(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】船体用掃除ブラシ
(51)【国際特許分類】
B63B 59/06 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B63B59/06 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536177
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 KR2022020655
(87)【国際公開番号】W WO2023113566
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0181518
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0054077
(32)【優先日】2022-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517161566
【氏名又は名称】タスグローバル カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イ、ドン ウク
(57)【要約】
本発明は、船体用掃除ブラシに関し、本発明に係る船体用掃除ブラシは、船体表面の汚れを除去するための船体用掃除ブラシであって、母材と、前記母材の下端部に結合され、母材の外側から突出する固定突起が形成された固定部と、前記母材に結合された固定部が挿入される少なくとも1つの固定溝を有し、回転する回転体部と、を備え、前記母材は、交換可能であることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体表面の汚れを除去するための船体用掃除ブラシであって、
母材と、
前記母材の下端部に結合され、母材の外側から突出する固定突起が形成された固定部と、
前記母材に結合された固定部が挿入される少なくとも1つの固定溝を有し、回転する回転体部と、を備え、前記母材が、交換可能であることを特徴とする船体用掃除ブラシ。
【請求項2】
前記回転体部が、ディスク状に形成され、前記母材に結合された固定部は、前記母材がディスク上面から突出するように、ディスクの側面から半径方向内側に挿入され、前記固定溝が、前記回転体部の側面部と上面が開放されている形状に形成されている、請求項1に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項3】
前記回転体部が、円筒状に形成され、前記母材に結合された固定部は、前記母材が円筒の外側面から突出するように、前記円筒の上下面のいずれかの一面から円筒の高さ方向に挿入され、前記固定溝が、前記回転体部の円筒の上下面の少なくともいずれか1つの片面縁と外側面が解放されている形状に形成されている、請求項1に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項4】
前記固定溝が、前記母材に結合された固定部の挿入方向に前記固定突起が挿入される固定突起挿入溝と、前記母材の下端部が挿入される母材挿入溝とで十字状に形成されている、請求項1に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項5】
前記母材が、ブロック状に形成されているか、あるいは複数の板材を重ねて形成されている、請求項1に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項6】
前記母材の下端部には、少なくとも1つの貫通孔が形成され、前記固定部が前記孔に挿入されて、前記孔の両側から突出する固定突起が形成されている、請求項5に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項7】
前記固定部が、
棒状の第1のフレームと、前記第1のフレームと直交する方向に延び、前記孔に挿入されて前記母材の外側から突出する少なくとも1つの棒状の第2のフレームとから形成されている、請求項6に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項8】
前記母材が、ポリウレタンまたはナイロン系列のいずれかから形成されている、請求項5に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項9】
対称に折り曲げられた形状の母材と、前記母材の折り曲げられた下端部を囲むリムと、前記母材の折り曲げられた内側を押圧する芯とを含むストリップブラシをさらに備え、
前記固定部が、前記ストリップブラシの下端部に結合される、請求項1に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項10】
前記固定部が、前記リムの外側を囲み、上端部が、前記リムの上部から折り曲げられた形状の収容部を含み、
前記固定突起が、前記収容部の外側面から両側に突出している、請求項9に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項11】
