1に示す。
【0112】
このとき、紫外線吸収剤のUVA領域(315~400nm)の最大吸光度は、各紫外線吸収剤をDMAcに0.001wt%で溶解した後、Shimadzu社の紫外線分光器(UV spectrophotometer UV-1800)を用いてUVA領域(315~400nm)での吸光度を測定し、前記UVA領域(315~400nm)で測定した吸光度のうちの最大値を、紫外線吸収剤のUVA領域(315~400nm)の最大吸光度とした。
【0113】
【0114】
<測定例>実施例1~2及び比較例1~4で製造された光学フィルムについて、以下の測定を行った。以下の測定例は、耐光性試験前に測定し、耐光性試験後に再度測定した。
【0115】
耐光性試験は、キセノンランプ(Xenon Lamp)、具体的には、ATLAS社のSUNTEST XXL+機器を使用し、Daylightフィルター、12kW 0.8W/m2 @420nm、30℃/30RH% Chamber、55℃ Black Panelの条件で300時間実施した。
【0116】
1) 黄色度(Y.I.)
黄色度は、分光光度計(Spectrophotometer)装置を用いて測定した。具体的には、標準規格ASTM E313に従って分光光度計を用いて、例えばKONICA MINOLTA社の分光光度計(モデル名:CM-3700D)装置を用いて、光学フィルムの黄色度を測定した。
【0117】
2) L*、a*、b*及び色変化(ΔE*ab)
実施例及び比較例により製造された光学フィルムの色変化(ΔE*ab)は、下記数式1で算出した。
【0118】
[数式1]
ΔE*ab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
【0119】
前記数式1において、ΔL*は耐光性試験の前後のL*の差であり、Δa*は耐光性試験の前後のa*の差であり、Δb*は耐光性試験の前後のb*の差である。
【0120】
光学フィルム(100)の耐光性試験前のL*、a*、b*は、色差計装置を用いて測定した。具体的には、光学フィルム(100)について、色差計を用い、例えばKONICA MINOLTA社の色差計(モデル名:CM-3600A)装置を用い、D65光源、視野角2°、透過モードでL*、a*、b*をそれぞれ3回測定するのであり、3回測定したL*、a*、b*のそれぞれの平均値を計算して光学フィルム(100)のL*、a*、b*とする。耐光性試験後のL*、a*、b*は、耐光性試験を行った後、前記耐光性試験前のL*、a*、b*の測定方法と同じ方法で測定した。
【0121】
3) 光透過率
実施例及び比較例により製造された光学フィルムを、標準規格ASTM E313に従って分光光度計(Spectrophotometer)、例えばKONICA MINOLTA社の分光光度計(モデル名:CM-3700D)装置を用いて360~740nmの波長範囲における平均光透過度を測定した。
【0122】
4) ヘイズ
実施例及び比較例により製造された光学フィルムを50mm×50mmに切断し、標準規格ASTM D1003に従ってヘイズメーター用いて、例えばMURAKAMI社のヘイズメーター(モデル名:HM-150)装置を用いて、5回測定したのであって、5回の測定値の平均値をその光学フィルムのヘイズ値とした。
【0123】
測定結果は下記表2および3に示す。
【0124】
【0125】
【0126】
前記表2及び3の測定結果に開示されているように、本発明の実施例1~2の光学フィルムは、いずれも耐光性試験前の黄変度が5.0以下であり、耐光性試験後の黄変度が7.8以下、光透過度が88.5%以上、ヘイズが1.0以下であり、また、ΔE*abが3.5以下であった。しかし、比較例1~4の光学フィルムを見ると、比較例1~3は、耐光性試験後のΔE*abが3.5超過であり、光学フィルムの色再現性及び鮮明度が低下し、視認性が低下していることが確認された。比較例4は、耐光性試験前の初期黄変度が5.0超過であり、耐光性試験後のヘイズが1.0超過、ΔE*abが3.5超過であって、光学フィルムの初期黄変度が高く、耐光性試験後の光学フィルムの色再現性及び鮮明度が低下し、視認性が低下していることが確認された。
【0127】
前述した各実施例で例示された特徴、構造、効果等は、実施例が属する分野における通常の知識を有する者によって、他の実施態様についても、組み合わせまたは変形して実施することができる。したがって、このような組み合わせと変形に関わる内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0128】
100 光学フィルム
101 光学フィルム
102 光学フィルム
110 光透過性基材
120 プライマー層
130 ハードコート層
200 表示装置
501 表示パネル
510 基板
520 半導体層
530 ゲート電極
535 ゲート絶縁膜
541 ソース電極
542 ドレイン電極
551 層間絶縁膜
552 平坦化膜
570 有機発光素子
571 第1の電極
572 有機発光層
573 第2の電極
580 バンク層
590 薄膜封止層
【国際調査報告】