(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】マイクロLED配列パネルの欠陥検出モデルを構築するための方法、画素欠陥を検出するための装置、およびデバイス
(51)【国際特許分類】
G06T 5/50 20060101AFI20241121BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241121BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G06T5/50
G06T7/00 600
G06T1/00 305A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536111
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 CN2021138833
(87)【国際公開番号】W WO2023108545
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520510771
【氏名又は名称】ジェイド バード ディスプレイ(シャンハイ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュイ, チェンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ユエ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リ, チーミン
【テーマコード(参考)】
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE08
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB09
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA04
5L096DA01
5L096EA12
5L096GA10
5L096GA51
(57)【要約】
マイクロLED配列の欠陥検出モデルを構築するための方法が提供される。該方法は、複数の露光プロセスによってマイクロLED配列の複数の部分パターン画像を取得することを少なくとも含み、それぞれの露光プロセスではマイクロLED配列の1つの部分パターン画像を得、複数の部分パターン画像を合わせてマイクロLED配列画像全体を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロLED画素配列の欠陥検出モデルを構築するための方法であって、
複数の露光プロセスによって前記マイクロLED配列の複数の部分パターン画像を取得するステップ1を少なくとも含み、
それぞれの露光プロセスでは前記マイクロLED配列の1つの部分パターン画像を得、前記複数の部分パターン画像を合わせてマイクロLED配列画像全体を形成する、方法。
【請求項2】
ステップ1は、
事前設定マイクロLEDパターン全体をN個の部分に分割することによってN個の事前設定部分パターンを取得するステップ101であって、Nは正の整数であり2以上である、N個の事前設定部分パターンを取得するステップ101と、
第1の事前設定部分パターンに従って前記マイクロLED配列における画素をオンにするステップ102と、
オンにした前記画素により前記マイクロLED配列を画像化することによって第1の部分パターン画像を取得するステップ103と、
ステップ102および103を繰り返して、第2の部分パターン画像、第3の部分パターン画像、…、および第Nの部分パターン画像を得るステップ104と
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ101では、各事前設定部分パターンにおいて、オンにされる必要がある1つの画素が、行方向にまた列方向にN個の画素ごとに配置され、各事前設定部分パターンにおいて、第(N+1)の行においてオンにされる必要がある第1の画素は、第Nの行においてオンにされる必要がある第1の画素と比較して、第2の方向に沿って1画素ずつ水平方向にずらされ、各事前設定部分パターンにおいてオンにされる必要がある前記画素は、N行ごとに繰り返される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第(N+1)の事前設定部分パターンの第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素は、第Nの事前設定部分パターンの第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素と比較して、前記第2の方向に沿って少なくとも1画素ずつ水平方向にずらされる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Nは3である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
