(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵
(51)【国際特許分類】
F28D 20/00 20060101AFI20241121BHJP
F28D 20/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F28D20/00 A
F28D20/02 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537861
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 AU2022051391
(87)【国際公開番号】W WO2023115098
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524232613
【氏名又は名称】エムジーエー サーマル ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キシ,エーリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】タナー,デビッド
(57)【要約】
熱エネルギーを貯蔵するためのエネルギー貯蔵デバイスが開示される。エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも1つの加熱デバイスと、混和性ギャップ合金から形成された少なくとも1つの蓄熱ブロックを備える蓄熱体と、上記蓄熱体を取り囲む断熱材と、蓄熱体及び/又は断熱材を取り囲む少なくとも1つの実質的に不浸透性のシェルと、を備える。このデバイスは、熱が、上記少なくとも1つの熱伝達チャネルと少なくとも1つの蓄熱ブロックとの間の熱伝達によって、上記蓄熱体から充電又は放出され得るように配置されている。本発明はまた、混和性ギャップ合金から形成された少なくとも1つの蓄熱ブロックに熱エネルギーを貯蔵するための方法及びシステムに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵デバイスであって、
少なくとも1つの加熱デバイスと、
混和性ギャップ合金から形成された少なくとも1つの蓄熱ブロックを含む蓄熱体であって、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックは、熱伝達流体の流れを受容するように適合された少なくとも1つの熱伝達チャネル及び/又は前記少なくとも1つの加熱デバイスがその中に形成されるように配置される、蓄熱体と、
前記蓄熱体が実質的に断熱されるように、前記蓄熱体を取り囲む断熱材と、
前記熱伝達流体が実質的に含まれるように、前記蓄熱体及び/又は前記断熱材を取り囲む少なくとも1つの実質的に不浸透性のシェルと、を備え、
熱は、前記少なくとも1つの熱伝達チャネルと少なくとも1つの蓄熱ブロックとの間の熱伝達によって、前記蓄熱体から充電又は放出され得る、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項2】
前記混和性ギャップ合金が、
(i)第1の成分の高密度連続熱伝導性マトリックスと、
(ii)前記第1の成分の前記マトリックス全体に分散した第2の成分の粒子と、を含み、
前記第1及び第2の成分が、固体形態で完全に又は部分的に不混和であり、前記第1の成分が、前記第2の成分よりも高い温度で溶融し、前記第1の成分が、前記第2の成分が溶融又は流動可能な状態にあるときを含め常に、前記第2の成分を含み、封じ込めており、
前記第1及び第2の成分が、独立して金属又は非金属であり得、前記第2の成分の前記粒子が、微粒子である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項3】
前記熱伝達流体が、前記少なくとも1つの熱伝達チャネルを通って流れるときに、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックと熱接触している、請求項1又は2に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項4】
前記熱伝達流体が、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックと直接接触している、請求項3に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項5】
前記熱伝達流体が、前記少なくとも1つの熱伝達チャネルによって受容された少なくとも1つの熱交換器パイプを通って流れるときに、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックと熱接触している、請求項3に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項6】
前記熱伝達流体が、超臨界CO
2、亜臨界CO
2、蒸気、窒素ガス、空気、有機ガス、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項7】
前記熱伝達流体が、蒸気である、請求項6に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項8】
複数の前記蓄熱ブロックが、その中に複数の前記熱伝達チャネルが形成されるように配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの加熱デバイスが、熱交換器コイル及び/又は電気ヒータである、請求項1~8のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの加熱デバイスが、1つ以上の電気駆動放射ヒータである、請求項9に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項11】
前記1つ以上の放射ヒータが、その中の前記少なくとも1つの蓄熱ブロックに熱を放射伝達するために、前記蓄熱体の近くに位置するが、前記蓄熱体と接触していない、請求項10に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項12】
前記熱伝達流体に伝達される前記熱エネルギーが、追加のプロセス動作に電力を供給及び/又は加熱するために使用される、請求項1~11のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項13】
前記追加のプロセス動作が、タービン、ランキンサイクルタービン発電機、バートンサイクルエンジン、スターリングサイクルエンジン、ブレイトンサイクルタービン発電機、熱交換器、蒸気生成器、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの加熱デバイスが、前記蓄熱体が、蓄熱された熱を同時に放出している間に、前記蓄熱体に追加の熱を充電するように適合されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの蓄熱ブロックを形成する前記混和性ギャップ合金を含む前記第2の成分微粒子が、前記蓄熱体への熱の充電中に溶融し、顕熱及び潜熱の両方がそこから排出されるまで溶融したままである、請求項1~14のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項16】
エネルギーを貯蔵するための方法であって、
a)その中に形成された少なくとも1つの熱伝達チャネルと隣り合った少なくとも1つの加熱デバイスを加熱することによって、蓄熱体を備える少なくとも1つの蓄熱ブロックを充電するステップと、
b)外部大気から、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックで構成された前記蓄熱体を実質的に断熱し、密封することによって、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックに前記熱エネルギーを貯蔵するステップと、
c)熱が前記少なくとも1つの熱伝達ブロックから除去されるように、前記少なくとも1つの熱伝達チャネル内により低い温度の熱伝達流体を流すことによって、前記蓄熱体から熱を放出するステップと、を含む、方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの蓄熱ブロックが、混和性ギャップ合金から形成され、前記混和性ギャップ合金が、
(i)第1の成分の高密度連続熱伝導性マトリックスと、
(ii)前記第1の成分の前記マトリックス全体に分散した第2の成分の粒子と、を含み、
前記第1及び第2の成分が、固体形態で完全に又は部分的に不混和であり、前記第1の成分が、前記第2の成分よりも高い温度で溶融し、前記第1の成分が、前記第2の成分が溶融又は流動可能な状態にあるときを含め常に、前記第2の成分を含み、封じ込めており、
前記第1及び第2の成分が、独立して金属又は非金属であり得、前記第2の成分の前記粒子が、微粒子である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
充電された前記熱が、ステップa)中に前記少なくとも1つの蓄熱ブロックを形成する前記混和性ギャップ合金の前記第2の微粒子成分を溶融し、ステップb)中に顕熱及び潜熱の両方が前記蓄熱体に貯蔵されるようにする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップa)の前記熱充電が、少なくとも1つの熱交換器コイル及び/又は少なくとも1つの電気駆動放射ヒータを加熱することによって実行される、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの熱交換器コイルが、熱が前記少なくとも1つの蓄熱ブロックに伝達されるように、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックよりも高い温度で前記熱伝達流体を流すことによって加熱される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記熱充電が、前記蓄熱体の近くに位置するが、前記蓄熱体と接触していない前記少なくとも1つの放射ヒータに通電することによって実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの加熱デバイスが、再生可能エネルギー及び/又は産業廃熱回収によって加熱される、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ステップa)及びc)の前記充電及び放出が、それぞれ、同時に発生する、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~16のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵デバイスを使用する方法。
【請求項25】
エネルギーを貯蔵するためのシステムであって、
少なくとも1つのエネルギー源と、