前記ストリップブラシが、フィラメント型のストリップブラシまたはスポンジ型のストリップブラシである、請求項9に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項12】
前記固定部が、左右に分離して形成されている、請求項10に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項13】
複数の固定溝のそれぞれに、異なる形状または異なる材質の母材が挿入されている、請求項1に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項14】
前記固定溝の挿入方向に沿って、異なる形状または異なる材質の母材がそれぞれ挿入されている、請求項1に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項15】
前記母材の表面に、硬度の高い粉末がコーティングされている、請求項1に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項16】
前記母材が、硬度の高い粉末を含んで形成されている、請求項1に記載の船体用掃除ブラシ。
【請求項17】
前記粉末が、炭素または金属で形成されている、請求項15または16に記載の船体用掃除ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船体用掃除ブラシに関し、さらに詳しくは、母材を回転させて、回転による圧力及び摩擦でスライム、海藻類、フジツボ、ムラサキイガイなどの海洋生物を含む、船体表面に付着した物質を除去する船体用掃除ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
新造船でも海水に触れる瞬間から、船体下部の表面(以下、「船体表面」という)に様々な海洋生物が付着する。船体表面には、スライムから海藻類、フジツボ、ムラサキイガイなど様々な海洋生物が付着し、付着量によっては船の航行速度が低下し、燃料費支出が10~30%増加するため、船体表面の掃除は必須である。
【0003】
船体表面への海洋生物の付着を防ぐため、船体表面に防汚塗料を塗布するが、それでは海洋生物が付着する時間を遅らせるだけで、1年ほど経つと、水の抵抗を大幅に高めるフジツボやムラサキイガイなどの生物がコロニーを形成して船体表面に付着する。
【0004】
船体表面に付着した海洋生物を除去するため、ダイバーや船舶掃除用ロボットが、モーターで自動回転する掃除ブラシを用いて船体表面を掃除していた。
【0005】
従来の船体用掃除ブラシは、回転円盤の一面にフィラメント型の母材を設置したディスク型と、長い回転円筒の表面にフィラメント型の母材を設置したローラー型とに大別される。
【0006】
また、船体表面の生物学的汚染(Biofouling)の程度は、任意に区分すると以下のように4段階に分けられる(ここで、高レベルには、低レベルの生物学的汚染が含まれる)。
1段階:スライムまたはコケ
2段階:海藻類
3段階:硬い殻を持つ生物の小さなコロニー
4段階:硬い殻を持つ生物の大きなコロニー
【0007】
船体表面の生物学的汚染と防汚塗料へのダメージを最低限に抑えるために、プラスチック母材のみを使用したソフト掃除ブラシ、金属材質母材とプラスチック母材が混合されたミドル掃除ブラシ、金属材質母材のみを使用したハード掃除ブラシが選択的に使用されていた。
【0008】
例えば、ハード掃除ブラシは、生物学的汚染4段階であって、防汚塗料がほとんど残っていない場合に使用し、ミドル掃除ブラシは、生物学的汚染3段階であって、防汚ペイントがひどく損傷されても問題ない場合に使用し、ソフト掃除ブラシは、生物学的汚染1及び2段階であって、掃除中に防汚塗料に与えるダメージが非常に少ない。
【0009】
防汚塗料の塗り直しには多くの時間と費用がかかるため、防汚塗料をできるだけ長く使用することが重要である。防汚ペイントを長く使用するためには、生物学的汚染1~3段階において、船体表面の掃除中に防汚塗料へのダメージを最低限に抑えることができる掃除ブラシが特に必要である。
【0010】
生物学的汚染3段階における硬い殻を持つ生物を容易に除去するためには、殻の下部ではなく上部に弱い衝撃を与えることで容易に除去することができる。弱い衝撃を与えるためには硬い母材を使用しなければならないが、従来のフィラメント型の母材は、母材の先端が点接触で防汚塗料を傷つけ、損傷を引き起こすという問題があった。
【0011】
また、従来のフィラメント型の母材を回転円盤や回転円筒の表面に植え付けて製造していたが、母材が摩耗して交換する必要がある場合には、専門的な装置を使用して摩耗した母材を取り外して植え付け直す必要があるという問題があった。
【0012】
