(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ポリアミド56樹脂および繊維、その調製方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
D01F 6/60 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
D01F6/60 351Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538129
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2021140881
(87)【国際公開番号】W WO2023115462
(87)【国際公開日】2023-06-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524014754
【氏名又は名称】上海凱賽生物技術股▲フン▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519322820
【氏名又は名称】シーアイビーティー アメリカ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】孫朝続
(72)【発明者】
【氏名】陳万鐘
(72)【発明者】
【氏名】高祥
(72)【発明者】
【氏名】劉修才
【テーマコード(参考)】
4L035
【Fターム(参考)】
4L035AA02
4L035AA05
4L035BB33
4L035BB56
4L035BB59
4L035BB89
4L035BB91
4L035CC07
4L035CC11
4L035EE06
4L035EE20
4L035FF08
4L035HH01
4L035HH04
4L035HH10
4L035JJ10
(57)【要約】
ポリアミド56樹脂および繊維、その調製方法およびその使用。ポリアミド56樹脂の調製方法は、重合反応によりモノマーからポリアミド56樹脂を調製する工程を含み、ポリアミド56樹脂は二酸化チタンを含み、二酸化チタンは重合反応工程中に添加される。一実施形態に係るポリアミド56樹脂の調製方法は、その後の紡糸工程におけるモノフィラメントの切れおよび染色性の低下等の問題を効果的に回避することができる。また、本方法は、簡単で操作が容易であり、製造コストが低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタンを0.2~5.0重量%の含量で含み、前記二酸化チタンの98%以上は0.2~0.6μmの分散粒子径を有する、
ポリアミド56樹脂。
【請求項2】
前記二酸化チタンの95%以上は0.2~0.35μmの分散粒子径を有する、
請求項1に記載のポリアミド56樹脂。
【請求項3】
前記二酸化チタンは、0.2~0.4重量%、1.2~2.0重量%または2.5~5.0重量%の含量で含まれる、
請求項1に記載のポリアミド56樹脂。
【請求項4】
前記ポリアミド56樹脂は2.3~3.0の相対粘度を有する;および/または
前記ポリアミド56樹脂は300~1000ppmの含水率を有する;および/または
前記ポリアミド56樹脂は1.2~2.0の分子量分布を有する;および/または
前記ポリアミド56樹脂は1.5重量%以下のオリゴマー含量を有する、
請求項1に記載のポリアミド56樹脂。
【請求項5】
重合反応によりモノマーからポリアミド56樹脂を調製することを含み、
前記ポリアミド56樹脂は二酸化チタンを含み、前記二酸化チタンは重合反応中に添加される、
ポリアミド56樹脂の調製方法。
【請求項6】
前記モノマーは1,5-ペンタンジアミンとアジピン酸とを含み、前記重合反応は、
(1)ポリアミド56塩溶液を調製する工程;および
(2)原料として前記ポリアミド56塩溶液を用いて重合を実施し、ポリアミド56溶融物を得る工程;を含み、
二酸化チタンは工程(1)および/または工程(2)で添加される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(2)は、前記ポリアミド56塩溶液を加熱して、前記ポリアミド56塩溶液の反応系を0.3~2.4MPaの圧力まで昇圧させること、脱気により0.2~2.5時間前記圧力を維持すること、次いで前記反応系を0~0.3MPaの圧力まで減圧すること、次いで前記反応系を-0.001~-0.08MPaの真空度まで真空化することを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記反応系は圧力維持の終了時に230~265℃の温度を有する;および/または
前記反応系は減圧終了時に240~275℃の温度を有する;および/または
前記反応系は真空化終了時に250~285℃の温度を有する;および/または
前記真空度は真空化後10~50分間維持される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリアミド56溶融物を、濾過し、ペレット化し、乾燥させて、前記ポリアミド56樹脂を得ることを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項10】
請求項5~9のいずれか一項に記載の方法により調製されたポリアミド56樹脂もしくは請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアミド56樹脂を溶融紡糸することにより、または請求項5~8のいずれか一項に記載の方法により調製されたポリアミド56溶融物を直接紡糸することにより得られた、
ポリアミド56繊維。
【請求項11】
前記ポリアミド56繊維は、
0.5~5.0dtexのフィラメント繊度;および/または
3.3~5.5cN/dtexの破断強度;および/または
15~35cN/dtexの初期モジュラス;および/または
7%以下の沸騰水中での収縮率;および/または
4.0%以上の水分率;および/または
35~60%の捲縮収縮率と38~58%の捲縮安定性;および/または
3.5等級以上の染色均一性;および/または
92%以上のM率と3.5等級以上の退色堅牢度;および/または
3.5等級以上の染色堅牢度を有する、
請求項10に記載のポリアミド56繊維。
【請求項12】
未延伸糸、完全延伸糸、プレ配向糸、高配向糸、完全配向糸、延伸加工糸、バルク連続フィラメント、ステープル繊維、モノフィラメント、および工業用糸のうちの1種以上を含み、さらに好ましくはプレ配向糸および延伸加工糸を含む、
請求項11に記載のポリアミド56繊維。
【請求項13】
(a)前記ポリアミド56樹脂を溶融状態に加熱し、ポリアミド56溶融物を得る工程;
(b)前記ポリアミド56溶融物を紡糸ボックスに搬送し、紡糸パックに注入し、紡糸口金から押し出してas-spun繊維を形成する工程;
(c)前記as-spun繊維を、冷却処理、オイリング処理、延伸処理、および巻取り処理に供して、ポリアミド56のプレ配向糸を得る工程;ならびに
(d)前記ポリアミド56のプレ配向糸を、第1のローラーを介した熱間延伸処理に供し、次いで冷却およびセットし、仮撚機、第2のローラー、インターレーサーに通し、オイリング処理および巻取り処理に供して、前記ポリアミド56繊維を得る工程を含む、
請求項10~12のいずれか一項に記載のポリアミド56繊維を調製する方法。
【請求項14】
工程(a)において、前記加熱はスクリュー押出機を用いて実施され、ゾーン1は245~265℃の温度を有し;ゾーン2は260~280℃の温度を有し;ゾーン3は275~285℃の温度を有し;さらに、ゾーン4は280~290℃の温度を有する;および/または
工程(b)において、前記紡糸ボックスは278~290℃の温度を有し、前記紡糸パックは13~22MPaの圧力を有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)において、前記冷却処理は、空気温度18~23℃および空気湿度50~85%で、クエンチエアー冷却またはクロスエアーブロー冷却により実施される;ならびに/または
前記オイリング処理は、オイリング率0.4~0.6重量%でノズルオイリングにより実施される;および/または
