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特表2024-544327CTイメージングシステムを操作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】CTイメージングシステムを操作するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
A61B6/03 521D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537024
(86)(22)【出願日】2022-12-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2022086519
(87)【国際公開番号】W WO2023117819
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21216352.1
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】プロクサ ローランド
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA32
4C093CA35
4C093EC42
4C093FA34
4C093FA55
(57)【要約】
本発明は、検出器を有するガントリと、ガントリに取り付けられたロータリエンコーダとを含むCTイメージングシステムを操作するための方法を提供する。この方法は、適応型デジタル位相ロックループ(A-DPLL)によって、ガントリのガントリ回転をモデル化するステップであって、A-DPLLは、実際のガントリ角度とモデル化されたガントリ角度との差を最小化する、モデル化するステップと、モデル化されたガントリ角度の複数の所定の値の各々について、検出器のトリガパルスを生成するステップとを含む。実際のガントリ角度は、ロータリエンコーダによってガントリ角度を検出し、予想されるロータリエンコーダ特性からの実際のロータリエンコーダ特性の偏差を考慮するように、検出されたガントリ角度を適応させることにより得られ、適応は、ロータリエンコーダの角度パターンを使用して行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出器を有するガントリと、前記ガントリに取り付けられたロータリエンコーダとを含むCTイメージングシステムを操作するための方法であって、前記方法は、
適応型デジタル位相ロックループによって、前記ガントリのガントリ回転をモデル化するステップであって、前記適応型デジタル位相ロックループは、実際のガントリ角度α(t)とモデル化されたガントリ角度α(t)との差を最小化する、モデル化するステップと、
前記モデル化されたガントリ角度α(t)の複数の所定の値の各々について、前記検出器のトリガパルスを生成するステップと、
を含み、
前記実際のガントリ角度α(t)は、前記ロータリエンコーダによってガントリ角度α(t)を検出し、予想されるロータリエンコーダ特性からの実際のロータリエンコーダ特性の偏差を考慮するように、前記検出されたガントリ角度α(t)を適応させることにより得られ、前記適応は、前記ロータリエンコーダの角度パターンβを使用して行われる、方法。
【請求項2】
前記角度パターンβは、位置ルックアップテーブルからアクセスされ、前記位置ルックアップテーブルは、キャリブレーション手順中に前記ロータリエンコーダによって検出されたガントリ角度の複数の値の各々を、前記キャリブレーション手順中に推定された前記ガントリ角度の対応する推定された実際値にマッピングする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリブレーション手順により前記ロータリエンコーダの前記角度パターンβを決定し、特に前記ロータリエンコーダの前記角度パターンβをコンピュータ可読メモリ、特に前記位置ルックアップテーブルに保存するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記キャリブレーション手順は、
前記ガントリを回転させ、前記ロータリエンコーダを1回転当たりに複数の角度を検出するように制御することと、
複数の回転のためのスロット時間T(1...N 、1...NTurn)を決定することであって、ここで、N は前記ロータリエンコーダのスロット数であり、NTurnは回転数である、決定することと、
1回転当たりの前記スロット時間の値を正規化し、スロット角度A(n,m)を計算することであって、ここで、
【数5】
である、計算することと、
前記複数の回転の前記スロット角度A(n,m)の値を平均化して、前記ロータリエンコーダの前記角度パターンβを得ることであって、ここで、
【数6】
であり、
ここで、βは前記ガントリ角度の値であり、
特に、ここで、Nはスロットの数であり、i=0...N-1である、得ることと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ガントリは、前記スロット時間を測定している間に最大ガントリ速度で駆動されるように制御される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記スロット時間T(1...N 、1...NTurn)を得るステップは、測定されたスロット時間を、測定中に推定されたガントリ速度に正規化するステップを含み、
