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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】膝蓋骨トライアルインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20241121BHJP
   A61F 2/46 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A61F2/38
A61F2/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536048
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2022085886
(87)【国際公開番号】W WO2023111034
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21214816.7
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ジルアール
(72)【発明者】
【氏名】サイード ムサ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC13
4C097CC18
4C097MM10
4C097SC08
4C097SC09
(57)【要約】
本発明は、膝蓋骨トライアルインプラントであって、後方部と前方部との間を延びる長手方向軸を有する固定部材であって、前方部は、切除された膝蓋骨に固定されるように構成されている、固定部材と、膝蓋骨コンポーネントであって、大腿骨表面と関節嵌合するように構成されている後方の関節面と、切除された膝蓋骨と接触するように構成され、膝蓋骨コンポーネントの前面を画定する前方の接触面とを有する、膝蓋骨コンポーネントと、を備え、膝蓋骨コンポーネントが、前面と平行に長く延びる少なくとも1つのガイド軸を画定するガイドスロットを備え、固定部材の後方部が、ガイドスロットに係合し、膝蓋骨コンポーネントと固定部材が互いに、少なくとも1つのガイド軸に沿って平行移動可能であり、固定部材の長手方向軸を中心として回転可能である、膝蓋骨トライアルインプラントに関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝蓋骨トライアルインプラント(1)であって、
後方部(4)と前方部(5)との間を延びる長手方向軸(L)を有する固定部材(2)であって、前記前方部(5)は、切除された膝蓋骨(P)に固定されるように構成されている、固定部材(2)と、
膝蓋骨コンポーネント(3)であって、
大腿骨表面と関節嵌合するように構成されている後方の関節面(6)と、
切除された前記膝蓋骨(P)と接触するように構成され、前記膝蓋骨コンポーネント(3)の前面(C)を画定する前方の接触面(7)と、
を有する、膝蓋骨コンポーネント(3)と、
を備え、
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、前記前面(C)と平行に長く延びる少なくとも1つのガイド軸(G1、G2、G3)を画定するガイドスロット(8)を備え、
前記固定部材(2)の前記後方部(4)が、前記ガイドスロット(8)に係合し、
前記膝蓋骨コンポーネント(3)と前記固定部材(2)とは、互いに対して、
少なくとも1つの前記ガイド軸(G1、G2、G3)に沿って平行移動可能であり、
前記固定部材(2)の前記長手方向軸(L)を中心として回転可能である、
膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記ガイド軸(G1、G2、G3)が、前記前面(C)の内側-外側軸(ML)および上側-下側軸(SI)に非平行であることを特徴とする、請求項1に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項3】
前記ガイドスロット(8)が、接合部(84)で相互接続され、それぞれのガイド軸(G1、G2、G3)に沿って長く延びる複数のスロットセクション(81、82、83)を備え、
前記固定部材(2)と前記膝蓋骨コンポーネント(3)とが、互いに対して、それぞれのガイド軸(G1、G2、G3)に沿って可動であることを特徴とする、請求項1または2に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項4】
前記ガイドスロット(8)が、
第1のガイド軸(G1)に沿って長く延びる第1のスロットセクション(81)と、
第2のガイド軸(G2)に沿って長く延びる第2のスロットセクション(82)と、
第3のガイド軸(G3)に沿って長く延びる第3のスロットセクション(83)と、
を備え、
前記第1のガイド軸、前記第2のガイド軸、および前記第3のガイド軸(G1、G2、G3)が、互いに対して120°の角度で配置されていることを特徴とする、
請求項3に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項5】
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、周方向に延びる歯形プロファイル(T)を備えた丸形、好ましくは円形の外側輪郭を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項6】
前記関節面(6)が、前記ガイドスロット(8)の少なくとも1つの前記ガイド軸(G1、G2、G3)の向きを示す少なくとも1つの方向マーキング(19、20、21)、好ましくは矢印記号を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項7】
前記固定部材(2)の前記後方部(4)が、円筒シャフト(9)を備え、
前記円筒シャフト(9)が、前記ガイドスロット(8)の対向壁(85、86)の間で、回転可能および平行移動可能に案内されることを特徴とする、
請求項1から6のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項8】
前記固定部材(2)の前記後方部(4)が、半径方向肩部(10)を備え、
前記半径方向肩部(10)が、前記固定部材(2)の前記長手方向軸(L)に沿って、前記膝蓋骨コンポーネント(3)のウェブ部(11)、好ましくは前記ガイドスロット(8)のウェブ部(11)に対して、しっかりと支持されていることを特徴とする、
請求項1から7のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項9】
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、前記固定部材(2)の前記後方部(4)および/または前記ガイドスロット(8)に動作的に接続されるロック機構(12、13)を備え、
前記ロック機構(12、13)によって、前記固定部材(2)と前記膝蓋骨コンポーネント(3)との間の相対的な運動をロックすることができることを特徴とする、
請求項1から8のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項10】
前記ロック機構(12、13)は、ねじ部材(12)と摩擦部材(13)とを備え、
前記ねじ部材(12)は、前記固定部材(2)の前記後方部(4)の端面(14)に前記摩擦部材(13)を押し付けるように前方-後方方向に調節可能であることを特徴とする、
請求項9に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項11】