前記巻取り処理は、巻取り速度4200~5000m/分およびオーバーフィード速度10~100m/分で実施される、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
工程(d)において、前記熱間延伸処理は1.1~1.4の延伸比で実施され、前記熱間延伸処理は160~210℃の温度で実施され;前記仮撚機は1.3~2.2の速度比D/Yを有し;前記インターレーサー内の圧縮空気は0.3~1.5MPaの圧力を有し;前記オイリング処理は、オイリング率2.2~2.8重量%でノズルオイリングにより実施され;さらに、前記巻取り処理は、巻取り速度300~800m/分および巻取り中の巻取りのオーバーフィード率1~8%で実施される、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
請求項10~12のいずれか一項に記載のポリアミド56繊維または請求項13~16のいずれか一項に記載の方法により調製されたポリアミド56繊維の、編物または織物への使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリアミド、具体的には、ポリアミド56樹脂、繊維およびその調製方法ならびに使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド繊維は世界で最も早く工業化された合成繊維のひとつであり、合成繊維の分野で重要な役割を果たしている。ポリアミド繊維には様々な種類がある。しかし、現在最も広く生産され工業的に使用されているのはポリアミド6とポリアミド66である。主な用途は、靴下、レース下着、コルセット、運動用下着、ウェディングドレス、カジュアルジャケット、スポーツウェア、全天候型コート、アウトドアジャケット、速乾ウェア、綿入りジャケット、アウトドアテント、寝袋および登山用バッグ等であり;工業用糸はコード糸、伝動ベルト、ホース、ロープ、漁網、タイヤおよびパラシュート等の分野で広く使用されている。
【0003】
ポリアミド繊維は、つや消し剤を含むか否かにより、ブライト繊維とダル繊維との2種類に分けられる。ブライト繊維の生地は、表面の光沢がより顕著で、表面のワックス感が強いため、カジュアル衣料および要求の高い高級衣料には使用しにくい。しかし、ダル繊維で作られた生地は、天然に近いソフトな光沢、ソフトな手触り、鮮やかな発色、ドレープ性の良さおよび強い遮光性等の長所があり、消費者の間でますます求められている。
【0004】
二酸化チタン(TiO2)は、人工ダル繊維の分野でつや消し材料として広く使用されている。現在、ダル繊維の主な製造方法は、ダルマスターバッチのオンライン添加技術である。この方法では、まず、ダルマスターバッチは紡糸工程中に添加されるが、紡糸工場にマスターバッチ添加装置を装備する必要があり、生産投資が大きくなる;次に、マスターバッチ添加工程中に、マスターバッチ添加比率を厳密に管理する必要があり、混合比率が不適切であったり、または混合が不均一であったりすると、ダルマスターバッチとマトリックス樹脂との間の相溶性の悪化が生じやすく、紡糸工程中に、モノフィラメント切れ、フィラメント切れ、強度低下および染色不良等の問題が発生しやすい。
【0005】
中国の発明特許出願(公開番号:CN105986327A)には、ポリアミド56繊維およびその製造方法が開示されている。紡糸工程は、粘度調整工程および水分調整工程を経た複数のダルポリアミド6樹脂粒子とポリアミド56樹脂粒子とを溶融混練し、得られた混練物を275℃~285℃の範囲の温度で紡糸してダル56繊維を得ることにより実施される。上記特許出願では、ダルマスターバッチとしてポリアミド6マトリックス材料を使用している。この材料では、まず、ポリアミド6の融点が約220℃であるのに対し、ポリアミド56の融点は約256℃であり、両者の融点差が大きいため、紡糸加工条件を適切に制御することが困難である。そのために、相分離が生じ、溶融粘度および繊維強度が低下するおそれがある;次に、二酸化チタン含量が高いポリアミド56繊維を調製するためには、ポリアミド56樹脂粒子に10重量%を超える含量のダルポリアミド6樹脂粒子を添加する必要がある。しかし、そのために、相溶性が悪くなり、紡糸工程中に、フィラメント切れおよび末端切れの増加、繊維強度の低下ならびに染色ムラ、M率の低下等の問題が発生する。
【0006】
中国の発明特許出願(公開番号:CN110054891A)には、ダルポリアミド56マスターバッチ、ダル繊維およびその調製方法が開示されている。まずダルポリアミド56マスターバッチを調製し、それをポリアミド56と混合紡糸してダル繊維を調製する必要があるが、比較的大きな生産投資を必要とする。この紡糸方法は、混合によりダルマスターバッチを添加することにより実施されるため、マスターバッチを均一に添加する必要があり、そうでない場合は、ダルマスターバッチとマトリックス紡糸原料との間の相溶性の悪化、モノフィラメント切れ、染色不良およびM率の相対的低下等の問題が発生しやすい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の主な目的の一つは、二酸化チタンを0.2~5.0重量%の含量で含み、二酸化チタンの98%以上は0.2~0.6μmの分散粒子径を有するポリアミド56樹脂を提供することである。
【0008】
本発明の一実施形態は、重合反応によりモノマーからポリアミド56樹脂を調製する工程を含むポリアミド56樹脂の調製方法をさらに提供し、ここで、ポリアミド56樹脂は二酸化チタンを含み、二酸化チタンは重合反応中に添加される。
【0009】
本発明の一実施形態は、前述のポリアミド56樹脂を溶融紡糸することにより、またはポリアミド56樹脂の調製工程中に生成した溶融物を直接紡糸することにより調製されたポリアミド56繊維をさらに提供する。
【0010】
本発明の一実施形態は、前述のポリアミド56繊維を調製する方法であって、以下の工程を含む方法をさらに提供する:
(a)ポリアミド56樹脂を溶融状態に加熱し、ポリアミド56溶融物を得る工程;
(b)ポリアミド56溶融物を紡糸ボックスに搬送し、紡糸パックに注入し、紡糸口金から押し出してas-spun繊維を形成する工程;
(c)as-spun繊維を、冷却処理、オイリング処理、延伸処理、および巻取り処理に供して、ポリアミド56のプレ配向糸を得る工程;ならびに
(d)ポリアミド56のプレ配向糸を、第1のローラーを介した熱間延伸処理に供し、次いで冷却およびセットし、仮撚機、第2のローラー、インターレーサーに通し、オイリング処理および巻取り処理に供して、ポリアミド56繊維を得る工程。
【0011】
本発明の一実施形態は、編物または織物における前述のポリアミド56繊維の使用をさらに提供する。
【0012】
本発明の一実施形態に係るポリアミド56樹脂の調製方法は、その後の紡糸工程におけるモノフィラメントの切れおよび染色性の低下等の問題を効果的に回避することができる。また、本方法は、簡単で操作が容易であり、製造コストが低い。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明の特徴および利点を具現化する典型的な実施形態は、以下の記載において詳細に説明される。本発明は、異なる実施形態において様々な変形を有し得るが、その全てが本発明の範囲から逸脱するものではなく、そこでの説明は、本発明を限定するものではなく、本質的に例示を目的とするものであることを理解されたい。
【0014】
本発明の一実施形態は、重合反応によりモノマーからポリアミド56樹脂を調製する工程を含むポリアミド56樹脂の調製方法を提供し、ここで、ポリアミド56樹脂は二酸化チタンを含み、二酸化チタンは重合反応中に添加される。
【0015】
本発明の一実施形態の方法では、ポリアミド56の重合反応中にin-situ重合のために二酸化チタンを添加する。これにより、二酸化チタンをポリアミド56樹脂中に均一に分散させることができる。また、これにより、その後の紡糸工程におけるモノフィラメントの切れおよび染色性の低下等の問題を効果的に回避することができる。さらに、この調製方法は簡単で操作が容易であり、製造コストが低い。
【0016】