前記ガントリ速度の推定は、ガントリ不均衡に起因する機械的摩擦力及び/又は機械的力を考慮して行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記スロット時間の測定は、前記ガントリがモータによって駆動されずに回転している期間に、特に、前記モータによって、前記ガントリが最大ガントリ速度で、特に、ブレーキをかけることなく駆動された後の前記ガントリの減速中に行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ガントリ速度の推定は、ガントリ不均衡に起因する機械的力を考慮して行われ、
ガントリ不均衡に起因する前記機械的力は、Fim=csin(α+c)としてモデル化され、ここで、c、cは定数であり、αは実際のガントリ角度α(t)であり、
ガントリ不均衡に起因する前記機械的力の影響は、
【数7】
としてモデル化されるエネルギー損失から導き出され、
ここで、前記ガントリ速度ωは、自由モデルパラメータ(d、d、c、c、ω)を、前記キャリブレーション中に時間Tで測定された角度α(T)に適合させることによって推定される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記キャリブレーション手順は、前記角度パターンのCT画像ベースの決定を含み、
特に、前記キャリブレーション手順は、前記CTイメージングシステムによって得られたファントムのCT投影データを解析して、前記CT画像内の前記ファントムの形状と、前記予想されるロータリエンコーダ特性を有するロータリエンコーダを使用した場合に予想される前記ファントムの形状との偏差を検出し、前記偏差に基づいて前記角度パターンを決定することを含む、請求項3から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
特に、前記キャリブレーション手順の一部として、
複数のCT投影を解析するステップであって、前記CT投影は、複数のガントリ角度で前記CTイメージングシステムによって得られ、前記ファントム、特に、例えば、シングルワイヤファントムを描写し、前記複数のガントリ角度は、少なくとも1つのガントリ回転をカバーする、解析するステップと、
前記複数のCT投影の各々について、前記CT投影における前記ファントムの予想位置と前記CT投影における前記ファントムの実際の位置とを比較して、前記予想位置と前記実際の位置との差を決定するステップと、
各CT投影について、前記予測位置と前記実際の位置との前記差に基づいて、推定ガントリ角度を推定するステップと、
前記推定ガントリ角度と、前記ロータリエンコーダによって決定された対応するガントリ角度との差に基づいて前記角度パターンを決定するステップと、
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記CTイメージングシステムによって、特に光子計数CTイメージングシステムによって、特に低線量CTスキャンによって、前記CT画像又は複数のCT画像を取得するステップ、及び/又は、
モータによって、特に請求項4に記載されるように前記ガントリを回転させるように制御することに基づいて、前記ガントリを回転させるステップ、
を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
検出器を有するガントリと、前記ガントリに取り付けられたロータリエンコーダとを含むCTイメージングシステムを操作する際に使用するためのデータ処理システムであって、前記データ処理システムは、
適応型デジタル位相ロックループによって、前記ガントリのガントリ回転をモデル化することであって、前記適応型デジタル位相ロックループは、実際のガントリ角度α(t)とモデル化されたガントリ角度α(t)との差を最小化する、モデル化することと、
前記モデル化されたガントリ角度α(t)の複数の所定の値の各々について、前記検出器のトリガパルスを生成することであって、
前記実際のガントリ角度α(t)は、前記ロータリエンコーダによってガントリ角度α(t)を検出し、予想されるロータリエンコーダ特性からの実際のロータリエンコーダ特性の偏差を考慮するように、前記検出されたガントリ角度α(t)を適応させることにより得られる角度であり、前記適応は、前記ロータリエンコーダの角度パターンβを使用して行われる、生成することと、
を行い、
特に、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行する、並びに/又は、請求項11に記載の方法のステップを実行及び/若しくは制御する、データ処理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の前記データ処理システムを含み、
検出器を有する前記ガントリと、前記ガントリに取り付けられた前記ロータリエンコーダとを含む前記CTイメージングシステムを更に含む、システムであって、前記CTイメージングシステムは、前記CT画像を取得し、特に、前記CTイメージングシステムは、光子計数CTイメージングシステムであり、
特に、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を行う、システム。
【請求項14】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項15】