少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスであって、少なくとも1つの加熱デバイスと、混和性ギャップ合金から形成された少なくとも1つの蓄熱ブロックを含む蓄熱体であって、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックは、熱伝達流体の流れを受容するように適合された少なくとも1つの熱伝達チャネル及び/又は前記少なくとも1つの加熱デバイスがその中に形成されるように配置される、蓄熱体と、前記蓄熱体が実質的に断熱されるように、前記蓄熱体を取り囲む断熱材と、前記熱伝達流体が実質的に含まれるように、前記蓄熱体及び/又は前記断熱材を取り囲む少なくとも1つの実質的に不浸透性のシェルと、を備え、熱は、前記少なくとも1つの熱伝達チャネルと少なくとも1つの蓄熱ブロックとの間の熱伝達によって、前記蓄熱体から熱充電又は放熱され得る、エネルギー貯蔵デバイスと、
少なくとも1つのポンピング手段と、
少なくとも1つの熱伝達及び/又はエネルギー変換手段と、の単位動作を含み、
前記単位動作は、前記システムが、前記ユニット動作の間で熱エネルギーを伝達するための少なくとも1つの流体パスを形成するように、互いに流体連通している、システム。
【請求項26】
前記少なくとも1つの蓄熱ブロックが、混和性ギャップ合金から形成され、前記混和性ギャップ合金が、
(i)第1の成分の高密度連続熱伝導性マトリックスと、
(ii)前記第1の成分の前記マトリックス全体に分散した第2の成分の粒子と、を含み、
前記第1及び第2の成分が、固体形態で完全に又は部分的に不混和であり、前記第1の成分が、前記第2の成分よりも高い温度で溶融し、前記第1の成分が、前記第2の成分が溶融又は流動可能な状態にあるときを含め常に、前記第2の成分を含み、封じ込めており、
前記第1及び第2の成分が、独立して金属又は非金属であり得、前記第2の成分の前記粒子が、微粒子である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記エネルギー源が、電気及び/又は熱エネルギー源である、請求項24又は25に記載のシステム。
【請求項28】
前記エネルギー源が、再生可能エネルギー源である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記加熱デバイスが、電気エネルギーを生成する前記再生可能エネルギー源によって電気的に電力供給される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記熱エネルギー源が、流体の産業廃棄流から回収された熱である、請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
前記熱伝達流体が、超臨界CO
2、亜臨界CO
2、蒸気、窒素ガス、空気、有機ガス、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項25~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記エネルギー変換手段が、タービン、ランキンサイクルタービン発電機、バートンサイクルエンジン、スターリングサイクルエンジン、ブレイトンサイクルタービン発電機、蒸気生成器、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも1つの熱交換手段が、前記少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスから排出された高温の前記熱伝達流体からマルチパスシステム内の少なくとも別の熱伝達流体又は作動流体に熱エネルギーを伝達するための熱交換器である、請求項25~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記少なくとも1つのパスが、閉ループ循環パスを含む、請求項25~33のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2021年12月21日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021/904176号の先行出願日の利益を主張し、そのような各出願の全体は、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、熱エネルギーの捕捉、貯蔵、及び放出のためのデバイス、並びにエネルギーの捕捉、貯蔵、及び放出の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
風力及び太陽電力などの再生可能エネルギー源は、環境的にも経済的にもますます重要になっている。WMO(世界気象機関)によると、大気中の温室効果ガス濃度は、2015年に400ppmに達し、2020年には413ppmを超えた。一般に認められている450ppmの臨界閾値で温室効果ガスの濃度を安定させるには、迅速な移行が必要である。再生可能でカーボンニュートラルなエネルギー源の実装の遅れは、アクションのための余地を狭め、エネルギーセクターの変革のコストを年間推定5,000億ドル増加させる。
【0004】
残念ながら、ほとんどの形態の再生可能エネルギー(地熱発電及び水力発電を除く)は、断続的な供給の問題を有する。例えば、日中のサイクル及び気象条件は、太陽光発電に直接影響を及ぼす。風及び波の源も断続的であり、エネルギーは、一般的な環境条件に依存する。
【0005】
再生可能エネルギー源をより魅力的にし、そのような源から生成される電気エネルギーの利用可能性を高めるために、エネルギーが余剰時に貯蔵され、そうでなければ需要が供給を上回る時期に放出される必要がある。
【0006】
従来のエネルギー貯蔵技術は、十分に確立された化学的、電気化学的又は機械的手段に基づいて存在する。例えば、電池が周知であり、その後の水力発電のために貯水池まで水を汲み上げることも、よく確立された技術分野である。残念ながら、これらの技術の多くは、相対的に低いエネルギー貯蔵密度(単位体積当たりの低い貯蔵エネルギー)を有し、化学的、電気化学的、又は機械的手段によるエネルギー貯蔵は全て、最終的なエネルギー利用に関連するものに加えて、貯蔵回収サイクルにおいてエネルギー損失を被る。
【0007】
熱エネルギー源の場合、直接熱エネルギー貯蔵(TES)を非常に効率的に行うことができ、断熱外皮によって環境損失のみを被る。例えば、顕熱ベースの集中型太陽熱(CST)プラントは、顕熱貯蔵のために数千トンの溶融KNO3/NaNO3塩を使用し、相対的に高い還元熱効率を有する。
【0008】
最近、熱エネルギーを貯蔵するために石又はコンクリートの形態で固体貯蔵材料を使用するエネルギー貯蔵デバイスが提案されている。貯蔵された熱エネルギーは、貯蔵された熱エネルギーを電気エネルギーに戻すために、加熱のための蒸気又は蒸気発電所を駆動するための蒸気を生成することに対する需要が高まったときに使用され得る。
【0009】
そのような形態の固体エネルギー貯蔵材料の1つは、蓄熱材料として混和性ギャップ合金を利用する(WO2014/063191(A1))に開示されているものである。
【0010】
これらの材料は、その中に溶融性材料の分散微粒子がある封じ込めマトリックスを含む。溶融性材料の融点未満の低温では、全体が固体である。微粒子が作製される合金の融点を超える温度では、微粒子は液体である。この材料は、マトリックスの表面との熱伝達を介して行われるエネルギー貯蔵及び放出の観点から非常に効率的である。
【0011】
「微粒子」という用語は、絶対的又は相対的な意味で使用され得る。例えば、絶対的な意味で、微粒子は、サイズが100μm未満、例えば10μm又は更には1μm以下である粒子を指し得る。
【0012】
代替的に、相対的な意味で、微粒子は、蓄熱材料が形成される全体的な貯蔵ブロック寸法よりも少なくとも2桁(>100×)以上小さい粒子を指し得る。
【0013】
この形態の蓄熱は、温度上昇による顕熱又は相変化による潜熱として直接的である。そのような相変化システムは、競合技術よりもはるかに高い非常に高いエネルギー貯蔵密度を示すため、潜在的に非常に有用である。更に、この相変化システムは、所望の温度範囲内の融点を有するものにその成分を変更することによって、ターゲット用途に容易に適合させることができ、したがって、その蓄熱及び放熱特性を修正する。
【0014】
単位体積当たりの高いエネルギー密度に加えて、そのような材料は、再充電及び放出するための相対的に短い時間要件を有し、相対的に費用対効果が高い。
【0015】
効率的な熱エネルギー貯蔵システムを適用して、太陽光又は既存産業の廃熱などの再生可能エネルギー源から熱を捕捉することで、温室効果ガスの排出量を大幅に節約し、削減することができる。
【0016】
加熱に使用されるエネルギーの約50%は、居住空間の加熱用途によって消費され、残りは、低温蒸気生成及び直乾のために産業によって利用される。
【0017】
更に、効果的な蓄熱ソリューションが開発されれば、用途の範囲は、再生可能エネルギー源に限定されない。この技術はまた、例えば、化石燃料発電所を貯蔵及びディスパッチシステムに変換することによって、従来の技術における負荷移動用途にも使用することができる。代替的に、大規模な工業プロセスから無駄なエネルギーを回収し、プラントの起動中に再ディスパッチするための蓄熱ソリューションを実装することもできる。
【0018】
本明細書全体にわたる先行技術のいかなる考察も、そのような先行技術が広く既知であること、又は当分野における一般的な知識の一部を形成していることを認めたものとは決して見なされない。
【0019】
本発明の目的は、先行技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服又は改善すること、又は高エネルギー密度の高熱伝導率蓄熱材料としての使用に好適である有用な代替材料、好ましくは新しい材料を提供することである。
【発明の概要】
【0020】
本発明の第1の態様では、エネルギー貯蔵デバイスであって、
少なくとも1つの加熱デバイスと、
混和性ギャップ合金から形成された少なくとも1つの蓄熱ブロックを含む蓄熱体であって、上記少なくとも1つの蓄熱ブロックは、熱伝達流体の流れを受容するように適合された少なくとも1つの熱伝達チャネル及び/又は上記少なくとも1つの加熱デバイスがその中に形成されるように配置される、蓄熱体と、
上記蓄熱ユニットが実質的に断熱されるように、上記蓄熱ユニットを取り囲む断熱ユニットと、
熱伝達流体が実質的に含まれるように、蓄熱体及び/又は断熱材を取り囲む少なくとも1つの実質的に不浸透性のシェルと、を備え、
熱は、上記少なくとも1つの熱伝達チャネルと少なくとも1つの蓄熱ブロックとの間の熱伝達によって、上記蓄熱体から充電又は放出され得る、エネルギー貯蔵デバイスが提供される。
【0021】
デバイスの構造