本発明の一実施形態の方法では、重合中にTiO2をin-situ重合のために直接添加する。この方法の操作は比較的簡単で、マスターバッチ添加装置を追加する必要がなく制御が容易であるため、生産投資を削減することができる。また、重合中にTiO2を添加することで、TiO2と樹脂とをより長時間混合することができ、マトリックス樹脂中のTiO2の分散がより均一になり、その後の紡糸工程中のモノフィラメント切れおよびフィラメント切れが少なく、繊維強度が高く、ならびに、染色性も良好となる。
【0017】
一実施形態では、ポリアミド56の重合中に添加される二酸化チタン粉末は、0.15~0.5μm、好ましくは0.15~0.4μm、より好ましくは0.15~0.3μm、例えば0.18μm、0.20μm、0.22μm、0.23μm、0.25μm、0.27μmまたは0.28μmの粒子径を有してもよい。
【0018】
ここで、二酸化チタンは、粒子の形態で、または二酸化チタンスラリーの形態で、ポリアミド56の重合系に添加することができる。
【0019】
一実施形態では、二酸化チタンは、ポリアミド56樹脂の総重量に対して、0.2~5.0重量%、好ましくは0.2~3.0重量%の量で添加される。
【0020】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂を製造するための原料は、少なくとも1,5-ペンタンジアミンとアジピン酸とを含むか、またはポリアミド56樹脂は、モノマーとしての1,5-ペンタンジアミンとアジピン酸との重合により得られる。
【0021】
一実施形態では、1,5-ペンタンジアミンは、発酵または酵素変換によりバイオベースの原料から調製される。
【0022】
本発明の一実施形態によるポリアミド56樹脂の調製方法においては、バイオベース起源の材料等の、非石油起源の材料が原料として使用される。このような材料は、重大な汚染を引き起こさず、環境保護に有益である。
【0023】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂を調製する方法は、以下の工程を含む:
(1)ポリアミド56塩溶液を調製する工程;
(2)原料としてポリアミド56塩溶液を用いて重合を実施し、ポリアミド56溶融物を得る工程;および
(3)ポリアミド56溶融物を、メルトフィルターで濾過し、最後にペレット化して乾燥させて、ポリアミド56樹脂を得る工程。
【0024】
一実施形態では、二酸化チタンは、工程(1)および(2)のいずれか1つ以上の段階で添加してもよい。
【0025】
一実施形態では、工程(1)は、窒素条件下で1,5-ペンタンジアミン、アジピン酸および水を均一に混合して、ポリアミド56塩溶液を得ることを含む。
【0026】
一実施形態では、1,5-ペンタンジアミンとアジピン酸とのモル比は、(1~1.08):1、例えば1.02:1、1.04:1、1.05:1または1.06:1等であってもよい。
【0027】
一実施形態では、工程(2)は、ポリアミド56塩溶液を加熱して、反応系内の圧力を0.3~2.4MPa(ゲージ圧)まで上昇させること、脱気により0.2~2.5時間圧力を維持すること、次いで反応系内の圧力を0~0.3MPa(ゲージ圧)まで減圧すること、次いで反応系を-0.001~-0.08MPa(ゲージ圧)の真空度まで真空化してポリアミド56溶融物を得ることを含む。
【0028】
一実施形態では、反応系は、工程(2)の圧力維持の終了時に、230~265℃、例えば235℃、240℃、245℃、250℃または255℃等の温度を有する。
【0029】
一実施形態では、工程(2)において、圧力は0.5~2時間、好ましくは0.5~1.5時間、例えば0.8時間、1時間または1.2時間維持される。
【0030】
一実施形態では、反応系は、工程(2)の減圧終了時に、240~275℃、例えば245℃、250℃、255℃、260℃、265℃または270℃等の温度を有する。
【0031】
一実施形態では、反応系は、工程(2)の真空化後、250~285℃、例えば255℃、260℃、265℃、270℃、275℃または280℃等の温度を有する。
【0032】
一実施形態では、工程(2)の真空化後、真空度は10~50分間、好ましくは15~45分間維持される。
【0033】
一実施形態では、第2の添加剤を反応系に添加することができる。第2の添加剤は、工程(1)および工程(2)のいずれか1つ以上の段階で添加することができる。第2の添加剤は、二酸化チタンと同時に添加してもしなくてもよい。
【0034】
一実施形態では、第2の添加剤は、難燃剤、酸化防止剤、末端キャップ剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、核剤、蛍光増白剤および帯電防止剤のうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0035】
一実施形態では、第2の添加剤は、ポリアミド56樹脂を製造するための原料の総重量に対して0~1%、例えば0.05%、0.1%、0.2%、0.4%、0.5%、0.6%または0.8%等の量で添加される。
【0036】
一実施形態では、工程(3)の乾燥後、ポリアミド56樹脂は、300~1000ppm、好ましくは300~800ppm、より好ましくは600~800ppmの含水率を有する。
【0037】
一実施形態では、工程(3)において、乾燥は、80~130℃、好ましくは100~110℃、例えば90℃、95℃、98℃、102℃、104℃、105℃、106℃、108℃、115℃、120℃または125℃等の温度で実施してもよい。
【0038】
一実施形態では、工程(3)において、乾燥は、10~30時間、好ましくは15~25時間、例えば12時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間または28時間等実施してもよい。
【0039】
一実施形態では、工程(3)において、重合中のTiO2の凝集に起因する大きなサイズの粒子を除去するために、ペレット化前の濾過にメルトフィルターが用いられる。このために、ポリアミド56樹脂中の二酸化チタンの粒子サイズが小さくなり、サイズ分布が狭くなる可能性があり、ポリアミド56溶融物の均一性がさらに向上する可能性がある。これにより、延伸工程中の過剰な粒子径に起因するモノフィラメント切れおよびさらなるフィラメント切れの現象が回避され、繊維の機械的特性および染色性への影響が回避されるため、その後の紡糸工程中のモノフィラメント切れが少なくなり、染色性が向上する。
【0040】
一実施形態では、メルトフィルターで濾過した後、ダルポリアミド56樹脂中の二酸化チタンは、0.2~1.0μmの分散粒子径を有し、好ましくは二酸化チタン粒子の98%以上が0.2~0.6μmの分散粒子径を有し、より好ましくは二酸化チタン粒子の95%以上が0.2~0.35μmの分散粒子径を有する。
【0041】
一実施形態では、メルトフィルターは、5~15μmのメッシュサイズを有する。
【0042】
本発明の一実施形態によるポリアミド56樹脂の調製方法では、TiO2をin-situ重合に用いて、ダルポリアミド56樹脂を調製する。TiO2粒子の粒子径および粒度分布を厳密に制御することにより、凝集したTiO2粒子を回避または除去し、粒度分布を狭くし、紡糸性を向上させることができる。
【0043】
本発明の一実施形態は、前述の方法により調製することができるポリアミド56樹脂を提供する。
【0044】
本発明の一実施形態は、2.3~3.0、好ましくは2.5~2.8の相対粘度と;1.5重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.8重量%以下、例えば0.3~1.0重量%、0.3~0.8重量%等のオリゴマー含量と;300~1000ppm、好ましくは300~800ppm、より好ましくは600~800ppmの含水率と;15000~42000、好ましくは18000~35000の数平均分子量と;1.2~2.0、好ましくは1.4~1.8の分子量分布とを有するポリアミド56樹脂を提供する。本発明に記載のオリゴマーは、5以下の重合度を有する。
【0045】
