(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】分離機及び液体―固体混合物の精製方法
(51)【国際特許分類】
B04B 1/06 20060101AFI20241121BHJP
B04B 11/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B04B1/06
B04B11/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536064
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2022085075
(87)【国際公開番号】W WO2023110644
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133336.9
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516362920
【氏名又は名称】ジーイーエー ウエストファリア セパレーター グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フラッハ, アンドレー
(72)【発明者】
【氏名】ウルマン, デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】ハイマン, スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】シュトラーク, クリスティアン
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE02
4D057AF05
4D057BA14
4D057BC11
(57)【要約】
本発明は、回転可能なボウル(1)を有する遠心分離機に関し、該ボウル(1)は、バッチ処理中に、沈降固体および浮遊固体を含む液体―固体混合物を遠心力場中の固体から精製するように構成され、該ボウル(1)は、分離室(7)と、バッチ処理中に、精製された液体相(L)を分離室(7)から連続的に排出する液体排出部と、ボウルの異なる半径上に設けられた少なくとも2つの固体収集領域(20,21)とを備え、一方の固体収集領域は、第1のより軽い浮遊固体相(Sl)を収集するように用いられ、他方の固体収集領域は、第2のより重い沈降固体相(Sh)を収集するように用いられ、したがって、固体収集領域(20,21)は、関連するバッチが処理されている間、経時的に、関連する固体相(Sl、Sh)にて充填される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なボウル(1)を有する遠心分離機であって、該ボウル(1)は、バッチ処理中に、沈降固体及び浮遊固体を含む液体―固体混合物を遠心力場中の固体から精製するように構成され、
該ボウル(1)は、分離室(7)と、バッチ処理中に、精製された液体相(L)を分離室(7)から連続的に排出する液体排出部と、ボウルの異なる半径上に設けられた少なくとも2つの固体収集領域(20,21)とを備え、
そのうちの一方の固体収集領域は、第1のより軽い浮遊固体相(Sl)を収集するように機能し、他方の固体収集領域は、第2のより重い沈降固体相(Sh)を収集するように機能し、固体収集領域(20,21)は、関連するバッチが処理されている間、経時的に、関連する固体相(Sl、Sh)にて充填される、分離機。
【請求項2】
前記液体相は、中心半径上で前記分離室(7)から排出され、より軽い固体相(Sl)のための第1の固体収集領域(20)は、前記中心半径に対してより小さい半径上に位置し、前記より重い固体相(Sh)のための第2の固体収集領域(21)は、前記中心半径に対してより大きい半径上に位置することを特徴とする、請求項1に記載の分離機。
【請求項3】
前記分離室(7)内に、等価な清澄面を拡大させるための少なくとも1つの手段が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分離機。
【請求項4】
前記等価な清澄面を拡大させる手段は、ディスクパック(8)である、請求項3に記載の分離機。
【請求項5】
前記等価な清澄面を拡大させる手段は、リブ付きインサート(800)である、請求項3に記載の分離機。
【請求項6】
前記液体排出部が、分離ディスク(9)を含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の分離機。
【請求項7】
前記液体排出部は、1つ以上のチューブを備え、前記チューブの入口は、前記中心半径の領域に位置し、前記液体がチューブの入口を通って前記回転するボウルから導かれる、請求項1乃至6の何れか1項に記載の分離機。
