(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】失禁検出デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20241121BHJP
G01N 27/06 20060101ALI20241121BHJP
A61F 13/42 20060101ALI20241121BHJP
A41B 9/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G01N27/00 H
G01N27/06 A
A61F13/42 F
A41B9/02 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535654
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 US2022081700
(87)【国際公開番号】W WO2023114934
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524223574
【氏名又は名称】マッド ブラッダー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラクリン、ダニエル、ジョセフ
【テーマコード(参考)】
2G060
3B128
3B200
【Fターム(参考)】
2G060AA07
2G060AC01
2G060AE12
2G060AF07
2G060AG03
2G060AG06
2G060AG10
2G060JA06
2G060KA05
3B128EC04
3B128EC16
3B200DF04
(57)【要約】
最新の失禁検出システムは、高価である、使用が難しい、着用すると不快である、又は検出される事象の範囲に制限がある。しかしながら、本発明は、安価な技術を使用する、使い捨ての失禁検出システムを特徴とする。本システムは、湿気の度合及び持続性を示すことができる。湿り度が、「検出セル」をそれぞれ含む、複数の独立した検出ポイントを介する幾何学的範囲を含む、様々な要因にわたって測定され得る。適切にネットワーク化されたシステムが、湿り気の時間及び位置を判定することができる。各セルは、材料流体親和性及び暴露エリアなどの様々な要因に対して調整され得る。本発明の一利点は、それが尿失禁とは異なるものとして便失禁を区別するように適合され得る容易さであり、両方の形の失禁が、本明細書に記載の同システムを使用して、モニタされ得る。別の利点には、尿の塩度を推定する能力が含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の表面(111)及び第2の表面(112)を備える回路基板(110)と、
b)前記回路基板(110)の前記第1の表面(111)に配置された第1の吸収性材料層(130)と、
c)前記回路基板(110)の前記第1の表面(111)と前記第1の吸収性材料層(130)との間に配置された少なくとも1対の電極(120a、120b)と、
を備え、
前記1対の電極(120a、120b)が接続材料によって橋渡しされ、前記1対の電極(120a、120b)が動作可能に接続され、閉回路が形成されるとき、失禁が検出される、失禁検出セル(100)。
【請求項2】
前記第1の吸収性材料層(130)が、前記電極の表面(121)に配置され、前記第1の吸収性材料層(130)が乾いているとき、開回路が前記1対の電極(120a、120b)の間に形成され、前記第1の吸収性材料層(130)が濡れるとき、前記接続材料が、前記濡れた第1の吸収性材料層(130)を備え、それにより、前記1対の電極(120a、120b)を動作可能に接続し、失禁を検出するための前記1対の電極(120a、120b)の間に前記閉回路を形成する、請求項1に記載のセル(100)。
【請求項3】
前記第1の吸収性材料層(130)の第1の表面(131)に配置された絶縁膜(140)をさらに備える、請求項2に記載のセル(100)。
【請求項4】
前記絶縁膜(140)がさらに、前記絶縁膜(140)内に複数のギャップ(145)を備え、前記複数のギャップ(145)が、液体が前記第1の吸収性材料層(130)に達することを可能にするように構成される、請求項3に記載のセル(100)。
【請求項5】
バリア(150)をさらに備え、前記バリア(150)が、前記1対の電極(120a、120b)を前記第1の吸収性材料層(130)から分離する、請求項1に記載のセル(100)。
【請求項6】
前記バリア(150)が、開口部(151)、非透過層(152)、又はその組合せを備え、前記開口部が、前記回路基板(110)及び前記第1の吸収性材料層(130)を通して配置され、前記非透過層(152)が、前記回路基板(110)の第1の表面(111)に配置される、請求項5に記載のセル(100)。
【請求項7】
前記接続材料が、半固体の物体を含み、前記接続材料が存在しないとき、開回路が前記1対の電極(120a、120b)の間に形成され、前記接続材料が存在して前記1対の電極(120a、120b)を橋渡するとき、前記閉回路が前記1対の電極(120a、120b)の間に形成され、失禁が検出される、請求項6に記載のセル(100)。
【請求項8】
前記回路基板(110)の前記第2の表面(112)に配置された第2の吸収性材料層(135)をさらに備える、請求項1に記載のセル(100)。
【請求項9】
エア・バリア(155)をさらに備え、前記エア・バリア(155)が、前記回路基板(110)の前記第1の表面(111)と前記第1の吸収性層(130)の第2の表面(132)と前記電極のうちの少なくとも1つとの間の配置される、請求項1に記載のセル(100)。
【請求項10】
各電極(120a、120b)がさらに、導電リード線(125a、125b)を備える、請求項1に記載のセル(100)。
【請求項11】
前記導電リード線(125)が、電気的接点(126)で終わるように構成された、請求項10に記載のセル。
【請求項12】
請求項1に記載の1つ又は複数の失禁検出セル(100)、及び前記1つ又は複数の失禁検出セル(100)の前記電極に動作可能に連結されたコントローラを備える、失禁検出システム(200)。
【請求項13】
前記1つ又は複数の失禁検出セル(100)のうちの1つが、ドープされている、請求項12に記載のシステム(200)。
【請求項14】
下着をさらに備え、前記複数の失禁検出セル(100)が、前記下着上に配置される、請求項12に記載のシステム(200)。
【請求項15】
前記コントローラが、メモリと、前記メモリ及び前記電極に動作可能に連結されたプロセッサと、前記プロセッサに動作可能に連結された送信器と、を含み、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるときに、信号を前記電極から検出すること及び前記送信器を介してサーバに前記信号を送信することを備える作業を前記プロセッサに実施させるコンピュータ可読命令を備える、請求項12に記載のシステム(200)。
【請求項16】
a)第1の表面(111)及び第2の表面(112)を備える回路基板(110)と、
b)前記回路基板(110)の前記第1の表面(111)に配置された第1の吸収性材料層(130)と、
c)前記回路基板(110)の前記第1の表面(111)と前記第1の吸収性材料層(130)との間に配置された少なくとも1対の電極(120a、120b)と、
d)前記1対の電極(120a、120b)のうちの少なくとも1つを前記第1の吸収性材料層(130)から分離するバリア(150)と、