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、前方の前記接触面(7)と後方の前記関節面(7)との間で長く延びる少なくとも1つのドリルガイド穴(16、17、18)を備えることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項12】
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、第1のドリルガイド穴(16)と、第2のドリルガイド穴(17)と、第3のドリルガイド穴(18)とを備え、
前記第1のドリルガイド穴、前記第2のドリルガイド穴、および前記第3のドリルガイド穴(16、17、18)が互いに対して、好ましくは120°だけ周方向にオフセットされていることを特徴とする、
請求項11に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項13】
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、ベースプレート(31)と、前記ベースプレート(31)に取り付けられるトップ部材(32)と、を備え、
前記ベースプレート(31)が、前記接触面(7)と、前記ガイドスロット(8)と、を備え、
前記トップ部材(32)が、前記関節面(6)を備えることを特徴とする、
請求項1から12のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項14】
前記トップ部材(32)が、少なくとも1つのラッチ接続(22)によって前記ベースプレート(31)に取り付けられることを特徴とする、請求項13に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本本発明は、人工膝関節全置換術(TKA)で使用する膝蓋骨トライアルインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
切除した膝蓋骨に対する膝蓋骨インプラントの位置が、TKAの回復に対して、臨床上の意味を持つことはよく知られている。典型的な外科技術は、膝蓋骨と大腿骨間の連結のため、および切除された膝蓋骨を被覆するために、膝蓋骨インプラントの位置を最適化することを目的としている。
【0003】
外科技術において、膝蓋骨インプラントの最適位置は、膝蓋骨トライアルインプラントを使って査定される。この目的のために、膝蓋骨トライアルインプラントが、切除された膝蓋骨に一時的に取り付けられて、最適位置となるまで繰り返し位置を変更される。
【0004】
US2014/0148909A1は、ベースプレートと可動関節面部材とを備える膝蓋骨トライアルインプラントを開示している。ベースプレートは、内側-外側軸と、上側-下側軸と、切除された膝蓋骨に一時的に取り付けるように構成された底面と、を有する。可動関節面部材は、ベースプレートと物理的に直接接触しており、ベースプレートの内側-外側軸および上側-下側軸の少なくとも一方に沿って平行移動するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの課題は、簡単で正確な位置変更を可能にする膝蓋骨トライアルインプラントを提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する膝蓋骨トライアルインプラントによって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項に明記される。
【0007】
本発明によれば、膝蓋骨トライアルインプラントが提供される。膝蓋骨トライアルインプラントは、後方部と前方部の間を延びる長手方向軸を有する固定部材であって、前方部は切除された膝蓋骨に固定されるように構成されている、固定部材と、膝蓋骨コンポーネントであって、大腿骨表面と関節嵌合するように構成されている後方関節面と、切除された膝蓋骨に接触するように構成されており、膝蓋骨コンポーネントの前面を画定する前方接触面とを有する膝蓋骨コンポーネントと、を備える。膝蓋骨コンポーネントは、前面と平行に長く延びる少なくとも1つのガイド軸を画定するガイドスロットを備え、固定部材の後方部は、ガイドスロットと係合し、膝蓋骨コンポーネントと固定部材とは、互いに対して、少なくとも1つのガイド軸に沿って平行移動可能であり、固定部材の長手方向軸を中心として回転可能である。したがって、膝蓋骨トライアルインプラント、より具体的には膝蓋骨コンポーネントは、少なくとも1つの平行移動自由度(DOF)に従って、すなわち、少なくとも1つのガイド軸に沿って位置を変更することができ、さらに1つの回転自由度に従って、すなわち、長手方向軸を中心として位置を変更することができる。少なくとも1つの平行移動自由度および回転自由度が提供されることによって、膝蓋骨コンポーネントと固定部材との間で相対的な平行運動および回転運動が可能になる。膝蓋骨トライアルインプラントの使用時に、固定部材の長手方向軸を中心として膝蓋骨コンポーネントを回転させることによって、切除された膝蓋骨に対するガイドスロットの向き、つまり少なくとも1つのガイド軸の向きを変更することができる。言い換えれば、平行移動自由度の向きは、固定されておらず、固定部材の長手方向軸を中心に膝蓋骨コンポーネントを回転させることによって非常に簡単かつ正確に調整可能である。これにより、膝蓋骨コンポーネントとその関節面を非常に簡単かつ正確に位置変更することができる。位置変更は固定部材に対して行われる。膝蓋骨トライアルインプラントの使用時に、固定部材は切除された膝蓋骨に一時的に取り付けられる。従って、位置変更は切除された膝蓋骨に対して行われる。固定部材の前方部は、切除された膝蓋骨に固定されるように構成されている。
【0008】
一実施形態では、固定部材はペグであり、前方部は切除された膝蓋骨に設けられた穴に嵌合するように構成されている。他の実施形態では、固定部材はねじであり、前方部は切除された膝蓋骨に直接固定するためのねじ山を備える。さらに他の実施形態では、前方部は、固定部材を切除された膝蓋骨に固定できる釘のような形状を有する。適切な接着剤、セメント、または他の接合材料によって、穴および/または切除された膝蓋骨に前方部を一時的に固定するのが容易になるであろう。固定部材の後方部は、膝蓋骨コンポーネントのガイドスロットと係合するように構成されている。膝蓋骨トライアルインプラントの使用時、後方部とガイドスロットは、少なくとも1つのガイド軸に沿って及び長手方向軸を中心に、摺動可能に相互作用する。固定部材は、後方部と前方部との間を長手方向に延びる。固定部材は、膝蓋骨コンポーネントの後方-前方軸と平行に、および/または、前面に垂直に細長くなっていることが好ましい。
【0009】
一実施形態では、固定部材は円筒形状を有する。他の実施形態では、固定部材は、矩形または他の幾何学的形状を有する。
【0010】
一実施形態では、膝蓋骨コンポーネントはモノブロックコンポーネントである。他の実施形態では、膝蓋骨コンポーネントは、複数のサブコンポーネント、部品、部材などを備える。後方関節面は、人工装具または自然の大腿骨の大腿骨表面と関節嵌合するように構成されている。前方接触面は、切除された膝蓋骨と一時的に接触するように構成されている。前方接触面は膝蓋骨コンポーネントの前面を画定する。前方接触面は、平面、すなわち平坦である。前方接触面および/または前面は、内側-外側軸および上側-下側軸を含む。前面および/または接触面は、固定部材の長手方向軸および/または前方-後方軸に垂直であることが好ましい。ガイドスロットは、少なくとも1つのガイド軸を画定する。