命令を含むコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CTイメージングシステムを操作するための方法、データ処理システム、データ処理システムを含むシステム、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ可読媒体を提供する。
【背景技術】
【0002】
多くのCTスキャナのデータ収集では、角度トリガリングが使用される。角度エンコーダは、固定ガントリ角度でトリガパルスを生成して、検出器の積分期間(IP)をトリガする。この概念により、画像再構成を簡素化できる。ガントリ速度の変動はIP時間に影響を与えるが、角度には影響しない。スキャン中の時間変動は、個々のIP時間測定値及びデータ正規化によって補正できる。
【0003】
高分解能イメージングのためには、角度トリガの精度が重要になり、また、技術的な課題となる。スキャンにおける実際の角度トリガ位置と再構成時の想定角度とが一致しないと、画像がぼやけたり、アーチファクトが発生することがある。
【0004】
したがって、現在のところ、角度トリガの精度によって、再構成画像の画質が制限されている。十分に正確な角度トリガは技術的な課題であり、コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特にコストを高くすることなく、高画質を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、独立請求項によるCTイメージングシステムを操作するための方法、データ処理システム、データ処理システムを含むシステム、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ可読媒体を提供する。好適な実施形態は、従属請求項に記載する。
【0007】
本発明は、検出器を有するガントリと、ガントリに取り付けられたロータリエンコーダとを含むCTイメージングシステムを操作するための方法を提供する。この方法は、適応型デジタル位相ロックループ(A-DPLL)によって、ガントリのガントリ回転をモデル化するステップであって、A-DPLLは、実際のガントリ角度α(t)とモデル化されたガントリ角度α(t)との差を最小化する、モデル化するステップと、モデル化されたガントリ角度α(t)の複数の所定の値の各々について、検出器のトリガパルスを生成するステップとを含む。実際のガントリ角度α(t)は、ロータリエンコーダによってガントリ角度α(t)を検出し、予想されるロータリエンコーダ特性からの実際のロータリエンコーダ特性の偏差を考慮するように、検出されたガントリ角度α(t)を適応させることにより得られ、適応は、ロータリエンコーダの角度パターンβを使用して行われる。
【0008】
ロータリエンコーダは安価で信頼性がある。ただし、スロットの機械的な位置及び幅の精度によって、エンコーダの角度精度が制限される。DPLLは適応性があり、エンコーダの不正確さを考慮することができるため、このタイプの安価で不正確な機器を使用しても、高画質を確保できる。
【0009】
したがって、本開示の方法は、構成要素の低コストと高分解能イメージングとを組み合わせることを可能にする。例えば、この方法では、精度を損なうことなく、スロット付きリング設計などの安価な角度エンコーダを使用することもできる。
【0010】
本開示では、「適応型」とは、フィードバックループに供給されるデータを収集するために使用されるエンコーダの実際の特性(予想される特性とは異なる場合がある)を考慮に入れるために、ロータリエンコーダの角度パターンがDPLLを適応させるために使用されることを説明するものである。
【0011】
言い換えれば、本開示は、ロータリエンコーダの角度パターンを学習する適応型デジタル位相ロックループを使用することにより、高分解能CTイメージング及び高角度分解能のための正確な角度トリガパルスを生成することを可能にする。学習した角度パターンを使用して、イメージングのためのトリガパルスを補正できる。
【0012】
前述したように、ロータリエンコーダは、例えばスロット付きロータリエンコーダであり、特にスロット付きリングを含む。スロット付きリングロータリエンコーダは、複数のスロットを有し、ガントリの周囲に延在する金属ストリップを含み、スロット付きリングはロータリエンコーダの回転部分の一部であるか、ロータリエンコーダの固定部分の一部である。ロータリエンコーダには、光学的読み取り器がある。特に、スロット付きリング及び光学的読み取り器を含む。この場合、光学的読み取り器は、ロータリエンコーダの固定部分の一部であり、スロット付きリングはロータリエンコーダの回転部分の一部であるか、又は光学的読み取り器は、ロータリエンコーダの回転部分の一部であり、スロット付きリングは、ロータリエンコーダの固定部分の一部である。
【0013】
本開示の方法は、スロット付きエンコーダ、特にスロット付きリングを有するエンコーダは、角度精度が限られているが、回転ごとの再現性が高いことを利用できる。スロット位置は変化しないため、角度誤差はスロットごとに一定のままになる。これにより、キャリブレーション手順などによる信頼性の高い適応が可能になる。
【0014】
CTイメージングシステムの操作には、例えば被検体のCT画像をキャプチャするなどのイメージングステップが含まれる。CTイメージングシステムの操作には、例えばセットアップステップ及びキャリブレーションステップなど、イメージングのためにCTイメージングシステムを準備することに関するステップ、及び/又はCT画像データの処理やその解析など、イメージングの後に続くステップも含まれる。CTイメージングシステムの操作には、CTイメージングシステムの任意の構成要素を制御することに関するステップも含まれる。