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、熱エネルギー貯蔵装置である。本発明の装置は、溶融塩、黒鉛などの導電性固体材料、及び粒状材料などの高いデッドスペース容積を有する材料を利用するものを含むがこれらに限定されない、既知の熱エネルギー貯蔵ソリューションの欠点を克服又は改善するために熱エネルギーを貯蔵するように構成されている。これらには、破壊的な膨張、固体貯蔵材料自体又は流体を運ぶ容器の崩壊又は浸食、貯蔵された熱エネルギーの自然放出、熱交換インフラストラクチャとの熱接触の維持の困難、及びその高いセットアップ費用による貯蔵及び放出容量の長期的な劣化が含まれる。比較すると、混和性ギャップ合金を利用した熱エネルギー貯蔵は、潜在的な熱エネルギーも貯蔵するという事実に起因して、感知可能な熱のみのソリューションよりも高いエネルギー密度を有する一方で、熱エネルギーの繰り返しの充電、貯蔵、及び放出に伴う構造剛性/性能のヒステリシス又は長期的な劣化もほとんど示さない。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、蓄熱体は、蓄熱体の内部に少なくとも1つの熱伝達チャネルを形成するように配置された1つ以上の蓄熱ブロックを備える。熱伝達チャネルは、伝導、対流、及び/又は放射によって、熱伝達流体又は加熱デバイスと貯蔵体との間の熱エネルギーを伝達するための界面として機能する曝露表面を提供する。
【0023】
当業者であれば、固体蓄熱体と熱伝達流体との間の熱伝達は、それらの間に直接接触することによって、又は熱交換器装置を介して行うことができることを理解するであろう。したがって、混和性ギャップ合金(本明細書では「MGA貯蔵ブロック」)から形成された少なくとも1つの蓄熱ブロックは、熱伝達流体の流れに直接曝露されるか、又は熱交換器装置の導電性壁と接触することができる。蓄熱体は、その中の熱伝達流体の強制流が、エネルギー貯蔵デバイスの外側に位置するポンプ及び/又は送風機などの装置によって容易となり得るように、少なくとも2つの開口部を有する熱伝達チャネルを備える。
【0024】
MGA貯蔵ブロックは、任意の形状であり得るが、本明細書では、六面体貯蔵ブロックを参照して記載される。六面体貯蔵ブロックの例は、立方体又は細長い四角形若しくは長方形のプリズムである。
【0025】
好ましくは、蓄熱ブロックは、熱伝達チャネルを介して上記流体を直接通過させることによって、熱伝達流体に直接曝露される。この実施形態では、熱エネルギーは、流体とMGA蓄熱ブロックとの間の熱交換器装置の壁などの導電障壁なしに、その間の伝導及び対流によって直接通過される。本発明者は、熱交換器配管の利点を否定する蓄熱ブロックを形成するMGA材料の密度及び伝導性に照らして、この構成が有利であることを見出し、その結果、充電/放出中の伝達における熱保持が改善された。
【0026】
当業者は、蓄熱体が、単一の蓄熱ブロックから構築され得るが、必ずしも必要とされないことを理解するであろう。好ましくは、蓄熱体は、それ自体及び貯蔵体の重量を支持するのに十分な強度を有する複数の蓄熱ブロックから組み立てられる。蓄熱体の単一の構造は、単一の蓄熱ブロックを形成する混和性ギャップ合金内の改善された伝導及び熱保持を可能にするが、そのような構造は、熱伝達チャネルを形成することに困難をもたらし、エネルギー貯蔵デバイスの動作中に不十分な加熱及び/又は熱抽出をもたらす可能性がある。複数の蓄熱ブロックから蓄熱体を構築する利点は、流体のための加熱デバイス及び熱伝達チャネルを組み込むことの数の増加及び容易さによって達成可能な貯蔵体の内部断面にわたる充電/放出の改善された均一性を含む。
【0027】
蓄熱ブロックは、必要に応じて、例えば、モジュラー貯蔵及び組み立てのために、又は輸送を容易にするために、熱伝達フローで接触面積を最大化するなど、様々な基準を満たすように形成され得るか、又は所定量の熱を保持するようにサイズ設定され得る。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つの蓄熱ブロックは、完全に構築されたときに、それが備える蓄熱体が、流体流れ及び加熱デバイスを収容するための適切なチャネル又は凹部を含むように作製される。蓄熱体が混和性ギャップ合金から形成された複数の蓄熱ブロックから構築される場合、ブロックは、単に積み重ね可能な六面体ブロックであり得るか、又はいくつかの実施形態では、それらが組み立てられた蓄熱ブロックに構造的支持を提供するように作製され得る。一実施形態では、蓄熱ブロックは、事前作製されたスロットを介して互いにはめ込まれる。これに関して、熱伝達チャネルは、加熱デバイス及び/若しくは熱伝達流体の流れを収容するために蓄熱ブロック内に作製され得るか、又は蓄熱ブロックの特定の配置によって形成され得、その間に形成されたチャネルが形成され得る。
【0029】
蓄熱体が複数の蓄熱ブロックから構築される場合、蓄熱ブロックは、その構造的支持及び剛性において熱負荷下でのそれらの寸法膨張が考慮されるように配置される。これに関して、加熱及び蓄熱中の熱膨張関連の応力及びひずみによって引き起こされる蓄熱体の永久的な変形は、上記複数の蓄熱ブロックの間に少なくとも1つのスペーサを組み込むことによって防止することができる。更に、熱膨張下での蓄熱ブロックの過度のひずみを防止することによって、構造強度の損失、ブロックの破壊、及びブロックの互いに対する膨張による内部圧力の蓄積(熱ラチェットとしても既知である)を含む、熱関連のクリープ及び関連する問題も緩和することができる。
【0030】
これに関して、スペーサは、間隙空間がそのアレイ間に作成され、維持されるように、各上記複数の蓄熱ブロックの外面に当接するように適合された固体の耐熱性材料である。一例では、スペーサは、間隙空間がその少なくとも2つの側面に隣接して提供されるように、蓄熱体を備える六面体MGAブロックの各角に隣接して提供される。MGAブロック間に提供されるこの間隙空間は、MGAブロックと加熱要素及び/又は熱伝達流体との間の熱伝達を容易にするための熱伝達チャネルを構成することができる。好ましくは、スペーサは、上記間隙空間を維持し、上記ブロックの変形を防止するために、MGAブロックの膨張負荷下で構造的剛性を維持するように適合されるように、金属材料から形成される。
【0031】
この点におけるスペーサの形状は、蓄熱ブロックの形状、間隙空間の所望の体積、したがって熱伝達チャネル、並びに蓄熱ブロックに用いられる材料の熱膨張係数を含むいくつかの要因に基づいて適合される。一実施形態では、スペーサは、「T」字形断面を有する金属バーから形成され、六面体蓄熱ブロックの両方の角及び側面を収容し、当接するように適合される。別の実施形態では、スペーサは、異なる長さの細長い円筒形バーである。更なる実施形態では、両方のタイプのスペーサを交互に使用して、MGAブロックをそのアレイに固定し、蓄熱体を形成する。
【0032】
外部環境へのエネルギー損失を回避するために、蓄熱体は、断熱ユニットを備える断熱材料によって取り囲まれる。パネル、ブロック、ミネラルウール、発泡体及び/又は断熱ブランクの形態の断熱材料は、その中で実質的に断熱するために蓄熱体の外面上に好適に位置し、したがって、外部環境へ失われる熱エネルギーを最小化する。当業者は、蓄熱体のための断熱体の必要性を理解し、必要とされる仕様に従って断熱ソリューションを好適に設計することができるであろう。
【0033】
上記に加えて、膨張した加熱されたガス及び/又は熱伝達流体がエネルギー貯蔵デバイスから逃げるのを防止するために、実質的に流体密度の高い封じ込め又はシェル構造が提供される。これに関して、少なくとも1つの不浸透性の材料層が、それを取り囲み、かつその中に熱伝達流体を含有するように、蓄熱体の外側に提供される。好ましくは、この封じ込め/シェル構造は、金属、より好ましくは軟鋼又はステンレス鋼などの鋼合金から形成されている。更なる好ましい実施形態はまた、その間に設けられる断熱材料を有する内部シェル及び外部シェルを備え得る。そのような構造では、内部シェルは、蓄熱体及び熱伝達流体の実質的な密封を提供し、一方、外部シェルは、断熱材料を封入することによって、改善された熱封じ込め及び構造的剛性を提供する。
【0034】
MGAの使用
上で考察されるように、蓄熱体を含む少なくとも1つの蓄熱ブロックは、混和性ギャップ合金(MGA)から形成されている。この合金の文脈における「混和性ギャップ」という用語は、合金の成分間にある程度の不混和性があり、ある特定の比率及び温度で、合金が混和性合金から分離して、蓄熱ブロックの微細構造に共存する異なる相を形成することを意味する。これに関しての合金は、金属、半金属又は非金属材料から選択される少なくとも2つの構成材料の熱力学的に安定した混合物を含む材料を指す。
【0035】
PCT/AU2013/001227で考察されているように、高温蓄熱は、熱力学的に安定した2相混合物を使用してコンパクトなフットプリントで効率的に達成されることが既知であり、充放出サイクル中に溶融及び固化を受ける活性相は、密度の高い連続的な熱伝導性マトリックス内に完全に囲まれた別個の粒子として存在する。本発明者は、熱エネルギーを充電し、MGAから形成されたブロック内のある特定の温度を維持することによって、合金の相図中の混和性ギャップが、最初に充電された顕熱に加えて、変換及び融合の潜在熱の形態で上記エネルギーを貯蔵するために利用されることを見出した。
【0036】
上記に加えて、好ましい形態では、蓄熱ブロックにおいて、このMGAは、
(i)第1の成分の高密度連続熱伝導性マトリックスと、
(ii)第1の成分のマトリックス全体に分散した第2の成分の粒子と、を含み、
第1及び第2の成分が、固体形態で完全に又は部分的に不混和であり、第1の成分が、第2の成分よりも高い温度で溶融し、第1の成分が、第2の成分が溶融又は流動可能な状態にあるときを含め常に、第2の成分を含み、封じ込めており、
第1及び第2の成分が、独立して金属又は非金属であり得、第2の成分の粒子が、微粒子である。
【0037】
この好ましい実施形態では、MGAは、低融点高エネルギー密度相が、長距離にわたって熱を迅速に送達することができる高熱伝導率固体マトリックス内の小粒子として捕捉される「逆微細構造」を有する。これは、高融点相が低融点材料のマトリックス内で捕捉される、混和性ギャップ合金の自然形成微細構造とは対照的である。PCT/AU2013/001227で考察されているように、この好ましい合金系は、従来の相変化蓄熱システムの導電性、エネルギー密度、腐食、及び不安定性の問題を克服する。
【0038】
第1の成分は、単一の化合物又は元素から形成され得、又は化合物又は元素の混合物であり得る。同様に、可融性である第2の成分は、単一の化合物若しくは元素であり得るか、又は化合物若しくは元素の混合物であり得る。第1及び第2の成分が元素又は単一の化合物である最も単純な場合、全体の系は、2つの別個の相を有する二元系である。一方の成分が2つの元素又は化合物の合金であり、他方の成分が元素又は単一の化合物である場合、システムは、2つの別個の相を有する三元系となる。系の成分に応じて、三元、四元、及びより高い系が可能であり、すなわち、第1の成分がn個の化合物又は元素を有し、第2の成分がm個の化合物又は元素を有する場合、相図はn+m系となる。第1の成分及び第2の成分の組み合わせの選択における重要な要因は、関連する相図における混和性ギャップの存在、並びに「活性」可融性の第2の成分の相が潜在エネルギーの産生/消費とともに変化する温度又は温度範囲である。
【0039】
一実施形態では、第1の成分は、金属であり、第2の成分は、金属である。代替的に、第1の成分は、金属であり、第2の成分は非金属であるか、又は第1の成分は、非金属であり、第2の成分は、金属である。代替的に、第1の成分及び第2の成分の両方が、非金属である。各金属成分は、元素であり得、又は合金、金属、又は半金属化合物であり得る。成分が非金属成分である場合、例えば、塩又は塩の混合物などの無機材料であり得る。結合剤材料はまた、合金中に存在し得るが、具体的には、その成分の混和性、若しくはその相変化特性に関与しないか、又は影響を及ぼさないように選択される。