を備え、
前記1対の電極(120a、120b)が接続材料によって橋渡しされ、前記1対の電極(120a、120b)が動作可能に接続され、閉回路が形成されるとき、失禁が検出される、失禁検出システム(200)。
【請求項17】
前記第1の吸収性材料層(130)が、前記電極の表面(121)に配置され、前記第1の吸収性材料層(130)が乾いているとき、開回路が前記1対の電極(120a、120b)の間に形成され、前記第1の吸収性材料層(130)が濡れるとき、前記接続材料が、前記濡れた第1の吸収性材料層(130)を備え、それにより、前記1対の電極(120a、120b)を動作可能に接続し、失禁を検出するために前記1対の電極(120a、120b)の間に前記閉回路を形成する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記接続材料が、半固体の物体を備え、前記接続材料が存在しないとき、開回路が前記1対の電極(120a、120b)の間に形成され、前記接続材料が存在して前記1対の電極(120a、120b)を橋渡するとき、前記閉回路が前記1対の電極(120a、120b)の間に形成されて、失禁が検出される、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記バリア(150)が、開口部(151)、非透過層(152)、又はその組合せを備え、前記開口部が、前記回路基板(110)及び第1の吸収性材料層(130)を通して配置され、前記非透過層(152)が、前記回路基板(110)の第1の表面(111)に配置される、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラが、メモリと、前記メモリ及び前記電極に動作可能に連結されたプロセッサと、前記プロセッサに動作可能に連結された送信器と、を備え、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるときに、信号を前記電極から検出すること及び前記送信器を介してサーバに前記信号を送信することを備える作業を前記プロセッサに実施させるコンピュータ可読命令を備える、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その明細が参照により本明細書にすべて込まれている、2021年12月15日に出願した米国仮出願第63/289,680号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、尿及び便失禁の検出のためのシステムを提供する。
【背景技術】
【0003】
流体検出システムは当技術分野に豊富にあるが、中でも顕著なものは濡れた電極間の伝導性を検出するための電子回路の利用である。子供たちによるおねしょを検出するためのものを含めて、多数の市販の製品がこれらの単純な電気的原理に基づいて利用可能である。加えて、いくつかの光学的手法が開示されており、設計、製造、及びコストにおける追加の課題を提示している。
【0004】
流体吸収パッドは、失禁を扱うために一般に利用可能である。洗濯できるパッドは、通常は、繊維マトリクスによって提供される大きな濡らせることができる表面エリアを通して流体を吸収する繊維性充填剤と存在する。再使用不可能なパッドは、完全な流体容量に達するとしばしば拡大する、ヒドロゲルなどの流体吸収マトリクスで一般に作られている。
【0005】
失禁の事象検出のための電気的手法は、設計の単純さ及び低コストの利点を有する。代表的なアーキテクチャは、再使用可能なコントローラに取り付けられた使い捨ての構成要素を組み込む。使い捨ての構成要素は、流体によって橋渡しされると電流を伝導することができるようになる少なくとも1対の電極を提供する。コントローラは、回路伝導性の尺度を生み出して、1対の電極を調べる。しかしながら、当技術分野の現在の状態は、この手法の有用性を制限している。1対の電極を接続する媒体、しばしば衣類、を濡らすことから生じる伝導性レベルの測定が、よく知られている安価な手法を使用して、簡単に実施され得る。残念ながら、伝導度の測定は、湿り度にあまり変換できず、他の重要な情報を見逃す。このことの1つの理由は、伝導性に強く影響する尿の塩度が非常に変わりやすいということである。
【0006】
未対処のさらなる需要は、電気的手法に基づく便失禁の検出であり、それは、尿と相対して便器に特有の特性に選択的に反応する。光学的手法もまた、提案された。しかしながら、それらは、あまり実証されておらず、コストの課題に陥りがちである。
【0007】
本発明は、当技術分野の現在の状態の限界のうちの多数を改善する。本明細書に記載のシステム及び方法は、失禁度のリアルタイムの尺度、タイプ-尿対便-の区別、及び尿の塩度の推定値を提供して、使い捨ての要素(たとえば、パッド・ストリップ)から豊富なモニタリング・データを得ることができる。設計は、尿又は排泄物へのパッド・ストリップの暴露を測定することを中心とし、おむつ又は失禁吸収パッドを含む流体の取り扱いの基礎的方法への最小限の性能依存を有して設計され得る。さらに、使い捨ての要素は、コンバータ又はロール・ツー・ロール処理などの安価な、高容量製造手法に適している。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、独立請求項において明記されるような、便及び尿失禁の検出を可能にするシステムを提供することである。本発明の実施の形態は、従属請求項において与えられる。本発明の実施の形態は、それらが互いに排他的でない場合、互いに自由に結合され得る。
【0009】
本発明は、ウェアラブル・コントローラ・デバイスと併せて、失禁に関する重要な測定結果を生じさせる、ウェアラブルな使い捨てのセンサ・パッドを特徴とする。センサ・パッドは、おむつに取り付ける長いストリップを含み得る(
図4又は
図7を参照)。システムは、複数の個別の尿の検知セルを含むことができ、それぞれが、取り付けられたコントローラによって芯の伝導性が連続して測定されることを可能にする、電気パッドへのオーミック接続を有する流体吸収芯を含む。センサ情報の流れは、そのいくつかの部分が図に表された、ワークステーション又はモバイル・アプリで構成される介護人エンドポイントに情報を転送するサーバにデータを次に送信する少なくとも1個の基地局(図示せず)に施設居住者、住宅居住者、又は他の着用者によって身に付けられた各コントローラからワイヤレスで送信される。
【0010】
いくつかの実施の形態では、本発明は、失禁検出セルを特徴とする。失禁検出セルは、第1の表面及び第2の表面を含む回路基板と、回路基板の第1の表面に配置された第1の吸収性材料層と、回路基板の第1の表面と第1の吸収性材料層との間に配置された少なくとも1対の電極と、を含み得る。いくつかの実施の形態では、1対の電極が、接続材料(たとえば、導体材料、たとえば、尿又は便物質)によって橋渡しされ、1対の電極が動作可能に接続され、閉回路が形成されるとき、失禁が、検出される。いくつかの実施の形態では、失禁検出セルはさらに、バリアを含む。バリアは、1対の電極を第1の吸収性材料層から分離することができる。
【0011】