それぞれの事前設定部分パターンは、前記第2の方向に沿って事前設定された間隔で画素の複数の第1の方向の平行線によって形成され、前記事前設定部分パターンは、第1の事前設定部分パターン、第2の事前設定部分パターン、…、および第Nの部分パターンを含み、第Nの事前設定部分パターンは、前記マイクロLED配列における各行または各列に沿って第(N-1)のパターンと比較してオンにされる必要がある前記画素を少なくとも1画素ずつずらすことによって取得される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の方向は前記第2の方向と異なっている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
それぞれの部分パターン画像に対応する部分パターン画像データを取得するステップ2と、
前記部分パターン画像データの全てを組み合わせることによってマイクロLED配列画像データ全体を取得するステップ3と、
前記マイクロLED配列画像データ全体を解析および処理することによって欠陥検出モデルを得るステップ4と
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップ4は、
前記マイクロLED配列画像データ全体から、事前設定された特徴に一致しない画素欠陥点を判定するステップ401と、
前記画素欠陥点に従って前記欠陥検出モデルを判定するステップ402と
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ401は、画素欠陥点を判定する前に、
前記マイクロLED配列画像データ全体に対する正規化処理を実行することであって、前記マイクロLED配列画像データ全体は画素のグレースケール値を含み、前記事前設定された特徴は画素のグレースケールレベルである、正規化処理を実行すること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ401において、前記事前設定された特徴はユーザ入力から取得された事前設定された閾値であり、前記正規化処理は、行ごとに前記マイクロLED配列画像データ全体のグレースケール分布を解析することを少なくとも含み、
前記ステップ401は、前記事前設定された特徴に従って画素の前記グレースケール値を正常タイプと異常タイプとに分類することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記異常タイプは、各々の前記事前設定された閾値に対応する、ドット落ち、暗画素、および明るすぎる画素を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記異常タイプは、死角、カットオフライン、暗線、暗領域、明るすぎるライン、および明るすぎる領域をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記マイクロLED配列画像データに従って前記マイクロLED配列の欠陥パターン全体を表示するステップ05をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ05は、
前記欠陥検出モデルに従って表示画面上に前記マイクロLED配列の画素グレースケール値および欠陥画素を表示すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ05では、前記欠陥画素を着色することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ステップ3では、前記マイクロLED配列画像データ全体が得られた後、
前記マイクロLED配列画像データ全体に従ってマイクロLEDパターン画像を表示すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
ステップ1において、それぞれの部分パターン画像は二値画像またはグレースケール画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ステップ2において、前記部分パターン画像データはグレースケール画像データである、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記ステップ1において、前記部分パターンのそれぞれは、前記マイクロLEDパターン全体の1/Nである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
マイクロLED配列パネルの画素欠陥を検出するための装置であって、
複数の露光プロセスによってマイクロLED配列の複数の部分パターン画像を取得するように構成された画像収集モジュールと、
前記マイクロLED配列の画素のオンまたはオフを制御するように構成されたマイクロLED制御モジュールと、
前記複数の部分パターン画像に従って複数の部分パターン画像データを取得し、および前記複数の部分パターン画像データの全てを組み合わせることによってマイクロLED配列画像データ全体を取得するように構成された画素欠陥データ処理モジュールと、
前記マイクロLED配列画像データ全体を解析および処理することによって欠陥検出モジュールを得るように構成された画素欠陥判定モジュールと
を備える、装置。
【請求項22】
メモリおよびプロセッサを備える電子デバイスであって、
