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  • 特表-二酸化炭素分離デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】二酸化炭素分離デバイス
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20241121BHJP
   B01D 53/64 20060101ALI20241121BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B01D53/14 220
B01D53/64
B01D53/78
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537019
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2022086195
(87)【国際公開番号】W WO2023117704
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021214786.0
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】BE2021/6009
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514088943
【氏名又は名称】ティッセンクルップ インダストリアル ソリューションズ アクツィエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】thyssenkrupp Industrial Solutions AG
(71)【出願人】
【識別番号】501186597
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】ThyssenKrupp Allee 1 45143 Essen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】メンツェル,ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002BA02
4D002DA31
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA01
4D002GB20
4D002HA08
4D020AA03
4D020BA16
4D020BB03
4D020BC01
4D020CC20
4D020DA03
4D020DB20
(57)【要約】
本発明は、二酸化炭素分離デバイス(10)であって、二酸化炭素分離デバイス(10)が、吸収デバイス(20)および脱着デバイス(30)を備え、吸収デバイス(20)が、精製されるべきガスのガス入口(21)および精製されたガスのガス出口(22)を備え、吸収デバイス(20)が、吸収溶媒入口(23)および溶液出口(24)を備え、脱着デバイス(30)が、少なくとも第1の溶液入口(31)、吸収溶媒出口(32)、高温溶媒入口(33)、および二酸化炭素出口(34)を備え、溶液出口(24)が、第1の溶液接続部(40)によって第1の溶液入口(31)に接続されており、第1の溶液接続部(40)が、第1の熱交換器(41)を備え、吸収溶媒出口(32)が、吸収溶媒接続部(50)によって吸収溶媒入口(23)に接続されており、吸収溶媒接続部(50)が、第1の熱交換器(41)を備え、それによって、溶媒の流れの熱が溶液の流れに伝達され、吸収溶媒接続部(50)が、高温溶媒接続部(52)への分岐(51)を備え、高温溶媒接続部(52)が、高温溶媒入口(33)に接続されており、高温溶媒接続部が、第2の熱交換器(53)を備える二酸化炭素分離デバイス(10)において、第2の熱交換器(53)内の溶媒の圧力が、吸収溶媒出口(32)における脱着デバイス(30)内の圧力よりも(0.2バール)~(5バール)だけ高いことを特徴とする、二酸化炭素分離デバイス(10)に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素分離装置(10)であって、前記二酸化炭素分離装置(10)が、吸収装置(20)および脱着装置(30)を備え、前記吸収装置(20)が、精製されるべきガスのガス入口(21)および精製されたガスのガス出口(22)を備え、前記吸収装置(20)が、吸収溶媒入口(23)および溶液出口(24)を備え、前記脱着装置(30)が、少なくとも1つの第1の溶液入口(31)、吸収溶媒出口(32)、高温溶媒入口(33)、および二酸化炭素出口(34)を備え、前記溶液出口(24)が、第1の溶液導管(40)を介して前記第1の溶液入口(31)に接続されており、前記第1の溶液導管(40)が、第1の熱交換器(41)を備え、前記吸収溶媒出口(32)が、吸収溶媒導管(50)を介して前記吸収溶媒入口(23)に接続されており、前記吸収溶媒導管(50)が、前記第1の熱交換器(41)を備え、それによって、溶媒流の熱が溶液流に伝達され、前記吸収溶媒導管(50)が、高温溶媒導管(52)への分岐(51)を備え、前記高温溶媒導管(52)が、前記高温溶媒入口(33)に接続されており、前記高温溶媒導管が、第2の熱交換器(53)を備える二酸化炭素分離装置(10)において、前記第2の熱交換器(53)内の溶媒の圧力が、前記吸収溶媒出口(32)における前記脱着装置(30)内の圧力よりも0.2バール~5バール高いことを特徴とする、二酸化炭素分離装置(10)。