【請求項8】
固定されたボウル(1)は、バッチが処理された後に固体相がボウル(1)から除去され得るように開放される、請求項1乃至7の何れか1項に記載の分離機。
【請求項9】
前記ボウル(1)が回転するとき、遠心処理中に固体を排出するための固体排出部が設けられていない、請求項1乃至8の何れか1項に記載の分離機。
【請求項10】
前記ボウル(1)は、下部領域で開くことができ、その結果、バッチの処理後に、固体相(Sh、Sl)及び残留液体が、容器への排出部を介してボウルから流出される、請求項8又は9に記載の分離機。
【請求項11】
前記液体排出部が、排出された液体相の密度を監視することができるセンサを有する、請求項1乃至10の何れか1項に記載の分離機。
【請求項12】
前記固体から沈降固体および浮遊固体を有する液体―固体混合物を遠心的に清澄化する、請求項1乃至11の何れか1項に記載の分離機の使用。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の分離機において、固体から沈降固体および浮遊固体を含む液体―固体混合物を、バッチ処理で遠心的に精製する方法であって、
分離機および液体-固体混合物のバッチを提供する工程であって、液体-固体混合物のバッチは、中程度の重い液体相(L)および浮遊固体を有するより軽い固体相(Sl)および沈降固体を有するより重い固体相(Sh)を有する工程であるステップ100と、
ボウル(1)を回転させ、ボウル(1)に液体―固体混合物を供給する工程であって、これにより、分離室(7)内で、、中程度の重い液体相(L)と浮遊固体を有するより軽い固体相(Sl)と沈降固体を有するより重い固体相(Sh)との間で遠心分離が行われ、その結果、より軽い固体相が、中程度の重い液体相によって分離室の中心に変位し、より重い固体相が、ボウル壁の内側の最も大きい直径の領域に流れ込む工程であるステップ200と、
少なくとも1つの第1の固体収集領域(20)において分離室の中心に軽い浮遊固体相(Sl)を集め、ボウル壁の内側の最大直径の領域にて第2の固体収集領域(21)に重い沈降固体相(Sh)を集める工程であるステップ300と、
バッチ処理後にボウル(1)を開き、開いたボウル(1)から固体を排出または除去する工程であるステップ400を含む、方法。
【請求項14】
固体がプラスチック粒子である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離機、およびそのような遠心分離機を用いて固体の液体―固体混合物を精製するための工程に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機は、様々な分離作業について先行技術から公知である。
例えば、ドイツ特許公開公報10 2005 021 331号は、三相分離機、およびそのような分離機を用いた三相分離のための方法を示し、ここでは、より重い液体相が、スロットルが割り当てられた出口を介して排出され、より軽い液体相が、ペアリングディスクによって排出される。固体は、固体出口ノズルを介して連続的に排出される。
【0003】
一方、ドイツ特許697 12 569号は清浄分離機を開示しており、軽い液体相はペアリングディスクにより、他の重い液体相は出口要素により外に運ばれ、この出口要素は駆動装置により押圧されて自由液面上の位置を変化させ、その結果、この相も動作中に常に排出され、この相における浸漬深さは、エネルギー消費を低減するために、可能であれば、一定に保たれるべきである。
【0004】
これらの分離機はすべて、特定の分離タスク用であることが証明されている。しかしながら、これらは、液体-固体の混合物を、中程度の重さの液体相(例えば、水)と、比較的軽い第1の固体相とそれよりも比較的重い第2の固体相とに精製および分離するのに適していないか、またはあまり適していない。
水を中程度の重さの液体相とする清澄機では、第1の固体相の比較的軽い固体は水面に浮き、第2の固体相の比較的重い固体が清澄機の底に沈む(沈降)。
【0005】
しかしながら、このような、浮遊固体と沈降固体の両方を含む液体―固体混合物の同時精製は、水域や水からのマイクロプラスチックの分離や分類など、さまざまな分離作業にとって興味深いものである。マイクロプラスチックは、一般に、サイズが5mm未満のプラスチック粒子として定義される。今日まで、遠心分離機は孤立したケースでしか使用されていない。
清澄工程のための他の技術も存在する。これらには、カスケード濾過または分画濾過(孔径が小さくなるように直列に接続されたフィルタ)、浮遊物質トラップまたは沈殿ボックス(迷路状に配置された沈殿室を持つ容器)、およびバッチモードで作動する遠心分離機が含まれる。