前記メモリを使用して少なくとも1つのコンピュータ命令を記憶し、
前記プロセッサは、請求項1に記載の方法を実行するために前記メモリと結合される、電子デバイス。
【請求項23】
サーバに請求項1に記載の方法を実行させるための、前記サーバの1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である命令のセットを記憶する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、発光ダイオードの技術分野に関し、より詳細には、マイクロ発光ダイオード(LED)配列パネルの画素欠陥を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
面積が格段に小さくなり解像度が高くなったマイクロLEDは、世界で人気が高くなっている。マイクロLED配列パネルを使用して、カメラモジュール、投光モジュール、表示モジュール、およびVR/AR光モジュールなどの様々な種類のデバイスを形成することができる。
【0003】
しかしながら、マイクロLED配列パネルによって表示される発光領域および画像は以前よりはるかに小さくなっているため、従来の方法によって画素欠陥を検出し識別することは容易ではない。よって、操作者は、マイクロLEDパネルの様々なパターンを表示するグラフィカルユーザインターフェースを通してウエハ、チップ、およびマスクを精査してパターン欠陥を識別する必要がある。
【0004】
残念ながら、マイクロLED配列パネルのパターン欠陥は、従来の方法によってはパターンにおいて明確に表示できない。
【0005】
上記の内容は、本願の技術的解決策の理解を助けるためだけに使用されるものであり、上記が先行技術であると認めることにはならない。
【発明の概要】
【0006】
上記の欠点を克服するために、本開示は、マイクロLED配列パネルの欠陥検出モデルを構築するための方法を提供することで、マイクロLED配列パネルの画素検出精度を改善する。
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示は、マイクロLED配列の欠陥検出モデルを構築するための方法であって、少なくとも、
複数の露光プロセスによってマイクロLED配列の複数の部分パターン画像を取得するステップ1を含み、
それぞれの露光プロセスではマイクロLED配列の1つの部分パターン画像を得、複数の部分パターン画像を合わせてマイクロLED配列画像全体を形成する方法を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、ステップ1は、
事前設定マイクロLEDパターン全体をN個の部分に分割することによってN個の事前設定部分パターンを取得するステップ101であって、Nは正の整数であり2以上である、N個の事前設定部分パターンを取得するステップ101と、
第1の事前設定部分パターンに従ってマイクロLED配列における画素をオンにするステップ102と、
オンにした画素によりマイクロLED配列を画像化することによって第1の部分パターン画像を取得するステップ103と、
ステップ102および103を繰り返して、第2の部分パターン画像、第3の部分パターン画像、…、および第Nの部分パターン画像を得るステップ104とをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、ステップ101において、各事前設定部分パターンにおいて、オンにされる必要がある1つの画素が、行方向および列方向にN個の画素ごとに配置され、各事前設定部分パターンにおいて、第(N+1)の行においてオンにされる必要がある第1の画素は、第Nの行においてオンにされる必要がある第1の画素と比較して、第2の方向に沿って1画素ずつ水平方向にずらされ、各事前設定部分パターンにおいてオンにされる必要がある画素は、N行ごとに繰り返される。
【0010】
いくつかの実施形態では、第(N+1)の事前設定部分パターンの第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素は、第Nの事前設定部分パターンの第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素と比較して、第2の方向に沿って少なくとも1画素ずつ水平方向にずらされる。
【0011】
いくつかの実施形態では、それぞれの事前設定部分パターンは、画素の複数の第1の方向の平行線によって形成され、第2の方向に沿って事前設定された間隔で配置され、事前設定部分パターンは、第1の事前設定部分パターン、第2の事前設定部分パターン、…、および第Nの事前設定部分パターンを含み、第Nの部分パターンは、マイクロLED配列における各行または各列に沿って第(N-1)のパターンと比較してオンにされる必要がある画素を少なくとも1画素ずつずらすことによって取得される。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の方向は第2の方向と異なっている。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、
それぞれの部分パターン画像に対応する部分パターン画像データを取得するステップ2と、