他の実施の形態では、本発明は、本明細書に記載のような1個又は複数の失禁検出セル、及び1個又は複数の失禁検出セルの電極に動作可能に連結されたコントローラを含む、失禁検出システムを特徴とする。失禁検出システムは、第1の表面及び第2の表面を含む回路基板と、回路基板の第1の表面に配置された第1の吸収性材料層と、回路基板の第1の表面と第1の吸収性材料層との間に配置された少なくとも1対の電極と、1対の電極のうちの少なくとも1つを第1の吸収性材料層から分離するバリアと、を含み得る。いくつかの実施の形態では、1対の電極が接続材料(たとえば、尿又は便物質)によって橋渡しされ、1対の電極が動作可能に接続され、閉回路が形成されるとき、失禁が検出される。
【0012】
本発明の固有の及び独創的な技術的特徴のうちの1つは、バリアを有する又は有さない1対の電極及び吸収性材料層の使用である。発明をいずれかの理論又は機構に制限することは望まないが、本発明の技術的特徴は、有利には、尿及び便失禁事象の検出を提供すると考えられる。現在知られている先行文献又は研究のいずれも、本発明の固有の独創的な技術的特徴を有していない。
【0013】
本明細書に記載の任意の特徴又は特徴の組合せは、いずれかのそのような組合せに含まれる特徴が文脈、本明細書、及び当業者の知識から明らかとなるように、相互に矛盾していない限り、本発明の範囲内に含まれる。本発明の付加的利点及び態様は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲で明らかである。
【0014】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面に関して提示される以下の詳細な説明の考慮から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2A】本明細書に記載の失禁検出セル(たとえば、尿失禁検出セル)の様々な実施の形態の断面図を示す。
【
図2B】本明細書に記載の失禁検出セル(たとえば、尿失禁検出セル)の様々な実施の形態の断面図を示す。
【
図2C】本明細書に記載の失禁検出セル(たとえば、尿失禁検出セル)の様々な実施の形態の断面図を示す。
【
図2D】本明細書に記載の失禁検出セル(たとえば、尿失禁検出セル)の様々な実施の形態の断面図を示す。
【
図2E】本明細書に記載の失禁検出セル(たとえば、尿失禁検出セル)の様々な実施の形態の断面図を示す。
【
図3A】失禁検出セル(たとえば、便失禁検出セル)の様々な実施の形態の断面を示す。
【
図3B】失禁検出セル(たとえば、便失禁検出セル)の様々な実施の形態の断面を示す。
【
図3C】失禁検出セル(たとえば、便失禁検出セル)の様々な実施の形態の断面を示す。
【
図5】湿気及び塩度を検出することができる本明細書に記載のセル及びシステムの構成の非制限的な例を示す。
【
図6】湿気及び塩度を検出することができる本明細書に記載のセル及びシステムの構成の非制限的な例を示す。
【
図7】本明細書に記載のシステム(上部)及びコントローラ(左のボード)及び連結器(底部、右のボード)の非制限な例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで
図1~
図7を参照すると、本発明は、尿及び便の両方の失禁を検出するための失禁検出セル及びシステムを特徴とする。
【0017】
本明細書では、「検出セル」又は「失禁検出セル」は、同義で使用され得、尿又は便失禁の検出のための単一電気ユニットに言及し得る。
【0018】
図1を参照すると、本発明は、回路基板(110)の第1の表面(111)に配置された暴露された導体パッドを含む1対の電極(120a及び120b)を特徴とし得る。それぞれの電極はさらに、導電リード線(125a、125b)を含み得る。導電リード線(125a及び125b)は、回路基板(110)の第1の表面(111)に配置され得る。いくつかの実施の形態では、導電リード線(125a及び125b)は、プリント回路配線でもよく、1対の電極(120a及び120b)との電気的接点(126)を可能にし得る。
【0019】
いくつかの実施の形態では、電極(120)は、銀、銅、炭素、金、又はその組合せを含む。加えて、任意の2次元の導電性材料が、本発明の電極(120)に従って使用され得る。
【0020】
いくつかの実施の形態では、電極(120)は、銅、銀、及び/又は金を含むエッチングされたプリント回路上で使用される共通の材料を含み得る。他の実施の形態では、電極(120)は、金属粉(たとえば、銀)及び炭素を含む伝導性インクを含み得る。
【0021】
いくつかの実施の形態では、回路基板(110)は、非導電性回路基板を含む。いくつかの実施の形態では、非導電性回路基板は、ポリイミド又はポリエステルを含むがこれらに制限されない、柔軟性フィルムを含む。いくつかの実施の形態では、回路基板(110、たとえば、非導電性回路基板)は、紙を含む。いくつかの実施の形態では、回路基板(110)は、非導電性である。いくつかの実施の形態では、回路基板(110)は、絶縁体である。さらに、任意の他の適切なポリマーが、本明細書に記載の回路基板(110)に従って使用され得る。
【0022】
いくつかの実施の形態では、導電リード線(125a及び125b)は、銅、銀、又は炭素を含み得る。他の実施の形態では、導電リード線(125a及び125b)は、ワイヤを含み得る。本明細書に記載の技術は、エッチング又は印刷手法を組み込み得る。配線(すなわち、導電リード線(125a及び125b)は、通常は絶縁を必要とし、カバー層フィルムの追加を通常は促す。回路は、導電性部分(たとえば、電極(120)及び導電リード線(125))、底部非導電性層(すなわち、回路基板(110))に付着する導電性材料、に関連するので、単純な「単一の層」を含み得る。
【0023】
いくつかの実施の形態では、導電リード線(125a及び125b)は、(たとえば絶縁層(140)、たとえばカバー・レイで)絶縁され、試験電圧(又は電流)を使用して電極(120a、120b)間で電導性を調べることができるコントローラ(160)に経路指定される。いくつかの実施の形態では、絶縁層(140)、たとえばカバー・レイは、流体が下方の導電性要素(たとえば導電リード線(125))に接することを防ぐことができる。
【0024】
本発明は、失禁検出セル(100、
図2Aを参照)を特徴とする。失禁検出セル(100)は、第1の表面(111)及び第2の表面(112)を含む回路基板(110)、回路基板(110)の第1の表面(111)に配置された第1の吸収性材料層(130)、並びに回路基板(110)の第1の表面(111)と第1の吸収性材料層(130)との間に配置された少なくとも1つの1対の電極(120a、120b)を含み得る。いくつかの実施の形態では、1対の電極(120a、120b)が接続材料(たとえば、尿又は便物質)によって橋渡しされ、1対の電極(120a、120b)が動作可能に接続され、閉回路が形成されるとき、失禁が、検出される。
【0025】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、1対の電極(120a、120b)を接続するように構成される。いくつかの実施の形態では、たとえば、尿検出セルにおいて、第1の吸収性材料層(130)は、電極の表面(121)に配置される。いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)が乾いているときに、開回路が1対の電極(120a、120b)の間に形成され、そして、第1の吸収性材料層(130)が濡れるときに、接続材料が、濡れた第1の吸収性材料層(130)を含み、それにより、1対の電極(120a、120b)を動作可能に接続し、失禁を検出するための1対の電極(120a、120b)の間に閉回路を形成する。いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)が乾いているときに、開回路が1対の電極(120a、120b)の間に形成され、そして、第1の吸収性材料層(130)が濡れている(たとえば、尿で)ときに、閉回路が1対の電極(120a、120b)の間に形成され、失禁が検出される。