【0011】
一実施形態では、ガイド軸は、前面、すなわち前方接触面の内側-外側軸および/または上側-下側軸に平行である。他の実施形態では、少なくとも1つのガイド軸は、内側-外側軸および/または上側-下側軸に非平行である。
【0012】
一実施形態では、少なくとも1つのガイド軸は、前面の内側-外側軸および上側-下側軸に非平行である。したがって、少なくとも1つのガイド軸に沿って位置変更すると、固定部材に対して膝蓋骨コンポーネントが内側-外側および上側-下側に同時に位置変更される。その結果、位置変更可動性は、2つの平行移動自由度、すなわち、内側-外側軸に関する第1の平行移動自由度と、上側-下側軸に関する第2の平行移動自由度とを有する。
【0013】
一実施形態では、ガイドスロットは、複数のスロットセクションを備え、複数のスロットセクションは、接合部で相互接続され、固定部材と膝蓋骨コンポーネントとが互い対してに可動であるガイド軸それぞれに沿って長く延びている。スロットセクションは接合部で集結する。スロットセクションは、互いに対して斜めに延びている。各スロットセクションは第1の端部と第2の端部との間を長く延び、スロットセクションの第1の端部が、接合部において接続される、および/または、集結することが好ましい。膝蓋骨トライアルインプラントの使用時に、膝蓋骨コンポーネントは、前述のスロットセクションの各々に沿って、すなわちガイド軸に沿って、切除された膝蓋骨に固定された固定部材に対して可動である。これにより、さらに簡単で、さらに正確な位置変更が可能となる。
【0014】
一実施形態では、ガイドスロットは、第1のガイド軸に沿って長く延びる第1のスロットセクションと、第2のガイド軸に沿って延びる第2のスロットセクションと、第3のガイド軸に沿って長く延びる第3のスロットセクションとを備え、第1、第2、および第3のガイド軸は、互いに対して120°の角度で配置されている。これにより、非常に簡単で正確な平行位置変更が可能になる。固定部材の長手方向軸を中心とする回転自由度と組み合わせることにより、膝蓋骨コンポーネントを、前面全体において、特に簡単に、正確に、かつ迅速に位置変更することができる。
【0015】
一実施形態では、膝蓋骨コンポーネントは、丸形の、好ましくは円形の、外側輪郭を備え、外側輪郭は、円周方向に延びる歯形プロファイルを備える。歯形プロファイルは、外科医の指と外側輪郭との間の摩擦を大きくし、グリップを向上させる。膝蓋骨トライアルインプラントの使用時に、歯形プロファイルは、外側輪郭上で指が滑ってしまうことを防止する。
【0016】
一実施形態では、歯形プロファイルは、半径方向突起および/または半径方向凹部を備える。
【0017】
一実施形態では、歯形プロファイルはローレット加工によって形成される。他の実施形態では、歯形プロファイルはセレーション加工によって形成される。
【0018】
一実施形態では、関節面は、ガイドスロットの少なくとも1つのガイド軸の向きを示す少なくとも1つの方向マーキング、好ましくは矢印記号を備える。少なくとも1つの方向マーキングは、膝蓋骨コンポーネントの最適な平行位置変更を見つけやすくする情報を外科医に提供する。方向マーキングによって、外科医は、どの方向に平行位置変更が行われ得るかを即座にかつ容易に理解することができる。ガイドスロットが複数のガイド軸を画定する複数のスロットセクションを備える場合、関節面は複数の方向マーキングを備える。一実施形態では、少なくとも1つの方向マーキングはエッチングマークである。他の実施形態では、少なくとも1つの方向マーキングは、レーザマーク、関節面に凹部を形成する窪みマーク等である。
【0019】
一実施形態では、固定部材の後方部は円筒シャフトを備え、円筒シャフトはガイドスロットの対向壁の間で回転可能および平行移動可能に案内される。円筒シャフトと対向壁とによってなされる案内は、正確で堅牢であり、形成するのが簡単である。円筒シャフトは対向壁の間に保持される。円筒シャフトと対向壁とは、ガイドスロットの少なくとも1つのガイド軸に沿って、互いに対して平行移動可能である。円筒シャフトと対向壁とは、固定部材の長手方向軸を中心として、互いに対して回転可能である。円筒シャフトの直径は、対向壁間のガイドスロットの幅および/または対向壁間の法線距離よりもわずかに小さいことが好ましい。
【0020】
一実施形態では、固定部材の後方部は半径方向肩部を備え、半径方向肩部は、固定部材の長手方向軸に沿って、膝蓋骨コンポーネントのウェブ部分、好ましくはガイドスロットのウェブ部にしっかりと(positively)支持される。半径方向肩部はガイドスロットの最小幅より大きいことが好ましい。膝蓋骨トライアルインプラントの使用時において、半径方向肩部は、前方-後方方向および/または固定部材の長手方向軸に沿う平行移動運動に対して、膝蓋骨コンポーネントを固定部材に固定する。この目的のために、半径方向肩部はウェブ部にしっかりと支持される。一実施形態では、ウェブ部は、ガイドスロットの対向壁からガイドスロット内部へ突出している。ウェブ部は、対向壁の法線方向でガイドスロット内部へ突出していることが好ましい。固定部材の後方部が円筒シャフトを備える場合、半径方向肩部は、好ましくは、円筒シャフトの一部である、および/または、円筒シャフト上に配置されている。膝蓋骨トライアルインプラントの使用時において、半径方向肩部とウェブ部は、少なくとも1つのガイド軸に沿って、および固定部材の長手方向軸を中心として、互いに対して摺動可能である。
【0021】
一実施形態では、膝蓋骨コンポーネントは、固定部材の後方部および/またはガイドスロットに動作可能に接続されるロック機構を備え、このロック機構によって、固定部材と膝蓋骨コンポーネントとの間の相対的な動きをロックすることができる。膝蓋骨トライアルインプラントの使用時に、所望の位置に達すると、ロック機構によって膝蓋骨コンポーネントをロックすることができる。ロック機構は、固定部材に対して、ひいては切除された膝蓋骨および大腿骨表面に対して、膝蓋骨コンポーネントを所望の位置にロックする。ロック機構は、平行移動運動および回転運動をロックするように構成されている。ロック機構は、固定部材の後方部及び/又はガイドスロットに作用する。一実施形態では、ロック機構は、相対運動をロックするために摩擦を生じさせるように構成されている。一実施形態では、ロック機構は、形状嵌合を生じさせるように構成されている。前述の摩擦及び/又は形状嵌合は、固定部材の後方部とガイドスロットとの間で生じてよい。加えて又はあるいは、前述の摩擦及び/又は形状嵌合は、ロック機構の部材と、固定部材の後方部及び/又はガイドスロットとの間で生じてもよい。好ましい実施形態では、固定部材と膝蓋骨コンポーネントとの間の相対運動は、ロック機構によってロックおよびロック解除されてよい。
【0022】
一実施形態では、ロック機構はねじ部材と摩擦部材とを備え、ねじ部材は、摩擦部材を固定部材の後方部の端面に押し付けるように前方-後方方向に調節可能である。固定部材と膝蓋骨コンポーネントとの間の相対運動をロックおよびロック解除するために、ねじ部材は手動で又は工具を使って調節可能である。ねじ部材は、摩擦部材を固定部材の後方部の端面に押し付けるように摩擦部材に作用する。摩擦部材が端面に押し付けられると、摩擦部材と端面との間の摩擦が大きくなる。この大きい摩擦によって、固定部材と膝蓋骨コンポーネントとの間の相対運動がロックされる。ねじ部材は、摩擦部材を固定部材の後方部の端面から押圧解除するおよび/または離すように摩擦部材に作用することが好ましい。摩擦部材を端面から押圧解除および/または離すと、摩擦部材と端面との間の摩擦が小さくなる。この小さい摩擦によって、固定部材と膝蓋骨コンポーネントとの間の相対運動のロックが解除される。ねじ部材と摩擦部材とを有するロック機構によって、簡単かつ堅固に、固定部材と膝蓋骨コンポーネントとの間の相対運動のロックおよびロック解除を行うことができる。一実施形態では、ねじ部材は、後方端と前方端との間で延びている。前方端は、摩擦部材に作用する。後方端は、手動でおよび/または工具で操作されるように構成されている。一実施形態では、摩擦部材は、後方面と、反対側の前方面とを有する。前方面は、固定部材の後方部の端面と相互作用するように構成されている。後方面は、ねじ部材と相互作用するように構成されている。