部分パターン画像データの全てを組み合わせることによってマイクロLED配列画像データ全体を取得するステップ3と、
マイクロLED配列画像データ全体を解析しかつ処理することによって欠陥検出モデルを得るステップ4とさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、ステップ4は、マイクロLED配列画像データ全体から、事前設定された特徴に一致しない画素欠陥点を判定するステップ401と、
画素欠陥点に従って欠陥検出モデルを判定するステップ402とをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、ステップ401は、画素欠陥点を判定する前に、マイクロLED配列画像データ全体に対する正規化処理を実行することであって、マイクロLED配列画像データ全体は画素のグレースケール値を含み、事前設定された特徴は画素のグレースケールレベルである、正規化処理を実行することをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、ステップ401において、事前設定された特徴はユーザ入力から取得された事前設定された閾値であり、正規化処理は、行ごとにマイクロLED配列画像データ全体のグレースケール分布を解析することを少なくとも含み、
ステップ401は、事前設定された特徴に従って画素のグレースケール値を正常タイプと異常タイプとに分類することをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、異常タイプは、各々の事前設定された閾値に対応する、ドット落ち、暗画素、および明るすぎる画素を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、異常タイプは、死角、カットオフライン、暗線、暗領域、明るすぎるライン、および明るすぎる領域をさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、マイクロLED配列画像データに従ってマイクロLED配列の欠陥パターン全体を表示するステップ05をさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、ステップ05は、欠陥検出モデルに従って表示画面上にマイクロLED配列の画素グレースケール値および欠陥画素を表示することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、ステップ05は、欠陥画素を着色することをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、ステップ3では、マイクロLED配列画像データ全体が得られた後、マイクロLED配列画像データ全体に従ってマイクロLEDパターン画像を表示することをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、ステップ1において、それぞれの部分パターン画像は二値画像またはグレースケール画像である。
【0024】
いくつかの実施形態では、ステップ2において、部分パターン画像データはグレースケール画像データである。
【0025】
いくつかの実施形態では、ステップ1において、部分パターンのそれぞれは、マイクロLEDパターン全体の1/Nである。
【0026】
上記の目的を達成するために、本開示は、マイクロLED配列パネルの画素欠陥を検出するための装置であって、
複数の露光プロセスによってマイクロLED配列の複数の部分パターン画像を取得するように構成された画像収集モジュールと、
マイクロLED配列の画素のオンまたはオフを制御するように構成されたマイクロLED制御モジュールと、
複数の部分パターン画像に従って複数の部分パターン画像データを取得し、かつ複数の部分パターン画像データの全てを組み合わせることによってマイクロLED配列画像データ全体を取得するように構成された画素欠陥データ処理モジュールと、
マイクロLED配列画像データ全体を解析しかつ処理することによって欠陥検出モジュールを得るように構成された画素欠陥判定モジュールとを備える装置をさらに提供する。
【0027】
上記の目的を達成するために、本開示は、メモリおよびプロセッサを備える電子デバイスをさらに提供し、
メモリを使用して少なくとも1つのコンピュータ命令を記憶し、
プロセッサは、前述を実行するためにメモリと結合される。
【0028】
上記の目的を達成するために、本開示は、サーバに前述の方法を実行させるための、サーバの1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である命令のセットを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体をさらに提供する。
【0029】
以下の詳細な説明および添付の図面によって、本開示の多くの他の利点および特徴についてさらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の一実施形態によるマイクロLED配列パネルの欠陥検出モデルを構築するための方法のフローチャートである。
【
図2】本開示の一実施形態による