【0040】
以下の表1は、本発明の逆微細構造混和性ギャップ合金を含む粒子状の第2の成分として組み込まれると予想される合金系の範囲を示す。
【0041】
遷移温度は、低融点(分散)成分の融点であり、材料の貯蔵温度特性を決定する。表はまた、本発明の粒子状の第2の成分を含む要素の相対的な組成範囲を示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0042】
好ましくは、第2の成分は、少なくとも30体積%の蓄熱材料の量で存在し、より好ましくは、第2の成分は、少なくとも35体積%の蓄熱材料の量で存在し、更により好ましくは、第2の成分は、少なくとも40体積%の蓄熱材料の量で存在し、最も好ましくは、第2の成分は、少なくとも50体積%の蓄熱材料の量で存在する。好ましくは、第2の成分は、蓄熱材料の約70体積%未満の量で存在する。
【0043】
粒子は、好ましくは、熱膨張に起因する問題を回避するようなサイズ設定される。一実施形態では、第2の成分の粒子は、サイズが100μm未満、又は更には80μm未満である。
【0044】
任意の好適な合金材料は、混和性ギャップ合金の第1のマトリックス成分を含むことができるが、粒子状の第2の成分を含み、かつ封入することを条件とし、好ましくは、Al、Fe、C及びSiCからなる群から選択される。好ましくは、第2の成分は、Al、Bi、Mg、Cu、Zn及びSi、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、Cであり、第2の成分は、Zn、Cu、Mg、Bi、及びSiの任意の組み合わせを含む合金である。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、Cであり、第2の成分は、Al及びSiの合金である。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、Cであり、第2の成分は、Al、Mg、及びSiの合金である。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、Cであり、第2の成分は、Cu、Mg、及びSiの合金である。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、Cであり、第2の成分は、Cu及びPの合金である。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、Cであり、第2の成分は、Cu及びSiの合金である。別の好ましい実施形態では、第1の成分はCであり、第2の成分はCu及びZnの合金である。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、Cであり、第2の成分は、Cu及びAlの合金である。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、Alであり、第2の成分は、Biである。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、Feであり、第2の成分は、Mgである。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、Feであり、第2の成分は、Cuである。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、黒鉛形態のCであり、第2の成分は、Cuである。別の好ましい実施形態では、第1の成分は、SiCであり、第2の成分は、Siである。
【0045】
好ましくは、第1の成分がAlである場合、第2の成分は、3~26%の量のPbではない。
【0046】
逆微細構造は、第1の成分のマトリックスが、第2の成分が溶融又は流動可能な状態にあるときを含め、第2の成分を含み、封じ込める。
【0047】
第1及び第2の成分の両方について説明されている材料は、網羅的にリストされていないが、選択された動作パラメータに応じて使用できる材料のタイプを例示しているに過ぎないことを理解されたい。
【0048】
TES系におけるMGAの利点
MGA蓄熱ブロックを利用することによって、本発明は、多くの現在のTES系の周知の欠点を克服することができると考えられる。蓄熱ブロックとしてそのような材料を使用する利点としては、以下が挙げられる:
・金属の単位体積当たりの融解の高潜在熱を活用することによる、単位体積当たりの高エネルギー密度。多くの場合、活性(溶融)相の50%の負荷で0.2~2.3MJ/L又は更にそれ以上も達成することができる。したがって、そのような貯蔵デバイスの体積は、それらが貯蔵するエネルギーと比較して相対的に小さい。
【0049】
・活性相のための溶融温度の範囲が利用可能であり、したがって、材料は、有用な動作温度に個別に適合することができる:食品加工のための空間加熱及び工業用熱などの用途のための低温(<300℃)、化学加工におけるプロセス熱のための中域温度(300℃~400℃)、及び蒸気タービン発電のための高温(400℃~700℃)、高温の工業プロセスのための更なる高温(700℃~1400℃)。
【0050】
・潜熱は、プロセスパラメータのより正確な制御を可能にする狭い温度範囲にわたって送達され(又は受け入れられ)、蒸気生成の観点から、タービン発電機又は他のプロセス機器の適合が容易になり得る。
【0051】
・合金のマトリックス成分のみを介して伝導によって熱がPCMに伝達され、PCMから回収されるため、溶融相を系の周りに輸送する必要がなく、非常に高い熱伝達速度が可能である。
【0052】
・マトリックス相は常に固体のままであり、活性相を封入するため、特別な封じ込めは必要ない。
【0053】
・2つの材料が熱力学的に安定であり、動作温度で不混和であるため、成分間の化学反応が回避され、これは、系が長期間にわたって安定したままである可能性が高いことを意味する。
【0054】
熱力学的に安定又は準安定な不混和性材料の使用は、融合の潜在熱を使用して効率的なTESを開発するための新しい方向性を提示する。材料系は、所望の作動温度に適合するように選択され得る。マトリックス相が常に固体であり、自己支持的なままであるため、外部封じ込めは必要ない。これにより、設計が簡素化され、油圧が開発されることはなく、凍結/溶融時の体積変化が、小さい活性相粒子の体積内に制限されるため、大型PCM貯蔵タンクの安全性を改善する。
【0055】
本明細書に開示される混和性ギャップ合金のクラスは、例えば、濃縮太陽放射又は産業廃熱回収及び利用の使用を通じて、従来の形態のエネルギーの需要を大幅に減少させる能力を有する。これは、定義上、化石燃料発電エネルギーの需要を減少させ、実質的な環境上の利益につながる。
【0056】
熱エネルギー貯蔵は、周知であり、約2000MWの世界的な高度なエネルギー貯蔵容量のうち、半分を上回る量が熱又は溶融塩の形態で貯蔵されていると推定される。逆微細構造合金は、蓄熱材料及び関連するポンプ、熱交換器、配管などを直接交換することによって、そのセクターの大部分を固定することができる可能性がある。
【0057】
本発明の蓄熱材料の最適化により、風条件、天候及び日周期による断続性問題が、従来の蒸気タービン技術並びに超臨界CO2ブレイトンサイクルタービンなどのまだ開発中の高度なパワーサイクルの使用を可能にする方法で克服されるにつれて、再生可能な発電がますます実現可能になる。
【0058】
熱伝達流体
上で考察されるように、熱伝達チャネルは、蓄熱体に設けられ、それぞれそこに対して熱エネルギーを充電及び放出する。熱伝達流体は、これらのチャネル内を流れ、伝導及び対流の組み合わせによって、少なくとも1つのMGA蓄熱ブロック間で熱を伝達する。流体とMGAとの間の熱の伝達は、熱伝達流体を熱伝達ブロックの上に直接/通過させることによって直接的に、又は上記少なくとも1つのブロックと接触する熱交換器装置のパイプ壁を介して、若しくは熱界面損失を低減するために上記パイプを取り囲む高伝導性中間材料を介して間接的に行われ得る。
【0059】
本発明の文脈では、熱伝達流体は、蓄熱体、したがってエネルギー貯蔵デバイスとの間の熱エネルギーの伝達を容易にする媒体(ガス、液体、又は超臨界ガスなど)である。エネルギー貯蔵デバイスが発電装置に接続されているある特定の実施形態では、熱伝達流体は、蓄熱体から熱を伝導的に伝達し、従来は熱交換器内の強制流体流によってこれを電気エネルギーへの電気機械的変換のために発電機に伝達するために使用することができる。
【0060】
これに関して、熱伝達流体は、流体として流れることができる任意の媒体を含み、上で考察されるように、伝導及び対流の両方によって熱エネルギーを伝達することができる。したがって、熱伝達流体には、熱油、水、蒸気、窒素、アルゴン、炭化水素、及び二酸化炭素(CO2)が含まれ得るが、これらに限定されない。一実施形態では、少なくとも1つの熱伝達チャネルを通り、蓄熱体を通過する熱伝達流体の強制流は、上記チャネルの各端部に位置する少なくとも1つの開口部によって促進され、チャネルに隣接する少なくとも1つの蓄熱ブロックを外部大気又は発電機、熱交換器、及び/又は冷却器などの任意の外部装置に流体的及び/又は熱的に接続する。
【0061】
いくつかの実施形態では、抽出された熱は、エネルギーを抽出する熱伝達流体、又は二次熱交換器を使用する蒸気などの二次熱伝達流体を使用して、熱エネルギーを必要とする工業的又は商業的プロセスに直接注入される。
【0062】
エネルギー貯蔵デバイスが発電機に接続されている実施形態では、当業者は、使用される生成機構、目標とされる温度、及び使用される熱交換器に従って熱伝達流体が選択されることを理解するであろう。エネルギー貯蔵デバイスから放出される熱エネルギーによって駆動され得る生成方法は、ランキンサイクルタービン発電機、ブレイトンサイクルタービン発電機、バートンサイクルエンジン、スターリングエンジン、及びガスタービンを含むことができるが、これらに限定されない。例えば、ブレイトンサイクルタービン発電機は、超臨界CO2などの超臨界流体を熱伝達流体として使用し得る。代替的に、加熱された熱伝達流体は、中間熱交換プロセスに供給されて、作動流体などの別の流体を加熱して、任意の上記タービン/発電機に電力を供給することができる。
【0063】
好ましくは、熱は、蓄熱体から伝達され、少なくとも1つの熱伝達チャネルを介して熱伝達流体からの補助熱回収プロセスから生成された蒸気を流すことによって蒸気駆動タービンに放出される。この蒸気は、エネルギー貯蔵デバイスに対して外部に位置する熱回収蒸気生成器(HRSG)から生成され、蒸気は、蓄熱体内の熱伝達チャネルを通過することによって加熱された熱伝達流体から生成される。別の実施形態では、熱交換器(HRSGを含むが、これらに限定されない)、エネルギー貯蔵デバイス、及びタービン発電機は、ポンプ及び他の冷却装置を含む閉鎖又は再循環ループを形成し、充電/放出し、電気を生成し、流体循環を駆動する。代替的に、工業プロセスからの廃熱は、後の機会にディスパッチするために熱伝達流体を通過することによって、エネルギー貯蔵デバイスに伝達され、エネルギー貯蔵デバイスに貯蔵され得る。
【0064】
加熱デバイス