【0026】
いくつかの実施の形態では、失禁検出セル(100)は、回路基板(110)の第2の表面(112)上に配置された第2の吸収性材料層(135)を含む(
図2Bを参照)。いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)及び第2の吸収性材料層(135)は、軽く塗られた量のポリエチレン又は他の熱可塑性プラスチックとポリエステルを含む。
【0027】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)及び/又は第2の吸収性材料層(135)は、熱接合され得る。他の実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)及び第2の吸収性材料層(135)は、濡らせることができる回路基板と透水層との両方の役割を果たすことができる。本発明をいずれかの理論又は機構に制限することは望まないが、第1の及び第2の吸収性材料層(130、135)は、濡らせることができる回路基板と透水層との両方の役割を果たし、吸収性材料層は、信号を持続するために流体のいくらかの貯蔵を有しながら、乾いた感触を提供するための優れた特性を有すると考えられる。
【0028】
いくつかの実施の形態では、回路基板(110)が第1の吸収性材料層(130)と第2の吸収性材料層(135)との間に配置されるように、第1の吸収性材料層(130)及び第2の吸収性材料層(135)は、回路基板(110、たとえば、フレックス回路)を挟むために使用され得る。
【0029】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、流体が毛穴を通してゆっくりと逃げる(wick)ことができるように、部分的に又はゆっくりと濡らせることができる薄い温度安定性ポリエステルでもよい。いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、熱可塑性領域を用いた熱接合を介して取り付け可能であり得る。熱接合は、本明細書に共に記載されたすべての層の溶解の一般的手法であるが、これは、硬化接着剤の使用を排除しない。
【0030】
【0031】
図2Cを参照すると、失禁検出セル(100)は、第1の表面(111)及び第2の表面(112)を含む回路基板(110)、回路基板(110)の第1の表面(111)に配置された第1の吸収性材料層(130)、回路基板(110)の第1の表面(111)と第1の吸収性材料層(130)の第1の表面(131)に配置された絶縁膜(140)との間に配置された少なくとも1対の電極(120a、120b)を含む。いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、電極の第1の表面(121)に及び回路基板(110)の第1の表面(111)に配置され、第2の吸収性材料(135)は、回路基板(110)の第2の表面(112)に配置されている。
【0032】
いくつかの実施の形態では、電極(120a、120b)は、回路基板(110)の第2の表面(112)において見えてもよい。
【0033】
いくつかの実施の形態では、絶縁膜(140)は、絶縁ポリマー、たとえば、ポリエチレン、を含む。他の実施の形態では、絶縁膜(140)は、防水になるように処理された紙を含む。いくつかの実施の形態では、絶縁膜(140)はさらに、絶縁膜(140)内の複数のギャップ(145)を含み得る。いくつかの実施の形態では、複数のギャップ(145)は、液体が第1の吸収性材料層(130)に到達することを可能にするように構成される。
【0034】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、回路基板(110、
図2Cの上部を参照)の長さを伸ばすように構成される。他の実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、1対の電極(120a、120b、
図2Cの下部を参照)の間にのみ伸びるように構成される。前述の実施の形態では、システム(100)はさらに、回路基板(110)の第1の表面(111)と絶縁膜(140)との間に配置された接着層(160)を含み得る。いくつかの実施の形態では、接着層(160)は、低融点ポリマー(たとえば、熱接合のための)を含む。いくつかの実施の形態では、接着層(160)は、ポリウレタンを含む。
【0035】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、1対の電極(120a、120b)を接続するように構成される。いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)が乾いているときには電極(120a、120b)の間に導電性ブリッジは存在しないが、第1の吸収性材料層(130)が流体(たとえば、尿)に触れると導電性ブリッジが形成される。本発明をいずれかの理論又は機構に制限することは望まないが、流体がウィッキング又は毛細管作用によって第1の吸収性材料層(130)に引き込まれ得ると考えられる。
【0036】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、流体の伝導性を実質的に増やす塩などの化合物でドープされ得る。本発明をいずれかの理論又は機構に制限することは望まないが、第1の吸収性マスタ層(130)をドープすることは、流体(たとえば、尿)自体が非常に低いイオン濃度を有する場合でも高い伝導性を保証するために有用であり得ると考えられる。加えて、ドープは、強い「2値」信号(たとえば、高伝導又はなし)が必要なときに使用され得る。
【0037】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)が濡れるときに湿気が第2の吸収性材料層(130)に流れ出る(たとえば、ゆっくりと)ように、第1の吸収性材料層(130)は、第2の吸収性材料層(135)と直接接してもよく、又は芯を介して接続され得る。これは、第1の吸収性材料層(130)の湿気が逃がされることを可能にし、それによって、電極(120)からの信号が消散することも可能にし得る。本発明をいずれかの理論又は機構に制限することは望まないが、前述の機構(すなわち、第2の吸収性材料層(135)に直接接する第1の吸収性材料層(130))は永続的湿り気事象と別個の湿り気事象とを区別することを可能にし得ると考えられる。いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、流体が第1の吸収性材料層(130)から第2の吸収性材料層(135)に通過することを可能にするために、他の手段によって第2の吸収性材料層(135)に接続され得る。
【0038】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)及び第2の吸収性材料層(135)は、異なる形状を含み得る。たとえば、第2の吸収性材料層(135)は、第1の吸収性材料層(130)に対して様々な幾何学的関係を有し得る。
【0039】
ここで