【0015】
CTイメージングシステムは、検出器に加えて、X線源などの線源を含む。ガントリは、モータによって回転される回転可能なフレームを含み、CTイメージングシステムの検出器は、フレームに取り付けられる。CTイメージングシステムの線源もフレームに取り付けることができる。特に、検出器と線源とが向かい合った配置で、回転可能なフレームと一緒に回転するように取り付けられる。
【0016】
検出器は、光子計数検出器又は任意の他の適切なCTイメージング検出器である。「検出器」という用語は、例えば検出器アレイを伴う場合もある。
【0017】
ロータリエンコーダは、一般に回転部分と固定部分とを含む。ロータリエンコーダは、固定部分に対する回転部分の回転を、具体的には回転角度として定量化できる。
【0018】
本開示では、ロータリエンコーダがガントリに取り付けられていることは、ロータリエンコーダの回転部分が、ガントリと一緒に回転するようにガントリに固定されていることを意味する。したがって、ガントリの回転はロータリエンコーダの回転部分の回転に対応している。回転部分は例えば、ガントリの周囲を円周方向に延在する。固定部分は、ロータリエンコーダの操作中に固定したままになるようにされる。
【0019】
ガントリのガントリ回転のモデル化には、例えば、モデルを使用してガントリ角度、例えば、モデル化されたガントリ角度α(t)を予測することが含まれる。このモデル化は、予測されたガントリ角度が実際のガントリ角度α(t)にできるだけ近いものにすることを目的としている。
【0020】
デジタル位相ロックループDPLLは、実際のガントリ角度α(t)に近づけるように、ガントリ角度α(t)のモデル化に使用するモデルを反復的に調整できるフィードバックループである。つまり、DPLLはガントリ角度の予測を反復的に向上させる。
【0021】
検出器のトリガパルスは、CT画像を取得するために検出器に検出を開始させる任意の信号である。各CT画像のキャプチャ又は撮影は、トリガパルスによってトリガされる。そのため、CT画像を撮影するべき角度ごとなどにトリガパルスが発せられる。したがって、モデル化されたガントリ角度α(t)の所定の値は、画像を撮影するべき角度を表す値になる。
【0022】
ロータリエンコーダによってガントリ角度α(t)を検出することは、ロータリエンコーダの固定部分に対するロータリエンコーダの回転部分の角度を検出することを含む。回転部分がガントリに固定されているため、これは、ガントリ角度を直接反映する。
【0023】
本開示では、エンコーダ特性は、動作中のエンコーダから出力される実際のデータを反映した特性である。実際の特性とは、ロータリエンコーダの設置後に実際に目撃された/経験的に決定された特性である。予想されるロータリエンコーダ特性とは、モデルによって予測される特性及び/又はメーカーによって提供される特性である。エンコーダ特性は角度パターンで表現できる。特に、角度パターンは、直接的又は間接的に、実際のロータリエンコーダ特性と予想されるエンコーダ特性との偏差を反映する。
【0024】
方法は、コンピュータ実施方法であり、特に、全ての方法ステップは処理システムによって実行される。
【0025】
本開示では、角度パターンβは、位置ルックアップテーブルからアクセスでき、位置ルックアップテーブルは、キャリブレーション手順中にエンコーダによって検出されたガントリ角度の複数の値の各々を、キャリブレーション手順中に推定されたガントリ角度の対応する推定された実際値にマッピングする。
【0026】
例えば、ルックアップテーブルはコンピュータ可読形式でコンピュータ可読メモリに保存される。イメージングシステムを操作することには、データ処理システムが、検出されたガントリ角度α(t)の少なくとも1つの値を受信し、位置ルックアップテーブルにアクセスし、検出された各ガントリ角度α(t)について、検出された値にマッピングされた推定された実際値を取得し、取得した推定された実際値を実際のガントリ角度α(t)として使用することが含まれる。
【0027】
ルックアップテーブルは、特にサイズが大きすぎない場合に、角度パターンを迅速且つ効率的な取得を可能にする。一般的に、多くのロータリエンコーダ、特にスロット付きエンコーダのパターンは、離散値を生成し、この離散値の数はロータリエンコーダの物理的な制約によって制限されるため、角度パターンに関する情報を失うことなく、適性なサイズのルックアップテーブルに角度パターンを保存でき、信頼性が高く、高速で効率的な取得が可能である。
【0028】
本開示の方法は、キャリブレーション手順によりロータリエンコーダの角度パターンβを決定し、特にロータリエンコーダの角度パターンβをコンピュータ可読メモリに、及び/又はコンピュータ可読形式で、特に位置ルックアップテーブルに保存するステップを含む。
【0029】
キャリブレーション手順によって角度パターンを決定すると、メーカー情報及び/又はモデル化だけに頼るよりも正確な結果が得られる。これは、各ロータリエンコーダが単独で使用され、モデル及び/又はメーカー情報からある程度逸脱していること、及びCTイメージングシステムに複数の相互作用構成要素があり、ロータリエンコーダの測定結果に影響を与え、そのような逸脱を引き起こす可能性があるためである。キャリブレーション手順は、CTイメージングシステムを使用して行われる実験的構成要素を含む場合がある。これにより、そのような偏差を説明できる。更に、任意選択で、キャリブレーション手順では、イメージングシステムの少なくともいくつかの構成要素のメーカー情報及び/又はモデル化を考慮できる。言い換えれば、キャリブレーションは経験的又は半経験的な方法に基づいている。キャリブレーションでは、エンコーダパターンが不規則である可能性がある、つまり、1回転以内に正確な周期から逸脱する可能性があるが、その誤差も時間の経過と共に且つ回転ごとに一定であり、したがって、回転ごとに繰り返されるという事実が利用される。