熱エネルギーの形態でエネルギーを蓄熱体に充電するために、少なくとも1つの加熱デバイスがエネルギー貯蔵デバイス内に提供される。この少なくとも1つの加熱デバイスは、伝導性、対流性、又は放射熱の形態の熱エネルギーが加熱デバイスから蓄熱体に伝達されることができるように、少なくとも1つの蓄熱ブロックに隣接して、又はその内部の位置に配置される。したがって、加熱デバイスは、それによって受容されるように、熱伝達体に形成された熱伝達チャネルに沿って又はその内部に配置することができるか、又は蓄熱体の内面及び/若しくは外面に隣接して配置することができる。これに関して、当業者は、使用される加熱デバイスの数、蓄熱体に対するその位置、及び熱伝達機構が、限定されないが、蓄熱体で使用される材料、熱エネルギーに変換されるエネルギーのタイプ、及び所望のエネルギー伝達率を含む要因に従って選択されることを理解するであろう。
【0065】
蓄熱体の熱伝達チャネルに隣接する、又は蓄熱体の熱伝達チャネルに配置された2つ以上の加熱デバイスを提供することは、蓄熱体へのより均一で迅速な熱伝達を提供することができる。例えば、蓄熱体の各サブユニットは、その中に含まれる蓄熱ブロックが効率的かつ均一に加熱されるように、2~数百の間の任意の場所にそのような加熱デバイスを備えることができる。
【0066】
特定の実施形態では、少なくとも1つの加熱デバイスは、1つ以上の電気抵抗要素を含む。そのような加熱デバイスは、蓄熱体を直接加熱するために、エネルギー貯蔵デバイスに供給される電気エネルギーを変換することができるであろう。更なる実施形態では、少なくとも1つの加熱デバイスは、その中に含まれる1つ以上の抵抗要素によって生成される電磁放射によって、蓄熱ブロックを加熱するように適合された、電気駆動放射ヒータである。このEM放射は、好ましくは、主に赤外線放射で構成される。
【0067】
好ましい実施形態では、放射線源としての少なくとも1つの抵抗要素を含む加熱デバイスの放射部分は、蓄熱ブロックから所定の距離に保持され、それによって、通電されたときに放射によって熱を伝達する。使用される放射機構によれば、改善された熱伝達は、放射部分を少なくとも1つの蓄熱ブロックと接触させるのではなく、上記距離に保持することによって達成される。導電性又は対流熱伝達とは対照的に、放射加熱デバイスは、上記MGA材料を含む第1の材料の高密度及び導電性連続マトリックスに起因して、蓄熱ブロックを形成する混和性ギャップ合金の熱充電中に改善された熱伝達を提供する。使用中に、放射された熱は、蓄熱体に伝達され、次いで、MGA蓄熱ブロックの内部部分に伝導され、伝導性の第1の材料とその中に含まれる可融性の第2の材料との両方を効果的に加熱する。有利には、非接触放射加熱デバイスの使用はまた、少なくとも1つの蓄熱ブロックを含むMGA材料の効果的かつ効率的な電気絶縁を容易にする。更に、熱伝達流体の流れによって提供される放出経路から分離された効率的な、典型的には電気駆動の加熱デバイスの使用は、エネルギー貯蔵デバイスがそれぞれの経路を介して熱エネルギーを同時に充電及び放出することを可能にし、これは、化学エネルギー貯蔵デバイスでは不可能な動作モードである。
【0068】
当業者は、少なくとも1つの加熱デバイスが、少なくとも1つの蓄熱ブロックの近く又は隣接して位置するロッド又はパネル形状の加熱デバイスなどの任意の特定の形態を採ることができることを容易に理解するであろう。これに関して、1つ以上の放射ヒータは、放射熱伝達が容易になるように、蓄熱ブロックの外面上、又はその内部空洞内に配置することができる。パネル構造は、それと少なくとも1つの蓄熱ブロックとの間の熱伝達のために放射面を効果的に最大化する。これに関して、各放射加熱デバイスはまた、充電温度、熱伝達率、加熱要素のサイズ、及び加熱デバイスの電力効率を含むがこれらに限定されない要因に応じて、任意の好適な数の抵抗要素を備えることができる。
【0069】
別の実施形態では、電気抵抗ヒータは、例えば、熱エネルギー貯蔵体の入口ダクト内の熱伝達流体循環システム内に位置することができる。ヒータのこの代替的な場所は、熱伝達流体システムが貯蔵ブロックを加熱することを可能にする。
【0070】
動作
ここで、エネルギー貯蔵デバイスの動作について考察する。
【0071】
本発明の第2の態様では、エネルギーを貯蔵するための方法であって、
a)その中に形成された少なくとも1つの熱伝達チャネルと隣り合った少なくとも1つの加熱ユニットを加熱することによって、蓄熱ユニットを備える少なくとも1つの蓄熱ブロックを充電することと、
b)外部大気から、上記蓄熱ブロックで構成された上記蓄熱ユニットを実質的に断熱することによって、上記蓄熱ブロックに上記熱エネルギーを貯蔵することと、
c)熱が少なくとも1つの熱伝達ブロックから除去されるように、少なくとも1つの熱伝達チャネル内により低い温度の熱伝達流体を流すことによって、蓄熱ユニットから熱を放出することと、を含む、方法が提供される。
【0072】
したがって、熱エネルギーは、加熱し、温度を維持し、その中に含まれる少なくとも1つの蓄熱ブロックから熱を移すことによって、エネルギー貯蔵デバイスから充電、貯蔵、及び放出される。そのため、デバイスの動作には、3つの異なる相がある。-すなわち、それぞれステップa)、b)、及びc)に記載される充電相、貯蔵相、及び放出相。
【0073】
充電相では、熱エネルギーは、少なくとも1つの加熱デバイスによって蓄熱体に入力される。一実施形態では、加熱デバイスは、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するために使用される電気ヒータである。更により好ましい実施形態では、熱エネルギーは、放射電気ヒータを使用して蓄熱ブロックに放射状に伝達される。
【0074】
蓄熱体に入力された熱エネルギーの結果として、その中に含まれる少なくとも1つの蓄熱ブロックは、上記ブロックを形成する混和性ギャップ合金材料の第2の相が固体導電性第1の相の内側で溶融するまで顕しく加熱する。溶融(又は融合)において、更なるエネルギーは、融合又は変換の潜在エネルギーの形態で上記ブロック内に吸収される。MGA材料の放出形態を考慮すると、第1及び第2の相の両方を固体として有することになるため、この追加の融合潜在エネルギーは、第2の相が放出及び固体に戻るまで貯蔵ブロック内に効果的に貯蔵される。
【0075】
ある特定の実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも1つの加熱デバイスが、数分から複数日に及ぶある特定の期間にわたって最大2kWh~10GWhの間のエネルギーで蓄熱体を充電することができるように構成されている。本発明の1つの非限定的な展開では、加熱デバイス及び蓄熱体の両方は、動作の1日当たり5~14時間の期間にわたって300kWの熱エネルギーを蓄熱体に伝達するように適合されている。別の実施形態において、少なくとも1つの加熱デバイスのための電気エネルギーは、太陽光、風力、及び/又は電気グリッドからの任意の余剰の再生可能に生成された電力を含むが、これに限定されない再生可能な発電によって供給される。
【0076】
貯蔵相の間、熱エネルギーは、それが備える蓄熱体を外部大気から断熱することによって、充電された少なくとも1つの熱エネルギーブロックに貯蔵される。これに関して、断熱材料は、それを実質的に断熱するために上記蓄熱体を取り囲むように構成されている。ある特定の非限定的な実施形態では、断熱材は、蓄熱ブロックと組み合わされて、充電後最大50~500時間、蓄熱体内に2kWh~100TWhの熱エネルギーを実質的に維持するように適合されている。1つの展開において、エネルギー貯蔵デバイスは、合計500kWh(1.8GJ)の熱エネルギーを最大96時間貯蔵することができるように構成されている。
【0077】
別の非限定的な実施形態では、デバイスは、最大5MWhの熱エネルギーを充電及び貯蔵し、4時間にわたって最大500kWの速度でそのエネルギーを放出又はディスパッチするように適合されている。
【0078】
エネルギー放出下では、直接接触により、加熱蓄熱から流動する冷却熱伝達流体に、熱を直接、又は熱交換器壁を通して伝導/対流させることができる。好ましくは、熱伝達チャネルを直接通過して通る熱伝達流体の移動は、貯蔵材料と内部熱交換器との間の接触抵抗又は熱界面損失なしに、蓄熱体からの熱エネルギーの制御された抽出を容易にする。
【0079】
「逆」微細構造混和性ギャップ合金(MGA)が少なくとも1つの蓄熱ブロックを形成するために使用される場合、上記ブロックは、放出(活性第2の相の固化)中に局所的に潜在熱の激しいバーストを放出し、次いで周囲のマトリックス相によって熱伝達流体に伝導される。このエネルギーの放出は、蓄熱体に貯蔵された顕熱エネルギーの前述の放出/伝達に追加されている。
【0080】
ある特定の実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、2~24時間の長期にわたって、そこから300kWh~400MWhの熱エネルギーを放出するように構成されている。本発明の1つの展開では、流体、ブロック材料、及び断熱材の熱伝達流体の流れ及び伝導率は、4時間の期間にわたって500kWhの熱エネルギーを制御可能に放出することができるように適合されている。上記の放出期間を通して、100kW~500MWの熱放出率が維持され、熱伝達流体放出温度が300~800℃を超えないようにする。上で考察される例示的な展開では、エネルギー貯蔵デバイスは、その出口での熱伝達流体温度が500℃を超えて維持される4時間の期間にわたって100~125kWの熱放出率を維持することができる。
【0081】
したがって、本発明の第3の態様では、エネルギーを貯蔵するためのシステムであって、
少なくとも1つのエネルギー源と、
少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスであって、少なくとも1つの加熱デバイスと、混和性ギャップ合金から形成された少なくとも1つの蓄熱ブロックを含む蓄熱体であって、上記少なくとも1つの蓄熱ブロックは、熱伝達流体の流れを受容するように適合された少なくとも1つの熱伝達チャネル及び/又は上記少なくとも1つの加熱デバイスがその中に形成されるように配置される、蓄熱体と、上記蓄熱体が実質的に断熱されるように、蓄熱体を取り囲む断熱材と、熱伝達流体が実質的に含まれるように、蓄熱体及び/又は断熱材を取り囲む少なくとも1つの実質的に不浸透性のシェルと、を備え、熱は、上記少なくとも1つの熱伝達チャネルと少なくとも1つの蓄熱ブロックとの間の熱伝達によって、上記蓄熱体から熱充電又は放熱され得る、エネルギー貯蔵デバイスと、
少なくとも1つのポンピング手段と、
少なくとも1つの熱伝達及び/又はエネルギー変換手段と、の単位動作を含み、
上記単位動作は、上記システムが、それらの間で熱エネルギーを伝達するための少なくとも1つの流体パスを形成するように、互いに流体連通している。
【0082】
当業者は、この点における熱放出速度が、熱伝達チャネルを通る熱伝達流体流量及び圧力を通して制御され得ることを理解するであろう。
【0083】
定義
本発明の説明及び特許請求の範囲において、以下の用語は、以下に記載される定義に従って使用される。また、本明細書で使用される用語は、単に本発明の特定の実施形態を記載する目的のためであり、限定することが意図されないことを理解されたい。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0084】