しかしながら、後者では、沈降固体のみを分離することができる。ドイツ特許1178014は、バッチモードで動作するこのような遠心分離機の例として挙げることができる。
【0006】
しかしながら、遠心分離技術を用いて密度の異なるプラスチック(ポリマー)の全範囲を検出するためには、沈降ポリマーと浮遊ポリマーの両方を検出する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、浮遊固体と沈降固体との液体―固体混合物を精製するのに特に適した遠心分離機を作製することである。さらに、浮遊固体と沈降固体の液体―固体混合物を精製するための適切な方法が創出される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1の(遠心)分離機および請求項13の方法によってこの問題を解決する。
【0009】
請求項1によれば、回転可能なボウルを有する分離機が提供され、前記ボウルは、バッチ処理中に、沈降固体および浮遊固体を含む液体-固体混合物を遠心力場中の固体から精製するように構成され、その結果、前記液体―固体混合物は、液体相と、浮遊固体の第1のより軽い固体相と、沈降固体の第2のより重い固体相とに分離することができ、前記ボウルは、分離室と、前記バッチ処理中に前記分離室から前記精製された液体相を連続的に排出する液体排出部と、前記ボウルの異なる半径に設けられた少なくとも2つの固体収集領域とを備え、そのうちの一方の固体収集領域は、第1のより軽い浮遊固体相を収集するように構成され、又は機能し、他方の固体収集領域が前記第2のより重い固体相を収集するように構成され、又は機能し、前記固体収集領域は、関連するバッチが処理されている間、経時的に関連する固体相で充填される。
【0010】
このような分離機は、第1の密度ρLを有する少なくとも1つの流動性相と、2つの異なった密度クラスρSl及びρShを有する少なくとも2つの固体相とを含有する生成物を精製するのに特に好都合である。2つの固体相は、好ましくは、異なる密度クラスρSl及びρShのプラスティック粒子を含有し、ρSl<ρL<ρShが当て嵌まる。より軽い固体相およびより重い固体相は、同様に、液体相よりも軽いかまたは重い、異なる密度の固体から構成され得る。より軽い固体相、液体相およびより重い液体相は、互いに分離され、別々に収集される。
【0011】
好ましいさらなる展開例によれば、ボウルは、液体相が中心半径上で分離室から排出されるように構成され、より軽い固体相のための第1の固体収集領域は、中心半径に対してより小さい半径上に位置し、より重い固体相のための第2の固体収集領域は、中心半径に対してより大きい半径上に位置する。このようにして、異なる密度の固体は、有利には、動作中にボウル内で半径方向にさらに内向きに、かつ半径方向にさらに外向きに収集され得る。
【0012】
等価な清澄面を増加させるための少なくとも1つの手段が分離室に形成されていれば、好ましく、有利であり、分離プロセスを支援する。
【0013】
等価な清澄面を増加させるための手段は、例えば、本質的に半径方向に延在するリブを有するディスクパックまたはリブ付きインサートとすることができる。
また、連続的な液体排出が行われる中心半径は、例えば、分離ディスクを用いて、または入口が中心半径の領域に位置し、液体が回転するボウルから導かれる1つ以上のチューブを用いて、種々の方法で実現することができる。
【0014】
有利なさらなる発展形態によれば、バッチが処理された後、かつボウルが静止しているときにボウルから固体相を除去することができるように、ボウルを開くことができる。この目的のために、ボウルを下部領域で開くことができ、バッチを処理した後、固体相および残留液体がボウルから排出部を介してコンテナ内に流出することができる場合に特に有用であると思われる。
【0015】
本発明はまた、固体から沈降固体及び浮遊固体を含む液体―固体混合物を遠心分離で清澄化するための、請求項の何れか1項に記載の分離機の使用を提供する。
【0016】
本発明はまた、以下の工程を含む、請求項の1つに記載の遠心分離機において固体から沈降固体および浮遊固体を含む、液体―固体混合物を遠心的に清澄化するための方法を提供する。
ステップ100
分離機および液体―固体混合物のバッチを提供する工程であって、液体―固体混合物のバッチは、中程度の重い液体相(L)および浮遊固体を有するより軽い固体相(Sl)および沈降固体を有するより重い固体相(Sh)を有する工程と、
ステップ200
ボウルを回転させ、ボウルに液体―固体混合物を供給する工程であって、これにより、分離室内で、、中程度の重い液体相と浮遊固体を有するより軽い固体相と沈降固体を有するより重い固体相との間で遠心分離が行われ、その結果、より軽い固体相が、中程度の重い液体相によって分離室の中心に変位し、より重い固体相が、ボウル壁の内側の最も大きい直径の領域に流れ込む工程と、
