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特表2024-544298炭素及び水から得られる水素からのアンモニア製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】炭素及び水から得られる水素からのアンモニア製造
(51)【国際特許分類】
   C01C 1/04 20060101AFI20241121BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20241121BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20241121BHJP
【FI】
C01C1/04 C
C25B1/04
C25B9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535939
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 US2022052654
(87)【国際公開番号】W WO2023114178
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】17/550,857
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コウェイター、アフマド、オー.
(72)【発明者】
【氏名】ユネス、ムーラッド
(72)【発明者】
【氏名】ジャマル、アキル
(72)【発明者】
【氏名】デ ナゼル、ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ハラレ、アーデッシュ
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA09
4K021DC01
4K021DC03
(57)【要約】
アンモニアを製造するための方法及びシステムが提供される。例示的な方法は、水を電気分解して水素と酸素とを生成することと、炭化水素と、電気分解からの酸素と、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを含む改質器供給ストリームを接触させて、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び窒素を含む改質済みストリームを生成することと、改質済みストリームを水性ガスシフト触媒と接触させて、水素、二酸化炭素及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成することと、シフト反応後ストリームを分離して、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとを生成することと、アンモニア製造供給ストリームと、任意選択で電気分解からの水素とを反応させて、アンモニアを生成することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを製造するための方法であって、
水を電気分解して、水素を含む第1の電解ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームとを生成することと、
炭化水素を含む改質器供給ストリームと、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び窒素を含む改質済みストリームを生成するのに適した条件下で接触させることと、
前記改質済みストリームの少なくとも一部を、水素、二酸化炭素及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成するのに適した条件下で、水性ガスシフト触媒と接触させることと、
前記シフト反応後ストリームの少なくとも一部を分離して、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとを生成することと、
水素及び窒素を含む前記アンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と任意選択で水素を含む前記第1の電解ストリームの少なくとも一部とを含むアンモニア製造混合物を反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部を液化して液体酸素を生成することと、前記液体酸素を貯蔵することと、をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
貯蔵された前記液体酸素の少なくとも一部をガス化することをさらに含み、
前記改質済みストリームを生成することが、前記改質器供給ストリームと前記酸化剤ストリームとを、前記ガス化された酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部と接触させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記製造物ストリームの生成速度を、前記第1の電解ストリームの最大生成速度に対応する前記製造物ストリームの最大生成速度の少なくとも50%に維持するために、
前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記ガス化された酸素の量と、
前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記酸化剤ストリームの量と、
前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記改質器供給ストリームの量との比率を選択することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アンモニア製造混合物中に存在する水素と窒素とのモル比が、約2.5:1~約3.5:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の電解ストリーム中に存在する水素及び前記シフト反応後ストリーム中に存在する水素の総量の、前記改質済みストリーム中に存在する窒素の総量に対するモル比が、少なくとも約2.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
酸素を含む前記第2の電解ストリームの一部と可燃性燃料を含む燃料供給ストリームとを含む酸素-燃料燃焼混合物を燃焼させて、熱エネルギーを生成することと、
前記熱エネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーに変換することと、
前記酸素-燃料燃焼混合物の燃焼により生成される二酸化炭素の少なくとも一部を捕捉することと、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
酸素を含む前記第2の電解ストリームの一部と可燃性燃料を含む燃料供給ストリームと超臨界二酸化炭素を含む圧縮二酸化炭素ストリームとを含む酸素-燃料燃焼混合物を燃焼させて高圧排気を生成することと、
前記高圧排気を膨張させて電気エネルギーを生成することと、
膨張した排気の少なくとも一部を圧縮して前記圧縮二酸化炭素ストリームを生成することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
一酸化炭素を含む前記改質済みストリームの一部を分離して前記燃料供給ストリームを生成することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記改質器供給ストリームが、重質原料を含み、
前記水性ガスシフト触媒が、硫黄耐性水性ガスシフト触媒を含み、
前記捕捉済みストリームが、1つ以上の硫黄含有化合物をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
炭化水素を含む部分改質器供給ストリームと水蒸気とを、前記改質器供給ストリームを生成するのに適した条件下で部分改質触媒と接触させることをさらに含み、前記部分改質器供給ストリームの平均炭化水素鎖長が、前記改質器供給ストリームの平均炭化水素鎖長よりも長い、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
炭化水素及び硫黄含有不純物を含む精製供給ストリームと、水素を含む前記第1の電解ストリームの少なくとも一部とを、前記部分改質器供給ストリームを生成するのに適した条件下で水素化脱硫触媒と接触させることをさらに含み、前記精製供給ストリーム中に存在する前記硫黄含有不純物の量が、前記部分改質器供給ストリーム中に存在する前記硫黄含有不純物の量よりも多い、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の電解ストリームは、10重量%未満の水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の電解ストリームは、水素を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記電気分解は、再生可能エネルギーによって駆動される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記改質済みストリームを生成することが、前記改質器供給ストリームと、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む前記酸化剤ストリームと、水蒸気とを、自己熱改質触媒と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記酸化剤ストリームが、空気を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記製造物ストリームを生成することが、アンモニアを生成するのに十分な条件下で、プロセス中に前記アンモニア製造混合物を接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
アンモニアを製造するためのシステムであって、
水分を電気分解して、水素を含む第1の電解ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームとを生成するように構成された電解槽と、
炭化水素を含む改質器供給ストリームと、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含む改質済みストリームを生成するのに適した条件下で接触させるように構成された改質器と、
前記改質済みストリームの少なくとも一部を、水素、二酸化炭素、及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成するのに適した条件下で、水性ガスシフト触媒と接触させるように構成された水性ガスシフト反応器と、
前記シフト反応後ストリームの少なくとも一部を分離して、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとを生成するように構成された炭素捕捉ユニットと、