【0030】
角度パターンをコンピュータ可読形式で保存すると、1つ以上の適応ステップに、角度パターンを反映したデータを直接使用できる。位置ルックアップテーブルについては、上記の説明を参照されたい。
【0031】
キャリブレーション手順は、ガントリを回転させ、ロータリエンコーダを1回転当たりに複数の角度を検出するように制御することと、複数の回転のためのスロット時間T(1...N 、1...NTurn)を決定することとを含み、ここで、Nはロータリエンコーダのスロット数であり、NTurnは回転数である。キャリブレーション手順は更に、1回転当たりのスロット時間の値を正規化し、スロット角度A(n,m)を計算することを含み、ここで、
【数1】
である。
【0032】
キャリブレーション手順は更に、複数の回転のスロット角度A(n,m)の値を平均化して、ロータリエンコーダの角度パターンβを得ることを含み、ここで、
【数2】
ここで、βは、ガントリ角度の値である。
特に、ここで、Nはスロットの数であり、i=0...N-1である。
【0033】
上記は、回転中の回転速度が一定であることを前提としている。上記の特徴のコンテキストを与えるために、理想的なエンコーダは、次の角度パターンで表すことができることに留意されたい。
【数3】
【0034】
本開示の方法は、どの実際のエンコーダもこの理想的な場合と異なるという事実を考慮している。上記のキャリブレーションは、この差異を考慮することを可能にする、本開示による可能性の1つである。
【0035】
ガントリは、スロット時間を測定している間に最大ガントリ速度で駆動されるように制御される。これにより、1回転の間での速度変動の影響を軽減できる。速度変動は、ルックアップテーブルなどの角度パターンに影響を与えるため、回避することが有利である。したがって、A-DPLLは、任意の追加の手段を取ることなく、キャリブレーション中の速度変動を回避する場合、より正確な結果を提供する。例えば、A-DPLLでは、追加の手段を取らなければ、一般的に速度変動とエンコーダの不規則性とを区別できないため、速度変動を回避することで精度が向上する。
【0036】
本開示では、スロット時間T(1...N 、1...NTurn)を得ることは、測定されたスロット時間を、測定中に推定されたガントリ速度に正規化することを含む。ガントリ速度を推定して、推定されたガントリ速度を得ることは、ガントリ不均衡に起因する機械的摩擦力及び/又は機械的力を考慮して行われる。質量中心が回転軸にない場合、不均衡が存在している。不均衡は、各回転における回転速度を変調する。
【0037】
最大ガントリ速度でガントリを駆動しているときにスロット時間を測定することに代えて又は加えて、スロット時間の測定は、ガントリがモータによって駆動されずに回転している期間、特にモータによって、最大ガントリ速度でガントリを駆動した後のガントリの減速時に行われる。特に、この期間中、ガントリは、ブレーキをかけることなく回転する。つまり、スロット時間の測定は、ガントリが自由に減速する期間に行われる。
【0038】
スロット時間の測定中に最大ガントリ速度で駆動する態様と比較して、モータをオフにして、ガントリを自由に減速させることで、モータの特性がキャリブレーション結果を歪めることを回避でき、これにより高精度が提供される。
【0039】
非常に高い精度のために、2セットのスロット時間が測定される。1セットはガントリを最大速度で駆動するときに測定し、もう1セットは上述したようにガントリの自由減速時に測定する。これにより、スロット時間の一方のセットを使用して得られた結果と、スロット時間のもう一方のセットを使用して得られた結果とを比較又は精緻化できる。
【0040】
本開示では、ガントリ速度を推定することは、ガントリ不均衡に起因する機械的力を考慮して行われる。ガントリ不均衡に起因する機械的力は、Fim=csin(α+c)としてモデル化され、ここで、c、cは定数であり、αは実際のガントリ角度α(t)である。ガントリ不均衡に起因する機械的力の影響は、次のようにモデル化されるエネルギー損失から導き出される。
【数4】
【0041】
ガントリ速度ωは、自由モデルパラメータ(d、d、c、c、ω)を、キャリブレーション中に時間Tで測定された角度α(T)に適合させることによって推定される。
【0042】
本開示で提案する手法でガントリ速度を推定し、それをスロット時間を得るために使用することにより、高い精度が得られる。一方で、イメージングシステムの所与のセットアップ及び環境におけるガントリの特性を考慮するための追加の測定が必要になることが回避される。したがって、効率的に高精度を提供できる。
【0043】
本開示のキャリブレーション手順には、角度パターンのCT画像ベースの決定が含まれる。特にキャリブレーション手順には、CTイメージングシステムによって得られたファントムのCT投影データを解析して、CT画像内のファントムの形状と、予想されるロータリエンコーダ特性を有するロータリエンコーダを使用した場合に予想されるファントムの形状との偏差を検出し、偏差に基づいて角度パターンを決定することが含まれる。
【0044】
