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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】多層配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20241121BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 B
H01L23/12 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535971
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 KR2022018851
(87)【国際公開番号】W WO2023113289
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0180548
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヨンジェ
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA43
5E316CC31
5E316CC32
5E316CC33
5E316CC38
5E316CC39
5E316DD23
5E316DD24
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE31
5E316FF07
5E316FF08
5E316FF09
5E316FF10
5E316FF13
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH07
5E316HH11
5E316HH16
5E316JJ02
(57)【要約】
一実施例に係る多層配線基板は、順次積層される複数の絶縁層と、前記絶縁層上に配置される配線パターンと、を含み、前記絶縁層は、少なくとも一つのビアホールを含み、前記ビアホールの内部には、伝導層が配置され、前記配線パターンと前記伝導層との間には、接合層が配置され、前記接合層は、CuxSnyの化学式を有する第1領域及び第2領域のうち少なくとも一つの領域を含み、前記第2領域のx/x+yの値は、前記第1領域のx/x+yの値よりも大きく、前記第2領域の体積または面積は、前記第1領域の体積または面積よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次積層される複数の絶縁層と、
前記絶縁層上に配置される配線パターンと、を含み、前記絶縁層は、少なくとも一つのビアホールを含み、前記ビアホールの内部には、伝導層が配置され、
前記配線パターンと前記伝導層との間には、接合層と、が配置され、
前記接合層は、CuxSnyの化学式を有する第1領域及び第2領域のうち少なくとも一つの領域を含み、
前記第2領域のx/x+yの値は、前記第1領域のx/x+yの値より大きく、
前記第2領域の体積または面積は、前記第1領域の体積または面積よりも大きい、多層配線基板。
【請求項2】
前記接合層は、前記第1領域に配置される第1層及び前記第2領域に配置される第2層を含み、
前記第1層は、CuSnの化学式を有する第1銅-錫合金であり、
前記第2層は、CuSnの化学式を有する第2銅-錫合金である、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記第2領域は、前記第1領域よりも前記配線パターンに近く配置される、請求項1または請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記接合層は、前記ビアホールと前記ビアホールの深さ方向に重なる重畳領域及び重ならない非重畳領域を含む、請求項1または請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記接合層は、前記伝導層と接触する接触領域及び接触しない非接触領域を含む、請求項1または請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記接合層は、前記ビアホールの内部に配置される内部領域及び前記ビアホールの外部に配置される外部領域を含む、請求項1または請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項7】
前記内部領域の厚さは、前記伝導層の厚さよりも小さい、請求項1または請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項8】
前記接合層の厚さは、1μm~4μmである、請求項1または請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項9】
前記接合層は、前記伝導層の側面と前記ビアホールの内側面との間に配置される、請求項1または請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項10】
前記絶縁層は、液晶高分子物質(liquid crystal polymer)を含む、請求項1または請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項11】
前記配線パターン及び前記伝導層は、銅(Cu)である、請求項1または請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項12】
前記接合層は、第2領域のみを含み、
前記第2領域は、CuSnの化学式を有する第2銅-錫合金を含む、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項13】
前記配線パターンと前記伝導層の融点は、前記絶縁層の融点よりも大きい、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項14】
前記接合層は、接合物質を含み、
前記接合物質の融点は、前記配線パターン及び前記伝導層の融点よりも小さい、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項15】
前記複数の絶縁層は、熱圧着方式により接着される、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項16】
前記配線パターンと前記伝導層とは、一体に形成される、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項17】
前記接合層は、前記第1領域に配置される第1層及び前記第2領域に配置される第2層を含み、
前記第2層の熱拡散率は、前記第1層の熱拡散率よりも大きい、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項18】
前記第2層の熱容量は、前記第1層の熱容量よりも大きい、請求項17に記載の多層配線基板。
【請求項19】
前記第2層の密度は、前記第1層の密度よりも大きい、請求項17に記載の多層配線基板。
【請求項20】