ステップ300
ディスクパックの中心またはリブの中心の少なくとも1つの第1の固体収集領域において分離室の中心に軽い浮遊固体相を集め、ボウル壁の内側の最大直径の領域において第2の固体収集領域に重い沈降固体相を集める工程と、
ステップ400
バッチ処理後にボウルを開き、開いたボウルから固体を排出または除去する工程。
固体はより厳密に検査されるか、または廃棄される。
【0017】
本発明による分離機および方法により、バッチまたはバッチ処理において、水からマイクロプラスチックを不連続的に分離することが可能であるが、特にこれに限定されない。この技術的解決策は、プラスチック及び/又はマイクロプラスチックから水及び廃水を精製するためにも使用することができる。
【0018】
マイクロプラスチック中に存在する個々のポリマーの比密度は大きく変化する。したがって、重力場での水(淡水では約1.0g/cm3、海水では1.02-1.03g/cm)とマイクロプラスチックの混合物では、沈降するマイクロプラスチック粒子(水中に沈む)と浮遊するマイクロプラスチック粒子(水中に浮遊する)を区別することができる。例示的なプラスチックタイプの典型的な密度範囲を以下の表に列挙する。
PE 0.917―0.965g/cm3
PP 0.900―0.910g/cm3
淡水 約1.0g/cm3 (参考)
海水 約1.02~1.03g/cm3(参考)
PS 1.040―1.100g/cm3
PA 1.020―1.050g/cm3
PVC 1.160―1.580g/cm3
PET 1.370―1.450g/cm3
【0019】
異なるポリマーを水試料から分離することができる本発明による分離機は、沈降(水より重い)および浮遊(水より軽い)粒子の両方を非常によく分離し、両粒子を互いに分離して収集することができる。
【0020】
分析のために、水試料は、バッチ処理またはバッチ処理操作で処理することができ、ここで、分離された粒子は、バッチ処理中に遠心分離機中に残り、バッチ処理の終了後に定量的に評価することができる。分離されたマイクロプラスチックをボウルから手動で除去した後、分離されたマイクロプラスチックの量を決定し、夫々のバッチで処理された水試料の体積と比較することができる。
【0021】
また、固体―液体混合物は、大きな固体を除去するために、ボウル1に供給される前に、粗いフィルタで予備濾過され得ることにも言及すべきである。これは、等価な清澄面を増加させる手段がディスクパックである場合に特に有用である。
本発明の有利な実施形態は、他の従属請求項に見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明は、例示的な実施形態によって図面を参照して以下により詳細に説明される。
【
図1】フードを有する本発明による第1のボウルの概略的に示す断面図である。
【
図2】フードを有する本発明による第2のボウルを概略的に示す断面図である。
【
図3】
図1からの分離機を断面図で示し、固体出口が補足されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、完全なシェルと、好ましくは半径R0上にある垂直に整列した回転軸Dを備えた回転可能なボウル1を示している。
【0024】
このボウル1は、第1の密度ρLの少なくとも1つの流動性相と、2つの異なった種類の密度のρSl及びρShを有する少なくとも1つの固体とを含む、固体の液体―固体混合物を精製するように構成されている。固体は、本質的に、異なる密度ρSl及びρShのポリマー微粒子(ラバー、プラスチック、ポリマー)であり得る。ρSl<ρL<ρShが適用される:。より軽い固体相Sl及びより重い固体相Shは、夫々液体相よりも軽く、液体相より重いという共通点を有する異なる密度の固体から構成される。
【0025】
ボウル内では、液体は、バッチ処理で、すなわちバッチごとに、密度クラスρSl及びρShの異なる2つの固体相によって遠心力場で精製される。夫々のバッチの処理中、液体相は、夫々のバッチの処理が終了するまで、ボウルから連続的に完全に排出される。他方、異なる密度の固体相は、本質的に、ボウル1内の2つの異なる固体収集領域20及び21において異なる半径上で収集され、夫々のバッチの処理中にボウル1のこれらの領域に残る。遠心処理中、このボウルの構成では、ボウルから固体を排出することはできない。
【0026】
このような遠心分離機のさらなる発展形態では、このようにして連続的な清澄操作を実現するために、操作中に適切な間隔で固体収集領域20及び21を空にすることが考えられる(自動排出遠心分離機)。
【0027】