水素及び窒素を含む前記アンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と、任意選択で水素を含む前記第1の電解ストリームの少なくとも一部とを反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成するように構成されたアンモニア製造ユニットと、
を備える、システム。
【請求項20】
酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部を液化して液体酸素を生成するように構成された酸素液化ユニットと、
前記液体酸素を貯蔵する酸素貯蔵設備と、
前記液体酸素の少なくとも一部をガス化し、ガス化された前記酸素を前記改質器に供給する酸素ガス化ユニットと、
をさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記ガス化された酸素の量と、
前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記酸化剤ストリームの量と、
前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記改質器供給ストリームの量との比率を選択することにより、前記製造物ストリームの生成速度を、前記第1の電解ストリームの最大生成速度に対応する前記製造物ストリームの最大生成速度の少なくとも50%に維持するように構成されて、
前記製造物ストリームの生成速度を、前記第1の電解ストリームの最大生成速度に対応する前記製造物ストリームの最大生成速度の少なくとも50%に維持する、
請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の電解ストリーム中に存在する水素及び前記シフト反応後ストリーム中に存在する水素の総量の、前記改質済みストリーム中に存在する窒素の総量に対するモル比を、少なくとも約2.5に維持するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
酸素を含む前記第2の電解ストリームの一部と可燃性燃料を含む燃料供給ストリームとを含む酸素-燃料燃焼混合物を燃焼させて、熱エネルギーを生成し、
前記熱エネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーに変換し、
前記酸素-燃料燃焼混合物の燃焼により生成される二酸化炭素の少なくとも一部を捕捉するように構成された発電プラントをさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
酸素を含む前記第2の電解ストリームの一部と可燃性燃料を含む燃料供給ストリームと超臨界二酸化炭素を含む圧縮二酸化炭素ストリームとを含む酸素-燃料燃焼混合物を燃焼させて高圧排気を生成し、
前記高圧排気を膨張させて電気エネルギーを生成し、
膨張した排気の少なくとも一部を圧縮して前記圧縮二酸化炭素ストリームを生成するように構成された発電プラントをさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
一酸化炭素を含む前記改質済みストリームの一部を分離して前記燃料供給ストリームを生成するように構成された一酸化炭素分離ユニットをさらに含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
炭化水素を含む部分改質器供給ストリームと水蒸気とを、前記改質器供給ストリームを生成するのに適した条件下で部分改質触媒と接触させるように構成された予備改質器をさらに含み、前記部分改質器供給ストリームの平均炭化水素鎖長が、前記改質器供給ストリームの平均炭化水素鎖長よりも長い、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
炭化水素及び1つ以上の硫黄含有化合物を含む精製供給ストリームと、水素を含む前記第1の電解ストリームの少なくとも一部とを、部分改質器供給ストリームを生成するのに適した条件下で水素化脱硫触媒と接触させるように構成された精製ユニットをさらに含み、前記精製供給ストリーム中に存在する前記硫黄含有化合物の量が、前記部分改質器供給ストリーム中に存在する前記硫黄含有化合物の量よりも多い、請求項19に記載のシステム。
【請求項28】
前記電解槽は、無隔膜電解槽である、請求項19に記載のシステム。
【請求項29】
システムを用いてアンモニアを製造する方法であって、
前記システムは、
水分を電気分解して、水素を含む第1の電解ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームとを生成するように構成された電解槽と、
炭化水素を含む改質器供給ストリームと、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含む改質済みストリームを生成するのに適した条件下で接触させるように構成された改質器と、
前記改質済みストリームの少なくとも一部を、水素、二酸化炭素、及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成するのに適した条件下で、水性ガスシフト触媒と接触させるように構成された水性ガスシフト反応器と、
前記シフト反応後ストリームの少なくとも一部を分離して、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとを生成するように構成された炭素捕捉ユニットと、
水素及び窒素を含む前記アンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と、任意選択で水素を含む前記第1の電解ストリームの少なくとも一部とを反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成するように構成されたアンモニア製造ユニットと、
酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部を液化して液体酸素を生成するように構成された酸素液化ユニットと、
前記液体酸素を貯蔵する酸素貯蔵設備と、
前記液体酸素の少なくとも一部をガス化し、前記ガス化された酸素を前記改質器に供給するように構成された酸素ガス化ユニットと、を備え、
前記方法は、
前記電解槽によって生成される前記第1の電解ストリームの量の減少を検知することと、
次いで、前記改質器内で接触させる前記改質器供給ストリームの量を、前記改質器内で接触させる酸化剤ストリームの量に対して増加させることと、
前記改質器内で接触させるガス化された酸素の量を、前記改質器内で接触させる前記酸化剤ストリームの量に対して増加させることと、を含み、
接触させる前記改質器供給ストリームと接触させる前記ガス化された酸素の量を増加させた後に、
前記第1の電解ストリーム中に存在する水素及び前記シフト反応後ストリーム中に存在する水素の総量の、前記改質済みストリーム中に存在する窒素の総量に対するモル比が、少なくとも約2.5となり、
前記製造物ストリームの生成速度が、前記第1の電解ストリームの最大生成速度に対応する前記製造物ストリームの最大生成速度の少なくとも50%となる、
方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年12月14日に出願された米国特許出願第17/550857号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、炭素含有燃料及び水の電気分解で得られる水素からアンモニアを製造することに関する。
【背景技術】
【0003】
水素は、例えば再生可能電力によって駆動される水の電気分解などの先進的な方法を用いて「低炭素」に製造することができ、炭素の回収、利用、及び貯蔵(CCUS)と組み合わせて炭素含有燃料から製造することができる。したがって、水素は、よりクリーンで、より安全で、安価なエネルギーの未来に大きく貢献する可能性を有している。水素を長距離かつ大規模に輸送するために、水素を、適度な温度及び圧力の条件下で液体の状態で容易に輸送することができるアンモニアに変換することができる。
【0004】
しかしながら、炭素又は水をベースとする水素製造技術を含む既存のアンモニア製造プロセスは、信頼性、効率、又はその両方に限界がある。したがって、改良されたアンモニア製造プロセスが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載の実施形態は、アンモニアを製造する方法を提供する。この方法は、水分を電気分解して、水素(H)を含む第1の電解ストリームと、酸素(O)を含む第2の電解ストリームとを生成することを含む。炭化水素を含む改質器供給ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素(N)を含む酸化剤ストリームとを、水素、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、及び窒素を含む改質済みストリームを生成するのに適した条件下で接触させる。改質済みストリームの少なくとも一部を、水素、二酸化炭素、及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成するのに適した条件下で水性ガスシフト触媒と接触させ、シフト反応後ストリームの少なくとも一部を分離して、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとを生成する。この方法は、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と任意選択で水素を含む第1の電解ストリームの少なくとも一部とを含むアンモニア製造混合物を反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成することを含む。
【0006】
本明細書に記載の実施形態は、アンモニアを製造するためのシステムを提供する。このシステムは、水を電気分解して、水素を含む第1の電解ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームとを生成するように構成された電解槽と、炭化水素を含む改質器供給ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含む改質済みストリームを生成するのに適した条件下で接触させるように構成された改質器と、を含む。このシステムは、改質済みストリームの少なくとも一部を、水素、二酸化炭素、及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成するのに適した条件下で、水性ガスシフト触媒と接触させるように構成された水性ガスシフト反応器と、シフト反応後ストリームの少なくとも一部を分離して、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとを生成するように構成された炭素捕捉ユニットと、を含む。このシステムは、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と、任意選択で水素を含む第1の電解ストリームの少なくとも一部とを反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成するように構成されたアンモニア製造ユニットを含む。
【0007】