本発明の一実施形態によるポリアミド56樹脂は、オリゴマー含量が低く、ポリアミド樹脂分子量分布が狭く、かつ粘度が適度である。
【0046】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂は、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8または2.9等の相対粘度を有してもよい。
【0047】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂は、350ppm、550ppm、650ppm、700ppm、750ppm、850ppmまたは900ppm等の含水率を有してもよい。
【0048】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂は、16000、20000、22000、25000、28000、30000、32000、34000、38000または40000等の数平均分子量を有してもよい。
【0049】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂は、1.3、1.5、1.6、1.7または1.9等の分子量分布を有してもよい。
【0050】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂のオリゴマー含量は、0.3%、0.6%、または1.0%であってもよい。本発明に記載のオリゴマーの重合度は10以下である。樹脂中のオリゴマー含量が高すぎると、紡糸中に紡糸口金下でオリゴマーが析出して凝固し、過度の析出は紡糸工程に影響を及ぼし、紡糸中にモノフィラメントが切れ、紡糸パックの寿命が短くなる。
【0051】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂は二酸化チタン系つや消し剤を含む。
【0052】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂は、セミダルポリアミド56樹脂、ダルポリアミド56樹脂、またはフルダルポリアミド56樹脂であり得る。
【0053】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂は、0.2~0.4重量%、好ましくは0.25~0.35重量%、例えば0.3重量%の二酸化チタン含量を有するセミダルポリアミド56樹脂である。
【0054】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂は、1.2~2.0重量%、好ましくは1.4~1.8重量%、例えば1.5重量%、1.6重量%、または1.7重量%の二酸化チタン含量を有するフルダルポリアミド56樹脂である。
【0055】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂は、2.5~5.0重量%、好ましくは3.0~4.5重量%、例えば2.8重量%、3.2重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.2重量%、4.4重量%、または4.8重量%の二酸化チタン含量を有するウルトラダルポリアミド56樹脂である。
【0056】
一実施形態では、ポリアミド56樹脂中の二酸化チタンの分散粒子径は0.2~1.0μmである。さらに、0.2~0.6μmの分散粒子径を有する二酸化チタン粒子が98%以上を占め、さらに、0.2~0.6μmの分散粒子径を有する二酸化チタン粒子が98.5%以上を占める。さらに、0.2~0.35μmの分散粒子径を有する二酸化チタン粒子が95%以上を占め、さらに、0.2~0.35μmの分散粒子径を有する二酸化チタン粒子が96%以上を占める。ここで、本明細書において、二酸化チタンの含有率とは、二酸化チタン粒子の粒子数に換算した含有率をいう。
【0057】
本発明の一実施形態は、ポリアミド56繊維を提供する。この繊維は、前述のポリアミド56樹脂を溶融紡糸することにより調製することができる。
【0058】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、セミダルポリアミド56繊維、ダルポリアミド56繊維、およびフルダルポリアミド56繊維であり得る。中でも、セミダルポリアミド56繊維、ダルポリアミド56繊維、およびフルダルポリアミド56繊維は、それぞれ、セミダルポリアミド56樹脂、ダルポリアミド56樹脂、およびフルダルポリアミド56樹脂を溶融紡糸することにより得ることができる。
【0059】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、未延伸糸(UDY)、完全延伸糸(FDY)、プレ配向糸(POY)、高配向糸(HOY)、完全配向糸(FOY)、延伸加工糸(DTY)、バルク連続フィラメント(BCF)、モノフィラメント、ステープル繊維、および工業用糸、好ましくはプレ配向糸(POY)および延伸加工糸(DTY)を含む。延伸加工糸は、ドラフティング仮撚糸またはストレッチャーストレイン糸としても知られている。
【0060】
本発明の一実施形態のポリアミド56繊維は、高強度、低温染色性、吸湿性、柔軟性、耐摩耗性および高弾性等の利点を有し、民生用糸および工業用糸の分野において幅広い発展の見込みがある。
【0061】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、0.5~5.0dtex、好ましくは0.8~4.0dtex、より好ましくは1.2~3.0dtex、さらにより好ましくは1.2~2.0dtex、例えば1.0dtex、1.5dtex、1.8dtex、2.5dtex、3.5dtexまたは4.5dtex等のフィラメント繊度を有してもよい。
【0062】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、3.3~5.5cN/dtex、好ましくは3.5~4.8cN/dtex、より好ましくは3.7~4.5cN/dtex、さらにより好ましくは3.9~4.2cN/dtexの破断強度を有してもよい。
【0063】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、5.0%以下、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.5%以下、さらにより好ましくは2.0%以下の破断強度の変動係数を有する。
【0064】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、15~35cN/dtex、好ましくは22~33cN/dtex、より好ましくは24~30cN/dtex、さらにより好ましくは26~28cN/dtexの初期モジュラスを有する。
【0065】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、沸騰水中での収縮率が7%以下、好ましくは6.8%以下、より好ましくは6.5%以下、さらにより好ましくは6.0%以下であってもよい。
【0066】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、4.0%以上、好ましくは4.5%以上、より好ましくは5.0%以上、さらにより好ましくは5.5%以上の水分率を有してもよい。
【0067】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、35~60%、好ましくは40~58%、より好ましくは45~55%の捲縮収縮率を有してもよい。
【0068】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、38~58%、好ましくは40~56%、より好ましくは48~54%、例えば45%、50%または52%の捲縮安定性を有してもよい。
【0069】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、3.5等級以上、好ましくは4.0等級以上、より好ましくは4.5等級以上、さらにより好ましくは5.0等級以上の染色均一性(グレースケール)を有してもよい。