【0023】
一実施形態では、膝蓋骨コンポーネントは、前方接触面と後方関節面との間で長く延びる少なくとも1つのドリルガイド穴を備える。膝蓋骨トライアルインプラントの使用時、少なくとも1つのドリルガイド穴によって、切除された膝蓋骨に少なくとも1つの穴を設けることが可能であり、この少なくとも1つの穴は、最終的な膝蓋骨インプラントを固定するように構成される。従って、少なくとも1つのドリルガイド穴を有する膝蓋骨コンポーネントによって、最終的な膝蓋骨インプラントの取り付けに向けて切除された膝蓋骨を準備することができる。これにより、TKAの外科技術を簡略化することができる。従来の外科技術では、最適位置を査定する前に最終的な膝蓋骨インプラントを固定するためのドリル穴が設けられるので、位置間違いや骨欠損となってしまう可能性がある。膝蓋骨コンポーネントが少なくとも1つのドリル穴を備えていると、膝蓋骨コンポーネントの位置変更後、つまり最適位置の査定後に最終的な膝蓋骨インプラント固定用の穴あけを行うことができるので、上述の欠点を防ぐことができる。
【0024】
一実施形態では、膝蓋骨コンポーネントは、第1のドリルガイド穴と、第2のドリルガイド穴と、第3のドリルガイド穴と、を備え、第1、第2および第3のドリルガイド穴は、好ましくは120°ずつ、互いに対して回転方向にオフセットしている。膝蓋骨コンポーネントに3つのドリルガイド穴、すなわち第1、第2および第3のドリルガイド穴が設けられていることによって、最終的な膝蓋骨インプラントを固定するために、切除した膝蓋骨に3つのドリル穴を簡単かつ迅速に設けることができる。
【0025】
一実施形態では、膝蓋骨コンポーネントは、ベースプレートと、ベースプレート上に取り付けられたトップ部材とを備え、ベースプレートが接触面およびガイドスロットを備え、トップ部材が関節面を備える。膝蓋骨コンポーネントにベースプレートとトップ部材を設けることによって、簡単で堅固な設計と容易な製造が可能になる。一実施形態では、ベースプレートは金属材料から製造される。一実施形態では、トップ部材は高分子材料および/または合成材料から製造される。一実施形態では、トップ部材はベースプレートに恒久的に取り付けられている。他の実施形態では、トップ部材は、ベースプレートに取り外し可能に取り付けられる。
【0026】
一実施形態では、トップ部材は、少なくとも1つのラッチ接続によってベースプレートに取り付けられる。少なくとも1つのラッチ接続は、スナップイン接続とも称される。少なくとも1つのラッチ接続は取り外し可能であることが好ましい。他の実施形態では、少なくとも1つのラッチ接続は、ベースプレートとトップ部材との間に恒久的及び/又は取外し不可能な接続を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下では、本発明の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図面を通して、同じ要素は同じ参照番号で示される。
【0028】
図1】本発明による膝蓋骨トライアルインプラントの一実施形態を示す上面斜視図である。
図2図1による膝蓋骨トライアルインプラントの底面斜視図である。
図3図1および図2による膝蓋骨トライアルインプラントの分解斜視図である。
図4図1図3による膝蓋骨トライアルインプラントを模式的に簡略化した上面図である。
図5】人工膝関節全置換術における膝蓋骨トライアルインプラントの機能を説明するために、図1図4による膝蓋骨トライアルインプラントを異なる構成で示す。
図6】人工膝関節全置換術における膝蓋骨トライアルインプラントの機能を説明するために、図1図4による膝蓋骨トライアルインプラントを異なる構成で示す。
図7】人工膝関節全置換術における膝蓋骨トライアルインプラントの機能を説明するために、図1図4による膝蓋骨トライアルインプラントを異なる構成で示す。
図8】人工膝関節全置換術における膝蓋骨トライアルインプラントの機能を説明するために、図1図4による膝蓋骨トライアルインプラントを異なる構成で示す。
図9】人工膝関節全置換術における膝蓋骨トライアルインプラントの機能を説明するために、図1図4による膝蓋骨トライアルインプラントを異なる構成で示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1図4によれば、膝蓋骨トライアルインプラント1は、固定部材2と膝蓋骨コンポーネント3を備える。膝蓋骨トライアルインプラント1は、人工膝関節全置換術(TKA)での使用を目的としている。
【0030】
固定部材2は、長手方向軸Lを有する。長手方向軸Lは、後方部4と前方部5との間を延びている。固定部材2の前方部5は、切除された膝蓋骨Pに固定されるように構成されている。
【0031】
図示の実施形態では、前方部5は、切除された膝蓋骨Pに設けられた穴H(図5参照)と嵌合するように構成されている。
【0032】
図示されていない他の実施形態では、前方部は、切除された膝蓋骨への直接固定のためのねじ山等を備える。従って、固定部材は、最初に穴を開ける必要なく、切除された膝蓋骨にねじ留めまたは打ち留めされる。したがって、図示の実施形態に関連して述べたように、切除された膝蓋骨に穴を開けることは必須ではない。
【0033】
膝蓋骨コンポーネント3は、大腿骨表面と関節嵌合するように構成されている後方関節面6を有する。大腿骨表面は、図示されておらず、大腿骨装具の表面であってもよいし、自然の大腿骨の表面であってもよい。さらに、膝蓋骨コンポーネント3は、切除された膝蓋骨P、より具体的には切除された膝蓋骨の新たに切断された後方面F(図5参照)に接触するように構成されている前方接触面7を有する。前方接触面7は、膝蓋骨コンポーネント3の前面Cを画定する。
【0034】
図示の実施形態では、後方関節面6は凸状および/またはドーム状である。前方接触面7は平坦、すなわち平面である。
【0035】
図4に示されるように、膝蓋骨コンポーネント3および/または前方接触面7によって画定される前面Cは、内側-外側軸MLおよび上側-下側軸SIに沿って延びている。長手方向軸Lは、膝蓋骨コンポーネント3の前方-後方軸APと平行に延びている、つまり、前面Cおよび/または切除された膝蓋骨Pの新たに切断された表面Fの法線方向に延びている(図5参照)。
【0036】
TKAの外科技術は、膝蓋骨と大腿骨との連結のため、および切除された膝蓋骨の被覆のために、最終的な膝蓋骨インプラントの位置を最適化することを目的としている。膝蓋骨トライアルインプラント1によって、最終的な膝蓋骨インプラントとその後方関節面の最適位置を査定することができる。この目的のために、膝蓋骨トライアルインプラント1、より具体的には固定部材2が切除された膝蓋骨Pに一時的に取り付けられ、最適位置となるまで、膝蓋骨コンポーネント3が固定部材2、ひいては切除された膝蓋骨Pに対して繰り返し位置変更される。
【0037】
位置変更のために、膝蓋骨コンポーネント3は、前面Cと平行に長く延びる少なくとも1つのガイド軸G1、G2、G3を画定するガイドスロット8(図2図4参照)を備え、固定部材2の後方部4がガイドスロット8と係合し、膝蓋骨コンポーネント3と固定部材2とが互いに対して、少なくとも1つのガイド軸G1、G2、G3に沿って平行移動可能であり、固定部材2の長手方向軸Lを中心として回転可能である。