【請求項2】
前記第2の熱交換器(53)が前記吸収溶媒出口(32)の少なくとも1m下方に配置されており、それによって、圧力が前記溶媒の静水圧によって生成されるため、前記第2の熱交換器(53)内の前記溶媒の前記圧力が、前記吸収溶媒出口(32)における前記脱着装置(30)内の前記圧力よりも0.2バール~5バール高いことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素分離装置(10)。
【請求項3】
正圧を生成するための第1のポンプ(54)が前記第2の熱交換器(53)の上流に配置されているため、前記第2の熱交換器(53)内の前記溶媒の前記圧力が、前記吸収溶媒出口(32)における前記脱着装置(30)内の前記圧力よりも0.2バール~5バール高いことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素分離装置(10)。
【請求項4】
前記第1の溶液導管(40)が、前記第1の熱交換器(41)の下流に配置された蒸発装置(42)を備え、前記蒸発装置(42)が、前記溶液流の気相から前記溶液流の液相を分離し、前記液相が、前記第1の溶液導管(40)を通過させられて前記脱着装置(30)内に入り、前記脱着装置(30)が、蒸気入口(35)を備え、前記蒸発装置が、蒸気出口(43)を備え、前記蒸気出口(43)および前記蒸気入口(35)が、前記気相を移動させるためのガス溶液導管(44)に接続されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の二酸化炭素分離装置(10)。
【請求項5】
スチーム入口(35)が、前記脱着装置(30)の下部領域に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の二酸化炭素分離装置(10)。
【請求項6】
第2の溶液導管(45)が、前記吸収装置(20)と前記第1の熱交換器(41)との間で前記第1の溶液導管(40)から分岐し、前記第2の溶液導管(45)が、前記脱着装置(30)の上部に直接通じていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の二酸化炭素分離装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス、特にオフガスから二酸化炭素を分離するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人為的気候変動を低減するために、大気中への二酸化炭素の放出がますます回避されるようになっている。代わりに、形成された二酸化炭素を分離し、次いでそれを変換するかまたはそれを貯留するために送る試みが行われている。この目的のための典型的なプロセスは、約25℃~50℃で塩基性溶液、例えばアミン溶液でオフガスをスクラビングすることを含む。このアミン溶液は、二酸化炭素が溶解する溶媒として作用する。次いで、二酸化炭素を含有する溶液を加熱し、脱着ステップにおいて、二酸化炭素を再びガス相に変換する。これにより、溶媒が復元され、純粋な二酸化炭素ガス流も得られる。次いで、二酸化炭素ガス流は、例えば純粋に例示的に、貯留のために送られ得るか、またはメタノール合成に供給され得る。
【0003】
国際公開第2010/086039号は、化石燃料発電所のオフガスから二酸化炭素を分離するためのプロセスおよび装置を開示している。
【0004】
中国特許出願公開第111203086号明細書は、低エネルギー消費および低放出のCO分離システムを開示している。
【0005】
国際公開第2014/077919号は、ガス流から酸性ガスを除去し、吸収溶液を再生するための装置およびプロセスを開示している。
【0006】
米国特許出願公開第2017/0197175号明細書は、ガス流から酸性ガスを抽出するためのエネルギー効率の良いプロセスを開示している。
【0007】
国際公開第2013/013749号は、吸脱着プロセスにおける熱回収を開示している。
【0008】
国際公開第2019/232626号は、熱回収による燃焼後のCO分離を開示している。
【0009】
COを分離するためのすべてのプラントは、溶液からのCOの再放出のためにエネルギーが供給されなければならないという共通点を有する。この目的のために、高い、したがって比較的貴重なレベルの熱が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2010/086039号
