(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】空冷コンデンサ及び冷却器のための非電気機械式ポンプレス液体再循環システム、及び断熱予冷システム
(51)【国際特許分類】
F04F 5/10 20060101AFI20241121BHJP
F28B 1/06 20060101ALI20241121BHJP
F28B 9/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F04F5/10 A
F28B1/06
F28B9/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535936
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022081946
(87)【国際公開番号】W WO2023115061
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518276368
【氏名又は名称】エバプコ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Evapco, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ストルーダー,ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ゴパラン,シュリダル
【テーマコード(参考)】
3H079
【Fターム(参考)】
3H079AA15
3H079AA23
3H079BB10
3H079CC23
3H079DD03
3H079DD16
(57)【要約】
断熱予冷システム及び蒸発熱交換システムのための非電気機械式ポンプレス液体再循環システムであって、原動力となる流体のノズルと、当該ノズルを囲む環状の再循環流体のチャンバとを有するエジェクタ装置を特徴とする。原動力となる加圧下の補充液は、ノズルから混合チャンバに排出される。再循環流体は、ノズルの排出部において原動力となる補充液に同伴して導入される。補充液の原動力は、混合された補充液及び再循環液をエジェクタ装置の出口を通じて、熱交換システムのための水分配システムに送出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非電気機械式液体エジェクタであって、
第1端部にある端部ポートと、第2端部にある狭まるノズルとを有する補充液チャンバと、
前記狭まるノズルの外側面に位置し、前記狭まるノズルの排出部において終端し、前記エジェクタの側部ポートを介して再循環流体の供給源と液体連通している環状チャンバと、
前記狭まるノズルの前記排出部の下流に位置する混合チャンバと、
を備える、
非電気機械式液体エジェクタ。
【請求項2】
空冷コンデンサ又は冷却器に取り付けられた複数の断熱パッドと、
前記複数の断熱パッドの上方に取り付けられた水分配システムと、
前記複数の断熱パッドの下方に取り付けられた水収集装置と、
水収集トレイから水を受けるように位置し、前記水収集トレイから水を受けるように構成された再循環タンクと、
非電気機械式液体エジェクタと、
加圧下での補充液の供給と、
を含み、
前記非電気機械式液体エジェクタは、第1端部にある端部ポートと、第2端部にある狭まるノズルとを有する補充液チャンバと、前記狭まるノズルの外側面に位置し、前記狭まるノズルの排出部において終端し、前記エジェクタの側部ポートを介して再循環流体の供給源と液体連通している環状チャンバと、前記狭まるノズルの前記排出部の下流に位置する混合チャンバとを有し、
加圧下の補充液を前記非電気機械式液体エジェクタの前記端部ポートに供給するように構成された、
空冷コンデンサ又は電気機械式ポンプを有さない冷却器のための断熱予冷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空冷コンデンサ及び冷却器のための断熱空気予冷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、空冷コンデンサ及び空冷流体冷却器と共に使用される断熱空気予冷システムは、通常は水である液体が断熱空気予冷媒体の表面領域全体に亘って分配され、その流量が定められることを必要とする。ここで、断熱空気予冷媒体の表面領域を離れた後の残液流量は、その後の廃棄又は再循環のために、容器に取り込まれる。断熱空気予冷媒体の目的は、空冷凝縮コイル又は空冷流体冷却コイルに進入する空気を予冷し、これによって熱放出能力を向上することにある。これらに限定されないが、波形セルロース紙パッド、波形PVCパッド、及びワイヤ型PVCパッドを含む、複数の断熱予冷媒体が存在する。