より軽い固体相Slは、この相が液体相よりも軽いので、本質的に浮遊固体を含有する。一方、より重い固体相Shは、液体相より重い沈降固体を含有し、ここで、浮遊固体相Slおよび沈降固体相Shは、異なる密度の固体から構成される。液体相は、水、特に、検査または精製されるべき水塊の水であり得る。河川、湖、または海などの自然の水域に加えて、それはまた、洗濯機、PETリサイクルプラント、洗濯ライン、または他の廃水からの液体であり得る。
【0028】
夫々のバッチの処理の終了時に、ボウル1を開き、固体をボウル1から除去し、さらに検査するか、または任意に廃棄する。
【0029】
これを実施するために、
図1のボウル1は以下のように設計される。
ボウル1は、半径R0上に垂直に整列した回転軸Dを有する。
回転可能なボウル1は回転スピンドル2に取り付けられており、回転スピンドル2は、例えば直接またはベルトを介して駆動モータによって駆動される。回転スピンドル2はそれに応じて回転できるように取り付けられている。
【0030】
回転スピンドル2は、その上側及び/又は下側の円周領域を円錐形の構成とすることができる。回転スピンドル2はまた、中央円筒形セクションを有するのが好ましい。ボウル1は、ボウルと共に回転しない固定フード3によって取り囲まれる。
【0031】
有利には、二重円錐形のボウル1は、遠心分離される生成物Pのための生成物供給パイプ4を有し、それに分配器5が接続され、分配器は、少なくとも1つ以上の入口開口部6を備え、該入口開口部6を通して、入ってくる遠心分離された生成物が、ボウル1の内部へと分離室7へと供給される。供給物は、上から軸方向に又は下から軸方向にボウル1に供給される。
【0032】
ボウル1には、等価な清澄面を増大させるための装置が設けられていることが好ましい。これは、様々な方法で実現することができる。
【0033】
図1によれば、等価な清澄面を拡大するための装置は、好ましくは円錐形の分離ディスク81からなるディスクスタック8によって実現される。分離ディスク81は、半径R8まで延在する。
【0034】
しかしながら、
図2によれば、等価な清澄面を拡大するための装置は、リブ付きインサート800によって実現され、該リブ付きインサート800は分離室7内に円周方向に分布する半径方向リブ801を有するのが好ましい。リブ801は、半径R800まで延びる。
【0035】
生成物供給パイプ4は、上からボウル1内に垂直に案内されている。例えば下方からスピンドルを通る供給ラインも考えられる(図示せず)。
図1によれば、この構成は、出口開口部6が円錐形状の分離ディスク81からなるディスクスタック8のライザチャネル82の下方に配置されるようになっている。
【0036】
分離室7において、ボウル1が遠心力の結果として十分に速く回転するとき、液体-固体混合物は、中程度の密度の液体相Lと、比較的軽い、浮遊固体の固体相Slと、比較的重い、沈降固体の固体相Shとに分離される。
中程度の密度の液体相を排出するために、この液体相をボウルから排出するための装置が、分離室内の中心半径に設けられる。
【0037】
この装置は、様々な方法で実現することができる。
図1及び
図2によれば、液体相を排出する装置が分離ディスク9を備え、分離ディスクの外径は分離室7内にほぼ半径方向中央に突出するように寸法が決めされている。
【0038】
或いは、入口を有する1つまたは複数のチューブが、分離室7の中心にほぼ半径方向に突出して、ノズル分離機と同様に、この液体相を排出し、ボウルから半径方向に液体相を導くことができる。しかしながら、この変形例は、不利なことに、高いエネルギーを消費する。
【0039】
図1及び
図2において、ディスクパック8は、円錐形の分離ディスク9によって上部で閉じられ、該分離ディスク9はここでは、ディスクパック8よりも(僅かに)大きい直径を有する。
【0040】
平均密度ρLを有する液体相は、分離ディスク9を介して、ペアリングディスク11を備えた排出室10に供給される。ペアリングディスク11は、回転システムからボウルの外側の排水パイプ12に液体相Lを導く。ボウルからの自由な排出(例えばノズル)とは対照的に、液体の運動エネルギーの一部は、ペアリングディスクの助けを借りて、ポンプエネルギ(求心ポンプ)に変換することができる。また、分離室内での安定した動作挙動は、ペアリングディスクの出口に一定の向圧を設定することによっても達成することができる。
【0041】
したがって、ボウル1には、バッチの遠心処理中に夫々の固体相が排出され得る固体相排出部がない。この排出は、ボウル1が停止し、ボウル1が開かれた後にのみ行われる。
これにより、固体から液体を精製するために、沈降固体および浮遊固体を有する液体-固体混合物を以下のように遠心的に処理することができる:
【0042】
ステップ100
まず、ステップ100において、分離機が提供され、液体―固体混合物(好ましくはバッチ)が提供される。