図2Dを参照すると、本明細書に記載の失禁検出セル(100)はさらに、絶縁層(140)の第1の表面(141)に配置された第1の透水層(181)、及び/又は第2の吸収性材料層(130)の第2の表面(132)に配置された第2の透水層(182)を含み得る。いくつかの実施の形態では、第1の透水層(181)は、回路基板(110)に取り付けられ得る。他の実施の形態では、第1の透水層(181)は、回路基板(110)の外周に取り付けられ得る。
【0040】
いくつかの実施の形態では、第1の及び第2の透水層(181、182)は、ポリエステルを含み得る。他の実施の形態では、第1の及び第2の透水層(181、182)は、綿又は他の材料で作られ得るウィッキングのために設計されたナイロン製の網、紙、布を含み得る。
【0041】
第1の透水層(181)は、快適さの尺度を提供するように設計され得、布又は他の衣類模倣材料を含み得る。いくつかの実施の形態では、第1の透水層(181)は、流体へのその浸透性を保持しながら濡らせることが不可能又は難しいことがある。そのような材料は、非使い捨ての失禁パッドのために一般に使用されるものを含むが、これに制限されず、それらは、ヒドロゲル又は流体保持布などの吸収性材料の大きな貯蔵器への排水を透過性最上層に提供する働きをする。いくつかの実施の形態では、底部層(たとえば、第2の吸収性材料層(135)又は第2の透水層(182)は、おむつ、吸収パッド、又は下着上に配置され得る。
【0042】
いくつかの実施の形態では、第2の透水層(182)及び/又は第2の吸収性材料層(135)は、他の(たとえば、上に横たわる)構造物から流体が一貫して逃がされることを保証することができる。いくつかの実施の形態では、第2の透水層(182)及び/又は第2の吸収性材料層(135)は、流体を捕らえることができるおむつの上にあってもよい。
【0043】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)及び/又は第2の吸収性材料層(135)は、材料の厚みを通した液体の高速拡散(たとえば、第1の表面(131)から第2の表面(132)への液体の拡散)及び横方向の液体の低速拡散を可能にし得る。いくつかの実施の形態では、第1の及び第2の透水層(181、182)は、材料の厚みを通した液体の高速拡散及び横方向の液体の低速拡散を可能にし得る。
【0044】
いくつかの実施の形態では、横方向のウィッキングは、複数の対の電極を介する吸収性層の連続性などの設計の利益にかなって、吸収性又は透水層を通して遅くなり得る。他の場合には、横方向のウィッキングは、各セルに関連する吸収性層の間の物理切れ目又は不透過性バリアなどのステップを必要として、高速であり得る。
【0045】
いくつかの実施の形態では、本明細書に記載の失禁検出セル(100)はさらに、1個又は複数の排水路(190)を含み得る。排水路(190)は、-底部層への又はさらに向こうの周辺環境への流体の移動を円滑にするために-最上部から底部への流体の流れを可能にすることができる。いくつかの実施の形態では、排水路(190)は、回路基板(110)及び第1の吸収性材料層(130)を通して配置され得る。いくつかの実施の形態では、排水路(190)は、回路基板(100)、第1の及び第2の吸収性材料層(130、135)、及び絶縁膜(140、
図2Dの上部を参照)を通して配置され得る。他の実施の形態では、排水路(190)は、失禁検出セル(100)全体を通して配置され得る、たとえば、セル(
図2Dの底部を参照)を通して穴を形成するために。いくつかの実施の形態では、排水路(190)は、第2の吸収材料層(135)において終了され得る。
【0046】
本発明をいずれかの理論又は機構に制限することは望まないが、尿と皮膚の長期の接触は、重大な健康リスクをもたらし得るので、特に本明細書に記載のセル(100)の第1の表面(101、すなわち、上表面)上での排水能力は、ユーザ/着用者に接し得る流体の蓄積を防ぐために重要であると考えられる。いくつかの実施の形態では、本明細書に記載のセル(100)は、流体が排水路(190)を通して及び/又はセル(100)自体の周りではけることができるように、基礎的吸収性構造物(たとえば、おむつ)上に配置され得る。他の実施の形態では、セル(100)はさらに、吸収性材料のマトリクスを含み得る又はその中にあり得る。したがって、これらの実施の形態は、失禁の検出を可能にするのみならず、それらを直接に軽減する働きもする。
【0047】
あふれ又は飽和を判定する能力については後述する。吸収性貯蔵器は上部側又は底部側にあり得る、ということにここで留意されたい。それは、底部に向けて流体があふれ出ることを可能にするように設計され得る。これは、パッド・ストリップの上部から底部側への排水のために必須である、上部及び底部の両方が吸収性構造物を備える場合にあり得る。
【0048】
代替として、パッド・ストリップは、流体のいくらかのパススルーがデバイスの最底部表面を過ぎで到達することを必要とし得る。これは、おむつ又は吸収パッドによって提供され得るような吸収性構造物上にパッド・ストリップ・シットが位置する場合にあり得る。
【0049】
図2における上向きの方向は、体を向いており、上方又は上側として示されることになる。反対のより低い又は底部の側は、通常は、下着又はおむつなどの着用可能な布上にあり得る。パッド・ストリップは、数インチ伸びることができ、パッド・ストリップとコントローラ(160)との間の電気的結合を達成する仕方でコントローラ(160)に取り付けられ得る。電気的結合は、接続する導電性表面の直接的接触を通して達成される。交流電流(AC)信号の場合、結合は、導体の間の直接的接触を必要としないことが可能である-容量又は導電結合などの他の選択肢が存在する。容量結合は、コントローラ(160)が、耐久性絶縁或いは成形回路基板の下に埋められてそれの接点を有し、それによって、接点を保護し、潜在的直流電流(DC)漏電又は水の侵入を防ぐことができるという点で有利である。
【0050】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、「メモリ」機能を提供することができる。たとえば、十分に濡れると、第1の吸収性材料層(130)は、ポーリング中に検出を確保するのに十分に長いが、区別されるように複数の事象が長い期間にわたって広がることを可能するのに十分に短い期間にわたり水分を保持することができる。コントローラ(160)は、断続的に(たとえば、5から60秒ごとに)システムをモニタ又はポーリングすることができる。
【0051】
いくつかの実施の形態では、本明細書に記載の失禁検出セル(100)はさらに、コントローラ(160)を含む。コントローラ(160)は、プログラマブル・マイクロコントローラを含み得る。周期的なポーリングが、コントローラ(160)で使用されるマイクロコントローラを断続的に「起こす」タイマを含む、多数の標準手段によって、達成され得る。このデバイスは、次いで、信号多重化スイッチ、増幅器、及びアナログ・デジタル(A2C)コンバータなどの他の構成要素にエネルギを与え得る。A2Cコンバータは、マイクロコントローラに組み込むことができ、こうした周辺装置の豊富さは「システム・オン・チップ」SOCという用語を生み出している。デバイスのポーリングのためのタイム・スロットを注意深く割り当てることによって、電力消費を、低減し、コントローラ(160)のために使用されるバッテリの寿命を延ばすことができる。
【0052】
いくつかの実施の形態では、電極(120a及び120b)が、大気又は乾燥媒体によって橋渡しされるとき、伝導性はないことになる。尿などのイオン流体で電極(120a及び120b)を橋渡しする、濡れる事象は、測定可能な伝導性を生み出すことになる。