断熱システムの一実施形態においては、断熱媒体に水が分配され、空気予冷プロセス中に蒸発しなかった水は、排水溝に流されて廃棄される。排水溝に流される水を無くすために、再循環システムの設計が採用される。断熱空気予冷媒体に亘って液体を再循環させるための現在の技術は、電力入力を必要とする電気機械式ポンプを利用して、意図される蒸発量及び熱伝達量を確立するために必要な液体供給流量を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気機械式ポンプを利用することの限界は、回転部品と電気部品との両方を必要とし、いずれか一方が故障した場合に装置が非稼働状態となることにある。さらに、この電気機械式装置が部分的に動作したとしても、蒸発量及び熱伝達量の大幅な低下が引き起こされ、全体的なプロセス効率が低下する可能性がある。現在の液体ポンプの技術において、機械部品又は電気部品のいずれか一方の故障は、ランダムに最終的に引き起こされ、通常、最も重要なプロセスの動作時間中に引き起こされる。熱伝達部品への望まれる液体流量を維持しつつ、機械部品と電気部品との両方を排除することは、顕著な利点となる。さらに、必要なメンテナンスと同様に、電気コスト(入力電力)を排除又は削減することも、利点である。断熱空気予冷媒体に必要な再循環液体流量を提供しつつ、回転部品及び電気部品、並びに入力電力を無くすための解決策を見出すことは、特に困難である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、断熱空気予冷媒体に再循環液体流量と補充流量との両方を提供しつつ、液体の流れを誘導する任意の機械部品又は電気部品を必要としない解決策を提供することにより、この問題を解決する。
【0005】
具体的には、本発明者らは、外部から液体補充が供給され、且つ相互接続管、手動バルブ及び調整バルブ、電子センサ、及び液体分配システムと組み合わされる非電気機械式ポンプレス装置(エジェクタ)を駆動することにより、幅広い動作条件において、断熱空気予冷媒体への必要な液体流量を適切に供給可能であることを発見した。外部の液体補充供給/圧力と組み合わされるこのポンプレス装置は、電子装置(すなわち、ポンプ)の必要性を無くすものである。
【0006】
本発明の好適な実施形態によれば、再循環システムは、モータ又は電動ポンプを必要としない。本発明の別の好適な実施形態によれば、任意の時間間隔において、ポンプレス装置を通過する同伴する流体/再循環する流体の量は、駆動流体/原動力となる流体の量以上である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の好適な実施形態の詳細な説明は、上記概要と同様に、添付図面と共に読まれるとき、より理解される。図面には、発明を例示する目的で、現在好ましい様々な実施形態が示されている。しかしながら、本発明が示された正確な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0008】
【
図1】
図1は、電気機械式ポンプを介して予冷水が循環する熱交換コイルの上流の空気側に取り付けられた断熱パッドを備える、従来技術の空冷熱交換器の説明図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る非電気機械式ポンプレスエジェクタ装置の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る非電気機械式ポンプレスエジェクタ装置を標準的な断熱空気予冷熱交換器において電気機械式ポンプの代替として使用する方法を示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る非電気機械式ポンプレスエジェクタ装置を制御器又はPLCのない断熱空気予冷熱交換器において電気機械式ポンプの代替として使用する方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図2~
図4を参照すると、本発明の非電気機械式ポンプレスエジェクタ装置1は、主ノズル3を特徴とする。主ノズル3は、環状チャンバ5によって囲まれている。再循環流体は、側部ポート7を介して環状チャンバ5に導入される。再循環流体容器又は「再循環タンク」9は、再循環液を側部ポート7及び環状チャンバに流すために、側部ポート7の上流に位置してもよい。補充流体は、端部ポート10を介して主ノズル3に導入される。混合チャンバ11は、主ノズル3の下流に位置する。
【0010】
高速で持続的な補充液の蒸気の流れは、主ノズル3を通じるように向けられ、ノズル3からすぐ下流の混合チャンバ11に低い静圧を発生させる。再循環液の流れは、側部ポート7を介して環状チャンバに排出され、補充流体と同伴し、混合チャンバ11に送り込まれる。主ノズルを通過する補充液の供給の原動力下において、再循環液と補充液との混合物は、断熱冷却水分配システムへの断熱冷却水戻り管に供給される。