【特許文献2】中国特許出願公開第111203086号明細書
【特許文献3】国際公開第2014/077919号
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0197175号明細書
【特許文献5】国際公開第2013/013749号
【特許文献6】国際公開第2019/232626号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、吸脱着の全プロセスがエネルギー的に最適化された二酸化炭素分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する二酸化炭素分離装置によって達成される。有利な発展は、従属請求項、以下の説明、および図面から明らかである。
【0013】
本発明による二酸化炭素分離装置は、吸収装置および脱着装置を備える。吸収装置において、二酸化炭素の精製されるべきガスが導入され、ガス相からの二酸化炭素は、溶媒、通常はアミン溶液との接触によって液相に移行される。これにより、二酸化炭素が溶解され、結合されていてもよい、溶媒の溶液が形成される。この溶液は脱着装置内に移動させられ、そこで二酸化炭素は溶液から再吐出され、その結果、溶媒が回収され、吸収装置内で再利用される。さらなる使用のために送られ得る二酸化炭素ガス流も同様に得られる。この基本原理は、既に多くの変形例で用いられている。
【0014】
吸収装置は、精製されるべきガスのガス入口および精製されたガスのガス出口を有する。精製されるべきガスは、例えば、化石燃料の燃焼からのオフガスであり得る。その後、精製されたガスは主に窒素で残りの二酸化炭素はわずかとなり得、酸素の割合は燃焼プロセスによって著しく減少されていてもよい。その後、精製されたガスは、例えば大量の温室効果ガス二酸化炭素を排出することなく大気に放出され得る。吸収装置は、典型的には、ガス入口と吸収溶媒入口との間に配置された1つ以上の物質移動要素を備える。物質移動要素は、液相と気相との接触をより改善し、特に液相の表面積を増加させるようにも機能する。このような物質移動要素は当業者に知られており、例えば、バブルキャップトレイ、ランダムパッキン、または構造化パッキンであり得る。
【0015】
吸収装置は、吸収溶媒入口および溶液出口をさらに備える。吸収溶媒入口は、典型的には、吸収装置の上部に配置されており、溶液出口は、吸収装置の底部に配置されている。したがって、ガス入口は、典型的には底部に、ガス出口は上部に配置されており、それによって、ガスおよび溶媒が向流で吸収装置を通って流れる。
【0016】
脱着装置は、少なくとも第1の溶液入口、吸収溶媒出口、高温溶媒入口、および二酸化炭素出口を備える。吸収装置の溶液出口は、第1の溶液導管を介して脱着装置の第1の溶液入口に接続されている。第1の溶液導管は、第1の熱交換器を備える。これは、第1の溶液導管を通って流れる溶媒流を加熱し、それによって、溶液中に存在する二酸化炭素は脱着装置において再放出され得る。脱着装置の吸収溶媒出口は、吸収溶媒導管を介して吸収装置の吸収溶媒入口に接続されている。脱着装置内の二酸化炭素が大幅に減少した状態の溶媒は、吸収溶媒導管を介して吸収装置に流れて戻る。吸収溶媒導管も同様に第1の熱交換器を備える。これにより、吸収溶媒導管内の溶媒流の熱が溶液流に伝達される。吸収溶媒導管は、高温溶媒導管への分岐を備える。このようにして、溶媒流の副流が分流され、高温溶媒導管に流入させられる。高温溶媒導管は、高温溶媒入口に接続されている。高温溶媒導管は、第2の熱交換器を備える。これにより、システム全体に追加のエネルギーを導入することが可能になる。脱着装置は、典型的には、第1の溶液入口の上方および下方に配置された1つ以上の物質移動要素を備える。物質移動要素は、液相と気相との接触をより改善し、特に液相の表面積を増加させるようにも機能する。このような物質移動要素は当業者に知られており、例えば、バブルキャップトレイまたはランダムパッキンであり得る。
【0017】
本発明によれば、第2の熱交換器内の溶媒の圧力は、吸収溶媒出口における脱着装置内の圧力よりも0.2バール~5バール高い。したがって、圧力の上昇により沸点が上昇するため、第2の熱交換器においてより高い開始温度を達成することができる。これは今度は、溶媒が吸収溶媒出口でより高い温度を有し、したがって、より高い温度で第1の熱交換器に流入するという結果をもたらす。これにより、該交換器をよりコンパクトにすること、または第1の熱交換器からの含有溶液流のより高い開始温度を達成することが可能になる。後者は今度は、溶液からの二酸化炭素のより効率的なストリッピングにつながる。
【0018】