【0038】
したがって、膝蓋骨トライアルインプラント1、より具体的には膝蓋骨コンポーネント3を、少なくとも1つの平行移動自由度(DOF)に従って、すなわち少なくとも1つのガイド軸G1、G2、G3に沿って位置変更でき、1つの回転自由度に従って、すなわち固定部材2の長手方向軸Lを中心として位置変更することもできる。少なくとも1つの平行移動自由度および回転自由度があることによって、膝蓋骨コンポーネント3と固定部材2、ひいては切除された膝蓋骨Pとの間の相対的な平行移動および回転が可能になる。膝蓋骨トライアルインプラント1の使用時に、固定部材2の長手方向軸Lを中心として膝蓋骨コンポーネント3を回転させることによって、切除された膝蓋骨P及びその新たに切断された表面Fに対する少なくとも1つのガイド軸G1、G2、G3の向きを調整することができる。換言すれば、膝蓋骨コンポーネント3を位置変更するための平行移動自由度の方向は、固定されておらず、膝蓋骨コンポーネント3を長手方向軸Lを中心に回転させることによって、非常に簡単かつ正確に調整することができる。これにより、膝蓋骨コンポーネント3とその後方関節面6を非常に簡単かつ正確に位置変更することができる。
【0039】
図示の実施形態では、ガイドスロット8は、接合部84(図4参照)で相互接続された複数のスロットセクション81、82、83を有する。スロットセクション81、82、83はそれぞれ、対応するガイド軸G1、G2、G3に沿って長く延びている。膝蓋骨コンポーネント3と固定部材2は、前述のそれぞれのガイド軸G1、G2、G3に沿って互いに対して可動である。スロットセクション81、82、83は、第1のスロットセクション81、第2のスロットセクション82、第3のスロットセクション83と呼ぶことができる。また、対応するガイド軸は、第1のガイド軸G1、第2のガイド軸G2、第3のガイド軸G3と呼ぶことができる。
【0040】
図示の実施形態では、接合部84は、膝蓋骨コンポーネント3の前方接触面7および前面Cの中心点および/または中点に位置している。他の実施形態では、接合部84は、中心点から離れている、すなわち中心から外れている又は中心でない位置にある。スロットセクション81、82、83それぞれが接合部84によって相互接続されて、ガイドスロット8が形成されている。
【0041】
膝蓋骨コンポーネント3が空間的に固定される想像上の構成に関して、固定部材2は、接合部84を通って、1つのスロットセクションから別のスロットセクションへ移動可能である。図4の例示的な構成から説明すると、固定部材2は、第3のスロットセクション83内を第3のガイド軸G3に沿って、接合部84から離れる方向および接合部84へ近づく方向に移動可能である。固定部材2は、接合部84を通って、第1のスロットセクション81および/または第2のスロットセクション82へ移動することができる。当然、膝蓋骨トライアルインプラント1の使用時には固定部材2が切除された膝蓋骨Pに固定されているので、膝蓋骨コンポーネント3が、固定部材2に対して前述のガイド軸G1、G2、G3に沿って移動することとなる。
【0042】
ガイドスロットおよびそのガイド軸G1、G2、G3に沿って膝蓋骨コンポーネント3と固定部材2とを互いに対して平行移動させることによって、前面C内での位置変更が可能となる。
【0043】
内側-外側軸MLおよび上側-下側軸SIに対するガイド軸G1、G2、G3の向きを変えるために、膝蓋骨コンポーネント3を長手方向軸Lを中心に回転させることができる。固定部材に対するこの相対的な回転は、切除された膝蓋骨Pに対する膝蓋骨トライアルインプラント1の使用時に、ガイドスロット8内のどこに固定部材2、より正確にはその後方部4が位置しているかに関係なく可能である。
【0044】
図示の実施形態では、第1のガイド軸G1、第2のガイド軸G2、および第3のガイド軸G3は、互いに対して120°の角度で配置されている。したがって、ガイドスロット8は、星形のような長手延長部を備えている。スロットセクション81、82、83は、接合部84から延びている、および/または接合部84で集結する。
【0045】
固定部材2の後方部4は、摺動可能にガイドスロット8と係合する。言い換えれば、固定部材2と膝蓋骨コンポーネント3は互いに対して、ガイド軸G1、G2、G3に沿って、および長手方向軸Lを中心として、摺動可能である。後方部4は、ガイドスロット8と物理的に直接接触している。
【0046】
図示の実施形態では、後方部4は、円筒シャフト9を備え、円筒シャフト9は、ガイドスロット8の対向壁85、86(図4参照)の間で回転可能および平行移動可能に案内される。円筒シャフト9は、対向壁85、86の間に保持される。円筒シャフト9は、対向壁85、86の法線方向でガイドスロット8内にしっかりと支持される。図4では、第3のスロットセクション83に関して前述の対向壁85、86が概略的に図示されている。しかしながら、ガイドスロット8全体が対向壁を有することは言うまでもない。言い換えれば、第1のスロットセクション81と第2のスロットセクション82の各々が、対向壁を有するが、図4には詳細に示されていない。円筒シャフト9と対向壁85、86は、ガイド軸と長手方向軸Lに沿って摺動可能に相互作用する。円筒シャフト9の直径は、対向壁間のガイドスロット8の幅および/または対向壁間の法線距離よりもわずかに小さい。
【0047】
図示の実施形態では、後方部4は半径方向肩部10を備え、半径方向肩部は、膝蓋骨コンポーネント3のウェブ部11(図3参照)上で長手方向軸Lに沿ってしっかりと支持されている。図示の実施形態では、半径方向肩部10は円筒シャフト9の前方端面によって形成されている。半径方向肩部10は、前方向でウェブ部11と接触する。半径方向肩部10とウェブ部11は互いに対して摺動可能に、ガイドスロット8のガイド軸に沿って平行移動し、長手方向軸Lを中心として回転する。ウェブ部11は、対向壁85、86から法線方向に、すなわちガイドスロット8内部へ突出している。ウェブ部11は、ガイドスロット8の全周に沿って延びている。
【0048】
図示の実施形態では、膝蓋骨コンポーネント3は、固定部材2の後方部4および/またはガイドスロット8に動作可能に接続されるロック機構12、13を備え、ロック機構12、13によって、固定部材2と膝蓋骨コンポーネント3との間の相対運動をロックすることができる(図3参照)。所望の位置になると、ロック機構12、13によって、固定部材2に対して膝蓋骨コンポーネント3をロックすることができる。ロック機構12、13は、固定部材2に対する膝蓋骨コンポーネント3の平行移動および回転をロックするように構成されている。ロック機構12、13は、相対運動をロックするために摩擦を生じさせるように構成されている。他の実施形態では、ロック機構は、固定部材とガイドスロットとの間に形状嵌合を形成するように構成されている。
【0049】
図示の実施形態では、ロック機構12、13は、ねじ部材12と摩擦部材13とを備える。ねじ部材12は、前方-後方方向、すなわち膝蓋骨コンポーネントの前方-後方軸AP(図3参照)に沿って調節可能である。前方-後方軸APに沿ってねじ部材12を調節することによって、摩擦部材13を後方部4の端面14に押し付けることができる。詳細には図示されていないが、ねじ部材12は、膝蓋骨コンポーネント3の内ねじ山と相互作用する外ねじ山を有する。内ねじ山は、膝蓋骨コンポーネント3のねじ穴15内に設けられている。ねじ穴15は、前方-後方軸APと同軸に配置されている。さらに、ねじ穴15は、後方関節面6および/または前方接触面7の中央に位置している。さらに、ねじ穴15、ひいてはねじ部材12は、接合部84の真上に位置する。