図1のステップ1のフローチャートである。
【
図3】本開示の一実施形態によるマイクロLED配列の複数の部分パターンを示す概略図である。
【
図4】本開示の別の実施形態によるマイクロLED配列の複数の部分パターンを示す概略図である。
【
図5】本開示の一実施形態によるマイクロLED配列パネルの画素欠陥を検出するための装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、本開示をさらに理解してもらうために事前設定の好ましい実施形態を詳細に参照する。論じられる特定の実施形態および添付の図面は単に、本開示を作成および使用する特定のやり方を示しているに過ぎず、本開示の範囲または添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0032】
図1および
図2を参照すると、実施形態によるマイクロLED配列パネルの欠陥検出モデルを構築するための方法は、以下のステップを含む。
【0033】
ステップ1では、複数の露光プロセスによってマイクロLED配列パネルにおけるマイクロLED配列の複数の部分パターン画像を取得し、それぞれの露光プロセスではマイクロLED配列の1つの部分パターンを得る。
【0034】
ここで、ステップ1において、複数の部分パターン画像は、二値画像またはグレースケール画像であってよい。さらに、部分パターン画像のそれぞれは、別の実施形態では、マイクロLEDパターン全体の1/Nであり、ここで、Nは正の整数であり2以上である。
【0035】
マイクロLED配列パネルは自発光マイクロパネルであることに留意されたい。パネルにおけるLEDは、有機LEDまたは無機LEDであってよい。マイクロLED配列パネルの発光領域は、3mm*5mmなど、非常に小さい。発光領域はマイクロLED配列の領域であることに留意されたい。マイクロLED配列パネルは、1600×1200、680×480、1920×1080などの画素配列を形成するマイクロLED配列を含む。マイクロLEDの直径は、200nm~2μmの範囲にある。ICバックプレーンは、マイクロLED配列の裏面に形成され、マイクロLED配列と電気的に接続される。ICバックプレーンは、対応するマイクロLEDが光を発するように制御するために信号線を介して外側から画像データなどの信号を取得する。ICバックプレーンでは、一般的に、8ビットのデジタル/アナログ変換器(DAC)を用いる。8ビットのDACは、256の現象レベルを有し、それぞれのレベルは1つのグレーレベルに対応し、すなわち、8ビットのDACは256の異なるグレーレベルを提供し得る。256のグレーレベルのうちのいずれか1つがマイクロLEDに対して適用され得るため、0~255の範囲のグレーレベルが1画素ずつ表示され得る。オプションとして、マイクロLEDの輝度値は、ICバックプレーンによって取得された信号の電圧振幅または電流振幅によって制御可能であるが、グレーレベルは、信号の時間間隔、例えばパルス幅によって示され得る。
【0036】
ステップ1は以下のステップをさらに含む。
【0037】
ステップ101では、事前設定マイクロLEDパターン全体をN個の部分に分割することによってN個の事前設定部分パターンを取得し、Nは正の整数であり2以上である。
【0038】
N個の事前設定部分パターンのそれぞれのパターンは、事前設定されたマイクロLEDパターン全体の1区分を含み、事前設定されたマイクロLEDパターン全体は、N個の事前設定部分パターンの全てを重ね合わせることによって形成される。
【0039】
3個の事前設定部分パターンを示す
図3を参照すると、各事前設定部分パターンにおいて、それぞれの白のボックスはオンにされる必要がある画素を表す。各事前設定部分パターンにおいて、オンにされる必要がある1つの画素が、ある行方向にまたはある列方向にN個の画素ごとに配置される。そして、各事前設定部分パターンにおいて、第(N+1)の行においてオンにされる必要がある第1の画素は、第Nの行においてオンにされる必要がある第1の画素と比較して、第2の方向に沿って(例えば、左から右へ)1画素ずつ水平方向にずらされる。さらに、各事前設定部分パターンにおいてオンにされる必要がある画素は、N行ごとに繰り返される。
【0040】
さらに、第(N+1)の事前設定部分パターンの第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素は、第Nの事前設定部分パターンの第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素と比較して、第2の方向に沿って(例えば、左から右へ)少なくとも1画素ずつ水平方向にずらされる。事前設定部分パターンは任意の順序で配置可能であり、事前設定部分パターンの位置は選択的に変更可能であることに留意されたい。事前設定されたマイクロLEDパターン全体は、画素のN個の事前設定部分パターンを重ね合わせることによって形成可能である。
【0041】
さらに、実施形態において画素欠陥を検出するとき、広範な検出で見落としがないことを確実にするために、検出効率および検出効果を考慮して、Nには、好ましくは、3、または3の任意の倍数が選択されることに留意されるべきである。
【0042】