この角度パターンを決定するためのこの実施例は、キャリブレーション手順がCTイメージング出力に与える影響によって決定される。つまり、所定の形状のファントムに対して、適切にキャリブレーションされたCTイメージングシステムの出力がどのようになるべきかを予測できる。キャリブレーションの過程で、CTイメージングシステムの出力が予測出力と一致しない場合、角度パターンが修正され、修正された角度エンコーダパターンを適用することで、予測出力と一致するか、又は予測出力の周辺の所定の間隔内にある出力が得られるかどうかが決定される。この場合、角度パターンは、CTイメージングシステムの更なる操作のために使用される。それ以外の場合、角度パターンは、修正された角度パターンを適用することで、予測出力と一致するか、又は予測出力の周辺の所定の間隔内にある出力が得られるまで、再度、特に繰り返し修正される。言い換えると、最初の角度パターンは、所定の出力が得られるまで反復的に修正される。
【0045】
このコンテキストでは、「投影データ」とは、CTイメージングシステムの検出器から得られる生データを指している。生データは、例えば、複数列CT検出器では2Dデータである。
【0046】
画像ベースのキャリブレーションの利点は、キャリブレーションの所望の結果、つまり、CTイメージングシステムからの正確な出力、特に正確なCT画像を直接目的とすることである。上記で説明した非画像ベースの手順を使用する利点は、X線照射を用いてCTイメージングを実際に撮影する際に必要となり得る保護対策を必要とすることなく行えることである。
【0047】
画像ベースの手順及び画像ベースではない手順はどちらも、より正確な出力をもたらす。任意選択で、画像ベースの手順と画像ベースではない手順とを、蓋然性チェックとして、及び/又は精度をより一層向上させるために組み合わせることができる。
【0048】
本開示の方法は、特にCT画像ベースのキャリブレーション手順の一部として、複数のCT投影を解析することを含む。CT投影は、複数のガントリ角度でCTイメージングシステムによって得られ、ファントム、例えばシングルワイヤファントムを描写している。複数のガントリ角度は、例えば少なくとも1つのガントリ回転をカバーしている。方法は更に、CT投影の各々について、CT投影におけるファントムの予想位置とCT投影におけるファントムの実際の位置とを比較して、予想位置と実際の位置との差を決定することを含む。方法は更に、各CT投影について、予測位置と実際の位置との差に基づいて、推定ガントリ角度を推定することを含む。方法は更に、推定ガントリ角度と、ロータリエンコーダによって決定された対応するガントリ角度との差に基づいて角度パターンを決定することを含む。
【0049】
本開示による画像ベースのキャリブレーションの例として、横断軸2D CT画像をキャプチャする際に、z軸(例えば長い患者軸)と平行に向けられたガントリに配置されたシングルワイヤファントムの検出器アレイへの投影(つまり、影)は、スポットによって視覚化される。検出器アレイへの投影の位置は、ワイヤの位置、CTスキャナの形状、及び実際のガントリ角度によって異なる。複数のガントリ角度について、各投影の予想位置を決定し、予想位置を測定位置と比較できる。差は角度の不正確さを示す。測定された投影位置を使用して、各投影の実際のガントリ角度を推定できる。結果として生じるデータを使用して、角度パターンが得られる。任意選択で、影の位置は、適切な数値計算方法を用いてサブピクセル解像度で推定できる。
【0050】
本開示の方法、特に上記の方法のステップの一部又は全部は、コンピューティングシステム又はコンピュータとも呼ばれるデータ処理システムによって行われる場合がある。本開示の方法はまた、データ処理システムによって行われないが、任意選択で、データ処理システムによって制御されるステップを含んでいてもよい。
【0051】
本開示の方法は、任意選択で、CTイメージングシステムによって、特に光子計数イメージングシステムによって、特に低線量CTスキャンによって、CT画像又は複数のCT画像を取得することを含んでいてもよい。方法は、キャリブレーション中及び/又はキャリブレーション後の操作中にCT画像を取得することを含んでいてもよい。データ処理システムがCT画像の取得を制御することもできる。
【0052】
或いは又は更に、本開示の方法は、任意選択で、モータによって、特に上記のようにガントリを回転させるように制御することに基づいて、ガントリを回転させることを含んでいてもよい。方法は、キャリブレーション中及び/又はキャリブレーション後の操作中にガントリを回転させることを含んでいてもよい。データ処理システムが、特に制御信号をモータに送信することによって回転を制御することもできる。
【0053】
本発明はまた、検出器を有するガントリと、ガントリに取り付けられたロータリエンコーダとを含むCTイメージングシステムを操作する際に使用するためのデータ処理システムを提供する。データ処理システムは、適応型デジタル位相ロックループ(A-DPLL)によって、ガントリのガントリ回転をモデル化する。A-DPLLは、実際のガントリ角度α(t)とモデル化されたガントリ角度α(t)との差を最小化する。データ処理システムは更に、モデル化されたガントリ角度α(t)の複数の所定の値の各々について、検出器のトリガパルスを生成する。実際のガントリ角度α(t)は、ロータリエンコーダによってガントリ角度α(t)を検出し、予想されるロータリエンコーダ特性からの実際のロータリエンコーダ特性の偏差を考慮するように、検出されたガントリ角度α(t)を適応させることによりに得られる角度であり、適応は、ロータリエンコーダの角度パターンβを使用して行われる。データ処理システムは、本開示の方法のステップのいずれかを実行及び/又は制御できる。