【0070】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、92%以上、好ましくは94%以上、より好ましくは96%以上、さらにより好ましくは98%以上のM率を有してもよい。
【0071】
一実施形態では、ポリアミド56繊維の石鹸洗濯堅牢度:退色堅牢度は、3.5等級以上、好ましくは4.0等級以上、より好ましくは4.5等級以上、さらにより好ましくは5.0等級以上であってもよく;染色堅牢度は、3.5等級以上、好ましくは4.0等級以上、より好ましくは4.5等級以上、さらにより好ましくは5.0等級以上であってもよい。
【0072】
本発明の一実施形態は、前述のポリアミド56繊維を調製するための方法であって、以下の工程を含む方法を提供する:
(a)ポリアミド56樹脂を溶融状態に加熱し、ポリアミド56溶融物を形成する工程;
(b)ポリアミド56溶融物を、メルトパイプラインを通して紡糸ボックスに搬送し、計量ポンプで正確に計量した後、紡糸パックに注入し、紡糸口金から高圧で押し出してas-spun繊維を得る工程;
(c)押し出されたas-spun繊維を、冷却処理、オイリング処理、延伸処理、および巻取り処理に供して、ポリアミド56のプレ配向糸を得る工程;および
(d)ポリアミド56のプレ配向糸を、糸ガイドを通して第1のローラーに通し、撚りストッパーに通して第1の熱ボックスで熱延伸に供した後、冷却板を用いて冷却およびセットし、仮撚機、第2のローラー、およびインターレーサーに通した後、オイリング処理および巻取り処理に供して、ポリアミド56の延伸加工糸を得る工程。
【0073】
一実施形態では、工程(a)の加熱はスクリュー押出機を用いて実施され、ゾーン1の温度は、245~265℃、好ましくは250~260℃であってもよく;ゾーン2の温度は、260~280℃、好ましくは265~275℃の温度であってもよく;ゾーン3の温度は、275~285℃、好ましくは278~283℃であってもよく;ゾーン4の温度は、280~290℃であってもよい。
【0074】
一実施形態では、工程(b)の紡糸ボックスは、278~290℃、好ましくは282~285℃の温度を有してもよく;紡糸パックは、13~22MPa、好ましくは15~18MPaの圧力を有してもよい。
【0075】
一実施形態では、工程(c)の冷却は、クエンチエアーによる冷却とクロスエアーブローによる冷却、好ましくはクロスエアーブローによる冷却を含み;風速は、0.3~0.8m/秒、好ましくは0.45~0.6m/秒であってもよく;空気温度は、18~23℃であってもよく;空気湿度は、50%~85%、好ましくは55%~70%であってもよい。
【0076】
一実施形態では、工程(c)のオイリングはノズルオイリングにより実施され;オイリング率は、0.4~0.6重量%、好ましくは0.45~0.55重量%であってもよく;オイリング高さは、80~150cm、好ましくは90~130cm、より好ましくは95~110cmであってもよい。
【0077】
一実施形態では、工程(c)における巻取り中の巻取り速度は、4000~5000m/分、好ましくは4200~4800m/分、より好ましくは4300~4500m/分であってもよく;オーバーフィード速度は、10~100m/分、より好ましくは20~80m/分であってもよい。
【0078】
一実施形態では、工程(d)の熱間延伸における延伸倍率は、1.1~1.4、好ましくは1.15~1.35であってもよく;熱間延伸の温度は、160~210℃、好ましくは170~205℃、より好ましくは180~195℃であってもよい。
【0079】
一実施形態では、工程(d)における仮撚機の速度比D/Yは、1.3~2.2、好ましくは1.5~2.0であってもよく;インターレーサー内の圧縮空気の圧力は、0.3~1.5MPa、好ましくは0.4~1.2MPa、より好ましくは0.5~1.0MPaであってもよい。
【0080】
一実施形態では、工程(d)のオイリングはノズルオイリングにより実施され;オイリング率は、2.2~2.8重量%、好ましくは2.3~2.6重量%であってもよい。
【0081】
一実施形態では、工程(d)における巻取り中の巻取り速度は、300~800m/分、好ましくは400~700m/分であってもよく;巻取り中の巻取りのオーバーフィード率は、1~8%、好ましくは1.5~6%、より好ましくは2~5%である。
【0082】
本発明の一実施形態では、ポリアミド56繊維の製造原料は、生物学的方法により調製することができ、石油資源に依存せず深刻な環境汚染を引き起こさないグリーン材料であると同時に、二酸化炭素の排出を削減し温室効果の発生を低減することができる。
【0083】
本発明の一実施形態のポリアミド56繊維は、紡糸設備を改修することなく、従来のポリアミド6およびポリアミド66用の紡糸設備を用いて製造することができる。ポリアミド56繊維樹脂の品質および紡糸工程を最適化することにより、生産収率を向上させることができる。
【0084】
本発明の一実施形態のポリアミド56繊維は、編物または織物に適用した場合、良好な機械的特性、寸法安定性、吸湿性および染色性を有し、かつ、良好なつや消し効果を有する。
【0085】
本発明の一実施形態は、編物または織物における前述のポリアミド56繊維の使用を提供する。ここで、ポリアミド56織物は、50%以下、好ましくは48%以下、より好ましくは35%以下、さらにより好ましくは30%以下の光線透過率を有してもよい。
【0086】
一実施形態では、ポリアミド56繊維は、高い強度、柔らかさ、吸湿性、嵩高性(捲縮安定性)、良好な染色性およびつや消し性能を有し、ニットウェアおよび民生用衣料への使用に適している。ニットおよび織物の用途の非限定的な例としては、下着、シャツ、スーツ、ヨガウェア、ダウンジャケット、アウトドアジャケット、靴下、スーツケースおよびバッグ、カーテン、靴材料、刺繍糸、商標、ソファクロス、ワークウェア、スポーツウェア、ならびにゴムバンド等が挙げられる。
【0087】
本発明の一実施形態のポリアミド56繊維から調製される織物は良好なつや消し性能を有し、同じ含量のTiO2を含む場合、つや消し効果はポリアミド6繊維およびポリアミド66繊維のつや消し効果よりも優れている。さらに、同じつや消し効果を有するポリアミド56繊維を調製する際に添加する必要があるTiO2の含量はより少なく、製造コストを低減することができる。
【0088】
本発明の一実施形態のセミダルポリアミド56織物の光線透過率は48%以下であってもよく、フルダルポリアミド56織物の光線透過率は33%以下であってもよく、ウルトラダルポリアミド56織物の光線透過率は25%以下であってもよい。
【実施例】
【0089】
以下、本発明の一実施形態に係るポリアミド56樹脂、ポリアミド56繊維およびその調製方法について、具体例と共に更に説明する。その中で、特に断らない限り、使用した原料は全て市販されているものであり、関連する試験の詳細は以下の通りであり;さらに、本発明に関わるパラメータは全て以下の方法に従って測定したものである。
【0090】
1)繊度:
繊度は、GB/T 14343に従って測定される。
【0091】
2)破断強度およびモジュラス:
破断強度は、GB/T 14344-2008「人工フィラメント糸の引張試験方法」を参照する;0.05±0.005cN/dtexのプレテンション、500mmのクランプ距離、および500mm/分の延伸速度の条件で測定することができる;モジュラス=破断伸び率1%時の破断強度×100。
【0092】
3)水分率を測定する方法は、洗浄した繊維をほぐした状態でオーブンに入れて乾燥させ、オーブン乾燥した繊維試料をGB/T6529に規定された標準大気中に置いて平衡になるまで調湿することと;オーブン乾燥温度105℃のオーブンでGB/T6503に規定された水分率測定法により水分率測定を行うことと、を含む。
【0093】
4)沸騰水中での収縮率
沸騰水中での収縮率は、GB/6505に従って測定され、プレテンションは0.05±0.005cN/dtexである。
【0094】
5)染色均一性(グレースケール)/等級:
染色均一性は、FZ/T 50008「ポリアミドフィラメント糸の染色均一性試験方法」に従い、98℃、30分の条件で判断される。