そのため、船体表面の様々な汚染状況に対応でき、掃除中に防汚塗料へのダメージを最低限に抑え、母材の交換も容易に行える船体用掃除ブラシが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-2204694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は、このような従来の問題点を解決するためのものであり、回転体部の固定溝に、母材に結合された固定部を挿入することで母材を回転体部に取り付けることができるので、母材の交換を容易に行うことができ、フィラメント型ではなくブロック型の母材を使用して掃除時の防汚塗料へのダメージを最低限に抑え、様々な形状または材質の母材を混合して容易に取り付ける船体用掃除ブラシを提供することを目的とする。
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、前述の課題に限定されず、言及されていない他の課題は、当業者であれば、以下の記載から明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的は、本発明に係る、船体表面の汚れを除去するための船体用掃除ブラシであって、母材と、前記母材の下端部に結合され、母材の外側から突出する固定突起が形成された固定部と、母材に結合された固定部が挿入される少なくとも1つの固定溝を有し、回転する回転体部と、を備え、前記母材は、交換可能である船体用掃除ブラシによって達成することができる。
【0017】
ここで、前記回転体部は、ディスク状に形成され、前記母材に結合された固定部は、前記母材がディスク上面から突出するように、ディスクの側面から半径方向内側に挿入され、前記固定溝が、前記回転体部の側面部と上面が開放されている形状に形成されていてもよい。
【0018】
ここで、前記回転体部は、円筒状に形成され、前記母材に結合された固定部は、前記母材が円筒の外側面から突出するように、前記円筒の上下面のいずれかの一面から円筒の高さ方向に挿入され、前記固定溝が、前記回転体部の円筒の上下面の少なくともいずれか1つの片面縁と外側面が解放されている形状に形成されていてもよい。
【0019】
ここで、前記固定溝は、前記母材に結合された固定部の挿入方向に前記固定突起が挿入される固定突起挿入溝と、前記母材の下端部が挿入される母材挿入溝とで十字状に形成されていてもよい。
【0020】
ここで、前記母材は、ブロック状に形成されているか、あるいは複数の板材を重ねて形成されていてもよい。
【0021】
ここで、前記母材の下端部には、少なくとも1つの貫通孔が形成され、前記固定部が前記孔に挿入されて、前記孔の両側から突出する固定突起が形成されていてもよい。
【0022】
ここで、前記固定部は、棒状の第1のフレームと、前記第1のフレームと直交する方向に延び、前記孔に挿入されて前記母材の外側から突出する少なくとも1つの棒状の第2のフレームとから形成されていてもよい。
【0023】
ここで、前記母材は、ポリウレタンまたはナイロン系列のいずれかから形成されていてもよい。
【0024】
ここで、対称に折り曲げられた形状の母材と、前記母材の折り曲げられた下端部を囲むリムと、前記母材の折り曲げられた内側を押圧する芯とを含むストリップブラシをさらに備え、前記固定部は、前記ストリップブラシの下端部に結合されてもよい。
【0025】
ここで、前記固定部は、前記リムの外側を囲み、上端部は、前記リムの上部から折り曲げられた形状の収容部を含み、前記固定突起は、前記収容部の外側面から両側に突出していてもよい。
【0026】
ここで、前記ストリップブラシは、フィラメント型のストリップブラシまたはスポンジ型のストリップブラシであってもよい。
【0027】
ここで、前記固定部は、左右に分離して形成されていてもよい。
【0028】
ここで、複数の固定溝のそれぞれに、異なる形状または異なる材質の母材が挿入されていてもよい。
【0029】
ここで、前記固定溝の挿入方向に沿って、異なる形状または異なる材質の母材がそれぞれ挿入されていてもよい。
【0030】
ここで、前記母材の表面に、硬度の高い粉末がコーティングされていてもよい。
【0031】
ここで、前記母材は、硬度の高い粉末を含んで形成されていてもよい。
【0032】
ここで、前記粉末は、炭素または金属で形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0033】
以上のような本発明の船体用掃除ブラシによれば、母材を容易に交換して取り付けるという利点がある。
【0034】
また、ブロック状または板材を重ねた形状の、硬度が高く、柔軟な素材の母材を使用することで、船体表面の掃除時、防汚塗料へのダメージを最低限に抑えられるという利点もある。
【0035】
さらに、ブロック型の母材、ストリップブラシ型の母材など、様々な形状または材質の母材を、様々な組み合わせで交換設置することができるので、生物学的汚染の程度にかかわらず、母材を交換せずに船体表面を掃除できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る船体用掃除ブラシの斜視図である。
【
図2】
図1において、母材が分離された分離斜視図である。
【
図3】(a)及び(b)は、それぞれブロック型の母材及び板材型の母材に対する固定部間の結合関係を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る船体用掃除ブラシの斜視図である。
【
図5】