【0050】
摩擦部材13は、板形状を有し、後方方向でガイドスロット8を覆う。ねじ部材12を前方方向に調節すると、摩擦部材13が端面14に押し付けられる。これにより摩擦が大きくなり、膝蓋骨コンポーネント3と固定部材2との間の相対位置がロックされる。摩擦部材13はガイドスロット8全体を覆うので、ガイドスロット8内のどこに固定部材2が位置しているかに関係なく、前述のロックが生じる。
【0051】
図示の実施形態では、摩擦部材13は、第1のアーム131と、第2のアーム132と、第3のアーム133と、を備える。第1のアーム131は第1のスロットセクション81を覆う。第2のアーム132は第2のスロットセクション82を覆う。第3のアーム133は第3のスロットセクション83を覆う。摩擦部材13の中央部は接合部84を覆う。
【0052】
図示の実施形態では、摩擦部材13はガイドスロットの対向壁85、86の間に保持されている。
【0053】
ねじ部材12を後方方向に調節すると、摩擦部材13が端面14に押圧されなくなる。これにより、摩擦部材13と端面14との間の摩擦が小さくなり、固定部材2と膝蓋骨コンポーネント3との間の相対運動ができるようになる、および/または可能となる。
【0054】
図示の実施形態では、膝蓋骨コンポーネント3は、第1のドリルガイド穴16と、第2のドリルガイド穴17と、第3のドリルガイド穴18と、を備える。他の実施形態では、膝蓋骨コンポーネント3は、1つ、2つ、または3つ以上のドリルガイド穴を備える。
【0055】
ドリルガイド穴16、17、18の各々は、前方接触面7と後方関節面6との間で長く延びている。ドリルガイド穴16、17、18の長手方向軸は前方-後方軸APと平行に延びている。ドリルガイド穴16、17、18の各々は、切除された膝蓋骨Pの新たに切断された表面Fを準備するために、穴あけ工具を案内するように構成されている。前述の穴あけ工具を使って設けられる穴は、膝蓋骨トライアルインプラント1の位置変更によって最適位置が査定された後に、(最終的な)膝蓋骨インプラントを固定するために使われる。
【0056】
図示の実施形態では、第1、第2および第3のドリルガイド穴16、17、18は、前方-後方軸APを中心として、周方向に互いに対して120°だけオフセットされている。
【0057】
第1のドリルガイド穴16は、第1のスロットセクション81と第2のスロットセクション82との間に位置する(図3、4参照)。第2のドリルガイド穴17は、第2のスロットセクション82と第3のスロットセクション83との間に位置する。第3のドリルガイド穴18は、第3のスロットセクション83と第1のスロットセクション81との間に位置する。
【0058】
図示の実施形態では、関節面6は、ガイド軸G1、G2、G3それぞれの向きを示す複数の方向マーキング19、20、21を備える。方向マーキング19、20、21は、第1の方向マーキング19、第2の方向マーキング20、第3の方向マーキング21とも称される。第1の方向マーキング19は第1のガイド軸G1の向きを示す。第2の方向マーキング20は第2のガイド軸G2の向きを示す。第3の方向マーキング21は第3のガイド軸G3の向きを示す。図示の実施形態では、方向マーキング19、20、21の各々は、矢印記号の形態をしている。方向マーキング19、20、21は関節面6に印刷されている。他の実施形態では、方向マーキングは、エッチングマーク、窪みマーク等である。
【0059】
図示の実施形態では、膝蓋骨コンポーネント3は、ベースプレート31とトップ部材32とを備える。
【0060】
ベースプレート31は、前方接触面7とガイドスロット8とを備える(図3参照)。ベースプレート31は、周方向に延びる歯形プロファイルTを備えた丸形、より具体的には円形の外側輪郭を有する。歯形プロファイルTは、外科医の指と外側輪郭との間の摩擦を大きくする。これにより、膝蓋骨コンポーネント3に対する指のグリップが良くなり、より安全で正確に位置変更をすることができる。
【0061】
ベースプレート31は金属材料から製造される。他の実施形態では、ベースプレート31には高分子材料または合成材料が使用される。図示の実施形態では、トップ部材32は高分子材料または合成材料から製造される。
【0062】
トップ部材32は、ベースプレート31に取り付けられ、関節面6を備える。さらに、トップ部材32はねじ穴15を備える。
【0063】
図示の実施形態では、トップ部材32は、複数のラッチ接続によってベースプレート31に取り付けられ、図中では、1つのラッチ接続22がより詳細に示されている。ラッチ接続22は、ラッチ部材23とノッチ部材24(図1、3参照)との間に形成される。トップ部材32がラッチ部材23を備える。ベースプレート31がノッチ部材24を備える。
【0064】
図示の実施形態では、ラッチ接続22は、トップ部材32をベースプレート31に取り外し不可能に取り付けるように構成されている。他の実施形態では、ラッチ接続は、トップ部材をベースプレートに取り外し可能に取り付けるように構成されている。
【0065】
ドリルガイド穴16、17、18は、トップ部材32とベースプレート31とを貫通している。摩擦部材13は、前方-後方軸APに沿ってベースプレート31とトップ部材32との間に保持される。
【0066】
他の実施形態では、膝蓋骨コンポーネント3は、モノブロック設計である、すなわち、モノリス部品として設計されている。
【0067】
図5図9は、TKA処置中の膝蓋骨トライアルインプラント1を示している。
【0068】
第1のステップでは、膝蓋骨トライアルインプラント1を切除された膝蓋骨P上に載置する(図5)。切除された膝蓋骨Pは、新たに切断された表面Fと、図示の実施形態では穴Hとを備え、穴Hは、切除された膝蓋骨Pのピーク点に設けられている。膝蓋骨トライアルインプラント1を切除された膝蓋骨Pに一時的に取り付けるために、固定部材2、より具体的にはその前方部5を穴Hに嵌合させる。切除された膝蓋骨Pに載置されると、前方接触面7が新たに切断された表面Fと摺動可能に接触する。
【0069】
図示しない実施形態では、最初に穴を開ける必要なく、固定部材が切除された膝蓋骨にねじ留めされる。さらに別の実施形態では、固定部材を切除された膝蓋骨に直接打ち留めすることも考えられる。
【0070】
第2のステップ(図6)では、膝蓋骨コンポーネント3とその後方関節面6が、固定部材2、ひいては切除された膝蓋骨に対する回転によって位置変更される。この回転による位置変更は、図6において、矢印記号Rで示されている。この回転による位置変更は、固定部材2の長手方向軸Lを中心として行われる。図6に示す構成では、ガイド軸G1、G2、G3は、平面C、すなわち前面Cの内側-外側軸MLおよび上側-下側軸SI、ひいては新たに切断された表面Fに対してある向きを有している。回転による位置変更によって、ガイド軸G1、G2、G3の向きが変わる。
【0071】
図7は、回転による位置変更後の状況を示している。したがって、ガイド軸G1、G2、G3の向きが変わっている。図7に示される構成において、膝蓋骨コンポーネント3が、第1のガイド軸G1に沿って平行移動されて位置変更される。図8は、平行移動による位置変更後の状況を示している。
【0072】
図6図8は、切除された膝蓋骨および/または大腿骨表面に対して所望の位置および/または必要な位置が見つかるまで、膝蓋骨コンポーネント3を容易かつ正確に位置変更できることを示している。
【0073】