【0054】
本発明はまた、本開示のデータ処理システムを含み、且つ検出器を有するガントリと、ガントリに取り付けられたロータリエンコーダとを含むCTイメージングシステムを更に含むシステムを提供する。CTイメージングシステムは、CT画像又は複数のCT画像を取得する。特に、CTイメージングシステムは、光子計数CTイメージングシステムである。システムは、本開示の方法のいずれかを行うことができる。
【0055】
本発明はまた、命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。命令は、プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに、本開示に説明する方法のステップのうちの1つ以上を実行させる。
【0056】
本発明はまた、命令を含むコンピュータ可読媒体を提供する。命令は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに、本開示に説明する方法のステップのうちの1つ以上を実行させる。
【0057】
CTイメージングシステムを操作するための方法のコンテキストで概説された特徴及び利点は、本開示のデータ処理システム、データ処理システムを含むシステム、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ可読媒体にも同様に適用される。
【0058】
更なる特徴、実施例、及び利点は、添付の図面を参照して、詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は、本開示による第1の方法のフロー図を示す。
図2図2は、本開示による第2の方法のフロー図を示す。
図3図3は、本開示によるシステムの概略的で、正確な縮尺ではない図を示す。
図4図4は、本開示によるA-DPLLの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1は、本開示によるCTイメージングシステムを操作するための方法のフロー図を示す。CTイメージングシステムは、検出器を有するガントリと、ガントリに取り付けられたロータリエンコーダとを含む。例えば、CTイメージングシステムは、図3に示され、図3のコンテキストで以下に説明されるようなCTイメージングシステムであっても、例えば、本開示による任意の他の適切なシステムであってもよい。
【0061】
図1に示す方法は、適応型デジタル位相ロックループ(A-DPLL)によって、ガントリのガントリ回転をモデル化するステップS11を含む。A-DPLLは、実際のガントリ角度α(t)とモデル化されたガントリ角度α(t)との差を最小化する。図1に示す方法は、モデル化されたガントリ角度α(t)の複数の所定の値の各々について、検出器のトリガパルスを生成するステップS12を含む。
【0062】
本開示によれば、実際のガントリ角度α(t)は、ロータリエンコーダによってガントリ角度α(t)を検出し、予想されるロータリエンコーダ特性からの実際のロータリエンコーダ特性の偏差を考慮するように、検出されたガントリ角度α(t)を適応させることにより得られる。この適応は、ロータリエンコーダの角度パターンβを使用して行われる。
【0063】
図2を参照して、本開示による、典型的で、より詳細な方法について以下に説明する。
【0064】
ステップS21~S23で、キャリブレーション手順が行われる。ステップS21では、ガントリを、ロータリエンコーダの回転可能な部分と一緒に回転させる。ステップS22では、ロータリエンコーダによって複数のガントリ角度が検出される。ステップS23では、例えば、上記のように、検出されたガントリ角度に基づいて、ロータリエンコーダの角度パターンβが得られる。
【0065】
ステップS24では、ロータリエンコーダの角度パターンβがコンピュータ可読な形式でコンピュータ可読記憶媒体に保存される。例えば、角度パターンはルックアップテーブルに保存される。
【0066】
上記のステップは、例えばCTイメージングシステムのセットアップ又はメンテナンスの後、及びCTイメージングシステムの通常の操作の前に行われる。
【0067】
CTイメージングシステムの通常の操作の一部であるステップS25では、ロータリエンコーダによって、ガントリ角度α(t)が検出される。
【0068】
ステップS26では、予想されるロータリエンコーダ特性からの実際のロータリエンコーダ特性の偏差を考慮するように、検出されたガントリ角度を適応させることによって、実際のガントリ角度α(t)が得られる。この適応は、ロータリエンコーダの角度パターンβを使用して行われる。例えば、コンテキストS24で言及されたルックアップテーブルにアクセスして、角度パターンを取得できる。
【0069】
ステップS27では、ガントリのガントリ回転は、例えば、図1のコンテキスト、特にステップS11で説明したようにステップS26で得られた実際のガントリ角度α(t)に基づいて、適応型デジタル位相ロックループ(A-DPLL)によってモデル化される。したがって、検出された各ガントリ角度、したがって、実際の各ガントリ角度について、モデル化されたガントリ角度α(t)が得られる。
【0070】
ステップS28では、モデル化されたガントリ角度α(t)の複数の所定の値の各々について、検出器のトリガパルスが、例えば、図1のコンテキスト、特にステップS12で説明したように生成される。