図4において、母材が分離された分離斜視図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る船体用掃除ブラシの斜視図である。
【
図7】
図6において、ストリップブラシが分離された分離斜視図である。
【
図8】フィラメント型のストリップブラシと固定部との結合状態を示す斜視図及び側面図である。
【
図9】
図8において、フィラメント型のストリップブラシと固定部との分離状態を示す斜視図及び側面図である。
【
図10】
図8において、フィラメント型のストリップブラシの変形例であり、スポンジ型のストリップブラシと固定部との結合状態を示す斜視図及び側面図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態に係る船体用掃除ブラシの分離斜視図及び結合図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
実施例の具体的な事項は、発明を実施するための形態及び図面に含まれている。
【0038】
本発明の利点、特徴及びそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述する実施形態を参照することにより明確になるであろう。しかしながら、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で実現することができ、これらの実施形態は、単に本発明の開示が完全なものとなるように、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に理解させるために提供するものであるので、本発明は、特許請求の範囲によってのみ定義される。明細書全体を通して、同一符号は同一構成要素を示すものである。
【0039】
以下、本発明の実施形態に係る船体用掃除ブラシを説明するための図面を参照し、本発明について説明する。
【0040】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る船体用掃除ブラシの斜視図であり、
図2は、
図1において、母材が分離された分離斜視図であり、
図3の(a)及び(b)は、それぞれブロック型の母材及び板材型の母材に対する固定部間の結合関係を示す斜視図である。
【0041】
本発明の第1の実施形態に係る船体用掃除ブラシは、母材120と、固定部130と、回転体部110とを備えて構成されてもよい。
【0042】
回転体部110は、モータ(図示せず)から動力を受けて回転し、少なくとも1つの母材120が固定される。本実施形態において、回転体部110は、所定の厚さを有する円形のディスク状に形成され、ディスク状の回転体部110の上面から母材120が突出するように結合されてもよい。
【0043】
図示のように、回転体部110の中心には、モータ軸またはモータから動力を受けて回転する回転軸が挿入及び結合する結合孔112が形成されてもよい。
【0044】
回転体部110には、母材120を結合させる固定溝116が少なくとも1つ形成されてもよい。より詳細には、後述するように、固定部130に母材120を結合させ、母材120が結合された固定部130を前記固定溝116に挿入して、回転体部110に結合してもよい。
【0045】
本実施形態では、母材120に結合された固定部130を回転体部110の側面の上端部から固定溝116に挿入し、母材120が回転体部110の上面から突出されるように、固定溝116は、回転体部110の側面の上端部と上面が開放された形状に形成されてもよい。そのとき、後述するように、母材120は、所定の厚さを有する細長いブロック状に形成されてもよいので、前記固定溝116は、回転体部110の半径方向内側に長く延びてもよい。
【0046】
母材120は、回転体部110に結合され、回転体部110の回転によって船体表面に付着した物質に圧力または摩擦を加えて除去する。
図3の(a)に示すように、本実施形態では、母材120がブロック状に形成されてもよい。所定の高さ及び厚さを有する、一方向に長い直方体状のブロックで形成されてもよく、ブロックの形状は、図示の形状に限定されるものではない。または、
図3の(b)に示すように、複数の板状の母材120aを重ねて
図3の(a)のようなブロック状に形成してもよい。
【0047】
従来のフィラメント型の母材の場合、生物学的汚染3段階以上の硬い殻を持つ付着物を容易に除去するためには、硬い材質の母材120を使用しなければならなかったが、その場合、母材120の端部が点接触で防汚塗料を傷つけて、損傷しやすくなるといった問題があった。そこで、本発明では、
図3のように、母材120をブロック状に形成することで線接触または面接触させ、硬い材質の母材120を用いても掃除中の防汚塗料へのダメージを最低限に抑えることができる。
【0048】
本実施形態において、母材120は、硬度が高く、力を加えたときに柔軟に曲げられる材質で形成されることが好ましい。例えば、ポリウレタンまたはナイロン系列で作製されてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。必要に応じて、生物学的汚染4段階を掃除できるように、金属を混合するか、あるいは金属材質で形成してもよい。