最適位置が見つかったら、ロック機構12、13を操作することによって、すなわち、ねじ部材12を前方方向に調節することによって、固定部材2と切除された膝蓋骨Pに対する膝蓋骨コンポーネント3の相対運動をロックすることができる。ねじ部材の調節には、専用の工具Sを用いてよい。膝蓋骨コンポーネント3を所定の位置にロックした後、ドリルガイド穴16、17、18を利用して穴を開けることにより、最終的な膝蓋骨インプラントを取り付けるための、切除された膝蓋骨Pの準備が行われる。
【0074】
膝蓋骨トライアルインプラント1の主な利点の1つは、最適位置を査定した後に、最終的な膝蓋骨インプラントを取り付けるための切除した膝蓋骨Pの準備を行えることである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-10-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝蓋骨トライアルインプラント(1)であって、
後方部(4)と前方部(5)との間を延びる長手方向軸(L)を有する固定部材(2)であって、前記前方部(5)は、切除された膝蓋骨(P)に固定されるように構成されている、固定部材(2)と、
膝蓋骨コンポーネント(3)であって、
大腿骨表面と関節嵌合するように構成されている後方の関節面(6)と、
切除された前記膝蓋骨(P)と接触するように構成され、前記膝蓋骨コンポーネント(3)の前面(C)を画定する前方の接触面(7)と、
を有する、膝蓋骨コンポーネント(3)と、
を備え、
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、前記前面(C)と平行に長く延びる少なくとも1つのガイド軸(G1、G2、G3)を画定するガイドスロット(8)を備え、
前記固定部材(2)の前記後方部(4)が、前記ガイドスロット(8)に係合し、
前記膝蓋骨コンポーネント(3)と前記固定部材(2)とは、互いに対して、
少なくとも1つの前記ガイド軸(G1、G2、G3)に沿って平行移動可能であり、
前記固定部材(2)の前記長手方向軸(L)を中心として回転可能である、
膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記ガイド軸(G1、G2、G3)が、前記前面(C)の内側-外側軸(ML)および上側-下側軸(SI)に非平行であることを特徴とする、請求項1に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項3】
前記ガイドスロット(8)が、接合部(84)で相互接続され、それぞれのガイド軸(G1、G2、G3)に沿って長く延びる複数のスロットセクション(81、82、83)を備え、
前記固定部材(2)と前記膝蓋骨コンポーネント(3)とが、互いに対して、それぞれのガイド軸(G1、G2、G3)に沿って可動であることを特徴とする、請求項1または2に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項4】
前記ガイドスロット(8)が、
第1のガイド軸(G1)に沿って長く延びる第1のスロットセクション(81)と、
第2のガイド軸(G2)に沿って長く延びる第2のスロットセクション(82)と、
第3のガイド軸(G3)に沿って長く延びる第3のスロットセクション(83)と、
を備え、
前記第1のガイド軸、前記第2のガイド軸、および前記第3のガイド軸(G1、G2、G3)が、互いに対して120°の角度で配置されていることを特徴とする、
請求項3に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項5】
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、周方向に延びる歯形プロファイル(T)を備えた丸形、好ましくは円形の外側輪郭を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項6】
前記関節面(6)が、前記ガイドスロット(8)の少なくとも1つの前記ガイド軸(G1、G2、G3)の向きを示す少なくとも1つの方向マーキング(19、20、21)、好ましくは矢印記号を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項7】
前記固定部材(2)の前記後方部(4)が、円筒シャフト(9)を備え、
前記円筒シャフト(9)が、前記ガイドスロット(8)の対向壁(85、86)の間で、回転可能および平行移動可能に案内されることを特徴とする、
請求項1または2に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項8】
前記固定部材(2)の前記後方部(4)が、半径方向肩部(10)を備え、
前記半径方向肩部(10)が、前記固定部材(2)の前記長手方向軸(L)に沿って、前記膝蓋骨コンポーネント(3)のウェブ部(11)、好ましくは前記ガイドスロット(8)のウェブ部(11)に対して、しっかりと支持されていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項9】
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、前記固定部材(2)の前記後方部(4)および/または前記ガイドスロット(8)に動作的に接続されるロック機構(12、13)を備え、
前記ロック機構(12、13)によって、前記固定部材(2)と前記膝蓋骨コンポーネント(3)との間の相対的な運動をロックすることができることを特徴とする、
請求項1または2に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項10】
前記ロック機構(12、13)は、ねじ部材(12)と摩擦部材(13)とを備え、
前記ねじ部材(12)は、前記固定部材(2)の前記後方部(4)の端面(14)に前記摩擦部材(13)を押し付けるように前方-後方方向に調節可能であることを特徴とする、
請求項9に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項11】
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、前方の前記接触面(7)と後方の前記関節面(7)との間で長く延びる少なくとも1つのドリルガイド穴(16、17、18)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項12】
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、第1のドリルガイド穴(16)と、第2のドリルガイド穴(17)と、第3のドリルガイド穴(18)とを備え、
前記第1のドリルガイド穴、前記第2のドリルガイド穴、および前記第3のドリルガイド穴(16、17、18)が互いに対して、好ましくは120°だけ周方向にオフセットされていることを特徴とする、
請求項11に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項13】
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、ベースプレート(31)と、前記ベースプレート(31)に取り付けられるトップ部材(32)と、を備え、
前記ベースプレート(31)が、前記接触面(7)と、前記ガイドスロット(8)と、を備え、
前記トップ部材(32)が、前記関節面(6)を備えることを特徴とする、
請求項1または2に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【請求項14】