前記第2層の抵抗は、前記第1層の抵抗よりも小さい 請求項17に記載の多層配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は、多層配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
多層配線基板は、絶縁性基板に銅などの導電性物質で回路ラインパターンを形成したものである。多層配線基板とは、電子部品を搭載する直前の基板(Board)を意味する。
【0003】
前記多層配線基板上に実装される部品から発生する信号は、各部品と連結される配線パターンを介して移動され得る。
【0004】
このような多層配線基板は、配線パターンが形成された複数の絶縁性基板を熱圧着して製造され得る。即ち、多層配線基板は、複数の絶縁層を熱圧着して接着して形成することができる。
【0005】
前記多層配線基板は、互いに異なる絶縁層上に配置される配線パターンを電気的に連結するためにそれぞれの絶縁層に形成されるビアホールを含む。
【0006】
前記ビアホールの内部には、導電性物質が充填される。互いに異なる絶縁層上に配置される配線パターンは、前記導電性物質によって形成される伝導層を介して電気的に連結される。
【0007】
従来、前記ビアホールの内部に導電性ペーストを充填して伝導層を形成した。これにより、前記ビアホールは、導電性ペーストを充填するために設定された幅以上のサイズを有するべきであった。これにより、多層配線基板のサイズが増加した。
【0008】
また、前記導電性ペーストは、異種物質を含んでいた。これにより、前記ペーストが硬化して形成される伝導層の内部に空隙及びフラックス(Flux)が発生した。これにより、前記空隙及びフラックスによりビアホール内部の伝導層の機械的強度が減少した。
【0009】
また、異種物質を含む導電性ペーストは、熱圧着しながら異種物質の反応により複数の合金層が形成された。即ち、ビアホール内部の伝導層は、互いに組成比が異なる複数の合金を含んでいた。これにより、前記伝導層の電気的特性、熱的特性が減少し、配線パターンとの接着力が減少するという問題点があった。
【0010】
これにより、前記伝導層を含む多層配線基板の機械的特性、熱的特性、電気的特性が減少するという問題点があった。
【0011】
したがって、上記のような問題を解決できる新しい構造の多層配線基板が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
実施例は、向上した電気的特性、機械的特性、及び熱的特性を有する多層配線基板を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施例に係る多層配線基板は、順次積層される複数の絶縁層と、前記絶縁層上に配置される配線パターンと、を含み、前記絶縁層は、少なくとも一つのビアホールを含み、前記ビアホールの内部には、伝導層が配置され、前記配線パターンと前記伝導層との間には、接合層が配置され、前記接合層は、CuxSnyの化学式を有する第1領域及び第2領域のうち少なくとも一つの領域を含み、前記第2領域のx/x+yの値は、前記第1領域のx/x+yの値より大きく、前記第2領域の体積または面積は、前記第1領域の体積または面積よりも大きい。
【発明の効果】
【0014】
実施例に係る多層配線基板は、複数の配線パターンを連結するためのビアホールと、前記ビアホールの内部に配置される伝導層と、前記伝導層と配線パターンとの間の接合層と、を含む。
【0015】
前記接合層は、少なくとも一つの合金を含むことができる。詳細には、前記接合層は、CuxSnyの化学式を有する少なくとも一つの合金を含むことができる。
【0016】
このとき、前記接合層の合金の割合は、調節され得る。詳細には、前記接合層は、第1銅-錫合金及び第2銅-錫合金を含むことができる。前記接合層は、前記第1銅-錫合金を前記第2銅-錫合金に比べて多くの割合で含むことができる。これにより、前記接合層の熱的特性、電気的特性、機械的特性、及び金属との接着特性が向上し得る。
【0017】
したがって、実施例に係る多層配線基板は、前記接合層を介して配線パターンと伝導層との接着力を向上させることができる。また、前記接着層を介して向上した電気的特性、機械的特性、及び熱的特性を有することができる。
【0018】
また、前記接合層は、ビアホールの内部及び外部の両方に配置される。このとき、前記接合層の厚さは、前記ビアホール内部の伝導層の厚さよりも小さい。即ち、前記ビアホールの内部には、前記伝導層が前記接合層よりも多く配置される。
【0019】
したがって、前記ビアホール内部の電気的特性、機械的特性、及び熱的特性が低下することを防止することができる。
【0020】
また、前記接合層は、前記ビアホールの内部で前記伝導層の側面とビアホールの内側面との間に配置され得る。したがって、前記接合層は、前記ビアホール内部の伝導層を保護することができる。したがって、外部の衝撃がビアホール内部の伝導層に直接伝達されることを防止することができる。
【0021】
また、実施例に係る多層配線基板は、前記伝導層及び前記接合層がめっき方式及び熱圧着方式を通じてビアホールの内部に配置され得る。したがって、ペースト方式でビアホールの内部を充填することに比べてビアホールの直径が減少することができる。したがって、多層配線基板の全体的なサイズが減少し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例に係る多層配線基板の断面図を示す図である。
図2】実施例に係る多層配線基板の接合工程を説明するための図である。
図3図1のA領域の拡大図を示す図である。
図4図3のC領域の拡大図を示す図である。
図5図3のC領域の拡大図を示す図である。
図6】実施例に係る多層配線基板の接合層の組成及び組成比の変化を説明するための図である。
図7】実施例に係る多層配線基板の接合層内部の合格層の特性を説明するための表である。
図8図1のB領域の拡大図を示す図である。
図9図1のB領域の拡大図を示す図である。
図10図1のB領域の拡大図を示す図である。
図11図1のB領域の拡大図を示す図である。
図12】実施例に係る接合層の光学写真を示す図である。
図13】それぞれ実施例及び比較例に係る接合層の結晶粒度(grain size)サイズの分布を説明するための図である。
図14】それぞれ実施例及び比較例に係る接合層の結晶粒度(grain size)サイズの分布を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。但し、本発明の技術思想は、説明される一部の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現され、本発明の技術思想の範囲内であれば、実施例間のその構成要素のうち一つ以上を選択的に結合、置換して使用することができる。
【0024】
また、本発明の実施例で使用される用語(技術及び科学的用語を含む)は、明らかに特別に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者に一般的に理解される意味として解釈することができ、事前に定義された用語のように一般的に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味を考慮して、その意味を解釈できるであろう。
【0025】