本明細書に記載の実施形態は、システムを使用してアンモニアを製造する方法を提供する。システムは、水分を電気分解して、水素を含む第1の電解ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームとを生成するように構成された電解槽と、炭化水素を含む改質器供給ストリームと酸素を含む第2の電解ストリームの少なくとも一部と酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含む改質済みストリームを生成するのに適した条件下で接触させるように構成された改質器と、改質済みストリームの少なくとも一部を、水素、二酸化炭素、及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成するのに適した条件下で、水性ガスシフト触媒と接触させるように構成された水性ガスシフト反応器と、シフト反応後ストリームの少なくとも一部を分離して、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとを生成するように構成された炭素捕捉ユニットと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と、任意選択で水素を含む第1の電解ストリームの少なくとも一部とを反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成するように構成されたアンモニア製造ユニットと、酸素を含む第2の電解ストリームの少なくとも一部を液化して液体酸素を生成するように構成された酸素液化ユニットと、液体酸素を貯蔵する酸素貯蔵設備と、液体酸素の少なくとも一部をガス化し、ガス化された酸素を改質器に供給するように構成された酸素ガス化ユニットと、を含む。この方法は、電解槽によって生成される第1の電解ストリームの量の減少を検知することと、次いで、改質器内で接触させる改質器供給ストリームの量を、改質器内で接触させる酸化剤ストリームの量に対して増加させることと、改質器内で接触させるガス化された酸素の量を、改質器内で接触させる酸化剤ストリームの量に対して増加させることと、を含む。接触させる改質器供給ストリームと接触させるガス化された酸素の量を増加させた後に、第1の電解ストリーム中に存在する水素及びシフト反応後ストリーム中に存在する水素の総量の、改質済みストリーム中に存在する窒素の総量に対するモル比が、少なくとも約2.5となり、製造物ストリームの生成速度が、第1の電解ストリームの最大生成速度に対応する製造物ストリームの最大生成速度の少なくとも50%となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、アンモニアを製造するためのシステムの概略図である。
図2図2は、アンモニアを製造するためのシステムの概略図である。
図3図3は、アンモニアの製造方法のプロセスフロー図である。
図4図4は、アンモニアの製造方法のプロセスフロー図である。
図5図5は、アンモニアの製造方法のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、炭素ベース及び水ベースの水素製造を含むアンモニア製造のための方法及びシステムに関する。特に、本開示の運転方法及びシステムは、例えば太陽光又は風力によって駆動される水の電気分解(電解)が不連続である場合であっても、統合された炭化水素改質及び水の電解プロセスを用いて、窒素と水素との混合物からアンモニアを確実かつ効率的に合成することができる。本開示の方法及びシステムは、例えば、統合された方法及びシステムに「低炭素」な電力を提供するために、統合された酸素燃焼発電プラントをさらに含むことができる。
【0010】
水ベースの水素製造技術を含む既存の水素製造プロセスは、例えば、大部分の再生可能電力は、断続的な性質を有し、かつエネルギー貯蔵には高いコストが掛かるという観点から、生産能力、生産効率、又はその両方に限界がある可能性がある。したがって、水素製造プロセス、特に水ベースの製造プロセスの改良された運転は、水素、ひいてはアンモニアなどの水素キャリアの連続的な製造を目標として研究されている。
【0011】
炭素質燃料の自己熱酸化(auto-thermal oxidation)又は部分酸化を促進するために必要とされる酸素が、水の電解中に生成される副生成物である酸素(副生酸素)を含む場合に、水ベースの供給源及び炭素ベースの供給源からの水素の同時製造における相乗効果が知られている。しかしながら、このような相乗効果だけでは、アンモニアなどの水素キャリアの製造への応用には限界がある。
【0012】
本開示は、アンモニア製造のための水ベースの供給源及び炭素ベースの供給源からの水素の同時製造における相乗効果を特定するものであり、これはさらに窒素供給を必要とする。本開示は、水ベースの水素製造、炭素ベースの水素製造、及びアンモニア製造を統合した運転システムについて記載しており、このシステムは、最大の稼働率(utilization factor)を有することができ、連続的なアンモニア供給を提供することができ、アンモニアの製造コストを低減することができる。
【0013】
本開示のシステムは、空気からの窒素をアンモニア製造のために利用すると共に、空気からの対応する酸素を、水ベースの水素製造プロセスからの副生酸素と共に、製造プロセスにおいて炭素質供給物(carbonaceous feed)を改質するために利用することができ、その一方で、アンモニア製造のために同時製造された水ベースの水素と炭素ベースの水素とを利用する。一例では、水ベース及び炭素ベースの水素からアンモニアを製造するのに必要な窒素の一部又は全部は、炭素ベース水素製造プロセスからの炭素ベースの水素ストリームを介して供給されてもよい。炭素ベースの水素製造プロセスは、アンモニア製造プロセスの運転範囲内で、総水素(水ベース及び炭素ベースの水素)の窒素に対する比率が、典型的には約3の比率となるように運転されてもよい。いくつかのそのような構成では、電解槽からの副生酸素を、後で使用するために部分的に又は全体的に貯蔵することができる。
【0014】
例えば、断続的な再生可能電力のために、水ベースの水素の生成量が減少する場合、アンモニアプラントへの装填量(load)が減少し、プラントは設計外の運転状態に達する可能性がある。本開示に記載されているように、アンモニアプラントを運転可能な範囲に維持するのに必要な割合まで水素の生成量を増加させるために、炭素ベースの水素の生成量を増加させて、総水素の窒素に対する比率をアンモニアプラントの設計仕様内に維持しながら、より多くの水素を製造することができる。本開示のシステム及び方法のいくつかの例では、これは、炭素ベースの水素製造プロセスの改質器に供給される炭化水素原料の量を増加させ、追加の原料が窒素を含まない酸素ストリームを使用して改質される酸素リッチモードで、改質器を運転することによって達成することができる。窒素を含まない酸素ストリームは、電解槽からの酸素、例えば、水ベースの水素製造プロセスの電解槽の運転中に生成され、貯蔵された酸素を含むことができる。いくつかの例は、窒素を含まない酸素ストリームは、空気分離ユニットからの酸素を含むことができる。いくつかの例では、追加の酸素は、窒素のバランスを変えることなく、増加した量の水素を生成するのに役立ち得る。水ベースの水素ストリームを追加の炭素ベースの水素で置き換えることによって、アンモニア製造供給物の窒素に対する水素の比率を、アンモニアプラントの運転限界内に維持することができる。
【0015】
いくつかの事例では、電解槽から生成される副生酸素は、酸素燃焼モードで炭素質燃料を燃焼させるために部分的に使用されて、二酸化炭素の効果的な回収を促進すると共に、さらに低炭素の機械的エネルギー又は電力を生成することができる。これらのエネルギー又は電力は、例えば、製造プロセスにおいて設備を駆動するために使用されてもよく、送電網上に供給されてもよい。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態に係るアンモニアを製造するためのシステム100の概略図である。システム100は、電解槽102、酸素貯蔵設備118、改質器104、水性ガスシフト反応器106、炭素捕捉ユニット108、及びアンモニア製造ユニット110を含む。
【0017】
水ストリーム(図示せず)は、例えば、液体ポンプを使用して電解槽102に導かれる。水ストリームからの水は、電解槽102において電気分解されて、水素を含む第1の電解ストリーム101と、酸素を含む第2の電解ストリーム103とを生成する。いくつかの実施形態では、電解槽102は、アルカリ電解槽、高分子電解質膜電解槽、固体酸化物電解槽、又は無隔膜電解槽(membrane-less electrolyzer)である。いくつかの実施形態では、電気分解は、再生可能エネルギー、例えば、太陽エネルギーによって駆動される。いくつかの実施形態では、第1の電解ストリーム101及び第2の電解ストリーム103の出力は、例えば、電解槽102への再生可能電力の断続的な供給能力に起因して、断続的である。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の電解ストリーム101は、少なくとも約75重量%の水素、又は少なくとも約85重量%の水素、又は少なくとも約95重量%の水素、又は少なくとも約97.5重量%の水素、又は少なくとも約99重量%の水素を含む。いくつかの実施形態では、第1の電解ストリーム101は、水蒸気をさらに含む。いくつかの実施形態では、水蒸気及び水素は、少なくとも約85重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約97.5重量%、又は少なくとも約99重量%の合計量で、第1の電解ストリーム101中に存在する。いくつかの実施形態では、電解槽102は無隔膜電解槽であり、第1の電解ストリーム101は、酸素、例えば、少なくとも約5重量%の酸素を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2の電解ストリーム103は、少なくとも約75重量%の酸素、又は少なくとも約85重量%の酸素、又は少なくとも約95重量%の酸素、又は少なくとも約97.5重量%の酸素、又は少なくとも約99重量%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、第2の電解ストリーム103は、水蒸気をさらに含む。いくつかの実施形態では、水蒸気及び酸素は、少なくとも約85重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約97.5重量%、又は少なくとも約99重量%の合計量で、第2の電解ストリーム103中に存在する。いくつかの実施形態では、電解槽102は無隔膜電解槽であり、第2の電解ストリーム103は、水素、例えば、少なくとも約5重量%の水素を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、第2の電解ストリーム103の少なくとも一部は、ストリーム131として酸素貯蔵設備118に導かれる。酸素貯蔵設備118は、例えば酸素液化ユニット(図示せず)から得られる液体状態の酸素を貯蔵することができ、又は例えば圧縮ユニット(図示せず)から得られる高圧ガス状態の酸素を貯蔵することができる。例えば、酸素貯蔵設備は、酸素を吸着及び脱着することができる金属水素化物又は吸着材を含むことができる。いくつかの実施形態では、酸素貯蔵設備は、ストリーム135を介して改質器104に酸素を供給することができる。