例えば、オンにされる必要がある画素は、各行におよび各列に3個の画素ごとに配置される。そして、各事前設定部分パターンにおいて、第2の行においてオンにされる必要がある第1の画素は、第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素と比較して、第2の方向に沿って(例えば、左から右へ)1画素ずつ水平方向にずらされ、第3の行においてオンにされる必要がある第1の画素は、第2の行においてオンにされる必要がある第1の画素と比較して、第2の方向に沿って(例えば、左から右へ)1画素ずつ水平方向にずらされるなど行われる。また、各事前設定部分パターンにおいてオンにされる必要がある画素は、3行ごとに繰り返される。さらに、第2の事前設定部分パターンの第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素は、第1の事前設定部分パターンの第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素と比較して、第2の方向に沿って(例えば、左から右へ)少なくとも1画素ずつ水平方向にずらされ、第3の事前設定部分パターンの第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素は、第2の事前設定部分パターンの第1の行においてオンにされる必要がある第1の画素と比較して、第2の方向に沿って(例えば、左から右へ)少なくとも1画素ずつ水平方向にずらされる。
【0043】
それぞれの事前設定部分パターンにおけるパターンは、画素の複数の第1の方向の平行線によって形成され、複数の第1の方向の平行線は第2の方向に沿って事前設定された間隔で配置され、事前設定部分パターンは、第1の事前設定部分パターン、第2の事前設定部分パターン、…、および第Nの事前設定部分パターンを含み、第Nの事前設定部分パターンは、マイクロLED配列における各行または各列に沿って第(N-1)の事前設定部分パターンと比較してオンにされる必要がある画素を少なくとも1画素ずつずらすことによって取得される。
【0044】
さらに、第1の方向は第2の方向と異なっている。好ましくは、Nは3であり、事前設定された間隔は2画素であり、またはNは2であり、事前設定された間隔は1画素である。
図3に示される実施形態では、事前設定部分パターンは、第1の事前設定部分パターン、第2の事前設定部分パターン、および第3の事前設定部分パターンを含む。
図3を参照すると、第1の事前設定部分パターン、第2の事前設定部分パターン、および第3の事前設定部分パターンは、左から右の順に配置され、白のボックスはオンにされる必要がある画素を表す。
図3において、大きなボックスのそれぞれのボックスは事前設定部分パターンを表す。より大きいボックスにおける複数のより小さいボックスのそれぞれのボックスは、事前設定マイクロLEDパターンの画素を表す。事前設定された第1の部分パターンは、白のボックスによって形成された複数の平行線を含む。
【0045】
平行線は、事前設定マイクロLEDパターンにおいて任意の方向に沿ったものであり得、例えば、平行線は、事前設定マイクロLEDパターンにおいて、行方向に沿って、列方向に沿って、もしくは斜め方向に沿って、または任意の他の方向に沿って形成可能であることに留意されたい。好ましくは、第1の方向が行方向に沿ったものであるとき、第2の方向は列方向に沿ったものであり、換言すれば、平行線は垂直方向に下に向かっており、または、第1の方向が列方向に沿ったものであるとき、第2の方向は行方向に沿ったものであり、換言すれば、平行線は水平方向にずらされ、または、第1の方向が行方向以外の任意の方向に沿ったものであるとき、第2の方向は行方向に沿ったものであり、換言すれば、平行線は水平方向にずらされる。
【0046】
ここで、
図3を参照すると、一例として、第1の方向は大きなボックスの斜め方向に沿ったものである。第1の事前設定部分パターンは、大きなボックスにおける対角線、および行方向に沿った2画素の間隔で対角線に平行な他の線を含む。
図3において、第2の事前設定部分パターンの平行線は、第1の事前設定部分パターンの平行線と比較して行方向に沿って1画素ずらされ、第3の事前設定部分パターンの平行線は、第2の事前設定部分パターンの平行線と比較して行方向に沿って1画素ずらされる。よって、第1の事前設定部分パターン、第2の事前設定部分パターン、および第3の事前設定部分パターンは、事前設定されたマイクロLEDパターン全体を形成するために重ね合わせられ得る。
【0047】
図4を参照すると、別の実施形態では、
図4における第1の事前設定部分パターンは、
図3における第1の事前設定部分パターンと同じである。
図3のパターンと
図4のパターンとの相違は以下になる。
【0048】
図4における第2の事前設定部分パターンは
図3における第3の事前設定部分パターンであり、
図4における第3の事前設定部分パターンは
図3における第2の事前設定部分パターンである。換言すれば、事前設定部分パターンは任意の順序で配置可能である。
【0049】
ここで、画素は、ICシステムなどの制御システムの制御下でオンにされる。画素は、第1の事前設定部分パターンから第Nの事前設定部分パターンの順で、事前設定部分パターンに従ってオンにされる。詳細な手順については、以下のように説明可能である。