別途文脈が明らかに必要としない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「備える」、「備える」などの用語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に、すなわち、「含むが、これに限定されない」という意味で、包括的な意味で解釈されるべきである。
【0085】
本明細書で使用される場合、「からなる」という句は、特許請求の範囲で指定されていない全ての要素、ステップ、又は成分を除外する。「からなる」(又はその変形)という句が、前文の直後ではなく、特許請求の範囲の本文の句に現れる場合、それは、その句に記載された要素のみを限定し、他の要素は、全体として特許請求の範囲から除外されない。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という句は、特許請求の範囲を、特定の要素又は方法ステップに加えて、特許請求される主題の基礎及び新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0086】
「含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語に関して、これらの3つの用語のうちの1つが本明細書で使用される場合、本明細書で開示され、特許請求される主題は、他の2つの用語のいずれかの使用を含み得る。したがって、別途明示的に記載されていないいくつかの実施形態では、「含む」の任意の例は、「からなる」によって、又は代替的に、「から本質的になる」によって置き換えられ得る。
【0087】
動作実施例以外、又は別途示されない限り、本明細書で使用される成分又は反応条件の量を表す全ての数は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。加えて、例は、本発明の範囲を限定することを意図しない。以下、又は別途示される場合、「%」は「体積%」を意味し、「比率」は「体積比」を意味し、「部分」は「体積部分」を意味する。
【0088】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、別途示されない限り、文脈に従って、体積、質量又は重量で50%超を含むことを意味する。好ましくは、75%を超えることを意味する。更により好ましくは、90%を超えることを意味する。最も好ましくは、100%又は100%に近いことを意味する。
【0089】
終点を使用した数値範囲の列挙は、その範囲内に含まれる全ての数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0090】
「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、ある特定の状況下である特定の利益をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下で、他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを意味せず、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図しない。
【0091】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、別途文脈が明らかに示さない限り、複数参照を含むことにも留意されたい。
【0092】
本明細書で言及される先行技術は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0093】
本明細書では、開示された技術の例示的な実施形態を詳細に説明するが、他の実施形態が企図されることを理解されたい。したがって、開示された技術が、その範囲内で、以下の説明に記載された、又は図面に例解された構成要素の構成及び配置の詳細に限定されることを意図するものではない。開示される技術は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
本発明は、添付の図面を参照して例として説明される。
【
図1】断熱パネルによって取り囲まれた複数の蓄熱ブロックの組み立てによって形成された熱伝達チャネルを示す、エネルギー貯蔵デバイスの断面図である。
【
図2】ポンプ及び外部熱交換器を有する閉ループ熱ディスパッチ構成の一部としてのエネルギー貯蔵デバイスの直交図である。
【
図3】ガス冷却器熱交換器を含む閉ループ構成の一部としてエネルギー貯蔵デバイスを示す配管及び計装図である。
【
図4】熱交換器パイプを通して熱伝達流体を流すことを含むエネルギー貯蔵デバイスの一実施形態の断面図である。
【
図5】本発明の放出相中の熱力学的条件のグラフ表示を示す。
【
図6】本明細書に開示されるエネルギー貯蔵デバイスを使用する大規模な蒸気タービン型発電構成の側面図である。
【
図7a】断熱封じ込め構造に封入された複数の蓄熱体を示す、エネルギー貯蔵デバイスの一実施形態の断面平面図である。
【
図7b】線A-Aに沿って取られた上記実施形態の水平断面図であり、熱伝達チャネルを形成する蓄熱ブロック間の間隙空間を示す。
【
図7c】
図7bに示される蓄熱体の拡大断面図である。
【
図7d】ドアの形態で複数のアクセスポートを示す、エネルギー貯蔵デバイスの切断された側面断面図である。
【
図7e】スペーサを使用して互いに固定された蓄熱ブロックの構成を示す、蓄熱体のうちの1つの拡大図である。
【
図7f】
図7eの蓄熱体の拡大側面図であり、上記ブロックを固定するための2つの異なるスペーサタイプの使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
当業者は、本発明が、本明細書に開示される実施形態及び特徴、並びに開示される実施形態及び特徴の全ての組み合わせ及び/又は置換を含むことを理解するであろう。
【0096】
実施例1-直接抽出
図1を参照すると、複数の混和性ギャップ合金蓄熱ブロック102から形成された蓄熱体101を備えるエネルギー貯蔵デバイス100の内部構造が示されている。この蓄熱体101は、複数の蓄熱ブロック102によって組み立てられており、複数の蓄熱ブロック102は、粉砕され、機械加工され、組み立てられたときに熱伝達流体の流れを受容するように適合された複数の加熱要素チャネル103を提供するような構成で積み重ねられている、又は同様のことが行われる。
【0097】
熱伝達チャネルのうちの1つにおいて蓄熱体に隣接して位置するのは、パネル形状の加熱デバイス104である。この加熱デバイスは、電気リード又はバスバー105を介して電気的に電力供給される少なくとも1つの抵抗要素を有する電気抵抗ヒータである。パネル加熱デバイス104は、熱伝達チャネル103において受容され、ブラケット107を装着することによって、エネルギー貯蔵デバイス100のガスシールされた外部シェル106に固定される。装着ブラケット107は、当業者によって所望される熱伝達速度及びタイプ(すなわち、放射、対流、及び/又は伝導)に応じて、パネル加熱デバイス104を蓄熱体101と接触させるか、又はそこから一定の距離で接触させるように調整することができる。
図1に示される実施形態は、蓄熱ブロック102に近接しているが、接触していないパネルスタイルの加熱デバイス104を備える。外部シェル106への加熱デバイス104のブラケットベースの装着は、その独立した調整、抽出、及び/又は交換を可能にする。加熱デバイス104、装着ブラケット107、及び外部シェル106は、使用中にエネルギー貯蔵デバイス100が実質的に気密であり、断熱されるように、ゴム、セラミック、又ははんだ付けガスケットなどの適切なガスシール材料を備える。
【0098】
より厚い断熱パネル108として
図1に示される断熱材料は、外部シェル106の内面に提供される。断熱パネル108は、使用時に、蓄熱体101及び熱伝達チャネル103に受容された熱伝達流体が外部大気から実質的に断熱されるように構築及び位置決めされる。断熱パネル108は、その断熱パネル108が当接係合状態で保持されるように、内部に位置決めされ、ピン109によって外部シェル106に装着される。
【0099】
最後に、外部シェル106は、表面に配置されたときにそれ自身の重量を支持することができるように、及びそれの上に配置された少なくとも別のエネルギー貯蔵デバイスの重量を支持することができるように、実質的な構造的剛性及び支持をエネルギー貯蔵デバイス100に提供する重量支持フレーム及び脚部110a及び110bを備える。示される実施形態では、上脚部110a及び下脚部110bは、エネルギー貯蔵デバイス100が互いの上に配置されるときに、それらがフックアンドループ係合を使用して固定され得るように、相補的な形状で形成される。
【0100】
図2に示されるエネルギー貯蔵及び熱伝達システムは、互いに流体連通する一連のサブユニットとして複数のエネルギー貯蔵デバイス100を備え、集合的に大規模なエネルギー貯蔵デバイス100aを形成する。この実施形態では、このより大きい貯蔵デバイス100aはまた、流体ポンプ112、熱伝達流体リザーバ113、及び熱交換器114と流体連通し、再循環閉ループ構成を形成する。
【0101】
示される特定の実施形態では、流体ポンプ112は、ループ及びその構成単位動作の全体にわたって、蒸気、炭化水素、準臨界CO2及び/又は窒素などの実質的に気体の熱伝達流体をポンプするように適合された動力ファン又は送風機である。これに関して、送風機は、両方のそれぞれの単位動作において、熱伝達に必要な流量及び流体速度を維持し、汚れを防止するために、熱交換器114及びエネルギー貯蔵デバイス100aの両方を通って十分なヘッド及び流量を提供するようにサイズ設定されている。
【0102】
気体熱伝達流体と一致して、ガス冷却器熱交換器は、この実施形態では、熱交換器114として選択される。蓄熱体101からそこを通って流れる上記流体への熱エネルギーの放出によって加熱された熱伝達流体は、ガス冷却器熱交換器114に送られ、そこで、両方の流体をシェル及びチューブ熱交換器構成を通過させることによって、別の熱伝達又は作動流体と熱連通する。熱交換器114を含むデバイスは、エネルギー貯蔵デバイス100aから放出される熱エネルギーの使用及び目的に応じて選択及び変更され得る。例えば、シェル及びチューブ熱交換器を使用して、発電のためにタービンを回転させるための作動流体にエネルギーを伝達することができ、又は代替的に、熱を、スプレー接触熱交換器を介して工業プロセスを加熱するための水などの別の熱伝達流体に伝達することができる。
【0103】
図2の実施形態の簡略化されたプロセスフローが、
図3に示される配管及び計装図(P&ID)において更に説明される。上で考察されるように、エネルギー貯蔵デバイス100a、送風機112、及び熱交換器114は、熱伝達流体を再循環させる閉ループ内で流体接続されている。タンクの形態の熱伝達流体リザーバ113も提供され、ループの送風機112をバイパスするチャネル115に流体的に接続される。これらのバイパス及びリザーバフィードチャネルに取り付けられたバルブは、ポンプ圧力、並びに閉ループ内の熱伝達流体レベルを制御するために使用される。
【0104】
また、