【0021】
炭化水素を含む改質器供給ストリーム105、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリーム107、ならびに酸素を含む第2の電解ストリーム103の一部を含むストリーム109は、改質器104に導かれる。例えば、ストリーム109は、ストリーム145、ストリーム135、又はその両方からの酸素を含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、無隔膜電解槽からの第1の電解ストリーム101は酸素を含み、ストリーム109は、酸素及び水素を含む第1の電解ストリーム103の少なくとも一部をさらに含む。図1の実施形態では、酸化剤ストリーム107及びストリーム109は、別々に改質器104に流入する。他の実施形態では、酸化剤ストリーム107及びストリーム109は、改質器104に流入する前に混合される。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム105は、例えば、約350℃~約800℃の温度に予熱される。
【0022】
いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム105は、短鎖炭化水素、例えば、メタン又は天然ガスなどの炭素数1~4(C1-4)の炭化水素を含む。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム105は、一酸化炭素及び水素をさらに含む。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム105は、少なくとも約75重量%、又は少なくとも約85重量%、又は少なくとも約95重量%の合計量でメタン、一酸化炭素、及び水素を含む。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム105は、部分改質プロセス、例えば、メタン、ナフサ、及び軽油などの炭素数1~25(C1-25)の炭化水素を部分改質するためのプロセス(図示せず、例えば、図2を参照)の生成物を含む。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム105は、重質原料、例えば、燃料油、減圧残油(vacuum residues)、石油コークス、プラスチック、バイオマス、バイオ燃料、又は石炭などを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、酸化剤ストリーム107は、少なくとも約50重量%の窒素、少なくとも約60重量%の窒素、又は少なくとも約70重量%の窒素を含む。いくつかの実施形態では、酸化剤ストリーム107は、約65重量%~約95重量%の窒素と、約5重量%~約35重量%の酸素とを含む。いくつかの実施形態では、酸化剤ストリーム107は空気を含む。いくつかの実施形態では、酸化剤ストリームは、例えば、ガスタービンからの煙道ガス(flue gases)を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、ストリーム109の組成は、第2の電解ストリーム103の組成と実質的に同じである。いくつかの実施形態では、ストリーム109は、少なくとも約75重量%の酸素、又は少なくとも約85重量%の酸素、又は少なくとも約95重量%の酸素、又は少なくとも約97.5重量%の酸素、又は少なくとも約99重量%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、水蒸気及び酸素は、少なくとも約85重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約97.5重量%、又は少なくとも約99重量%の合計量でストリーム109中に存在する。いくつかの実施形態では、ストリーム109は、10重量%未満の水素、又は5重量%未満の水素、又は2.5重量%未満の水素、又は1重量%未満の水素を含む。いくつかの実施形態では、ストリーム109は、水素を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、第2の電解ストリームは、酸素貯蔵設備118から得られる貯蔵酸素のガス化部分を含む。
【0025】
改質器供給ストリーム105からの炭化水素は、改質器104で改質されて、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含む改質済みストリーム111を生成する。いくつかの実施形態では、改質器104は部分酸化改質器である。いくつかの実施形態では、改質器104は自己熱改質器(例えば、自己熱改質触媒を含む)であり、水蒸気(図示せず)を含むストリームも改質器104に導かれる。いくつかの実施形態において、改質器104は部分酸化改質器(例えば、部分酸化触媒を含む)であり、改質器104は、約1000℃~約1200℃の温度で運転される。いくつかの実施形態では、改質器104は、自己熱改質器であり、改質器104は約800℃~約1000℃の温度で運転される。
【0026】
いくつかの実施形態において、改質済みストリーム111は、約0重量%~約30重量%の量の一酸化炭素、約2重量%~約10重量%の量の水素、約20重量%~約70重量%の量の二酸化炭素、約20重量%~約60重量%の量の窒素、約0重量%~約40重量%の量の水(HO)、及び約0重量%~約3重量%の量のメタン(CH)を含む。いくつかの実施形態では、熱は改質済みストリーム111から回収され、例えば、改質器供給ストリーム105などの別のストリームを予熱するために使用されるか、又はプロセスで使用され得る蒸気を生成するために使用されて、機械的動力を生成するか、又はその両方に使用される。
【0027】
改質済みストリーム111及び水蒸気を含むストリーム113は、水性ガスシフト反応器106(例えば、水性ガスシフト触媒を含む)に導かれる。改質済みストリーム111からの一酸化炭素は、ストリーム113からの水蒸気と反応させられて、窒素と、改質済みストリーム111の組成と比較して増加した量の水素及び二酸化炭素と、減少した量の一酸化炭素とを含むシフト反応後ストリーム115を生成する。いくつかの実施形態では、改質済みストリーム111中に存在する一酸化炭素の少なくとも約75%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97.5%、又は少なくとも約99%が、水性ガスシフト反応器106中で二酸化炭素に変換される。いくつかの実施形態では、水性ガスシフト反応器106は、例えば、改質器供給ストリーム105が重質原料を含むサワーシフト反応器(例えば、硫黄耐性水性ガスシフト触媒を含む)である。いくつかの実施形態では、水性ガスシフト反応器106は、約250℃~約500℃の温度で運転される。
【0028】
いくつかの実施形態では、シフト反応後ストリーム115は、約0重量%~約3重量%の量の一酸化炭素、約3重量%~約15重量%の量の水素、約30重量%~約70重量%の量の二酸化炭素、約20重量%~約60重量%の量の窒素、約0重量%~約30重量%の量の水、及び約0重量%~約3重量%の量のメタンを含む。いくつかの実施形態では、シフト反応後ストリーム115は、一酸化炭素を実質的に含まない。
【0029】
シフト反応後ストリーム115は、炭素捕捉ユニット108に導かれる。二酸化炭素は、炭素捕捉ユニット108においてシフト反応後ストリーム115から分離されて、二酸化炭素を含む捕捉済みストリーム117と、窒素及び水素とシフト反応後ストリーム115の組成と比較して減少した量の二酸化炭素とを含むアンモニア製造供給ストリーム119とを生成する。いくつかの実施形態では、例えば、改質器供給ストリーム105は重質原料を含む場合、硫黄含有化合物などの他の不純物は、(「酸性ガス」炭素捕捉ユニットにおいて)シフト反応後ストリーム115から捕捉済みストリーム117に分離される。いくつかの実施形態では、二酸化炭素は、吸着、吸収、又は膜分離若しくは低温分離によって、シフト反応後ストリーム115から分離される。
【0030】
いくつかの実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム119は、メタン化ユニット(図示せず)においてさらに処理されて、例えば、アンモニア製造ユニットに有害な、任意の残留不純物が除去される。アンモニア製造供給ストリーム119は、酸素、例えば、無隔膜電解槽の運転から生じる酸素を除去するために、さらに処理され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム119は、少なくとも約75%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97.5%、又は少なくとも約99%の合計量の水素及び窒素を含む。いくつかの実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム119は、二酸化炭素を実質的に含まない。
【0032】
いくつかの実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム119とアンモニア製造ユニット110に導かれる第1の電解ストリーム101の一部とに存在する水素の合計量と、アンモニア製造供給ストリーム中に存在する窒素の量とのモル比は、少なくとも2.5:1、又は少なくとも2.75:1、又は少なくとも3:1、又は少なくとも3.5:1である。
【0033】
アンモニア製造供給ストリーム119を含むアンモニア製造混合物ストリーム121は、アンモニア製造ユニット110に導かれる。いくつかの実施形態では、アンモニア製造混合物ストリーム121は、水素を含む第1の電解ストリーム101の少なくとも一部をさらに含む。図1の実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム119及び第1の電解ストリーム101の少なくとも一部は、アンモニア製造ユニット110に流入する前に混合されて、アンモニア製造混合物となる。他の実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム119及び第1の電解ストリーム101の少なくとも一部は、アンモニア製造ユニット110に別々に流入し、アンモニア製造ユニット110内でアンモニア製造混合物を生成する。
【0034】
いくつかの実施形態では、水素及び窒素は、約2.5:1~約3.5:1、又は約2.75:1~約3.25:1、又は約2.75:1~約3.5:1、又は約2.75:1~約3.25:1のモル比で、アンモニア製造混合物ストリーム121中に存在する。いくつかの実施形態では、水素及び窒素は、約3:1のモル比で、アンモニア製造混合物ストリーム121中に存在する。
【0035】
いくつかの実施形態では、アンモニア製造混合物ストリーム121に含まれる第1の電解ストリーム101の量は、アンモニア製造混合物ストリーム121の水素含有量とアンモニア製造混合物ストリーム121中に存在する窒素とのモル比を約2.5:1~約3.5:1の範囲(例えば、約3:1)に維持するように、独立して選択される。いくつかの実施形態では、第1の電解ストリーム101の一部、例えば、アンモニア製造ストリーム121中に存在する水素と窒素とのモル比を約2.5:1~約3.5:1の範囲に維持するのに必要ではない水素を含む部分は、別の用途に使用されるか、又は例えば、システム100の外部に貯蔵される。