【0049】
固定部130は、母材120の下端部に結合され、母材120の外側から突出する固定突起が形成されていてもよい。母材120に結合された固定部130は、前述した回転体部110に、固定溝116に挿入されて固定されてもよい。
【0050】
母材120の下端部には、貫通孔122が少なくとも1つ形成されていてもよいが、固定部130は、前記貫通孔122に挿入されて母材120を結合させ、貫通孔122の両側から突出する固定突起が形成されていてもよい。
【0051】
本実施形態において、固定部130は、棒状の第1のフレーム131と、第1のフレーム131と直交する方向に棒状に延びる少なくとも1つの第2のフレーム132とから形成されていてもよい。複数の第2のフレーム132は、一定間隔で離隔形成されてもよいが、母材120の下端部には、第2のフレーム132が挿入されて貫通する貫通孔122が少なくとも1つ形成されていてもよい。そのとき、母材120に形成される貫通孔122の数よりも第2のフレーム132の数が多い場合がある。その場合、固定部130の任意の位置を選択して母材120を結合させるか、あるいは単一の固定部130に複数の母材120を結合させてもよい。
【0052】
前記固定部130の第2のフレーム132を母材120の貫通孔122に挿入して結合するとき、第2のフレーム132の端部が母材120の外側から突出するが、その第2のフレーム132の突出端部が固定突起を形成してもよい。また、固定部130が母材120に結合されるとき、第1のフレーム131が母材120の外側から突出するが、その第1のフレーム131が反対側の固定突起を形成してもよい。
【0053】
そのとき、回転体部110に形成された固定溝116は、
図2の拡大図に示すように、母材120に結合された固定部130が挿入される方向(半径内側方向)に、両側の固定突起が挿入される固定突起挿入溝114と、母材120の下端部が挿入される母材挿入溝115とが十字状に形成されていてもよい。ここで、ディスク状の回転体部110の周方向に沿って、複数の固定溝116が形成され、複数の母材120を結合することができる。
【0054】
図示していないが、母材120に結合された固定部130が固定溝116に挿入された後、挿入の反対方向に抜け出るのを防止するために、固定溝116の側面を塞ぐロック部(図示せず)が形成されていてもよい。前記ロック部は、円周方向の複数の固定溝116の側面を塞ぐように、回転体部110の外側面を覆うキャップ状に形成されていてもよい。
【0055】
このように、本発明に係る船体用掃除ブラシは、母材120に結合された固定部130を固定溝116に挿入して結合するので、使用中に母材120が磨耗して新しい母材120と交換する必要がある場合は、母材120を容易に交換して取り付けることができる。
【0056】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る船体用掃除ブラシの斜視図であり、
図5は、
図4において、母材が分離された分離斜視図である。
【0057】
本実施形態においては、前述した第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0058】
本実施形態において、回転体部110は、円筒状に形成されており、母材120は、円筒の外側面から突出形成されてもよい。よって、本実施形態において、固定溝116は、母材120が回転体部110の円筒の外側面から突出するように、母材120に結合された固定部130を円筒の上下面のいずれかの一面から円筒の高さ方向に挿入してもよく、回転体部110の円筒の上下面の少なくともいずれか1つの片面縁と円筒の外側面とが開放されている形状に固定溝116が形成されていてもよい。図面では、固定溝116は、円筒の上下面が全て開放された形状に形成されているが、一方の片面は塞がれた形状に形成されてもよい。
【0059】
固定溝116は、円周方向に複数離隔形成されており、回転体部110の円筒外側面に、円周方向に沿って複数の母材120を結合してもよい。
【0060】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る船体用掃除ブラシの斜視図であり、
図7は、
図6において、ストリップブラシが分離された分離斜視図であり、
図8は、フィラメント型のストリップブラシと固定部との結合状態を示す斜視図及び側面図であり、
図9は、
図8において、フィラメント型のストリップブラシと固定部との分離状態を示す斜視図及び側面図であり、
図10は、
図8において、フィラメント型のストリップブラシの変形例であり、スポンジ型のストリップブラシと固定部との結合状態を示す斜視図及び側面図である。
【0061】
本実施形態においても、前述した実施形態との相違点を中心に説明する。
【0062】
本実施形態において、母材120は、固定部130に単独で結合されるのではなく、リム123、芯124と共にストリップブラシ125を形成する。
図7及び