【0095】
6)樹脂の含水率:
含水率は、カール・フィッシャー水分滴定装置により測定される。
【0096】
7)捲縮収縮率および捲縮安定性:GB/T 6506-2001「テクスチャードフィラメント糸の捲縮収縮特性の試験方法」に従って測定される。
【0097】
8)石鹸洗濯堅牢度:
石鹸洗濯堅牢度は、GB/T 3921.1-1997に従って測定される。
【0098】
9)樹脂の相対粘度は、ウベローデ粘度計を用いて濃硫酸法により決定される:乾燥ポリアミド樹脂チップ0.25±0.0002gを正確に秤量し、濃硫酸(96重量%)50mLを加えて溶解し、温度25℃の恒温水槽中で濃硫酸の流動時間(t0)とポリアミド試料溶液の流動時間(t)とを測定し、記録する。
【0099】
粘度値の計算式:相対粘度=t/t0;
t-溶液の流動時間;
t0-溶媒の流動時間。
【0100】
10)樹脂の数平均分子量および分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0101】
11)ポリアミド樹脂チップの透過型電子顕微鏡の画像から、二酸化チタンの分散粒子径を測定し、カウントする。
【0102】
12)M率:M率=((染色均一性が4.5等級以上の繊維の重量)/全染色繊維の総重量)×100%。
【0103】
13)つや消し性能:実施例および比較例で得られた繊維を、同一のエアジェット織機で製織し、オープンソーパーで水洗し、液流染色機で染色し、均一な仕様の織物を作製する。特別検査グループ(パネラー10名)を編成し、目視により織物のつや消し性能の等級を評価し、その平均値を算出する。すなわち、太陽光を模したハロゲンランプ、および温度25℃の条件下で織物の表面つや消し性能を比較し、つや消し性能が低いものから非常に高いものまでをそれぞれ1級、2級、3級、4級および5級に分けて評価する。
【0104】
14)光線透過率は、300~800nmの走査波長の紫外可視分光光度計により測定され、織物の光線透過率は波長550nmの光線透過率を指す。
【0105】
15)繊維の生産収率:生産収率=(得られた繊維製品の重量/投入した樹脂の総重量)×100%。
【0106】
16)樹脂中のオリゴマー含量の試験:
ポリアミド試料を130℃のブラストオーブンで7時間乾燥した後、アルミニウムプラスチック袋に入れ、密封して乾燥機で冷却し、ポリアミド試料2gを正確に量り、250mL丸底フラスコに入れ、水100mLを加える。得られた混合物を、加熱ジャケットを用いて100℃で24時間加熱して還流した後、ポリアミド試料を取り出し、純水で3回洗浄し、ポリアミド試料を130℃のブラストオーブンで7時間乾燥した後、あらかじめ秤量しておいたアルミニウムプラスチック袋に移し、密封し、乾燥機に入れて冷却する。アルミニウムプラスチック袋とポリアミド試料との総重量およびアルミニウムプラスチック袋の重量をそれぞれ秤量し、前者から後者を差し引いて加水煮沸後のポリアミド試料の重量を求め、加水煮沸前後のポリアミド試料の重量の差からオリゴマー含量を算出する。試験のために、各サンプルから2回サンプルを採取する。
【0107】
17)樹脂中の二酸化チタン含量の試験は、焼成法により実施される:試料10gを坩堝に入れ、マッフル炉で480℃、10時間焼成し、坩堝内の残渣の重量を測定する。
【0108】
18)破断強度の変動係数(CV)試験は、GB/T 14344-2008「人工フィラメント糸の引張試験方法」に従って実施される。二酸化チタンが繊維中に均一に分散している場合、延伸工程中に異なる数の繊維が同時に破断し、破断に対応する破断強度は、変動係数が小さいことを反映して一定になる。
【0109】
19)フィラメント切れ回数:as-spun繊維からポリアミド繊維を調製する過程中に、フィラメント切れ回数を手作業でカウントする。
【0110】
〔実施例1〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
(1)窒素雰囲気下、1,5-ペンタンジアミン、アジピン酸、および水を均一に混合し、1,5-ペンタンジアミンとアジピン酸とのモル比が1.05:1であるポリアミド56塩溶液を調製した。
【0111】
(2)ポリアミド56塩溶液に粒子径0.2μmの二酸化チタンを添加し、塩溶液系を加熱して反応系内の圧力を2.4MPaまで上昇させた後、脱気して1.2時間圧力を維持し、次いで反応系内の圧力を0MPa(ゲージ圧)まで減圧した後、-0.04MPaの真空度まで真空化した。上記真空度を35分間維持して、ポリアミド56溶融物が得られ、二酸化チタンの添加量は、同条件で二酸化チタンを添加せずに調製した樹脂の質量に対して0.27重量%であった。圧力維持終了時の反応系の温度は260℃、減圧終了後の反応系の温度は275℃、真空化後の反応系の温度は280℃であった。
【0112】
(3)ポリアミド56溶融物を、メッシュサイズ10μmのメルトフィルターで濾過し、ペレット化し、乾燥させてポリアミド56樹脂を得た。乾燥処理は110℃で20時間実施された。
【0113】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
(a)上記で調製したポリアミド56樹脂をスクリュー押出機で溶融状態に加熱し、ポリアミド56溶融物が形成された。ここで、ゾーン1の温度は253℃、ゾーン2の温度は266℃、ゾーン3の温度は278℃、ゾーン4の温度は288℃であった。
【0114】
(b)ポリアミド56溶融物を、メルトパイプラインを通して紡糸ボックスに搬送し、計量ポンプで正確に計量した後、紡糸パックに注入し、紡糸口金から高圧で押し出した。ここで、紡糸ボックスの温度は285℃、紡糸パックの圧力は16.2MPaであった。
【0115】
(c)押し出されたas-spun繊維を、冷却処理、オイリング処理、延伸処理、および巻取り処理に供して、ポリアミド56のプレ配向糸を得た;ここで、冷却は、風速0.48m/秒、空気温度20℃、空気湿度80%で、クロスエアーブローを用いて実施された;オイリングは、オイリング率0.5重量%、オイリング高さ110cmのノズルオイリングにより実施された;巻取り工程中の巻取り速度は4300m/分、オーバーフィード速度は60m/分であった。
【0116】
(d)ポリアミド56のプレ配向糸を、糸ガイドを通して第1のローラーに導き、撚りストッパーに通して第1の熱ボックスで熱延伸に供した後、冷却板を用いて冷却およびセットし、仮撚機、第2のローラー、およびインターレーサーに通した後、ノズルオイリングに供して、巻き取り、ポリアミド56の延伸加工糸を得た;
ここで、熱間延伸の延伸倍率は1.3倍であり、熱間延伸温度は185℃であった;仮撚機の速度比D/Yは1.8であった;インターレーサー内の圧縮空気の圧力は0.8MPaであった;オイリングは、オイリング率2.5重量%でノズルオイリングにより実施された;巻取り中の巻取り速度は600m/分、巻取り中の巻取りのオーバーフィード速度は2.5%であった。
【0117】
〔実施例2〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例1と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(2)における二酸化チタンの添加量が0.34重量%であることのみであった。
【0118】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0119】
〔実施例3〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例1と基本的に同じ原料を用いて調製したが、相違点は、工程(2)において、真空度が-0.07MPaであること、維持時間が10分であること、および工程(2)における二酸化チタンの添加量が0.35重量%であることのみであった。
【0120】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0121】
〔実施例4〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例1と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(2)における二酸化チタンの添加量が1.23重量%であること、および工程(3)におけるメルトフィルターのメッシュサイズが5μmであることのみであった。