図3には、エネルギー貯蔵デバイス100aから加熱された熱伝達流体を冷却する少なくとも別の熱伝達流体又は作動流体をポンピングするための冷却剤側ポンプ116も含まれている。P&IDと表記され、上で考察されるように、エネルギー貯蔵デバイス100aは、熱交換器に接続されることに限定されず、その使用は、二次熱伝達又は作動流体を加熱することに限定されない。この点において、当業者は、エネルギー貯蔵デバイス100aが、二次流体なしで単一のパス構成において、少なくとも1つの蒸気タービン及びランキンサイクルジェネレータを含むが、これらに限定されない、選択された工業用及び発電用デバイスに直接電力を供給することができることを理解するであろう。
【0105】
上記に加えて、流量(FI)、温度(TI)及び圧力(PI)センサ、コントローラ、モータ、ヒータ及びバルブを含む様々なセンサが、熱充電、放出及び熱伝達プロセスを監視及び制御するために実施形態に取り付けられている。具体的には、エネルギー貯蔵デバイス100aは、温度センサを含む複数のプローブによって監視され、その中に挿入されたヒータアレイ104aを形成する複数のヒータは、温度コントローラ(TC)によっても制御されることに留意されたい。当業者は、ヒータアレイ104aを含む上記の構成要素が、手動で、又はそれらと通信するコンピュータ制御システムを使用して制御することができることを理解するであろう。一例として、熱充電プロセスのフィードバック制御レジームは、加熱アレイ104aのTC及びエネルギー貯蔵デバイス100aのTIセンサと通信する比例積分偏差(PID)コントローラを使用して実装することができる。更に、熱伝達流体を監視する温度センサ、圧力センサ、及び流量センサ、TIセンサ、PIセンサ、及びFIセンサはまた、エネルギー貯蔵デバイス100aに流出入するバルブとともに制御レジームに組み込まれて、熱伝達流体の流れ及び熱伝達速度を制御して、起動、定常状態動作、及びシャットダウン中のデバイス状態を制御及び判定することができる。
【0106】
実施例2-間接抽出
図4に示される実施形態を参照すると、エネルギー貯蔵デバイス200は、熱交換器パイプ217のアレイと、上記アレイを取り囲む中間材料218と、を備えることができ、両方とも、蓄熱体201を含む複数の蓄熱ブロック202によって形成された熱伝達チャネル203に受容される。放出相中の使用では、熱伝達流体は、熱交換器パイプ217を通って流れ、蓄熱ブロック202から、上記パイプ217を取り囲む中間材料218を通って熱エネルギーを伝導的に受容する。
【0107】
中間材料218は、熱交換器パイプ壁と混和性ギャップ合金蓄熱ブロック202との間を迅速かつ効率的に熱を伝導するように適合された炭化ケイ素又は黒鉛などの高密度で高熱伝導性の材料で形成される。蓄熱ブロック202及び熱伝達チャネル203の交互の層状構造を備えるように蓄熱体201を組み立てることによって、
図3の実施形態は、損失のあるパイプ対MGA界面を排除し、それを、MGAと、銅、アルミニウム、ボイラ鋼、ステンレス鋼、及びインコネルなどの典型的な熱交換器パイプ材料との両方の改善された熱界面を示すバッファ中間材料218で置き換える。
【0108】
同様に、パネル形状の加熱デバイス204のアレイは、エネルギー貯蔵デバイス200の蓄熱体201と内部シェル209との間の熱伝達チャネル203aに沿って、蓄熱体201に隣接して提供される。直接流体移送の実施形態と同様に、加熱デバイス204は、リード205を介して供給される電力によって電力を供給される。内部シェル209、断熱パネル210、及び外部シェルは全て、貯蔵相中に貯蔵された熱エネルギーを保持するために、蓄熱体201の周りに実質的に気密で断熱されたシールを提供するように構築されている。
【0109】
実施例3-熱力学解析
実施例1に示された実施形態の放出相中の予想される熱性能は、
図5に開示されている。貯蔵相中に保持された定常状態の内部温度600℃から、熱伝達流体の循環が開始され、100~130kWの相対的に一定の熱放出率が維持されるような流量に維持される。
【0110】
予想される結果は、実施例1で説明された実施形態が、240分(4時間)超の連続熱放出で500℃を超える排出流体温度を維持しながら、相対的に一定の熱放出出力を維持することができることを示す。これに関して、放出温度が400~700℃の範囲であるときに最大4時間500℃を維持することは、多くの工業及び発電プロセスのエネルギーレベルを上げ、電力を供給することができるため、有利である。当技術分野で既知の蓄熱プロセスと比較して、実施例1に開示されるエネルギー貯蔵構成は、より長い期間、動作可能で有用な温度を維持することができる。
【0111】
実施例4-スケール
図6を参照すると、開示されたエネルギー貯蔵デバイスは、グリッドスケールのタービン生成システムに熱エネルギーを提供する容量をスケールアップすることができる。この実施形態において、エネルギー貯蔵デバイスのアレイは、より大きいデバイス300を形成するために流体接続されている。このより大きいエネルギー貯蔵デバイス300は、2パス構成で蒸気タービン321に電力を供給するために、熱回収蒸気生成器(HRSG)319及び循環ファン320と更に流体連通している。使用中に、貯蔵デバイス300に貯蔵された熱エネルギーは、蒸気、空気、準臨界CO
2又は窒素などの気体熱伝達流体の流れとともに放出され、高温流体を加熱してHRSGに供給して回収し、作動流体(この場合は蒸気)に熱伝達してタービンに電力を供給する。当業者は、エネルギー貯蔵デバイスが発電のために様々な量の熱エネルギーを提供するようにスケーラブルであることを理解するであろうが、
図6に示された実施形態は、断続的に生成された再生可能エネルギーを熱的に貯蔵することから75MWのディスパッチ可能な電気を生成するようにスケールが設定されている。
【0112】
当業者は、本明細書に記載される本発明が、具体的に記載されるもの以外の変形及び修正の余地があることを理解するであろう。本発明が、本発明の趣旨及び範囲内に入る全てのそのような変形及び修正を含むことが理解される。
【0113】
実施例5-スケールアップ例2
エネルギー貯蔵デバイス400の別のスケールアップバージョンは、
図7a~
図7gに開示されている。
図7a~
図7cを参照すると、複数の蓄熱ブロック401の複数のアレイは、別個の蓄熱体402を各々備え、全てが断熱された実質的に気密の格納構造403内に含まれる。この実施形態では、4つの蓄熱体402は、細長い封じ込め構造403の長さに沿って提供され、水平に面する開口部404から導入された気体の熱伝達流体の流れが、そこを通って位置するそれらの熱伝達チャネル405を介して上記蓄熱体を通って、上記封じ込め構造403の出口開口部406に流れるようにする。格納構造403は、断熱材料407によって実質的に断熱され、断熱材料407は、好ましくは300mmの厚さである。加熱要素に各々接続された複数の加熱要素ポート408(各単一のポート408は、単一の加熱要素に接続され得るか、又は複数のポート408は、単一の加熱要素に接続され得るか、又は複数の加熱要素は、単一のポート408に接続され得る)は、断熱材料407が提供され、そこを通って挿入された加熱要素が蓄熱体402の熱充電中に放射加熱を提供することができるように、各上記複数の蓄熱ブロック401の間の間隙空間に提供される。
【0114】
図7bを参照すると、格納構造403は、蓄熱デバイス400からの熱伝達流体の漏れを実質的に防止するように適合された気密ケーシング409を含む。更に、複数の電気加熱要素ポート408は、加熱デバイスケーシング403の伸びの方向と熱伝達流体の流れの全体的な方向との両方に実質的に垂直に挿入される。この垂直配置は、修理のために、又は所望の熱入力のレベルに応じて、加熱要素ポート408を都合の良いときにデバイスから引き抜くことを可能にする。更に、複数の加熱要素ポート408の使用は、蓄熱体が均等かつ効率的な方法で熱充電されることを可能にする。
【0115】
図7cを参照すると、蓄熱体402のうちの1つを形成するMGAブロック401の水平行は、千鳥形状で各々位置決めされ、熱伝達チャネルは、少なくとも3つの行を形成する六面体MGAブロック401のオフセット面の間に画定される。各行のMGAブロックのオフセット位置は、「T」字形スペーサ410と水平バースペーサ411との組み合わせによって固定され、水平に交互に上記ブロック間に各々配置される。好ましくは、フィラーブロック412は、第2の行ごとの端部に配置され、MGAブロック401の重量を他の行ごとの縁に支持し、蓄熱体402を安定させる。フィラーブロック412は、MGA材料から形成されたより小さいブロックであり得るか、又はブロックの全体的なアレイに剛性を提供するために任意の材料で作製され得る。
【0116】
エネルギー貯蔵デバイスの規模に応じて、内容積へのアクセスは、アクセスポートによって提供される。
図7dに例解される実施例では、複数のドア413は、デバイスの内容積、したがって、蓄熱体、及びその形成するMGAブロックへの人間のアクセスのために提供される。更に、六面体MGAブロック401は、ポート408を介した放射加熱要素のための熱伝達チャネルが上記MGAブロック間に設けられるように構成される。好ましくは、MGAブロックは、加熱要素の配置のためのこの熱伝達チャネルを生成するために、2つのブロックの対でオフセットされる。
【0117】
図7eの1つの蓄熱体のより近い側面立面図及び
図7fに提供される平面図は、2つの異なる長さの水平バースペーサが蓄熱体402内に上記MGAブロック401を固定するために設けられていることを示す。これに関して、両方の図は、より長い「B1」タイプのバースペーサが一対の六面体MGAブロックの長さにわたって配置される一方で、第2のより短い「B2」タイプのバースペーサが、体402の縁に単一のMGAブロックを固定して、上記千鳥配列及び熱伝達チャネル405の生成を可能にするように適合され、使用されることを例解する。
【0118】
「T」字型、「B1」及び「B2」バースペーサの3つのタイプのスペーサは、構造的剛性のためにMGAブロックも固定しながら、一緒に縦方向の間隙空間及び縦方向の加熱要素空間の形態で熱伝達チャネルを生成する。更に、熱ラチェットを実質的に軽減するように、バーの組み合わせは、蓄熱体を構成するMGAブロックの不要なひずみを防止する。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵デバイスであって、
少なくとも1つの加熱デバイスと、
混和性ギャップ合金から形成された少なくとも1つの蓄熱ブロックを含む蓄熱体であって、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックは、熱伝達流体の流れを受容するように適合された少なくとも1つの熱伝達チャネル及び/又は前記少なくとも1つの加熱デバイスがその中に形成されるように配置される、蓄熱体と、
前記蓄熱体が実質的に断熱されるように、前記蓄熱体を取り囲む断熱材と、
前記熱伝達流体が実質的に含まれるように、前記蓄熱体及び/又は前記断熱材を取り囲む少なくとも1つの実質的に不浸透性のシェルと、を備え、
熱は、前記少なくとも1つの熱伝達チャネルと少なくとも1つの蓄熱ブロックとの間の熱伝達によって、前記蓄熱体から充電又は放出され得る、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項2】