【0050】
ステップ102では、第1の事前設定部分パターンに従ってマイクロLED配列パネルにおける画素をオンにする。
【0051】
ここで、画素は、第1の事前設定部分パターンに従って、ICシステムなどの制御システムの制御下でオンにされる。画素は暗室または任意の環境においてオンにされ得ることに留意されたい。
【0052】
ステップ103では、オンにされた画素によりマイクロLED配列を画像化することによって第1の部分パターン画像を取得する。
【0053】
ここで、第1の事前設定部分パターンに従って画素がオンにされるマイクロLED配列は、光学モジュール(例えば、電荷結合素子(CCD)カメラ)によって画像化されて第1の部分パターン画像を形成する。光学モジュールが画像化しているとき、非稼働状態で画素欠陥を有する画素がいくつかあり、これらの画素は画像光を発することができない。その結果、第1の部分パターン画像において、画素欠陥を有する画素の輝度は、理論上の欠陥のない画素の輝度と異なる。この輝度差を得るために、この実施形態では、相対的に単一の輝度を有する二値パターンを使用して、事前設定されたマイクロLEDパターン全体を、第1の現在の部分パターン画像が形成されることに基づいて形成する。二値パターンにおける画素は2種類の輝度のみを有し、画像化後の輝度差は明確になり、これは、画素の輝度に従って画素欠陥を検出する際に有利である。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1の部分パターン画像は二値画像であり得る。二値画像における画素は、2種類の輝度、例えば、黒または白のみを有する。
【0055】
いくつかの他の実施形態では、第1の部分パターン画像はグレースケール画像であってよい。グレースケールカメラを直接使用して第1の現在の部分パターンに従ってマイクロLED配列における画素をオンにすることによって得られる画像を収集し、次いで、グレースケール画像を得ることができ、またはカラーカメラを使用して撮影した後、得られた画像をグレー化するが、この実施形態ではこれらに限定されない。
【0056】
二値画像とは異なり、グレースケール画像は、黒、白、および黒と白との間の多数の異なるグレーレベルを含む。グレーレベルは、第1の部分パターン画像の輝度を表すことができ、例えば、白は最も明るいことを意味し、黒は最も暗いことを意味する。従って、グレースケールの第1の部分パターン画像に示される画素の輝度に基づいて、マイクロLED配列におけるどの画素が画像光を発しないかを判定することができる。第1の部分パターンを定義するために「第1」を使用することは、説明の便宜上に過ぎず、本開示にいずれの限定も与えるものではないことは理解されるべきである。
【0057】
ステップ104では、ステップ102および103を繰り返して、第2の部分パターン画像、次いで第3の部分パターン画像、…、および第Nの部分パターン画像を得る。ここで、好ましくは、Nはこの実施形態では3である。
【0058】
ステップ2では、それぞれの部分パターン画像に対応する部分パターン画像データを取得する。
【0059】
ここで、部分パターン画像データは、部分パターン画像データにおけるそれぞれの画素のデータを含む。ステップ2において、ステップ1で上述されるように、部分パターン画像データは二値画像データまたはグレースケール画像データであってよい。
【0060】
ステップ3では、部分パターン画像データの全てを組み合わせることによってマイクロLED配列画像データ全体を取得する。
【0061】
マイクロLED配列画像データ全体は、マイクロLED配列画像全体におけるそれぞれの画素のデータを含む。
【0062】
例えば、マイクロLED配列画像データ全体における画素のデータは、部分パターン画像データの全ての対応する画素のデータを組み合わせることによって得られる。
図3を例として、マイクロLED配列画像データ全体の最上行における最左画素のグレースケール値は、第1の部分パターン画像データの最上行における最左画素の第1のグレースケール値、第2の部分パターン画像データの最上行における最左画素の第2のグレースケール値、および第3の部分パターン画像データの最上行における最左画素の第3のグレースケール値を合計することによって得られる。
【0063】
ここで、ステップ3では、マイクロLED配列画像データ全体が得られた後、マイクロLED配列画像データ全体に従ってマイクロLEDパターン画像を表示することをさらに含む。マイクロLEDパターン画像はグレースケール画像である。
【0064】
ステップ4では、マイクロLED配列画像データ全体を解析および処理することによって欠陥検出モデルを得る。
【0065】
ここで、ステップ4は以下のステップをさらに含む。
【0066】
ステップ401では、マイクロLED配列画像データ全体の事前設定された特徴に一致しない画素欠陥点を判定する。
【0067】
ここで、ステップ401では、画素欠陥点を判定する前に、マイクロLED配列画像データ全体に対する正規化処理を実行することをさらに含み、マイクロLED配列画像データは画素のグレースケール値を含み、事前設定された特徴はそれぞれの画素の事前設定されたグレースケールレベルである。