図8の側面図に示すように、母材120は対称に折り曲げられており、母材120の折り曲げられた下端部をリム123が囲い、母材120の折り曲げられた内側を下方に押圧する芯124でストリップブラシ125が形成されていてもよい。そのとき、図示のように、複数の母材120を重ねて折り曲げてもよい。
【0063】
前記母材120は、折り曲げられた両側で幅方向に複数上下に切開されて、フィラメント型のストリップブラシ125を形成してもよい。また、
図10に示すように、切開されていないスポンジ型のストリップブラシ125として形成してもよい。そのとき、スポンジ型のストリップブラシ125の母材120の両側は、屈曲部の反対側に向かって厚くなるように形成されることが好ましい。
【0064】
ストリップブラシ125を構成する母材120は、前述したブロック型の母材120よりも柔らかい材質で形成することが好ましい。よって、本実施形態では、生物学的汚染1~2段階の掃除に効果的に用いることができる。
【0065】
固定部130は、ストリップブラシ125の下端部に結合されてもよい。好ましくは、図示されているように、リム123の外側を囲み、上端部は、リム123の上部から毛に向かって折り曲げられた形状の収容部133が、ストリップブラシ125の下端部に結合されてもよい。収容部133の左右には、両側に固定突起134を突出形成されていてもよい。図面では、固定突起134が左右側面の最下端に形成されているが、必ずしもこれに限定されず、固定突起134が中間部に突出形成されていてもよい。
【0066】
そのとき、固定部130は、図示のように左右に分離形成されていてもよい。固定部130が一体に形成されると、固定部130の収容部133にストリップブラシ125の下端部を容易に挿入することができない。それに対して、固定部130を左右に分離形成することにより、ストリップブラシ125の下端部を容易に収容部133に挿入することができる。
【0067】
回転体部110には、前述したような固定溝116が形成され、ストリップブラシ125が結合された固定部130を固定溝116に挿入することで、ストリップブラシ125を容易に交換して取り付けることができる。
【0068】
図面では、円筒の側面にストリップブラシ125が結合される形状を示しているが、
図1~
図2に示すように、円形ディスク状の回転体部110にストリップブラシ125を結合させた構造で形成してもよい。
【0069】
図11は、本発明の第4の実施形態に係る船体用掃除ブラシの分離斜視図及び結合図であり、
図12は、
図11の変形例を示す分離斜視図及び結合図である。
【0070】
本実施形態において、
図11に示すように、複数の固定溝116にそれぞれ
図1~
図10を参照して説明した異なる形状または異なる材質の母材120をそれぞれ挿入してもよい。
図1~
図5を参照して説明したブロック型の母材120、または
図6~
図10を参照して説明したストリップブラシ125型の母材120を、円周方向に配置された複数の溝にそれぞれ異ならせて配置してもよい。あるいは、
図12に示すように、単一の固定溝116に挿入方向に沿って異なる形状または異なる材質の母材120をそれぞれ異ならせて挿入してもよい。
【0071】
その場合、生物学的汚染1段階に対しては、柔らかい素材のストリップブラシ125型の母材120で防汚塗料へのダメージなく付着物を除去することができ、生物学的汚染2~3段階に対しては、硬い素材のブロック型の母材120を使用して、防汚塗料へのダメージなく付着物質を除去することができる。さらに、生物学的汚染4段階に対しては、金属を混合したり、金属材質を用いたブロック型の母材120を用いて防汚塗料へのダメージを最低限に抑え、付着物質を除去することができる。よって、本実施形態によると、回転体部110に様々な形状の母材120を取り付け、汚染タイプに応じて別途の掃除ブラシを使用せずに単一の掃除ブラシで付着物を除去することができる。
【0072】
また、本発明において、生物学的汚染1段階の掃除性能を向上させるために、母材120の表面に硬度の高い炭素や金属材質の粉末をコーティングしてもよい。あるいは、硬度の高い炭素や金属材質の粉末を混合して母材120を作製してもよい。ブロック型の母材120に使用されるウレタンやフィラメントのように、表面が硬くて滑らかであるか、あるいはスポンジのように弾力があって柔らかい素材に対して、前記のような粉末を混合またはコーティングする場合、表面が荒れるので、スライムなどの生物学的汚染1段階の掃除性能を向上させることができる。
【0073】
本発明の権利範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で様々な形態の実施形態で実施することができる。本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく、何者でも変形可能な様々な範囲まで、本発明の特許請求の範囲の記載内に属するとみなす。
【符号の説明】
【0074】
110 回転体部
112 結合孔
114 固定突起挿入溝
115 母材挿入溝
116 固定溝
120 母材
122 貫通孔
123 リム
124 芯
125 ストリップブラシ
130 固定部
131 第1のフレーム
132 第2のフレーム
133 収容部
134 固定突起
【国際調査報告】