【0036】
いくつかの実施形態では、改質器104に導かれる酸化剤ストリーム107の量は、アンモニア製造混合物ストリーム121の水素と窒素との含有量を約2.5:1~約3.5:1の範囲(例えば、約3:1)に維持するように、独立して選択される。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム105の量と、ストリーム109の量(例えば、窒素を実質的に含まないストリーム109の量)とは、アンモニア製造混合物ストリーム121の水素含有量とアンモニア製造混合物ストリーム121中に存在する窒素とのモル比を約2.5:1~約3.5:1の範囲(例えば、約3:1)に維持するように、独立して選択される。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム105の量と、ストリーム109の量(例えば、窒素を実質的に含まないストリーム109の量)とは、電解槽102からの第1の電解ストリーム101の出力減少を検知した後にそれぞれ増やされて、アンモニア製造混合物ストリーム121の水素含有量とアンモニア製造混合物ストリーム121中に存在する窒素とのモル比を、約2.5:1~約3.5:1の範囲(例えば、約3:1)に維持する。
【0037】
アンモニア製造混合物ストリーム121からの水素及び窒素は、アンモニア製造ユニット110において反応させられて、アンモニアを含む製造物ストリーム123を生成する。いくつかの実施形態では、アンモニア製造ユニットは、ハーバー・ボッシュ反応器である。
【0038】
いくつかの実施形態では、アンモニアを製造するためのシステムは、発電プラント、精製ユニット、予備改質器、酸素液化ユニット、酸素貯蔵設備(例えば、液体又は気体の酸素の貯蔵設備)、及び空気分離ユニットのうちの1つ以上をさらに含む。図2は、本開示の一実施形態に従ってアンモニアを製造するためのシステム200の概略図である。このシステムは、電解槽202、改質器204、水性ガスシフト反応器206、炭素捕捉ユニット208、アンモニア製造ユニット210、精製ユニット212、予備改質器214、酸素液化ユニット216、酸素貯蔵設備218、及び発電プラント220を含む。
【0039】
炭化水素及び硫黄含有不純物を含む精製供給ストリーム225は、精製ユニット212に導かれる。いくつかの実施形態では、精製供給ストリーム225は、メタン、ナフサ、及び軽油などの、炭素数1~25(C1-25)の炭化水素を含む。いくつかの実施形態では、硫黄含有不純物は、チオール、チオフェン、有機スルフィド及びジスルフィド、並びにそれらの組み合わせから選択される。
【0040】
精製供給ストリーム225は、精製ユニット212で処理されて、精製供給ストリーム225と比較して減少した量の硫黄含有不純物を含む予備改質器供給ストリーム227を生成する。いくつかの実施形態では、精製ユニット212は、水素化脱硫反応器であり、例えば、水素を含む第1の電解ストリームの少なくとも一部を含むストリーム(図示せず)からの水素を、硫黄含有不純物と反応させて、例えば、固体吸着剤又は当業者に公知の他の技術を使用して分離された、硫化水素(HS)を含むストリーム(図示せず)を生成する。
【0041】
いくつかの実施形態では、精製供給ストリーム225中に存在する硫黄含有不純物の少なくとも約95%、又は少なくとも約97.5%、又は少なくとも約99%が、精製ユニット212中で分離される。いくつかの実施形態では、予備改質器供給ストリーム227は、1重量%未満、又は0.5重量%未満の硫黄含有化合物を含む。いくつかの実施形態では、予備改質器供給ストリーム227は、硫黄含有化合物を実質的に含まない。
【0042】
予備改質器供給ストリーム227及び水蒸気を含むストリーム229は、予備改質器214に導かれる。予備改質器供給ストリーム227からの炭化水素は、予備改質器214において部分的に改質されて、メタン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び水を含む改質器供給ストリーム205を生成する。予備改質器214は、例えば、タービンの排出ガスから回収される熱、又は改質済みストリーム211から回収される熱によってガス加熱され得る。いくつかの例では、予備改質器214は、例えば、発電プラント220からの電気エネルギーを用いて電気的に加熱される。別の例では、予備改質器214は、吸熱反応を補償するために、発熱反応からの固有な熱(intrinsic heat)を利用することによって、断熱モードで運転される。いくつかの実施形態では、予備改質器214は、350℃~600℃の温度で、例えば500℃~600℃の温度で、断熱モードで運転される。いくつかの実施形態では、予備改質器214は、10バール~60バールの圧力で運転される。
【0043】
水ストリーム(図示せず)は、例えば、液体ポンプを使用して電解槽202に導かれる。水ストリームからの水は、電解槽202で電気分解されて、水素を含む第1の電解ストリーム201と、酸素を含む第2の電解ストリーム203とを生成する。いくつかの実施形態では、電解槽202は、アルカリ電解槽、高分子電解質膜電解槽、固体酸化物電解槽、又は無隔膜電解槽である。いくつかの実施形態では、電気分解は、再生可能エネルギー、例えば、太陽エネルギーによって駆動される。いくつかの実施形態では、第1の電解ストリーム201及び第2の電解ストリーム203の出力は、例えば、電解槽202への再生可能電力の断続的な供給に起因して、断続的である。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の電解ストリーム201は、少なくとも約75重量%の水素、又は少なくとも約85重量%の水素、又は少なくとも約95重量%の水素、又は少なくとも約97.5重量%の水素、又は少なくとも約99重量%の水素を含む。いくつかの実施形態では、第1の電解ストリーム201は、水蒸気をさらに含む。いくつかの実施形態では、水蒸気及び水素は、少なくとも約85重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約97.5重量%、又は少なくとも約99重量%の合計量で、第1の電解ストリーム201中に存在する。いくつかの実施形態では、電解槽202は無隔膜電解槽であり、第1の電解ストリーム201は、酸素、例えば、少なくとも約5重量%の酸素を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2の電解ストリーム203は、少なくとも約75重量%の酸素、又は少なくとも約85重量%の酸素、又は少なくとも約95重量%の酸素、又は少なくとも約97.5重量%の酸素、又は少なくとも約99重量%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、第2の電解ストリーム203は水蒸気をさらに含む。いくつかの実施形態では、水蒸気及び酸素は、少なくとも約85重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約97.5重量%、又は少なくとも約99重量%の合計量で、第2の電解ストリーム203中に存在する。いくつかの実施形態では、電解槽102は無隔膜電解槽であり、第2の電解ストリーム203は、水素、例えば、少なくとも約5重量%の水素を含む。
【0046】
酸素を含む第2の電解ストリーム203の一部は、ストリーム231として酸素液化ユニット216に導かれる。ストリーム231からの酸素は液化されて、液体酸素を含むストリーム233を生成する。ストリーム233は、酸素貯蔵設備218に導かれる。ストリーム233からの液体酸素は、酸素貯蔵設備218に貯蔵される。いくつかの実施形態では、例えば、電解槽202が容量で動作している場合、第2の電解ストリーム203中に存在する酸素の少なくとも20重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%は、酸素液化ユニット216中で液化され、次いで、酸素貯蔵設備218中に貯蔵される。
【0047】
いくつかの実施形態では、酸素貯蔵設備218に貯蔵された液体酸素の少なくとも一部は、ガス化され、次いで、例えば、電解槽202からの第1の電解ストリーム201の出力が減少したことを検知すると、ストリーム235として改質器204に導かれる。いくつかの実施形態では、酸素貯蔵設備218に貯蔵された液体酸素のガス化は、例えば、炭素捕捉ユニット208又は発電プラント220における二酸化炭素分離のための冷却、又はユニット210において生成されたアンモニアの(その後の分離及び貯蔵(図示せず)用の)液化のための冷却を提供するために使用される。
【0048】
酸素を含む第2の電解ストリームの一部を含むストリーム241と、可燃性燃料を含む燃料供給ストリーム243とが、発電プラント220に導かれる。いくつかの実施形態では、ストリーム241は、迂回ストリーム239として導かれる、酸素を含む第2の電解ストリーム203の一部を含む。いくつかの実施形態では、ストリーム241は、貯蔵ストリーム237として導かれる、酸素貯蔵設備218に貯蔵された液体酸素のガス化された一部を含み、この貯蔵ストリーム237は、例えば、電解槽202からの第2の電解ストリーム203の出力の減少を補償するのに十分である。図2の実施形態では、ストリーム241及び燃料供給ストリーム243は、別々に発電プラント220に流入する。他の実施形態では、ストリーム241及び燃料供給ストリーム243は、発電プラント220に流入する前に混合される。
【0049】
いくつかの実施形態では、ストリーム241は、10重量%未満の水素、又は5重量%未満の水素、又は2.5重量%未満の水素、又は1重量%未満の水素を含む。いくつかの実施形態では、ストリーム241は水素を実質的に含まない。
【0050】
ストリーム241からの酸素と燃料供給ストリーム243からの可燃性燃料との酸素-燃料燃焼混合物(oxy-fuel combustion mixture)は、発電プラント220で燃焼されて熱エネルギーを生成する。生成された熱エネルギーは、機械エネルギーと一部の例では電気エネルギーとに変換され、酸素-燃料燃焼混合物の燃焼によって形成された二酸化炭素の少なくとも一部が捕捉される。いくつかの実施形態では、発電プラント220は、酸素燃焼式ブロイラー(oxy-fired broiler)、酸素燃焼式ガス化炉(gasifier)、又は酸素燃焼式ガスタービンを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、捕捉された二酸化炭素の一部は、燃焼温度を制御するために処理され、酸素-燃料燃焼混合物に再利用され、捕捉された二酸化炭素の一部は、捕捉済みストリーム(図示せず)として発電プラント220から除去される。いくつかの実施形態では、酸素-燃料燃焼プロセスは、捕捉された二酸化炭素の少なくとも一部を圧縮して、酸素-燃料燃焼プロセスに再利用するための超臨界二酸化炭素(supercritical CO)を生成することと、超臨界二酸化炭素を含む酸素-燃料燃焼混合物を燃焼させて高圧排気ストリームを生成することとを含む。高圧排気ストリームは、電力及び中圧排気を生成するために膨張され、そこから二酸化炭素が捕捉され、一部が再圧縮されて酸素-燃料燃焼プロセスで再利用される。