【0068】
さらに、ステップ401では、事前設定された特徴はユーザ入力から取得された事前設定された閾値であり、正規化処理は少なくとも、行ごとにマイクロLED配列画像データ全体のグレースケール分布を解析することを含む。
【0069】
事前設定された特徴とグレースケール差がある画素欠陥は、グレースケール分布に基づいて判定される。ステップ401において、グレースケール分布は、マイクロLED配列のグレースケール画像データの輝度変化である。行ごとにグレースケール画像データのグレー分布を解析するとき、Roberts cross演算子、Prewitt演算子、Sobel演算子、Kirsch演算子、コンパス演算子、Canny演算子、および/またはラプラス演算子などのエッジ検出演算子を使用して、グレースケール画像データのそれぞれの画素の行においてより大きい輝度変化を有する画素を検出し、それぞれの画素の行における境界上に位置する画素としてそれらを使用することができる。
【0070】
ステップ401は、事前設定された特徴に従って画素グレースケール値を正常タイプと異常タイプとに分類することをさらに含み、異常タイプは、各々の事前設定された閾値に対応する、ドット落ち、暗画素、および明るすぎる画素を含む。事前設定された閾値は、第1の閾値および第2の閾値などのいくつかの閾値を含む。例えば、ゼロのような閾値は死点であり、第1の閾値を下回る画素値は暗点であり、第1の閾値と第2の閾値との間の画素値は基準点であり、第2の閾値を上回る画素値は明るすぎる点である。様々な事前設定された閾値は経験値であることに留意されたい。8ビットの画像を例として、第1の事前設定された閾値は40であり得、第2の設定閾値は60であり得る。当然ながら、上記の値は例に過ぎず、実際にはこれらに限定されない。
【0071】
ステップ402では、画素欠陥点に従ってマイクロLED配列パネルの欠陥検出モデルを判定する。
【0072】
さらに、欠陥検出モデルは、それぞれの画素に対応する異なる画素タイプを含む。異常タイプは、死角、カットオフライン、暗線、暗領域、明るすぎるライン、および明るすぎる領域をさらに含む。マイクロLED配列全体のグレースケール画像上の画素欠陥点を判定した後、欠陥点で構成される画素欠陥領域または画素欠陥線の少なくとも1つの輪郭は、マイクロLED配列全体のグレースケール画像におけるそれぞれの画素欠陥点の座標に従って判定可能である。
【0073】
欠陥領域または欠陥線が特定のグレースケール特徴を有し、グレースケール特徴がグレースケール画像のグレースケールレベルと関連付けられることは理解され得ることである。欠陥領域の画素の輝度は同じグレースケールに近いまたは等しい、例えば、黒に近いまたは20を下回るグレースケール値に近い。
【0074】
ステップ05では、マイクロLED配列画像データに従ってマイクロLED配列パネルの欠陥パターン全体を表示する。
【0075】
ここで、ステップ05は、さらに以下:欠陥検出モデルに従って表示画面上にマイクロLED配列パネルの画素グレースケール値および欠陥画素を表示する、ステップを含む。
【0076】
ここで、画素グレースケール値を有する欠陥画素は表示画面上に表示される。さらに、ステップ05は、欠陥画素を着色し、着色された画素欠陥を表示画面上に示すことをさらに含む。ここで、欠陥画素は、暗い、ドット落ち、明るすぎるなどの異なるタイプの欠陥を含む。よって、異なる欠陥画素の色は互いに異なっているが、同じ欠陥タイプを有する欠陥画素の色は同じである。
【0077】
図5を参照すると、本開示の実施形態において、マイクロLED配列パネルの画素欠陥を検出するための装置がさらに提供される。該装置は、
複数の露光プロセスによってマイクロLED配列の複数の部分パターン画像を取得するように構成された画像収集モジュールと、
マイクロLED配列における画素のオンまたはオフを制御するように構成されたマイクロLED制御モジュールと、
部分パターン画像データを取得し、かつ部分パターン画像データの全てを組み合わせることによってマイクロLED配列画像データ全体を取得するように構成された画素欠陥データ処理モジュールと、
マイクロLED配列画像データ全体を解析しかつ処理することによって欠陥検出モードを得るように構成された画素欠陥判定モジュールとを備える。
【0078】
ここで、画素欠陥データ処理モジュールは、具体的に、前述のステップ1を行うように構成され、これについて、ここではこれ以上説明することはない。
【0079】
さらに、実施形態では、メモリおよびプロセッサを備える電子デバイスが提供される。ここで、メモリを使用して少なくとも1つのコンピュータ命令を記憶し、プロセッサは、前述の方法を実行するためにメモリと結合される。
【0080】
実施形態において、非一時的なコンピュータ可読媒体がさらに提供される。該媒体は、サーバに前述の方法を実行させるための、サーバの1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である命令のセットを記憶する。
【0081】
上記の説明は本開示の実施形態に過ぎず、本開示はこれらに限定されない。本開示の概念および原理から逸脱することなくなされた修正、等化の置換、および改善は、本開示の保護範囲内にあるものとする。
【国際調査報告】