また、本発明の実施例で使用される用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。本明細書において、単数形は、フレーズで特に言及しない限り、複数形も含むことができ、「A及び(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または一つ以上)」に記載される場合、A、B、Cに結合できるすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0026】
また、本発明の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いることができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0027】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接的に連結、結合または連結される場合のみならず、その構成要素とその他の構成要素との間にある別の構成要素によって「接続」、「結合」または「接続」される場合も含むことができる。
【0028】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されることが記載される場合には、上(うえ)または下(した)は、二つの構成要素が互いに直接接触される場合のみならず、一つ以上の別の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。
【0029】
また、「上(うえ)または下(した)」で表現される場合、一つの構成要素を基準に上方向のみならず、下側方向の意味も含むことができる。
【0030】
以下、図面を参照して、実施例に係る多層配線基板について説明する。以下に説明する多層配線基板は、リジッド多層配線基板またはフレキシブル多層配線基板を含むことができる。また、前記多層配線基板は、アンテナ基板であり得る。
【0031】
図1を参照すると、実施例に係る多層配線基板1000は、絶縁層100及び前記配線パターン200を含む。
【0032】
前記絶縁層100は、絶縁物質を含む。即ち、前記絶縁層100は、導電性を有さない絶縁基板である。
【0033】
前記絶縁層100は、前記配線パターン200を支持する。詳細には、前記配線パターン200は、前記絶縁層100の一面及び他面のうち少なくとも一つの面上に配置される。即ち、前記絶縁層100は、前記配線パターン200を支持する支持基板である。
【0034】
前記多層配線基板1000は、複数の絶縁層100を含む。例えば、前記多層配線基板1000は、第1絶縁層110、前記第1絶縁層110上の第2絶縁層120、前記第2絶縁層120上の第3絶縁層130、前記第3絶縁層130上の第4絶縁層140、及び前記第4絶縁層140上の第5絶縁層150を含むことができる。
【0035】
しかし、実施例はこれに限定されない、即ち、前記多層配線基板1000は、5つ未満の絶縁層を含むことができる。または、前記多層配線基板1000は、5つ以上の絶縁層を含むことができる。以下では、説明の便宜上、前記多層配線基板1000が前記第1絶縁層110、前記第2絶縁層120、前記第3絶縁層130、前記第4絶縁層140、及び前記第5絶縁層150を含むものとして説明する。
【0036】
前記第1絶縁層110、前記第2絶縁層120、前記第3絶縁層130、前記第4絶縁層140、及び前記第5絶縁層150は、順次積層されて配置される。
【0037】
前記絶縁層100は、部分的に曲面を有して曲がることがある。即ち、前記絶縁層100は、部分的に平面を有し、部分的には曲面を有して曲がることがある。詳細には、前記絶縁層100の終端は、曲面を有して曲がることがある。または、前記絶縁層100は、ランダムな曲率を含む表面を有して曲がることがある。
【0038】
また、前記絶縁層100は、フレキシブル(flexible)絶縁層であり得る。また、前記絶縁層100は、湾曲(curved)または折り曲げ(bended)基板であり得る。
【0039】
即ち、前記絶縁層100を含む多層配線基板は、フレキシブル多層配線基板を含むことができる。
【0040】
前記絶縁層100は、樹脂物質を含むことができる。例えば、前記絶縁層100は、温度に応じて物理的特性が変化する樹脂物質を含むことができる。詳細には、前記絶縁層100は、熱可塑性樹脂を含む。
【0041】
一例として、前記絶縁層100は、液晶高分子物質(liquid crystal polymer)を含むことができる。
【0042】
前記液晶高分子物質は、液体状態と固体状態の両方の特性を有する物質である。即ち、液晶高分子物質は、液体状態でも固体状態のように規則的な結晶配向を有する。
【0043】
したがって、前記絶縁層100が液晶高分子物質(liquid crystal polymer)を含むので、多層配線基板の耐熱性を向上させることができる。また、素材の誘電率による信号損失を減少させることができるので、多層配線基板の信号伝達特性を向上させることができる。
【0044】
前記絶縁層100は、設定された範囲の厚さを有する。詳細には、前記絶縁層100は、150μm以下の厚さ、25μm~150μmの厚さ、または50μm~100μmの厚さを有することができる。
【0045】
前記絶縁層100の厚さT2が25μm未満の場合、前記絶縁層100が配線パターン200を十分に支持しにくく、多層配線基板の全体的な強度が低下することがある。また、前記絶縁層100の厚さが150μmを超える場合、前記絶縁層100の厚さの増加によりビアホールV形成工程時間が長くなり、多層配線基板の全体的なサイズが増加することがある。 。
【0046】
前記配線パターン200は、前記絶縁層100上に配置される。詳細には、前記配線パターン200は、前記絶縁層100の一面及び他面のうち少なくとも一つの面上に配置される。
【0047】
前記配線パターン200は、前記絶縁層100と直接接触することがある。即ち、前記絶縁層100と前記配線パターン200との間には、別の接着層が配置されていない。これにより、前記多層配線基板1000の全体的な厚さが減少する。
【0048】
前記配線パターン200は、前記多層配線基板1000の電気信号を伝達する経路である。即ち、前記多層配線基板1000は、前記配線パターン200を介して前記多層配線基板1000と連結される他の部材に電気信号を伝達することができる。または、前記多層配線基板1000は、前記配線パターン200を介して他の部材から発生する電気信号を伝達され得る。
【0049】
これにより、前記配線パターン200は、導電性の高い物質を含むことができる。詳細には、前記配線パターン200は、金属を含むことができる。例えば、前記配線パターン200は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、チタン(Ti)、錫(Sn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、及びそれらの合金のうち少なくとも一つの金属を含むことができる。好ましくは、前記配線パターン200は、銅(Cu)を含む。言い換えれば、前記配線パターン200は、銅(Cu)である。
【0050】