【0052】
いくつかの実施形態では、一酸化炭素を含む改質済みストリーム211の一部は、例えば、吸着、吸収、又は膜分離によって、一酸化炭素分離ユニット(図示せず)で分離されて、燃料供給ストリーム243を生成する。
【0053】
いくつかの実施形態では、空気は、空気分離ユニット(図示せず)で分離されて、酸素を含む空気分離されたストリームを生成する。いくつかの実施形態では、酸素を含む空気分離されたストリームの少なくとも一部は、例えば、改質器204の生産能力を高めるために、改質器204に導かれる。いくつかの実施形態では、空気分離されたストリームの少なくとも一部は、例えば、発電プラント220の生産能力を高めるために、発電プラント220に導かれる。いくつかの実施形態では、酸素を含む空気分離されたストリームの少なくとも一部は、酸素液化システム216に導かれ、空気分離されたストリームからの酸素は、液体酸素として酸素貯蔵システム218に貯蔵される。
【0054】
炭化水素を含む改質器供給ストリーム205、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリーム207、並びに酸素を含む第2の電解ストリーム203の一部(ストリーム245として導かれる)を含むストリーム209は、改質器204に導かれる。いくつかの実施形態では、例えば、無隔膜電解槽からの第1の電解ストリーム201は酸素を含み、ストリーム209は、酸素及び水素を含む第2の電解ストリーム203の一部をさらに含む。図2の実施形態では、酸化剤ストリーム207及びストリーム209は、別々に改質器204に流入する。他の実施形態では、酸化剤ストリーム207及びストリーム209は、改質器204に流入する前に混合される。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム205は、例えば、約350℃~約800℃の温度に予熱される。
【0055】
いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム205は、短鎖炭化水素、例えば、メタンなどの炭素数1~4(C1-4)の炭化水素を含む。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム205は、一酸化炭素及び水素をさらに含む。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム205は、少なくとも約75重量%、又は少なくとも約85重量%、又は少なくとも約95重量%の合計量で、メタン、一酸化炭素、及び水素を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、酸化剤ストリーム207は、少なくとも約50重量%の窒素、少なくとも約60重量%の窒素、又は少なくとも約70重量%の窒素を含む。いくつかの実施形態では、酸化剤ストリーム207は、約65重量%~約95重量%の窒素、及び約5重量%~約35重量%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、酸化剤ストリーム207は空気を含む。いくつかの実施形態では、酸化剤ストリームは、例えば、ガスタービンからの煙道ガス(flue gases)を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、ストリーム209の組成は、第2の電解ストリーム203の組成と実質的に同じである。いくつかの実施形態では、ストリーム209は、少なくとも約75重量%の酸素、又は少なくとも約85重量%の酸素、又は少なくとも約95重量%の酸素、又は少なくとも約97.5重量%の酸素、又は少なくとも約99重量%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、水蒸気及び酸素は、少なくとも約85重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約97.5重量%、又は少なくとも約99重量%の合計量で、ストリーム209中に存在する。いくつかの実施形態では、ストリーム209は、10重量%未満の水素、又は5重量%未満の水素、又は2.5重量%未満の水素、又は1重量%未満の水素を含む。いくつかの実施形態では、ストリーム209は、水素を実質的に含まない。
【0058】
改質器供給ストリーム205からの炭化水素は、改質器204で改質されて、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含む改質済みストリーム211を生成する。いくつかの実施形態では、改質器204は部分酸化改質器である。いくつかの実施形態では、改質器204は、自己熱改質器(例えば、自己熱改質触媒を含む)であり、水蒸気(図示せず)を含むストリームも改質器204に導かれる。いくつかの実施形態において、改質器204は部分酸化改質器(例えば、部分酸化触媒を含む)であり、改質器204は、約1000℃~約1200℃の温度で運転される。いくつかの実施形態では、改質器204は、自己熱改質器であり、改質器204は約800℃~約1000℃の温度で運転される。
【0059】
いくつかの実施形態において、改質済みストリーム211は、約0重量%~約30重量%の量の一酸化炭素、約2重量%~約10重量%の量の水素、約20重量%~約70重量%の量の二酸化炭素、約20重量%~約60重量%の量の窒素、約0重量%~約40重量%の量の水、及び約0重量%~約3重量%の量のメタンを含む。いくつかの実施形態では、熱は改質済みストリーム211から回収され、例えば、改質器供給ストリーム205などの別のストリームを予熱するために使用される。
【0060】
改質済みストリーム211及び水蒸気を含むストリーム213は、水性ガスシフト反応器206(例えば、水性ガスシフト触媒を含む)に導かれる。改質済みストリーム211からの一酸化炭素は、ストリーム213からの水蒸気と反応させられて、窒素と、改質済みストリーム211の組成と比較して増加した量の水素及び二酸化炭素と、減少した量の一酸化炭素とを含むシフト反応後ストリーム215を生成する。いくつかの実施形態では、改質済みストリーム211中に存在する一酸化炭素の少なくとも約75%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97.5%、又は少なくとも約99%が、水性ガスシフト反応器206中で二酸化炭素に変換される。いくつかの実施形態では、水性ガスシフト反応器206は、約250℃~約500℃の温度で運転される。
【0061】
いくつかの実施形態では、シフト反応後ストリーム215は、約0重量%~約3重量%の量の一酸化炭素、約3重量%~約15重量%の量の水素、約30重量%~約70重量%の量の二酸化炭素、約20重量%~約60重量%の量の窒素、約0重量%~約30重量%の量の水、及び約0重量%~約3重量%の量のメタンを含む。いくつかの実施形態では、シフト反応後ストリーム215は、一酸化炭素を実質的に含まない。
【0062】
シフト反応後ストリーム215は、炭素捕捉ユニット208に導かれる。二酸化炭素は、炭素捕捉ユニット208においてシフト反応後ストリーム215から分離されて、二酸化炭素を含む捕捉済みストリーム217と、窒素及び水素とシフト反応後ストリーム215の組成と比較して減少した量の二酸化炭素とを含むアンモニア製造供給ストリーム219とを生成する。いくつかの実施形態では、硫黄含有化合物などの他の不純物は、シフト反応後ストリーム215から、捕捉済みストリーム217に分離される。いくつかの実施形態では、二酸化炭素は、吸着、吸収、又は膜分離若しくは低温分離によって、シフト反応後ストリーム215から分離される。
【0063】
いくつかの実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム219は、メタン化ユニット(図示せず)においてさらに処理されて、例えば、アンモニア製造ユニットに有害な、任意の残留不純物が除去される。アンモニア製造供給ストリーム219は、酸素、例えば、無隔膜電解槽の運転から生じる酸素を除去するために、さらに処理され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム219は、少なくとも約75%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97.5%、又は少なくとも約99%の合計量の水素及び窒素を含む。いくつかの実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム219は、二酸化炭素を実質的に含まない。
【0065】
いくつかの実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム219とアンモニア製造ユニット210に導かれる第1の電解ストリーム201の一部とに存在する水素の合計量と、アンモニア製造供給ストリーム中に存在する窒素の量とのモル比は、少なくとも2.5:1、又は少なくとも2.75:1、又は少なくとも3:1、又は少なくとも3.5:1である。
【0066】
アンモニア製造供給ストリーム219を含むアンモニア製造混合物ストリーム221は、アンモニア製造ユニット210に導かれる。いくつかの実施形態では、アンモニア製造混合物ストリーム221は、水素を含む第1の電解ストリーム201の少なくとも一部をさらに含む。図2の実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム219及び第1の電解ストリーム201の少なくとも一部は、アンモニア製造ユニット210に流入する前に混合されて、アンモニア製造混合物となる。他の実施形態では、アンモニア製造供給ストリーム219及び第1の電解ストリーム201の少なくとも一部は、アンモニア製造ユニット210に別々に流入し、アンモニア製造ユニット210内でアンモニア製造混合物を生成する。
【0067】
いくつかの実施形態では、水素及び窒素は、約2.5:1~約3.5:1、又は約2.75:1~約3.25:1、又は約2.75:1~約3.5:1、又は約2.75:1~約3.25:1のモル比で、アンモニア製造混合物ストリーム221中に存在する。いくつかの実施形態では、水素及び窒素は、約3:1のモル比で、アンモニア製造混合物ストリーム221中に存在する。
【0068】
いくつかの実施形態では、アンモニア製造混合物ストリーム221に含まれる第1の電解ストリーム201の量は、アンモニア製造混合物ストリーム221の水素含有量とアンモニア製造混合物ストリーム221中に存在する窒素とのモル比を約2.5:1~約3.5:1の範囲(例えば、約3:1)に維持するように、独立して選択される。いくつかの実施形態では、第1の電解ストリーム201の一部、例えば、アンモニア製造ストリーム221中に存在する水素と窒素とのモル比を約2.5:1~約3.5:1の範囲に維持するのに必要ではない水素を含む部分は、別の用途に使用されるか、又は例えばシステム200の外部に貯蔵される。
【0069】