【0122】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0123】
〔実施例5〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例1と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(2)における二酸化チタンの添加量が1.56重量%であること、および工程(3)におけるメルトフィルターのメッシュサイズが15μmであることのみであった。
【0124】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0125】
〔実施例6〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例1と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(2)における二酸化チタンの添加量が1.84重量%であることのみであった。
【0126】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0127】
〔実施例7〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例1と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(2)における二酸化チタンの添加量が2.56重量%であることのみであった。
【0128】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0129】
〔実施例8〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例1と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(2)における二酸化チタンの添加量が3.05重量%であることのみであった。
【0130】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0131】
〔実施例9〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例1と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(2)における二酸化チタンの添加量が4.05重量%であることのみであった。
【0132】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0133】
〔実施例10〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例1と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(2)における二酸化チタンの添加量が0.34重量%であること、反応系を-0.06MPaの真空度に真空化したこと、および真空化後の反応系の温度が285℃であることのみであった。
【0134】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0135】
〔実施例11〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例10と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(2)における二酸化チタンの添加量が1.54重量%であることのみであった。
【0136】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0137】
〔実施例12〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例10と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(2)における二酸化チタンの添加量が2.53重量%であることのみであった。
【0138】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0139】
〔実施例13〕
〔ポリアミド56繊維の調製〕
実施例10で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と基本的に同じであり、相違点は、紡糸パックが10μmのメッシュサイズを有する不織布フィルタースクリーンを含んでいることのみであった。
【0140】
〔実施例14〕
〔ポリアミド56繊維の調製〕
実施例11で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と基本的に同じであり、相違点は、紡糸パックが15μmのメッシュサイズを有する不織布フィルタースクリーンを含んでいることのみであった。
【0141】
〔実施例15〕
〔ポリアミド56繊維の調製〕
実施例11で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と基本的に同じであり、相違点は、紡糸パックが20μmのメッシュサイズを有する不織布フィルタースクリーンを含んでいることのみであった。
【0142】
〔比較例1〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例2と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(3)において、濾過のためにメルトフィルターを用いず、ペレット化によりポリアミド56樹脂を直接得たことのみであった。
【0143】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0144】
〔比較例2〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例5と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(3)において、濾過のためにメルトフィルターを用いず、ペレット化によりポリアミド56樹脂を直接得たことのみであった。
【0145】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0146】
〔比較例3〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例7と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(3)において、濾過のためにメルトフィルターを用いず、ペレット化によりポリアミド56樹脂を直接得たことのみであった。
【0147】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0148】
〔比較例4〕
〔ポリアミド6繊維の調製〕
ポリアミド6樹脂(粘度2.7、分子量分布1.59、オリゴマー含有率0.61%、含水率612ppm)に二酸化チタン(粒子径0.2μm)を0.33重量%混合し、この混合物を紡糸原料として用い、実施例1と同様の紡糸工程で紡糸し、ポリアミド6繊維を得た;ここで、二酸化チタンの含量は、ポリアミド6樹脂の質量を基準とした。
【0149】
〔比較例5〕
〔ポリアミド66繊維の調製〕
ポリアミド66樹脂(粘度2.68、分子量分布1.61、オリゴマー含有率0.62%、含水率605ppm)に二酸化チタン(粒子径0.2μm)を0.32重量%混合し、この混合物を紡糸原料として用い、実施例1と同様の紡糸工程で紡糸し、ポリアミド66繊維を得た;ここで、二酸化チタンの含量は、ポリアミド66樹脂の質量を基準とした。
【0150】
〔比較例6〕
〔ポリアミド56繊維の調製〕