第2の熱交換器内の溶媒の圧力は、装置の限界内で調整可能である。装置を介した圧力の具体的な調整の2つの例示的かつ好ましい実施形態がある。本発明の第1の例示的かつ好ましい実施形態では、第2の熱交換器が吸収溶媒出口の少なくとも1m下方の高さに配置されており、それによって、第2の熱交換器内の圧力が全高差に対応する溶媒の静水圧柱によって上昇するため、第2の熱交換器内の溶媒の圧力は、吸収溶媒出口における脱着装置内の圧力よりも0.2バール~5バール高い。本発明の第2の例示的かつ好ましい実施形態では、対応する正圧を生成するための第1のポンプが第2の熱交換器の上流に配置されているため、第2の熱交換器内の溶媒の圧力は、吸収溶媒出口における脱着装置内の圧力よりも0.2バール~5バール高い。
【0019】
本発明のさらなる実施形態では、減圧手段、例えば制御弁、開口プレート、または管狭窄部が第2の熱交換器と脱着装置との間に配置されている。減圧手段は、ガス/蒸気側の第2の熱交換器内に所望の正圧を確立/維持する。これにより、必要に応じて、第2の熱交換器における蒸発を防止することができる。
【0020】
第1の溶液入口が脱着装置の中央領域に配置されている場合が好ましい。
【0021】
本発明のさらなる実施形態では、第1の溶液導管は、第1の熱交換器の下流に蒸発装置を備える。減圧容器としても知られる蒸発装置は、第1の熱交換器内で加熱された溶液流の溶液が減圧され、部分的に蒸発することを確実にする。したがって、溶液流の液相は、蒸発装置内で溶液流の気相から分離される。液相は、第1の溶液導管を介して脱着装置に流入させられる。第1の溶液導管および第1の溶液入口を介した液相の適用は、好ましくは2つの物質移動要素間で行われる。脱着装置は蒸気入口をさらに備え、蒸発装置は蒸気出口を備える。蒸発装置の蒸気出口および脱着装置の蒸気入口は、気相を移動させるためのガス溶液導管に接続されている。蒸気入口が脱着装置の下部領域に配置されている場合が特に好ましい。物質移動要素は下部領域に配置されない場合が好ましい。これにより、プロセス全体のエネルギー管理が最適化される。
【0022】
本発明のさらなる実施形態では、第2の溶液導管は、吸収装置と第1の熱交換器との間の第1の溶液導管から分岐する。第2の溶液導管は、脱着装置の上部に直接通じる。この文脈では、直接とは熱交換器などがないことを意味すると理解されるべきである。(流量制御)弁がここに配置されていてもよい。したがって、二酸化炭素含有溶液は、それ自体が脱着装置から出てくるガス流を冷却するために使用される。これにより、結果として、第1の熱交換器および第2の熱交換器から供給され、脱着手段に供給された熱は、脱着手段内および溶媒内に留まり、冷却媒体に放出されない。
【0023】
本発明による二酸化炭素分離装置は、図面に示された例示的な実施形態を参照して以下でより詳細に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の例示的な実施形態
図2】第2の例示的な実施形態
【発明を実施するための形態】
【0025】
示された例示は、純粋に概略的なものであり、本発明を説明するためのものである。簡潔にするために、異なる例示的な実施形態の同じ部分には同じ番号が付されている。
【0026】
図1は、本発明の二酸化炭素分離装置10の第1の例示的な実施形態を示している。二酸化炭素分離装置10は、例えば、オフガス流から二酸化炭素を分離するために使用され、オフガス流は、ガス入口21に入り、ガス出口22で二酸化炭素が大幅に減少した状態で再び出る。吸収装置20では、このガス流を溶媒、通常はアミン溶液と向流で接触させて二酸化炭素を溶液中に組み込む。この溶液は、溶液出口24で吸収装置を出て、第2のポンプ46を介して第1の溶液導管40を通して圧送される。第1の溶液導管40は、溶液流が吸収溶媒導管50からの溶媒流によって加熱される第1の熱交換器41を備える。第1の熱交換器41の下流には、溶液の一部をガス相に変換することができる蒸発装置42が配置されている。溶液流の液相は、第1の溶液導管40をさらに通して搬送され、例えば第3のポンプ47によって第1の溶液入口31を通して脱着装置30内に搬送される。蒸発装置42内に形成されたガス/蒸気は、蒸気出口43を通過させられてガス溶液導管44に入り、該導管を通過させられて蒸気入口35を介して脱着装置30に入る。蒸気入口35は、好ましくは、脱着装置30の下端、すなわち底部に位置する。
【0027】
脱着装置30において、二酸化炭素は溶液から熱によって除去され、二酸化炭素出口34を介して流出される。次いで、この二酸化炭素流は、例えばさらなる反応または貯留に供給され得る。二酸化炭素が除去された溶媒は、脱着装置30の底部に集まり、吸収出口32を通して吸収導管50に供給される。溶媒流は、その熱エネルギーを第1の熱交換器41内の溶液流に与える。例えば、第4のポンプを使用して、溶媒流を第3の熱交換器55を介して吸収溶媒入口23を通して吸収装置内に通す。
【0028】