いくつかの実施形態では、改質器204に導かれる酸化剤ストリーム207の量は、アンモニア製造混合物ストリーム221の水素と窒素との含有量を約2.5:1~約3.5:1の範囲(例えば、約3:1)に維持するように、独立して選択される。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム205の量と、ストリーム209の量(例えば、窒素を実質的に含まないストリーム209の量)とは、アンモニア製造混合物ストリーム221の水素含有量とアンモニア製造混合物ストリーム221中に存在する窒素とのモル比を約2.5:1~約3.5:1の範囲(例えば、約3:1)に維持するように、独立して選択される。いくつかの実施形態では、改質器供給ストリーム205の量と、ストリーム209の量(例えば、窒素を実質的に含まないストリーム209の量)とは、電解槽202からの第1の電解ストリーム201の出力減少を検知した後にそれぞれ増やされて、アンモニア製造混合物ストリーム221の水素含有量とアンモニア製造混合物ストリーム221中に存在する窒素とのモル比を、約2.5:1~約3.5:1の範囲(例えば、約3:1)に維持する。
【0070】
アンモニア製造混合物ストリーム221からの水素及び窒素は、アンモニア製造ユニット210において反応させられて、アンモニアを含む製造物ストリーム223を生成する。いくつかの実施形態では、アンモニア製造ユニットは、ハーバー・ボッシュ反応器である。
【0071】
図3は、アンモニアの製造方法300のプロセスフロー図である。本方法は、水の電気分解により、水素を含む第1の電解ストリームと酸素を含む第2の電解ストリームとを生成する、ブロック302で開始する。ブロック304では、炭化水素を含む改質器供給ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを接触させて、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含む改質済みストリームを生成する。ブロック306では、改質済みストリームの少なくとも一部を、水性ガスシフト触媒と接触させて、水素、二酸化炭素、及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成する。ブロック308では、シフト反応後ストリームの少なくとも一部が分離されて、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとが生成される。ブロック310では、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と、任意選択で水素を含む第1の電解ストリームの少なくとも一部とを含むアンモニア製造混合物を反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成する。
【0072】
図4は、アンモニアの製造方法400のプロセスフロー図である。本方法は、水の電気分解により、水素を含む第1の電解ストリームと酸素を含む第2の電解ストリームとを生成する、ブロック402で開始する。ブロック404において、酸素を含む第2の電解ストリームの少なくとも一部が液化されて液体酸素を生成し、ブロック406において、液体酸素が貯蔵される。ブロック408では、貯蔵された液体酸素の少なくとも一部がガス化される。ブロック410において、炭化水素を含む改質器供給ストリームと、ガス化された酸素を含む第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを接触させて、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含む改質済みストリームを生成する。ブロック412では、改質済みストリームの少なくとも一部を水性ガスシフト触媒と接触させて、水素、二酸化炭素、及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成する。ブロック414では、シフト反応後ストリームの少なくとも一部が分離されて、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとが生成される。ブロック416では、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と、任意選択で水素を含む第1の電解ストリームの少なくとも一部とを含むアンモニア製造混合物を反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成する。ブロック418において、改質済みストリームを生成するために接触させる、ガス化された酸素、酸化剤ストリーム、及び改質器ストリームのそれぞれの量の比率は、製造物ストリームの生成速度を、製造物ストリームの最大生成速度の少なくとも50%に維持するように選択される。アンモニア製造混合物中に存在する水素と窒素とのモル比は、約2.5:1~約3.5:1であり得る。本開示で使用されるように、製造物ストリームの最大生成速度は「設計点」と呼ぶことができ、これは、水の電気分解がフル稼働している場合のプロセスのアンモニウム製造能力を意味する。
【0073】
図5は、本開示のシステムを使用してアンモニアを製造するための方法500のプロセスフロー図である。本方法は、ブロック502において、電解槽によって生成される水素を含む第1の電解ストリームの生成量の減少を検知することから開始する。ブロック504では、改質器内で接触改質される炭化水素を含む改質器供給ストリームの量を、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームの量に対して増加させる。ブロック506では、電解槽からの酸素を液化して貯蔵することによって生成され、改質器内で接触させるガス化された酸素の量を、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームの量に対して増加させる。その後、第1の電解ストリームと改質器からの改質済みストリームのシフト反応生成物とに存在する水素の総量の、改質済みストリーム中に存在する窒素の総量に対するモル比は、少なくとも約2.5とする。
【0074】
アンモニア製造プロセスのシナリオを、統合された発電プラントの有無にかかわらずモデル化した。ストリームは、図2に対応するようにラベル付けされている。
【0075】
実施例1:空気分離ユニットを使用せず、発電プラントも使用しないアンモニア製造プロセス。
【0076】
このシミュレーションでは、電解槽は1日のうち1/3の時間だけ運転された。シミュレーションによって計算されたプロセスフローは、以下の表1にまとめられている。すべての値は質量基準であり、アンモニア最大出力の値を100としている。
【0077】
【表1】
【0078】
アンモニア生産ユニット210のフル稼働に対する稼働率は、「オン」シナリオで100%、「オフ(1)」シナリオで100%、「オフ(2)」シナリオで70%、「オン(C)」シナリオで100%であった。「オン」シナリオでの改質器204の運転と、「オフ(1)」シナリオ及び「オフ(2)」シナリオでの改質器204の運転との比率は、それぞれ48%及び68%であった。「オン(C)」シナリオでの改質器204の運転と、「オフ(1)」シナリオ及び「オフ(2)」シナリオでの改質器204の運転との比率は、それぞれ60%及び86%であった。
【0079】
「オフ(1)」及び「オフ(2)」の結果は、電解槽からの水素が利用できない場合でも、利用できない電解槽からの水素を補うために改質済みストリームの窒素含有量及び水素含有量を独立して制御することにより、アンモニア製造量を維持することができる一方で、電解から生成され、貯蔵された酸素を使用し、空気を使用する場合と比較して過剰な窒素のプロセスへの導入を回避できることを示している。さらに、この結果は、空気分離器からの酸素が無くても、アンモニア製造量を高出力レベルに維持できることを示している。
【0080】
実施例2:空気分離ユニットを使用しない酸素燃焼発電プラントを用いたアンモニア製造プロセス。
【0081】
このシミュレーションでは、電解槽は1日のうち1/3の時間だけ運転された。シミュレーションによって計算されたプロセスフローは、以下の表2にまとめられている。すべての値は質量基準であり、アンモニア最大出力の値を100としている。
【0082】
【表2】
【0083】
アンモニア製造ユニット210のフル稼働に対する稼働率は、「オン(1)」シナリオで100%、「オフ(1)」シナリオで100%、「オン(2)」シナリオで100%、「オフ(2)」シナリオで70%、「オン(3)」シナリオで100%、「オフ(C)」シナリオで70%であった。「オン(1)」シナリオでの改質器204の運転と、「オフ(1)」シナリオでの改質器204の運転との比率は48%であり、「オン(2)」シナリオでの改質器204の運転と、「オフ(2)」シナリオでの改質器204の運転との比率は68%であり、「オン(3)」シナリオでの改質器204の運転と、「オフ(C)」シナリオでの改質器204の運転との比率は68%であった。
【0084】
「オフ(1)」及び「オフ(2)」の結果は、実施例1と同様にアンモニア製造量を維持することができる一方で、利用可能な余剰酸素を利用して二酸化炭素を容易に捕捉することができる統合型の酸素燃焼プロセスにおいて電力を生成できること、を示している。
【0085】
(実施形態)
本明細書に記載の実施形態は、アンモニアの製造方法を提供する。本方法は、水を電気分解して、水素を含む第1の電解ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームとを生成することを含む。炭化水素を含む改質器供給ストリームと、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び窒素を含む改質済みストリームを生成するのに適した条件下で接触させる。前記改質済みストリームの少なくとも一部を、水素、二酸化炭素及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成するのに適した条件下で、水性ガスシフト触媒と接触させ、前記シフト反応後ストリームの少なくとも一部を分離して、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとを生成する。本方法は、水素及び窒素を含む前記アンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と任意選択で水素を含む前記第1の電解ストリームの少なくとも一部とを含むアンモニア製造混合物を反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成することを含む。
【0086】
一態様では、本方法は、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部を液化して液体酸素を生成することと、前記液体酸素を貯蔵することと、をさらに含む。一態様では、本方法は、貯蔵された前記液体酸素の少なくとも一部をガス化することをさらに含み、前記改質済みストリームを生成することが、前記改質器供給ストリームと前記酸化剤ストリームとを、前記ガス化された酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部と接触させることを含む。
【0087】