【0043】
ステップ200
ボウル1を回転させ、ボウルに液体―固体混合物を供給する。これは、供給パイプ4及び分配器5を通って/を介して、分離室7に供給される。運転中、ボウル1が回転すると、中程度の重い液体相Lと浮遊固体を有するより軽い固体相Slと沈降固体を有するより重い固体相Shとの間の遠心分離が分離室7内で行われる。このようにして、ボウル1が回転すると、固体相Sl及びShから液体相Lが清澄化される。
【0044】
ステップ300
最も軽い物質(この場合は、浮遊固体Sl)は、遠心力場において中程度の重い液体相Lによって分離室7の中心に押し込まれる。浮遊固体のための出口は存在せず、その結果、これらの軽い固体は、分離室7の中心において、例えば中心軸18の周りで、少なくとも1つの第1の固体収集領域20に集まる。
【0045】
一方、重い沈降固体Shは、遠心力場において外側に流れる。重い沈降固体のための出口もないので、重い沈降固体は、ボウル1の内壁上の少なくとも1つの第2の固体収集領域21(ここでは、1つのセクションの内側で円筒形である)の最大直径の領域に押し込まれ、そこに残る。
この工程では、液体相L―好ましくは水塊からの水―が、ボウル1から液体相を排出するための装置に通される。
これは、バッチの処理中に液体相Lのみがボウルから出る一方で、浮遊固体および沈降固体Sl、Shがボウル内に残ることを意味する。
【0046】
ステップ400
バッチが処理された後、ボウル1を開くことができ、ボウル1内に蓄積された固体(ボウル1内で少なくとも2つの異なる密度クラスに分離されている)を、開いたボウル1から除去することができる。次いで、例えば、固体をさらに検査または廃棄することができる。
【0047】
したがって、液体―固体混合物は、固体ボウル分離機中のバッチで非常に有利に清澄化される。バッチは、ボウルの固体収集領域20、21が許容する限り、すなわち、まだ充填されない限り、作動される。液体相の終わりにセンサ(図示せず)を用いてチェックが実行される。センサが、液体相中の最大許容固体量を超えたことを検出するとすぐに、これは、一方または両方の固体収集領域が満杯であり、それ以上の固体を保持することができないことを意味する。その後、バッチの処理を停止しなければならない。
【0048】
バッチ処理の終了時に、ボウル1は停止され、開かれる。次いで、固体相Sl、Shをボウルから除去することができる。
この目的のために、一実施形態によれば、ボウルは、好ましくはボウル1の底部の領域で、分離点13でねじを緩めて上部14と下部15に分離することができ、分離された粒子、すなわち2つの固体相Sl、Shが一緒に、ボウル1内に残っている残留液体と共にボウルから流出することができる(
図3参照)。この流出した固体/液体混合物は、ボウルの下の排水部16を介して排出され、
図4に示されるように、コンテナ17に排出され、そこで収集される。
【0049】
図2によると、ディスクパック8は、円周方向に分布し、好ましくは半径方向に整列したリブ801を備えた、好ましくは星形のリブ付きインサート800で置き換えられる。この実施形態は、ディスクパック8と比較してより小さい等価な清澄面を有するが、不規則なサイズの固体粒子を収集するのにより適しており、特に、ディスクパックに生じ得る閉塞のリスクがさらに低減され、予備濾過を回避することができる。
次いで、ボウル1内、または翼インサート上、またはディスクパック内に残っている粒子は、コンテナ17内に手動で空けることができる。
【0050】
次いで、例えば、分離された粒子の量を決定し、このバッチにおいて分離機を通過した液体(水、廃水など)の体積と比較することができる。粒子の数および分離された粒子の総重量の両方を「量」として評価することができる。これは、粒子数/リットルおよび粒子重量/リットルの両方が決定され得ることを意味する。粒子の値は、浮遊粒子と沈降粒子の合計である。
【0051】
ボウル1を注意深く開くときに、沈降固体及び浮遊固体を別々に排出及び収集することも考えられる。
【符号の説明】
【0052】
符号一覧
ボウル 1
回転スピンドル 2
フード 3
生成物供給パイプ 4
分配器 5
出口開口部 6
分離室 7
ディスクパック 8
分離ディスク 81
ライザーチャネル 82
リブ付きインサート800
リブ 801
分離ディスク 9
排出室 10
ペアリングディスク 11
排出パイプ 12
分離点 13
上部 14
下部 15
排出部 16
コンテナ 17
シャフト 18
固体収集領域 20, 21
生成物 P
半径 R0
分離ディスクの外半径 R8
外側半径リブ R800
液体相 L
より重い固体相 Sh
より軽い固体相 Sl
回転軸 D
密度 ρL
密度クラス ρSl、ρSh
【国際調査報告】