【0053】
本明細書に記載のセル(100)は、便失禁並びに尿失禁を検出する付加的利点を有する。便失禁を検出するためのセル(100)は、1対の電極(120a、120b)と接触している持続的に濡れた、半固体の物体を検出する能力を有する。
図3A、
図3B及び
図3Cは、便失禁を検出するために使用され得るセル(100)の非制限な例を示す。セル(100)は、回路基板(110)の第1の表面(111)に配置された1対の電極(120a、120b)、回路基板(110)の第1の表面(111)に配置された第1の吸収性材料層(130)、及びバリア(150)を含み得る。バリアは、1対の電極(120a、120b)を第1の吸収性材料層(130)から分離し得る。いくつかの実施の形態では、バリア(150)は、回路基板(110)及び第1の吸収性材料層(130)を通して配置された開口部(151)を含む(
図3A)。他の実施の形態では、バリア(150)は、非透過層(152)を含む(
図3B)。いくつかの実施の形態では、バリア(150)は、複数の非透過層(152)を含む。いくつかの実施の形態では、非透過層(152)は、電極(120)の第1の表面(121)の一部に配置され得る。他の実施の形態では、本明細書に記載のような様々な注入技法が、第1の吸収性材料層(130)の一部分を非透過性にする(たとえば、電極(120)の近くの一部分)ために、使用され得る。さらなる実施の形態では、バリア(150)は、開口部(151)及び非透水層(152)を含む(
図3C)。
【0054】
本発明をいずれかの理論又は機構に制限することは望まないが、本明細書に記載のバリア(150)は、流体(たとえば、尿(すなわち、接続材料)が1対の電極を橋渡しすること(120a、120b、すなわち、電極を動作可能に接続すること)及び閉回路を形成することを妨げると考えられるが、バリアは、半固体の物体(たとえば、便物質(すなわち、接続材料)が電極(120a、120b)を動作可能に接続して閉回路を形成することを可能にする。
【0055】
いくつかの実施の形態では、接続材料は、半固体の物体(たとえば、便物質)を含む。いくつかの実施の形態では、接続材料(たとえば、便物質などの半固体の物体)が存在しないときは、開回路が1対の電極(120a、120b)の間に形成され、接続材料(たとえば、便物質などの半固体の物体)が存在し、1対の電極(120a、120b)を橋渡しするときは、閉回路が1対の電極(120a、120b)の間に形成され、失禁が検出される。
【0056】
いくつかの実施の形態では、本明細書に記載の便失禁検出セル(100)は、2個の電極(120a、120b)の間にブリッジを形成するために、濡れた固体構造物(たとえば、便物質)を必要とする。
【0057】
いくつかの実施の形態では、非透過層(152)は、むき出しのプラスチック・フィルムでもよい。いくつかの実施の形態では、液体の浸透性を可能にする布地、紙又は他の同様に組み立てられたインターフェースが、開口部(151)の下に配置され得る。
【0058】
便検出システム(100)はさらに、少なくとも1個の排水路(190)を含み得る。いくつかの実施の形態では、排水路(190)は、パッド・ストリップ自体(たとえば、第2の吸収性材料層(135)又は第2の透水層(182))内にあってもよい吸収貯蔵器、たとえば、下部のおむつ、又はバルク吸収性の層に流体が流れ出ることを可能にする。
【0059】
要約すると、前述のような本発明の実施の形態は、尿及び便失禁の検出のための電気的手法に言及している。
図1、
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、
図2E、
図3A、
図3B、及び
図3Cに示された2個の検出セルは、検出要素-この場合には、本質的に電気的-を概念的に含む。電気的検出は、低コストで製造が容易という利点を有する。本発明はさらに、検出セル(たとえば、尿検出セル)に関連し得る吸収性材料層(130)などの他の要素を含み得る。吸収性材料層(130)などの他の関連要素と1対の電極を結合することで、特に要素の様々な特性が調整され得るので、豊かな可能性の範囲を生み出す。
【0060】
本発明はさらに、失禁検出システム(200)を特徴とし得る。いくつかの実施の形態では、失禁検出システム(200)は、本明細書に記載のように少なくとも1個の尿失禁検出セルを含む。他の実施の形態では、失禁検出システム(200)は、本明細書に記載のように少なくとも1個の便失禁検出セルを含む。いくつかの実施の形態では、失禁検出システム(200)は、少なくとも1個の尿失禁検出セル及び少なくとも1個の便失禁検出セルを含む。
【0061】
いくつかの実施の形態では、失禁検出システム(200)は、本明細書に記載のような1個又は複数の失禁検出セル(100)、及び1個又は複数の失禁検出セル(100)の電極(120)に動作可能に連結されたコントローラ(160)を含む。
【0062】
失禁検出システム(200)は、複数の尿失禁検出セル及び複数の便失禁検出セルを含み得る。いくつかの実施の形態では、本明細書に記載のシステム(200)は、おむつ、吸収パッド、又は下着上に配置され得る。
【0063】
失禁検出システム(200)は、少なくとも1個の尿失禁検出セル及び少なくとも1個の便失禁検出セルを含み得る。いくつかの実施の形態では、尿失禁検出セルは、第1の表面(111)及び第2の表面(112)を含む回路基板(110)と、回路基板(110)の第1の表面(111)に配置された少なくとも1対の電極(120a、120b)と、電極の第1の表面(121)に及び回路基板(110、
図2Aを参照)の第1の表面(111)に配置された第1の吸収性材料層(130)と、を含む。いくつかの実施の形態では、便失禁検出セルは、回路基板(110)の第1の表面(111)に配置された1対の電極(120a、120b)と、回路基板(110)の第1の表面(111)に配置された第1の吸収性材料層(130)と、バリア(150)と、を含む。
【0064】
本発明は、第1の表面(111)及び第2の表面(112)を含む回路基板(110)と、回路基板(110)の第1の表面(111)に配置された第1の吸収性材料層(130)と、回路基板(110)の第1の表面(111)と第1の吸収性材料層(130)との間に配置された少なくとも1対の電極(120a、120b)と、1対の電極のうちの少なくとも1つ(120a、120b)を第1の吸収性材料層(130)から分離するバリア(150)と、を含む失禁検出システム(200)を特徴とし得る。いくつかの実施の形態では、1対の電極(120a、120b)が接続材料によって橋渡しされ、1対の電極(120a、120b)が動作可能に接続され、閉回路が形成されるとき、失禁が検出される。
【0065】
いくつかの実施の形態では、第1の吸収性材料層(130)は、電極の表面(121)に配置され、第1の吸収性材料層(130)が乾いているときは、開回路が1対の電極(120a、120b)の間に形成され、第1の吸収性材料層(130)が濡れるときには、接続材料が、濡れた第1の吸収性材料層(130)を含み、それにより、1対の電極(120a、120b)を動作可能に接続し、失禁を検出するための1対の電極(120a、120b)の間に閉回路を形成する。
【0066】
いくつかの実施の形態では、接続材料は、半固体の物体(たとえば、便物質)を含み、接続材料(たとえば、半固体の物体、たとえば、便物質)が存在しないときには、開回路が1対の電極(120a、120b)の間に形成され、接続材料(たとえば、半固体の物体、たとえば、便物質)が存在し、1対の電極(120a、120b)を橋渡しするときには、閉回路が1対の電極(120a、120b)の間に形成され、失禁が検出される。