前記配線パターン200は、通常の印刷多層配線基板の製造工程であるアダプティブ工法(Additive process)、サブトレクティブ工法(Subtractive Process)、MSAP(Modified Semi Additive Process)、またはSAP(Semi Additive Process)工程を通じて前記絶縁層100上に配置され得る。
【0051】
前記配線パターン200は、設定された範囲の線幅及び厚さを有する。詳細には、前記配線パターン200は、40μm~150μmの線幅を有することができる。より詳細には、前記配線パターン200は、70μm~120μmの線幅を有することができる。
【0052】
前記配線パターン200の線幅を40μm未満にする場合、工程効率が低下することがある。また、前記配線パターン200の線幅が150μmを超える場合、前記多層配線基板のサイズが増加し得る。
【0053】
また、前記配線パターン200は、15μm以下の厚さを有することができる。より詳細には、前記配線パターン200は、10μm~15μmの厚さを有することができる。より詳細には、前記配線パターン200は、11μm~14μmの厚さを有することができる。
【0054】
前記配線パターン200の厚さT3が10μm未満の場合、前記配線パターン200の電気的特性が減少することがある。また、前記配線パターン200の厚さが15μmを超える場合、多層配線基板のサイズが増加することがある。
【0055】
前記絶縁層100は、少なくとも一つのビアホールVを含む。詳細には、前記第1絶縁層110、前記第2絶縁層120、前記第3絶縁層130、前記第4絶縁層140、及び前記第5絶縁層150のうち少なくとも一つの絶縁層は、少なくとも一つのビアホールVを含むことができる。
【0056】
前記ビアホールVは、前記絶縁層100を貫通して形成される。また、前記ビアホールVの内部には、伝導層600が配置される。詳細には、前記ビアホールVの内部には、導電性物質を含む伝導層600が配置される。前記ビアホールV及び前記伝導層600を介して互いに異なる絶縁層上に配置される配線パターンは、電気的に連結される。
【0057】
前記伝導層600は、導電性物質を含む。詳細には、前記伝導層600は、金属を含む。例えば、前記伝導層600は、銅(Cu)、銀(Ag)、錫(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及びこれらの合金のうち少なくとも一つの金属を含むことができる。好ましくは、前記伝導層600は、銅(Cu)を含む。即ち、前記伝導層600は、銅(Cu)である。
【0058】
前記伝導層600は、無電解めっき、電解めっき、スクリーン印刷(Screen Printing)、スパッタリング(Sputtering)、または蒸発法(Evaporation)を用いて前記ビアホールVの内部に配置され得る。好ましくは、前記伝導層600は、無電解めっきまたは電解めっきの方式で前記ビアホールVの内部に配置される。
【0059】
前記多層配線基板1000の上部及び下部には、それぞれパッド部が配置される。詳細には、前記多層配線基板1000の上部には、第1パッド部310が配置される。また、前記多層配線基板1000の下部には、第2パッド部320が配置される。
【0060】
例えば、第1パッド部310は、前記多層配線基板1000の最上部絶縁層である前記第5絶縁層150の上部に配置される。前記第1パッド部310は、前記第5絶縁層150上に少なくとも一つ以上配置され得る。前記第1パッド部310のうち少なくとも一つの第1パッド部は、信号伝達のためのパターンの役割を果たすことができる。また、少なくとも一つの他の第1パッド部は、前記多層配線基板1000と連結される電子部品500とを連結するためのインナーリードの役割を果たすことができる。
【0061】
また、前記第2パッド部320は、前記多層配線基板1000の最下部絶縁層である前記第1絶縁層110の下部に配置され得る。前記第2パッド部320のうち少なくとも一つの第2パッド部は、信号伝達のためのパターンの役割を果たすことができる。また、前記第2パッド部320のうち少なくとも一つの他の第2パッド部は、外部基板との連結のためのアウターリードの役割を果たすことができる。
【0062】
また、前記多層配線基板1000の最上部絶縁層と最下部絶縁層には、それぞれ保護層160、170が配置される。
【0063】
一方、前記多層配線基板1000と連結される前記電子部品500は、素子やチップをすべて含むことができる。結論として、前記電子部品5000は、半導体チップ、発光ダイオードチップ、及び他の駆動チップをすべて含む。
【0064】
前述したように、前記多層配線基板1000は、配線パターンが形成される複数の絶縁層が積層されて形成される。詳細には、前記絶縁層は、設定された温度範囲で熱圧着を通じて接着される。詳細には、複数の絶縁層110、120、130、140、150は、設定された範囲の温度で熱圧着工程を通じて互いに接着される。
【0065】
例えば、図2を参照すると、複数の絶縁層110、120、130、140、150のそれぞれには、配線パターン200及びビアホールVが形成される。また、前記ビアホールVの内部には、伝導層600が配置される。また、前記配線パターン200及び前記ビアホールVが形成された複数の絶縁層110、120、130、140、150は、設定された温度範囲で熱圧着工程を通じて互いに接着され得る。
【0066】
前記伝導層600は、前記配線パターン200を形成する工程と同時に形成され得る。即ち、前記伝導層600は、めっき工程を通じて前記ビアホールの内部に配置される。
【0067】
前記熱圧着工程は、前記絶縁層110、120、130、140、150の融点以上の温度で行われ得る。即ち、前記絶縁層110、120、130、140、150の融点以上の温度で、前記絶縁層110、120、130、140、150が溶融する。続いて、溶融した前記絶縁層110、120、130、140、150は、互いに接着される。
【0068】
このとき、互いに異なる絶縁層上に配置される配線パターン200は、前記ビアホールV内部の伝導層600を介して電気的に連結される。即ち、前記複数の絶縁層110、120、130、140、150上で前記ビアホールVが形成される領域は、他の領域とは異なり、配線パターン200の金属物質と伝導層600の金属物質とが接着される領域である。
【0069】
しかし、前記配線パターン200の金属物質の融点は、前記絶縁層の融点よりも大きい。これにより、前記伝導層600と前記配線パターン200とが同じ銅金属を含む場合、前記絶縁層の溶融温度で前記伝導層600と前記配線パターン200とが溶融しない。これにより、前記伝導層600と前記配線パターン200とは、互いに接着されないことがある。
【0070】
したがって、前記伝導層600と前記配線パターン200との間には、前記接合物質770が配置され得る。接合物質770は、めっき工程を通じて前記伝導層600上に配置される。
【0071】
前記接合物質770は、前記配線パターン200及び前記伝導層600よりも融点が低い金属物質を含む。したがって、前記絶縁層の融点に近い温度で熱圧着工程を行っても、前記ビアホール内部の伝導層と配線パターンとは、前記接合物質770を介して接着され得る。
【0072】