前記トップ部材(32)が、少なくとも1つのラッチ接続(22)によって前記ベースプレート(31)に取り付けられることを特徴とする、請求項13に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
膝蓋骨トライアルインプラント1の主な利点の1つは、最適位置を査定した後に、最終的な膝蓋骨インプラントを取り付けるための切除した膝蓋骨Pの準備を行えることである。以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載されている内容である。
(項目1)
膝蓋骨トライアルインプラント(1)であって、
後方部(4)と前方部(5)との間を延びる長手方向軸(L)を有する固定部材(2)であって、前記前方部(5)は、切除された膝蓋骨(P)に固定されるように構成されている、固定部材(2)と、
膝蓋骨コンポーネント(3)であって、
大腿骨表面と関節嵌合するように構成されている後方の関節面(6)と、
切除された前記膝蓋骨(P)と接触するように構成され、前記膝蓋骨コンポーネント(3)の前面(C)を画定する前方の接触面(7)と、
を有する、膝蓋骨コンポーネント(3)と、
を備え、
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、前記前面(C)と平行に長く延びる少なくとも1つのガイド軸(G1、G2、G3)を画定するガイドスロット(8)を備え、
前記固定部材(2)の前記後方部(4)が、前記ガイドスロット(8)に係合し、
前記膝蓋骨コンポーネント(3)と前記固定部材(2)とは、互いに対して、
少なくとも1つの前記ガイド軸(G1、G2、G3)に沿って平行移動可能であり、
前記固定部材(2)の前記長手方向軸(L)を中心として回転可能である、
膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目2)
少なくとも1つの前記ガイド軸(G1、G2、G3)が、前記前面(C)の内側-外側軸(ML)および上側-下側軸(SI)に非平行であることを特徴とする、項目1に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目3)
前記ガイドスロット(8)が、接合部(84)で相互接続され、それぞれのガイド軸(G1、G2、G3)に沿って長く延びる複数のスロットセクション(81、82、83)を備え、
前記固定部材(2)と前記膝蓋骨コンポーネント(3)とが、互いに対して、それぞれのガイド軸(G1、G2、G3)に沿って可動であることを特徴とする、項目1または2に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目4)
前記ガイドスロット(8)が、
第1のガイド軸(G1)に沿って長く延びる第1のスロットセクション(81)と、
第2のガイド軸(G2)に沿って長く延びる第2のスロットセクション(82)と、
第3のガイド軸(G3)に沿って長く延びる第3のスロットセクション(83)と、
を備え、
前記第1のガイド軸、前記第2のガイド軸、および前記第3のガイド軸(G1、G2、G3)が、互いに対して120°の角度で配置されていることを特徴とする、
項目3に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目5)
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、周方向に延びる歯形プロファイル(T)を備えた丸形、好ましくは円形の外側輪郭を有することを特徴とする、項目1から4のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目6)
前記関節面(6)が、前記ガイドスロット(8)の少なくとも1つの前記ガイド軸(G1、G2、G3)の向きを示す少なくとも1つの方向マーキング(19、20、21)、好ましくは矢印記号を備えることを特徴とする、項目1から5のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目7)
前記固定部材(2)の前記後方部(4)が、円筒シャフト(9)を備え、
前記円筒シャフト(9)が、前記ガイドスロット(8)の対向壁(85、86)の間で、回転可能および平行移動可能に案内されることを特徴とする、
項目1から6のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目8)
前記固定部材(2)の前記後方部(4)が、半径方向肩部(10)を備え、
前記半径方向肩部(10)が、前記固定部材(2)の前記長手方向軸(L)に沿って、前記膝蓋骨コンポーネント(3)のウェブ部(11)、好ましくは前記ガイドスロット(8)のウェブ部(11)に対して、しっかりと支持されていることを特徴とする、
項目1から7のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目9)
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、前記固定部材(2)の前記後方部(4)および/または前記ガイドスロット(8)に動作的に接続されるロック機構(12、13)を備え、
前記ロック機構(12、13)によって、前記固定部材(2)と前記膝蓋骨コンポーネント(3)との間の相対的な運動をロックすることができることを特徴とする、
項目1から8のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目10)
前記ロック機構(12、13)は、ねじ部材(12)と摩擦部材(13)とを備え、
前記ねじ部材(12)は、前記固定部材(2)の前記後方部(4)の端面(14)に前記摩擦部材(13)を押し付けるように前方-後方方向に調節可能であることを特徴とする、
項目9に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目11)
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、前方の前記接触面(7)と後方の前記関節面(7)との間で長く延びる少なくとも1つのドリルガイド穴(16、17、18)を備えることを特徴とする、項目1から10のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目12)
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、第1のドリルガイド穴(16)と、第2のドリルガイド穴(17)と、第3のドリルガイド穴(18)とを備え、
前記第1のドリルガイド穴、前記第2のドリルガイド穴、および前記第3のドリルガイド穴(16、17、18)が互いに対して、好ましくは120°だけ周方向にオフセットされていることを特徴とする、
項目11に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目13)
前記膝蓋骨コンポーネント(3)が、ベースプレート(31)と、前記ベースプレート(31)に取り付けられるトップ部材(32)と、を備え、
前記ベースプレート(31)が、前記接触面(7)と、前記ガイドスロット(8)と、を備え、
前記トップ部材(32)が、前記関節面(6)を備えることを特徴とする、
項目1から12のいずれかに記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
(項目14)
前記トップ部材(32)が、少なくとも1つのラッチ接続(22)によって前記ベースプレート(31)に取り付けられることを特徴とする、項目13に記載の膝蓋骨トライアルインプラント(1)。
【国際調査報告】