【0067】
図4は、1個の尿失禁検出セル(100)及び1個の便失禁検出セル(100)を含む本明細書に記載のような失禁検出システム(200)の非制限な簡略化された例を示す。システム(200)は、2つの1対の電極(120a、120b)が回路基板(110)の表面(111)に配置された、回路基板(110、たとえば、フレキシブル回路)を含む。各電極(120)はさらに、コントローラ(160)に取り付けられたコネクタ(165)を介して接続を行うための導電リード線(121)及び電気的接点(126、たとえば、「フィンガ」)を含む。便失禁検出セル(100)に関して、1対の電極は、バリア(150、たとえば、非透水層(152)及び開口部(151))によって分離される。システム(200)はさらに、排水路(190)を含み得る。存在し得る、(見る人の方への)上部及び(見る人から離れた)底部を占有する、潜在的に他の層、たとえば、皮膚から流体を逃がすこと及び流体の部分的妨げ又は保持などのある程度の流体制御を行い得る布は、図示されていない。コードをコントローラ(160)に取り付ける手段は、当技術分野で知られている多数の手法を表している。
【0068】
いくつかの実施の形態では、回路基板(110)上の電気的接点(126、たとえば、「フィンガ」)は、コントローラ(160)上の対応する電気的接点(126)に動作可能に接続されている。
【0069】
システム(200)とコントローラ(160)との間の電気的接続は、回路基板(110、たとえば、フレックス回路)の拡張として
図4には示されているが、たとえば、ワイヤ束、又はフレックス回路とコントローラ(160)との両方に取り付け可能なコード・コネクタなど、他の手法が使用され得る。さらに、電気的接点(126)は、反対の接続する1対の電極(120a、120b)によって作られ得、そのサイズ及び数はアラインメントの容易さ及びあらゆる接点(126)を通した完全な伝導を確保する必要性によって決定づけられ得る。一般に、電極(120)のより少ない数及びそのより大きなサイズは、利点になる。本発明の範囲は、コントローラ(160)との電気的接続を行う際の手段については制限されない。
【0070】
いくつかの実施の形態では、コントローラ(160)は、メモリ、メモリ及び電極に動作可能に連結されたプロセッサ、及びプロセッサに動作可能に連結された送信器を含む。いくつかの実施の形態では、メモリは、プロセッサによって実行されるときに、信号を電極から検出すること及び送信器を介してサーバに前記信号を送信することを含む動作をプロセッサに実施させるコンピュータ可読命令を含む。
【0071】
図4に示されたシステム(200)の形状は、脚の間に着用されることを意図された市場に普及している多数の吸収パッドのそれをまね得る。本発明は、全体の形状又は特定の配置における制限を順守しない。いくつかの実施の形態では、コントローラ(160)は、下着又はおむつの端などの衣類に留める又は付着させることができる。クリップ又は接着要素は、別個の実体であり得る、コントローラ(160)(具体的にクリップ)に組み込まれ得る、又はパッド・ストリップ内に設計され得る。たとえば、本明細書に記載のシステム(200)は、コントローラ(160)への特定の取り付けを支える接着剤を含み得る。接着剤は、コントローラ(160)とパッド・ストリップとの間に適切な電気的接点(126)が存在することを確実にするように位置付けられ得る。システム(200)は、衣類へのコントローラ(160)の取り付けを行うためのさらなる接着性アッタチメントを有し得る。この場合、接着剤は、コード拡張の両側に配置され得る。クリップは、電気的接触を確保するために必要な圧力を恐らくは提供して、ユニットをしっかりと固定するための選択肢の役割をさらに果たすことができる。さらなる特徴が、取り付け中にコード拡張及びコントローラ(160)の適切なアラインメントに役立つようにコントローラ(160)、たとえば戻り止め内に設計され得る。
【0072】
本明細書に記載のような単一の失禁検出システム(200)は、複数の検出セル(100)-それらが独立して又は組み合わせて調べられ得る-を支えることができる。さらに、検出セル(100)は、ある種の構成要素、たとえば電極(120)又は吸収性材料層(130)を共用することができる。たとえば、3電極(120)は、3対の組合せを生み出すことができる。セル構造は、これらの対のそれぞれを使用して、構築され得る。本手法の利点は、電極(120、たとえば電気パッド)及び、その結果として、コントローラ(160)に進むリード線(125)の数が減らされ得るということである。N電気パッドから作成することができるセルの総数は、N*(N-1)/2である。たとえば、6個の電極(120)が、15個までの検出セル(100)を支えることができる。従来の技術では、6個の電気パッドの間の15個の相互作用の利用は、実用性が非常に限られ得る。その一方で、各セルの特性を制御することによって、かなりの情報が、後述されるように、取得され得る。
【0073】
本明細書に記載のようなシステムでは、電極(120)は、コントローラ(160)に可逆的に接続し得るリード線に接続する。最も単純な事例では、コントローラ(160)は、電圧源と、有効にされ得る及びアナログ/デジタル・コンバータ(ADC)への通行を可能にすることができるチャネルを使用してサンプリングされる電流検出器と、を提供し得る。多数のSOCが、多重チャネルを有する内蔵型ADC周辺装置を含む。外部アナログ・マルチプレクサが、より多数のチャネルを有効にするために、接続され得る。十分に簡単であるが、
図1及び
図2に例示されているような通常は使い捨ての「ストリップ」と再使用可能なコントローラ(160)との間の多数の接続を行うことで、制限が生じる。フレキシブル・プリント回路を硬いボードに接続するための多数の標準的手法が存在する。一般的な手法は、フレキシブル・プリント回路(FPC:flexible printed circuit)ケーブル又はソケットに適合した平坦なフレキシブル・ケーブル(FFC:flexible cable)拡張を使用することである。これらの直接の「既製の」手法の頑丈さは、介護人又は顧客によって取り付けが行われなければならないウェアラブルには疑問の余地がある。接続するリード線が少ないことは、接続装置の頑丈さを高めることができる。
【0074】
いくつかの実施の形態では、本明細書に記載のシステム(200)はさらに、下着(たとえば、おむつ又は吸収パッド)を含み、複数の失禁検出セル(100)が、下着(たとえば、おむつ又は吸収パッド)に配置される。
【0075】
同時の湿気及び塩度検出:本明細書に記載の検出セル(100)で取得される信号は、吸収性材料層(130)の湿り度(飽和)とイオン濃度との両方に基づいて検出可能である。コンダクタンスは、湿り度と塩度との両方に比例するので、両義性が存在する。したがって、本発明は、湿気及び塩度を検出するためのシステム及び方法を提供する。
【0076】