一方、前記接合物質770は、溶融しながら前記接合物質770の金属物質、前記配線パターン200の金属物質、及び前記伝導層600の金属物質の反応により合金が形成され得る。
【0073】
このような合格は、組成に応じて多様な電気的特性、熱的特性、機械的特性を有することができる。これにより、前記合金の組成によって、前記伝導層と配線パターンとの接着特性、前記多層配線基板の電気的特性、熱的特性、及び機械的特性が変わる。
【0074】
したがって、以下では、前記伝導層600と前記配線パターン200との間の接合物質770によって形成される接合層の組成比を調節し、これにより向上した電気的特性、熱的特性、及び機械的特性を有する多層配線基板について説明する。
【0075】
図3は、図1のA領域を拡大した図である。即ち、図3は、多層配線基板のビアホールが形成される領域を拡大した図である。
【0076】
図3を参照すると、前記絶縁層100の内部には、伝導層600が配置される。詳細には、前記絶縁層100には、複数のビアホールVが形成され、前記伝導層600は、前記ビアホールVの内部に配置される。
【0077】
前記第4絶縁層140を基準に、前記伝導層600の上部面及び下部面には、それぞれ配線パターン200が配置される。例えば、前記伝導層600の下部面には、第1配線パターン210が配置され、前記伝導層600の上部面には、第2配線パターン220が配置される。前記第1配線パターン210は、前記第3絶縁層130上に配置される配線パターンであり、前記第2配線パターン220は、前記第4絶縁層140上に配置される配線パターンである。
【0078】
互いに異なる絶縁層上に配置される前記第1配線パターン210及び前記第2配線パターン220は、前記ビアホールVの内部に配置される伝導層600を介して電気的に連結される。
【0079】
前記伝導層600と前記第1配線パターン210は、同一工程により同時に形成される。即ち、前記ビアホールV内部の伝導層600と前記第4絶縁層140上に配置される第1配線パターン210とは、めっき工程によって同時に形成される。これにより、前記伝導層600と前記第1配線パターン210とは、一体に形成される。
【0080】
前記伝導層600と前記第5絶縁層150上の第2配線パターン220との間には、接合層700が配置される。詳細には、前記ビアホールV内部の伝導層600と前記第2配線パターン220との間には、前記接合物質770によって形成される接合層700が配置される。
【0081】
前記接合層700は、ビアホールVの上部に配置される。詳細には、前記接合層700は、前記ビアホールVで直径が大きいビアホールVの上部に配置される。
【0082】
前記配線パターン210、220、前記伝導層600、及び前記接合層700は、互いに異なる物質を含むことができる。詳細には、前記配線パターン210、220、前記伝導層600、及び前記接合層700は、互いに異なる金属物質を含むことができる。
【0083】
例えば、前記配線パターン210、220と前記伝導層600は、同じ金属物質を含む。また、前記接合層700は、前記配線パターン210及び前記伝導層600のうち少なくとも一つと異なる金属物質を含む。
【0084】
前記接合層700は、第1領域1A及び第2領域2Aを含む。詳細には、前記接着層700は、前記ビアホールVの深さ方向に境界を形成する第1領域1Aおよ第2領域2Aを含む。前記第2領域2Aは、前記第1領域1Aの上部及び下部に配置される。これにより、前記第1領域1Aは、前記第2領域2A間に配置される。
【0085】
前記第2領域2Aは、前記第1領域1Aよりも前記配線パターン200に近かく配置される。また、前記第2領域2Aは、前記第1領域1Aと配線パターン200との間に配置される。
【0086】
前記接合層700の第1領域1Aと第2領域2Aには、合金が配置される。詳細には、前記接合層700の第1領域1Aと第2領域2Aとには、同じ組成を有する合金が配置される。また、前記接合層700の第1領域1Aと第2領域2Aには、同じ組成比を有する合金が配置される。また、前記接合層700の第1領域1Aと第2領域2Aには、異なる組成比を有する合金が配置される。
【0087】
図4及び図5は、前記接合層の拡大図を示す図である。
【0088】
図4を参照すると、前記接合層700は、第1領域1Aと第2領域2Aが定義される。前記第1領域1Aと前記第2領域2Aには、それぞれ合金が配置される。詳細には、前記第1領域1Aと前記第2領域2Aには、同じ組成を有し、異なる組成比を有する合金が配置される。例えば、前記第1領域1Aには、第1合金701が配置され、前記第2領域2Aには、第2合金702が配置される。
【0089】
例えば、前記第1領域1A及び前記第2領域2Aには、CuxSnyの化学式を有する合金が配置される。このとき、x+yは、0<x+y<12、または、x+yは、4≦x+y≦11を満たす。
【0090】
即ち、前記第1領域1Aには、第1銅-錫合金が配置される。また、前記第2領域2Aには、第2銅-錫合金が配置される。前記第1銅-錫合金と前記第2銅-錫合金は、互いに異なる組成比を有する。詳細には、第2銅-錫合金のx/x+yの値は、前記第1銅-錫合金のx/x+yの値よりも大きい。言い換えれば、前記第2銅-錫合金の銅比率は、前記第1銅-錫合金の銅比率よりも大きい。
【0091】
一例として、前記第1銅-錫合金は、CuSnの化学式を有し、前記第2銅-錫合金は、CuSnの化学式を有する。即ち、前記第1領域1Aには、CuSnの化学式を有する第1銅-錫合金が配置され、前記第2領域2Aには、CuSnの化学式を有する第2銅-錫合金が配置される。
【0092】
したがって、前記配線パターン200に近い領域には、CuSnの化学式を有する第2銅-錫合金が配置され、前記配線パターン200と遠い領域には、CuSnの化学式を有する第1銅銅-錫合金が配置される。
【0093】
これにより、前記接合層700は、前記第1領域1Aから第2領域OA方向に延びながら銅の量が増加する。また、前記接合層700は、前記第2領域2Aから前記第1領域1A方向に延びながら錫の量が増加する。
【0094】
前記第1領域1Aと前記第2領域2Aとは、互いに異なるサイズで配置される。例えば、前記第1領域1Aと前記第2領域2Aとは、互いに異なる体積で配置される。または、前記第1領域1Aと前記第2領域2Aとは、互いに異なる面積で配置される。
【0095】
詳細には、前記第2領域2Aの体積または面積は、前記第1領域1Aの体積または面積よりも大きい。
【0096】
詳細には、前記第1領域1A及び前記第2領域2Aの体積全体を100%としたとき、前記第2領域2Aの体積は、前記第1領域1Aの体積よりも大きい。例えば、前記第2領域2Aは、50%を超える体積を有することができる。より詳細には、前記第2領域2Aは、50%~100%未満の体積を有することができる。好ましくは、前記第2領域2Aは、90%以上の体積を有する。より好ましくは、前記第2領域2Aは、95%以上の体積を有する。
【0097】
さらに、前記第1領域1Aは、50%未満の体積を有することができる。より詳細には、前記第1領域1Aは、0%超~50%未満の体積を有することができる。好ましくは、前記第1領域1Aは、10%以下の体積を有する。より好ましくは、前記第1領域1Aは、5%以下の体積を有する。