【0011】
図3及び
図4は、本発明のエジェクタ装置1を、従来技術である
図1の従来技術の断熱予冷空冷熱交換器における電気機械式ポンプの代替として使用する方法を示す概略図である。断熱パッド13は、水分配システム15によって湿らされている。水分配システム15は、分配溝(distribution trough)、スプレーノズル、スロット又は穴の開いた管等であってもよい。断熱パッドから蒸発しなかった水は、パッドの底部にある収集装置17(例えば、トレイ、排水路、管、パイプ等)に収集される。従来技術によれば、収集された水を断熱冷却水戻り管を介して水分配システムに戻すために、電気機械式ポンプが設けられる。一方、本発明では、蒸発しなかった水が再循環タンク9に収集され、再循環タンク9からエジェクタ1の側部ポート7に流れる。再循環タンク9から側部ポート7への水流は、電気機械式ポンプを必要とせず、重力又は水圧(再循環タンク内での水の高さによる)によって流されることが好ましい。
【0012】
再循環タンク9には、任意の溢れ機構(overflow feature)及び/又はブリード弁19が設けられてもよい。本発明のエジェクタの原動力は、補充流体の流量及び供給圧によって提供される。様々な実施形態によれば、水濾過装置21、及び/又は水軟化及び/又は逆浸透装置(図示せず)が設けられてもよい(図示せず)。
【0013】
補充液の圧力を調整するために、水圧制御器23が設けられてもよい。本発明のポンプレスエジェクタ装置1への補充液の供給流量(原動流量)を調整可能とし、望まれる全液体流量を断熱予冷媒体に送るように、調整弁(modulating valve)「MV1」25が設けられることが好ましい。好適な実施形態によれば、補充流体の流量は、断熱パッドからの水の蒸発量と等しい。そのため、原動流量は、調整弁MV1によって、断熱空気予冷媒体の蒸発量と一致するように調整される。本発明の非電気機械式ポンプレス液体再循環システムの全体が断熱空気予冷媒体からの蒸発量と平衡であるとき、再循環タンク内の水位は、一定に保たれる。一実施形態によれば、制御コンピュータ又はプログラムロジック回路(programmed logic circuit)30が設けられてもよい。プログラムロジック回路30は、電子式水圧センサ27を介して水圧を監視し、電子水位センサ29を介して蒸発量を監視して、水圧制御器23及び調整弁25によって水圧及び流量をそれぞれ調整するために設けられてもよい。制御器/PLCは、センサ及び制御/調整装置と配線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。
【0014】
図4に示す代替の実施形態によれば、
図3の実施形態におけるコンピュータ制御器/PLC、電動弁MV1、圧力センサ、及び水位センサの代わりに、電磁弁が使用されてもよい。
図4に示すように、注入ろ過器31及び再循環タンクろ過器33が、あらゆる実施形態に任意に追加されてもよい。
【0015】
混合チャンバの出口における液体の総流量は、原動力となる補充供給液の特定の圧力における流量と、側部ポート7における再循環液の流量と、エジェクタの同伴率(entrainment ratio)との総計である。同伴率は、主にノズルの寸法と環帯の径との関数であり、液体供給圧力及び背圧の調整によって調整可能である。
【0016】
全体として、非電気機械式ポンプレス液体再循環システムは、電気機械式ポンプとの比較における同等の入力電力を提供するとともに、任意の回転部品又は電子部品なく、断熱空気予冷媒体に総液体流量を供給する。
【0017】
当業者は、上述の好適な実施形態に対して、本発明の概念から逸脱しない変更が加えられることを理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、本発明の主旨及び範囲内の変更に及ぶことが理解される。本発明の主旨及び範囲は、本開示において概説され、本明細書に照らして読み取られる以下の特許請求の範囲の最も広範で合理的な解釈によって定義される。
【符号の説明】
【0018】
添付図面内の特徴には、次の符号が付されている。
【0019】
1 エジェクタ
3 主ノズル
5 環状チャンバ
7 側部ポート
9 再循環タンク
10 端部ポート
11 混合チャンバ
13 断熱パッド
15 水分配システム
17 水収集装置
19 ブリード弁
21 水フィルタ
23 水圧制御器
25 調整弁
27 水圧センサ
29 水位センサ
30 コンピュータ制御器/PLC
31 注入ろ過器
33 再循環タンクろ過器
40 電磁弁
【国際調査報告】