前記混和性ギャップ合金が、
(i)第1の成分の高密度連続熱伝導性マトリックスと、
(ii)前記第1の成分の前記マトリックス全体に分散した第2の成分の粒子と、を含み、
前記第1及び第2の成分が、固体形態で完全に又は部分的に不混和であり、前記第1の成分が、前記第2の成分よりも高い温度で溶融し、前記第1の成分が、前記第2の成分が溶融又は流動可能な状態にあるときを含め常に、前記第2の成分を含み、封じ込めており、
前記第1及び第2の成分が、独立して金属又は非金属であり得、前記第2の成分の前記粒子が、微粒子である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項3】
前記熱伝達流体が、前記少なくとも1つの熱伝達チャネルを通って流れるときに、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックと
、好ましくは直接、熱接触している、請求項1又は2に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項4】
前記熱伝達流体が、前記少なくとも1つの熱伝達チャネルによって受容された少なくとも1つの熱交換器パイプを通って流れるときに、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックと熱接触している、請求項3に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項5】
前記熱伝達流体が、超臨界CO
2、亜臨界CO
2、蒸気、窒素ガス、空気、有機ガス、又はそれらの混合物からなる群から選択され
、
好ましくは、前記熱伝達流体が蒸気である、請求項
1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項6】
複数の前記蓄熱ブロックが、その中に複数の前記熱伝達チャネルが形成されるように配置されている、請求項
1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの加熱デバイスが、熱交換器コイル及び/又は電気ヒータであ
り、好ましくは、1つ以上の電気駆動放射ヒータである、請求項
1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項8】
前記
少なくとも1つの加熱デバイスが、その中の前記少なくとも1つの蓄熱ブロックに熱を放射伝達するために、前記蓄熱体の近くに位置するが、前記蓄熱体と接触していない
1つ以上の放射ヒータである、請求項
7に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項9】
前記熱伝達流体に伝達される前記熱エネルギーが、追加のプロセス動作に電力を供給及び/又は加熱するために使用される、請求項
1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項10】
前記追加のプロセス動作が、タービン、ランキンサイクルタービン発電機、バートンサイクルエンジン、スターリングサイクルエンジン、ブレイトンサイクルタービン発電機、熱交換器、蒸気生成器、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
9に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの加熱デバイスが、前記蓄熱体が、蓄熱された熱を同時に放出している間に、前記蓄熱体に追加の熱を充電するように適合されている、請求項
1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの蓄熱ブロックを形成する前記混和性ギャップ合金を含む
前記第2の成分の前
記微粒子が、前記蓄熱体への熱の充電中に溶融し、顕熱及び潜熱の両方がそこから排出されるまで溶融したままである、請求項
2に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項13】
エネルギーを貯蔵するための方法であって、
a)その中に形成された少なくとも1つの熱伝達チャネルと隣り合った少なくとも1つの加熱デバイスを加熱することによって、蓄熱体を備える少なくとも1つの蓄熱ブロック
であって、混和性ギャップ合金から形成された前記蓄熱ブロックを充電するステップと、
b)外部大気から、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックで構成された前記蓄熱体を実質的に断熱し、密封することによって、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックに前記熱エネルギーを貯蔵するステップと、
c)熱が前記少なくとも1つの熱伝達ブロックから除去されるように、前記少なくとも1つの熱伝達チャネル内により低い温度の熱伝達流体を流すことによって、前記蓄熱体から熱を放出するステップと、を含む、方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの蓄熱ブロックが、混和性ギャップ合金から形成され、前記混和性ギャップ合金が、
(i)第1の成分の高密度連続熱伝導性マトリックスと、
(ii)前記第1の成分の前記マトリックス全体に分散した第2の成分の粒子と、を含み、
前記第1及び第2の成分が、固体形態で完全に又は部分的に不混和であり、前記第1の成分が、前記第2の成分よりも高い温度で溶融し、前記第1の成分が、前記第2の成分が溶融又は流動可能な状態にあるときを含め常に、前記第2の成分を含み、封じ込めており、
前記第1及び第2の成分が、独立して金属又は非金属であり得、前記第2の成分の前記粒子が、微粒子である、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
充電された前記熱が、ステップa)中に前記少なくとも1つの蓄熱ブロックを形成する前記混和性ギャップ合金の
前記第2の成分の前
記微粒
子を溶融し、ステップb)中に顕熱及び潜熱の両方が前記蓄熱体に貯蔵されるようにする、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
ステップa)の前記熱充電が、少なくとも1つの熱交換器コイル及び/又は少なくとも1つの電気駆動放射ヒータを加熱することによって実行される、請求項
13に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの熱交換器コイルが、熱が前記少なくとも1つの蓄熱ブロックに伝達されるように、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックよりも高い温度で前記熱伝達流体を流すことによって加熱される、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記熱充電が、前記蓄熱体の近くに位置するが、前記蓄熱体と接触していない前記少なくとも1つの放射ヒータに通電することによって実行される、請求項
16に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの加熱デバイスが、再生可能エネルギー及び/又は産業廃熱回収によって加熱される、請求項
13に記載の方法。
【請求項20】
ステップa)及びc)の前記充電及び放出が、それぞれ、同時に発生する、請求項
13に記載の方法。
【請求項21】
請求項
1に記載のエネルギー貯蔵デバイスを使用する方法。
【請求項22】
エネルギーを貯蔵するためのシステムであって、
少なくとも1つのエネルギー源と、
少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスであって、少なくとも1つの加熱デバイスと、混和性ギャップ合金から形成された少なくとも1つの蓄熱ブロックを含む蓄熱体であって、前記少なくとも1つの蓄熱ブロックは、熱伝達流体の流れを受容するように適合された少なくとも1つの熱伝達チャネル及び/又は前記少なくとも1つの加熱デバイスがその中に形成されるように配置される、蓄熱体と、前記蓄熱体が実質的に断熱されるように、前記蓄熱体を取り囲む断熱材と、前記熱伝達流体が実質的に含まれるように、前記蓄熱体及び/又は前記断熱材を取り囲む少なくとも1つの実質的に不浸透性のシェルと、を備え、熱は、前記少なくとも1つの熱伝達チャネルと少なくとも1つの蓄熱ブロックとの間の熱伝達によって、前記蓄熱体から熱充電又は放熱され得る、エネルギー貯蔵デバイスと、
少なくとも1つのポンピング手段と、
少なくとも1つの熱伝達及び/又はエネルギー変換手段と、の単位動作を含み、
前記単位動作は、前記システムが、前記ユニット動作の間で熱エネルギーを伝達するための少なくとも1つの流体パスを形成するように、互いに流体連通している、システム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの蓄熱ブロックが、混和性ギャップ合金から形成され、前記混和性ギャップ合金が、
(i)第1の成分の高密度連続熱伝導性マトリックスと、
(ii)前記第1の成分の前記マトリックス全体に分散した第2の成分の粒子と、を含み、
前記第1及び第2の成分が、固体形態で完全に又は部分的に不混和であり、前記第1の成分が、前記第2の成分よりも高い温度で溶融し、前記第1の成分が、前記第2の成分が溶融又は流動可能な状態にあるときを含め常に、前記第2の成分を含み、封じ込めており、
前記第1及び第2の成分が、独立して金属又は非金属であり得、前記第2の成分の前記粒子が、微粒子である、請求項
22に記載のシステム。
【請求項24】
前記エネルギー源が、電気及び/又は熱エネルギー源であ
り、好ましくは、前記エネルギー源が再生可能エネルギー源である、請求項
22又は
23に記載のシステム。
【請求項25】
前記加熱デバイスが、電気エネルギーを生成す
る再生可能エネルギー源によって電気的に電力供給される、請求項
24に記載のシステム。
【請求項26】
前記熱エネルギー源が、流体の産業廃棄流から回収された熱である、請求項
24に記載のシステム。
【請求項27】
前記熱伝達流体が、超臨界CO
2、亜臨界CO
2、蒸気、窒素ガス、空気、有機ガス、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
22に記載のシステム。
【請求項28】
前記エネルギー変換手段が、タービン、ランキンサイクルタービン発電機、バートンサイクルエンジン、スターリングサイクルエンジン、ブレイトンサイクルタービン発電機、蒸気生成器、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
22に記載のシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つの熱交換手段が、前記少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスから排出された高温の前記熱伝達流体からマルチパスシステム内の少なくとも別の熱伝達流体又は作動流体に熱エネルギーを伝達するための熱交換器である、請求項
22に記載のシステム。
【請求項30】
前記少なくとも1つのパスが、閉ループ循環パスを含む、請求項
22に記載のシステム。
【国際調査報告】