たとえば、本発明は、それらが同程度まで濡れるように、2個の検出セル(100)の接近を備え得る。さらに、2個の検出セル(100)は、各セルの第1の吸収性材料(130)によって経験される湿り度を等しくする傾向のあることになる、別の吸収性材料への接続を共有し得る。いくつかの実施の形態では、2個の検出セル(100)のうちの少なくとも1個は、検出セル(100)が参照セルになるように、ある特定の濃度の乾燥した塩又は他の伝導性強化材料を染み込まされ得る(たとえば、第1の吸収性材料層(130))が染み込まされ得る)。伝導性強化材料の濃度は、尿において高い値を表すと見なされる、たとえば、脱水によって引き起こされ得る、閾値ほどでもよい。いくつかの実施の形態では、少量の湿気及び/又は低い尿の塩度について、塩を染み込まされた検出セル(100)は、他の検出セル(100)よりもはるかに少ない抵抗を測定することになる。他方では、高い値の塩度について、両方の検出セル(100)が、同様に非常に低い抵抗を示すことになる。
【0077】
他の実施の形態では、2個の吸収性材料層(130)は、互いに直接接触して、流動的に接続又は配置され得、一方の吸収性材料層(130)は他方の吸収性材料層(130)よりも大きな親和性を有する。より高い親和性を有する吸収性材料層(130)は、流体(たとえば、尿)と接触するようになり得るように、外部に暴露され得る。そのような実施の形態では、より高い親和性を有する吸収性材料層(130)は、より低い親和性の吸収性材料層(130)が濡れる前に、高い湿り度を必要とすることになる。このより低い親和性の吸収性材料層(130)は、2個の電極を橋渡しするために使用され得る。-検出セル(100)で湿潤性の度合を変更するために及びそれの吸収性材料層(130)を他と競って配置するために-その手法は、それ自体において有用である。
【0078】
塩度を推定する手法と組み合わせて、この基準で湿り度を測定することは、湿気及び塩度を同時に推定するための本明細書に記載の検出セル(100)及びシステム(200)の能力を高めることができる。一例が、
図5に示されている。本明細書に記載のような2個の検出セル(100)(すなわち回路基板(110)上に配置された1対の電極(120a、120b)と、電極の第1の表面(121)に及び回路基板(110)の第1の表面(111)に配置された第1の吸収性材料層(130)と、を含む)。第1の吸収性材料層(130)のいずれかのとき、閉回路が、1対の電極(120a、120b)の間に形成される。吸収性材料層(130)に関連して、別の吸収マトリクス(170)が存在し得る。いくつかの実施の形態では、それぞれの検出セルの吸収性材料層(130)は、外部との直接的接触を有さず、したがって、外部で直接に濡らせることができるようになり得ない。他方では、吸収マトリクス(170)は、外部への暴露を有し、たとえば、尿事象を介して直接に濡れる可能性がある。たとえば、吸収マトリクス(170)は、上部の穴を通して暴露され得る。したがって、有意なエリアが暴露されている間、検出セルのうちの1個の第1の吸収性材料層(130)が濡れる前に、流体が吸収マトリクス(170)を通して逃げる必要がまだある。それぞれのこれらの第1の吸収性材料層(130)の親和性は、湿気感度の望ましいレベルに基づいて、選択され得る。吸収マトリクス(170)がその湿気を等しく分布させ、したがって、各検出セル(100)は等しく濡れると仮定する。検出セル(100)が、異なる塩度で前述のように設計される場合、同じ湿り度から生じる抵抗の比較は、相対塩度を示すことになる。吸収マトリクス(170)が一様な流体分布の平衡になることができることが重要である。
【0079】
代替として、本明細書に記載のセルはさらに、回路基板(100)と第1の吸収性材料層(130)との間に配置された飽和層(175)を含み得る、
図6を参照。いくつかの実施の形態では、飽和層(175)は、閉回路が1対の電極の間に作成される前に、飽和されなければならない。いくつかの実施の形態では、飽和層(175)の伝導性は、塩度に比例する。
【0080】
いくつかの実施の形態では、前述の検出セルはさらに、第1の吸収性材料層と電極(120)のうちの少なくとも1個との間にエア・バリア(155)を含む(
図2Eを参照)。制御されたバリアは、例としてメッシュ又は有孔ポリマー・フィルムから形成され得る。ポリマーは、-布地とプリント回路との間に-構造全体において完全な層を形成することができる(より容易な製造)。それは、フレックス回路(たとえば、カバー・レイ)自体の一部でもよい。
【0081】
いくつかの実施の形態では、エア・バリア(155)は、第1の吸収性材料層(130)を電極(120)から分け得る。本発明をいずれかの理論又は機構に制限することは望まないが、エア・バリア(155)は伝導性が塩度に比例することを可能にすると考えられる。たとえば、第1の吸収性材料層(130)が飽和させられるとき、回路を完成して、流体はバリアの空気チャネル(air channel)に漏れ出る。回路基板が排水されるとき、それは流体を再び吸収することになるので、逆のことが、起こる傾向があることになる。
【0082】
いくつかの実施の形態では、エア・バリア(155)は、検出セル(100)全体を横断して横方向に広がり得る。他の実施の形態では、エア・バリア(155)は、電極(120)の少なくとも一部の近くに配置され得る。
【0083】
水吸収回路基板が飽和するとき、流体がギャップに入り、伝導性が結果として起こる。私たちが濡らされていることを私たちは知っているので、ここで、伝導性は塩度に直接に関連し得る。したがって、私たちが伝導性を得るとき、それが濡らされた構造(完全に既知の状態)からであり、したがって、伝導性は塩度に比例する、ということが分かっている。いくつかの実施の形態では、検出セル(100)は、2値(はい、いいえ)湿気検出を有し、濡れるとき、塩度は、伝導性に対して線形である。
【0084】
本明細書では、「約」という用語は、参照された数のプラス又はマイナス10%を参照する。
【0085】
本発明の好ましい実施の形態が示され、説明されてあるが、添付の特許請求の範囲を超えない修正がそこに行われ得るということが当業者には容易に明らかとなろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ制限されるものである。いくつかの実施の形態では、本特許出願で提示される図は、角度、寸法比などを含んで、一定の縮尺で描かれている。いくつかの実施の形態では、図は、単に代表的なものであり、特許請求の範囲は、図の寸法によって制限されない。いくつかの実施の形態では、「含む」という表現を使用して本明細書で説明される発明の説明は、「から必ず構成される」又は「から構成される」ものとして説明することができる実施の形態を含み、そのようなものとして、「から必ず構成される」又は「から構成される」という表現を使用する本発明の1個又は複数の実施の形態を請求するための記述された説明要件が満たされる。
【0086】
以下の特許請求の範囲において列挙される参照番号は、単に、本特許出願の審査を容易にするためのものであり、例示であり、図中の対応する参照番号を有する特定の特徴に特許請求の範囲を制限することを何ら意図されていない。
【0087】
以下は、本明細書で参照される具体的な要素に対応する要素のリストである。
【符号の説明】
【0088】
100 失禁検出セル
110 回路基板
111 第1の表面
112 第2の表面
120 電極
121 第1の表面
125 導電リード線
126 電気的接点
130 第1の吸収性材料
131 第1の表面
132 第2の表面
135 第2の吸収性材料
140 絶縁膜
141 第1の表面
145 ギャップ
150 バリア
151 開口部
152 非透過層
155 エア・バリア
160 コントローラ
165 コネクタ
170 吸収マトリクス
175 飽和層
181 第1の透水層
182 第2の透水層
190 排水路
【国際調査報告】