ポリアミド56樹脂(粘度2.68、分子量分布1.61、オリゴマー含有率0.61%、含水率607ppm)に二酸化チタン(粒子径0.2μm)を0.26重量%混合し、この混合物を紡糸原料として用い、実施例1と同様の紡糸工程で紡糸し、ポリアミド56繊維を得た;ここで、二酸化チタンの含量は、ポリアミド56樹脂の質量を基準とした。
【0151】
〔比較例7〕
〔ポリアミド56樹脂の調製〕
ポリアミド56樹脂は、実施例5と基本的に同じ原料および工程を用いて調製したが、相違点は、工程(3)におけるメルトフィルターのメッシュサイズが20μmであることのみであった。
【0152】
〔ポリアミド56繊維の調製〕
上記で調製したポリアミド56樹脂を紡糸原料として用い、具体的な紡糸工程は実施例1と同様とした。
【0153】
実施例1~12および比較例1~3で調製したポリアミド56樹脂について、関連する性能試験を行った。結果を表1に示す。
【0154】
【表1】
実施例1~15および比較例1~7で調製したポリアミド繊維について、関連する性能試験を行った。結果を表2および表3に示す。
【表2】
【0155】
【表3】
特に限定されない限り、本発明で使用される用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0156】
本発明に記載された実施形態は、例示を目的としたものであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。当業者であれば、本発明の範囲内で他の様々な置換、変更、改良を行ってもよい。したがって、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタンを0.2~5.0重量%の含量で含み、前記二酸化チタンの98%以上は0.2~0.6μmの分散粒子径を有する、
ポリアミド56樹脂。
【請求項2】
前記二酸化チタンの95%以上は0.2~0.35μmの分散粒子径を有する、
請求項1に記載のポリアミド56樹脂。
【請求項3】
前記二酸化チタンは、0.2~0.4重量%、1.2~2.0重量%または2.5~5.0重量%の含量で含まれる、
請求項1に記載のポリアミド56樹脂。
【請求項4】
前記ポリアミド56樹脂は2.3~3.0の相対粘度を有する;および/または
前記ポリアミド56樹脂は300~1000ppmの含水率を有する;および/または
前記ポリアミド56樹脂は1.2~2.0の分子量分布を有する;および/または
前記ポリアミド56樹脂は1.5重量%以下のオリゴマー含量を有する、
請求項1に記載のポリアミド56樹脂。
【請求項5】
重合反応によりモノマーからポリアミド56樹脂を調製することを含み、
前記ポリアミド56樹脂は二酸化チタンを含み、前記二酸化チタンは重合反応中に添加される、
ポリアミド56樹脂の調製方法。
【請求項6】
前記モノマーは1,5-ペンタンジアミンとアジピン酸とを含み、前記重合反応は、
(1)ポリアミド56塩溶液を調製する工程;および
(2)原料として前記ポリアミド56塩溶液を用いて重合を実施し、ポリアミド56溶融物を得る工程;を含み、
二酸化チタンは工程(1)および/または工程(2)で添加される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(2)は、前記ポリアミド56塩溶液を加熱して、前記ポリアミド56塩溶液の反応系を0.3~2.4MPaの圧力まで昇圧させること、脱気により0.2~2.5時間前記圧力を維持すること、次いで前記反応系を0~0.3MPaの圧力まで減圧すること、次いで前記反応系を-0.001~-0.08MPaの真空度まで真空化することを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記反応系は圧力維持の終了時に230~265℃の温度を有する;および/または
前記反応系は減圧終了時に240~275℃の温度を有する;および/または
前記反応系は真空化終了時に250~285℃の温度を有する;および/または
前記真空度は真空化後10~50分間維持される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリアミド56溶融物を、濾過し、ペレット化し、乾燥させて、前記ポリアミド56樹脂を得ることを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項10】
請求項5~9のいずれか一項に記載の方法により調製されたポリアミド56樹脂もしくは請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアミド56樹脂を溶融紡糸することにより、または請求項5~8のいずれか一項に記載の方法により調製されたポリアミド56溶融物を直接紡糸することにより得られた、
ポリアミド56繊維。
【請求項11】
前記ポリアミド56繊維は、
0.5~5.0dtexのフィラメント繊度;および/または
3.3~5.5cN/dtexの破断強度;および/または
15~35cN/dtexの初期モジュラス;および/または
7%以下の沸騰水中での収縮率;および/または
4.0%以上の水分率;および/または
35~60%の捲縮収縮率と38~58%の捲縮安定性;および/または
3.5等級以上の染色均一性;および/または
92%以上のM率と3.5等級以上の退色堅牢度;および/または
3.5等級以上の染色堅牢度を有する、
請求項10に記載のポリアミド56繊維。
【請求項12】
未延伸糸、完全延伸糸、プレ配向糸、高配向糸、完全配向糸、延伸加工糸、バルク連続フィラメント、ステープル繊維、モノフィラメント、および工業用糸のうちの1種以上を
含む、
請求項11に記載のポリアミド56繊維。
【請求項13】
(a)前記ポリアミド56樹脂を溶融状態に加熱し、ポリアミド56溶融物を得る工程;
(b)前記ポリアミド56溶融物を紡糸ボックスに搬送し、紡糸パックに注入し、紡糸口金から押し出してas-spun繊維を形成する工程;
(c)前記as-spun繊維を、冷却処理、オイリング処理、延伸処理、および巻取り処理に供して、ポリアミド56のプレ配向糸を得る工程;ならびに
(d)前記ポリアミド56のプレ配向糸を、第1のローラーを介した熱間延伸処理に供し、次いで冷却およびセットし、仮撚機、第2のローラー、インターレーサーに通し、オイリング処理および巻取り処理に供して、前記ポリアミド56繊維を得る工程を含む、
請求項1
0に記載のポリアミド56繊維を調製する方法。
【請求項14】
工程(a)において、前記加熱はスクリュー押出機を用いて実施され、ゾーン1は245~265℃の温度を有し;ゾーン2は260~280℃の温度を有し;ゾーン3は275~285℃の温度を有し;さらに、ゾーン4は280~290℃の温度を有する;および/または
工程(b)において、前記紡糸ボックスは278~290℃の温度を有し、前記紡糸パックは13~22MPaの圧力を有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)において、前記冷却処理は、空気温度18~23℃および空気湿度50~85%で、クエンチエアー冷却またはクロスエアーブロー冷却により実施される;ならびに/または
前記オイリング処理は、オイリング率0.4~0.6重量%でノズルオイリングにより実施される;および/または
前記巻取り処理は、巻取り速度4200~5000m/分およびオーバーフィード速度10~100m/分で実施される、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
工程(d)において、前記熱間延伸処理は1.1~1.4の延伸比で実施され、前記熱間延伸処理は160~210℃の温度で実施され;前記仮撚機は1.3~2.2の速度比D/Yを有し;前記インターレーサー内の圧縮空気は0.3~1.5MPaの圧力を有し;前記オイリング処理は、オイリング率2.2~2.8重量%でノズルオイリングにより実施され;さらに、前記巻取り処理は、巻取り速度300~800m/分および巻取り中の巻取りのオーバーフィード率1~8%で実施される、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
請求項1
0に記載のポリアミド56繊
維の、編物または織物への使用。
【国際調査報告】