【0098】
または、前記第1領域1A及び前記第2領域2Aの面積全体を100%としたとき、前記第2領域2Aの面積は、前記第1領域1Aの面積よりも大きい。例えば、前記第2領域2Aは、50%を超える面積を有することができる。より詳細には、前記第2領域2Aは、50%~100%未満の面積を有することができる。好ましくは、前記第2領域2Aは、90%以上の面積を有する。より好ましくは、前記第2領域2Aは、95%以上の面積を有する。
【0099】
また、前記第1領域1Aは、50%未満の面積を有することができる。より詳細には、前記第1領域1Aは、0%超~50%未満の面積を有することができる。好ましくは、前記第1領域1Aは、10%以下の面積を有する。より好ましくは、前記第1領域1Aは、5%以下の面積を有する。
【0100】
一方、図5を参照すると、前記接合層700は、一つの領域のみを含むことができる。詳細には、前記接合層700は、単一の組成及び組成比を有する合金が配置される一つの領域を含むことができる。即ち、前記接合層700は、前述した第2領域2Aのみを含む。
【0101】
即ち、前記接合層700は、CuxSnyの化学式を有する第2合金702のみを含む。即ち、前記接合層700は、CuSnの化学式を有する第2銅-錫合金のみを含む。
【0102】
図6は、前記接合層の組成及び組成比の変化を説明するための図である。
【0103】
図6(a)を参照すると、複数の絶縁層を熱圧着する前の接合層700は、単一組成の金属を含む。例えば、熱圧着前の接合層700は、第1金属層750を含む。一例として、前記第1金属層750は、錫Snである。
【0104】
図6(b)~図6(d)は、熱圧着工程中の前記接合層700の組成及び組成比の変化を説明するための図である。
【0105】
図6(b)を参照すると、熱圧着工程の初期には、前記第1金属層750の組成及び組成比が多様に変化することがある。詳細には、前記第1金属層750は、配線パターン200及び伝導層600と反応して複数の合金が形成される。これにより、前記接合層700は、前記第1金属層750及び複数の合金を含むことができる。
【0106】
詳細には、前記第1金属層750と前記配線パターン200との間の領域及び前記第1金属層750と前記伝導層600との間の領域には、CuxSnyの化学式を有する第1合金層761及び第2合金層762が形成される。より詳細には、前記第1合金層761は、前記第2合金層762の間に形成される。また、前記第2合金層762は、前記第1合金層761と前記配線パターン200との間の領域及び前記第1合金層761と前記伝導層600との間の領域に形成される。
【0107】
前記第1合金層761及び前記第2合金層762は、互いに同じ組成を有する。また、前記第1合金層761及び前記第2合金層762は、互いに異なる組成比を有する。例えば、前記第1合金層761及び前記第2合金層762のx値のサイズとy値のサイズは、異なる。
【0108】
例えば、第1合金層761は、CuSnの化学式を有することができ、前記第2合金層762は、CuSnの化学式を有することができる。
【0109】
また、前記第1合金層761及び前記第2合金層762のサイズは、異なってもよい。詳細には、前記第1合金層761の体積または面積は、前記第2合金層762の体積または面積よりも大きい。
【0110】
続いて、図6(c)を参照すると、熱圧着工程中期には、前記第1合金層761及び前記第2合金層762のサイズが変化する。
【0111】
詳細には、図6(c)を参照すると、熱圧着工程中期には、前記接合層700内に拡散する銅の量が増加する。これにより、前記第2合格層762の体積または面積が前記第1合金層761の体積または面積以上となり得る。
【0112】
続いて、図6(d)を参照すると、熱圧着工程の末期には、前記第1合金層761及び前記第2合金層762のサイズが変化する。
【0113】
詳細には、図6(d)を参照すると、熱圧着工程の末期には、前記接合層700の内部に拡散する銅の量が増加する。これにより、前記第2合格層762の体積または面積が前記第1合金層761の体積または面積よりも大きくなる。
【0114】
即ち、前記第2合金層762の体積または面積は、前記第1合金層761の体積または面積よりも大きくなるように変化する。
【0115】
したがって、前記接合層700は、前記第2合金層762の体積または面積が前記第1合金層761の体積または面積よりも大きくなるように変化することがある。または、前記接合層700は、前記第2合金層762のみを含むように変化することがある。
【0116】
即ち、前記第1合金層761及び前記第2合金層762は、それぞれ前述した図4の第1合金701及び前記第2合金702と対応することができる。
【0117】
図7は、互いに異なる組成を有する合金層の特性を説明するための表である。
【0118】
図7を参照すると、前記接合層700の第1領域1A及び第2領域2Aに配置される第1合金701及び第2合金702は、互いに異なる物理特性を有する。即ち、前記第1合金701及び前記第2合金702は、互いに異なる組成比を有するので、互いに異なる物理特性を有する。
【0119】
詳細には、前記第2合金702の熱拡散率(thermal diffusivity)は、前記第1合金701の熱拡散率よりも大きい。また、前記第2合金702の熱容量(heat capacity)は、前記第1合金701の熱容量よりも大きい。また、前記第2合金702の熱伝導度は、第1合金701の熱伝導度 thermal conductivity)よりも大きい。
【0120】
これにより、前記第2領域2Aは、前記第1領域1Aに比べて向上した熱的特性を有する。即ち、前記接合層700は、前記第2領域2Aを前記第1領域1Aよりも多い割合で含むので、熱的特性が向上する。したがって、前記接合層700を含む前記多層配線基板100は、向上した熱的特性を有する。
【0121】
また、前記第2合金702の密度は、前記第1合金701の密度よりも大きい。したがって、前記第2領域2Aは、前記第1領域1Aに比べて向上した強度を有する。即ち、前記第2領域2Aは、前記第1領域1Aに比べて向上した機械的特性を有する。したがって、前記接合層700は、前記第2領域2Aを前記第1領域1Aよりも多い割合で含むので、機械的特性が向上する。したがって、前記接合層700を含む多層配線基板100は、向上した機械的特性を有する。
【0122】
また、前記第2合金702の抵抗は、前記第1合金701の抵抗よりも小さい。したがって、前記第2領域2Aは、前記第1領域1Aに比べて向上した電気特性を有する。即ち、前記接合層700は、前記第2領域2Aを前記第1領域1Aよりも多い割合で含むので、電気的特性が向上する。したがって、前記接合層700を含む前記多層配線基板100は、向上した電気的特性を有する。
【0123】
以下、図8図11を参照して、実施例に係る多層配線基板の接合層の配置について詳細に説明する。
【0124】
図8図10を参照すると、前記接合層700は、前記配線パターン200と前記伝導層600との間に配置される。
【0125】
詳細には、前記接合層700は、前記ビアホールV、前記ビアホールVの長手方向に重なる重畳領域OLA、及び前記ビアホールと重ならない非重畳領域NOLAを含む。より詳細には、前記接合層700は、前記伝導層600と接触する接触領域CA及び前記伝導層700と接触しない非接触領域NCAを含む。