一態様では、本方法は、前記製造物ストリームの生成速度を、前記第1の電解ストリームの最大生成速度に対応する前記製造物ストリームの最大生成速度の少なくとも50%に維持するために、前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記ガス化された酸素の量と、前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記酸化剤ストリームの量と、前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記改質器供給ストリームの量との比率を選択することをさらに含む。一態様では、前記アンモニア製造混合物中に存在する水素と窒素とのモル比が、約2.5:1~約3.5:1である。一態様では、前記第1の電解ストリーム中に存在する水素及び前記シフト反応後ストリーム中に存在する水素の総量の、前記改質済みストリーム中に存在する窒素の総量に対するモル比が、少なくとも約2.5である。
【0088】
一態様では、本方法は、酸素を含む前記第2の電解ストリームの一部と可燃性燃料を含む燃料供給ストリームとを含む酸素-燃料燃焼混合物を燃焼させて、熱エネルギーを生成することと、前記熱エネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーに変換することと、前記酸素-燃料燃焼混合物の燃焼により生成される二酸化炭素の少なくとも一部を捕捉することと、をさらに含む。一態様では、本方法は、酸素を含む前記第2の電解ストリームの一部と可燃性燃料を含む燃料供給ストリームと超臨界二酸化炭素を含む圧縮二酸化炭素ストリームとを含む酸素-燃料燃焼混合物を燃焼させて高圧排気を生成することと、前記高圧排気を膨張させて電気エネルギーを生成することと、膨張した排気の少なくとも一部を圧縮して前記圧縮二酸化炭素ストリームを生成することと、をさらに含む。一態様では、本方法は、一酸化炭素を含む前記改質済みストリームの一部を分離して前記燃料供給ストリームを生成することをさらに含む。
【0089】
一態様では、前記改質器供給ストリームが、重質原料を含み、前記水性ガスシフト触媒が、硫黄耐性水性ガスシフト触媒を含み、前記捕捉済みストリームが、1つ以上の硫黄含有化合物をさらに含む。一態様では、本方法は、炭化水素を含む部分改質器供給ストリームと水蒸気とを、前記改質器供給ストリームを生成するのに適した条件下で部分改質触媒と接触させることをさらに含み、前記部分改質器供給ストリームの平均炭化水素鎖長が、前記改質器供給ストリームの平均炭化水素鎖長よりも長い。一態様では、本方法は、炭化水素及び硫黄含有不純物を含む精製供給ストリームと、水素を含む前記第1の電解ストリームの少なくとも一部とを、前記部分改質器供給ストリームを生成するのに適した条件下で水素化脱硫触媒と接触させることをさらに含み、前記精製供給ストリーム中に存在する前記硫黄含有不純物の量が、前記部分改質器供給ストリーム中に存在する前記硫黄含有不純物の量よりも多い。
【0090】
一態様では、前記第2の電解ストリームは、10重量%未満の水素を含む。一態様では、前記第2の電解ストリームは、水素を実質的に含まない。一態様では、前記電気分解は、再生可能エネルギーによって駆動される。
【0091】
一態様では、前記改質済みストリームを生成することが、前記改質器供給ストリームと、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む前記酸化剤ストリームと、水蒸気とを、自己熱改質触媒と接触させることを含む。一態様では、前記酸化剤ストリームが、空気を含む。一態様では、前記製造物ストリームを生成することが、アンモニアを生成するのに十分な条件下で、プロセス中に前記アンモニア製造混合物を接触させることを含む。
【0092】
本明細書に記載の実施形態は、アンモニアを製造するためのシステムを提供する。本システムは、水分を電気分解して、水素を含む第1の電解ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームとを生成するように構成された電解槽と、炭化水素を含む改質器供給ストリームと、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含む改質済みストリームを生成するのに適した条件下で接触させるように構成された改質器と、を含む。本システムは、前記改質済みストリームの少なくとも一部を、水素、二酸化炭素、及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成するのに適した条件下で、水性ガスシフト触媒と接触させるように構成された水性ガスシフト反応器と、前記シフト反応後ストリームの少なくとも一部を分離して、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとを生成するように構成された炭素捕捉ユニットと、を含む。本システムは、水素及び窒素を含む前記アンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と、任意選択で水素を含む前記第1の電解ストリームの少なくとも一部とを反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成するように構成されたアンモニア製造ユニットを含む。
【0093】
一態様では、本システムは、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部を液化して液体酸素を生成するように構成された酸素液化ユニットと、前記液体酸素を貯蔵する酸素貯蔵設備と、前記液体酸素の少なくとも一部をガス化し、ガス化された前記酸素を前記改質器に供給する酸素ガス化ユニットと、をさらに含む。一態様では、本システムは、前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記ガス化された酸素の量と、前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記酸化剤ストリームの量と、前記改質済みストリームを生成するために接触させる前記改質器供給ストリームの量との比率を選択することにより、前記製造物ストリームの生成速度を、前記第1の電解ストリームの最大生成速度に対応する前記製造物ストリームの最大生成速度の少なくとも50%に維持するように構成されて、前記製造物ストリームの生成速度を、前記第1の電解ストリームの最大生成速度に対応する前記製造物ストリームの最大生成速度の少なくとも50%に維持する。一態様では、本システムは、前記第1の電解ストリーム中に存在する水素及び前記シフト反応後ストリーム中に存在する水素の総量の、前記改質済みストリーム中に存在する窒素の総量に対するモル比を、少なくとも約2.5に維持するように構成される。
【0094】
一態様では、本システムは、酸素を含む前記第2の電解ストリームの一部と可燃性燃料を含む燃料供給ストリームとを含む酸素-燃料燃焼混合物を燃焼させて、熱エネルギーを生成し、前記熱エネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーに変換し、前記酸素-燃料燃焼混合物の燃焼により生成される二酸化炭素の少なくとも一部を捕捉するように構成された発電プラントをさらに含む。一態様では、本システムは、酸素を含む前記第2の電解ストリームの一部と可燃性燃料を含む燃料供給ストリームと超臨界二酸化炭素を含む圧縮二酸化炭素ストリームとを含む酸素-燃料燃焼混合物を燃焼させて高圧排気を生成し、前記高圧排気を膨張させて電気エネルギーを生成し、膨張した排気の少なくとも一部を圧縮して前記圧縮二酸化炭素ストリームを生成するように構成された発電プラントをさらに含む。一態様では、本システムは、一酸化炭素を含む前記改質済みストリームの一部を分離して前記燃料供給ストリームを生成するように構成された一酸化炭素分離ユニットをさらに含む。
【0095】
一態様では、本システムは、炭化水素を含む部分改質器供給ストリームと水蒸気とを、前記改質器供給ストリームを生成するのに適した条件下で部分改質触媒と接触させるように構成された予備改質器をさらに含み、前記部分改質器供給ストリームの平均炭化水素鎖長が、前記改質器供給ストリームの平均炭化水素鎖長よりも長い。一態様では、本システムは、炭化水素及び1つ以上の硫黄含有化合物を含む精製供給ストリームと、水素を含む前記第1の電解ストリームの少なくとも一部とを、前記部分改質器供給ストリームを生成するのに適した条件下で水素化脱硫触媒と接触させるように構成された精製ユニットをさらに含み、前記精製供給ストリーム中に存在する前記硫黄含有化合物の量が、前記部分改質器供給ストリーム中に存在する前記硫黄含有化合物の量よりも多い。一態様では、前記電解槽は、無隔膜電解槽である。
【0096】
本明細書に記載の実施形態は、システムを用いてアンモニアを製造する方法を提供する。システムは、水分を電気分解して、水素を含む第1の電解ストリームと、酸素を含む第2の電解ストリームとを生成するように構成された電解槽と、炭化水素を含む改質器供給ストリームと、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部と、酸素及び窒素を含む酸化剤ストリームとを、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含む改質済みストリームを生成するのに適した条件下で接触させるように構成された改質器と、前記改質済みストリームの少なくとも一部を、水素、二酸化炭素、及び窒素を含むシフト反応後ストリームを生成するのに適した条件下で、水性ガスシフト触媒と接触させるように構成された水性ガスシフト反応器と、前記シフト反応後ストリームの少なくとも一部を分離して、二酸化炭素を含む捕捉済みストリームと、水素及び窒素を含むアンモニア製造供給ストリームとを生成するように構成された炭素捕捉ユニットと、水素及び窒素を含む前記アンモニア製造供給ストリームの少なくとも一部と、任意選択で水素を含む前記第1の電解ストリームの少なくとも一部とを反応させて、アンモニアを含む製造物ストリームを生成するように構成されたアンモニア製造ユニットと、酸素を含む前記第2の電解ストリームの少なくとも一部を液化して液体酸素を生成するように構成された酸素液化ユニットと、前記液体酸素を貯蔵する酸素貯蔵設備と、前記液体酸素の少なくとも一部をガス化し、前記ガス化された酸素を前記改質器に供給するように構成された酸素ガス化ユニットと、を含む。本方法は、前記電解槽によって生成される前記第1の電解ストリームの量の減少を検知することと、次いで、前記改質器内で接触させる前記改質器供給ストリームの量を、前記改質器内で接触させる酸化剤ストリームの量に対して増加させることと、前記改質器内で接触させるガス化された酸素の量を、前記改質器内で接触させる前記酸化剤ストリームの量に対して増加させることと、を含む。接触させる前記改質器供給ストリームと接触させる前記ガス化された酸素の量を増加させた後には、前記第1の電解ストリーム中に存在する水素及び前記シフト反応後ストリーム中に存在する水素の総量の、前記改質済みストリーム中に存在する窒素の総量に対するモル比が、少なくとも約2.5となり、前記製造物ストリームの生成速度が、前記第1の電解ストリームの最大生成速度に対応する前記製造物ストリームの最大生成速度の少なくとも50%となる。
【0097】
他の実装形態もまた、以下の特許請求の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】