【0071】
ステップS29では、各トリガパルスに応じて、CTイメージングシステムは検出期間を開始して、CT画像を取得する。
【0072】
図3は、本開示によるシステム1の概略的で、正確な縮尺ではない図を示す。
【0073】
このシステムは、データ処理システム2を含む。データ処理システム2は、本開示による方法、特に図1又は図2のコンテキストで上記で説明した方法のコンピュータ実施方法ステップのうちの1つ以上、特に全てを行うことができる。
【0074】
システム1はまた、CTイメージングシステム3を含む。CTイメージングシステム3は、例えば、複数列CT検出器である検出器4aを有するCTガントリ4を含む。CTガントリは更に、例えば、X線源である線源4bを含む。
【0075】
CTイメージングシステムは更に、ロータリエンコーダ5を含む。ロータリエンコーダ5は、固定された位置でCTガントリに取り付けられた回転部分5aを有する。したがって、回転部分はCTガントリと一緒に回転する。ロータリエンコーダには固定部分5bもある。ロータリエンコーダは、固定部分5bに対する回転部分5aの相対的な移動、具体的には、回転部分の回転による角度変化を検出する。
【0076】
任意選択で、システムはまた、CT画像を表示するディスプレイデバイス6を含んでいてもよい。更に、任意選択で、システムは、データ処理システムとCTイメージングシステム、データ処理システムとディスプレイデバイス、データ処理システムとディスプレイデバイス、及びCTイメージングシステムとディスプレイデバイスをそれぞれ接続する有線又は無線データ接続などのデータ接続7、8、9を含んでいてもよい。
【0077】
なお、システムの一部又は全ての構成要素は、個別に設けられているのではなく、一体的に形成される場合がある。例えば、データ処理システム及び/又はディスプレイデバイスも、CTイメージングシステム及び/又は相互に一体的に形成される場合もある。
【0078】
CTガントリを駆動するためのモータ10も、CTイメージングシステムに含まれているものとして概略的に示されている。
【0079】
図4は、本発明によるA-DPLLの概略図を示す。なお、このコンテキストでは、例えば、本開示のキャリブレーション手順中に求めたロータリエンコーダの角度パターンが、図4に示すトレーニングパターンの出発点として使用される。
【0080】
PLLで一般的に使用される用語は、ある周期内の周期的なエンティティ(例えば、正弦波電気信号における実際の電圧)の相対位置を参照するために「位相」という用語を使用する。本件では、ガントリ回転が周期的なプロセスとしてモデル化され、「角度」という用語を使用して相対位置を定義している。したがって、PLL技術を周期的なガントリ回転に適用する場合の「位相」という用語は、「ガントリ角度」と同等である。
【0081】
図4からわかるように、測定データは、位相差検出器への入力として、角度エンコーダによって提供される。この位相差検出器は、トレーニングパターンから得られたデータに対する位相差を検出する。検出された位相差に基づいて、時間間隔の角度ステップA=Δωが増減され、加算器への入力として使用される。加算器は、トレーニングパターンへの入力として使用される角度/位相を出力する。更に、出力された角度を出力パターン生成器に入力できる。出力パターン生成器は、CTイメージングシステムの検出期間をトリガするために使用される出力パターンを生成する。
【0082】
本発明は、図面及び上記の説明に詳細に例示及び説明されているが、このような例示及び説明は、例示的と見なされるべきであって、限定的と見なされるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。上記の説明及び図面を考慮すると、請求請求の範囲で定義されているように、本発明の範囲内で様々な変更を行い得ることが、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0083】
S11 A-DPLLによって、CTイメージングシステムのガントリのガントリ回転をモデル化して、モデル化されたガントリ角度α(t)を得る
S12 モデル化されたガントリ角度α(t)の複数の所定の値の各々について、CTイメージングシステムの検出器のトリガパルスを生成する
S21 ガントリを回転させる
S22 ロータリエンコーダによってガントリ角度を検出する
S23 ロータリエンコーダの角度パターンを得る
S24 ロータリエンコーダの角度パターンを保存する
S25 ロータリエンコーダによってガントリ角度α(t)を検出する
S26 角度パターンを使用して検出されたガントリ角度を適応させることにより、実際のガントリ角度α(t)を得る
S27 A-DPLLによって、CTイメージングシステムのガントリのガントリ回転をモデル化して、モデル化されたガントリ角度α(t)を得る
S28 モデル化されたガントリ角度α(t)の複数の所定の値の各々について、CTイメージングシステムの検出器のトリガパルスを生成する
S29 各トリガパルスに応じて、検出期間を開始して、CT画像を取得する
1 システム
2 データ処理システム
3 CTイメージングシステム
4 CTガントリ
4a 検出器
4b 線源
5 ロータリエンコーダ
5a 回転部分
5b 固定部分
6 ディスプレイデバイス
7、8、9 データ接続
10 モータ
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】