【0126】
前記接合層700の厚さは、前記絶縁層100の厚さとは異なる。また、前記接合層700の厚さは、前記配線パターン700の厚さとは異なる。また、前記接合層700の厚さは、前記伝導層600の厚さとは異なる。
【0127】
詳細には、前記接合層700の厚さT1は、前記絶縁層100の厚さよりも小さい。また、前記接合層700の厚さT1は、前記配線パターン200の厚さよりも小さい。ここで、前記接合層700の厚さT1は、前記接合層の最大厚さと定義される。
【0128】
例えば、前記接合層700の厚さT1は、前記絶縁層100の厚さに対して1%~20%であり得る。また、前記接合層700の厚さT1は、前記配線パターン200の厚さに対して5%~25%であり得る。
【0129】
例えば、前記接合層700の厚さT1は、1μm以上であり得る。詳細には、前記接合層700の厚さT1は、1μm~4μmであり得る。より詳細には、前記接合層700の厚さT1は、1μm~3μmであり得る。より詳細には、前記接合層700の厚さT1は、1.5μm~2μmであり得る。
【0130】
前記接合層700の厚さT1が1μm未満の場合、前記接合層700の表面に形成される表面粗さによって前記接合層700の内部にボイド(void)が形成され得る。これにより、前記接合層700の信頼性が低下することがある。
【0131】
また、前記接合層700の厚さT1が1μm未満の場合、前記配線パターン700と前記接合層700との接着力が減少することがある。
【0132】
前記接合層700は、前記ビアホールVの内部に配置さる。また、前記接合層700は、前記ビアホールVの外部に配置される。即ち、前記接合層700は、前記ビアホールVの内部及び外部の両方に配置される。
【0133】
図8図10を参照すると、前記接合層700は、前記ビアホールVの内部に配置される内部領域IA及び前記ビアホールVの外部に配置される外部領域OAを含む。前記内部領域IAは、前記ビアホールVの内部で前記伝導層600と接触して配置される。また、前記外部領域OAは、前記ビアホールVの外部で前記配線パターン200と接触して配置される。
【0134】
前記内部領域IA及び外部領域OAは、互いに異なる厚さに配置され得る。例えば、図8に示すように、前記内部領域IAの厚さは、前記外部領域OAの厚さよりも大きくてもよい。詳細には、前記接合層700は、前記ビアホールVの内部に配置される厚さが前記ビアホールVの外部に配置される厚さよりも大きくてもよい。
【0135】
または、図9に示すように、前記内部領域IAの厚さは、前記外部領域OAの厚さよりも小さくてもよい。詳細には、前記接合層700は、前記ビアホールVの内部に配置される厚さが前記ビアホールVの外部に配置される厚さよりも小さくてもよい。
【0136】
または、前記内部領域IA及び前記外部領域OAは、互いに同一または類似の厚さに配置され得る。例えば、図10に示すように、前記内部領域IAの厚さと前記外部領域OAの厚さとは、許容範囲内で同じでもよい。詳細には、前記接合層700は、前記ビアホールVの内部に配置される厚さと前記ビアホールVの外部に配置される厚さとは、許容範囲内で同じでもよい。
【0137】
前記接合層700は、前記ビアホールVの内部にも配置されるので、前記ビアホールVの内部には、2つの層が配置され得る。即ち、前記ビアホールVの内部には、前記伝導層600と前記接合層700が配置される。
【0138】
前記ビアホールVの内部では、前記伝導層600と前記接合層700とは、異なる厚さに配置される。詳細には、前記ビアホールVの内部で前記伝導層600の厚さは、前記接合層700の厚さよりも大きい。より詳細には、前記ビアホールV内で前記接合層700の厚さは、前記伝導層600の厚さの3%~10%である。
【0139】
したがって、前記ビアホールVの内部には、電気導電性及び熱伝導性が相対的により高い前記伝導層600が前記接合層700よりも多く配置される。これにより、前記ビアホールVの伝導層600を介して熱放出効果及び前記配線パターンの連結特性を向上させることができる。
【0140】
図11及び図12を参照すると、前記接合層700は、前記伝導層600の側面上に配置され得る。詳細には、前記接合層700は、前記伝導層600の側面と接触して配置され得る。より詳細には、前記接合層700は、前記伝導層600の側面と前記ビアホールVの内側面との間に配置され得る。
【0141】
前記絶縁層100を熱圧着する工程により、前記接合層700は、溶融する。溶融する前記接合層700は、前記伝導層600の側面と前記ビアホールVの内側面との間に移動され得る。これにより、前記接合層700は、前記伝導層600の側面と前記ビアホールVの内側面との間にも配置され得る。
【0142】
これにより、前記ビアホールV内部の伝導層600の損傷を防止することができる。即ち、前記伝導層600の側面と前記ビアホールVの内側面との間に追加層がさらに配置される。これにより、前記ビアホールV内部の伝導層600に外部衝撃が直接伝達されることを防止することができる。即ち、前記接合層700は、前記伝導層600を保護するバッファ層の役割を果たすことができる。
【0143】
図13及び図14は、実施例及び比較例に係る接合層の結晶粒度サイズを示す図である。詳細には、図13は、前述した接合層の結晶粒度分布を示すグラフであり、図14は、前記ビアホールの内部に銅-錫ペースト充填して硬化させた伝導層の結晶粒度分布を示すグラフである。
【0144】
図13及び図14を参照すると、接合物質をめっきし、熱圧着工程により形成される接合層の結晶粒度は、銅-錫ペーストをビアホールの内部に充填して形成した伝導層の結晶粒度とは異なることが分かる。
【0145】
即ち、図13を参照すると、実施例に係る接合層は、結晶粒度の分布が非常に広いことが分かる。一方、図14を参照すると、比較例による伝導層は、結晶粒度の分布が非常に狭いことが分かる。
【0146】
即ち、実施例に係る接合層は、ビアホールの内部に配置される銅金属の伝導層と同様の結晶粒度分布を有する接合層が配置されることが分かる。
【0147】
実施例に係る多層配線基板は、複数の配線パターンを連結するためのビアホール、前記ビアホールの内部に配置される伝導層、及び前記伝導層と配線パターンとの間の接合層を含む。
【0148】
前記接合層は、少なくとも一つの合金を含むことができる。詳細には、前記接合層は、CuxSnyの化学式を有する少なくとも一つの合金を含むことができる。
【0149】
このとき、前記接合層の合金の割合は、調節され得る。詳細には、前記接合層は、第1銅-錫合金及び第2銅-錫合金を含むことができる。前記接合層は、前記第1銅-錫合金を第2銅-錫合金に比べて多くの割合で含むことができる。これにより、前記接合層の熱的特性、電気特性、機械的特性、及び金属との接着特性が向上し得る。
【0150】
したがって、実施例に係る多層配線基板は、前記接合層を通じて配線パターンと伝導層との接着力を向上させることができる。また、前記接着層を通じて向上した電気的特性、機械的特性、及び熱的特性を有することができる。
【0151】
また、前記接合層は、前記ビアホールの内部及び外部の両方に配置される。このとき、前記接合層の厚さは、前記ビアホール内部の伝導層の厚さよりも小さい。即ち、前記ビアホールの内部には、前記伝導層が前記接合層よりも多く配置される。