副流は、分岐51で吸収溶媒導管50内の溶媒流から分流され、第2の熱交換器53を介して高温溶媒導管52を通して、特に蒸気形態で、または蒸気/液体混合物として、高温溶媒入口33を通して脱着装置30内に戻される。溶液から二酸化炭素をストリッピングするのに必要なエネルギーは、第2の熱交換器53を介してシステムに供給される。第2の熱交換器53は、例えば吸収溶媒出口32の3.5m下方に配置されており、それによって、水柱が約0.35バールの過圧を確立する。これによって、第2の熱交換器53は、溶媒副流をより高い温度まで加熱することが可能になり、その結果、今度は吸収溶媒導管50を通過させられた溶媒流の進入温度も、第1の熱交換器41の上流で対応して上昇する。
【0029】
図2に示す第2の例示的な実施形態は、第2の熱交換器53の圧力が、設計高さを低くする高低差ではなく、第1のポンプ54によって達成される点で、図1に示す第1の例示的な実施形態とは異なる。
【符号の説明】
【0030】
10 二酸化炭素分離装置
20 吸収装置
21 ガス入口
22 ガス出口
23 吸収溶媒入口
24 溶液出口
30 脱着装置
31 第1の溶液入口
32 吸収溶媒出口
33 高温溶媒入口
34 二酸化炭素出口
35 蒸気入口
40 第1の溶液導管
41 第1の熱交換器
42 蒸発装置
43 蒸気出口
44 ガス溶液導管
45 第2の溶液導管
46 第2のポンプ
47 第3のポンプ
50 吸収溶媒導管
51 分岐
52 高温溶媒導管
53 第2の熱交換器
54 第1のポンプ
55 第3の熱交換器
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素分離装置(10)であって、前記二酸化炭素分離装置(10)が、吸収装置(20)および脱着装置(30)を備え、前記吸収装置(20)が、精製されるべきガスのガス入口(21)および精製されたガスのガス出口(22)を備え、前記吸収装置(20)が、吸収溶媒入口(23)および溶液出口(24)を備え、前記脱着装置(30)が、少なくとも1つの第1の溶液入口(31)、吸収溶媒出口(32)、高温溶媒入口(33)、および二酸化炭素出口(34)を備え、前記溶液出口(24)が、第1の溶液導管(40)を介して前記第1の溶液入口(31)に接続されており、前記第1の溶液導管(40)が、第1の熱交換器(41)を備え、前記吸収溶媒出口(32)が、吸収溶媒導管(50)を介して前記吸収溶媒入口(23)に接続されており、前記吸収溶媒導管(50)が、前記第1の熱交換器(41)を備え、それによって、溶媒流の熱が溶液流に伝達され、前記吸収溶媒導管(50)が、高温溶媒導管(52)への分岐(51)を備え、前記高温溶媒導管(52)が、前記高温溶媒入口(33)に接続されており、前記高温溶媒導管が、第2の熱交換器(53)を備える二酸化炭素分離装置(10)において、前記第2の熱交換器(53)内の溶媒の圧力が、前記吸収溶媒出口(32)における前記脱着装置(30)内の圧力よりも0.2バール~5バール高いことを特徴とする、二酸化炭素分離装置(10)。
【請求項2】
前記第2の熱交換器(53)が前記吸収溶媒出口(32)の少なくとも1m下方に配置されており、それによって、圧力が前記溶媒の静水圧によって生成されるため、前記第2の熱交換器(53)内の前記溶媒の前記圧力が、前記吸収溶媒出口(32)における前記脱着装置(30)内の前記圧力よりも0.2バール~5バール高いことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素分離装置(10)。
【請求項3】
正圧を生成するための第1のポンプ(54)が前記第2の熱交換器(53)の上流に配置されているため、前記第2の熱交換器(53)内の前記溶媒の前記圧力が、前記吸収溶媒出口(32)における前記脱着装置(30)内の前記圧力よりも0.2バール~5バール高いことを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素分離装置(10)。
【請求項4】
前記第1の溶液導管(40)が、前記第1の熱交換器(41)の下流に配置された蒸発装置(42)を備え、前記蒸発装置(42)が、前記溶液流の気相から前記溶液流の液相を分離し、前記液相が、前記第1の溶液導管(40)を通過させられて前記脱着装置(30)内に入り、前記脱着装置(30)が、蒸気入口(35)を備え、前記蒸発装置が、蒸気出口(43)を備え、前記蒸気出口(43)および前記蒸気入口(35)が、前記気相を移動させるためのガス溶液導管(44)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素分離装置(10)。
【請求項5】
スチーム入口(35)が、前記脱着装置(30)の下部領域に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の二酸化炭素分離装置(10)。
【請求項6】
第2の溶液導管(45)が、前記吸収装置(20)と前記第1の熱交換器(41)との間で前記第1の溶液導管(40)から分岐し、前記第2の溶液導管(45)が、前記脱着装置(30)の上部に直接通じていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の二酸化炭素分離装置(10)。
【国際調査報告】