【0152】
したがって、前記ビアホール内部の電気的特性、機械的特性、及び熱的特性が低下することを防止することができる。
【0153】
また、前記接合層は、前記ビアホールの内部で前記伝導層の側面とビアホールの内側面との間に配置され得る。したがって、前記接合層は、前記ビアホール内部の伝導層を保護することができる。したがって、外部の衝撃がビアホール内部の伝導層に直接伝達されることを防止することができる。
【0154】
また、実施例に係る多層配線基板は、前記伝導層及び前記接合層をめっき方式及び熱圧着方式を通じて前記ビアホールの内部に配置され得る。したがって、ペースト方式でビアホールの内部を充填することに比べてビアホールの直径が減少することができる。したがって、多層配線基板の全体的なサイズが減少することができる。
【0155】
上述した実施例に説明された特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例において例示された特徴、構造、効果などは、実施例が属する分野における通常の知識を有する者によって他の実施例に対しても組合せまたは変形されて実施可能である。したがって、このような組合せと変形に関係した内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0156】
また、以上で実施例を中心に説明したが、これは単なる例示にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明が属する分野の通常の知識を有した者であれば、本実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲で、以上で例示されていない多様な変形と応用が可能であることが分かるだろう。例えば、実施例に具体的に示された各構成要素は、変形して実施することができるものである。そして、このような変形と応用に関係した差異点は、添付した請求範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁層と、
前記絶縁層上に配置される配線パターンと、
垂直方向に沿って前記絶縁層の少なくとも一部領域を貫通するビアホール内に配置された伝導層と、
前記配線パターンと前記伝導層との間に配置された接合層と、を含み、
前記接合層は、CuxSnyの化学式を有する物質を含み、
前記接合層は、前記垂直方向に沿って前記化学式のx及びyが互いに異なる値を有する第1領域及び第2領域を含み、
前記第2領域のx/x+yの値は、前記第1領域のx/x+yの値より大きく、
前記第2領域の体積面積、及び前記垂直方向の厚さのうち少なくとも一つは、前記第1領域の体積面積、及び前記垂直方向の厚さのうち少なくとも一つよりも大きい、多層配線基板。
【請求項2】
前記接合層は、前記第1領域に配置される第1層及び前記第2領域に配置される第2層を含み、
前記第1層は、CuSnの化学式を有する第1銅-錫合金であり、
前記第2層は、CuSnの化学式を有する第2銅-錫合金である、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記第2領域は、前記第1領域よりも前記配線パターンに近く配置される、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記接合層は、前記垂直方向に沿って前記ビアホールと重なる重畳領域及び前記垂直方向に沿って前記ビアホールと重ならない非重畳領域を含む、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記接合層は、前記伝導層と接触する接触領域及び前記伝導層に接触しない非接触領域を含む、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記接合層は、前記ビアホールの内部に配置される内部領域及び前記ビアホールの外部に配置される外部領域を含む、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項7】
前記内部領域の前記垂直方向の厚さは、前記伝導層の前記垂直方向の厚さよりも小さい、請求項6に記載の多層配線基板。
【請求項8】
前記接合層の厚さは、1μm~4μmである、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項9】
前記接合層のうち少なくとも一部は、前記伝導層の側面と前記ビアホールの内側面との間に配置される、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項10】
前記絶縁層は、液晶高分子物質(liquid crystal polymer)を含む、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項11】
前記配線パターン及び前記伝導層は、銅(Cu)を含む、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項12】
前記絶縁層は、前記垂直方向に沿って積層された複数の絶縁層を含み、
前記伝導層は、前記複数の絶縁層に備えられた複数のビアホール内に備えられた複数の伝導層を含み、
前記配線パターンは、前記複数の伝導層上に配置された複数の配線パターンを含み、
前記接合層は、前記複数の伝導層と前記複数の配線パターンとの間に配置された複数の接合層を含み、
前記複数の接合層のうち少なくとも一つは、前記第2領域のみを含み、
前記第2領域は、CuSnの化学式を有する第2銅-錫合金を含む、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項13】
前記配線パターンと前記伝導層の融点は、前記絶縁層の融点よりも大きい、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項14】
前記接合層は、前記配線パターンの融点及び前記伝導層の融点よりも小さい融点を有する接合物質を含む、請求項13に記載の多層配線基板。
【請求項15】
前記絶縁層は、前記垂直方向に沿って積層された複数の絶縁層を含み、
前記複数の絶縁層は、熱圧着方式により互いに接着される、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項16】
前記配線パターンと前記伝導層とは、一体に形成される、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項17】
前記接合層は、前記第1領域に配置される第1層及び前記第2領域に配置される第2層を含み、
前記第2層の熱拡散率は、前記第1層の熱拡散率よりも大きい、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項18】
前記第2層の熱容量は、前記第1層の熱容量よりも大きい、請求項17に記載の多層配線基板。
【請求項19】
前記第2層の密度は、前記第1層の密度よりも大きい、請求項17に記載の多層配線基板。
【請求項20】
前記第2層の抵抗は、前記第1層の抵抗よりも小さい 請求項17に記載の多層配線基板。
【国際調査報告】